JP3748933B2 - 1−置換アゼチジノン誘導体の製造法 - Google Patents

1−置換アゼチジノン誘導体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌作用を有する1β−メチルカルバペネム誘導体の合成中間体として有用な1−置換アゼチジノン誘導体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1β−メチルカルバペネム誘導体は広範囲の病原菌に対して優れた抗菌作用を示し、かつ生体内での安定性などにも優れていることから抗菌剤として注目されている。このような1β−メチルカルバペネム誘導体の合成中間体として有用な化合物のひとつとして一般式(I´):
【0003】
【化5】
Figure 0003748933
【0004】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基またはアリール基を、R4は有機基を表わす)で示される化合物が知られている。前記合成中間体の製造法としては、例えば国際公開第94/18163号パンフレット(1994)には、式:
【0005】
【化6】
Figure 0003748933
【0006】
で示される化合物の脱炭酸、脱保護反応による式:
【0007】
【化7】
Figure 0003748933
【0008】
で示される化合物の製造法が、また、ケミカル・アンド・ファマシュティカル・ブリティン(Chem.Pharm.Bull.)、第42巻、1381〜1387頁、1994年には、式:
【0009】
【化8】
Figure 0003748933
【0010】
で示される化合物とブロモ酢酸t−ブチルとを水素化ナトリウムの存在下に反応させて、式:
【0011】
【化9】
Figure 0003748933
【0012】
で示される化合物とし、ついでこれを脱保護して、式:
【0013】
【化10】
Figure 0003748933
【0014】
で示される化合物に導く方法が開示されている。また、欧州特許出願公開第582291号明細書(1994)およびシンレト(Synlett)、315〜316頁、1995年には、式:
【0015】
【化11】
Figure 0003748933
【0016】
で示される化合物を水素化ナトリウムの存在下にジメチルt−ブチルシリルクロリドと反応させて、一旦そのカルボキシル基をシリルエステルとして保護し、ついでこれをナトリウムヘキサメチルジシラジドの存在下にブロモ酢酸アリルと反応させて、式:
【0017】
【化12】
Figure 0003748933
【0018】
で示される化合物とする方法が開示されている。さらに、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第53巻、4154〜4156頁、1988年には、式:
【0019】
【化13】
Figure 0003748933
【0020】
で示される化合物と式:
【0021】
【化14】
Figure 0003748933
【0022】
で示される化合物の環状付加により合成される式:
【0023】
【化15】
Figure 0003748933
【0024】
で示される化合物をベンジルアルコール中でオゾン分解して、式:
【0025】
【化16】
Figure 0003748933
【0026】
で示される化合物に導く方法も開示されている。
【0027】
しかしながら、これら製造法のうち国際公開第94/18163号パンフレット(1994)あるいはジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第53巻、4154〜4156頁、1988年に開示されている製造法では、1β−メチルカルバペネム誘導体合成に必須のβ−メチル基が高い選択性では導入できないという問題点が存在している。また、ケミカル・アンド・ファマシュティカル・ブリティン(Chem.Pharm.Bull.)、第42巻、1381〜1387頁、1994年に開示されている製造法では、β−ラクタムのチッ素原子上にのみ所望の置換基を導入するために、置換基導入反応条件下でカルボキシル基が反応点とならぬようエステル基として保護されている。その結果、目的化合物合成までの工程数が多くなり、合成効率が低下するという問題点に結びついている。また、欧州特許出願公開第582291号明細書(1994)およびシンレト(Synlett)、315〜316頁、1995年に開示されている製造法は遊離カルボキシル基を有するβ−ラクタムのチッ素原子上に所望の置換基を最も短工程で導入できる唯一の製法例であるが、前記製法では反応途中でカルボキシル基を一時的に保護しているため、保護に必要な余分な試剤を使用しなければならない点で問題がある。また、保護基導入時と所望置換基導入時とで異なった2種類の塩基が使用されているため、反応系がより複雑化し、反応後の精製の観点からも望ましくはない。
【0028】
以上のように、従来の技術には工業的製造法としては必ずしも満足できない側面が含まれており、改善されるべき余地が残っている。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的に入手容易な原料を使用し、単一塩基を用い、しかも官能基保護のための余分な試剤を用いることなく、一工程にて所望とする合成中間体を製造する方法を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、工業的に入手容易なアゼチジノン化合物を原料とし、塩基の存在下にアルキル化剤を反応させることにより1β−メチルカルバペネム誘導体合成に有用な1−置換アゼチジノン誘導体を一工程で製造する新規な方法を提供するものである。
