JP3776629B2 - 開口仮封止栓付缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、容易に開蓋することができると共に、缶体に封入された飲料等の内容物が飲みやすい形状又は注ぎ出しやすい形状を有し、かつ、開蓋後に開口部を仮封止することができる開口仮封止栓付缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イージーオープン缶として、スコア線などのように、押圧により破断する破断線によって缶蓋に区画形成された開口片を押圧し、その開口片を破断線に沿って破断させるタイプの缶が知られている。これらの缶として、例えば特開平8−169454号公報に記載されたものと米国特許第4976368号明細書に記載されたものとがある。
【0003】
特開平8−169454号公報に記載された発明は、蓋部材において環状移行部からスカートまたはエプロンが容器本体から離れる方向であってその中心軸に近づく方向に向かって伸び、その先端に頭部を介してトップが形成されている。そして、そのトップには、ヒンジ部となる部分を除く破断線(スコア線)によって囲まれた凹型押し下げタブ(開口片)が形成されている。そして、缶蓋を開ける場合には、その凹型押し下げタブを指で押圧することにより破断線を破断しつつ凹型押し下げタブを容器本体内部に押し下げて、開口片を缶蓋の内面側に吊り下げ状態にすることによって缶蓋を開ける。
【0004】
また、米国特許第4976368号明細書に記載された発明は、缶蓋上方へ突出した外周壁とその外周壁から内方へ平坦な環状パネルが延出し、さらに環状パネルから下方に内周壁が垂下し、その内周壁の下端が折り畳まれて三重層になっており、その最下層に、ヒンジ部となる部分を除いて形成された破断線(スコア線)により開口片が区画されて形成されている。そして、この開口片には凸タブが形成されており、缶蓋を開ける場合には、その凸タブを指で押し下げて開口片を破断線の部分で破断し、開口片を缶蓋の内面側に吊り下げ状態にして缶蓋を開ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の二つの発明では、指を開口片に押し付けながら押し下げ、破断線部分を破断しつつ開口片を缶体内へ押し下げて缶蓋を開けるので、缶体に封入された飲料等が指に付着する可能性がある。特に、炭酸ガス含有飲料では、開蓋時に飲料が噴き出ることがあるので、飲料が指に付着する可能性が高い。また、開蓋の際に開口片の縁部によって指を傷つける可能性があると共に、消費者の指の大きさや長さ、押圧力の大小等の個人差によって、指で缶蓋を開けることが容易ではない場合が生じる可能性がある。なお、小さな押圧力でも缶蓋を開けることができるように、破断線を弱い力で破断するようにしておくこと、例えば、スコア線を全周にわたって深く刻むことや、ヒンジ部となる部分を除いて開口部の周りを一旦切断した後に、この切断部分をプラスチゾルなどの密封剤で接合して破断線を形成する場合に、密封剤の接着力を弱くしておくことが考えられる。しかし、このような構成を採用したとすると、缶体の輸送中に受ける衝撃により、破断線が破断する可能性があり、また、内圧力が高くなった場合に、破断線が破断して封入された飲料が噴き出る可能性があるから、破断線をあまり広範囲にわたって弱くすることはできない。さらに、缶蓋を開けた際に、開口片は缶体内部に押し下げられるので、その開口片によって開口部を再度封止することはできない。
【0006】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、容易に缶蓋を開けることができると共に、開けられた缶蓋を仮封止することの可能な開口仮封止栓付缶を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、筒形状の缶胴と、この缶胴の開口端に環状の巻締部を介して固着された缶蓋とを有し、この缶蓋が、その一部を前記缶胴の軸線方向に突出させると共に屈曲させて縦断面形状を略逆U字形となし、かつ、前記巻締部と同心状に形成された係合突起部と、この係合突起部の内周側に接続され、かつ、前記係合突起部の先端よりも前記缶胴の内部寄りの位置に配置された円板形状部とを有し、この円板形状部の少なくとも一部に、押圧破断容易で両端部が閉じていない略円形の第一破断線により区画された第一開口片が設けられ、かつ、この第一破断線が、前記円板形状部の一部を環状に折り畳んだ折り畳み部によって覆われている缶において、前記第一開口片には、前記第一破断線の内側に形成され、かつ、押圧破断容易で両端部が閉じていない略円形の第二破断線により区画された第二開口片が設けられていると共に、前記係合突起部には、この係合突起部に対して着脱可能に構成された開口仮封止栓が取り付けられており、前記係合突起部の外周面に係合部が形成され、前記開口仮封止栓が、前記係合部に係合する第一仮止め突起部を有する第一円筒部と、前記第一円筒部とは軸線方向の反対側に突出する第二円筒部と、この第二円筒部の内周側に形成されてこの第二円筒部と同じ方向に突出し、かつ、前記第二開口片を押圧して前記第二破断線を破断させる第二押圧部と、前記第二破断線の破断後に前記第一開口片を押圧して前記第一破断線を破断させると共に、前記第二円筒部を前記係合突起部に当接した状態で、前記第一破断線の破断により形成される開口部を封止する第一押圧部とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
