JP3743885B2 - 表示部材、時計および電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、腕時計などの時計に用いられる発光機能を備えた表示部材、この表示部材を備えた時計および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、指針式の腕時計は、図15に示すように、アナログムーブメント2を有する時計モジュール1を備え、この時計モジュール1の上面に時計用文字板3を設けた構成になっている。この場合、時計用文字板3の中心部には、軸挿入孔3aが設けられている。この軸挿入孔3aには、アナログムーブメント2の指針軸2aが挿入されて上方に突出しており、この突出した指針軸2aの上端部には、時針、分針などの指針4が取り付けられている。これにより、この腕時計では、指針4が時計用文字板3の上方を運針することにより、時刻を指示するように構成されている。
【0003】
このような腕時計は、暗い所でも時刻を知ることができるように、時計用文字板3が、図16に示すように構成されている。すなわち、この時計用文字板3は、EL素子(エレクトロルミネッセンス素子)などの平面発光型の発光部材5を備え、この発光部材5の上面に微細な貫通孔7が多数形成された薄膜状の金属層6を設け、この金属層6の上面における外周部に時字8(図17および図18参照)を設けると共に、金属層6の上面の所定個所に表示マークなどの装飾部9を印刷により設けた構造になっている。
【0004】
この場合、金属層6の貫通孔7は、微細な孔であるが、金属層6の厚さよりも小さい孔径で形成することが困難であるため、金属層6の厚さよりも少し大きい孔径で形成されている。また、この金属層6は、貫通孔7の上側に装飾部9を印刷により設けることができないため、装飾部9を設ける個所の領域には貫通孔7を形成せず、この貫通孔7が形成されていない領域に装飾部9が設けられている。
【0005】
この腕時計の時計用文字板3では、図17に示すように、明るい所で指針4により時刻を知ることができるほか、金属層6により金属調の装飾効果が得られると共に、装飾部9による装飾効果が得られる。また、暗い所では、図18に示すように、発光部材5を発光させると、その光が金属層6に形成された多数の貫通孔7を透過して金属層6の上面側を照明するので、暗い所でも時刻を知ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような腕時計の時計用文字板3では、装飾部9が設けられる個所の金属層6の領域に貫通孔7を形成せずに装飾部9を設けているため、明るい所では、図17に示すように、表示マークなどの装飾部9を視認することができても、暗い所では、図18に示すように、装飾部9が設けられる個所の金属層6の領域が発光部材5からの光を遮断するため、装飾部9に対応する個所の領域全体が暗くなり、その分、発光部材5による全体の照明が暗くなり、装飾部9が見えないばかりか、指針4が見えにくくなり、時刻を視認しずらくなるという欠点がある。
【0007】
この発明の課題は、暗い所でも発光部材で明るく照明することができ、良好に時刻を知ることができるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。なお、各構成要素には、後述する各実施形態の項で説明される各要素に付されている図面の参照番号などを括弧と共に付す。
請求項1に記載の発明は、図1〜図4、図6に示すように、発光部材(20)と、この発光部材の上面に配置され且つ微細な貫通孔(25)が多数形成された金属層(21)と、この金属層の上面に設けられた光透過シート(22)と、この光透過シートの上面および下面の少なくとも一方の所定個所に設けられた非光透過性の装飾部(24)とを備えており、前記金属層の前記貫通孔は、前記金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部(26b)の横断面積が上面側に位置する孔部(26a)の横断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする表示部材(文字板13)である。
この発明によれば、明るい所では良好に時刻などを知ることができるほか、光透過シートを通して金属層が見えるので、金属調の装飾効果が得られると共に、装飾部による装飾効果を得ることができ、また暗い所では発光部材からの光が金属層の多数の微細な貫通孔を通して光透過シートを透過し、その上面側を照明する際、非光透過性の装飾部の個所では光が遮断されるが、この装飾部に対応する個所の金属層にも貫通孔が多数形成されているので、従来例のように装飾部に対応する個所の領域全体が暗くならず、光透過シートの上面側のほぼ全体を明るく照明することができ、これにより暗い所でも良好に時刻などを知ることができると共に、暗い所でも装飾部をその輪郭により視認することができる。