【0031】
すなわち、本発明は、(1)一般式(II):
【0032】
【化17】
Figure 0003748933
【0033】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基またはアリール基を表わす)で示される化合物と、一般式(III):
【0034】
【化18】
Figure 0003748933
【0035】
(式中、Xはハロゲン原子を、R4は有機基を表わす)で示される化合物とを水素化アルカリ金属、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属アミドおよび有機リチウム化合物からなる群より選択される塩基の存在下に反応させ、一般式(II)で示される化合物のチッ素原子上に一段階かつ位置選択的に式(III´):
【0036】
【化19】
Figure 0003748933
【0037】
(式中、R4は前記と同じ)で示される基を導入することを特徴とする一般式(I):
【0038】
【化20】
Figure 0003748933
【0039】
(ただし、R1、R2、R3およびR4は前記と同じ)で示される化合物の製造法に関する。
【0040】
本発明はさらに、(2)前記水素化アルカリ金属が水素化ナトリウムである前記(1)項記載の製造法に関する。
【0041】
本発明はさらに、(3)前記アルカリ金属アルコラートがカリウムt−ブトキシドである前記(1)項記載の製造法に関する。
【0042】
本発明はさらに、(4)前記アルカリ金属アミドがリチウムヘキサメチルジシラジドである前記(1)項記載の製造法に関する。
【0043】
本発明はさらに、(5)前記アルカリ金属アミドがナトリウムヘキサメチルジシラジドである前記(1)項記載の製造法に関する。
【0044】
本発明はさらに、(6)前記有機リチウム化合物がn−ブチルリチウムである前記(1)項記載の製造法に関する。
【0045】
本発明はさらに、(7)前記一般式(III)で示される化合物において、Xが臭素原子であり、R4がt−ブチル基である前記(1)〜(6)項のいずれかに記載の製造法に関する。
【0046】
本発明はさらに、(8)前記一般式(III)で示される化合物において、Xが臭素原子であり、R4がアリル基である前記(1)〜(6)項のいずれかに記載の製造法に関する。
【0047】
本発明はさらに、(9)前記一般式(III)で示される化合物において、Xが臭素原子であり、R4が4−ニトロベンジル基である前記(1)〜(6)項のいずれかに記載の製造法に関する。
【0048】
本発明はさらに、(10)前記一般式(II)で示される化合物が(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノンである前記(1)〜(9)項のいずれかに記載の製造法に関する。
【0049】
【発明の実施の形態】
本発明は、一般式(II):
【0050】
【化21】
Figure 0003748933
【0051】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基またはアリール基を表わす)で示される化合物と、一般式(III):
【0052】
【化22】
Figure 0003748933
【0053】
(式中、Xはハロゲン原子を、R4は有機基を表わす)で示される化合物とを水素化アルカリ金属、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属アミドおよび有機リチウム化合物からなる群より選択される塩基の存在下に反応させ、一般式(II)で示される化合物のチッ素原子上に一段階かつ位置選択的に式(III´):
【0054】
【化23】
Figure 0003748933
【0055】
(式中、R4は前記と同じ)で示される基を導入することを特徴とする一般式(I):
【0056】
【化24】
Figure 0003748933
【0057】
(ただし、R1、R2、R3およびR4は前記と同じ)で示される化合物の製造法に関するものであり、このような位置選択的反応を特徴とする前記一般式(I)で示される化合物の製造法は従来公知法には示唆されていないものである。
【0058】
本発明の前記一般式(I)および一般式(II)において、R1、R2およびR3で表わされる基はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基またはアリール基である。前記アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、テキシル基など炭素数1〜6のアルキル基を好適なものとしてあげることができる。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基など炭素数6〜10のアリール基があげられる。
【0059】
前記一般式(I)および一般式(III)、(III´)において、R4で表わされる基は有機基であり、常法により容易に除去しうるカルボキシル基の保護基を好適に使用することができる。たとえば、メチル基、エチル基、t−ブチル基など炭素数1〜4のアルキル基、アリル基、シンナミル基など炭素数3〜9のアルケニル基または置換アルケニル基、メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェナシル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−(トリメチルシリル)エチル基などの置換アルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基など炭素数4〜5のオキサシクロアルキル基、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基などの置換ベンジル基などのアラルキル基、ベンズヒドリル基などをあげることができる。
