JP3753719B2 - コンクリート建築物の通気性外断熱外壁 - Google Patents
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Description
従来例1は、非特許文献1及び非特許文献2に開示されたものであり、図13に示す如く、内面に条溝を備え、適所にあと施工アンカー用の孔を配設したセメント板に断熱層を一体化層着した密着層型の外断熱複合パネルの断熱層を、接着剤でコンクリート躯体に接着し、アンカーをセメント板からコンクリート躯体に打ち付けて張着する。
従って、外壁面をなるべく面一にするために、断熱複合パネルの張着に先立って、コンクリート躯体外面の突出面を斫る面一化作業が必要であり、斫り作業は作業性が悪く、しかも、コンクリート躯体表面の面一化は困難である。
従って、該パネルの外壁は、セメント板が日射による高温化に伴うヒートストレスにより劣下し、且つ、断熱層とセメント板間には、密着層型外断熱複合パネル特有の界面結露による断熱材の機能低下の問題を有する。
そして、該断熱複合パネルは、GFPC系外装材と断熱層との密着層型パネルであるが、該パネル自体は通気層が存在せず、断熱層と外装材間には、密着層型の外断熱複合パネル特有の界面結露を生ずるものである。
また、本発明にあっては、コンクリート躯体Cw前面Scに垂直片で強固に固定した一次ファスナー6,7に対し、断熱複合パネルPを、外壁前面が面一となるように、二次ファスナー10,21を前後位置も、左右位置も調整して一次ファスナー6,7に止着するため、コンクリート躯体前面Scの最大突出部とパネルPの断熱層Pbとは当接形態とするが、コンクリート躯体前面Scの不陸に対応した界面隙間asが、大なり小なり各パネルPの内面(断熱層)とコンクリート躯体表面Sc間に生ずる。
また、各二次ファスナー10,21の一次ファスナー6,7への前後左右位置調整の下での止着は、二次ファスナー10,21を一次ファスナー6,7の水平片上への、摺動形態での載置とするため、前後左右調整が容易であり、一次ファスナーと二次ファスナーの止着は、慣用の、ボルト締着、ねじ止着、溶接等の採用が可能である。
勿論、係止状態でパネルPと二次ファスナー10,21とにガタツキが生じる場合は、セメント板Paと二次ファスナー突出片12a,12bとをねじ締着すれば良い。
断面台形の条溝a1は、二次ファスナー10,21の有する断面台形の突出片12bを嵌入するだけで二次ファスナー10,21によるパネルPの係止が達成出来る。
そして、二次ファスナー10,21によるパネルPの係止保持がパネルの左右両端となるため、各パネルPの面一化調整作業も容易となる。
また、深い部分切欠C2の存在により、二次ファスナー10,21締着ボルトの突出部の受け入れも可能となり、図10(A)、図11(A)の如く、下面に突出する自在ナット金具8を供えた一次ファスナー7の断熱複合パネルPへの配置もスムーズに実施出来、断熱層Pbの欠損が最少に抑制出来ると共に、作業性も向上する。
従って、本発明は、コンクリート建築物の新築にも、既存コンクリート建築物の外断熱改修にも適用出来る実用性の高い発明である。
そして、垂直片7Wのボルト挿入用孔H70は径が20mm位として、アンカーボルト径10mmより大とするため、アンカーボルト7aに対する一次ファスナー7の上下左右方向の位置調整機能が発揮出来る。
この場合、パネルP1枚当りの荷重は40kg弱であるので、アンカーボルト7aに対する垂直片7Wのボルト締着は、二次ファスナー10の十分な支持強度を発揮する。
また、水平片7Fの長孔H7は、一次ファスナー7上での二次ファスナー10のボルト止着の位置調整に有効である。
