JP3777878B2 - 金属基複合材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物粒子を多量に含む金属基複合材料の製造方法に関し、更に、上記の複合材料を母材(化合物粒子添加媒体)として用いる金属基複合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分散強化型金属基複合材料の製造方法として、特開昭63−83239号公報に記載されている方法を用いて、例えばTi粉末粒子とC(黒鉛)粉末粒子とAlまたはAl合金粉末粒子とから成る成形体を不活性雰囲気中にて加熱することによりAlまたはAl合金から成る金属マトリクス中にTiC粒子が多量に分散した金属基複合材料を母材(分散粒子添加媒体)として製造し、この母材をAlまたはAl合金の溶湯中に溶解した後、凝固させる方法が知られている。この方法によれば、溶湯中への母材の溶解量により最終的な複合材料中のTiC粒子(分散強化粒子)の含有量を所望値に制御することができる。
【0003】
しかし、本出願人が上記方法に従ってTiC粒子分散強化型Al基複合材料を実際に製造したところ、上記の方法には下記の問題があることが判明した。
(1) 母材が多孔質で比重が小さいため溶湯表面に浮いてしまい、溶湯に完全に溶解させ難い。(2) 母材が多孔質で熱伝導が悪いため母材全体が溶湯温度に到達して溶解するのに長時間を要する。(3) 溶湯が表面張力と粘性のため多孔質の母材中に浸透し難い。(4) 成形体中でTi粒子とC粒子とが直接接触し易く、TiC粒子が過度に成長して粗大化し易い。(5) 成形体の加熱時に成形体中に残存する酸素や窒素とAlが反応してAl粒子の表面にAl2 O3 やAlNが生成し、溶湯中への母材の溶解を妨げる。
【0004】
そこで本出願人は、上記問題を解消した方法として、日本特許第2734891号に開示したように、Ti粉末もしくはZr粉末とC粉末とAl粉末またはAl合金粉末とから成る成形体を形成し、前記成形体中にAlまたはAl合金の溶湯を含浸させ、前記成形体を不活性雰囲気中にて1000〜1800℃に加熱して前記成形体中にTiC粒子もしくはZrC粒子を生成させ、しかる後前記成形体をAlまたはAl合金の溶湯中に溶解する方法を開発した。
【0005】
この方法によれば、粉末成形体中へ溶湯を含浸する際に、TiあるいはZrが空隙内に残存する酸素や窒素を吸着するゲッターとして作用して空隙の内圧を低下させるので、溶湯は空隙内へ吸引されるため、特に加圧も必要とせず良好に含浸を行うことができる。上記ゲッター作用により更に、Al2 O3 やAlNの生成が防止されるので、それらの生成による溶解性の低下が起きない。
【0006】
これにより得られた成形体は空隙がAlまたはAl合金で充填された中実状態なので、比重がAlまたはAl合金溶湯と同等となり且つ熱伝導性も高いため、溶湯表面に浮かぶことがなく且つ成形体全体が短時間で溶湯温度に達して容易に溶湯中に溶解する。
このように本出願人により開発された上記日本特許第2734891号の方法は、前記特開昭63−83239号公報の方法に不可避であった前記の諸問題を解消することができ、溶湯中への溶解性(分散性)が極めて高い成形体を得ることができ、それによってAlまたはAl合金マトリクス中に微細なTiC粒子が均一に分散した複合材料を容易に且つ能率良く製造することができる優れた方法である。
【0007】
ただ上記の方法は、1000〜1800℃という高温で、通常3時間以上の加熱を必要とする上、適用できる成形体のサイズも重力偏析防止等の必要から必然的に制限され、20〜30g程度が限界であるため、生産性の観点から更に改良が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粉末成形体に溶湯を含浸した後に加熱して成形体中に化合物粒子を生成させる方法を改良し、高温・長時間の加熱を必要とせず且つ適用できる成形体のサイズを拡大して、金属基複合材料を高い生産性で製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願第1発明による金属基複合材料の製造方法は、金属または金属の合金から成る金属マトリクス中に第1元素と第2元素との化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法において、下記の工程:
該第1元素の粉末と、該第2元素または該第2元素の化合物の粉末と、該金属または金属の合金の粉末とから成る成形体を形成する工程、
該成形体中に該金属または金属の合金の溶湯を含浸させる工程、および
該含浸済の成形体の全体を不活性雰囲気中にて急速加熱することにより該成形体中で発熱反応である該第1元素と該金属との化合反応を生じさせ、この化合反応の発熱により該成形体を自動的に急速昇温させて該成形体中で前記化合物粒子の生成反応を生じさせる工程であって、該急速加熱の加熱速度は、該第1元素と該金属との化合反応で発生する熱から外部への放散および生じ得る吸熱反応による熱損失を差し引いた残余の熱により該成形体全体が前記化合物粒子の生成反応の生じる温度にまで自動的に昇温できるように十分な短時間で該第1元素と該金属との化合反応を進行させる加熱速度であり、該急速加熱による加熱到達温度は該第1元素と該金属との化合反応の生じ得る下限温度から前記化合物粒子の生成反応の生じ得る上限温度までの範囲内である工程、
を含むことを特徴とする。
【0010】
第1発明の方法により製造される金属基複合材料は、金属マトリクス中に極めて多量の化合物粒子を含有した形で得ることができるので、もちろん耐磨耗摺動部材のような特殊な用途で最終的な粒子分散型金属基複合材料として直接用いることもできるし、あるいは最終的な粒子分散型金属基複合材料を製造するために、そのマトリクスを構成する金属または合金の溶湯中へ化合物粒子(典型的には分散強化粒子)を円滑に導入するための粒子添加材(典型的には分散強化粒子導入媒体)として用いることもできる。
【0011】
すなわち、第2発明によれば、第1発明の方法により生成した前記化合物粒子を含む金属基複合材料を粒子添加材として金属または金属の合金の溶湯中に導入し、該金属基複合材料の金属マトリクスを該溶湯中に溶解させると共に該化合物粒子を該溶湯中に分散させた後、該溶湯を凝固させることを特徴とする金属基複合材料の製造方法が提供される。
【0012】
第1発明または第2発明により製造される典型的な金属基複合材料は、種々の用途に適用される粒子分散型金属基複合材料であり、代表的なものは分散強化型金属基複合材料である。
一般に、第1発明による金属基複合材料を粒子添加材として第2発明において溶湯中に導入する場合、この溶湯は第1発明において成形体に含浸させたものと同種の金属または合金の溶湯を用いる。ただし、粒子添加材を含浸金属または含浸合金とは異種の金属または合金の溶湯中へ導入してもよい。この場合、溶湯の組成に含浸金属または含浸合金の成分が合金成分として添加された組成が最終的な金属基複合材料の金属マトリクスの組成となる。
【0013】
第1発明の第1態様によれば、AlまたはAl合金から成る金属マトリクス中にTiC粒子が分散している金属基複合材料の製造方法が提供される。
