JP3758075B2 - 移動通信システムにおける受信信号電力測定方法および移動通信端末 - Google Patents
移動通信システムにおける受信信号電力測定方法および移動通信端末 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル無線通信、特に移動通信システムにおける、移動通信端末に関し、より詳細には、無線基地局において複数アンテナを用いた送信ダイバーシチを適用している場合の送信電力制御用の受信信号電力測定方法および移動通信端末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下の説明では、移動通信システムのアクセス技術としてCDMA(CodeDivision Multiple Access)を用いた場合を想定する。本発明はCDMA以外のアクセス方式を適用した移動通信システムにも採用することは可能であるが、本発明が目的とする、高精度な送信電力制御が、システム容量に及ぼす効果がより大きいと考えられるCDMAを適用した移動通信システムに本発明を採用した場合について説明する。
【0003】
図1に、CDMA移動通信システムの送信電力制御の流れと無線スロット構成との関係の一例を示す。図1の(1)に示すように、受信信号電力測定は送信電力制御区間(以降“スロット”とする)ごとに行う。雑音干渉電力の測定結果を用いて割り算を行い((2))、受信SNIR(信号電力対干渉電力比)を求めた後、基準SNIRと比較を行って((3))、測定結果が基準SNIRを上回った場合には基地局送信電力を下げるように、測定結果が基準SNIRを下回った場合には基地局送信電力を上げるように、送信側のチャネルの送信電力制御指示子を送信する((4))。個別チャネル中にはSNIR測定、チャネル推定、送信ウェイトの推定に用いられる個別パイロットシンボルが配置されており、受信信号電力測定には、該個別パイロットシンボルが用いられる。
【0004】
本発明では基地局アンテナによる送信ダイバーシチとして、文献(3GPP RAN TS25.214 V3.1.0,Dec 1999)に記述されている閉ループモード1が適用される場合を想定している。図2は、閉ループモード1の概要構成を示したものである。図2において、c1,k,c2,kはそれぞれアンテナ1および2からのk番目のマルチパスのチャネルベクトルとし、w1,w2は各アンテナのウェイトベクトル(位相、振幅を操作する複素数)を示す。
【0005】
各マルチパスの受信複素信号は、マルチパス干渉、熱雑音や他セル干渉など無視すると、元々の送信シンボルs(t)に、このウェイティングファクタ(ウェイトベクトル)と、チャネルベクトルをかけあわせた信号となり、これらがマルチパス分だけ足された形で受信される。即ち、マルチパスの数をPathとすると、受信信号r(t)は下式で表される。
【0006】
【数21】
【0007】
ただし、τkはk番目のマルチパスの遅延時間を示し、数式(2)のなかでw1は常時1であるので右辺では省略し、w2をwとしている。
【0008】
Kを有効フィンガ数とし、このr(t)から得られるnシンボル目のRake合成出力をz(n)(s(n)の推定値)とすると、z(n)は以下のように表される(雑音干渉成分は省略する)。
【0009】
【数22】
【0010】
移動端末は、このRake合成後の受信信号z(n)の電力を大きくするような送信ウェイトwを選択し、上りの個別チャネルにマッピングされるフィードバックインフォメーション(FBI)を用いて制御する。
【0011】
移動機における送信電力制御用のSIR測定ではRake合成後の受信信号電力と雑音干渉電力が計算できることが望ましい。送信ダイバーシチの閉ループモード1を適用している個別チャネルRake合成後信号電力Sは以下のように表される。
【0012】
【数23】
【0013】
ただし、
【外61】
【0014】
は片方のアンテナからの個別チャネルの受信信号電力(送信ダイバーシチ利得を考慮しない)の短区間中央値とし、瞬時変動の影響を除去する程度にチャネルベクトルの電力の合計値を時間平均する操作をE[]とすると、時間平均は、下式の様に正規化する。
【0015】
【数24】
【0016】
【数25】
【0017】
一方Rake合成後の雑音干渉電力Iは以下のように表される。
【0018】
【数26】
【0019】
ただし、σk 2は各パス位置における雑音干渉電力であり、以下のように表される。
【0020】
【数27】
【0021】
ただし、Nは熱雑音および他セル干渉の電力を示し、
【外62】
【0022】
は当該セルからの各送信アンテナの送受信電力の短区間中央値を示す。
【0023】
SIRは以下のように表される。
【0024】
【数28】
【0025】
文献(3GPP RAN TS25.211 V3.1.0,Dec 1999)に記述があるように、閉ループモード1では個別パイロットシンボルは各アンテナで直交パターンを伝送する。これは、移動機側で送信アンテナ2のウェイトベクトルを、アンテナ2から送信された個別パイロットシンボルをRake合成して推定するためである。従来の受信信号電力測定では、この直交して送信されるアンテナ1と2のパイロットのRake合成後振幅を足し算した後、電力を計算する方法をとっていた。即ち、各アンテナからの受信信号は互いに直交したパターンであるために分離された形でRake合成され、それらを加算した後に電力を計算していた。以下に従来方法の一例を、式を交えてより詳細に説明する。 移動機で推定する受信信号電力
【外63】
【0026】
は、例えば以下のように表すことが出来る。
【0027】
【数29】
【0028】
ただし、
【外64】
【0029】
はそれぞれアンテナ1とアンテナ2の個別パイロットのRake合成後受信信号として以下の様に求める。
【0030】
【数30】
【0031】
【数31】
【0032】
ただし、x1(n)とx2(n)はそれぞれ送信アンテナ1,2から送信される互いに直交した個別パイロットの変調シンボルパターンを、
【外65】
【0033】
はそれぞれ共通パイロットチャネルの受信信号から推定されるk番目のパスのアンテナ1とアンテナ2のチャネル推定値を示す。以下の説明では、このようにRake合成に用いるチャネル推定値は共通パイロットチャネルの受信信号から算出することを仮定するが、個別パイロットシンボルを使用する場合や、共通パイロットチャネルと個別パイロットシンボルを併用する場合においても、同様に受信SNIRが求められ、本発明の適用も同様の効果を示す。
【外66】
【0034】
はアンテナ2のウェイトベクトルの推定値を示す。NDPは個別パイロットシンボル数、SFDCHは個別チャネルの拡散符号長を示し、チップあたりの出力とするために割り算を施しているが、省略しても問題はない。また、数式(10)、(11)中のrk(n)は、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号ベクトルとして以下のように表される。
【0035】
【数32】
【0036】
ここで、式中のikは雑音干渉成分を示す。
【0037】
この受信信号電力推定値は、雑音干渉成分を無視すると、
【0038】
【数33】
【0039】