また、金属層の貫通孔は、金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部の横断面積が上面側に位置する孔部の横断面積よりも大きく形成されていることから、貫通孔の上面側に位置する孔部を更に小さく形成することができるので、上面側から見て貫通孔が更に目立たないようにすることができ、且つ発光部材からの光を下面側に位置する孔部で十分に取り込むことができ、これにより貫通孔を透過する光量を確保することができるので、上面側に位置する孔部が小さくても、十分な照度を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、図8〜図10に示すように、発光部材(20)と、この発光部材の上面に配置され且つ微細な貫通孔(25)が多数形成された金属層(21)と、この金属層の上面に設けられた光透過シート(22)と、この光透過シートの上面および下面の少なくとも一方の所定個所に設けられた光透過性の装飾部(28)とを備えており、前記金属層の前記貫通孔は、前記金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部(26b)の横断面積が上面側に位置する孔部(26a)の横断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする表示部材(文字板13)である。
この発明によれば、明るい所では請求項1に記載の発明と同様、時刻などを知ることができると共に、金属調の装飾効果および装飾部による装飾効果を得ることができ、また暗い所では発光部材からの光が金属層の多数の微細な貫通孔を通して光透過シートを透過し、その上面側を照明する際、光透過性の装飾部をも光が透過するので、光透過シートおよび装飾部の上面側全体をほぼ均一に明るく照明することができ、これにより暗い所でも良好に時刻などを知ることができる。
また、金属層の貫通孔は、金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部の横断面積が上面側に位置する孔部の横断面積よりも大きく形成されていることから、貫通孔の上面側に位置する孔部を更に小さく形成することができるので、上面側から見て貫通孔が更に目立たないようにすることができ、且つ発光部材からの光を下面側に位置する孔部で十分に取り込むことができ、これにより貫通孔を透過する光量を確保することができるので、上面側に位置する孔部が小さくても、十分な照度を得ることができる。
【0010】
この場合、請求項3に記載の発明は、図11および図12に示すように、光透過シート(30)の全体が着色されていることにより、この光透過シート(30)が着色された色に応じて金属層(21)が加色されるので、加色された金属調の表現が得られる。
また、請求項4に記載の発明は、図13および図14に示すように、光透過シート(32)が部分ごとに異なる色で着色されていることにより、金属層(21)が部分ごとに異なる色で加色されるので、部分的に異なる色で加色された金属調の表現が得られる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、図7に示すように、金属層(21)に形成された貫通孔(27)の下面側に位置する孔部(27b)を、上面側に位置する孔部(27a)が複数個対応する大きさに形成したことにより、下面側の孔部に対応する上面側の孔部の数を変更するだけで、光の透過量を変えることができ、これにより照度を変えることができる。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、図1に示すように、請求項1から5のいずれかに記載の表示部材(時計用文字板13)を時計ケース(10)内に配置すると共に、この時計ケース内に配置された前記表示部材の上部位置に時計ガラス(11)を配置したことを特徴とする時計である。
この発明によれば、表示部材を時計ケース内に配置しても、表示部材の上部位置に配置された時計ガラスを通して、表示部材を見ることができるので、この表示部材により暗い所でも時刻を知ることができると共に、表示部材により多彩な装飾効果を得ることができる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の表示部材を機器ケース内に配置したことを特徴とする電子機器である。
この発明によれば、表示部材を機器ケース内に配置したので、この表示部材により暗い所でも時刻などを知ることができると共に、表示部材により多彩な装飾効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、図1〜図4を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
図1は腕時計の内部構造を示した要部の拡大断面図である。この腕時計は、腕時計ケース10を備えている。この腕時計ケース10の上部には、時計ガラス11がパッキン12を介して装着されており、腕時計ケース10の内部には、時計用文字板13と時計モジュール14とが重なった状態で収納されている。また、腕時計ケース10の下部には、裏蓋15が防止リング16を介して取り付けられている。
【0014】
時計モジュール14は、アナログ機能とデジタル機能のうち、少なくともアナログムーブメント17を有するアナログ機能を備え、このアナログムーブメント17の指針軸18が時計用文字板13の中心部に設けられた軸挿入孔13aを通して上方に突出し、この突出した指針軸18の上端部に時針、分針、秒針などの指針19が取り付けられ、これら指針19が時計用文字板13の上方を運針するように構成されている。
