JP3757658B2 - 電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光透過性基板と単結晶シリコン層とを貼り合わせた電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び電子機器に関する。特に、光透過性基板の凹部に遮光層を埋め込むようにした電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁基体上にシリコン薄膜を形成し、そのシリコン薄膜に半導体デバイスを形成するSOI技術は、素子の高速化や低消費電力化、高集積化等の利点を有することから、例えば液晶装置等の電気光学装置に好適である。
【0003】
このような電気光学装置にSOI技術を適用する場合、光透過性基板に単結晶シリコン基板を貼り合わせて研磨等により薄膜の単結晶シリコン層を形成し、単結晶シリコン層を例えば液晶駆動用のMOSFET等のトランジスタ素子に形成している。
【0004】
ところで、例えば液晶装置を使ったプロジェクタ等の投射型表示装置では、通常光透過性基板の表面から光が照射されるため、これが基板上に形成されたMOSFETのチャネル領域に入射して光リーク電流を生ずるのを防ぐためにMOSFET上に遮光層を設ける構造とするのが一般的である。しかしMOSFET上部に遮光層を設けても、支持基板が光透過性である場合は、表面から入射した光が基板裏面側の界面で反射してMOSFETのチャネル部に戻り光として入射することがある。この戻り光は、表面から照射される光量に対する割合としては僅かであるが、プロジェクタなどの非常に強力な光源を用いる装置においては充分に光リーク電流を生じうる。すなわちこの基板裏面からの戻り光は素子のスイッチング特性に影響を及ぼしデバイスの特性を劣化させる。なお、ここでは単結晶シリコン層の形成された面を基板の表面とし、反対側を裏面としている。
【0005】
特開平10−293320号公報には、トランジスタ素子領域に対応する基板表面に遮光層を形成する技術が提唱されている。かかる技術は、基板表面に上記の如く遮光層をパターンニングし、その上を絶縁体層で覆って研磨により平坦化し、その平坦面に単結晶シリコン基板を貼り合わせるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような液晶装置では、基板上にトランジスタ素子領域が密集する部分と密集しない部分が存在することから、これに対応した遮光層も基板上で同様に分布し、研磨前の絶縁体層表面の凹凸も密集する部分と密集しない部分が存在する。このため、絶縁体層表面を平坦化するための研磨の工程おいて、凹凸が密集する部分と密集しない部分とで研磨の度合いのばらつきを生じ、凹凸が密集する部分では絶縁体層が厚くなり、凹凸が密集しない部分では絶縁体層が薄くなり、研磨後の絶縁体層表面にうねりを生じる、という課題がある。
【0007】
そして、絶縁体層表面にこのようなうねりを生じると、次のような問題がある。第1に、絶縁体層と単結晶シリコン層とを貼り合わせた境界面にボイドを生じ、このボイドの存在する領域に形成されるMOSFETの特性を劣化あるいは完全に不良状態にさせる。第2に、絶縁体層と単結晶シリコン層との貼り合わせ強度が弱くなり、単結晶シリコン層形成後のMOSFET形成プロセスにおいて膜剥がれ等の不良を発生させる原因となり製品の歩留まりを低下させる。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、単結晶シリコン層が貼り合わされる絶縁体層表面を平坦化することができる電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び電子機器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明の電気光学装置の製造方法は、光透過性基板上の画像表示領域に、複数の画素電極と、前記各画素電極に対応してトランジスタ素子領域が形成された電気光学装置の製造方法であって、前記光透過性基板の一方面に凹部を形成する工程と、前記凹部が形成された光透過性基板の一方面に遮光層を形成する工程と、前記凹部内に形成された遮光層を残存しつつ前記光透過性基板の一方面が露出するまで前記遮光層を除去して前記光透過性基板の一方面を平坦化する工程と、前記平坦化された光透過性基板の一方面に絶縁体層を形成する工程と、前記絶縁体層表面に単結晶シリコン層を貼り合わせる工程と、前記貼り合わされた単結晶シリコン層の前記遮光層に対応する位置に前記トランジスタ素子領域を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明のかかる製造方法によれば、光透過性基板の一方面に凹部を形成してその上に遮光層を形成し、その上から凹部内に形成された遮光層を残存しつつ光透過性基板の一方面が露出するまで遮光層を除去して光透過性基板の一方面を平坦化しているので、例えば研磨等により遮光層を除去する際に光透過性基板の表面がいわばストッパーのような役割を果たし、光透過性基板表面の遮光層は全て除去され、凹部内の遮光層だけがきれいに残存することになる。従って、かかる遮光層の除去工程において光透過性基板及び遮光層の表面をうねり等もなく極めて平坦に除去することができる。よって、絶縁体層の表面も平坦化し、絶縁体層と単結晶シリコン層とを貼り合わせた境界面にボイドを生じることはなくなり、また絶縁体層と単結晶シリコン層との貼り合わせ強度が強くなり、更にトランジスタ素子の特性にばらつきや欠陥を生じることもなくなる。また、光透過性基板表面から入射した光が基板裏面で反射して、トランジスタ素子の形成された領域に戻り光として入射しても遮光層が存在するためにリーク電流が発生することがなくなり、デバイスの特性が劣化することのない電気光学装置を製造できる。
【0011】
従って、本発明の電気光学装置の製造方法は、前記光透過性基板の一方面を平坦化する工程では、化学的機械研磨法により遮光層を除去することが好ましい。
【0013】
本発明の電気光学装置は、光透過性基板上の画像表示領域に、複数の画素電極と、前記各画素電極に対応してトランジスタ素子領域が形成された電気光学装置であって、凹部が設けられた前記光透過性基板と、前記光透過性基板の凹部を埋めるように形成された遮光層と、前記遮光層が形成された光透過性基板上に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に形成され、前記遮光層に対応する位置に前記トランジスタ素子領域が形成された単結晶シリコン層とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明のかかる構成によれば、絶縁体層の表面が平坦化しているので、絶縁体層と単結晶シリコン層とを貼り合わせた境界面にボイドを生じることはなく、また絶縁体層と単結晶シリコン層との貼り合わせ強度が強く、更にトランジスタ素子の特性にばらつきや欠陥を生じることがない、電気光学装置を実現できる。
【0015】
本発明の電気光学装置は、前記光透過性基板が石英からなり、前記遮光層が高融点金属または高融点金属の珪素化合物からなることを特徴とする。これにより、遮光層を例えば研磨により除去する際に、石英からなる光透過性基板の表面が確実にエッチングストッパーの役割を果たし、光透過性基板及び遮光層の表面をうねり等もなく極めて平坦に除去することができる。
【0016】
本発明の電気光学装置は、前記遮光層は、前記画像表示領域の周辺に設けられる周辺回路と電気的接続されてなることを特徴とする。
また本発明の電気光学装置は、前記光透過性基板の単結晶シリコン層が形成された面と対向するように配置された他の光透過性基板と、これら2枚の光透過性基板の間に挟持され、前記トランジスタ素子領域に形成されたトランジスタ素子により駆動される液晶とを更に具備することを特徴とする。
【0017】
