JP3744318B2 - 内燃機関制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関停止時に内燃機関の冷却水に熱エネルギーを供給することにより内燃機関の低温化を抑制するヒータを備えた多気筒内燃機関に用いられる内燃機関制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の冷間始動時において、始動時あるいは始動後の回転安定性を維持するために、例えば冷却水温や吸気温に応じて燃料増量を実行している(特開昭63−38638号公報)。このことにより、低温の吸気ポートなどに付着した燃料の蒸発が遅れても、燃焼室内に吸入される混合気の燃料濃度の稀薄化を防止でき、始動時あるいは始動後の回転安定性を維持することができる。
【0003】
また、冷寒地などにおいては、内燃機関の極端な低温下による機関始動不良を防止するために、内燃機関の停止時にヒータ、いわゆるブロックヒータにて、内燃機関の冷却水に熱エネルギーを供給することにより内燃機関の低温化を抑制することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようにエンジン停止中にブロックヒータを用いて内燃機関の低温化を抑制している場合は、ブロックヒータに近い気筒は内燃機関の停止中においても十分な温度に維持されているが、ブロックヒータから離れている気筒では温度が十分に維持されていないことがある。したがって、冷却水温を捉えて、前述した冷間時燃料増量を実行しようとした場合に、冷却水温センサの取り付け位置によっては比較的高い冷却水温を検出するので、十分に冷間時の燃料増量が実行できない場合がある。
【0005】
このように内燃機関の始動に際しては、ブロックヒータの作動に影響されて、冷却水温センサの検出値に応じた機関制御が適切に行えないと言う問題が生じている。
【0006】
本発明は、上述したヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することを可能とする内燃機関制御装置の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
請求項1記載の内燃機関制御装置は、内燃機関停止時に内燃機関の冷却水に熱エネルギーを供給することにより内燃機関の低温化を抑制するヒータを備えた多気筒内燃機関に用いられる内燃機関制御装置であって、内燃機関の始動の際に、前記ヒータの作動に伴う気筒間の温度差が大きくなっているか否かを判定する気筒間温度差判定手段と、内燃機関の冷却水の温度を検出する冷却水温検出手段と、内燃機関の始動の際に、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、前記冷却水温検出手段にて検出される冷却水温よりも低い温度に応じた機関制御を行う機関制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
機関制御手段は、内燃機関の始動の際に、気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、冷却水温検出手段にて検出される冷却水温よりも低い温度に応じた機関制御を行う。
【0009】
このように、内燃機関の始動の際に、気筒間温度差が大きくなっている場合には、冷却水温よりも低い温度に応じた機関始動制御を行うことができ、気筒間温度差が大きくなっていない場合には、機関制御手段は冷却水温に応じた通常の機関始動制御を行うことができる。
【0010】
このため、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項2記載の内燃機関制御装置は、内燃機関停止時に内燃機関の冷却水に熱エネルギーを供給することにより内燃機関の低温化を抑制するヒータを備えた多気筒内燃機関に用いられる内燃機関制御装置であって、内燃機関の始動の際に、前記ヒータの作動に伴う気筒間の温度差が大きくなっているか否かを判定する気筒間温度差判定手段と、内燃機関の始動の際に、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する稀薄化抑制手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
稀薄化抑制手段は、内燃機関の始動の際に、気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する。このことにより、内燃機関の始動時に、ヒータの作動により冷却水温が比較的高くなっているために燃料供給量の増量の程度が低くされるような場合にも、稀薄化抑制手段が吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制するため、吸気管内および燃焼室内の燃料濃度が薄くなり過ぎることがない。
【0012】
このように、内燃機関の始動の際に、気筒間温度差が大きくなっている場合には、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することにより適切な燃料濃度とすることがでる。また、気筒間温度差が大きくなっていない場合には、稀薄化抑制手段は吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する必要がなく、この場合も適切な燃料濃度とすることができる。
【0013】
このため、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項3記載の内燃機関制御装置は、請求項1または2の構成において、前記気筒間温度差判定手段は、内燃機関の始動の際に、内燃機関の温度あるいは内燃機関の雰囲気温度を表す2種類以上の検出値に基づいて、気筒間温度差が大きくなっているか否かを判定することを特徴とする。
【0014】
気筒間温度差判定手段による内燃機関の始動の際に気筒間温度差が大きくなっているか否かの判定は、内燃機関の温度あるいは内燃機関の雰囲気温度を表す2種類以上の検出値に基づいて行うことができる。
【0015】
すなわち、例えば、内燃機関の始動の際に、これらの検出値の間に基準となる値以上の差が生じていれば、気筒間温度差が大きくなっていると判定することができる。
【0016】
このことにより、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項4記載の内燃機関制御装置は、請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、内燃機関の潤滑油温、外気温、吸気温あるいはトランスミッションの作動油温の内の2つ以上であることを特徴とする。
【0017】
このように内燃機関の冷却水温、内燃機関の潤滑油温、外気温、吸気温あるいはトランスミッションの作動油温の内の2つ以上を用いてこれらの状態を比較することにより、気筒間温度差が大きくなっていると判定することができる。
【0018】
このことにより、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項5記載の内燃機関制御装置は、請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、外気温およびトランスミッションの作動油温であることを特徴とする。
【0019】
このように冷却水温、外気温およびトランスミッションの作動油温の3つの検出値を用いてこれらの状態を比較することにより、気筒間温度差が大きくなっていることを、より確実性を高めて判定することができる。
【0020】
このことにより、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項6記載の内燃機関制御装置は、請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、吸気温およびトランスミッションの作動油温であることを特徴とする。
【0021】
このように冷却水温、吸気温およびトランスミッションの作動油温の3つの検出値を用いてこれらの状態を比較することにより、気筒間温度差が大きくなっていることを、より確実性を高めて判定することができる。
【0022】
このことにより、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項7記載の内燃機関制御装置は、請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、内燃機関の潤滑油温および外気温であることを特徴とする。
【0023】
このように冷却水温、内燃機関の潤滑油温および外気温の3つの検出値を用いてこれらの状態を比較することにより、気筒間温度差が大きくなっていることを、より確実性を高めて判定することができる。
【0024】
このことにより、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項8記載の内燃機関制御装置は、請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、内燃機関の潤滑油温および吸気温であることを特徴とする。
【0025】
このように冷却水温、内燃機関の潤滑油温および吸気温の3つの検出値を用いてこれらの状態を比較することにより、気筒間温度差が大きくなっていることを、より確実性を高めて判定することができる。
【0026】