時計用文字板13は、図2に示すように、発光部材20と、この発光部材20の上面に設けられた光透過性を有する金属層21と、この金属層21の上面に設けられた光透過シート22と、この光透過シート22の上面における外周部に設けられた時字23(図3および図4参照)と、光透過シート22の上面における所定個所に設けられた非光透過性の装飾部24とを備え、これらが平板状に形成され、時計モジュール14の上面に配置されている。
【0015】
発光部材20は、EL素子、または拡散板の下面に多数の発光ダイオードを配列した構造のもの、あるいは導光板の側面に発光ダイオードを配置した構造のものなどの平面発光体であり、点灯時に発光した光が上面側にほぼ均一に出射されるように構成されている。
金属層21は、ステンレスなどの金属からなり、その厚さが0.1mm程度の薄膜状の金属箔である。この金属層21には、図2に示すように、微細な貫通孔25が多数形成されている。これら貫通孔25は、薄膜状の金属箔の上下両面にマスク部を設け、このマスク部を介して金属箔を上下両面からエッチングすることにより、孔径が金属層21の厚さよりも小さく且つ上下方向にほぼ同じ大きさで形成され、発光部材20からの光が透過するように構成されている。
【0016】
光透過シート22は、合成樹脂からなる透明または半透明なシートであり、金属層21の上面にその各貫通孔25を覆って配置され、各貫通孔25を透過した光が透過すように構成されている。
時字23は、12時、3時、6時、9時などを表す時刻マークであり、金属や合成樹脂などの非光透過性の材料で形成されている。
装飾部24は、時計機能や表示モード状態などの表示マークであり、非光透過性の材料を印刷により光透過シート22の上面の所定個所、例えば図3および図4に示すように、12時、3時、6時、9時に対応する個所に設けられている。
【0017】
このような時計用文字板13によれば、明るい所では、金属層21の貫通孔25以外の面で外部光を反射するので、図3に示すように、指針19の指示により時刻を知ることができるほか、金属層21の貫通孔25の孔径が金属層21の厚さよりも小さく形成されているので、金属層21に貫通孔25を多数形成しても、貫通孔25が目立たず、しかも光透過シート22を通して金属層21を視認することができるので、金属調の装飾効果を得ることができると共に、装飾部24による装飾効果をも得ることができる。
【0018】
また、暗い所では、発光部材20を発光させると、その光が金属層21の多数の貫通孔25を透過し、この透過した光が光透過シート22を透過してその上面側を照明する際、非光透過性の装飾部24の個所では光が遮断されるが、この装飾部24に対応する個所の金属層21にも貫通孔25が多数形成されているので、従来例のように装飾部9に対応する個所の領域全体が暗くならず、図4に示すように、発光部材20からの光により光透過シート22の上面側のほぼ全体を明るく照明することができ、これにより暗い所でも良好に時刻を知ることができると共に、暗い所でも装飾部24をその輪郭により視認することができる。
【0019】
また、この時計用文字板13を用いた腕時計によれば、時計用文字板13を腕時計ケース1内に配置しても、時計用文字板13の上方に配置された時計ガラス2を通して、時計用文字板13を見ることができるので、時計用文字板13の金属層21に貫通孔25が多数形成されていても、孔径が小さいので、貫通孔25が目立たずに、時計用文字板13の金属層21による金属調の装飾効果および装飾部24による装飾効果が得られるほか、暗い所でも時刻を知ることができる。
【0020】
なお、上記第1実施形態では、光透過シート22の上面に装飾部24を設けたが、これに限らず、例えば図5に示すように、光透過シート22の下面における所定個所に装飾部24を設けた構造でも良い。このような構造でも、第1実施形態と同様、発光部材20からの光が金属層21の多数の貫通孔25を通して光透過シート22を透過する際、非光透過性の装飾部24によって遮光されても、発光部材20からの光により光透過シート22の上面側のほぼ全体を明るく照明することができるので、暗い所でも明るい所でも、時刻を知ることができると共に装飾部24をも視認することができる。
【0021】
また、上記第1実施形態では、金属層21の貫通孔25を上下方向にほぼ同じ大きさの孔径で形成したが、これに限らず、例えば、図6または図7に示すように形成しても良い。
すなわち、図6に示された変形例の貫通孔26は、金属層21の上下両面に互いに異なるマスク部を設け、このマスク部を介して金属層21を上下両面からエッチングすることにより、金属層21の上面側に位置する孔部26aの孔径が金属層21の下面側に位置する孔部26bの孔径よりも小さく形成されている。この場合には、上面側の孔部26aの形状と下面側の孔部26bとの形状が同じあっても良く、また異なった形状であっても良い。
【0022】
