JP3780742B2 - 炭酸ジアルキルの製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の製法は、炭酸ジメチル等の炭酸ジアルキルを工業的に安定して製造する方法である。
本発明の製法は、概略、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを反応させて炭酸ジアルキルを生成させ、その反応ガスを吸収塔でシュウ酸ジアルキルの吸収液に吸収させ、生成物を含む凝縮液を精製工程へ供給すると共に、吸収塔で得られた非凝縮ガスを再生塔へ供給して、その非凝縮ガス中の酸化窒素を特定の条件下でアルコールと反応させて亜硝酸アルキルを再生し、その再生ガスを最初の炭酸ジアルキルを生成させる反応に再び利用しながら、炭酸ジアルキルを気相反応で工業的に製造する方法に係わる。
【0002】
即ち、本発明の製法は、特に、非凝縮ガス中の酸化窒素(一酸化窒素等)から亜硝酸アルキルを再生する工程(第3工程)において、アルコール液を再生塔内の上部域から下部域へ流下させると共に、該再生塔の缶液を冷却・循環させながら、該再生塔の下部域において、冷却された缶液が流下している区域へ酸化窒素を含む非凝縮ガスを供給し、該再生塔内で酸化窒素とアルコールとを反応させて亜硝酸アルキルを再生するに際して、新たに補給されるアルコールの全量に対する缶液循環量の重量比、酸化窒素に対するアルコール全補給量のモル比、及び再生塔の底部の缶液中のアルコール濃度をそれぞれ特定の範囲に限定した条件下で亜硝酸アルキルの再生反応を行うということが特徴的である炭酸ジアルキルの製法である。
【0003】
本発明の製法は、亜硝酸アルキルの再生工程(第3工程)において、その再生反応の反応熱を効果的に除去しながら、亜硝酸アルキルを含有する再生ガスを効率的及び工業的に安定して得ることができ、結果として、炭酸ジアルキルを工業的に安定して製造することができる方法である。
【0004】
【従来の技術】
従来、次に示す反応式(1)及び(2)におけるように、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを反応させて炭酸ジアルキルを生成させ、その反応で副生する酸化窒素(一酸化窒素等)をアルコール及び酸素と反応させて亜硝酸アルキルを再生して、最初の反応(1)においてその亜硝酸アルキルを再使用しながら、炭酸ジアルキルを製造する方法はよく知られている。
【0005】
CO + 2RONO → CO(OR)2 + 2NO (1)
4NO + 4ROH + O2 → 4RONO + 2H2O (2)
【0006】
炭酸ジメチルの製法としては、例えば、特開平6−25104号公報に、炭酸ジメチルの製造(気相)において副生した酸化窒素とメタノールとを反応させて亜硝酸メチルを再生し、そのようにして再生された亜硝酸メチルを炭酸ジメチルの製造に再使用して、炭酸ジメチルを連続的に製造する方法が開示されている。
【0007】
また、酸化窒素とアルコール(メタノール等)から亜硝酸アルキル(亜硝酸メチル等)を再生又は製造する方法は、例えば、特公昭62−47867号、特公昭63−35617号、特開平6−25104号などの公報において種々提案されているが、一般に、その亜硝酸アルキルを生成させる反応が発熱反応であるので、反応を安定して行うことがかなり困難であり、その問題を効果的に解決する手段について具体的な提案が殆ど成されていなかった。
【0008】
即ち、メタノールなどのアルコールと一酸化窒素を主成分とする酸化窒素を反応させる場合は、高いレベルの反応熱が放出されるので、この反応熱によって反応が暴走しないように適正な温度範囲に反応温度をコントロールすることが、亜硝酸アルキルを高い収率で安全に製造するための重要な課題である。前記の公知文献には、亜硝酸アルキルの製造における反応熱の除去及び反応温度のコントロールをどのような手段で行うかについて具体的に開示されておらず、実際に亜硝酸アルキルの製造を工業的に実施することはかなり困難であった。
【0009】
一方、特開平6−298706号公報には、亜硝酸アルキルを生成させる反応域へアルコール液を噴霧することによって、その蒸発潜熱で反応熱を除去して反応温度をコントロールすることが可能であることが開示されている。
しかし、前記公報記載の反応熱の除去法では、亜硝酸アルキルの製造において必ずしも安定して反応温度のコントロールができなかったり、前記反応を充分に適正に維持できないこともあるため、工業的な規模で再現性よく安定して亜硝酸アルキルの製造を実施することがかなり困難である。
【0010】
また、特開平1−121251号公報には、酸化窒素、アルコール及び酸素を反応帯域において反応させて亜硝酸アルキル(アルキルナイトライト)を生成させる場合に、その反応帯域が少なくとも二つの区画(即ち、気液接触と冷却とを与える反応器区画と、酸素の転化率を高めるために充分な蒸気滞留時間と、反応気体中の水及び硝酸の量を減少させるに充分な精留容量とを与え得る精留区画と)を包含していることからなるアルキルナイトライトの製造方法、並びにその反応容器が開示されている。
【0011】
更に、特開平1−121251号公報には、亜硝酸アルキルを生成させる反応容器から熱を除去する具体的な手段として、下部充填床区画から液体側流を取り出し、その液体側流を冷却し、次いでそれを前記反応容器に戻す方法が開示されている。そして、その冷却手段を包含している反応容器も開示されている。
