JP3757683B2 - 円筒型電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒型電子写真感光体、更に詳しくは、真円度の優れたフランジが装着され、回転精度が優れ、カラー印刷においても色ずれがなく美麗で忠実な画像を得ることができる円筒型電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、即時性、高品質かつ保存性の高い画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターやファクシミリの分野でも広く使われ、大きな広がりをみせている。
この電子写真プロセスは基本的に、感光体の帯電、像露光による静電潜像の形成、該潜像のトナーによる現像、該トナー像の紙への転写(中間に転写体を経由する場合もある)および定着による画像形成プロセスから成り立っている。
電子写真技術の中核となる感光体は、電荷発生層、電荷輸送層等の感光層を形成した円筒状の感光ドラムの端部にフランジを装着して用いられている。
電子写真感光体のフランジ3としては、図4に示すように、略円筒体の一端側に感光ドラム2の端部に嵌合するドラム嵌合部4が形成され、必要に応じて他端側に回転駆動の力を伝達する歯車5が形成されている。
【0003】
しかして、円筒型電子写真感光体においてはその真円度が重要で、真円度が低下すると感光ドラム周面の走行速度が一定せず、画像に歪みが生じたり、カラー印刷においては色ずれが発生し、美麗で忠実な画像を得ることができなくなる。
感光ドラムの真円度を高くするためには、感光ドラムの両端に嵌合されるフランジの真円度が重要となり、歪みのない真円度の高いフランジを成形する必要がある。
フランジは一般に熱可塑性樹脂を用いて射出成形によって成形しており、均一性を上げるために、図4に示すように、3〜12個程度のピンゲート7を用いて成形が行なわれている。
【0004】
しかし、多くのピンゲートを用いて均一な射出成形に努めても高い寸法精度が得られない問題があった。
本発明者が、その原因をつきとめるために鋭意検討を行った結果、ピンゲートの取付位置に問題があることが判明した。
すなわち、従来は、回転軸を受けるための中間壁6にピンゲート7、7が配設されてきたが、中間壁6に多数のピンゲートを形成して射出成形した場合、熱可塑性樹脂の状態が一体化せず、局部的な不均一が発生し、これが歪みを発生することが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、歪みがなく真円度の高いフランジを装着することによって、真円度が高く、カラー印刷においても色ずれが生じることのない美麗で忠実な画像を形成し得る円筒型電子写真感光体を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するために、鋭意検討を行った結果なされたもので、円筒状の感光ドラムの端部にフランジを嵌合した円筒型電子写真感光体において、一方の側に感光ドラムに嵌合する筒状部と、その中心部に筒状部に同軸状に形成されたハブ用スリーブと、筒状部とハブ用スリーブの中間に同軸状に形成された環状リブを有し、筒状部、ハブ用スリーブおよび環状リブが中間壁によって連結されると共に、環状リブの端部に複数のピンゲートが配設されて成形されたフランジが装着されたことを特徴とする円筒型電子写真感光体、を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の円筒型電子写真感光体1は、図1に示すように、外表面に感光層が形成された感光ドラム2の端部にフランジ3が装着される。
感光ドラム2は、構成材料に特に制限はないが、円筒状の基体の表面に感光層が形成され、基体としては円筒状に成形可能で寸法精度がよく耐熱性の材料で形成される。
具体的には、ガラス、セラミックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド等の合成樹脂、銅、アルミニウム等の金属を用いることができる。中でもアルミニウムが好ましい。
非導電体を使用するときは、導電性粉体の配合による導電化、あるいは、金属蒸着による表面導電化が行われるのが一般的である。
【0008】
以下、基体としてアルミニウムを用いる場合について製法を述べれば、アルミニウムあるいはA1050、A3003、A6063等のアルミニウム合金をポートホール法、マンドレル法等により円筒状に加工した後、所定の肉厚、長さ、外径寸法の円筒とするため、引き抜き加工、切削加工等による処理加工が行なわれる。処理加工が行なわれた基体は、通常陽極酸化処理されることが多い。
【0009】
