JP3781085B2 - 磁性塗料用結合剤及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁性塗料用結合剤及び磁気記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非磁性支持体上に磁性塗料からなる磁性層が設けられ、磁気テープ、磁気カード、フロッピーディスク等として用いられる磁気記録媒体において、上記磁性塗料を構成し、強磁性微粉末が分散される磁性塗料用結合剤、及びこの結合剤を用いてなる磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
磁気テープ、磁気カード、フロッピーディスク等の磁気記録媒体は、一般にポリエステルフィルムなどの支持体表面に磁性粉末と結合剤(合成樹脂)とからなる磁性塗料を塗布して塗膜(磁性層)を設けることにより作られている。
【0003】
近年、磁気記録媒体の記録密度の向上やS/N比、C/N比の改良要求に伴って磁性粉末はこれまでより一層微粒子化され、また非常に大きな磁気モーメントを有しているため粒子が互いに凝集しやすくなっている。この結果、磁性粉を均一に塗料中に分散させ平滑で充填度の高い磁性層を形成させて、磁気記録媒体としての性能の向上を達成するためには、結合剤に用いるバインダー樹脂の分散性能が決定的に重要な要因となる。また、長期にわたって情報を記録し、正確に再生させるためには、塗膜が強靭であることが必要であるし、塗布工程の生産性を向上させるためには、上記性能を落とすことなく低粘度である磁性塗料が必要である。
【0004】
一方、近年、強磁性粉末の素材は、酸化鉄からコバルトイオンを吸着又はドープした酸化鉄へと移行しており、更には鉄、ニッケル、コバルトのような強磁性の金属やこれらを含む合金が使用されるようになってきた。
【0005】
このような強磁性粉末に対して、上記のような分散性向上を図る技術としては、例えばバインダー樹脂に−OH、−COOH、−SO3M、−OSO3M、−PO32、−OPO32、−N<、−CN(但し、Mは水素原子、NH4 +又はアルカリ金属)等の親水性官能基の導入が有利であることが先行技術に開示されている。
【0006】
結合剤に用いるバインダー樹脂としては、塩化ビニル系樹脂や(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂が知られ、これに上記の官能基を導入すると強磁性粉末の分散には優れた結果が得られる。しかし、−OH、−COOH、−PO32、−OPO32等の官能基を導入すると時間経過と共に磁性粉が再凝集して塗料粘度が高くなり、−SO3M、、−OSO3M等の官能基を導入すると樹脂が貯蔵中に分解したり、吸湿してウレタンプレポリマーとの反応を妨害するし、−N<、−CN等の官能基を導入すると樹脂の熱安定性が悪くなり、着色するようになるなどの問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、微細な強磁性粉末に対する分散性が良好で高速塗布にも適し、耐久性、耐摩耗性に優れた塗膜を与える磁性塗料のための結合剤用樹脂、及び特性の優れた磁性層をもつ磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、非磁性支持体上に強磁性微粉末を結合剤中に分散させた磁性塗料からなる磁性層が設けられた磁気記録媒体において、(1)塩化ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びアルキルスチレンから選択される単量体と、(2)アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、更に必要により添加されるその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体混合物を重合させて得られる共重合体をバインダー樹脂として使用した結合剤を用いた場合、この結合剤が微細な強磁性粉末に対する分散性が良好である上、磁気特性、耐久性、耐摩耗性に優れ、しかも高速塗布に適するために粘度を下げても満足な特性を有する塗膜が得られること、それ故、上記のような各種特性に優れた磁性層をもち、近年の要求特性を十分満足する高速塗布にも適する磁気記録媒体が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)塩化ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びアルキルスチレンから選択される単量体:好ましくは50〜99.9重量%と、
(2)アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート:好ましくは0.1〜20重量%と
(3)上記(1),(2)成分以外のエチレン性不飽和単量体:0〜30重量%と
を含有する単量体混合物を重合させて得られた共重合体を主剤とすることを特徴とする磁性塗料用結合剤を提供する。
【0010】
更に、本発明は、非磁性支持体上に強磁性微粉末を上記の結合剤中に分散せしめた磁性層を設けてなる磁気記録媒体を提供する。
【0011】
以下、本発明について更に詳しく説明すると、本発明の磁性塗料用結合剤は、(1)塩化ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びアルキルスチレンから選ばれる単量体の1種又は2種以上、
(2)アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートの1種又は2種以上
を主成分とする単量体混合物を重合させて得られる共重合体を主剤とする。
【0012】
ここで、上記(1)成分において、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基としては炭素数1〜18、特に1〜8のものが好ましく、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートにおいて、アルコキシ基としては炭素数1〜4、特に1〜2のもの、アルキル基としては炭素数1〜4、特に1〜2のものが好ましい。また、アルキルスチレンのアルキル基としては炭素数1〜4、特に1〜2のものが好ましい。なお、上記各アルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれのものであってもよい。