このことにより、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項9記載の内燃機関制御装置は、請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温および外気温であることを特徴とする。
【0027】
このように冷却水温および外気温の2つの検出値を用いてこれらの状態を比較することにより、気筒間温度差が大きくなっていることを判定することができる。
【0028】
このことにより、簡易な構成でもヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
請求項10記載の内燃機関制御装置は、請求項2記載の構成において、前記稀薄化抑制手段は、内燃機関の冷却水温をパラメータとする冷間時燃料増量処理に対して、前記検出される冷却水温を低下補正した温度を用いることで、燃料供給量を増加して吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする。
【0029】
稀薄化抑制手段は、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する手法として、内燃機関の冷却水温をパラメータとする冷間時燃料増量処理に対して、実際の冷却水温を低下補正した温度を用いる。このことにより、燃料供給量を増加して、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制している。
【0030】
したがって、予め備えられている冷間時燃料増量処理を利用することで、簡易な構成で、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制でき、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
【0031】
請求項11記載の内燃機関制御装置は、請求項2記載の構成において、前記稀薄化抑制手段は、始動直後に機関回転数が基準回転数を下回ることで実行される機関回転数低下時増量処理において、前記基準回転数を高めて機関回転数低下時増量処理実行の確率を増大させることにより吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする。
【0032】
稀薄化抑制手段は、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する手法として、始動直後に機関回転数が基準回転数を下回ることで実行される機関回転数低下時増量処理において、基準回転数を高めて機関回転数低下時増量処理実行の確率を増大させている。このことにより、燃料供給量を増加して、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制している。
【0033】
したがって、予め備えられている機関回転数低下時増量処理を利用することで、簡易な構成で、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制でき、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
【0034】
請求項12記載の内燃機関制御装置は、請求項2記載の構成において、前記稀薄化抑制手段は、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、直接、燃料増量処理を実行することにより吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする。
【0035】
稀薄化抑制手段は、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する手法として、直接、燃料増量処理を実行することにより吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することとしても良い。このことによっても簡易な構成で、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制でき、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
【0036】
請求項13記載の内燃機関制御装置は、請求項2記載の構成において、内燃機関が吸気ポートに燃料を噴射する吸気ポート燃料噴射型内燃機関であり、前記稀薄化抑制手段は、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、吸気行程時に吸気ポートに燃料を噴射することにより、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする。
【0037】
内燃機関が吸気ポートに燃料を噴射する吸気ポート燃料噴射型内燃機関であった場合には、稀薄化抑制手段は、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する手法として、吸気行程時に吸気ポートに燃料を噴射するようにしても良い。このことにより、吸気ポートに噴射された燃料は吸気とともに直ちに燃焼室内に入り、吸気ポートに付着する量が少なくなることから、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することができる。
【0038】
このことによって、燃料増量に頼ることなく、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を容易に抑制でき、ヒータを備えた内燃機関の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されるガソリンエンジンの概略構成を表している。内燃機関としてのガソリンエンジン(以下単にエンジンと称する)2は、自動車用として車両に搭載されているV型8気筒エンジンであり、各4気筒からなる2バンク4,6を備えている。
【0040】
バンク4,6に備えられた各気筒8,10,12,14,16,18,20,22には、吸気ポート8a,10a,12a,14a,16a,18a,20a,22aに向けて燃料を噴射する燃料噴射弁24,26,28,30,32,34,36,38が設けられている。また、各気筒8〜22の吸気ポート8a〜22aには吸気マニホールド40,42,44,46,48,50,52,54が接続し、サージタンク56からの吸気を各気筒8〜22に供給している。サージタンク56内に流れ込む吸気量は、サージタンク56の上流の吸気経路58に設けられたスロットルバルブ60の開度(スロットル開度TA)により調整され、各気筒8〜22に設けられている吸気バルブ(図示略)の開動作時に、吸気行程にある気筒に吸い込まれる。また、吸気経路58はエアクリーナ62を介して外気を導入している。
【0041】
各気筒8〜22の排気ポート8b,10b,12b,14b,16b,18b,20b,22bには排気マニホールド64,66が接続されている。この排気マニホールド64,66には、排気行程において排気バルブ(図示略)が開動作することにより、各気筒8〜22から排気が排出される。この排気は、排気マニホールド64,66が合流する排気管67に設けられている触媒コンバータ68内の触媒にて浄化されて、更にマフラー(図示略)を介して外部に放出される。
【0042】
各気筒8〜22には点火プラグ8c,10c,12c,14c,16c,18c,20c,22cが設けられている。点火プラグ8c〜22cは、点火タイミングでイグナイタ8d,10d,12d,14d,16d,18d,20d,22dが高電圧を発生することで火花放電し、燃焼室内の混合気に点火して燃焼させている。
【0043】
なお、一方のバンク4側には、エンジン2の停止時に内部の冷却水を加熱するためのブロックヒータ70がシリンダブロックに取り付けられている。このブロックヒータ70は、寒冷地において車両をエンジン2を停止した状態で、車庫などに長時間放置する場合に、エンジン2の低温化を防止するために設けられている。ブロックヒータ70内部には電熱線が設けられており、プラグ70aをコンセント72aに差し込むことにより一般家庭の交流電源72から電力を用いて発熱させる。そして車両走行時にはプラグ70aをコンセント72aから外す。
【0044】
本実施の形態1では、ブロックヒータ70は、バンク4の端部にある気筒8の近くに配置されている。この位置でバンク4のウォータジャケット内に存在する冷却水を加熱して、冷却水の対流によりバンク4全体および他のバンク6に対して熱エネルギーを供給している。
【0045】
吸気経路58には吸気温センサ74が設けられて、エアクリーナ62を介して吸気経路58内に流入する吸気の温度(吸気温THA)を検出している。サージタンク56内には吸気圧センサ76が設けられて、サージタンク56内の吸気圧PMを検出している。
【0046】
また、吸気経路58に設けられたスロットルバルブ60の開度TAは、スロットル開度センサ75により検出されている。
クランクシャフト(図示略)近傍には、クランクシャフトが10°回転する毎に出力パルスを発生するエンジン回転数センサ78が設けられている。更に、吸気カムシャフト(図示略)の回転から特定の気筒が吸気上死点に達したときに出力パルスを発生する気筒判別センサ(カム角センサとも言う)80が設けられている。
【0047】
更に、バンク4の気筒8の近傍には冷却水温THWを検出する冷却水温センサ82が設けられている。