【0060】
また、一般式(III)において、Xはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられるが、好適には臭素原子である。なお、Xが塩素原子であっても反応系にヨウ化ナトリウムなどを添加し、反応系中でXを塩素原子からヨウ素原子に変えることにより式(II)で示される化合物との反応性を高めることができる。
【0061】
前記一般式(III)で示される化合物の具体例としてはブロモ酢酸t−ブチル、クロロ酢酸t−ブチル、ブロモ酢酸アリル、ブロモ酢酸ベンジル、ブロモ酢酸4−ニトロベンジルなどがあげられる。
【0062】
本発明において使用される原料のアゼチジノン化合物(II)は、たとえば、特開平5−105660号公報に記載の方法によって容易に製造することができ、1β−メチルカルバペネム誘導体の合成原料として望ましい光学活性体の形で工業的にも入手できる化合物である。
【0063】
アゼチジノン化合物(II)とハロゲノ酢酸エステル化合物(III)で示される化合物との反応は、適宜な溶媒中で塩基の存在下に実施され、該塩基としてはアゼチジノン化合物(II)の2個の活性プロトンを引き抜いて化合物(II)のジアニオン種を形成しうるに充分な塩基性を有する強塩基が好適に使用される。
【0064】
このような強塩基としては、有機リチウム化合物、水素化アルカリ金属、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属アミドなどがあげられる。
【0065】
前記有機リチウム化合物としては、アルキルリチウム、アリールリチウムなどがあげられる。前記アルキルリチウムとしてはアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルリチウムが好ましく、具体的にはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウムなどがあげられる。前記アリールリチウムとしてはフェニルリチウムが好ましい。
【0066】
前記水素化アルカリ金属としては水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどがあげられる。
【0067】
前記アルカリ金属アルコラートとしては、炭素数1〜4のアルコール類のアルカリ金属アルコラートがあげられる。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウムなどがあげられる。前記アルカリ金属アルコラートの具体例としてはナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどがあげられる。
【0068】
前記アルカリ金属アミドとしてはアルカリ金属ジアルキルアミド、アルカリ金属ヘキサアルキルジシラジドなどがあげられる。前記アルカリ金属ジアルキルアミドとしては一般式(IV):
【0069】
【化25】
Figure 0003748933
【0070】
(式中、R5およびR6はそれぞれ同一または異なる炭素数1〜6のアルキル基、M1はアルカリ金属を表わす)で示される化合物があげられる。前記R5およびR6で表わされるアルキル基としてはイソプロピル基、シクロヘキシル基などがあげられる。前記M1で表わされるアルカリ金属としてはリチウムが好ましい。前記一般式(IV)で示される化合物の具体例としてはリチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミドなどがあげられる。前記アルカリ金属ヘキサアルキルジシラジドとしては一般式(V):
【0071】
【化26】
Figure 0003748933
【0072】
(式中、R7、R8、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または異なる炭素数1〜2のアルキル基、M2はアルカリ金属を表わす)で示される化合物があげられる。前記R7、R8、R9、R10、R11およびR12で表わされるアルキル基としてはメチル基、エチル基などがあげられる。前記アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげられる。前記一般式(V)で示される化合物の具体例としてはリチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどがあげられる。
【0073】
前記塩基のうちでとくに好ましい塩基としては水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムヘキサメチルジシラジドなどがあげられる。
【0074】
なお、前記強塩基に比べて弱い塩基、たとえば有機アミン、炭酸アルカリ金属塩、アルカリ金属フッ化物、水酸化アルカリ金属などを使用すると、化合物(II)のカルボン酸基に置換基が選択的に導入された化合物がえられ、本発明の目的化合物(I)をうることができない。
【0075】
