JP3764822B2 - 内燃機関の電子制御スロットル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のスロットル弁を電気的に制御されるモータにより開閉するいわゆる電子制御スロットル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子制御スロットル装置は、特開平1−315629 号に記載されている様に、1ボアに設けた1つのスロットル弁を直流モータによって開閉制御している。モータとスロットル弁とはその操作軸が相互に並行に配置され、両軸はその一端で減速ギヤを介して連結されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では過酷な温度条件のもとで使用されることを考慮し、本願の発明の目的はモータが効率の良い温度下で使用されるようにすると共に、スロットルバルブは寒冷時においても凍結しないようにすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
スロットルボディ内に温水を通流する温水通路を設け、この温水通路をモータとバルブの近くに設けた。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【0006】
図1は、本発明の一実施例に係わるスロットル装置を示す正面図、図2は、図1のA方向矢視図、図3は、図1のB方向矢視図、図4は、図3のA−A断面矢視図、図5は、図4のギヤカバー21を外して視たC方向矢視図、図6〜図10は、要部断面図、図13,図14は、本発明の他の実施例を示す図、図15は、リンプホーム機構の特性図、図16は、図4のセンサカバー22を外して視たD方向矢視図である。
【0007】
これらの図において、スロットルボディ15は、例えばアルミダイカスト製であり、内部に吸気通路(ボア)30が形成される。スロットルボディ15には、吸気通路30と直交してスロットルシャフト18が貫通し軸受け28,29を介して回転自在に支持され、スロットルシャフト18に吸気通路30内の吸入空気量を制御するスロットル弁24が固着される。26はエンジン冷却水通路で、温水入口パイプ26aから入り、出口パイプ26bから出る。通路を流れるエンジン冷却水によりスロットル弁の周囲の加熱および/または後述のモータ12の冷却を行う。
【0008】
冷却水への放熱および/または冷却水からの熱の伝達は一部リブ15Aを通して行われる。一部はスロットルボディを通して行われる。
【0009】
スロットルボディ15の側壁のうちスロットルシャフト18と直交する左右の側壁面には、一方側の面に軸受け29、及び32を収容する軸受け収容部15Cと電子スロットル制御系の駆動用のギヤ群を収容するケース部15Aとがボディ15と一体に成形され、その反対側の面に軸受け28及び31を収容する軸受け収容部15Dと、リンプホーム機構及びスロットル弁のデフォルト開度設定機構を収容するケース部15Bとが配設してある。
【0010】
リンプホーム機構は、電子スロットル(モータやその他の制御系)が故障した場合に、機械的なアクセル機構で応急的な自力走行を可能にするためのものである。デフォルト開度設定機構は、エンジンキーをオフにした時(モータ非通電時)のスロットル弁24のデフォルト開度を設定するためのものである。スロットル弁のデフォルト開度は、例えば5゜(±0.2゜)に設定され、スロットル弁の全閉位置の開度(スロットル弁全閉位置とは、アイドル空気量を確保し得る開度に相当する)より大きく設定される。このリンプホーム機構及びデフォルト開度設定機構の構成については後述する。
【0011】
ギヤ群収容ケース部15Aは、ねじ止めにより脱着可能なカバー21により被われて、内部20にスロットル駆動系のギヤ11,9A,9B,10等を収容する。一方、ケース部15Bはアクセルレバー1,1′やアクセルシャフト34,アクセルポジションセンサ13等を備えたねじ止めにより脱着可能なカバー22により被われる。
【0012】
図4Aに示すようにアクセルカバー22は、カバー22を貫通するアクセルシャフト34を軸受け93,94を介して支持するボス部90を有し、アクセルシャフト34の一端にアクセルワイヤ結合部33付きの第一のアクセルレバー(オートクルーズドラム)1が固定配置してある。
【0013】
ボス部90外周にスプリング支持部材91が嵌装してある。アクセルシャフト34の他端はカバー22内に導入されて、このシャフト34の他端に第2のアクセルレバー(カムレバー)1′が固定配置される。これらのレバー1,1′の固定配置はアクセルシャフト34の両端に配置された締め付けナット35,92とシャフト34の段差部との間の挟持を利用して行われる。また、図1に示すように、アクセルカバー22及び上記で説明した、それに装着されたカバーが、スロットルポジションセンサを装着した側のカバー15Bとなり、部品の集約化ができた。
【0014】
スプリング支持部材91の外周には、コイルばねで構成したアクセル用リターンスプリング8が装着されている。リターンスプリング8は、一端が第1のアクセルレバー1側に接続され、他端がカバー22側に接続され、アクセルシャフト34,アクセルレバー1,1′を閉方向に付勢する。アクセルレバー1,1′は、アクセルペダルを踏み込むことでワイヤ44を介してリターンスプリング8の力に抗して開方向に回転する。
【0015】
但し、スロットルシャフト18をモータ12により電動回転させている場合には、カム形のアクセルレバー1′はスロットルシャフト18に動力を伝達することはない。95はシール部材である。
【0016】
スロットルボディ15の側壁の一部(図8(a)(b)では下部)にはモータケース部15Eがスロットルシャフト18と並行配置の態様で設けられ、モータケース部15Eに電子スロットル用のモータ12が収容される。モータ12は、直流モータ,ステッピングモータ等が使用される。また、図8(a)においてエンジンはスロットル装置の奥側(紙面の裏側)にありスロットル装置の天地方向は図の通りである。図10に示すようにモータ内のブラシ12Cはいかなる場合も水平でモータの端子12Aはモータシャフトの上側(天側)にくる。また、図8(a)において、スロットル装置のギヤボックス(15A,21)側及びアクセルボックス側(15B,22)側の両方に呼吸孔を設けた。これにより、シリコンガスのガス抜きが可能となり、酸化皮膜の生成を防ぎセンサの導通不良を防止できた。
