JP3778237B2 - O/w型エマルジョンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、O/W型エマルジョンに関し、更に詳細には極めて微細、且つ均一な粒子径のエマルジョン粒子を形成することができ、エマルジョンの安定性にも優れたO/W型エマルジョンが得られるO/W型エマルジョンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、O/W型エマルジョンの製造方法としては、例えば親水性溶媒中に非イオン界面活性剤を添加し、これに更に油分を添加して、これを水に分散させる方法(特公昭57−29213号公報)、油相の融点以上の温度にした水溶性溶媒中に界面活性剤を溶解させた油相を添加した後、これに水を添加する方法(特開昭60−125244号公報)等が提案されているが、これらの提案の場合、いずれも得られるO/W型エマルジョンの乳化粒子の粒径は1〜2μm程度であり、非常に微細、且つ均一な粒子径のO/W型エマルジョンを製造するのは困難であった。
【0003】
そのため、近年では、より一層微細、且つ均一な粒子径のエマルジョン粒子を有するO/W型エマルジョンが得られる製造方法が種々提案されており、例えばノズルから油相と水相とをそれぞれ高速噴射して、向流で二液を衝突させることによって、油相粒子を微粒化すると共に、該油相粒子を水相に分散させる方法(特公昭59−15005号公報)、液−壁衝突及び流路変化によって、油相粒子を微粒化すると共に、該油相粒子を水相に分散させる方法(特開昭52−151676号公報)が提案されているが、これらの提案の場合、いずれも得られるエマルジョンの安定性が悪いという問題があった。そこで、このような安定性の問題を解決する提案として、例えば油/非イオン界面活性剤=1/0.5〜5となる組成比率の油相を液−液衝突及び液−壁衝突させて、平均粒径10〜200nmの粒子を得た後、ビタミンE又はその誘導体を添加してエマルジョンの安定性を改良する方法(特開平3−178331号公報)、油/非イオン界面活性剤=1/1〜3となる組成比率の油相を液−液衝突及び液−壁衝突させて、平均粒径10〜200nmの粒子を得た後、非イオン界面活性剤の加水分解等による保存安定性及びpH安定性の劣化をキレート剤の添加によって改良する方法(特開平4−281835号公報)、油/非イオン界面活性剤=1/1〜3となる組成比率の油相を液−液衝突及び液−壁衝突させて、平均粒径10〜200nmの粒子を得た後、イオン性界面活性剤を添加してエマルジョンの安定性を改良する方法(特開平4−48925号公報)等が提案されているが、これらの提案の場合、いずれも粒子を微粒化した後に添加剤を加えてエマルジョンの安定化を図っているので、安定化のための余分な成分が必要である上、その添加のための工程が増えて手間がかかるという問題があり、微粒化された油相粒子を含有するO/W型エマルジョンを製造するに当たり、上記のような問題がなく、安定性に優れたO/W型エマルジョンを製造する方法は、未だないのが現状である。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、極めて微細、且つ均一な粒子径のエマルジョン粒子を形成した後に、新たに添加剤を加えなくてもエマルジョン安定性に優れるO/W型エマルジョンを調製することができるO/W型エマルジョンの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、まず、油相と多価アルコールとを混合し、多価アルコール中に油相の微滴を分散させて油/多価アルコール型エマルジョンを形成させ、次いで、予備乳化工程として上記油/多価アルコール型エマルジョンに水相を添加して連続相が上記多価アルコールを含む水相になるように転相させることにより、前工程で微滴化した油相が容易に微細化して微細、且つ均一な粒子径のO/W型エマルジョンが予備乳化物として得られる上、予備乳化工程の転相時に非イオン界面活性剤が油−水界面へ集中的に配向して界面張力がより低下するので、非イオン界面活性剤の添加量が少量でも、また、界面張力低下能の小さい非イオン界面活性剤を使用しても、低エネルギーの機械的剪断力で油相が微細化された予備乳化物が得られ、更にこの予備乳化物を高圧ホモジナイザーを用いて高圧乳化(二次乳化)することにより、予備乳化工程で微細化した油相が容易により一層微細化して極めて微細、且つ均一な粒子径のO/W型エマルジョンが得られる上、このように微細化しても非イオン界面活性剤は油−水界面に配向して乳化機能を発揮しているので、エマルジョン粒子の安定性にも優れ、エマルジョン安定化のために新たな添加剤を加えなくても安定なO/W型エマルジョンが得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