【0013】
具体的には、(1)成分の塩化ビニル、アルキル又はアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキルスチレンに対応する単量体としては、塩化ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等を挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、塩化ビニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、スチレンが好ましい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
【0014】
この(1)成分の単量体の使用量は、塗膜に十分な平滑性(光沢)や耐久性、ポリウレタン樹脂との相溶性を付与するために、好ましくは単量体混合物全量の50〜99.9重量%、更に好ましくは70〜98重量%であり、50重量%未満では磁性塗料の粘度が高くなる場合が生じる。
【0015】
本発明において、上記(1)成分の単量体に(2)成分としてアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートを混合し、共重合単位とすることが特徴である。
【0016】
即ち、これまで磁性粉を分散させるためには、水酸基やスルホン酸基などの親水性官能基をバインダー樹脂に導入することが常識であったが、このアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートを共重合用単量体として使用すると、親水性官能基を導入する必要がない。また、塗膜の耐久性を向上させる目的で水酸基を導入してウレタンプレポリマーと反応させることも常識であるが、水酸基を導入すると塗料の粘度が高くなる。しかし、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートを共重合用単量体として使用すると、塗料の粘度を高くすることなくウレタンプレポリマーと反応させて耐久性を向上させることができる。
【0017】
そのメカニズムは必ずしも明らかでないが、分散性に寄与するのは分子内の2個のカルボニル基が金属(磁性粉)とキレートを作るためではないかと考えられ、また水酸基がなくてもウレタンプレポリマーと反応するのは分子内に活性水素をもつためと考えられる。
【0018】
このように、1分子中に親水性でない分散性に寄与する官能基と活性水素をもつ特殊なエチレン性不飽和単量体を使用することで、磁性粉の分散を助け、ウレタンプレポリマーと反応して耐久性のある塗膜を得る一方で、樹脂の経時安定性や塗料粘度の増加などの問題点を同時に解決することができる。
【0019】
ここで、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートにおいて、アルキル基としては炭素数1〜4のものが好ましい。この(2)成分のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートに対応する単量体として具体的には、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルアクリレート等を挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
この(2)成分のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートの配合量は、その使用量が少ないと分散性、柔軟性や耐久性が悪くなり、多いとかえって強磁性微粉末に対する分散性が低下する傾向が見られるので、好ましくは単量体混合物全量の0.1〜20重量%とするが、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0021】
本発明において、上記(1),(2)成分の他に、塗料性能や塗膜物性を改良するために任意成分〔(3)成分〕として、上記以外のその他のエチレン性不飽和単量体を使用することができる。かかるその他のエチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、アシッドホスホキシオキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシオキシプロピル(メタ)アクリレートなどのリン酸基を有する単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのエステル基を有する単量体、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などを使用することができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
これら(3)成分のその他のエチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体混合物全体の30重量%以下、特に20重量%以下であることが好ましい。
【0023】
上記(1),(2)成分、あるいは(1)〜(3)成分の組み合わせからなる単量体混合物を重合させて得られる共重合体は、分子量が低すぎると磁性塗膜が脆くなるなどの物理的強度が低下し、また磁気テープ等の耐久性も低下するし、逆に分子量が高すぎると所定濃度における塗料粘度が高くなって作業性が悪くなり、取扱いが困難となってくるので、その数平均分子量は5,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜60,000の範囲である。共重合体はランダムに形成されてもブロックに形成されていてもよい。なお、分子量の調整にはn−ドデシルメルカプタン、チオグリコール、トリクロルエチレンなどの分子量調整剤を用いることもできる。
