JP3764118B2 - トルク伝達機構およびこれを用いた電動工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、工具回転方向に強い回転トルクを与え、ネジやナット等を強固に締めるためのねじ締め機等の電動工具に好適に用いることができるトルク伝達機構およびこれを用いた電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記ねじ締め機としては、一般的にインパクトドライバあるいはインパクトレンチと呼ばれ、例えば図3に示すような回転打撃機構160を備えたインパクト式のねじ締め機150が提供されていた。このねじ締め機150は、駆動源としての電動モータ151と、該電動モータ151の出力軸151aに取り付けたピニオンギヤ157(サンギヤ)を介して該電動モータ151に連結された遊星歯車機構152と、該遊星歯車機構152を介して前記電動モータ151により回転するスピンドル159と、該スピンドル159の先端側に取り付けた回転打撃機構160を備えている。
回転打撃機構160は、スピンドル159と同軸で回転可能に支持したアンビル161と、前記スピンドル159の外周側に回転可能且つ軸方向移動可能に支持した略円筒形状をなすハンマー162を備えている。アンビル161は、本体ケース153の先端に取り付けたインパクトケース154に軸受け155を介して回転可能に支持されている。アンビル161の先端側は、インパクトケース154から突き出されており、この突き出し部分の先端にねじ締め用のドライバビット(図示省略)が装着される。
スピンドル159とハンマー162との間には鋼球164,164が挟み込まれている。鋼球164,164は、スピンドル159の外周面に形成した回転軸線に対して傾斜する側面視V字形かつ断面半円形のカム溝159aと、ハンマー162の内周面に形成した、該カム溝159aとは逆向きの側面視V字形のガイド溝162aとの間に挟み込まれている。このため、ハンマー162は、スピンドル159に対して相対的に回転しつつ、軸方向に前進又は後退する。
【0003】
又、ハンマー162は、圧縮ばね163により前進方向(図示右方)に付勢されている。このため、ハンマー162の後退動作は、圧縮ばね163の付勢力に抗してなされる。ハンマー162の前端面には、2個の打撃突部162b,162bがアンビル161側に突き出して設けられており、これに対応してアンビル161の後端には2本の打撃アーム161a,161aが放射方向に張り出すように設けられている。
ハンマー162が圧縮ばね163の付勢力により前進すると、上記したように該ハンマー162は前進しつつ回転するので、ハンマー162の打撃突部162b,162bがアンビル161の打撃アーム161a,161aに衝突し、これによりアンビル161に回転方向の打撃が与えられる。この打撃によりアンビル161はねじの締め付け方向に回転し、これによりねじが締め付けられる。
ねじ締め作業時において、ドライバビットを経てアンビル161に一定以上の外部トルク(ねじ締め抵抗)が付加されると、ハンマー162がスピンドル159に対して相対回転しつつ軸方向に後退して打撃突部162b,162bがアンビル161の打撃アーム161a,161aから外れ、これによりハンマー162とアンビル161との係合状態が解除される。ハンマー162とアンビル161との係合状態が解除されると、外部トルクはハンマー162に伝わらなくなり、該ハンマー162が圧縮ばね163のばね付勢力により前進しつつ回転し、ほぼ180゜回転した後、打撃突部162bが打撃アーム161aに衝突してアンビル161が回転方向に打撃され、これによりアンビル161が回転してねじが締め付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のインパクト式ねじ締め機150では、ハンマー162の打撃突部162b,162bをアンビル161の打撃アーム161a,161aに対して回転方向に衝突させることによりアンビル161に大きな回転トルク(ねじ締めトルク)を与える構成となっていたため、打撃突部162bが打撃アーム161aに衝突する際に打撃音(衝撃音)が発生し、これが当該ねじ締め機150の使用時における騒音となる問題があった。
そこで、本願発明は、上記した従来の回転打撃機構とは全く異なる機構であって、これを例えばねじ締め機に用いることにより従来のような打撃音を発することなく大きなねじ締めトルクを出力することができるトルク伝達機構およびこれを利用した電動工具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明は、前記特許請求の範囲の欄の各請求項に記載した構成のトルク伝達機構およびこれを用いた電動工具とした。
