JP3779842B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動弁装置、とりわけ駆動カムから伝達機構を介して所定角度範囲で揺動する揺動カムによって機関弁をフォロアを介して開閉作動させる内燃機関の動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種従来の内燃機関の動弁装置としては、SAE970338(General,Motors Corp)に記載されたものが知られている。
【0003】
図12に基づいて概略を説明すれば、機関のシリンダヘッド上に前後方向に沿って配置されて、機関のクランク軸によって回転駆動される駆動軸1と、該駆動軸1に揺動自在に支持されて、例えば吸気弁2のバルブリフター3の上面3aに摺接して該吸気弁2を図外のバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる揺動カム4と、駆動軸1と揺動カム4との間に設けられて、駆動軸1の回転力をリフト力に変換して揺動カム4に伝達する伝達機構5とを備えている。この伝達機構5は、駆動軸1の外周に固定された第1平歯車6と、該第1平歯車6の上方位置に配置されたクランクシャフト7と、該クランクシャフト7に固定されて第1平歯車6に噛合する第2平歯車8と、クランクシャフト7と揺動カム4とを連結ピン9を介して連係する連結リンク10とから構成されている。
【0004】
そして、駆動軸1及び第1平歯車6の一方向(矢印)の回転に伴い第2平歯車8及びクランクシャフト7が回転して連結リンク10により揺動カム4を矢印方向へ揺動させる。これによって、揺動カム4は、下面のカム面4aがバルブリフター3の上面3aに摺接しながら吸気弁2を図外のバルブスプリングのばね力に抗して押圧あるいは押圧を解除して開閉作動させるようになっている。したがって、バルブリフト特性は、比較的大きなリフト特性が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の動弁装置にあっては、前記連結ピン9が挿通されるピン孔4bを揺動カム4の一端部上端側、つまり、カム面4aから上方へ十分に離れた上端側に形成されたピンボス部4cに形成してある。このため、かかるピンボス部4cの存在により揺動カム4全体の質量が大きくなり、したがって、揺動カム4のIp(慣性モーメント)が大きくなってしまう。この結果、動弁系の等価慣性質量が大きくなって、高回転域における装置の各摺動部位の作動荷重が大きくなり、該各摺動部位の焼き付きが発生し易くなると共に、高回転域における装置の各構成部品間で打音の発生し易い、といった技術的課題を招来している。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来の揺動カム型の動弁装置の実情に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、機関のクランク軸によって回転駆動し、外周に駆動カムが固定された駆動軸と、伝達機構によって前記駆動カムと機械的に連係され、駆動カムの回転に応じて所定角度範囲内で軸周りに揺動し、カム面がフォロワに摺接して機関弁を開閉作動させる揺動カムとを備えた動弁装置において、前記揺動カムのカム面の少なくとも零リフト領域部位を薄肉に切欠形成したことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、機関のクランク軸によって回転駆動し、外周に駆動カムが固定された駆動軸と、伝達機構によって前記駆動カムと機械的に連係され、駆動カムの回転に応じて所定角度範囲内で軸周りに揺動し、カム面がフォロワに摺接して機関弁を開閉作動させる揺動カムとを備えた動弁装置において、前記揺動カムの先端部に、前記伝達機構を連結ピンを介して回転自在に連結する共に、前記機関弁の作動中の最大正加速度となる領域における前記フォロアから揺動カムのカム面に作用する押圧点の延長線上に前記連結ピンを配置したことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記揺動カムの先端部に形成された前記連結ピンのピン孔を、前記カム面とフォロアとの摺接面寄りに形成したことを特徴としている