陽極酸化処理の条件としては、従来公知の条件を任意に選択して採用される。具体的には、陽極酸化処理用電解液としては、硫酸、蓚酸、燐酸等を使用することができる。これらの電解液の中では、硫酸が好適である。硫酸アルマイト処理の場合、電解液中の硫酸濃度は100〜300g/L、電解液の温度は10〜30℃の範囲から選択するのがよい。通電時間は、目的とする陽極酸化被膜の厚さによって適宜決定される。陽極酸化被膜の厚さは2〜15μmの範囲が適当である。
【0010】
陽極酸化処理された基体は封孔処理が行なわれる。封孔処理液としては、ニッケルイオンを含む液(例えば酢酸ニッケルを含む液、フッ化ニッケルを含む液)等、常法の封孔処理液が使用できる。
封孔処理された基体上には感光層が形成される。感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層したもの、逆に積層したもの、または電荷輸送媒体中に電荷発生物質粒子を分散したいわゆる単層型などいずれも用いることができるが、電荷発生層および電荷輸送層を有する積層型感光層が好ましい。
【0011】
電荷発生物質としては、セレンおよびその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、その他の無機光導電体、スーダンレッド、ダイアンブルー、ジエナスグリーンB等のアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アルゴールイエロー、ピレンキノン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、インドファーストオレンジトナー等のビスベンゾイミダゾール顔料、銅フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレニウム塩が挙げられる。中でも、オキシチタニウムフタロシアニンが好ましい。
【0012】
電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にアントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネン等の多芳香族化合物またはインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等の含窒素環式化合物の骨格を有する化合物、その他、ヒドラゾン化合物など正孔輸送物質が挙げられる。
【0013】
感光塗膜を形成するための結着剤樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル類、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、ポリエステル、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリサルホン等、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエステル類などが挙げられる。
【0014】
塗布溶媒としては、揮発性が高く且つその蒸気の密度が空気よりも大きい溶剤が好適に用いられる。例えば、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオン、アニソール、3−オキソブタン酸メチル、モノクロルベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート等が挙げられる。
【0015】
単層型電子写真感光体を製造する場合の感光体材料の塗布液は、前記の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着剤樹脂および塗布溶媒を混合して調製される。また、積層型電子写真感光体を製造する場合の感光体材料の塗布液は、前記の電荷発生物質、結着剤樹脂および塗布溶媒からなる電荷発生層用の塗布液と、前記の電荷輸送物質、結着剤樹脂および塗布溶媒からなる電荷輸送層用の塗布液とを別々に調製する。
【0016】
塗布液中の各成分の濃度は、公知の方法に従って適宜選択される。そして、固形分の濃度は、主として、形成すべき層の膜厚に応じて決定されるが、単層型電子写真感光体を製造する際の塗布液の場合および積層型電子写真感光体を製造する際の電荷輸送層用の塗布液の場合には、40重量%以下、好ましくは10〜35重量%以下に調製される。また、これらの塗布液の場合、その粘度は、50〜300cps、好ましくは70〜250cps、乾燥膜厚は、15〜40μmとするのがよい。
【0017】
また、電荷発生層用の塗布液の場合は、固形分濃度15重量%以下、好ましくは1〜10重量%とするのがよく、その乾燥膜厚は、通常0.1〜1μmが適している。
上記の塗布は、通常、浸漬塗布、すなわち、塗布液がオーバーフローしている浸漬槽中に円筒基体を垂直に降下させて塗布液に浸漬した後、円筒基体を垂直に上昇させて引き上げる方法によって行われる。