また、排気管67には、排気成分に基づいて混合気の空燃比A/Fを検出する空燃比センサ84が設けられている。
【0048】
これら吸気温センサ74、スロットル開度センサ75、吸気圧センサ76、エンジン回転数センサ78、気筒判別センサ80、冷却水温センサ82および空燃比センサ84の信号は、図2の制御系統ブロック図に示す電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)90にて処理される。
【0049】
ECU90は、デジタルコンピュータからなり、双方向バス90aを介して相互に接続されたCPU90b、ROM90c、RAM90d、バックアップRAM90e、入力回路90fおよび出力回路90gを備えている。
【0050】
上述した各センサ74〜84からの信号は、入力回路90fを介してECU90に取り込まれて処理される。例えば、気筒判別センサ80の出力パルスとエンジン回転数センサ78の出力パルスから現在のクランク角を計算し、エンジン回転数センサ78の出力パルスの頻度からエンジン回転数NEを計算している。
【0051】
車両には、これ以外に、オートマチックトランスミッション(図示略)の作動油の温度(AT作動油温ATH)を検出するAT油温センサ92、エンジン2周辺の雰囲気温度としての外気温THEを検出する外気温センサ93、アクセルペダル(図示略)の踏み込み量(以下、「アクセル開度」と称する)ACCPを検出するアクセル開度センサ94、その他のセンサを設け、エンジン2の運転状態や雰囲気状態をを検出している。
【0052】
また、ECU90は、各燃料噴射弁24〜38、スロットルバルブ60を駆動するためのモータ60a(DCモータまたはステップモータ)、イグナイタ8d〜22d、スタータモータ96、その他のアクチュエータ類を、出力回路90gを介して駆動している。
【0053】
このことにより、ECU90により、空燃比フィードバック制御時には、空燃比センサ84の出力に応じて、目標空燃比となるように燃料噴射弁24〜38から噴射される燃料噴射量が調整される。また、例えば、冷間時や高負荷時のごとくエンジン2の運転状態に応じて燃料濃度を高める必要がある場合には、目標空燃比よりも燃料濃度を高濃度にして、燃焼性の向上や、触媒コンバータ68での触媒の高温化による溶損を防止する。
【0054】
また、ECU90は、アクセル開度センサ94により検出されたアクセル開度ACCPに応じて、スロットルバルブ駆動用モータ60aを介してスロットルバルブ60の開度を調整している。この時、スロットル開度センサ75により検出されたスロットル開度TAが、アクセル開度ACCPに応じた目標開度になるようにフィードバック制御がなされる。
【0055】
次にエンジン2に対して、始動時から始動後に、ECU90により行われる燃料噴射量制御処理について図3のフローチャートに基づいて説明する。本処理は、イグニッションスイッチがオンすることにより起動される処理であり、予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される。なお、以下に説明する各フローチャート中の個々の処理ステップを「S〜」で表す。
【0056】
本燃料噴射量制御処理が開始されると、まず、エンジン回転数NE、吸気圧PM、冷却水温THW、吸気温THA、AT作動油温ATH、外気温THE、空燃比A/F等のエンジン運転状態をRAM90dの作業領域に読み込む(S110)。
【0057】
次に、始動時か否かが判定される(S120)。始動時か否かは、クランキングにより駆動を開始したエンジン2の回転数NEが始動完了基準回転数Nsまで上昇していなければ、始動時であると判定され(S120で「YES」)、後述する気筒間温度差発生判定処理にて求められる気筒間温度差発生フラグFhが「ON」か否かが判定される(S130)。
【0058】
ここで、Fh=「OFF」であれば(S130で「NO」)、温度変数Tに現在の冷却水温THWが設定される(S140)。
一方、Fh=「ON」であれば(S130で「YES」)、温度変数Tには、例えば次式1に示すごとく現在の冷却水温THWと吸気温THAとの平均値が設定される(S150)。
【0059】
【数1】
T ← (THW + THA)/2 … [式1]
ステップS140またはステップS150の次には、温度変数Tに基づき図4に傾向を示すマップから、始動時における燃料噴射量Qが算出される(S160)。
【0060】
例えば、Fh=「OFF」の場合、現在の冷却水温THWがTxであれば、ステップS140によりT=Txであるので、図4に示すごとく、燃料噴射量Q=Qxの値が設定される。しかし、Fh=「ON」の場合には、現在の冷却水温THWがTxであり、吸気温THAがTyであれば、図4に示すごとく、ステップS150により、T=(Tx+Ty)/2(=Tm)となる。したがって、QxよりΔQ分大きい燃料噴射量Q=Qmの値が設定される。
【0061】
そして、次に、この燃料噴射量Qを始動時燃料噴射量記憶値Qaとして記憶する(S170)。
そして、燃料噴射量Qを燃料噴射弁24〜38の開弁時間として設定し(S180)、一旦本処理を終了する。
【0062】
一方、始動時でなければ(S120で「NO」)、次に、始動完了か否かが判定される(S190)。クランキング前であれば(S190で「NO」)、このまま、一旦本処理を終了する。
【0063】
クランキングによりエンジン2が始動を開始してエンジン回転数NEが始動完了基準回転数Nsまで一旦上昇していれば始動完了であるので(S190で「YES」)、次に、エンジン回転数NEと吸気圧PMとに基づいて、図5に示すマップから基本燃料噴射量QBSが算出される(S200)。この基本燃料噴射量QBSは、エンジン回転数NEと吸気圧PMとの状況下において、混合気が理論空燃比となるための燃料噴射量を示している。
【0064】
次に、現在の冷却水温THWに基づいて、図6に傾向を示すマップから燃料噴射量冷間補正係数Kqが算出される(S210)。この燃料噴射量冷間補正係数Kq(Kq>0)は、冷間時に必要な燃料噴射量の増量を行うための係数である。
【0065】
次に次式2に示すごとく、始動後燃料噴射量Qbが算出される(S220)。
【0066】
【数2】
Qb ← QBS・(1.0+Kq+FAF+KG)+Kz … [式2]
ここで、FAFは空燃比を目標空燃比(ここでは理論空燃比)に制御するための空燃比フィードバック係数、KGはその学習値、Kzはその他の補正値を表している。なお、始動直後などで空燃比フィードバック制御が開始されていない場合には、FAF=「0」である。
【0067】
次に、始動時に記憶された始動時燃料噴射量記憶値Qaが始動後燃料噴射量Qbより大きいか否かが判定される(S230)。始動完了直後であって、Qa>Qbであれば(S230で「YES」)、始動時燃料噴射量記憶値Qaが漸減処理fd(Qa)により少し減少される(S240)。そして、この漸減後の始動時燃料噴射量記憶値Qaが燃料噴射量Qに設定され(S250)、燃料噴射量Qを燃料噴射弁24〜38の開弁時間として設定して(S180)、一旦本処理を終了する。
【0068】
Qa>Qbである限りは(S230で「YES」)、次第に減少される始動時燃料噴射量記憶値Qa(S240)が燃料噴射量Qに設定されるので(S250)、燃料噴射量Qは次第に小さくなる。
【0069】
そして、Qa≦Qbとなれば(S230で「NO」)、始動時燃料噴射量記憶値Qaがクリアされ(S260)、次に始動後燃料噴射量Qbが燃料噴射量Qに設定される(S270)。そして、始動後燃料噴射量Qbが設定された燃料噴射量Qを燃料噴射弁24〜38の開弁時間として設定して(S180)、一旦本処理を終了する。
【0070】
こうして、以後は、始動後燃料噴射量Qbによる燃料噴射量Qを燃料噴射弁24〜38の開弁時間として設定するようになる。
次に、気筒間温度差発生フラグFhの設定を行う気筒間温度差発生判定処理について図7に基づいて説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される。
【0071】
本処理が開始されると、まず、始動時か否かが判定される(S310)。この判定内容は、燃料噴射量制御(図3)のステップS120の処理と同じである。
始動時でなければ(S310で「NO」)、次に当該気筒間温度差発生判定が完了したか否かを示す判定完了フラグFbに「OFF(未完了)」を設定して(S320)、本処理を一旦終了する。
【0072】
始動時であれば(S310で「YES」)、上記判定完了フラグFbが「OFF」か否かが判定される(S330)。Fb=「ON(完了)」であれば(S330で「NO」)、このまま本処理を一旦終了するが、最初は、Fb=「OFF」であるので(S330で「YES」)、次に現在の冷却水温THWが、10℃より高いか否かが判定される(S340)。
【0073】
THW>10℃であれば(S340で「YES」)、次に外気温THEが−20℃より低いか否かが判定される(S350)。THE<−20℃であれば(S350で「YES」)、次にAT作動油温ATHが−20℃より低いか否かが判定される(S360)。ATH<−20℃であれば(S360で「YES」)、気筒間温度差発生フラグFhに「ON」が設定される(S370)。このように冷却水温THWが、ある程度の高さの温度にあるにも関わらず、外気温THEとAT作動油温ATHとがともに、−20℃を下回る低温である場合には、始動直前までブロックヒータ70が作動していたことが判断される。すなわち、ブロックヒータ70の作動により、エンジン2の気筒8〜22間に、冷却水温センサ82の検出値そのままで、エンジン2を制御したのでは問題となる程の温度差が発生していることを示している。