【0017】
モータケース部15Eの内周はテーパ形状を呈して、モータ12を挿入し易くし、ケース部15Eの奥端に弾性部材27を介在させ、ケース開口部にモータ止め板96を配置しさらにその上からモータとは別体のモータ止め板96Aを重ね、ねじ97の締め付けで、弾性部材27及びモータ止め板96,96Aがモータ12を固定している。
【0018】
モータ12のシャフト12Bに設けたモータギヤ(ピニオンギヤ)11が中間ギヤ9Aと噛み合う。中間ギヤ9Aはモータギヤ11よりギヤ径(歯数)を大きくし減速及びトルク増大の機能をなし、この増大された回転トルクが更に中間ギヤ9B,スロットルギヤ10を介してスロットルシャフト18に伝達される。
【0019】
尚、中間ギヤ9Bよりスロットルギヤ10の方がキヤ径(歯数)が大きくなっており、この間でも減速及びトルク増大が生じている。
【0020】
中間ギヤ9A,9Bは一体型で、スロットルシャフト18と平行配置のギヤ支持用シャフト25に回転可能にフリーに嵌合されている。このギヤ支持用シャフト25は、一端がスロットルボディ15の側壁の穴部に圧入で支持され、中間ギヤ9が該シャフト25より外れないよう、ナイロンワッシャ100を介してEリング21で押さえられている。
【0021】
スロットルギヤ10はスロットルシャフト18の一端にナット23の締め付けにより固着されている。スロットルギヤ10は、一例として図5に示すような扇形ギヤを使用し、スロットル弁の閉方向に回転していくと、最終的にはその一辺がスロットルボディ15の側壁に設けたスロットル全閉位置調節ねじ(アイドル開度調節ねじ:第1のストッパ)7に当接することで、スロットルシャフト18のそれ以上の閉方向の回転を規制し、スロットル弁24の全閉位置を決定するようにしてある。スロットル弁全閉位置は、暖機後のエンジンのアイドル回転数を維持するに足りる空気流量を確保し得る最小開度に設定される。
【0022】
本実施例のスロットル装置は、電子スロットル方式を採用するため、スロットル制御系の駆動用モータ12が正常に作動している限り、モータ12の動力で上記ギヤ機構を介してスロットルシャフト18に回転トルクが与えられる。
【0023】
モータ12へは、図示されていないスロットルコントロールモジュール(TCM) から駆動電流が供給される。TCMは上記駆動電流指令値を次のように生成する。即ち、アクセルポジションセンサ(図11に示すアクセルペダル53の踏み込み量を検出するものである)からのアクセル踏み込み量信号やスロットル開度信号やエンジン回転数,スリップ信号等を入力して、通常のエンジン運転制御やトラクション制御あるいは、アイドルスピードコントロール,始動時のアイドルスピードコントロール等の運転形態に応じた信号を生成する。
【0024】
スロットル制御系が正常に作動している限りは、アクセルペダル53から機械的動力がスロットルシャフト18に伝わらないようにするため、スロットルシャフト18とアクセルシャフト34とは別体でオフセット配置してあり、スロットルシャフト18,アクセルシャフト34間にリンプホーム機構の要素となるアクセルレバー1′とレバー2とを介在させている。
【0025】
ここで、リンプホーム機構及びデフォルト開度設定機構について説明する。これらの機構は、本例では、スロットルボディ15を挟んでスロットル駆動系のギヤ機構を設けた側と反対側に配置してある。
【0026】
デフォルト開度設定機構は、スロットルシャフト18の一端に該シャフトに対して回転可能に嵌合されたレバー2付きスリーブ42と、レバー2付きスリーブ42をスロットル弁24の閉方向に付勢するリターンスプリング(第1の付勢手段)4と、スロットルシャフト18の一端に固定されリターンスプリング4のばね力により前記レバー2と係合可能なスロットルレバー3と、モータの非通電時(エンジンキースイッチオフ時)にレバー2付きスリーブ42をデフォルト開度位置で閉じ方向の回転を阻むデフォルト開度調節ねじ(第2のストッパ)6と、スロットルシャフト18にデフォルト開度を保つため開弁力を付与するデフォルト開度用スプリング(第2の付勢手段)5とで構成されている。
【0027】
これらの要素の具体的な実装構造を図4及び図6により説明する。
【0028】
スロットルシャフト18は、少なくとも一端が平行な2面を有する扁平形状を呈し、このシャフト18一端にスペーサ50がシャフト段差部にあてがわれるようにして挿入され、次いでレバー3が挿入された後、スリーブ45が挿入され、次いでワッシャ43の後にスプリングカラー101,スプリングプレート102,スプリングカラー103,スプリングホルダ104、次いでレバー2付きスリーブ42がスリーブ45の外側に遊嵌され、プレート38、最後にワッシャ46を介してナット47が締め付けられてある。
【0029】
図4に示すように、スリーブ(第1スリーブ)45は、ナット47の締め付けにより一端がプレート38に当接し、他端がレバー3に当接することで、スロットルシャフト18外周に固定される。ナット47の締め付け力はレバー3,スリーブ45,プレート38に与えられ、スリーブ45外周に挿嵌したレバー2付きスリーブ(第2のスリーブ)42には、締め付け力が加わらないようにして、スリーブ42のスロットルシャフト18及びスリーブ45に対する相対回転を可能にしている。
【0030】
図4(A)に示すようにスリーブ42の内面に、例えばフッ素系樹脂コーティングのような固体潤滑部材(ドライベアリング)52を施してある。
【0031】
レバー2は、図4(A)〜図4(D),図6及び図16に示すように腕部2A,2B,2Dを有し、中央の取付穴2Eがスリーブ(嵌合部材)42外周に挿通されて加締めにより金属製のスリーブ42と一体化されている。
【0032】
レバー2の腕部2Aがレバー3と係合可能とし、腕部2Bの一部となる突起 (ロールピン)2B′がアクセルレバー(カムレバー)1′と係合可能とし、腕部3Cの一部となる突起3C′にデフォルト開度用スプリング5の一端5Aが係止し、腕部2Dがスロットルボディ15の側壁に設けられたボスにねじ込まれたデフォルト開度調節ねじ(第2のストッパ)6と係合可能に設定してある。デフォルト開度用スプリング5の他端5Bはレバー2の腕部2Dに係止(接続)されている。
