JP3766961B2 - 置き敷き畳 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絨毯感覚でフローリング設計することができ、しかも滑らず安定性に優れた置き敷き畳に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から置き敷き畳は、ファッション感覚で、床フロアの一部に畳を敷設して趣のある外観をかもしだすために使用されていたものである。
【0003】
しかし、従来は、天然イ草からなる畳や人工畳などを、そのまま使用して敷設、施工されているのが実状であり、そのため段差のくっきりした外観を有する上に、僅かな外力で移動する安定性のないもので、さらに畳床内部が丸見えで見苦しい感じのする体裁の悪いものでしかなかった。さらに、また、易移動性を防止するために、故意に高重量化したものが使用されていたのが実状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、軽いにも拘らず滑り止め機能に優れた安定性を有し、さらに畳床端部の美麗な審美性およびファッション性に富んだ置き敷き畳を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用する。すなわち、本発明の置き敷き畳は、合成樹脂シートと、パーチクルボードまたはインシュレーションボードからなる芯材との組合せからなる畳床に、人工イ草からなる畳表を積層してなる畳構造体の裏面に、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる滑り止めシートを積層したことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、軽いにも拘らず滑り止め機能に優れた安定性を有する置き敷き畳について、鋭意検討したところ、合成樹脂シートと、パーチクルボードまたはインシュレーションボードからなる芯材を組合せてなる畳床に、人工イ草からなる畳表を積層した畳構造体の裏面に、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる滑り止めシートを積層して構成したところ、該課題を一挙に達成する置き敷き畳を提供することができることを究明したものである。
さらに畳床端部の美麗な審美性およびファッション性に富んだ置き敷き畳とするためには、畳床が畳表で被覆された縁なし畳の形態とすることや、縁部側面が装飾加工することが有効であることを究明したものである。
【0007】
すなわち、本発明の置き敷き畳は、人工イ草からなる畳表を用い、この畳表に積層される畳床として、合成樹脂シートと、パーチクルボードまたはインシュレーションボードからなる芯材からなる畳床を用い、さらにこの畳床の裏面にエチレン酢酸ビニル共重合体からなる滑り止めシートを積層したことにより、極めて軽くて薄いにもか拘らず、滑り止め機能にすぐれた、すなわち床に密着して滑らない形態安定性に優れた置き敷き畳を提供し得たものである。
【0008】
本発明でいう人工イ草は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレンとエチレンの共重合体およびこれらの混合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、それらの混合体及び共重合体などの熱可塑性樹脂と炭酸カルシウムなどの無機充填材を主成分する樹脂組成物で構成されるものである。
【0009】
かかる人工イ草を緯糸として用いて製織して畳表をつくるが、場合によっては、経糸のピッチを替えたり、花茣蓙のようなジャガード織りなどの方法でつくることもできる。
【0010】
かかる畳表は、適宜のサイズにカットされた後、その畳表に合成樹脂シートおよび芯材との組合せからなる畳床を積層した後、さらにその裏面に滑り止めシートを積層して、本発明の置き敷き畳が形成される。その際、該畳表を該畳床の縁部で折り曲げて該畳床を被覆してなる縁なし畳を使用することもできる。
【0011】
該畳床を構成する合成樹脂シートは、主として熱可塑性樹脂からなる弾性樹脂シートおよび発泡体シートから選ばれた少なくとも1種から構成される。
【0012】
かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンとエチレンの共重合体およびこれらの混合物、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、これらの共重合体や混合物、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びこれらの混合物などを使用することができる。弾性シートは、かかる熱可塑性樹脂からなる弾性を有する軟質の中実シートが使用される。
【0013】