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記揺動カムのカム面と反対側の所定部位を切欠形成したことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記揺動カムの前記切欠部位に、該切欠部位の長手方向に沿って補強リブを立設したことを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記揺動カムのカム面を、機関弁の零リフト域から高リフトの全領域において前記フォロア上面に摺接可能な長さに設定したことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の動弁装置の第1実施形態を図面に基づいて詳述する。この実施形態の動弁装置は、1気筒あたり2つの吸気弁を備えかつ該吸気弁のバルブリフトを機関運転状態に応じて可変にする可変機構を備えたものを示している。
【0013】
すなわち、この動弁装置は、図1〜図2に示すように、シリンダヘッド11に図外のバルブガイドを介して摺動自在に設けられた一対の吸気弁12,12と、シリンダヘッド11上部の軸受14に回転自在に支持された中空状の駆動軸13と、該駆動軸13に、圧入等により固設された偏心回転カムである2つの駆動カム15,15と、駆動軸13に揺動自在に支持されて、各吸気弁12,12の上端部に配設されたフォロワであるバルブリフター16,16の平坦な上面16a,16aに摺接して各吸気弁12,12を開作動させる揺動カム17,17と、駆動カム15,15と揺動カム17,17との間に連係されて、駆動カム15,15の回転力を揺動カム17,17の揺動力として伝達する伝達機構18,18と、該伝達機構18,18の作動位置を可変にする可変機構19とを備えている。
【0014】
前記駆動軸13は、機関前後方向に沿って配置されていると共に、一端部に設けられた図外の従動スプロケットや該従動スプロケットに巻装されたタイミングチェーン等を介して機関のクランク軸から回転力が伝達されており、この回転方向は図1中反時計方向に設定されている。
【0015】
前記軸受14は、シリンダヘッド11の上端部に設けられて駆動軸13の上部を支持するメインブラケット14aと、該メインブラケット14aの上端部に設けられて後述する制御軸32を回転自在に支持するサブブラケット14bとを有し、両ブラケット14a,14bが一対のボルト14c,14cによって上方から共締め固定されている。
【0016】
前記各駆動カム15は、それぞれほぼリング状を呈し、小径なカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられたフランジ部15bとからなり、内部軸方向に駆動軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Xが駆動軸13の軸心Yから径方向へ所定量だけオフセットしている。また、この各駆動カム15,15は、駆動軸13に対し前記両バルブリフター16,16に干渉しない両外側に駆動軸挿通孔15c,15cを介して圧入固定されていると共に、両方のカム本体15a,15aの外周面15d,15dが同一のカムプロフィールに形成されている。
【0017】
前記揺動カム17は、図1及び図4に示すように横雨滴状を呈し、円環状の基端部20に駆動軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔20aが貫通形成されていると共に、先端部のカムノーズ部21にピン孔21aが貫通形成されている。また、この揺動カム17は、ピン孔21aと反対側の上端部17a(図4の斜線部)が、横方向から直線状に切欠形成されている。すなわち、この上端部17aは、その切欠量が当初形状の約4分の1程度の大きさになっており、したがって、全体の質量が切欠された上端部17aの分だけ小さくなるように構成されている。
【0018】
また、前記ピン孔21aは、図4に示すように、その形成位置が後述するカム面22に近いカムノーズ部21下端部に設定されて、その内周面21aからカム面22までの肉厚幅S1が比較的小さく設定されている一方、該内周面21aから上端面17bまでの肉厚幅S2は、前記肉厚幅S1よりも十分に大きく設定されている。さらに、このピン孔21aは、図6に示すように吸気弁12の作動中における最大正加速度となる時点で、バルブリフター16から揺動カム17のカム面22に作用する押圧点の延長線である法線Z上が通る位置に形成されている。
【0019】
また、揺動カム17の下面には、前述したカム面22が形成され、このカム面22は、基端部20側の基円面22aと、該基円面22aからカムノーズ部21側に円弧状に延びるランプ面22bと、該ランプ面22bの先端側に有する正加速度面22cとさらにその先端側に有する負加速度面22dとが形成されており、基円面22aとランプ面22bと正加速度面22c及び負加速度22dとが、揺動カム17の揺動位置に応じて各バルブリフター16の上面16a所定位置に当接するようになっている。つまり、このカム面22は、吸気弁12の零リフト域から高リフト域の全領域においてバルブリフター16の上面16aに摺接可能な長さに設定されている。