しかしながら、この公報記載の方法には、前述の冷却手段などを採用した場合に、前述の酸化窒素とアルコールとの反応において、反応熱の除去についてそれなりの効果はあるけれども、亜硝酸アルキルを高い収率で安定して得ることができなかったり、硝酸などの副生物がかなり生じたりして、必ずしも前記反応を効率的に安定して行わせることができなかったりするという種々の問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを反応させて炭酸ジアルキルを生成させ、副生する酸化窒素(一酸化窒素等)から亜硝酸アルキルを再生して最初の反応に再使用しながら、炭酸ジアルキルを製造する方法において、一酸化窒素を含有する酸化窒素とアルコールを反応させて亜硝酸アルキルを再生するに当たり、亜硝酸アルキルの再生反応における反応熱を効果的に除去してその再生反応の反応温度を適正な範囲に確実に維持することができ、その結果、公知の製法における種々の問題点を回避できる、炭酸ジアルキルの工業的な製法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを反応器へ供給して触媒存在下で反応させて、炭酸ジアルキルを生成させ、
第2工程で、第1工程の反応ガスを吸収塔へ供給してシュウ酸ジアルキルの吸収液と接触させて、前記生成物を含む凝縮液を得て第4工程へ供給し、一方、吸収塔の上部から酸化窒素及び好ましくはアルコール蒸気を含有する非凝縮ガスを抜き出し、
第3工程で、その非凝縮ガスを再生塔の下部域へ供給しつつ、再生塔の上部域の最上部−15〜30℃の温度範囲に冷却されているアルコール液を補給して再生塔内を上部域から下部域に流下させると共に、該再生塔の缶液をその底部から抜き出してその低部における缶液の温度より1〜30℃程度低い温度であって0〜60℃の温度にまで冷却した後、冷却された缶液を該再生塔の下部域の上方へ供給して該缶液のみを強制的に冷却及び循環させることにより、冷却された缶液を該再生塔の下部域において流下させながら、酸化窒素とアルコールを反応温度を0〜100℃に維持して反応させて亜硝酸アルキルを再生し、次いでその再生された亜硝酸アルキルを第1工程の反応器へ供給して前記の反応を行わせ、
最後に、第4工程で、第2工程で得られた凝縮液を蒸留精製して炭酸ジアルキルを得るという方法であって、
更に、前記の第3工程における再生塔では、
a)再生塔の缶液の循環量を、該再生塔に補給されるアルコールの全補給量に対して50〜300重量倍とすると共に、
b)前記のアルコールの全補給量と、前述のように冷却及び循環されている缶液中のアルコール量との総合計量を、前記の非凝縮ガス中の酸化窒素1モルに対して20〜150モルとなし、
c)更に、該再生塔の底部における缶液中のアルコールの濃度を15〜60重量%に維持することを特徴とする炭酸ジアルキルの製法に関する。
【0014】
本発明の製法は、第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを反応器へ供給して触媒存在下で反応(気液接触反応)させて炭酸ジアルキルを生成させ、
第2工程で、第1工程の反応ガスを吸収塔へ供給してシュウ酸ジアルキルの吸収液と接触させて、前記生成物を含む凝縮液を得て第4工程(精製工程)へ供給し、一方、吸収塔の上部から酸化窒素及び好ましくはアルコール蒸気を含有する非凝縮ガスを抜き出し、
第3工程で、その非凝縮ガスを再生塔の下部域へ供給しつつ、再生塔の上部域の最上部−15〜30℃の温度範囲に冷却されているアルコール液を補給して再生塔内を上部域から下部域に流下させると共に、該再生塔の缶液をその底部から抜き出してその低部における缶液の温度より1〜30℃程度低い温度であって0〜60℃の温度にまで冷却した後、冷却された缶液を該再生塔の下部域の上方へ供給して該缶液のみを強制的に冷却及び循環させることにより、冷却された缶液を該再生塔の下部域において流下させながら、酸化窒素とアルコールを反応温度を0〜100℃に維持して反応(気液接触反応)させて亜硝酸アルキルを再生し、次いでその再生された亜硝酸アルキルを第1工程の反応器へ供給して前記の反応を行わせ、
最後に、第4工程(精製工程)で、第2工程で得られた凝縮液を蒸留精製して炭酸ジアルキルを得るという方法であって、第3工程を特定の条件で行う炭酸ジアルキルの製法に係るものである。
【0015】
本発明の製法の第3工程における、一酸化窒素などの酸化窒素を含む非凝縮ガスとアルコールを反応させて亜硝酸ジアルキルを再生する反応では、非凝縮ガスが供給される再生塔の下部域で最も高い割合でその再生反応が起こるので、再生塔の下部域での反応熱を効果的に除去し、適正な再生反応を安定して行わせることが、異常な副反応などを防止するために必要であった。
【0016】
このために、本発明では、特に、第3工程において、「再生塔の底部に溜まっている缶液(ボトム液:アルコールを約15〜60重量%程度含有しているアルコール水溶液である)を抜き出して冷却器で冷却し、その冷却された缶液を該再生器の下部域へ戻して、該再生塔の下部域を流下させるという『缶液の冷却・循環』を、前述のa)〜c)項で示した特定の条件下で行うこと」により、該再生塔の下部域で特に高い割合で発生する再生反応の反応熱を効果的に確実に除去することができ、しかも前述の亜硝酸アルキルの再生反応を適正な状態で行うことができ、同時に副生する硝酸も低いレベルとすることができ、その結果、炭酸ジアルキルを効率的に製造することができるという優れた効果が達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製法を図面も参考にして更に詳しく説明する。
