JP3778811B2 - 液圧制御装置およびブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

液圧制御装置およびブレーキ液圧制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、液圧制御装置およびブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−338113号公報には、(1)供給電流が作動開始電流に達すると非作動状態から作動状態に切り換わる1つ以上の電磁制御弁と、(2)その電磁制御弁への供給電流を予め定められた規則に従って制御することにより、液圧により作動させられるブレーキのブレーキシリンダの液圧を制御する電流制御装置とを含むブレーキ液圧制御装置であって、前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動回数や作動時間に基づいて供給電流を、前記規則に従う大きさから変更する電流変更部を含むブレーキ液圧制御装置が記載されている。
電磁制御弁の作動回数が多くなったり、作動時間が長くなったりすると、例えば、電磁制御弁のスプリングのへたりの程度が進むため、非作動状態から作動状態に切り換えるために必要な電流が少なくなる。したがって、作動回数が多い場合は少ない場合より、規則に従う大きさより供給電流が少なくなるように変更されるのであり、その結果、電磁制御弁への供給電流を適正な量とすることができ、液圧制御精度を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明は、電磁制御弁の実際の作動状態に基づいて供給電流を制御することを課題とする。上記課題は、ブレーキ液圧制御装置を、下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】
以下の各項の態様のうち、(1)項が請求項1に対応し、(2)項が請求項2に対応し、(3)項 (5)〜(8)項がそれぞれ請求項3〜に対応し、(11)項が請求項に対応し、(13)項〜(15)項がそれぞれ請求項9〜11に対応する。また、(19)項が請求項12に対応する。
【0005】
(1)供給電流が作動開始電流に達すると非作動状態から作動状態に切り換わる1つ以上の電磁制御弁と、
その電磁制御弁への供給電流を予め定められた規則に従って制御することにより、液圧により作動する液圧作動装置の液圧を制御する電流制御装置と
を含む液圧制御装置であって、
前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出する検出装置と、その検出装置によって検出された検出値に基づいて、作動間隔が設定時間より短い場合に、前記供給電流を前記規則に従う大きさより小さくする電流変更部とを含むことを特徴とする液圧制御装置。
液圧制御装置は、ブレーキを作動させるブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置に限らず、広く、液圧によって作動する車両用または工作機械用の液圧作動装置(液圧アクチュエータ)の液圧を制御する液圧制御装置に適用することができる。
電流制御装置は、車両のサスペンション装置、内燃駆動装置、駆動力伝達装置に設けられる電磁制御弁の制御に適用することができる。例えば、サスペンション装置に設けられた車高調節装置における車高調節用電磁制御弁、減衰力制御装置における減衰力制御用電磁制御弁等に適用したり、内燃駆動装置に設けられた燃料噴射制御装置における燃料の噴射時期や噴射量等の噴射状態を制御するための電磁制御弁や、給排気弁のバルブタイミング制御用(連続可変バルブタイミング機構用)の電磁制御弁等に適用したり、駆動伝達装置に設けられた自動変速機におけるクラッチ係合用の電磁制御弁、ライン圧制御用の電磁制御弁、ロックアップクラッチ用の電磁制御弁等に適用したりすることができる。
なお、本項に記載の液圧制御装置には、以下の (2) 項ないし (23) 項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(2)供給電流が作動開始電流に達すると非作動状態から作動状態に切り換わる1つ以上の電磁制御弁と、
その電磁制御弁への供給電流を予め定められた規則に従って制御することにより、液圧により作動させられるブレーキのブレーキシリンダの液圧を制御する電流制御装置と
を含むブレーキ液圧制御装置であって、
前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出する検出装置、その検出装置によって検出された検出値に基づいて、作動間隔が設定時間より短い場合に、前記供給電流を前記規則に従う大きさより小さくする電流変更部とを含むブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、電磁制御弁の制御によりブレーキシリンダの液圧が制御される。電磁制御弁は供給電流が作動開始電流に達すると非作動状態から作動状態に切り換えられる。作動状態は、電磁制御弁の本来の機能を発生させ得る状態であり、電流が供給される状態である。作動状態が開状態で非作動状態が閉状態に対応する場合(常閉弁である場合)と、作動状態が閉状態で非作動状態が開状態に対応する場合(常開弁である場合)とがある。
電磁制御弁は、例えば、作動開始電流以上の電流が供給されると閉状態から開状態にされ、その開状態において、供給電流の制御により前後の差圧の大きさや開度(流通許容流量)が制御可能な電磁リニア弁であっても、制御不能な電磁開閉弁であってもよい。また、シーティング弁であっても、スプール弁であってよい。
電磁制御弁への供給電流は予め定められた規則に従って制御される。例えば、電磁制御弁の作動特性に基づいたテーブルや制御ゲイン等が予め決められており、それらに従って、ブレーキシリンダの液圧が目標値に近づくように制御される規則とすることができる。
【0006】
また、本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、供給電流が電磁制御弁の少なくとも1つの作動間隔に基づいて変更される。供給電流は、規則自体が変更されることによって変更される場合や、規則に従って決定された値から補正されることによって変更される場合がある。
電磁制御弁の作動間隔が短い状態は、電磁制御弁が作動状態と非作動状態とに頻繁に切り換えられる状態である。したがって、例えば、作動間隔が短い場合に長い場合より閉状態から開状態に切り換える場合の供給電流を小さくすれば、作動状態と非作動状態との切り換え頻度を少なくすることができる。このように、供給電流が電磁制御弁の作動間隔に基づいて変更されるため、作動時間や作動回数を考慮したり、作動環境を考慮したりしなくても、実際の電磁制御弁の作動特性に適した電流を供給することができる。
【0007】
作動間隔は、電磁制御弁の作動状態と非作動状態との間の切り換え間隔、非作動状態から作動状態(あるいは作動状態から非作動状態)に切り換えられてから次に非作動状態から作動状態(あるいは作動状態から非作動状態)に切り換えられるまでの間隔等を表す値である。作動間隔は、これらの間の時間で直接的に表すことができる。
作動間隔に基づく値は、作動間隔が短いこと、あるいは長いことを表すデータとしたり、短い傾向にあること、長い傾向にあることを表すデータとしたり、短い傾向の程度、長い傾向の程度を表す値としたりすることができる。例えば、予め定められた時間内における電磁制御弁の切り換え回数(作動頻度)で表したり、作動間隔時間が設定時間より短いあるいは長いと判定された回数で表したりすることができる。
なお、本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、作動間隔が短い場合と長い場合との両方の場合において電流を変更するものとする必要はなく、短い場合に変更して長い場合に変更しなくても、長い場合に変更して短い場合に変更しなくてもよい。
作動間隔や作動間隔に基づく値は、1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの電磁制御弁の作動間隔時間に基づいて検出部によって検出される。例えば、電磁制御弁が2つ含まれる場合には、そのうちのいずれか一方の電磁制御弁の作動間隔に基づいて検出されるようにしても、2つの電磁制御弁の作動間隔に基づいて検出されるようにしてもよい。電磁制御弁が非作動状態から作動状態に切り換えられたことは、弁子のストローク等を検出することによって直接検出したり、電磁制御弁への供給電流の制御状態に基づいて検出したり、電磁制御弁の少なくとも一方の側の液圧の変化状態に基づいて検出したりすることができる。
(3)前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の作動状態と非作動状態との切換え時点の間隔を前記作動間隔として検出する検出部を含む(2)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
(4)前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の非作動状態から作動状態に切り換えられてから次に作動状態から非作動状態に切り換えられるまでの間隔を前記作動間隔として検出する検出部を含む(2)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
(5)前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の非作動状態から作動状態に切り換えられてから次に非作動状態から作動状態に切り換えられるまでの間隔を前記作動間隔として検出する検出部を含む(2)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
(6)前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の非作動状態から作動状態に切り換えられてから次に非作動状態から作動状態に切り換えられるまでの間隔が設定時間より短くなった回数を前記作動間隔に基づく値として検出する検出部を含み、前記電流変更部が、前記回数が設定回数を越えた場合に、前記供給電流を前記規則に従う大きさより小さくするものである(2)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
(7)前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の予め定められた時間内における作動状態と非作動状態との切換え回数を前記作動間隔に基づく値として検出する検出部を含む(2)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
(8)前記検出部が、前記少なくとも1つの電磁制御弁への供給電流が、前記作動開始電流に達した時点間の間隔に基づいて作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出するものである(5)項または(6)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、電磁制御弁への電流の供給状態に基づいて作動間隔に基づく値が検出される。電磁制御弁に作動開始電流以上の電流を供給すれば、電磁制御弁は作動状態に切り換えられるはずであり、液圧の変化状態等に基づいて検出する場合より、早期に検出することができる。
なお、後述するように、ステップ的増大量の電流が供給された間隔に基づいて作動間隔を検出することもできる。電磁制御弁によっては、ステップ的増大量が供給された時点で作動状態に切り換えられる場合がある。また、ステップ的増大量の電流が供給された時点で作動状態に切り換えられなくても、供給電流の漸増により作動開始電流に達した場合に作動状態に切り換えられる場合もある。いずれにしても、ステップ的増大量は、作動状態に切り換えるために供給されるため、ステップ的増大量の電流が供給された間隔に基づいて作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出することができるのである。
【0008】
(9)前記電流制御装置が、前記電磁制御弁の前記非作動状態から作動状態への切り換え時に前記供給電流を、前記予め定められた規則に従って、ステップ的に増大させた後に、前記電磁制御弁の前後の液圧差が小さくなるのに伴って漸増させるものである(2)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、電磁制御弁を非作動状態から作動状態に切り換える際の供給電流がステップ的に増大させられた後に、漸増させられる。供給電流が0から漸増させられる場合より、早期に供給電流が作動開始電流に達することになり、電磁制御弁を早期に作動状態に切り換えることが可能となる。