【0074】
一方、冷却水温THWが10℃以下である場合(S340で「NO」)、外気温THEが−20℃以上である場合(S350で「NO」)、AT作動油温ATHが−20℃以上である場合(S360で「NO」)のいずれかである場合には、気筒間温度差発生フラグFhに「OFF」が設定される(S380)。すなわち、ブロックヒータ70が作動していないか、あるいはブロックヒータ70が作動していてもエンジン2の気筒8〜22間に、冷却水温THWをそのまま制御に用いても問題となる程の温度差は発生していないことを示している。
【0075】
そして、ステップS370またはステップS380の処理が終了すると、判定完了フラグFbに「ON」を設定して(S385)、一旦本処理を終了する。
このように始動時に一度だけ、ステップS340〜S360の判定がなされて、気筒間温度差発生フラグFhに「ON」か「OFF」かのいずれかが設定される。
【0076】
このように設定された気筒間温度差発生フラグFhに基づいて、前述した燃料噴射量制御処理(図3)において始動時に冷却水温THWをそのまま制御に用いる(S140)か、冷却水温THWと吸気温THAとの平均値を用いる(S150)かが判定される(S130)ことになる。
【0077】
上述した処理による制御の一例を、図8および図9のタイミングチャートに実線で示す。
図8の例では、寒冷地において車両をエンジン2を停止した状態で、ブロックヒータ70に通電(ON)することにより車庫に長時間放置し、外気温THEが−30℃となった状態を示している。エンジン2停止中には、ブロックヒータ70の発生する熱により、冷却水温THWは20℃に維持されているが、吸気温THAは−20℃に、AT作動油温ATHは−25℃に低下している。
【0078】
エンジン2を始動するために、時刻t0において、ブロックヒータ70のプラグ70aを交流電源72のコンセント72aから抜いて(OFF)、ブロックヒータ70への通電を停止する。次に、時刻t1にてイグニッションキーを回して、スタータによるクランキングを開始する。この時、気筒間温度差発生フラグFhには「ON」が設定されるので、燃料噴射量Qは、冷却水温THW(=20℃)と吸気温THA(=−20℃)との平均値である0℃に基づいて設定される。このことにより、THW=0℃に対応する量の燃料噴射量Qが燃料噴射弁24〜38から噴射されて、燃焼室内は安定燃焼に必要な混合気状態となる。
【0079】
したがって、エンジン回転数NEは急激に上昇して、時刻t2にて始動完了基準回転数Nsを越える。このことで始動が完了する。これ以後、燃料噴射量Qは通常の燃料噴射量へと漸減して行き、アイドル回転数フィードバック制御と空燃比フィードバック制御の実行に移行して行く。
【0080】
なお、従来のごとく冷却水温THW(=20℃)のみで、燃料噴射量Qを決定した場合には、破線で示すごとく燃料噴射量Qは安定燃焼に必要な量よりも可成り少なくなり、エンジン2の始動が困難となったり、始動しても安定回転が得られず、エンジンストールを起こすおそれが高くなる。
【0081】
図9の例では、寒冷地において車両をエンジン2を停止した状態で、ブロックヒータ70に通電せず(OFF)に車庫に放置し、外気温THEが−25℃となり、冷却水温THWは−10℃に、吸気温THAは−15℃に、AT作動油温ATHは−22℃に低下した場合を示している。
【0082】
この状況下で、時刻t11にてイグニッションキーを回して、スタータによるクランキングを開始する。この時、気筒間温度差発生フラグFhには「OFF」が設定されるので、燃料噴射量Qは、冷却水温THW(=−10℃)に基づいて設定される。このことにより、冷却水温THW(=−10℃)そのものの値に対応する量の燃料噴射量Qが燃料噴射弁24〜38から噴射されて、燃焼室内は安定燃焼に必要な混合気状態となる。
【0083】
したがって、エンジン回転数NEは急激に上昇して、時刻t12にて始動完了基準回転数Nsを越えることで始動が完了する。これ以後、燃料噴射量Qは通常の燃料噴射量へと漸減して行き、アイドル回転数フィードバック制御と空燃比フィードバック制御の実行に移行して行く。
【0084】
上述した実施の形態1の構成において、冷却水温センサ82が冷却水温検出手段に相当する。そして、ステップS340〜360が気筒間温度差判定手段としての処理に、ステップS130,S150〜S180が機関制御手段としての処理に相当する。
【0085】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).燃料噴射量制御処理(図3)では、エンジン2の始動の際に、気筒間温度差発生判定処理(図7)にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に(S130で「YES」)、冷却水温THWと吸気温THAとの平均化処理(S150)を行っている。このことにより、冷却水温センサ82にて検出される冷却水温THWよりも低い温度に応じた燃料噴射量Qにて燃料噴射を実行することができる。
【0086】
このように、エンジン2の始動の際に、気筒間温度差が大きくなっている場合には、実際の冷却水温THWよりも低い温度に応じた機関始動制御を行うことができ、気筒間温度差が大きくなっていない場合には、冷却水温THW自身に応じた通常の機関始動制御を行うことができる。
【0087】
このため、ブロックヒータ70を備えたエンジン2の始動時において適切な機関始動制御を実行することが可能となる。
(ロ).本実施の形態1では、特に、冷却水温THW、外気温THEおよびオートマチックトランスミッションの作動油温ATHの3つの検出値を用いて、これらの状態をステップS340〜S360のごとく比較することにより、気筒間温度差が大きくなっていることを検出している。
【0088】
外気温THEおよびAT作動油温ATHが−20℃よりも低いにも関わらず、冷却水温THWがTHW>10℃である状態は、ブロックヒータ70の作用によって生じた状態であることはほぼ確実であり、このことにより、気筒間温度差が大きいことを、高い確実性にて判定することができる。
【0089】
(ハ).また、気筒間温度差が大きいことが判明した場合において、通常行っている冷間時燃料増量処理を利用して、冷却水温THWと吸気温THAとの平均値を用いて適切な燃料噴射量Qを得ることができる。このような簡易な構成で前記(イ)および(ロ)の効果を生じさせることができ、製造コストを抑制することができる。
【0090】
[実施の形態2]
本実施の形態2は、前記実施の形態1の燃料噴射量制御処理(図3)の代わりに図10に示す燃料噴射量制御処理を実行する。更に、これに加えて、図11に示す粗悪燃料増量処理と、図14に示す始動後燃料噴射時期設定処理とを実行する。これ以外の構成については、特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。
【0091】
燃料噴射量制御処理(図10)について説明する。本燃料噴射量制御処理(図10)においては、ステップS510,S520,S570〜S670は、前記実施の形態1の燃料噴射量制御処理(図3)におけるステップS110,S120,S170〜S270の各処理と同じである。本実施の形態2においては、ステップS520にて始動時であると判定された後の処理が前記実施の形態1とは異なる。
【0092】
すなわち、始動時であると判定されると(S520で「YES」)、直ちに冷却水温THWに基づき図4(実施の形態1)に傾向を示したマップから、始動時における燃料噴射量Qが算出される(S560)。そして、この燃料噴射量Qを始動時燃料噴射量記憶値Qaとして設定し(S570)、更に燃料噴射量Qを燃料噴射弁24〜38の開弁時間として設定して(S580)、一旦本処理を終了する。
【0093】
したがって、燃料噴射量制御処理(図10)では、気筒間温度差発生フラグFhが「ON」であるか否かにより処理は変化しない。この代わりに本実施の形態2では、粗悪燃料増量処理(図11)を利用して気筒間温度差発生フラグFhが「ON」である場合の対策を実行している。
【0094】
次に粗悪燃料増量処理(図11)について説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される処理である。本処理が開始されると、まず、始動完了か否かが判定される(S710)。始動前あるいは始動時であれば(S710で「NO」)、粗悪燃料増量処理完了フラグFyに「OFF」を設定して(S720)、一旦本処理を終了する。
【0095】
クランキングによりエンジン2が始動を開始してエンジン回転数NEが始動完了基準回転数Nsまで上昇していれば始動完了であるので(S710で「YES」)、次に、粗悪燃料増量処理完了フラグFyが「OFF」か否かを判定する(S730)。Fy=「ON」であればこのまま一旦本処理を終了するが、最初は、Fy=「OFF」であるので(S730)、次に気筒間温度差発生判定処理(実施の形態1:図7)にて設定されている気筒間温度差発生フラグFhが「ON」か否かを判定する(S740)。
【0096】
