JP3753292B2 - 光重合性組成物及び感光性平版印刷版 - Google Patents

光重合性組成物及び感光性平版印刷版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版、配線板用銅エッチングレジスト、グラビア用銅エッチングレジスト、ドライフィルム、カラーフィルター及びプラズマディスプレイ用顔料分散レジストなど各種のパターン形成に好適に使用可能な光重合性組成物に関するものであり、特に高感度な光重合性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光重合系を利用した画像形成方法は多数知られている。例えば、付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物と光重合開始系、さらに所望により用いられる有機高分子結合材等からなる光重合性組成物を支持体上に塗布して光重合性組成物の層を設けた感光材料を、露光して露光部分を重合硬化させ未露光部分を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法、少なくとも一方が透明である二枚の支持体間に光重合性組成物の層を設け、透明支持体側より露光し光による接着強度の変化を起こさせ、支持体を剥離することにより画像を形成する方法、その他光重合性組成物層の光によるトナー付着性の変化を利用した画像作成方法などがある。
【0003】
近年、光重合性感光材料を用いた高感度感材が種々の応用分野において検討されている。これらのうち、実用化が近いとみられるシステムとしてレーザー直接製版があり、レーザーの発振波長、例えばアルゴンイオンレーザーの488nm、FD−YAGレーザーの532nmの光での露光に対応した高感度フォトポリマー系の開発が望まれ種々提案されている。
【0004】
これらにおいて最も大きな課題は、光線に対する感材感度の向上である。
通常、光重合開始系の活性ラジカル発生能力は、450nm以上の光線に対しては急激に感応性が減少することが良く知られている。
可視光領域の光線に感応し得る光重合開始系を含有する光重合組成物に関しては、従来、種々の提案がなされてきた。この内、FD−YAGレーザー周辺の波長に非常に高感度でFD−YAGレーザー用の増感剤として特に有効なのがピロメテン錯体増感剤とラジカル発生剤の系である(特開平7−5685号、同4−241338、同6−072184、同6−141588、同6−211271、同7−22547、同8−062618、同8−333455、同9−089572号公報等)。
【0005】
また、光重合開始系としてラジカル発生剤と増感剤を併用することは良く知られており、チタノセン類とジエチルアミノ安息香酸エチル等の芳香族アミノ酸エステルを含有する系が特開平6−301208号公報等に記載されている。更に、特表9−503871号公報、特開平8−254821号公報、特開平5−132507号公報等には、チタノセン類とN−フェニルグリシンもしくはその特定構造の誘導体を含有する系が、また、特開平10−246954号公報にはチタノセン類、メロシアニン色素又はベンゾピラン色素とN−フェニルグリシン塩等のアミノ酸塩とを含有する光重合性組成物が記載されている。
【0006】
しかしこれらの光重合性組成物は何れも可視光の領域迄その感光波長域を有するが、感度が充分ではなく、例えば、低出力のアルゴンレーザーやFD−YAGレーザーにより高速度に画像記録する場合には、更に高感度の組成物とする必要があった。又、N−フェニルグリシンを用いる場合は臭気が問題となった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑み成されたものであって、現像性が良好で、臭気等の取り扱い上の問題がなく、且つ、高感度の光重合性組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意検討を行い、光重合開始系としてのラジカル活性剤、脂肪族アミノ酸塩及び特定構造の色素を組み合わせて使用した場合、感度が大幅に向上し、且つ、乾燥時の臭気も抑えられることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物、ラジカル活性剤、増感色素及び脂肪族アミノ酸塩を含有する光重合性組成物であって、増感色素としてピロメテンボレート系色素を含有することを特徴とする光重合性組成物に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の光重合性組成物において第一の必須成分として含まれる少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物(以下「エチレン性単量体」と略記する。)とは、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合、光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性不飽和二重結合を有する単量体である。なお、本発明における単量体の意味するところは、いわゆる高分子体に相対する概念であって、従って、狭義の単量体以外にも二量体、三量体、オリゴマーをも包含するものである。
【0010】
エチレン性単量体としては、例えば不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
【0011】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル〜」等は「アクリロイル〜またはメタクリロイル〜」等を意味する。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルは、特に限定されるものではないが、例えばエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロトネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0012】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0013】