【0033】
この調節ねじ(デフォルトねじ)6と、レバー2の腕部2Dとの接触の仕方は、図4(A)及び、そのD方向矢視図図16のようになっており、デフォルトねじ6は、本体内部に設けられた、ボスにねじがきられており、ナットにより固定された後ペイントで封止されている。
【0034】
これにより、スロットル弁24の基準位置を決める為のねじ(デフォルトねじ)で調整しているが、市場において、そのねじが再調整されないようにできた。
【0035】
本例ではリターンスプリング4,デフォルト開度用スプリング5のいずれも同じ線径で同じ巻き径の2本のコイルばねを使用する。
【0036】
そして、1本のばねが接断しても残りの1本で所定の機能を達成できる様その仕様が設定されている。
【0037】
リターンスプリング4は、一端4Bがレバー2の腕部2Dに、他端4Aがスロットルボディ15側壁に設けたピン37に係止しており、リターンスプリング4のばね力を受けてレバー2の腕部2Aがレバー3と係合する。この係合により、リターンスプリング4がスロットルシャフト18ひいてはスロットル弁24を閉じ方向に付勢する。
【0038】
ここで、本実施形態の動作例を図11の原理図及び図12を参照しながら説明する。
【0039】
リターンスプリング4の閉じ方向の力により、エンジンのキーオフ時(モータ非通電時)には、レバー2がレバー3を介してスロットルシャフト18を閉じ方向に付勢して、スロットル弁24がデフォルト開度に相当する位置まで戻される。デフォルト開度位置で、レバー2は腕部2Dがストッパ6に当接し、それ以上の閉方向の回転が阻まれる。
【0040】
ストッパ6の存在により、リターンスプリング4のばね力をデフォルト開度θ2から全閉位置まではスロットルシャフトに作用させず、この全閉位置付近 (全閉〜デフォルト開度θ2の間)では、既述したデフォルト開度用スプリング5のみがスロットルシャフトに作用するように構成する(スロットルシャフト18に開弁力を付与する)ことで、モータが非通電の状態ではスロットル弁24はデフォルト開度に保たれる。
【0041】
デフォルト開度位置におけるリターンスプリング4の閉方向の付勢力P1とデフォルト開度用スプリング5の開度方向の付勢力P2はP1≧P2、換言すればP1による閉方向の軸トルクT1とP2による開方向の軸トルクT2とがT1≧T2となるように成立させている。
【0042】
エンジン停止時にこのデフォルト開度を保つことで、寒冷時の始動時における暖機運転であっても、またスロットル弁が万一氷着していてもエンジン始動に必要な空気流量を確保することができる。
【0043】
暖機後のアイドル運転を行う場合には、アイドル制御指令値に基づくモータ12の動力でスロットルシャフト18をデフォルト開度用スプリング5のばね力に抗してスロットル弁を閉方向に回転させる。この時、デフォルト開度〜全閉位置の範囲では、レバー3が図11の破線3′に示すようにレバー2から離れてスロットルシャフト18と一体にスロットル弁閉方向に回転動作する。
【0044】
デフォルト開度θ2以上の範囲でスロットル弁24を開度(開閉)制御する場合には、通常の運転状態では、モータ12の動力をギヤ機構9〜11を介してスロットルシャフト18に伝達し、この力とリターンスプリング4のばね力とのバランスにより制御される。この時、レバー2とレバー3とは係合して、レバー2付きスリーブ42は、スリーブ45と共にスロットルシャフト18と一体的に回転する。
【0045】
次に運転者がアクセルペダル53を目一杯踏んだ状態で、車輪と地面との間にスリップが生じると、スロットルコントロールモジュールの指令により、スリップ防止のためモータ12がスロットル弁24を閉じ方向に制御する。この状態ではレバー2は戻り過程でアクセルレバー1′に係止されそれ以上の閉方向の回転を阻止されるが、このような状態においては、レバー3がレバー2から離脱してスロットルシャフト18と共に閉方向に回転して、スロットル弁24の閉方向制御(トラクション制御)が支障なく行われる。
【0046】
必要な場合はデフォルト開度用スプリング5の力に抗してデフォルト開度位置より更に閉方向に回転することも可能である。
【0047】
トラクション制御状態においては、上記のようにレバー2がアクセルレバー1′と係止する状態が生じると、リターンスプリング4のばね力がレバー2を通してアクセルレバー1′に衝撃となって加わる現象(キックバック現象)が生じる。
【0048】
本実施例では、図15(a)に示すように、アクセルシャフトの回転角度がθ1以上のところで、アクセルレバー1′とレバー2とが係合する様な状態になった場合は、アクセルレバー1′のカム1Bとレバー2とが接触する様に構成してあるので、図15(a)の破線あるいは実線で示す様なアクセルシャフトの開度とスロットル開度との特性がカムの形状を変えることで自由に選択できる。
【0049】
カムレバー1とローラ2Bの関係を図4(D)に示す。
【0050】
(a)は通常の制御状態の時の関係を示す。アクセルレバー1のカム1′は常にカム2Bとは非接触状態で回動する。
【0051】
(b)はリンプホームあるいはトラクションコントロール状態での一つの状態を示すもので、図15のθ1の状態である。
【0052】
(c)はリンクホームあるいはトラクションコントロール状態の別の状態を示すもので、図15のWOT近傍の状態である。
【0053】
本実施例では、リンプホーム時の自力走行に必要なアクセル開度θ3を確保する必要があるので、アクセルレバー1′のカム形状を利用して、図15(a)に実線で示すように、上記のカム特性(スロットル開度−アクセル開度特性)を直線勾配にした。
【0054】
本例では、図15(b)に示すようにθ1=30ー,θ2(デフォルト開度)=5ー,リンプホームに必要なスロットル開度θ3(リンプホームに必要なスロットル開度)=7ーに設定した。破線のような特性にした場合は、リターンスプリングのばね力がアクセルペダルに作用する力を小さくできる利点がある。
【0055】
