JP3246358B2 - 半溶融金属の成形方法 - Google Patents

半溶融金属の成形方法

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JP3246358B2 JP29642096A JP29642096A JP3246358B2 JP 3246358 B2 JP3246358 B2 JP 3246358B2 JP 29642096 A JP29642096 A JP 29642096A JP 29642096 A JP29642096 A JP 29642096A JP 3246358 B2 JP3246358 B2 JP 3246358B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半溶融金属の成形方
法に係り、特に、保持容器に注湯された結晶核を有する
液相線温度以上の液体状態の合金、または、結晶核を有
する液相線温度未満で成形温度以上の固液共存状態の合
金を、一定範囲の平均冷却速度で冷却して加圧成形直前
まで保持することにより、微細な初晶を該合金液中に晶
出させるとともに、該保持容器内に入れられた合金の各
部の温度を、誘導加熱により、遅くとも成形する時まで
に所定の液相率を示す目標成形温度範囲内に収めるよう
に温度調整し、該保持容器から該合金を取り出し成形用
金型に供給して加圧成形する半溶融金属の成形方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】チクソキャスト法は、従来の鋳造法に比
べて鋳造欠陥や偏析が少なく、金属組織が均一で、金型
寿命が長いことや成形サイクルが短いなどの利点があ
り、最近注目されている技術である。この成形法(A)
において使用されるビレットは、半溶融温度領域で機械
撹拌や電磁撹拌を実施するか、あるいは加工後の再結晶
を利用することによって得られた球状化組織を特徴とす
るものである。これに対して、従来鋳造法による素材を
用いて半溶融成形する方法も知られている。これは、た
とえば、等軸晶組織を発生しやすいマグネシウム合金に
おいてさらに微細な結晶を生じさせるためにZrを添加
する方法(B)や炭素系微細化剤を使用する方法(C)
であり、またアルミニウム合金において微細化剤として
Al−5%Ti−1%B母合金を従来の2倍〜10倍程
度添加する方法(D)であり、これら方法により得られ
た素材を半溶融温度域に加熱し初晶を球状化させ成形す
る方法である。また、固溶限以内の合金に対して、固相
線近くの温度まで比較的急速に加熱した後、素材全体の
温度を均一にし局部的な溶融を防ぐために、固相線を超
えて材料が柔らかくなる適当な温度まで緩やかに加熱し
て成形する方法(E)が知られている。また、傾斜冷却
板に700℃程度のアルミニウム溶湯を流し、半溶融ア
ルミニウムを得て容器に集めて冷却する方法(F)が知
られている。
【0003】一方、ビレットを半溶融温度領域まで昇温
し成形する方法と異なり、球状の初晶を含む融液を連続
的に生成し、ビレットとして一旦固化することなく、そ
のままそれを成形するレオキャスト法(G)が知られて
いる。また、冷却体および傾斜冷却体に溶融金属を接触
させて得られた少なくとも一部が固液共存状態である金
属を半溶融温度域に保持することによりレオキャスト用
スラリを得る方法(H)が知られている。さらに、ビレ
ットケースに収容された溶湯に容器外部から、あるい
は、容器の中に直接、超音波振動を付与しながら冷却し
て半凝固ビレットを製造し、ビレットケースから該半凝
固ビレットを取り出し、そのまま成形するか、さらに高
周波誘導装置にて再加熱して成形する鋳造装置(I)が
知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た(A)の方法は撹拌法や再結晶を利用する方法のいず
れの場合も煩雑であり、製造コストが高くなる難点があ
る。また、マグネシウム合金においては(B)の場合に
は、Zrが高くコスト的に問題であり、(C)の方法で
は、炭化物系微細化剤を使用してその微細化効果を十分
に発揮させるためには、酸化防止元素であるBeを、た
とえば、7ppm程度に低く管理する必要があり、成形
直前の加熱処理時に酸化燃焼しやすく、作業上不都合で
ある。
【0005】一方、アルミニウム合金においては、単に
微細化剤を添加するだけでは500μm程度であり、2
00μm以下の微細な結晶粒の組織を得ることは容易で
はない。このため、多量に微細化剤を添加する方法
(D)があるが、微細化剤が炉底に沈降しやすく工業的
には難しく、かつコストも高い。さらに(E)の方法で
は、固相線を超えてから緩やかに加熱して素材の均一加
熱と球状化を図ることを特徴とするチクソ成形法が提案
されているが、通常のデンドライト組織を加熱してもチ
クソ組織(初晶デンドライトが球状化されている)には
変化しない。(F)の方法では、簡便に球状粒子の組織
を示す半溶融アルミニウムを得ることが出来るが、その
まま成形するための条件は整っていない。
【0006】しかも(A)〜(F)のいずれの場合も、