(10)前記電流変更部が、前記検出装置によって検出された前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて、前記供給電流のステップ的増大の量と、前記漸増の勾配との少なくとも一方を変えるものである(9)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
ステップ的増大量と勾配との少なくとも一方を変更すれば、電流の供給を開始した時点から電流が作動開始電流に達するまでの時間が変更され、それによって、電磁制御弁が実際に作動状態に切り換えられる時期を変更することができる。切換え時期を作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて変更することができるのであり、制御に適した時期に作動状態に切り換えることができる。
ステップ的増大量や勾配が小さくされれば、作動状態に切り換えられる時期が遅くなり、応答性が鈍くなる。ステップ的増大量や勾配が大きくされれば、作動状態に切り換えられる時期が早くなり、応答性が敏感になる。
なお、ステップ的増大量と勾配との少なくとも一方は、その都度変更されるようにしても、規則自体が変更されるようにしてもよい。
【0009】
(11)前記電磁制御弁が、(a)弁座と、その弁座に対して接近・離間可能な弁子と、弁子を弁座に対して着座させる方向に付勢力を加えるスプリングとを含むシーティング弁と、(b)コイルを含み、そのコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力を、弁子を弁座から離間させる方向に加えるソレノイドとを含み、前後の液圧差に応じた差圧作用力が弁子を弁座から離間させる向きに加えられる状態で設けられたものである(2) ないし(10)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載の電磁制御弁は、常閉弁であり、作動開始電流以上の電流の供給によって開状態に切り換えられる。非作動状態が閉状態に対応し、作動状態が開状態に対応する。電磁制御弁には、スプリングの付勢力、電磁駆動力、前後の差圧に応じた差圧作用力が加えられ、これら力の関係によって、弁子の弁座に対する相対位置が決まる。スプリングの付勢力がほぼ一定であると仮定すれば、電磁駆動力の制御によって前後の差圧を制御することができる。
電磁制御弁は、ブレーキシリンダと液圧発生装置との間に設けたり、ブレーキシリンダと低圧源との間に設けたりすることができる。液圧発生装置は、例えば、動力の供給によって液圧を発生させるポンプ装置等の動力式液圧源を含むものであっても、運転者の操作力によって液圧を発生させるマスタシリンダを含むものであってもよい。液圧発生装置との間に設けられた電磁制御弁を増圧制御弁と称し、低圧源との間に設けられた電磁制御弁を減圧制御弁と称することができる。
【0010】
(12)前記電流変更部が、前記検出装置によって検出された前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方が予め定められた設定範囲外にある場合に、前記供給電流を変更するものである(2)項ないし(11)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、作動間隔が設定範囲内にある場合には供給電流の変更が行われない。作動間隔に不感帯が設けられるのであり、必要な場合に電流が変更されるようにすることができる。
(13)前記電流変更部が、(i)前記検出装置によって検出された前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方と、(ii)前記電磁制御弁の少なくとも1つが作動状態にある場合における前記ブレーキシリンダの液圧の目標値と実際の液圧との差の変化状態と、前記ブレーキシリンダの実際の液圧の変化状態との少なくとも一方とに基づいて前記供給電流を補正する手段を含む(2)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方と、液圧偏差と液圧の変化状態との少なくとも一方とに基づいて供給電流が変更される。作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方のみに基づく場合より供給電流を適正な大きさに補正することができる。
例えば、液圧偏差に基づけば、目標値に対する隔たり、すなわち、制御遅れの程度を検出することができ、ブレーキシリンダの液圧を速やかに目標値に近づけることができる。また、実際の液圧の変化状態に基づけば、電磁制御弁の実際の作動間隔を正確に検出することができる。
【0011】
(14)前記電流変更部が、前記規則に従う供給電流に、前記検出装置によって検出された前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて決まる適応電流を加える手段を含む(2)項ないし(13)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて適応電流が決定され、規則に従う電流が適応電流だけ変更される。適応電流は供給電流が変更される量であり、変更電流と称することができる。適応電流は、正の値であっても負の値であってもよい。正の値であれば供給電流が大きくされ、負の値であれば供給電流が小さくされる。なお、適応電流は、作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方のみならず、液圧偏差、液圧変化状態等も考慮して決定することも可能である。
例えば、作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方が基準値より短い場合に適応電流を負の値とし、基準値より長い場合に正の値とすることができる。また、その基準値からの隔たりが大きいほど絶対値を大きくすることができる。
【0012】
適応電流は、例えば、ステップ的増大量と適応電流とを加えた大きさが作動開始電流となるように決めることができる。ステップ的増大量は例えば、電磁制御弁が前述の構造を成したものである場合には、スプリングの付勢力、前後の差圧等で決まるため、予め決めておくことができる。しかし、作動開始電流は、電磁制御弁の各々の作動特性のばらつきやその時の作動環境等によって異なり、ステップ的増大量が作動開始電流より小さ過ぎたり、大き過ぎたりして、作動状態に切り換えられる時期が遅すぎたり早すぎたりする。そこで、ステップ的増大量に適応電流を加えた電流が作動開始電流となるように、適応電流が決定されるようにすれば、電磁制御弁の作動特性や作動環境が異なっても、常に同様な時期に電磁制御弁を作動状態に切り換えることが可能となる。なお、作動開始電流は、開弁電流、閉弁電流と称することができる。
【0013】
(15)前記電流制御装置が、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値の変化傾向が設定傾向より大きい場合に、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値に基づいて供給電流を決定する目標液圧対応電流決定部を含む(2)項ないし(14)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
ブレーキシリンダの液圧の目標値の変化傾向が設定傾向より大きい場合には、作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて供給電流が変更されないで、液圧の目標値に基づいて供給電流が決定される。目標値の変化傾向が設定傾向より大きい場合には、運転者の意図する値に従って供給電流を制御する方が望ましいのである。
目標値の変化傾向が設定傾向より大きい状態には、目標値の変化量の絶対値が設定量より大きい状態、目標値の変化勾配の絶対値が設定勾配より大きい状態、変化量の変化勾配の絶対値が設定勾配より大きい状態等が該当する。本発明は、目標値が増加する場合と減少する場合との両方の場合に適用しても、いずれか一方の場合にのみ適用してもよい。
供給電流を決定する際の前述の規則が、液圧の目標値に基づいて決定される場合には、目標液圧対応電流決定部は、供給電流を通常の規則に従って決定する通常の電流決定部に対応することになり、目標液圧対応電流決定部によれば、作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づく変更が行われない通常の制御が行われることになる。それに対して、目標値の変化傾向が設定傾向より大きい場合には、前述の規則に従わないで、目標値に早急に近付けるための別の制御が行われるようにすることもできる。
【0014】
(16)前記電流制御装置が、
フィードフォワード電流を、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値に基づいて決定するフィードフォワード電流決定部と、
そのフィードフォワード電流を、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの前記検出装置によって検出された作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて変更する電流変更部と
を含む(2) 項ないし (15) 項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
(17)前記電流制御装置が、
フィードフォワード電流を、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値に基づいて決定するフィードフォワード電流決定部と、
フィードバック電流を、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値と実際の液圧との偏差に基づいて決定するフィードバック電流決定部と、
これらフィードフォワード電流と、フィードバック電流とに基づいて前記電磁制御弁への供給電流を決定する電流決定部と
を含む(2)項ないし(16)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、フィードフォワード電流とフィードバック電流との両方に基づいて決まる電流が供給される。
(18)前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出する検出装置と、その検出装置によって検出された作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて、前記供給電流を前記規則に従う大きさから変える電流変更部とを含み、
前記電流変更部が、前記検出装置によって検出された前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて前記フィードフォワード電流と前記フィードバック電流との少なくとも一方を補正する電流補正部を含む(17)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、フィードフォワード電流とフィードバック電流との少なくとも一方が補正される。これらフィードバック電流とフィードフォワード電流との両方が補正される場合には、これらが並行して補正されるようにしても、択一的に補正されるようにしてもよい。しかし、いずれにしても、フィードバック電流とフィードフォワード電流との両方が適正な大きさとなるようにすることが望ましい。また、予め定められたパターンに従って補正されるようにしたり、その都度、実際の液圧が目標値に近づくように補正されるようにしたりすることができる。
【0015】
( 19 )前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出する検出装置と、その検出装置によって検出された作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて、前記供給電流を前記規則に従う大きさから変える電流変更部を含み、かつ、前記電流変更部が、(a)前記検出装置によって検出された前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて前記フィードフォワード電流を補正するフィードフォワード電流補正部と、(b)そのフィードフォワード電流補正部によってフィードフォワード電流が補正されても、前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方の変化の方向が変わらない場合に、前記フィードバック電流を補正するフィードバック電流補正部とを含む(17)項または(18)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、フィードフォワード電流が補正されても、作動間隔の変化の方向が変わらない場合に、フィードバック電流が補正される。例えば、作動間隔が大きくなる方向に変化する場合において、フィードフォワード電流が大きくされても、作動間隔が大きくなる傾向が続く場合には、フィードバック電流が大きくなるように補正される。フィードフォワード電流とフィードバック電流との両方を適正な大きさに補正することができる。