該発泡体シートとしては、好ましくは2〜30倍の発泡倍率を有するものが使用され、さらに好ましくは硬質樹脂、たとえばポリオレフイン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの硬質発泡体シートが好ましく使用される。かかる発泡体シートは、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは1〜3mmの厚さを有するものを少なくとも1層、好ましくは複数層の積層体シートが使用されるものである。
【0014】
その場合、該合成樹脂シートは芯材によって形態保持されたものが、本発明では使用される。すなわち、該合成樹脂シートと芯材とを積層したもの、たとえば、合成樹脂シート/芯材、合成樹脂シート/芯材/合成樹脂シート、合成樹脂シート/芯材/合成樹脂シート/芯材/合成樹脂シートなどの積層構造のものが使用される。
かかる芯材としては、形態保持性を有し、剛性や伸縮性に優れている上に、軽量および強度に優れていることから、パーチクルボード、インシュレーションボードから選ばれた1種を使用する。
【0015】
かかる畳床において、フローリングでの段差を考慮して、該畳の縁部にテーパーを設けた形態のものを使用することができる。この形態に加えて縁なし畳構造体とすることにより、審美性およびファッション性に富んだ置き敷き畳を提供することができる。
【0016】
かかる畳構造体の裏面には、滑り止めシートが積層される。この滑り止めシートは、該畳構造体のフロアへの密着性、固定性を確実にするためのものであり、粘弾性を有するポリマのうちのエチレン酢酸ビニル共重合体で構成される。
【0017】
本発明の畳構造体において、畳表と畳床の間に不織布シートを積層して構成されたものが好ましく使用される。勿論、天然感覚を表現するために、不織布に代えて藁で表面を構成してもさしつかえない。
【0018】
次に不織布は、畳床に不可欠の構成部材ではないが、ソフトタッチ感やクッション性を付与する上から通常使用されるものであり、たとえば短繊維、メルトブロー、スパンボンドなどの不織布製法を問わず、繊維を交絡させたものであれば何でも、たとえば繊維屑からなるものでも使用することができる。
【0019】
該不織布の目付けは、畳表のソフトタッチ感やクッション性、さらには敷設作業等の取扱い性などの観点から、好ましくは50〜1000g/m2 、さらに好ましくは100〜800g/m2 、特に好ましくは200〜600g/m2 の範囲のものが使用される。
【0020】
かかる不織布を構成する素材としては、上述熱可塑性樹脂素材の他に天然繊維との混合物も使用することができる。かかる天然繊維としては、たとえば、ウール、綿、麻、レーヨン、パルプ及びこれらの繊維屑やこれらの混合物を使用することができる。もちろん、かかる天然繊維のみで構成されたものでもよい。
【0021】
かかる不織布シートと畳床、さらに畳床と畳表などを積層する際に、縫製、融着や接着剤などの適宜の方法を使用することができる。たとえば接着剤としては、その素材に応じてゴム系、エポキシ系、ウレタン系、シリコン系など適宜選定することができる。また、低融点ポリマー粉体や繊維状物などによる熱融着や、該畳表と該不織布面を加熱し直接熱融着することも可能である。かかる低融点ポリマーとしては、ポリオレフィン系樹脂、共重合ポリエステル、共重合ポリアミドなどの、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは100〜130℃の低融点ポリマを使用することができる。
【0022】
以下、本発明を図面により説明する。図1は、本発明の置き敷き畳の一例を示す断面図である。この図における畳床2は、合成樹脂シート(発泡ポリスチレン)Aと芯材(パーチクルボード)Bからなる2層構造体である。この畳床の表面には目付90g/m2のポリエステル繊維製不織布シート3が積層されている。
【0023】
この畳表1は、必要により、縁端部の屈曲部となる部分を、裏面側を熱溶融して溶融溝(カットによる溝でもよい;図示せず)形成しておくと、美麗な屈曲部を形成することができる。この技法は、畳床の段差をそのまま利用する場合には、さらに有効であり、その場合の該溝は、畳床2の厚さに相当する部分にそれぞれ1本形成する。すなわち、この溝は、折り目溝として機能するものである。
【0024】
この畳構造体(縁なし畳)の裏面には、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる滑り止めシート4が、ネオプレンゴム系接着剤で貼着されている。
【0025】
かかる置き敷き畳において、たとえば縁部が通常の畳のように段差がある場合には、その縁部の側面を装飾加工したものを使用するのが、美麗であり、装飾の色や図柄を選択することによって、部屋のフローリングバランスのとれた審美性およびファッション性を有するものを提供することができる。かかる装飾加工としては、たとえば装飾テープや装飾シートを該畳床の側面部に積層することで達成される。勿論、かかる装飾テープとして、縁取りテープを採用することができる。
