JP3747255B2 - 電気車の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気車の制御装置に係わり、特に電気車を駆動する電動機に速度センサを用いずに電動機をインバータにより制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インバータによる誘導電動機の制御において、制御応答が要求されるものでは電動機電流の励磁電流成分とトルク電流成分を独立に制御するベクトル制御方式のものが用いられる。そのベクトル制御方式の中でも、電動機の負荷トルクに応じたすべり周波数を速度センサで検出した電動機の回転速度検出値に加算してそれに基づいてインバータの出力周波数を制御するすべり周波数形ベクトル制御方式が一般的に利用されている。ところが、電動機に速度センサを取り付けることは、その分コストがかかること、速度センサからインバータの制御装置までの配線が必要なこと、またセンサのメンテナンスに費やす時間が無視できないことなどの課題から、速度センサを不要とした制御方式が提案されている。その一例として、特開平9−140200 号公報記載のものがある。これは検出した励磁電流成分,トルク電流成分,電圧指令信号及び制御する電動機の電動機定数に基づき回転速度を推定するものである。
【0003】
また、電気車の制御装置に提案された一例としては、特開平8−80082号公報のものがある。これは電流制御器によりインバータの出力電流の検出値とその指令値との偏差が小さくなるように周波数時間変化率指令を出力し、その出力を時間積分することによりインバータ出力周波数指令を生成するものである。しかし、その出力周波数の初期値はインバータの起動時において電動機に取り付けた速度センサからの検出値を設定するようになっている。また、鉄道用の電気車では鉄レールの上を鉄車輪を粘着させて駆動するため駆動輪の空転,滑走という特有の現象があり、この空転滑走を抑える再粘着制御を行うために電動機に速度センサが設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特開平9−140200 号公報記載のものは、インバータの制御に速度センサを用いていないが、電動機の回転速度を推定するための演算が複雑であること、さらにその演算に駆動する電動機の電動機定数を用いることから定数の変動に対しても配慮する必要がある。
【0005】
また、特開平8−80082号公報記載の制御方式では、積分器の初期設定や再粘着制御において速度センサの出力を用いており、完全な速度センサレスとはなっていない。
【0006】
本発明の目的は、電気車を駆動する電動機へ取り付けの速度センサを全く不要にし、かつ簡単な構成で電動機の回転速度を推定して、電動機をインバータにより加減速制御すると共に電気車として必要な再粘着制御を行うことができる電気車の制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、速度推定手段からの回転速度推定値に基づいてインバータを制御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、電気車速度信号に基づいて電気車を自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆動輪の回転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検出する加速度センサの内少なくとも一つが電気車に備えられ、速度推定手段は、それら少なくとも一つから得られる電気車速度信号又は検出信号に基づき電動機の回転速度を推定する手段を有する。
【0008】
また、電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、速度推定手段からの回転速度推定値に基づいてインバータを制御する制御手段と、電気車速度信号に基づいて電気車を自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆動輪の回転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検出する加速度センサの内少なくとも一つを備えた電気車の制御装置において、
速度推定手段は、インバータの出力電流から電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力し、その偏差が小さくなるように前記回転速度の推定値を出力する手段と、該推定値を前記自動列車制御装置の電気車速度信号、前記速度計、前記加速度センサからの検出信号の少なくとも何れかより補正する手段とからなる。