請求項1記載のトルク伝達機構によれば、これを例えばねじ締め機に適用した場合に、ねじ締め作業およびねじを緩める作業といったように電動モータを正転または逆転させて使用する場合にも、従来のインパクト式ねじ締め機における大きな打撃音を発生することなく瞬発的な大トルクを出力させることができる。すなわち、巻きばねが左巻きのものである場合、電動モータを正転させると、駆動軸が正転(右回転)して正転経路(駆動軸→巻きばね→出力軸)を経て出力軸が正転し、これによりねじを締め付けることができる。電動モータを逆転させると、駆動軸が逆転(左回転)して逆転経路(駆動軸→巻きばね→逆転軸→中間軸→出力軸)を経て出力軸が逆転し、これにより例えば締め付けられたねじを緩めることができる。
駆動軸に対して軸方向相互に反対側に出力軸と逆転軸を同軸に配置する構成は、例えば、駆動軸に大径部を設け、この大径部に対して軸方向一端側に出力軸を同軸に回転可能に支持し、他端側に逆転軸を同軸に回転可能に支持することにより得ることができる。駆動軸の大径部と出力軸と逆転軸はほぼ同じ外径に設定し、これらの外周側に跨って巻きばねを装着する構成とすることにより上記作用を得ることができる。
【0006】
この構成において、例えば、巻きばねが左巻きのものである場合、電動モータが正転側に起動して駆動軸が右回転(正転)すると、駆動軸と巻きばねとの間の摩擦により巻きばねが捩じられて駆動軸に巻き付き、これにより駆動軸と一体で右回転する。巻きばねの右回転は、出力軸に対して巻き付き方向の回転となるので、巻きばねが右回転し始めると巻きばねは出力軸にも巻き付き、これにより出力軸が駆動軸と一体で右回転する。一方、巻きばねの右回転は、逆転軸に対しては巻き付き解除方向の回転となるので巻きばねは逆転軸には巻き付かない。従って、逆転軸には駆動軸の回転トルクは伝達されない。このことから、出力軸は、中間軸を経て逆転軸からの回転トルクを受けることなくスムーズに右回転する一方、逆転軸は中間軸を経て出力軸と一体で右回りに空転する。
これに対して、電動モータが逆転側に起動して駆動軸が左回転(逆転)すると、駆動軸と巻きばねとの間の摩擦により巻きばねが捩じられて駆動軸に巻き付き、これにより駆動軸と一体で巻きばねが左回転する。請求項1記載の構成の場合、駆動軸が巻きばねの中央に位置しているため、駆動軸が回転するとその回転方向に関係なく常に巻きばねが駆動軸に巻き付く。
【0007】
巻きばねの左回転は、逆転軸に対して巻き付き方向の回転となるので、巻きばねは逆転軸にも巻き付き、これにより逆転軸が駆動軸と一体で左回転する。逆転軸の左回転は、中間軸を経て出力軸に伝達され、これにより出力軸が駆動軸と一体で左回転する。一方、巻きばねの左回転は、出力軸に対しては巻き付き解除方向の回転となるので、巻きばねは出力軸には巻き付かない。従って、出力軸には、逆転経路を経てのみ駆動軸のトルクが伝達され、正転経路を経ては駆動軸のトルクは伝達されないので出力軸はスムーズに左回転する。
このように、請求項1記載のトルク伝達機構によれば、電動モータを正転させると出力軸が正転し、電動モータを逆転させると出力軸が逆転し、いずれの場合においても巻きばねの端部を巻き付き解除方向と巻き付き方向に変位させて駆動軸を空転させる状態と巻きばねを巻き付かせたトルク伝達状態とに切り換えることにより、電動モータの出力トルクに加えて駆動軸空転による慣性トルクを付加して出力軸から出力することができる。従って、このトルク伝達機構を例えばねじ締め機に適用することにより、従来のインパクト式工具の場合のような大きな衝撃音を発生することなく、極めて静かに大トルクを発生させて、ねじを規定にトルクで締め付けることができ、また強固に締め付けられたねじを容易に緩めることができる。
【0008】
請求項2記載のトルク伝達機構によれば、ロック装置によって巻きばねの端部が巻き付き解除方向にロックされて巻きばねの駆動軸に対する巻き付きが規制され、これにより駆動軸が空転状態に保持される。このロック装置を手動操作により解除すると、巻きばねの端部が巻き付き方向に変位して巻きばねが駆動軸に巻き付き、これにより出力軸から駆動軸空転による慣性トルクと電動モータの出力トルクの合計トルクが出力される。従って、手動操作によってロック装置の規制状態を解除しない限り、駆動軸が空転して出力軸は回転しない待機状態に保持される一方、手動操作によりロック装置を解除すると巻きばねが駆動軸に巻き付いて出力軸から大きなトルクが出力される。