図1は、本発明の製法における、酸化窒素を含有する非凝縮ガスとアルコール液を接触させて亜硝酸アルキルを製造する工程(プロセス)を例示する概略のプロセス図である。
図2は、本発明の製法により、炭酸ジアルキルを製造する工程(プロセス)を例示する概略のプロセス図である。
図2におけるプロセス図は、亜硝酸アルキルを再生する工程を含む、亜硝酸アルキルと一酸化炭素との反応により炭酸ジアルキルを製造する工程(プロセス)を例示するものである。
【0018】
本発明の製法は、図2に概略示すように、例えば、
第1工程において、COガス供給ライン22からの一酸化炭素(CO)と、再生ガス取出しライン12からの亜硝酸アルキル含有の再生ガス(第3工程の亜硝酸アルキル再生反応における再生反応ガス)とを、反応器(主反応器)20へ供給し、固体触媒(例えば、白金族金属系触媒)の存在下で反応(気相接触反応)させて炭酸ジアルキルを生成させ、
次いで、第2工程において、反応ガス抜き出しライン23を通して反応ガスを吸収塔21(吸収液供給ライン24から供給されたシュウ酸ジアルキル液からなる吸収液が塔内を流下している)へ供給して、吸収塔内を流下する吸収液に炭酸ジアルキルを凝縮・溶解させ、吸収塔21の底部に接続された凝縮液抜き出しライン25からその凝縮液を抜き出し、
最後に、第4工程において、炭酸ジアルキルを含む凝縮液を精製装置(具体的に例示されていない)で蒸留・精製して炭酸ジアルキルを得ることによって、炭酸ジメチル等の炭酸ジアルキルを気相で製造する方法である。例えば、炭酸ジメチルを製造する場合、第4工程では、特開平6−25104号公報記載のように、第2工程の凝縮液から、シュウ酸ジメチルによる抽出蒸留によりメタノールやギ酸メチル等が分離された後、更に蒸留により炭酸ジメチルが分離される。
【0019】
本発明の製法では、前記の吸収塔21の塔頂部と接続している非凝縮ガス抜き出しライン5から排出される非凝縮ガスは、一酸化炭素と亜硝酸アルキルの反応で生成した多量の一酸化窒素と共に、炭酸ガス、窒素ガス、アルコール蒸気などを含む。このため、本発明の製法では、図2に示すように、本発明の製法の第3工程に従って、その非凝縮ガスに酸素供給ライン14から分子状酸素を加えて、その混合ガスを再生塔1(亜硝酸アルキル製造用の反応器)の下部域3に供給し、アルコール液を再生塔内の上部域2から下部域3へ流下させながら、一酸化窒素などの酸化窒素とアルコールを反応(気液接触反応)させて亜硝酸アルキルを生成させ(再生し)、そして、その亜硝酸アルキルを含む再生反応ガスを前記第1工程の反応器(主反応器)20へ再び供給することによって、前述の炭酸ジアルキルの製造を連続的に行うことができる。
前記第3工程において、必要であれば、一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素などの酸化窒素を酸化窒素補給ライン15から再生塔へ補給しながら、前記の非凝縮ガス中の酸化窒素と共に再生反応を行うことができる。
【0020】
前記の第1工程で使用される亜硝酸アルキルとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3のアルコールと亜硝酸とのエステルである、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸プロピル等が挙げられる。本発明では、中でも亜硝酸メチルが特に好ましい。
【0021】
前記第1工程で使用される触媒としては、例えば、特開平3−141243号公報などに記載されている、白金族金属(パラジウム、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム等)の化合物が担体に担持されている白金族金属系触媒を挙げることができる。担体としては、活性炭、アルミナ(γ−アルミナ等)、スピネル(リチウムアルミネートスピネル等)、シリカ、珪藻土、ゼオライト、粘度鉱物などが挙げられるが、中でも活性炭、アルミナ(γ−アルミナ等)、スピネル(リチウムアルミネートスピネル等)が好ましい。
【0022】
前記の白金族金属化合物としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム、塩化白金、塩化ロジウム等の白金族金属のハロゲン化物、硝酸パラジウム、硝酸白金等の白金族金属の硝酸塩、リン酸パラジウム、リン酸ルテニウム等の白金族金属のリン酸塩、酢酸パラジウム、酢酸ロジウム等の白金族金属のカルボン酸塩などを挙げることができる。本発明では、白金族金属の化合物としてパラジウムの化合物が好ましく、中でも塩化パラジウムが最も好ましい。
また、前記触媒においては、白金族金属の化合物以外に、銅、鉄、ビスマス、セリウムなどの金属の化合物が助触媒として少なくとも1種担持されていても差し支えない。これら金属の化合物の中では、塩化物(塩化第二銅、塩化第二鉄、塩化ビスマス等)が好ましい。
【0023】
前記触媒の製法は特に限定されるものではない。例えば、白金族金属化合物の水溶液に担体を加えて含浸操作を行って、次いでその担体(白金族金属化合物が担持されている)を乾燥及び/又は焼成するという方法を挙げることができる。
【0024】
前記担体としては、比表面積が0.01〜200m2/g、特に0.05〜100m2/g、更には0.1〜50m2/g程度であって、平均細孔径が100〜10000オングストローム、特に500〜5000オングストローム、更には1000〜3000オングストローム程度であるものが好ましい。
また、担体は、その細孔容積が0.05ml/g以上、特に0.1〜3.0ml/g、更には0.3〜0.6ml/g程度であることが好ましい。