【0020】
そして、揺動カム17のカム面22によるカムリフトの加速度特性は、図4に示すように基円面22aにおける接触開始点K2からリフト開始点Ksに渡った零リフト区間θ1、リフト開始点Ksからとランプ面22bに渡った比較的速度の遅いランプ速度区間θ2と、該ランプ区間θ2からカムノーズ部21方向へ連続してカムノーズ部21にかけての所定範囲22cに設定された正加速度区間θ3と、該正加速度区間θ3からカムノーズ部21方向へさらに連続して所定範囲22dに設定された負加速度区間θ4の4つの加速度特性を備えている。
【0021】
また、前記負加速度区間θ4は、カムノーズ部21における最大リフト点K1を包含する範囲まで継続して設定されており、前記接触開始点K2から負加速度区間θ4内の最大リフト点K1までがカムリフトに供されるカム面22の使用範囲に設定されている。さらに、負加速度区間θ4の最大リフト点K1を越えた領域は、カム面22の不使用範囲に設定されている。
【0022】
前記伝達機構18は、図1に示すように駆動軸13の上方に配置されたロッカアーム23と、該ロッカアーム23の一端部23aと駆動カム15とを連係するリンクアーム24と、ロッカアーム23の他端部23bと揺動カム17とを連係するリンクロッド25とを備えている。
【0023】
前記各ロッカアーム23は、図3に示すように平面からみてほぼクランク状に折曲形成され、中央に有する筒状基部23cが後述する制御カム33に回転自在に支持されている。また、各基部23cの各外端部に突設された前記一端部23aには、リンクアーム24と相対回転自在に連結するピン26が嵌入されるピン孔23dが貫通形成されている一方、各基部23cの各内端部に夫々突設された前記他端部23bには、各リンクロッド25の一端部25aと相対回転自在に連結するピン27が嵌入されるピン孔23eが形成されている。
【0024】
また、前記リンクアーム24は、比較的大径な円環状の基部24aと、該基部24aの外周面所定位置に突設された突出端24bとを備え、基部24aの中央位置には、前記駆動カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合孔24cが形成されている一方、突出端24bには、前記ピン26が回転自在に挿通するピン孔24dが貫通形成されている。
【0025】
さらに、前記リンクロッド25は、図1にも示すように所定長さのほぼく字形状に折曲形成され、円形状の両端部25a,25bには前記ロッカアーム23の他端部23bと揺動カム17の端部21の各ピン孔21a,23eに嵌入した各ピン27,28の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔25c,25dが貫通形成されている。
【0026】
尚、各ピン26,27,28の一端部には、リンクアーム24やリンクロッド25の軸方向の移動を規制するスナップリング29,30,31,が設けられている。
【0027】
前記可変機構19は、駆動軸13の上方位置に同じ軸受14に回転自在に支持された制御軸32と、該制御軸32の外周に固定されてロッカアーム23の揺動支点となる制御カム33とを備えている。
【0028】
前記各制御カム33は、夫々円筒状を呈し、図1に示すように軸心P1位置が制御軸32の軸心P2からα分だけ偏倚している。
【0029】
前記制御軸32は、駆動軸13と並行に延設されて、一端部に設けられた図外の電磁アクチュエータによって所定回転角度範囲内で回転するように制御されており、前記電磁アクチュエータは、機関の運転状態を検出する図外のコントローラからの制御信号によって駆動するようになっている。コントローラは、クランク角センサやエアーフローメータ,水温センサ等の各種のセンサからの検出信号に基づいて現在の機関運転状態を演算等により検出して、前記電磁アクチュエータに制御信号を出力している。
【0030】
以下、本実施形態の作用を説明すれば、まず、機関高回転高負荷時には、機関運転を検出したコントローラからの制御信号によって、電磁アクチュエータが一方向に回転駆動されて、制御軸32が制御カム33を図1及び図6及び図7に示す位置に回転させて厚肉部33aを下方向へ回動させる。このため、ロッカアーム23は、全体が駆動軸13方向(下方向)へ移動して他端部23bが揺動カム17のカムノーズ部21をリンクロッド25を介して下方へ押圧して該揺動カム17全体を所定量だけ図示の位置に回動させる。