スリーブ42はスロットル弁24のデフォルト開度θ2〜全閉位置までは、スリーブ45上を相対回転し、また、上記のようにトラクション制御の場合にも、スリーブ45上を相対回転することもあり得る。この場合の両者間のフリクションを固体潤滑部材52により低減させている。
【0056】
リンプホーム機構は次のように動作する。
【0057】
スロットル制御系やモータ12が故障した時には、リターンスプリング4のばね力でスロットル弁24がデフォルト開度位置まで戻される。この状態で、アクセルペダル53をθ1以上踏み込むと、アクセルレバー1のカムループ1′がレバー2に係合し、レバー2を図11の一点鎖線に示すように、スロットル弁の開方向に回動させる。スロットルシャフト18及びレバー3は、デフォルト開度から全開方向には実線のようにスプリング5の力でレバー2に引き付けられており、レバー2の開方向の回動に追従し、スロットル弁24が開き、アクセルペダルによる自力走行(リンプホーム)が可能になる。
【0058】
この場合、リンプホームの動作を保証するために、リターンスプリング4の付勢力P1による軸トルクT1については、少なくともデフォルト開度θ2〜スロットル全開位置で下記式の条件を満足すること、デフォルト開度用スプリング5の付勢力P2による軸トルクT2については、少なくともスロットル全閉位置〜リンプホーム走行領域までは、下記の条件を満足させることが必要となる。
【0059】
【数1】
T1>Mf×Ge+Vf
T2>Mf×Ge+Vf
(ここで、Mf:モータ静止摩擦トルク,Ge:減速比,Vf:スロットル弁を開かせるためのスロットルシャフト上での必要トルク)
の条件を満たすことが必要となる。
【0060】
本実施例の効果は次の通りである。
【0061】
a.スロットルシャフト駆動に使用されるレバー2付きスリーブ42は、デフォルト開度〜スロットル全開位置の大部分の開度領域で例外的な場合(トラクション制御でアクセルペダルを目一杯踏んだ状態でスロットル弁をモータで絞り込んだ時)を除いて、スロットルシャフト18に載った状態でスリーブ45と一体的に回転するので、スリーブ42,スリーブ45間のフリクションをほとんどなくすことができる。
【0062】
したがって、リターンスプリングの力P1を小さくし、ひいては要求されるスロットルシャフト18の軸トルクT1を軽減し、モータ駆動の負担を小さくする。さらに、スロットル軸トルクのスロットルデフォルト開度位置を境にして発生する軸段差トルクT1−(−T2)も小さくすることで、スロットル駆動制御の安定性を高める。
【0063】
b.デフォルト開度設定機構の構成要素となる部品、スペーサ50,ワッシャ43,デフォルト開度用スプリング5,スリーブ45,リターンスプリング4及びレバー2付きスリーブ42,レバー3等は順次スロットルシャフト18に片側から挿入し、ナットの締め付けだけで組み立て可能なので、実装作業の合理化を図ることができる。
【0064】
c.デフォルト開度設定機構,リンプホーム機構,スロットルセンサ14,アクセルセンサ13,ケース15Bのカバー22等を集約的に配置し、しかも、その機構部品の一部について共通化を図ることで、部品点数及び構造化の合理化を図り、装置の小型化を可能にする。また、リターンスプリング4,デフォルト開度用スプリング5にコイルばねを内側と外側に重ねて使用することで、より一層の装置のコンパクト化を図り得る。
【0065】
なお、コイルばねを使用する場合には、ばね定数の小さいものを設計し、モータ12の負担軽減を助長する。
【0066】
d.全閉位置設定機構のストッパ(アイドル開度調節用のねじ)7とデフォルト開度設定機構のストッパ(デフォルト開度調節用のねじ)6とがいずれも調整可能であるためそれぞれの開度を自在に設定できる。しかも、双方のストッパがスロットルボディ側壁の互いに反対側の面に設けていることから、側壁の向きやギヤ機構,デフォルト開度機構の存在から両者のストッパを容易に迷うことなく識別することができ、両者のストッパの誤認をなくして、調整の誤りを防止できる。
【0067】
また、図16に示すデフォルト開度設定用整整ねじ6のように、ケース15Bの内側に内蔵する構成とすることにより、組付け後に市場で不作偽に開度変更される虞れがなく、タンパープルーフ機能を持たせることができる。
【0068】
また、減速ギヤ機構のうち扉形ギヤ10の一辺に全閉位置設定機構のストッパ(アイドル開度調節ねじ)7を当接可能にすることで、スロットルシャフト側のストッパ係止部材としてギヤの一部を兼用できる。
【0069】
e.リンプホーム機構とデフォルト開度機構を混在させても、トラクション制御時にリンプホーム機構によってスロットルシャフトの動作が邪魔されることなくスムーズに行うことができる。
【0070】
図14(a),(b)及び図2により第2の実施例について説明する。
【0071】
本実施例と第1の実施例の原理構成は同様であり、異なる点は、その使用部品の一部を変更した点にあり、ここでは、この相違点だけを述べる。なお、図中、図4と同一符号は同一要素を示す。図21は図14(a),(b)に示す機構の分解斜視図である。
【0072】
本例では、リターンスプリング及びデフォルト開度用スプリングについては、前者に渦巻き形のスプリング(ぜんまいばね)63を使用し、後者にも渦巻き形のスプリング(ぜんまいばね)64を使用する。
【0073】
デフォルト開度設定機構は、スロットルシャフト18の一端に該シャフトに対して回転可能に嵌合されたレバー2付きスリーブ42と、レバー2付きスリーブ42をスロットル弁24の閉方向に付勢するリターンスプリング63(第1の付勢手段)と、スロットルシャフト18の一端に固定されリターンスプリング63のばね力により前記レバー2と係合可能なレバー3と、モータ非通電時(エンジンキースイッチオフ時)にレバー2付きスリーブ42をデフォルト位置で閉じ方向の回転を阻むデフォルト開度調節ねじ(第2のストッパ)6と、スロットルシャフト18にデフォルト開度を保つための開弁力を付与するデフォルト開度用スプリング(第2の付勢手段)64とで構成される。
【0074】