本発明の電子機器は、光源と、前記光源から出射される光が入射されて画像情報に対応した変調を施す、上記に記載の電気光学装置と、前記電気光学装置により変調された光を投射する投射手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(電気光学装置の基本構造)
図1は本発明の一実施形態に係る電気光学装置の基本構造を示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、電気光学装置201では、光透過性基板202上に凹部203が設けられ、この凹部203を埋めるように遮光層204が形成されている。そして、この光透過性基板202上に絶縁体層205及び単結晶シリコン層206が順次形成されている。なお、単結晶シリコン層206のうち遮光層204に対応する位置にトランジスタ素子領域((図示を省略))が形成されるようになっている。
【0021】
(製造プロセス)
図2乃至図4に基づいて上記電気光学装置の製造プロセスを説明する。
【0022】
まず、図2(a)に示すように、例えば透明の光透過性基板202上にフォトレジストパターン207を形成する。ここで、光透過性基板202として例えば厚さ1.1mmの石英を用いる。また、フォトレジストパターン207は、トランジスタ素子領域に対応する位置以外の位置に形成する。
【0023】
次に、図2(b)に示すように、フォトレジストパターン207をマスクとしてエッチングを行い、光透過性基板202上のトランジスタ素子領域に対応する位置に例えば400nm程度の深さの凹部203を形成する。その後、フォトレジストパターン207を剥離する。
【0024】
次に、図3(c)に示すように、光透過性基板202上に遮光層204を形成する。この遮光層204は、例えばモリブデンをスパッタ法により400〜1000nm程度の厚さ、より好ましくは光透過性基板に形成した凹部の深さと同じ400nmの厚さに堆積することにより得る。なお、この遮光層204の材料は本実施形態に限定されるものではなく、製造するデバイスの熱プロセス最高温度に対して安定な材料であればどのような材料を用いても問題はない。例えば他にもタングステン,タンタルなどの高融点金属や多結晶シリコン、さらにはタングステンシリサイド、モリブデンシリサイド等のシリサイドが好ましい材料として用いられ、形成法もスパッタ法の他、CVD法、電子ビーム加熱蒸着法などを用いることができる。
【0025】
次に、図3(d)に示すように、遮光層204の表面を、凹部203内に形成された遮光層204を残存しつつ光透過性基板202表面が露出するまでグローバルに研磨して平坦化する。研磨による平坦化の手法としては、例えばCMP(化学的機械研磨)法を用いることができる。
【0026】
次に、図3(e)に示すように、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁体層205を堆積する。この酸化シリコン膜は、例えばスパッタ法、あるいはTEOS(テトラエチルオルソシリケート)を用いたプラズマCVD法により、例えば1000nm程度堆積させる。なお、絶縁体層205の材料としては、上記の酸化シリコン膜の他に、例えばNSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、窒化シリコン膜等を用いることができる。
【0027】
次に、図3(f)に示すように、光透過性基板202と単結晶シリコン基板206aとの貼り合わせを行う。貼り合わせに用いる単結晶シリコン基板206aは、厚さ300μmであり、その表面をあらかじめ0.05〜0.8μm程度酸化して酸化膜層206bを形成しておく。これは貼り合わせ後に形成される単結晶シリコン層206と酸化膜層206bの界面を熱酸化で形成し、電気特性の良い界面を確保するためである。貼り合わせ工程は、例えば300℃で2時間の熱処理によって2枚の基板を直接貼り合わせる方法が採用できる。貼り合わせ強度をさらに高めるためには、さらに熱処理温度を上げて450℃程度にする必要があるが、石英基板と単結晶シリコン基板の熱膨張係数には大きな違いがあるため、このまま加熱すると単結晶シリコン層にクラックなどの欠陥が発生し、基板品質が劣化してしまう。このようなクラックなどの欠陥の発生を抑制するためには、一度300℃にて貼り合わせのための熱処理を行った単結晶シリコン基板をウエットエッチングまたはCMPによって100〜150μm程度まで薄くした後に、さらに高温の熱処理を行うことが望ましい。例えば80℃のKOH水溶液を用い、単結晶シリコン基板の厚さが150μmなるようエッチングを行い、この後貼り合わせた基板を450℃にて再び熱処理し、貼り合わせ強度を高めるのが好適である。
【0028】
さらに図4(g)に示すように、この貼り合わせ基板を研磨して、単結晶シリコン層206の厚さを3〜5μmする。
【0029】
このようにして薄膜化した貼り合わせ基板は、最後にPACE(PlasmaAssisted Chemical Etching)法によってシリコン層206の膜厚を0.05〜0.8μm程度までエッチングして仕上げる。このPACE処理によって単結晶シリコン層206は、例えば膜厚100nmに対しその均一性は10%以内のものが得られる。
【0030】
以上のように、本実施形態の製造プロセスによれば、光透過性基板202に凹部203を形成してその上に遮光層204を形成し、その上から研磨を行うようにしているので、研磨の際に光透過性基板202表面がいわばストッパーのような役割を果たし、光透過性基板202表面の遮光層204は全て除去され、凹部203内の遮光層202だけがきれいに残存することになる。従って、図3(d)に示した研磨工程において光透過性基板202及び遮光層204の表面をうねり等もなく極めて平坦に研磨することができる。よって、絶縁体層205の表面も平坦化し、絶縁体層205と単結晶シリコン層206とを貼り合わせた境界面にボイドを生じることはなくなり、また絶縁体層205と単結晶シリコン層206との貼り合わせ強度が強くなり、更にトランジスタ素子の特性にばらつきや欠陥を生じることもなくなる。
【0031】
(本実施形態のプロセスを用いた電気光学装置の構成)
図5は電気光学装置としての液晶装置の画像形成領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。また、図6は、データ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図7は、図6のA−A’断面図である。尚、図7においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0032】
図5において、本実施の形態による液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素は、マトリクス状に複数形成された画素電極9aと画素電極9aを制御するためのTFT30からなり、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板(後述する)に形成された対向電極(後述する)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過不可能とされ、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。例えば、画素電極9aの電圧は、データ線に電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量70により保持される。これにより、保持特性は更に改善され、コントラスト比の高い液晶装置が実現できる。本実施の形態では特に、このような蓄積容量70を形成するために、後述の如く走査線と同層、もしくは導電性の遮光膜を利用して低抵抗化された容量線3bを設けている。
【0033】
