JP3771776B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電磁器組成物に係り、高い圧電歪定数を有し、機械的強度に優れ、特にアクチュエータ用圧電応用電子部品に好適な圧電磁器組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アクチュエータ用圧電応用電子部品に用いられる圧電磁器組成物としては、PbTiO3 −PbZrO3 を主成分とした組成に、添加物として、例えばSb2 O3 、Nb2 O5 、WO3 などを僅かに添加したものが知られている。
【0003】
またPbの一部をBa、Sr、Ca、Laで置換したものや、第三成分としてPb(Ni1/3 ・Nb2/3 )O3 、Pb(Mg1/3 ・Nb2/3 )O3 などで一部置換して複合ペロブスカイト化合物化したものが知られている。
【0004】
更に、現在知られている圧電磁器組成物の結晶粒径が比較的大きく、2.5μm〜4.0μmのものが一般的に知られている。しかし、特にアクチュエータ用途として結晶粒径が大きいと機械的強度が弱く、素子の振動で圧電応用電子部品の破損が発生することが知られている(特願平11−264741号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来より知られている圧電磁器組成物は、結晶粒径を小さくするために、原料粉の粒径を小さくし、更に、焼成温度を下げて調整する方法が一般的に実施されているが、圧電歪特性が低いという問題があった。またこの圧電歪特性の低いという問題を添加物の種類等で解決しようとする試みもされているが、添加物の作用で主粒子の表面に不要な結晶粒界成分が増加し、焼結体強度や弾性振動体性能を劣化せしめ、製品の信頼性に問題が発生する。
【0006】
そこで本発明の目的は、圧電歪特性や焼結性を損なうことなく、結晶粒径を小さくし、過酷な条件で使用されても、高信頼性の、例えば圧電アクチュエータの如き圧電歪応用製品を得ることができる圧電磁器組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、組成式がPbx・Bay・Srz〔(B3+ 1/2 ・B5+ 1/2 )a・Tib・Zrc〕O3 で表され、0.93≦x≦0.97、0.02≦z≦0.06、0.02≦a≦0.04、0.43≦b≦0.47、0.5075≦c≦0.55(但しa+b+c=1.00で、0.97≦(x+y+z)<1.005)であり、前記組成式において、(B 3+ 1/2 ・B 5+ 1/2 )を、(Sb 1/2 ・Nb 1/2 )、(Bi 1/2 ・Nb 1/2 )、(La 1/2 ・Nb 1/2 )、(Sb 1/2 ・Ta 1/2 )のいずれかであり、Aサイト成分(x+y+z)と、Bサイト成分(a+b+c)の比(A/B比)が0.97〜0.99の範囲とするものである。
【0009】
これにより、圧電歪定数の大きい、結晶粒径の小さい、素体の抗折強度の大きい圧電磁器組成物を提供することができる。
【0010】
また過酷な条件で使用しても、高信頼性の、圧電アクチュエータの如き圧電歪応用製品を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について説明する。出発原料として高純度(99.5%以上)なPbO、TiO2 、ZrO2 、CoO、Nb2 O5 、Ta2 O5 、Sb2 O3 、Bi2 O3 、La2 O3 、WO3 、BaCO3 、SrCO3 を用い、焼成後の成分が表1に示す所定の組成になるように秤量し、ボールミルにて湿式混合を行った。それから混合粉を空気中にて850℃の温度で仮焼成した後に、ボールミルにて湿式粉砕した。
【0012】
次に、このようにして得られた粉末に有機バインダーを加え造粒を行い、3000kg/cm2 の圧力で直径16.5mmの円板に成形した。そしてこの成形体を空気雰囲気中で1150℃の温度で焼成した。
【0013】
このようにして得られた焼結体を厚さ0.6mmに研磨した後、得られた素子の両面に銀の焼付電極を形成後、直径14.3mmに外周加工した。そしてこの試料に120℃の絶縁油中で、電圧3kv/mm、30分の条件で分極処理を行った。
【0014】
そして得られた評価用素子をインピーダンスアナライザーにより素子静電容量(C)、共振周波数(fr)、***振周波数(fa)を測定した。この測定結果をもとに電気機械結合係数(kr)、比誘電率(εs)、圧電歪定数(D31)を日本電子材料工業会標準規格(EMAS−6100)に準拠して計算より求めた。
【0015】
得られた結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
又、図1〜図5により、圧電磁器素体の結晶粒子径(Gs)を走査型顕微鏡により計測した写真を示す。
【0018】
図1は表1における試料番号No.1の従来例を示し、図2は同じく試料No.2の比較例を示し、図3は同じく試料No.5の本発明の実施を示し、図4は同じく試料No.7の本発明の実施例を示し、図5は同じく試料No.8の本発明の実施例を示す。表1の各試料についてその結晶粒径を測定した。
【0019】
本発明の圧電磁器組成物では、更に日本工業規格JIS 1601−1981によった3点曲げ強度試験により機械的強度の評価を行った。すなわち図6に示す如く、長さL=15mm、幅W=5mm、厚さt=1.5mmの試験片1を作成し、これをスパンI=10mmの支点上に置き、この支点間の中心に荷重を徐々に連続的に増加して、試験片1が破壊したときの最大荷重をP(kgf)とすると、その抗折強度σを次式
σ=3PI/2wt2 (kgf/mm2 )
により算出し、表1に示す値を得た。
【0020】