この場合、摺動自在のナット8Aは、図4の如く、平面長方形の座金8Bが両側板8Sの規制を受けてナット8Aの共回りを抑制するため、中間一次ファスナー7に対する二次ファスナー10,21の位置調整の下でのボルト締着が可能となり、ナット8Aが自在ナット金具8内に保持されているため、断熱層Pb上面には、図2(A)の切欠C2の如き自在ナット金具8のみの凹欠を施すことにより、パネルPに対して、少ない断熱層欠損で、且つ、きれいに、一次ファスナー7のパネルP上端への取付けが出来る。
片面二次ファスナー10は、外壁下端、又は外壁上端でのパネル端面を係止保持するものであるが、この場合、二次ファスナーの突出片12aは、セメント板条溝a1の断面形態と対応形態で係合し、且つ両者間にガタツキの生じない嵌合となるため、二次ファスナー10によるパネル下端、又は上端の係止が合理的に実施出来る。
そして、片面二次ファスナー10の長孔H10を一次ファスナー6,7の長孔H6,H7と交差形態で設ければ、両ファスナー相互の位置調整の下でのボルト締着が合理的に実施出来る。
両面二次ファスナー21は、下方の突出片12aを下方パネル上端のセメント板条溝a1に係止して一次ファスナー7に止着後、上方パネル下端を上方の突出片12bに係合すれば、図10(A)の如く、上下パネル接続部d4での、上下両パネルの断面台形条溝a1と、断面台形突出片12a,12bとにより、ガタツキの生じない係止保持が出来る。
上方突出片12bが台板21上に存在すれば、上方パネルPのセメント板Paの下端は、図10(A),(B)の如く、リブR(図2)下端の台板21上への載置形態となり、二次ファスナー水平片21Fの厚さに関係なく、台板21によって接続部d4に所定の目地寸法が確保出来、接続部d4からの現場発泡断熱材9の所定の注入施工作業が容易となる。
断熱複合パネルPの外面を面一とする張設は、コンクリート躯体表面Scの不陸突出の最も大な部分でパネル断熱層Pb表面とコンクリート躯体表面Scとを当接形態とするのが両表面間での界面隙間asの発生を最少に抑えるために必要である。
そして、二次ファスナー10,21は、片面の突出片12aか、両面の突出片12a,12bを備えているため、十分な長さの前後長孔の配置は困難であるが、一次ファスナー6,7への前後長孔の配置は、かなり大寸の長孔まで配置可能となり、各二次ファスナー10,21の、それぞれの前後動調整の計測配置を容易にする。
そして、パネルPの面一化配置作業は、作業性からも、不陸対応の前後位置調整の後に、必要量の左右位置微調整をするのが好ましい。
従って、一次ファスナー7の強固な固着、及びパネルPの必要前後動調整の下での面一化配置が合理的に実施出来る。
しかも、外壁上端部にあっては、図11(A)、図12(A)の如く、中間一次ファスナー7上に載置止着した各片面二次ファスナー10間で、笠木3係止用のブラケット4を一次ファスナー水平片7Fにねじ26aによって固定出来、ブラケット4の所定位置への取付作業も容易となる。
この場合、隙間追従シート23は、該隙間G1を空密的に閉止出来るものであれば良く、典型的には、断熱性、機密性、防湿性、非吸水性に優れた、幅20mm、厚さ2mmのポリエチレン製形状回復発泡体のソフトロン(積水化学(株)商品名)である。
従って、図9(B)の如く、下端一次ファスナー6の存在しない部所でも、パネル断熱層Pb下端とコンクリート躯体前面Sc間の界面隙間asにシーリング19を施せば、シーリング19と隙間追従シート23とによって、断熱複合パネルPの断熱層Pbとコンクリート躯体Cw間に例え界面隙間asが生じても、外壁下端で完全に閉塞出来、該界面隙間asは、密閉空気層となって空気断熱層としての断熱性を発揮する。
この場合、吹付工具としてディスペンサー(日本ヒルティ(株)商品名)に一液性ポリウレタンのフォーム管(容量:750ml)をアダプターを介して取付け、ディスペンサーの吐出調整ノブの調整の下に接続部d4の空隙からウレタンを吐出すれば、セメント板条溝aを閉塞することなく、断熱層Pb間スペースへの適量のウレタン注入が可能である。