なお、上記数値はBET法や水銀圧入法で測定されるものである。
【0025】
前記担体は、ペレットなどの成型体、粒子状のもの、又は粉末状のものであってもよいが、本発明では、特に、0.5〜10mm程度の粒径の成型体(ペレット状の圧縮成型体)、4〜200メッシュ程度の粒子状のもの、或いは20〜200ミクロン程度の粒子径の粉末状のものを好適に使用できる。
【0026】
本発明の製法の第1工程において、一酸化炭素と亜硝酸アルキルとの気相接触反応は、前記触媒が充填された反応器に、一酸化炭素、亜硝酸アルキルと共に、窒素ガス等の不活性ガスなどを含有する原料ガスを供給することによって行われる。このとき、反応条件は、反応温度が50〜200℃、特に80〜150℃で、反応圧力が常圧から10kg/cm2 G、特に1〜6kg/cm2 Gで、原料ガスの接触時間が10秒以下、特に0.2〜5秒で、原料ガス中の亜硝酸アルキル濃度が3〜25容量%で、原料ガス中の一酸化炭素濃度が1〜50容量%、特に5〜30容量%であることが好ましい。
前記反応器としては、固定床(単管式又は多管式)、流動床、移動床のものを使用することができるが、工業的には固定床の反応器が好ましい。
【0027】
本発明の製法の第2工程においては、第1工程で得られた炭酸ジアルキルを含む反応ガスは反応ガス抜き出しライン23経由で吸収塔21へ供給される。その吸収塔21では、吸収液供給ライン24から供給されるシュウ酸ジアルキル液(吸収液)が塔内を流下しており、その吸収液と反応ガスとの気液接触によって反応ガス中の炭酸ジアルキルが凝縮・溶解される。そして、その凝縮液は吸収塔21の底部に接続された凝縮液抜き出しライン25から抜き出され、一方、非凝縮ガスは抜き出しライン5から抜き出される。
【0028】
前記吸収塔の操作温度は炭酸ジアルキルの吸収を効率よく行うために低温であることが好ましいが、余りに低温であるとシュウ酸ジアルキル(特にシュウ酸ジメチル)の固化が起り、またエネルギー的にも不利であるため、0〜100℃、特に30〜80℃程度であることが好ましい。前記吸収液の供給量は、第1工程において反応器で生成した炭酸ジアルキルに対して3〜10重両倍、特に4〜6重両倍程度となるような量であることが好ましい。
なお、吸収液であるシュウ酸ジアルキルとしては、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジプロピル等の炭素数1〜3のアルコールとシュウ酸とのジエステルが挙げられる。シュウ酸ジアルキルの中では、シュウ酸ジメチルが特に好ましい。
【0029】
前記吸収塔は、シーブトレイ、泡鐘トレイ、バルブトレイ等の棚段式、ポールリング、ラシヒリング等の種々の充填材が充填されている充填塔式であるような吸収塔であればよい。
【0030】
吸収塔で分離された非凝縮ガス中には、少量の炭酸ジアルキル及びシュウ酸ジアルキルが同伴するが、これらは次の工程に持ち込まれると全くのロスとなるので、吸収塔頂部(吸収液供給ライン24より上部;図示せず)から少量のアルコールを供給して同伴する炭酸ジアルキル及びシュウ酸ジアルキルを回収することが好ましい。このとき、アルコールの供給量は、前記反応ガス中の炭酸ジアルキルに対して5〜30重量%、特に10〜20重量%であることが好ましい。なお、このアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3のアルコールが使用されるが、中でもメタノールが好ましい。
【0031】
本発明の製法において、非凝縮ガス中の酸化窒素とアルコールを気液接触反応させて亜硝酸アルキルを再生する再生反応工程(第3工程)では、図1に示すように、概略、アルコール液をアルコール液補給ライン6から再生塔1の上部域2へ補給しながら、該再生塔内の上部域2から下部域3へ流下させると共に、該再生塔の缶液をその底部4から抜き出し、液輸送手段(ポンプ)7を経由して冷却器8で冷却して缶液循環ライン9から該再生塔の下部域の上方へ供給して缶液を強制的に循環させることにより、該再生塔の下部域3において冷却された缶液を流下させることが好ましい。そして、更に、その冷却された缶液が流下している区域の下方へ酸化窒素(一酸化窒素等)を含有する非凝縮ガスを非凝縮ガス供給ライン5から供給し、該再生塔内で酸化窒素とアルコールを向流で気液接触反応させて、亜硝酸メチルを生成させることが好ましい。
なお、本発明の第3工程で使用されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3のアルコールが挙げられるが、中でもメタノールが好ましい。
【0032】
前述の第3工程において、亜硝酸アルキルを再生するに当たっては、
a)前記再生塔の缶液の循環量を、再生塔に補給されるアルコールの全補給量に対して50〜300重量倍、好ましくは50〜200重量倍、更に好ましくは60〜180重量倍、特に好ましくは70〜160重量倍程度の割合となるような量とすると共に、
b)前記のアルコールの全補給量と、前述のように再生塔の下部域において冷却及び循環されている缶液(循環液)中のアルコール量との総合計量を、前記非凝縮ガス中の酸化窒素1モルに対して20〜150モル、好ましくは30〜120モル程度の割合となるような量となし、
c)更に、該再生塔の底部における缶液中のアルコールの濃度を15〜60重量%、好ましくは20〜55重量%に維持することが必要である。
【0033】
