JP2002166670A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用原版

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JP2002166670A
JP2002166670A JP2000365011A JP2000365011A JP2002166670A JP 2002166670 A JP2002166670 A JP 2002166670A JP 2000365011 A JP2000365011 A JP 2000365011A JP 2000365011 A JP2000365011 A JP 2000365011A JP 2002166670 A JP2002166670 A JP 2002166670A
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alkyl
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lithographic printing
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Application number
JP2000365011A
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English (en)
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Sumiaki Yamazaki
純明 山崎
Koichi Kawamura
浩一 川村
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像書き込み後、湿式現像処理やこすり等の
特別な処理を必要とせず、特に、赤外線を輻射する固体
レーザまたは半導体レーザ等を用いて記録することによ
り、デジタルデータから直接製版可能であり、多数枚の
印刷を行っても耐刷性、汚れ性が良好な平版印刷版用原
版を提供する。 【解決手段】 水不溶性粒子とその表面を覆う結着剤と
よりなる構造体を支持体上に有する平版印刷版用原版で
あって、前記水不溶性粒子と結着剤が互いに光架橋され
ており、かつ該結着剤が架橋されており、かつ少なくと
も輻射線または熱により親水性が変化するものであるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用原版
に関する。その中でも、ディジタル信号に基づいて可視
光もしくは赤外線などの各種のレーザ、あるいはサーマ
ルヘッドなどの感熱記録装置を操作することにより直接
製版可能であり、且つ水現像可能あるいは現像すること
なしにそのまま印刷機に装着し、印刷することができる
平版印刷版用原版に関し、特に汚れ性、耐刷性および生
産安定性に優れた平版印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PS版による印刷版の製造には、
露光工程の後に、支持体表面の上に設けられた感光層を
画像状に除去するための湿式による現像工程や現像処理
された印刷版を水洗水で水洗したり、界面活性剤を含有
するリンス液、アラビアガム、澱粉誘導体を含む不感脂
化液で処理する後処理工程が含まれる。一方近年の製
版、印刷業界では現像廃液がアルカリ性であるため環境
問題が生じてきている。また製版作業の合理化が進めら
れており、上記のような複雑な湿式現像処理を必要とせ
ず、露光後にそのまま印刷に使用できる印刷版用原版が
望まれている。
【0003】特開平11−309953号公報には、水
不溶性粒子とその表面を覆う結着剤とよりなる構造体を
支持体上に有し、該結着剤が架橋されており、かつ少な
くとも輻射線もしくは熱の作用または輻射線もしくは熱
により発生した酸の作用により親水性が変化する輻射線
感応性平版印刷版用原版が開示されている。この特開平
11−309953号公報に開示されている輻射線感応
性平版印刷版は、支持体上に水不溶性固体粒子を互いに
接触するほど密に分散させかつ凹凸の表面のある層を形
成されたことにより、粒子表面が親水性であれば、粒子
同志間の空隙部分に水分が保持されて親水性の表面を形
成し、粒子表面が疎水性であれば、粒子間の多少の空隙
には水がしみ込まず、粒子層は水反発性つまり親油性の
表面を形成する。水不溶性固体微粒子の層が画像状に疎
水性から親水性に変化する機能を有していれば、この層
を印刷面とすることによって印刷版を作ることができ
る。上記の作用機構により、画像書き込み後、湿式現像
処理やこすり等の特別な処理を必要とせず、かつ地汚れ
が少ないことと感度が高いことという択一的な2つの要
請をともに満たし、特に、赤外線を輻射する固体レーザ
または半導体レーザ等を用いて記録することにより、デ
ジタルデータから直接製版可能なものとすることができ
た。しかしながら、この輻射線感応性平版印刷版は多数
枚の印刷を行うと、印刷中に水不溶性粒子が剥がれ落ち
空隙が消失し、その結果、非画像部に汚れが生じたり、
画像部が損傷し耐刷性が悪化することがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記従来の技術の欠点を克服し、画像書き込み後、
湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要とせず、特
に、赤外線を輻射する固体レーザまたは半導体レーザ等
を用いて記録することにより、デジタルデータから直接
製版可能であり、多数枚の印刷を行っても耐刷性、汚れ
性が良好な平版印刷版用原版を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、下記輻射線感応性平版印刷版により上記目的を解
決するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。 (1)水不溶性粒子とその表面を覆う結着剤とよりなる
構造体(以下、単に画像形成層ともいう)を支持体上に
有する平版印刷版用原版であって、上記水不溶性粒子と
結着剤が互いに光架橋されており、かつ該結着剤が架橋
されており、かつ少なくとも輻射線または熱により親水
性が変化するものであることを特徴とする平版印刷版用
原版。 (2) 親水性の変化が疎水性から親水性への変化であ
ることを特徴とする前記(1)記載の平版印刷版用原
版。 (3)疎水性から親水性への変化が、前記結着剤がスル
ホン酸エステル基及びアルコキシアルキルエステル基の
少なくともいずれかを有することによるものであること
を特徴とする前記(2)記載の平版印刷版用原版。 (4)親水性の変化が親水性から疎水性への変化である
ことを特徴とする前記(1)記載の平版印刷版用原版。 (5)親水性から疎水性への変化がカルボン酸(塩)
基、スルホン酸基及びホスホン酸基の少なくともいずれ
かを有することによるものであることを特徴とする前記
(4)記載の平版印刷版用原版。
【0006】本発明の平版印刷版用原版は、水不溶性粒
子とその表面を覆う結着剤とよりなる構造体(以下、単
に画像形成層ともいう)を支持体上に有するものであ
る。従来の特開平11−309953号公報に記載のも
のは前記のように印刷中に粒子が剥れ汚れが生じ、耐刷
性に問題があったが、改めて光架橋に注目し、あらかじ
め固体粒子(シリカ微粒子等)の表面を光架橋性基を有
するシランカップリング剤等を用いて、ゾルゲル反応に
より粒子表面に光架橋性基を導入して改質した水不溶性
粒子とすることにより、該水不溶性粒子と結着剤が互い
に光架橋されてため化学結合した強固な密着が得られ、
多数枚印刷においても粒子が画像形成層から剥れ落ちる
ことがないため高耐刷性となり、また親水性が変化した
部分では、多孔質構造の空隙部分が更なる保水空間を提
供して親水性部分と疎水性部分とのディスクリミネーシ
ョンが一層向上し、汚れ性に優れる。
【0007】水不溶性粒子とその表面を覆う結着剤とを
結合させる方法としては、光架橋の他にも熱架橋による
物理吸着やゾルゲル反応による化学吸着があるが、物理
吸着は結合力が弱いため、十分な耐刷性、汚れ性が得ら
れず、ゾルゲル反応では粒子の製造安定性が悪いため、
安定した品質のものが得られない。更に本発明によれ
ば、画像書き込み後、湿式現像処理やこすり等の特別な
処理を必要としない、しかも地汚れの少ない、平版印刷
版用原版を提供することができる。特に、赤外線を放射
する固体レーザまたは半導体レーザ等を用いて記録する
ことにより、ディジタルデータから直接製版可能である
平版印刷版用原版を提供することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の平版印刷版用原版は、前記のように、水
不溶性粒子とその表面を覆う結着剤とよりなり、該水不
溶性粒子と結着剤が互いに光架橋されており、かつ該結
着剤が架橋されており、かつ少なくとも輻射線または熱
により親水性が変化するものである構造体(画像形成
層)を支持体上に有するものであるが、その製造例とし
ては、表面へ光架橋性基を導入した水不溶性粒子(光架
橋性粒子ともいう)と、架橋性基を導入したポリマーお
よび重合開始剤等を含有する組成物を支持体上に塗布し
た後に、UV光を全面露光することによって光架橋した
画像形成層を得ることができる。まず、本発明の平版印
刷版用原版の上記画像形成層に使用され、本発明におい
て最も特徴的要素とする光架橋性粒子の製造方法につい
て説明する。 〔光架橋性粒子の製造方法〕本発明に使用される光架橋
性粒子は、無機粒子、有機粒子を問わず、粒子表面に光
架橋性基を有するものであれば何でもよく、好ましくは
親水性の観点から無機粒子である。粒子表面への光架橋
性基の導入方法は光架橋性基含有シランカップリング剤
を用いて、ゾルゲル反応により粒子表面に容易に導入す
ることが出来る。
【0009】光架橋性基含有シランカップリング剤とは
光により硬化反応を引き起こす官能基とテトラメトキシ
リル基等のゾルゲル反応を引き起こす官能基を分子内に
同時に有する化合物のことをいう。光硬化性官能基とし
て具体的には、乾英夫、永松元太郎、「感光性高分子」
(講談社、1977年刊)、角田隆弘、「新感光性樹脂」
(印刷学会出版部、1981年刊)、G.E. Green and B. P.