図14(a)に示すように、スロットルシャフト18は、少なくとも一端が平行な2面を有する扁平形状を呈し、このシャフト18一端にスペーサ50がシャフト段差部18′にあてがわれるようにして挿入され、次いでワッシャ51が挿入された後、デフォルト開度用スプリング64付きチップ38が係合状態で挿入され、次いでナイロンワッシャ43の後にレバー2付きスリーブ42がスリーブ45を介して遊嵌され、さらにレバー3がスロットルシャフト18に係合状態で挿入され、最後にワッシャ46を介してナット47が締け付けてある。
【0075】
図14(a)に示すように、スリーブ(第1のスリーブ)45は、ナット47の締め付けにより一端がチップ38に当接し、他端がレバー3に当接することで、スロットルシャフト18外周に固定される。ナット47の締け付け力はレバー3,スリーブ45,チップ38に与えられ、スリーブ45外周に嵌合したレバー2付きのスリーブ(第2のスリーブ)42には、締け付け力が加わらないようにして、スリーブ42のスロットルシャフト18及びスリーブ45に対する相対回転を可能にしている。
【0076】
リターンスプリング63は、一端63Bがスリーブ42に、他端63Aがスロットルボディ15側壁に設けたピン37に係止しており、リターンスプリング63のばね力を受けてレバー2の腕部2Aがレバー3に係合する。この係合により、リターンスプリング63がスロットルシャフト18ひいてはスロットル弁24を閉じ方向に付勢する。
【0077】
レバー2は、図21に示すように腕部2A〜2Dを有し、中央の取付穴2Eがスリーブ(嵌合部材)42外周に挿通されて加締めにより金属製のスリーブ42と一体化されている。
【0078】
図14(b)に示すようにスリーブ42の内面に、例えばふっ素系樹脂コーティングのような固体潤滑部材(ドライベアリング)52を施してある。
【0079】
レバー2の腕部2Aがレバー3と係合可能とし、腕部2Bの一部となる突起
(ロールピン)2B′がアクセルレバー(カムレバー)1′と係合可能とし、腕部2Cの一部となる突起2C′にデフォルト開度用スプリング5の一端5Aが係止(接続)され、腕部2Dがスルットルボディの側壁に設けたデフォルト開度調節ねじ(ストッパ)6と係合可能に設定してある。デフォルト開度用スプリング64の他端5Bはチップ38と接続されている。
【0080】
本実施例によれば、第1実施例同様の効果を得られる。
【0081】
なお、リターンスプリング63を外側に配置,デフォルト開度用スプリング64を内側に配置してもよい。
【0082】
次に図13,図17により第3の実施例について説明する。
【0083】
図13は第3実施例の要部断面図、図17はその分解斜視部である。なお、図13,図17には、図示していないが、第1,第2実施例で用いたスロットルボディの吸気通路30,スロットル弁24の取付け構造,ギヤ構造9A,9B,10,11やアクセルカバー22のアクセルシャフト34,レバー1,1′の取付け構造等は前の実施例と同様である。
【0084】
本実施例は、リターンスプリング,デフォルト開度用スプリングの一方をコイル形の捩じればねとし、他方を渦巻ばねとする。ここではコイル形捩じればねによるリターンスプリング63と渦巻ばね(ぜんまいばね)によるデフォルト開度用スプリング64を使用する。
【0085】
また、レバー2付きのスリーブを今までのスリーブ42に代わりスリーブ70を使用する。
【0086】
スリーブ70は、レバー2と、図13(b)に示すように、スリーブ45に回転可能に嵌合される内筒部70Aとその外側に配置される外筒部70Bとで構成される。
【0087】
内筒部70Aは外筒部70Bより筒長を短くして、その筒長の短くなった分のスリーブ70内部空間を利用してデフォルト開度用スプリング64をチップ38を介してスロットルシャフト18上にセットし、その一端64Aホルダー70に設けた切欠き(not shown)に係止させている(他端64Bは、チップ38に係止する)。
【0088】
スリーブ70の外筒部70Bには軸方向に2分割されたスプリングホルダー71,72が嵌挿される。
【0089】
リターンスプリング63は、スプリングホルダー71,72に支持されて、その一端63Aがホルダー72に設けられた切欠き72Aを通してスロットルボディ15のピン37に係止し、他端63Bがレバー2の腕部2Dに係止される。
【0090】
本実施例も第1実施例同様の効果を奏し、さらに、次のような効果を奏する。
【0091】
h.リターンスプリングとデフォルト開度用スプリングとにコイル形の捩じればね,渦巻ばねの異なるタイプのばねを使用した場合であっても、それらのばねを一つのスリーブに集約配置でき、装置のコンパクト化を図れる。
【0092】
図18は第4の実施例の分解斜視図、図19はその要部断面図である。
【0093】
本実施例は、リターンスプリング,デフォルト開度用スプリングの一方を渦巻ばねとし、他方を引っ張りばねとしたタイプである。デフォルト開度設定機構について、本実施例ではボディのコンパクト化を図り、スロットル駆動系のギヤ機構側に配置したものである。ギヤ機構については、スロットルギヤ10のみを図示し、ギヤ9A,9B,11については図示を省略した。
【0094】
本例では、図18に示すように、スロットルシャフト18のギヤ機構側の一端にスロットルギヤ10に次いでレバー3を固定配置し、次いでワッシャ51,リターンスプリング4及びレバー2付きのスリーブ42,ワッシャ51′,スリーブ45を挿入し、ナット23で締め付ける。リターンスプリング4は渦巻ばねを使用する。デフォルト開度用スプリング85については、後述するように引っ張りばねを使用する。
【0095】
既述した各実施例と同様にスリーブ45はナット23の締め付けとスロットルシャフト段差18′との相互作用でスロットルシャフト18上に固定されており、このスリーブ45外周にスリーブ42がスリーブ45及びシャフト18に対して回転可能に嵌合されている。
【0096】
リターンスプリング4は一端4Aが図19(a)に示すようにスロットルボディ15に固定配置したピン37に係止し、他端がスリーブ42に係止して、スリーブ42及びレバー2をスロットル弁の閉じ方向に付勢する。
【0097】
一方、レバー3は、その腕部3Aが上記のレバー2の腕部2Aと係合可能とし、腕部3Bとデフォルト開度用スプリング85の一端85Bが係止する。デフォルト開度スプリング85は、一端がレバー2の腕部2Cに係止し、他端がレバー3の腕部3Bに係止する。
