JP3761498B2 - 亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車、家電品等の分野において、少なくとも2枚の鋼板からなる接合しようとする各部材の板間に亜鉛めっき層を介してスポット溶接することにより、これらの部材を構造物として組付ける亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、家電品等の分野における亜鉛めっき鋼板の使用は益々増加しつつあるが、この亜鉛めっき鋼板のスポット溶接については、当初からスポット溶接機の溶接電極の劣化という問題が指摘されてきた。亜鉛めっき鋼板のスポット溶接では、裸(非めっき)鋼板のスポット溶接に比べて、高い溶接電流値と長い溶接時間(通電時間)とを必要とし、溶接電極の劣化、すなわち溶接電極の変形や亜鉛との合金化を促進してしまう。溶接電極が劣化すると、溶接結果が不安定となり、ついにはナゲットが得られなくなる。したがって、頻繁に新しい溶接電極と交換する必要を生じ、生産ラインの稼働率の低下を招来する。
【0003】
ここで、溶接電極の早期劣化については、各接合面間の電気抵抗値が小さいことが主原因として考えられる。この点に注目し、出願人らは、接合しようとする亜鉛めっき鋼板の各接合面間に抵抗増大物質を配置し、もって各接合面間の電気抵抗値を高めてスポット溶接する試みを最近提案した(特開昭64−62284号公報、特開昭64−62286号公報、特公平5−85269号公報、United State Patent,Patent Number:4,922,075、United State Patent,Patent Number:5,075,531 )。これにより得られた結果は、亜鉛めっき鋼板の溶接性を極めて向上させるものであった。すなわち、この溶接法では、接合のための消費エネルギーが少ないことから、電力費の低減、爆飛(スパッタ)や溶接歪の低減及び圧痕が小さくてバリが発生しないという効果が得られるとともに、各溶接電極の溶着が起こりにくく、スポット溶接機の小型化を可能とする。
【0004】
一方、亜鉛めっき鋼板のスポット溶接についての今一つの問題点は、品質管理が難しい点である。この点、現在用いられている溶接モニターとしては、溶接電流、電極間電圧あるいは電極間抵抗の監視装置がある。また、溶接部の非破壊検査法としては、いくつかの方法が提案され、さらにはタガネによる剥離検査が広く実施されている。
【0005】
さらに一方、近年、自動車等の組付けに関し、接着と溶接とを併用したウェルドボンディング(weld-bonding)が注目されるようになり、徐々にその適用範囲を広げている。従来のスポット溶接は点接合であるが、ウェルドボンディングは面接合となることから、接合強度及び剛性が向上し、従って車体の軽量化に有効とされ、さらには振動・衝撃特性に優れ、騒音の低減、シール性の確保等、利点が多いとされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各接合面間に抵抗増大物質を配置してスポット溶接する溶接法では、実験室的又は打点数が比較的少ない場合はともかくとして、自動車等のように、多種の亜鉛めっき鋼板を使用し、複雑な形状のものを短時間に多数打点する場合には、非能率的であり、生産性が低くなる懸念がある。
【0007】
すなわち、この溶接法では、抵抗増大物質を各接合面上の定位置に正確に配置し、抵抗増大物質の真上を溶接電極で挟んで通電する必要がある一方、接合面間にある抵抗増大物質を外から確認することができない。さらに、この溶接法では、抵抗増大物質の存在により各接合面の接触状態を良好に確保しにくく、特に溶接電極が劣化したとき等には通電が不安定化する傾向がある。これらはいずれも生産性の低下につながる虞れがあり、顕著な溶接性の改善にもかかわらず、この溶接法を大量生産方式で実用化することが困難であった。
【0008】
一方、品質管理の点では、スポット溶接は自動車の車体等の組付け工程において、極めて多用され、スポット溶接の良否が車体等の品質を決定するとさえ言われている。例えば、自動車の車体は、600〜800点の部品で構成されるが、これらの部品のほとんどがスポット溶接によって組み立てられ、打点数は1台当たり3000〜5000点の多きに達する。そして、製造工程では、種々の要因により、溶接不良の発生は避けられないのが現状である。亜鉛めっき鋼板の溶接部の品質に関しては、ナゲットの形状を始め、圧痕、チリ、割れ、ピット等が規定されているが、実用上はナゲット径の確保が最も重要とされる。ナゲット径の不足は、溶接電極及びケーブルの劣化、溶接電源の変動等による電流値の低下、各接合面間の合い不良等に起因する。溶接電源の変動は、複数のスポット溶接機の同時通電、他工場の電力使用状況、昼夜の違い等に起因する。そして、亜鉛めっき鋼板ではスポット溶接の適正電流値の範囲が狭く、僅かな電流値の変化によっても簡単にナゲットが得られなくなる。ここに、亜鉛めっき鋼板のスポット溶接において特に品質管理が重視される理由がある。
【0009】
この点、上記従来の溶接条件の監視装置では、裸鋼板の場合と異なり、亜鉛めっき鋼板については信頼性に乏しく、結果として誤った判定に導き、あるいは単に不都合の発生を知らせ、溶接ラインを停止するに止まる場合も多い。このため、今日の課題である”無人運転でどれだけ長い時間連続して生産ラインを稼動させ得るか”という点では甚だ不十分である。また、上記タガネによる剥離検査法は、抜き取り検査が原則であり、不良が発見されると、それ以前の全製品に対して遡って検査し、手直しするという処置が取られ、検査に要する労務費、製品廃却費等は膨大な額にのぼっている。
【0010】
かかる状況下、品質は工程内で保証されるのが理想であり、全溶接部を打点と同時にチェックできるモニタの開発が待望されている。
さらに一方、従来のウェルドボンディングにおいても、溶接は通常の場合とほぼ同様の溶接条件の下に行われるため、前述した亜鉛めっき鋼板のスポット溶接で現れる諸問題、すなわち溶接電極の劣化等に起因する不都合がそのまま依然として残されている。
【0011】
本発明の第1の課題は、抵抗増大物質を用いて行う亜鉛めっき鋼板のスポット溶接の非能率的な点を改善し、大量生産方式下において、優れた溶接性と高い生産性とを維持することにある。
本発明の第2の課題は、従来技術にみられる溶接部の品質管理上の困難性を解決し、大量生産方式下において、全溶接部を打点と同時にチェックして工程内品質保証を行うとともに、更に溶接品質についての不具合の発生を事前に察知することにより、事前にその解消をはかることにある。
本発明の第3の課題は、第1、2の課題の解決に併せて、大量生産方式下において、溶接部にシール又は接着機能を付与し、シール性の確保、剛性の向上等、付加価値の高い溶接部をコストアップを伴うことなく形成することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、少なくとも2枚の鋼板からなる接合しようとする各部材の板間に亜鉛めっき層を介してスポット溶接することにより、これらの部材を構造物として組付ける亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法であって、
治具に上記部材の一方を固定する固定工程と、
固定された該部材の接合面上の定位置に該接合面間に間隙を確保する機能を有する抵抗増大物質を配置する配置工程と、
配置された該抵抗増大物質を挟み、該部材の該接合面とこれに組付けられる他方の上記部材の接合面とを重ね合わせ該接合面間に間隙を確保する重合工程と、
スポット溶接機の一対の溶接電極で該抵抗増大物質を含む接合部を加圧する加圧工程と、
該各溶接電極間に設定された溶接電流を通電する通電工程と、
通電時間内における該各溶接電極間の電極間抵抗値である電気特性を検出する検出工程と、
前記電極間抵抗値は電極間電圧及び電極間電流から算出されると共に、該電極間抵抗値から抵抗値変化特性を算出する算出工程と、
前記抵抗値変化特性は電極間抵抗値の最大値と最小値との差から求まる該電極間抵抗値の低下量及び電極間抵抗値の変化を示すパターンからなり、該電極間抵抗値の変化パターンは電極間抵抗値の単調減少、凸型、凹型及び単調増加の各パターンを含み、予め設定した基準と検出された該電気特性としての前記抵抗値変化特性とを比較し、ナゲットの成否を判定する第1判定工程と、
を有し、前記抵抗増大物質は、粘稠物に粒体を混入したものであり、該粒体は、前記重合工程において、接合すべき鋼板の各接合面間に間隙を確保する機能を有すると共に、該粘稠物は時効又は加熱により発泡し又は接着力が増大するものであり、該加圧工程において、接合すべき両部材は間隙の一部を残留させて一部接触し、該電極間抵抗値は低く保たれており、前記抵抗増大物質による前記電極間抵抗値の実質的増大は通電工程中に起こることを特徴とする。
【0015】
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項1記載の方法において、第1判定工程の否なる判定により、溶接条件を変更してナゲットの形成を補完する第1補完工程を有することを特徴とする。
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項記載の方法において、第1補完工程後に、予め設定した基準と再度検出された電気特性とを比較し、ナゲットの成否を再度判定する第2判定工程を有することを特徴とする。
【0016】
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項1、2又は3記載の方法において、第1判定工程又は第2判定工程の判定結果を記録する判定結果記録工程を有することを特徴とする。
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項1、2、3又は4記載の方法において、同一の溶接電極による連続打点中、電気特性を連続的に記録する連続記録工程を有することを特徴とする。
【0017】
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項4又は5記載の方法において、判定結果記録工程又は連続記録工程の記録により充分なナゲットが得られなくなるまでの電極寿命を推定する推定工程を有することを特徴とする。
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項記載の方法において、推定工程の推定値が予め設定した基準に達したとき、以後の溶接条件を変更する適応制御工程を有することを特徴とする。
【0018】
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項記載の方法において、判定結果記録工程の記録により又は一連の工程中の不測の事態により所定のナゲットが形成されなかった場合、ナゲットの形成を達成する第2補完工程を有することを特徴とする。
)請求項の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項記載の方法において、固定工程及び/又は重合工程の前に部材を固定位置又は重合位置に搬送する搬送工程を有することを特徴とする。
【0019】
(10)請求項10の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の方法において、各工程を結ぶ生産ライン全体をホストコンピュータで一括統合管理することを特徴とする。
11)請求項11の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項記載の方法において、第2判定工程は、予め設定した基準と抵抗値変化特性とを比較することを特徴とする。
【0022】
12)請求項12の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項2又は3記載の方法において、第1補完工程における溶接条件の変更は通電時間の延長であることを特徴とする。
