JP3745550B2 - 赤外線感応性平版印刷版 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポジ型の平版印刷用原版として用いることができる赤外線感応性平版印刷版に関する。その中でも、ディジタル信号に基づいて可視光もしくは赤外線などの各種のレーザを操作することにより直接製版可能であり、現像することなしにそのまま印刷機に装着し、印刷することができる赤外線感応性平版印刷版に関し、特に無処理刷版製造に適した赤外線感応性の平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、PS版による印刷版の製造には、露光工程の後に、支持体表面の上に設けられた感光性層を画像状に除去するための湿式による現像工程や現像処理された印刷版を水洗水で水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液、アラビアガム、澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程が含まれる。
一方近年の製版、印刷業界では現像廃液がアルカリ性であるため環境問題が生じてきている。また製版作業の合理化が進められており、上記のような複雑な湿式現像処理を必要とせず、露光後にそのまま印刷に使用できる印刷版用原版が望まれている。
【0003】
US5,102,771号、US5,225,316号には酸感受性基を側鎖にもつポリマーと光酸発生剤を組み合わせた感材が提示されており、無現像システムが提案されている。この版材は発生する酸がカルボン酸であるために、親水性の程度が低くなり汚れやすく、版材の耐久性や印刷画像の鮮明さに劣る欠点を持つ。
【0004】
ポジ型無処理平版印刷用版材の製造に適した輻射線感応性の画像形成材料としては、特開平7−186562号公報に記載されたものが公知であり、また、本発明者らによる特願平9−26878号や特願平9−26877号にも記載されている。これら公報および明細書中には、特定のカルボン酸エステル、もしくはスルホン酸エステル構造からなる加熱もしくは酸の作用により疎水性から親水性に変化し得る官能基と、トリメトキシシリル基からなる加水分解重合性化合物と反応し得る官能基と、を有する化合物が記載されている。これらの化合物を用いると、露光後現像処理なしでも印刷可能であり、満足できる印刷物を得ることができる。
【0005】
しかし、ディジタル信号に基づいて可視光もしくは赤外線などの各種のレーザを操作することにより直接製版可能とするためには、画像形成材料中には赤外線吸収剤を入れる必要があるが、赤外線吸収剤の多くは、光熱変換の後、自身が分解して疎水性となる場合が多く、露光部における汚れの原因となる場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、画像書き込み後、湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要としない赤外線感応性平版印刷版を提供することである。特に、赤外線を放射する固体レーザまたは半導体レーザ等を用いて記録することにより、ディジタルデータから直接製版可能である赤外線感応性平版印刷版を提供することである。詳しくは、本発明の目的は、耐刷性が高く、非画像部の汚れのない印刷物を得ることができるポジ型の赤外線感応性平版印刷版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、下記輻射線(赤外線)感応性平版印刷版を用いることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)少なくとも結着剤と赤外線吸収剤とを含有する感光層を有する輻射線感応性平版印刷版において、該結着剤が、酸、輻射線および熱の少なくともいずれかにより疎水性から親水性に変化する官能基を有し、かつ架橋された結着剤であり、該赤外線吸収剤が、熱によって親水性に変化する疎水性官能基を有する赤外線吸収剤であることを特徴とする輻射線感応性平版印刷版。
(2)前記熱によって親水性に変化する疎水性官能基が、赤外線吸収剤中の芳香環に直接または連結基を介して結合していることを特徴とする前記(1)に記載の輻射線感応性平版印刷版。
(3)前記赤外線吸収剤が下記一般式〔I〕で表されることを特徴とする前記(2)に記載の輻射線感応性平版印刷版。
【0008】
【化2】
Figure 0003745550
【0009】
(式中A1、A2は各々独立して熱によって親水性に変化する疎水性官能基を表し、Ar1、Ar2は各々独立してアリール基を表し、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3は各々独立して水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、任意の二つで環を形成しても良く、D1、D2は各々独立してアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、X-は対アニオンを表し、Y1、Y2、Z1、Z2は各々独立して非金属原子からなる2価の連結基を表す。)
【0010】
(4)前記熱によって親水性に変化する疎水性官能基が、スルホン酸エステル基であることを特徴とする前記(1)に記載の輻射線感応性平版印刷版。
(5)前記感光層に、更に複数の水不溶性固体粒子を含有することを特徴とする前記(1)に記載の輻射線感応性平版印刷版。
(6)前記感光層が、前記水不溶性固体粒子が前記結着剤により覆われ、前記水不溶性固体粒子同士が前記結着剤を介して部分的に結着し、前記結着剤により覆われた水不溶性固体粒子同士の間に空隙が生じた構造体であることを特徴とする前記(5)に記載の輻射線感応性平版印刷版。
(7)前記結着剤が、酸、輻射線および熱の少なくともいずれかにより疎水性から親水性に変化する官能基、及び、下記一般式(1)で表される加水分解重合性化合物と反応する官能基、を同一分子内に有する化合物と、
下記一般式(1)で表される加水分解重合性化合物と、
を反応させて得られる化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の輻射線感応性平版印刷版。
【0011】
【化3】
Figure 0003745550
【0012】
(式中、Q1及びQ2は同一であっても異なっていても良く、アルキル基またはアリール基を表し、XはSi、Al、TiまたはZrを表し、nは0〜2の整数を表す。)
(8)前記結着剤が、▲1▼スルホン酸エステル基およびアルコキシアルキルエステル基のうちの少なくともいずれかと、−OH、−NH2、−COOH、−NH−CO−Q3、−Si(OQ43[式中、Q3及びQ4はアルキル基又はアリール基を表し、これらの官能基を有する化合物中にQ3及びQ4の双方が存在する場合には、これらは同じであっても異なっていても良い。]から選ばれる少なくとも一つの官能基と、を同一分子内に有する化合物と、▲2▼下記一般式(1)で表される加水分解重合性化合物と、。反応させて得られる化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の輻射線感応性平版印刷版。
【0013】
【化4】
Figure 0003745550
【0014】
(式中、Q1及びQ2は同一であっても異なっていても良く、アルキル基またはアリール基を表し、XはSi、Al、TiまたはZrを表し、nは0〜2の整数を表す。)
【0015】
前記(1)〜(7)の本発明の作用・効果について説明する。
前記(1)の本発明の輻射線感応性平版印刷版においては、所定の加熱手段による熱、所定の輻射線発生手段による輻射線、あるいは所定の酸発生手段による酸により記録することにより、感光層が疎水性から画像様に親水性となり、画像形成後現像処理することなく印刷可能であり、満足できる印刷物を得ることができる。本発明においては、赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レーザー等を用いて記録する場合の感度を確保するべく、感光層に赤外線吸収剤を添加している。
【0016】
本発明に用いられる赤外線吸収剤とは、熱によって親水性に変化する疎水性官能基を有する赤外線吸収剤であり、熱によって親水性に変化する疎水性官能基とは、元々疎水性の側鎖官能基が熱により反応して親水性に変化する過程と、元々疎水性の側鎖官能基が熱により分解して疎水性官能基を失うことで親水性に変化する過程のいずれかの過程により親水性官能基に変化する官能基である。この変化は、レーザー露光時の光熱変換により熱が発生した場合に、常温では水に対して溶解する等の親和性を示さない赤外線吸収剤が、分子内の親水性に変化する疎水性官能基が分解し親水性官能基に変化して、水に対して溶解する等の親和性を示すようになる程度の変化であることを要する。
従って、前記(1)の本発明の輻射線感応性平版印刷版を赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レーザー等を用いて記録した場合、元々疎水性の赤外線吸収剤が光熱変換後に親水性となるために、露光部における汚れが発生しない。
【0017】
前記(3)の本発明の輻射線感応性平版印刷版は、赤外線吸収剤が、上記一般式〔I〕で表される赤外線吸収剤となっている。かかる赤外線吸収剤は、合成が容易であり、安価に大量に製造することができる。また、固体レーザーまたは半導体レーザーの発する赤外線を効率よく吸収することができるばかりでなく、光熱変換後に芳香環上の熱によって親水性に変化する疎水性官能基が親水性に変化するために、該赤外線吸収剤自身も親水性となり、露光部において汚れが発生しない。
【0018】