すなわち、第1発明の第1態様による金属基複合材料の製造方法は、AlまたはAl合金から成る金属マトリクス中にTiC粒子が分散している金属基複合材料の製造方法において、下記の工程:
Ti粉末とC粉末(黒鉛粉末)とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成する工程、
該成形体中にAlまたはAl合金の溶湯を含浸させる工程、および
該含浸済の成形体の全体を不活性雰囲気中にて急速加熱することにより該成形体中で該AlまたはAl合金の融点直近で起きるTiAl3 生成反応を生じさせ、該TiAl3 生成反応の発熱により該成形体を自動的に急速昇温させて該成形体中でTiC粒子生成反応を生じさせる工程であって、該急速加熱の加熱速度は、該TiAl3 生成反応で発生する熱から外部への放散および生じうる吸熱反応による熱損失を差し引いた残余の熱により該成形体全体が該TiC粒子生成反応の生じる温度にまで自動的に昇温できるように十分な短時間で該TiAl3 生成反応を進行させる加熱速度であり、該急速加熱による加熱到達温度は該TiAl3 生成反応の生じ得る下限温度から該TiC粒子生成反応の生じ得る上限温度までの範囲内である工程、
を含むことを特徴とする。
【0014】
第1発明の第1態様においては、前記急速加熱の加熱速度は、一般に20℃/分以上とすることが望ましい。また、前記急速加熱の加熱到達温度は、典型的には、固体Alと固体Tiとの化合によるTiAl3 生成反応の生じうる下限温度617℃から、固体TiAl3 と固体Cとの反応による固体TiC粒子生成反応の生じうる上限温度992℃までの範囲内の温度である。このような急速加熱は誘導加熱により容易に実現できる。
【0015】
また、第1発明の第1態様においては、成形体を形成するためにC粉末に代えてSiC粉末を用いることができる。
更に、第1発明の第2、第3、第4、第5態様によれば、AlまたはAl合金から成る金属マトリクス中にZrC粒子、Hf粒子、NbC粒子、TiB2 粒子のいずれかが分散している金属基複合材料の製造方法が提供される。
【0016】
第1発明の第2態様による金属基複合材料の製造方法は、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にZrCから成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がZr、前記第2元素がCであり、前記成形体を形成する工程においてZr粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする。
【0017】
第1発明の第3態様による金属基複合材料の製造方法は、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にHfCから成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がHf、前記第2元素がCであり、前記成形体を形成する工程においてHf粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする。
【0018】
第1発明の第4態様による金属基複合材料の製造方法は、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にNbCから成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がNb、前記第2元素がCであり、前記成形体を形成する工程においてNb粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする。
【0019】
第1発明の第5態様による金属基複合材料の製造方法は、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にTiB2 から成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がTi、前記第2元素がBであり、前記成形体を形成する工程においてTi粉末とAlB2 またはAlB12粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする。
【0020】
第1発明の第2、第3、第4、第5態様においては、前記急速加熱の加熱速度は、一般に20℃/分以上とすることが望ましい。このような急速加熱は誘導加熱により容易に実現できる。
第2発明の第1、第2、第3、第4、第5態様によれば、それぞれ第1発明の第1、第2、第3、第4、第5態様の方法により生成したTiC粒子、ZrC粒子、HfC粒子、NbC粒子、TiB2 粒子を含む成形体を、Al、Al合金、Mg、またはMg合金の溶湯中に導入し、該成形体の金属マトリクスを該溶湯中に溶解させると共にそれぞれ該TiC粒子、該ZrC粒子、該HfC粒子、該NbC粒子、該TiB2 粒子を該溶湯中に分散させた後、該溶湯を凝固させることを特徴とする粒子分散強化型の金属基複合材料の製造方法が提供される。MgまたはMg合金の溶湯を用いた場合、成形体に含浸されているAlまたはAl合金は、第2発明により製造される金属基複合材料のMg基金属マトリクスの合金成分の一部を成す。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明による化合物粒子の生成原理を、Al基マトリクス中にTiC粒子を生成させる場合を典型例として以下に説明する。
Ti粉末と黒鉛粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成し、この成形体中にAlまたはAl合金の溶湯を含浸させる。
【0022】
次いで、該成形体を加熱すると、昇温過程でTi、Al、Cの間で下記化学反応 (1)〜(5) が起きる。
図1に、上記の各反応をDTA(differential thermal analysis:示差熱分析)で観測した一例を示す。同図は、各反応を明確に分離して検出できるように、5℃/min 程度の遅い昇温速度で観測した結果である。
【0023】
図中の左寄り(低温寄り)に、上向きの大きな2つの発熱ピークと、その間に挟まれて下向きの大きな一つの吸熱ピークが生じている。これらのピークは、低温側から順に、(1) 固体Tiと固体Alとが化合して固体TiAl3 が生成する反応の発熱ピーク(617℃で開始)、(2) Alが溶融する吸熱ピーク(657℃で開始)、(3) 液体Alと固体Tiとが化合して固体TiAl3 が生成する反応の発熱ピーク(667℃で開始し747℃で終了)である。
【0024】
更に温度上昇に伴い、(4) および(5) の反応により固体TiAl3 と固体Al4 C3 または固体Cとが化合して固体TiCが生成する発熱ピークと中間生成物の生成・分解による発熱および吸熱ピークが882℃〜992℃の温度領域に観察される。