即ち、本発明は、油性成分:非イオン界面活性剤(重量比)=1:0.1〜1:5で含有する油相を60〜90℃で混合溶解させ、この油相と多価アルコールとからなる系とを油性成分:多価アルコール(重量比)=1:0.1〜1:5、非イオン界面活性剤:多価アルコール(重量比)=1:0.1〜1:2の割合で、60〜90℃の範囲で混合し、上記多価アルコールを連続相とするエマルジョンを形成させた後、該エマルジョンを30〜60℃にし、このエマルジョンに30〜60℃の水相を添加して連続相が上記多価アルコールを含む水相になるように転相させることによりO/W型エマルジョンの予備乳化物を調製し、該予備乳化物を高圧ホモジナイザーを用いて二次乳化させ、平均粒径0.01〜0.09μmのO/W型エマルジョンを形成することを特徴とするO/W型エマルジョンの製造方法を提供する。
【0007】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明のO/W型エマルジョンの製造方法は、油性成分及び非イオン界面活性剤を含有する油相と多価アルコールと水相とを用いるものである。
【0008】
ここで、油性成分としては、O/W型エマルジョンの種類、目的に応じて衣料用仕上げ剤、化粧料、医薬品、洗浄剤、食品などの各種分野の製品に使用されている疎水性の油性成分を使用することができ、このような油性成分として、具体的には、オリーブ油,パーム油,ホホバ油,ヤシ油,大豆油,米ぬか油,綿実油,コーン油,オリーブスクアランなどの植物油、サメスクアランなどの動物油、パラフィンなどの鉱物油、イソプロピルミリステート,イソプロピルパルミテート,ミリスチン酸オクチルドデシル,ポリシロキサン系などの合成油等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0009】
上記油性成分の配合量は、その種類、O/W型エマルジョンの目的、用途等により適宜選定することができるが、通常O/W型エマルジョン全量に対して、3〜40%(重量%、以下同様)、特に10〜30%程度が望ましい。油性成分の配合量が少なすぎると油性成分配合の効果が十分に得られない場合があり、油性成分の配合量が多すぎるとエマルジョンの形成が困難となる場合がある。
【0010】
本発明の非イオン界面活性剤としては、上記各種分野において使用されている例えばアルキル及びアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル,アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル,ポリオキシプロピレンを親水基とするブロックポリマー,ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型非イオン界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテル,ソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテル,ソルビット脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテルなどのエーテルエステル型非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ソルビット脂肪酸エステル,プロピレングリコール脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型非イオン界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド,ポリオキシエチレン脂肪酸アミド,ポリオキシエチレンアルキルアミン,アミンオキシドなどの含窒素型非イオン界面活性剤などを使用することができ、これらの中でも特にエステル型非イオン界面活性剤、エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤等が好適であり、具体的には、酸化エチレンの付加モル数が5〜15,脂肪酸の炭素数が12〜18のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンの重合度が4〜10,脂肪酸の炭素数が12〜18のポリグリセリン脂肪酸エステル、酸化エチレンの付加モル数が6〜20,脂肪