前記(4)の本発明の輻射線感応性平版印刷版は、赤外線吸収剤中の芳香環上に直接又は連結基を介して結合している熱によって親水性に変化する疎水性官能基が、スルホン酸エステル基となっている。スルホン酸エステル基の分解機構は明確ではないが、スルホン酸エステルの熱分解に関する文献(T.endo,Macromolecules,1996,29,3317)に記載されるように、エステル部分が熱によりカルボカチオンを経由して脱離し、スルホン酸を発生しているものと考えられる。このようにスルホン酸エステル基は、疎水性の高いスルホン酸エステル基が、熱によって非常に親水性の高いスルホン酸基となるために、スルホン酸エステル基を導入した疎水性の赤外線吸収剤でも、熱によって親水性に変化させることができる。そのために、前記(4)の本発明の輻射線感応性平版印刷版を赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レーザー等を用いて記録した場合、元々疎水性の赤外線吸収剤が、光熱変換後、スルホン酸エステル基がスルホン酸に変化することで親水性となるために、露光部における汚れが発生しない。
【0019】
また、前記(5)及び(6)の本発明の輻射線感応性平版印刷版は、感光層に、更に複数の水不溶性固体粒子を存在させたものであり、各水不溶性固体粒子が前記結着剤により覆われ、該結着剤を介して水不溶性固体粒子が部分的に結着した状態とすることで、当該輻射線感応性平版印刷版の表面に凹凸がある状態、特に水不溶性固体粒子同士の間に空隙が生じた構造体の状態となっている。このような構造にすることで、水不溶性固体粒子を覆う結着剤が親水性であれば、粒子間の空隙部分に水分が保持されて親水性の状態となり、前記結着剤が疎水性であれば、水不溶性固体粒子間の空隙には水がしみ込まず、親油性の表面状態となる。従って、前記(5)及び(6)の本発明の輻射線感応性平版印刷版の表面においては、熱、輻射線、あるいは酸により疎水性から親水性となるため、画像形成後現像処理することなく印刷可能であり、満足できる印刷物を与えることができる。
【0020】
前記(7)の本発明の輻射線感応性平版印刷版は、加水分解重合性化合物が加水分解重合して無機物のマトリックス(加水分解重合反応物)が塗布膜中に形成され、全体として感光層の膜強度が向上する。そのため、かかる輻射線感応性平版印刷版は極めて耐刷性の高いものとなる。
【0021】
前記(8)の本発明の輻射線感応性平版印刷版は、結着剤が、「スルホン酸エステル及びアルコキシアルキルエステル基のうちの少なくともいずれか」(以下、「官能基X」という場合がある。)とともに、「−OH、−NH2、−COOH、−NH−CO−Q3、−Si(OQ43[式中Q3及びQ4はアルキル基又はアリール基を表し、これら官能基を有する化合物中にQ3及びQ4の双方が存在する場合には、これらは同じであっても異なっていてもよい。]から選ばれる少なくとも1つの官能基」(以下、「官能基Y」という場合がある。)、を同一分子内に有する化合物(以下、「化合物A」という場合がある。)と、「上記一般式(1)で表される加水分解重合性化合物」との反応生成物となっている。例えば、結着剤を適当な支持体上に塗布する際には、加水分解重合性化合物が加水分解重合して無機酸化物のマトリックスが塗布膜中に形成されると共に、化合物Aの官能基Yと反応し、有機無機複合体(反応生成物)を形成し、架橋構造が密となり、感光層全体として膜強度が向上する。そのため、かかる輻射線感応性平版印刷版は極めて耐刷性の高いものとなる。
【0022】
上記の赤外線吸収剤および結着剤を含有する感光層を有する本発明の輻射線感応性平版印刷版は、赤外線を放出する固体レーザー及び半導体レーザーを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能であり、画像記録後、湿式現像処理や擦り等の特別な処理をすることなく印刷可能であり、耐刷性が高く、かつ汚れの生じない印刷物を得ることができる輻射線感応性平版印刷版となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の感光性平版印刷版の感光層は、熱によって親水性に変化する疎水性官能基を置換基として有する芳香環を有する赤外線吸収剤(以下、単に「赤外線吸収剤」、「本発明における赤外線吸収剤」あるいは「IR吸収剤」とも言う場合がある。)と、酸、輻射線および熱の少なくともいずれかにより疎水性から親水性に変化する官能基を有し、かつ架橋された結着剤を含む。その他、目的に応じて、酸発生剤等を含有してなる。本発明の感光性平版印刷版の感光層は、熱によって親水性に変化する疎水性官能基を有する赤外線吸収剤自身が、酸発生剤の効果も示すため、酸発生剤は含有しなくてもよいが、感度の更なる向上ためには、酸発生剤を添加することが好ましい。
【0024】
1.赤外線吸収剤
本発明の感光性平版印刷版に用いられる赤外線吸収剤は、染料又は顔料であり、熱によって親水性に変化する疎水性官能基を置換基として有する芳香環を有する、すなわち、色素部位の芳香環上に直接または連結基を介して熱によって親水性に変化する疎水性官能基が結合している構造を有するものである。この変化は、レーザー露光時の光熱変換により熱が発生した場合に、常温では水に対して溶解する等の親和性を示さない赤外線吸収剤が、分子内の親水性に変化する疎水性官能基が親水性官能基に変化して、水に対して溶解する等の親和性を示すようになる程度の変化であることを要する。
【0025】
熱によって親水性に変化する疎水性官能基とは、元々疎水性の側鎖官能基が熱により反応して親水性に変化する過程と、元々疎水性の側鎖官能基が熱により分解して疎水性官能基を失うことで親水性に変化する過程のいずれかの過程により親水性官能基に変化する官能基である。
前者の熱により反応して親水性に変化する過程としては、疎水性官能基が赤外線吸収剤内部の他の官能基と熱により反応して親水性に変化する過程と、疎水性官能基が赤外線吸収剤外部の他の化合物と熱により反応して親水性に変化する過程とが考えられ、これらを二種組み合わせた過程により親水性に変化しても良い。
【0026】
上述した過程のうち、反応性の観点から、元々疎水性の側鎖官能機が熱により分解して疎水性官能基を失うことで親水性に変化する過程が好ましい。
本発明の感光性平版印刷版の感光層に含まれる赤外線吸収剤が有する疎水性官能基の具体例としては、以下のような官能基が挙げられる。
【0027】
【化5】
Figure 0003745550
【0028】
(式中、R21、R23はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を表し、R22、R24は水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を表し、R21とR22、R21とR23、及びR21とR24で環を形成しても良い)
【0029】
また、以下に前記熱によって親水性に変化する疎水性官能基の内、好ましいものとして、下記一般式〔III〕〜〔VII〕で表される疎水性官能基を挙げることができる。
【0030】
【化6】
Figure 0003745550
【0031】
上記一般式において、Lは非金属原子からなる多価の連結基を表し、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は環状イミド基を表し、R2、R3はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R4はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基又は−SO2 −R11を表し、R5、R6及びR7はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R8及びR9の内の一方は水素、他方は水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R10はアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R11はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、R5、R6及びR7の内の任意の2つもしくは3つで環を形成しても良く、R8とR10またはR9とR10でで環を形成しても良い。XはO又はSを表す。
【0032】
本発明において、前記疎水性官能基が熱によって変化した結果生じる親水性官能基の具体例としては、以下のような官能基が挙げられる。ただし、これらは本発明の内容を限定するものではない。
【0033】
【化7】
Figure 0003745550
【0034】
(式中、R25、R26、R27は水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を表し、任意の2つで環を形成しても良い。E-は対アニオンを表す。)
【0035】
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27がアルキル基を表すとき、アルキル基としては、炭素原子数が1〜20までの直鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を挙げることができる。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分岐状および炭素原子数5〜10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0036】
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27が置換アルキル基を表すとき、その置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、
【0037】
N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、
【0038】
アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、
【0039】
モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
【0040】