となる。ただし、
【外67】
【0040】
は共通パイロットチャネルの受信電力の短区間中央値を示す。
【0041】
数式(13)において、受信信号電力の推定値
【外68】
【0042】
は、数式(3)に示すSと同じ値、或いは定数倍には収束しない。これは、ウェイトベクトルを制御することによる送信ダイバーシチ利得が計算に入らないことによるものである。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように従来の、送信ダイバーシチ閉ループモード1を適用している場合の移動端末における受信信号電力測定は、送信ダイバーシチによって得られる利得分を考慮していない方法であったため、データシンボルのRake合成後の受信信号電力とは異なった値に収束する。これにより、送信電力制御の誤差が大きくなり、特に送信ダイバーシチ利得が大きい低速移動環境では送信電力の増大、容量の劣化や通信品質の劣化の原因となっていた。
【0044】
そこで本発明は、送信ダイバーシチによって得られる利得分を考慮した受信信号電力測定を行うことで、より高精度な送信電力制御を実現し送信電力の低減、容量の増大、通信の高品質化を実現することを目的とする。
【0045】
【課題を解決するための手段】
すなわち、このような課題を達成するために、請求項1記載の発明は、基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおいて、該移動通信システムを構成する移動通信端末であって、送信ダイバーシチによって得られる利得分を推定する送信ダイバーシチ利得推定手段と、共通パイロットチャネルの受信信号から、各送信アンテナからの各マルチパスのチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定手段と、各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定手段と、チャネルベクトルの推定値とウェイトベクトルの推定値を用いて、各送信アンテナからのパイロット信号のRake合成出力信号の平均値を推定するRake合成後パイロット信号平均化手段と、前記Rake合成出力信号の平均値に、前記送信ダイバーシチによって得られる利得分の推定値を反映する送信ダイバーシチ利得反映手段と、送信ダイバーシチ利得反映後の受信信号電力を計算する受信信号電力計算手段とを備えることを特徴とする。
【0046】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得推定手段は、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値とを用いて、前記各送信アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅との比を推定する送信ダイバーシチ利得比計算手段を備え、前記送信ダイバーシチ利得反映手段は、前記送信ダイバーシチ利得比計算手段により計算された利得比を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号にかけあわせることを特徴とする。
【0047】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の移動通信端末において、前記Rake合成後パイロット信号平均化手段は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外69】
【0048】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外70】
【0049】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外71】
【0050】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ数式(10)、(11)を計算し出力することを特徴とする。
【0051】
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の移動通信端末において、前記ダイバーシチ利得比推定手段は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外72】
【0052】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外73】
【0053】
とし、アンテナ1とアンテナ2の送信ダイバーシチ利得比をそれぞれ
【外74】
【0054】
とした場合に、数式(17)、(18)を計算し出力することを特徴とする。
【0055】
また、請求項5記載の発明は、請求項2記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得反映手段は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外75】
【0056】
とし、アンテナ1とアンテナ2の送信ダイバーシチ利得比をそれぞれ
【外76】
【0057】
とし、送信ダイバーシチ利得反映後の信号をそれぞれ
【外77】
【0058】
とした場合に、利得分の推定値の反映後の信号をそれぞれ
【0059】
【数34】
【0060】
と計算し出力することを特徴とする。
【0061】
また、請求項6記載の発明は、請求項2記載の移動通信端末において、前記受信信号電力計算手段は、送信ダイバーシチ利得反映後の信号をそれぞれ
【外78】
【0062】
とし、前記受信信号電力を
【外79】
【0063】
とした場合に、
【0064】
【数35】
【0065】
と計算し出力することを特徴とする。
【0066】
また、請求項7記載の発明は、請求項1記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得推定手段は、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、各送信アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅の差を推定する送信ダイバーシチ利得差分計算手段を備え、前記送信ダイバーシチ利得反映手段は、前記送信ダイバーシチ利得差分計算手段により計算された差分を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号に足し合わせることを特徴とする。
【0067】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の移動通信端末において、前記Rake合成後パイロット信号平均化手段は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外80】
【0068】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外81】
【0069】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外82】