ここで、Fh=「OFF」であれば(S740で「NO」)、始動直後のエンジン回転数低下程度から粗悪燃料使用を判定するために、図12に実線Aにて傾向を示すマップAにより、冷却水温THWに基づいて低下判定回転数NELを算出する(S750)。次に、下降時のエンジン回転数NEの値が低下判定回転数NELを下回ったか否かが判定される(S760)。下降時のNE≧NELであれば(S760で「NO」)、次に始動完了からの時間が判定待機時間S(秒)経過前の状態か否かが判定される(S780)。判定待機時間S経過前であれば(S780で「YES」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0097】
下降時のNE≧NELの状態のままで(S760で「NO」)、判定待機時間Sを経過すると(S780で「NO」)、エンジン回転数NEの落ち込みが小さいので、燃料噴射弁24〜38から噴射される燃料は粗悪燃料では無いと判断できる。したがって、次に粗悪燃料増量処理完了フラグFyに「ON」を設定して(S790)、一旦本処理を終了する。以後は、Fy=「ON」であるので(S730で「NO」)、粗悪燃料増量処理の実質的な処理は終了する。
【0098】
判定待機時間Sを経過する前に(S780で「YES」)、下降時のNE<NELとなると(S760で「YES」)、エンジン回転数NEの低下の程度が大きいため粗悪燃料を用いていると判断できる。したがって、次に、図13に実線aにて傾向を示すマップaにより冷却水温THWに基づいて始動時燃料噴射量記憶値Qaを更新する(S770)。このように、粗悪燃料、すなわち揮発しにくい燃料による燃焼性を向上させるために、前記燃料噴射量制御処理(図10)にて計算(S560,S570)されて、漸減処理(S640)に用いられている始動時燃料噴射量記憶値Qaを、冷却水温THWに応じて必要な程度に大きい値に更新する処理を実行する。
【0099】
このように始動時燃料噴射量記憶値Qaを大きい値に更新することにより、特に燃料噴射量制御処理(図10)の漸減処理(S640)においては、大きい値に更新された始動時燃料噴射量記憶値Qaから次第に燃料噴射量を小さくする処理が継続する。
【0100】
こうして、始動時燃料噴射量記憶値Qaを更新する(S770)と、次に粗悪燃料増量処理完了フラグFyに「ON」を設定して(S790)、一旦本処理を終了する。以後は、Fy=「ON」であるので(S730で「NO」)、粗悪燃料増量処理の実質的な処理は終了する。
【0101】
一方、Fh=「ON」であれば(S740で「YES」)、エンジン2の停止時にブロックヒータ70が作動していたことにより気筒間温度差が発生している状態である。このため、次に、始動直後のエンジン回転数低下を利用して燃料噴射量増量を実行するために、図12に実線Bにて傾向を示すマップBにより、冷却水温THWに基づいて低下判定回転数NELを算出する(S800)。このマップBにより算出される低下判定回転数NELは、図12から判るように、前述した粗悪燃料を判定するマップAの場合よりも高い回転数が設定されるように設計されている。
【0102】
次に、下降時のエンジン回転数NEの値が低下判定回転数NELを下回ったか否かが判定される(S810)。下降時のNE≧NELであれば(S810で「NO」)、次に始動完了からの時間が判定待機時間S(秒)経過前の状態か否かが判定される(S780)。判定待機時間S経過前であれば(S780で「YES」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0103】
下降時のNE≧NELの状態のままで(S810で「NO」)、判定待機時間Sを経過すると(S780で「NO」)、実際には問題ない程度の気筒間温度差であると判断できる。したがって、次に粗悪燃料増量処理完了フラグFyに「ON」を設定して(S790)、一旦本処理を終了する。以後は、Fy=「ON」であるので(S730で「NO」)、気筒間温度差対策の実質的な処理は終了する。
【0104】
判定待機時間Sを経過する前に(S780で「YES」)、下降時のNE<NELとなると(S810で「YES」)、エンジン回転数NEの低下が大きいため気筒間温度差の対策が必要であると判断できる。したがって、次に、図13に実線bにて傾向を示すマップbにより冷却水温THWに基づいて始動時燃料噴射量記憶値Qaを更新する(S820)。すなわち、気筒間温度差対策のために、前記燃料噴射量制御処理(図10)にて計算(S560,S570)されて、漸減処理(S640)に用いられている始動時燃料噴射量記憶値Qaを、冷却水温THWに応じて必要な程度に大きい値に更新する処理を実行する。
【0105】
このことにより、特に燃料噴射量制御処理(図10)の漸減処理(S640)においては、大きくなった始動時燃料噴射量記憶値Qaから次第に燃料噴射量を小さくする処理が継続する。
【0106】
こうして、始動時燃料噴射量記憶値Qaを更新すると、次に粗悪燃料増量処理完了フラグFyに「ON」を設定して(S790)、一旦本処理を終了する。以後は、Fy=「ON」であるので(S730で「NO」)、気筒間温度差対策の実質的な処理は終了する。
【0107】
次に始動後燃料噴射時期設定処理(図14)を説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される処理である。
本処理が開始されると、まず、始動時か否かが判定される(S910)。クランキング中であれば(S910で「YES」)、始動後燃料噴射時期設定完了フラグFzに「OFF」を設定する(S915)。
【0108】
そして、次に時間Cが経過したか否かが判定される(S920)。この時間Cは始動時に行われる吸気同期噴射設定(S930)の継続基準時間を表している。最初はまだ燃料噴射自体が実行されていないので、時間Cは経過していず(S920で「NO」)、次に吸気同期噴射が設定される(S930)。ここで、吸気同期噴射とは、吸気行程にて燃料噴射弁24〜38から吸気ポート8a〜22aへ向けて燃料が噴射される燃料噴射形態を表している。
【0109】
こうして、一旦、本処理を終了する。このことにより、燃料噴射弁24〜38からは吸気行程にて燃料が噴射されるので、吸気とともに直ちに燃焼室内に噴射燃料は吸入される。
【0110】
始動時においては、時間Cが経過するまでは(S920で「NO」)、吸気同期噴射の設定(S930)が継続する。そして、時間Cが経過すると(S920で「YES」)、吸気非同期噴射が設定される(S940)。ここで、吸気非同期噴射とは、圧縮行程、膨張行程あるいは排気行程などの吸気行程前で燃料噴射弁24〜38から吸気ポート8a〜22aへ向けて燃料が噴射される燃料噴射形態を表している。
【0111】
こうして、一旦、本処理を終了する。このことにより、燃料噴射弁24〜38からは吸気行程前にて燃料が噴射されるので、一旦、吸気ポート8a〜22aに付着してから蒸気となった燃料が吸気行程にて吸気とともに燃焼室内に吸入される。
【0112】
そして、始動完了となると(S910で「NO」)、次に、粗悪燃料増量処理(図11)のステップS770またはステップS820にて始動時燃料噴射量記憶値Qaが更新されたか否かが判定される(S950)。ステップS770またはステップS820にて始動時燃料噴射量記憶値Qaが更新されていない場合(S950で「NO」)、すなわち、粗悪燃料増量処理(図11)のステップS760またはステップS810のいずれかにおいて、下降時のNE≧NELと判断されている場合には、吸気非同期噴射が設定されて(S940)、一旦、本処理を終了する。
【0113】
一方、ステップS770またはステップS820にて始動時燃料噴射量記憶値Qaが更新されている場合(S950で「YES」)、すなわち、粗悪燃料増量処理(図11)のステップS760またはステップS810のいずれかにおいても、下降時のNE<NELと判断された場合には、次に始動後燃料噴射時期設定完了フラグFzが「OFF」か否かが判定される(S960)。
【0114】
Fz=「ON」であれば(S960で「NO」)、吸気非同期噴射が設定されて(S940)、一旦本処理を終了するが、最初はFz=「OFF」であるので(S960で「YES」)、次に、時間Dが経過しているか否かが判定される(S970)。この時間Dは、ステップS950にて「YES」と判定されてから実行される吸気同期噴射設定(S930)の継続基準時間を表している。
【0115】
時間Dが経過していなければ(S970で「NO」)、次に吸気同期噴射の設定がなされる(S930)。こうして、一旦、本処理を終了する。このことにより、燃料噴射弁24〜38からは吸気行程にて燃料が噴射される。
【0116】
時間Dが経過すれば(S970で「YES」)、次に始動後燃料噴射時期設定完了フラグFzに「ON」が設定され(S980)、吸気非同期噴射が設定されて(S940)、一旦本処理を終了する。
【0117】
上述した処理による制御の一例を図15のタイミングチャートに示す。
図15の例では、寒冷地において車両をエンジン2を停止した状態で、ブロックヒータ70に通電にすることにより車庫に長時間放置し、外気温THEが−30℃となった状態を示している。ブロックヒータ70の発生する熱により、冷却水温THWは20℃に維持されているが、吸気温THAは−20℃に、AT作動油温ATHは−25℃に低下している。
【0118】
時刻t20において、ブロックヒータ70のプラグ70aを交流電源72のコンセント72aから抜いて、ブロックヒータ70への通電を停止する。次に、時刻t21にてイグニッションキーを回して、スタータによるクランキングを開始する。この時、燃料噴射量Qは、冷却水温THW(=20℃)に基づいて設定される。このことにより、冷却水温THWが20℃にて必要な量の燃料噴射量Qが燃料噴射弁24〜38から噴射される。