したがって、請求項1の発明によれば、開口仮封止栓に設けられている第二押圧部により第二破断線を破断し、かつ、第一押圧部により第一破断線を破断するため、指を傷つけたり、指に飲料等の内容液が付着する恐れがない。また、先に、第二押圧部が第二開口片に当接して押圧され、第二破断線が破断して通気用の初期開口部が形成される。この第二破断線は第一破断線の内側に形成されており、その破断線の周長が短いために、初期開口に必要な荷重が低減される。さらに開口仮封止栓を押圧すると第一押圧部が第一開口片に当接すると共に、第一押圧部の荷重により第一破断線が破断し、内容物取り出し用の開口部が形成される。この第一破断線の破断前に通気用の初期開口部が形成されており、缶の外部の圧力と内部の圧力とが同じになっているため、第一破断線の破断に必要な荷重が低減される。特に、缶内に炭酸ガス含有飲料が充填されている場合に、その破断に必要な荷重の低減度合いが大きくなる。また、第一破断線は第二破断線の外側に形成されているため、内容物取り出し用の開口部の開口径を比較的大きく設定することが可能である。さらに、開蓋後、第二円筒部を係合突起部に係合すると、内容物取り出し用の開口部が第一押圧部により封止される。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記係合部が凹部であることを特徴とするものである。したがって、請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じるほか、開口仮封止栓の第一円筒部と、係合突起部の係合部との着脱が容易である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の構成に加えて、前記係合部が、前記係合突起部の外周面に対してそれぞれ螺旋方向に傾斜され、かつ、等間隔おきに形成された複数本の傾斜突条からなる第一の突条により構成されていると共に、前記第一仮止め突起部が、前記円筒部の内周面に対して等間隔おきに複数個設けられ、かつ、前記傾斜突条に対して係合可能に構成された突起または突条により構成されていると共に、前記第二円筒部の内周面に、前記第一の突条に対してねじ係合可能に構成された突起または突条からなる第二仮止め突起部が、等間隔おきに複数個形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
したがって、請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じるほか、缶蓋を開口する前の状態では、第一の突条と突条または突起とが係合されて、開口仮封止栓が缶蓋に対して仮止めされる。また、缶蓋を開口した後の状態では、第一の突条と第二仮止め突起部とがねじ係合されて、開口仮封止栓が缶蓋に対して仮止めされる。すなわち、いずれの状態においても、缶蓋と開口仮封止栓とは、第一の突条と第一の仮止め突起部または第二仮止め突起部との間で係合がおこなわれるために、比較的強い係合力で仮止めされるが、後者の場合には特に開口仮封止栓と缶蓋とがねじ係合により仮止めされるために、その係合力が一層強められる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記第一押圧部に、この第一押圧部を前記第一開口片に当接した状態で前記缶胴の内部に向かって縮径する方向のテーパ部が形成されていると共に、このテーパ部の軸線方向の中間部の外径が、前記第一破断線が破断して形成される開口部の内径以上に設定されていることを特徴とするものである。
【0013】
したがって、請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の作用が生じるほか、第一破断線を破断して開口部を形成すると、テーパ部が開口部に食い込むことにより、その楔作用により開口部が封止される。
【0014】
さらに、請求項5の発明は、請求項4の発明に加えて、前記テーパ部の軸線方向における中間領域の外周に、前記開口部の内径よりも大きい外径を有する突起部が形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
したがって、請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の作用が生じるほか、第一破断線を破断して開口部を形成した状態において、突起部が開口部の内周縁に係合するため、缶蓋に対する開口仮封止栓の固定力が高められる。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明の実施例を図面を参照して説明する。図1はこの発明の第一実施例を示すものであって、缶1は、有底円筒形状の缶胴2と、缶胴2の開口部に固着された缶蓋3と、缶蓋3に対して着脱可能に取り付けられている開口仮封止栓4とを有する。まず、缶蓋3について説明する。この缶蓋3は、アルミニウム合金などの金属製の平板材(図示せず)から形成されている。