【0098】
本実施形態においても、デフォルト開度設定動作については、既述した実施例同様で、エンジンキーオフ時には、リターンスプリング4のばね力がレバー2,レバー3の係合を介してスロットルシャフト18に伝達され、デフォルト開度位置でレバー2の腕部2Dが調節ねじ6に当接し、この時のデフォルト開度用スプリング85の力でスロットル弁のデフォルト開度が保持される。
【0099】
この位置からモータをデフォルト開度用スプリング85の引っ張り力に抗して閉じ方向に駆動させれば、全閉位置調節ねじ7の位置でスロットル弁の全閉位置が決定される。
【0100】
スロットルセルサ14も、このギヤ機構側のスロットルボディ壁面に配置してある。
【0101】
本実施例では、基本的には、即述の各実施例同様の効果を奏し得るが、さらに次のような効果を奏する。
【0102】
i.スロットル駆動系のギヤ機構とデフォルト開度機構とを集約配置することができる。ギヤ機構とリターンスプリング,デフォルト開度用スプリングとをシャフト18の近い位置に配置したので、互いに作用し合う反対方向のトルクの軽減を図り得る。
【0103】
図20は、本発明の第5の実施例を示す断面図である。本実施例は、リンプホーム機構を設置しないタイプ(フル電制タイプ)であり、アクセルシャフト,アクセルレバー,アクセルセンサについては、スロットルボディの外に別設置している。アクセル機構は、アクセルポジションに関する信号を発生させるために用い、直接、スロットル弁を開閉操作するのに関与するわけではないため、図示しないアクセルペダル近傍に別置きとした。
【0104】
本例でも、スロットルシャフト18一端のスロットル駆動系のギヤ機構側にデフォルト開度機構を配置している。リターンスプリング4,デフォルト開度用スプリング5については、両方共、渦巻ばねで形成されており、第2の実施例とほぼ同様の構造である。
【0105】
スロットルシャフト18一端には、スロットルギヤ10,レバー3が固定配置され、次いでデフォルト開度用スプリング5付きチップ38が固定配置され、次いでスリーブ45を介してリターンスプリング4及びレバー2付きスリーブ42が嵌合され、ナット47により締め付けられる。スリーブ42は、スリーブ45上を回転可能である。
【0106】
リターンスプリング4は一端4Aがスロットルボディ15側のピン37に係止し、他端がスリーブ42に係止する。
【0107】
レバー3の腕部3Aは、デフォルト開度用スプリング5,リターンスプリング4を超えてレバー2と係合可能にしてある。
【0108】
デフォルト開度用スプリング5の一端5Aはレバー3の腕部3Aに係止され、他端がチップ38に係止されている。本例では、デフォルト開度用調節ねじ6及び全閉位置調節ねじ7が図示省略されているが、これらは、スロットルボディ15と一体のケース部15に配置してある。デフォルト開度動作については、その原理は既述した各実施例と同様なので、ここでは省略する。
【0109】
本実施例では、リンプホーム動作以外の効果は既述した各実施例とほぼ同様であり、さらに、第4実施例のiの効果に加えて次のような効果を奏する。
【0110】
j.本例では、デフォルト開度設定用のストッパの位置でのスロットルシャフト軸トルク特性T1(換言すればP1特性),T2(換言すればP2特性)を次のように設定する。
【0111】
【数2】
T1≧Mf×G+Vf
T2≦Mf×G+Vf
このように設定することで、T1,T2のスロットル軸トルク特性を極力小さくしてスロットルデフォルト開度位置付近のスロットル軸トルク段差T1− (−T2)を小さくできるので、スロットル駆動制御の安定化を図り得る。なお、T2<Mf×Ge+Vfの場合には、図16に示すように第2の付勢手段のT2が幾分犠牲になってスロットルデフォルト開度位置に設定誤差が生じるが、この誤差は車両側より要求される冷寒始動の燃焼に必要な空気流量が確保できれば、スロットル開度の所期の目的を達成できる。
【0112】
k.更に、本例では、スロットルボディ15を挟んで、その一方側に減速ギヤ機構及びデフォルト開度設定機構を配置し、他方側にスロットルポジションセンサ14を配置してなる。
【0113】
上記構成によれば、ギヤ機構とスロットルポジションセンサ14とがスロットルボディ15に形成された2つのボアを介して隔離配置される。一般にギヤ機構等の機械的な摺動部(例えば金属間摺動)より摩耗粉が生じ易いが、上記の隔離配置構造により摩耗粉がスロットルポジションセンサ14に侵入するのを防ぎ、スロットルポジションセンサの性能劣化を防止できる。
【0114】
また、モータ側ケーシング15A内にギヤ機構と共にスロットルデフォルト開度設定機構を集約することで、部品の集約化を図りスロットル装置全体の小型化を図れる。更に、スロットルポジションセンサ14をできるだけスロットルボディのセンタ寄りに配置でき、その結果、スロットルシャフトの振れや曲りの影響を排除して出力特性の変化を少なくすることができる。
【0115】
なお、図8において、モータの端子12Aはシャフト18よりも天方向、即ち、スロットルボディを紙面裏側に位置するエンジンブロックに図8の如く、天地方向になる様取付けこの時モータ端子12Aがシャフト18より上方に位置するようにする。これにより、刷子の摩耗粉が端子部に堆積して端子部がショートする問題がない。従って、スロットルボディの取付け姿勢が変わればモータ端子が必ず天方向になる様モータとスロットルボディの位置関係を変える。
【0116】
図22はガス抜き孔(呼吸孔)の具体的断面形状を示す。各ガス抜き孔にはゴム製のドレーンプラグD0 が差し込まれる。ドレーンプラグD0 には、外部からの水の進入を防ぐ突起D1,D2が内周側に突出形成されている。この突起D1 ,D2 は孔の外側に向かって傾斜しており内部の水分は流出し易く工夫されている。
【0117】
以下本実施例の実施態様について整理する。
【0118】
従来の電子制御スロットル装置は、特開平1−315629 号に記載されている様に、1ボアに設けた1つのスロットル弁を直流モータによって開閉制御している。モータとスロットル弁とはその操作軸が相互に並行に配置され、両軸はその一端で減速ギヤを介して連結されている。