図6において、液晶装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介して単結晶シリコン層の半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的接続されている。また、半導体層1aのうちチャネル領域(図中右下りの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。
【0034】
容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直線状に伸びる本線部(即ち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中、上向き)に突出した突出部(即ち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。
【0035】
そして、図中右上がりの斜線で示した領域には、図1に示した遮光層204に対応する複数の第1遮光膜11aが設けられている。より具体的には、第1遮光膜11aは夫々、画素部において半導体層1aのチャネル領域を含むTFTをTFTアレイ基板の側から見て覆う位置に設けられており、更に、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する段側(即ち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重ねられている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的接続するコンタクトホール13が設けられている。即ち、本実施の形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13により前段あるいは後段の容量線3bに電気的接続されている。
【0036】
次に、図7の断面図に示すように、液晶装置は、光透過性基板の一例を構成するTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜(インジウム・ティン・オキサイド膜)などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0037】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0038】
TFTアレイ基板10には、図7に示すように、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。
【0039】
対向基板20には、更に図7に示すように、各画素部の開口領域以外の領域に第2遮光膜23が設けられている。このため、対向基板20の側から入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1aのチャネル領域1a’やLDD(Lightly Doped Drain)領域1b及び1cに侵入することはない。更に、第2遮光膜23は、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を有する。
【0040】
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、シール材(図示を省略)により囲まれた空間に液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、二つの基板10及び20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
【0041】
図7に示すように、画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10表面の各画素スイッチング用TFT30に対応する位置には凹部203が各々設けら、各凹部203内に第1遮光膜11aが各々設けられている。そして、TFTアレイ基板10表面と各凹部203内に設けられた第1遮光膜11aとで平坦な一面を構成している。ここで、第1遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第1遮光膜11aの形成工程の後に行われる画素スイッチング用TFT30の形成工程における高温処理により、第1遮光膜11aが破壊されたり溶融しないようにできる。第1遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの戻り光等が画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’やLDD領域1b、1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生によりトランジスタ素子としての画素スイッチング用TFT30の特性が劣化することはない。
【0042】
更に、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能をも有する。即ち、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。第1層間絶縁膜12は、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる。第1層間絶縁膜12により、第1遮光膜11aが画素スイッチング用TFT30等を汚染する事態を未然に防ぐこともできる。
【0043】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。より詳細には、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eが、データ線6a及び走査線3aの下に延設されて、同じくデータ線6a及び走査線3aに沿って伸びる容量線3b部分に絶縁膜2を介して対向配置されて、第1蓄積容量電極(半導体層)1fとされている。特に蓄積容量70の誘電体としての絶縁膜2は、高温酸化により単結晶シリコン層上に形成されるTFT30のゲート絶縁膜2に他ならないので、薄く且つ高耐圧の絶縁膜とすることができ、蓄積容量70は比較的小面積で大容量の蓄積容量として構成できる。
【0044】
更に、蓄積容量70においては、図6及び図7から分かるように、第1遮光膜11aは、第2蓄積容量電極としての容量線3bの反対側において第1蓄積容量電極1fに第1層間絶縁膜12を介して第3蓄積容量電極として対向配置されることにより(図7の右側の蓄積容量70参照)、蓄積容量が更に付与されるように構成されている。即ち、本実施の形態では、第1蓄積容量電極1fを挟んで両側に蓄積容量が付与されるダブル蓄積容量構造が構築されており、蓄積容量がより増加する。よって、当該液晶装置が持つ、表示画像におけるフリッカや焼き付きを防止する機能が向上する。
【0045】
これらの結果、データ線6a下の領域及び走査線3aに沿って液晶のディスクリネーションが発生する領域(即ち、容量線3bが形成された領域)という開口領域を外れたスペースを有効に利用して、画素電極9aの蓄積容量を増やすことが出来る。
【0046】
本実施の形態では特に、第1遮光膜11a(及びこれに電気的接続された容量線3b)は定電位源に電気的接続されており、第1遮光膜11a及び容量線3bは、定電位とされる。従って、第1遮光膜11aに対向配置される画素スイッチング用TFT30に対し第1遮光膜11aの電位変動が悪影響を及ぼすことはない。また、容量線3bは、蓄積容量70の第2蓄積容量電極として良好に機能し得る。この場合、定電位源としては、当該液晶装置を駆動するための周辺回路(例えば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給される負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極21に供給される定電位源等が挙げられる。このように周辺回路等の電源を利用すれば、専用の電位配線や外部入力端子を設ける必要なく、遮光膜11a及び容量線3bを定電位にできる。