【0024】
上記したような本発明にかかる共重合体は、一般に溶液重合法、沈澱重合法、懸濁重合法、乳化重合法などを採用して通常の方法で製造することができる。
【0025】
溶液重合の際に使用される溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類や酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、又はテトラヒドロフランのようなフラン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような極性溶剤など、共重合樹脂を溶解するような溶剤が用いられる。この場合の溶剤使用量は、共重合する単量体混合物の合計量100重量部に対して100〜500重量部が好ましい。
【0026】
沈澱重合の際に使用される溶剤としては、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ヘキサン、ナフサなどの炭化水素類等の共重合樹脂を溶解しないような溶剤が用いられる。この場合の溶剤使用量は共重合する単量体混合物の合計量100重量部に対して100〜500重量部が好ましい。
【0027】
懸濁重合の際に使用される懸濁安定剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分ケン化物等のポリビニルアルコール系重合体、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、マレイン酸−スチレン共重合体、マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体等の合成高分子、澱粉、ゼラチン等の天然高分子などが例示される。懸濁安定剤の使用量は、共重合する単量体混合物の合計量100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましい。
【0028】
乳化重合の際に使用される乳化剤としては、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオン性乳化剤などが例示される。乳化剤の使用量は共重合する単量体混合物の合計量100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。
【0029】
共重合に際して使用される重合開始剤としては、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシル−オキシジカーボネートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、あるいは過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩や過酸化水素などが例示される。重合開始剤の使用量は共重合する単量体混合物の合計量100重量部に対して0.01〜4重量部が好ましい。
【0030】
本発明では、上記方法を用いて通常の条件で重合反応を行うことができ、また、重合に際しては、単量体、重合開始剤、懸濁安定剤、乳化剤などを重合開始時に一括して重合系に添加して行うことができるが、重合中に分割して添加することもできる。
【0031】
なお、乳化重合の場合には重合後に公知の塩析法に従い、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等の無機塩の水溶液を添加するか、水溶性有機溶剤などを添加するなどして粒子を凝集させた後、濾過、水洗し乾燥することが好ましい。
【0032】
本発明においては、磁性塗料製造時の結合剤のバインダー樹脂として上記したような(1),(2)あるいは(1)〜(3)の単量体から得られる共重合体を使用する。この結合剤に用いる樹脂としては、上記共重合体のみからなるものでもよいが、上記共重合体に他の樹脂を併用したものであることが好ましい。
【0033】
この場合、他の樹脂として具体的には、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の重合体やこれらの共重合体などの各種樹脂が例示されるが、特にポリウレタン樹脂が好適である。
【0034】
なお、上記結合剤中の(1),(2)あるいは(1)〜(3)の単量体から得られる共重合体の含有割合は、結合剤全体100重量部に対して30〜70重量部が好ましく、特に40〜60重量部が好ましい。30重量部に満たないと強磁性微粉末の分散が十分でないため磁気性能が良好でなく、また相対的にポリウレタン樹脂等が多くなると塗膜が軟らかくなり磁気ヘッドとの摩擦が大きくなるおそれがあり、70重量部を超えると塗膜が硬くなり耐久性が悪くなる場合がある。
【0035】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、強磁性微粉末が上記(1),(2)あるいは(1)〜(3)の単量体混合物を重合した共重合体をバインダー樹脂とする結合剤中に分散された磁性塗料で形成された磁性層を有するものである。
【0036】
ここで、本発明の磁気記録媒体に使用される非磁性支持体としては、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリカーボネート等の合成樹脂類、非磁性金属類、セラミック類などが挙げられる。その形態に特に制限はなく、フィルム、テープ、シート、板状体等各種の形態のものを使用することができる。
【0037】
また、強磁性微粉末としては、具体的にγ−Fe23、Fe34やこれらにコバルトイオンを吸着又はドープしたもの、CrO2、更にはFe、Co、Fe−Co、Ni等を含有させた金属又は合金の針状微粒子などをはじめ、その他の従来公知の各種磁性粉末などが例示される。
【0038】
強磁性微粉末と結合剤との混合割合は、強磁性微粉末100重量部に対して結合剤を8〜50重量部、特に13〜20重量部とすることが望ましい。
【0039】