反応溶媒としては、基本的には、不活性溶媒を使用するのが好ましく、このような溶媒の例としては、たとえば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、あるいはこれらの混合溶媒を例示でき、テトラヒドロフランがとくに好適な溶媒である。また、用いる溶媒が使用する塩基と反応しうる溶媒であっても、その生成物自体がさらに塩基として作用しうるようなばあいには、活性な溶媒であっても本発明の反応においては使用しうる。このような溶媒の例としては、たとえば、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、t−ブチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類を例示できる。
【0076】
反応に使用する塩基の量は、アゼチジノン化合物(II)1モルに対して2.0モル以上は必要であり、通常は2〜3.5モルが使用されるが、副反応抑制の点から2.0〜2.9モルが好ましい。
【0077】
また、塩基とアゼチジノン化合物(II)との反応は、使用する塩基によりその温度は異なるが、通常−70〜60℃で実施され、塩基の反応溶媒に対する溶解性および反応速度と副反応抑制の点から−50〜35℃が好ましい。反応時間は通常5分〜20時間であるが、反応の完結と生成物の分解抑制の点から30分〜5時間が好ましい。
【0078】
塩基とアゼチジノン化合物(II)との反応に続き、反応混合物中にハロゲノ酢酸エステル化合物(III)を添加、反応させることにより本発明の反応は実施、完結される。ハロゲノ酢酸エステル化合物(III)の使用量はアゼチジノン化合物(II)1モルに対して通常1〜2.5モルであるが、副反応抑制と反応後の精製の点から1〜1.6モルが好ましい。また、反応は通常−60〜60℃で実施されるが、反応速度と生成物の分解抑制の点から−50〜25℃が好ましい。反応時間は数時間〜数十時間であるが、反応の完結と生産効率の点から1.5〜20時間が好ましい。
【0079】
反応後の混合物からは、通常有機反応においてしばしば用いられるpH調節、抽出、分液、洗浄、濃縮、精製などの操作を経て目的化合物が単離される。
【0080】
なお、本発明の反応では、アゼチジノン化合物(II)のカルボン酸部分にハロゲノ酢酸エステル化合物(III)が反応した化合物が生成する可能性もあるが、このような化合物の生成は認められず、反応は高度に位置選択的である。また、反応中にβ−配置のメチル基がα−配置に異性化するようなことも認められず、1β−メチルカルバペネム誘導体合成の中間体を製造する反応として望ましい特徴を有した反応である。
【0081】
本発明によりえられる一般式(I)で示される化合物は、たとえば、特開平6−316559号公報、特開平6−321947号公報、特開平6−340667号公報、特開平6−56836号公報に記載された方法で抗菌剤として有用な1β−メチルカルバペネム誘導体に導くことができる。
【0082】
【実施例】
つぎに実施例および参考例をあげ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
実施例1
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン0.922gを乾燥テトラヒドロフラン15mlに溶解し、−50〜−37℃にてn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)3.8mlを添加した。−45〜−38℃にて10分反応後、ブロモ酢酸t−ブチル0.606gを含む乾燥テトラヒドロフラン5ml溶液を−45〜−43℃にて添加した。約1時間かけて0℃まで昇温したのち、室温で18時間反応させた。反応液を減圧濃縮してえられた油状物に酢酸エチルと水を加え、さらに6規定塩酸5mlを加えて抽出、分液した。有機層を水洗後、減圧濃縮してえられた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.899gを固形物としてえた。
【0084】
NMR(CDCl3)δ:0.06(3H,s),0.08(3H,s),0.87(9H,s),1.24(3H,d,J=6.3Hz),1.25(3H,d,J=7.3Hz),1.46(9H,s),2.91(1H,qd,J=7.1,3.2Hz),3.04(1H,dd,J=2.2,6.1Hz),3.85および4.02(2H,ABq,J=17.8Hz),4.07〜4.08(1H,m),4.16〜4.23(1H,m)
IR(KBr,cm-1):1760,1740,1720
【0085】
実施例2
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン3.01gを乾燥テトラヒドロフラン60mlに溶解し、−60℃以下にてn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)12.5mlを添加した。−70〜−50℃にて1時間反応後、クロロ酢酸t−ブチル1.64gを含む乾燥テトラヒドロフラン10ml溶液を−50〜−49℃にて添加した。約2時間かけて−6℃まで昇温したのち、室温で40時間反応させた。室温反応の途中17時間後にヨウ化ナトリウム0.34gを添加した。反応液を減圧濃縮してえられた油状物を実施例1と同様に処理して(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン1.86gをえた。
【0086】
実施例3