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(R28CO−)におけるR28としては、水素、及び上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
【0041】
これら置換基の内、更により好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基等が挙げられる。
【0042】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては、前述の炭素数1〜20のアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除き、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分岐状、及び炭素原子数5〜10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、
【0043】
N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0044】
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27が、アリール基を表すとき、アリール基としては、1個〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。また、アリール基には上記炭素環式アリール基の他、複素環式(ヘテロ)アリール基が含まれる。複素環式アリール基としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。
【0045】
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27が、置換アリール基を表すとき、置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、及び、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
【0046】
この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、
【0047】
スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0048】
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27が、アルケニル基、置換アルケニル基[−C(R29)=C(R30)(R31)]、アルキニル基、又は置換アルキニル基[−C≡C(R32)]を表すとき、R29〜R32としては、一価の非金属原子団を使用することができる。
好ましいR29〜R32の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。R29〜R32のより好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子及び炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。
アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、及び置換アルキニル基の具体例としては、ビニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、プロピニル基、フェニルエチル基等を挙げることができる。
【0049】
上記のうち、R21、R23、R25、R27として好ましいものは、アルキル基、置換基アルキル基、アリール基、及び置換アリール基であり、R22、R24、R26、として好ましいものは、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基である。
-で表される対アニオンとは、負電荷を有するアニオンであり、親水性官能基であるアンモニウム基(−N+414243)中の正電荷とイオンペアを形成する。故に、E-で表される対アニオンは、アンモニウム基中に存在する正電荷と等電荷となるモル数だけ存在する。
より具体的な対アニオンとしてはF-、Cl-、Br-、I-、HO-、CN-、SO4 2-、HSO4 -、SO3 2-、HSO3 -、NO3 -、CO3 2-、HCO3 -、PF6 -、BF4 -、ClO4 -、ClO3 -、ClO2 -、ClO-、BrO4 -、BrO3 -、BrO2 -、BrO-、IO4 -、IO3 -、IO2 -、IO-、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、リン酸アニオン等が挙げられる。
【0050】
スルホン酸アニオンの具体例としては、以下のようなものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
【化8】
Figure 0003745550
【0052】
【化9】
Figure 0003745550
【0053】
カルボン酸アニオンの具体例としては、以下のようなものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
【化10】
Figure 0003745550
【0055】
【化11】
Figure 0003745550
【0056】
ホスホン酸アニオンの具体例としては、以下のようなものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
【化12】
Figure 0003745550
【0058】
リン酸アニオンの具体例としては、以下のようなものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
【化13】
Figure 0003745550
【0060】
これらのアニオンのうち、本発明に好適に使用されるアニオンは、Cl-、Br-、I-、CN-、SO4 2-、PF6 -、BF4 -、ClO4 -、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、リン酸アニオンである。
このような熱により親水性に変化する疎水性官能基のうち、反応性、保存安定性、及び親疎水性のディスクリの観点から特に好ましい官能基は、以下の一般式〔II〕で表されるスルホン酸エステル基である。
【0061】
【化14】
Figure 0003745550
【0062】
(式中、L1 はアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、又は環状イミド基を表す。)
1 がアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基を表すとき、これら官能基の具体例としては前述のような官能基が挙げられる。
1 が環状イミド基を表すとき、環状イミドとしては、琥珀酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキサンジカルボン酸イミド、ノルボルネンジカルボン酸イミド等の炭素原子4〜20までのものを用いることができる。
上記のうちL1 として好ましいものは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、環状イミド基である。
以下に熱分解性スルホン酸エステル基の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
【化15】
Figure 0003745550
【0064】
【化16】
Figure 0003745550
【0065】
また、本発明に用いられるIR吸収剤の色素部位としては、700〜1200nmに吸収を持つ染料又は顔料である。
上記のようなIR吸収剤の色素部位として好ましいものとしては、ポリメチン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジインモニウム色素、フタロシアニン化合物、トリアリールメタン色素、金属ジチオレン、カーボンブラック等が挙げられる。これらのうち更に好ましいものとしては、ポリメチン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジインモニウム色素、フタロシアニン化合物であり、その中でも合成適正の観点からポリメチン色素、シアニン色素、フタロシアニン化合物がもっとも好ましい。
本発明に用いられる、熱により親水性に変化する疎水性官能基を有するIR吸収剤の色素部位の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】
【化17】
Figure 0003745550
【0067】
【化18】
Figure 0003745550
【0068】
本発明の輻射線感応性平版印刷版に用いられる赤外線吸収剤としては、上記のような染料もしくは顔料に、上記のような熱により親水性に変化する疎水性官能基を有する限り、どのような赤外線吸収剤でも使用することができるが、合成が容易でかつ性能も比較的優れたものとして、該疎水性官能基が赤外線吸収剤中の芳香環に直接または連結基を介して結合しているものが好ましい。本発明において特に好ましい赤外線吸収剤は、以下の一般式〔I〕で表される赤外線吸収剤である。
【0069】
【化19】
Figure 0003745550
【0070】
式中A1、A2は各々独立して熱によって親水性に変化する疎水性官能基を表し、Ar1、Ar2は各々独立してアリール基を表し、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3は各々独立して水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、任意の二つで環を形成しても良い。D1、D2は各々独立してアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、X-は対アニオンを表し、Y1、Y2、Z1、Z2は各々独立して非金属原子からなる2価の連結基を表す。