【0119】
そして、エンジン回転数NEは上昇して、時刻t12にて一旦始動完了基準回転数Nsを越えることで始動が完了する。しかし、冷却水温THW=20℃で必要とされる燃料噴射量Qでは、気筒間温度差により一部の気筒では安定した燃焼が生じないので、この直後にエンジン回転数NEは急激に低下する。そして、エンジン回転数NEは、気筒間温度差発生フラグFh=「ON」であることにより通常よりも高く設定されている低下判定回転数NELを、判定待機時間Sが経過するまでに下回る(時刻t23)。
【0120】
このことにより、燃料噴射量制御処理(図10)のステップS630〜S650にて用いられる始動時燃料噴射量記憶値Qaの値が高い値に更新される。このため、気筒間温度差が生じている場合に必要な量の燃料噴射量Qが燃料噴射弁24〜38から噴射されるようになり、燃焼室内は安定燃焼に必要な混合気状態となる。これ以後、燃料噴射量Qは通常の燃料噴射量へと漸減して行き、アイドル回転数フィードバック制御と空燃比フィードバック制御の実行に移行して行く。
【0121】
更に、始動後燃料噴射時期設定処理(図14)により、ステップS820の始動時燃料噴射量記憶値Qaの更新処理が実行された場合には、時間Dの間は吸気同期噴射を実行している。このため、燃料噴射弁24〜38にて吸気ポート8a〜22aに向けて噴射された燃料は、直ちに吸気とともに燃焼室に吸入される。したがって、吸気ポート8a〜22aへの燃料付着量が少なくなり、燃焼室内の燃料濃度を高めることができる。
【0122】
なお、従来のごとく、低下判定回転数NELが低いまま(図15に括弧で示す)では、冷却水温THW(=20℃)のみで燃料噴射量Qを決定しても、その直後にエンジン回転数NEが低下判定回転数NELを下回ることはない。このため始動時燃料噴射量記憶値Qaの更新がなされず、かつ吸気非同期噴射のままである。このため、燃料噴射量Qは、破線で示すごとく必要な量よりも可成り少ない状態のままとなり、吸気同期噴射による付着量低減もなされないので、エンジン2の安定回転が得られず、エンジンストールを起こすおそれが高くなる。
【0123】
上述した実施の形態2の構成において、気筒間温度差発生判定処理(図7)のステップS340〜360が気筒間温度差判定手段としての処理に、機関回転数低下時増量処理である粗悪燃料増量処理(図11)のステップS800〜S820および始動後燃料噴射時期設定処理(図14)のステップS950,S970,S930が稀薄化抑制手段としての処理に相当する。
【0124】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).粗悪燃料増量処理(図11)により、エンジン2の始動の際に、気筒間温度差発生判定処理(図7)にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合には(S740で「YES」)、低下判定回転数NELを上昇させることにより(S800)、始動時燃料噴射量記憶値Qaを大きい値に更新して(S820)、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制している。
【0125】
このことにより、エンジン2の始動時に、ブロックヒータ70の作動により冷却水温THWが比較的高くなっているために始動時燃料噴射量記憶値Qaの設定量(S560)が低くされるような場合にも、その後に始動時燃料噴射量記憶値Qaが大きい値に更新される(S820)ため、燃焼室内の燃料濃度が薄くなるのを抑制できる。
【0126】
このように、エンジン2の始動の際に、ブロックヒータ70の作動がなされていたことにより気筒間温度差が大きくなっている場合には、粗悪燃料増量処理により燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することにより適切な燃料濃度とすることができる。また気筒間温度差が大きくなっていない場合には、通常の粗悪燃料増量処理となり、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制しないことにより適切な燃料濃度とすることができる。したがって、機関始動制御が適切に行えるようになる。
【0127】
(ロ).本実施の形態2では、粗悪燃料増量処理(図11)および始動後燃料噴射時期設定処理(図14)を利用して、その一部として稀薄化抑制手段を実現している。
【0128】
このため、特に大きなシステム上の変更を加えることなく、容易に実現できるので、製造コストを抑制することができる。
(ハ).前記実施の形態1の(ロ)と同じ効果を生じる。
【0129】
[実施の形態3]
本実施の形態3は、前記実施の形態1の燃料噴射量制御処理(図3)の代わりに図16に示す燃料噴射量制御処理を実行し、これに加えて、更に図17に示す始動後燃料噴射時期設定処理および図19に示す触媒暖機点火遅角処理を実行する。これ以外の構成については、特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。
【0130】
燃料噴射量制御処理(図16)について説明する。本燃料噴射量制御処理(図10)においては、ステップS1010,S1020,S1070〜S1170は、前記実施の形態1の燃料噴射量制御処理(図3)におけるステップS110,S120,S170〜S270の各処理と同じである。本実施の形態3においては、ステップS1020にて始動時であると判定された後の処理が前記実施の形態1とは異なる。
【0131】
すなわち、始動時であると判定されると(S1020で「YES」)、直ちに冷却水温THWに基づき前記実施の形態1の図4に傾向を示したマップから、始動時における燃料噴射量Qが算出される(S1060)。そして、次に気筒間温度差発生フラグFhが「ON」か否かが判定される(S1062)。
【0132】
ここで、Fh=「OFF」であれば(S1062で「NO」)、ステップS1060で求められた燃料噴射量Qを始動時燃料噴射量記憶値Qaとして設定し(S1070)、更に燃料噴射量Qを燃料噴射弁24〜38の開弁時間として設定して(S1080)、一旦本処理を終了する。
【0133】
一方、Fh=「ON」であった場合には(S1062で「YES」)、ステップS1060で求められた燃料噴射量Qに対して、次式3のごとく基準増量値α分の増量を行う(S1064)。
【0134】
【数3】
Q ← Q + α … [式3]
そしてこの増量された燃料噴射量Qを始動時燃料噴射量記憶値Qaとして設定し(S1070)、更に、この燃料噴射量Qを燃料噴射弁24〜38の開弁時間として設定し(S1080)、一旦本処理を終了する。
【0135】
したがって、本燃料噴射量制御処理(図16)では、気筒間温度差発生フラグFhが「ON」であれば、冷却水温THWに基づいて求められた燃料噴射量Qを直接的に増量している。
【0136】
次に始動後燃料噴射時期設定処理(図17)について説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される処理である。
本処理が開始されると、まず、始動時か否かが判定される(S1210)。始動時であれば(S1210で「YES」)、始動後燃料噴射時期設定完了フラグFzに「OFF」を設定する(S1220)。そして、次に時間Cが経過したか否かが判定される(S1230)。この時間Cは、始動時に行われる吸気同期噴射設定(S1240)の継続基準時間を表している。最初はまだ燃料噴射自体が実行されていないので、時間Cは経過していず(S1230で「NO」)、次に吸気同期噴射が設定される(S1240)。ここで、吸気同期噴射とは前記実施の形態2で述べたごとくである。こうして、一旦、本処理を終了する。
【0137】
このことにより、燃料噴射弁24〜38からは吸気行程にて燃料が噴射されるので、吸気とともに直ちに燃焼室内に噴射燃料は吸入される。そして、始動時においては、時間Cが経過するまでは(S1230で「NO」)、吸気同期噴射の設定(S1240)が継続する。そして、時間Cが経過すると(S1230で「YES」)、吸気非同期噴射が設定される(S1260)。吸気非同期噴射とは前記実施の形態2で述べたごとくである。
【0138】
こうして、一旦、本処理を終了する。このことにより、燃料噴射弁24〜38からは吸気行程前にて燃料が噴射されるので、一旦、吸気ポート8a〜22aに付着してから蒸気となった燃料が吸気行程にて吸気とともに燃焼室内に吸入される。
【0139】
そして、始動完了となると(S1210で「NO」)、次に、気筒間温度差発生判定処理(実施の形態1:図7)にて設定されている気筒間温度差発生フラグFhが「ON」か否かが判定される(S1250)。Fh=「OFF」の場合(S1250で「NO」)、すなわち、気筒間温度差が問題とならない程度である場合には、吸気非同期噴射が設定され(S1260)、一旦、本処理を終了する。
【0140】
一方、Fh=「ON」の場合(S1250で「YES」)、すなわち、気筒間温度差が問題となる場合には、次に始動後燃料噴射時期設定完了フラグFzが「OFF」か否かが判定される(S1270)。
【0141】
Fz=「ON」であれば(S1270で「NO」)、吸気非同期噴射が設定されて(S1260)、一旦本処理を終了するが、最初はFz=「OFF」であるので(S1270で「YES」)、次に、冷却水温THWと吸気温THAとの平均値Tabが次式4のように求められる(S1280)。