チクソ成形法によって半溶融成形するためには、一旦液
相を固化しそのビレットを再度半溶融温度領域まで昇温
する必要があり、従来鋳造法に比べてコスト高になり、
また原料としてのビレットはリサイクルが難しく、また
液相率もビレットのハンドリング上の問題から高く出来
ない。また、(G)の方法では、球状の初晶を含む融液
を連続的に生成供給するため、コスト的、エネルギ的に
もチクソキャストよりも有利であるが、球状組織と液相
からなる金属原料を製造する機械と最終製品を製造する
鋳造機との設備的連動が煩雑である。具体的には、鋳造
機械が故障した場合、半溶融メタルの処置が困る。
【0007】また、(H)の方法では、次のような問題
点がある。冷却体に接触させた後半溶融温度域に所定の
時間保持することになっているが、一旦凝固させてビレ
ットとした後再加熱後成形することを特徴とするチクソ
キャスト法と異なり、所定の時間保持後の半溶融メタル
をそのまま成形する場合、工業的な連続運転を考えた
時、短時間で成形に適した所定の液相率を示す温度分布
の良い合金を得る必要がある。しかし、単に保持するだ
けでは成形に適した液相率と温度分布を有するレオキャ
スト用の半溶融金属を得ることはできない。
【0008】(I)の方法では、容器内溶湯を冷却する
ための容器を使用するが容器内の金属の上部、下部は中
央部に比べて冷えやすく均一な温度分布を有する半凝固
ビレットを得ることは難しい。このため、そのまま成形
すれば不均一な組織の成形体が得られる。しかも、一
旦、ビレットケースから取り出された段階での半凝固ビ
レットの温度は該ビレットの元の形態を維持する必要が
あるところから半凝固ビレットの液相率は50%を超え
ることは困難であり、40%程度の液相率にならざるを
得ず、このため、ダイキャストによる成形には射出条件
等に工夫が必要である。また、仮に一旦40%未満の液
相率になった該ビレットを高周波誘導装置で再加熱して
も、同様に50%を超えることは困難であるから成形に
は射出条件等に工夫が必要である。また一度出来た該半
凝固ビレット内の温度の大きな不均一を解消するために
は時間がかかるため、高周波装置の出力もチクソ成形の
場合に近い高い出力が一時的にではあるが必要であり、
また高サイクルの連続生産のためには高周波誘導装置を
多く設置する必要がある。
【0009】また、半溶融成形を工業的に連続で行なう
に当たり、鋳造機の故障が生じた場合、半溶融状態の金
属の保持時間が所定の保持時間以上になることがある。
金属組織に問題がないかぎり所定の温度に維持すること
が望まれるが、特に室温から昇温して保持するチクソキ
ャスト法の場合、金属組織の粗大化とビレット形状の変
形が大きく(ビレットの下部になるほど径が大きい)、
しかも半溶融状態にある各ビレットの温度を個別に管理
できなければ、このような場合通常廃棄処分されるので
無駄である。
【0010】本発明は、上述の従来の各方法の問題点に
着目し、ビレットを使用することなく、しかも煩雑な方
法をとることなく、簡便容易に、球状化した初晶を含む
均一な組織と均一な温度分布を有する成形に適した半溶
融金属(従来チクソキャスト法よりも高液相率の半溶融
金属まで対象となる)を、チクソキャスト成形のために
通常使用される高周波誘導装置の50%以下の出力で速
やかに得て、加圧成形する方法を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決す
るために、本願発明においては、第1の発明では、熱伝
導率が1kcal/mh℃以上の保持容器に注湯された
結晶核を有する液相線温度以上の液体状態のアルミニウ
ム合金やマグネシウム合金、または、結晶核を有する液
相線温度未満で成形温度以上の固液共存状態の該アルミ
ニウム合金やマグネシウム合金を、0.01℃/s〜
3.0℃/sで冷却して加圧成形直前まで保持すること
により、微細な初晶を該合金液中に晶出させるととも
に、該保持容器内に入れられた合金の各部の温度を誘導
加熱により遅くとも成形する時までに、該合金の高圧鋳
造法もしくは押出し法もしくは鍛造法であって、高圧鋳
造法の場合は75%未満、押出し法や鍛造法では1.0
〜70%の液相率を示す成形温度範囲内に収めるように
温度調整し、該保持容器から該合金を取り出し成形用金
型に供給して加圧成形することにした。
【0012】また、第2の発明では、第1の発明におけ
る誘導加熱は、保持容器内で降温する合金の代表温度が
注湯直後から目標成形温度に対して10℃以上低下しな
い段階までに、所定量の電流を所定時間流して、該保持
容器内の合金の各部の温度を成形温度に対して−5℃〜
+5℃の温度範囲内に収めるように加熱調整するように
した。また、第3の発明では、第1および第2の発明に
おいて、保持容器内の合金の各部の温度が誘導加熱によ
り所定時間内に成形温度範囲内に調整された後は、該誘
導加熱で使用した周波数と同等もしくはそれよりも高い
周波数の誘導加熱により成形工程の直前まで該合金を温
度保持することとした。さらに、第4の発明では、第1
の発明ないし第3の発明において、少なくとも保持容器
の上部、下部のいずれかを保温するか、あるいは、保持