酸の炭素数が12〜18のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、酸化エチレンの付加モル数が3〜60,脂肪酸の炭素数が12〜18のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、酸化エチレンの付加モル数が3〜60のポリオキシエチレンひまし油・硬化ヒマシ油、酸化エチレンの付加モル数が2〜50,脂肪酸の炭素数が12〜18のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、酸化エチレンの付加モル数が2〜150,アルキルの炭素数が12〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、酸化エチレンの付加モル数が1〜30,酸化プロピレンの付加モル数が4〜8,アルキルの炭素数が12〜22のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が好適に使用され、これらは、その1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0011】
上記非イオン界面活性剤の配合量は、その種類等により適宜選定することができるが、通常O/W型エマルジョン全量に対して、3〜40%、特に5〜20%程度が望ましい。非イオン界面活性剤の配合量が少なすぎるとエマルジョン形成が困難となる場合があり、配合量が多すぎるとゲル化して取り扱いが困難となる場合がある。
【0012】
また、上記油性成分との配合割合は、特に制限されるものではないが、油性成分:非イオン界面活性剤(重量比)=1:0.1〜1:5であり、特に1:0.5〜1:2であることが望ましく、非イオン界面活性剤の配合割合が大きすぎると油性成分の持つ効果に対して、非イオン界面活性剤の持つべとつき感が増し、商品価値が損われる場合がある。非イオン界面活性剤の配合割合が小さすぎると微細エマルジョンを形成できなくなる場合がある。
【0013】
本発明の油相は、上記非イオン界面活性剤及び油性成分以外に、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて油溶性防腐剤、油溶性抗菌剤、油溶性香料等の添加剤を通常の使用量で配合することもできる。
【0014】
次に、本発明の多価アルコールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールであればその種類が特に制限されるものではなく、例えば分子中に2〜6個の水酸基を有するアルコールが好適に使用することができ、このような多価アルコールとして、具体的にはグリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ソルビトール、1,4−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール等を挙げることができ、これらの中でも特にグリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等がより好適に使用され、これらは、その1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0015】
上記多価アルコールの配合量は、その種類等により適宜選定することができるが、通常O/W型エマルジョン全量に対して、3〜40%、特に5〜20%程度が望ましい。多価アルコールの配合量が少なすぎると界面張力が下げられないため微細化できない場合があり、配合量が多すぎるとエマルジョンを形成できない場合がある。
【0016】
また、上記非イオン界面活性剤との配合割合は、特に制限されるものではないが、非イオン界面活性剤:多価アルコール(重量比)=1:0.1〜1:2であり、特に1:0.5〜1:1.5であることが望ましく、上記範囲以外では微細化が困難となる場合がある。
【0017】
なお、同様の理由により、油性成分との配合割合は、特に制限されるものではないが、油性成分:多価アルコール(重量比)=1:0.1〜1:5であり、特に1:0.3〜1:2であることが望ましい。
【0018】
そして、上記油性成分、非イオン界面活性剤及び多価アルコールの合計配合量は、適宜選定することができるが、通常O/W型エマルジョン全量に対して、70%以下、特に15〜50%程度が望ましい。合計配合量が少なすぎると二次乳化時の乳化効率が悪くなる場合があり、合計配合量が多すぎるとゲル化、増粘してしまう場合がある。
【0019】