【0119】
ここで、従来はモータの径に比べスロットルボディの空気の流れ方向の寸法、つまり高さ方向が約2倍もあり、全体として軸方向の高さが高く、モータとスロットルボディの間にデットスペースが多かった。これは、スロットル弁が全開になって空気の流れに平行になった時、スロットル弁を収容するボディの高さが必要であることが原因である。本実施例の目的は、モータの径とスロットルボディの高さ方向の寸法を同程度にして全体的にデッドスペースが少なく、シンプルな形状の電子制御スロットル装置を得ることにある。
【0120】
モータの回転をギヤによって減速してスロットル弁に伝えるため、ギヤ同士の摩耗による金属粉が、センサに悪影響を及ぼすことが考えられる。
【0121】
本願の別の実施例の目的は、ギヤ粉がセンサに悪影響を与えないこの種電子制御スロットル装置を得ることにある。
【0122】
またスロットル制御系の回路やモータに故障が発生した場合を考慮して、アクセルペダルと機械的に連動して自力走行を可能にするいわゆるリンプホーム機構やデフォルト開度設定機構が設けられているが、本願の別の実施例の目的はこれら補助機構の部品の集約化,合理化を図ることにある。
【0123】
また、本実施例では過酷な温度条件のもとで使用されることを考慮し、本願の別の実施例の目的はモータが効率の良い温度下で使用されるようにすると共に、スロットルバルブは寒冷時においても凍結しないようにすることにある。
【0124】
電子制御スロットル装置センサの出力誤差が大きかったり、センサの出力異常があると正常な制御ができない。本願の別の実施例の目的は、センサの安全性を確保することにある。
【0125】
また、エンジンルール内に取付けられるため振動の影響を受け易い。本願の別の実施例の目的は、共振が、使用条件内で起こらないようにする点にある。
【0126】
また、スロットル弁の基準位置(デフォルト開度位置)はねじ(デフォルトねじ)で調整しているが市場において、そのねじが再調整される問題がある。
【0127】
本願の別の実施例の目的は、市場においてスロットル弁の基準位置調節ねじがユーザーによって誤って調整されることのないようにする点にある。
【0128】
また、回路を保護する為の保護樹脂中に含まれるシリコンよりガスが発生しセンサの導通不良を起こすことが考えられる。本願の別の実施例の目的は、発生ガスをすみやかに外部に放出することにある。
【0129】
また、モータ内部にあるブラシが摩耗で金属粉が発生しそれが、モータ端子のショートの原因となることが考えられる。
【0130】
本願の別の実施例の目的は、モータのショートを防ぐ点にある。
【0131】
筒内直接燃料噴射装置の吸気装置に用いる場合にはより正確で応答性の良い空気量制御が要求される。
【0132】
本願の別の実施例の目的は、スロットルバルブの制御精度と応答性を向上する点にある。
【0133】
本実施例は、上記目的を達成するために設けられた2つのボアとこれを横切る1本の回転軸と各ボアの開口面積を制御可能に回転支持されたスロットル弁と、前記回転軸に並行に配置された回転軸を有するモータとこのモータ軸の一端と前記回転軸の一端との間に設けられた歯車機構とから電子スロットル装置を構成するものである。
【0134】
ボアを2つにしたので、1つのボアで得られる空気量を、1/2の面積のスロットル弁で制御できる。この結果スロットル弁の径は1/v2になる。従って、2ボアにした本実施例では、スロットル弁が全開の時のスロットル弁の高さ方向の寸法が1/v2になりその分ボディの高さを小さくすることができる。よってモータの径とスロットルボディの高さをほぼ同じにできるので全体としてスロットルボディまわりのデッドスペースを少なくできる。
【0135】
スロットル弁を駆動するモータ及び減速ギヤ機構と、前記スロットル弁の開度位置を検出するスロットルポジションセンサとを備えたエンジンのスロットル装置において、スロットルボディを挟んで、その一方に前記減速ギヤ機構を配置し、他方側に前記スロットルポジションセンサを配置した。
【0136】
ギヤ機構とスロットルポジションセンサとをスロットルボディを介して隔離配置したのでギヤの摩耗粉がスロットルポジションセンサに侵入するのを防ぐことができスロットルポジションセンサの性能劣化を防止することができた。
【0137】
また、スロットルポジションセンサは、スロットルシャフトの端部に装着したスロットル弁を閉じ方向及び開き方向に付勢するばね機構とスロットルボディとの間の空間に設置した。
【0138】
この構成によれば、スロットルポジションセンサをばね機構でカバーでき、スロットルポジションセンサ自体に特別なカバーを設けることなしに外部と隔離できる。
【0139】
スロットル制御系のモータと、スロットル弁の全閉位置を設定する全閉位置設定機構と、モータが非通電時のスロットル弁のデフォルト開度を前記全閉位置より大きく保つデフォルト開度設定機構を備えたエンジンの電子制御スロットル装置において、スロットルシャフトを駆動する前記モータのギヤ機構がスロットルシャフトの一側に配置され、同シャフトの他側にこのシャフトの端部を包囲するケース部がスロットルボディに形成されており、このケース部にスロットルポジションセンサと前記デフォルト開度設定機構が内装されている。また、このケース部にアクセルペダルに連動するアクセルシャフトが保持され、このシャフトにアクセルポジションセンサが取付けられており、アクセルポジションセンサを支持する部材が前記ケース部のカバーを兼用する構成としても良い。
【0140】
デフォルト開度機構の他にスロットルの電気的制御に用いるスロットルポジションセンサをスロットル側壁に設けた同一ケース内部に集約的に配置できた。しかも、アクセルシャフト及びアクセルポジションセンサの支持部材とケース部のカバーの共通化を図れば更に部品の削減を図ることができる。
【0141】
スロットルボディ内に温水を通流する温水通路を設け、この温水通路をモータおよび/またはバルブの近くに設けた。
【0142】
モータ本体に形成されたブラケットに更に、それとは全く独立のプレートを重ねて、ねじ止めし固定する。
【0143】