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン10.36gをテトラヒドロフラン200mlに溶解し−60℃に冷却した。この溶液にn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)43.5mlを加えた。−50℃で5分間熟成したのち、ブロモ酢酸t−ブチル7.98gを−45℃で加えた。混合液をゆっくり25℃に昇温し、さらに16時間熟成した。えられた混合液を25℃の水−酢酸エチル(100ml−100ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを6.3に調整後、同温度で15分間熟成した。有機層を分離しHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン9.085gを含有していた。
【0087】
実施例4
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン0.72gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し−45℃に冷却した。この溶液にリチウムヘキサメチルジシラジド(1.0Mヘキサン溶液)4.90mlを加えた。−40℃で40分間熟成したのち、ブロモ酢酸t−ブチル0.75gを−35℃で加えた。混合液をゆっくり25℃に昇温し、さらに5時間熟成した。えられた混合液を10℃の水−酢酸エチル(30ml−50ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを3.9に調整後、同温度で15分間熟成した。有機層を分離しHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.68gを含有していた。
【0088】
実施例5
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン0.72gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し−45℃に冷却した。この溶液にナトリウムヘキサメチルジシラジド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)4.90mlを加えた。−45℃で45分間熟成したのち、ブロモ酢酸t−ブチル0.75gを−40℃で加えた。混合液をゆっくり8℃に昇温し、2時間熟成した。えられた混合液を6℃の水−酢酸エチル(30ml−50ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを3.0に調整後、同温度で15分間熟成した。有機層を分離しHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.73gを含有していた。
【0089】
実施例6
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン14.82gをテトラヒドロフラン−トルエン(150ml−50ml)に溶解した。この溶液に水素化ナトリウム(60%油性)5.05gを加えたのち、40℃に加熱し30分間熟成した。混合液を冷却し、ブロモ酢酸t−ブチル0.34gを20℃で加え、2.5時間熟成した。えられた混合液を10℃の水−トルエン(150ml−50ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを10.3に調整後、同温度で10分間熟成した。水層を分取し、トルエン200mlを加えて、1規定塩酸でpHを2.5に調整し、有機層を分取した。残った水層にトルエン40mlを加えて抽出し、分取した有機層を併せてHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン15.73gを含有していた。
【0090】
実施例7
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン0.406gをテトラヒドロフラン10mlに溶解し−45℃に冷却した。この溶液にカリウムヘキサメチルジシラジド(0.5Mヘキサン溶液)5.90mlを加えた。−50℃で30分間熟成し、ブロモ酢酸t−ブチル0.29gを−50℃で加えたのち、ゆっくり7℃に昇温し、2時間熟成した。えられた混合液を25℃の水−酢酸エチル(20ml−30ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを2.6に調整後、同温度で15分間熟成した。有機層を分離しHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.338gを含有していた。
【0091】
実施例8
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン0.404gをテトラヒドロフラン10mlに溶解した。この溶液に水素化ナトリウム(60%油性)0.154gを加え、30℃に加熱して1時間熟成した。混合液を冷却し、ブロモ酢酸t−ブチル0.350gを20℃で加え、さらに2.5時間熟成した。えられた混合液を25℃の水−酢酸エチル(20ml−30ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを2.8に調整後、同温度で15分間熟成した。有機層を分離しHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.464gを含有していた。
【0092】
実施例9