また、速度推定手段は、インバータの出力電流から電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力し、その偏差が小さくなるように前記回転速度の推定値を出力する手段と、前記自動列車制御装置の電気車速度信号、前記速度計、前記加速度センサからの検出信号の少なくとも何れかより電動機の回転速度に相当した回転速度想定値を演算する手段と、該回転速度想定値より速度推定手段の推定値の初期設定をする手段とからなる。
【0009】
また、電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、速度推定手段からの回転速度推定値に基づいてインバータを制御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、
速度推定手段は、インバータの出力電流から電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力し、その偏差が小さくなるように前記回転速度の推定値を出力する手段と、インバータを停止させる電気車の惰行運転から、インバータを再起動させ力行または回生運転させる際に、惰行運転に入った時の速度推定手段における回転速度の推定値を記憶する手段と、該記憶した回転速度の推定値に基づきインバータの再起動時の電動機速度の推定値を初期設定する手段を有する。
ここで、再起動時の電動機の回転速度の推定値の初期値が、少なくとも前記記憶した回転速度の推定値と電気車の惰行時間に基づき設定される。
また、速度推定手段は、インバータの出力電流から電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力し、その偏差が小さくなるように電動機の回転速度の推定値を出力する速度推定手段と、速度推定手段の応答速度を可変とし、インバータの起動時もしくは再起動時に上げる手段を有する。
ここで、速度推定手段で推定された電動機の回転速度の推定値の時間変化量を演算する手段と、該時間変化量が所定値を超えたことに応動させて、該時間変化量に応じて前記トルク成分指令値を減少させるか、又は所定の時間関数のパターンで前記トルク成分指令値を減少させる手段を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の基本構成を図1を用いて説明する。なお、図1の構成は、鉄道を走行する電気車を駆動制御する制御装置のブロック図を示しており、図示していないが通常の編成列車ではこの電気車を複数連結して、先頭の車両の運転台より各電気車に車上LAN等で運転/停止指令やトルクに相当する指令が制御装置に伝送されてなる。
【0011】
図1において、1は複数のスイッチング素子を用いて直流を交流に変換(その逆変換機能も有す)するパルス幅変調(以下、PWMと称する)のインバータであり、その直流側には、直流電源11から供給される直流を平滑するフィルタコンデンサ12が接続される。インバータ1の交流側には、電気車の駆動輪を回転させる3相誘導電動機2(以下、電動機と称する)が接続される。なお、同図では説明の便宜上、インバータの交流側には電動機を1台しか接続していないが、電気車のタイプとしては2台若しくは4台の電動機が接続されるものが多い。
【0012】
3は電流指令発生器で、励磁電流指令値Id*及びトルク電流原指令値Iq*を発生する。4は減算器で、トルク電流原指令値Iq* より再粘着制御器10からの出力ΔIq* を減算しトルク電流指令値Iq**を出力する。5は座標変換器で、PWMインバータ1の交流出力電流を検出する電流検出器14u,14v, 14wにより検出された電流iu,iv,iwを入力して、励磁電流成分検出値Idとトルク電流成分検出値Iqに変換する。7は減算器で、トルク電流指令値Iq**からトルク電流成分検出値Iqを減算しトルク電流の偏差ΔIqを出力する。8は速度推定器で、トルク電流偏差ΔIqおよび電気車速度検出器13の出力である電気車速度信号Vtより電動機2の回転速度の推定値Frを出力する。上述した再粘着制御器10は、回転速度の推定値Frより電動機2によって駆動される車輪の空転,滑走を検知し、空転,滑走を検知した場合には、トルク電流指令値の大きさを小さくする信号ΔIq* を出力する。6はベクトル制御演算器で、励磁電流指令値Id* ,トルク電流指令値Iq**および回転速度の推定値 Frより誘導電動機に与える電圧指令値Vd*,Vq*を演算し出力する。なお、その詳細な演算は上記した特開平9−140200 号公報に記載されているのでここでは省略する。9はPWM信号演算器で、電圧指令値Vd*,Vq*よりオン,オフパルスのPWM信号Su,Sv,Swを生成し、インバータ1に出力する。