容器の中央部に比べて高温に加熱するか、あるいは、保
持容器の上部、下部の厚みを該保持容器の中央部よりも
薄くした。
【0013】また、第5の発明では、第1ないし第4の
発明において、保持容器内の合金の冷却方法を、該保持
容器の外側から該保持容器に向けて、少なくとも空気ま
たは水のいずれかを噴射するようにした。さらに、第6
の発明では、第5の発明において、保持容器の外側を2
ケ所以上の異なる高さ位置からそれぞれ独立に、少なく
とも所定の温度の空気または水のいずれかを、噴射条件
および噴射時期を任意に変えて噴射することができるよ
うにした。そして、第7の発明では、第1の発明ないし
第6の発明において、成形用金型に供給する合金の液相
率が1.0%以上で75%未満とした。
【0014】また、第8の発明では、結晶核の生成方法
として、液相線温度に対して50℃未満の過熱度の溶湯
を用いて保持容器内に注湯され蓄えられていく合金に、
注湯中加振棒を浸漬して直接接触させながら該加振棒を
加振して該合金に振動を与えるか、あるいは、保持容器
に合金を注湯中に加振棒を加振するとともに該保持容器
に振動を与えることとした。さらに、第9の発明では、
結晶核の生成方法として、液相線温度に対して過熱度を
50℃未満に保持されたBを0.001%〜0.01
%、Tiを0.005%〜0.3%含むアルミニウム合
金溶湯を保持容器内に注ぐこととした。そして、第10
の発明では、結晶核の生成方法として、液相線温度に対
して過熱度を50℃未満に保持されたSrを0.005
%〜0.1%含む、あるいはSiを0.01%〜1.5
%およびSrを0.005%〜0.1%含む、あるいは
Caを0.05%〜0.30%含むマグネシウム合金溶
湯を保持容器内に注ぐこととした。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、熱伝導率が1kca
l/mh℃以上の保持容器に注湯された結晶核を有する
液相線温度以上の液体状態の合金、または、結晶核を有
する液相線温度未満で成形温度以上の固液共存状態の合
金を、0.01℃/s〜3.0℃/sの平均冷却速度で
冷却して加圧成形直前まで保持することにより、微細な
初晶を該合金液中に晶出させるとともに、該保持容器内
に入れられた合金の各部の温度を誘導加熱により遅くと
も成形する時までに所定の液相率を示す目標成形温度範
囲内に収めるように温度調整し、該保持容器から該合金
を取り出し成形用金型に供給して加圧成形するようにし
たため、成形工程以前の合金の温度管理が理想的に行な
われるので、球状化した初晶を含む均質な組織を有する
優れた成形体が得られる。
【0016】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図1〜図12は本発明の実施例に係
り、図1は最大固溶限以上の組成の亜共晶アルミニウム
合金の半溶融金属の成形方法を示す工程説明図、図2は
最大固溶限内組成のマグネシウム合金あるいはアルミニ
ウム合金の半溶融金属の成形方法を示す工程説明図、図
3は球状初晶の生成から成形までの工程説明図、図4は
図3に示した各工程の金属組織の模写図、図5は代表的
なアルミニウム合金であるAl−Si系合金の平衡状態
図、図6は代表的なマグネシウム合金であるMg−Al
系合金の平衡状態図、図7は本発明例の成形体の金属組
織を示す顕微鏡写真の模写図、図8は比較例の成形品の
金属組織を示す顕微鏡写真の模写図、図9は保持容器内
のAC4CH合金の温度分布と冷却速度の相関を説明す
るグラフ、図10は保持容器内のAC4CH合金の温度
分布に及ぼす高周波誘導加熱の影響度を示すグラフ、図
11は保持容器内のAC4CH合金の温度分布に及ぼす
高周波誘導加熱の影響度を示すグラフ、図12は成形温
度に到達した後の半溶融金属の成分均質化に及ぼす高周
波誘導加熱保持の影響度を示す説明図である。
【0017】本発明においては、図1、図2、図3、図
5、図6に示すように、まず、液相線温度に対する過熱
度が50℃未満に保持された最大固溶限以上の組成の亜
共晶アルミニウム合金あるいは最大固溶限内組成のマグ
ネシウム合金、アルミニウム合金の溶湯を保持容器に注
湯しつつ、加振棒を保持容器内の合金中へ浸漬して合金
と直接接触させながら加振棒を加振することにより合金
に振動を与え、注湯完了後直ちに該加振棒を引き上げる
ことにより、合金より離脱させる。
【0018】このようにして、液相線温度以上で結晶核
を有する液体状態の合金または液相線温度以下で成形温
度以上の結晶核を有する固液共存状態にし、引き続き所
定の液相率を示す成形温度まで該保持容器内の合金を、
該保持容器の外側から容器に、たとえば、室温の空気を
噴射して0.01〜3.0℃/sの平均冷却速度で冷却
して加圧成形直前まで保持することにより、微細な初晶
を該合金液中に晶出させるとともに、該保持容器内に入
れられた合金の各部の温度を誘導加熱により遅くとも成
形する時までに所定の液相率を示す目標成形温度範囲内
に収めるように温度調整し、該保持容器から該合金を取
り出し成形用金型に供給して加圧成形するようにした。