前記の缶液の循環量が少なくなり過ぎると、再生塔の下部域での気液接触反応における反応熱の除去が均一又は充分に行われなかったり、該再生塔の下部域で液状のアルコールが下部域内の充填材などの全体を均一に濡れた状態に維持することができず、極めて不均一な濡れ状態となってしまうことがあって、液状アルコールと酸化窒素との気液接触反応が該再生塔内で均一にしかも安定に行われなくなるので適当ではない。また、缶液の循環量が多くなり過ぎると、冷却・循環において過大なエネルギーを必要とするので適当ではない。
【0034】
前記の再生塔の缶液の冷却及び循環は、該再生塔1の底部4から缶液を缶液循環ライン9に抜き出して、缶液循環ライン9の途中に設けられた液送用ポンプなどの液輸送手段7によって、次の冷却器8へ送り込み、その冷却器8で該再生塔の底部における缶液の温度より低い温度に冷却した後、該再生塔の下部域3の上方(上部域2よりも下方)へ供給し、その冷却された缶液を該再生塔の下部域3において流下させることにより、缶液循環ライン9において強制的に行うことが好ましい。
【0035】
前記の再生塔の底部の缶液を冷却器で冷却する際には、該再生塔1の底部4における缶液の温度より1〜30℃、特に2〜20℃低い温度であって、0〜60℃程度の温度範囲にまで、該再生塔の底部から抜き出した缶液を冷却器8で冷却することが好ましい。
【0036】
本発明では、再生塔の底部4から抜き出した缶液の一部は、水、硝酸などの副生物を缶液排出ライン10経由で反応系から除去するために、缶液循環ライン9における液輸送手段7の吐出直後に系外へ排出することが好ましい。そして、残りの大部分の缶液は冷却器8に輸送して冷却器8で冷却した後、該再生塔の下部域3の上方へ供給して強制的に循環させることが好ましい。
【0037】
前記のアルコールの全補給量と循環液中のアルコール循環量との総合計量が、非凝縮ガス中の酸化窒素1モルに対するモル比において下限値より少ない割合の量であると、再生塔の下部域において、酸化窒素と液状のアルコールとの気液接触反応が効果的に均一に行われなくなることがあったり、局部的な反応によって温度コントロールが安定的に行われなくなるので適当ではない。また、前記の総合計量が前記モル比における上限値より多い割合の量であると、未反応アルコールの回収量やそのリサイクル量が多くなって経済的ではないので適当ではない。
【0038】
また、前記の再生塔の底部における缶液中のアルコール濃度が低くなりすぎると、前述の気液接触反応において副反応が起りやすくなって硝酸の副生が盛んになるので適当でなく、また、缶液中のアルコール濃度が高くなりすぎるとやはり副反応が盛んになるので適当でない。
【0039】
前記再生塔1の上部域2へ補給されるアルコール液は−15〜30℃、特に−10〜20℃の温度範囲に冷却されていることが好ましく、そのアルコール液は再生塔1の上部域2の上部付近へ供給して、該再生塔の上部域2から下部域3へ流下させることが好ましい。そのアルコール液の補給量は、再生塔の下部域へ供給される非凝縮ガス中の酸化窒素1モル当たり0.2〜3モル、特に0.3〜2モル程度の割合となるようなアルコール量であることが好ましい。
また、本発明では、前記のアルコールが、液状又は蒸気状で、非凝縮ガスに同伴されるか又は別の供給ラインから再生塔の下部域へ供給されてもよい。
【0040】
本発明において、前記のアルコールの全補給量は、再生塔の外部からこの再生塔内に新たに補給される液状及び蒸気状のアルコールの全ての合計量である。例えば、アルコールの全補給量は、図1では、再生塔1の上部域2に液状で補給されるメタノール液、再生塔1の下部域3の下部から非凝縮ガスに同伴して蒸気状で供給される同伴アルコールなどの合計量である。但し、該再生塔の缶液循環ライン9経由で該再生塔の下部域の上方に戻ってくる缶液(循環液)に含有されているアルコールは前記のアルコールの全補給量に含めない。
アルコールの全補給量は、非凝縮ガス中の酸化窒素1モルに対して0.5〜6モル、特に1〜5モル程度の割合となるようなアルコール量であることが好ましい。
【0041】
本発明において、再生塔の下部域へ供給される非凝縮ガスの中には、一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素などから選ぶことができる酸化窒素が約3〜40容量%、特に5〜20容量%の割合で配合されていることが好ましい。そして、しかも、その酸化窒素は、酸化窒素の全量に対して、一酸化窒素が50モル%以上、特に60〜100モル%の割合で含有されているものであると共に、分子状酸素がその酸化窒素の1モルに対して0.02〜0.25モルの割合で配合されていることが好ましい。
また、非凝縮ガスは、窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスで希釈されていてもよく、その際に、不活性ガスの含有率は、非凝縮ガスに対して10〜90容量%、特に20〜80容量%程度であればよい。更に、非凝縮ガスはアルコール蒸気を2〜40容量%の割合で含有して同伴していてもよい。
【0042】
本発明において、酸化窒素とアルコールとの気液接触反応(再生反応)は、0〜100℃、更に5〜80℃、特に10〜60℃の反応温度にできるだけ維持して行うことが好ましい。
【0043】
本発明で使用される再生塔は、図1に示すように、該再生塔内で生成した、再生反応ガス中の副生水を除去するためなどの吸収及び精留が主として行われる『上部域2』と、非凝縮ガス中の酸化窒素と液状のアルコールとの気液接触反応が主として行われる『下部域3』とを有しているものであればよい。
【0044】