【0017】
この平板材の一方の表面には、予め合成樹脂からなる内面被膜(図示せず)が形成されている。この内面被膜は保護塗料や樹脂フィルムから形成されている。その塗料としては、熱硬化性および熱可塑性樹脂からなる任意の保護塗料、例えばフェノール−エポキシ塗料、アミノ−エポキシ塗料等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシフェノール−変性ビニル塗料等のビニルまたは変性ビニル塗料等の単独または2種以上の組み合わせが使用される。また、その樹脂フィルムとしては、エチレンテレフタレートを基本構成とするポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、さらにポリエチレンイソフタレート(PEIT)等のコポリマーでも適用できる。また、樹脂フィルムが内面被膜に用いられる場合、その樹脂フィルムは、未延伸のものでも二軸延伸のものでもよい。
【0018】
そして、缶蓋3の外周側は、缶胴2の開口端に対して巻締部5を介して固着されている。缶蓋3における巻締部5の内側の全周には、図1において略下方向、つまり缶胴2の内部側に向けてU字形に窪むように屈曲成形された屈曲部(環状溝)6が形成されている。また、屈曲部6の内周端には、缶胴2の軸線A1側に向かい、かつ、缶胴2の外部に向けて突出するスカート壁7が接続されている。このスカート壁7は環状に構成され、その軸線方向の断面形状は、缶胴2の外部に向けて縮径しつつ円弧形状に湾曲している。
【0019】
また、スカート壁7の上端部には、缶胴2の外側に向けて突出し、かつ、縦断面形状が略逆U字形状に屈曲された係合突起部8が形成されている。この係合突起部8は環状であり、この係合突起部8は巻締部5と同心状に配置されている。具体的には、係合突起部8の外周端がスカート壁7に接続され、係合突起部8の内周端には、環状の窪み部9を介して円板形状部10が接続されている。また、係合突起部8の先端には、缶蓋3の軸線A1に略直交する平坦面12が形成されている。なお、係合突起部8の下端部分には、環状の膨出部11Aを介して環状凹部11が形成されている。環状凹部11は、開口仮封止栓4と係合する係合部となるもので、この環状凹部11の外径は、係合突起部8の最大外径部よりも小さく設定されている。
【0020】
つぎに、円板形状部10の構成を詳細に説明する。前記窪み部9の内側に接続される部分は、S字形状(三重)に折り畳まれて外側折畳部13が形成されている。この外側折畳部13は、窪み部9の内側をスカート壁7側に向けて折り返し、その折り返し端を軸線A1側に再度折り返して構成されている。そして、外側折畳部13は、図2に示すように缶蓋3の軸線を中心として環状に配置されている。また、外側折畳部13の内周端には、前記軸線A1に略直交する環状の平坦部14が接続され、この平坦部14の内周端には開口仮封止栓4側に向けて傾斜した環状の傾斜部15が接続されている。
【0021】
さらに、傾斜部15の内周端には軸線A1に略直交する環状の平坦部18が接続され、平坦部18の内周端には、内側折畳部19が形成されている。この内側折畳部19は、平坦部18の内側をスカート壁7側に向けて折り返し、その折り返し端を軸線A1側に再度折り返して構成されている。そして、内側折畳部19は、図2に示すように軸線を中心として環状に配置されている。さらに内側折畳部19の内周端には、開口封止栓4側に向けて突出する方向に屈曲された膨出部20が形成されている。
【0022】
そして、前記軸線A1方向において、この膨出部20の先端が平坦部となって、前記平坦面12と外側折畳部13および内側折畳部19との間に位置している。言い換えれば、膨出部20における開口仮封止栓4側の表面(平坦面)22から、開口仮封止栓4における缶胴2の内部側の端面21までの距離の方が、外側折畳部13および内側折畳部19における開口仮封止栓4側の表面23,24から、端面21までの距離の方が長く設定されている。なお、表面23と表面24と平坦部18における開口仮封止栓4側の表面25とが同一平面上に設定されている。
【0023】
図3は、缶蓋3の部分的な拡大断面図である。外側折畳部13と平坦部14との接続領域における缶胴2の内部に臨む位置には、第一破断線(この実施形態ではスコア線)26が刻み込まれている。この第一破断線26は、図2に示すように缶蓋3の一部の領域D1を残して、軸線A1を中心として略円形(厳密にはC字形)に設けられている。このようにして、缶蓋3の一部に、第一破断線26により取り囲まれた第一開口片27が形成されている。この第一開口片27は、内容物取り出し用または内容物注出用の開口部を形成するために設けられている。なお、開蓋性を向上させるために、第一破断線26における円周方向の一部を完全に切断しておいてもよい。
【0024】