1、A2で表される熱によって親水性に変化する疎水性官能基としては、前述の官能基が挙げられる。このうち特に好ましいのは前述の一般式〔II〕で表されるスルホン酸エステル基である。
【0071】
Ar1、Ar2で表されるアリール基としては、前述のようなアリール基、置換アリール基が挙げられる。このうち特に好ましいのはフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アントラセニル基、置換アントラセニル基である。
1、B2、B3、B4、C1、C2、C3がハロゲンを表す場合、ハロゲンとしてはF、Cl、Br、Iを用いることができる。
1、B2、B3、B4、C1、C2、C3がアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルキニル基、置換アルキニル基、アルケニル基、置換アルケニル基を表す場合、これら官能基としてはとしては前述のような官能基を用いることができる。
上記のうち、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3として好ましいものは、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基であり、特に好ましいのは更に任意の二つで環を形成している場合である。
1、D2で表されるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基を用いることができ、このうち特に好ましいのはアルキル基、置換アルキル基である。
【0072】
-で表される対アニオンとは、負電荷を有するアニオンであり、赤外線吸収剤中の正電荷とイオンペアを形成する。故に、X-で表される対アニオンは、赤外線吸収剤中に存在する正電荷と等電荷となるモル数だけ存在する。
より具体的な対アニオンとしては前述のようなアニオンが挙げられる。これらのアニオンのうち、本発明に好適に使用されるアニオンは、Cl-、Br-、I-、CN-、SO4 2-、PF6 -、BF4 -、ClO4 -、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、リン酸アニオンである。
1、Y2で表される非金属原子からなる2価の連結基とは、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0073】
【化20】
Figure 0003745550
【0074】
2価の連結基が置換基を有する場合、置換基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基のような炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基のような炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基のような炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネートのような炭酸エステル基等を用いることができる。
1、Z2で表される非金属原子からなる2価の連結基とは、0から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、0個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0075】
【化21】
Figure 0003745550
【0076】
2価の連結基が置換基を有する場合、置換基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基のような炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基のような炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基のような炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネートのような炭酸エステル基等を用いることができる。
本発明の平版印刷版に用いられる赤外線吸収剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
【化22】
Figure 0003745550
【0078】
【化23】
Figure 0003745550
【0079】
【化24】
Figure 0003745550
【0080】
【化25】
Figure 0003745550
【0081】
【化26】
Figure 0003745550
【0082】
【化27】
Figure 0003745550
【0083】
また、本発明の感光性平版印刷版原版に用いられる赤外線吸収剤のうち、更に好ましいものの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0084】
【化28】
Figure 0003745550
【0085】
【化29】
Figure 0003745550
【0086】
【化30】
Figure 0003745550
【0087】
【化31】
Figure 0003745550
【0088】
【化32】
Figure 0003745550
【0089】
【化33】
Figure 0003745550
【0090】
【化34】
Figure 0003745550
【0091】
【化35】
Figure 0003745550
【0092】
【化36】
Figure 0003745550
【0093】
【化37】
Figure 0003745550
【0094】
【化38】
Figure 0003745550
【0095】
上記の本発明の平版印刷版に用いられる赤外線吸収剤の具体的合成方法を以下に記載するが、本発明はこの合成法に従って合成された赤外線吸収剤に限定されるものではない。
(化合物1の合成)
【0096】
【化39】
Figure 0003745550
【0097】
化合物(A)20.7g、トルエン50mlおよび2−クロロ(1−メトキシ−2−プロピル)スルフォネート21.6gを300mlの三口にいれスチームにより2時間加熱還流を行った。加熱後室温にまで冷却し、アセトン200mlえを加えた。生じた固体を濾過し、30.4gの化合物(B)を得た。
さらに、化合物(B)21gと化合物(C)8.9gとを100mlのメタノール中、無水酢酸9.4ml加え室温にて10分間攪拌した。その後トリエチルアミン14.0gを20分かけて滴下した。室温下でさらに2時間攪拌を続けた後、p−トルエンスルホン酸6.5g加え、室温にて2時間攪拌した。生成した結晶を濾過し、化合物1を得た(収量23g,元素分析およびNMRより構造を確認)。
【0098】
(化合物10の合成)
500ml容量の三口フラスコにクロロ硫酸230gを入れ、攪拌下、温度を20〜50℃の範囲に保ちながらバナジルフタロシアニン25gを0.5 時間かけて加えた。次に130 〜140 ℃にて3 時間加熱攪拌した。60℃に冷却した後、塩化チオニル32g を20分かけて滴下し、攪拌をしながら温度を80℃に上げた。その後、0 〜3 ℃に冷却し、15分攪拌し、生じた結晶を濾過し、冷却水にて洗浄を行った。得られた固体を乾燥することにより、28g のスルホニルクロライド体を得た。
20g のスルホニルクロライド体を300ml容量の三口フラスコにとり1-メトキシ-2- プロパノール10g を加えた。次に反応液を冷却しながらピリジン28g を滴下した。滴下後冷却をやめ、生じた結晶を濾過し、メタノール500 mlを用いて洗浄を行い、乾燥を行い化合物10を得た( 収量19g 、元素分析およびNMRによりその構造を確認)。
【0099】
【化40】
Figure 0003745550
【0100】
(化合物27の合成)
300ml容量の三口フラスコにクロロスルホン酸58.3gを入れ、0℃に冷却した。ここに激しく攪拌しながら化合物(A)20.9gを少量ずつ30分かけて添加した。添加終了後、室温にまで昇温して10時間攪拌を続けた後、3リットル容量のビーカーに用意した氷水1リットル(激しく攪拌)に反応混合物を投入した。この水溶液に水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:32g/H2O :300ml)を30分かけて滴下した後、酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチル溶液は、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。こうして得られた酢酸エチル溶液を、減圧溜去により濃縮すると29gの化合物(B)が得られた。
【0101】
さらに化合物(B)18.5gと1-メトキシ-2-プロパノール6.5gを200ml容量のナスフラスコにとり、0℃に冷却した。ここにピリジン9.5gを10分かけて滴下し、滴下終了後そのまま6時間攪拌を続けた。酢酸エチルで希釈した反応混合物を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧溜去して得られた油状物を、シリカゲルカラムで生成すると15gの化合物(C)が得られた。
化合物(C)8.5gを100ml容量のナスフラスコにとり、室温にて激しく攪拌した。ここにトリフルオロメタンスルホン酸エチル5.1gを10分かけて滴下し、滴下終了後、更に1時間攪拌した。得られた反応混合物にメタノール50ml、化合物(D)4.2gと無水酢酸2.8gを加え、激しく攪拌しながら更にトリエチルアミン2.8gを10分かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムで生成すると暗緑色の固体が得られた。この固体をメタノールに溶解し、大過剰のp-トルエンスルホン酸ナトリウムを溶かした水に投入すると、緑色の固体が析出した。この緑色固体を濾別し、蒸留水で洗浄すると化合物が得られた(収量7.8g、元素分析及びNMRにより構造確認)。