前記の再生塔の上部域2は、アルコール液を流下させることができると共に、その流下しているアルコール液を精留する機能を有していればどのような形式であってもよい。例えば、シーブトレイ、バルブトレイなどの棚段を複数有する多段蒸留塔形式、或いは、ラシヒリング、ポールリングなどの充填材が充填されている充填塔形式の構造を有していてもよい。
【0045】
また、前記の再生塔の下部域3は、前述の酸化窒素とアルコール液との気液接触反応を効果的に行うことができればどのような形式であってもよい。例えば、前述の上部域の場合と同様の多段蒸留塔形式、或いは充填塔形式の構造を有するものを挙げることができる。
即ち、本発明において使用する再生塔としては、例えば、図1に示すように、再生塔1の上部域2が多段蒸留塔形式又は充填塔形式の構造をしており、そして、下部域3が充填塔の構造を有していて、更に、上部域2と下部域3とが必要であれば適当な間隔をおいて一体に連続して形成されている構造であるものが挙げられる。
【0046】
本発明で使用される再生塔は、図1に示すように、酸化窒素を含有する非凝縮ガスを供給するための『非凝縮ガス供給ライン5』が該再生塔の下部域3において缶液(循環液)が流下している区域の下方に連結されていて、また、アルコール液を補給するための『アルコール液補給ライン6』が該再生塔の上部域2の上部に連結されていることが好ましい。
【0047】
また、本発明で使用される再生塔は、図1に示すように、その底部4から缶液を抜き出して、液輸送手段7(例えば、液送用ポンプなど)と冷却器8とを経由して、その下部域3の上方に供給するための『缶液循環ライン9』が連結されていることが好ましい。そして、缶液循環ライン9には、液輸送手段7の直後から分岐している『缶液排出ライン10』が連結されていてもよい。この缶液の排出は、該再生塔の底部の缶液のレベルが一定になるように、該再生塔の底部から抜出された缶液の一部を該排出ラインから抜き出すことによって行われる。残りの缶液は前記のように冷却されて循環される。
【0048】
更に、該再生塔は、図1に示すように、その塔頂部11から目的の亜硝酸アルキルを含有する再生反応ガスを取出すための『再生反応ガス取出しライン12』が接続されており、また、必要であれば、再生反応ガス取出しライン12から再生反応ガスの一部をパージするための『パージライン13』が設けられていてもよい。
【0049】
【実施例】
図2に示すような製造プロセス(製造装置)を用いて、本発明の製法を実施した実施例などを以下に示す。なお、生成物等の分析はガスクロマトグラフィーにより行なった。
【0050】
実施例1〔第1工程〕 内径27mm、高さ500mmのチューブ6本より成るステンレス製多管式反応器のチューブ内に、特開平3−141243号公報記載の、塩化パラジウムと塩化第二銅が活性炭(白鷺:武田製)に担持された固体触媒(4mmφ×6mm)1.71L(リットル;以下、同様)を充填した。
この触媒層に、上部から、ダイアフラム式ガス循環ポンプで、4.02kg/cm(ゲージ圧)に加圧した原料ガス(組成:一酸化炭素20.0容量%、亜硝酸メチル10.0容量%、一酸化窒素4.0容量%、メタノール7.0容量%、二酸化炭素1.0容量%、窒素58.0容量%)を熱交換器で約90℃に予熱した後、6.80Nm/hrの流量で供給し、反応器のシェル側に熱水を通すことにより触媒層の温度を110〜120℃に保持して反応(炭酸ジメチルの製造)を行なった。
【0051】
〔第2工程〕 反応器の触媒層から抜き出された反応ガス(全量)を、内径100mm、高さ1300mmのラシヒリング充填式気液接触凝縮器(吸収塔)の塔底に導き、塔頂からメタノール0.18L/hrを、また塔頂から200mm下の所からシュウ酸ジメチル2.50kg/hrを導入しながら、塔頂温度35℃、塔底温度55℃で両者を向流接触させた。
吸収塔の塔底から、吸収液(組成:シュウ酸ジメチル78.1重量%、炭酸ジメチル16.8重量%、ギ酸メチル0.1重量%、メタノール4.2重量%)を3.28kg/hrの流量で得た。一方、吸収塔の塔頂からは、非凝縮ガス(組成:一酸化炭素18.1容量%、亜硝酸メチル5.7容量%、一酸化窒素8.6容量%、メタノール7.2容量%、二酸化炭素1.0容量%、窒素59.4容量%)を6.64Nm3/hrの流量で得た。
【0052】
〔第3工程〕 内径158mm、高さ1400mm(塔頂部から50mm下より10mmラシヒリング充填層800mm(上部域に相当する)と、更にこの充填層より30mm下から10mmラシヒリング充填層400mm(下部域に相当する)を有する)の充填塔(図1における再生塔1を参照)の非凝縮ガス供給ライン5(下部ノズル▲1▼:再生塔1の下部域3の下部へ連結されている)より、第2工程で得られた非凝縮ガスを6.64Nm3/hr(圧力3.6kg/cm2G)の流量で供給すると共に、酸素供給ライン14(ノズル▲2▼)より分子状酸素を84NL/hrで供給し、更に酸化窒素補給ライン15より一酸化窒素を10.0NL/hrで供給した。
また、該充填塔(再生塔)の塔頂部のアルコール液補給ライン6(ノズル▲3▼)からは、20℃のメタノール液を0.8L/hrで補給した。該充填塔の底部4(ノズル▲4▼)からは缶液を抜き出し、付属のポンプ7によって、クーラー(熱交換型の冷却器)8を経由して、360L/hrの流量で缶液循環ライン9(ノズル▲6▼)より該充填塔内(下部域3の充填層の上部)に返して循環させた。
【0053】