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン0.409gをテトラヒドロフラン10mlに溶解した。この溶液にカリウムt−ブトキシド0.390gを加え、30℃に加熱し1時間熟成した。混合液を冷却し、ブロモ酢酸t−ブチル0.360gを20℃で加え、さらに2.5時間熟成した。えられた混合液を25℃の水−酢酸エチル(20ml−30ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを2.6に調整後、同温度で15分間熟成した。有機層を分離しHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.489gを含有していた。
【0093】
実施例10
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン0.401gのテトラヒドロフラン(10ml)溶液を−60℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(2.0Mヘプタン−テトラヒドロフラン−エチルベンゼン溶液)1.85mlを加え、−60℃に保持して30分間熟成した。混合液に、ブロモ酢酸t−ブチル0.480gを−60℃で加え、えられた混合液をさらに2時間熟成した。混合液を25℃の水−酢酸エチル(20ml−30ml)の混合液中に撹拌しながら添加し、1規定塩酸でpHを2.2に調整後、同温度で15分間熟成した。有機層を分離しHPLC分析した結果、カルボン酸部分への増炭物および異性化は認められず、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.305gを含有していた。
【0094】
実施例11
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン3.01gと水素化ナトリウム(60%油性)0.92gの混合物に27.5〜28℃にて乾燥ジメチルスルホキシド30mlを添加し、27〜28℃にて30分間、38〜43℃にて5分間、48〜54℃にて40分間反応後、乾燥トルエン20mlを加え、約40分かけて6℃まで冷却した。ブロモ酢酸t−ブチル2.12gを6〜13℃にて添加し、同温度で15分間、室温で1時間反応後、トルエン20ml、ついで6規定塩酸1mlを加えて反応を停止した。反応混合物を水100ml中に注ぎ、6規定塩酸2.5mlを追加して抽出、分液した。水層をトルエンで再抽出後、えられた有機層を合わせて水洗した。有機層をHPLC分析した結果、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン1.91gを含有していた。
【0095】
実施例12
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン3.01gと水素化ナトリウム(60%油性)1.15gの混合物に26〜39℃にてt−ブチルアルコール30mlを添加し、27〜43℃にて2時間反応後、ブロモ酢酸t−ブチル2.44gを添加した。内温は27℃から38℃に上昇した。室温で2時間反応後、酢酸エチル30ml、ついで6規定塩酸1mlを加えて反応を停止した。反応混合物を水100ml中に注ぎ、6規定塩酸3ml、酢酸エチル20mlを追加して抽出、分液した。水層を酢酸エチルで再抽出後、えられた有機層を合わせて水洗した。有機層をHPLC分析した結果、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン1.43gを含有していた。
【0096】
実施例13
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン3.01gと水素化ナトリウム(60%油性)1.22gの混合物に26.5〜45℃にて乾燥ジメトキシエタン30mlを添加し、30〜36℃にて3時間反応後、約45分かけて26℃まで放冷した。ブロモ酢酸t−ブチル2.07gを26〜31℃にて添加し、室温で3時間反応させた。ブロモ酢酸t−ブチル0.92gを追加し、さらに室温で2時間反応させ、トルエン50ml、ついで6規定塩酸3mlを加えて反応を停止した。反応混合物を水100ml中に注ぎ、6規定塩酸1mlを追加して抽出、分液した。水層をトルエンで再抽出後、えられた有機層を合わせて水洗した。有機層をHPLC分析した結果、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン1.65gを含有していた。
【0097】
実施例14
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン1.51gを乾燥テトラヒドロフラン40mlに溶解し、−65〜−54℃にてナトリウムヘキサメチルジシラジド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)10mlを添加した。−60〜−41℃にて33分間反応後、ブロモ酢酸アリル1.0gを−41〜−40℃にて添加した。−40〜−15℃にて1時間、−15〜6℃にて3.7時間反応させたのち、酢酸0.68gを添加して反応を停止した。反応液を減圧濃縮してえられた油状物を実施例1と同様に処理して(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−アリルオキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン1.64gを油状物としてえた。
【0098】