そして、接続部d4の内部でのウレタン充填と前部でのシーリング19とにより、接続部d4での断熱機能低下は抑制出来る。
腰水切2は、前部と後部の2点支持で強固に保持出来ると共に、後部取付板16と底板の止着位置選定により、二次ファスナー10の前後位置調整に伴うパネル下端の前後位置調整にも適切に追従出来、均斉な外観を呈する取付けとなる。
更に、化粧板垂直片17Wとコンクリート躯体前面Scとの間にシーリング19を付与することにより、腰水切2内部への空気の流出入は、底板2Dの空気孔H2とセメント板条溝aのみとなり、断熱複合パネルP内への空気孔H2からの上昇空気流がスムーズに発生する。
ルーフコーティング9cは、典型的にはアスファルトであり、ルーフコーティング9cは屋上防水層9aの端末処理と共に、コンクリート躯体前面Scとパネル断熱層Pb間の界面隙間asも閉塞し、コンクリート躯体前面Scに対する断熱層Pbの断熱機能低下を防止する。
この場合、図2(B)に示す如く、セメント板Paの幅W0(490mm)より断熱層Pbの幅W1(500mm)を目地幅となる分だけ大とし、セメント板Paと断熱層Pbとを、断熱層Pbが一側縁PLではd1(10mm)入り込み、他側縁PRではd2(20mm)突出する形態に層着しておけば、左右パネルの断熱層Pbを衝合当接するだけで、図12(C)の如く、接続部d3では、断熱層Pbの当接界面Bbがセメント板PaのリブR1面上となり、両側のセメント板Pa間には、d2(20mm)−d1(10mm)の目地d3(10mm)が形成出来る。
従って、パネルPの左右接続部d3でのパネル断熱層Pbのコンクリート躯体前面Scに対する断熱機能低下は阻止出来る。
そして、一次ファスナー6,7は、コンクリート躯体Cwへのアンカーボルト7aによる強固な固定であれば良いため、アンカーボルト7aは、コンクリート躯体構築時の埋設でも、既存コンクリート躯体Cwへのあと施工での打込みでも可能であり、本発明は、新築建物にも、既存建物の乾式被覆改修外断熱構工法にも好適に適用出来る。
従って、断熱層Pbの吸湿による断熱機能低下が阻止出来ると共に、条溝aでの通気によるセメント板Paの日射による高温化も抑制出来て、セメント板Paの耐用時のヒートストレスによる劣下も抑制出来、長期に亘る均質な外断熱機能、及び耐久性を備えた外壁の提供を可能にする。
従って、本発明は、コンクリート躯体前面Scの、不陸の特に多い既存コンクリート建築物の外断熱への改修施工に、特に有効である。
また、各二次ファスナー10,21は、断面台形の突出片12a,12bを、パネルセメント板Paの断面台形の条溝a1内に嵌入係止するため、二次ファスナー10,21による断熱複合パネルPの上端及び下端の係止保持作業が容易となる。
しかも、笠木3係止用のブラケット4も、片面二次ファスナー10間で一次ファスナーに取付可能となり、ブラケット4の取付合理化と、ブラケット4の等間隔配置による笠木3の均斉な保持が可能となる。
図2(A)は、パネルPの一部切欠斜視図であり、図2(B)は、(A)のB−B線断面図であり、(C)は(B)の部分拡大図である。
断熱複合パネルPは、セメント、硅酸質原料、及び繊維質原料を混合して押出成形し、オートクレーブ養生した押出成形セメント板Paと、75mm厚の押出法ポリスチレンフォーム断熱材Pbとの接着一体化積層物である。
そして、台形条溝a1と隣接条溝a2との境界のリブR2には、両条溝a1,a2を連通させる横断溝(図示せず)を、セメント板Paの上端及び下端から、50mm位の位置、即ち、二次ファスナー突出片12a,12bの突入長さ(30mm)、プラス20mm前後の位置に配置しておく。
中央に台形条溝a1を2個一対で配置したのは、セメント板Paを中央のリブR上で幅方向2分割して1/2幅サイズでの使用を可能にするためである。
また、パネルPの上端では、断熱層Pbは、全幅に亘り一次ファスナー水平片6F,7F載置用の切欠C1を付与し、両端のセメント板台形条溝a1対応位置では自在ナット金具8(図4)嵌入用の切欠C2を付与する。