13)請求項13の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項2又は3記載の方法において、第2補完工程は別に設けたバックアップシステムにより行うことを特徴とする。
【0023】
14)請求項14の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項6記載の方法において、推定工程は、連続打点中、予め設定した基準と抵抗値変化特性とを比較することにより行うことを特徴とする。
15)請求項15の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項6又は7記載の方法において、推定工程は、連続打点中、予め設定した基準と不規則通電の頻度とを比較することにより行うことを特徴とする。
16)請求項16の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項6記載の方法において、推定工程では、連続打点中、予め設定した基準と打点数列の一定区間内における補完の頻度とを比較することにより行うことを特徴とする。
【0024】
17)請求項17の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項6記載の方法において、電極寿命の推定は、各打点に対する通電時の電極間抵抗値の最大値と最小値との差から求まる抵抗値の低下量が予め定めた値以下のものについて自動的にナゲットの補完を行いながら打点を続行する連続打点において、打点数列の一定区間内における補完の頻度が予め定めた一定値に達したときの打点数をもって行うことを特徴とする。
18)請求項18の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項6記載の方法において、電極寿命の推定は、各打点に対する通電時の電極間抵抗値の変化を示す複数のパターンを予め定め、選択された所定形状のパターンのものについてナゲットの補完を行いながら打点を続行する連続打点において、打点数列の一定区間内における補完の頻度が予め定めた一定値に達したときの打点数をもって行うことを特徴とする。
【0025】
19)請求項19の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項7記載の方法において、適応制御工程における溶接条件の変更は溶接電流値の増大であることを特徴とする。
20)請求項20の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項7記載の方法において、適応制御工程における溶接条件の変更は通電時間の延長であることを特徴とする。
21)請求項21の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項7記載の方法において、適応制御工程における溶接条件の変更は加圧力の増大であることを特徴とする。
【0026】
22)請求項22の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法は、請求項7記載の方法において、適応制御工程における溶接条件の変更は溶接電極の自動研磨であることを特徴とする。
【0028】
の研究では、まず本システムに適した抵抗増大物質の開発を試みた。本願発明の請求項1に記載の発明に使用する抵抗増大物質は重合工程で接合面間に間隙を確保するものであり、加圧工程で溶接すべき亜鉛めっき鋼板を接合面間で接触させるとともに、該加圧工程において電極間抵抗値を低く保つ役割をするものである。抵抗増大物質を各接合面間に配置して行うスポット溶接法は、その優れた溶接法にもかかわらず、実用化、特に大量生産方式下での実用化が進んでいない。その主な理由は、抵抗増大物質を工業的に能率よく各接合面間に配置することが困難視されて来たことによる。したがって、本研究では、各接合面間への配置が容易な抵抗増大物質の開発を考えた。具体的には、粘稠物にスペーサ、例えばアルミナ粉末を混入し、これを自動塗布機を用いて接合面上の定位置に必要量を適時に送給し、配置するというものである
【0029】
一方、本システムで用いる抵抗増大物質は、第2の課題すなわち工程内品質保証と適応制御による連続自動運転とを達成するため、溶接性に優れ、このため長時間にわたる安定した打点が可能であり、かつ抵抗増大の効果が大きくなくてはならない。抵抗増大の効果が大きいことがナゲットの形成に伴う電極間抵抗値の低下量を大きくし、したがってナゲットの成否を正確に判断できると考えられる。
【0030】
さらに、本システムで用いる抵抗増大物質は、第3の課題である溶接部に接着効果を付与するため、第1、2の課題を満足する適切な接着剤を選定するのは勿論のこと、抵抗増大物質の混入によって接着力又はシール機能の低下等が起こらないものでなくてはならない。
これらの諸点を考慮しながら、本システムとして好適な抵抗増大物質を求めて、実験的に研究・開発を進めた。
【0031】
本研究において、さらに加えて特筆すべきは、本システムに組み込まれる検出工程、算出工程、ナゲットの成否を判定する工程、連続記録工程、推定工程及び適応制御工程からなる適応制御システムである。この適応制御システムでは、大量生産方式下での連続打点中に起きる溶接電極間の電気特性の変化に注目する。電気特性の変化としては、例えば電気抵抗値、つまり電極間抵抗値の変化が考えられる。
【0032】
すなわち、検出工程において、溶接電流の通電時間内における溶接電極間の電気特性を検出する。そして、算出工程において、検出された電気特性から電極間抵抗値を算出するとともに、電極間抵抗値から抵抗値変化特性を算出し、この算出結果から、第1、2判定工程において工程内品質保証を確実にする。また、連続記録工程において、電気特性、電極間抵抗値及び抵抗値変化特性の少なくとも一種の変化を連続打点中、詳細に記録する。推定工程では、記録されたデータを分析して、その結果から溶接電極の劣化に伴ってナゲットの不形成が始まることを予め察知する。そして、適応制御工程により溶接条件を変更する。適応制御工程における溶接条件の変更は、溶接電極の研磨、加圧力の増大、通電時間の延長又は/及び設定電流値の増大が挙げられる。これらの制御を自動的に行うことにより、連続打点による高い生産性の維持と健全なナゲットの確保とを可能とする。
【0033】
ここで、電極間抵抗値は、溶接電極と接合すべき母材間の接触抵抗、各母材の各接合面間の板間抵抗及び各母材の固有抵抗によって構成され、生産ラインで溶接中に計測可能な量であるが、ナゲットの形成に関しては、亜鉛めっき鋼板の場合、何の情報も与えないというのが従来の定説となっていた。すなわち、ナゲットの形成に伴って板間抵抗は消滅するのであるが、通常の溶接法では通電時間が長い(厚さ0.8mmの亜鉛めっき鋼板2枚合わせの場合は約10サイクルの通電時間を必要とする)ため、この間に母材の温度上昇があり、これに伴って母材の固有抵抗が増大し、両者が合算されて現れる電極間抵抗値の変化は必ずしもナゲットの成否を忠実には示さない。
【0034】
一方、各接合面間に抵抗増大物質を塗布して行う本システムでは、板間抵抗値そのものが高く、また通電時間が短い(約3サイクル)ため、この間の母材の温度上昇も少ない。したがって、本システムでは、ナゲットの形成に伴う板間抵抗値の消滅をより効果的に検出できる可能性がある。これが可能となれば、板間抵抗値の変化を詳細に検討することができ、これによってナゲットの成否だけでなく、連続打点中の溶接電極の劣化に伴うナゲットの不形成を予知できることとなり、今日の要望に沿う適応制御の開発が可能となる。
【0035】
ところで、亜鉛めっき鋼板の電極間抵抗値の変化については、影響する因子が多い。すなわち、亜鉛めっき鋼板では、溶接電流の通電が始まると、溶接電極と亜鉛めっき鋼板との間又は亜鉛めっき鋼板の各接合面間にある亜鉛が、その融点が低いので、まず溶融する。
接合面についてみれば、溶融した亜鉛は気化・膨張してナゲットの形成される領域から外部に排除される。次いで、接合面の温度が他に優先して高くなり、溶融、混合し、ナゲットが形成される。ナゲットが形成されると、板間抵抗値は消滅する。
【0036】
溶接電極と亜鉛めっき鋼板との間では、亜鉛の一部が溶融し、銅ないしは銅合金からなる溶接電極の材料との合金化が起こり、溶接電極が徐々に劣化する。
一方、亜鉛めっき鋼板では、その固有抵抗のため、通電時間内には引き続き昇温する。
これらの現象は溶接条件によって進行の度合いがそれぞれ異なるわけであり、それに伴って電極間抵抗値も複雑に変化する。溶接電流の通電時間内において、電極間抵抗値の変化特性に関与すると見られる具体的な要因としては次のことが考えられる。
【0037】
1.溶接電極の劣化
例えば、溶接電極が劣化すれば、溶接電極と亜鉛めっき鋼板との合いが悪くなり、溶接電極と母材との間の抵抗値が変わり、ひいては発熱状況が変化し、それによって亜鉛の溶融・気化の状況も変わってくる。亜鉛が溶融すると、抵抗値は大幅に低下する。これらは相互に影響し合って電極間抵抗値の変化を複雑にする。
【0038】
一方、接合面間では、溶接電極の劣化によって、溶接電流の電流密度が低下し、接合面の昇温が遅れる。
2.接合しようとする亜鉛めっき鋼板の状況
プレス加工品が多いワーク(生産ラインを流れている部材)では、各接合面の合わせの問題がある。合わせが十分でないと、接触面積が小さくなる。このため、板間抵抗値が高く、溶接電流の不通電・不規則通電の原因となる。また、溶接電流が局部的に流れるため、ナゲット径が不十分となったり、爆飛も起こりやすい。
【0039】
3.母材又はめっき層の材質と厚さ
母材又はめっき層が厚ければ、昇温が遅れ、電極間抵抗値が異なって現れる。
4.亜鉛めっき鋼板の重ね枚数
3枚以上の亜鉛めっき鋼板を重ね打ちする場合は、2つ以上の接合面でそれぞれ時間的に異なってナゲットが形成され、電極間抵抗値も変化する。
【0040】
5.溶接電流
溶接電流の設定電流値が低い場合と高い場合とでは、通電中の電極間抵抗値も異なって現れる。
以上のように、亜鉛めっき鋼板の電極間抵抗値の変化については、影響する因子が多い。このため、多様な部材からなる工業製品の製造、特に大量生産方式による製造にあたっては、個々のケースについて、ナゲット径と電極間抵抗値の変化をより的確に関連付ける必要がある。
(実験例)
本システムの研究にあたっては、まず本システムに好適な抵抗増大物質を開発し、次いで一例として自動車車体の組立ラインへの適用を考え、予め実際の生産ラインを流れている組付けようとするパネルと同じ板合わせの短冊形試験片についての定置式溶接機による溶接試験を行い、次いでワークを用いてガントラ付ロボットによる溶接試験を行うことにより、板合わせの異なる個々のケースについて、電極間抵抗値の変化とナゲットの成否との関係を明らかにした。
【0041】
〔溶接条件の選定〕
スポット溶接における溶接条件は、通電時間、溶接電流値、加圧力がある。抵抗増大物質を用いて行う溶接法の特長を生かすためには通電時間はなるべく短いことが望ましい。本実験では特にことわりのない限り3サイクル(60Hz)の通電時間をもって原則とした。
【0042】
溶接電流値は3サイクルの通電時間で十分なナゲットの得られる値を個々の部材の組合せについて求め、これをもって基準とした。
本システムによる溶接は各接合面間に抵抗増大物質を配した後、加圧して、母材の一部接触を確保して行われるが、ともすれば抵抗増大物質の存在により、十分な母材の接触が得られず、そのため不規則通電さらには不通電を起こすことがある。このことは歪みを持つワークの接合面において特に厄介な問題となる。
【0043】
加圧力を増せばこの問題は解消する方向にあるが、加圧力が大きくなると電極間抵抗値が小さくなり、十分なナゲットを形成するためには大電流を必要とし、溶接電極の劣化を早める。