モータブラケットをプレートとボディとの間にはさんでねじ止めすることでモータをスロットル装置本体に取付けた時の剛性が増し、モータ端子側での振動が少なくなる。更に共振周波数がより高い周波数の方に移動できる。
【0144】
スロットルポジションセンサおよび/またはアクセルポジションセンサを2重系で構成し、一方の系を他方の系の補正用および/またはバックアップ系とした。また、それぞれのコネクタを天地方向に分けて配置したので誤接続の可能性が少なくなった。
【0145】
デフォルト調整用のねじをデフォルト機構の入ったスロットルボディのケース内に内蔵し、市場でのユーザーによる再調整を防止した。
【0146】
また、別の実施例では、ギヤボックスおよび/またはアクセルボックスにシリコンガスのガス抜きを設けた。これにより酸化皮膜の生成を防ぎセンサの導通不良を防止できた。
【0147】
又、別の実施例ではモータ端子の位置をシャフトより天側に設けたのでモータ端子に刷子粉が付着しないので、モータの故障を少なくできる。
【0148】
定格トルク0.049N・m,常用回転数2450rpmのモータを用い、その回転数を、ギヤにより、1/10.27 に減速してスロットルシャフトに伝える。このモータ性能とギヤ比により筒内噴射装置用のスロットルバルブに要求される高い応答性を確保できる。
【0149】
以上のように本実施例によれば、電制スロットル装置の高さ方向寸法を小さくできデットスペースを小さくできた。又、別の発明では、デフォルト開度設定機構或いは必要に応じてその他の機構(例えばリンプホーム機構)も含めて、部品の集約化,合理化を図ることでこれらの機構の搭載性の向上を図りつつ、従来よりも、機構上のフリクション低減,付勢手段の特性改善(例えば、リンプホームスプリング等のばね特性の改善)を図ることにより、スロットルアクチュエータ駆動の負担の軽減,スロットル制御動作の安定化を達成することができる。
【0150】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、モータが効率の良い温度下で使用されるようにでき、またスロットルバルブは寒冷時においても凍結しないようにできた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図。
【図2】図1のA方向矢視図。
【図3】図1のB方向矢視図。
【図4A】本発明の第1の実施例を示す断面図。
【図4B】図4のE矢視図。
【図4C】図4のD矢視図。
【図4D】図4のレバー2とカム1′の動作説明図。
【図5】図4のカバ21をとりはずした時のC方向矢視図。
【図6】上記第1の実施例の要部分解斜視図。
【図7】上記第1の実施例の要部断面図。
【図8】上記第1の実施例のエンジン取付状態を示す図面で、(a)は全体図、(b)はモータ部の拡大図面。
【図9】図8のF方向矢視図。
【図10】図8のE方向矢視図。
【図11】本発明の動作原理を示す説明図。
【図12】本発明におけるスロットル軸トルク特性を示す説明図。
【図13】上記の第3の実施例を示す断面図。
【図14】上記の第2の実施例を示す断面図。
【図15】実施例におけるスロットル開度とアクセル開度の関係を説明する図面で、(a)は特性図、(b)は設定角度を示す表である。
【図16】図4のD方向矢視図(図13のE方向矢視図)。
【図17】図13のD分解斜視図。
【図18】第4の実施例の分解斜視図。
【図19】図18の要部断面。
【図20】第5の実施例を示す断面図。
【図21】図14の分解斜視図である。
【図22】ガス抜き孔(呼吸孔)とドレーンプラグの具体的構成を示す図面。
【符号の説明】
1,1′…アクセルレバー、2…レバーA(リターンレバー)、3…レバーB(スロットルレバー)、4…第1の付勢手段(リターンスプリング)、5…第2の付勢手段(デフォルト開度用スプリング)、6…デフォルト開度調節ねじ(第2のストッパ)、7…スロットル全閉位置調節ねじ(第1のストッパ)、8…アクセル用リターンスプリング、9A,9B,10,11…ギヤ機構、12…モータ、13…アクセルポジションセンサ、14…スロットルポジションセンサ、15…スロットルボディ、18…スロットルシャフト、24…スロットル弁、42…スリーブ(第1のスリーブ)、45…スリーブ(第2のスリーブ)、47…ナット。
Claims (2)
- モータにより開閉するスロットル弁を、スロットルボディに形成された吸気通路に装着し、
前記スロットルボディに前記モータを取付けた内燃機関の電子制御スロットル装置であって、
前記スロットルボディにエンジン冷却水を通流する温水通路を設け、
当該温水通路が前記モータと前記スロットルバルブの近接部に熱伝達可能に構成された内燃機関の電子制御スロットル装置において、
前記温水通路の温水入口パイプが前記吸気通路の上流側に向かって開口すると共に、吸気通路の下部において、前記温水通路の温水出口パイプが前記吸気通路の下端の面とほぼ同じ高さ位置で空気の流れの軸線に対して交叉する方向に設けられており、
さらに、前記モータの軸長が前記スロットル弁を支持するスロットル軸より短く構成されていて、その結果前記モータの一端部が前記スロットル軸に沿って前記スロットル弁の途中まで延びており、
前記温水入口パイプと温水出口パイプとの間を繋ぐ屈曲した温水通路部が前記モータの端部と前記スロットル弁の外周の一部とで囲まれたスロットルボディ部に形成されており、
さらに、前記モータの軸の他端部に設けられたギア、このギアと噛み合う中間ギア、前記スロットルシャフトに固定され前記中間ギアと噛み合うスロットルギアとを備え、
前記スロットルシャフトの前記スロットルギアが取付けられた側の端部には、前記中間ギアと前記スロットルシャフトの軸受け部との間に区画される空間部に前記スロットルシャフトのデフォルト開度設定用及び戻し力発生用のばね機構が装着されている
ことを特徴とする内燃機関の電子制御スロットル装置。 - 請求項1に記載したものにおいて、
前記モータと前記スロットルバルブの近くのスロットルボディに熱伝導用のリブを設けて前記温水通路との間で熱伝達可能に構成したことを特徴とした内燃機関の電子制御スロットル装置。
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