【0070】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ数式(10)、(11)を計算し出力することを特徴とする。
【0071】
また、請求項9記載の発明は、請求項7記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得差分計算手段は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外83】
【0072】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外84】
【0073】
とし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガの、個別パイロットチャネルから計算されるチャネル推定値をそれぞれ
【外85】
【0074】
とし、複素数の実数部分をRe[]とし、送信ダイバーシチ利得差を
【外86】
【0075】
とした場合、
【0076】
【数36】
【0077】
と計算し出力することを特徴とする。
【0078】
また、請求項10記載の発明は、請求項7記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得反映手段は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外87】
【0079】
とし、送信ダイバーシチ利得差を
【外88】
【0080】
とし、送信ダイバーシチ利得反映後の信号を
【外89】
【0081】
とした場合、
【0082】
【数37】
【0083】
と計算し出力することを特徴とする。
【0084】
また、請求項11記載の発明は、請求項7記載の移動通信端末において、前記受信信号電力計算手段は、送信ダイバーシチ利得反映後の信号を
【外90】
【0085】
とし、前記受信信号電力を
【外91】
【0086】
とした場合、
【0087】
【数38】
【0088】
と計算し出力することを特徴とする。
【0089】
また、請求項12記載の発明は、基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおいて、該移動通信システムを構成する移動通信端末であって、各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定手段と、共通パイロットチャネルの受信値により各送信アンテナからの受信信号のチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定手段と、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、送信ダイバーシチを適用した場合の共通パイロットチャネルの受信信号電力を計算する送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算手段と、共通パイロットチャネルと個別物理チャネルの送信電力比を推定する送信電力比推定手段と、前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算手段によって計算された受信信号電力と前記送信電力比推定手段によって計算された送信電力比とをかけあわせて送信ダイバーシチ利得反映後の個別物理チャネルの電力を計算する受信信号電力計算手段とを備えることを特徴とする。
【0090】
また、請求項13記載の発明は、請求項12記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算手段は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外92】
【0091】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外93】
【0092】
とし、前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力を
【外94】
【0093】
とした場合、
【0094】
【数39】
【0095】
と計算し出力することを特徴とする。
【0096】
また、請求項14記載の発明は、請求項12記載の移動通信端末において、前記送信電力比推定手段は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外95】
【0097】
とし、前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力を
【外96】
【0098】
とし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガの、個別パイロットチャネルから計算されるチャネル推定値をそれぞれ
【外97】
【0099】
とし、前記送信電力を
【外98】
【0100】
とした場合、
【0101】
【数40】
【0102】
と計算し出力することを特徴とする。
【0103】
また、請求項15記載の発明は、基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおける受信信号電力測定方法であって、送信ダイバーシチによって得られる利得分を推定する送信ダイバーシチ利得推定工程と、各送信アンテナからのパイロット信号のRake合成出力信号の平均値を推定するRake合成後パイロット信号平均化工程と、該Rake合成出力信号の平均値に、前記送信ダイバーシチによって得られる利得分の推定値を反映する送信ダイバーシチ利得反映工程と、送信ダイバーシチ利得反映後の受信信号電力を計算する受信信号電力計算工程とを備えることを特徴とする。
【0104】
また、請求項16記載の発明は、請求項15記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得推定工程は、各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定工程と、共通パイロットチャネルの受信値により各送信アンテナからの受信信号のチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定工程と、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、各受信信号の各アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅との比を推定する送信ダイバーシチ利得比計算工程とを備え、前記送信ダイバーシチ利得反映工程は、前記送信ダイバーシチ利得比計算工程により計算された利得比を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号にかけあわせることを特徴とする。
【0105】
また、請求項17記載の発明は、請求項16記載の受信信号電力測定方法において、前記Rake合成後パイロット信号平均化工程は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外99】
【0106】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外100】