この場合に、該充填塔での缶液の循環量は該充填塔(再生塔)へ補給されたメタノールの全補給量に対して120重量倍となるような量であり、クーラー8は該充填塔の缶液の温度が40℃となるように、ジャケット側に5℃の冷却水を通水して調整した。また、メタノールの全補給量と循環液中のメタノール量との総合計量は、該充填塔(再生塔)に供給された一酸化窒素1モルに対して141モルとなるような量であった。
【0054】
この状態で安定した時点で該充填塔の各部の組成を測定したところ、該充填塔の塔頂部の再生反応ガス取出しライン12(塔頂▲7▼)から、6.64Nm3/hrの流量で抜き出した再生反応ガスの組成は、一酸化炭素18.1容量%、亜硝酸メチル10.2容量%、一酸化窒素4.1容量%、メタノール7.2容量%、二酸化炭素1.0容量%、窒素59.4容量%であった。その再生反応ガス中の水分は0.05容量%以下であった。
また、該充填塔の缶液の組成は、メタノール54.7重量%、水38.1重量%、硝酸6.7重量%、亜硝酸メチル0.5重量%であり、その缶液の一部を循環用ポンプ7の吐出口の缶液排出ライン10(ノズル▲5▼)から0.3L/hrの流量で抜き出した。
この実施例1においては、該充填塔(再生塔)へ供給された一酸化窒素1モルに対して硝酸0.013モルが生成していた。なお、硝酸は、この再生反応で消費された一酸化窒素1モルに対して2.5モル%の割合で生成していた。
【0055】
〔第4工程〕 第2工程の吸収塔から抜き出された吸収液を3.28kg/hrの流量で、内径50mm、高さ3mの蒸留塔(充填塔)に導入し、塔頂温度を64.5℃、塔底温度を166℃として蒸留操作を行って、蒸留塔の塔頂から、メタノール97.0重量%、炭酸ジメチル0.7重量%、ギ酸メチル2.3重量%の組成の留出液を0.14kg/hrの流量で分離し、塔底からは、シュウ酸ジメチル82.4重量%、炭酸ジメチル17.5重量%の組成の液を3.14kg/hrの流量で得た。そして、この塔底からの液を同様の蒸留塔で蒸留操作して、塔頂から99.9重量%の純度の炭酸ジメチルを0.55kg/hrの流量で得た。
【0056】
実施例2
第3工程において、充填塔(再生塔)の塔頂部のアルコール液補給ライン6(ノズル▲3▼)から20℃のメタノール液を1.35L/hrで補給すると共に、酸素供給ライン14(ノズル▲2▼)から分子状酸素を146NL/hrで、酸化窒素補給ライン15から一酸化窒素を15NL/hrで供給し、そして、第2工程において、吸収塔にメタノールを0.35NL/hr、シュウ酸ジメチルを4.5kg/hrで供給し、第1工程において、反応温度を10℃上げたほかは、実施例1と同様にして反応を行った。
なお、該充填塔での缶液の循環量は該充填塔(再生塔)へ補給されたメタノールの全補給量に対して71重量倍の量であった。また、メタノールの全補給量と循環液中のメタノール量との総合計量は、該充填塔(再生塔)に供給された一酸化窒素1モルに対して22.0モルとなるような量であった。
【0057】
この状態で安定した時点で該充填塔の各部の組成を測定したところ、該充填塔の塔頂部の再生反応ガス取出しライン12(塔頂▲7▼)から、6.51Nm3/hrの流量で抜き出した再生反応ガスの組成は、一酸化炭素16.4容量%、亜硝酸メチル10.4容量%、一酸化窒素4.2容量%、メタノール7.3容量%、二酸化炭素1.1容量%、窒素60.6容量%であった。その再生反応ガス中の水分は0.05容量%以下であった。
また、該充填塔の缶液の組成は、メタノール33.0重量%、水58.8重量%、硝酸7.9重量%、亜硝酸メチル0.3重量%であり、その缶液の一部を循環用ポンプ7の吐出口の缶液排出ライン10(ノズル▲5▼)から0.39L/hrの流量で抜き出した。
この実施例2においては、該充填塔(再生塔)へ供給された一酸化窒素1モルに対して硝酸0.012モルが生成していた。なお、硝酸は、この再生反応で消費された一酸化窒素1モルに対して1.8モル%の割合で生成していた。
実施例2における第4工程では、蒸留により純度99.9重量%の炭酸ジメチルを1.0kg/hrの流量で得た。
【0058】
比較例1
第3工程において、充填塔(再生塔)の缶液の循環を途中で全く行わなくしたほかは、実施例2と同様にして反応を行った。
その結果、該充填塔(再生塔)の下部域の温度が急激に上昇して、第3工程の安定な反応操作ができなくなったので、非凝縮ガスの供給を停止した。
【0059】
比較例2
第3工程において、充填塔(再生塔)の塔頂部のアルコール液補給ライン6(ノズル▲3▼)から20℃のメタノール液を1.0L/hrで補給したほかは、実施例2と同様にして反応を行った。
なお、該充填塔の缶液の循環量は該充填塔(再生塔)へ補給されたメタノールの全補給量に対して94重量倍となるような量であった。また、メタノールの全補給量と循環液中のメタノール量との総合計量は、該充填塔(再生塔)に供給された一酸化窒素1モルに対して7.9モルとなるような量であった。
【0060】
この状態で安定した時点で該充填塔の各部の組成を測定したところ、該充填塔の塔頂部の再生反応ガス取出しライン12(塔頂▲7▼)から6.51Nm3/hrの流量で抜き出した再生反応ガスの組成は、一酸化炭素16.4容量%、亜硝酸メチル10.4容量%、一酸化窒素4.2容量%、メタノール7.3容量%、二酸化炭素1.1容量%、窒素60.6容量%であった。その再生反応ガス中の水分は0.05容量%以下であった。
また、該充填塔の缶液の組成は、メタノール12.8重量%、水68.5重量%、硝酸18.7重量%、亜硝酸メチル0.3重量%であり、その缶液の一部を循環用ポンプ7の吐出口の缶液排出ライン10(ノズル▲5▼)から0.31L/hrの流量で抜き出した。