また、内側折畳部19と膨出部20との接続領域における缶胴2の内部に臨む位置には、第二破断線(この実施形態ではスコア線)28が刻み込まれている。この第二破断線28は、図2に示すように缶蓋3の一部の領域C1を残して、軸線A1を中心として略円形(厳密にはC字形)に設けられている。また、領域C1と領域D1とは、円周方向の同一位相に配置されている。このようにして、第一開口片27の一部に、第二破断線28により取り囲まれた第二開口片29が形成されている。この第二開口片29は、通気用の開口部を形成するために設けられている。なお、開蓋性を向上させるために、第二破断線28における円周方向の一部を完全に切断しておいてもよい。
【0025】
さらに、缶蓋3における缶胴2の内部側の面であって、第一破断線26および第二破断線28を含む領域に、プラスチゾル30が各々塗布されている。このプラスチゾル30は、缶1の内圧の変化によって第一破断線26または第二破断線28が破断することを防ぐと共に、第一破断線26または第二破断線28を刻み込んだ際の内面被膜の損傷を補修し、第一破断線26または第二破断線28の内部に、飲料等の内容物が侵入して缶蓋3が腐食することを防ぐためのものである。またこのプラスチゾル30を塗布することでシール性が高められるため、第一破断線26または第二破断線28の一部もしくは全部を、完全に切断する構成を採用した場合でも、内容物がこの切断部分から外部に漏洩することを防止できる。
【0026】
つぎに、開口仮封止栓4について説明する。この開口仮封止栓4は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂により一体的に成形されている。この開口仮封止栓4は、環状に成形されたパネル部31を有し、このパネル部31の外径は、係合突起部8の外径よりも大きく設定されている。そして、パネル部31の外周には軸線方向の一方(図1においては缶胴2側)に向けて突出した第一円筒部32が形成されている。この第一円筒部32の内径は、係合突起部8の外径よりも大きく設定されている。
【0027】
また、第一円筒部32の先端側の内周には、第一仮止め突起部33が、円周方向で等間隔おきに複数個形成されている(2〜6個が好ましい)。これらの第一仮止め突起部33は、開口仮封止栓4を缶蓋3に対して(具体的には、開口封止栓4を係合突起部8に対して)仮止め固定するためのものである。さらに、パネル部31の外周には環状のリブ34が形成されている。このリブ34は、開口仮封止栓4を缶蓋3から取り外す際に指を掛けるためのものである。
【0028】
さらにまた、パネル部31の外周端には、軸線A1を中心とする第二円筒部35が接続されている。この第二円筒部35の内径は係合突起部8の外径よりも大きく設定されている。この第二円筒部35は、第一円筒部32とは中心線方向の逆側に向けて突出している。前記パネル部31の内周端には、第二円筒部35と同一方向に突出して形成されたテーパ部36が接続されている。このテーパ部36は、基端側から自由端側に向けて縮径する方向に傾斜しており、このテーパ部36の長さ(言い換えれば、軸線A1方向の突出量)は、前記第二円筒部35の長さよりも長く設定されている。また、テーパ部36の最大外径は、図3に示すように、外側折畳部13の折り返し部分の内周縁13Aの内径よりも大きく設定されている。また、テーパ部36の最小外径は、内周縁13Aの内径よりも小さく設定されている。さらに、テーパ部36における軸線A1方向の中間部の外周には、円周方向に所定間隔をおいて複数の突起部37が形成されている。この突起部37は、内周縁13Aよりも大きい外径を有し(各突起部37の突端を結ぶ仮想円の直径)、前記内周縁13Aに係合するためのものである。
【0029】
さらに、テーパ部36の自由端の内周には、軸線A1に近づく方向に傾斜した傾斜部38が接続されている。この傾斜部38は軸線A1を中心として環状に構成されている。この傾斜部38の内周端には第三円筒部39が接続され、この第三円筒部39がパネル部31側に向けて延びている。また第三円筒部39は軸線A1を中心として構成されている。そして、傾斜部38と第三円筒部39との接続部分には、環状の第一押圧面40が形成されている。この第一押圧面40は軸線A1に対して略直交して形成されている。この第一押圧面40は、第一開口片27に当接してこれを押圧することにより、第一破断線26を破断させるためのものである。なお、第一押圧面40の外径は、平坦部18の外径よりも小さく設定され、第一押圧面40の内径は、膨出部20の表面22の外径よりも大きく設定されている。
【0030】
また、第三円筒部39におけるパネル部31側の端部には円板部41が接続されている。この円板部41は軸線A1を中心として配置され、この円板部41における缶胴2側に前記端面21が形成されている。さらに円板部41には缶蓋3から離れる方向に突出した第四円筒部42が形成されている。この第四円筒部42と第三円筒部39とが同心状に配置されている。そして、第四円筒部42の軸線A1方向の長さ(言い換えれば、円板部41からの高さ)が、第三円筒部39の長さよりも長く設定され、第四円筒部42の自由端が第三円筒部39よりも外方に突出している。
【0031】
この第四円筒部42における第三円筒部39よりも突出している部分に、環状の第二押圧面43が形成されている。この第二押圧面43は軸線A1に対して略直交して形成されている。この第二押圧面43は、第二開口片29に当接してこれを押圧することにより、第二破断線28を破断するためのものである。なお、第二押圧面43の外径は、図3に示すように、内側折畳部19の折り返し部分の内周縁19Aの内径よりも小さく設定されている。