尚、断熱複合パネルPの長さL0は、各適用建物の階高に応じて設定する。
断熱複合パネルPで構築する外壁の下端に採用するものである。
図3(A)に示す如く、下端一次ファスナー6は、長さL6が210mm、厚さが6mmで幅W6が65mmの等辺山形鋼であり、水平片6Fには両端6Sから40mmの位置に幅12mm、長さ30mmの前後方向長孔H6の一対を穿設し、垂直片6W中央部には、径10mmのアンカーボルト7aを位置調整可能に締着するための、径20mmのボルト挿入用の孔H60を穿設する。
外壁のパネル上下接続部、及び外壁の上端に採用するものである。
図3(B)は、中間一次ファスナー7の斜視図であり、図4(A)は上面図、図4(B)は側面図、図4(C)は背面図である。
該中間一次ファスナー7は、下端一次ファスナー6同等の長さL7(210mm)、厚さ6mm、幅W7(65mm)の等辺山形鋼であって、下端一次ファスナー6と同等の前後方向長孔H7の一対を配置し、更に、図4の如く、水平片7Fの各長孔H7の下面には自在ナット金具8を配置する。
片面二次ファスナー10は、水平片10Fの片面でのみ、パネル条溝aを係止するものであり、パネル外壁の最下端では突出片12aを上面にし、最上端では突出片12aを下面にして使用するものである。
図5(A)に示す如く、片面二次ファスナー10は、厚さが6mm、幅(W10)が65mm、長さL10が80mmの平鋼の水平片10Fに、中央部で後端10eより17mmの位置に、幅が12mm、長さが30mmの左右方向長孔H10を穿設し、水平片10Fの前端下面中央部には、セメント板の台形条溝a1に嵌合させるための、鋼製の2.3mm厚で高さh12が30mm、長さL12が30mm、幅W12が12mmの頂面視台形状で、前面を面板12Pで閉塞した箱形状の突出片12aを溶接一体化する。
この場合、突出片12a基端周囲に溶接による盛り上がり肉が発生しないように、突出片12aの基板に溶接用孔を穿設して水平片10F下面と溶接する。
両面二次ファスナー21は、パネルセメント板Paの条溝aへの嵌入用突出片を上下両面に備え、上下パネル接続部d4で中間一次ファスナー7と共に用いるものであり、片面二次ファスナー10に於て、突出片12aと同一の付加突出片12bを、突出片12aと反対面の同一位置に配置したものである。
そして、両面二次ファスナー21は、パネルPの上下接続部に配置するため、付加突出片12bは、図5(B)の如く、水平片21F上に、パネル上下接続部d4高さh21形成用の前面板21h及び台板21aを備えたアングル鋼材L形片を、両側の補強片21cを介して強固に溶接固定し、該L形片の水平部の台板21a上に付加突出片12bを溶接固定する。
図7(A)は腰水切2の斜視図であり、図7(B)は腰水切2の(A)図B−B線断面図であり、図7(C)は前部取付板15の斜視図であり、図7(D)は後部取付板16の斜視図であり、図7(E)は化粧板17の斜視図である。
図7(A),(B)に示す如く、腰水切2は、長尺物(標準:4,000mm)であって、断面形状は、高さh2´が15mmの立上り板2Bと幅W2´が32mmで勾配高さ5mmの傾斜天板2Uと、高さh2が15mmの立下り板2Wと、立下り板2Wの下端に5mmの水切片2Cを残した位置から後方に、幅W2が95mmの底板2Dを備えたものであり、底板2Dには、長さ方向50mm間隔で前後一対の空気孔H2を穿設する。
後部取付板16は、1.6mm厚の鋼板の山形折曲材であって、水平辺16Fの幅W16が40mmで、垂直片16Wの高さh16が20mmであり、アンカーボルト6aの各締着座金6bに干渉しないサイズの短尺物とする。
また、一次ファスナー6の垂直片6Fを隠蔽するための化粧板17は、1.5mm厚の山形状のアルミ押出成形品であり、水平片17Fの幅W17が40mmで、垂直片17Wの高さh17が30mmである。