【0047】
また、図6及び図7に示したように、本実施の形態では、TFTアレイ基板10に設けられた凹部203内に第1遮光膜11aを設け、TFTアレイ基板10表面と各凹部203内に設けられた第1遮光膜11aとで平坦な一面を構成するのに加えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的接続するように構成されている。従って、各第1遮光膜11aが、自段の容量線に電気的接続される場合と比較して、画素部の開口領域の縁に沿って、データ線6aに重ねて容量線3b及び第1遮光膜11aが形成される領域の他の領域に対する段差が少なくて済む。このように画素部の開口領域の縁に沿った段差が少ないと、当該段差に応じて引き起こされる液晶のディスクリネーション(配向不良)を低減できるので、画素部の開口領域を広げることが可能となる。
【0048】
また、第1遮光膜11aは、前述のように直線状に伸びる本線部から突出した突出部にコンタクトホール13が開孔されている。ここで、コンタクトホール13の開孔箇所としては、縁に近い程、ストレスが縁から発散される等の理由により、クラックが生じ難いことが判明されている。従ってこの場合、どれだけ突出部の先端に近づけてコンタクトホール13を開孔するかに応じて(好ましくは、マージンぎりぎりまで先端に近づけるかに応じて)、製造プロセス中に第1遮光膜11aにかかる応力が緩和されて、より効果的にクラックを防止し得、歩留まりを向上させることが可能となる。
【0049】
更に、第1遮光膜11aは、チャネル領域1a’を覆う位置を除き、走査線3aに対向する位置には形成されていない。従って、第1遮光膜11aと各走査線3aとの間の容量カップリングが実践上殆ど又は全く生じないので、走査線3aにおける電位変動により、第1遮光膜11aにおける電位揺れが発生することはなく、その結果、容量線3bにおける電位揺れも発生しない。
【0050】
また、容量線3bと走査線3aとは、同一のポリシリコン膜からなり、蓄積容量70の誘電体膜とTFT30のゲート絶縁膜2とは、同一の高温酸化膜からなり、第1蓄積容量電極1fと、TFT30のチャネル形成領域1a秩Aソース領域1d、ドレイン領域1e等とは、同一の半導体層1aからなる。このため、TFTアレイ基板10上に形成される積層構造を単純化でき、更に、後述の液晶装置の製造方法において、同一の薄膜形成工程で容量線3b及び走査線3aを同時に形成でき、蓄積容量70の誘電体膜及びゲート絶縁膜2を同時に形成できる。
【0051】
更に、第1遮光膜11aは、走査線3aに沿って夫々伸延しており、しかも、データ線6aに沿った方向に対し複数の縞状に分断されている。このため、例えば各画素部の開口領域の周りに一体的に形成された格子状の遮光膜を配設した場合と比較して、第1遮光膜11a、走査線3a及び容量線3bを形成するポリシリコン膜、データ線6aを形成する金属膜、層間絶縁膜等からなる当該液晶装置の積層構造において、各膜の物性の違いに起因した製造プロセス中の加熱冷却に伴い発生するストレスが格段に緩和される。このため、第1遮光膜11a等におけるクラックの発生防止や歩留まりの向上が図られる。
【0052】
尚、図6では、第1遮光膜11aにおける直線状の本線部分は、容量線3bの直線状の本線部分にほぼ重ねられるように形成されているが、第1遮光膜11aが、TFT30のチャネル領域を覆う位置に設けられており且つコンタクトホール13を形成可能なように容量線3bと何れかの箇所で重ねられていれば、TFTに対する遮光機能及び容量線に対する低抵抗化機能を発揮可能である。従って、例えば相隣接した走査線3aと容量線3bとの間にある走査線に沿った長手状の間隙領域や、走査線3aと若干重なる位置にまでも、当該第1遮光膜11aを設けてもよい。
【0053】
容量線3bと第1遮光膜11aとは、第1層間絶縁膜12に開孔されたコンタクトホール13を介して確実に且つ高い信頼性を持って、両者は電気的接続されているが、このようなコンタクトホール13は、画素毎に開孔されても良く、複数の画素からなる画素グループ毎に開孔されても良い。
【0054】
コンタクトホール13を画素毎に開孔した場合には、第1遮光膜11aによる容量線3bの低抵抗化を促進でき、更に、両者間における冗長構造の度合いを高められる。他方、コンタクトホール13を複数の画素からなる画素グループ毎に(例えば2画素毎に或いは3画素毎に)開孔した場合には、容量線3bや第1遮光膜11aのシート抵抗、駆動周波数、要求される仕様等を勘案しつつ、第1遮光膜11aによる容量線3bの低抵抗化及び冗長構造による利益と、多数のコンタクトホール13を開孔することによる製造工程の複雑化或いは当該液晶装置の不良化等の弊害とを適度にバランスできるので、実践上大変有利である。
【0055】
また、このような画素毎或いは画素グループ毎に設けられるコンタクトホール13は、対向基板20の側から見てデータ線6aの下に開孔されている。このため、コンタクトホール13は、画素部の開口領域から外れており、しかもTFT30や第1蓄積容量電極1fが形成されていない第1層間絶縁膜12の部分に設けられているので、画素領域の有効利用を図りつつ、コンタクトホール13の形成によるTFT30や他の配線等の不良化を防ぐことができる。
【0056】
再び、図7において、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)1b及び低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。ソース領域1b及び1d並びにドレイン領域1c及び1eは後述のように、半導体層1aに対し、n型又はp型のチャネルを形成するかに応じて所定濃度のn型用又はp型用のドーパントをドープすることにより形成されている。n型チャネルのTFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子である画素スイッチング用TFT30として用いられることが多い。データ線6aは、Al等の金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。また、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。このソース領域1bへのコンタクトホール5を介して、データ線6aは高濃度ソース領域1dに電気的接続されている。更に、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。この高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8を介して、画素電極9aは高濃度ドレイン領域1eに電気的接続されている。前述の画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜7の上面に設けられている。尚、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとは、データ線6aと同一のAl膜や走査線3bと同一のポリシリコン膜を中継して電気的接続するようにしてもよい。
【0057】
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
【0058】
また、画素スイッチング用TFT30のゲート電極(走査線3a)をソース−ドレイン領域1b及び1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。このようにダブルゲート或いはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース−ドレイン領域接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造或いはオフセット構造にすれば、更にオフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることができる。