【0032】
ここで、実施形態の構成とこの発明の構成との対応関係を説明する。すなわち、第四円筒部42および第二押圧面43がこの発明の第二押圧部に相当し、第三円筒部39および第一押圧面40およびテーパ部36および傾斜部38がこの発明の第一押圧部に相当し、凹部11がこの発明の係合部に相当する。
【0033】
つぎに、開口仮封止栓4の使用方法を説明する。図1に示すように、第一円筒部32を下側に向けると共に、開口仮封止栓4を上方から押し下げることにより、第一円筒部32を係合突起部8の外周側に嵌め込むと共に、第一円筒部32を弾性変形させ、第一仮止め突起部33を環状凹部11に嵌め込んで、缶蓋3に対して開口仮封止栓4を仮止め固定した状態にして、缶1が販売される。なお、開口仮封止栓4が缶蓋3から脱落しないように、また、店頭陳列中に開口仮封止栓4にほこりが付着したり、いたずらされないように、開口仮封止栓4と缶蓋3とを透明又は不透明な熱収縮性のプラスチックフィルム等によってシュリンク包装してもよい。
【0034】
缶1を購入した消費者が、缶1に封入された内容物としての飲料を飲むためには、まず、リブ34に指を掛けて缶蓋3から離れる方向に開口仮封止栓4を引く。すると、第一円筒部32が外方へ少し弾性変形して、第一仮止め突起部33が環状凹部11から抜け出すと共に、開口仮封止栓4が缶蓋3から離脱する。
【0035】
つぎに、開口仮封止栓4を反転させて第二円筒部35を缶蓋3側に向けると共に、開口仮封止栓4と缶蓋3とを軸線A1を中心として同心状に位置させ、開口仮封止栓4を缶蓋3に近づけると共に、第二押圧面43を膨出部20の表面22に当接させる。そして、開口仮封止栓4を缶蓋3側に向けて押圧すると、その押圧荷重により第二破断線28が破断される。開口仮封止栓4の押圧を継続すると、図4に示すように、第二開口片29が領域C1を支点として缶胴2の内部に向けて折り曲げられ、内側折畳部19の内周縁19Aにより取り囲まれた初期開口部E1が形成される。
【0036】
また、開口仮封止栓4をさらに押圧すると、第一押圧面40が平坦部18に当接すると共に、開口仮封止栓4の押圧荷重により第一破断線26が破断され、外側折畳部13の内周縁13Aにより取り囲まれた内容物取り出し用の開口部F1が形成され、パネル部31と係合突出部8とが当接して停止する(図5参照)。なお、第一破断線26の破断により開口部F1を形成した後は、必ずしもパネル部31と係合突出部8とが当接するまで開口仮封止栓4を缶蓋4に対して押し付ける必要はない。このようにして、開口部F1を形成した後に、消費者が開口仮封止栓4を缶蓋3から取り外すと共に、缶1を傾けることにより飲料を缶1の外部に取り出して飲むことができる。
【0037】
以上のように、上記第一実施形態においては、開口仮封止栓4に設けられている第二押圧面43および第一押圧面40の押圧荷重により第二破断線28および第一破断線26を破断するための操作中に、指を傷つけたり、指に飲料等の内容液が付着する虞がない。また、最初に、第一破断線26の内側に形成されている第二破断線28の破断により小径の初期開口部E1が形成される。したがって、缶1の内容液が炭酸ガス含有飲料である場合のように、缶1の内圧が高い(缶蓋3の内側から外側へ圧力が作用しており、その圧力は第二破断線28を破断するための押圧力に抵抗する力となる)状態であっても、第二破断線28の破断周長が短いために、初期開口に必要な荷重が低減される。
【0038】
さらに、開口部F1の形成前に通気用の初期開口部E1が形成されており、缶1の外部の圧力と内部の圧力とが同じになっているため、破断周長の比較的長い第一破断線26を破断するために必要な荷重が低減される。したがって、缶1の開口を容易におこなうことができる。また、第一破断線26は第二破断線28の外側に形成されているため、開口部F1の開口径を比較的大きく設定することができる。したがって、消費者が飲料を飲むのに充分な開口面積の開口部F1を確保することができる。
【0039】
ところで、消費者が缶1の飲料を全て飲み終えることなく、一時的に飲料を缶1の内部に保管しておきたい場合は、開口部F1を仮封止することができる。この仮封止をおこなうためには、まず開口仮封止栓4を、前述の開口動作と同様に位置させると共に、開口仮封止栓4のテーパ部36を開口部F1内に押し込む。すると、第一押圧面40およびテーパ部36により第一開口片27がさらに押圧され、缶胴2の内部側に向けて一層大きく折り曲げられる。そして、図5に示すように、テーパ部36の突起部37が、外側折畳部13の内周縁13Aにより取り囲まれた開口部F1を通過すると共に、係合突起部8の平坦面12とパネル部31とが当接して停止する。
【0040】
このようにして、係合突起部8の平坦面12とパネル部31とが当接した状態においては、図6に示すように、テーパ部36が、開口部F1を形成している外側折畳部13の内周縁13Aに食い込み、その楔作用により開口部F1が封止(シール)されている。したがって、缶1の内部に残留している飲料が缶1の外部に漏れることを防止できると共に、缶1の外部から異物が缶1の内部に侵入することを防止できる。