【0102】
本発明において、これらの赤外線吸収剤の含有量は、感光層の全固形分中、0.1〜50重量%程度であり、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは3〜15重量%の範囲で用いられる。赤外線吸収剤の含有量が0.1重量%未満であると感度が低く印刷時の汚れが生じ易くなり、また、50重量%を越えると全ての赤外線吸収剤を親水性に変えることができなくなるため、感光層中の赤外線吸収剤が疏水性に維持されたままとなり、汚れが生じる傾向が出てくる。
【0103】
次に、本発明の輻射線感応性平版印刷版に用いられる赤外線吸収剤以外の感光層成分について述べる。
2.結着剤
本発明において、結着剤は酸、輻射線もしくは熱により疎水性から親水性に変化する官能基を有し、かつ架橋された化合物である。
ここで親水性から疎水性へ変化するとは、平版印刷版の印刷面としての機能を発揮し得る程度のある程度明確な親水性の変化を言い、化合物の空中水滴接触角を15°以上低下させるものであることが好ましい。即ち、この化合物としては、空中における水滴の接触角が、酸、輻射線もしくは熱の作用により15°以上低下して、当初は疎水性であったものが親水性になるようなものであることが好ましい。さらに、この化合物としては、空中水滴接触角が、40°以上低下するものであることがより好ましい。また、この化合物としては、具体的には空中水滴接触角が、当初60°以上であったものが、酸、輻射線もしくは熱の作用により20°以下まで低下するものであることが好ましい。
【0104】
本発明において、上記性質を有する化合物であれば、いずれも結着剤として好ましく使用することができるが、かかる化合物の具体例として、好ましくは、「スルホン酸エステル基およびアルコキシアルキルエステル基の少なくともいずれか」、即ち官能基Xを有する化合物が挙げられる。
【0105】
まず、官能基Xの具体例について詳細に説明する。
スルホン酸エステル基は下記一般式(2)で表すことができる。
【0106】
【化41】
Figure 0003745550
【0107】
式中、L2 は一般式(2)で示される官能基をポリマー骨格に連結するのに必要な多価の非金属原子から成る有機基を表し、R11は置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換アルキル基又は環状イミド基を示す。
【0108】
11がアリール基若しくは置換アリール基を表すとき、アリール基には炭素環式アリール基と複素環式(ヘテロ)アリール基が含まれる。炭素環式アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基等の炭素数6から19のものが用いられる。また、複素環式アリール基としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。R11がアルキル基若しくは置換アルキル基を表すとき、当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1から25までのものが用いられる。
【0109】
11が置換アリール基、置換ヘテロアリール基、置換アルキル基であるとき、置換基としてはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10までのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基のようなハロゲン置換されたアルキル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、p−クロロフェニルオキシカルボニル基等の炭素数2から15までのアルコキシカルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基;水酸基;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−ジフェニルアミノベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;t−ブチルオキシカルボニルオキシ基等のカルボネート基;t−ブチルオキシカルボニルメチルオキシ基、2−ピラニルオキシ基等のエーテル基;アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルフォリノ基、アセチルアミノ基等の置換、非置換のアミノ基;メチルチオ基、フェニルチオ基等のチオエーテル基;ビニル基、スチリル基等のアルケニル基;ニトロ基;シアノ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;フェニル基、ナフチル基のようなアリール基;ピリジル基のようなヘテロアリール基等を挙げることができる。またR1 が置換アリール基、置換ヘテロアリール基であるとき、置換基として前述の他にもメチル基、エチル基等のアルキル基を用いることができる。
【0110】
11が環状イミド基を表すとき、環状イミドとしては、琥珀酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキサンジカルボン酸イミド、ノルボルネンジカルボン酸イミド等の炭素原子4〜20までのものを用いることができる。
【0111】
上記のうちR1 として特に好ましいものは、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子吸引性基で置換されたアリール基、ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子吸引性基で置換されたアルキル基、2級若しくは3級の分岐状のアルキル基、環状アルキル基及び環状イミドである。
【0112】
2 で表される非金属原子からなる多価の連結基とは、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0113】
【化42】
Figure 0003745550
【0114】
多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基のような炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基のような炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基のような炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネートのような炭酸エステル基等を用いることができる。
【0115】
アルコキシアルキルエステル基は、下記一般式(3)で表すことができる。
【0116】
【化43】
Figure 0003745550
【0117】
式中R21は水素原子を表し、R22は水素原子または炭素数18個以下のアルキル基を表し、R23は炭素数18個以下のアルキル基を表す。また、R21、R22およびR23の内の2つが結合して間を形成してもよい。特に、R22およびR23が結合して5または6員環を形成することが好ましい。
【0118】
本発明においては、官能基Xとして以上の一般式(2)または(3)で表されるものが挙げられるが、特に好ましくは一般式(2)で表されるスルホン酸エステル基である。
【0119】
本発明における結着剤の合成に好適に使用される、一般式(2)または(3)で表される官能基を有するモノマーの具体例を以下に示す。
【0120】
【化44】
Figure 0003745550
【0121】
【化45】
Figure 0003745550
【0122】
結着剤としては、好ましくは、前記一般式(2)または(3)で表される官能基を有するモノマーの内、少なくともいずれか一つをラジカル重合することにより得られる高分子化合物を使用する。かかる高分子化合物として、一般式(2)または(3)で表される官能基を有するモノマーの内一種のみを用いた単独重合体を使用してもよいが、2種以上を用いた共重合体やこれらのモノマーと他のモノマーとの共重合体を使用してもよい。
【0123】
他のモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、N−メチロールメタクリルアミド、2−イソシアネートエチルアクリレート等の架橋反応性を有するモノマーが好ましい。
また、共重合体に用いられる他のモノマーとして、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。
【0124】
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
【0125】
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0126】
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0127】
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0128】
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
【0129】
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
【0130】
これらの他のモノマーのうち特に好適に使用されるのは、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、及びアクリロニトリルである。
【0131】
共重合体の合成に使用される一般式(2)または(3)で表される官能基を有するモノマーの割合は、モノマー全体に対して5〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜95重量%である。
【0132】
次に、結着剤として特に好ましい例である前記(7)の本発明の輻射線感応性平版印刷版に使用される化合物Aについて説明する。