【0013】
なお、図1では発明の構成を便宜上説明する上で各制御機能をブロック図で表しているが、少なくともブロック4〜8,10についてはマイクロコンピュータによるソフトウエア処理で簡単に構成できる。
【0014】
次に、上記構成において本発明の特徴部は、誘導電動機の回転速度を推定する速度推定器8及び空転,滑走を検出し再粘着制御を行う再粘着制御器10にあり、その実施例の詳細について以下に記載する。
【0015】
図2は本発明における速度推定器8の一構成例を示す。81は電流制御器で、例えば数1で表される比例積分制御を行いトルク電流偏差ΔIqが小さくなる (0に近づける)ような出力ΔFrを出力する。ここで、K1,K2はそれぞれ比例係数,積分係数で、sはラプラス演算子である。
【0016】
ΔFr=(K1+K2/s)ΔIq …(数1)
82は係数器で電気車自体の速度信号Vtから電動機の回転速度に換算する係数を掛けるものである。83は加算器で電流制御器81の出力ΔFrと係数器 82の出力を加算して電動機の回転速度推定値Frを出力する。
【0017】
このような構成で電動機の回転速度推定値Frを求めることで、電動機に回転速度センサを設けなくても速度を得ることができる。ここで電気車の速度信号 Vtは、通常の電気車を運行する上で設置される自動列車停止装置(ATS),自動列車制御装置(ATC)など保安装置用の速度検出器からの速度信号,自動列車運転装置(ATO)が持っている速度信号とする(なお、同書ではATS,ATC,ATOを総称して自動列車制御装置とし、Vtはそれに用いられる速度信号とする)。あるいは、速度計を動かすための非駆動輪の車軸についた速度検出器からの出力信号か、または、電気車の前後方向の加速度を測定するセンサを設けてその値を積分したものを電気車速度信号としてもよい。この場合加速度センサは速度センサと違って車体のどこに設けてもよいので、制御装置の中に設けることで制御装置までの配線は必要なくなりコストを低減できる。
【0018】
なお、この電気車の速度信号Vtは、後述のシミュレーション結果でも示すように多少精度が低かったり、検出遅れがあっても構わない。その場合には、Vtと実際の電気車速度の誤差は電流制御器81の出力ΔFrで補正される。
【0019】
すなわち、電気車の速度信号Vtにより電流制御器81の出力である電動機の回転速度の推定値Frを補正する理由は、▲1▼電流制御器81の出力のみによる電動機の回転速度の推定値Frでの制御上の不安定をカバーする。▲2▼電気車を運転中にインバータを停止させる惰行運転からインバータを再起動させ力行または回生運転させる際に、電流制御器の出力による電動機の回転速度の推定値Frの不定をカバーするためである。
【0020】
図3は本発明における速度推定器8の別の構成例を示す。図2の構成例と異なる点は、比例器811と積分器812から成る電流制御器81の積分器812の初期設定にある。84は初期値設定器で、電気車の速度信号Vtを電動機の回転速度に換算し、その値を電流制御器81の積分器の初期値として設定する機能を持つ。それは、電気車が停止している場合には、積分器の初期値として0を入れればよいが、電気車走行中にインバータの動作を一旦停止(惰行運転)した後に再度インバータを動作させる場合には、積分器の初期値としてその時点における電気車速度相当の電動機回転速度を入れる必要があり、この値を初期値設定器 84で設定する。このとき初期値として設定する電気車の速度信号Vtは、後述のシミュレーション結果でも示すように多少精度が低かったり、検出遅れがあっても制御上大きな影響をもたらさないことがわかっている。
【0021】
図4は本発明における速度推定器8の別の構成例を示す。図2,図3の構成例と異なる点は、電動機の回転速度を推定するにあたり電気車の速度信号Vtを用いない点にある。電気車には図示しない運転指令発生器が備えられ、そこから電気車のインバータの制御装置へは、力行,回生の運転指令及び停止(惰行)といった運転/停止指令が出力される。図4の構成例では、この運転/停止指令に応動させて初期値設定器84,保持器85を作動させる。電気車が停車時点から運転開始を行う場合には初期値設定器84から積分器812の初期設定値には0が設定される。次に運転が開始され所定の速度になった時点で停止(惰行)指令が発せられるとインバータの動作は停止するが、停止時点で速度推定値Frの値を保持器85に保持する。なお、ここでは速度推定値Frの値の代わりに積分器 812の出力を保持しても構わない。初期値演算器86では、インバータが再起動されるまで、保持した速度推定値Frを例えば電気車の惰行中の転がり摩擦や空気抵抗及び惰行時間で考慮して惰行期間における電動機の回転速度を推定演算し、その結果を初期値設定器84に出力する。なお、この初期値演算器86は発明を達成する上では必ずしも要するものではないが、要しないときは、直接に保持しているFrの値をそのまま初期値設定器84に出力するものであってもよい。初期値設定器84は、初期値演算器86から出力された値をインバータが停止状態から再起動する場合に電流制御器81の積分器812の初期値として与える。