【0016】
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、フィードフォワード電流が優先的に補正される。応答を早くしたり、遅くしたりする場合にはフィードフォワード電流を補正する方が効果が速やかに現れるからである。それに対して、フィードフォワード電流の変更によって効果が十分でない場合あるいは殆どない場合にフィードバック電流が補正されるようにすれば、十分な効果が速やかに得られることになる。また、効果が十分であるか否かを判定することなく、次項に関して説明するように、補正量が設定量以上になった場合にフィードバック電流が補正されるようにすることができる。なお、補正量が設定量以上になった場合は、効果が十分でない場合と考えることも可能である。
【0017】
( 20 )前記電流変更部が、
前記検出装置によって検出された前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて前記フィードフォワード電流を補正するフィードフォワード電流補正部と、
そのフィードフォワード電流補正部によるフィードフォワード電流の補正値の絶対値が予め定められた設定値以上になった場合に、前記フィードバック電流を補正するフィードバック電流補正部と
を含む(18)項または(19)項に記載のブレーキ液圧制御装置。
本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、フィードフォワード電流の補正値の絶対値が設定値以上になった場合にフィードバック電流が補正される。フィードフォワード電流の補正値のみが大きくされるより、フィードバック電流との両方を補正した方が、速やかに作動間隔を適正な間隔とすることができる。また、フィードフォワード電流の補正量に上限値あるいは下限値を設けることができる。このようにすれば、補正量の絶対値が過大になることを回避することができる。
なお、本項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、補正値の絶対量が設定量以上になった場合に限定されず、補正値のフィードフォワード電流に対する比率が設定比率以上になった場合にも同様に適用することができる。また、本項、前項のいずれのブレーキ液圧制御装置においても、フィードバック電流の補正が行われる場合には、フィードフォワード電流の補正を並行して行っても、フィードバック電流が補正される時点の補正値のままとしてもよい。
【0018】
(21)前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出する検出装置を含むとともに、(a)その検出装置によって検出された前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方と、(b)前記ブレーキシリンダの実際の液圧の変化状態と、(c)前記ブレーキシリンダの液圧の目標値と実際の液圧との偏差の変化状態とのうちの少なくとも1つに基づいて前記供給電流を前記規則に従う大きさから変更する電流変更部を含む(2) 項ないし (20) のいずれか1つに記載に記載のブレーキ液圧制御装置。
供給電流は(a)〜(c)のうちの1つに基づいて変更することもできるが、2つ以上に基づいて変更すれば、より適切な大きさに変更することができる。
【0019】
(22)前記電流制御装置が、(a)前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と、(b)前記ブレーキシリンダの実際の液圧の変化状態と、(c)前記ブレーキシリンダの液圧の目標値と実際の液圧との偏差の変化状態とのうちの少なくとも1つに基づいて前記電磁制御弁の応答性レベルを検出する応答性レベル検出部と、
その応答性レベル検出部によって検出された応答性レベルに基づいて前記供給電流を変更する電流変更部と
を含む(2) 項ないし (21) 項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
応答性レベルは、電磁制御弁の応答性の程度であり、閉状態から開状態に切り換える際に、電流の供給を開始してから開状態に切り換えられるまでの時間が短い場合に応答性レベルが高いとし、電流の供給を開始してから開状態に切り換えられるまでの時間が長い場合に応答性レベルが低いとする。
応答性レベルが高い場合は、ブレーキシリンダの実際の液圧と目標値との偏差の変化量が大きくなったり、変化頻度が高くなったりする。電磁制御弁の作動間隔が短くなり、液圧の変化頻度が高くなるのである。液圧の目標値は、例えば、ブレーキ操作部材の操作状態に基づいて取得することができ、電磁制御弁の作動間隔は、例えば、電磁制御弁への供給電流の制御状態に基づいて検出することができる。このように、応答性レベルは、(a)〜(c)のうちの1つに基づいて検出することができるが、2つ以上に基づけばより正確に検出することができる。
【0020】
応答性レベルが高い場合はハンチング傾向にあると推定することができ、ハンチング傾向が強いほどハンチングが生じる可能性が高いとすることができる。また、応答性レベルが低い場合は制御遅れ傾向にあるとすることができる。このように、応答性レベルをハンチングレベルと称したり制御遅れレベルと称したりすることができる。ハンチングレベルは作動間隔が短いことに基づいて検出することができ、制御遅れレベルは作動間隔が長いことに基づいて検出することができる。応答性レベルが作動間隔が短いこと、長いこととの両方に基づいて検出することもできるが、その場合には、電磁制御弁の応答性のレベルを総合的に検出することができる。なお、制御遅れレベルを検出する場合には、作動間隔に加えて、実際の液圧や目標値の変化状態、偏差の変化状態、ブレーキ操作状態等を考慮した方が、制御遅れの程度をより正確に検出することができる。
電磁制御弁の応答性を総合的に検出する場合には、例えば、応答性レベルを表す値を、ハンチング傾向にあることが検出された場合に大きくし、応答遅れ傾向にあることが検出された場合に小さくすることができる。また、応答性レベルがハンチング傾向にあることを示している状態で、制御遅れ傾向にあることが検出された場合には、応答性レベルを基準レベルに戻す(ハンチング傾向にあることを示す値をクリアする)ようにしたり、逆に、制御遅れ傾向にあることを示している状態で、ハンチング傾向が検出された場合にクリアするようにしたりすることもできる。一方の傾向の検出中に反対の傾向であることが検出された場合には、一方の傾向であるとする検出結果が正確でないと考えることができるのである。
【0021】
応答性レベル検出部は、ハンチングレベルと制御遅れレベルとの少なくとも一方を検出するものであり、ハンチングレベル検出部と制御遅れレベル検出部との少なくとも一方を含むものとすることができる。ハンチングレベルを検出して制御遅れレベルを検出しないものであっても、制御遅れレベルを検出してハンチングレベルを検出しないものであってもよいのである。それに対応して、電流変更部も、ハンチングレベルに基づいて電流を変更するハンチングレベル対応電流変更部と制御遅れレベルに基づいて変更する制御遅れ対応電流変更部との少なくとも一方を含むものとすることができる。
なお、本項に記載のブレーキ液圧制御装置には、(2)項ないし(21)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
【0022】
(23)前記電流制御装置が、(a)前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動状態における前記ブレーキシリンダの液圧の変化状態と、(b)前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔との少なくとも一方に基づいて決まる応答性評価値に基づいて前記供給電流を前記規則に従う大きさから変える電流変更部を含む(2) 項ないし (22) 項のいずれかに1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である液圧制御装置としてのブレーキ液圧制御装置を含む車両制動システムについて図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本車両制動システムは、エンジン12を含む内燃駆動装置14と、電動モータ16を含む電気的駆動装置20とを含む駆動源22を含むハイブリッド車に搭載されている。本ハイブリッド車は前輪駆動車なのであり、左右前輪24にはエンジン12と電動モータ16とが接続される。
【0025】
内燃駆動装置14は、エンジン12およびエンジン12の作動状態を制御するエンジンECU40等を含み、電気的駆動装置20は、電動モータ16、電力変換装置としてのインバータ42、蓄電装置44、モータECU46、発電機50、動力分配機構52等を含む。発電機50は、エンジン12の作動によって電気エネルギを発生させるものである。動力分配機構52は、図示しないが、遊星歯車装置を含むものであり、サンギヤに発電機50が連結され、リングギヤに出力部材54が接続されるとともに電動モータ16が連結され、キャリヤにエンジン12の出力軸が連結される。エンジン12,電動モータ16,発電機50等の制御により、出力部材54に電動モータ16の駆動トルクのみが伝達される状態、エンジン12の駆動トルクと電動モータ16の駆動トルクとの両方が伝達される状態等に切り換えられる。出力部材54に伝達された駆動力は、減速機,差動装置を介して前輪24のドライブシャフト56に伝達される。
【0026】
本実施形態においては、電動モータ16の電流は、インバータ42によりモータECU46の指令に基づいて制御される。モータECU46にはハイブリッドECU60から指令が供給される。電動モータ16は、蓄電装置44から電気エネルギが供給されて回転させられる回転駆動状態,発電機として機能させて、運動エネルギを電気エネルギに変換して、蓄電装置44に充電させる回生制動状態等に切り換えられる。回生制動状態においては、電動モータ16の回転が抑制され、前輪24の回転が抑制される。
このように、前輪24には電動モータ16の回生制動による回生制動力が加えられるのであり、この意味において、電気的駆動装置20は、回生制動装置であるとすることができる。回生制動力は、電動モータ16の電流の制御により制御される。
【0027】
本車両制動システムには、前輪24および後輪68(図2参照)に摩擦制動力としての液圧制動力を加える液圧制動装置70が設けられる。液圧制動装置70は、液圧制御アクチュエータ72、図2に示すように、左右前輪24のブレーキシリンダ74、左右後輪68のブレーキシリンダ78、ブレーキペダル92、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ94、動力式液圧源96等を含む。ブレーキシリンダ74,78に作動液が供給されると、その液圧に応じた押し付け力によって、車輪と共に回転するブレーキ回転体に摩擦部材が押し付けられ、摩擦制動力としての液圧制動力が左右前輪24、左右後輪28に加えられて、回転が抑制される。
【0028】
動力式液圧源96は、ポンプ100,ポンプモータ101,アキュムレータ102,アキュムレータ圧センサ103,逆止弁104,リリーフ弁105等を含む。アキュムレータ圧センサ103は、アキュムレータ102の液圧を検出するものであり、アキュムレータ圧センサ103による検出液圧に基づいてポンプモータ101の作動状態が制御される。ポンプモータ101の制御により、アキュムレータ102の液圧が予め定められた設定範囲内に保たれる。逆止弁104は、ハイドロブースタ付きマスタシリンダ側からアキュムレータ側への作動液の逆流を阻止するために設けられたものである。また、リリーフ弁105により、ポンプ100の吐出圧が過大になることが回避される。
【0029】
ハイドロブースタ付きマスタシリンダ94は、液圧を、動力式液圧源96の液圧を利用して、加圧ピストンに加えられるブレーキペダル92の操作力に応じた大きさに制御する調圧部106と、調圧部106の液圧によってブレーキペダル92の操作力が倍力された大きさの液圧を発生させる加圧部108とを含むものである。加圧部108には、左右前輪24のブレーキシリンダ74が接続され、調圧部106にはリニアバルブ装置109を介して左右前輪24のブレーキシリンダ74および左右後輪68のブレーキシリンダ78が接続されている。調圧部106の液圧が大気圧になっても加圧部108にはブレーキ操作力に対応した高さの液圧が発生させられ、左右前輪24のブレーキシリンダ74に作動液が供給され、ブレーキが作動させられる。