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物である必要はない。代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0014】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性単量体としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0015】
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ジエポキシ化合物とヒドロキシエチルアクリレートとの付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
【0016】
これらのエチレン性単量体の配合率は、通常、光重合性組成物の全固形分の10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。
本発明に用いられる付加重合可能なエチレン性単量体としては、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物を含有するのが、感光性平版印刷版に使用した時の耐刷性、非画線部の抜け性の点で特に有用である。特に限定はされないが、具体的には例えば下記一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0017】
【化4】
Figure 0003753292
【0018】
(一般式(I)、(II)中、R、R′は水素原子又はメチル基を表し、lは1〜25の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。)
一般式(I)、(II)で表される化合物の内、lが1〜10であるものが特に耐刷力及び非画線部の抜け性を改善する点で好ましい。一般式(I)、(II)で表される化合物の内、特に好ましい化合物の具体例としては、メタクリルオキシエチルフォスフェート、ビス(メタクリルオキシエチル)フォスフェート、メタクリルオキシエチレングリコールフォスフェート等が挙げられる。
【0019】
本発明で使用するリン酸エステル化合物は単独でも、複数の化合物の混合物でも良い。
該リン酸エステル化合物の含有割合は、エチレン性単量体合計に対して1〜50重量%が好ましい。
本発明の第2の必須成分であるラジカル活性剤としては、前記エチレン性単量体の重合を開始させ得るものであれば全て使用できる。特にその内でも可視領域の光線に対して感光性を有するものであれば、いずれも好適に使用し得る。このうち、光励起された増感剤と何らかの作用を及ぼしあうことにより活性ラジカルを生成する活性剤としては、例えば、チタノセン類、ヘキサアリールビイミダゾール類、ハロゲン化炭化水素誘導体、ジアリールヨードニウム塩、有機過酸化物等を挙げることができる。特にチタノセン類と一般式(I)の化合物を組み合わせた光重合性組成物が、感度、保存性、塗膜の基盤への密着性等が特に良好で好ましい。
【0020】
チタノセン類としては、種々のものを用いることができるが、例えば特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されているチタンを中心金属とする錯体である各種チタノセン類から適宜選んで用いることができる。具体的には、下記一般式(A)で表されるチタノセン化合物が好ましい。
【0021】
【化5】
Figure 0003753292
【0022】
(式中、R21〜R30はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基または複素環基を表す。)
更に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。これらは、二種以上を併用して用いても良い。
【0023】
その他ラジカル活性剤として例えば、ヘキサアリールビイミダゾール類も好適に用いられる。ヘキサアリールビイミダゾール類としては、種々のものを用いることができるが、例えば、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−クロルナフチル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−クロルフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−クロル−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジブロムフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール類等のベンゼン環上にハロゲン置換基を有するヘキサアリールビイミダゾール類が好ましい。
【0024】
これらのヘキサアリールビイミダゾール類は、必要に応じ、他種のビイミダゾールと併用して使用することもできる。ビイミダゾール類は例えばBull.Chem.Soc.Japan.33,565(1960)及びJ.Org.Chem.36[16]2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
本発明は増感色素として、ピロメテンボレート系色素を使用することが重要である。ピロメテンボレート系色素として、好ましくは、下記一般式(1)で示される構造のものが好ましい。
【0025】
【化6】
Figure 0003753292
【0026】
{式中、R1 〜R6 は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、芳香族複素環基又は−SO3 −R8 基(R8 は水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルカリ金属原子又はオニウムイオンを表す。)を表す。R7 は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、X1 、X2 はそれぞれハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基を表す。R1 〜R8 で示される基の水素原子はさらに置換されていても良い。}