【0022】
以上、3構成例の速度推定器を説明したが、そのうち図3の構成例の速度推定器を図1の制御装置に用いたときのインバータの加減速制御特性を以下にシミュレーションで確認した。
【0023】
図5は、評価をする上で運転条件が厳しいと思われる惰行運転から再起動させた場合のインバータ加速特性についてのシミュレーション結果を示す。図5(a)は、時間t(s)に対する励磁電流成分の指令値Id* とその検出値Id及びトルク電流成分の指令値Iq*とその検出値Iqを、同図(b)は、時間t(s)に対する電動機トルクを、同図(c)は、時間t(s)に対する電動機の実回転速度(実Fr)と推定値(Fr)を示す。同シミュレーションにあたり条件設定は、惰行から再起動時に入る時に設定した積分器812の初期値に実回転速度とは誤差があった場合を設定し、その実回転速度が20Hzで初期値として18Hzを与え、t=0から励磁電流指令Id*を立ち上げ、その後t=0.8sのときトルク電流指令Iq* を立ち上げた。
【0024】
同図において、励磁電流が立ち上がり始めると、速度推定器8の働きにより推定値Frが実回転速度(実Fr)に速やかに収束しその後はほぼ一致している。また、このように初期値に多少誤差があっても電流制御器の働きにより推定値 Frは実回転速度に一致することがわかる。またトルク電流指令を立ち上げるとそれに比例してトルクが立ち上がっており、電動機の実際の回転速度を用いなくても加速の制御が支障無くできることがわかる。なお、図では示さないが初期値の設定として余りにも誤差が大きいと加速せずに実回転速度と異なる値に収束することを確認しており、本発明による初期値の与え方に重要な意味があることがわかった。
【0025】
以上のことから、図1の電気車の制御構成において、速度推定器8に図2乃至図4の構成例を用いた実施例によれば、電気車走行中にインバータの動作を一旦停止した後に再度インバータを動作させる場合に、電動機の回転速度の検出値を用いる必要がなくなるという効果が得られる。
【0026】
なお、同シミュレーションでは、電流制御器81のゲインK1,K2を固定したが、これを可変とし、インバータの起動時または再起動時に初期値を用いて速度推定値を求める際に電流制御器のゲインを通常動作状態に比べて大きくする(制御器の応答速度を上げる)ことにより、速度推定値の初期値と実速度の間に誤差がある場合に一致させるまでの時間をより短くすることができることも確認している。これによれば、早く安定した制御ができるという効果が得られる。
【0027】
次に、本発明である回転速度センサの出力を用いない図1の再粘着制御器10の詳細な構成について説明する。先ず発明の原理について空転時を想定して説明する。滑走については動作が逆になるだけで原理は同じであるので、ここでの説明は省略する。図1において電動機2で駆動される車輪(図示せず)に空転が発生すると、回転速度が急に大きくなり、その分電動機に与えられるすべり周波数が減少する。このとき電動機電流つまりトルク電流Iqが減少し、減算器7の出力であるトルク電流偏差ΔIqが大きくなる。その結果速度推定器8の電流制御器81が動作して、電動機回転速度推定値Frが大きくなる。すなわち空転が発生して電動機回転速度が大きくなると、回転速度推定値Frも同様に大きくなるので、Frの変化を観測することによって空転の発生を検知することができる。このまま何もしないと、空転は発散してしまうので、Frの変化から空転を検知して再粘着制御器10でトルク電流指令値Iq**を小さくするよう制御することによって空転を抑え再粘着させる。
【0028】
図6は、本発明の上記原理に基づく再粘着制御器10の一構成例を示す。101 は微分器で回転速度推定値Frの時間変化量を求める。102は空転検知器で微分器101の出力が所定の値を超えたときには、空転発生と判定し、空転ON信号(1)を出力する。一旦空転ONとなった後微分器101の出力が所定の値以下に下がった場合には、空転終了と判断し、空転OFF信号(0)を出力する。103はパターン発生器で空転ON信号が入力されると、所定の割合で増加する量を出力し、空転OFF信号が入力されると、出力が0になるまで所定の割合で減少する量を出力し、0になると0を保持する。
【0029】