【0019】ここで「所定の液相率」とは、加圧成形に
適する液相率を意味する。ダイカスト鋳造、スクイズ鋳
造などの高圧鋳造では液相率は75%未満、好ましくは
40%〜65%とする。40%未満では保持容器30か
らの取り出しが容易でなく、また取り出された素材の成
形性が劣る。
【0020】一方、75%を超える場合は素材が軟らか
いためハンドリングが難しいばかりでなく、ダイキャス
ト機の金型内溶融金属を射出するためのスリーブへの挿
入時に周辺空気を巻き込み、あるいは成形された鋳造品
の金属組織には偏析が発生して均一な組織が得にくいな
どの問題がある。このため、75%以下、好ましくは6
5%以下とする。押出法や鍛造法では,1.0%〜70
%、好ましくは10%〜65%とする。70%を超える
場合は組織の不均一が生じる惧れがある。このため、7
0%以下、好ましくは65%以下とする。また、1.0
%未満では変形抵抗が高いので、1.0%以上とする。
なお、40%未満の液相率の合金を用いて押出法や鍛造
法を行なう場合、40%以上の液相率で該合金を保持容
器から取り出し、その後40%未満に液相率を下げる。
【0021】本発明でいう「保持容器」とは、金属製容
器または非金属製容器(セラミック容器を含む)とする
か、あるいは金属材料を表面に塗布またはコーティング
した金属製容器、もしくは非金属材料を複合させた金属
製容器とする。非金属材料を金属製容器の表面に塗布す
るのはメタルの付着防止に効果的である。また、保持容
器を加熱する手段として、該保持容器の内部あるいは外
部をヒータで加熱する方法があるが、高周波誘導装置も
適用ができる。本発明でいう「代表温度」とは、保持容
器内に入れられた合金の中心温度を示す。もっと具体的
に言うと、保持容器内合金の高さ方向の中心で、かつ、
径方向の中心位置の温度を意味する。ただし、実操業時
には、この両中心位置の温度を測定し難いので、実操業
の際は、半溶融金属の表面から所定の深さ(たとえば、
1cm)の位置で温度を計測する。そして、この温度か
ら、あらかじめ調査された代表温度と各部の温度との関
係を利用して、代表温度を推定する。
【0022】また、本発明では、「結晶核発生方法」と
して、容器への注湯中に振動治具を使用して結晶核を発
生する方法、微細化剤を含む低温溶湯を使用する方法を
提案しているが、結晶核の発生の方法として、公知の技
術、たとえば、結晶遊離法を応用したSeed Pou
ring法(水冷傾斜冷却板の上に溶湯を流す)や、融
点の異なる二液相の混合などによる方法を採用してもよ
い。本発明の「保持容器に注湯され蓄えられていく合金
に、注湯中加振棒を浸漬して直接接触させながら該加振
棒を加振して該合金に振動を与える」とは、保持容器内
へ入れられた加振棒に注湯するということではない。本
発明では、保持容器内へ入れられた後に溜まりつつある
液体状合金を、該合金に浸漬された加振棒により振動さ
せるものである(注湯完了と同時に加振棒は合金から離
脱される)。
【0023】なお、本発明の「振動」とは、振動発生装
置の種類、振動条件(周波数、振幅)を限定するもので
ないが、市販のエア式振動装置、電動式振動装置でもよ
く、また使用される振動条件としては、たとえば、周波
数は10Hz〜50kHz、好ましくは50Hz〜1kH
z、片振幅は1mm〜0.1μm、好ましくは500μ
m〜10μmが望ましい。
【0024】また、結晶核を発生させ微細な球状組織を
得るために、アルミニウム合金においてはTi、Bを添
加し、マグネシウム合金においてはSr、Si、Caを
添加する。Tiが0.005%未満であればその効果は
小さく、0.30%を超えれば粗大なTi化合物が発生
し延性が低下するので、Tiは0.005%〜0.30
%とする。BはTiと相まって微細化を促進するが、
0.001%未満であれば微細化効果は小さく、0.0
1%を超えて添加してもそれ以上の効果を期待できない
のでBは0.001%〜0.01%とする。Srが0.
005%未満であれば微細化効果は小さく、0.1%を
超えて添加してもそれ以上の効果を期待できないので
0.005%〜0.1%とする。0.005%〜0.1
%のSrに0.01%〜1.5%のSiを複合添加する
ことにより、Sr単独添加よりもさらに微細な結晶粒が
得られる。Caが0.05%未満では微細化効果は小さ
く、0.30%を超えて添加してもそれ以上の効果を期
待できないのでCaは0.05%〜0.30%とする。
【0025】具体的には以下のとおりの手順により作業
を進める。図3および図4の工程[1]において、ラド
ル10内に入れられた完全液体である合金M1 を工程
[2]において、保持容器(セラミック容器もしくはセ
ラミックコーティング金属容器)30に注湯された合金
に加振棒20を入れて該合金中に浸漬し直接接触させな
がら加振棒20を加振して該合金に振動を与え、また注
湯中、必要に応じて保持容器30に振動装置40を介し
て振動を与え、注湯完了後加振棒20を直ちに引き上げ
ることにより、液相線近傍の液体状態、固液共存状態の
合金に結晶核を発生させる。
【0026】次に、工程[3]において該合金を、0.