NMR(CDCl3)δ:0.06(3H,s),0.08(3H,s),0.87(9H,s),1.25(3H,d,J=5.9Hz),1.26(3H,d,J=7.3Hz),2.91(1H,qd,J=7.1,3.2Hz),3.06(1H,dd,J=2.4,6.4Hz),3.92および4.22(2H,ABq,J=18Hz),4.11〜4.12(1H,m),4.15〜4.22(1H,m),4.59〜4.64(2H,m),5.20〜5.36(2H,m),5.83〜5.95(1H,m)
IR(CHCl3,cm-1):1790,1745,1715
【0099】
実施例15
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン1.51gを乾燥テトラヒドロフラン40mlに溶解し、−65〜−56℃にてナトリウムヘキサメチルジシラジド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)10.5mlを添加した。−65〜−54℃にて32分間反応後、ブロモ酢酸ベンジル1.41gを−54〜−52℃にて添加した。−50〜−15℃にて1時間、−15〜0℃にて5時間反応させたのち、酢酸0.68gを添加して反応を停止した。反応液を減圧濃縮してえられた油状物を実施例1と同様に処理して(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ベンジルオキシカルボニルメチル−2−アゼチジノン0.96gを油状物としてえた。
【0100】
NMR(CDCl3)δ:0.03(3H,s),0.06(3H,s),0.85(9H,s),1.22(3H,d,J=7.3Hz),1.23(3H,d,J=5.9Hz),2.88(1H,qd,J=7.3,3.4Hz),3.05(1H,dd,J=2.0,6.4Hz),3.93および4.22(2H,ABq,J=18.1Hz),4.08〜4.10(1H,m),4.12〜4.18(1H,m),5.15および5.16(2H,ABq,J=12.2Hz),7.31〜7.38(5H,m)
IR(CDCl3,cm-1):1748,1715
【0101】
実施例16
水素化ナトリウム(60%油性)1.29gに(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン4.82gを乾燥テトラヒドロフラン50mlに溶解した液を28〜33.5℃にて添加した。37〜41℃にて1時間反応後、40分かけて7℃まで冷却した。ブロモ酢酸4−ニトロベンジル4.45gを含む乾燥テトラヒドロフラン30ml溶液を7〜12℃にて添加し、5〜12℃にて1時間反応させた。酢酸1.0gを加えて反応を停止し、反応液を減圧濃縮して固体を含む油状物をえた。酢酸エチルと水を加え、さらに1規定塩酸17mlを加えて抽出、分液した。有機層を水洗後、減圧濃縮してえられた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニルメチル)−2−アゼチジノン2.3gを泡状物としてえた。
【0102】
NMR(CDCl3)δ:0.02(3H,s),0.06(3H,s),0.85(9H,s),1.24〜1.25(6H,m),2.90(1H,qd,J=7.1,3.2Hz),3.07(1H,dd,J=1.6,3.9Hz),3.98および4.28(2H,ABq,J=18.1Hz),4.12〜4.14(1H,m),4.13〜4.19(1H,m),5.25(2H,s),7.52および8.23(4H,A22q,J=8.3Hz)
IR(CHCl3,cm-1):1790,1748,1720,1525,
1349
【0103】
参考例1
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン468.9mgをN,N−ジメチルホルムアミド1.5mlに溶解し、室温にて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン493.8mgを含有するN,N−ジメチルホルムアミド2ml溶液を添加した。室温で15分間撹拌後、ブロモ酢酸t−ブチル303.6mgを含有するN,N−ジメチルホルムアミド2ml溶液を添加した。室温にて5時間反応させたのち、溶媒を減圧下に留去した。えられた残渣に酢酸エチル20ml、6規定塩酸2mlを水10mlで希釈した水溶液を順次加えて分液した。有機層を3回水洗後、減圧濃縮してえられた残渣にヘキサン15mlと塩化メチレン5mlを加え、不溶固体を濾別した。濾液を減圧濃縮、真空乾燥して(2R)−2−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−2−オキソアゼチジン−4−イル]プロピオン酸t−ブトキシカルボニルメチルエステル380mgを固形物としてえた。
【0104】
NMR(CDCl3)δ:0.07(6H,s),0.86(9H,s),1.19(3H,d,J=6.3Hz),1.27(3H,d,J=6.8Hz),1.46(9H,s),2.81(1H,qd,J=7.3,2.4Hz),2.99(1H,dd,J=2.0,4.4Hz),4.02〜4.03(1H,m),4.16〜4.22(1H,m),4.52(2H,s),6.14(1H,s)
【0105】
参考例2