本発明の水相は、水相成分として、水の他に本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて、水溶性高分子、低級アルコール、水溶性防腐剤、水溶性抗菌剤等の各種水溶性有効成分等を通常の使用量で配合することができる。なお、二次乳化工程後にO/W型エマルジョン製品の用途等に合わせてこれらの水溶性成分を配合することもでき、また、水等で適宜希釈することもできる。
【0020】
本発明の製造方法は、上記油性成分及び非イオン界面活性剤を含有する油相と多価アルコールとからなる系を混合して、多価アルコール中で油相を微滴化する油/多価アルコール型エマルジョン形成工程と、上記エマルジョンに水相を添加、混合して、連続相を上記多価アルコールを含む水相に転相させることによって油相粒子を微細化してO/W型エマルジョン(予備乳化物)を形成させる予備乳化工程と、上記予備乳化物を高圧ホモジナイザーを用いて二次乳化させて、油相粒子をより一層微細化させる二次乳化(高圧乳化)工程とを行うことによって、目的とするO/W型エマルジョンを製造するものである。以下、本発明の製造方法を、油/多価アルコール型エマルジョン形成工程と予備乳化工程と二次乳化工程とに分けて説明する。
【0021】
本発明の油/多価アルコール型エマルジョン形成工程は、上述したように油性成分及び非イオン界面活性剤を含有する油相と多価アルコールとからなる系を混合して、多価アルコール中に微滴化した油相を分散させたエマルジョンを形成するものである。ここで、油相を調製する際の諸条件は適宜選定されるが、上記油性成分と非イオン界面活性剤とを均一に混合溶解させるには、油性成分に非イオン界面活性剤を添加し、これらを60〜90℃で、望ましくは65〜80℃で混合溶解させる。温度が低すぎると非イオン界面活性剤の親水性が増して油性成分との混合溶解が困難となる場合があり、温度が高すぎると油性成分及び非イオン界面活性剤が分解しやすくなる。ここで、本発明の油相調製工程における油性成分と非イオン界面活性剤との混合溶解を行う装置は、特に制限されず、従来より使用されている撹拌装置を使用することができるが、非イオン界面活性剤の種類によっては系の粘度が上昇することもあるので、アジホモミキサー等の掻き取り羽根を備えた乳化釜で行うことが好ましく、この際の撹拌条件は、これら装置の通常の使用範囲にて行い、全体が均一に混合溶解するまで撹拌を続けることが望ましい。なお、本発明において使用される乳化釜は温度コントロール機能を備えたものが望ましく、温度コントロール機能としては、具体的には、外部熱交換によるリサイクルライン、コイル、槽外側のジャケット等が挙げられるが、効率を考えるとこれらの中でもジャケットを用いることが好ましい。
【0022】
そして、この油相と多価アルコールとを混合して、油/多価アルコール型エマルジョンを形成させるが、この場合、これらを添加する順序は特に制限されず、例えば全部を同時に添加することもでき、また、これらを加温する必要がある場合、その加温の方法も特に制限されず、例えば油相と多価アルコールとを撹拌槽に仕込んだ後にこれらを同時に加温することもできるが、作業性を考慮すれば、予め油相は加温した状態にあるので、ここに所定温度に加温した多価アルコールを添加して、混合することが望ましい。ここで、油/多価アルコール型エマルジョンを調製する際の条件は主に温度に支配され、混合時の温度を例えば60〜90℃、特に65〜80℃とすることにより、容易に油/多価アルコール型エマルジョンを調製することができる。この油/多価アルコール型エマルジョンを調製する装置は、特に制限されず、従来より使用されている撹拌装置を使用することができるが、使用する多価アルコールと油相との種類によっては系の粘度が高くなる場合があり、また、全体混合ができる程度以上の混合力があることが望ましいため、上記油相調製工程と同様の装置が好適に使用され、例えばアジホモミキサー等の掻き取り羽根を備えた乳化釜で行うことが好ましい。この際の撹拌条件は、これら装置の通常の使用範囲にて行い、全体が均一な透明状態又は白濁状態となるまで混合、撹拌を行うことが望ましい。なお、この工程において使用される撹拌槽(乳化釜)も上記油相調製工程と同様の温度コントロール機能を備えることが望ましい。
【0023】
次に、本発明の予備乳化工程は、上記油/多価アルコール型エマルジョンに水相を添加、混合することによって、油/多価アルコール型エマルジョンを転相させて、水相と多価アルコールとからなる連続相(分散媒中)に微細化した油相粒子が分散したO/W型エマルジョンの予備乳化物を得るものであり、予備乳化物の平均粒子径は0.5μm以下が好ましい。