図1は、一例として自動車ボデーを構成する板合わせのうち、ダッシュパネル(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.65mm、目付量:45/45(両面とも1m2当たり45gのめっき付着量。以下同様。))とカウルインナパネル(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.55mm、目付量:45/45)とカウルアウタパネル(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.6mm、目付量:45/45)との3枚からなる板合わせについて、ワークを用いて加圧力と各母材間の接触面積との関係、及び加圧力と電極間抵抗値との関係を示した。用いた抵抗増大物質は、本研究で開発した構造用接着剤に平均粒径100μmのアルミナ粉末を15重量%(以下、wt.%)混入したものである。
【0044】
スポット溶接機としてはガントラ付ロボットを使用し、1kA(交流)の電流を1サイクル通電して電極間抵抗値を測定した。
図1にみられるように、加圧力が低くなると、接触面積が小さくなり、不規則通電が発生する。
この板合わせの場合、一定水準の母材間の接触面積を確保し、したがって安定した通電を保証する一方、加圧力は過大とならないよう240kgf〔2352N〕を原則として採用した。
【0045】
ここでいう不規則通電とは1サイクル目の電極間抵抗値が異常に高くあらわれる場合であり、不規則通電か正常通電か否かの判定方法としては、1サイクル目の電極間抵抗値が一定レベルを越える場合として定めることができる。また、不規則通電の場合、通電開始直後の測定電流値が正常の場合より小さく、その後、この反動として著しく高い電流が流れるという機能をもった溶接電流制御装置が一般に用いられている。この種の制御装置を用いる場合は、通電中の各サイクルの測定電流値の最大値又は最小値によって不規則通電か否かの判別をすることもできる。
【0046】
〔抵抗増大物質〕
本研究で開発した抵抗増大物質は市販の構造用接着剤に平均粒径100μmのアルミナ粉末を15wt.%混入したものである。
接着剤に混入するアルミナ粉末については、粒径があまり小さすぎると溶接性向上の効果が少なく、粒径があまり大きすぎると不規則又は不通電を起こしやすい。一方、アルミナ粉末の量についても、これが少なすぎると効果が小さく、これが多すぎるとやはり不通電やスパッタを発生しやすく、また接着強度という点からは接着力の低下等の悪影響が考えられる。
【0047】
図2は、一般に市販されている通常の接着剤に粒径の異なるアルミナ粉末を種々の割合で混入して得た抵抗増大物質を用い、混入されたアルミナ粉末の粒径及び量の溶接性に及ぼす効果を調べたものである。
試験片は溶融亜鉛めっき鋼板(t:0.8mm)の2枚板合わせであり、これら試験片の接合面間に抵抗増大物質を塗布し、設定電流値9kA、通電時間2サイクル、加圧力200kgf〔1960N〕で溶接試験を行った。測定値は試験片3個の平均値である。
【0048】
平均粒径が15μm(micron)の場合、かなり多量のアルミナ粉末を用いてもナゲット形成についての効果はほとんどなく、一方アルミナ粉末の量が72wt.%に達したときに不規則通電が発生した。また、平均粒径が30μmで若干の効果がみられ、50μmになると量が多い場合に直径約3mmのナゲットが形成された。平均粒径が100μmになると、僅か18wt.%のアルミナ粉末の量でほぼ直径3mmのナゲットができた。
ここで、平均粒径100μmのアルミナ粉末についてみられる顕著な溶接性の向上は、通電初期の電極間抵抗値の急激な増大によると思われる。この現象は抵抗増大物質を用いて行った本溶接法特有の現象であり、通電時間が短いこととも相まって本システムの特徴である抵抗値変化特性を通じて行う溶接部の品質保証を可能とする。
【0049】
なお、平均粒径が30μmの場合はアルミナ粉末の量が57wt%で、平均粒径が50μmの場合はアルミナ粉末の量が50wt.%で、平均粒径が100μmの場合はアルミナ粉末の量が36wt.%で通電が不規則になった。
したがって、本システムでは、抵抗増大の効果が著しい平均粒径100μmのアルミナ粉末を用いた。
図3は、抵抗増大物質に十分な接着機能を与える目的の下、市販の構造用接着剤に平均粒径100μmのアルミナ粉末を種々の割合に混入した場合のナゲット形成についての効果を示す。
試験片は合金化溶融亜鉛めっき鋼板(t:1.6mm)の2枚板合わせであり、これら試験片の接合面間に抵抗増大物質を塗布し、通電時間3サイクル、加圧力325kgf〔3185N〕で溶接試験を行った。
【0050】
溶接性向上についての効果は著しいものがあるが、10wt.%アルミナ粉末を混入したものは、15、20wt.%混入したものと比較して、かなり劣る結果となった。一方、15、20wt.%混入したものについては効果にほとんど差異がない。
表1は、図3に示した抵抗増大物質を用い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(t:0.8mm、目付量60/60)と、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(t:1.6mm、目付量60/60)と、裸鋼板(t:0.8mm)と、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(t:0.8mm、目付量60/60)との4枚からなる板合わせについての通電性を調べた結果である。新品電極又は中古電極を用い、それぞれ加圧力を変えて通電性(不規則通電の起きた打点数/試験した打点数)を調べた。
【0051】
溶接条件は、設定電流値12kA、通電時間3サイクルである。なお、用いた中古電極は設定電流値12kA、加圧力200kgf〔1960N〕、通電時間12サイクルで合金化溶融亜鉛めっき鋼板(t:0.8mm)を150打点した後のものである。
【0052】
【表1】
Figure 0003761498
溶接電極が新しい場合は、15、20wt.%の抵抗増大物質いずれについても通電性に問題はないが、中古電極を用いた場合、加圧力が低くなると20wt.%の抵抗増大物質において不規則通電が発生した。
【0053】
本システムでは、同一電極による連続打点が行われるので、溶接電極が劣化しても不規則通電の起こりにくい15wt.%が優れているといえる。
接着剤中のアルミナ粉末の量は、スパッタ、接着力、抵抗増大物質の接合面への送給等からも、少ない方がよいと考えられるため、本実験で用いる抵抗増大物質としては、構造用接着剤に平均粒径100μmのアルミナ粉末を15wt.%混入して用いることとした。
【0054】
図4は、従来技術と本システムとによって製作した溶接継手についての片振剪断疲労試験結果を示す。本システムによる場合、ナゲット内とその周辺にはアルミナ粉末が残存している。残存アルミナ粉末の疲労強度に対する影響及び接着剤中へのアルミナ粉末の混入による接着強度上の影響を調べたものである。
従来技術は、抵抗増大物質を配置することなく、通電時間12サイクルで通常の単点スポット溶接を重ね代の中央部に施したものである。一方、本システムは、抵抗増大物質を40mm×25mmの面積で塗布し、3サイクルで同じく単点スポット溶接を施したものである。従来技術及び本システムに共通して、試験片は200mm×40mmの合金化溶融亜鉛めっき鋼板(t:0.8mm)であり、加圧力は200kgf〔1960N〕、設定電流値11kAである。また、本システムによる試験片は、溶接後180℃×30分の加熱によって硬化処理が施されている。生産ラインでは、ホワイトボデーは塗装時の乾燥工程で自動的に180℃×30分間加熱され、この間に硬化する。
【0055】
図4にみられるように、本システムによる継手は従来技術による継手と比較して、著しく高い疲労強度を示した。主として接着効果によると思われる。このことから、残存アルミナ粉末による強度低下及び混入したアルミナ粉末による接着力の低下はあるとしても、実用上支障ないことがわかった。
本研究で用いた構造用接着剤は、室温で流動性を示し、これに平均粒径100μmのアルミナ粉末を15wt.%混入した抵抗増大物質は適度の粘性を有し、自動塗布機を用いて接合面に容易に塗布することができる。また、気温の低い時、あるいは室温変動が抵抗増大物質の粘性に影響して自動塗布機による塗布がスムーズに行われない時等は、抵抗増大物質を加熱して一定温度に保つ等して支障なく作業を進めることができる。
【0056】
〔電極間抵抗値の変化とナゲット形成との関係〕
図5及び図6は、開発した抵抗増大物質を用い、亜鉛めっき鋼板の2枚合わせについて行った実験結果を示した。2枚の亜鉛めっき鋼板は、パネルサイドアウタ(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.7mm、目付量:30/60)と、リーンフォースロッカパネル(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.8mm、目付量:60/60)とである。
【0057】
加圧力は200kgf〔1960N〕、通電時間は3サイクルとして実験を行った。上図は設定電流値とナゲット径との関係を示す。下図は3サイクルの通電時間中の各サイクル毎について、上段で電極間抵抗値の変化を示し、下段で測定電流値の変化を示した。
なお、図中の電極間抵抗値は、各サイクル後半の電極間電流及び電極間電圧のそれぞれの平均値から求めた値である。この研究ではこの値をもって各サイクルの電極間抵抗値とした。測定電流値は測定された電流値の各サイクル毎の実効値である。
【0058】
図5は短冊形試験片を用いて行った定置式溶接機による試験結果であり、図6は同じ板合わせのワークについて、ガントラ付ロボットによる試験結果である。溶接電極はいずれも新品を用いた。
図5で見られるように、十分なナゲットが形成されると、電極間抵抗値は著しく低下する。また、図6に示すロボットによる打点では、ナゲットの形成が始まる測定電流値が高くなっている。この原因としては溶接電流の分流が考えられる。しかしながら、ナゲットの形成と電極間抵抗値の低下量との間にはこの場合も明瞭な関係が見られる。
【0059】
図7及び図8は、一方が亜鉛めっき鋼板、他方が裸普通鋼板の2枚合わせについての実験結果を示した。亜鉛めっき鋼板はパネルサイドアウタ(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.7mm、目付量:30/60)であり、裸普通鋼板はレールルーフサイドインナ(裸普通鋼板、t:0.65mm)である。
加圧力は190kgf〔1862N〕である。短冊形試験片を用いて行った定置式溶接機による図7でもナゲットの形成、不形成は明瞭に区別される。しかしながら、この場合は単純な低下量だけでは不十分である。すなわち、設定電流値の低い4kAでは低下量は60μΩ(micro ohm)あり、これは十分なナゲットのできた7kAの低下量とほぼ同じ値である。設定電流値が低い場合の電極間抵抗値の大幅な低下は亜鉛の溶融のみが主として起こったためと考えられる。したがって、この板合わせでは低下量だけでなく、3サイクル通電後の電極間抵抗値を参考としてナゲットの成否を判定する方法が考えられる。図8に示すロボットによってワークを打点した場合でも同様な結果が見られる。
【0060】
図9及び図10は、亜鉛めっき鋼板の3枚合わせについての実験結果を示した。亜鉛めっき鋼板の3枚は、ダッシュパネル(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.65mm、目付量:45/45)、カウルインナパネル(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.55mm、目付量:45/45)、カウルアウタパネル(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.6mm、目付量:45/45)である。
加圧力は240kgf〔2352N〕である。この場合、接合面は2つあり、それぞれ若干ナゲット径が異なる傾向にある。しかしながら、図9に示す定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した場合と、図10に示すロボットでワークを溶接した場合とも、十分なナゲットが形成されるようになると、この差も小さくなり、かつ電極間抵抗値の変化も明瞭に区別できる。