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン1.51gと炭酸カリウム1.73gの混合物に乾燥N,N−ジメチルホルムアミド20mlを添加して25〜26℃で3.5時間反応させた。反応混合物に26℃にてブロモ酢酸t−ブチル1.21gを添加し、室温にてさらに5時間反応させた。反応液を酢酸エチルで希釈し、濃塩酸3mlを含む氷−水100ml中に注いだ。分液後、水層を酢酸エチルで再抽出し、えられた有機層を合せて2回水洗した。減圧濃縮してえられた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(2R)−2−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−2−オキソアゼチジン−4−イル]プロピオン酸t−ブトキシカルボニルメチルエステル1.75gをえた。
【0106】
参考例3
水酸化リチウム一水和物84.5mgにN,N−ジメチルホルムアミド1.5ml、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン601.2mgを室温にて順次添加し反応させた。6分後にN,N−ジメチルホルムアミド1.5mlを追加し、さらに40分間室温にて反応させた。フッ化カリウム358mgを室温にて添加し、さらに15分間室温にて反応させた。ブロモ酢酸t−ブチル397.5mgを含有するN,N−ジメチルホルムアミド2ml溶液を添加し、室温にてさらに3時間反応させた。参考例2と同様の処理を行ない(2R)−2−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−2−オキソアゼチジン−4−イル]プロピオン酸t−ブトキシカルボニルメチルエステル830mgをえた。
【0107】
参考例4
(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン1.52gと水酸化カリウム0.83gの混合物に乾燥N,N−ジメチルホルムアミド20mlを添加して27〜28℃で4時間反応させた。反応混合物に28℃にてブロモ酢酸t−ブチル1.25gを添加し、室温にてさらに反応させた。21分後に反応混合物の一部をサンプリングしてシリカゲル薄層クロマトグラフィーにて分析したところ、出発物質の消失と(2R)−2−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−2−オキソアゼチジン−4−イル]プロピオン酸t−ブトキシカルボニルメチルエステルの主生成が確認された。なお、(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−1−t−ブトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノンの生成は確認できなかった。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に入手容易なアゼチジノン化合物を原料に使用して、一工程かつ簡便な操作により抗菌剤として有用な1β−メチルカルバペネム誘導体製造のための有用中間体を工業的に有利にうることができる。

Claims (10)

  1. 一般式(II):
    Figure 0003748933
    (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基またはアリール基を表わす)で示される化合物と、一般式(III):
    Figure 0003748933
    (式中、Xはハロゲン原子を、R4は有機基を表わす)で示される化合物とを水素化アルカリ金属、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属アミドおよび有機リチウム化合物からなる群より選択される塩基の存在下に反応させ、一般式(II)で示される化合物のチッ素原子上に一段階かつ位置選択的に式(III´):
    Figure 0003748933
    (式中、R4は前記と同じ)で示される基を導入することを特徴とする一般式(I):
    Figure 0003748933
    (ただし、R1、R2、R3およびR4は前記と同じ)で示される化合物の製造法。
  2. 前記水素化アルカリ金属が水素化ナトリウムである請求項1記載の製造法。
  3. 前記アルカリ金属アルコラートがカリウムt−ブトキシドである請求項1記載の製造法。
  4. 前記アルカリ金属アミドがリチウムヘキサメチルジシラジドである請求項1記載の製造法。
  5. 前記アルカリ金属アミドがナトリウムヘキサメチルジシラジドである請求項1記載の製造法。
  6. 前記有機リチウム化合物がn−ブチルリチウムである請求項1記載の製造法。
  7. 前記一般式(III)で示される化合物において、Xが臭素原子であり、R4がt−ブチル基である請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
  8. 前記一般式(III)で示される化合物において、Xが臭素原子であり、R4がアリル基である請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
  9. 前記一般式(III)で示される化合物において、Xが臭素原子であり、R4が4−ニトロベンジル基である請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
  10. 前記一般式(II)で示される化合物が(3S,4S)−3−[(1R)−1−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノンである請求項1〜9のいずれかに記載の製造法。
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