このように手動操作によって出力軸が回転する状態と回転しない状態を任意にコントロールすることができるので、当該電動工具の使い勝手が向上する。すなわち、電動モータが起動している待機状態では、ロック装置により巻きばねの巻き付きを規制して駆動軸を空転させておき、作業で必要な場合に応じてロック装置を解除して出力軸から大きな回転トルクを得るという利用形態が可能となる。ロック装置には、例えばロック解除用のレバーを設け、このレバーを電動モータ起動用のスイッチレバーの近傍に配置しておくことにより、作業者が電動工具を把持した状態のまま電動モータの起動停止操作および駆動軸の空転状態(電動工具の待機状態)または出力軸からの出力状態(電動工具の使用状態)とに切り換えることができる。
請求項3記載の電動工具によれば、例えば回転打撃工具等の電動工具において従来のような大きな衝撃を発することなく、大トルクを出力することができる。
【0009】
上記請求項1〜3記載の発明には含まれないが、下記の構成のトルク伝達機構(関連技術)によっても同様の作用効果を得ることができる。
「駆動源により正逆回転する駆動軸と、該駆動軸に対して軸方向相互に反対側に同軸に配置された出力軸と逆転軸と、これら3軸の外周側に跨って装着された巻きばねを備え、前記駆動軸が正転すると該駆動軸と前記出力軸に前記巻きばねが巻き付いて前記出力軸が前記駆動軸と一体で正転し、前記駆動軸が逆転すると該駆動軸と前記逆転軸に前記巻きばねが巻き付いて前記逆転軸が前記駆動軸と一体で逆転する構成としたトルク伝達機構」
この関連技術に係るトルク伝達機構によれば、巻きばねが左巻きのものである場合、駆動軸が右回転すると巻きばねが駆動軸との間の摩擦抵抗により巻き付き方向(右回り方向)に捩じられることにより駆動軸に巻き付いて該駆動軸と一体で右回転する。巻きばねの右回転は、出力軸に対して巻き付き方向の回転となり、逆転軸に対して巻き付き解除方向の回転となるので、巻きばねが駆動軸と一体で右回転すると、巻きばねは出力軸に巻き付く一方、逆転軸には巻き付かない。このため、駆動軸が右回転すると、出力軸が巻きばねを介して駆動軸と一体で右回転する。
これに対して、駆動軸が左回転すると巻きばねが駆動軸との間の摩擦抵抗により巻き付き方向(左回り方向)に捩じられることにより駆動軸に巻き付いて該駆動軸と一体で左回転する。巻きばねの左回転は、出力軸に対して巻き付き解除方向の回転となり、逆転軸に対して巻き付き方向の回転となるので、巻きばねが駆動軸と一体で左回転すると、巻きばねは出力軸には巻き付かず、逆転軸に巻き付く。このため、駆動軸が左回転すると、逆転軸が巻きばねを介して駆動軸と一体で左回転する。
巻きばねが右巻きのものである場合には、駆動軸が右回転すると、これが巻きばねを介して逆転軸に伝達されて逆転軸が駆動軸と一体で右回転し、駆動軸が左回転すると、これが巻きばねを介して出力軸に伝達されて出力軸が駆動軸と一体で左回転する。
このように、駆動軸に対して軸方向相互に反対側に同軸に配置された出力軸と逆転軸を、駆動軸の回転方向を切り換えることにより出力軸が回転する状態と逆転軸が回転する状態とに切り換えることができる。
駆動軸に対して軸方向相互に反対側に出力軸と逆転軸を同軸に配置する構成は、例えば、駆動軸に大径部を設け、この大径部に対して軸方向一端側に出力軸を同軸に回転可能に支持し、他端側に逆転軸を同軸に回転可能に支持することにより得ることができる。駆動軸の大径部と出力軸と逆転軸はほぼ同じ外径に設定し、これらの外周側に跨って巻きばねを装着する構成とすることにより上記作用を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。以下説明する実施形態では電動工具の一例としてねじ締め機を例示する。また、このねじ締め機で締め込まれるねじはいわゆる右ねじを例示する。従って、ねじの頭部側から見て右回転させるとねじは締め込まれ、逆に左回転させるとねじは緩められる。また、以下説明する各部材の回転方向については、特に断らない限り電動モータ2側(駆動源側)から見た回転方向を言うものとする。
図1は、本実施形態のトルク伝達機構Tを用いたねじ締め機80の全体を示している。このねじ締め機80は、概ね円筒形状をなす本体ハウジング10の内部に駆動源としての電動モータ2を内蔵した本体部3と、本体部3の側部から側方へ突き出すように設けたハンドル部4を備えている。
このハンドル部4の基部にはスイッチレバー5が設けられている。このスイッチレバー5は、正転側または逆転側に傾動操作可能なシーソー式のものが用いられている。作業者がハンドル部4を把持して指先でこのスイッチレバー5を正転側に傾動操作すると、本体部3に内臓した電動モータ2が正転し、この正転トルクが正転経路を経て出力軸87に伝達されることにより出力軸87が右回転し、これによりねじ締めを行うことができる。これに対して、スイッチレバー5を逆転側に傾動操作すると電動モータ2が逆転し、この逆転トルクが逆転経路を経て出力軸87に伝達されて出力軸87が左回転し、これにより締め込んだねじを緩めることができる。
【0011】