【0030】
本実施形態において、液圧制御アクチュエータ72は、リニアバルブ装置109、後述する複数の電磁制御弁等を含む。リニアバルブ装置109は、図3に示すように、増圧リニアバルブ110と減圧リニアバルブ111と減圧用リザーバ112とを含む。
増圧リニアバルブ110は、調圧部106とブレーキシリンダとを接続する液通路113の途中に設けられたものであり、弁子114と弁座115とを含むシーティング弁と、コイル116を含むソレノイドとを含むものである。コイル116に電流が供給されない間は、スプリング117の弾性力F1 により弁子114が弁座115に着座させられる閉状態にあるが、コイル116に電流が供給されると、その供給電流に応じた電磁駆動力F2 が、弁子114を弁座115から離間させる方向に作用する。また、弁子114を弁座115から離間させる方向には、増圧リニアバルブ110の前後の液圧差ΔPに対応する差圧作用力F3 も作用する。
【0031】
したがって、コイル116に電流が供給された状態においては、弁子114の弁座115に対する相対位置が、これらスプリング117の弾性力F1 ,電磁駆動力F2 ,差圧作用力F3 の関係によって決まる。この場合においてスプリング117の弾性力F1 がほぼ一定であると見なせば、電磁駆動力(コイル116への供給電流)の制御により、差圧作用力を制御することができるのであり、増圧リニアバルブ110におけるブレーキシリンダ側の液圧と調圧部側の液圧との差を制御することができる。本実施形態においては、ブレーキシリンダ側の液圧が、後述する所要液圧制動トルクに対応する所要液圧と同じ大きさになるように、コイル116への供給電流が制御される。
また、コイル116への供給電流が、差圧作用力、スプリングの付勢力との関係で大きくなれば、弁子114が弁座115から離間させられる。この電流が開弁電流であり、作動開始電流と称することができる。
【0032】
減圧リニアバルブ111についても構造は同じであるが、減圧リニアバルブ111は、ブレーキシリンダと減圧用リザーバ112とを接続する液通路119の途中に設けられている。また、減圧リニアバルブ111においては、ブレーキシリンダ側の液圧と減圧用リザーバ側の液圧との差に応じた差圧作用力F3 が作用するが、減圧用リザーバ側の液圧はほぼ大気圧であるため、これらの液圧差ΔPはブレーキシリンダ側の液圧と同じ大きさになる。
【0033】
また、増圧リニアバルブ110,減圧リニアバルブ111をバイバスする通路には、それぞれ逆止弁122,123が設けられている。逆止弁122は、ブレーキシリンダからハイドロブースタ付きマスタシリンダ94への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものであり、ブレーキペダル92の操作力が緩められた場合にブレーキシリンダの作動液を速やかに戻すためのものである。逆止弁123は、減圧用リザーバ112からハイドロブースタ付きマスタシリンダ94への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものであり、制動終了時に、減圧用リザーバ112の作動液をハイドロブースタ付きマスタシリンダ94に早急に戻すためのものである。
【0034】
液通路113のリニアバルブ装置109と左右後輪68のブレーキシリンダ78との間の部分(液通路)125にはそれぞれ保持弁126が設けられ、ブレーキシリンダ78とマスタリザーバ127とを接続する液通路128にはそれぞれ減圧弁129が設けられている。
また、液通路113のリニアバルブ装置109と左右前輪24のブレーキシリンダ74とを接続する部分(液通路)130には、それぞれ保持弁131が設けられ、ブレーキシリンダ74とマスタリザーバ127とを接続する液通路132には、それぞれ減圧弁133が設けられている。また、それぞれの保持弁126,131に対応する部分には、逆止弁134が設けられたバイパス通路が設けられている。そのため、ブレーキ解除時には、ブレーキシリンダ74,78からリニアバルブ装置109を経てハイドロブースタ付きマスタシリンダ94へ作動液が早急に戻される。
液通路130の保持弁131よりリニアバブル装置109側の部分、すなわち、後輪のブレーキシリンダ78と前輪のブレーキシリンダ74との間の部分には、遮断弁136が設けられている。遮断弁136はコイルに電流が供給されなくなることにより閉状態に切り換えられる。当該車両制動システムの異常時等に、前輪側と後輪側とを遮断するために設けられたものである。
【0035】
前記加圧部108と前輪のブレーキシリンダ74とは液通路140によって接続される。液通路140には、マスタ遮断弁141が設けられ、回生協調制御時等、ブレーキシリンダ74を加圧部108から遮断する必要がある場合に遮断状態に切り換えられるが、異常時等には開状態とされ、加圧部108の作動液がブレーキシリンダ74に供給されることにより、前輪のブレーキが作動させられる。
液通路140には、ストロークシミュレータ142が開閉弁143を介して接続され、マスタ遮断弁141が閉状態にある場合に、運転者によるブレーキペダル92のストロークが殆ど0になることが回避される。開閉弁143は、異常時等に閉状態とされ、加圧部108の作動液が不要にストロークシミュレータ142に供給されることを回避する。
【0036】
液圧制動装置70は、ブレーキECU150の指令に基づいて制御される。ブレーキECU150は、CPU151,ROM152,RAM153,EEPROM154,入・出力インタフェイス155等を含むコンピュータを含むものである。ブレーキECU150の入力部には、前述のアキュムレータ圧センサ103、各車輪24,68の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ170、加圧部108の液圧を検出するマスタ圧センサ175、ブレーキペダル92が操作状態にあるか否かを検出するブレーキスイッチ176、ブレーキペダル92のストロークを検出するストロークセンサ182、リニアバルブ装置109の調圧部側の液圧Preg を検出する液圧センサ183およびブレーキシリンダ側の液圧Pout1を検出する液圧センサ184、液通路130の遮断弁136よりブレーキシリンダ74側の部分の液圧Pout2を検出する液圧センサ185、イグニッションスイッチ190等が接続されている。出力部には、リニアバルブ装置109のコイル116,ポンプモータ101,各電磁開閉弁126,129,131,133,136,141のコイル等が図示しない駆動回路を介して接続されている。
【0037】
液圧センサ184は、リニアバルブ装置109による制御圧を検出するが、保持弁126,131、減圧弁129,133が図示する原位置にある場合には、ブレーキシリンダの液圧と同じになる。従って、液圧センサ184によれば、ブレーキシリンダの液圧を検出することができる。
増圧リニアバルブ110の前後の液圧差は液圧センサ183,184による検出液圧の差として求めることができる。
【0038】
運転者の意図する要求総制動トルクは、マスタ圧センサ175,液圧センサ183,ストロークセンサ182の少なくとも1つの検出値に基づいて取得することができる。本実施形態においては、要求総制動トルクが、ブレーキペダル92の操作ストロークと操作力に対応するマスタ圧(マスタ圧センサ175,液圧センサ183の少なくとも一方の検出値を使用することができる)との両方に基づいて取得される。操作当初においては、マスタ圧はストロークの増加に遅れて増加するため、ストロークに基づいて求めることが望ましい。また、マスタ圧が設定圧以上になれば、マスタ圧に基づく方が精度よく操作力を検出することができる。したがって、要求総制動トルクが、操作当初においては、主としてストロークに基づいて求められ、マスタ圧が設定値以上になると、主としてマスタ圧に基づいて求められるのである。
なお、要求総制動トルクBref は、液圧センサ183による検出液圧Preg に基づいて求められるようにしたり、マスタ圧センサ175による検出液圧に基づいて求められるようにしたり、ストロークセンサ182による検出ストロークに基づいて求められるようにしたりすることができる。
【0039】
車輪速センサ170によって検出された車輪速度に基づけば、各車輪の制動スリップ状態を検出することができる。制動スリップが過大である場合には、保持弁126,131、減圧弁129,133の制御により、各車輪24,68の制動スリップ状態が適正状態に保たれるように、各ブレーキシリンダ74,78の液圧が制御される。
【0040】
ROM152には、図5のマップで表される開弁電圧決定テーブル、図6のフローチャートで表されるリニアバルブ装置制御プログラム、図7のフローチャートで表されるハンチングレベル検出プログラム、図8のフローチャートで表されるタイマ制御プログラム、図9のフローチャートで表される適応電流決定プログラム、図10のフローチャートで表されるマップ修正プログラム等の複数のプログラムやテーブル等が記憶されている。
【0041】
また、前述のモータECU46、ハイブリッドECU60、エンジンECU40も、CPU,ROM,RAM,入・出力インターフェイス等を含むコンピュータを主体とするものである。ハイブリッドECU60の入力部には、蓄電装置44の状態を検出する電源状態検出装置196等が接続されている。電源状態検出装置196は、蓄電装置44の充電状態を検出する充電状態検出部と、蓄電装置44の電圧や温度を検出する異常検出部とを含む。充電状態検出部によって蓄電装置44における充電量が検出されるが、充電量が多いほど充電可能な容量が少ないことがわかる。
前述のハイブリッドECU60と、モータECU46、エンジンECU40、ブレーキECU150との間においては情報の通信が行われる。
【0042】
以上のように構成された車両制動システムにおける作動について説明する。
通常制動時においては回生協調制御が行われる。ブレーキECU150において、液圧センサ183による検出液圧Preg に基づいて運転者が所望する要求総制動トルク(運転者の意図に応じて決まる操作側上限値)Bref が演算により求められる。そして、この要求総制動トルクBref がハイブリッドECU60に供給される。ハイブリットECU60においては、要求総制動トルクBref と、モータECU46から供給された電動モータ16の回転数等を含むモータの作動状態を表す情報や蓄電装置44に蓄電可能な電気エネルギ量である蓄電容量等に基づいて決まる回生制動トルクの上限値である発電側上限値とのうちの小さい方を要求回生制動トルクとしてモータECU46に出力する。
【0043】
モータECU46は、ハイブリッドECU60から供給された要求回生制動トルクの回生制動トルクが得られるように、インバータ42を制御する。電動モータ16の電流は、インバータ42の制御によりそれぞれ制御される。
また、電動モータ16の実際の回転数等の作動状態が図示しないモータ作動状態検出装置によって検出される。モータECU46においては、電動モータ16の作動状態に基づいて実回生制動トルクBm が求められ、その実回生制動トルクBm を表す情報がハイブリッドECU60に供給される。ハイブリッドECU60は、実回生制動トルクBm を表す情報をブレーキECU150に出力する。
【0044】
ブレーキECU150においては、要求総制動トルクBref から実回生制動トルクBm を引いた値(Bref −Bm )に基づいて所要液圧制動トルクBprefが求められ、所要液圧制動トルクBprefに対応する所要液圧Pref が実現されるように、リニアバルブ装置109への供給電流が決定される。要求総制動トルクBref から実回生制動トルクBm を引いた値(Bref −Bm )が正の場合には、要求総制動トルクが実回生制動トルクでは不足であるため、液圧制動トルクが加えられるのであるが、値(Bref −Bm )が0以下の場合には、回生制動トルクで要求が満たされるため、液圧制動トルクが加えられることはないのであり、リニアバルブ装置109の制御が行われることはない。
液圧制動装置70においては、マスタ遮断弁141が閉状態にされ、遮断弁136が開状態にされた状態で、リニアバルブ装置109のコイル116への供給電流が制御されることによって、ブレーキシリンダ74,78の液圧が制御される。この制御が回生協調制御である。
【0045】
なお、上述の要求回生制動トルクはブレーキECU150において決定されるようにすることもできる。この場合には、発電側上限値が、ハイブリッドECU60からブレーキECU150に供給され、その情報に基づいて要求回生制動トルクがブレーキECU150において決定され、ハイブリッドECU60に供給され、そのまま、モータECU46に供給されることになる。
【0046】