【0059】
ここで、一般には、半導体層1aのチャネル領域1a’低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c等の単結晶シリコン層は、光が入射するとシリコンが有する光電変換効果により光電流が発生してしまい画素スイッチング用TFT30のトランジスタ特性が劣化するが、本実施の形態では、走査線3aを上側から覆うようにデータ線6aがAl等の遮光性の金属薄膜から形成されているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cへの入射光の入射を効果的に防ぐことが出来る。また、前述のように、画素スイッチング用TFT30の下側には、第1遮光膜11aが設けられているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cへの戻り光の入射を効果的に防ぐことが出来る。
【0060】
尚、この実施形態では、相隣接する前段あるいは後段の画素に設けられた容量線3bと第1遮光膜11aとを接続しているため、最上段あるいは最下段の画素に対して第1遮光膜11aに定電位を供給するための容量線3bが必要となる。そこで、容量線3bの数を垂直画素数に対して1本余分に設けておくようにすると良い。
【0061】
(本実施形態のプロセスを用いた電気光学装置の製造方法)
次に、以上のような構成を持つ液晶装置の製造プロセスについて、図8から図12を参照して説明する。
【0062】
尚、図8から図12は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を、図7と同様に図6のA−A鋳f面に対応させて示す工程図である。
【0063】
図8の工程(1)に示すように、石英基板、ハードガラス等のTFTアレイ基板10を用意する。ここで、好ましくはN2(窒素)等の不活性ガス雰囲気且つ約850〜1300℃、より好ましくは1000℃の高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスにおけるTFTアレイ基板10に生じる歪みが少なくなるように前処理しておく。即ち、製造プロセスにおける最高温で高温処理される温度に合わせて、事前にTFTアレイ基板10を同じ温度かそれ以上の温度で熱処理しておく。
【0064】
このように処理されたTFTアレイ基板10上にフォトリソグラフィにより第1遮光膜11aのパターン(図6参照)に対応するレジストマスク207を形成する。
【0065】
次に、工程(2)に示すように、該レジストマスクを介してTFTアレイ基板10に対しエッチングを行うことにより、深さ100〜500nm程度、より好ましくは約200nmの凹部203を形成する。
【0066】
次に、工程(3)に示すように、このように凹部203が形成されたTFTアレイ基板10の全面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPd等の金属や金属シリサイド等の金属合金膜を、スパッタにより、100〜500nm程度の層厚、好ましくは約200nmの層厚の遮光膜11を形成する。
【0067】
次に、工程(4)に示すように、遮光膜11の表面を、凹部203内に形成された遮光膜11を残存しつつ基板10表面が露出するまでグローバルに研磨して平坦化する。研磨による平坦化の手法としては、例えばCMP(化学的機械研磨)法を用いることができる。
【0068】
次に、工程(5)に示すように、残存する遮光膜11として第1遮光膜11aの上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガス、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)ガス、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)ガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1層間絶縁膜12を形成する。この第1層間絶縁膜12の層厚は、例えば、約400〜1000nmとする。より好ましくは800nm程度とする。
【0069】
次に、工程(6)に示すように、基板10と単結晶シリコン基板206aとの貼り合わせを行う。貼り合わせに用いる単結晶シリコン基板206aは、厚さ600μmあり、その表面をあらかじめ0.05〜0.8μm程度酸化し、酸化膜層206bを形成すると共に、水素イオン(H+)を例えば加速電圧100keV、ドーズ量10e16/cm2にて注入したものである。貼り合わせ工程は、例えば300℃で2時間の熱処理によって2枚の基板を直接貼り合わせる方法が採用できる。
【0070】
次に、工程(7)に示すように、貼り合わせた単結晶シリコン基板206aの貼り合わせ面側の酸化膜206bと単結晶シリコン層206を残したまま、単結晶シリコン基板206aを基板10から剥離するための熱処理を行う。この基板の剥離現象は、単結晶シリコン基板中に導入された水素イオンによって、単結晶シリコン基板の表面近傍のある層でシリコンの結合が分断されるために生じるものである。例えば、貼り合わせた2枚の基板を毎分20℃の昇温速度にて600℃まで加熱することにより行うことができる。この熱処理によって、貼り合わせた単結晶シリコン基板206aが基板10と分離し、基板10表面には約200nm±5nm程度の単結晶シリコン層206が形成される。なお、基板10上に貼り合わされる単結晶シリコン層206は、前に述べた単結晶シリコン基板206aに対して行われる水素イオン注入の加速電圧を変えることによって50nm〜3000nmまで任意の膜厚で形成することが可能である。
【0071】
次に、工程(8)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図6に示した如き所定パターンの半導体層1aを形成する。即ち、特にデータ線6a下で容量線3bが形成される領域及び走査線3aに沿って容量線3bが形成される領域には、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aから延設された第1蓄積容量電極1fを形成する。
【0072】
次に、工程(9)に示すように、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aと共に第1蓄積容量電極1fを約850〜1300℃の温度、好ましくは約1000℃の温度で72分程度熱酸化することにより、約60nmの比較的薄い厚さの熱酸化シリコン膜を形成し、画素スイッチング用TFT30のゲート絶縁膜2と共に容量形成用のゲート絶縁膜2を形成する。この結果、半導体層1a及び第1蓄積容量電極1fの厚さは、約30〜170nmの厚さ、ゲート絶縁膜2の厚さは、約60nmの厚さとなる。
【0073】
次に、図9の工程(10)に示すように、Nチャネルの半導体層1aに対応する位置にレジスト膜301を形成し、Pチャネルの半導体層1aにPなどのV族元素のドーパント302を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、2e11/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0074】
次に、工程(11)に示すように、図示を省略するPチャネルの半導体層1aに対応する位置にレジスト膜を形成し、Nチャネルの半導体層1aにBなどのIII族元素のドーパント303を低濃度で(例えば、Bイオンを35keVの加速電圧、1e12/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0075】