01℃/s〜3.0℃/sの平均冷却速度で該合金を冷
却しつつ加圧成形直前まで保持容器30内に保持し、微
細な初晶を該合金液中に晶出させつつ誘導加熱(保持容
器30回りの加熱コイル80に通電すること)により、
該容器内の合金の各部の温度を注湯直後から遅くとも成
形する時点までに所定の液相率を示す目標成形温度範囲
内に収めるように温度調整する。冷却に当たっては、保
持容器の外側から保持容器に向けて空気(または水)9
0を噴射する。また、必要に応じて上部、下部を断熱材
で保温もしくは加熱した保持容器30において半溶融状
態で保持し、導入された結晶核から微細な球状(非デン
ドライト状)の初晶を生成させる。このようにして得ら
れた所定の液相率を有する合金M2 を、たとえば、工程
[3]−dのように保持容器30を反転し、ダイキャス
トマシンの射出スリーブ50に所定の液相率の合金を挿
入した後、ダイカストマシンの金型キャビティ60a内
で加圧成形して成形品を得る。
【0027】図9は、保持容器内のAC4CH合金の温
度分布と冷却速度の相関を説明するグラフであり、保持
容器30内のAC4CH合金の温度分布に及ぼす冷却速
度(615℃〜585℃)の影響度を示したもので、冷
却速度が速くなるにしたがって、温度分布が大きくなる
のが判る。図9のうち、図9(a)は、冷却速度が0.
3℃/sの場合を示し、保持容器外部から空気を噴射し
て冷却した場合で、容器上部を断熱材にて保温し、容器
下部に断熱材を配置した。図9(b)は、冷却速度が
0.2℃/sで冷却した場合を示し、容器上部、下部を
断熱材にて保温したうえ、大気中にて冷却した場合を示
す。
【0028】図10は、保持容器内のAC4CH合金の
温度分布に及ぼす高周波誘導加熱の影響度を示すグラフ
であり、保持容器30内のAC4CH合金の温度分布に
及ぼす高周波誘導加熱の影響度を示している。代表温度
(保持容器内合金の中心温度)が、目標成形温度の+3
℃に到達してから空気噴射を停止し、目標温度に到達し
て高周波誘導を稼働開始する。
【0029】図11は、保持容器内のAC4CH合金の
温度分布に及ぼす高周波誘導加熱の影響度を示すグラフ
であり、保持容器30内のAC4CH合金の温度分布に
及ぼす高周波誘導の影響度を示す。代表温度(保持容器
内合金の中心温度)が目標成形温度よりも11℃だけ低
い温度(目標温度−11℃)に到達してから空気噴射を
停止し、高周波誘導加熱を開始する。目標成形温度に対
して下がり過ぎないうちに、高周波誘導装置が稼働開始
すれば、低い出力で短時間に保持容器30内の合金各部
の温度を目標成形温度に維持出来るが、目標成形温度に
対して10℃以上低くなって高周波誘導装置が働いた場
合、容器内の各部の温度を均一化することは簡単ではな
く、高い出力と長時間の誘導加熱が必要になる。このた
め、誘導加熱は、保持容器30内で温度降下する合金の
代表温度が目標成形温度に対して10℃以上低下しない
段階で、所定量の電流を所定の時間一回以上流す。
【0030】図12は、成形温度に到達した後の半溶融
金属の成分均質化に及ぼす高周波誘導加熱保持の影響度
を示す説明図である。図12はいずれも保持容器30内
の合金の状態を示す縦断面図であり、図中、図12
(a)は成形温度に到達したときの状態、図12(b)
は高周波誘導装置にて周波数8KHzで誘導加熱し20
分間保持した状態、図12(c)は高周波誘導装置にて
周波数40KHzで誘導加熱し20分間保持した状態を
示す。成形温度に調整前の高周波誘導装置の周波数は8
KHzである。成形温度への到達時の場合(図12
(a)の状態)には起こらないが、保持時間が長いと図
12(b)に示したように、上部の外周部に液相と固相
が均一に混ざり合っている半溶融金属のうち液相が上部
外周部に偏在する現象が観察される(図中の黒色の部分
が液相である)。
【0031】これは高周波誘導中に保持容器30内の金
属が盛り上がって来ることから、半溶融金属中の液相が
主に撹拌力により容器上部に浮上したために生じたもの
であると考えられる。しかし、撹拌力を抑えるために、
保持容器内の半溶融金属の温度が成形温度に調整された
後は、より高い周波数の誘導加熱をすることにより、そ