【0142】
【数4】
Tab ← (THW + THA)/2 … [式4]
そして、この平均値Tabに基づいて図18に傾向を示すマップから時間Eを算出する(S1290)。この時間Eは、ステップS1250にて「YES」と判定されてから実行される吸気同期噴射設定(S1240)の継続基準時間を表している。
【0143】
次に、時間Eが経過しているか否かが判定される(S1300)。時間Eが経過していなければ(S1300で「NO」)、次に吸気同期噴射の設定がなされる(S1240)。こうして、一旦、本処理を終了する。このことにより、燃料噴射弁24〜38からは吸気行程にて燃料が噴射される。
【0144】
時間Eが経過すれば(S1300で「YES」)、次に始動後燃料噴射時期設定完了フラグFzに「ON」が設定され(S1310)、吸気非同期噴射が設定されて(S1260)、一旦本処理を終了する。
【0145】
触媒暖機点火遅角処理(図19)について説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される処理である。
本処理が開始されると、まず、触媒温度Tcatの計算が行われる(S1410)。この計算は、エンジン2の運転状態、例えば、点火時期、エンジン回転数NE、吸気圧PM、始動からの経過時間あるいは始動からのトータルの排気量などにより、触媒コンバータ68内に収納されている排気浄化触媒の温度を推定するものである。なお、この代わりに、触媒コンバータ68に温度センサを配置して、直接、触媒温度Tcatを検出しても良い。
【0146】
次に触媒温度Tcatが触媒活性化基準温度Tt以上の温度になっているか否かが判定される(S1420)。Tcat≧Ttであれば(S1420で「YES」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0147】
Tcat<Ttであれば(S1420で「NO」)、次に気筒間温度差発生フラグFhが「OFF」か否かが判定される(S1430)。Fh=「OFF」であれば(S1430で「YES」)、気筒間温度差が問題とならない程度であることから、触媒暖機のための点火時期遅角処理が実行される(S1440)。このことにより、燃焼室からの排気が高温化し、触媒コンバータ68内の触媒を早期に活性化させる。こうして、一旦、本処理を終了する。
【0148】
一方、Fh=「ON」であれば(S1430で「NO」)、問題となる程度の気筒間温度差が生じていて燃焼性が低下していることから、これ以上の燃焼悪化を防止するために、点火時期遅角処理は実行することなく、本処理を一旦終了する。
【0149】
上述した実施の形態3の構成において、気筒間温度差発生判定処理(図7)のステップS340〜360が気筒間温度差判定手段としての処理に、燃料噴射量制御処理(図16)のステップS1062,S1064および始動後燃料噴射時期設定処理(図17)のステップS1250,S1280〜S1300,S1240が稀薄化抑制手段としての処理に相当する。
【0150】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).燃料噴射量制御処理(図16)では、エンジン2の始動の際に、気筒間温度差発生判定処理(図7)にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合(S1062で「YES」)に、冷却水温THWにて求められた燃料噴射量Qを増加補正している(S1064)。このことにより、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制できる。
【0151】
このように、エンジン2の始動の際に、ブロックヒータ70の作動がなされていたことにより気筒間温度差が大きくなっている場合には、燃料噴射量Qの直接的な増量により燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制している。このことにより適切な燃料濃度とすることができる。また気筒間温度差が大きくなっていない場合には、通常の燃料噴射量Qの設定により適切な燃料濃度とすることができる。したがって、機関始動制御が適切に行えるようになる。
【0152】
(ロ).更に、始動後燃料噴射時期設定処理(図17)では、エンジン2の始動完了後に、気筒間温度差発生判定処理(図7)にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合(S1250で「YES」)に、冷却水温THWと吸気温THAとの平均値Tabにて求められた時間Eの間、吸気同期噴射を実行している(S1240)。このことにより、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を一層効果的に抑制できる。したがって、機関始動制御がより適切に行えるようになる。
【0153】
(ハ).また、気筒間温度差が大きくなれば、燃料噴射量制御処理にて、直ちに直接的に燃料噴射量Qの増量および吸気同期噴射を実行している。このため、簡単な構成で燃料増量による燃料蒸気濃度の低下を抑制することができる。
【0154】
したがって、特に大きなシステム上の変更を加えることなく、容易に実現できるので、製造コストを抑制することができる。
(ニ).本実施の形態3では、気筒間温度差が大きくなれば、触媒暖機のための点火時期遅角処理を実行しないようにしている。このことにより、気筒間温度差が大きい状態と点火時期の遅角状態とによる両方の燃焼性の悪化が複合することが無く、回転安定性を維持し、かつエミッションの悪化を防止できる。
【0155】
(ホ).前記実施の形態1の(ロ)の効果を生じる。
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態1に対して、更に始動後燃料噴射時期設定処理(図14)を加えた構成としても良い。このことにより、吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を更に抑制することができる。
【0156】
・前記実施の形態1,2に対して、更に触媒暖機点火遅角処理(図19)を加えた構成としても良い。このことにより複合的な燃焼性の悪化が防止できるので、回転安定性を維持し、かつエミッションの悪化を防止できる。
【0157】
・前記実施の形態1,3に対して、更に粗悪燃料増量処理(図11)を加えた構成としても良い。このことにより、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を更に抑制することができる。
【0158】
・前記実施の形態2,3においては、始動時、時間Cだけ吸気同期噴射を行うこととしたが、この処理は必須ではない。すなわち、この期間は吸気非同期噴射を行う構成としても良い。
【0159】
・前記各実施の形態において、ブロックヒータ70の作動がなされていたことにより気筒間温度差が大きくなっている状態を、冷却水温THW、外気温THEおよびAT作動油温ATHの状態にて判定していた(図7:S340〜S360)。これ以外に、冷却水温THWおよび外気温THEの状態のみで(S340,S350)、判定しても良い。また、AT作動油温ATHの代わりに潤滑油であるエンジンオイルの油温を用いても良い。また、外気温THEの代わりに吸気温THAを用いても良い。また、AT作動油温ATHやエンジンオイルの油温の代わりに燃料温度を用いても良い。
【0160】
・前記実施の形態1の燃料噴射量制御処理(図3)では、気筒間温度差発生フラグFh=「ON」の場合に実行されるステップS150では、冷却水温THWと吸気温THAとの平均値を求めて、燃料噴射量Qの算出に用いていた。これ以外に、気筒間温度差発生フラグFh=「ON」の場合には、冷却水温THWと外気温THEとの平均値、冷却水温THWとAT作動油温ATHとの平均値、冷却水温THWとエンジンオイルの油温との平均値、冷却水温THWと燃料温度との平均値、あるいは冷却水温THWとこれら外気温THE、AT作動油温ATH、エンジンオイルの油温、および燃料温度の2つ以上との平均値、更には冷却水温THWを含むそれら全ての温度の平均値、等々を求めて燃料噴射量Qを算出するようにしても良い。要は、冷却水温THWを適宜に低下補正した値を用いて燃料噴射量Qを算出するようにすれば良い。
【0161】
・前記各実施の形態においては、ブロックヒータ70と冷却水温センサ82とは同じ1つの気筒8の近傍に配置されていたが、異なる気筒の近傍に配置されていても良い。ただし、同じ1つの気筒8の近傍にブロックヒータ70と冷却水温センサ82とが配置されていた方が、ブロックヒータ70への通電による気筒間温度差が大きくなっている状態を、より正確に検出することができる。
【0162】
・前記各実施の形態では、吸気圧センサ76を用いたが、この代わりに各種のエアフロメータを用いて吸入空気量を検出しても良い。この場合、図5に示した基本燃料噴射量QBSを求めるためのマップは、エンジン回転数NEと吸入空気量とをパラメータとするものになる。
【0163】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、特許請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような各種の技術的事項の実施形態を有するものであることを付記しておく。
【0164】