【0061】
図11及び図12は、3枚合わせで、真中の1枚が比較的厚い裸高張力鋼板の場合についての実験結果を示した。亜鉛めっき鋼板は、パネルサイドアウタ(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.7mm、目付量:30/60)と、ピラーセンタボデーインナロア(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.7mm、目付量:30/60)とであり、裸高張力鋼板はリーンフォースベルトアンカツーセンタピラー(裸高張力鋼板、t:1.6mm)である。
加圧力は245kgf〔2401N〕である。図11に示すように、定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した場合は、電極間抵抗値の低下量によるナゲット成否の判別というより、3サイクル通電後の電極間抵抗値を参考にするのも一方法と考えられる。一方、図12に示すように、ロボットでワークを溶接する場合では、2つある接合面でのナゲット径の差が著しいが、十分なナゲットのできる14kA以上とそれ以下とでは低下量において明瞭な区別ができる。
【0062】
図13及び図14は、4枚合わせについての実験結果を示した。板合わせは、上から、パネルサイドアウタ(合金化溶融亜鉛めっき鋼板、t:0.7mm、目付量:30/60)、リーンフォースフロントボデーピラーアッパインナ(裸高張力鋼板45kgf級、t:1.2mm)、ピラーフロントボデーアッパインナ(裸普通鋼板、t:0.8mm)、レールルーフサイドインナ(裸普通鋼板、t:0.65mm)である。
加圧力は230kgf〔2254N〕である。定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した図13では、*印で示した試験片について不規則通電が起こった。このものでは電極間抵抗値の低下量だけではナゲットの成否の判断基準となり難い。しかしながら、3サイクル通電後の電極間抵抗値については、ナゲットのできているものと、できていないものの間で明瞭な差がみられる。このことから不規則通電の起こったものについては、低下量に加えて溶接電流通電終了時の電極間抵抗値を参考にしながらナゲットの成否を判定することができる。
【0063】
図15〜20は、成形した亜鉛めっき鋼板3枚合わせ(ダッシュパネル、カウルインナパネル、カウルアウタパネル)について、実際の生産ラインの一部を模して構築したパイロットラインを用い、同一電極による連続打点中の電極間抵抗値の低下量の変化とナゲット径との関係を調べた結果の一部について示した。このパネルでは打点数は18ある。用いたパネルは330セットである。パイロットラインの詳細については実施例で述べるが、要点は次の通りである。
【0064】
(1)ダッシュパネルを治具にセット
(2)ダッシュパネルの接合面に抵抗増大物質を自動塗布
(3)カウルインナパネルを治具にセット
(4)カウルインナパネルの接合面に抵抗増大物質を自動塗布
(5)カウルアウタパネルを治具にセット
(6)ロボットによるスポット溶接
(7)パネルを治具から取り外す
この間、設定電流値は12〜16kA、通電時間は2〜4サイクル、加圧力は240〔2352N〕〜270kgf〔2646N〕と適宜変えて連続打点した。したがって、図中に示す溶接条件、実験結果は溶接電極の劣化が打点数を目安とする一定レベルにある場合についてのデータとなる。
【0065】
図15ないし17は、平均的成績を示した特定部位(部位A)について、打点数とナゲット径、電極間抵抗値の低下量、電極間抵抗値の変化パターンとの関係をそれぞれ示した。変化パターンは各打点付近での代表的事例についてのみ示した。
図中の電極間抵抗値の低下量(Δr)とは、1〜3サイクルの各サイクル毎の電極間抵抗値の最大値から最小値を差し引いた値を示す。変化パターンによって電極間抵抗値の低下量Δrの求め方は異なり、試験開始直後に見られる1〜2〜3サイクルにかけて電極間抵抗値が低下する単調減少パターンでは、1サイクル目から3サイクル目を差し引いた値を示す。1500〜4000点の間に現れる凸型パターンでは、2サイクル目から3サイクル目を差し引いた値を示す。また、4000点以降に現れる凹型パターンでは、1サイクル目から2サイクル目を差し引いて電極間抵抗値の低下量を示した。なお、図中の○印は1〜2〜3サイクルにかけて電極間抵抗値の低下が見られず、電極間抵抗値が単調に増加する場合であり、値はその増加量を示す。鋼板3枚合わせであるので、ナゲット径は同一打点に対して2つある。
【0066】
図15に示す設定電流値12kA、通電時間3サイクルの場合、打点数2000点付近で電極間抵抗値の低下量Δrは急激に減少した。パターンはこの段階では凸型が続き、4000点付近から凹型に変わった。一方、ナゲット径は3000点付近から減少し、4000点付近で4t1/2 (t:最小母材板厚、この場合0.55mm)を割り込み、以後減少を続け6000点付近でナゲットは形成されなくなった。したがって、この組合せの場合、十分なナゲットを余裕をもって保証するには、電極間抵抗値の変化が急激に起こる2000点までをもって寿命とし、したがって、例えば電極間抵抗値の低下量が30μΩより大きいとき、ナゲットは十分であるとして合格とし、30μΩ未満の場合に不合格として適応制御の対象とすることが考えられる。
【0067】
また、図15において、1サイクル目の電極間抵抗値に注目すると、試験開始当初約160μΩあった電極間抵抗値が以後徐々に低下し、ナゲット径が減少し始める3000点付近において約130μΩになった。このように、連続打点中の1サイクル目の電極間抵抗値を監視し、その値の低下量によって残存寿命を推定することもできる。
【0068】
さらに、3サイクル目の電極間抵抗値に注目すると、電極間抵抗値の低下量Δrが急激に減少する2000点付近以降で、その値が上昇している。このように、連続打点中の3サイクル目(通電終了時)の電極間抵抗値を用いて、残存寿命を推定することも可能である。
一方、一定の規格値、例えば4t1/2 を満足すれば良しとする場合は、電極間抵抗値の低下量というよりは、パターンが凸型から凹型に変わる打点数をしてパターン認識を通じて寿命を推定し、例えば本実験の場合、4000点付近をもって適応制御の対象とすることも可能である。
【0069】
ここで注目すべきは、従来技術では、確かな品質保証を得られず、打点数も1000打点程度で溶接電極の交換を必要としたのに対し、本システムでは、一対の溶接電極で約4000打点まで工程内品質保証を確実にしながら、安定した打点が遂行されたことである。
図16は、溶接電流12kA、通電時間4サイクルで打点した場合である。図15に示した12kA、3サイクルの試験中に適宜通電時間を1サイクル延長し、その効果を調べた。1サイクルの通電時間の延長により、ナゲット径、電極間抵抗値の低下量ともに回復した。
【0070】
図17は同様にして14kA、3サイクルで随時打点した場合であり、設定電流値の増大によっても、ナゲット径、電極間抵抗低下量ともに回復した。
これらの実験結果よりナゲット径の不足が予想される場合、設定電流値又は通電時間、さらには両者を併せて増大することが十分なナゲットを保証するに有効であることが分かる。
【0071】
ここで、通電時間の延長ないしは設定電流値を上げた場合、その電極間抵抗値の低下量Δrは、図16及び図17でみられるように、30μΩを若干割り込むものがある。一方、ナゲット径はこれらのものについて十分確保されている。何らかの制御、例えば加圧力の増大、通電時間の延長、設定電流値の増大等によって溶接条件が変更された後の打点については、そのナゲットの判定基準として例えばΔRp≧15μΩ又はパターンが凸型であるとする等が考えられる。
【0072】
図18〜20は、ナゲットの形成が不出来であった特定の部位(部位B)についての結果を示した。
電極間抵抗値の低下量Δrについてみれば、この部位では約1100打点で既に基準30μΩを割り込んだ。ナゲット径についても約2700打点で減少の傾向がみられる。一方、パターンについては凸型から凹型に変わる間にあらわれたやや不明瞭な凸型を示す領域が特徴的である。
図19は、12kA、4サイクル、すなわち通電時間を1サイクル延長した効果を示した。これによってナゲット径、低下量Δr共にかなり回復した。図18でパターンが凸ないしは不明瞭な凸型とした打点域では、すべて完全に回復した。しかしながら、図18で凹型のパターンを示した打点域ではナゲット径は依然として不十分であり、低下量Δrも低く止まった。
【0073】
一方、図20に示すように、設定電流値を14kAに増大し、さらに通電時間を1サイクル延長して4サイクルとすれば、ナゲット径、Δr値ともに完全に回復した。
図18〜20に示した結果は、溶接結果が不十分な場合でも、低下量Δr又はパターン認識を通じて制御が可能であることを示すものである。
ここで、同一パネルでありながら図15〜17と、図18〜20とに示すように、打点部位によって溶接の成績が異なる点については、その1つの原因として溶接電流の分流が考えられる。
図15〜20に示すように、連続打点によって電極の老化が進んだ状態においても、また分流等の攪乱要因を伴った実際の生産ラインに近い状況の下にあっても、電極間抵抗値の変化とナゲット形成の間には明確な関係が認められる。
【0074】
なお、図1〜20に示した実験結果は交流溶接機を用いて得られたものである。スポット溶接機にはこの他にインバータ式と直流方式がある。これらについては通電時間を細かく分割し、分割された各通電時間中の電極間抵抗値を求め、その値を通電時間中記録して、全通電時間中の抵抗変化を知ることができる。したがってインバータ、直流の各方式についても図1〜20で述べたと同様の効果、つまり電極間抵抗値の変化特性をみてナゲットの成否を判定することができる。
【0075】
また、本実験結果は3サイクルの通電時間を基本として述べているが、通電時間が3サイクル以外の場合でも、所定の期間の電極間抵抗値から電極間抵抗値の低下量、電極間抵抗値の変化パターンを認識し、3サイクルの場合と同じく残存寿命を推定し適応制御を行うことができる。
実験を通じ、本システムの課題は全て解決され、その実用化も何ら支障なく実施できることがわかった。すなわち、本実験によって開発された抵抗増大物質は、接合面への送給と配置とが容易であり、かつ溶接性の著しい向上と高い接着力とを維持することが確認された。一方、この抵抗増大物質を用いて行う本システムの溶接法により、溶接中の板間抵抗の消滅すなわちナゲットの形成が明確に検出でき、工程内品質保証を確実にするとともに、さらには連続打点中の溶接電極の劣化に伴う電極間抵抗値の変化も正確に記録され、この記録からナゲットが不形成となる打点数ないしは時期を効果的に推定でき、適応制御による自動運転も可能であることが明らかとなった。
【0076】
【作用】
亜鉛めっき鋼板の連続的なスポット溶接における生産性の向上と工程内品質保証及びそのための適応制御とは、いずれも強く求められながら未だ達成されていない技術である。抵抗増大物質を用いて行う溶接においても、生産性の向上という点では改善の余地が大きく、また従来のナゲット成否に関するモニターにしても、ごく限られた溶接条件、例えば溶接電流を監視し、それが設定範囲を外れると、単にそのことを知らせる異常信号を発し、生産ラインを止めるというものであった。
【0077】
一方、本発明のシステムでは、大量生産方式下において、優れた作業性及び溶接性が得られるとともに、溶接品質の不具合の発生を事前に察知し、直ちに溶接条件を自動的に修正して、不具合の発生を未然に回避する工程内適応制御を可能とし、生産ラインを止めるのではなく、動かすという思想ないしは手段を実現し、もって大量生産方式下での高い生産性を維持し生産ラインの自動化を達成した。また、本システムでは、併せて工程内品質保証を全打点について確実にし、さらに抵抗増大物質にシール又は接着機能を持たせることによって、強度、剛性の向上等、付加価値の高い溶接部をコストアップを伴うことなく実現した。