【0107】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外101】
【0108】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ数式(10)、(11)を計算し出力することを特徴とする。
【0109】
また、請求項18記載の発明は、請求項16記載の受信信号電力測定方法において、前記ダイバーシチ利得比推定工程は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外102】
【0110】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外103】
【0111】
とし、アンテナ1とアンテナ2の送信ダイバーシチ利得比をそれぞれ
【外104】
【0112】
とした場合に、数式(17)、(18)を計算し出力することを特徴とする。
【0113】
また、請求項19記載の発明は、請求項16記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得反映工程は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外105】
【0114】
とし、アンテナ1とアンテナ2の送信ダイバーシチ利得比をそれぞれ
【外106】
【0115】
とし、送信ダイバーシチ利得反映後の信号をそれぞれ
【外107】
【0116】
とした場合に、
【0117】
【数41】
【0118】
と計算し出力することを特徴とする。
【0119】
また、請求項20記載の発明は、請求項16記載の受信信号電力測定方法において、前記受信信号電力計算工程は、送信ダイバーシチ利得反映後の信号をそれぞれ
【外108】
【0120】
とし、前記受信信号電力を
【外109】
【0121】
とした場合に、
【0122】
【数42】
【0123】
と計算し出力することを特徴とする。
【0124】
また、請求項21記載の発明は、請求項16記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得推定工程は、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、各受信信号の各アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅の差を推定する送信ダイバーシチ利得差分計算工程を備え、前記送信ダイバーシチ利得反映工程は、前記受信信号振幅の差を推定する工程により計算された差分を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号に足し合わせることを特徴とする。
【0125】
また、請求項22記載の発明は、請求項21記載の受信信号電力測定方法において、前記Rake合成後パイロット信号平均化工程は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外110】
【0126】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外111】
【0127】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外112】
【0128】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ数式(10)、(11)を計算し出力することを特徴とする。
【0129】
また、請求項23記載の発明は、請求項21記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得差分計算工程は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外113】
【0130】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外114】
【0131】
とし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガの、個別パイロットチャネルから計算されるチャネル推定値をそれぞれ
【外115】
【0132】
とし、複素数の実数部分をRe[]とし、送信ダイバーシチ利得差を
【外116】
【0133】
とした場合、
【0134】
【数43】
【0135】
と計算し出力することを特徴とする。
【0136】
また、請求項24記載の発明は、請求項21記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得反映工程は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外117】
【0137】
とし、送信ダイバーシチ利得差を
【外118】
【0138】
とし、送信ダイバーシチ利得反映後の信号を
【外119】
【0139】
とした場合、
【0140】
【数44】
【0141】
と計算して出力することを特徴とする。
【0142】
また、請求項25記載の発明は、請求項21記載の受信信号電力測定方法において、前記受信信号電力計算工程は、送信ダイバーシチ利得反映後の信号を
【外120】
【0143】
とし、前記受信信号電力を
【外121】
【0144】
とした場合、
【0145】
【数45】
【0146】
と計算し出力することを特徴とする。
【0147】
請求項26記載の発明は、基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおける受信信号電力測定方法であって、各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定工程と、共通パイロットチャネルの受信値により各送信アンテナからの受信信号のチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定工程と、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、送信ダイバーシチを適用した場合の共通パイロットチャネルの受信信号電力を計算する送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算工程と、共通パイロットチャネルと個別物理チャネルの送信電力比を推定する送信電力比推定工程と、前記共通パイロットチャネルの受信信号電力を計算する工程で計算された受信信号電力と前記送信電力比を推定する工程で計算された送信電力比とをかけあわせることで、送信ダイバーシチ利得反映後の個別物理チャネルの電力を計算する受信信号電力計算工程とを備えることを特徴とする。
【0148】
また、請求項27記載の発明は、請求項26記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算工程は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外122】