Strak, J. Macro. Sci.Reas. Macro. Chem., C21 (2),
187〜273 (1981〜82)、C. G. Rattey 「Photopolymeriz
ation of Surface Coatings」(A. Wiley Inter Science
Pub. 1982年刊)等の総説に引例された光硬化性樹脂と
して従来公知の感光性樹脂等に用いられる官能基が用い
られる。例えば、重合性二重結合基、光架橋性二重結合
基等を挙げることができる。
【0010】該重合性二重結合基として具体的にはCH
2=CH−,CH2=CHCH2−,−CH2=CHCOO
−,CH2=C(CH3)COO−,C(CH3)H=C
HCOO−,CH2=CHCONH−,CH2=C(CH
3)CONH−,C(CH3)H=CHCONH−,CH
2=CHOCO−,CH2=C(CH3)OCO−,CH2
=CHCH2OCO−,CH2=CHNHCO−,CH2
=CHCH2NHCO−,CH2=CHSO2−,CH2
CHCO−,CH2=CHO−,CH2=CHS−,で示
される基等を挙げることができる。光架橋性二重結合基
として、具体体的には−CH=CH−、−C(CH3
=C(CH3)−および下記の基を挙げることができ
る。
【0011】
【化1】
【0012】光架橋性二重結合基としては、特に以下の
一般式(A)で示されるマレイミド基が好ましい。
【0013】
【化2】
【0014】式(A)中、R2及ひR3はそれぞれ水素原
子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R2とR3が一
緒になって5員環又は6員環を形成しても良い。ここ
で、R 2及びR3のアルキル基としては炭素数1〜4のも
のが好ましく、とくに好ましいのはメチル基である。ま
た、R2およびR3とが一緒になって6員環を形成してい
るのも好ましい。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素
原子、ヨウ素原子が好ましい。
【0015】このマレイミド基の具体例としては例え
ば、特開昭52−988号(対応米国特許第4,07
9,041号)公報、***特許第2,626,769号
明細書、ヨーロッパ特許第21,019号明細書、ヨー
ロッパ特許第3,552号明細書やジ・アンゲバンテ・
マクロモレクラエ・ケミ(Die Angewandte Mackromolek
ulare Chemi) 115 (1983)の163〜181ページ、特
開昭49−128991号〜同49−128993号、
同50−5376号〜50−5380号、同53−52
98号〜同53−5300号、同50−50107号、
同51−47940号、同52−13907号、同50
−45076号、同52−121700号、同50−1
0884号、同50−45087号、同58−4395
1号の各公報、***特許第2,349,948号、同
2,616,276号の各公報に記載されている。
【0016】以下に光架橋性基含有シランカップリング
剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではな
い。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】〔水不溶性粒子〕次に、本発明に使用され
る無機粒子、有機粒子及び金属粒子から選択される少な
くとも1種の水不溶性粒子(以下、単に固体粒子ともい
う)について説明する。
【0020】無機粒子としては、例えば酸化亜鉛、二酸
化チタン、酸化鉄、ジルコニアなどの金属酸化物;無水
ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム及び含水ケイ酸アルミニ
ウムなどそれ自体は可視域に吸収を持たないホワイトカ
ーボンとも呼ばれているケイ素含有酸化物;クレー、タ
ルク、カオリン、ふっ石などの粘土鉱物粒子等が使用で
きる。無機粒子は10μm以下、好ましくは5nm〜5
μm、更に好ましくは10nm〜5μmの平均粒径を有
する。無機粒子の平均粒径が5nmを下回ると以下に述
べる光架橋性粒子の製造段階で安定に製造することが困
難となる。10μmを上回ると印刷物の解像度が悪くな
ったり、支持体との接着性が悪くなったり、表面付近の
粒子が取れやすくなったりする。
【0021】上記無機粒子のうち特に好ましいのは光架
橋性基含有シランカップリング剤との反応による表面改
質を考慮した場合、ケイ素含有酸化物である。具体的に
は、日産化学工業(株)製スノーテックスZL(粒径7
0〜100nmシリカ40%コロイド水溶液)、富士シ
リシア化学(株)製サイリシア350(粒径3.5μ
m)、日本アエロジル(株)製AEROSIL130
(粒径160nmシリカ)、水澤化学工業(株)製ミズ
カシルP−527U(粒径60nmシリカ)等が挙げら
れる。また、上記のシランカップリング剤による表面改
質無機粒子は従来から公知の表面改質法によって製造す
ることができる。
【0022】具体的には、鈴木昇、湯沢信子、遠藤敦、
宇津木弘「色材」57, 429(1984)、吉岡博、池野正行
「表面」21, 33(1983)、宇津木弘「表面」16, 525, (1
978)、K. Tanaka et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 5
3, 1242 (1980)、M. L. Hair,W. Hertl J. Phys. Che
m., 77、1965 (1973)、Ya. Davydove et al., Chromato
graphia, 14、13(1981)、K. Unger et al., Colloid Po
lym. Sci. 252、317(1974)、R Burwell. O. Leal J. Che
m. Soc. Chem. Commun., 342(1974)、W. Stoeber, Koll
oid-Z, 149, 39 (1956)、Franz. Pat. 1368765DAS 1163
784等の総説及びそれに引例の文献、特許等の記載の方
法に従って合成することができる。
【0023】また金属粒子としては、例えばアルミニウ
ム、銅、ニッケル、銀、鉄等が使用できる。無機粒子又
は金属粒子は画像形成層の全組成物を基準にして10〜
95体積%、好ましくは20〜95体積%、更に好まし
くは40〜90体積%の量で画像形成層中に含有させ
る。粒子の含有量が10体積%を下回ると画像形成層表
面のレーザー照射部分において保水性が不十分となり、
地汚れが生じ易くなる。95体積%を上回ると画像形成
層の強度が低下して耐刷性が低下し、また、支持体と画
像形成層との接着性が低下する。粒状物として無機粒子
又は金属粒子以外に有機粒子も使用できる。有機粒子は
保水性を高めるものであれば特に限定はしないが粒状物
の有機粒子としては樹脂粒子が使用できる。使用の際に
次ぎの注意を払うことが必要である。樹脂粒子を分散さ
せる際に溶剤を用いるときはその溶剤に溶解しない樹脂
粒子を選択するか、樹脂粒子を溶解しない溶剤を選択す
る必要がある。また、樹脂粒子を熱可塑性ポリマーと熱
により分散させる際には樹脂粒子が分散させるときの熱
により溶融したり、変形したり、分解しないような物を
選択する必要がある。
【0024】これらの注意点を軽減する物としては架橋
された樹脂粒子が好ましく使用することができる。有機
粒子は0.01〜10μm、好ましくは0.05〜10
μm、より好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは
1〜5μmの平均粒径を有する。有機粒子の平均粒径が
0.01μmを下回るとレーザー照射部分の保水性が不
十分となり、地汚れが生じ易くなる。10μmを上回る
と印刷物の解像度がわるくなったり、支持体との接着性
がわるくなったり、表面付近の粒子が取れ易くなったり
する。
【0025】有機粒子は画像形成層の全組成物を基準に
して2〜90体積%、好ましくは5〜80体積%、更に
好ましくは10〜50体積%の量で画像形成層中に含有
させる。粒子の含有量が2体積%を下回ると画像形成層
表面のレーザー照射部分において保水性が不十分とな
り、地汚れが生じ易くなる。90体積%を上回ると画像
形成層の強度が低下して耐刷性が低下し、また、支持体
と画像形成層との接着性が低下する。
【0026】有機粒子としては、ポリスチレン粒子(粒
径4〜10μm)、シリーコン樹脂粒子(粒径2〜4μ
m)等が挙げられる。架橋された樹脂粒子としては、例
えば、2種以上のエチレン性不飽和モノマーからなるマ
イクロゲル(粒径0.01〜1μm)、スチレンとジビ
ニルベンゼンとからなる架橋樹脂粒子(粒径4〜10μ
m)、メチルメタクリレートとジエチレングリコールジ
メタクリレートとからなる架橋樹脂粒子(粒径4〜10
μm)等、つまり、アクリル樹脂のマイクロゲル、架橋
ポリスチレン及び架橋メチルメタクリレート等が挙げら
れる。これらは乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、
シード乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法などの一般
的な方法で調製される。
【0027】また、溶液から無機粒子を調製することも
可能である。例えば、エタノールなどの溶剤中に金属低
級アルコキシドを加え、水および酸もしくはアルカリの
存在下により、該金属を含む無機粒子が得られる。でき
た無機粒子溶液を溶剤可溶の熱可塑性ポリマー溶液に加
えて無機粒子分散溶液をつくることができる。あるいは
金属低級アルコキシドをさきに熱可塑性ポリマー溶液に
加えてから水および酸もしくはアルカリを添加し、該金
属を含む無機粒子を得ることも可能である。熱可塑性ポ
リマーの前駆体溶液に金属低級アルコキシドを添加して
無機粒子を作製する場合はポリマー前駆体を熱により熱
可塑性ポリマーにするときにポリマーと無機の複合体の
ものが得られる。金属低級アルコキシドとしてはテトラ
エトキシシラン、テトラエトキシチタンなどが使用でき
る。
【0028】次に、本発明の平版印刷版用原版が有する
画像形成層に含有される結着剤(ポリマー)としては、
熱によりその親水性が変化し、光架橋反応により前記水
不溶性粒子と互いに光架橋され、かつポリマー間で架橋
できるものであれば特に限定されない。前記親水性の変
化において、疎水性から親水性への変化である場合には
本発明の平版印刷版用原版はポジ型のものとなり、親水
性から疎水性への変化である場合にはネガ型の平版印刷
版用原版となる。前記ポリマーの親水性の変化は、熱に
より親水性が変化する基を、該ポリマーの側鎖に有する
ことにより成されることが好ましい。
【0029】〔ポジ型用結着剤〕まず、熱により親水性
が変化する基として、熱により疎水性から親水性に変化
する基について説明する。その具体例として、まず、ス
ルホン酸エステル基、ジスルホン基、スルホンイミド基
またはアルコキシアルキルエステル基から選ばれる少な
くとも1つの官能基の具体例について詳細に説明する。
スルホン酸エステル基、ジスルホン基、スルホンイミド
基はそれぞれ下記一般式(1)、(2)、(3)で表す
ことができる。
【0030】
【化5】
【0031】式中、Lは一般式(1)、(2)、(3)
で示される官能基をポリマー骨格に連結するのに必要な
多価の非金属原子から成る有機基を表し、R1 、R2
3、R4 は置換若しくは無置換のアリール基、置換若
しくは無置換アルキル基又は環状イミド基を表す。
【0032】R1 、R2 、R3 、R4 がアリール基若し
くは置換アリール基を表わすとき、アリール基には炭素
環式アリール基と複素環式(ヘテロ)アリール基が含ま
れる。炭素環式アリール基としては、フェニル基、ナフ
チル基、アントラセニル基、ピレニル基等の炭素数6か
ら19のものが用いられる。また、複素環式アリール基
としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が
縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン
基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数
1〜5を含むものが用いられる。R1 、R2 、R3 、R
4 がアルキル基若しくは置換アルキル基を表わすとき、
当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロ
ピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、
分岐状若しくは環状の炭素数1から25までのものが用
いられる。
【0033】R1 、R2 、R3 、R4 が置換アリール
基、置換ヘテロアリール基、置換アルキル基であると
き、置換基としてはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数
1〜10までのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメチル基、ト
リクロロメチル基のようなハロゲン置換されたアルキル
基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t
−ブチルオキシカルボニル基、p−クロロフェニルオキ
シカルボニル基等の炭素数2から15までのアルコキシ
カルボニル基若しくはアリールオキシカルボニル基;水
酸基;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−ジ
フェニルアミノベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ
基;t−ブチルオキシカルボニルオキシ基等のカルボネ
ート基;t−ブチルオキシカルボニルメチルオキシ基、
2−ピラニルオキシ基等のエーテル基;アミノ基、ジメ
チルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルフォリノ基、
アセチルアミノ基等の置換、非置換のアミノ基;メチル
チオ基、フェニルチオ基等のチオエーテル基;ビニル
基、スチリル基等のアルケニル基;ニトロ基;シアノ
基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル
基;フェニル基、ナフチル基のようなアリール基;ピリ
ジル基のようなヘテロアリール基等を挙げることができ
る。またR1 〜R4 が置換アリール基、置換ヘテロアリ
ール基であるとき、置換基として前述の他にもメチル
基、エチル基等のアルキル基を用いることができる。
【0034】R1 、R2 、R3 、R4 が環状イミド基を
表すとき、環状イミドとしては、琥珀酸イミド、フタル
酸イミド、シクロヘキサンジカルボン酸イミド、ノルボ
ルネンジカルボン酸イミド等の炭素原子4〜20までの
ものを用いることができる。上記のうちR1 、R2 、R
3 、R4 として特に好ましいものは、ハロゲン、シア
ノ、ニトロ等の電子吸引性基で置換されたアリール基、
ハロゲン、シアノ、ニトロ等の電子吸引性基で置換され
たアルキル基、2級若しくは3級の分岐状のアルキル
基、環状アルキル基及び環状イミドである。
【0035】Lで表される非金属原子からなる多価の連
結基とは、1から60個までの炭素原子、0個から10
個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1
個から100個までの水素原子、及び0個から20個ま
での硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連
結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成され
るものを挙げることができる。
【0036】
【化6】
【0037】多価の連結基が置換基を有する場合、置換
基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1から20ま
でのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6
から16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、
スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキ
シ基のような炭素数1から6までのアシルオキシ基、メ
トキシ基、エトキシ基のような炭素数1から6までのア
ルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキ
シカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシ
ルオキシカルボニル基のような炭素数2から7までのア
ルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネ
ートのような炭酸エステル基等を用いることができる。
アルコキシアルキルエステル基は、下記一般式(4)で
表すことができる。
【0038】
【化7】
【0039】式中R11は水素原子を表し、R12は水素原
子または炭素数18個以下のアルキル基を表し、R13
炭素数18個以下のアルキル基を表す。また、R11、R
12およびR13の内の2つが結合して環を形成してもよ
い。特に、R12およびR13が結合して5または6員環を
形成することが好ましい。
【0040】以上の一般式(1)〜(4)で表されるも
のが挙げられるが、好ましくは一般式(1)で表される
スルホン酸エステル基と一般式(4)で表されるアルコ
キシアルキルエステル基であり、特に好ましくは一般式
(1)で表されるスルホン酸エステル基である。一般式
(1)〜(4)で表される官能基の具体例を以下に示
す。
【0041】
【化8】
【0042】
【化9】
【0043】
【化10】
【0044】前記官能基は、前記ポリマーを輻射線また
は熱により疎水性から親水性へ変える働きを有するもの
である。特に、これらの官能基は、前記ポリマーの空中
水滴接触角を15°以上低下させるものであることが好
ましい。即ち、前記ポリマーとしては、空中における水
滴の接触角が、輻射線または熱により15°以上低下し
て、当初は疎水性であったものが親水性になるようなも
のであることが好ましい。さらに、前記ポリマーとして
は、この空中水滴接触角が、40°以上低下するもので
あることが好ましい。また、前記ポリマーとしては、具
体的には空中水滴接触角が、当初60°以上であったも
のが、輻射線または熱により20°以下まで低下するも
のであることがが好ましい。
【0045】また、本発明の平版印刷版用原版の画像形
成層に含有されるポリマーは、熱により親水性が変化す
ることに加えて、架橋されたものである。架橋されたポ
リマーを製造するためのの架橋方式としては、特に限定
されないが、ゾルゲル反応により得られるもの、光架橋
反応により得られるもの、熱架橋反応により得られるも
の等が挙げられるが、本発明においては、光架橋反応に
より得られるものが有効である。以下に光架橋反応によ
り架橋されたポリマーについて詳細に説明する。光架橋
には光二量化、光ラジカル重合による方法がある。ポリ
マーに架橋反応性基を組み込み、それ自身、もしくはモ