なお、強磁性微粉末と結合剤とは通常の方法で混合して分散させることができるが、両成分を均一に分散させるため、必要に応じて従来一般に使用されている潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤、分散助剤、防錆剤、更には例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン等の塗布媒体のほか、各種の有機溶剤などを本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0040】
また、乳化重合法で共重合体を調製した場合は、前記したように重合後に公知の塩析法を採用することなく、重合後の乳化分散液に磁性粉末を分散助剤などと共に添加し、混合分散して水性エマルジョン系磁性塗料を調製することも可能である。
【0041】
上記支持体上に磁性層を形成する塗布手段としては、公知の方法を採用することができ、適宜カレンダリング処理等の平滑化処理を施すことにより、本発明の目的とする高性能磁気記録媒体を得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、例中の部及び%はそれぞれ重量部、重量%である。
【0043】
〔実施例1〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水200部、メチルメタクリレート95部、アセトアセトキシエチルメタクリレート5部、ベンゾイルパーオキサイド1.5部、メチルセルロース0.2部、ドデシルメルカプタン0.55部を仕込み、撹拌しながら75℃に加温して反応を開始した。10時間撹拌後冷却し、重合反応を完結させた。
【0044】
重合終了後、共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー1)89部が得られた(Mn=25,000、Mnは液体ガスクロマトグラフィー法にて測定した。)。
【0045】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0046】
〔実施例2〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水200部、メチルメタクリレート95部、アセトアセトキシエチルメタクリレート2部、ヒドロキシプロピルアクリレート3部、ベンゾイルパーオキサイド1.5部、メチルセルロース0.2部、ドデシルメルカプタン0.55部を仕込み、撹拌しながら75℃に加温して反応を開始した。10時間撹拌後冷却し、重合反応を完結させた。
【0047】
重合終了後、共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー2)88部が得られた(Mn=27,000)。
【0048】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0049】
〔実施例3〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水200部、スチレン98部、アセトアセトキシエチルメタクリレート2部、ベンゾイルパーオキサイド1.5部、メチルセルロース0.2部、ドデシルメルカプタン0.25部を仕込み、撹拌しながら70℃に加温して反応を開始した。10時間撹拌後冷却し、重合反応を完結させた。
【0050】
重合終了後、共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー3)91部が得られた(Mn=31,000)。
【0051】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0052】
〔実施例4〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水300部、塩化ビニル98部、過酸化カリウム4.2部、ラウリル硫酸ソーダ1.3部、炭酸ソーダ1部を仕込み、撹拌しながら75℃に加温して反応を開始し、アセトアセトキシエチルメタクリレート2部を4時間かけて追加した。内圧がゲージ圧で1kg/cm2に低下したところで未反応ガスを排気して冷却し、重合反応を完結させた。
【0053】
重合終了後、塩化カルシウム20部、熱脱イオン水100部を添加して共重合体を析出させた。析出した共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー4)88部が得られた(Mn=18,000)。
【0054】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0055】
〔実施例5〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水300部、メチルメタクリレート50部、エチルメタクリレート40部、アセトアセトキシエチルメタクリレート10部、過硫酸カリウム4.2部、ラウリル硫酸ソーダ1.3部、炭酸ソーダ1部を仕込み、撹拌しながら70℃に加温して反応を開始した。8時間撹拌後冷却し、重合反応を完結させた。
【0056】
重合終了後、塩化カルシウム20部、熱脱イオン水100部を添加して共重合体を析出させた。析出した共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー5)93部が得られた(Mn=22,000)。
【0057】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0058】
〔実施例6〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水300部、メチルメタクリレート50部、ブチルメタクリレート22部、アセトアセトキシエチルメタクリレート0.5部、ヒドロキシプロピルアクリレート13.5部、酢酸ビニル14部、過硫酸カリウム4.2部、ラウリル硫酸ソーダ1.3部、炭酸ソーダ1部、ドデシルメルカプタン0.5部を仕込み、撹拌しながら70℃に加温して反応を開始した。8時間撹拌後冷却し、重合反応を完結させた。