次に、工程(12)に示すように、Pチャネル、Nチャネル毎に各半導体層1aのチャネル領域1a’の端部を除く基板10の表面にレジスト膜305を形成し、端部304にPチャネルについて工程(10)の約1〜10倍のドーズ量のPなどのV族元素のドーパント306、Nチャネルについて工程(11)の約1〜10倍のドーズ量のBなどのIII族元素のドーパント306をドープする。
【0076】
次に、工程(13)に示すように、半導体膜1aを延設してなる第1蓄積容量電極1fを低抵抗化するため、基板10の表面の走査線3a(ゲート電極)に対応する部分にレジスト膜307(走査線3aよりも幅が広い)を形成し、これをマスクとしてその上からPなどのV族元素のドーパント308を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、3e14/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0077】
次に、図10の工程(14)に示すように、第1層間絶縁膜12に第1遮光膜11aに至るコンタクトホール13を反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。この際、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチングのような異方性エッチングにより、コンタクトホール13等を開孔した方が、開孔形状をマスク形状とほぼ同じにできるという利点がある。但し、ドライエッチングとウエットエッチングとを組み合わせて開孔すれば、これらのコンタクトホール13等をテーパ状にできるので、配線接続時の断線を防止できるという利点が得られる。
【0078】
次に、工程(15)に示すように、減圧CVD法等によりポリシリコン層3を350nm程度の厚さで堆積した後、リン(P)を熱拡散し、ポリシリコン膜3を導電化する。又は、Pイオンをポリシリコン膜3の成膜と同時に導入したドープトシリコン膜を用いてもよい。これにより、ポリシリコン層3の導電性を高めることができる。
【0079】
次に、工程(16)に示すように、レジストマスクを用いたフォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図6に示した如き所定パターンの走査線3aと共に容量線3bを形成する。尚、この後、基板10の裏面に残存するポリシリコンを基板10の表面をレジスト膜で覆ってエッチングにより除去する。
【0080】
次に、工程(17)に示すように、半導体層1aにPチャネルのLDD領域を形成するために、Nチャネルの半導体層1aに対応する位置をレジスト膜309で覆い(図はNチャネルの半導体層1aを示している。)、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、まずBなどのIII族元素のドーパント310を低濃度で(例えば、BF2イオンを90keVの加速電圧、3e13/cm2のドーズ量にて)ドープし、Pチャネルの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成する。
【0081】
続いて、工程(18)に示すように、半導体層1aにPチャネルの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、Nチャネルの半導体層1aに対応する位置をレジスト膜309で覆った状態で、かつ、図示はしていないが走査線3aよりも幅の広いマスクでレジスト層をPチャネルに対応する走査線3a上に形成した状態、同じくBなどのIII族元素のドーパント311を高濃度で(例えば、BF2イオンを90keVの加速電圧、2e15/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0082】
次に、図11の工程(19)に示すように、半導体層1aにNチャネルのLDD領域を形成するために、Pチャネルの半導体層1aに対応する位置をレジスト膜(図示せず)で覆い、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパント60を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、6e12/cm2のドーズ量にて)ドープし、Nチャネルの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成する。
【0083】
続いて、工程(20)に示すように、半導体層1aにNチャネルの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、走査線3aよりも幅の広いマスクでレジスト層62をNチャネルに対応する走査線3a上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパント61を高濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、4e15/cm2のドーズ量にて)ドープする。
【0084】
次に、工程(21)に示すように、画素スイッチング用TFT30における走査線3aと共に容量線3b及び走査線3aを覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜4を形成する。第2層間絶縁膜4の層厚は、約500〜1500nmが好ましく、更に800nmがより好ましい。
【0085】
この後、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約850℃のアニール処理を20分程度行う。
【0086】
次に、工程(22)に示すように、データ線31に対するコンタクトホール5を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。また、走査線3aや容量線3bを図示しない配線と接続するためのコンタクトホールも、コンタクトホール5と同一の工程により第2層間絶縁膜4に開孔する。
【0087】
次に、図12の工程(23)に示すように、第2層間絶縁膜4の上に、スパッタ処理等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を金属膜6として、約100〜700nmの厚さ、好ましくは約350nmに堆積し、更に工程(24)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6aを形成する。
【0088】
次に、工程(25)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜7を形成する。第3層間絶縁膜7の層厚は、約500〜1500nmが好ましく、更に800nmがより好ましい。
【0089】
次に、図13の工程(26)に示すように、画素スイッチング用TFT30において、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとを電気的接続するためのコンタクトホール8を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。
【0090】
次に、工程(27)に示すように、第3層間絶縁膜7の上に、スパッタ処理等により、ITO膜等の透明導電性薄膜9を、約50〜200nmの厚さに堆積し、更に工程(28)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。尚、当該液晶装置を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
【0091】
続いて、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜16(図7参照)が形成される。
【0092】