【0149】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外123】
【0150】
とし、前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力を
【外124】
【0151】
とした場合、数式(26)を計算し出力することを特徴とする。
【0152】
さらに、請求項28記載の発明は、請求項27記載の受信信号電力測定方法において、前記送信電力比推定工程は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外125】
【0153】
とし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガの、個別パイロットチャネルから計算されるチャネル推定値をそれぞれ
【外126】
【0154】
とし、前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力を
【外127】
【0155】
とし、前記受信信号電力を
【外128】
【0156】
とした場合
【0157】
【数46】
【0158】
と計算し出力することを特徴とする。
【0159】
【発明の実施の形態】
以下、図面、式を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0160】
(第1実施形態)
図3は、本発明が適用される送信ダイバーシチ閉ループモード1を適用した場合のCDMA移動端末内の受信装置の概要構成を示したものである。
【0161】
受信無線部では、無線基地局より送信された無線信号を受信し、周波数変換、およびフィルタリングを行い、ベースバンド信号を出力する。逆拡散部では、ベースバンド信号の逆拡散が行われ、ウェイトベクトル推定部、受信データ復調部および受信SNIR計算部に入力される。ウェイトベクトル推定部では、アンテナ2から送信された個別パイロットシンボルの受信信号と共通パイロットチャネルを用いて送信アンテナ2で用いられたウェイトベクトルを推定する。受信データ復調部では、共通パイロットチャネルおよび個別パイロットシンボルを用いて推定されたチャネルベクトルと、前記ウェイトベクトルとを用いてRake合成を行い、更に、誤り訂正復号などが行われ、受信データが復調される。
【0162】
同時に、受信逆拡散信号は受信SNIR測定部に入力される。受信SNIR測定部はスロット毎に受信SNIRが出力され、これはSNIR比較部によって受信される。受信SNIR測定部では、出力された値と目標SNIRとの比較が行われ、比較結果に基づいて、送信電力制御ビットが出力される。
【0163】
図4は、本実施形態における受信SNIR測定部の概要構成例を示したものである。受信逆拡散信号およびウェイト推定値は、それぞれ受信信号電力測定部と受信雑音干渉電力測定部に入力され、それぞれの測定結果を、除算器にて割り算し、受信SNIRが求められる。
【0164】
図5は、本実施形態における受信信号電力測定部の構成例を示したものである。ここで、太矢印は、複数フィンガによって得られる複数の信号系列の流れをまとめて示している。チャネル推定部では、受信信号電力測定で実行されるRake合成用に、共通パイロットチャネルの変調位相を戻して平均化を行うことで送信アンテナ1および2の各マルチパスのチャネル推定値を求める。Rake合成部では、該チャネル推定値と、個別パイロットシンボルをRake合成し、さらにアンテナ1および2それぞれの個別パイロットシンボルの変調パターン(図中のx1 *とx2 *)の複素共役を乗算することにより変調位相をもどし、それぞれのアンテナからの信号のRake合成出力を得る。それぞれのアンテナからの信号のRake合成出力
【外129】
【0165】
は
【0166】
【数47】
【0167】
のように表現することができる。これは、上述の数式(10)および数式(11)で示したRake合成出力信号と同様である。
【0168】
更に送信ダイバーシチ利得推定部では共通パイロットチャネル、およびウェイトベクトルの推定値を用いて、各アンテナからのRake合成後の受信信号振幅と、送信ダイバーシチ合成後のRake合成後の受信信号振幅の比の推定値を算出する。送信ダイバーシチ利得推定部が算出した比はそれぞれのアンテナからのRake合成出力とかけあわせて、足し算した後に電力を求めることにより、最終的なRake合成後受信信号電力を得る。ここで、推定されたRake合成後受信信号電力
【外130】
【0169】
は以下のように表わされる。
【0170】
【数48】
【0171】
ここで、
【外131】
【0172】
は送信ダイバーシチ利得推定部で推定された各アンテナからのRake合成後の受信信号振幅と、送信ダイバーシチ合成後のRake合成後の受信信号振幅の比を示す。
【0173】
図6は、本実施形態で用いられる送信ダイバーシチ利得推定部の構成例を示したものである。図中の3個のRake合成部ではそれぞれ、アンテナ1のチャネル推定値、アンテナ2のチャネル推定値、およびウェイトベクトルの推定値とアンテナ2のチャネル推定値をかけあわせてアンテナ1のチャネル推定値と合成したもの、即ち送信ダイバーシチを施した場合のチャネル推定値を自身でRake合成する。各Rake合成部の出力は、各チャネル推定値の2乗がKフィンガ分加算して出力する。
【0174】
さらに除算器は、それぞれのアンテナのRake合成出力を、送信ダイバーシチを施した場合のRake合成出力により除算し、送信ダイバーシチ利得推定部で推定された各アンテナからのRake合成後の受信信号振幅と、送信ダイバーシチ合成後のRake合成後の受信信号振幅の比を出力する。送信ダイバーシチ利得推定部で推定された各アンテナからのRake合成後の受信信号振幅と、送信ダイバーシチ合成後のRake合成後の受信信号振幅の比
【外132】
【0175】
は、
【0176】
【数49】
【0177】
のように表される。
【0178】
以上の説明の様に、本実施形態によれば、送信ダイバーシチによって得られる利得を反映した受信信号電力の測定を行うことが出来る。事実、数式(16)で示される受信信号電力の推定値は、
【0179】
【数50】
【0180】
となり、数式(3)で示した受信信号電力と比例する値に収束する。
【0181】
これにより高精度なSINR測定を実現し、容量の増大、送信電力の低減、通信の高品質化が可能となる。
【0182】
(第2実施形態)
図7は、本発明の他の実施形態における受信信号電力測定部の構成例を示したものである。なお、受信機における、受信信号電力測定部以外の各部の動作は、第1実施形態に準ずるものとする。
【0183】
図7に示す受信信号電力測定部において、チャネル推定部、Rake合成部、または、個別パイロットシンボルの変調パターン(図中のx1 *とx2 *)の複素共役を乗算することにより、位相をもどし、それぞれのアンテナからの信号のRake合成出力を得る動作については、第1実施形態において図5に示すブロックの動作と同様であるとする。
【0184】