本発明では、圧電歪定数D31の値を高いレベルとし、結晶粒径を小さくし、素体の抗折強度を向上させるものであって、積層アクチュエータ用素材としての圧電歪定数D31が160×10-12 m/v以上であり、更に抗折強度が10.0kg/mm2 以上を確保しないと、積層型圧電アクチュエータ電子部品としては十分な変位が得られなかったり、製造上、あるいは動作中に割れ・欠け等が発生し、信頼性に問題が発生すること、また電気機械結合係数krが70%未満であると十分な値の圧電歪定数D31を確保することができないこと、等を解決する。
【0021】
表1より明らかなように、試料番号No.1の従来例及びNo.2に示す如く、従来例の場合あるいはaが0.02モル未満の場合は、抗折強度が弱い。しかしaが0.02モル以上の場合は試料No.5、No.6に示す如く、抗折強度が10.0kg/mm2 以上と大きいことがわかる。
【0022】
aが0.04モルを超えると、試料No.9に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%未満、160×10-12 m/v(以下160という)未満と小さいことがわかる。
【0023】
bが0.43モル未満の場合、試料No.16に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0024】
bが0.47モルを超えると、試料No.13に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さい値である。
【0025】
cが0.5075モル未満の場合、試料No.13に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0026】
cが0.55モルを超えると、試料No.10に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0027】
xが0.93モル未満の場合、試料No.3に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0028】
xが0.97モルを超えると、試料No.4に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0029】
zが0.02モル未満の場合、試料No.4に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0030】
zが0.06モルを超えると、試料No.3に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0031】
そしてA/Bが0.97モル未満の場合、試料No.21に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0032】
A/Bが0.99モルを超えると、試料No.22に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31がそれぞれ70%、160未満と小さいことがわかる。
【0033】
(B3+ 1/2 ・B5+ 1/2 )において、B3+をBi又はLaで置換しても、試料No.18、No.19に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31が70%、160以上と大きく、抗折強度が10.0kg/mm2 以上の大きな、十分な特性のものが得られる。
【0034】
更にB5+をTaに置換しても、試料No.15に示す如く、電気機械結合係数kr及び圧電歪定数D31が70%、160以上と大きく、抗折強度が10.0kg/mm2 以上の大きな、十分な特性のものが得られる。
【0035】
このように、本発明により、過酷な条件で使用しても、例えば圧電アクチュエータのような、高信頼性の圧電歪応用製品を製造することができる。しかも本発明により、圧電磁器素体用として大きく変位するアクチュエータや、薄小小型である積層型圧電磁器素体として破損や欠けなどの発生しない圧電電子部品が製品化でき小型で高信頼性で低コストの圧電部品が提供できる。
【0036】
【発明の効果】
本発明により下記の効果を奏することができる。
【0037】
電気機械結合係数krや圧電歪定数D31等の圧電歪特性の良好な、結晶粒径の小さい、素体の抗折強度の大きい圧電磁器組成物を提供することができる。
【0038】
過酷な条件で使用しても高信頼性の圧電歪応用製品を製造提供することができる。圧電磁器素体用として大きく変位するアクチュエータや、薄小小型である積層型圧電磁器素体として破損・欠けなどの発生しない圧電電子部品が製品化でき、小型で高信頼性、低コストの圧電部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の圧電磁器素体の電子顕微鏡写真である。
【図2】試料No.2の圧電磁器素体の電子顕微鏡写真である。
【図3】試料No.5の圧電磁器素体の電子顕微鏡写真である。
【図4】試料No.7の圧電磁器素体の電子顕微鏡写真である。
【図5】試料No.8の圧電磁器素体の電子顕微鏡写真である。
【図6】3点曲げ強度試験説明図である。
【符号の説明】
1 試験片
Claims (1)
- 組成式がPbx・Bay・Srz〔(B3+ 1/2 ・B5+ 1/2 )a・Tib・Zrc〕O3 で表され、
0.93≦x≦0.97、0.02≦z≦0.06、0.02≦a≦0.04、0.43≦b≦0.47、0.5075≦c≦0.55(但しa+b+c=1.00で、0.97≦(x+y+z)<1.005)であり、
前記組成式において、前記(B 3+ 1/2 ・B 5+ 1/2 )は、(Sb 1/2 ・Nb 1/2 )、(Bi 1/2 ・Nb 1/2 )、(La 1/2 ・Nb 1/2 )、(Sb 1/2 ・Ta 1/2 )のいずれかであり、Aサイト成分(x+y+z)と、Bサイト成分(a+b+c)の比(A/B比)が0.97〜0.99の範囲にあることを特徴とする圧電磁器組成物。
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