【0078】
【実施例】
以下、試験例1〜3を図面等を参照しつつ説明する。
試験例1)
試験例1は、本システムの自動車車体の組付けラインへの適用を考え、成形した亜鉛めっき鋼板の適応制御によるスポット溶接自動組付けシステムに関する。すなわち、この試験例1は、図21に示すように、自動車の組立ラインの一部を模して構築したパイロットラインにより、プレス成形したダッシュパネル10a、カウルインナパネル10b及びカウルアウタパネル10cの接合組立について具体化している。
【0080】
一般に、自動車の組み立ては、ボデー・パネル等を設計した後、プレス加工工程において、亜鉛めっき鋼板等が数多くのパネルに成形される。その後、溶接組付け工程において、各パネルを主にスポット溶接により、ボデーに組み立てる。次いで、ボデーは、塗装工程において、洗浄・電着塗装・乾燥・中塗・上塗り・乾燥・仕上げがなされる。この後、艤装品組み付け工程において、エンジン、シート等の部品が取付けられ、自動車が完成する。
【0081】
図21に示すパイロットラインでは、プレス加工により成形された3枚の各パネル10a〜10cにおける亜鉛めっき層を介した各接合面間に、抵抗増大物質塗布ロボット12により抵抗増大物質を塗布し、溶接ロボット13により各接合面をスポット溶接し、ボデー(サブアッシー)11とする。
抵抗増大物質塗布ロボット12は、塗布ロボット制御盤14に接続され、塗布ロボット制御盤14は工程制御盤15に接続されている。また、溶接ロボット13は溶接ロボット制御盤16に接続され、溶接ロボット制御盤16も工程制御盤15に接続されている。溶接ロボット13には、加圧力の選択数だけバルブ及びレギュレタ(加圧力調整機器)が設けられており、それらのなかから所望の加圧力を付与しうるようになされている。工程制御盤15はパネルセット治具17、塗布装置制御盤18及び溶接電流制御装置19に接続されている。
【0082】
塗布装置制御盤18は抵抗増大物質が貯溜されたタンクと、このタンクと接続された圧送ポンプ20とに接続され、圧送ポンプ20と接続されたホース21はノズル22に接続され、ノズル22は抵抗増大物質塗布ロボット12に保持されている。タンク内には本研究によって開発した抵抗増大物質が貯溜されている。この抵抗増大物質は、構造用接着剤に平均粒径100μmのアルミナ粉末を15wt.%混入したものである。また、ホース21は、温度によって粘性が変化する抵抗増大物質を安定して供給するため、一定温度に保たれている。
【0083】
また、溶接電流制御装置19は溶接電流ケーブル23を介して溶接ガン24に接続され、溶接ガン24は溶接ロボット13に保持されている。溶接ガン24には、電極間電圧測定用の端子が取り付けられ、電極間電圧モニタ線27を介して溶接電流制御装置19に接続されている。また、溶接トランス25の二次側にはトロイダルコイルが設けられており、溶接電流モニタ線26を介して溶接電流制御装置19に接続されている。これらにより溶接電極間に通電したときの電極間電圧値及び電極間電流値が測定できるようになっている。つまり、電極間電圧及び電極間電流の波形が、電極間電圧モニタ線27と溶接電流モニタ線26を介して溶接電流制御装置19に取り込まれ、溶接電流制御装置19に内蔵されるコンピュータで実効値、平均値等に換算されるとともに電極間抵抗値rが計算される。このとき、交流溶接電源を用いているため、各通電サイクル後半における電極間電圧及び電極間電流の平均値によって、電極間抵抗値rが求められる。そして、溶接電流制御装置19は溶接品質管理モニタ(ホストコンピュータ)28に接続されている。
【0084】
各パネル10a〜10cはコンピュータを利用して設計されている。したがって、パネル10a〜10cの形状、スポット溶接の打点位置等は、コンピュータにデータとして蓄積されているため、このデータを溶接ロボット13のティーチング作業に使うことも可能である。
上記のように構成されたパイロットラインでは、工程制御盤15により図22のメインフローチャートに従って処理がなされる。
「搬送工程」
まず、ステップS100において、設計後、亜鉛めっき鋼板をプレス加工で成形することにより得たダッシュパネル10a、カウルインナパネル10b及びカウルアウタパネル10cが図示しない搬送装置により搬送される。なお、搬送の一部又は全部を作業者が行うこともできる。
【0085】
「固定工程」
そして、ステップS101において、ダッシュパネル10aがパネルセット治具17に固定される。このとき、ダッシュパネル10aには図示しない基準穴が設けられ、パネルセット治具17にも図示しない基準ピンが設けられているため、基準穴に基準ピンを入れることによってダッシュパネル10aの位置が決定される。ダッシュパネル10aがパネルセット治具17の所定位置に固定されれば、パネルセット治具17に設けられたセンサが固定を検知し、固定完了信号がパネルセット治具17から工程制御盤15に送られる。
「配置工程」
次いで、ステップS102において、工程制御盤15から塗布ロボット制御盤14及び塗布装置制御盤18に抵抗増大物質塗布の命令が出される。ノズル22をもった抵抗増大物質塗布ロボット12は、塗布ロボット制御盤14によって制御されることにより、ノズル22を所定の位置に移動させる。
【0086】
抵抗増大物質塗布ロボット12がノズル22を所定の位置に到達させた信号は塗布ロボット制御盤14から工程制御盤15に送られ、工程制御盤15は塗布装置制御盤18に抵抗増大物質の吐出開始の信号を送る。塗布装置制御盤18は圧送ポンプ20を作動させ、同時にノズル22を開く。これにより、抵抗増大物質は、タンクからホース21を通ってノズル22によってダッシュパネル10aに塗布され始める。
【0087】
一方、抵抗増大物質塗布ロボット12は、抵抗増大物質の吐出が開始すると、予め教示された軌跡をたどって動作し、抵抗増大物質が所定の接合面に塗布される。抵抗増大物質塗布ロボット12が抵抗増大物質の塗布終了位置まで到達すると、圧送ポンプ20からの抵抗増大物質の供給が停止すると共に、ノズル22が閉じられ、抵抗増大物質塗布ロボット12は原位置に戻る。
【0088】
なお、この間、抵抗増大物質が途中で途切れることなく、一定量が安定して塗布されていることを確認するために、抵抗増大物質塗布ロボット12には図示しない監視カメラが設けられており、画像認識又は作業者によるモニタ画面を通しての確認が行われている。
「搬送工程・重合工程・配置工程」
抵抗増大物質がダッシュパネル10aに塗布された後、ステップS103において、搬送装置によりダッシュパネル10a上にカウルインナパネル10bが重ね合わされる。カウルインナパネル10bにもダッシュパネル10aと同様に図示しない基準穴が設けられており、カウルインナパネル10bもダッシュパネル10aの図示しない基準ピンに合わせて固定される。これにより、抵抗増大物質がダッシュパネル10aとカウルインナパネル10bとの間に挟まれる。
【0089】
次いで、カウルインナパネル10bの接合面にも、ダッシュパネル10aと同様に、抵抗増大物質塗布の作業を繰り返す。
「搬送工程・重合工程」
さらに、ステップS104において、搬送装置により、カウルインナパネル10b上にカウルアウタパネル10cが重ね合わされる。これにより、抵抗増大物質がカウルインナパネル10bとカウルアウタパネル10cの間に挟まれる。
「溶接条件設定工程」
各パネル10a〜10cの各接合面間の重ね合わせが完了すれば、クランプ完了信号がパネルセット治具17から工程制御盤15に送られる。
【0090】
これにより、工程制御盤15は、パネルセット及び抵抗増大物質塗布の完了を検知する。そして、ステップS105において、スポット溶接する際の溶接条件を選定する。
つまり、自動車の車体を構成する実際のワークは、複数のパネルによって構成されているため、スポット溶接する部位によって、板合わせは様々に変化する。また、パネルの種類としては、裸軟鋼板、裸高張力鋼板、亜鉛めっき軟鋼板、亜鉛めっき高張力鋼板等があり、さらにそれらの板厚もおよそ0.5〜3(mm)の範囲にわたっている。そのため、溶接部位によって、設定電流値、通電時間、加圧力等の溶接条件を変化させる必要がある。溶接電流制御装置19は、これらの溶接条件を記憶し、個々の溶接部位に応じた溶接条件を適宜選択し、起動できるようになっている。
【0091】
「加圧工程」
そして、ステップS106において、工程制御盤15からスポット溶接開始信号が溶接ロボット制御盤16に送られる。
これにより、溶接ロボット13は、まず、第1点目の部位に溶接ガン24を移動させる。このとき、溶接ガン24の両溶接電極の中心を結ぶ線は、各接合面間にある抵抗増大物質のほぼ中央に位置される。第1点目に溶接ガン24が到達すれば、その信号が溶接ロボット制御盤16から工程制御盤15に送られる。そして、工程制御盤15から溶接電流制御装置19に溶接起動の開始信号が送られる。
【0092】
溶接電流制御装置19が起動すると、溶接ロボット13が保持する溶接ガン24のバルブ及びレギュレタが作動し、パネル10a〜10cの第1点目の溶接部位を溶接ガン24の一対の溶接電極が挟持する。
これにより、パネル10a〜10cを一対の溶接電極が設定加圧力により加圧する。このとき、抵抗増大物質は、各接合面が部分的に接触すべく、各接合面間に間隙を残留させる。
「通電工程」
この後、ステップS107において、設定電流値で3サイクル通電し、スポット溶接を行う。
【0093】
「検出工程」
また、ステップS108において、溶接電極を通じ、各サイクル毎の両電極間の電圧及び電流が検出される。
「推定工程(不規則通電)」
そして、ステップS200では、図23に示す不規則通電ルーチンS200に従い、不規則通電があったか否かの信号処理を行う。
【0094】
まずステップS201では、溶接電流制御装置19によって各サイクルの溶接電流実効値iを算出する。次いで、ステップS202において、算出された溶接電流実効値iが正常電流範囲内であるか否かにより、通電された溶接電流が正常であったか、不規則であったかを判定する。
ステップS202において、連続打点中に不規則通電がなければ、ステップS202でYESとなり、メインルーチンにリターンする。ステップS202において、NOであれば、連続打点中に不規則通電があり、不規則通電の回数がステップS203でカウントされる。
【0095】
「適応制御工程(不規則通電)」
ステップS203でカウントされた頻度は、ステップS204で予め設定した基準と比較される。ステップS204において、基準よりカウントされた頻度が少なければ、メインルーチンにリターンする。ステップS204において、基準よりカウントされた頻度が多ければ、ステップS205に進む。
【0096】
ここで、頻度が多いということは、同一溶接条件(ここでは加圧力)では充分なナゲットが得られにくくなっていると推定され、ここまでの打点数又は期間が同一溶接条件の限界の推定値となる。よって、ステップS205では、次の打点から加圧力を増大させるべく、バルブ及びレギュレタを選択し、メインルーチンにリターンする。これにより、母材間の接触を十分確保することによって、安定した溶接を続行することができる。
「算出工程」
また、溶接電流制御装置19に内蔵されるコンピュータは、図22に示すステップS300において、図24に示す算出等ルーチンS300を実行する。
【0097】
試験例1で用いた一つの抵抗値変化特性はパターン認識である。このため、溶接電流制御装置19に内蔵されるコンピュータは、各電極間抵抗値rにより変化パターンを算出する。
まず、ステップS301では、各サイクルの電極間抵抗値rにより電極間抵抗値の低下量Δr(抵抗値変化特性)を算出する。つまり、溶接電流制御装置19によって各サイクル毎の電極間抵抗値rが計算される。ここで、1サイクル目の電極間抵抗値をr1 、2サイクル目の電極間抵抗値をr2 、3サイクル目の電極間抵抗値をr3 とする。
【0098】