ノマーとの反応によって架橋させる。光二量化反応はそ
れ自身の官能基の光吸収、もしくは光増感剤を使用して
光照射することにより架橋反応を起こさせることが出来
る。また光ラジカル重合架橋はよく知られた光重合開始
剤を使用して光照射することにより架橋反応を起こさせ
ることが出来る。
【0046】光架橋反応により架橋されるポリマーは光
架橋性官能基、別名、光硬化性官能基を有するモノマー
と熱により親水性が変化する基を有するモノマーとを共
重合することで得ることが出来る。「光硬化性官能基」
とは、光により樹脂の硬化反応を行なう官能基をいう。
光硬化性官能基については、前述の光架橋性粒子の項で
示したものと同様である。
【0047】本発明では、これらのうち、例えば、下記
の一般式(B)〜(D)で表されるモノマーを用いるこ
とができる。
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】〔式(B)〜(D)中、R2及びR3は前記
一般式(A)のR2及びR3と同じ意味を有し、R4は水
素原子またはメチル基を表し、n1、n2及びn3は整数
を示し、好ましくは1から6である。〕
【0051】なお、光ラジカル重合架橋で使用できるモ
ノマーとしては、付加重合可能な二重結合を含む化合物
であり、詳しくは、末端エチレン性不飽和結合を少なく
とも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任
意に選択することができる。例えばモノマー、プレポリ
マー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、また
はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学
的形態をもつものである。モノマーおよびその共重合体
の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合
物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン
化合物とのアミド等があげられる。
【0052】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アク
リル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリト−ルペンタアクリレ−
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソル
ビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリ
レート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトー
ルヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチ
ル)イソシアヌレート、テトラメチロールメタンテトラ
アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等
がある。
【0053】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ジペンタエリスリト−ルペンタメタアクリレ
−ト、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトール
テトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオ
キシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチル
メタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フ
ェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0054】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があ
る。
【0055】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロ
トン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソク
ロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネー
ト、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マ
レイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレ
ート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリ
スリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等
がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあ
げることができる。
【0056】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。その他の例としては、特公昭48−417
08号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、
下記の一般式(E)で示される水酸基を含有するビニル
モノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられ
る。
【0057】 CH2 =C(R5 )COOCH2 CH(R6 )OH (E)
【0058】(ただし、R5 およびR6 はHあるいはC
3を示す。) また、特開昭51−37193号に記載されているよう
なウレタンアクリレート類、特開昭48−64183
号、特公昭49−43191号、特公昭52−3049
0号各公報に記載されているようなポリエステルアクリ
レート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応さ
せたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレート
やメタクリレートをあげることができる。さらに日本接
着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ
(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーと
して紹介されているものも使用することができる。な
お、これらの使用量は、全成分に対して5〜70重量%
(以下%と略称する。)、好ましくは10〜50%であ
る。
【0059】本発明で用いられる光架橋性画像形成層
(組成物)に含まれる光重合開始剤としては、使用する
光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光
開始剤、あるいは2種以上の光重合開始剤の併用系(光
重合開始系)を適宜選択して使用することができる。例
えば400nm付近の光を光源として用いる場合、ベン
ジル、ベンゾインエーテル、ミヒラーズケトン、アント
ラキノン、チオキサントン、アクリジン、フェナジン、
ベンゾフェノン等が広く使用されている。
【0060】なお、前述の光増感剤としては、EP591786
およびA.Reiser,"Photoreactive polymers" Wiley Inte
rsciennce,(1989)などに記載の光二量化型の増感剤を使
用することができる。以下に、光架橋により得られるポ
リマーの例を挙げるが、これらに限定されるものではな
い。。
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】〔ネガ型用結着剤〕次に、輻射線および熱
の少なくともいずれかにより親水性から疎水性に変化す
る官能基(以下、官能基(a)ともいう)を有し、かつ
架橋させたポリマーについて詳細に説明する。輻射線お
よび熱の少なくともいずれかにより親水性から疎水性に
変化する官能基は特に限定されないが、具体的にはカル
ボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、ホスホン酸
基から選ばれる少なくとも1つの官能基が挙げられる。
カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、ホスホ
ン酸基はそれぞれ下記一般式(5)、(6)、(7)、
(8)で表すことができる。好ましくは一般式(5)、
(6)、(7)で表されるカルボン酸基、カルボン酸塩
基、スルホン酸基であり、特に好ましくは一般式(6)
で表されるカルボン酸塩基である。
【0065】
【化16】
【0066】(式中、Xは、−CO−、−SO−、−S
2 −及び5族から6族の元素からなる群から選択さ
れ、−L−は2価の連結基を表し、R1 、R2 はそれぞ
れ同じであっても異なっていてもよい1価の基を表し、
Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属及びオニウムから
なる群から選択されるいずれかを表す。)
【0067】R1、R2としては、水素を含む一価の非金
属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原
子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、
アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプ
ト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチ
オ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミ
ノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N
−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオ
キシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリ
ールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバ
モイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキ
シ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ
基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ア
シルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミ
ノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′
−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイ
ド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリ
ールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレ
イド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイ
ド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′
−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジ
アルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジア
ルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N
−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリール
ウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウ
レイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレ
イド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキ
ルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−
アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、
アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−
アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−ア
リーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−ア
ルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリ
ーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、
カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキ
シカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバ
モイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−ア
リールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイ
ル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、ア
ルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アル
キルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基
(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト
基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシス
ルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフ
ィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル
基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリ
ールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリール
スルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキル
スルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル
基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリー
ルスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスル
ファモイル基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共
役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキル
ホスフォノ基(−PO3(alkyl) 2)、ジアリールホスフ
ォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォ
ノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォ
ノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、
アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフ
ォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以
後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキ
シ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホス
フォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキ
シ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオ
キシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフ
ォノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキ
ルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその
共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称
す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3
(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホ
ナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール
基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0068】好ましいアルキル基の具体例としては、炭
素原子数が1から20までの直鎖状、分枝状または環状
の置換基を有していてもよいアルキル基を挙げることが
でき、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、
ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデ
シル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル
基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネ
オペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、
2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロ
ヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボニル基等を
挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1か
ら12までの直鎖状、炭素数3から12までの分岐状、
ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基
がより好ましい。
【0069】置換アルキル基が有する置換基の例として
は、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好まし
い例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、
−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ
基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−
アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−
アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カ
ルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ
基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジア
ルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカル
バモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバ
モイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスル
ホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキ
ルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレ
イド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジア
ルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,
N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−
アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−ア
リールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレ
イド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、
N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、
N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、
N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリ
ール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリー
ル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール
−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−ア
リール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−
N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシ
カルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ
基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ
基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ
基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ
基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ
基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキ
シカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモ
イル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアル
キルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、
N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N
−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、
アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共
役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシス
ルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモ
イル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジ
アルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナ
モイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N
−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルフ
ァモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−
ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモ
イル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−ア
ルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基
(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナ
ト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alky
l)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、
アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(ary
l))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))
及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と
称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(ary
l))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト
基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)及び
その共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称
す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alky
l)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(ary
l) 2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OP
3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基
(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、ア
ルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホ
スフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役
塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称
す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル
基、アルキニル基が挙げられる。
【0070】これらの置換基における、アルキル基の具
体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール
基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフ
チル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル
基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチ
ルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニ
ル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ア
セトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチ
ルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルア
ミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチル
アミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカ
ルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、
フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバ
モイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、ス
ルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフ
ェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることがで
きる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1
−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−
クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の
例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチ
ニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、な
らびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることがで
きる。これら置換基の内、更により好ましいものとして
はハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アル
コキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリール
チオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルア
ミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオ
キシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミ
ノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコ
キシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバ
モイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジア
ルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、
N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ
基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルス
ルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル
基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N
−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォ
ナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォ
ノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナ
ト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナ
ト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、ア
リール基、アルケニル基が挙げられる。
【0071】一方、置換アルキル基におけるアルキレン
基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上
の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基とし
たものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1か
ら12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐
状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレ
ン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を
組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ま
しい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル
基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メト
キシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキ
シメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル
基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエ
チルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチ
ルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シ
クロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニ
ルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル
基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキ
ソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピ
ル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカル
ボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル
基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエ
チル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N
−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メ
チル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、
スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイル
ブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N
−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルス
ルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォ
ノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブ
チル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノ
ブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホ
スフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリ
ルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル
基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシ
ブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベン
ジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチ
ルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニ
ルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2