笠木金具は、笠木3と、笠木取付用のブラケット4とから成り、図8(A)は笠木3の斜視図であり、図8(B)は図8(A)のB−B断面図であり、図8(C)はブラケット4の斜視図である。
笠木3は、外壁上端の複合パネルPの上端辺Ptの上部に配置して、屋上パラペットや屋上床のコンクリート躯体の防水層端部を処理すると共に、外壁と屋上との見切りの効用、及び外壁パネルPの通気層aからの空気流出を保証するものである。
また、ブラケット4は、3mm厚のアルミ製の板金屈曲片であって、図8(C)の如く、上段水平片4Uの長さLuが23mm、垂直片4Wの高さh4が25mm、底板4Dの長さLdが52mm、幅W4が40mmの直角屈曲形態物である。
本発明を、乾式被覆改修外断熱構工法に適用する。
〔外壁下部の構築(図1、図9)〕
外壁下端でのパネル取付けには下端一次ファスナー6と片面二次ファスナー10とを用いる。
まず、既存建築物のコンクリート躯体Cwに基準墨によりマーク付けし、コンクリート躯体のパネル側端の対応位置に径10.5mmの孔を穿孔し、径10mmのあと施工アンカーボルト7a(サンコーテクノ(株)商品名:オールアンカー、岡部建材(株)商品名:ネールアンカー等)を挿入し、あと施工アンカーボルト7aの径中央の芯棒をハンマーで打込んで、あと施工アンカーボルト先端がコンクリート内で開いた状態とし、アンカーボルト7a1本当り890kgfの引張荷重強度を付与する。
この場合、該一次ファスナーの孔H60は径が20mmであり、アンカーボルト径が10mmであるので、アンカーボルト7aと下端一次ファスナー6とを、上下左右の必要位置調整の下に強固に締着する。
次いで、固定された1個の下端一次ファスナー6の水平片6F上に2個の片面二次ファスナー水平片10Fを突出片12aを上方へ突出させた形態で載置し、各片面二次ファスナー10のボルト挿入用孔H10を下端一次ファスナー6のボルト挿入用孔H6と重ねて、径10mmのボルト13aを座金を介して挿通し、各二次ファスナー10を前後方向長孔H6、左右方向長孔H10によって位置調整して下方の座金14bを介したナット14aによって強固に締着する。
尚、パネル断熱層Pbの下端には、ボルト13a及び座金13bを嵌入させるための凹部(図示せず)を予め形成しておく。
また、化粧板垂直片17Wと、コンクリート躯体前面Scとの隙間G2には、バックアップ材19´を介してシーリング19を施す。
また、腰水切2の立上り板2B前面に於て、パネルセメント板Pa下端と腰水切傾斜天板2Uとの間にも、バックアップ材19´を介してシーリング19を施す。
また、下方断熱複合パネルPの上端と上方断熱複合パネルPの下端との連結は、図4に示す如き、水平片7F下面に、ナット摺動用の自在ナット金具8を備えた中間一次ファスナー7と、水平片21の上下に突出片12a,12bを、且つ、上方突出片12bは接続目地d4形成用の支持台21a上に配置した両面二次ファスナー21とを用い、中間一次ファスナー7をアンカーボルト7aでコンクリート躯体Cwの前面Scに締着し、両面二次ファスナー21の下方突出片12aを下方のパネルの条溝a1の上端に係止した後、該二次ファスナー21の左右長孔H21と該一次ファスナー7の前後長孔H7とを介して両面二次ファスナー21を中間一次ファスナー7に位置調整して固定し、次いで、上側パネルPの下端の条溝a1を二次ファスナー21の上方突出片12bに係止すれば、上下パネル接合が達成出来る。
ゲル状ウレタンは、空気にさらされると即発泡するため、界面隙間as内への流下は支障ない程度である。
そして、接続部d4には、上下パネル条溝a1間に、両側板20S及び仕切板20Wを備えたバッカー20(宇部日東化学(株)商品名:ダンプレート)を、ゲル状ウレタン注入後に介装し、前面にバックアップ材19´を介してシーリング19で目地を閉塞する。
外壁上端でのパネル取付けには、中間一次ファスナー7と片面二次ファスナー10とを用いる。