【0027】
一般式(1)のR1 〜R8 において、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨード原子が挙げられる。アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル等の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜6の、直鎖もしくは分岐鎖又は環状のアルキル基である。アリール基としては、フェニル、ナフチル等の1〜2環の基が好ましい。アラルキル基としては、アルキル部分の炭素数が1〜10であることが好ましく、例えばベンジル、フェネチル等が挙げられる。アシル基としては、例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル等の炭素鎖側の炭素数が1〜3のアシル基が好ましい。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等の炭素数が1〜3のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基が好ましい。芳香族複素環基としては、例えばピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル等のヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5〜6員環が好ましい。これらの基は更に、置換されていても良く、置換基としては炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。又R8 がアルカリ金属原子を表す場合、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、オニウムイオンとしては、アンモニウムイオン、置換アンモニウムイオン、ヨードニウムイオン、置換ヨードニウムイオン等が好ましい。
【0028】
1 、X2 として特に好ましくはハロゲン原子である。又R1 〜R6 としては水素原子、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、特に、R1 、R3 、R4 、R6 が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基で、R2 、R5 、R7 が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。これらのアルキル基は分岐鎖を有していても良く、又置換されていても良い。
【0029】
一般式(1)で示されるピロメテンボレート系色素は、例えば、米国特許4774339号、あるいはJ.H.Boyer et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,5,389(1990)に記載の方法により合成される。
本発明に使用されるピロメテンボレート系色素からなる増感剤の代表例を以下の第1表に示すが、本発明の増感剤は、以下の例に限定されるものではない。
【0030】
【表1】
Figure 0003753292
【0031】
これらの増感剤は1種又は2種以上併用して使用される。
光重合開始系の第3成分である脂肪族アミノ酸塩及びその縮合体は、本発明の光重合性組成物中に添加することにより感応感度を高める機能を有する。本機能を発現させる機構については明らかではないが、光重合過程において、ラジカル連鎖移動剤、酸素又は酸素がラジカルと付加反応して生成される過酸化ラジカルのトラップ剤、或いは画像露光後の現像過程において、未露光部分のアルカリ現像液に対する溶解性促進剤として働き、その結果として高い感度を示すものと考えられる。
【0032】
本発明で使用される脂肪族アミノ酸塩とは、カルボキシル基の炭素原子とアミノ基の窒素原子とが、主鎖の炭素数が1以上のアルキレン鎖を介して結合した骨格を有する酸性、塩基性、または中性のアミノ酸のカルボン酸と、一価又は多価の陽イオンとで形成される塩であり、該脂肪族アミノ酸塩の水素原子が他の基で置換されているもの、またはそれらが直接あるいは連結基を介して縮合したものを包含する。
【0033】
又、該脂肪族のアミノ酸塩の陰イオンと陽イオンとしては、一価、多価いずれも用いることができる。以下に、陰イオン、陽イオンの好ましい形態について別々に述べるが、実際の化合物はそれらの組み合わせである。又、その組み合わせは、全体の価数が0になるものであれば、それらの種類、数は任意に選ぶことができる。
脂肪族アミノ酸陰イオンの好ましい構造は、下記一般式(2)で表されるものである。
【0034】
【化7】
Figure 0003753292
【0035】
(式中、mは、1〜10の数を表し、R9 〜R12は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基を表す。これらの基は更に置換されていても良い。mが2以上の時、複数のR11及びR12は同じでも異なっていても良い。)
一般式(2)において、特に好ましくは、R9 が置換基を有していても良いフェニル基、置換基を有していても良いナフチル基、置換基を有していても良い炭素数1〜15のアルキル基の場合である。
さらに好ましいR9 は、下記一般式(3)で表される。
【0036】
【化8】
Figure 0003753292
【0037】
(式中、R13〜R17はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、アルケニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイル基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ホルミル基、アルキルカルボニルオキシ基、ニトロ基、スルホ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アミノ基、アミド基を表わす。これらの基は更に置換されていても良い。)