他方、図7に示した対向基板20については、ガラス基板等が先ず用意され、第2遮光膜23及び後述の周辺見切りとしての第2遮光膜が、例えば金属クロムをスパッタした後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を経て形成される。尚、これらの第2遮光膜は、Cr、Ni、Alなどの金属材料の他、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
【0093】
その後、対向基板20の全面にスパッタ処理等により、ITO等の透明導電性薄膜を、約50〜200nmの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。更に、対向電極21の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜22(図7参照)が形成される。
【0094】
最後に、上述のように各層が形成されたTFTアレイ基板10と対向基板20とは、配向膜16及び22が対面するようにシール材52により貼り合わされ、真空吸引等により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶が吸引されて、所定層厚の液晶層50が形成される。
【0095】
(液晶装置の全体構成)
以上のように構成された液晶装置の各実施の形態の全体構成を図14及び図15を参照して説明する。尚、図14は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図15は、対向基板20を含めて示す図14のH−H鋳f面図である。
【0096】
図14において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えば第2遮光膜23と同じ或いは異なる材料から成る周辺見切りとしての第2遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画面表示領域の辺に沿って両側に配列してもよい。例えば奇数列のデータ線6aは画面表示領域の一方の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、偶数列のデータ線は前記画面表示領域の反対側の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するようにしてもよい。この様にデータ線6aを櫛歯状に駆動するようにすれば、データ線駆動回路の占有面積を拡張することができるため、複雑な回路を構成することが可能となる。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、更に、周辺見切りとしての第2遮光膜53の下に隠れてプリチャージ回路を設けてもよい。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。そして、図15に示すように、図14に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0097】
以上の液晶装置のTFTアレイ基板10上には更に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。また、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、D−STN(デュアルスキャン−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
【0098】
以上説明した液晶装置は、例えばカラー液晶プロジェクタ(投射型表示装置)に適用される場合には、3枚の液晶装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各パネルには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、その場合には上記実施の形態で示したように、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、第2遮光膜23の形成されていない画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に各実施の形態における液晶装置を適用できる。更に、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶装置が実現できる。
【0099】
以上説明した各実施の形態における液晶装置では、従来と同様に入射光を対向基板20の側から入射することとしたが、第1遮光膜11aを設けているので、TFTアレイ基板10の側から入射光を入射し、対向基板20の側から出射するようにしても良い。即ち、このように液晶装置を液晶プロジェクタに取り付けても、半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cに光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで、従来は、TFTアレイ基板10の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR(Anti−reflection)被膜された偏光手段を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があった。しかし、各実施の形態では、TFTアレイ基板10の表面と半導体層1aの少なくともチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cとの間に第1遮光膜11aが形成されているため、このようなAR被膜された偏光手段やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板10そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、各実施の形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光手段の貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。また、耐光性が優れているため、明るい光源を使用したり、偏光ビームスプリッタにより偏光変換して、光利用効率を向上させても、光によるクロストーク等の画質劣化を生じない。
【0100】
(電子機器)
上記の液晶装置を用いた電子機器の一例として、投射型表示装置の構成について、図16を参照して説明する。図16において、投射型表示装置1100は、上述した液晶装置を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962G及び962Bとして用いた投射型液晶装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装置の光学系には、前述した光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0101】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。従って、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0102】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。
【0103】
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0104】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
【0105】
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。尚、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶装置962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0106】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