の程度を軽減することが出来る。このため、容器内の合
金各部の温度が誘導加熱により、所定時間内に目標成形
温度範囲内に調整された後は該誘導加熱で使用した周波
数と同等、もしくは、それよりも高い周波数の誘導加熱
により成形工程の直前まで該合金を温度保持するように
する。
【0032】図1、図2、図3、図4、図11に示す本
発明例と、従来のチクソキャスト法やレオキャスト法の
違いを説明すると、本発明では、従来法のように半溶融
温度領域で晶出したデンドライト状の初晶を機械撹拌や
電磁撹拌で強制的に破砕球状化することはなく、半溶融
温度領域での温度低下とともに液中に導入された結晶核
を起点として晶出、成長する多数の初晶が合金自身が持
っている熱量により(必要に応じて外部から加熱保持さ
れることも有り得る)、連続的に球状化されるととも
に、低い出力の高周波誘導加熱による均一な組織と均一
な温度分布を特徴にしており、チクソキャスト法におけ
るビレットの再昇温による半溶融化の工程が省かれてい
るため極めて簡便で経済的な方法である。
【0033】上述した各工程、すなわち、図3に示す保
持容器30への注湯工程、初晶の生成、球状工程、成形
工程のそれぞれにおいて設定された核生成条件、球状化
条件および成形条件や本発明で示した数値限定理由につ
いて、以下に説明する。保持容器30に注湯される溶湯
の温度が液相線温度に対して50℃以上高ければ、
(1)結晶の核発生が少なく、しかも、(2)容器に注
がれた時の合金の温度が液相線よりも高いために、残存
する結晶核の割合も少なく、初晶のサイズが大きく、不
定形のデンドライトが発生する。
【0034】このため、注湯温度は液相線に対する過熱
度を50℃未満とし、また液相線温度に対する過熱度を
30℃未満とすることにより、より微細な初晶サイズと
することが出来る。
【0035】保持容器30に注湯された合金M1 が成形
に適した液相率を示すまで冷却される際に、容器上部お
よび容器下部が加熱もしくは保温されない場合、該容器
の上部および/あるいは下部の合金M1 の表皮部にデン
ドライト状の初晶が発生したり、凝固層が成長し保持容
器30内の金属の温度分布も不均一になるため、高周波
誘導により加熱しても保持容器30から合金を反転して
取り出す場合、保持容器30から所定の液相率の合金を
排出出来なかったり、保持容器30内部に凝固層が残り
連続成形が困難になったり、温度分布が完全には改善さ
れなかったりする。このため、注湯後成形温度までの保
持時間が短い場合、冷却過程では保持容器上部および/
あるいは保持容器下部を保持容器中央部より加熱した
り、あるいは、保温し、必要に応じて注湯後の冷却過程
だけでなく、注湯前にあらかじめ該保持容器30の上
部、下部を加熱する。また、保持容器30厚みを薄くす
ることにより、凝固層の生成が抑制されるため、保持容
器上部厚み、下部厚みを保持容器中央部厚みよりも薄く
することより、保持容器30からの合金の排出を容易に
する。
【0036】保持容器30の熱伝導率が、1.0kca
l/mhr℃未満の材質であれば、冷却時間が長くなり
工業的には不都合であるため、保持容器30の熱伝導率
を1.0kcal/mhr℃以上とする。金属性の保持
容器30を使用する場合は、該保持容器30の表面に非
金属性物質(例えばBN、黒鉛など)を塗布することが
好ましい。塗布する方法は、機械的、化学的、物理的方
法のいずれでも構わない。また、通気性のある容器を保
持容器30として使用する場合、あるいは、長時間保持
される場合、マグネシウム合金およびアルミニウム合金
は酸化しやすいため、保持容器外部を所定の雰囲気(不
活性雰囲気,減圧雰囲気など)にすることが好ましい。
また金属性容器を使用する場合においても、マグネシウ
ム合金は酸化しやすいので、不活性雰囲気やCO2雰囲
気にすることが望ましい。また、酸化防止を図るために
予め金属溶湯にマグネシウム合金ではBe、Caを、ア
ルミニウム合金ではBeを添加することができる。な
お、容器30の形状は筒状に限定されるものではなく、
その後の成形法に適した形状を採用してもよい。
【0037】その保持容器30での平均冷却速度が3.