【0026】
本発明の置き敷き畳は、通常の畳の厚さを有するものでもさしつかえないが、カーペットや絨毯感覚で使用するには、好ましくは畳構造体の総厚みが20mm以下、さらに好ましくは10mm以下のものが機能的に優れていてよい。
【0027】
【実施例】
実施例1
ポリプロピレンを100部、炭酸カルシウムを60重量%含有するポリプロピレンチップ60部にアゾジカルボンアミド0.3部を混入し、エクストルダーで210℃の条件で溶融し、この溶融ポリマーを口金から4m/分の速度で吐出した。
【0028】
吐出された溶融ポリマーは発泡され、口金直下30cmに水面を有する冷却用水槽に導入される。ポリマー温度を水温まで冷却した後、得られた未延伸状中空発泡体を、180℃に昇温された加熱延伸ゾーンに導く。ここで加熱されて7倍に延伸される。
【0029】
延伸された線状中空発泡体は、ケンス内に引き落とし、製織工程へ導かれる。得られた線状中空発泡体は、外径が1.25mm、中空部の直径が0.5mmで、軸方向に伸びる筋状凹凸を多数有する形態のものであった。こうして得られた人工イ草は、外観、風合とも天然イ草に酷似したものであった。
【0030】
次に、人工イ草の茣蓙織機の緯入れ装置を片レピア機構に変更した製織機を用いて、ケンスに引き落とししておいた人工イ草をセットし、経糸にマニラ麻を用いて製織機にかけた。その結果、緯糸が1200mmで、目付が1.8kg/畳の畳表を製織した。
【0031】
次に、厚さ4cmと3mmの2枚の硬質ポリスチレン製シートのそれぞれの表面に目付80g/m2 のポリエステル不織布シートをゴム系の溶剤タイプ接着剤を介させて部分接着して積層し、それぞれの裏面側に厚さ2mmのインシュレーションボードを同じ接着剤で部分接着して積層して畳床を2枚形成した。
【0032】
これらの2枚の畳床の、不織布積層側に、前述の製織された1200mm幅の畳表を、上述接着剤で接着して、幅900mm、長さ1800mmの人工畳を2種作成し、それらの裏面のインシュレーションボード面に厚さ2mmのエチレン酢酸ビニル共重合体シート(滑り止めシート)を同一接着剤でそれぞれ接着して、2枚の置き敷き畳を作成した。
【0033】
これらの置き敷き畳を、木製床でつくられた6畳間の中央部に敷設して、それぞれ評価した。
その結果、厚さの厚い通常の畳構造体と類似のものは、段差があることを除いては、通常の天然イ草製畳(畳床=藁床)に比して、1/3以下と極めて軽く(9.5kg/畳)、外力をかけても滑らない床に密着した置き敷き畳であり、趣のある境界を有する美しいフローリングであった。
【0034】
一方、厚さの薄い絨毯タイプのものは、上述のものよりさらに軽く(4kg/畳)て、高低が感じられなく、しかも外力による移動や滑りがなく、床としっかり密着した、境界の目立たない平坦な美しいフローリングであった。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、軽くて楽にフローリング施工することができ、しかも、床に密着して移動しにくく頗る安定な審美性およびファッション性に優れた美しいフローリングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、本発明の置き敷き畳の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:畳表
2:畳床
3:不織布シート
4:滑り止めシート
A:合成樹脂シート
B:芯材
Claims (7)
- 合成樹脂シートと、パーチクルボードまたはインシュレーションボードからなる芯材との組合せからなる畳床に、人工イ草からなる畳表を積層してなる畳構造体の裏面に、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる滑り止めシートを積層したことを特徴とする置き敷き畳。
- 人工イ草が、熱可塑性樹脂を主成分とするものである請求項1記載の置き敷き畳。
- 合成樹脂シートが、熱可塑性樹脂からなる弾性樹脂シート及び/又は2〜30倍の発泡倍率を有する発泡体シートである請求項1又は2に記載の置き敷き畳。
- 畳床と畳表との間に不織布シートが介在する請求項1〜3のいずれかに記載の置き敷き畳。
- 置き敷き畳が、畳床が畳表で被覆された縁なし畳の形態を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の置き敷き畳。
- 置き敷き畳の縁部側面が装飾加工されている請求項1〜5のいずれかに記載の置き敷き畳。
- 畳構造体の厚みが20mm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の置き敷き畳。
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