図4は、ブレーキECU150によって実行される液圧制御の概要を示す機能ブロック図である。制御対象としてのリニアバルブ装置109がフィードフォワード制御部220とフィードバック制御部222とにより制御される。また、制御の目標値はブレーキシリンダの所要液圧Pref であり、出力は液圧センサ184による出力液圧Pout1である。前述のように、回生協調制御中においては出力液圧Pout1はブレーキ液圧と同じであるため、以下、ブレーキ液圧Pw と称する。
フィードフォワード制御部220は、所要液圧Pref に基づいてフィードフォワード増圧電流IFSLA およびフィードフォワード減圧電流IFSLR を算出する。また、フィードバック制御部222は、所要液圧Pref から液圧センサ184によって検出されたブレーキ液圧Pw(Pout1)を減じた値である偏差errorを0に近づけるための電流としてのフィードバック増圧電流IBSLA およびフィードバック減圧電流IBSLR を算出する。このように、本実施形態におけるブレーキECU150の制御は、フィードフォワード制御とフィードバック制御とを共に含んでいるのである。
【0047】
リニアバルブ装置109の増圧リニアバルブ110,減圧リニアバルブ111各々への供給電流は、図6のフローチャートで表されるリニアバルブ装置制御プログラムの実行に従って決定される。本プログラムは、予め定められた制御サイクルタイム毎に実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、所要液圧Pref が決定される。所要液圧Pref は、前述のように、要求総制動トルクから実回生制動トルクを引いた値である所要液圧制動トルクBpref(Bref −Bm )に基づいて決定される。
S2において、液圧センサ184によりブレーキ液圧Pw が検出され、所要液圧Pref からブレーキ液圧Pw を引いた値が偏差error(Pref −Pw )として求められる。そして、S3において、偏差errorに基づいて制御モードが決定される。増圧モード,減圧モード,保持モードのいずれかに決定されるのである。
【0048】
決定された制御モードが保持モードである場合には、S5において、増圧リニアバルブ110(図においてSLAと記載する),減圧リニアバルブ111(図においてSLRと記載する)への供給電流が0とされる。
増圧モードである場合には、S6において、増圧リニアバルブ110への供給電流ISLA が決定される。この場合には、減圧リニアバルブ112への供給電流ISLR は0である。
減圧モードである場合には、S7において減圧リニアバルブ112への供給電流ISLR が決定される。この場合には、増圧リニアバルブ110への供給電流ISLA は0とされる。
【0049】
制御モードは、本実施形態においては、偏差error(所要液圧Pref −実際のブレーキシリンダ液圧Pw )が増圧しきい値より大きい場合には増圧モードが設定され、減圧しきい値より小さい場合には減圧モードが設定され、それ以外の場合には保持モードが設定される。なお、制御モードの決定の態様は本実施形態における態様に限らない。
【0050】
増圧リニアバルブ110,減圧リニアバルブ111への供給電流は、フィードフォワード制御部220によるフィードフォワード電流(IFSLA ,IFSLR)と、フィードバック制御部222によるフィードバック電流(IBSLA ,IBSLR)との和として求められる。
増圧リニアバルブ110についてのフィードフォワード増圧電流IFSLA が、式
IFSLA =(KF ・dPref +Iadj-ap+ΔI)
に従って決定され、フィードバック増圧電流IBSLA が、式
IBSLA =f(KB ・error )
に従って決定される。
そして、これらの和
ISLA =IFSLA +IBSLA
が増圧リニアバルブ110への供給電流ISLAとされるのである。
【0051】
フィードフォワード制御部220における供給電流IFSLA の物理的な意味は、増圧中において、増圧リニアバルブ110の前後の液圧差ΔP(Pw −Preg )の値が徐々に小さくなり、増圧リニアバルブ110の弁子114を弁座115から離間させようとする力が小さくなっても、増圧リニアバルブ110を開いた状態にし、増圧を続行できる電流にすることである。前後の液圧差ΔPが比較的大きい場合には、フィードフォワード増圧電流IFSLA の値は比較的小さくてよいのであるが、ブレーキシリンダの液圧の増加に伴って前後の液圧差ΔPが小さくなった場合には、増圧リニアバルブ110が開いた状態にするために、より大きな電流を供給する必要がある。フィードフォワード増圧電流IFSLA は、増圧リニアバルブ110を開状態にするために必要な開弁電圧と実際のブレーキ液圧を所要液圧に近づけるために必要な電圧との和の電圧に対応する電流なのである。
【0052】
ここで、開弁電流Iadj-apは、図5(a)のマップで表される開弁電圧決定テーブルに従って決定される開弁電圧Vadj-apに対応する電流である。
開弁電圧Vadj-apは、その時点の増圧リニアバルブ110の前後の液圧差ΔPに基づいて決まる。前述のように、増圧リニアバルブ110は、差圧作用力F3 と電磁駆動力F2 との和とスプリングの弾性力F1 (ほぼ一定の値とみなすことができる)との大小によって開閉させられるからである。開弁電圧Vadj-apは、液圧差ΔPの増加に伴って減少する値であり、開弁電圧Vadj-apに対応する電流がコイル116に供給された場合は、差圧作用力と電磁駆動力との和とスプリング117の弾性力とが釣り合う状態にある。また、増圧リニアバルブ110において、液圧差ΔPを実現するのに必要な電圧であると考えることもできる。
【0053】
項(KF ・dPref)は、増圧リニアバルブ110を、ブレーキシリンダの液圧が所要液圧に近づくまで開状態に保つために必要な電流である。係数KFは、フィードフォワード制御における制御ゲインである。
このように、フィードフォワード電流はステップ的に開弁電流だけ増加させられた後に、前後の液圧差の減少に伴ってフィードフォワード制御ゲインに応じた勾配で漸増させられる。本実施形態においては、このように供給される電流が規則に従って供給される電流(フィードフォワード電流)である。
【0054】
適応電流ΔIは、作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて決まる補正電流である。本実施形態においては、マップで表されるテーブルに従って求められる開弁電流Iadj-apに適応電流ΔIである補正電流を加えた大きさがリニアバルブの実際の作動開始電流となるように適応電流ΔIが決定される。テーブルは一律に決定されるが、作動開始電流は、実際の増圧リニアバルブ110の状態(スプリングの弾性力の大きさや作動環境等)によって異なる。そのため、マップで表されるテーブルに従って決定される開弁電流Iadj-apを加えても、実際に開状態に切り換えられる場合と切り換えられない場合があるのであり、応答が過敏になったり応答遅れが生じたりする。そこで、本実施形態においては、マップで表されるテーブルに従って求められる開弁電流Iadj-apに適応電流ΔIを加えた電流が供給された場合に、現実に閉状態から開状態に切り換えられるように、適応電流ΔIが作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて決定されるのである。
【0055】
作動間隔に基づく値は、本実施形態においてはハンチングレベルで表される。ハンチングレベルは、ハンチング傾向の強さを表す値であり、ハンチングレベルが高い場合はハンチングが生じる可能性が高いとすることができる。
本実施形態においては、ハンチングレベルが増圧リニアバルブ110,減圧リニアバルブ111の作動間隔時間が短いとされる回数で表される。作動間隔時間が短いとされる回数が多いほどハンチング傾向が高く、ハンチングが生じる可能性が高いと推定することができる。ハンチングレベルは図7のフローチャートで表されるハンチングレベル検出プログラムの実行に従って検出される。このプログラムの実行に従ってハンチングレベルが実際に検出される場合の状態を図11に示す。
【0056】
ハンチングレベルは、作動間隔としての作動間隔時間に基づいて検出される。増圧リニアバルブ110についてのハンチングレベルCHは、増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられてからの経過時間が、しきい値A(時間)に達する以前に減圧リニアバルブ111が閉状態から開状態に切り換えられた場合に1増加させられ、しきい値Bに達する以前に増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられた場合に1増加させられる。作動間隔時間が設定時間以内である場合にハンチングレベルCHが1増加させられるのである。
本実施形態においては、増圧リニアバルブ110、減圧リニアバルブ111に、ステップ的な電流が供給された場合に閉状態から開状態に切り換えられたとする。ステップ的増大量の電流が供給されたからといって、増圧リニアバルブ110や減圧リニアバルブ111が直ちに閉状態から開状態に切り換えられるとは限らない。しかし、リニアバルブによっては、ステップ的増大量が供給された時点で作動状態に切り換えられる場合がある。また、ステップ的増大量の電流が供給された後の供給電流の漸増途中で開状態に切り換えられるリニアバルブもある。いずれにしても、ステップ的増大量は、閉状態から開状態に切り換えるために供給されるため、ステップ的増大量の電流が供給された間隔に基づいて作動間隔を検出することができるのである。
【0057】
このように、リニアバルブが閉状態から開状態に切り換えられたことが、リニアバルブの少なくとも一方の側の液圧の変化に基づいて検出されるわけではないため、その分、早期に、かつ、簡単に検出することができる。また、タイマ(増圧リニアバルブ用)は、増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられる毎にタイマカウンタCTのカウント値が0にリセットされ、しきい値Cに達する毎に、基準値(しきい値Bに対応する値)にリセットされるように制御される。減圧リニアバルブ用のタイマについても同様であるが、減圧リニアバルブ用タイマについては、しきい値A,B、Cがそれぞれしきい値R,S,Tとされる。なお、しきい値A,B,Cとしきい値R,S,Tとは、それぞれ異なる値とすることができるが、これらのうちの1つ以上は同じ値とすることもできる。
【0058】
本実施形態においては、ハンチングレベルCHが、時間がしきい値Bに達するまでに減圧リニアバルブ111も増圧リニアバルブ110も切り換えられず、しきい値Cに達した場合においてもその状態が変わらない場合には、リセット条件が成立したとされてリセットされる。ハンチング傾向が強い状態にあるとする推定は誤っていたと判定されるのである。
【0059】
タイマの制御(タイマカウンタCTによるカウント)は図8のフローチャートで表されるタイマ制御プログラムの実行に従って行われる。ここでは、増圧リニアバルブ110についてハンチングレベルが検出される場合について説明する。減圧リニアバルブ111についても同様であるため、説明を省略する。
S11においてリニアバルブ装置109が制御中であるか否かが判定される。タイマの制御はリニアバルブ装置109の制御中において行われる。制御中でない場合には、S12においてタイマカウンタCTのカウント値が0にされる。
それに対して、リニアバルブ装置109の制御中においては、S13においてタイマカウンタCTがカウントアップされるのであるが、増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられた場合には、S14における判定がYESとなって、S15においてタイマカウンタCTが0にリセットされる。閉状態のままあるいは開状態のままである場合には、S16において、タイマカウンタCTのカウント値に対応する時間が時間C(しきい値C)に達したか否かが判定され、しきい値Cに達した場合には、S16の判定がYESとなって、S17においてタイマカウンタCTのカウント値が時間B(しきい値B)に対応する値にリセットされる。
【0060】
ハンチングレベルは、このタイマを利用して検出されるのであり、リニアバルブ装置109の制御中に検出される。図7のハンチングレベル検出プログラムを表すフローチャートのS28において、所要液圧Prefの変化量の絶対値が設定量以上であるか否かが判定される。設定量以上である場合には、S29において、ハンチングレベルCHが0にされる。この場合には、後述するように適応電流ΔIが0にされる。
所要液圧Prefの変化量の絶対値が設定量より小さい場合には、S30以降が実行される。S30〜37において、ハンチングレベルCHがカウントされて、S38以降において、ハンチングレベルCHのリセット条件が満たされるか否かが判定される。
【0061】