電動モータ2の出力軸2aには、遊星歯車機構81の2個の遊星ギヤ82,82が噛み合わされている。2個の遊星ギヤ82,82を回転自在に支持するキャリア83の前面側に駆動軸84が一体かつ同心に設けられている。
また、2個の遊星ギヤ82,82はインターナルギヤ85に噛み合わされている。このインターナルギヤ85は、本体ハウジング10に対して回転可能に支持されている。但し、このインターナルギヤ85には、本体ハウジング10に取り付けたブレーキ装置86により一定の回転抵抗が与えられている。このブレーキ装置86は、圧縮ばね86aにより本体ハウジング10の内方へ突き出す方向に付勢された押圧部材86bを備えている。圧縮ばね86aの付勢力により押圧部材86bをインターナルギヤ85の周面に押圧して摩擦抵抗を発生させることによりインターナルギヤ85に一定の回転抵抗が与えられている。
【0012】
次に、駆動軸84の先端側は出力軸87に連結されている。この出力軸87は、軸受け88を介して本体ハウジング10の先端側に回転自在に支持されている。また、駆動軸84の先端側には断面半円形の溝部84aが形成されており、この溝部84a内には出力軸87に保持した2個の鋼球89,89が嵌め込まれている。これにより駆動軸84と出力軸87は相互に回転可能かつ軸方向へは相対移動不能に連結されている。2個の鋼球89,89は、それぞれ出力軸87に形成した保持孔87a内に保持されている。出力軸87の後部外周側には後述する巻きばね90が装着されている。この巻きばね90により両鋼球89,89の保持孔87aから外周側への脱落が防止されている。
駆動軸84の外周側には、上記した出力軸87に加えて補助スリーブ91と逆転軸92が取り付けられている。補助スリーブ91と駆動軸84との間には固定ピン93が打ち込まれている。このため、補助スリーブ91は駆動軸84に対して回転不能かつ軸方向移動不能に固定されている。この補助スリーブ91によって駆動軸84の軸方向ほぼ中程には、径が大きな大径部84bが段付き状に設けられている。なお、上記例示したように別部材の補助スリーブ91を用意して大径部84bを設ける構成とする他、駆動軸84の一部として大径部を一体形成する構成としてもよい。
この大径部84bの図示左側に出力軸87が、図示右側に逆転軸92が相互に回転可能かつ駆動軸84に対してそれぞれ回転可能に支持されている。この逆転軸92は、図示するように管形状を有するもので、その内周側に駆動軸84を挿通させた状態で駆動軸84回りに回転可能に支持されている。また、この逆転軸92は、図示するように大径部84bとキャリア83との間に位置して、駆動軸84に対して実質的に軸方向移動不能に配置されている。また、図示するように出力軸87と大径部84bと逆転軸92の外径はほぼ同寸法に設定されており、これらの外周側に巻きばね90が装着されている。この巻きばね90には、線材の断面形状が矩形をなす左巻きの角ばねが用いられている。
【0013】
ここで、図2には、本実施形態のトルク伝達機構Tの要部である駆動軸84と出力軸87と逆転軸92と巻きばね90が模式的に示されている。以下、図2を適宜参照しながら、駆動軸84が正転または逆転した場合における出力軸87と逆転軸92と巻きばね90の状態について説明する。
駆動軸84が正転または逆転すると、駆動軸84と巻きばね90との間の摩擦抵抗により、駆動軸84の大径部84b(図2では省略されている)に巻きばね90の駆動軸部分が巻き付く。左巻きの巻きばね90の場合、駆動軸84が正転(右回転)すると摩擦抵抗により巻きばね90の駆動軸部分が図2において矢印(イ)で示す方向に捩じられて巻きばね90は駆動軸84に巻き付く。また、駆動軸84が逆転(左回転)すると同じく摩擦抵抗により巻きばね90の駆動軸部分が図2において矢印(ロ)で示す方向に捩じられるので、この場合も巻きばね90は駆動軸84に巻き付く。このように、駆動軸84(大径部84b)が巻きばね90の中程に位置されている(端部90a,90bから外れている)ことにより駆動軸84の回転方向に関係なく、駆動軸84が回転すると常に巻きばね90は駆動軸84に巻き付き、これにより巻きばね90は駆動軸84と一体で正転、逆転する。この点は、左巻きの巻きばね90に代えて右巻きの巻きばねを用いた場合についても同様である。
【0014】
さて、図1に戻って、巻きばね90が左巻きのものであるので、電動モータ2が正転(右回転)すると巻きばね90の駆動軸部分が駆動軸84に巻き付いて巻きばね90が駆動軸84と一体で正転する。巻きばね90の正転は、出力軸87に対して巻き付き方向の回転となる。このため、巻きばね90が正転すると、巻きばね90は出力軸87にも巻き付き、これにより出力軸87が駆動軸84と一体で正転する(正転経路)。この場合、巻きばね90の正転は逆転軸92に対しては巻き付き解除方向の回転となるので、巻きばね90は逆転軸92には巻き付かない。従って、出力軸87は、正転経路を経てのみ回転トルクを受け、逆転経路(中間軸95を経る経路)を経ては回転トルクを受けないのでスムーズかつ効率よく正転する。