図11(A)に示す如く、アンカーボルト7aをコンクリート躯体Cwに打込み、下面に自在ナット金具8を備えた中間一次ファスナー7の垂直片7Wのボルト挿入用孔H70(孔径:20mm)を、外径10mmのアンカーボルト7aの突出部に嵌合し、中間一次ファスナー7の位置を微調整して径12mmのボルト用孔を有する座金7bを介してナット7cを強固に締着する。
次いで、図11(A)、図12(A)に示す如く、一次ファスナー水平片7F上の両側の二次ファスナー10間には、所定位置にブラケット4の底板4Dをドリルスクリュー(サンコーテクノ(株)商品名)等のねじ26aで一次ファスナー水平片7Fに締着し、ブラケット4を各パネル間隔で配置する。
この場合、界面隙間asの大な部所は、必要に応じてバックアップ材19´を充填してルーフコーティング9cを施工する。
また、必要に応じて、セメント板Paを、ねじ26によって二次ファスナー突出片12bの面板12Pに止着する。
この場合、既存防水層9a上が不陸であれば、必要に応じて底板3Dと防水層9a間にパッキンを介在する。
また、笠木底板3D上には新規防水層9bを立上り片3Bと当接形態で張設し、防水層9bと天端水平板3Uの下面との間にはシーリング19を施す。
この場合、各パネルPの左右両側面は、図2(B)の如く、セメント板Paに対して断熱層Pbが一側PLではd1(10mm)入り込み、他側PRではd2(20mm)突出しているため、パネル左右接続部d3では、図12(C)の如く、両側パネルの断熱層Pb当接界面Bbがセメント板Pa面で閉止出来、且つ、目地d3にバックアップ材19´を介してシーリング19を充填することにより、目地d3→断熱層Pb→コンクリート躯体への空気の流入が完全に防止出来、パネルPの接続部d3での断熱機能低下が抑制出来る。
そして、上下接続部d4では、下方パネル条溝aから上方パネル条溝aへの空気流通が可能であるため、断熱複合パネルPを張設した外壁は、下端の腰水切2から上端の笠木3を介した外方への空気流通Afが保証される。
図6(A)の二次ファスナー10´は片面二次ファスナー10の変形タイプであり、図6(B)の二次ファスナー21´は両面二次ファスナー21の変形タイプである。
即ち、水平片10F´,21F´を寸法L10´,L20´のみ、一次ファスナー6,7の長さ寸法L6,L7と同一又は近似寸法とし、1枚の水平片10F´,21F´に左右一対の突出片を配置したものである。
該変形例の二次ファスナー10´,21´は、コンクリート躯体表面Scの不陸の少ない建物の改修に採用すれば、作業性良くパネル張設が出来る。
また、セメント板の条溝aを全て均一断面の矩形としておき、側端の二次ファスナー突出片を嵌入する条溝aにのみ、上下端でリブR間を鉄片で閉止すれば、嵌入係合用の二次ファスナーの突出片12a,12bも断面矩形と出来、セメントパネルPaの成形も、二次ファスナー10,21の突出片製作も合理化出来る。
従って、本発明は、特に、コンクリート建築物の改修に極めて有利な、実用性の高い発明である。
2B 立上り板
2C 水切片
2D 底板
2U 傾斜天板
2W 立下り板
3 笠木
3B 立上り片
3D,4D 底板(下段水平板)
3F 立下り板
3F´ アンカー片
3G,8G 係合溝
3M,3M´ 突起
3U 天端水平板
4 ブラケット
4U 上段水平片(水平片)
6 下端一次ファスナー(一次ファスナー)
7 中間一次ファスナー(一次ファスナー)
7a アンカーボルト(あと施工アンカーボルト)
7b,8B,13b,14b 座金
7c,8A,14a ナット
6F,7F,10F,10F´,15F,16F,17F,21F,21F´ 水平片
7S,10S,21S 側端
4W,6W,7W,15W,16W,17W 垂直片
8 自在ナット金具
8E 底板
8M 突起片
8S 側板
9 現場発泡断熱材
9a 既存防水層