化合物Aとは、既述の官能基Xとともに、「−OH、−NH2 、−COOH、−NH−CO−Q3 、−Si(OQ4 3 [式中Q3 およびQ4 はアルキル基またはアリール基を表し、これら官能基を有する化合物中にQ3 およびQ4 の双方が存在する場合には、これらは同じであっても異なっていてもよい。]から選ばれる少なくとも1つの官能基」、即ち官能基Yをも、同一分子内に有する化合物である。
【0133】
次に、官能基Yの具体例について詳細に説明する。
官能基Yが−NH−CO−Q3 および/または−Si(OQ4 3 であるとき、Q3 およびQ4 としては、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、これらはクロル等のハロゲン、メトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基等により置換されていてもよい。−NH−CO−Q3 の具体例としては、−NH−CO−CH3 、−NH−CO−C2 5 等を挙げることができる。また、−Si(OQ4 3 の具体例としては、−Si(OCH3 3 、−Si(OC2 5 3 等を挙げることができる。
【0134】
本発明に用いられる化合物Aとしては、官能基X、好ましくは一般式(2)または(3)で表される官能基を有するモノマーの内、少なくともいずれか一つと、官能基Yを有するモノマーとをラジカル重合することにより得られる高分子化合物を使用する。このような化合物Aとして、一般式(2)または(3)で表される官能基を有するモノマーの内一種のみと、前述の官能基Yを有するモノマーの内一種のみと、を用いた共重合体を使用してもよいが、両モノマーとも、あるいはどちらか一方のモノマーについて、2種以上を用いた共重合体やこれらのモノマーと他のモノマーとの共重合体を使用してもよい。
他のモノマーとしては、前記官能基Xを有するモノマーと共重合し得るモノマーとして説明したものと同様である。
【0135】
共重合体の合成に使用される官能基Xを有するモノマーと、官能基Yを有するモノマーと、の混合割合としては、重量比で10:90〜99:1とすることが好ましく、30:70〜97:3とすることがより好ましい。
また、他のモノマーとの共重合体とする場合には、共重合体の合成に使用される官能基Xを有するモノマーおよび官能基Yを有するモノマーの合計に対する他のモノマーの割合は、5〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜95重量%である。
【0136】
以下に、本発明に用いられる化合物Aの具体例を示す。なお、化学式中カッコの右下の数値は共重合割合を示す。
【0137】
【化46】
Figure 0003745550
【0138】
【化47】
Figure 0003745550
【0139】
【化48】
Figure 0003745550
【0140】
【化49】
Figure 0003745550
【0141】
[加水分解重合性化合物]
次に、前記(6)および(7)の本発明に使用される加水分解重合性化合物について説明する。
本発明において用いられる加水分解重合性化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0142】
【化50】
Figure 0003745550
【0143】
式中、Q1 およびQ2 は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基またはアリール基を表し、XはSi、Al、TiまたはZrを表し、nは0〜2の整数を表す。R1 またはR2 がアルキル基を表す場合に、炭素数としては好ましくは1〜4である。また、アルキル基またはアリール基は置換基を有していてもよい。なお、この化合物は低分子化合物であり分子量1000以下であることが好ましい。
【0144】
加水分解重合性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものに対応するジルコネートを挙げることができる。
【0145】
加水分解重合性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらの内特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0146】
加水分解重合性化合物は、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。また部分的に加水分解後、脱水縮合していてもよい。なお、生成物の物性を調整するために、必要に応じてトリアルキルモノアルコキシシランを添加することができる。加水分解重合性化合物は、本発明の画像形成材料中で無機相を構成する化合物であるが、平版印刷用原版の基板に塗布する前の画像形成材料の溶液の状態における保存安定性を高めるために、該加水分解重合性化合物が部分加水分解重合した無機重合体の活性金属水酸基、例えば、シラノール基(Si−OH)を保護することが有効である。シラノール基の保護は、t−ブタノール、i−プロピルアルコール等の高級アルコールでシラノール基をエステル化(Si−OR)することにより達成することができる。具体的には無機相に前記高級アルコールを添加することにより実施することができる。このとき無機相の性質により、例えば、無機相を加熱して脱離した水を留去する等の手段により無機相を脱水することにより保存安定性をさらに向上させることができる。該加水分解重合の触媒となり得る酸または塩基、例えば塩酸、アンモニア等が無機相中に存在する場合には、これらの濃度を下げるとも一般的に有効である。これらは無機相を酸または塩基により中和することにより容易に実施することができる。
【0147】
前記(6)および(7)の本発明において、上記加水分解重合性化合物は感光性層の全固形分に対し、3〜95重量%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜80重量%の範囲である。
【0148】
3.水不溶性固体粒子
次に前記(4)および(5)の本発明に使用される水不溶性固体粒子について説明する。水不溶性固体粒子は、無機粒子、有機粒子および金属粒子からなる群より選択される少なくとも1種の固体粒子である。
【0149】
水不溶性固体粒子としては、前記結着剤への親和性、および付着性が良く、その保水性を向上させる粒状物が好ましい。分散性を改良するために表面処理された粒子でもよい。これら無機粒子、有機粒子および金属粒子は、適宜組み合わせて用いてもよい。
【0150】
前記無機粒子としては、例えば酸化鉄、酸化亜鉛、二酸化チタン、ジルコニアなどの金属酸化物;無水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム及び含水ケイ酸アルミニウムなどそれ自体は可視域に吸収を持たないホワイトカーボンとも呼ばれている珪素含有酸化物;クレー、タルク、カオリン、ふっ石などの粘土鉱物粒子等が使用できる。
また、前記金属粒子としては、例えば鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、銀等が使用できる。
【0151】
前記無機粒子又は金属粒子の平均粒径は、10μm以下程度、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがさらに好ましい。無機粒子又は金属粒子の平均粒径が、0.01μmを下回るとレーザー照射部分の保水性が不十分となり、地汚れが生じ易くなる。10μmを上回ると印刷物の解像度が悪くなったり、支持体との接着性が悪くなったり、表面付近の粒子が取れ易くなったりする。
【0152】
前記無機粒子又は金属粒子の含有量は、感光性層の全固形分に対し、2〜90体積%程度であり、5〜80体積%が好ましく、10〜50体積%がさらに好ましい。含有量が2体積%を下回ると輻射線感応性平版印刷版表面のレーザー照射部分において保水性が不十分となり、地汚れが生じ易くなる。90体積%を上回ると塗膜の強度が低下して耐刷性が低下し、また、塗膜層と、支持体との接着性が低下する。
【0153】
前記有機粒子としては、保水性を高めるものであれば特に限定されないが、粒状物の有機粒子として樹脂粒子が使用できる。使用の際に次の注意を払うことが必要である。樹脂粒子を分散させる際に溶剤を用いるときは、その溶剤に溶解しない樹脂粒子を選択するか、逆に樹脂粒子を溶解しない溶剤を選択する必要がある。また、樹脂粒子を熱可塑性ポリマーを用いて塗膜の塗布液中に分散させる場合には、樹脂粒子が、分散させるときの熱により溶融したり、変形したり、分解しないような物を選択する必要がある。
これらの注意点を軽減する物としては、架橋された樹脂粒子が好ましく使用することができる。
【0154】
前記有機粒子の平均粒径は、0.01〜10μm程度であり、0.05〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがさらに好ましい。有機粒子の平均粒径が0.01μmを下回るとレーザー照射部分の保水性が不十分となり、地汚れが生じ易くなる。一方、10μmを上回ると印刷物の解像度がわるくなったり、感光性層と支持体との接着性が低下し易くなり、また表面付近の粒子が取れ易くなったりする。
【0155】
前記有機粒子の含有量は、感光性層の全固形分に対し、3〜70体積%程度であり、5〜60体積%が好ましく、10〜50体積%がさらに好ましい。粒子の含有量が3体積%を下回ると保水性が十分に得られなくなり、地汚れが生じ易くなる。70体積%を上回ると感光性層の強度が低下して耐刷性が低下し、また、感光性層と支持体との接着性が低下し易くなる。
【0156】
前記有機粒子としては、ポリスチレン粒子(粒径4〜10μm)、シリコーン樹脂粒子(粒径2〜4μm)等が挙げられる。架橋された樹脂粒子としては、例えば、2種以上のエチレン性不飽和モノマーからなるマイクロゲル(粒径0.01〜1μm)、スチレンとジビニルベンゼンとからなる架橋樹脂粒子(粒径4〜10μm)、メチルメタクリレートとジエチレングリコールジメタクリレートからなる架橋樹脂粒子(粒径4〜10μm)等、つまり、アクリル樹脂のマイクロゲル、架橋ポリスチレン及び架橋メチルメタクリレート等が挙げられる。これら有機粒子は、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法などの一般的な方法で調製される。