【0041】
また、図6に示すように、テーパ部36の突起部37が開口部F1よりも缶胴2の内部側に位置しており、この突起部37が外側折畳部13の内周縁13Aに係合する。この係合力により、缶蓋3に対して開口仮封止栓4が確実に固定され、前記開口部F1のシール性が一層向上する。
【0042】
つぎに、この発明の第二実施形態を、図7に基づいて説明する。この第二実施形態における係合突起部8の軸線方向の突出量は、第一実施形態の係合突起部8の軸線方向の突出量よりも大きく設定されている。そして、この係合突起部8の外周面には、螺旋方向に傾斜した3本の第一の突条111が、円周方向に等間隔おきに(つまり相互に平行に)形成されている。これらの第一の突条111は、缶胴2の内部から外部を軸線方向に見た際に、いわゆる右ねじとなる方向に傾斜されている。
【0043】
一方、開口仮封止栓4の第一円筒部32の内周面には、複数の第一の突条111に対して係合可能な6本の突条133が、それぞれ同一高さの位置で円周方向に等間隔おきに形成されている。第一円筒部32を係合突起部8に係合させた状態において、これらの突条133のうちの何本かは、3本の第一の突条111の下面側に接触した状態、つまり、係合した状態になる。さらに、図7の第二円筒部35の軸線方向の長さは、図1の第二円筒部35の長さよりも長く設定され、図7の第二円筒部35の内周面には、複数の第一の突条111に対して係合可能であり、かつ、螺旋方向に傾斜した3本の突条135が、円周方向に等間隔おきに(つまり相互に平行に)形成されている。第二仮止め突起部となるこれらの突条135と第一の突条111とを係合させた状態において、これらの突条(第二仮止め突起部)135が、缶胴2の内部から外部を軸線方向に見た際に、いわゆる右ねじとなる方向に傾斜されている。
【0044】
なお、係合突起部8の第一の突条111を複数本の突条とした理由は、開口仮封止栓4をどの位置から回転しても少ない回転量でねじ係合させることができるからである。このため、第一の突条111に対して、単なる係合またはねじ係合する第一円筒部32の内周面の突条および第二円筒部35の内周面の突条は、円周方向に等間隔をおいて形成した突起でもよい。また、この第二実施形態においては、第一円筒部32および第二円筒部35の外周面と、パネル部31の外表面側に軸線方向に沿って縦溝またはローレットが滑り止めとして施されている。さらに、この第二実施形態においては、第一実施形態の突起部37に相当する構成およびリブ34に相当する構成が設けられていない。第二実施形態のその他の構成は、第一実施形態と同様であるためその説明を省略する。ここで、第二実施形態とこの発明との対応関係を説明すれば、突条133がこの発明の第一仮止め突起部に相当し、突条135がこの発明の第二仮止め突起部に相当する。
【0045】
この第二実施形態において、缶1の販売前に、缶胴2の缶蓋3に対して開口仮封止栓4を取り付けるには、まず、第一円筒部32を係合突起部8側に向けると共に、開口仮封止栓4を係合突起部8の上に載せて、上方から開口仮封止栓4を押圧する。すると、第一円筒部32の内面に設けられている突条133が係合突起部8の第一の突条111の上面側と当接して抵抗力を受けるが、さらに押圧力を加えると第一円筒部32が半径方向外方へ弾性変形するため、突条133が第一の突条111を乗り越えて降下し、パネル部31の下面が係合突起部8の平坦面12に当接した時点で降下が停止する。このように、複数本の突条133が第一の突条111と係合しているため、缶1の輸送中に缶1が振動を受けたり、店頭陳列中に缶1を誤って転倒させた場合でも、開口仮封止栓4が缶蓋3から簡単に外れることはない。
【0046】
これに対して、缶1を購入した消費者が缶蓋3を開口する場合には、まず、開口仮封止栓4を上方に引き上げると、第一円筒部32の弾性変形により第一の突条111と突条133との係合が解除され、開口仮封止栓4を缶蓋3から取り外すことができる。ついで、開口仮封止栓4を反転させて第二円筒部35を缶蓋3側に向けると共に、第二円筒部35を係合突起部8の外周に位置合わせさせた状態から、開口仮封止栓4を右方向に回転させる。すると、第一の突条111と第二仮止め突起部の突条135とのねじ係合力により、開口仮封止栓4と缶蓋3とが近づく方向に相対移動する。その結果、第一実施形態と同様にして、第二押圧面43の押圧力により第二破断線28が破断され、ついで、第一押圧面40の押圧力により第一破断線26が破断される。
【0047】
そして、開口仮封止栓4を左方向に回転させて開口仮封止栓4を缶蓋3から取り外した後、缶蓋3のスカート壁7と係合突起部8に唇を接触させて缶1の内容物である飲料を飲む。もし、飲み残した飲料を一時的に缶1内に保管する際には、第二円筒部35を缶蓋3側に向けた状態で開口仮封止栓4を右方向に回転させる。すると、第一破断線26が破断されて形成された開口部に、テーパ部36と第四円筒部42と第三円筒部39と傾斜部38とが進入していき、前記開口部の内周面にテーパ部36の外周面が食い込んで密封面が形成され、かつ、缶蓋3と開口仮封止栓4とが停止する。