【0024】
この予備乳化工程により微細なO/W型エマルジョンを得るためには、予め油/多価アルコール型エマルジョンを30〜60℃、好ましくは40〜55℃に冷却しておく必要がある。これにより、非イオン界面活性剤が親水的になり、転相時に非イオン界面活性剤が油−水界面に集中的に配向し、界面張力がより低下するので、低エネルギーの機械的剪断力で容易に乳化してO/W型エマルジョンの予備乳化物を得ることができる。
【0025】
ここで、予備乳化工程における水相の温度は30〜60℃であり、特に40〜55℃で上述したように油/多価アルコール型エマルジョンを冷却した上記温度と同程度が好ましい。上記温度が低すぎると、転相乳化がうまくいかずゲル化する場合がある。また、温度が高すぎると、非イオン界面活性剤の親水性が弱く、細かい粒子が形成できない場合がある。水相と油/多価アルコール型エマルジョンの添加順序は特に制限されないが、水相中に油/多価アルコール型エマルジョンを添加するか、油/多価アルコール型エマルジョン中に水相を短時間に一気に添加する方法が、より細かい粒子形成ができるので好ましい。
【0026】
本発明の予備乳化工程における乳化の程度は、使用する界面活性剤の種類によりその程度は異なるが、油相が微細化されて平均粒径0.5μm以下、好ましくは0.08〜0.5μm、より好ましくは0.08〜0.3μmとなるように全体が均一に乳化されていることが望ましい。このような乳化を行う装置は、特に制限されず、従来より使用されている乳化撹拌装置を使用することができるが、予備乳化を短時間で効率よく行うためには、集中剪断乳化機と全体混合翼とを併用することが望ましく、上記工程と同様の撹拌装置(乳化釜)が好適に使用することができ、撹拌条件は、これら装置の通常の使用範囲にて行い、系全体が均一な状態となるまで撹拌を継続することが望ましい。なお、この工程において使用される撹拌槽(乳化釜)も上記工程と同様の温度コントロール機能を備えることが望ましい。
【0027】
この工程において油相粒子が十分、且つ均一に微細化することによって、二次乳化工程の負荷を低減させることができる。
【0028】
本発明の二次乳化工程は、予備乳化物を高圧ホモジナイザーを用いて高圧乳化することによって、予備乳化工程で微細化された油相粒子を更に微細化して、好ましくは平均粒径0.01〜0.08μm、より好ましくは0.01〜0.05μmとするものであり、本発明の場合、予め予備乳化工程で油滴粒子表面に非イオン界面活性剤が集中的に配向しているので、安定性に優れたO/W型微細エマルジョンを得ることができる。
【0029】
この工程で使用される高圧ホモジナイザーとしては、例えば500kgf/cm2以上の高圧でホモジナイズできる物であれば、その種類は特に制限されず、具体的にはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(商品名、マイクロフルイデックス インターナショナル株式会社製)、アルティマイザー(商品名、株式会社スギノマシン製)、ナノマイザー(商品名、ナノマイザー社製)等を挙げることができる。これらの装置を用いて高圧乳化する際の諸条件は適宜選定されるが、高圧ホモジナイザーの圧力条件は、500〜2500kgf/cm2、特に800〜2000kgf/cm2とすることが望ましい。圧力が低すぎると油相粒子をより一層微細化するのが困難な場合があり、圧力が高すぎると発熱が激しく、O/W型エマルジョンが解乳化する場合がある。なお、高圧乳化時のエマルジョン温度は10〜30℃、特に15〜25℃とすることが望ましい。温度が低すぎると粒径が細かくならない場合があり、高すぎると高圧乳化時の発熱によりエマルジョンが解乳化する場合がある。
【0030】
本発明の二次乳化工程における高圧乳化の程度は、予備乳化工程で微細化された油相が更に微細化されて好ましくは平均粒径0.01〜0.08μm、より好ましくは0.01〜0.05μmとなるように全体が均一に乳化がされていればよく、このような微細化を行うには、予備乳化物を目視又は粒度分布計で測定してその油相粒子の粒径が所望の粒径に達するまで高圧ホモジナイザーに数回通過させて高圧乳化処理すると好適である。
【0031】