本発明においては、成形体を不活性雰囲気中にて急速加熱することにより、成形体中でAlまたはAl合金の融点(反応(2) )直近で起きるTiAl3 生成反応(反応(1) 、反応(3) )を生じさせ、このTiAl3 生成反応(1) (3) の発熱により成形体を自動的に急速昇温させて成形体中でTiC粒子生成反応(反応(4) 、反応(5) )を生じさせる。
【0025】
そのために、急速加熱の加熱速度は、TiAl3 生成反応(1) (3) で発生する熱から外部への放散および生じうる吸熱反応(反応(2) 等)による熱損失を差し引いた残余の熱により、成形体全体がTiC粒子生成反応(4) (5) の生じる温度(882℃〜992℃)にまで自動的に昇温できるように、十分な短時間でTiAl3 生成反応(1) (3) を進行させる加熱速度とする。また、急速加熱による加熱到達温度はTiAl3 生成反応(1) (3) の生じ得る下限温度(=反応(1) の起きる下限温度617℃)からTiC粒子生成反応(4) (5) の生じ得る上限温度(=反応(5) の起きる上限温度992℃)までの範囲内とする。
【0026】
上記のように急速加熱を行うことにより、本来は図1のように各々独立した反応である(1) 〜(5) の反応が連続的に生じ、見掛け上一つの発熱反応となり、反応(1) の開始から1〜2分程度の極めて短時間で反応(5) まで完了する。
図2に、本発明による急速加熱を行った場合の時間に対するDTA挙動を、図1のような緩速加熱時の挙動と比較して模式的に示す(横軸は時間である。)
このような急速加熱は、誘導加熱により容易に行うことができ、加熱装置を到達温度700℃に設定し、加熱速度20℃/min で行えば反応(1) 〜(5) を自動的に連続進行させるには十分である。この場合、設定温度の700℃に到達する直前(617℃)から反応(1) により発熱が始まり、成形体の温度は実際には設定温度の700℃で停留することなく連続昇温が進行し、1〜2分程度で1200℃程度まで到達する。反応(5) によるTiC生成が完了すると、成形体は急速に温度降下する。
【0027】
上記のように急速加熱により発熱反応を誘起して短時間でTiC粒子の生成を完遂させる上で、含浸を行うことは下記2点で決定的に重要である。
(1)化合物粒子の微細化
含浸により成形体中の空隙は殆どAlで充填される。これにより、Ti粉末粒子、C粉末粒子、Alとの化合物粒子の間には含浸されたAlが介在するため、急速加熱による反応中に各生成物粒子、特に最終的なTiC粒子同士の凝集による粗大化が防止され、微細なTiC粒子が分散した金属基複合材料が得られる。粒子の微細分散は、この金属基複合材料を直接実用に供する場合には優れた機械特性を付与するし、また、この金属基複合材料を粒子添加材として溶湯中に導入する場合には粒子が溶湯中に容易に微細分散し、凝固により得られる金属基複合材料の機械特性の向上に寄与する。
【0028】
(2)急速加熱時の反応促進
含浸時にAl溶湯とTi粉末粒子とが反応してTi粒子の周囲に微細なTiAl3 粒子が生成し、急速加熱時に最終反応であるTiAl3 +C→TiC+3Alが促進される。これにより見掛け上の反応開始温度が低下し、本発明の急速加熱によるTiC粒子の効率的な生成を可能とする。
【0029】
また、含浸により成形体中の空隙が殆どAlで充填されるので、急速加熱時に成形体全体に渡って熱伝導が促進され反応が促進される。
このように本発明によれば、従来のように高温・長時間の加熱を必要とせず、例えば分単位の極めて短時間でTiC粒子の生成反応を完遂させられる。
更に、従来のような重力偏析等の問題が生じないので、成形体のサイズをかなり大きくすることができる。
【0030】
すなわち、従来の高温・長時間の加熱では、一因としては、マトリクス成分であるAlまたはAl合金が溶融状態で長時間維持されるので、各粉末からの成分元素や生成した化合物粒子の重力偏析が生じ易いため、またもう一つの原因としては、成形体のサイズが大きくなると温度分布が不均一になるため、サイズの大きい成形体では体積全体に渡ってTiC粒子の生成反応を完遂させることができなくなる。
【0031】
本発明では、成形体全体を加熱反応開始温度まで急速に、すなわち短時間加熱して、TiC生成に到る各反応を自動進行させることにより、上記従来の問題が解消され、成形体のサイズに対する制限が大幅に緩和される。
第1観点のTiC粒子に代えて、第2、第3、第4、第5観点によりZrC粒子、HfC粒子、NbC粒子、TiB2 粒子を生成させる場合にも、同様な原理により極めて短時間で大きな成形体中に各粒子を生成させることができる。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕
第1発明の第1態様に従って、純アルミニウム中にTiC粒子を生成させた金属基複合材料を下記の手順で製造した。TiCのC源としてC粉末を用いた。
〔成形体の作製〕
純アルミニウム粉(−45μm、99.3%)、純チタン粉(−45μm、99.4%)、純黒鉛粉(−45μm、99.4%)をそれぞれ7g、11.2g、2.8g秤量して混合し、成形圧7t/cm2 でφ30mmの円柱状成形体を作製した。得られた成形体の空隙率は約10%であった。
【0033】
〔アルミニウム溶湯の含浸〕
上記の成形体を730℃の純アルミニウム溶湯(純度99.9%)に30秒浸漬させた後、速やかに溶湯より取り出し、成形体の空隙中に純アルミニウム溶湯を含浸させた。この含浸により、成形体の重量は含浸前の18.5gから約30gに増加した。
【0034】
含浸したアルミニウム溶湯は、成形体の内部の密着性・熱伝導性を高める効果に加え、チタン粉末粒子と反応してTi粒子の周囲に微細なAl3 Ti粒子を生成し、後にの急速加熱によるTiC生成までの反応を効率良く進め、TiC粒径の微細化に寄与する。
図3に、含浸後の成形体の顕微鏡組織の一例を示す。Alマトリクス(黒色)中に分散したTi粒子(白色)の周囲に1μm程度の微細なTiAl3 (灰色)が多数生成している。
【0035】
これ対して、作製した含浸なしの成形体は、後の高周波加熱において加熱効率が著しく低く、健全なAl−TiCペレットが得られなかった。
また、同じ比較材を、5℃/min の昇温速度で1300℃まで昇温させてTiCを生成させたが、生成したTiC粒子は平均粒径3μmと大きかった。
〔TiC粒子の生成〕
TiC粒子生成のための急速加熱を、周波数3600Hz、出力20kWの高周波電動発電機を備えた真空溶解炉を用いて行った。
【0036】
炉内に上記含浸後の成形体を7個重ねて装入し(計210g)、炉内を10-2Torrまで真空引きした後、Arガスを−20cmHgまで導入し、高周波誘導加熱により急速加熱を行った。
加熱速度は、高周波出力の設定により制御した。表1に示したように、試料の加熱速度および装置の設定到達温度はそれぞれ、発明例1:30℃/min ,700℃、発明例2:50℃/min ,800℃、発明例3:100℃/min ,650℃とした。
【0037】
比較例1は、加熱設定温度を本発明の範囲(TiAl3 生成反応下限温度である617℃以上)より低い600℃とした以外は、発明例1と同じ条件で処理を行った例である。