【0038】
一般式(2)及び(3)においてR9 〜R17で表される、置換基を有していても良い各々の基における置換基として好ましいものは、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリル基、ビニル基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基であり、これらの基もまた置換基を有することができる。
【0039】
特に好ましいR10としては、水素原子、置換基を有していても良い炭素数が1〜15のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数5〜15のアリール基が挙げられる。それらの置換基としては、水酸基、カルボキシル基、−COO- 基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。より好ましくは、水素原子又は上記置換基を有していても良い炭素数が1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0040】
特に好ましいR11、R12としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等が挙げられるが、その中でも特に水素原子が好ましい。
又、一般式(2)で示される化合物の縮合物としては、一般式(2)で示される複数の化合物がR10〜R17の位置において直接又は結合基を介して結合した化合物であり、通常2〜5量体が挙げられる。結合基としては2価以上のものであれば特に限定されないが、例えば
【0041】
【化9】
Figure 0003753292
【0042】
−S−、−O−、−SO2 −、−O−(CH2 q −O−(q=1〜5)、−CO−、−C(CH3 2 −、−C(CF3 2 −等が挙げられる。
脂肪族アミノ酸塩を構成する陽イオンとしては、一価、多価いずれも用いることができるが、好ましくは一価のイオンである。一価の陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、またはアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン等のオニウムイオンが挙げられ、多価の陽イオンとしては、アルカリ土類金属イオン(二価)、または、前述のオニウムイオンがn個、炭化水素基を介して結合して形成されるn価の陽イオンである。
次に、本発明に用いられる脂肪族アミノ酸塩およびその縮合誘導体の具体例を下記第2表に示すが、本発明に使用される脂肪族アミノ酸塩およびその誘導体はこれら具体例に限定されるものではない。
【0043】
【表2】
Figure 0003753292
【0044】
【表3】
Figure 0003753292
【0045】
これらの脂肪族アミノ酸塩又はその縮合重合体は二種以上併用しても良い。本発明組成物に好ましく用いられる脂肪族アミノ酸塩は一般式(2)で示される陰イオン(特にR9 が一般式(3)で示されるものが好ましい。)と一価の陽イオンからなる塩である。
【0046】
更に、本発明で用いる光重合開始系は必要に応じて2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキル安息香酸アルキルエステル等の水素供与性化合物を加えることによって更に光重合開始能力を高めることができる。このうち特に好ましいのは、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のメルカプト基を有する化合物や、N,N−ジアルキル安息香酸アルキルエステルである。
【0047】
本発明の光重合性組成物は、前記の必須構成成分の他に、本組成物の改質、光硬化後の物性改善の為に、結合剤として有機高分子物質を添加することが好ましい。結合剤は、相溶性、皮膜形成性、現像性、接着性等の改善目的に応じて適宜選択すればよい。
有機高分子結合材の具体的な例としては例えば下記の化合物が挙げられる。
【0048】
1)ポリオレフィン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等
2)ジエン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン等
3)共役ポリエン構造を有するポリマー;ポリアセチレン系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー等
4)ビニルポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルフェノール等
【0049】
5)ポリエーテル;ポリフェニレンエーテル、ポリオキシラン、ポリオキセタン、ポリテトラヒドロフラン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール等
6)フェノール樹脂;ノボラック樹脂、レゾール樹脂等
7)ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート、ポリフェノールフタレインテレフタレート、ポリカーボネート、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等
【0050】
8)ポリアミド;ナイロン−6、ナイロン66、水溶性ナイロン、ポリフェニレンアミド等
9)ポリペプチド;ゼラチン、カゼイン等
10)エポキシ樹脂およびその変性物;ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシアクリレートおよび酸無水物による変性樹脂等
11)その他;ポリウレタン、ポリイミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミダゾール、ポリオキサゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリスルフィド、ポリスルホン、セルロース類等
【0051】