【0048】
この状態においては、たとえ缶1を誤って転倒させたとしても、第二仮止め突起部の突条135と、第一の突条111とがねじ係合しているため、缶蓋3と開口仮封止栓4との係合力が強く、開口仮封止栓4が缶蓋3から外れることはない。また、缶1の内容物である飲料が、炭酸ガス含有飲料であったとしても、炭酸ガスの内圧により開口仮封止栓4が缶蓋3から吹き飛ばされることもない。したがって、いずれの場合においても、開口部の密封性を高めることができ、缶1内の残留飲料が外部に漏れることはない。なお、缶1の内部の残留飲料を飲むには、再び開口仮封止栓4を左側に回転させて開口仮封止栓4を缶蓋3から取り外せばよい。
【0049】
また、この第二実施形態においては、第一円筒部32および第2円筒部35の外周面に、縦溝またはローレットが形成されているために、開口仮封止栓4を回転させる場合に指が滑りにくくなり、その操作性が向上している。なお、この実施形態では飲み残した飲料を保管する際の開口部の密封を、開口仮封止栓4のテーパ部36の外周面と、開口部内周面との間で形成される密封面でおこなったが、開口仮封止栓4のパネル部31の下面と係合突起部8の平坦面12の上面とを接触させて密封面を形成してもよい。また、この実施形態では第一仮止め突起部を複数本の突条により構成し、この複数本の突条と、係合突起部の第一の突条とを単に係合させる構成になっているが、第一仮止め突起部も複数本の傾斜突条とすることにより、両者の係合をねじ係合としてもよい。
【0050】
また、上記各実施形態においては、第三円筒部39の高さよりも第四円筒部42の高さの方を高く設定することにより、第二破断線28を先に破断し、その後に第一破断線26を破断しているが、第三円筒部39の高さと第四円筒部42の高さとを同一に設定した場合でも、膨出部20が平坦部18よりも上方に突出しているために、第二破断線28が先に破断され、その後に第一破断線26が破断される。要は、軸線A1方向における平坦部18と膨出部20との位置関係と、軸線A1方向における第三円筒部39の高さと第四円筒部42の高さとの関係は、上記の実施形態に限定されるものではなく、第二破断線28が先に破断され、その後、第一破断線26が破断される構成であればよい。なお、上記各実施形態では、第一破断線26と第二破断線28とがスコア線により形成されているが、蓋板を切断した後、プラスチゾルなどの密封剤で封鎖して形成してもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載した発明では、開口仮封止栓に設けられている第二押圧部および第一押圧部の押圧荷重により第二破断線および第一破断線を破断するため、指を傷つけたり、指に飲料等の内容液が付着する虞がない。また、第一破断線の内側に形成されている第二破断線が先に破断されて初期開口部が形成される。したがって、缶の内圧が高い状態であっても、第二破断線の破断周長が短いために、初期開口に必要な荷重が低減される。さらに、初期開口部が形成された後に第一破断線が破断されて内容物取り出し用の開口部が形成されるため、第一破断線の破断時には、缶の外部の圧力と内部の圧力とが同じになり、破断周長の比較的長い第一破断線を破断するために必要な荷重が低減される。したがって、缶の開口を容易におこなうことができる。また、第一破断線は第二破断線の外側に形成されているため、開口部の開口径を比較的大きく設定することができる。したがって、缶の内容物が飲料の場合に、消費者が飲料を飲むのに充分な開口面積の開口部を確保することができる。さらに、内容物を缶内に残したまま開口部を開口仮封止栓により閉じることができる。
【0052】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られるほか、第一仮止め突起部を凹部に係合・離脱させるだけの操作で、開口仮封止栓を缶蓋に対して仮固定または取り外すことができる。したがって、開口仮封止栓の着脱操作が容易になり、操作性が向上する。
【0053】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られるほか、缶蓋を開口する前の状態では、第一の突条と第一仮止め突起部とが係合されて、開口仮封止栓が缶蓋に対して仮止めされる。また、缶蓋を開口した後の状態では、第一の突条と第二仮止め突起部とがねじ係合されて、開口仮封止栓が缶蓋に対して仮止めされる。すなわち、いずれの状態においても、缶蓋と開口封止栓とが、第一の突条と第一仮止め突起部または第二仮止め突起部との間で係合がおこなわれるため、比較的強い係合力で仮止めされるが、後者の場合には、特に、開口仮封止栓と缶蓋とがねじ係合により仮止めされるために、その係合力が一層強められる。このため、缶に内容液を残して開口部を開口仮封止栓で閉じた状態で、誤って缶を転倒させた場合でも、開口仮封止栓が缶蓋から外れることがない。したがって、開口部の密封性が維持され、内容液が缶の外部に漏れることを防止できる。