−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−
ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0072】アリール基としては、1個から3個のベン
ゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽
和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体
例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、
フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、
フルオレニル基等を挙げることができ、これらのなかで
は、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。また、ア
リール基には上記炭素環式アリール基の他、複素環式
(ヘテロ)アリール基が含まれる。複素環式アリール基
としては、ピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が
縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン
基、カルバゾール基等の炭素数3〜20、ヘテロ原子数
1〜5を含むものが用いられる。
【0073】置換アリール基としては、前述のアリール
基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価
の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置
換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、
ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示
したものを挙げることができる。この様な、置換アリー
ル基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル
基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェ
ニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロ
ロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、
ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシ
エトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノ
キシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフ
ェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフ
ェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェ
ニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキ
シルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカル
バモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル
基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキ
シフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリル
オキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボ
ニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチル
カルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモ
イルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイ
ルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カ
ルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナト
フェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルス
ルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファ
モイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル
基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファ
モイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナ
トフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェ
ニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル
基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノ
フェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル
基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メ
チルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル
基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル
基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
【0074】好ましい−X−の具体例は、−O−、−S
−、−Se−、−CO−、−SO−、−SO2 −を表
す。その中でも、熱反応性の観点から−CO−、−SO
−、−SO2 −が特に好ましい。Lで表される非金属原
子からなる多価の連結基とは、1個から60個までの炭
素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50
個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、
及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つもので
ある。より具体的な連結基としては下記の構造単位で組
合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0075】
【化17】
【0076】Mはカチオンであれば特に限定されない
が、1〜4価の金属カチオンまたは下記一般式(9)で
示されるアンモニウム塩が好ましい。
【0077】
【化18】
【0078】(R7、R8、R9およびR10はそれぞれ同
じでも異なっていてもよい1価の基を表す。)
【0079】Mで表される1〜4の金属カチオンとして
は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、B
2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Cu
+、Cu2 +、Ag+、Zn2+、Al3+、Fe2+、Fe3+
Co2+、Ni2+、Ti4+、Zr4+を挙げることができ
る。より好ましくはLi+、Na+、K+、Rb+、C
+、Fr+、Cu+、Ag+を挙げることができる。
【0080】また、上記一般式(9)で示されるアンモ
ニウムイオンにおいて、R7〜R10で表される基の具体
例としては、前記R1〜R2に示したものと同様の基が挙
げられる。上記一般式(9)で示されるアンモニウムイ
オンの具体例としては以下のものを挙げることができ
る。
【0081】
【化19】
【0082】一般式(5)〜(8)で表される官能基の
具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0083】
【化20】
【0084】
【化21】
【0085】本発明の平版印刷版用原版の画像形成層に
含有させる、前述の官能基(a)を有し、かつ3次元架
橋されたポリマーを製造するためのの架橋方式として
は、特に限定されないが、ゾルゲル反応により得られる
もの、光架橋反応により得られるもの、熱架橋反応によ
り得られるもの等が挙げられるが、本発明においては、
光架橋反応により得られるものが有効である。
【0086】本発明の平版印刷版用原版の画像形成層に
含まれる前記官能基(a)を有する架橋されたポリマー
として、ゾルゲル反応により得られるもの以外の、光架
橋反応により得られるポリマーについて説明する。光架
橋には光二量化、光ラジカル重合による方法がある。ポ
リマーに架橋反応性基を組み込み、それ自身、もしくは
モノマーとの反応によって架橋させる。光二量化反応は
それ自身の官能基の光吸収、もしくは光増感剤を使用し
て光照射することにより架橋反応を起こさせることが出
来る。また光ラジカル重合架橋はよく知られた光重合開
始剤を使用して光照射することにより架橋反応を起こさ
せることが出来る。光架橋は加熱することなく架橋する
ことが出来、輻射線または熱により親水性が変化する官
能基(a)を保護する意味でより有効である。
【0087】光架橋反応により架橋されるポリマーは光
架橋性官能基、別名、光硬化性官能基を有するモノマー
と輻射線または熱により親水性が変化する官能基(a)
を有するモノマーとを共重合することで得ることが出来
る。
【0088】「光硬化性官能基」とは、光により樹脂の
硬化反応を行なう官能基であり、前述の光架橋性粒子お
よびポジ型用結着剤の項で示したものと同様である。例
えば、前述の重合性二重結合基、光架橋性二重結合基を
挙げることができる。
【0089】以下に、光架橋により得られるポリマーの
例(N−1〜N−11)を挙げる。但し、これらに限定
されるものではない。
【0090】
【化22】
【0091】
【化23】
【0092】〔光熱変換剤〕本発明の平版印刷版用原版
に対しレーザー露光により画像形成を行う場合には、そ
の画像形成層に光熱変換剤を含有させることが好まし
い。また、レーザー露光としては赤外線光が好ましく、
その場合の光熱変換剤としては赤外線吸収剤である。本
発明において好ましく使用される赤外線吸収剤は、波長
760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する
染料または顔料である。より好ましくは、波長760n
mから1200nmに吸収極大を有する染料または顔料
である。染料としては、市販の染料および文献(例えば
「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に
記載されている公知のものが利用できる。具体的には、
アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ア
ントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム
染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、
金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
【0093】好ましい染料としては例えば特開昭58−
125246号、特開昭59−84356号、特開昭5
9−202829号、特開昭60−78787号等に記
載されているシアニン染料、特開昭58−173696
号、特開昭58−181690号、特開昭58−194
595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−
112793号、特開昭58−224793号、特開昭
59−48187号、特開昭59−73996号、特開
昭60−52940号、特開昭60−63744号等に
記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112
792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国
特許第434,875号記載のシアニン染料等を挙げる
ことができる。
【0094】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換されたアリールベ
ンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645
号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチ
ンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同
58−220143号、同59−41363号、同59
−84248号、同59−84249号、同59−14
6063号、同59−146061号に記載されている
ピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載
のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記
載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13
514号、同5−19702号公報に開示されているピ
リリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料とし
て好ましい別の例として米国特許第4,756,993
号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近
赤外吸収染料を挙げることができる。これらの染料のう
ち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリ
リウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が
挙げられる。
【0095】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便
覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977
年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986
年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年
刊)に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類と
しては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系
顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオ
キサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロ
ン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ま
しいものはカーボンブラックである。
【0096】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性
剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカッ
プリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)
を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表
面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)およ
び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)
に記載されている。
【0097】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μm
の範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の感熱性組成物の塗布液中での安
定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると塗
布後の画像形成層の均一性の点で好ましくない。顔料を
分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用
いられる公知の分散技術が使用できる。分散機として
は、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パール
ミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパ
ーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本
ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載がある。
【0098】これらの染料もしくは顔料は、平版印刷版
用原版の画像形成層の組成物全固形分に対し0.01〜
50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場
合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に
好ましくは1.0〜10重量%の割合で添加することが
できる。顔料もしくは染料の添加量が0.01重量%未
満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると
印刷時非画像部に汚れが発生しやすい。
【0099】〔その他の成分〕本発明では、以上の成分
が必要に応じて用いられるが、さらに必要に応じてこれ
ら以外に種々の化合物を添加しても良い。例えば、可視
光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用
することができる。具体的にはオイルイエロー#10
1、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、
オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブル
ー#603、オイルブラックBY、オイルブラックB
S、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工