これらの樹脂の中では樹脂側鎖または主鎖にカルボキシル基あるいはフェノール性水酸基等を有する樹脂を含有すると、光重合性組成物がアルカリ現像可能なため、公害防止の観点から好ましい。特にカルボキシル基を有する樹脂、例えば、アクリル酸(共)重合体、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ノボラックエポキシアクリレートの酸無水物変性樹脂等は高アルカリ現像性なので好ましい。
【0052】
さらに、アクリル系樹脂は現像性に優れているので好ましく、様々なモノマーを選択して種々の共重合体を得ることが可能なため、性能および製造制御の観点からより好ましい。
具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独もしくは共重合体、その他、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、またはポリビニルブチラール等が挙げられる。高分子結合剤としては、アルカリ性現像液に対する溶解性の点で分子内にカルボキシル基を有する高分子結合材が好ましく、中でも(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一種と(メタ)アクリル酸を共重合成分として含有する共重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルのエステルを構成する基としては、特に限定されないが、C1 〜C16程度の脂肪族又は芳香族炭化水素基が一般的である。分子内にカルボキシル基を有する高分子結合材の好ましい酸価の値は10〜250であり、好ましい重量平均分子量(以下Mwと略す)は5千から100万である。
【0053】
これらの高分子結合材は、側鎖に不飽和結合を有する事が望ましく、特に下記一般式(4)〜(6)で示される少なくとも1種の不飽和結合を有することが好ましい。
【0054】
【化10】
Figure 0003753292
【0055】
(式中、R30は水素原子又はメチル基を示す。また、R31〜R35は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を示し、Zは酸素原子、硫黄原子、イミノ基、又はアルキルイミノ基を示す。)
【0056】
このような高分子結合材は樹脂側鎖に二重結合を付与することにより光硬化性が高まるため、解像性、密着性をさらに向上させることができ好ましい。エチレン性二重結合を導入する合成手段として、例えば、特公昭50−34443、特公昭50−34444等に記載の方法等が挙げられる。具体的には、カルボキシル基や水酸基にグリシジル基、エポキシシクロヘキシル基および(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物やアクリル酸クロライド等を反応させる方法が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アリルクロライド等の化合物を使用し、カルボキシル基や水酸基を有する樹脂に反応させることにより側鎖に重合基を有する樹脂を得ることができる。特に、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートのような脂環式エポキシ化合物を反応させた樹脂が好ましい。
【0057】
以上、本発明の光重合性組成物の主要構成成分について詳述してきたが、それ等の好適な使用比率は重合可能なエチレン性単量体100重量部に対して光重合開始剤の内、前記ピロメテン系増感剤が、好ましくは0.01〜20重量部、特に好ましいのは0.5〜10重量部、更に好ましくは0.5〜8重量部、脂肪族アミノ酸塩又はその縮合物は、好ましくは0.1〜80重量部、特に好ましくは0.5〜60重量部、更に好ましくは1〜30重量部である。ラジカル活性剤は好ましくは0.1〜80重量部、特に好ましいのは0.5〜60重量部、更に好ましくは1〜30重量部である。また高分子結合材は、好ましくは10〜400重量部、特に好ましくは20〜200重量部、更に好ましくは50〜200重量部の範囲である。
【0058】
更に、例えばラジカル活性剤10重量部に対し、ピロメテン系増感剤の好ましい量は0.1〜10重量部、より好ましいのは0.5〜8重量部であり、脂肪族アミノ酸塩またはその縮合誘導体の好ましい量は0.5〜60重量部、更に好ましくは1〜30重量部である。
【0059】
本発明の光重合性組成物は前記の各成分の他に、その目的に応じて更に他の物質を含有することができる。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の熱重合防止剤;有機又は無機の染顔料からなる着色剤;ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤、三級アミンやチオールのような感度特性改善剤、その他色素前駆体等の添加剤も加えることができる。
【0060】
また、本発明の光重合性組成物は、塗布性改良剤として界面活性剤を含有することが出来る。その中でも特に好ましいのはフッ素系界面活性剤である。
以上述べた添加剤の好ましい添加量は、エチレン性単量体100重量部に対して熱重合防止剤は2重量部以下、着色剤は20重量部以下、可塑剤は40重量部以下、色素前駆体は30重量部以下、界面活性剤は10重量部以下の範囲である。
【0061】
以上述べた光重合性組成物は、適当な溶媒で希釈して、支持体上に塗布・乾燥し感光層を形成することにより、画像形成材料となる。画像形成材料が、感光性平版印刷版の場合、支持体として表面を粗面化した後、陽極酸化処理したアルミニウム支持体が好適に使用し得る。粗面化の方法としては、一般に公知のブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング法、化学エッチング法、液体ホーニング法、サンドブラスト法等の方法及びこれらの組み合わせが挙げられ、好ましくはブラシ研磨法、ボール研磨法、電解エッチング法、化学エッチング法、液体ホーニング法が挙げられる。更に粗面化処理が施されたアルミニウム板は、必要に応じて酸またはアルカリ水溶液にてデスマット処理される。こうして得られたアルミニウム板は、通常、陽極酸化処理されるが、特に好ましくは、硫酸を含む電解液で処理する方法が挙げられる。硫酸を含む電解液で陽極酸化する方法は、従来公知の方法、例えば特開昭58−213894号公報に記載の方法等に準じて行われる。具体的には、例えば硫酸濃度5〜50重量%、好ましくは15〜30%の硫酸が用いられ、温度は5〜50℃程度、好ましくは15〜35℃であり、電流密度1〜60A/dm2 で5秒〜60秒間程度で行なわれる。また、更に必要に応じて珪酸ソーダ等の珪酸アルカリや熱水による処理、その他カチオン性4級アンモニウム基を有する樹脂やポリビニルホスホン酸等の水性高分子化合物を含有する水溶液への浸漬等による表面処理を行うことができる。