【0107】
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
【0108】
本例では、液晶装置962R、962G、962Bには、TFTの下側に遮光層が設けられているため、当該液晶装置962R、962G、962Bからの投射光に基づく液晶プロジェクタ内の投射光学系による反射光、投射光が通過する際のTFTアレイ基板の表面からの反射光、他の液晶装置から出射した後に投射光学系を突き抜けてくる投射光の一部等が、戻り光としてTFTアレイ基板の側から入射しても、画素電極のスイッチング用のTFTのチャネルに対する遮光を十分に行うことができる。
【0109】
このため、小型化に適したプリズムユニットを投射光学系に用いても、各液晶装置962R、962G、962Bとプリズムユニットとの間において、戻り光防止用のフィルムを別途配置したり、偏光手段に戻り光防止処理を施したりすることが不要となるので、構成を小型且つ簡易化する上で大変有利である。
【0110】
また、本実施の形態では、戻り光によるTFTのチャネル領域への影響を抑えることができるため、液晶装置に直接戻り光防止処理を施した偏光手段961R、961G、961Bを貼り付けなくてもよい。そこで、図16に示されるように、偏光手段を液晶装置から離して形成、より具体的には、一方の偏光手段961R、961G、961Bはプリズムユニット910に貼り付け、他方の偏光手段960R、960G、960Bは集光レンズ953、945、944に貼り付けることが可能である。このように、偏光手段をプリズムユニットあるいは集光レンズに貼り付けることにより、偏光手段の熱は、プリズムユニットあるいは集光レンズで吸収されるため、液晶装置の温度上昇を防止することができる。
【0111】
また、図示を省略するが、液晶装置と偏光手段とを離間形成することにより、液晶装置と偏光手段との間には空気層ができるため、冷却手段を設け、液晶装置と偏光手段との間に冷風等の送風を送り込むことにより、液晶装置の温度上昇をさらに防ぐことができ、液晶装置の温度上昇による誤動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気光学装置の基本構造を示す断面図である。
【図2】図1に示した電気光学装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その1)である。
【図3】図1に示した電気光学装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その2)である。
【図4】図1に示した電気光学装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その3)である。
【図5】液晶装置の一実施形態における画像形成領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路である。
【図6】液晶装置の一実施形態におけるデータ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図7】図6のA−A’断面図である。
【図8】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その1)である。
【図9】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その2)である。
【図10】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その3)である。
【図11】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その4)である。
【図12】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その5)である。
【図13】液晶装置の一実施形態の製造プロセスを順を追って示す工程図(その6)である。
【図14】液晶装置の各実施の形態におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図15】図13のH−H’断面図である。
【図16】液晶装置を用いた電子機器の一例である投射型表示装置の構成図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
1a’…チャネル領域
1b…低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)
1c…低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)
1d…高濃度ソース領域
1e…高濃度ドレイン領域
10…TFTアレイ基板
11a…第1遮光膜
12…第1層間絶縁膜
202…光透過性基板
203…凹部
204…遮光層
205…絶縁体層
205…単結晶シリコン層
Claims (7)
- 光透過性基板上の画像表示領域に、複数の画素電極と、前記各画素電極に対応してトランジスタ素子領域が形成された電気光学装置の製造方法であって、
前記光透過性基板の一方面に凹部を形成する工程と、
前記凹部が形成された光透過性基板の一方面に遮光層を形成する工程と、
前記凹部内に形成された遮光層を残存しつつ前記光透過性基板の一方面が露出するまで前記遮光層を除去して前記光透過性基板の一方面を平坦化する工程と、
前記平坦化された光透過性基板の一方面に絶縁体層を形成する工程と、
前記絶縁体層表面に単結晶シリコン層を貼り合わせる工程と、
前記貼り合わされた単結晶シリコン層の前記遮光層に対応する位置に前記トランジスタ素子領域を形成する工程と
を具備することを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 前記光透過性基板の一方面を平坦化する工程では、化学的機械研磨法により遮光層を除去することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
- 光透過性基板上の画像表示領域に、複数の画素電極と、前記各画素電極に対応してトランジスタ素子領域が形成された電気光学装置であって、
凹部が設けられた前記光透過性基板と、
前記光透過性基板の凹部を埋めるように形成された遮光層と、
前記遮光層が形成された光透過性基板上に設けられた絶縁体層と、
前記絶縁体層上に形成され、前記遮光層に対応する位置に前記トランジスタ素子領域が形成された単結晶シリコン層と
を具備することを特徴とする電気光学装置。 - 前記光透過性基板が石英からなり、前記遮光層が高融点金属または高融点金属の珪素化合物からなることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
- 前記遮光層は、前記画像表示領域の周辺に設けられる周辺回路と電気的接続されてなることを特徴とする請求項3または4に記載の電気光学装置。
- 前記光透過性基板の単結晶シリコン層が形成された面と対向するように配置された他の光透過性基板と、
これら2枚の光透過性基板の間に挟持され、前記トランジスタ素子領域に形成されたトランジスタ素子により駆動される液晶と
を更に具備することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。 - 光源と、
前記光源から出射される光が入射されて画像情報に対応した変調を施す、請求項6に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置により変調された光を投射する投射手段と
を具備することを特徴とする電子機器。
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