本発明の製造方法により得られるO/W型エマルジョンは、油相粒子の粒径が均一であり、例えば平均粒径が0.08μm以下というように非常に微細化されているため、きめ、艶の良く、安定性が良好なエマルジョンであり、例えばローション類などのスキンケア,フェイスケア製品、毛髪用化粧料、シャンプー、リンス、ボディソープ、衣料用仕上げ剤、エアゾール製品、医薬品液剤などの香粧品、医薬品、繊維処理製品等の各種分野の製品に使用することができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、粒子径が非常に細かく、且つ均一なO/W型エマルジョンが得られ、例えば平均粒子径を0.08μm以下とすることができ、きめ、艶の良く、安定性が良好なO/W型エマルジョンを得ることができる。従って、本発明の製造方法により得られるO/W型エマルジョンは、特にローション類などのスキンケア,フェイスケア製品、毛髪用化粧料、シャンプー、リンス、ボディソープ、衣料用仕上げ剤、エアゾール製品、医薬品液剤などの香粧品、医薬品、繊維処理製品等の各種分野の製品として好適に利用することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、表中の%は重量%である。
【0034】
[実施例1〜8]
表1に示す油性成分及び非イオン界面活性剤を表1に示す濃度となるようにアジホモミキサー及び掻き取り羽根を備えた乳化釜に仕込み、これらを80℃で均一に混合溶解させて油相を調製した後、表1に示す多価アルコールを表1に示す濃度となるように添加して、80℃で5分間混合して油/多価アルコール型エマルジョンを形成させ、15分かけて50℃まで冷却した後、該エマルジョンに適宜量の防腐剤を含む水相を添加して、50℃で5分間混合してO/W型エマルジョンの予備乳化物(予備工程品)を調製した。この予備乳化物を室温まで冷却した後、マイクロフルイデックス インターナショナル株式会社製のマイクロフルイダイザーの処理圧力を1000kgf/cm2とし、これに上記予備乳化物を3回通過させて高圧乳化処置してO/W型エマルジョン(二次乳化品)を得た。
【0035】
[比較例1,2]
実施例2において、上記予備乳化工程に代えて、80℃に保温した油性成分及び非イオン界面活性剤を混合し、これに多価アルコールを溶解させた50℃の水相を徐々に加えて5分間撹拌してO/W型エマルジョンの予備乳化物を調製した以外は、実施例2と同様にして比較例1のO/W型エマルジョン(二次乳化品)を得た。
【0036】
実施例2において、上記予備乳化工程に代えて、80℃に保温した油性成分及び非イオン界面活性剤を混合して油相を調製した後、この油相を多価アルコールを溶解させた50℃の水相中に徐々に加えてホモミキサーを用いて5分間撹拌してO/W型エマルジョンの予備乳化物を調製した以外は、実施例2と同様にして比較例2のO/W型エマルジョン(二次乳化品)を得た。
【0037】
[実施例9,10]
実施例2において、二次乳化工程の高圧ホモジナイザーで圧力を700kgf/cm2にして6回通過(実施例9)、又は圧力を450kgf/cm2にして20回通過(実施例10)させてO/W型エマルジョンの二次乳化物を得た以外は、実施例2と同様にして実施例9,10のO/W型エマルジョン(二次乳化品)を得た。
【0038】
各予備乳化品の25℃における粘度をB型粘度計を用いて30rpm、10回転目の値を測定すると共に、各予備乳化品及び二次乳化品の平均粒径を日機装(株)製の粒度分析計(マイクロトラックUPA)を用いて、粘度の低いサンプルはそのまま、粘度の高いサンプルは水で希釈して測定した。また、各二次乳化品を50℃で1カ月保存したものを目視観察して、二次乳化品の安定性を下記評価基準により評価した。結果を表1及び表2に併記する。
<安定性の評価基準>
〇:分離が認められない
×:二層に分離しているか、油性成分が浮上している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
Claims (1)
- 油性成分及び非イオン界面活性剤を油性成分:非イオン界面活性剤(重量比)=1:0.1〜1:5で含有する油相を、60〜90℃で混合溶解させ、この油相と多価アルコールとからなる系とを油性成分:多価アルコール(重量比)=1:0.1〜1:5、非イオン界面活性剤:多価アルコール(重量比)=1:0.1〜1:2の割合で、60〜90℃の範囲で混合し、上記多価アルコールを連続相とするエマルジョンを形成させた後、該エマルジョンを30〜60℃にし、このエマルジョンに30〜60℃の水相を添加して連続相が上記多価アルコールを含む水相になるように転相させることによりO/W型エマルジョンの予備乳化物を調製し、該予備乳化物を高圧ホモジナイザーを用いて二次乳化させ、平均粒径0.01〜0.09μmのO/W型エマルジョンを形成することを特徴とするO/W型エマルジョンの製造方法。
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