これに対して、電動モータ2が逆転(左回転)して、巻きばね90が駆動軸84と一体で逆転すると、巻きばね90の逆転は逆転軸92に対して巻き付き方向の回転となるため、逆転軸92に巻きばね90が巻き付き、これにより逆転軸92が駆動軸84と一体で逆転する。逆転軸92の逆転は中間軸95を経て出力軸87に伝達され、これにより出力軸87が駆動軸84と一体で逆転する(逆転経路)。この場合、巻きばね90の逆転は出力軸87に対しては巻き付き解除方向の回転となるので、巻きばね90は出力軸87には巻き付かない。従って、出力軸87は、逆転経路を経てのみ回転トルクを受け、正転経路を経ては回転トルクを受けないのでスムーズかつ効率よく逆転する。
【0015】
次に、巻きばね90の逆転軸側端部90a(図示右端側)は、逆転軸92に設けた係合孔92aに挿入されて係合されている。このため、後述するようにインターナルギヤ85が駆動軸84とは反対方向へ回転することにより逆転軸92が駆動軸84に対して強制的に左回りに相対変位されない限り、巻きばね90の逆転軸側端部90aは逆転軸92に対する巻き付き方向へ変位した状態に保持される。一方、巻きばね90の出力軸側端部90b(図示左端側)は中間軸95に設けた係合孔95bに挿入されている。図示するように中間軸95は管形状を有するもので、その内周側に駆動軸84、出力軸87、逆転軸92および巻きばね90を同軸に収容した状態に配置されている。
この中間軸95と出力軸87との間には噛み合い部97が設けられている。この噛み合い部97により、中間軸95は出力軸87に対して回転について一体化されている(常時一体で回転する)。また、出力軸87に取り付けた止め輪87bにより、中間軸95は出力軸87に対して図示左方への移動およびがたつきが規制されている。また、中間軸95と逆転軸92との間にも噛み合い部96が設けられている。この噛み合い部96により、中間軸95と逆転軸92は常時一体で回転する。
【0016】
中間軸95の外周側には、円環形状のクラッチ板98が装着されている。中間軸95とクラッチ板98との間には鋼球101が介装されている。鋼球101は、中間軸95の外周面に形成した断面半円形のガイド溝95aと、クラッチ板98の内周面に形成した同じく断面半円形の保持溝98aに嵌り込んでいる。このため、クラッチ板98は、中間軸95に対して一定の範囲で軸方向移動可能であるとともに、回転については一体化されている。
また、このクラッチ板98と前記インターナルギヤ85との間には噛み合い部100が設けられている。この噛み合い部100により、インターナルギヤ85とクラッチ板98は回転について一体化される。クラッチ板98は、圧縮ばね99により図示右方の噛み合い側へ移動する方向に付勢されている。圧縮ばね99に抗してクラッチ板98を図示左方の噛み合い解除側へ移動させると、噛み合い部100の噛み合いが解除され、これによりクラッチ板98とインターナルギヤ85が回転について切り離される。図1は、クラッチ板98とインターナルギヤ85が噛み合い部100を介して噛み合わされた状態を示している。
クラッチ板98の周面には係合溝98bがその全周にわたって形成されている。この係合溝98bには、切り換え板102の2本の作動腕102a,102aが径方向両側からそれぞれ挿入されており、これによりクラッチ板98に対して切り換え板102がクラッチ板98の回転を許容しつつ軸方向に係合されている。このため、切り換え板102を軸方向(図示左右方向)に変位することにより、クラッチ板98をインターナルギヤ85に対する噛み合い側または噛み合い解除側に移動させることができる。
【0017】
一方、本体ハウジング10には、作動アーム103が支軸103aを介して回動可能に設けられている。この作動アーム103の一端側(図示上端側)は本体ハウジング10内において上記切り換え板102の係合孔102bに挿入されている。作動アーム103の他端側は、本体ハウジング10の外側において切り換えレバー104の係合孔104aに挿入されている。この切り換えレバー104は、本体ハウジング10の下面側に設けたスライド支持部105を介して前後方向(図示左右方向)にスライド可能に支持されている。
この切り換えレバー104は、作動アーム103および切り換え板102を介して圧縮ばね99により噛み合い側(図示右方)に付勢されたクラッチ板98に連結されているので、圧縮ばね99を介して間接的に図示左方(クラッチ噛み合い側)へ付勢されている。切り換えレバー104を圧縮ばね99の付勢力に抗して図示右方(噛み合い解除側)に引き操作すると、作動アーム103が図示反時計回り方向に傾動し、これによりクラッチ板98が図示左方の噛み合い解除側に変位する。切り換えレバー104の引き操作を止めると、この切り換えレバー104は圧縮ばね99の間接作用により図示左方の噛み合い側へ戻され、これによりクラッチ板98がインターナルギヤ85に対して噛み合う噛み合い側へ変位する。