【0157】
また、溶液から無機粒子を調製することも可能である。例えば、エタノールなどの溶剤中に金属低級アルコキシドを加え、水および酸もしくはアルカリの存在下により、該金属を含む無機粒子が得られる。得られた無機粒子溶液を溶剤可溶の熱可塑性ポリマー溶液に加えて無機粒子分散溶液を調製することができる。あるいは金属低級アルコキシドを先に熱可塑性ポリマー溶液に加えてから、水および酸もしくはアルカリを添加し、該金属を含む無機粒子を得ることも可能である。
熱可塑性ポリマー前駆体溶液に金属低級アルコキシドを添加して無機粒子を作製する場合は、熱可塑性ポリマー前駆体を熱により熱可塑性ポリマー前駆体にするときにポリマーと無機の複合体のものが得られる。金属低級アルコキシドとしてはテトラエトキシシラン、テトラエトキシチタンなどが使用できる。
【0158】
4.酸発生手段
本発明の輻射線感応性平版印刷版において、画像様に酸を発生させて結着剤を反応させるには、感光性層に酸発生手段として酸発生剤を添加することが望ましい。但し、前記結着剤は、それ自身熱により酸を発生し、酸発生剤としての機能を発揮することもあり、かかる場合には特に他の酸発生剤を併用しなくても画像を形成することができるため、酸発生剤は必須ではない。
本発明においては、酸発生剤として、光または熱の作用により酸を発生させる公知の化合物を選択して用いることができる。
【0159】
たとえば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980) 等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140,140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977) 、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150,848号、特開平2−296,514号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985) 、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984) 、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromolecules,14(5),1141(1981) 、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979) 、欧州特許第370,693号、米国特許3,902,114号、欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977) 、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、
【0160】
米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007(1980) 、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896) 、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、 E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、 Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、 B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、 D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、 P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、 M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、 J.W.Walker etal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、 S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、 H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、 P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、 S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、 E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、 F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、
【0161】
欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、 G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、 W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、 H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特願平3−140109号等に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物、特開昭50−36209号(米国特許第3969118号)記載のo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハライド、特開昭55−62444号(英国特許第2038801号)記載あるいは特公平1−11935号記載のo−ナフトキノンジアジド化合物を挙げることができる。
【0162】
その他の酸発生剤としては、シクロヘキシルシトレート、p−アセトアミノベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル、p−ブロモベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル等のスルホン酸アルキルエステル、本発明者らが先に出願した特願平9−26878号に記載の下記構造式で表されるアルキルスルホン酸エステル等を用いることができる。
【0163】
【化51】
Figure 0003745550
【0164】
酸発生剤の含有量としては、感光性層の全固形分に対して通常0.1〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%である。0.1重量%より少ないと感度が低くなり、30重量%より多いと画像強度が落ちる可能性がある。
【0165】
5.その他の成分
本発明では、以上の成分が必要に応じて用いられるが、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加しても良い。
例えば、酸発生剤が可視域にまで感度を持たない場合、可視光域の光に対して酸発生剤を活性にするために種々の酸発生剤の増感色素が用いられる。このような増感色素の例としてはUS5238782記載のピラン系色素、US4997745号記載のシアニン色素、およびスクアリュウム系色素、US5262276記載のメロシアニン系色素、特公平8−20732号記載のピリリュウム色素、その他、ミヒラーズケトン、チオキサントン、ケトクマリン色素、9−フェニルアクリジンなどを有効なものとして用いることができる。またそのほかにもUS4987230記載のビスベンジリデンケトン色素、9,10−ジフェニルアントラセンのような多環芳香族化合物などを用いることができる。
そのほかの成分としては例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
【0166】
具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)など、あるいは特開昭62−293247号公報、特願平7−335145号に記載されている染料を挙げることができる。
尚、添加量は、感光性層の全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
【0167】
また、本発明の輻射線感応性平版印刷版には、印刷条件に対する安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0168】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0169】
上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の、感光性層の全固形物中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0170】
更に本発明の輻射線感応性平版印刷版には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー等が用いられる。
【0171】
本発明の輻射線感応性平版印刷版は、通常上記各成分を溶媒に溶解または分散して、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0172】
これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般的に0.5〜5.0g/m2 が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0173】