そして、ステップS302において、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )が0以上であり、かつ電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS302で、YESであれば、単調減少パターンであり、ステップS303に進む。ステップS303では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r3 との差(r1 −r3 )を低下量Δrとする。
【0099】
ステップS302でNOであれば、ステップS304に進み、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )が正であり、かつ電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )が負であるか否かを判断する。ステップS304で、YESであれば、凹型パターンであり、ステップS305に進む。ステップS305では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )を低下量Δrとする。
【0100】
ステップS304でNOであれば、ステップS306に進み、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )が負であり、かつ電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )が正であるか否かを判断する。ステップS306で、YESであれば、凸型パターンであり、ステップS307に進む。ステップS307では、電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )を低下量Δrとする。
【0101】
ステップS306でNOであれば、単調増加パターンであり、ステップS308に進む。
「連続記録工程」
また、ステップS303では、単調減少パターンと各電極間抵抗値Δrとを記録する。ステップS305では、凹型パターンと各電極間抵抗値Δrとを記録する。ステップS307では、凸型パターンと各電極間抵抗値Δrとを記録する。ステップS308では、単調増加パターンと各電極間抵抗値Δrとを記録する。
【0102】
「第1判定工程」
ナゲットの形成に伴って電極間抵抗値rは低下する。このため、算出工程において、それぞれの変化パターンに応じて電極間抵抗値の低下量Δrが求められた後、ステップS309において、予めコンピュータに蓄積されたナゲット判定のための基準ΔR(例えば、30μΩ)と比較する。ステップS309でYESであれば、ナゲット良好と判定され、メインルーチンにリターンする。
【0103】
つまり、ステップS309において電極間抵抗値の低下量Δrが基準ΔR以上であれば、十分なナゲットの形成が保証される。
一方、ステップS309でNOであれば、ナゲット径不足と判定される。また、ステップS207の単調増加パターンでは、電極間抵抗値の低下量の算出は行わず、ナゲット径不足と判定される。
【0104】
つまり、ステップS309において電極間抵抗値の低下量Δrが基準ΔR未満、またステップS308の単調増加パターンでは、十分なナゲットの形成の保証が不確実である。このため、ステップS309でNOである場合又はステップS308の後、図25に示す通電時間延長ルーチンS400を実行する。
「第1補完工程」
まず、ステップS401において、通電時間を1サイクル延長する。これにより、ナゲットの形成が補完される。なお、延長の電流値を高くしておくと、より確実に補完できる。
【0105】
「推定工程(通電延長)」
次いで、ステップS402では、溶接電流制御装置19によって4サイクル目の電極間抵抗値r4 が計算される。そして、ステップS403で通電延長の回数がカウントされる。
「適応制御工程(通電延長)」
ステップS403でカウントされた頻度は、ステップS404で予め設定された基準と比較される。ステップS404において、予め設定された基準よりカウントされた頻度が多ければ、ステップS405に進む。
【0106】
ここで、頻度が多いということは、同一溶接条件(ここでは電流値)では充分なナゲットが得られにくくなっていると推定され、ここまでの打点数又は期間が同一溶接条件の限界の推定値となる。よって、ステップS405では、次の打点から設定電流値を一定の値だけ増大する。これにより、高い設定電流値で安定した溶接を続行することができる。そして、リターンする。
「第2判定工程」
ステップS404において、基準よりカウントされた頻度が少なければ、またステップS405の後、ステップS406に進む。ステップS406では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )が0以上であり、かつ電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS406でYESであればステップS500に進み、図26に示す単調減少パターンルーチンS500に従って信号処理を行う。
【0107】
まず、ステップS501では、電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS501でYESであれば、ステップS502に進む。ステップS502では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r4 との差(r1 −r4 )を低下量Δrpとする。
ステップS501でNOであれば、ステップS503に進む。ステップS503では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r3 との差(r1 −r3 )を低下量Δrpとする。
【0108】
そして、ステップS502、S503の後、図25のステップS901にリターンする。
ステップS406でNOであれば、ステップS407に進む。ステップS407では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )が正であり、かつ電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )が負であるか否かを判断する。ステップS407でYESであれば、ステップS600に進み、図27に示す凹型パターンルーチンS600に従って信号処理を行う。
【0109】
まず、ステップS601では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r3 との差(r1 −r3 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS601でYESであれば、ステップS602に進む。ステップS602では、電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS602でYESであれば、ステップS603に進む。ステップS603では、電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r4 との差(r2 −r4 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS603でYESであれば、ステップS604に進む。ステップS604では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r4 との差(r1 −r4 )を低下量Δrpとする。
【0110】
ステップS603でNOであれば、ステップS605に進む。ステップS605では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )を低下量Δrpとする。
ステップS602でNOであれば、ステップS606に進む。ステップS606においても、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )を低下量Δrpとする。
【0111】
ステップS601でNOであれば、ステップS607に進む。ステップS607では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r4 との差(r1 −r4 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS607でYESであれば、ステップS608に進む。ステップS608では、電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r4 との差(r2 −r4 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS608でYESであれば、ステップS609に進む。ステップS609では、電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )を低下量Δrpとする。
【0112】
ステップS608でNOであれば、ステップS610に進む。ステップS610では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )が電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )以上であるか否かを判断する。ステップS610でYESであれば、ステップS611に進む。ステップS611では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )を低下量Δrpとする。
【0113】
ステップS610でNOであれば、ステップS612に進む。ステップS612では、電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )を低下量Δrpとする。
ステップS607でNOであれば、ステップS613に進む。ステップS613では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )を低下量Δrpとする。
【0114】
そして、ステップS604、S605、S606、S609、S611、S612、S613の後、図25のステップS901にリターンする。
ステップS407でNOであれば、ステップS408に進む。ステップS408では、電極間抵抗値r1 と電極間抵抗値r2 との差(r1 −r2 )が負であり、かつ電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )が正であるか否かを判断する。ステップS408でYESであれば、ステップS700に進み、図28に示す凸型パターンルーチンS700に従って信号処理を行う。
【0115】
まず、ステップS701では、電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS701でYESであれば、ステップS702に進む。ステップS702では、電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r4 との差(r2 −r4 )を低下量Δrpとする。
ステップS701でNOであれば、ステップS703に進む。ステップS703では、電極間抵抗値r2 と電極間抵抗値r3 との差(r2 −r3 )を低下量Δrpとする。
【0116】
そして、ステップS702、S703の後、図25のステップS901にリターンする。
ステップS408でNOであればステップS800に進み、図29に示す単調増加パターンルーチンS800に従って信号処理を行う。
まず、ステップS801では、電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )が0以上であるか否かを判断する。ステップS801でYESであれば、ステップS802に進む。ステップS802では、電極間抵抗値r3 と電極間抵抗値r4 との差(r3 −r4 )を低下量Δrpとする。