切り換えレバー104の後部側は図示するようにU字形に湾曲しており、この湾曲部が作業者が指を引き掛けるための指引き掛け部104bとされている。この指引き掛け部104bは、スイッチレバー5の近傍に位置している。このため、作業者はハンドル部4を把持したまま、指先の位置を変更してスイッチレバー5と切り換えレバー104の双方を操作することができるようになっている。
【0018】
以上のように構成した本実施形態のねじ締め機80によれば、切り換えレバー104を引き操作することなく、スイッチレバー5を正転側に傾動操作して電動モータ2を起動させると、遊星歯車機構81を経て駆動軸84が正転(右回転)する。ところが、この段階では切り換えレバー104が引き操作されていないため、噛み合い部100を介して中間軸95とインターナルギヤ85が連結されている。中間軸95には噛み合い部96を介して逆転軸92が連結されている。また、この段階では遊星歯車機構81のキャリア83(駆動軸84)が回転しているので、インターナルギヤ85はブレーキ装置86により回転しない状態となっている。このことから、逆転軸92および中間軸95は回転しないインターナルギヤ85に連結されているため、それぞれ本体ハウジング10に対して回転しない状態となっている。この逆転軸92および中間軸95に対して巻きばね90の両端部90a,90bは拘束されているため、それぞれ駆動軸84の回りに変位不能な状態であり、従って巻きばね90は駆動軸84と一体で回転することができない状態となっている。このため、駆動軸84の回転により発生する摩擦抵抗によって巻きばね90を巻き付かせて一体で回転させようとしても、巻きばね90の逆転軸側端部90aまたは出力軸側端部90bのいずれか(正転の場合は逆転軸側端部90a)が巻き付き解除方向に相対的に変位してしまうため、結果的にこの段階では駆動軸84に巻きばね90は巻き付かず、従って駆動軸84は単に空転するのみで出力軸87へ回転は伝達されない。
【0019】
駆動軸84が空転することにより、この駆動軸84、遊星歯車機構81および電動モータ2は瞬時に最高速で回転する状態となる。この最高速回転状態において、切り換えレバー104を引き操作すると、クラッチ板98が図1において左方へ変位し、これにより噛み合い部100の噛み合い状態が解除されてクラッチ板98ひいては中間軸95が回転についてインターナルギヤ85から切り離される。中間軸95がインターナルギヤ85から切り離されると、中間軸95ひいては逆転軸92が回転可能な状態となり、これにより巻きばね90の両端部90a,90bが駆動軸84の回りに変位可能な状態に切り換わり、またこの両端部90a,90bがそのばね復元力によって巻き付き方向に変位する。
巻きばね90の両端部90a,90bが巻き付き方向に変位した段階で、その内周側で右回り方向に空転する駆動軸84の大径部84bに巻きばね90が巻き付いて、巻きばね90は駆動軸84と一体で右回転する。巻きばね90の右回転は、出力軸87に対して巻き付き方向の回転となるので、巻きばね90は出力軸87にも巻き付き、これにより出力軸87が駆動軸84と一体で正転する。なお、前記したように巻きばね90の右回転は、逆転軸92に対しては巻き付き解除方向の回転となるので、巻きばね90は逆転軸92には巻き付かない。
このように、空転する駆動軸84に巻きばね90が巻き付いて出力軸87に回転が伝達される段階で、駆動軸84、遊星歯車機構20、電動モータ2およびその周辺の回転部材等の空転により発生する慣性トルクTIと電動モータ2の出力トルクTMとの合計トルク(TI+TM)が出力軸87から瞬間的に出力される。
こうして出力軸87がトルク(TI+TM)で右回転することにより、その先端に装着したソケット(図示省略)を介してねじが締め付けられる。
【0020】
ねじ締めが進行して出力軸87に大きなねじ締め抵抗が反力として付加され、これにより出力軸87の回転が停止されると、巻きばね90および駆動軸84の回転も停止する。駆動軸84が停止すると、遊星ギヤ82,82の公転が停止するため、インターナルギヤ85に上記ねじ締め抵抗が回転力として付加される。このため、ねじ締め抵抗は、ブレーキ装置86のインターナルギヤ85に対する摩擦力で受けることとなり、従ってこの摩擦力がねじ締め抵抗に勝っている段階では、ハンドル部4を把持した作業者がこのねじ締め抵抗を受けることとなる。このねじ締め抵抗は、インターナルギヤ85がブレーキ装置86の摩擦力に抗して回転することにより解放される。従って、ブレーキ装置86の摩擦力すなわち圧縮ばね86aの付勢力は、作業者に過度の負担を強いないよう適切な値に設定されている。