業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバ
イオレット(CI42555)、メチルバイオレット
(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミン
B(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI
42000)、メチレンブルー(CI52015)な
ど、あるいは特開昭62−293247号公報、特開平
9−179290号公報に記載されている染料を挙げる
ことができる。尚、添加量は、平版印刷版用原版の画像
形成層全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合で
ある。
【0100】また、本発明の平版印刷版用原版の画像形
成層中には、印刷条件に対する安定性を広げるため、特
開昭62−251740号公報や特開平3−20851
4号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、
特開昭59−121044号公報、特開平4−1314
9号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加
することができる。非イオン界面活性剤の具体例として
は、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパル
ミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノ
グリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等が挙げられる。
【0101】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
やN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商
品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の画
像形成層全固形物中に占める割合は、0.05〜15重
量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であ
る。
【0102】更に本発明の平版印刷版用原版の画像形成
層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために
可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコー
ル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸
ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、
リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオ
クチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル
酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー等が
用いられる。
【0103】本発明の平版印刷版用原版の画像形成層
は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上
に塗布することにより製造することができる。ここで使
用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘ
キサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ
エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテ
ート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリド
ン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラ
クトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに
限定されるものではない。
【0104】これらの溶媒は単独あるいは混合して使用
される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の
濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、
乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般
的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法
としては、種々の方法を用いることができるが、例え
ば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0105】本発明の平版印刷版用原版の画像形成層中
には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開
昭62−170950号公報に記載されているようなフ
ッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添
加量は、平版印刷版用原版の画像形成層全固形分に対
し、0.01〜1重量%さらに好ましくは0.05〜
0.5重量%である。
【0106】〔支持体〕本発明の上記画像形成層の組成
物を塗布すべき平版印刷版用原版に使用される支持体
(基板)は、寸度的に安定な板状物であり、これ迄印刷
版の支持体として使用されたものが含まれ、好適に使用
することができる。かかる支持体としては、紙、プラス
チックス(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレンなど)がラミネートされた紙、アルミニウム
(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅などのよう
な金属の板、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プ
ロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セル
ロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプ
ラスチックスのフィルム、上記のような金属がラミネー
トもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム
などが含まれるが、特にアルミニウム板が好ましい。ア
ルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合
金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のもの
が使用でき、例えばけい素、銅、マンガン、マグネシウ
ム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属
とアルミニウムの合金が用いられる。これらの組成物
は、いくらかの鉄およびチタン、あるいはその他無視し
得る程度の量の不純物をも含むものである。
【0107】本発明の平版印刷版用原版に使用される支
持体(基板)は、寸度的に安定な板状物であり、これ迄
印刷版の支持体として使用されたものが含まれ、好適に
使用することができる。かかる支持体としては、紙、プ
ラスチックス(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、アルミニウ
ム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅などのよ
うな金属の板、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプ
ラスチックスのフィルム、上記のような金属がラミネー
トもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム
などが含まれるが、特にアルミニウム板が好ましい。ア
ルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合
金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のもの
が使用でき、例えばけい素、銅、マンガン、マグネシウ
ム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属
とアルミニウムの合金が用いられる。これらの組成物
は、いくらかの鉄およびチタン、あるいはその他無視し
得る程度の量の不純物をも含むものである。
【0108】支持体は、必要に応じて表面処理、例え
ば、支持体の表面に、親水化処理が施される。また金
属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合に
は、砂目立て処理、ケイ酸ソーダ、フッ化ジルコニウム
酸カリウム、リン酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるい
は陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好
ましい。また、米国特許第2,714,066号明細書
に記載されているように、砂目立てしたのちケイ酸ナト
リウム水溶液に浸漬処理したアルミニウム板、米国特許
第3,181,461号明細書に記載されているように
アルミニウム板を陽極酸化処理を行った後にアルカリ金
属ケイ酸塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用さ
れる。上記陽極酸化処理は、例えば、リン酸、クロム
酸、硫酸、ホウ酸等の無機酸、若しくはシュウ酸、スル
ファミン酸等の有機酸またはこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。
【0109】また、米国特許第3,658,682号明
細書に記載されているようなシリケート電着も有効であ
る。これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とす
る為以外に、その上に設けられる画像形成層との有害な
反応を防ぐ為や、画像形成層との密着性を向上させる為
に施されるものである。アルミニウム板を砂目立てする
に先立って、必要に応じて表面の圧延油を除去すること
及び清浄なアルミニウム面を表出させるためにその表面
の前処理を施しても良い。前者のためには、トリクレン
等の溶剤、界面活性剤が用いられている。又後者のため
には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ・
エッチング剤を用いる方法が広く行われている。
【0110】砂目立て方法としては、機械的、化学的お
よび電気化学的な方法のいずれの方法も有効である。機
械的方法としては、ボール研磨法、ブラスト研磨法、軽
石のような研磨剤の水分散スラリーをナイロンブラシで
擦りつけるブラシ研磨法などがあり、化学的方法として
は、特開昭54−31187号公報に記載されているよ
うな鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法
が適しており、電気化学的方法としては塩酸、硝酸また
はこれらの組合せのような酸性電解液中で交流電解する
方法が好ましい。このような粗面化方法の内、特に特開
昭55−137993号公報に記載されているような機
械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法
は、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好まし
い。上記の如き方法による砂目立ては、アルミニウム板
の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0μm
となるような範囲で施されることが好ましい。このよう
にして砂目立てされたアルミニウム板は必要に応じて水
洗および化学的にエッチングされる。
【0111】エッチング処理液は、通常アルミニウムを
溶解する塩基あるいは酸の水溶液より選ばれる。この場
合、エッチングされた表面に、エッチング液成分から誘
導されるアルミニウムと異なる被膜が形成されないもの
でなければならない。好ましいエッチング剤を例示すれ
ば、塩基性物質としては水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン
酸三カリウム、リン酸二カリウム等;酸性物質として
は、硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸及びその塩等である
が、アルミニウムよりイオン化傾向の低い金属例えば亜
鉛、クロム、コバルト、ニッケル、銅等の塩はエッチン
グ表面に不必要な被膜が形成されてしまうため好ましく
ない。これ等のエッチング剤は、使用濃度、温度の設定
において、使用するアルミニウムあるいは合金の溶解速
度が浸漬時間1分あたり0.3〜40g/m2になる様に行
われるのが最も好ましいが、これを上回るあるいは下回
るものであっても差支えない。
【0112】エッチングは上記エッチング液にアルミニ
ウム板を浸漬したり、該アルミニウム板にエッチング液
を塗布すること等により行われ、エッチング量が0.5
〜10g/m2の範囲となるように処理されることが好まし
い。上記エッチング剤としては、そのエッチング速度が
早いという特長から塩基の水溶液を使用することが望ま
しい。この場合、スマットが生成するので、通常デスマ
ット処理される。デスマット処理に使用される酸は、硝
酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素
酸等が用いられる。エッチング処理されたアルミニウム
板に、必要により水洗及び陽極酸化される。陽極酸化
は、この分野で従来より行われている方法で行うことが
できる。具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ
酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはそ
れらの二種類以上を組み合せた水溶液又は非水溶液中で
アルミニウムに直流または交流の電流を流すと、アルミ
ニウム支持体表面に陽極酸化被膜を形成させることがで
きる。
【0113】陽極酸化の処理条件は使用される電解液に
よって種々変化するので一概には言えないが、一般的に
は電解液の濃度が1〜30重量%、液温5〜70℃、電
流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100
V、電解時間30秒〜50分の範囲が適当である。これ
らの陽極酸化処理の内でも、とくに英国特許第1,41
2,768号明細書に記載されている硫酸中で高電流密
度で陽極酸化する方法および米国特許第3,511,6
61号明細書に記載されているリン酸を電解浴として陽
極酸化する方法が好ましい。
【0114】上記のように粗面化され、さらに陽極酸化
されたアルミニウム板は、必要に応じて親水化処理して
も良く、その好ましい例としては米国特許第2,71
4,066号及び同第3,181,461号に開示され
ているようなアルカリ金属シリケート、例えばケイ酸ナ
トリウム水溶液または特公昭36−22063号公報に
開示されているフッ化ジルコニウム酸カリウムおよび米
国特許第4,153,461号明細書に開示されている
ようなポリビニルホスホン酸で処理する方法がある。
【0115】〔有機下塗層〕本発明の平版印刷版原版
は、画像形成層を塗設する前に有機下塗層を設けること
が支持体と画像形成層との密着性を高め耐刷性を向上さ
せる上で好ましい。かかる有機下塗層に用いられる有機
化合物としては例えば、カルボキシメチルセルロース、
デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホ
ン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有
してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、
アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジ
ホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホス
ホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチ
ルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの
有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン
酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およ
びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリ
シンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタ
ノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有するア
ミンの塩酸塩などから選ばれ、これらを単独で用いるほ
か、二種以上混合して用いてもよい。
【0116】その他ポリ(p−ビニル安息香酸)などの
構造単位を有する高分子化合物を用いることができる。
【0117】この有機下塗層は次のような方法で設ける
ことが出来る。即ち、水またはメタノール、エタノー
ル、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれら
の混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液を支持
体上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノー
ル、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤も
しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させ
た溶液に、支持体を浸漬して上記有機化合物を吸着さ
せ、しかる後、水などによって洗浄、乾燥して有機下塗
層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化
合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方
法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用
いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.