比較例2〜5では、加熱速度が本発明の範囲(一旦TiAl3 生成反応が開始した後はTiC粒子生成反応の生じる温度にまで自動的に昇温できる加熱速度)より遅い例として、従来と同様に通常の電気炉にて加熱を行った。加熱速度は炉の能力上限一杯の10℃/min とし、加熱設定温度は比較例2では800℃、比較例3、4、5では1200℃とした。加熱保持は行なわず、設定温度到達後に炉内で冷却した。
【0038】
比較例6は、含浸を行わず、本発明の範囲の加熱条件で高周波加熱を行った例である。
試料サイズは、比較例2、3では30g(成形体1個)、比較例4では60g(成形体2個)、比較例5では90g(成形体3個)と変化させた。比較例6の試料サイズは60g(成形体2個)とした。
【0039】
本発明による急速加熱を行った発明例1、2、3では、昇温過程において600℃を超えた温度付近から急激な試料温度の上昇が始まり、20秒〜40秒でそれぞれ1215℃、1235℃、1320℃に達し、その後、急激に温度が降下した。これは、反応(1) 〜(5) が連続的に生じることにより自己発熱で試料の温度が短時間で上昇し、最後の反応(5) の完了とともに温度が急速に降下したためである。このように、反応による自己発熱の方が高周波装置による人為的な加熱を遙かに上回るため、本実施例の範囲内の設定温度であれば、TiC生成に要する時間はほぼ同程度の極めて短時間である。
【0040】
発明例1〜3および比較例1〜6による処理後の試料について、X線回折による相同定およびSEMミクロ組織写真の画像処理による粒径測定を行った。これらの調査結果も併せて表1に示す。
本発明による急速加熱を行った発明例1〜3は、Alマトリクス中に平均粒径0.2μmのTiC粒子が均一に分散した組織であった。他の相は検出されなかった。
【0041】
比較例1では、加熱速度は発明例1と同等であったが、加熱設定温度600℃が反応(1) のAl3 Ti生成反応開始温度617℃に達しなかったため、この反応による自己発熱が起きず、その後の昇温はなく試料到達温度は加熱設定温度の600℃止まりであり、TiCの生成には到らなかった。処理後の試料は、含浸によるAl凝固相、Al粒子(含浸時未溶解分)、Ti粒子、C粒子、TiAl3 粒子が混在した組織であった。
【0042】
比較例2は、加熱設定温度は800℃であり反応(1) (3) によるTiAl3 生成による発熱はあったが、加熱速度が本発明の範囲より遅かったため、反応(1) (3) から反応(4) (5) が連続して生ずることがなく、TiCは生成しなかった。処理後の試料は、Al凝固相中にTi、C、TiAl3 の各粒子が混在した組織であった。
【0043】
比較例3、4、5は、本出願人が開発した日本特許第2734891号による従来の処理条件を満たしており、発明例1〜3と同様にAlマトリクス中に平均粒径0.2μmのTiC粒子が均一に分散した組織が得られた。ただし、試料サイズが30gの比較例3ではAl相とTiC粒子のみが観察されたが、試料サイズを60g、90gと増加させた比較例4、5では、Al相およびTiC粒子以外にTiAl3 相が混在しており、その量は試料サイズの増加に伴い増加していた。処理炉内で試料の下部であった部位にTiAl3 粒子が存在する傾向が強かったことから、その存在理由は次のように考えられる。
【0044】
すなわち、従来のような加熱保持によるTiC生成処理においては、(A)反応(1) 〜(5) が全て完了するのに要する時間が長いため、1200℃で溶融状態にあるAlの溶湯中で重力偏析により組成のばらつきが生じ、反応(1) (3) で生成した中間生成物であるべきTiAl3 が反応(4) (5) へ進行せずに残留したか、(B)試料サイズが大きいため温度分布が不均一になり易く、局所的に反応の進行が不完全になったか、あるいはこれら両者が併行したか、である。
【0045】
発明例1〜3では、試料全体を少なくとも反応(1) が生じ得る温度にまで急速加熱し、以降の反応(2) 〜(5) を自動的に連続進行させることにより、短時間でTiC生成反応(5) まで完全に行わせるので、上記のような長時間加熱保持による重力偏析や温度不均一によるTiAl3 の残留が起きることがない。
更に、発明例1〜3による成形体総重量が増加してもTiC粒径は平均0.2μmであり、表1には示していないが粒径は均一で0.3μm以上のTiC粒子は存在しない。
【0046】
これに対し、従来の高温熱処理を行った比較例3〜5では、TiC粒径は平均0.2μmではあるが、0.1μm〜1.5μmの粒径分布が認められた。
このように本発明により均一なTiC粒径が得られたのは、TiC生成が極めて短時間で完了したことに加え、成形体内で温度差が殆ど生じないためであると考えられる。
【0047】
【表1】
【0048】
〔実施例2〕
第1発明の第1態様に従って、TiC粒子添加材として、純アルミニウム中にTiC粒子を生成させた金属基複合材料を下記の手順で製造した。TiCのC源としてSiC粉末を用いた。
〔成形体の作製〕
純アルミニウム粉(−45μm、99.3%)、純チタン粉(−45μm、99.4%)、SiC粉(13μm、50μm)をそれぞれ表2の配合で混合し、成形圧7t/cm2 でφ30mmの円柱状成形体を作製した。発明例1および3は、全てのSiCがTiと反応するモル比として配合であり、SiC粉の粒径を2水準とした。発明例2は、Tiとの反応に必要な量の2倍のモル比のSiC量とした。得られた成形体の空隙率は約7%であった。
【0049】
【表2】
【0050】
〔アルミニウム溶湯の含浸〕
上記の成形体を730℃の純アルミニウム溶湯(純度99.9%)に30秒浸漬させた後、速やかに溶湯より取り出し、成形体の空隙中に純アルミニウム溶湯を含浸させた。この含浸により、成形体の重量は、発明例1では含浸前の27.6gから約31gに、発明例2では37gから42gに、発明例3では27.6gから30gに、それぞれ増加した。含浸後の成形体中には、Al、Ti、SiC、Al3 Tiが存在していた。Al3 Tiは、Ti粒子の周囲に微細粒(直径1μm程度)として生成していた。
【0051】
〔TiC粒子の生成〕
TiC粒子生成のための急速加熱を、実施例1と同じ真空溶解炉を用いて行った。
炉内に上記含浸後の成形体を、表3に示した重量・個数で炉内に装入し、炉内を10-2Torrまで真空引きした後、Arガスを−20cmHgまで導入し、高周波加熱により急速加熱を行った。
【0052】
加熱速度は、高周波出力の設定により制御した。試料の加熱速度および装置の設定到達温度は全て100℃/min 、700℃とした。
発明例1〜3のいずれの場合も、昇温過程において700℃付近から急激な試料温度の上昇が始まり20秒〜40秒で約1300℃に達し、その後、急激に温度が低下した。この急激な昇温は、下記の発熱反応によると考えられる。
【0053】
Ti+3Al → TiAl3
TiAl3 +SiC → 3Al+TiC +Si(*)
Ti+SiC → TiC+Si(*)
(*:Ti粉末に対してSiC 粉末の配合量が過剰な場合にSiC が残留)
すなわち、上記の発熱反応が連続的に起きることによる自己発熱で試料の温度が上昇し、極めて短時間でTiCの生成反応が進行したものである。
【0054】