ねじ締め抵抗がブレーキ装置86の摩擦力よりも大きくなると、インターナルギヤ85が左回転し始める。この段階では、切り換えレバー104が引き操作されている状態であるので、クラッチ板98とインターナルギヤ85は噛み合っておらず、従ってインターナルギヤ85は左回転し続ける。この状態で切り換えレバー104の引き操作を止めると、クラッチ板98が圧縮ばね99の付勢力により図示右方へ戻され、これにより噛み合い部100を介してクラッチ板98とインターナルギヤ85が回転について噛み合う。
【0021】
クラッチ板98を介して中間軸95が左回転するインターナルギヤ85に噛み合うことにより、この中間軸95および逆転軸92が左回転し、これにより巻きばね90の逆転軸側端部90aが巻き付き解除方向(左回り方向)に変位して駆動軸84に対する巻きばね90の巻き付き状態が解除され、これにより駆動軸84が再び空転し始める。駆動軸84の空転により出力軸87へのトルクの伝達が遮断されるので、出力軸87に付加されていたねじ締め抵抗もなくなり、またインターナルギヤ85の回転も停止される。また、駆動軸84が空転することにより、駆動軸84、遊星歯車機構81、電動モータ2およびその周辺の各部材の慣性トルクTIが発生し、これがその後駆動軸84および出力軸87に巻きばね90が巻き付いた段階で電動モータ2の出力トルクTMに付加されて出力される。ねじ締めが所定の規定トルクで締め付けられたならば、切り換えレバー104の引き操作を解除すれば、出力軸87からのねじ締めトルクの出力が停止され、駆動軸84は空転する待機状態に保持される。
【0022】
以上説明した1回の締め付け動作(出力軸87の右回転)によりねじが規定のトルクで締め付けられない場合には、再度出力軸87を右回転させて増し締めすることによりねじを規定トルクまで締め付けることができる。このためには、再度切り換えレバー104を引き操作すればよい。
このように、切り換えレバー104の引き操作を止めて駆動軸84を空転させ、その後切り換えレバー104を引き操作して駆動軸84に巻きばね90を巻き付かせて出力軸87からねじ締め力を出力させることによりねじを増し締めし、この操作を適数回繰り返すことによりねじを規定トルクにまで締め付けることができる。ねじが規定のトルクまで締め付けられたならば、切り換えレバー104の引き操作を止めて駆動軸84を空転状態にし、若しくはスイッチレバー5をオフ操作して電動モータ2を停止させる。
以上説明したように、本実施形態のねじ締め機80によれば、空転する駆動軸84に対して巻きばね90を巻き付かせることにより瞬間的に出力軸87から電動モータ2の出力トルクTMよりも大きなトルク(TI+TM)を出力することができる。巻きばね90が空転する駆動軸84に巻き付くことによっては従来のインパクト式ねじ締め機のような大きな衝撃音は発生しないので、本実施形態のねじ締め機80によれば極めて静かに瞬発的な大きなトルクを出力してねじ締めを行うことができる。
【0023】
次に、本実施形態のねじ締め機80を用いて、上記とは逆にねじを緩める場合について説明する。この場合、スイッチレバー5を逆転側にオン操作すると、電動モータ2が左回り方向に逆転し、これにより遊星歯車機構81を介して駆動軸84が左回転する。この段階では、切り換えレバー104は、引き操作されていない。従って、中間軸95および逆転軸92は回転不能な状態であるため、巻きばね90の両端部90a,90bひいては巻きばね90が駆動軸84と一体で回転できない状態となっている。従って、駆動軸84が左回りに回転しても、巻きばね90が駆動軸84に巻き付かないため駆動軸84は空転する。駆動軸84が空転することにより、駆動軸84、遊星歯車機構81および電動モータ2等の慣性トルクTIが発生する。ここまでは、前記ねじ締めの場合(正転の場合)と同じである。
駆動軸84が左回りに空転する状態において、切り換えレバー104を引き操作してクラッチ板98のインターナルギヤ85に対する噛み合い(噛み合い部100)を解除すると、中間軸95および逆転軸92が左回り方向に回転可能な状態となって、巻きばね90の両端部90a,90bが左回り方向に回転可能な状態となるので、この段階で巻きばね90が駆動軸84に巻き付いて一体で左回転する。巻きばね90の左回転は逆転軸92に対して巻き付き方向の回転となるので、巻きばね90は逆転軸92にも巻き付く。なお、前記したように巻きばね90の左回転は、出力軸87に対しては巻き付き解除方向の回転となるので、巻きばね90は出力軸87には巻き付かない。