【0062】
感光性組成物の塗布方法としては、ディップコート、コーティングロッド、スピナーコート、スプレーコート、ロールコート等の周知の方法により塗布することが可能である。
更に、前述の感光層の上には、酸素による重合禁止作用を防止するために酸素遮断層を設けることができる。その具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、セルロース等の水溶性高分子が挙げられる。この内、特に酸素ガスバリア性の高いポリビニルアルコールを含むものが好ましい。
【0063】
本発明の組成物に適用し得る露光光源としては、特に限定されないが例えば、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、ヘリウムネオンレーザーらが特に好適に使用し得る。
【0064】
本発明の光重合性組成物は、かかる光源にて画像露光を行った後、界面活性剤とアルカリを含有する水溶液を用いて現像すれば支持体上に画像を形成することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、染料または顔料を含有することができる。適当なアルカリ剤としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等の無機アルカリ剤、及びトリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン類などの有機アミン化合物などが挙げられ、これらは単独もしくは組み合わせて使用できる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能である。また、有機溶剤としては例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等を必要により含有させることが可能である。
【0065】
本発明の光重合性組成物は、感光性平版印刷版の他、配線板用エッチングレジスト、グラビア用銅エッチングレジスト、ドライフィルム、カラーフィルター及びプラズマディスプレイ用顔料分散レジスト等の光重合性組成物が適用可能な公知の種々の用途に使用可能である。
【0066】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
<結合剤の合成>
合成例1
メチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/イソブチルアクリレート/メタクリル酸=35/20/10/35mol%(仕込み比)の共重合体、Mw=7万(以下「結合材−1」と略す。)を200重量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート75重量部、p−メトキシフェノール2.5重量部、テトラブチルアンモニウムクロライド8重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート800重量部を反応容器中に加え、110℃、24時間空気中で撹拌反応させてエチレン性高分子結合材(酸価60、結合材−1のメタアクリル酸成分全体の6割に不飽和基が反応。以下「結合材−2」と略す。)溶液を得た。
【0067】
合成例2
(α−メチル)スチレン/アクリル酸の共重合体(商品名“SCX−690”Johnson社製、酸価240、Mw=1万5千)を855重量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート490重量部、p−メトキシフェノール1.3重量部、テトラエチルアンモニウムクロライド4.3重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1800重量部を反応容器中に加え、120℃、15時間空気中で撹拌反応させてエチレン性高分子結合材(酸価約170、原料共重合体のアクリル酸成分全体の約5割に不飽和基が反応。以下「結合材−3」と略す。)溶液を得た。
【0068】
<アルミニウム支持体の製造>
アルミニウム板を3%水酸化ナトリウムにて脱脂し、これを11.5g/l塩酸浴中で25℃、80A/dm2 の電流密度で11秒電解エッチングし、水洗後30%硫酸浴中で30℃、11.5A/dm2 の条件で15秒間陽極酸化し、水洗、乾燥して平版印刷版用アルミニウム板(以下「支持体−1」と略す。)を得た。
【0069】
実施例1〜5
上記支持体−1上に、下記の光重合性組成物塗布液−1をバーコーターを用いて乾燥膜厚2g/m2 となるように塗布乾燥した。更にこの上に、ポリビニルアルコール水溶液をバーコーターを用いて乾燥膜厚3g/m2 となるように塗布乾燥し感光性平版印刷版を作製した。得られた感光性平版印刷版について下記の方法で感度を評価した。結果を第3表に示す。
【0070】
光重合性組成物塗布液−1
ラジカル発生剤 A−1*1 5 重量部
ラジカル発生剤 A−2*1 5 重量部
増感剤1*1 1.4重量部
増感剤2*1 0.6重量部
第3表に示すアミノ酸塩(表中の数字は添加重量部を示す)
エチレン性単量体−1*1 22 重量部
エチレン性単量体−2*1 22 重量部
エチレン性単量体−3*1 11 重量部
高分子結合材−2 26 重量部
高分子結合材−3 10 重量部
顔料(P.B.15:6) 4 重量部
Disperbyk 161(ビックケミー社製) 2 重量部
旭硝子(株)社製フッ素系界面活性剤S−381 0.3重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 300 重量部
シクロヘキサノン 645 重量部