上記処理後の発明例1〜3の試料について、X線回折による相同定およびSEMミクロ組織写真の画像処理による粒径測定を行った。これらの調査結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
発明例1〜3のいずれにおいても、Alマトリクス中に平均粒径0.2μmのTiC粒子が均一に分散した組織であった。また、反応副生成物としてSi相(5〜50μm)が存在するが、SiはAl合金の強度、耐摩耗性、鋳造性を向上させる効果がある。
発明例2においては、過剰に添加したSiC粒子が残存しており、TiC粒子とSiC粒子の2種類の分散粒子(強化粒子)を有するアルミニウム基複合材料が得られた。
【0057】
本実施例においては、TiC粒子のC源として黒鉛粉末に代えてSiC粉末を用いたことにより下記の点で有利である。
▲1▼SiC粉末は黒鉛粉末に比べて価格が数分の1と安価である。
▲2▼SiCとTiとの反応による副生成物であるSiは、Al溶湯の流動性、鋳造性を高める元素であり、成形体をTiC粒子添加材としてAl溶湯中に添加した際の溶湯中への溶解性とTiC粒子(およびSiC粒子)の溶湯中への分散性を高める。Al−Si系2元状態図からも分かるように、純Alの融点660℃はSiの添加により最低577℃まで低下するので、この低融点化による直接的な溶解性および分散性の向上効果も得られる。
【0058】
発明例2のように、意図的にSiCをTiに対して過剰量とすることにより、TiC生成処理後の成形体中にSiCを共存させると、TiC粒子よりもSiC粒子の方がAl溶湯中での分散性が高いことを、下記のように利用できる利点がある。
TiC粒子を生成させた成形体を添加する溶湯の合金組成が、例えばAl−Sn−Si等である場合、成形体の添加および溶解後の凝固時に、TiC粒子がAl相から排出されて最終凝固部である粒界に偏析する傾向がある。偏析によりTiC粒子は本来の分散効果を十分に発揮できず、複合材料として所期の強度特性が得られない場合がある。特に、偏析が顕著な場合には、粒界に偏析したTiC粒子により粒界脆化が起きてしまい、むしろ強度が低下する危険もある。
【0059】
このような組成のAl合金に対しては、TiC粒子とSiC粒子が共存することにより、TiC粒子よりも分散性の高いSiC粒子により分散強化を行い、同時に、TiC粒子によりAlマトリクスの微細化と耐摩耗性向上を行うことができる。
〔実施例3〕
第2発明の第1態様に従い、下記の手順により、TiC粒子含有成形体をMgまたはMg合金の溶湯に添加して、金属基複合材料を製造した。
【0060】
純MgおよびAZ91Mg合金をそれぞれSF6 ガス雰囲気中で溶解した。
得られたMgまたはMg合金の溶湯に、上記発明例1および発明例3により作成したTiC粒子含有成形体を添加し、5分間の機械的攪拌を行った後、JIS4号舟金型に750℃で鋳造した。成形体の添加量を種々に変えることにより、鋳造材中のTiC含有量を0〜5 vol%の範囲で変化させた。各鋳造材について、硬さ、引張特性、耐摩耗性を調べた結果を図4〜7に示す。純MgおよびAZ91Mg合金のいずれについても、TiC粒子による分散強化が得られた。なお、引張強度特性および耐摩耗特性は下記条件での試験により求めた。
【0061】
<引張試験条件>
試験片形状:平行部、φ5×25(mm)
引張速度:1mm/min
<摩耗試験条件>
試験片形状:15.7×10.1×6.3
相手材形状:φ35リング状
相手材材質:SUJ−2
回転速度:160rpm
荷重:196N
試験時間:60分
潤滑:5W−30基油
また、TiC粒子の添加により鋳造材の結晶粒が微細化した。図8に純Mg鋳造材の鋳造組織を示す。TiC粒子添加なしの鋳造材(A)に比べて、上記のようにTiC粒子を1 vol%添加した鋳造材(B)は鋳造組織が顕著に微細化している。
【0062】
従来、MgおよびMg合金の鋳造組織微細化には、ヘキサクロロエタン(C2 Cl6 )等が微細化材として広く用いられており、微細化機構としてはAl4 C3 による異種核生成説が一般的に取られている。
本発明によれば、分散強化による強度特性の向上と同時に鋳造組織の微細化による強度特性および耐食性の向上が可能になる。
【0063】
〔実施例4〕
第1発明の第2態様に従って、純アルミニウム中にZrC粒子を生成させた金属基複合材料を下記の手順で製造した。
〔成形体の作製〕
純アルミニウム粉(−45μm、99.99%)、純ジルコニウム粉(−147μm、99.9%)、純黒鉛粉(−45μm、99%)をそれぞれ7g、16.85g、2.22g秤量して混合し、成形圧7t/cm2 でφ30mmの円柱状成形体を作製した。得られた成形体の空隙率は約3%であった。
【0064】
この際、Zr粉末とC粉末との混合比はZrCの化学量論比(モル比)に対応させることが望ましい。Zr粉末およびC粉末とAl粉末との混合比は特に限定されない。粉末の混合比は最終的に作成するZrC粒子含有成形体の目標ZrC濃度に応じて調整することができる。
〔アルミニウム溶湯の含浸〕
上記の成形体を730℃の純アルミニウム溶湯(純度99.99%)に30秒浸漬させた後、速やかに溶湯より取り出し、成形体の空隙中に純アルミニウム溶湯を含浸させた。この含浸により、成形体の重量は含浸前の26.07gから約50gに増加した。比較のため、含浸を行わない試料も用意した。
【0065】
〔ZrC粒子の生成〕
ZrC粒子生成のための急速加熱を、実施例1と同じ真空溶解炉を用いて高周波誘導加熱により行った。ただし、比較のため通常の電気炉による加熱も行った。生成粒子について、X線回折による相同定およびSEMミクロ組織写真の画像処理による粒径測定を行った。表4に、加熱条件および生成相を示す。
【0066】
【表4】
【0067】
〔金属溶湯への添加〕
第2発明の第2態様に従って、発明例1により作製したZrC粒子含有成形体を、800℃に保持したAl−Si合金(AC8A)の溶湯(重量500g)中に添加し(添加量:40g)、5分間攪拌した後、溶湯温度750℃で、80℃に予熱したJIS4号舟金型に鋳造した。比較のため、上記添加を行わずに同様に鋳造を行った。ZrC粒子の添加により、硬さ、耐摩耗性、引張強さが向上することを確認した。
【0068】
上記ZrC粒子を添加した合金溶湯をアトマイズすることにより、ZrC粒子含有金属基複合材料粉末を作製することができる。
ZrC粒子はAl合金溶湯に溶け込まないため、ZrC粒子の添加量を増加することにより、更に高強度の金属基複合材料を得ることもできる。
〔実施例5〕
第1発明の第3態様に従って、純アルミニウム中にHfC粒子を生成させた金属基複合材料を下記の手順で製造した。
【0069】
〔成形体の作製〕
純アルミニウム粉(−45μm、99.99%)、純ハフニウム粉(−45μm、98%)、純黒鉛粉(−45μm、99%)をそれぞれ7g、31.73g、2.14g秤量して混合し、成形圧7t/cm2 でφ30mmの円柱状成形体を作製した。得られた成形体の空隙率は約6%であった。
【0070】
この際、Hf粉末とC粉末との混合比はHfCの化学量論比(モル比)に対応させることが望ましい。Hf粉末およびC粉末とAl粉末との混合比は特に限定されない。粉末の混合比は最終的に作成するHfC粒子含有成形体の目標HfC濃度に応じて調整することができる。