この比較例2においては、該充填塔(再生塔)へ供給された一酸化窒素1モルに対して硝酸0.024モルが生成していた。なお、硝酸は、この再生反応で消費された一酸化窒素1モルに対して3.6モル%の割合で生成していた。その結果、第3工程における一酸化窒素の補給量は0.022Nm3/hrであった。比較例2における第4工程では、蒸留により純度99.9重量%の炭酸ジメチルを1.0kg/hrの流量で得た。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを反応させて、炭酸ジアルキルを生成させ、第2工程で、その反応ガスを吸収塔で吸収液と接触させて、前記生成物を凝縮・溶解させて凝縮液を得ると共に、第3工程で、第2工程で得られた非凝縮ガス(一酸化窒素を含有する)を分子状酸素などと共に再生塔に供給して、亜硝酸アルキルを再生し、その亜硝酸アルキルを含有する再生反応ガスを第1工程の反応に再使用し、第4工程では、前記の凝縮液から蒸留により炭酸ジアルキルを得るという、炭酸ジアルキルの製法であって、その改良法である。
本発明では、特に、「再生塔の底部に溜まっている缶液(アルコールを約15〜60重量%程度含有しているアルコール水溶液である)を抜き出して冷却器で冷却し、その冷却された缶液を該再生塔の下部域の上方へ戻して、該再生塔の下部域を流下させるという『缶液の冷却・循環』を、前述のa)〜c)項で示した特定の条件下で行うこと」により、該再生塔の下部域で前述の反応により激しく発生する反応熱を効果的に確実に除去することができ、しかも前述の亜硝酸アルキルを生成させる反応(再生反応)を適正な状態で行うことができ、同時にこの再生反応で副生する硝酸も低いレベルとすることができるので、炭酸ジアルキルを安定して製造できるという優れた効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法における亜硝酸アルキルを製造する工程を例示する概略のプロセス図である。
【図2】本発明の炭酸ジアルキル製造工程を例示するプロセス図である。
【符号の説明】
1:再生塔
2:上部域
3:下部域
4:底部
5:非凝縮ガス供給ライン(又は抜き出しライン)
6:アルコール液補給ライン
7:液輸送手段
8:冷却器
9:缶液循環ライン
10:缶液排出ライン
11:塔頂部
12:再生反応ガス取出しライン
13:排ガスパージライン
14:酸素供給ライン
15:酸化窒素補給ライン
20:主反応器
21:吸収塔
22:COガス供給ライン
23:反応ガス抜き出しライン
24:吸収液供給ライン
25:凝縮液抜き出しライン

Claims (5)

  1. 第1工程で、一酸化炭素と亜硝酸アルキルを反応器へ供給して触媒存在下で反応させて、炭酸ジアルキルを生成させ、
    第2工程で、第1工程の反応ガスを吸収塔へ供給してシュウ酸ジアルキルの吸収液と接触させて、前記生成物を含む凝縮液を得て第4工程へ供給し、一方、吸収塔の上部から酸化窒素を含有する非凝縮ガスを抜き出し、
    第3工程で、その非凝縮ガスを再生塔の下部域へ供給しつつ、再生塔の上部域の最上部−15〜30℃の温度範囲に冷却されているアルコール液を補給して再生塔内を上部域から下部域に流下させると共に、該再生塔の缶液をその底部から抜き出してその底部における缶液の温度より1〜30℃程度低い温度であって0〜60℃の温度にまで冷却した後、冷却された缶液を該再生塔の下部域の上方へ供給して該缶液のみを強制的に冷却及び循環させることにより、冷却された缶液を該再生塔の下部域において流下させながら、酸化窒素とアルコールを反応温度を0〜100℃に維持して反応させて亜硝酸アルキルを再生し、次いでその再生された亜硝酸アルキルを第1工程の反応器へ供給して前記の反応を行わせ、
    最後に、第4工程で、第2工程で得られた凝縮液を蒸留精製して炭酸ジアルキルを得るという方法であって、
    更に、前記の第3工程における再生塔では、
    a)再生塔の缶液の循環量を、該再生塔に補給されるアルコールの全補給量に対して50〜300重量倍とすると共に、
    b)前記のアルコールの全補給量と、前述のように冷却及び循環されている缶液中のアルコール量との総合計量を、前記の非凝縮ガス中の酸化窒素1モルに対して20〜150モルとなし、
    c)更に、該再生塔の底部における缶液中のアルコールの濃度を15〜60重量%に維持することを特徴とする炭酸ジアルキルの製法。
  2. 第3工程において、再生塔の缶液をその底部から抜き出して、液輸送手段を経由させて冷却器で冷却した後、該再生塔の下部域の上方へ供給し、その冷却された缶液を該再生塔の下部域で流下させることにより、再生塔の缶液を強制的に冷却及び循環させる、請求項1記載の炭酸ジアルキルの製法。
  3. 第3工程において、再生塔の底部から抜き出した缶液の一部を系外へ排出し、残りの大部分の缶液を冷却器で冷却した後、その冷却された缶液を該再生塔の下部域の上方へ供給することにより、再生塔の缶液を強制的に冷却及び循環させる、請求項1記載の炭酸ジアルキルの製法。
  4. 第3工程において、再生塔の缶液の循環量を該再生塔に補給されるアルコールの全補給量に対して50〜200重量倍とする、請求項1に記載の炭酸ジアルキルの製法。
  5. 第3工程において、非凝縮ガス中に、酸化窒素の全量に対して一酸化窒素が50モル%以上の割合である酸化窒素が含有されていると共に、分子状酸素がその酸化窒素の1モルに対して0.02〜0.25モルの割合で配合されている、請求項1記載の炭酸ジアルキルの製法。
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