S30、31において、タイマカウンタCTのカウント値がほぼ0であるか否かが判定され、ほぼ0である場合には、その時点のハンチングレベルCHの値が記憶される。S32においてタイマカウンタCTのカウント値に対応する時間(経過時間)が時間(しきい値)Aに達したか否かが判定される。しきい値Aに達する以前である場合には、S33において減圧リニアバルブ111が閉状態から開状態に切り換えられたか否かが判定される。切り換えられた場合には、S34において、ハンチングレベルCHが1カウントアップされるが、しきい値Aに達する以前に減圧リニアバルブが開状態に切り換えられなかった場合には、カウント値が増加させられることはない。
【0062】
しきい値Aに達した後は、S33,34が実行されることなく、S35において、タイマカウンタCTのカウント値がしきい値Bに対応する値に達したか否かが判定される。しきい値Bに達する以前に、増圧リニアバルブ110が再度閉状態から開状態に切り換えられた場合には、S36における判定がYESとなって、S37においてハンチングレベルCHのカウント値が1増加させられる。増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられない場合にはカウント値がカウントアップされることはない。
【0063】
このように、本実施形態においては、増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられてからの経過時間がしきい値Aに達する以前に、減圧リニアバルブ111が閉状態から開状態に切り換えられた場合(減圧リニアバルブ111が開状態にある場合には増圧リニアバルブ110は閉状態にある)、しきい値Bに達する以前に増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられた場合に、ハンチングレベルCHがカウントアップされる。また、しきい値Aに達する以前に、増圧リニアバルブ110が開状態から閉状態に切り換えられた場合にもカウントアップされる。
【0064】
しきい値Bに達した場合には、S38以降が実行される。
S38において、その時点のハンチングレベルCHがS31において検出されたハンチングレベルCHと同じであるか否かが判定される。同じである場合には、しきい値Bに達する以前に、ハンチングレベルCHが一度もカウントアップされなかったのであり、作動間隔が大きいことがわかる。この場合には、S39において、タイマカウンタCTのカウント値がほぼしきい値Bに対応する値であるか否かが判定され、しきい値Bに対応する値である場合には、S40において、ブレーキシリンダ液圧が液圧センサ184により検出される。次に、S41,42において、しきい値Cになった場合のブレーキシリンダ液圧が検出され、S43においてしきい値Bにおける場合の液圧としきい値Cにおける場合の液圧との差(しきい値Bからしきい値Cまでの間の液圧の変化量)の絶対値が設定量より小さいか否かが判定される。増圧リニアバルブ110の開状態においては増加量が設定量以上であるか否かが判定され、減圧リニアバルブ111の開状態においては減少量が設定量以上である場合か否か判定される。しきい値Bからしきい値Cまでの時間内(設定時間内)における液圧の変化量の絶対値が設定量より小さい場合にはリセット条件が成立したとして、ハンチングレベルCHのカウント値がS44において0にされる。
【0065】
このように、ハンチングレベルCHが1以上である場合には、作動間隔が短く、ハンチング傾向があるとすることができるのであるが、ハンチング傾向であると検出された場合であっても、応答遅れが生じたか否かが検出される。応答遅れが検出された場合には、リセット条件が成立したとして、ハンチングレベルCHが0にされる。
本実施形態においては、しきい値Bに達するまでに、増圧リニアバルブ110,減圧リニアバルブ111の開閉の切り換えが一度も検出されず、しかも、しきい値Bにおける液圧としきい値Cにおける液圧との差が小さい場合には、応答遅れであるとされる。増圧リニアバルブ110が長時間開状態にあっても、ブレーキ液圧が増加しない場合、また、減圧リニアバルブ111が長時間開状態にあっても液圧が減少しない場合は応答遅れなのである。
【0066】
ハンチングレベルCHは、図14に従ってカウントすることもできる。この場合には、タイマ制御の態様は上述の場合と同じである。本実施形態においては、応答遅れが検出された場合に、ハンチングレベルCHがリセットされるのではなく、1減少させられる。上述のフローチャートのS44において、ハンチングレベルCHが0にリセットされる代わりに1減少させられるのである。
このように、図11の態様と図14の態様とを組み合わせれば、ハンチングレベルを、ハンチング傾向と制御遅れ傾向との両方を総合的に評価した値とすることができる。制御遅れ傾向はハンチング傾向と逆の傾向であり、ハンチングレベルが減少させられることによって評価することができる。
【0067】
なお、図14単独でハンチングレベルが検出されるようにすれば、制御遅れ傾向を検出することができる。基準レベル(0)から制御遅れが検出される毎にハンチングレベルが1減少させられるようにするのであり、制御遅れレベルがハンチングレベルの0以下の値として表されることになる。
また、基準レベルは0でなくてもよく、適宜設定することができる。さらに、制御遅れが検出された場合には、制御遅れレベルが1増加させられると考えることもできる。さらに、制御遅れレベルを正の値で表すこともできる。
また、ハンチングレベル、制御遅れレベルをそれぞれ単独で応答性レベルと称したり、ハンチング傾向と制御遅れ傾向とを総合的に表すレベルを応答性レベルと称したりすることができる。
【0068】
適応電流ΔIは、ハンチングレベルに応じて決定される。例えば、図12に示すように、ハンチングレベルCHの絶対値が大きい場合は小さい場合よりΔIの絶対値が大きくされる。ハンチングレベルCHが正で大きい場合は小さい場合より、適応電流ΔIが負で大きい値となる。フィードフォワード電流が小さくされることによって、増圧リニアバルブ110の作動開始時期が遅くされる。
なお、図11に示す態様でハンチングレベルCHが検出される場合には、ハンチングレベルCHが負の値になることはないが、図11に示す態様と図14に示す態様とを組み合わせて検出される場合、図14に示す態様で検出される場合には負の値になる場合もある。総合的に検出される場合には正の値になったり負の値になったりするのであり、制御遅れ傾向が検出される場合には0以下の値になる。図12はハンチングレベルが正の値の場合と負の値の場合との両方の場合に対応した図である。
【0069】
図12に示すように、ハンチングレベルCHが0から+1の間にある場合には、適正電流(補正値)ΔIは0にされる。電流の変更についてハンチングレベルCH(応答性レベル)に不感帯が設けられるのであり、不要な場合に供給電流が変更されることを回避することができる。
また、適応電流ΔIには上限値(正)と下限値(負)とが決められている。ハンチングレベルCH(応答性レベル)の絶対値が大きくなっても、適応電流ΔIの絶対値が上限値、下限値以上になることはない。
【0070】
適応電流ΔIは図9のフローチャートで表される適応電流決定プログラムの実行に従って、図12に示すように決定される。
S51,52において、ハンチングレベルCHが設定値nより大きいか、設定値mより小さいかが判定される。不感帯に属しているか否かが判定されるのである。不感帯に属していない場合であって、設定値nより大きい場合には。S53において、適応電流ΔIが式
ΔI=−Δ・(H−n)
に従って求められる。適応電流は負の値となり、規則に従って決定された供給電流が減少させられる。ここで、nは、不感帯の上限値を表すハンチングレベルであり、本実施形態においては1である。Hはハンチングレベルである。Δは、ハンチング傾向が応答遅れ傾向より強い場合の適応電流を決定する際の基準単位であり、Δが(H−n)倍された値が適応電流ΔIとされる。S54において、適応電流ΔIが下限値ΔILLIM(負の値)より小さいか否かが判定され、小さい場合には、適応電流ΔIがS55において下限値とされる。
【0071】
ハンチングレベルCHが不感帯の下限値より小さい場合には、S55において、適応電流ΔIが式
ΔI=Δ′・{−(H−m)}
に従って求められる。ここではハンチングレベルCHが負の値であるのに対して適応電流ΔIは正の値であるため、ハンチングレベルCHの符号が反転させられるのである。また、mは不感帯の下限値であり、本実施形態においては0である。Δ′は、応答遅れ傾向がハンチング傾向より強い場合の適応電流を決定する際の基準単位である。適応電流ΔIが正の上限値ΔIULIMより大きくなった場合には、S57において上限値にされる。
【0072】
このように、適応電流ΔIの絶対値が大きくなり過ぎることは望ましくないため、上限値と下限値とが設けられているのである。なお、基準単位Δ、Δ′は同じ大きさであっても異なる大きさであってもよい。
不感帯に属する場合には、S59において、適応電流ΔIが0にされる。また、前述のように、所要液圧Prefの変化量の絶対値が設定値以上である場合には、ハンチングレベルCHが0にされるため、適応電流ΔIも0にされる。所要液圧Prefの変化量が大きい場合には、運転者の意図に合う電流が供給される方が望ましいのである。
【0073】
このように、ハンチングレベルが検出され、ハンチングレベルに応じて適応電流ΔIが求められる。そのため、増圧リニアバルブ110、減圧リニアバルブ111に適正な大きさの電流を供給することができ、ハンチング状態になったり、制御遅れが大きくなったりすることを良好に回避することができる。
また、ハンチングレベルが、リニアバルブ装置109の制御状態、すなわち、電流の供給状態に基づいて検出される。したがって、液圧変化に基づいて検出する場合よりハンチング傾向にあることを早期に検出することができ、ハンチング状態になることを未然に防止することができる。
【0074】
本実施形態においては、図5のマップで表されるテーブルの修正が行われる。前述のように、図5のマップで表されるテーブルに従って検出される開弁電流に適応電流ΔIを加えた電流が、そのリニアバルブの作動開始電流となるようにされているのであり、実際の開弁電流(作動開始電流)とされる。したがって、図13に示すように、図5のマップと適応電流ΔIとその適応電流ΔIで補正された電流が供給された場合の前後の液圧差とに基づいたマップとが合わされ、その合わされたマップで表されるテーブルがそのリニアバルブの開弁電流と差圧とのマップで表されるテーブルとされて、記憶されるのである。
【0075】
新しいマップで表されるテーブルは、イグニッションスイッチ190がOFFにされた場合に作成されて、記憶される。そのため、イグニッションスイッチ190がON状態にある間に、適応電流ΔIと前後の液圧差ΔPとの組は複数組記憶されるのが普通である。複数の組には、前後の液圧差ΔPが同じで適応電流ΔIが異なる場合や、適応電流ΔIが同じで前後の液圧差ΔPが異なる場合がある。これらの場合には、平均値が求められる等統計的に処理された値に基づいて、適正電流と前後の液圧差とのマップが作成されることになる。
マップで表されるテーブル自体が修正されれば、いちいち供給電流を補正しなくても、適切な電流を供給することができる。
【0076】
図10のフローチャートで表されるように、S81においてマップで表されるテーブルを修正するタイミングであるか否かが判定される。本実施形態においては、イグニッションスイッチ190がOFF状態にあって、かつ、パルス入力状態にある場合にマップで表されるテーブルが修正されるようにされている。イグニッションスイッチ190がON状態にある場合には、判定がNOとなり、S82〜85において、適応電流ΔIと前後の液圧差ΔPとが検出されて、これらが関連付けて記憶される。
そして、マップで表されるテーブルを修正するタイミングになった場合には、S86においてマップで表されるテーブルが修正される。図13に示すように、これらが加え合わされて、不揮発性のメモリであるEEPROM154に記憶されるのである。なお、図13は、理解を容易にするためにマップで表されるテーブルを前後の差圧と電流との関係で記載したが、本実施形態においては、前後の差圧と電圧との関係を表すテーブルが記憶される。なお、記憶されるテーブルは、前後の差圧と電流との関係を表すものとすることも可能である。
【0077】
以上のように、本実施形態においては、ブレーキECU150の図9のフローチャートで表される適正電流決定プログラムを記憶する部分、実行する部分、図6のフローチャートで表されるリニアバルブ装置制御プログラムのS6,7を記憶する部分,実行する部分等によって電流変更部が構成される。また、図7のフローチャートで表されるハンチングレベル検出プログラムを記憶する部分,実行する部分等によって作動間隔検出部が構成され、ハンチングレベル検出プログラムのS28,29を記憶する部分,実行する部分、リニアバルブ装置制御プログラムのS6,7を記憶する部分、実行する部分等によって目標液圧対応電流決定部が構成される。
【0078】