〔アルミニウム溶湯の含浸〕
上記の成形体を730℃の純アルミニウム溶湯(純度99.99%)に30秒浸漬させた後、速やかに溶湯より取り出し、成形体の空隙中に純アルミニウム溶湯を含浸させた。この含浸により、成形体の重量は含浸前の40.87gから約65gに増加した。
【0071】
〔HfC粒子の生成〕
HfC粒子生成のための急速加熱を、実施例1と同じ真空溶解炉を用いて高周波誘導加熱により行った。ただし、比較のため通常の電気炉による加熱も行った。生成粒子について、X線回折による相同定およびSEMミクロ組織写真の画像解析による粒径測定を行った。表5に、加熱条件および生成相を示す。
【0072】
【表5】
【0073】
HfC粒子の生成は、約650℃以上の温度域で、低温側から順に下記の反応が起きることによる。
Hf +3Al → HfAl3 (1)
HfAl3 +C → HfC+ 3Al (2)
粉末成形体にAl溶湯を含浸すると、Hf粉末粒子とAl溶湯とが上記(1) の反応をして、Hf粉末粒子の周囲に微細なHfAl3 粒子が生成する。この状態で次の急速加熱をすると(2) の反応が促進される。
【0074】
反応(2) によるHfC生成には、通常は1000℃以上の高温域まで加熱する必要がある。本発明に従って昇温速度20℃/分以上で急速加熱することにより、反応(1) が起きる約650℃まで加熱すれば、反応(1) による自己発熱で自動的に昇温し、反応(2) が起きてHfCが生成する。要した加熱時間は20秒〜2分であった。
【0075】
本実施例では、加熱雰囲気として不活性ガス雰囲気を用いたが、例え大気中で加熱しても、本発明の急速加熱であれば成形体の表面が僅かに酸化されるだけなので、問題はない。
〔金属溶湯への添加〕
第2発明の第3態様に従って、発明例1により作製したHfC粒子含有成形体を、800℃に保持したAl−Si合金(AC8A)の溶湯(重量500g)中に添加し(添加量:45g)、5分間攪拌した後、溶湯温度750℃で、80℃に予熱したJIS4号舟金型に鋳造した。比較のため、上記添加を行わずに同様に鋳造を行った。HfC粒子の添加により、硬さ、耐摩耗性、引張強さが向上することを確認した。
【0076】
上記HfC粒子を添加した合金溶湯をアトマイズすることにより、HfC粒子含有金属基複合材料粉末を作製することができる。
HfC粒子はAl合金溶湯に溶け込まないため、HfC粒子の添加量を増加することにより、更に高強度の金属基複合材料を得ることもできる。
〔実施例6〕
第1発明の第4態様に従って、純アルミニウム中にNbC粒子を生成させた金属基複合材料を下記の手順で製造した。
【0077】
〔成形体の作製〕
純アルミニウム粉(−45μm、99.99%)、純ニオブ粉(−150μm、99.9%)、純黒鉛粉(−45μm、99%)をそれぞれ7g,19.49g,2.52g秤量して混合し、成形圧7t/cm2 でφ30mmの円柱状成形体を作製した。得られた成形体の空隙率は約10%であった。
【0078】
この際、Nb粉末と黒鉛粉末との混合比はNbCの化学量論比(モル比)に対応させることが望ましい。Nb粉末および黒鉛粉末とAl粉末との混合比は特に限定されない。粉末の混合比は最終的に作成するNbC粒子含有成形体の目標NbC濃度に応じて調整することができる。
〔アルミニウム溶湯の含浸〕
上記の成形体を730℃の純アルミニウム溶湯(純度99.99%)に30秒浸漬させた後、速やかに溶湯より取り出し、成形体の空隙中に純アルミニウム溶湯を含浸させた。この含浸により、成形体の重量は含浸前の29.01gから約35gに増加した。
【0079】
〔NbC粒子の生成〕
NbC粒子生成のための急速加熱を、実施例1と同じ真空溶解炉を用いて高周波誘導加熱により行った。ただし、比較のため通常の電気炉による加熱も行った。生成粒子について、X線回折による相同定およびSEMミクロ組織写真の画像解析による粒径測定を行った。表6に、加熱条件および生成相を示す。
【0080】
【表6】
【0081】
NbC粒子の生成は、約650℃以上の温度域で、低温側から順に下記の反応が起きることによる。
Nb +3Al → NbAl3 (1)
NbAl3 +C → NbC+ 3Al (2)
粉末成形体にAl溶湯を含浸すると、Nb粉末粒子とAl溶湯とが上記(1) の反応をして、Nb粉末粒子の周囲に微細なNbAl3 粒子が生成する。この状態で次の急速加熱をすると(2) の反応が促進される。
【0082】
反応(2) によるNbC生成には、通常は1000℃以上の高温域まで加熱する必要がある。本発明に従って昇温速度20℃/分以上で急速加熱することにより、反応(1) が起きる約650℃まで加熱すれば、反応(1) による自己発熱で自動的に昇温し、反応(2) が起きてNbCが生成する。要した加熱時間は20秒〜2分であった。
【0083】
本実施例では、加熱雰囲気として不活性ガス雰囲気を用いたが、例え大気中で加熱しても、本発明の急速加熱であれば成形体の表面が僅かに酸化されるだけなので、問題はない。
〔金属溶湯への添加〕
第2発明の第4態様に従って、発明例1により作製したNbC粒子含有成形 体を、800℃に保持したAl−Si合金(AC8A)の溶湯(重量500g)中に添加し(添加量:35g)、5分間攪拌した後、溶湯温度750℃で、80℃に予熱したJIS4号舟金型に鋳造した。比較のため、上記添加を行わずに同様に鋳造を行った。NbC粒子の添加により、硬さ、耐摩耗性、引張強さが向上することを確認した。
【0084】
上記NbC粒子を添加した合金溶湯をアトマイズすることにより、NbC粒子含有金属基複合材料粉末を作製することができる。
NbC粒子はAl合金溶湯に溶け込まないため、NbC粒子の添加量を増加することにより、更に高強度の金属基複合材料を得ることもできる。
〔実施例7〕
第1発明の第5態様に従って、純アルミニウム中にTiB2 粒子を生成させた金属基複合材料を下記の手順で製造した。
【0085】
〔成形体の作製〕
純アルミニウム粉(−45μm、99.99%)、純チタン粉(−150μm、99.4%)、AlB2 粉(−45μm、99%)を重量比で5:8:8の割合で混合し、成形圧7t/cm2 でφ30×10mmの円柱状成形体を作製した。得られた成形体の空隙率は約10%であった。
【0086】
この際、Ti粉末とAlB2 粉末との混合比はTiB2 の化学量論比(モル比)に対応させることが望ましい。Ti粉末およびAlB2 粉末とAl粉末との混合比は特に限定されない。粉末の混合比は最終的に作成するTiB2 粒子含有成形体の目標TiB2 濃度に応じて調整することができる。
〔アルミニウム溶湯の含浸〕
上記の成形体を730℃の純アルミニウム溶湯(純度99.99%)に30秒浸漬させた後、速やかに溶湯より取り出し、成形体の空隙中に純アルミニウム溶湯を含浸させた。この含浸により、成形体の重量は含浸前の24.87gから約35gに増加した。
【0087】
〔TiB2 粒子の生成〕