【0031】
ここで、図1は揺動カム17が跳ね上がった零リフト状態を示し、図6は揺動カム17の揺動中における吸気弁12及びバルブリフター16の最大正加速度の位置を示し、また図7は揺動カム17がバルブリフター16を介して吸気弁16を最大に押し下げた最大開弁状態を示している。
【0032】
そして、この制御カム33の前記回動位置における揺動カム17の揺動作用、つまり、駆動カム13と伝達機構18による揺動カム17のカムリフト作用を説明すると、まず、図1に示すように揺動カム17の基円面22aがバルブリフター16の上面16aに位置している場合は、零リフト区間であって、吸気弁12は閉作動状態にある。
【0033】
この状態から駆動カム13の回動駆動に伴い伝達機構18を介して揺動カム17が時計方向へ揺動することによってカムリフトが開始されて、ランプ速度区間θ2となり、さらに揺動カム17が時計方向へ揺動すると、正加速度区間θ3が開始され、揺動カム17がさらに時計方向へ揺動して図6に示す位置になると吸気弁12及びバルブリフター16が最大正加速度となる。この状態からさらに揺動して図7に示す位置になった段階では、負加速度区間θ4内で最大リフト点K1になる。
【0034】
よって、かかる高回転高負荷域では、カムリフト特性が大きくなり、バルブリフト量も大きくなると共に、各吸気弁12の開時期が早くなると共に、閉時期が遅くなる。この結果、吸気充填効率が向上し、十分な出力が確保できる。
【0035】
そして、揺動カム17は、ピン孔21aがカム面22に近いカムノーズ部21の下端部に形成されているため、ピン孔用のボス部を設ける必要がなく、しかも、前述のように上端部17aが切り欠かれているため、全体の質量が小さくなっている。したがって、揺動カム17の揺動中における等価慣性質量Ipを大幅に低減できる。
【0036】
すなわち、まず、例えば揺動カム17が図6から図7に示す位置に揺動変化した場合、つまり揺動カム17が吸気弁1を最大限に押し下げた状態を図5に基づいて考察する。ここで、図5の横軸は駆動軸13の回転角、縦軸は吸気弁12のリフトと吸気弁12の加速度、及び揺動カム17の揺動角θ、揺動カムの揺動角加速度(dω/dt=d2θ/dt2)をそれぞれ示している。ここで、吸気弁加速度は、前述のカムリフト加速度と、揺動カムの揺動角加速度によって決定される。
【0037】
揺動カム17が、図6から図7に示す位置変化すると、該揺動カム17の揺動角加速度dω/dtは大きな負の値になり、したがって、慣性質量Ipを有する揺動カム17は、図中時計方向への回転中に連結ピン28によって急制動力が付与される形になる。
このとき、連結ピン28が発生させなければならない揺動カム17の負の慣性トルクTは、ほぼIp×(dω/dt)となっており、この慣性トルクTによって、両者21a、28の内外周面間が衝突して打音が発生すると共に、ピン孔21aに連結ピン28から過大な荷重F1が作用する。
【0038】
しかし、本実施形態によれば、前述のように上端部17aの切欠により等価慣性質量Ipが大幅に低減されているため、慣性トルクTを低減できることから、図6から図7に示す位置に変化したときにおける連結ピン28とピン孔21a間の衝突打音と過大荷重F1を十分に低減することができ、各摺動部の焼き付きなどを防止できる。
【0039】
なお、揺動カム17には、バルブリフター16から該バルブリフター16と吸気弁12の慣性力とバルブスプリングのばね力も作用するが、図5から明かなように、吸気弁12とバルブリフター16の加速度が負の領域であるため、バルブスプリングのばね力が吸気弁12とバルブリフター16の慣性力に相殺されて荷重F2は小さな値になっている。したがって、前記慣性トルクTを荷重F2によって発生できる分は小さく、大部分を前記F1で発生させている。
【0040】
また、揺動カム17の強度について考察すると、該揺動カム17は、連結ピン28によって図7に示す荷重F1を受けているが、揺動カム17におけるカム面22とバルブリフター16上面16aとの摺接面と反対側の肉厚幅S2は大きく設定されているため、強度上の問題は発生しない。
【0041】