巻きばね90が駆動軸84および逆転軸92に巻き付くことにより、逆転軸92が駆動軸84と一体で左回転(逆転)する。逆転軸92の左回転は、中間軸95を経て出力軸87に伝達され、これによりねじが緩められる。前記したねじ締めの場合と同様、空転する駆動軸84に巻きばね90が巻き付くことにより、出力軸87には、駆動軸84等の空転により発生する慣性トルクTIと電動モータ2の出力トルクTMとの合計トルク(TI+TM)が逆転軸92および中間軸95をねじ緩めトルクとして伝達され、このねじ緩めトルク(TI+TM)により出力軸87に装着したソケットを介してねじが緩められる。
【0024】
一回のねじ緩め動作によりねじが緩まない場合には、出力軸87がねじ緩め抵抗を受け、これがインターナルギヤ85に対するブレーキ装置86の摩擦力に勝ってインターナルギヤ85が右回転し始める。インターナルギヤ85が右回転し始めると、クラッチ板98を介して中間軸95が一体で右回り方向に変位し始め、これにより巻きばね90の出力軸側端部90bが巻き付き解除方向に変位して巻きばね90の駆動軸84に対する巻き付きが解除され、従って駆動軸84が再び空転し始める。この空転状態で再度切り換えレバー104を引き操作してクラッチ板98を切り離し側に変位させると、巻きばね90の出力軸側端部90bがそのばね復元力により巻き付き方向に戻されて駆動軸84に巻きばね90が巻き付き、これにより再び出力軸87がねじ緩めトルク(TI+TM)で左回転してねじが緩められる。この操作を繰り返すことにより従来の回転打撃工具におけるような大きな打撃音を生ずることなく衝撃的な大トルク(TI+TM)でねじを確実に緩めることができる。
以上例示した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、ねじ締め機に本願発明に係るトルク伝達機構Tを適用した場合を例示したが、孔開け用の電動ドリル、切断用の丸鋸盤、カンナ盤等その他の回転工具に適用することができ、さらには、回転運動を直線運動に変換する機構を有するいわゆるレシプロソーやジグソー等の直線往復動工具に適用することもできる。
また、電動モータを駆動源とする電動工具に限らず、油圧モータやエアモータを駆動源とする油空圧工具、あるいは電動工具、油空圧工具に限らず、その他様々な機械、器具、装置等のトルク伝達機構Tとして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るねじ締め機の内部を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るねじ締め機の要部を模式的に示した図であって、駆動軸と出力軸と逆転軸と巻きばねの側面図である。
【図3】従来の回転打撃機構を備えたねじ締め機の内部構造を側面から見た図である。
【符号の説明】
T…トルク伝達機構
TM…電動モータの出力トルク(ねじ締めトルク)
TI…空転による慣性トルク(ねじ締めトルク)
80…ねじ締め機
84…駆動軸、85…インターナルギヤ
86…ブレーキ装置
87…出力軸
90…巻きばね
91…補助スリーブ(大径部84b)
92…逆転軸(逆転軸)
95…中間軸
98…クラッチ板
104…切り換えレバー
150…インパクト式ねじ締め機(従来)
160…回転打撃機構
161…アンビル
162…ハンマー
Claims (3)
- 駆動源により正逆回転する駆動軸と、該駆動軸に対して軸方向相互に反対側に同軸に配置された出力軸と逆転軸と、これら3軸の外周側に跨って装着された巻きばねと、前記逆転軸の回転を前記出力軸に伝達するための中間軸を備え、
前記駆動軸が正転すると該駆動軸と前記出力軸に前記巻きばねが巻き付いて前記出力軸が前記駆動軸と一体で正転し、前記駆動軸が逆転すると該駆動軸と前記逆転軸に前記巻きばねが巻き付いて前記逆転軸が前記駆動軸と一体で逆転し、該逆転軸の逆転が前記中間軸を介して前記出力軸に伝達されるとともに、前記出力軸の正転時および/または逆転時に前記巻きばねの端部を巻き付き解除方向に変位させて該巻きばねの前記駆動軸に対する巻き付き状態を解除することにより該駆動軸を空転させ、該空転状態の駆動軸に対して前記巻きばねの端部を巻き付き方向に変位させて該巻きばねを前記駆動軸に巻き付かせることにより、前記駆動軸の空転により発生する慣性トルクを前記駆動源の出力トルクに付加して前記出力軸から出力させる構成としたトルク伝達機構。 - 請求項1に記載したトルク伝達機構であって、巻きばねの前記駆動軸への巻き付きを規制して該駆動軸を空転状態に保持するためのロック装置を備え、該ロック装置による前記巻きばねの巻き付き規制状態を手動操作により解除して、駆動軸の空転により発生する慣性トルクを駆動源の出力トルクに付加して出力軸から出力させるタイミングを任意に制御可能な構成としたトルク伝達機構。
- 請求項1または2に記載したトルク伝達機構を用いた電動工具。
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