【0054】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得られるほか、開口仮封止栓のテーパ部を開口部内に押し込むと、第二押圧部により第一開口片がさらに折り曲げられる。そして、テーパ部が開口部を形成している内周縁に食い込み、その楔作用により開口部が封止される。したがって、缶の内部に残留している内容物が缶の外部に漏れることを防止できると共に、缶の外部から異物が缶の内部に侵入することを防止できる。
【0055】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果を得られる他、テーパ部の突起部が開口部よりも缶胴の内部側に位置し、この突起部が内周縁に係合される。したがって、この突起の係合力により、缶蓋に対して開口仮封止栓が確実に固定され、開口部の密封性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第一実施形態であり、開口仮封止栓付缶の缶蓋に対して開口仮封止栓を取り付けた状態を示す正面断面図である。
【図2】 図1に示された缶蓋の平面図である。
【図3】 図1および図2に示された缶蓋の部分的な正面断面図である。
【図4】 図1に示された缶蓋の第二破断線を破断した状態を示す部分的な断面図である。
【図5】 図1に示された缶蓋の第一破断線を破断した状態を示す部分的な断面図である。
【図6】 開口部をテーパ部によりシールした状態を示す部分的な正面断面図である。
【図7】 この発明の第二実施形態であり、開口仮封止栓付缶の缶蓋に対して開口仮封止栓を取り付けた状態を示す正面断面図である。
【符号の説明】
1…缶、 2…缶胴、 3…缶蓋、 4…開口仮封止栓、 5…巻締部、 8…係合突起部、 10…円板形状部、 11…環状凹部、 26…第一破断線、27…第一開口片、 28…第二破断線、 29…第二開口片、 32…第二円筒部、 33…第一仮止め突起部、 36…テーパ部、 37…突起部、 38…傾斜部、 39…第三円筒部、 40…第一押圧面、 42…第四円筒部、43…第二押圧面、 111…第一の突条、 133…突条(第一仮止め突起部)、 135…突条(第二仮止め突起部) 、 A1…軸線。
Claims (5)
- 筒形状の缶胴と、この缶胴の開口端に環状の巻締部を介して固着された缶蓋とを有し、この缶蓋が、その一部を前記缶胴の軸線方向に突出させると共に屈曲させて縦断面形状を略逆U字形となし、かつ、前記巻締部と同心状に形成された係合突起部と、この係合突起部の内周側に接続され、かつ、前記係合突起部の先端よりも前記缶胴の内部寄りの位置に配置された円板形状部とを有し、この円板形状部の少なくとも一部に、押圧破断容易で両端部が閉じていない略円形の第一破断線により区画された第一開口片が設けられ、かつ、この第一破断線が、前記円板形状部の一部を環状に折り畳んだ折り畳み部によって覆われている缶において、
前記第一開口片には、前記第一破断線の内側に形成され、かつ、押圧破断容易で両端部が閉じていない略円形の第二破断線により区画された第二開口片が設けられていると共に、前記係合突起部には、この係合突起部に対して着脱可能に構成された開口仮封止栓が取り付けられており、前記係合突起部の外周面に係合部が形成され、前記開口仮封止栓が、前記係合部に係合する第一仮止め突起部を有する第一円筒部と、前記第一円筒部とは軸線方向の反対側に突出する第二円筒部と、この第二円筒部の内周側に形成されてこの第二円筒部と同じ方向に突出し、かつ、前記第二開口片を押圧して前記第二破断線を破断させる第二押圧部と、前記第二破断線の破断後に前記第一開口片を押圧して前記第一破断線を破断させると共に、前記第二円筒部を前記係合突起部に当接した状態で、前記第一破断線の破断により形成される開口部を封止する第一押圧部とを備えていることを特徴とする開口仮封止栓付缶。 - 前記係合部が凹部であることを特徴とする請求項1に記載の開口仮封止栓付缶。
- 前記係合部が、前記係合突起部の外周面に対してそれぞれ螺旋方向に傾斜され、かつ、等間隔おきに形成された複数本の傾斜突条からなる第一の突条により構成されていると共に、前記第一仮止め突起部が、前記円筒部の内周面に対して等間隔おきに複数個設けられ、かつ、前記傾斜突条に対して係合可能に構成された突起または突条により構成されていると共に、前記第二円筒部の内周面に、前記第一の突条に対してねじ係合可能に構成された突起または突条からなる第二仮止め突起部が、等間隔おきに複数個形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開口仮封止栓付缶。
- 前記第一押圧部に、この第一押圧部を前記第一開口片に当接した状態で前記缶胴の内部に向かって縮径する方向のテーパ部が形成されていると共に、このテーパ部の軸線方向の中間部の外径が、前記第一破断線が破断して形成される開口部の内径以上に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の開口仮封止栓付缶。
- 前記テーパ部の軸線方向における中間領域の外周に、前記開口部の内径よりも大きい外径を有する突起部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の開口仮封止栓付缶。
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