【0117】
ステップS801でNOであれば、ステップS803に進む。ステップS803では、0を低下量Δrpとする。
そして、ステップS802、S803の後、図25のステップS901にリターンする。
以上のように各パターンによって第1補完工程後の算出方法は異なり、各パターンルーチンでは各パターンに応じてΔrpを算出する。この後、ステップS901でナゲット再判定が行われる。ここでは、低下量Δrpと、予めコンピュータに蓄積されたナゲット再判定のための基準ΔRp(例えば、30μΩ)とを比較する。
【0118】
ステップS901でYESであれば、ナゲット径良好と再判定され、メインルーチンにリターンする。ステップS901でNOであれば、ナゲット径不足と再判定され、ステップS902へ進む。
「判定結果記録工程」
ステップS902では、スポット溶接した溶接部位を記録する。そして、ステップS1000に進む。
「第2補完工程」
ステップS1000では、第2判定工程においてナゲット不足と判定された部位を再打点等によって最終補完を行う。
【0119】
第2補完工程は、ナゲット不足と判定されたその場で再打点する方法、後工程に設置されたバックアップロボットがナゲット不足と記録された部位に適したガンを自動的に選択し、再打点する方法、また後工程で作業者が再打点ないしはアーク溶接によって補修する方法等がある。
以後、加圧力の増大、通電時間の延長、設定電流値の増大の適応制御を繰り返しながら、連続して打点が進められる。
【0120】
なお、電極間抵抗値をモニタしながら行う本システムでは、ロボットの誤作動によって正規の打点位置をスポット溶接できなかった場合や、電極間電圧モニタ線が断線するといった不測の事態が生じた場合でも、電極間抵抗値から異常を検知し、第2補完工程にて補修することが可能となる。
以上のように、一連の工程でいずれの基準をも満たさないナゲットが発生しても、確実にナゲットの形成が保証される。
{結果}
試験例1によって得られた結果の一部を図30〜33に示した。ここで採用した溶接条件、ナゲット判定方法及び適応制御の基準は次の通りである。用いたパネル(ワーク)は図15〜17及び図18〜20に示したものと同じであり、打点数は18である。
【0121】
〔溶接条件〕
加圧力:P=240kgf〔2352N〕
(加圧力増大の場合20kgf増)
通電時間:T=3サイクル
(通電時間延長の場合1サイクル増)
設定電流値:I=12kA
(電流値増大の場合1kA増)
〔ナゲット判定〕
通常のナゲット判定の基準〔1〕:ΔR≧30μΩ
通電時間、設定電流値及び加圧力制御後のナゲット判定の基準〔2〕
:ΔRp≧15μΩ、凸型パターン
不規則通電時のナゲット判定の基準〔3〕
:3サイクル通電後の電極間抵抗値r3 ≦100μΩ
【0122】
〔適応制御判定基準〕
通電延長の基準〔4〕:3サイクル通電後のナゲット判定が否の場合
電流値増大の基準〔5〕:通電延長の発生頻度…10点/連続18点
加圧力増大の基準〔6〕:不規則通電の発生頻度…5点/連続18点
図30〜33にも示されるように、打点数が少ない間は、全打点について電極間抵抗値の低下量はΔr≧30μΩであり、ナゲット径も十分であった。打点が進み846点に達したとき、Δr<30μΩのものがあらわれた。このものについては、ナゲット判定の基準〔1〕により1サイクルの通電時間延長が自動的に加えられた。その結果、制御(通電延長)後のナゲット判定の基準〔2〕を満足し、ナゲット径も十分であった。
【0123】
なお、図中の各電極間抵抗値の低下量Δrは図中に示した打点区域内の全打点について示してある。また、低下量Δrは3サイクル通電後の値であり、通電時間延長後のΔrp値は示していない。
1500打点付近になると、電極間抵抗値の低下量Δrは全体的に小さくなり、Δr<30μΩの打点数もかなり多くなった。これらについては、いずれも通電延長の処置が自動的に講じられ、Δrp値は基準〔2〕をいずれも満足した。
【0124】
2300点付近になると、通電延長の頻度が高くなり、充分なナゲットが得られなくなるまでの打点数又は期間が少なくなったと推定される。したがって、電流値増大の基準〔5〕により設定電流値が自動的に13kAに上昇した。これによって通電延長の頻度は小さくなった。打点数が2832点で不規則通電が発生した。このものについてはナゲット判定の基準〔3〕により判定された。
【0125】
打点数が3400点付近では、通電延長の頻度が再び大きくなり、設定電流値は自動的に15kAに上昇した(図示していないが、3200点付近ですでに電流値は14kAに上昇している。)。
3740点付近で電流値は更にアップして16kAとなり、4450打点付近では不規則通電が多く現れるようになり、したがって加圧力増大の基準〔6〕により、加圧力が自動的に260kgf〔2548N〕に上昇した。
【0126】
かくして適応制御により人手を加えることなく、5400打点まで十分なナゲットを確保し、かつ工程内品質保証を実現しながら打点が完遂された。
ちなみに、打点数5400点はパネル300セット、自動車300台分であり、平均的な自動車製造ラインの一日の仕事量に相当する。
なお、図33に示したナゲット径は、母材3枚合わせであるので、各打点に対し2つある。それらはいずれもほぼ同じ値を示したが、図中には2つのうち小さい方の値を示した。
【0127】
ここで基準は満たすものの、Δr値の特に小さいもの、不規則通電が発生したものについては、全数調査を行ったが、いずれもナゲット径は十分であった。
さらに、本例では、適応制御による電流値の増大は一定の打点数で一斉に行われる。しかしながら、同一のパネルにおいて部位A、Bで示すように各打点位置によってナゲット形成の難易度が異なる。したがって、個々の打点位置に対し、又は難易度別に分類した各グループについて、電流値増大の処置を個別に又はグループ毎に実施することも考えられる。これによって、溶接電極の寿命の延長が可能となる。
【0128】
また、本例では、試験開始時の溶接条件は各パネルの全打点について一定とした。試験開始時の溶接条件についてもナゲット形成の難易度によって個々に又はグループ毎に違えて、開始することも考えられる。これによっても、溶接時の不必要な加熱を防ぎ、溶接電極の寿命の延長を図ることができる。
{強度試験}
従来技術によって組付けた自動車ホワイトボデーと、これと同じ部材を用い、サイドメンバーのうちドア開口部のみ試験例1のシステムで打点し、他は従来技術で組付けたホワイトボデーとについて、車体の曲げ剛性を比較した。結果を図34に示す。
【0129】
ここで、ドア開口部の打点数は従来技術では164打点あるが、本システムによる場合は71打点と削減した。打点数削減率は57%である。なお、試験例のシステムによる溶接部は打点後、180℃×30分の加熱による硬化処理が施されている。
図34にみられるように、本システムによって組付けられたボデーの曲げ剛性は打点数の大幅な削減にもかかわらず、従来に劣らない高い値を示した。主として、本システムの接着効果によるものである。
{価値分析}
従来技術に代えて本システムを大量生産方式による自動車ボデーの組付け工程に導入した場合の価値分析は、以下の通りである。
【0130】
A.利点
1.板間抵抗値の増大による接合エネルギーの低減に由来する事項
a)消費電力の節約(消費電力は従来技術の約1/3)
b)ガントラ付ロボットの小型化又は溶接機の空冷化(設備費の低減)
c)スパッタの低減(設備保全費の低減)
d)バリが発生しない(仕上げ工数の低減)
e)溶接歪の低減(手直し工数の低減)
f)圧痕が小さい(見栄え向上)
g)溶接電極の長寿命化(安定打点、溶接電極費の低減)
h)電極の溶着の低減(ラインストップの防止)
i)溶接熱影響部が狭い(母材の変質の防止)
【0131】
2.電極間抵抗値の変化とナゲット成否との関係を明確にしたことに由来する事項
a)工程内品質保証の達成(全打点に対する確実な保証)。したがって、抜き取り検査(タガネチェック)の廃止
b)適応制御によるFA化の達成(人件費の削減)
3.抵抗増大物質の接着効果に由来する事項
a)継手のシール性(水密性の確保)
b)車体剛性の向上(車体の軽量化、操縦安定性の向上)
c)接合強度の向上(安全性の向上)
d)振動特性の向上(操縦安定性及び乗り心地の向上)
e)騒音の低減(快適性の向上)
f)衝撃特性の向上(安全性の向上)
【0132】
B.欠点
a)生産ラインに適数個の自動塗布機の導入が必要(追加設備費が必要)
b)モニタ用機器の導入(追加設備費が必要)
c)塗布工程の増加
d)抵抗増大物質(接着剤)のコスト
C.比較
従来技術に代えて本システムを導入した場合、コストアップの要因は小さく、全体としてはコストダウンの可能性を含みながら、一方で前述した種々の利点について効果又は利益を得ることができる。
【0133】
また、接合にウェルドボンディングを既に採用している場合は、本システムの導入による一層のコストダウン効果とともに、溶接性の著しい改善と工程内品質保証とが得られる。
試験例2)
試験例2では、図21に示す自動電極研磨機29を用いて具体化している。つまり、「適応制御工程」において、図23に示すステップS205における加圧力の増大の代わりに、溶接電極の自動研磨を行う。他の構成・作用は試験例1と同一である。
【0134】
このシステムでは、「推定工程」において、連続打点中に不規則通電の頻度が基準より多ければ、溶接電極の再研磨が自動的に行われる。この場合、次回の打点から設定電流値が初期設定値にリセットされ、溶接を継続することが可能である。
試験例3)
試験例3では、図35に示すように、抵抗増大物質として穴明きテープを用いた場合で具体化している。他の構成・作用は試験例1と同一である。
【0135】
このシステムでは、両面接着穴明きテープ30が両面に接着力を有し、図示しない貼付装置により一方のパネル31に貼付された後、もう一方のパネルがセットされ、スポット溶接される。この時、溶接ロボット13は両溶接電極32を結ぶ中心線が穴明きテープ30の穴30aの中心にほぼ一致するようにコンピュータによって制御される。
【0136】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜22の方法では、各請求項記載の構成を採用しているため、大量生産方式下において、溶接性を改善し、高い生産性を維持することができる。
また、請求項1〜22の方法では、各請求項記載の構成を採用しているため、大量生産方式下において、全溶接部を打点と同時にチェックして工程内品質保証を行うとともに、更に溶接品質についての不具合の発生を事前に察知することにより、事前にその解消をはかることができる。
【0137】
したがって、本システムは、品質保証に対する要求の高まりを受け、今日の課題に沿うものとして期待される
【0138】
さらに、本システムの導入にあたっては、従来の接合方式に比べてコストダウンの可能性が大きい。
なお、各請求項記載の発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、改良を施した態様で実施しうるものである。例えば、第1補完工程における通電時間の延長とともに、自動的に設定電流値を増大し、再度通電してナゲットの形成を達成することもできる。また、適応制御工程における溶接電極の自動研磨、加圧力の増大、通電時間の延長及び設定電流値の増大を少なくとも1種以上で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワークを用いた加圧力と電極間抵抗値との関係及び加圧力とパネル間の接触面積との関係を示すグラフである。
【図2】接着剤中のアルミナ粉末の量とナゲット径との関係を示すグラフである。
【図3】設定電流値とナゲット径との関係を示すグラフである。
【図4】負荷の繰り返し数と引張剪断負荷荷重との関係を示すグラフである。
【図5】合金化溶融亜鉛めっき鋼板2枚合わせの場合の電流値とナゲット径並びに電極間抵抗値との関係を示し、定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した場合のグラフである。