この再粘着制御器10の働きにより、空転が発生してもそれを検知しトルク電流指令Iq**を小さくする出力ΔIq* を与えるので、電動機トルクが小さくなり、空転が抑えられ、再粘着に至る。再粘着するとΔIq* を徐々に元に戻すことによって必要なトルクを確保する。なお、同構成例では、パターン発生器103 の所定パターンの出力よりトルク電流指令を絞り込んでいるが、その代わりとして回転速度推定値Frの時間変化量に応じてトルク電流を絞り込んでもよい。
【0030】
図7は、上記図6の構成例を図1の制御装置に適用したときの空転現象に対する動作の確認をシミュレーションした結果である。図7の(a)(b)(c)に示す特性は図5と同一としている。このシミュレーションでは、電動機のトルクが所定の値を超えると、レールと車輪間の粘着力が減少して空転が発生するとしている。
【0031】
図7(a)(b)(c)をみるように、空転が発生するとトルク電流成分が絞り込まれており、これから再粘着制御器10においてFr推定値の時間変化率が所定の値を超えたことにより空転を検知し、トルク電流を絞り込む動作が行われたものとわかる。また、その動作後、トルク電流成分が回復しており再粘着制御が行われていることがわかる。このシミュレーションでは加速中に5回の空転が繰り返し発生しているが、いずれも空転による電動機速度が発散せずに再粘着制御が行われていることがわかる。
【0032】
このように本発明の構成によれば、空転の発生に対しても速度推定値の変化により空転を検知して再粘着制御を行うことにより電動機の回転速度を検出することなく制御を行うことができるという効果が得られる。
【0033】
以上の実施例では、誘導電動機をベクトル制御のインバータで駆動することを対象に説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、インバータの出力電流の瞬時値を制御する電流制御器の出力を電動機の回転速度の推定値として速度センサレスを構成するものについても本発明を適用できることは勿論である。
【0034】
また、本発明の実施例を鉄道を走行する電気車を対象にした制御装置で説明したが、これに限られるものではなく、例えば、道路を走行する電気自動車における制御装置に本発明を適用しても同様な効果が得られることは勿論である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、基本的には電動機の回転速度を直接に検出することなく、推定した電動機回転速度を用いてインバータにより電動機を可変速制御することができ、特に電気車が走行している状態でインバータの動作を停止した後、再起動する場合にも簡単な構成で回転速度を推定でき、スムーズな加減速制御が可能となる。さらに推定した電動機の回転速度に基づいて電流指令を調整することにより電動機が空転,滑走した場合にも再粘着させることができる。このとき再粘着制御は電動機の実回転速度に依存していないので、速度センサの外乱などによる空転,滑走の誤検知がなくなり、粘着性能の向上が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の基本構成を示すブロック図。
【図2】本発明の速度推定器8の一構成図。
【図3】本発明の速度推定器8の別の構成図。
【図4】本発明の速度推定器8の別の構成図。
【図5】本発明によるインバータ再起動時におけるシミュレーション結果。
【図6】本発明の再粘着制御器10の一構成図。
【図7】本発明による空転発生時におけるシミュレーション結果。
【符号の説明】
1…インバータ、2…誘導電動機、3…電流指令発生器、4,7…減算器、5…座標変換器、6…ベクトル制御演算器、8…速度推定器、9…PWM信号演算器、10…再粘着制御器、11…直流電源、12…フィルタコンデンサ、13…電気車速度検出器、14…電流検出器。

Claims (7)

  1. 電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該速度推定手段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、
    電気車速度信号に基づいて電気車を自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆動輪の回転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検出する加速度センサの内少なくとも一つが前記電気車に備えられ、前記速度推定手段は、それら少なくとも一つから得られる電気車速度信号又は検出信号に基づき前記電動機の回転速度を推定する手段を有したことを特徴とする電気車の制御装置。