(1).請求項1〜13のいずれか記載の構成に加えて、
内燃機関の始動の際に、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、排気浄化触媒を暖機するための点火時期遅角処理の実行を禁止する点火遅角禁止手段を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
【0165】
このように気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、点火遅角禁止手段が排気浄化触媒を暖機するための点火時期遅角処理の実行を禁止することにより、気筒間温度差が大きい状態と点火時期遅角とによる両方の燃焼性の悪化が複合することが無い。このため回転安定性を維持し、かつエミッションの悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるエンジンの概略構成図。
【図2】実施の形態1のエンジン制御系統の概略構成を表すブロック図。
【図3】実施の形態1の燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図4】実施の形態1において温度変数Tにもとづいて燃料噴射量Qを求めるためのマップ構成説明図。
【図5】実施の形態1において吸気圧PMとエンジン回転数NEとに基づいて基本燃料噴射量QBSを求めるためのマップ構成説明図。
【図6】実施の形態1において冷却水温THWから燃料噴射量冷間補正係数Kqを求めるためのマップ構成説明図。
【図7】実施の形態1の気筒間温度差発生判定処理のフローチャート。
【図8】実施の形態1の制御の一例を示すタイミングチャート。
【図9】実施の形態1の制御の一例を示すタイミングチャート。
【図10】実施の形態2の燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図11】実施の形態2の粗悪燃料増量処理のフローチャート。
【図12】実施の形態2において冷却水温THWから低下判定回転数NELを求めるためのマップ構成説明図。
【図13】実施の形態2において冷却水温THWから始動時燃料噴射量記憶値Qaを求めるためのマップ構成説明図。
【図14】実施の形態2の始動後燃料噴射時期設定処理のフローチャート。
【図15】実施の形態2の制御の一例を示すタイミングチャート。
【図16】実施の形態3の燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図17】実施の形態3の始動後燃料噴射時期設定処理のフローチャート。
【図18】実施の形態3において冷却水温THWと吸気温THAとの平均値Tabから時間Eを求めるためのマップ構成説明図。
【図19】実施の形態3の触媒暖機点火遅角処理のフローチャート。
【符号の説明】
2…エンジン、4,6…バンク、8,10,12,14,16,18,20,22…気筒、8a〜10a,12a,14a,16a,18a,20a,22a…吸気ポート、8b,10b,12b,14b,16b,18b,20b,22b…排気ポート、8c,10c,12c,14c,16c,18c,20c,22c…点火プラグ、8d,10d,12d,14d,16d,18d,20d,22d…イグナイタ、24,26,28,30,32,34,36,38…燃料噴射弁、40,42,44,46,48,50,52,54…吸気マニホールド、56…サージタンク、58…吸気経路、60…スロットルバルブ、60a…スロットルバルブ駆動用モータ、62…エアクリーナ、64,66…排気マニホールド、67…排気管、68…触媒コンバータ、70…ブロックヒータ、70a…プラグ、72…交流電源、72a…コンセント、74…吸気温センサ、75…スロットル開度センサ、76…吸気圧センサ、78…エンジン回転数センサ、80…気筒判別センサ、82…冷却水温センサ、84… 空燃比センサ、90…ECU、90a…双方向バス、90b…CPU、90c…ROM、90d…RAM、90e…バックアップRAM、90f…入力回路、90g…出力回路、92…AT油温センサ、93…外気温センサ、94…アクセル開度センサ、96…スタータモータ。

Claims (13)

  1. 内燃機関停止時に内燃機関の冷却水に熱エネルギーを供給することにより内燃機関の低温化を抑制するヒータを備えた多気筒内燃機関に用いられる内燃機関制御装置であって、
    内燃機関の始動の際に、前記ヒータの作動に伴う気筒間の温度差が大きくなっているか否かを判定する気筒間温度差判定手段と、
    内燃機関の冷却水の温度を検出する冷却水温検出手段と、
    内燃機関の始動の際に、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、前記冷却水温検出手段にて検出される冷却水温よりも低い温度に応じた機関制御を行う機関制御手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 内燃機関停止時に内燃機関の冷却水に熱エネルギーを供給することにより内燃機関の低温化を抑制するヒータを備えた多気筒内燃機関に用いられる内燃機関制御装置であって、
    内燃機関の始動の際に、前記ヒータの作動に伴う気筒間の温度差が大きくなっているか否かを判定する気筒間温度差判定手段と、
    内燃機関の始動の際に、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、吸気管および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制する稀薄化抑制手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  3. 請求項1または2の構成において、前記気筒間温度差判定手段は、内燃機関の始動の際に、内燃機関の温度あるいは内燃機関の雰囲気温度を表す2種類以上の検出値に基づいて、気筒間温度差が大きくなっているか否かを判定することを特徴とする内燃機関制御装置。
  4. 請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、内燃機関の潤滑油温、外気温、吸気温あるいはトランスミッションの作動油温の内の2つ以上であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  5. 請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、外気温およびトランスミッションの作動油温であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  6. 請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、吸気温およびトランスミッションの作動油温であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  7. 請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、内燃機関の潤滑油温および外気温であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  8. 請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温、内燃機関の潤滑油温および吸気温であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  9. 請求項3の構成において、前記検出値とは、内燃機関の冷却水温および外気温であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  10. 請求項2記載の構成において、前記稀薄化抑制手段は、内燃機関の冷却水温をパラメータとする冷間時燃料増量処理に対して、前記検出される冷却水温を低下補正した温度を用いることで、燃料供給量を増加して吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする内燃機関制御装置。
  11. 請求項2記載の構成において、前記稀薄化抑制手段は、始動直後に機関回転数が基準回転数を下回ることで実行される機関回転数低下時増量処理において、前記基準回転数を高めて機関回転数低下時増量処理実行の確率を増大させることにより吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする内燃機関制御装置。
  12. 請求項2記載の構成において、前記稀薄化抑制手段は、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、直接、燃料増量処理を実行することにより吸気管内および燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする内燃機関制御装置。
  13. 請求項2記載の構成において、内燃機関が吸気ポートに燃料を噴射する吸気ポート燃料噴射型内燃機関であり、前記稀薄化抑制手段は、前記気筒間温度差判定手段にて気筒間温度差が大きくなっていると判定された場合に、吸気行程時に吸気ポートに燃料を噴射することにより、燃焼室内の燃料蒸気濃度の低下を抑制することを特徴とする内燃機関制御装置。
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