【0059】
重合終了後、塩化カルシウム20部、熱脱イオン水100部を添加して共重合体を析出させた。析出した共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー6)85部が得られた(Mn=23,000)。
【0060】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0061】
〔比較例1〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水200部、メチルメタクリレート100部、ベンゾイルパーオキサイド1.5部、メチルセルロース0.2部、ドデシルメルカプタン0.55部を仕込み、撹拌しながら75℃に加温して反応を開始した。10時間撹拌後冷却し、重合反応を完結させた。
【0062】
重合終了後、共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー7)95部が得られた(Mn=25,000)。
【0063】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0064】
〔比較例2〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水200部、塩化ビニル79部、酢酸ビニル6部、ベンゾイルパーオキサイド1.5部、メチルセルロース0.2部、ドデシルメルカプタン0.55部を仕込み、撹拌しながら60℃に加温して反応を開始し、ヒドロキシプロピルアクリレート15部を5時間かけて追加した。内圧がゲージ圧で1kg/cm2に低下したところで未反応ガスを排気して冷却し、重合反応を完結させた。
【0065】
重合終了後、共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー8)85部が得られた(Mn=17,000)。
【0066】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0067】
〔比較例3〕
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器内を窒素置換後、これに脱イオン水300部、メチルメタクリレート70部、エチルメタクリレート15部、ビニルスルホン酸ソーダ5部、酢酸ビニル10部、過硫酸カリウム4.2部、ラウリル硫酸ソーダ1.3部、炭酸ソーダ1部を仕込み、撹拌しながら75℃に加温して反応を開始した。10時間撹拌後冷却し、重合反応を完結させた。
【0068】
重合終了後、塩化カルシウム20部、熱脱イオン水100部を添加して共重合体を析出させた。析出した共重合体を脱イオン水150部/回で5回洗浄−濾過操作を繰り返した後、乾燥したところ、共重合体(ポリマー9)72部が得られた(Mn=24,000)。
【0069】
得られた共重合体につき、後述の特性の評価の試験法により磁気記録媒体に適するか否かを評価した。
【0070】
磁性塗料及び磁気記録媒体の特性の評価
上記のようにして得られた共重合体(ポリマー1〜9)を磁性塗料及び磁気記録媒体としての評価に供した。その結果を表1に示す。なお、各特性の測定は下記のようにして行った。
評価方法:
a.塗料粘度
磁性塗料の25℃の粘度をE型粘度計で測定した。
b.光沢
グロスメーター(村上色彩技研社製)によりカレンダー処理前の磁気テープの磁性塗料塗布面の60度反射率を標準ガラス板と比較した。
c.配向度
振動試料型磁力計(東英工業社製)を用いて測定した。
【0071】
磁気テープの作製方法:
(1)磁性塗料の調製
下記成分をラボミキサーで90分間混合し、更にガラスビーズの入ったサンドミルで3時間混練後、濾過して塗料液を得た。
結合剤樹脂(ポリマー1〜9) 12部
磁性粉(比表面積50m2/gのメタル粉) 100部
ポリウレタン樹脂(商品名U−8300:東洋紡社製) 8部
メチルエチルケトン 90部
シクロヘキサノン 90部
トルエン 90部
(2)磁気テープの作製
厚さ15μmのポリエステルフィルム上に上記塗料液を6μm厚に塗布し、磁場配向処理を行って乾燥し、次いでスーパーカレンダーにより表面処理して磁気テープを作った。
【0072】
【表1】
Figure 0003781085
【0073】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体は、上記共重合体(バインダー樹脂)の強磁性微粉末に対する分散性能が良好であり、このため磁性塗料の粘度を高速塗布作業に適したものとしても、塗膜表面の平滑性がよく、かつ耐摩耗性に優れ、しかも塗膜の物理特性が良好で耐久性、磁気特性に優れた磁性層を有し、磁気テープ、磁気カード、フロッピーディスク等として有効である。

Claims (3)

  1. (1)塩化ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びアルキルスチレンから選択される単量体と、
    (2)アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートと
    を含有する単量体混合物を重合させて得られた共重合体を主剤とすることを特徴とする磁性塗料用結合剤。
  2. (1)塩化ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン及びアルキルスチレンから選択される単量体:50〜99.9重量%と、
    (2)アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート:0.1〜20重量%と(3)上記(1),(2)成分以外のエチレン性不飽和単量体:0〜30重量%と
    を含有する単量体混合物を重合させて得られた共重合体を主剤とすることを特徴とする磁性塗料用結合剤。
  3. 非磁性支持体上に強磁性微粉末を請求項1又は2記載の結合剤中に分散せしめた磁性層を設けてなる磁気記録媒体。
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