図7の送信ダイバーシチ利得推定部において、共通パイロットチャネルと個別チャネルの受信逆拡散信号およびウェイトベクトルの推定値を用いて、各アンテナからのRake合成後の受信信号振幅と、送信ダイバーシチ合成後のRake合成後の受信信号振幅の差分の推定値を算出する。送信ダイバーシチ利得推定部で算出した差分はそれぞれのアンテナからのRake合成出力と足し合わせて、電力を求めることにより、最終的なRake合成後受信信号電力を得る。
【0185】
ここで、推定されたRake合成後受信信号電力
【外133】
【0186】
は以下のように表わされる。
【0187】
【数51】
【0188】
ただし、
【外134】
【0189】
は、送信ダイバーシチ利得推定部において算出された、各アンテナからのRake合成後の受信信号振幅と、送信ダイバーシチ合成後のRake合成後の受信信号振幅の差分の推定値を示すものである。本実施形態において、送信ダイバーシチ利得推定部は
【外135】
【0190】
を算出するが、この差分は、数式(2)で示されるRake合成後受信信号振幅について
【0191】
【数52】
と、展開した時の右辺第3項を測定する操作とする。ここで、Re[]は、複素数の実数部分を表す。
【0192】
図8は図7における送信ダイバーシチ利得推定部の構成例を示したものである。図8において、アンテナ2の各チャネル推定値は、ウェイトベクトル推定値の複素共役がかけあわされた後、アンテナ1の各チャネル推定値の複素共役がかけあわされ、Kフィンガ分合成される。また、送信振幅比推定部では共通パイロットチャネルの受信逆拡散信号と個別パイロットシンボルの受信逆拡散信号から共通パイロットチャネルと個別チャネルの送信振幅比の推定が行われ、送信振幅比の推定値
【外136】
【0193】
に対して乗算器で2.0倍された後に、加算器の出力と乗算して
【外137】
【0194】
が算出される。算出した
【外138】
【0195】
は、次式で示すことが出来る。
【0196】
【数53】
【0197】
図9は、図8における送信振幅推定部の構成例を示したものである。
【0198】
図9においてチャネル推定部でそれぞれ、共通パイロットチャネルと、個別パイロットシンボルを用いたチャネル推定を行い、Rake合成部では、その出力をそれぞれ共通パイロットチャネルのチャネル推定値でRake合成する。Rake合成出力を除算器で割り算することにより共通パイロットチャネルと個別チャネルの送信電力比を求める。
【外139】
【0199】
は次式のように示すことが出来る。
【0200】
【数54】
【0201】
ただし、
【外140】
【0202】
は個別パイロットチャネルによるチャネル推定値を示す。
【0203】
以上の説明の様に、本実施形態によれば、送信ダイバーシチによって得られる利得を反映した受信信号電力の測定を行うことが出来る。事実、数式(20)で示される受信信号電力の推定値は、
【0204】
【数55】
【0205】
となり、数式(3)で示した受信信号電力と比例する値に収束する。
【0206】
これにより高精度なSINR測定を実現し、容量の増大、送信電力の低減、通信の高品質化が可能となる。
【0207】
更に、基地局で送信ダイバーシチを行っていない(1アンテナのみによる送信をしている)時に、移動端末が送信ダイバーシチ閉ループモード1で受信している場合であっても、アンテナ2からのチャネルベクトルの推定が適切に行われていれば、受信SINRの測定が発散することはない。具体的に示せば、例えば第1実施形態の場合には、アンテナ2からの受信信号振幅で、割り算をする箇所があるために、実際にアンテナ2から送信されていない場合には受信信号電力測定が発散する可能性があるが、本実施形態ではその様な状況が生じることはない。これにより、例えば、送信ダイバーシチを適用している基地局と、適用していない基地局が混在するようなシステムであっても、移動端末は常に適用していると認識して受信信号電力測定を行うことができる。
【0208】
(第3実施形態)
図10は本発明他の実施形態における受信信号電力測定部の構成例を示したものである。
【0209】
共通パイロット受信電力推定部ではウェイトベクトル推定値および共通パイロットによるチャネル推定値を用いて共通パイロットチャネルに送信ダイバーシチ閉ループモード1を適用した場合に得られる受信信号電力を推定する。共通パイロットチャネルはセル内の複数ユーザで共有されるチャネルであるので実際には閉ループモード1は適用されていないが、ウェイトベクトルの推定値を用いて、適用された場合に得られる受信信号電力をここで求めておく。また、送信振幅比推定部では、第2実施形態における図8に示される同部と同様の動作により、共通パイロットチャネルと個別チャネルの送信電力比の推定を行う。2乗器では送信振幅比推定部において推定された送信振幅比を電力比に変換する。乗算器ではこの値と共通パイロット受信電力測定部の出力の乗算を行い、個別チャネルの受信信号電力推定値を得る。
【0210】
ここで、共通パイロット受信電力測定部の出力を
【外141】
【0211】
とすると、個別チャネルの受信信号電力推定値
【外142】
【0212】
は以下のように記述される。
【0213】
【数56】
【0214】
図11は、図10中の共通パイロット受信電力測定部の構成例を示す。図11において、アンテナ2のチャネル推定値はウェイトベクトルの推定値をかけあわされた後アンテナ1のチャネル推定値と、各フィンガ毎に合成され、Rake合成が行われる。更に2乗器で2乗され、共通パイロットチャネルに送信ダイバーシチ閉ループモード1を適用した場合に得られる受信信号電力が得られる。
【0215】
ここで、共通パイロット受信電力測定部の出力
【外143】
【0216】
は
【0217】
【数57】
【0218】
のように記述される。
【0219】
以上の説明の様に、本実施形態によれば、送信ダイバーシチによって得られる利得を反映した受信信号電力の測定を行うことが出来る。事実、数式(20)で示される受信信号電力の推定値は、
【0220】
【数58】
【0221】
となり、数式(3)で示した受信信号電力と比例する値に収束する。
【0222】
これにより高精度なSINR測定を実現し、容量の増大、送信電力の低減、通信の高品質化が可能となる。
【0223】
更に、基地局で送信ダイバーシチを行っていない(1アンテナのみによる送信をしている)時に、移動端末が送信ダイバーシチ閉ループモード1で受信している場合であっても、アンテナ2からのチャネルベクトルの推定が適切に行われていれば、受信SINRの測定が発散することはない。これにより、例えば、送信ダイバーシチを適用している基地局と、適用していない基地局が混在するようなシステムであっても、移動端末は常に適用していると認識して受信信号電力測定を行うことができる。
【0224】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、送信ダイバーシチを行うことによって得られる送信ダイバーシチ利得を受信信号電力測定値に反映することにより、より高精度な送信電力制御が可能となる。
【0225】
また、送信ダイバーシチによって得られる利得分を比として求め、受信信号電力測定値に反映することにより、簡易な方法で送信ダイバーシチ利得分を計算し反映することが可能となる。
【0226】