一方、前述のように、ピン21aの内周面とカム面22との間の肉厚幅S1は、揺動カム17の慣性質量Ipを低減するために可及的に小さく設定されているため、カム面22にバルブリフター16から大きな荷重が発生した際に、該小肉厚幅S1の部位の応力が高くなって破損などが発生するとも考えられる。そして、最も大きな荷重が作用するのは図6に示す吸気弁12及びバルブリフター16の最大正加速度時であり、このとき該バルブリフター16からの荷重F2′、すなわちバルブスプリングの荷重に加えて吸気弁12とバルブリフター16の正加速度に起因する大きな慣性力を加えた荷重が作用している。
【0042】
しかし、図6に示すようにF2′の荷重方向、つまり揺動カム17とバルブリフター16の押圧点の延長線である法線Zが連結ピン28の内部を通るため、肉厚幅S1の部位は荷重F2′と連結ピン28の荷重F1′に挟み込まれた形になって圧縮応力が作用するだけで問題となる大きな引っ張り応力は発生しない。したがって、小さな肉厚であるにも拘わらず、強度上の問題が発生することはない。
【0043】
また、かかる高回転高負荷域では、揺動カム17全体のバルブリフター16上面16aに対するカム面22の当接位置が、図7に示すように右方向位置に移動するため、駆動カム15が回転してロッカアーム23の一端部23aをリンクアーム24を介して押し上げると、バルブリフター16に対するそのリフト量L2は同図に示すように大きくなる。
【0044】
一方、機関がアイドリングに移行した場合は、コントローラからの制御信号によって電磁アクチュエータが他方に回転駆動される。このため、制御カム33は、図8に示すように軸心P1が制御軸32の軸心P2から左上方の回動位置に保持され、厚肉部33aが駆動軸13から上方向に離間回動する。このため、ロッカアーム23は、全体が駆動軸13に対して上方向へ移動し、このため、揺動カム17は、リンクロッド25を介して端部23が強制的に若干引き上げられて全体が左方向へ回動する。
【0045】
したがって、駆動カム15が回転してリンクアーム24を介してロッカアーム23の一端部23aを押し上げると、そのリフト量がリンクロッド25を介して揺動カム17及びバルブリフター16に伝達されるが、そのリフト量は小さくなり、吸気のガス流動が強化され、燃焼が改善されアイドル燃費が向上する。
【0046】
また、揺動カム17は、カム面22がこの低リフト作動域においてもバルブリフター16の上面16aとの接触を確保するようなカムプロフィールに形成されている。図8は揺動カムが最も跳ね上がって位置を示すが、K2点で接触が確保されている。そのため、バルブリフター16の異常な挙動が発生した場合にも、バルブリフター16の該異常挙動を制止させることが可能になる。この結果、動弁装置の常時安定かつ円滑な動作が得られる。
【0047】
また、この可変機構19による前記カムリフト制御は、前記の運転状態だけではなく、連続的な運転状態の変化に応じて自由に可変制御できるため、連続的なリフト特性を得ることができ、機関性能を十分に引き出すことが可能になる。
【0048】
図9〜図11は第2実施形態を示し、揺動カム17の構造をさらに変更したもので、前述のように上端部17aをさらに大きく切欠すると共に、前記零リフト区間θ1とランプ速度区間θ2の両側部17c,17cも切欠してその間の中央部位17dのみを残存させたものである。また、前記切欠上端部17aの長手方向の中央位置に、前端の肉厚部17eと後端側の挿通孔20a孔縁の肉厚部17fを結ぶような補強リブ40を設けたものである。したがって、この補強リブ40の分だけ揺動カム17の質量は大きくなるが、補強リブ40の両側面部が切欠されているため、全体としての質量は小さくなる。すなわち、補強リブ40によって揺動カム17の剛性、つまりカム面22側の接触剛性と挿通孔20a孔縁付近の軸受側剛性を確保しつつ、各切欠部によって揺動カム17全体の質量が一層小さくなる。
【0049】
しかも、カム面22の長さは、前述のようにバルブリフト全域に亙ってバルブリフター16との接触を確保できる長さになっているため、バルブリフター16の異常挙動時にも動弁装置の常時円滑な動作が得られることは、第1実施形態と同様である。
【0050】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば揺動カム17の形状をさらに質量を小さくできる形状に形成してもよい。また、この装置を排気弁側にも適用が可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1記載の発明によれば、揺動カムのカム面の少なくとも零リフト領域部位を薄肉に切欠形成したことによって、揺動カムによりフォロアの異常挙動を抑制しつつ該揺動カムの慣性質量を低減することができる。
【0052】
請求項2記載の発明によれば、連結ピンの特異な配置構成によって、ピン孔とカム面間の部位の薄肉化に伴う強度低下による不都合を回避できる。