こうして得られた感光ドラム2は、その両端部にフランジ3が装着される。
【0018】
本発明に使用されるフランジ3は、図1に示すように略円筒状体で構成される。
フランジ3は、剛性を有し寸法精度の優れた材料が使用され、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド等の合成樹脂、銅、アルミニウム等の金属が用いられる。
合成樹脂等の不良導体を用いるときは、金属粉、カーボンブラック、グラファイト等の導電性粉体を配合することによって導電化して用いられるのが一般的である。また、不良導体の合成樹脂で成形し、別途感光ドラム2と回転軸を電気的に連結する導電素子を装填して用いることもできる。
【0019】
また合成樹脂は物性を改良するために、これらの樹脂を2種以上併用してもよく、また、特性を損なわない限りにおいて、他の材料と混合使用してもよい。この場合、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維など強化繊維やビーズ状の強化材を含む樹脂と混合使用することができる。強化繊維およびビーズ状強化材は、単独でも2種以上の併用でもよいが、ガラス繊維を主成分とする強化繊維は、コスト面で有利である。
【0020】
フランジ3は、図1に示すように、略円筒状に形成され、一方の側に感光ドラム2に嵌合する筒状部4が形成され、反対側にはリブ8が周方向に突設されてドラムの停止位置を決めるストッパーの役をしている。
感光ドラム2の少なくとも一端には回転駆動用のギヤを有するフランジが装填されるのが一般的であり、ギヤ付きフランジ3を形成するときは、図2に示すように筒状体4の反対側が円筒状に延長されてその外周にギヤ5が形成される。
筒状部4の中央部にはハブ9を形成するためのスリーブ10が形成され中間壁6で連結されている。
【0021】
本発明のフランジ3においては、筒状部4とスリーブ10の中間部の中間壁6に環状リブ11が筒状部4に同軸状に形成される。
環状リブ11の高さは、中間壁6の肉厚の2倍から20倍、好ましくは5倍〜10倍とされ、リブの幅は中間壁6の肉厚の0.5倍〜2倍、好ましくは0.8倍〜1.2倍が望ましく、環状リブ11の端部には、図1〜3に示すように複数のピンゲート7が配設される。
ピンゲート7の数は特に限定されるものではないが、一般に3個以上、好ましくは3〜12個配設される。
【0022】
また、中間壁6の環状リブ11の突設部の裏面、すなわち、環状リブ11が突設された中間壁6の反対面には、環状リブ11と同径の第2の環状リブ12を突設することが望ましい。
第2の環状リブ12の高さは、中間壁6の肉厚の2倍〜20倍、好ましくは5倍〜10倍とされ、リブ幅は中間壁6の肉厚の0.5倍〜2倍、好ましくは0.8倍〜1.2倍とすることが望ましい。
中間壁6に環状リブ11を形成してその端面にピンゲートを設けることによって、樹脂の配向のばらつきが抑制され、樹脂の合流部のウエルドの状態あるいは冷却固化の状態が均一化し、その結果、フランジ3の歪み発生が少なくなり、フランジ3は真円度を維持する。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、フランジの歪み発生がなく、高い真円度が維持されるから、本発明フランジを装填した感光ドラムは優れた真円度が得られ、カラー印刷においても色ずれのない美麗で忠実な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明フランジの一例を示す縦断面図
【図2】本発明ギヤ付フランジを示す縦断面図
【図3】図1フランジの斜視図
【図4】従来のフランジ部の縦断面図
【符号の説明】
1. 円筒型電子写真感光体
2. 感光ドラム
3. フランジ
4. 筒状部
6. 中間壁
7. ピンゲート
9. ハブ
10. スリーブ
11. 環状リブ
12. 第2の環状リブ
Claims (3)
- 円筒状の感光ドラムの端部にフランジを嵌合した円筒型電子写真感光体において、一方の側に感光ドラムに嵌合する筒状部と、その中心部に筒状部に同軸状に形成されたハブ用スリーブと、筒状部とハブ用スリーブの中間に同軸状に形成された環状リブを有し、筒状部、ハブ用スリーブおよび環状リブが中間壁によって連結されると共に、環状リブの端部に複数のピンゲートが配設されて成形されたフランジが装着されたことを特徴とする円筒型電子写真感光体。
- フランジの環状リブが連設された中間壁の裏面に環状リブと同径の第2の環状リブを形成してなる請求項1記載の円筒型電子写真感光体。
- フランジの筒状部と反対側の端部に回転駆動用のギヤが形成されてなる請求項1または2記載の円筒型電子写真感光体。
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