01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%であ
り、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃
であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒
〜1分である。
【0118】これに用いる溶液は、アンモニア、トリエ
チルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩
酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1
〜12の範囲で使用することもできる。また、平版印刷
版用原版の調子再現性改良のために黄色染料を添加する
こともできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜2
00mg/m2 が適当であり、好ましくは5〜100mg/
2 である。上記の被覆量が2mg/m2 より少ないと十
分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2 より
大きくても同様である。
【0119】有機下塗り層として、画像形成層との密着
向上を目的として、アルミニウム支持体の表面に少なく
とも1種の付加重合官能基を有するシランカップリング
剤を下記一般式(F)で示される有機スルホン酸を触媒
として加水分解及び重縮合反応させて得られる化合物を
塗設することができる。 RSO3H (F) (Rは炭素数2〜50の有機基を表す)
【0120】シランカップリング剤を上記有機スルホン
酸を触媒として加水分解および重縮合反応させて得られ
る化合物は−Si−O−Si−結合を含む無機高分子に
付加反応性官能基が固定された形の有機無機複合体であ
る。本発明において支持体の表面への接着層の塗設は、
この有機無機複合体を用いるいわゆるゾル−ゲル方法
(以下、SG法と呼ぶ)を適用し得る。SG法について
は「有機ケイ素ポリマーの最新技術・第6章ゾル−ゲル
法とケイ素系高分子の研究動向」今井淑夫著、CMC、
1996、及び「ゾル−ゲル法の科学」作花済夫著、ア
グネ承風社、1988等に記載されている。しかし、本
発明においてはこれらの方法だけに限定されるものでは
ない。この有機無機複合体を支持体に接着層として塗布
して乾燥させると、無機高分子部分が支持体と密着し、
付加反応性官能基はそのまま支持体表面上に残る。
【0121】また、SG法によりシランカップリング剤
を触媒の存在下、更に少量の水を含んだアルコールなど
の液中で加水分解および重縮合反応を行なって、無機高
分子を含む液状組成物として、これを支持体表面に接着
層として塗布し、場合により乾燥させることによって、
支持体上に付加反応性官能基を塗設することが可能であ
る。SG法は、支持体表面上に結合固定される付加反応
性官能基の分布が支持体表面の酸点や塩基点などの化学
的な性質の分布に左右されることが少ないため好ましい
方法である。
【0122】本発明において用いられるシランカップリ
ング剤としては、例えば下記一般式(G)で示される化
合物があげられる。 Ra(Rb)SiRc(Rd) (G) (Ra〜Rdの少なくとも2個は炭素原子10以下のア
ルコキシ基又は−OCOR’基を表し、他は付加重合性
反応基を表し、R’はアルキル基を表す。) 一般式(G)におけるR’で示されるアルキル基として
は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などがあげ
られ、付加重合性反応基としては、アルケニル基、アル
キニル基等が挙げられ、Si元素とこれら付加重合性反
応基の間には、種々の連結基が結合されていてもよい。
アルケニル基としては、例えばビニル基、プロぺニル
基、アリル基、ブテニル基、ジアルキルマレイミド基等
が挙げられ、アルキニル基としては、例えばアセチレン
基、アルキルアセチレン基等が挙げられる。シランカッ
プリング剤としては、〔Silane Coupling Agents〕(Edw
in P.Plueddemann、Plemum Press、1982)等に記載され
ているものを挙げることができる。
【0123】具体的には、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テト
ラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)
シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テ
トラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、テトラ
キス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラフェノキ
シシラン、テトラアセトキシシランなどを挙げることが
でき、特にテトラエトキシシランが好ましい。付加重合
可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカ
ップリング剤としては、具体的には、
【0124】 CH2=CH−Si(OCOCH33、 CH2=CH−Si(OC253、 CH2=CH−Si(OCH33、 CH2=CHCH2−Si(OC253、 CH2=CHCH2NH(CH23−Si(OCH33、 CH2=CHCOO−(CH23−Si(OCH33、 CH2=CHCOO−(CH23−Si(OC253、 CH2=CHCOO−(CH24−Si(OCH33、 CH2=C(CH3)COO−(CH23−Si(OCH
33、 CH2=C(CH3)COO−(CH23−Si(OC2
53、 CH2=C(CH3)COO−(CH24−Si(OCH
33、 CH2=C(CH3)COO−(CH25−Si(OCH
33、 (CH2=C(CH3)COO−(CH232−Si
(OCH32、 CH2=C(CH=CH2)−Si(OCH33、 CH2=CH−SO2NH−(CH23−Si(OC
33、 CH2=CH−ph−O−Si(OCH33、 (ph:ベンゼン環を示す)
【0125】 CH2=CH−ph−CONH−(CH23−Si(O
CH33、 CH2=CH−ph−CH2NH−(CH23−Si(O
CH33、 CH2=CH−ph−CH2NH−C24NH(CH23
−Si(OCH33・HCl HC≡C−Si(OC253、 CH3C≡C−Si(OC253、 DMI−(CH2)m−CONH−(CH23−Si
(OCH33、 (DMI:ジメチルマレイミド基を示す。m=1〜2
0) CH2=CHCH2O−Si(OCH33、 (CH2=CHCH2O)4Si、 HO−CH2−C≡C−Si(OC253、 CH3CH2CO−C≡C−Si(OC253、 CH2=CHS−(CH23−Si(OCH33、 CH2=CHCH2O−(CH22−SCH2−Si(O
CH33、 CH2=CHCH2S−(CH23−S−Si(OC
33、 (CH33CCO−C≡C−Si(OC253、 (CH2=CH)2N−(CH22−SCH2−Si(O
CH33、 CH3COCH=C(CH3)−O−Si(OCH33 をあげることができるが、これらに限定されるものでは
ない。シランカップリング剤はいくつかの化合物を任意
の比で混合して用いてもかまわない。
【0126】上記シランカップリング剤をSG反応させ
た化合物を含む接着層を支持体上に塗設する際、このも
のを単独で用いてもよく、混合して用いてもかまわな
い。又適当な溶媒で希釈して用いてもよい。溶媒として
は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコー
ル、THF、DMF等であり、特にアルコール類が好ま
しいが、これらの有機溶媒を混合して用いてもかまわな
い。
【0127】溶媒の使用量は、使用するシランカップリ
ング剤の総重量に基づいて、一般に0.2〜500倍、
好ましくは0.5〜100倍、更に好ましくは1〜20
倍である。使用量が0.2倍より少ないと反応液が経時
でゲル化しやすく不安定となり好ましくない。また、5
00倍より多いと、反応が数日を要するようになり好ま
しくない。
【0128】本発明においては加水分解反応を促進する
ために水を加えることもできる。シランカップリング剤
を加水分解するために加える水の量は、一般に化合物1
モル当り0.1〜1000モル、好ましくは0.5〜2
00モル、更に好ましくは1.5〜100モルが用いら
れる。水の量が化合物1モル当り、0.1モルより少な
い時は、加水分解とそれに続く重縮合反応の進行が遅
く、安定な表面処埋が可能となるまでに数日を要し、一
方、水の量が化合物1モル当り1000モルより多くな
ると、生成した組成物を金属表面に塗設した場合密着不
良を起したり、組成物の経時安定性が悪くなって、通常
すぐにゲル化してしまい塗布作業を安定して行ないにく
くなる。
【0129】SG法に好適な組成物を調液するための温
度は室温〜100℃程度が用いられる。溶媒の沸点より
も高い温度で反応させることも可能であり、その場合必
要に応じて反応器に還流冷却器を付設するのがよい。
【0130】〔バックコート〕支持体の裏面には、必要
に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコー
トとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分
子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機
または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得
られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられ
る。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4 、Si(OC
2 5)4 、Si(OC3 7) 4 、Si(OC4 9)4 などの
珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから
得られる金属酸化物の被覆層が親水性に優れており特に
好ましい。
【0131】以上のようにして、本発明の平版印刷版用
原版を作製することができる。この平版印刷版用原版
は、例えば、熱記録ヘッド等により直接画像様に感熱記
録を施されたり、あるいは、波長760nm〜1200
nmの赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レー
ザーにより画像露光される。本発明においては、感熱記
録後またはレーザー照射後ただちに印刷機に版を装着し
印刷を行っても良いが、ともに感熱記録後またはレーザ
ー照射後に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理の
条件は、80℃〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行
うことが好ましい。この加熱処理により、感熱記録時ま