9b 防水層(新規防水層)
9c ルーフコーティング
10,10´ 片面二次ファスナー(二次ファスナー)
21,21´ 両面二次ファスナー(二次ファスナー)
12a 突出片
12b 付加突出片(突出片)
12P 面板
13a ボルト
15 前部取付板
16 後部取付板
17 化粧板
18 石綿セメント板(板材)
19 シーリング
19´ バックアップ材
20 バッカー
20S 側板
20W 仕切板
21a 台板
21b 前面板
21c 補強片
24 あと施工アンカー
26,26a,26b,S ねじ
a,a1,a2 条溝(通気層)
as 界面隙間(密閉空気層)
Af 空気流通(空気流)
Bb 当接界面(断熱層界面)
C1,C2 切欠
Cw コンクリート躯体
d1,d2 段差
d3,d4 接続部(接続目地、目地)
Fc コンクリート躯体上端面(上端面)
H2 空気孔
H6,H7 長孔(ボルト挿入用孔)
H60,H70 ボルト挿入用孔(ボルト孔)
P 断熱複合パネル(パネル)
Pa セメント板
Pb 断熱層(断熱板、断熱材)
PL 左端面
PR 右端面
Pt 上端面
R(R1,R2) リブ
Sc 前面(コンクリート躯体前面)
Claims (15)
- 内面に条溝(a)を上下方向に並設したセメント板(Pa)と断熱層(Pb)とを層着した密着層型の断熱複合パネル(P)と、各水平片と垂直片のアングル形態の、下端一次ファスナー(6)及び中間一次ファスナー(7)と、各水平片形態の片面に突出片(12a)を備えた片面二次ファスナー(10)及び両面に突出片(12a,12b)を備えた両面二次ファスナー(21)とを含み、各一次ファスナー(6,7)は、垂直片をコンクリート躯体(Cw)の前面(Sc)に固定し、片面二次ファスナー(10)は外壁の下端又は上端で、両面二次ファスナー(21)は外壁の上下のパネル接続部(d4)で、断熱複合パネル(P)端面のセメント板の条溝(a)に突出片(12a,12b)を介して係止すると共に、各二次ファスナー(10,21)の水平片(10F,10F´,21F)を各一次ファスナー(6,7)の水平片(6F,7F)に前後左右位置調整して止着し、該パネル断熱層(Pb)とコンクリート躯体前面(Sc)との界面隙間(as)を閉塞して空気流通を阻止すると共に、該パネル(P)内の条溝(a)群の外壁下端から上端までの空気流通(Af)を保証した、コンクリート建物の通気性外断熱外壁。
- 断熱複合パネル(P)は、セメント板(Pa)が少なくとも両側端に断面台形の条溝(a1)を含む上下方向条溝(a1,a2)群を備え、断熱層(Pb)が各条溝(a1,a2)面上に成形発泡断熱材を積層一体化した、請求項1の通気性外断熱外壁。
- 断熱複合パネル(P)の断熱層(Pb)には、上端及び内表面上部の全幅に亘って、切欠(C1)を一次ファスナーの水平片板厚に対応して配置すると共に、該パネル(P)両端部では、該切欠(C1)上に、更に二次ファスナー止着用の切欠(C2)を配置した、請求項1又は2の通気性外断熱外壁。
- 各一次ファスナー(6,7)は、水平片(6F,7F)に長孔(H6,H7)を、垂直片(6W,7W)にボルト挿入用孔(H60,H70)を有するアングル鋼材であって、コンクリート躯体前面(Sc)に打込んだアンカーボルト(7a)に対し、垂直片(6W,7W)に配置したアンカーボルト(7a)の径より大径のボルト挿入用孔(H60,H70)を介してアンカーボルト(7a)に位置調整の下でボルト締着した、請求項1乃至3のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 中間一次ファスナー(7)の水平片(7F)が、長孔(H7)の下面に自在ナット金具(8)を備え、自在ナット金具(8)内には、ナット(8A)を固定した座金(8B)を摺動自在、且つ、共回り不能に保持した、請求項4の通気性外断熱外壁。