なお、上記実施形態においては、規則に従って決定された電流に適応電流を加えることによってフィードフォワード電流が補正されるようにされていたが、フィードフォワード制御ゲインを変更することによってフィードフォワード電流が変更されるようにすることもできる。
また、上記実施形態においては、フィードフォワード電流が変更され、フィードバック電流が変更されることはなかったが、フィードバック電流も変更されるようにすることができる。例えば、フィードバック電流とフィードフォワード電流との両方が並行して変更されるようにすることもできるが、フィードフォワード電流が優先して変更され、フィードフォワード電流を変更しても効果が得られない場合に、フィードバック電流が変更されるようにすることもできる。
【0079】
図15のフローチャートにおいて、S100においてハンチングレベルが増加傾向にあるか否かが判定され、S101において、減少傾向にあるか否かが判定される。増加傾向にある場合には、S102において前回も増加傾向であったか否かが判定される。2回連続して増加傾向にある場合には、S103において、フィードバック制御用ゲインが減少させられる。フィードフォワード電流を変更してもハンチングレベルCHの変化傾向が変わらない場合には、フィードバック電流も変更されるのである。
【0080】
同様に、減少傾向が2回連続した場合には、S106においてフィードバック制御ゲインが増加させられる。
このように、本実施形態においては、2回連続して同じ傾向が続いた場合にはフィードバック制御ゲインがその都度変化させられる。フィードフォワード電流の補正のみでは効果が十分でない場合にフィードバック電流が補正されるのであり、両方が適正な値とされる。
このフィードバック制御ゲインの変更は、増圧リニアバルブ110についても減圧リニアバルブ111についても同様に行われるようにすることができるが、いずれか一方についてのみ変更されるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、連続して2回以上ハンチングレベルCHの変化傾向が同じ場合に、フィードバック制御ゲインが変更されるようにされていたが、ハンチングレベルCHが設定値以上になった場合、換言すれば、フィードフォワード電流の補正量が設定量以上になった場合にフィードバック制御ゲインが変更されるようにすることができる。ハンチングレベルCHが設定値以上になった場合には、フィードフォワード電流とフィードバック制御ゲインとの両方が変更される。このようにすれば、適応電流のみが大きくなることを回避しつつ、ハンチングを防止することができる。
さらに、図12に示すように、フィードフォワード電流が変更され十分な効果が得られなかった場合に、フィードバック制御ゲインを変更し、それによっても十分な効果が得られない場合にフィードフォワード電流が変更されるようにすることも可能である。
【0082】
いずれにしてもハンチングレベルCHに基づいてフィードバック電流とフィードフォワード電流との両方が変更される場合には、フィードフォワード電流が優先的に変更されることが望ましい。そして、変更量が大きくなった場合または十分な効果が得られない場合にフィードバック電流が変更されるようにするのである。応答性に関する制御においてはフィードフォワード電流を変更した方が大きな効果が得られるからである。また、フィードバック電流とフィードフォワード電流との両方を変更する場合には、予め定められたパターンに従って変更されるようにしたり、実際の液圧が所要液圧に近づくようにその都度変更されるようにしたりすることができる。
また、フィードバック制御ゲインを変更すること自体不可欠ではない。フィードフォワード電流を変更すれば十分である。逆に、本発明は、フィードフォワード電流を変更しないでフィードバック電流のみを変更する態様を排除するものではない。作動間隔に基づいてフィードバック電流が変更されるようにすることができる。
【0083】
さらに、応答性レベルの検出方法は上記実施形態におけるそれに限らない。タイマの制御も上述の態様に限らない。例えば、図17に示すように、タイマカウンタCTがしきい値Bとしきい値Cとの間で変動させられるものとすることができる。タイマカウンタCTのカウント値は、増圧リニアバルブ110が閉状態から開状態に切り換えられた場合、または、しきい値Cに達した場合にしきい値Bに対応する値にリセットされる。
図8のフローチャートのS15において、タイマカウンタCTのカウント値がしきい値Bに対応する値にリセットされることになる。
【0084】
そして、しきい値Bに達した場合のブレーキシリンダの液圧としきい値Cに達した場合のブレーキシリンダの液圧との差が設定値以下の場合には、ハンチングレベルが1減少させられる(制御遅れレベルが1増加させられる)。
図16のフローチャートにおいて、タイマカウンタCTのカウント値がほぼしきい値Bに対応する値である場合に、S131においてブレーキシリンダ液圧が検出され、ほぼしきい値Cである場合に、S133においてブレーキシリンダ液圧が検出される。そして、S134において、これらの変化量の絶対値が設定値以下であるか否かが判定され、設定値以下である場合には、ハンチングレベルCHが1減少させられる。
【0085】
このように、本実施形態においては、設定時間内の液圧の変化量の絶対値が設定値以下である場合には、制御遅れ傾向にあるとされる。また、タイマがしきい値Bに達した時点の液圧と、タイマがしきい値Cに達した時点の液圧との差に基づいて制御遅れが検出される。その結果、制御遅れレベルを正確に検出することができる。また、ハンチングレベルに基づいて、図12に従って適応電流が決定され、フィードフォワード電流等が補正される。
なお、図11に示す態様と図17に示す態様とを組み合わせて応答性レベルを検出することもできる。
【0086】
さらに、ハンチングレベルは、図19に示すように、所要液圧から実液圧を引いた値である偏差errorに基づいて検出することもできる。本実施形態においては、経過時間がしきい値Bに達した場合としきい値Cに達した場合との偏差Eの変化量が設定量以下である場合にはハンチングレベルが1減少させられる(制御遅れレベルが1増加させられる)。
上記実施形態においては、液圧の変化が小さい場合に制御遅れであるとされるのであり、実際の液圧の変化量が大きくても目標値との差が小さくならない場合もあるのである。それに対して、本実施形態においては、設定時間内の偏差の変化量が設定量以下である場合に制御遅れ傾向であると判定されるため、液圧の変化量に基づく場合より、制御遅れ傾向であることを正確に検出することができる。
なお、応答性レベルは偏差の変化状態と実際の液圧の変化状態との両方に基づいて検出されるようにすることができる。例えば、偏差が設定値以上であり、かつ、実際の液圧の変化量が小さい場合に制御遅れであるとすることができる。
【0087】
また、フィードバック制御部222においては、P制御に限らず、PID制御、PI制御,PD制御等が行われてもよい。さらに、図12のテーブルは一例であり上記実施形態におけるそれに限らない。また、ハンチングレベルの不感帯の範囲は上記実施形態における範囲に限らず適宜設定することができる。さらに、不感帯を設定すること自体不可欠ではない。
【0088】
また、本発明の液圧制御装置は、図20に示す4輪駆動のハイブリッド車に搭載することもできる。図20に示す車両においては、駆動源300が、内燃駆動装置302と電気的駆動装置でもある回生制動装置304とを含む。内燃駆動装置302は、エンジン12とエンジンECU40とを含み、電気的駆動装置304は、2つの電動モータ306,308、電力変換装置としてのインバータ310,312、蓄電装置314,モータECU316、駆動切替装置320等を含む。前輪24には、エンジン12の出力トルクとフロント用電動モータ306の出力トルクとの少なくとも一方が伝達され、後輪68には、リヤ用電動モータ308の出力トルクが伝達される。
【0089】
前輪側において、電動モータ306とエンジン12との間に駆動切替装置320が設けられ、駆動切替装置320の出力軸322が、変速機324,ディファレンシャルギア326を介してドライブシャフト56に連結される。駆動切替装置320は、出力軸322にエンジン12からの出力トルクを伝達したり、電動モータ306からの出力トルクを伝達したり、両方の出力トルクを伝達したりする。駆動切替装置320は、例えば、遊星歯車装置を含むものとしたり、遊星歯車装置とクラッチとを含むものとしたりすることができる。
電動モータ306と蓄電装置314との間にはインバータ310が設けられているため、インバータ310の制御により、電動モータ306が蓄電装置314から電気エネルギが供給されて回転させられる回転駆動状態と、回生制動により発電機として機能することにより蓄電装置314に電気エネルギを充電する充電状態と、自由回転を許容する無負荷状態とに切り換えられる。インバータ310は、モータECU316からの指令に基づいて電動モータ306を制御する。
【0090】
後輪68側において、電動モータ308の出力軸332がディファレンシャルギヤ334を介してドライブシャフト336に連結される。後輪68には、電動モータ308の出力トルクが伝達されるのである。電動モータ308は、蓄電装置314との間のインバータ312の制御により、回転駆動状態と充電状態と無負荷状態とに切り換えられる。
本実施形態においては、前輪側の電動モータ306と後輪側の電動モータ308とが別個に制御可能とされている。そのため、前輪24と後輪68とにそれぞれ加えられる回生制動トルクを別個に制御することができる。
また、上記実施形態における場合と同様に、ブレーキECU150,ハイブリッドECU330,モータECU316の間において情報の通信が行われる。
【0091】
前輪24,後輪68には、それぞれ、回生制動トルクと摩擦制動トルクとしての液圧制動トルクとの両方が加えられる。液圧制動トルクは液圧制動装置346の液圧制御アクチュエータ348の制御により制御される。
図21の液圧制動装置346は、前記液圧制御アクチュエータ348と、マスタシリンダ350等を含む。マスタシリンダ350は互いに直列に配設された2つの加圧ピストンを含み、2つの加圧ピストンの前方が加圧室352,354とされる。加圧室352,354には、ブレーキペダル92の操作によって液圧が発生させられる。
加圧室352には、液通路360を介して左前輪24のブレーキシリンダ74が接続され、加圧室354には、液通路362を介して左後輪68のブレーキシリンダ78が接続される。液通路360,362には、それぞれ、マスタ遮断弁364,366が設けられている。また、左右前輪の2つのブレーキシリンダ74は連通路370によって接続され、左右後輪の2つのブレーキシリンダ78は連通路372によって接続されている。連通路370,372には、それぞれ、連通制御弁374,375が設けられる。
マスタ遮断弁364,366は、コイルに電流が供給されない間、開状態にある常開弁であり、開状態において、加圧室352,354と左前輪のブレーキシリンダ74、左後輪のブレーキシリンダ78とを連通させる。回生協調制御が行われる場合には、閉状態にされて、これらブレーキシリンダ68,78を加圧室352,354から遮断する。
【0092】
また、液圧制御アクチュエータ348は、動力式液圧源としてのポンプ装置380と、各ブレーキシリンダ毎に設けられたリニアバルブ装置382,384を含む。ポンプ装置380は、は、ポンプ386、ポンプ386を駆動するポンプモータ388,ポンプ386から吐出された作動液を蓄えるアキュムレータ390、アキュムレータ390に蓄えられた作動液の液圧を検出するアキュムレータ圧センサ392等を含む。ポンプモータ388は、アキュムレータ390に蓄えられた作動液が設定範囲内に保たれるように制御される。ポンプ386から吐出された作動液の液圧が過大になるとリリーフ弁394を経て低圧側へ戻される。
【0093】
リニアバルブ装置382は、動力式液圧源380と前輪側のブレーキシリンダ74とリザーバ396との間に設けられ、リニアバルブ装置384は、動力式液圧源380と後輪側のブレーキシリンダ78とリザーバ396との間に設けられる。リニアバルブ装置382,384は、図22に示すように、それぞれ、増圧リニアバルブ400、減圧リニアバルブ402を含むものである。増圧リニアバルブ400は、動力式液圧源380とブレーキシリンダ74,78とを接続する液通路410に設けられ、減圧リニアバルブ402は、ブレーキシリンダ74,78とリザーバ396とを接続する液通路412に設けられる。増圧リニアバルブ400、減圧リニアバルブ402は、上記実施形態における増圧リニアバルブ、減圧リニアバルブと同様な構造を成したものであり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0094】