また、送信ダイバーシチによって得られる利得分を差として求め、受信信号電力測定値に反映することにより、高精度な受信信号電力測定が可能となる。基地局において送信ダイバーシチを行っていない場合において、当構成を用いて受信信号電力測定を行った場合においても、アンテナ2の信号が無いことによるアルゴリズムの発散などがおこることは無い。従って移動機側では送信ダイバーシチが適用されている、いないに係わらず同じ構成で受信信号電力測定を行うことが出来る。
【0227】
更に、共通パイロットチャネルに送信ダイバーシチを適用した場合の受信信号電力を推定し、別途共通パイロットチャネルと個別チャネルの送信電力比を測定することで、より高精度な受信信号電力測定が可能となる。基地局において送信ダイバーシチを行っていない場合において、当構成を用いて受信信号電力測定を行った場合においても、アンテナ2の信号が無いことによるアルゴリズムの発散などがおこることは無い。従って移動機側では送信ダイバーシチが適用されている、いないに係わらず同じ構成で受信信号電力測定を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】送信電力制御の流れと、無線スロット構成との関係の一例を示した図である。
【図2】送信ダイバーシチ閉ループモード1の概要構成を示した図である。
【図3】本発明が適用される送信ダイバーシチ閉ループモード1を適用した場合のCDMA移動端末内の受信装置の概要構成を示した図である。
【図4】本発明が適用される送信ダイバーシチ閉ループモード1を適用した場合の受信SNIR測定部の概要構成例を示した図である。
【図5】第1実施形態における受信信号電力測定部の構成例を示した図である。
【図6】第1実施形態における送信ダイバーシチ利得推定部の構成例を示した図である。
【図7】第2実施形態における受信信号電力測定部の構成例を示した図である。
【図8】第2実施形態における送信ダイバーシチ利得推定部の構成例を示した図である。
【図9】第2実施形態における送信振幅比推定部の構成例を示した図である。
【図10】第3実施形態における受信信号電力測定部の構成例を示した図である。
【図11】第3実施形態における共通パイロット受信電力測定部の構成例を示した図である。
Claims (28)
- 基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおいて、該移動通信システムを構成する移動通信端末であって、
送信ダイバーシチによって得られる利得分を推定する送信ダイバーシチ利得推定手段と、
共通パイロットチャネルの受信信号から、各送信アンテナからの各マルチパスのチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定手段と、
各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定手段と、
チャネルベクトルの推定値とウェイトベクトルの推定値を用いて、各送信アンテナからのパイロット信号のRake合成出力信号の平均値を推定するRake合成後パイロット信号平均化手段と、
前記Rake合成出力信号の平均値に、前記送信ダイバーシチによって得られる利得分の推定値を反映する送信ダイバーシチ利得反映手段と、
送信ダイバーシチ利得反映後の受信信号電力を計算する受信信号電力計算手段と
を備えることを特徴とする移動通信システムにおける移動通信端末。 - 請求項1記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得推定手段は、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値とを用いて、前記各送信アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅との比を推定する送信ダイバーシチ利得比計算手段を備え、前記送信ダイバーシチ利得反映手段は、前記送信ダイバーシチ利得比計算手段により計算された利得比を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号にかけあわせることを特徴とする移動通信システムにおける移動通信端末。
- 請求項2記載の移動通信端末において、前記Rake合成後パイロット信号平均化手段は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外1】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外2】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外3】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ
- 請求項1記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得推定手段は、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、各送信アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅の差を推定する送信ダイバーシチ利得差分計算手段を備え、前記送信ダイバーシチ利得反映手段は、前記送信ダイバーシチ利得差分計算手段により計算された差分を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号に足し合わせることを特徴とする移動通信システムにおける移動通信端末。
- 請求項7記載の移動通信端末において、前記Rake合成後パイロット信号平均化手段は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外12】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外13】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外14】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ
- 請求項7記載の移動通信端末において、前記送信ダイバーシチ利得差分計算手段は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定手段により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外15】
とし、前記ウェイトベクトル推定手段により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外16】
とし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガの、個別パイロットチャネルから計算されるチャネル推定値をそれぞれ
【外17】
とし、複素数の実数部分をRe[]とし、送信ダイバーシチ利得差を
【外18】
とした場合、
- 基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおいて、該移動通信システムを構成する移動通信端末であって、
各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定手段と、