- 片面二次ファスナー(10)は、長孔(H10)を有する水平片(10F)の前端片面に断面台形の突出片(12a)を突出し、外壁下端、又は上端で、断熱複合パネル(P)の断面台形の条溝(a1)に突出片(12a)を係止した、請求項1乃至5のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 両面二次ファスナー(21)は、長孔(H21)を有する水平片(21F)の前端上下面に断面台形の突出片(12a,12b)を突出し、上下パネル間に配置して、上方及び下方の断熱複合パネル(P)の断面台形の条溝(a1)に上下面の突出片(12a,12b)を係止した、請求項1乃至6のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 上方の突出片(12b)は、水平片(21F)上に配置した目地用の台板(21a)上に突出配置した請求項7の通気性外断熱外壁。
- 各一次ファスナー(6,7)が、水平片(6F,7F)に前後方向の長孔(H6,H7)を備え、各二次ファスナー(10,21)が、水平片(10F,21F)に左右方向の長孔(H10,H21)を備え、前後方向長孔(H6,H7)と左右方向長孔(H10,H21)を介して二次ファスナー(10,21)を一次ファスナー(6,7)上に位置調整してボルト締着した、請求項1乃至8のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 各長孔(H6,H7)を左右に設けた、各一次ファスナー(6,7)を断熱複合パネル(P)の左右接続部(d3)に配置し、各長孔(H6,H7)に個々に対応した、各二次ファスナー(10,21)の2個を1個の一次ファスナー(6,7)上の左右に配置した、請求項1乃至9のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 外壁下端では、下端一次ファスナー(6)の水平片(6F)上面と、断熱複合パネル(P)の断熱層(Pb)下面との隙間(G1)に、隙間追従シート(23)をコンクリート躯体前面(Sc)に当接形態で配置した、請求項1乃至10のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- パネル(P)の上下接続部(d4)では、上下パネルの、断熱層(Pb)間には条溝(a)を閉止しないように、現場発泡断熱材(9)を充填すると共に、セメント板(Pa)間には、シーリング19を付与した請求項1乃至11のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 外壁下端では、底板(2D)に空気孔(H2)を備えた腰水切(2)を、前部上方は前部取付板(15)を介して二次ファスナー下面に止着し、後部は底板(2D)後端を後部取付板(16)を介して一次ファスナー垂直片(6W)に止着し、空気孔(H2)からセメント板条溝(a)内へ空気流入可能とした請求項1乃至12のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 外壁上端では、アングル形態の笠木(3)の前部を、パネル(P)の上端部に止着したブラケット(4)で係止し、該笠木(3)の後部をコンクリート躯体上端面(Fc)に止着し、コンクリート躯体上端面の防水層(9a)前端からパネル上端面に亘ってルーフコーティング(9c)を配置した、請求項1乃至13のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
- 断熱複合パネル(P)の左右接続部(d3)では、断熱層(Pb)相互の当接界面(Bb)をセメント板(Pa)面上とし、セメント板(Pa)間の接続部(d3)間隔に目地シーリングした、請求項1乃至14のいずれか1項の通気性外断熱外壁。
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