TiB2 粒子生成のための急速加熱を、実施例1と同じ真空溶解炉を用いて高周波誘導加熱により行った。ただし、比較のため通常の電気炉による加熱も行った。生成粒子について、X線回折による相同定およびSEMミクロ組織写真の画像解析による粒径測定を行った。表7に、加熱条件および生成相を示す。
【0088】
【表7】
【0089】
TiB2 粒子の生成は、617℃以上の温度域で、低温側から順に下記の反応が起きることによる。
Ti +3Al → TiAl3 (1)
TiAl3 +AlB2→ TiB2 + 3Al (2)
AlB2+T → Al +TiB2 (3)
粉末成形体にAl溶湯を含浸すると、Ti粉末粒子とAl溶湯とが上記(1) の反応をして、Ti粉末粒子の周囲に微細なTiAl3 粒子が生成する。この状態で次の急速加熱をすると(2) の反応が促進される。
【0090】
反応(2) および(3) によるTiB2 生成には、通常は1000℃以上の高温域まで加熱する必要がある。本発明に従って昇温速度20℃/分以上で急速加熱することにより、反応(1) が起きる617℃まで加熱すれば、反応(1) による自己発熱で自動的に昇温し、反応(2) および(3) が起きてTiB2 が生成する。生成にようする加熱時間は20秒〜2分であった。
【0091】
表7において、発明例1は、アルミニウム溶湯含浸後に高周波加熱により20℃/分で700℃まで加熱したもので、700℃に到達した後は上記反応(1) 〜(3) の連鎖による自己発熱で1350℃まで自動的に昇温し、その後急激に温度低下した。700℃から1350℃までの所要時間は約20秒であった。加熱後の試料は、Alマトリクス中に平均粒径0.2μm(最大粒径3μm)のTiB2 粒子が均一に分散していた。
【0092】
比較例1は、アルミニウム溶湯含浸後に高周波加熱により20℃/分で600℃まで加熱したもので、反応(1) の温度に達していないため、自己発熱は起きなかった。加熱後の試料は、TiB2 は生成しておらず、原料粉末のAl,Ti,AlB2 と、含浸時に生成したAl3 Tiとが混在した状態であった。
比較例2は、アルミニウム溶湯含浸後に電気炉にて10℃/分で1100℃まで加熱したもので、1100℃に到達した後に炉の出力を切って、室温まで炉冷した。加熱後の試料は、Alマトリクス中に平均粒径0.5μm(最大粒径3μm)のTiB2 粒子が均一に分散していたが、未反応のAlB2 およびTiが残存していた。
【0093】
比較例3は、アルミニウム溶湯の含浸を行わずに、比較例2と同様に電気炉で加熱した。ただし、加熱雰囲気は大気中であった。加熱後の試料は、多孔質のAlマトリクス中に平均粒径3μm(最大粒径10μm)のTiB2 粒子が分散していた。また、試料表面にAl2 O3 等の酸化物が生成していた。
〔金属溶湯への添加〕
第2発明の第5態様に従って、発明例1により作製したTiB2 粒子含有成形体(TiB2 濃度:約33 vol%(45wt%))を、それぞれ800℃に保持したAl−4.5Cu合金およびAl−Si合金(AC8A)の溶湯(重量500g)中に添加し(TiB2 添加量:0.05〜5 vol%)、5分間攪拌した後、溶湯温度750℃で、80℃に予熱したJIS4号舟金型に鋳造した。比較のため、上記添加を行わずに同様に鋳造を行った。
【0094】
TiB2 の添加により鋳造材のマクロ組織が著しく微細化されることを確認した。この微細化効果は上記範囲の添加量について同等であった。Al−4.5Cu合金の平均結晶粒径は、無添加材で約3mmであったのが、TiB2 添加材では30μmまで微細化されており、結晶粒の形状はデンドライト構造から全て等軸晶に変化していた。AC8A合金では、デンドライト構造が残っており、結晶粒径の定量的な測定はできなかったが、図9に示すようにTiB2 添加により著しく微細化していることが分かる。
【0095】
表8に機械的性質を示す。発明例2〜7および比較例4,5は上記鋳造により作製した鋳造材である。発明例8,9は上記TiB2 添加後の溶湯を下記条件でアトマイズした粉末から熱間押出により作製した粉末冶金材である。引張強度特性および耐摩耗特性は実施例3と同様の試験により評価した。
<アトマイズ条件>
溶湯温度:1100℃
噴霧圧力:9.8MPa(N2 ガス)
噴霧ノズル径:φ2mm
<熱間押出条件>
アトマイズ粉末30gをφ30mmの銅缶に入れ、3ton /cm2 の圧力でプリフォームを作製し、これを窒素ガス雰囲気中で1時間加熱して脱気した後、間接押出を行った。
【0096】
温度:400℃
押出比:12
ラム速度:0.2mm/秒
【0097】
【表8】
【0098】
表8の結果から、鋳造材の全てにおいて、TiB2 添加により強度と延性が大幅に向上していることが分かる。このように本発明は、組織微細化と分散強化とにより、強度と延性を同時に向上させることができるという、顕著な効果が得られる。
粉末冶金材についても、高い強度と延性が両立できることが分かる。本実施例では、鋳造材と同じ組成での評価しか行っていないが、TiB2 粒子はAl合金溶湯に溶け込まないため、TiB2 粒子の添加量を増加することにより、更に高強度の金属基複合材料を得ることもできる。
【0099】
上記各実施例では、AlまたはAl合金マトリクス中にTiC、ZrC、HfC、NbC、またはTiB2 粒子が分散したAl基複合材料を製造する場合について説明しが、本発明はこれに限定されることなく、急速加熱した際に化合物生成反応の自己発熱により最終的な化合物粒子の生成反応まで連続的に自動進行し得るマトリクス組成および化合物組成であれば、本発明を適用できることは勿論である。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、粉末成形体に溶湯を含浸した後に加熱して分散強化用化合物粒子を生成させる方法を改良し、高温・長時間の加熱を必要とせず極めて短時間の処理で、且つ一度に処理できる成形体のサイズを拡大し、高い生産性で金属基複合材料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Ti粉、黒鉛粉、Al粉から成る圧粉成形体にAlを含浸させた試料について、常温からゆっくりと昇温させる過程で生ずる発熱ピークと吸熱ピークを示す示差熱分析(DTA)チャートである。横軸は温度であり、縦軸は標準試料(測定温度範囲に発熱反応も吸熱反応もない物質)との温度差ΔTである。
【図2】図2は、本発明の急速加熱時に自己発熱により一連の反応が見掛け上一体として連続的に進行する場合の発熱ピークを、図1のDTA曲線と対比して模式的に示すグラフである。ただし、横軸は時間である。
【図3】図3は、含浸後の成形体のミクロ組織の一例を示す金属組織写真である。Alマトリクス(黒色)中に分散したTi粒子(白色)の周囲に1μm程度の微細なTiAl3 (灰色)が多数生成している。
【図4】図4は、純MgおよびAZ91合金の硬さとTiC粒子の添加量の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、純MgおよびAZ91合金の摩耗深さとTiC粒子の添加量の関係を示すグラフである。
【図6】図6は、純MgおよびAZ91合金の引張強さとTiC粒子の添加量の関係を示すグラフである。