0℃/sよりも速ければ、所定の液相率を示す目標成形
温度範囲に収めることが誘導加熱を用いても容易でな
く、また、球状の初晶を生成することが困難である。一
方、平均冷却速度が0.01℃/s未満であれば、冷却
時間が長く工業生産の上では不都合である。このため、
平均冷却速度は0.01℃/s〜3.0℃/sとし、さ
らに好ましくは、0.05℃/sと〜1℃/sとする。
【0038】保持容器30の冷却を積極的に行なう場
合、保持容器30の外側から該保持容器30に向けて少
なくとも空気、水のいずれかを噴射し、必要に応じて保
持容器外側を2箇所以上の異なる高さの位置からそれぞ
れ独立に、噴射条件および噴射時期を任意に変えて行な
う。噴射する物質、噴射する量、速度、位置、噴射時期
は、保持容器30内の合金、保持容器30の材質、肉厚
などにより変化する。
【0039】成形前の保持容器内部の合金の温度が目標
成形温度に対して、−5℃〜+5℃範囲を超えれば、均
質な組織の成形品が鋳造後に得られないので、目標成形
温度に対して、−5℃〜+5℃範囲に保持容器内部の合
金の温度を誘導加熱により調整する。
【0040】注湯される合金に結晶核を与えるために加
振棒20を使用する場合、連続的に加振棒20を使用
し、かつ、結晶を多数発生させるために、内部あるいは
外部から冷却できるものであること、加振棒20の表面
に非金属性物質を塗布することが好ましい。なお、振動
をさせないで内部から冷却できる棒を単に使用した場合
は、たとえ非金属性物質を塗布していても、注湯された
合金から棒を引き上げたとき、棒表面に凝固層が多量に
付着したり、樹枝状晶が保持容器内の合金中に多数認め
られたりする。このため、冷却できる棒を溶湯に接触さ
せる場合、棒が振動されることとする。
【0041】加振棒20を使用すれば、保持容器内部の
合金に微細な初晶を晶出させることは出来る。しかし、
保持容器30に接触する部分に樹枝状晶が発生すること
がある。このため、注湯中、保持容器30に振動を与え
ることが好ましい。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1に成形前の半溶融金属の成形条件、表
2に成形前の容器内金属の温度分布および成形材の品質
を示す。成形は、図3に示すように、半溶融金属をスリ
ーブ50に挿入し、その後スクイズ鋳造機を用いて行な
った。成形条件は、加圧力を950kgf/cm2 、射
出速度を0.5m/s、鋳造品重量(ビスケット含む)
を1.5kg、金型温度を230℃とした。ただし、表
1および表2中のNo.13は、押出機を用いて成形し
た時の成形条件と成形材の品質を示す。成形は半溶融金
属をコンテナに挿入して押出成形を行った。成形条件は
以下のとおりである。 (1)押出機仕様;800t、 (2)押出速度(製品速度);80m/min. (3)押出比;20 (4)押出ビレット直径;75mm
【0045】比較例14では、保持容器30内で温度降
下する合金の代表温度が、目標成形温度に対して10℃
以上低下して誘導加熱を行なったために、目標成形温度
範囲に対して−5℃〜+5℃の範囲内に収めることがで
きず、均質な組織の成形体を得ることが出来なかった。
比較例15では、冷却速度が遅かったために温度分布に
ついては大きな問題はないが、初晶のサイズが200μ
mを超え、また連続生産の上では不都合である。比較例
16では、保持容器内の合金の各部の温度が目標成形温
度範囲に調整された後の誘導加熱による保持時間が長
く、しかも周波数の変更をしなかったために、半溶融金
属の上部の外周部に液相が多かった。比較例17では、
冷却速度が速すぎるために、誘導加熱を行なっても、目
標成形温度範囲に対して−5℃〜+5℃の範囲内に収め
ることが出来ず、均質な組織の成形体を得ることが出来
ないばかりでなく、凝固層が容器内部に出来たりして、
容器からの半溶融金属の取り出しが困難であった。比較
例18では、注湯温度が高いために、容器への注湯後の
溶湯の温度が高いために結晶核が残存せず、不定形の樹
枝状晶が多数発生した。比較例19では保持容器の保温
が不十分であるために、保持容器の上部にある金属は早
く冷却し保持容器から取出すことが容易でなかった(図
8参照)。
【0046】一方、本発明1〜本発明13では、図7に
示すように、不定形の樹枝状晶は認められず、微細な球
状の初晶を有する均質な組織の成形体が得られた。
【0047】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明に係る半溶融金属の成形方法では、従来の機械撹
拌法、電磁撹拌法によらず、簡便容易にかつ、低コスト
で微細かつ球状の組織を有する成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る最大固溶限以上の組成の亜共晶ア
ルミニウム合金の半溶融金属の成形方法を示す工程説明
図である。
【図2】本発明に係る最大固溶限内組成のマグネシウム
合金あるいはアルミニウム合金の半溶融金属の成形方法
を示す工程説明図である。
【図3】本発明に係る球状初晶の生成から成形までの工
程説明図である。
【図4】図3に示した各工程の金属組織の模写図であ
る。
【図5】本発明に係る代表的なアルミ合金であるAl−
Si系合金平衡状態図である。
【図6】本発明に係る代表的なマグネ合金であるMg−
Al系合金平衡状態図である。
【図7】本発明例の成形品(AC4CH合金)の金属組
織を示す顕微鏡写真の模写図である。
【図8】比較例の成形品(AC4CH合金)の金属組織
を示す顕微鏡写真の模写図である。
【図9】本発明の実施例に係る保持容器内のAC4CH
合金の温度分布と冷却速度の相関を説明するグラフであ
る。
【図10】本発明の実施例に係る保持容器内のAC4C
H合金の温度分布に及ぼす高周波誘導加熱の影響度を示