【0053】
請求項3記載の発明によれば、ピン孔の特異な配置構成によって、ピン孔用のボス部が不要になるため、揺動カムの慣性質量を大幅に低減できる。したがって、機関高回転域における各摺動部の過大な荷重を低減でき、これによって、該各摺動部の焼き付きが防止できると共に、各構成部品の衝突打音の発生を十分に抑制することが可能になる。
【0054】
請求項4記載の発明によれば、揺動カムの上端部を積極的に切欠したため、揺動カムの慣性質量を一層効果的に低減できる。
【0055】
請求項5記載の発明によれば、揺動カムの慣性質量を大幅に低減しつつ補強リブによって剛性、特に切欠された上端部の剛性を確保することが可能となるため、剛性低下による不都合を回避できる。
【0056】
請求項6記載の発明によれば、機関弁の低リフトから高リフトの全領域において揺動カムのカム面をフォロア上面に摺接させる長さに設定したため、たとえフォロアの異常挙動が発生しても該異常挙動を揺動カムが効果的に抑制する。したがって、動弁系の常時安定かつ円滑な動作を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す図2のA−A線断面図。
【図2】同実施形態の側面図。
【図3】同実施形態の平面図。
【図4】本実施形態に供される揺動カムの正面図。
【図5】本実施形態におけるカムリフト曲線とバルブリフターの加速度などを示す特性図。
【図6】機関高回転高負荷時における本実施形態の作用説明図。
【図7】機関高回転高負荷時における本実施形態の作用説明図。
【図8】機関低回転低負荷時における本実施形態の作用説明図。
【図9】第2実施形態に供される揺動カムの正面図。
【図10】図9のB−B線断面図。
【図11】図9のC−C線断面図。
【図12】従来の動弁装置を示す概略図。
【符号の説明】
11…シリンダヘッド
12…吸気弁
13…駆動軸
15…駆動カム
16…バルブリフター(フォロア)
17…揺動カム
18…伝達機構
19…可変機構
20…基部
21…カムノーズ部
21a…ピン孔
22…カム面
23…ロッカアーム
23a,23b…端部
24…リンクアーム
25…リンクロッド
28…連結ピン

Claims (6)

  1. 機関のクランク軸によって回転駆動し、外周に駆動カムが固定された駆動軸と、
    伝達機構によって前記駆動カムと機械的に連係され、駆動カムの回転に応じて所定角度範囲内で軸周りに揺動し、カム面がフォロワに摺接して機関弁を開閉作動させる揺動カムとを備えた動弁装置において、
    前記揺動カムのカム面の少なくとも零リフト領域部位を薄肉に切欠形成したことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  2. 機関のクランク軸によって回転駆動し、外周に駆動カムが固定された駆動軸と、
    伝達機構によって前記駆動カムと機械的に連係され、駆動カムの回転に応じて所定角度範囲内で軸周りに揺動し、カム面がフォロワに摺接して機関弁を開閉作動させる揺動カムとを備えた動弁装置において、
    前記揺動カムの先端部に、前記伝達機構を連結ピンを介して回転自在に連結する共に、前記機関弁の作動中の最大正加速度となる領域における前記フォロアから揺動カムのカム面に作用する押圧点の延長線上に前記連結ピンを配置したことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  3. 前記揺動カムの先端部に形成された前記連結ピンのピン孔を、前記カム面とフォロアとの摺接面寄りに形成したことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の動弁装置。
  4. 前記揺動カムのカム面と反対側の所定部位を切欠形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の動弁装置。
  5. 前記揺動カムの前記切欠部位に、該切欠部位の長手方向に沿って補強リブを立設したことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の動弁装置。
  6. 前記揺動カムのカム面を、機関弁の零リフト域から高リフトの全領域において前記フォロア上面に摺接可能な長さに設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の動弁装置。
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