  2. 電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該速度推定手段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制御する制御手段と、電気車速度信号に基づいて電気車を自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆動輪の回転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検出する加速度センサの内少なくとも一つを備えた電気車の制御装置において、
    前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流から前記電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力しその偏差が小さくなるように前記回転速度の推定値を出力する手段と、該推定値を前記自動列車制御装置の電気車速度信号、前記速度計、前記加速度センサからの検出信号の少なくとも何れかより補正する手段とからなることを特徴とする電気車の制御装置。
  3. 電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該速度推定手段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制御する制御手段と、電気車速度信号に基づいて電気車を自動制御する自動列車制御装置、電気車の非駆動輪の回転速度を検出する速度計、電気車の加速度を検出する加速度センサの内少なくとも一つを備えた電気車の制御装置において、
    前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流から前記電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力しその偏差が小さくなるように前記回転速度の推定値を出力する手段と、前記自動列車制御装置の電気車速度信号、前記速度計、前記加速度センサからの検出信号の少なくとも何れかより前記電動機の回転速度に相当した回転速度想定値を演算する手段と、該回転速度想定値より前記速度推定手段の推定値の初期設定をする手段とからなることを特徴とする電気車の制御装置。
  4. 電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該速度推定手段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、
    前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流から前記電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力しその偏差が小さくなるように前記回転速度の推定値を出力する手段と、前記インバータを停止させる電気車の惰行運転から、前記インバータを再起動させ力行または回生運転させる際に、前記惰行運転に入った時の前記速度推定手段における回転速度の推定値を記憶する手段と、該記憶した回転速度の推定値に基づき前記インバータの再起動時の電動機速度の推定値を初期設定する手段を有したことを特徴とする電気車の制御装置。
  5. 請求項4において、前記再起動時の電動機の回転速度の推定値の初期値が、少なくとも前記記憶した回転速度の推定値と電気車の惰行時間に基づき設定されること特徴とする電気車の制御装置。
  6. 電気車を駆動する電動機に可変電圧可変周波数の交流を出力するインバータと、前記電動機の回転速度を推定する速度推定手段と、該速度推定手段からの回転速度推定値に基づいて前記インバータを制御する制御手段を備えた電気車の制御装置において、
    前記速度推定手段は、前記インバータの出力電流から前記電動機のトルク成分に相当する検出値を検出し、該検出値とその指令値との偏差を少なくとも積分器に入力しその偏差が小さくなるように前記電動機の回転速度の推定値を出力する速度推定手段と、該速度推定手段の応答速度を可変とし前記インバータの起動時もしくは再起動時に上げる手段を有したことを特徴とする電気車の制御装置。
  7. 請求項2乃至6の何れかにおいて、前記速度推定手段で推定された前記電動機の回転速度の推定値の時間変化量を演算する手段と、該時間変化量が所定値を超えたことに応動させて、該時間変化量に応じて前記トルク成分指令値を減少させるか、又は所定の時間関数のパターンで前記トルク成分指令値を減少させる手段を有することを特徴とする電気車の制御装置。
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