メチルセロソルブ 200 重量部
*1;構造を後述する。
【0071】
評価項目
<感度>
感光性平版印刷版を回析分光照射装置(ナルミ社製、RM−23)を用いて露光した後、無水炭酸ナトリウム0.8重量%、ペレックスNBL(花王(株)社製)3重量%を含む水溶液中に、25℃で30秒浸漬後スポンジで7回擦ることにより現像を行い、得られた硬化画像の高さより、532nmの光線による光硬化に要する光エネルギー量を求めた。
【0072】
比較例1
実施例1において用いた増感剤−1及び2の代わりに、ベンゾピラン系色素である増感剤3を用いた以外は同じ組成の塗布液を用いて、実施例1と同様に感光性平版印刷版を作成し、同様に評価を行ったところ、感度が低かった。
比較例2
実施例1で用いた脂肪族アミノ酸塩の代わりにN−フェニルグリシンを用いた以外は同じ組成の塗布液を用いて、実施例1と同様に感光性平版印刷版を作成し、同様に評価を行ったところ、塗布乾燥時に臭気が発生した。
【0073】
<臭気の測定>
各塗布液に使用したアミノ酸塩もしくはN−フェニルグリシン各1gを塗布溶剤50gに溶解し、その溶液を40℃に加熱し、30cm離れた場所で感じる臭気で判断した。臭気が甚だしい場合を×、臭気を感じない場合を○とした。
以上の結果を、第3表に取り纏め表示した。
【0074】
【表4】
Figure 0003753292
【0075】
〔エチレン性単量体〕
単量体−1
【0076】
【化11】
Figure 0003753292
【0077】
単量体−2
【0078】
【化12】
Figure 0003753292
【0079】
単量体−3
【0080】
【化13】
Figure 0003753292
【0081】
〔ラジカル発生剤〕
【0082】
【化14】
Figure 0003753292
【0083】
〔増感剤〕
【0084】
【化15】
Figure 0003753292
【0085】
【発明の効果】
本発明の光重合性組成物は、高感度かつ現像性が良好であり、かつ含有される光重合開始剤の溶解性が良好であるため塗布欠陥も生じ難く、特に、画像形成材料として用いた場合に有用である。

Claims (9)

  1. 少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物、ラジカル活性剤、増感色素及び脂肪族アミノ酸塩を含有する光重合性組成物であって、増感色素としてピロメテンボレート系色素を含有することを特徴とする光重合性組成物。
  2. ピロメテンボレート系色素が、下記一般式(1)で示される構造の色素から選ばれることを特徴とする請求項1記載の光重合性組成物。
    Figure 0003753292
    {式中、R1 〜R6 は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、芳香族複素環基、又は−SO3 −R8 基(R8 は水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルカリ金属原子又はオニウムイオンを表す。)を表す。R7 は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、X1 、X2 はそれぞれハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基を表す。これらの基は、更に置換されていても良い。}
  3. 脂肪族アミノ酸塩を構成する陰イオンが、下記一般式(2)で示される陰イオン及び又はその縮合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光重合性組成物。
    Figure 0003753292
    (式中、mは1〜10の整数を示し、R9 、R10、R11及びR12は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基を表す。これらの基は更に置換されていても良い。mが2以上の時、複数のR11及びR12は同じでも異なっていても良い。)
  4. 脂肪族アミノ酸塩が一般式(2)で示される陰イオンと1価の陽イオンとの塩であることを特徴とする請求項3に記載の光重合性組成物。
  5. 一般式(2)において、R9 が下記一般式(3)で示される構造であることを特徴とする請求項3又は4記載の光重合性組成物。
    Figure 0003753292
    (式中、R13、R14、R15、R16及びR17は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、アルケニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ホルミル基、アルキルカルボニルオキシ基、ニトロ基、スルホ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基又はアミド基を表す。これらの基は更に置換されていても良い。)
  6. 脂肪族アミノ酸塩を構成するカチオンが、1価のアルカリ金属イオン又はオニウムイオンであることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の光重合性組成物。
  7. ラジカル活性剤が、少なくとも1種のチタノセン類を含有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の光重合性組成物。
  8. 付加重合可能な化合物が、少なくとも1個のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有するリン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の光重合性組成物。
  9. 粗面化及び陽極酸化処理が施され、更に必要により親水化処理が施されたアルミニウム基板上に感光性樹脂層を有する感光性平版印刷版であって、感光性樹脂層が、請求項1乃至8の何れかに記載の光重合性組成物により形成されてなることを特徴とする感光性平版印刷版。
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