【図7】図7は、純MgおよびAZ91合金の伸びとTiC粒子の添加量の関係を示すグラフである。
【図8】図8は、TiC粒子添加(A)ありおよび(B)なしの純Mg鋳造材のマクロ組織を示す金属組織写真である。
【図9】図9は、TiB2 粒子添加(A)ありおよび(B)なしのAC8C合金鋳造材のマクロ組織を示す金属組織写真である。
Claims (13)
- 金属または金属の合金から成る金属マトリクス中に第1元素と第2元素との化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法において、下記の工程:
該第1元素の粉末と、該第2元素または該第2元素の化合物の粉末と、該金属または金属の合金の粉末とから成る成形体を形成する工程、
該成形体中に該金属または金属の合金の溶湯を含浸させる工程、および
該含浸済の成形体の全体を不活性雰囲気中にて急速加熱することにより該成形体中で発熱反応である該第1元素と該金属との化合反応を生じさせ、この化合反応の発熱により該成形体を自動的に急速昇温させて該成形体中で前記化合物粒子の生成反応を生じさせる工程であって、該急速加熱の加熱速度は、該第1元素と該金属との化合反応で発生する熱から外部への放散および生じ得る吸熱反応による熱損失を差し引いた残余の熱により該成形体全体が前記化合物粒子の生成反応の生じる温度にまで自動的に昇温できるように十分な短時間で該第1元素と該金属との化合反応を進行させる加熱速度であり、該急速加熱による加熱到達温度は該第1元素と該金属との化合反応の生じ得る下限温度から前記化合物粒子の生成反応の生じ得る上限温度までの範囲内である工程、
を含むことを特徴とする金属基複合材料の製造方法。 - 請求項1記載の方法により生成した前記化合物粒子を含む成形体を金属または金属の合金の溶湯中に導入し、該成形体の金属マトリクスを該溶湯中に溶解させると共に該化合物粒子を該溶湯中に分散させた後、該溶湯を凝固させることを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
- 請求項1記載の方法において、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にTiCから成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がTi、前記第2元素がCであり、前記成形体を形成する工程においてTi粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
- 請求項3記載の方法において、前記成形体を形成する工程において前記C粉末に代えてSiC粉末を用いることを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
- 請求項1記載の方法において、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にZrCから成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がZr、前記第2元素がCであり、前記成形体を形成する工程においてZr粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
- 請求項1記載の方法において、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にHfCから成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がHf、前記第2元素がCであり、前記成形体を形成する工程においてHf粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
- 請求項1記載の方法において、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にNbCから成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がNb、前記第2元素がCであり、前記成形体を形成する工程においてNb粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
- 請求項1記載の方法において、AlまたはAlの合金から成る前記金属マトリクス中にTiB2 から成る前記化合物粒子が分散している金属基複合材料の製造方法であって、前記第1元素がTi、前記第2元素がBであり、前記成形体を形成する工程においてTi粉末とAlB2 またはAlB12粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成することを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
- AlまたはAl合金から成る金属マトリクス中にTiC粒子が分散している金属基複合材料の製造方法において、下記の工程:
Ti粉末とC粉末とAlまたはAl合金粉末とから成る成形体を形成する工程、
該成形体中にAlまたはAl合金の溶湯を含浸させる工程、および
該含浸済の成形体の全体を不活性雰囲気中にて急速加熱することにより該成形体中で該AlまたはAl合金の融点直近で起きるTiAl3 生成反応を生じさせ、該TiAl3 生成反応の発熱により該成形体を自動的に急速昇温させて該成形体中でTiC粒子生成反応を生じさせる工程であって、該急速加熱の加熱速度は、該TiAl3 生成反応で発生する熱から外部への放散および生じうる吸熱反応による熱損失を差し引いた残余の熱により該成形体全体が該TiC粒子生成反応の生じる温度にまで自動的に昇温できるように十分な短時間で該TiAl3 生成反応を進行させる加熱速度であり、該急速加熱による加熱到達温度は該TiAl3 生成反応の生じ得る下限温度から該TiC粒子生成反応の生じ得る上限温度までの範囲内である工程、
を含むことを特徴とする金属基複合材料の製造方法。 - 前記急速加熱の加熱到達温度が、固体Alと固体Tiとの化合によるTiAl3 生成反応の生じうる下限温度617℃から、固体TiAl3 と固体Cとの反応による固体TiC粒子生成反応の生じうる上限温度992℃までの範囲内の温度であることを特徴とする請求項9記載の金属基複合材料の製造方法。
- 前記急速加熱の加熱速度が20℃/分以上であることを特徴とする請求項3から10までのいずれか1項記載の金属基複合材料の製造方法。
- 前記急速加熱を誘導加熱により行うことを特徴とする請求項3から11までのいずれか1項に記載の金属基複合材料の製造方法。
- 請求項3から12までのいずれか1項記載の方法により生成したTiC粒子、ZrC粒子、HfC粒子、NbC粒子、TiB2 粒子のいずれかを含む前記成形体を、Al、Al合金、Mg、またはMg合金の溶湯中に導入し、該成形体の金属マトリクスを該溶湯中に溶解させると共に該粒子を該溶湯中に分散させた後、該溶湯を凝固させることを特徴とする金属基複合材料の製造方法。
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