たはレーザー照射時、記録に必要な熱またはレーザーエ
ネルギーを減少させることができる。
【0132】この様な処理によって得られた平版印刷版
はそのままオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印
刷に用いられる。
【0133】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 (光架橋性粒子の合成例1)下記の操作によって光架橋
性基含有シランカップリング剤で改質したシリカ微粒子
SG−1、SG−2を合成した。すなわち、高速撹拌機
にシリカ微粒子(富士シリシア化学(株)製、サイリシ
ア350)10g、光架橋性基含有シランカップリング
剤(前記具体例、S−1)8g、ベンゾオキサシレピン
ジメチルエステル1g、25%アンモニア水溶液5g、
トルエン200mlを入れ、18000rpmにて1時
間撹拌して混合した。
【0134】この混合液を撹拌機、冷却管、脱水用トラ
ップを備えたフラスコに入れ、トルエン還流温度の下で
2時間加熱撹拌を行った。撹拌したのち、フラスコ内容
物を遠心分離機に入れて7000rpmにて30分間の
分離操作を行い、トルエン溶液と沈積物とに分離した。
超音波分離機を用いてこの沈積物をアセトン400ml
中に分散し、分散後、再び遠心分離機により分離操作を
行うことによって沈積物を洗浄した。このアセトン洗浄
の操作をさらに2回繰り返した後、得られた沈積物を自
然乾燥して白色粉末14.4g(SG−1)を得た。元
素分析により炭素の含有率を測定したところ、C原子と
して16.5%であった。また、電子顕微鏡により観寮
したところ粒径3.5μmであった。SG−2に関して
も光架橋性基含有シランカップリング剤(前記具体例、
S−11)を用いて、上記と同様の方法で合成した。こ
の時の収量は13.1g、炭素含有率は15.5%、粒
径は3.5μmであった。
【0135】(光架橋性粒子の合成例2)下記の操作に
よって光架橋性基含有シランカップリング剤で改質した
シリカ微粒子SG−3、SG−4を合成した。すなわ
ち、三口フラスコにコロイダルシリカ水溶液(日産化学
(株)製、スノーテックスZL)50g、光架橋性基含
有シランカップリング剤(S−6)6gを入れてpH
7.5に調整した後、70℃、4時間撹拌した。その
後、室温まで冷却、塩析操作により沈積物を取り出し、
十分アセトン洗浄を行った。得られた沈積物を自然乾燥
して白色粉末12g(SG−3)を得た。TG−DTA
により有機物の重量減少を測定したところ、11.5%
の重量減少が見られた。また、電子顕微鏡により観察し
たところ粒径85nmであった。SG−4に関しても光
架橋性基含有シランカップリング剤(前記具体例、S−
12)を用いて、上記と同じ方法で合成した。この時の
収量は10.5g、TG−DTAによる重量減少は1
1.2%、粒径は85nmであった。
【0136】〔実施例1〜4、比較例1〕 [ゾルゲル有りアルミ支持体(基板1)の製造方法]厚
さ0.30mmのアルミニウム版をナイロンブラシと4
00メッシュのパミストンの水懸濁液とを用いその表面
を砂目立てした後、水で良く洗浄した10wt%水酸化
ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチン
グした後、流水で水洗後、20重量%硝酸で中和洗浄
し、次いで水洗した。これをVA=12.7Vの条件下
で正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中
で160クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化
処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6
μm(Ra表示)であった。引き続いて30重量%の硫
酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、
20重量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2におい
て、陽極酸化被膜の厚さが2.7g/m2になるよう
に、2分間陽極酸化処理した。次に下記手順によりSG
法の液状組成物(ゾル液)を調製した。
【0137】 (ゾル液) メタノール 130g 水 20g 85重量%リン酸 16g テトラエトキシシラン 50g 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 60g
【0138】上記組成のゾル液を混合し撹拌した。約5
分で発熱が認められた。60分間反応させた後、内容物
を別の容器へ移し、メタノール3000gを加えること
により、ゾル液を得た。このゾル液をメタノール/エチ
レングリコール=9/1(重量比)で希釈して、基板上
のSiの量が3mg/m2となるように塗布し、100
℃、1分間乾燥させた。
【0139】実施例1〜4として下記表1に示す成分の
溶液を作成し、この溶液にさらにガラスビーズを用いペ
イントシェーカーで分散した下記表2に示す光架橋性粒
子の10%MEK分散液4gを加えて塗布液とし、ロッ
トバー#20を用いて上記処理済みアルミ支持体(上記
基板1)に塗布した。次に、この塗布物にUV露光(メ
タハライド使用、1000カウント)して光架橋した画
像形成層を有する平版印刷版用原版を得た。また、比較
例1としては光架橋性基含有シランカップリング剤処理
前のシリカ微粒子を用いて実施例1〜4と同様の方法で
塗布液を作製、塗布して平版印刷版用原版を得た。
【0140】
【表1】
【0141】
【化24】
【0142】得られた平版印刷版用原版にPearlsetter
(Presstek社製、発振波長が908nmの赤外線レー
ザ、出力1.2W)を用いて主走査速度2m/secで
画像露光を行った後、なんら後処理することなく印刷機
にかけ印刷を行った。印刷機としてはRyoubi3200を、ま
た湿し水にはEU−3の1:100希釈液を、インキに
はインキFグロス墨を用いた。
【0143】(耐刷、印刷インク汚れ耐性試験)多数枚
の印刷を行い、非画像部の汚れが何枚目から生じるかを
調べ、これを耐刷性の指標とした。結果を下記表3に示
す。
【0144】
【表2】
【0145】〔実施例5〜8、比較例2〕 [ゾルゲル有りPET支持体(基板2)の製造方法]実
施例1〜4と同様にSG法の液状組成物(ゾル液)を調
製し、コロナ処理された厚さ0.3mmのPET基板上
のSiの量が3mg/m2となるように塗布し、100
℃、1分間乾燥させた。
【0146】実施例5〜8として下記表4に示す成分の
溶液を作成し、この溶液にさらにガラスヒーズを用いペ
イントシェーカーで分散した下記表5に示す光架橋性粒
子の10%MEK分散液4gを加えて塗布液とし、ロッ
トバー#20を用いて上記処理済みPET支持体(上記
基板2)に塗布した。次に、この塗布物にUV露光(メ
タハライド使用、1000カウント)して光架橋した画
像形成層を有する平版印刷版用原版を得た。また、比較
例2としては光架橋性基含有シランカップリング剤処理
前のシリカ微粒子を用いて実施例5〜8と同様の方法で
塗布液を作製、塗布して平版印刷版用原版を得た。
【0147】
【表3】
【0148】得られた平版印刷版用原版にPearlsetter
(Presstek社製、発振波長が908nmの赤外線レー
ザ、出力1.2W)を用いて主走査速度2m/secで
画像露光を行った後、なんら後処理することなく印刷機
にかけ印刷を行った。印刷機としてはRyoubi3200を、ま
た湿し水にはEU−3の1:100希釈液を、インキに
はインキFグロス墨を用いた。
【0149】(耐刷、印刷インク汚れ耐性試験)多数枚
の印刷を行い、非画像部の汚れが何枚目から生じるかを
調べ、これを耐刷性の指標とした。結果を下記表6に示
す。
【0150】
【表4】
【0151】表3および表6から明らかなように、本発
明に係る各実施例の平版印刷版用原版は何れも非画像部
に汚れが無い良好な印刷物が25000枚以上得られ、満足
すべき結果を得たが、各比較例の平版印刷版用原版は何
れも非画像部に汚れが無い良好な印刷物が20000枚以下
となり不満足なものであった。
【0152】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の平版印刷
版用原版は、水不溶性粒子とその表面を覆う結着剤とを
含有する構造体(画像形成層)を支持体上に有するもの
であるが、水不溶性粒子として、あらかじめ固体粒子の
表面を光架橋性基を有するシランカップリング剤等を用
いて、ゾルゲル反応により粒子表面に光架橋性基を導入
して改質することにより、該水不溶性粒子と結着剤が互
いに光架橋されるため化学結合した強固な密着が得ら
れ、画像書き込み後、湿式現像処理やこすり等の特別な
処理を必要とせず、しかも地汚れを少なくすることがで
きる。特に、赤外線を放射する固体レーザまたは半導体
レーザ等を用いて記録することにより、ディジタルデー
タから直接製版可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AA12 AB03 AC08 AD01 AD03 BH03 CB41 CB42 CB43 CC08 FA03 2H096 AA00 AA07 AA08 BA20 EA04 2H114 AA04 AA24 BA01 BA06 BA10 DA03 DA04 DA05 DA08 DA14 DA15 DA34 DA38 DA48 DA52 DA53 DA55 DA62 DA75 EA01 EA03 EA05 EA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性粒子とその表面を覆う結着剤と
    よりなる構造体を支持体上に有する平版印刷版用原版で
    あって、前記水不溶性粒子と結着剤が互いに光架橋され
    ており、かつ該結着剤が架橋されており、かつ少なくと
    も輻射線または熱により親水性が変化するものであるこ
    とを特徴とする平版印刷版用原版。
  2. 【請求項2】 親水性の変化が疎水性から親水性への
    変化であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版
    用原版。
  3. 【請求項3】 疎水性から親水性への変化が、前記結
    着剤がスルホン酸エステル基及びアルコキシアルキルエ
    ステル基の少なくともいずれかを有することによるもの
    であることを特徴とする請求項2記載の平版印刷版用原
    版。
  4. 【請求項4】 親水性の変化が親水性から疎水性への
    変化であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版
    用原版。
  5. 【請求項5】 親水性から疎水性への変化がカルボン酸
    (塩)基、スルホン酸基及びホスホン酸基の少なくとも
    いずれかを有することによるものであることを特徴とす
    る請求項4記載の平版印刷版用原版。
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