共通パイロットチャネルの受信値により各送信アンテナからの受信信号のチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定手段と、
前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、送信ダイバーシチを適用した場合の共通パイロットチャネルの受信信号電力を計算する送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算手段と、
共通パイロットチャネルと個別物理チャネルの送信電力比を推定する送信電力比推定手段と、
前記送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算手段によって計算された受信信号電力と前記送信電力比推定手段によって計算された送信電力比とをかけあわせて送信ダイバーシチ利得反映後の個別物理チャネルの電力を計算する受信信号電力計算手段と
を備えることを特徴とする移動通信システムにおける移動通信端末。 - 基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおける受信信号電力測定方法であって、
送信ダイバーシチによって得られる利得分を推定する送信ダイバーシチ利得推定工程と、
各送信アンテナからのパイロット信号のRake合成出力信号の平均値を推定するRake合成後パイロット信号平均化工程と、
該Rake合成出力信号の平均値に、前記送信ダイバーシチによって得られる利得分の推定値を反映する送信ダイバーシチ利得反映工程と、
送信ダイバーシチ利得反映後の受信信号電力を計算する受信信号電力計算工程と
を備えることを特徴とする移動通信システムにおける受信信号電力測定方法。 - 請求項15記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得推定工程は、
各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定工程と、
共通パイロットチャネルの受信値により各送信アンテナからの受信信号のチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定工程と、
前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、各受信信号の各アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅との比を推定する送信ダイバーシチ利得比計算工程と
を備え、前記送信ダイバーシチ利得反映工程は、前記送信ダイバーシチ利得比計算工程により計算された利得比を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号にかけあわせることを特徴とする移動通信システムにおける受信信号電力測定方法。 - 請求項16記載の受信信号電力測定方法において、前記Rake合成後パイロット信号平均化工程は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外31】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外32】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外33】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ
- 請求項16記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得推定工程は、前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、各受信信号の各アンテナからの受信信号のRake合成後の受信信号振幅と送信ダイバーシチを適用された信号のRake合成後の受信信号振幅の差を推定する送信ダイバーシチ利得差分計算工程を備え、前記送信ダイバーシチ利得反映工程は、前記受信信号振幅の差を推定する工程により計算された差分を、各送信アンテナからの信号のRake合成出力信号に足し合わせることを特徴とする移動通信システムにおける受信信号電力測定方法。
- 請求項21記載の受信信号電力測定方法において、前記Rake合成後パイロット信号平均化工程は、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルの変調パターンをそれぞれx1(n)とx2(n)とし、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外42】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外43】
とし、個別チャネルの拡散符号長をSFDCHとし、個別パイロットシンボル数をNDPとし、DCHのk番目のフィンガの受信逆拡散信号をrk(n)とし、アンテナ1とアンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号を
【外44】
とした場合、送信アンテナ1と送信アンテナ2の個別パイロットシンボルのRake合成後信号をそれぞれ
- 請求項21記載の受信信号電力測定方法において、前記送信ダイバーシチ利得差分計算工程は、逆拡散を行うフィンガの数をKとし、前記チャネルベクトル推定工程により得られる、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガのチャネル推定値をそれぞれ
【外45】
とし、前記ウェイトベクトル推定工程により得られるアンテナ2のウェイトベクトルを
【外46】
とし、アンテナ1とアンテナ2のk番目のフィンガの、個別パイロットチャネルから計算されるチャネル推定値をそれぞれ
【外47】
とし、複素数の実数部分をRe[]とし、送信ダイバーシチ利得差を
【外48】
とした場合、
- 基地局において送信ダイバーシチを適用できる移動通信システムにおける受信信号電力測定方法であって、
各送信アンテナのウェイトベクトルを推定するウェイトベクトル推定工程と、
共通パイロットチャネルの受信値により各送信アンテナからの受信信号のチャネルベクトルを推定するチャネルベクトル推定工程と、
前記ウェイトベクトルの推定値と前記チャネルベクトルの推定値を用いて、送信ダイバーシチを適用した場合の共通パイロットチャネルの受信信号電力を計算する送信ダイバーシチ適用共通パイロットチャネル受信信号電力計算工程と、
共通パイロットチャネルと個別物理チャネルの送信電力比を推定する送信電力比推定工程と、
前記共通パイロットチャネルの受信信号電力を計算する工程で計算された受信信号電力と前記送信電力比を推定する工程で計算された送信電力比とをかけあわせることで、送信ダイバーシチ利得反映後の個別物理チャネルの電力を計算する受信信号電力計算工程と
を備えることを特徴とする移動通信システムにおける受信信号電力測定方法。
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