また、本実施形態においては、ブレーキシリンダの液圧を検出するブレーキシリンダ圧センサ420がブレーキシリンダ毎に設けられ、液通路410の動力式液圧源380とリニアバルブ装置382,384との間に出力液圧センサ422が設けられる。出力液圧センサ422による検出液圧とアキュムレータ圧センサ392による検出液圧とでは、液通路410のこれらの間の部分における圧力損失の分だけ異なることになり、増圧リニアバルブ400の前後の差圧は出力液圧センサ422による検出液圧とブレーキシリンダ圧センサ420による検出液圧との差として求められる。アキュムレータ圧センサ392による検出液圧を利用するより、増圧リニアバルブ400の制御精度を向上させることができる。
減圧リニアバルブ402の前後の差圧は、ブレーキシリンダ液圧と同じになるため、ブレーキシリンダ圧センサ420による検出液圧とされる。
さらに、ブレーキペダル92の操作ストロークがストロークセンサ424によって検出され、加圧室352,354の液圧がマスタ圧センサ426,428によって検出される。
【0095】
増圧リニアバルブ400,減圧リニアバルブ402は、上記実施形態における場合と同様に制御される。本実施形態においては、前輪側と後輪側とで加えられる回生制動トルクが大きさが異なる場合があるが、その場合には、前輪に対して設けられたリニアバルブ装置382と後輪側に設けられたリニアバルブ装置384とで、異なる制御が行われることがあるが、この場合においても、運転者の意図する所要制動トルクが付与されることになる。
【0096】
なお、上記各実施形態におけるブレーキ液圧制御装置は、回生協調制御に限らず、例えば、ブレーキ液圧を運転者の意図する要求ブレーキ力に対応する制動力が得られるように制御する制動効果制御等が行われる装置に適用することもできる。回生制動装置を含まない車両制動システムに適用することもできるのである。この場合には、例えば、要求総制動トルクに対応するブレーキ液圧をそのまま所要液圧とすることができる。また、内燃駆動装置を有しない電気自動車に適用することもできる。
さらに、車両制動システムに含まれる液圧制動装置は、上記実施形態におけるそれに限らない。例えば、図2の液圧制動装置70においてハイドロブースタ付きマスタシリンダとマスタシリンダとし、図21の液圧制動装置346においてマスタシリンダをハイドロブースタ付きマスタシリンダとすることができる。
また、ブレーキペダル92に加えられる操作力を検出する操作力センサを設け、要求総制動トルクBref が操作力センサによる検出値に基づいて決定されるようにすることもできる。
その他、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項について記載した態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液圧制御装置としてのブレーキ液圧制御装置を含む車両制動システム全体の概略図である。
【図2】上記車両制動システムの液圧制動装置の回路図である。
【図3】上記液圧制動装置に含まれるリニアバルブ装置の断面図である。
【図4】上記車両制動システムのブレーキECUにおける制御の概要を概念的に示すブロック図である。
【図5】上記ブレーキECUのROMに格納された開弁電圧決定テーブルを表すマップである。
【図6】上記ブレーキECUのROMに格納されたリニアバルブ装置制御プログラムを表すフローチャートである。
【図7】上記ブレーキECUのROMに格納されたハンチングレベル検出プログラムを表すフローチャートである。
【図8】上記ブレーキECUのROMに格納されたタイマ制御プログラムを表すフローチャートである。
【図9】上記ブレーキECUのROMに格納された適応電流決定プログラムを表すフローチャートである。
【図10】上記ブレーキECUのROMに格納されたマップ修正プログラムを表すフローチャートである。
【図11】上記ハンチングレベル検出プログラムの実行に従ってハンチングレベルがカウントされる状態を示す図である。
【図12】上記適応電流決定プログラムの実行に従って適応電流が決定される状態を概念的に示す図である。
【図13】上記マップ修正プログラムの実行に従ってテーブルが修正される状態を概念的に示す図である。
【図14】本発明の別の実施形態における液圧制御装置としてのブレーキ液圧制御装置のブレーキECUのROMに格納されたハンチングレベル検出プログラムの実行に従ってハンチングレベルが検出される状態を示す図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態における液圧制御装置としてのブレーキ液圧制御装置のブレーキECUのROMに格納されたフィードバック制御ゲイン変更プログラムを表すフローチャートである。
【図16】本発明の別の実施形態における液圧制御装置としてのブレーキ液圧制御装置のブレーキECUのROMに格納された制御遅れレベル検出プログラムを表すフローチャートである。
【図17】上記制御遅れレベル検出プログラムの実行に従ってハンチングレベルが検出される状態を概念的に示す図である。
【図18】本発明の別の実施形態における液圧制御装置としてのブレーキ液圧制御装置のブレーキECUのROMに格納された制御遅れレベル検出プログラムを表すフローチャートである。
【図19】上記制御遅れレベル検出プログラムの実行に従ってハンチングレベルが検出される状態を概念的に示す図である。
【図20】本発明の別の一実施形態である液圧制御装置としてのブレーキ液圧制御装置を含む車両制動システム全体の概略図である。
【図21】上記車両制動システムの液圧制動装置の回路図である。
【図22】上記液圧制動装置に含まれるリニアバルブ装置の断面図である。
【符号の説明】
20、304 回生制動装置
70、346 液圧制動装置
72、348 液圧制御アクチュエータ
109、382,384 リニアバルブ装置
110、400 増圧リニアバルブ
111、402 減圧リニアバルブ
150 ブレーキECU

Claims (12)

  1. 供給電流が作動開始電流に達すると非作動状態から作動状態に切り換わる1つ以上の電磁制御弁と、
    その電磁制御弁への供給電流を予め定められた規則に従って制御することにより、液圧により作動する液圧作動装置の液圧を制御する電流制御装置と
    を含む液圧制御装置であって、
    前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出する検出装置と、その検出装置によって検出された検出値に基づいて、作動間隔が設定時間より短い場合に、前記供給電流を前記規則に従う大きさより小さくする電流変更部とを含むことを特徴とする液圧制御装置。
  2. 供給電流が作動開始電流に達すると非作動状態から作動状態に切り換わる1つ以上の電磁制御弁と、
    その電磁制御弁への供給電流を予め定められた規則に従って制御することにより、液圧により作動させられるブレーキのブレーキシリンダの液圧を制御する電流制御装置と
    を含むブレーキ液圧制御装置であって、
    前記電流制御装置が、前記1つ以上の電磁制御弁のうちの少なくとも1つの作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出する検出装置と、その検出装置によって検出された検出値に基づいて、作動間隔が設定時間より短い場合に、前記供給電流を前記規則に従う大きさより小さくする電流変更部とを含むことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の作動状態と非作動状態との切換え時点の間隔を前記作動間隔として検出する検出部を含む請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。
  4. 前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の非作動状態から作動状態に切り換えられてから次に非作動状態から作動状態に切り換えられるまでの間隔を前記作動間隔として検出する検出部を含む請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。
  5. 前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の非作動状態から作動状態に切り換えられてから次に非作動状態から作動状態に切り換えられるまでの間隔が設定時間より短くなった回数を前記作動間隔に基づく値として検出する検出部を含み、前記電流変更部が、前記回数が設定回数を越えた場合に、前記供給電流を前記規則に従う大きさより小さくするものである請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。
  6. 前記検出装置が、前記少なくとも1つの電磁制御弁の予め定められた時間内における作動状態と非作動状態との切換え回数を前記作動間隔に基づく値として検出する検出部を含む請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。
  7. 前記検出部が、前記少なくとも1つの電磁制御弁への供給電流が、前記作動開始電流に達した時点間の間隔に基づいて前記作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方を検出するものである請求項4または5に記載のブレーキ液圧制御装置。
  8. 前記電磁制御弁が、(a)弁座と、その弁座に対して接近・離間可能な弁子と、弁子を弁座に対して着座させる方向に付勢力を加えるスプリングとを含むシーティング弁と、(b)コイルを含み、そのコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力を、弁子を弁座から離間させる方向に加えるソレノイドとを含み、前後の液圧差に応じた差圧作用力が弁子を弁座から離間させる向きに加わる状態で設けられたものであり、かつ、前記電流制御装置が、前記電磁制御弁の前記非作動状態から作動状態への切り換え時に、前記供給電流を前記予め定められた規則に従ってステップ的に増大させた後に、前記電磁制御弁の前後の液圧差の減少に伴って漸増させるものである請求項2ないしのいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
  9. 前記電流変更部が、(i)前記作動間隔と前記作動間隔に基づく値とのいずれか一方と、(ii)前記電磁制御弁の少なくとも1つが作動状態にある場合における前記ブレーキシリンダの液圧の目標値と実際の液圧との差の変化状態と前記ブレーキシリンダの実際の液圧の変化状態との少なくとも一方とに基づいて前記供給電流を変更する手段を含む請求項2ないしのいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
  10. 前記電流変更部が、前記規則に従う供給電流に、前記検出装置によって検出された作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて決まる適応電流を加える手段を含む請求項2ないしのいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
  11. 前記電流制御装置が、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値の変化傾向が設定傾向より大きい場合に、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値に基づいて供給電流を決定する目標液圧対応電流決定部を含む請求項2ないし10のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
  12. 前記電流制御装置が、
    フィードフォワード電流を、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値に基づいて決定するフィードフォワード電流決定部と、
    フィードバック電流を、前記ブレーキシリンダの液圧の目標値と実際の液圧との偏差に基づいて決定するフィードバック電流決定部と、
    これらフィードフォワード電流と、フィードバック電流とに基づいて前記電磁制御弁への供給電流を決定する電流決定部とを含み、
    前記電流変更部が、
    前記検出装置によって検出された作動間隔と作動間隔に基づく値とのいずれか一方に基づいて前記フィードフォワード電流を補正するフィードフォワード電流補正部と、
    そのフィードフォワード電流補正部によってフィードフォワード電流が補正されても、前記作動間隔と前記作動間隔に基づく値とのいずれか一方の変化の方向が変わらない場合に、前記フィードバック電流を補正するフィードバック電流補正部と
    を含む請求項2ないし11のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。
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