【図6】図5と同一の関係を示し、ガントラ付ロボットでワークを溶接した場合のグラフである。
【図7】合金化溶融亜鉛めっき鋼板と裸普通鋼板の2枚合わせの場合の電流値とナゲット径並びに電極間抵抗値との関係を示し、定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した場合のグラフである。
【図8】図7と同一の関係を示し、ガントラ付ロボットでワークを溶接した場合のグラフである。
【図9】合金化溶融亜鉛めっき鋼板3枚合わせの場合の電流値とナゲット径並びに電極間抵抗値との関係を示し、定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した場合のグラフである。
【図10】図9と同一の関係を示し、ガントラ付ロボットでワークを溶接した場合のグラフである。
【図11】合金化溶融亜鉛めっき鋼板、裸高張力鋼板と合金化溶融亜鉛めっき鋼板の3枚合わせの場合の電流値とナゲット径並びに電極間抵抗値との関係を示し、定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した場合のグラフである。
【図12】図11と同一の関係を示し、ガントラ付ロボットでワークを溶接した場合のグラフである。
【図13】合金化溶融亜鉛めっき鋼板、裸高張力鋼板、裸普通鋼板と裸普通鋼板の4枚合わせの場合の電流値とナゲット径並びに電極間抵抗値との関係を示し、定置式溶接機で短冊形試験片を溶接した場合のグラフである。
【図14】図13と同一の関係を示し、ガントラ付ロボットでワークを溶接した場合のグラフである。
【図15】成形した合金化溶融亜鉛めっき鋼板(ワーク)3枚合わせについて、同一電極による連続打点中の電極間抵抗値の低下量の変化とナゲット径との関係を示し、溶接電流12kA、通電時間3サイクルの場合のグラフである。
【図16】図15と同一の関係を示し、溶接電流12kA、通電時間4サイクルの場合のグラフである。
【図17】図15と同一の関係を示し、溶接電流14kA、通電時間3サイクルの場合のグラフである。
【図18】成形した合金化溶融亜鉛めっき鋼板(ワーク)3枚合わせについて、同一電極による連続打点中の電極間抵抗値の低下量の変化とナゲット径との関係を示し、溶接電流12kA、通電時間3サイクルの場合のグラフである。
【図19】図18と同一の関係を示し、溶接電流12kA、通電時間4サイクルの場合のグラフである。
【図20】図18と同一の関係を示し、溶接電流14kA、通電時間3サイクルの場合のグラフである。
【図21】試験例1のパイロットラインを示す模式構成図である。
【図22】試験例1のパイロットラインにおけるメインフローチャートである。
【図23】試験例1のパイロットラインにおける不規則通電ルーチンのフローチャートである。
【図24】試験例1のパイロットラインにおける算出等ルーチンのフローチャートである。
【図25】試験例1のパイロットラインにおける通電時間延長ルーチンのフローチャートである。
【図26】試験例1のパイロットラインにおける単調減少パターンルーチンのフローチャートである。
【図27】試験例1のパイロットラインにおける凹型パターンルーチンのフローチャートである。
【図28】試験例1のパイロットラインにおける凸型パターンルーチンのフローチャートである。
【図29】試験例1のパイロットラインにおける単調増加パターンルーチンのフローチャートである。
【図30】試験例1によって得られた打点数と電極間抵抗値の低下量との関係を示すグラフである。
【図31】試験例1によって得られた打点数と電極間抵抗値の低下量との関係を示すグラフである。
【図32】試験例1によって得られた打点数と電極間抵抗値の低下量との関係を示すグラフである。
【図33】試験例1によって得られた打点数とナゲット径との関係を示すグラフである。
【図34】試験例1によって得られた車体と従来技術によって得られた車体との曲げ剛性値を示すグラフである。
【図35】試験のパイロットラインの一部を示し、(a)は斜視図、(b)は要部模式断面図である。

Claims (22)

  1. 少なくとも2枚の鋼板からなる接合しようとする各部材の板間に亜鉛めっき層を介してスポット溶接することにより、これらの部材を構造物として組付ける亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法であって、
    治具に上記部材の一方を固定する固定工程と、
    固定された該部材の接合面上の定位置に、該接合面間に間隙を確保する機能を有する抵抗増大物質を配置する配置工程と、
    配置された該抵抗増大物質を挟み、該部材の該接合面とこれに組付けられる他方の上記部材の接合面とを重ね合わせ該接合面間に間隙を確保する重合工程と、
    スポット溶接機の一対の溶接電極で該抵抗増大物質を含む接合部を加圧する加圧工程と、
    該各溶接電極間に設定された溶接電流を通電する通電工程と、
    通電時間内における該各溶接電極間の電極間抵抗値である電気特性を検出する検出工程と、
    前記電極間抵抗値は電極間電圧及び電極間電流から算出されると共に、該電極間抵抗値から抵抗値変化特性を算出する算出工程と、
    前記抵抗値変化特性は電極間抵抗値の最大値と最小値との差から求まる該電極間抵抗値の低下量及び電極間抵抗値の変化を示すパターンからなり、該電極間抵抗値の変化パターンは電極間抵抗値の単調減少、凸型、凹型及び単調増加の各パターンを含み、予め設定した基準と検出された該電気特性としての前記抵抗値変化特性とを比較し、ナゲットの成否を判定する第1判定工程と、
    を有し、前記抵抗増大物質は、粘稠物に粒体を混入したものであり、該粒体は、前記重合工程において、接合すべき鋼板の各接合面間に間隙を確保する機能を有すると共に、該粘稠物は時効又は加熱により発泡し又は接着力が増大するものであり、該加圧工程において、接合すべき両部材は間隙の一部を残留させて一部接触し、該電極間抵抗値は低く保たれており、前記抵抗増大物質による前記電極間抵抗値の実質的増大は通電工程中に起こることを特徴とする亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  2. 第1判定工程の否なる判定により、溶接条件を変更してナゲットの形成を補完する第1補完工程を有することを特徴とする請求項1記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  3. 第1補完工程後に、予め設定した基準と再度検出された電気特性とを比較し、ナゲットの成否を再度判定する第2判定工程を有することを特徴とする請求項2記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  4. 第1判定工程又は第2判定工程の判定結果を記録する判定結果記録工程を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  5. 同一の溶接電極による連続打点中、電気特性を連続的に記録する連続記録工程を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  6. 判定結果記録工程又は連続記録工程の記録により充分なナゲットが得られなくなるまでの電極寿命を推定する推定工程を有することを特徴とする請求項4又は5記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  7. 推定工程の推定値が予め設定した基準に達したとき、以後の溶接条件を変更する適応制御工程を有することを特徴とする請求項6記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  8. 判定結果記録工程の記録により又は一連の工程中の不測の事態により所定のナゲットが形成されなかった場合、ナゲットの形成を達成する第2補完工程を有することを特徴とする請求項4記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  9. 固定工程及び/又は重合工程の前に部材を固定位置又は重合位置に搬送する搬送工程を有することを特徴とする請求項1記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  10. 各工程を結ぶ生産ライン全体をホストコンピュータで一括統合管理することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  11. 第2判定工程は、予め設定した基準と抵抗値変化特性とを比較することを特徴とする請求項3記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  12. 第1補完工程における溶接条件の変更は通電時間の延長であることを特徴とする請求項2又は3記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  13. 第2補完工程は別に設けたバックアップシステムにより行うことを特徴とする請求項2又は3記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  14. 推定工程は、連続打点中、予め設定した基準と抵抗値変化特性とを比較することにより行うことを特徴とする請求項6記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  15. 推定工程は、連続打点中、予め設定した基準と不規則通電の頻度とを比較することにより行うことを特徴とする請求項6又は7記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  16. 推定工程では、連続打点中、予め設定した基準と打点数列の一定区間内における補完の頻度とを比較することにより行うことを特徴とする請求項6記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  17. 電極寿命の推定は、各打点に対する通電時の電極間抵抗値の最大値と最小値との差から求まる抵抗値の低下量が予め定めた値以下のものについて自動的にナゲットの補完を行いながら打点を続行する連続打点において、打点数列の一定区間内における補完の頻度が予め定めた一定値に達したときの打点数をもって行うことを特徴とする請求項6記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組み付け方法。
  18. 電極寿命の推定は、各打点に対する通電時の電極間抵抗値の変化を示す複数のパターンを予め定め、選択された所定形状のパターンのものについてナゲットの補完を行いながら打点を続行する連続打点において、打点数列の一定区間内における補完の頻度が予め定めた一定値に達したときの打点数をもって行うことを特徴とする請求項6記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組み付け方法。
  19. 適応制御工程における溶接条件の変更は溶接電流値の増大であることを特徴とする請求項7記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  20. 適応制御工程における溶接条件の変更は通電時間の延長であることを特徴とする請求項7記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  21. 適応制御工程における溶接条件の変更は加圧力の増大であることを特徴とする請求項7記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法。
  22. 適応制御工程における溶接条件の変更は溶接電極の自動研磨であることを特徴とする請求項7記載の亜鉛めっき鋼板のスポット溶接自動組付け方法
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