本発明の輻射線感応性平版印刷版には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、感光性層の全固形分に対し、0.01〜1重量%さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0174】
6.支持体
本発明において使用される支持体(基板)としては、好ましくは寸度的に安定な板状物であり、これ迄印刷版の支持体として使用されたものが含まれ、好適に使用することができる。かかる支持体としては、紙、プラスチックス(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅などのような金属の板、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックスのフィルム、上記のような金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが含まれるが、特にアルミニウム板が好ましい。アルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えばけい素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とアルミニウムの合金が用いられる。これらの組成物は、いくらかの鉄およびチタン、あるいはその他無視し得る程度の量の不純物をも含むものである。
【0175】
以上のようにして、本発明の輻射線感応性平版印刷版を作製することができる。このようにして得られた平版印刷版は水現像されるか、あるいはそのままオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0176】
次に、実施例を示すに先立って、水不溶性構造体の感光性層を形成させる、いくつかの経路のスキームを下記の模式図を用いて例示しておくこととする。
【0177】
【化52】
Figure 0003745550
【0178】
【化53】
Figure 0003745550
【0179】
模式図において、スキーム1および2は、化合物A、加水分解重合反応物および水不溶性固体粒子を同時に介在させて多孔質体構造の感光性層を作り上げる例であり、1は水不溶性固体粒子としてシリカ粒子を用いた場合、2は水不溶性固体粒子として予め表面修飾したシリカ粒子を用いた場合である。なお、この模式図においてRは、単にそれぞれの化合物や固体への修飾基等の置換基を意味するものであり、各Rは、それぞれ異なる場合もある。
【0180】
スキーム3および4は、シリカ粒子へ予めシランカップッリング剤(加水分解重合反応物)を作用させてから、さらに異なってもよい加水分解重合反応物を加えて多孔質体構造への反応を行うもので、3では重合性のモノマーが粒子表面に修飾されている。
5においては、乳化または分散共重合によって、有機ポリマー粒子が先ず形成される。
【0181】
より詳しくは、スキーム3では、加水分解重合反応物としてのシランカップッリング剤を用い重合性基を有する粒子表面を形成し、その後、感応性基を有する化合物と反応性基を有する粒子を作製し、その後加水分解重合反応物を用いて多孔質構造を作る。
スキーム4では、シランカップッリング剤を用いて直接感応性粒子を作製し、その後加水分解重合反応物を用いて多孔質構造を作る。
【0182】
本発明においては、いずれの形態をも採ることができるが、これらの限定されるものではない。
【0183】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜8)
結着剤としての化合物に前記例示化合物1−11:0.4g、また、加水分解重合性化合物にテトラエトキシシラン:0.4gを用い、さらに、下記表1に示す赤外線吸収剤:40mg、及びメチルエチルケトン:1.6gからなる液に、50%りん酸水溶液40mgを加えて10分間攪拌した。その後、この分散液に、更にガラスビーズを用いてペイントシェーカーで分散したシリカゲル粒子(商品名サイリシア#445、富士シリシア化学社製、コールターカウンター法による測定により求めた粒径が3.5μm)の10%メチルエチルケトン分散液4gを加えて塗布液とし、ロッドバー#20を用いて表面をコロナ帯電処理したPET基板に塗布した。
【0184】
得られた輻射線感応性平版印刷版について、半導体レーザー(波長が830nm、ビーム径14μm)を用い、線速度10m/secで、版面出力を200mWに調節し、画像露光を行った。その後何ら後処理することなく、ハイデルベルグ印刷機にかけて印刷を行った。3,000枚の印刷を行った後、3,000枚目の非画像部の汚れを観察した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0185】
(比較例1〜2)
赤外線吸収剤を、下記比較例化合物1(比較例1)または比較例化合物2(比較例2)に代えた他は、実施例1〜8と同様にして輻射線感応性平版印刷版を得た。さらに、実施例1〜8と同様にして印刷を行い、3,000枚目の非画像部の汚れを観察した。結果を下記表1にまとめて示す。
【0186】
【化54】
Figure 0003745550
【0187】
【表1】
Figure 0003745550
【0188】
以上に示すように、本発明によれば、3,000枚まで露光部の汚れが生じない良好な印刷物が得たが、各比較例の輻射線感応性平版印刷版は、露光部の汚れが生じ不満足なものであった。
【0189】
(実施例9〜11及び比較例3〜4)
上記実施例1〜8において、シリカゲルを添加せず、また、赤外線吸収剤を下記表2に示すものに代えた他は、実施例1〜8と同様にして輻射線感応性平版印刷版を得た。さらに、実施例1〜8と同様にして印刷を行い、1,000枚目及び3,000枚目の非画像部の汚れを観察した。結果を下記表2にまとめて示す。
【0190】
【表2】
Figure 0003745550
【0191】
以上に示すように、シリカゲル粒子を添加しない場合にも、本発明における熱分解性スルホン酸エステル基を有する赤外線吸収剤を用いることにより、1,000枚までは、露光部の汚れが生じない良好な印刷物が得たが、各比較例の輻射線感応性平版印刷版は、露光部の汚れが生じ不満足なものであった。
【0192】
(実施例12〜19及び比較例5〜6)
上記実施例1〜8において、赤外線吸収剤を下記表3に示すものに代えた他は、実施例1〜8と同様にして輻射線感応性平版印刷版を得た。さらに、実施例1〜8と同様にして印刷を行い、5,000枚目の非画像部の汚れを観察した。結果を下記表3にまとめて示す。
【0193】
【表3】
Figure 0003745550
【0194】
以上に示すように、本発明によれば、5,000枚まで露光部の汚れが生じない良好な印刷物が得たが、各比較例の輻射線感応性平版印刷版は、露光部の汚れが生じ不満足なものであった。
【0195】
(実施例19〜21及び比較例7〜8)
上記実施例1〜8において、シリカゲルを添加せず、また、赤外線吸収剤を下記表4に示すものに代えた他は、実施例1〜8と同様にして輻射線感応性平版印刷版を得た。さらに、実施例1〜8と同様にして印刷を行い、3,000枚目及び5,000枚目の非画像部の汚れを観察した。結果を下記表4にまとめて示す。
【0196】
【表4】
Figure 0003745550
【0197】
以上に示すように、シリカゲル粒子を添加しない場合にも、本発明における芳香環上に直接又は連結基を介して熱により親水性に変化する疎水性官能基を有する赤外線吸収剤を用いることにより、3,000枚までは、露光部の汚れが生じない良好な印刷物が得たが、各比較例の輻射線感応性平版印刷版は、露光部の汚れが生じ不満足なものであった。
【0198】
【発明の効果】
以上の如く、本発明のよれば、画像書き込み後、湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要としない、輻射線感応性平版印刷版を提供することができる。特に、本発明によれば、赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザー等を用いて記録することにより、ディジタルデータから直接製版可能である輻射線感応性平版印刷版を提供することができる。
また、本発明によれば、耐刷性が高く、非画像部の汚れのない印刷物を得ることができるポジ型の輻射線感応性平版印刷版を提供することができ、極めて実用性を有するものである。

Claims (3)

  1. 少なくとも酸、赤外線および熱の少なくともいずれかにより疎水性から親水性に変化する官能基を有し、かつ架橋された結着剤と、熱によって親水性に変化する疎水性官能基を有する赤外線吸収剤とを含有する感光層を有することを特徴とする赤外線感応性平版印刷版。
  2. 前記熱によって親水性に変化する疎水性官能基が、赤外線吸収剤中の芳香環に直接または連結基を介して結合していることを特徴とする請求項1に記載の赤外線感応性平版印刷版。
  3. 前記赤外線吸収剤が下記一般式〔I〕で表されることを特徴とする請求項2に記載の赤外線感応性平版印刷版。
    Figure 0003745550
    (式中A1、A2は各々独立して熱によって親水性に変化する疎水性官能基を表し、Ar1、Ar2は各々独立してアリール基を表し、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3は各々独立して水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、任意の二つで環を形成しても良く、D1、D2は各々独立してアルキル基、アリール基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、X-は対アニオンを表し、Y1、Y2、Z1、Z2は各々独立して非金属原子からなる2価の連結基を表す。)
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