すグラフである。
【図11】本発明の実施例に係る保持容器内のAC4C
H合金の温度分布に及ぼす高周波誘導加熱の影響度を示
すグラフである。
【図12】本発明の実施例に係る成形温度に到達した後
の半溶融金属の成分均質化に及ぼす高周波誘導加熱保持
の影響度を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ラドル 20 加振棒 30 保持容器(金属容器もしくは非金属容器) 40 加振装置 50 射出スリーブ 60 金型 60a 金型キャビティ 70 保温材 80 コイル 90 エア(もしくは水) M 溶湯金属 T 保持時間 t 容器内メタル温度
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−103859(JP,A) 特開 平8−60267(JP,A) 特開 平7−164108(JP,A) 特開 平7−100612(JP,A) 特開 平6−279889(JP,A) 特開 平8−325652(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/02 B22D 17/00 - 17/32 B22D 27/00 - 27/20

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導率が1kcal/mh℃以上の保
    持容器に注湯された結晶核を有する液相線温度以上の液
    体状態のアルミニウム合金やマグネシウム合金、また
    は、結晶核を有する液相線温度未満で成形温度以上の固
    液共存状態の該アルミニウム合金やマグネシウム合金
    を、0.01℃/s〜3.0℃/sで冷却して加圧成形
    直前まで保持することにより、微細な初晶を該合金液中
    に晶出させるとともに、該保持容器内に入れられた合金
    の各部の温度を誘導加熱により遅くとも成形する時まで
    に、該合金の高圧鋳造法もしくは押出し法もしくは鍛造
    法であって、高圧鋳造法の場合は75%未満、押出し法
    や鍛造法では1.0〜70%の液相率を示す成形温度範
    囲内に収めるように温度調整し、該保持容器から該合金
    を取り出し成形用金型に供給して加圧成形することを特
    徴とする半溶融金属の成形方法。
  2. 【請求項2】 誘導加熱は、保持容器内で降温する合金
    の代表温度が注湯直後から目標成形温度に対して10℃
    以上低下しない段階までに、所定量の電流を所定時間流
    して、該保持容器内の合金の各部の温度を成形温度に対
    して−5℃〜+5℃の温度範囲内に収めるように加熱調
    整することとした請求項1記載の半溶融金属の成形方
    法。
  3. 【請求項3】 保持容器内の合金の各部の温度が誘導加
    熱により所定時間内に成形温度範囲内に調整された後
    は、該誘導加熱で使用した周波数と同等もしくはそれよ
    りも高い周波数の誘導加熱により成形工程の直前まで該
    合金を温度保持することとした請求項1および請求項2
    記載の半溶融金属の成形方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも保持容器の上部、下部のいず
    れかを保温するか、あるいは、保持容器の中央部に比べ
    て高温に加熱するか、あるいは、保持容器の上部、下部
    の厚みを該保持容器の中央部よりも薄くした請求項1記
    載ないし請求項3記載の半溶融金属の成形方法。
  5. 【請求項5】 保持容器内の合金の冷却方法を、該保持
    容器の外側から該保持容器に向けて、少なくとも空気ま
    たは水のいずれかを噴射するようにした請求項1記載な
    いし請求項4記載の半溶融金属の成形方法。
  6. 【請求項6】 保持容器の外側を2ケ所以上の異なる高
    さ位置からそれぞれ独立に、少なくとも所定の温度の空
    気または水のいずれかを、噴射条件および噴射時期を任
    意に変えて噴射することができるようにした請求項5記
    載の半溶融金属の成形方法。
  7. 【請求項7】 成形用金型に供給する合金の液相率が
    1.0%以上で75%未満とした請求項1記載ないし請
    求項6記載の半溶融金属の成形方法。
  8. 【請求項8】 結晶核の生成方法として、液相線温度に
    対して50℃未満の過熱度の溶湯を用いて保持容器内に
    注湯され蓄えられていく合金に、注湯中加振棒を浸漬し
    て直接接触させながら該加振棒を加振して該合金に振動
    を与えるか、あるいは、保持容器に合金を注湯中に加振
    棒を加振するとともに該保持容器に振動を与えることと
    した請求項1記載ないし請求項7記載の半溶融金属の成
    形方法。
  9. 【請求項9】 結晶核の生成方法として、液相線温度に
    対して過熱度を50℃未満に保持されたBを0.001
    %〜0.01%、Tiを0.005%〜0.3%含むア
    ルミニウム合金溶湯を保持容器内に注ぐこととした請求
    項1記載ないし請求項8記載の半溶融金属の成形方法。
  10. 【請求項10】 結晶核の生成方法として、液相線温度
    に対して過熱度を50℃未満に保持されたSrを0.0
    05%〜0.1%含む、あるいはSiを0.01%〜
    1.5%およびSrを0.005%〜0.1%含む、あ
    るいはCaを0.05%〜0.30%含むマグネシウム
    合金溶湯を保持容器内に注ぐこととした請求項1記載な
    いし請求項8記載の半溶融金属の成形方法。
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