このような貫通孔26が形成された金属層21によれば、上面側に位置する孔部26aの孔径を第1実施形態よりも更に小さく形成できるので、上面側から見て貫通孔26が更に目立たないようにすることができ、且つ下面側に位置する孔部26bの孔径が大きいので、この下面側の孔部26bで発光部材20からの光を十分に取り込むことができ、これにより貫通孔26を透過する光量を確保できるので、上面側の孔部26aが小さくても、十分な照度を得ることができ、これにより光透過シート22の上方を明かる照明することができる。
【0023】
また、図7に示された変形例の貫通孔27は、金属層21の上下両面に互いに異なるマスク部を設け、このマスク部を介して金属層21を上下両面からエッチングすることにより、金属層21の下面側に位置する孔部27bを、金属層21の上面側に位置する孔部27aが複数個(同図では3個)対応する大きさに形成した構造になっている。このような貫通孔27が形成された金属層21によれば、上記の貫通孔26が形成された金属層21と同様の作用効果があるほか、特に下面側の孔部27bに対応する上面側の孔部27aの数を変更するだけで、光の透過量を変えることができ、これにより照度を変えることができる。
【0024】
[第2実施形態]
次に、図8〜図10を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、時計用文字板13の光透過シート22の上面における所定個所に光透過性の装飾部28を設けた構造で、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構造になっている。この装飾部28は、第1実施形態と同様、時計機能や表示モード状態などの表示マークであり、光透過性を有する材料を光透過シート22上に印刷により設けた構造になっている。
【0025】
このような時計用文字板13によれば、第1実施形態と同様、明るい所では、図9に示すように、時刻を知ることができるほか、光透過シート22を通して金属層21による金属調の装飾効果、および装飾部28による装飾効果が得られる。また、暗い所では、発光部材20を発光させると、その光が金属層21の多数の貫通孔25を通して光透過シート22を透過し、その上面側を照明する際、光透過性の装飾部28をも透過するので、第1実施形態のように装飾部24に対応する個所が暗くならず、図10に示すように、光透過シート22の上面側全体をほぼ均一に明るく照明することができ、これにより暗い所でも良好に時刻を知ることができると共に、発光部材20からの光が装飾部28を透過するので、暗い所では装飾部28を見ることはできないが、明るい所では装飾部28を視認することができるので、明るい所と暗い所とで異なる装飾効果が得られる。
【0026】
なお、上記第2実施形態では、光透過シート22の上面に光透過性の装飾部28を設けたが、これに限らず、例えば図5に示した第1実施形態の変形例と同様に、光透過シート22の下面における所定個所に装飾部28を設けた構造でも良い。このような構造でも、第2実施形態と同様、発光部材20からの光が金属層21の多数の貫通孔25を通して光透過シート22を透過する際、光透過性の装飾部28をも透過するので、光透過シート22の上面側全体をほぼ均一に明るく照明することができ、これにより暗い所でも良好に時刻を知ることができ、且つ暗い所では装飾部28が見えないが、明るい所では装飾部28を視認できるので、明るい所と暗い所とで異なる装飾効果が得られる。
【0027】
また、上記第2実施形態においても、金属層21の貫通孔25が上下方向にほぼ同じ大きさの孔径で形成されているが、これに限らず、例えば、図6に示した第1実施形態の変形例と同様に、金属層21の上面側に位置する孔部26aの孔径を金属層21の下面側に位置する孔部26bの孔径よりも小さく形成した貫通孔26でも良く、また図7に示した第1実施形態の変形例と同様に、金属層21の下面側に位置する孔部27bを、金属層21の上面側に位置する孔部27aが複数個対応する大きさに形成した貫通孔27でも良い。このように構成すれば、それぞれ前述した各変形例と同様の作用効果がある。
【0028】
[第3実施形態]
次に、図11および図12を参照して、この発明を腕時計に適用した第3実施形態について説明する。この場合にも、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、時計用文字板13の光透過シート30を着色し、金属層21に銀などの金属めっき31を施した構造で、これ以外は第1実施形態と同じ構造になっている。すなわち、この光透過シート30は、図11(a)に示すように、印刷、塗装、あるいは材料に顔料を混入させることにより、光透過性を有して着色されている。また、金属層21は、図11(b)に示すように、その貫通孔25以外の上面に銀などの金属めっき31が施されている。
【0029】
このような時計用文字板13によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、特に光透過シート30が着色されているので、この着色された色に応じて金属層21が加色され、この加色された金属調の表現が得られる。例えば、光透過シート30を黄色に着色し、金属層21に銀の金属めっき31を施せば、金属層21が金色で表現される。また、光透過シート30をグレーに着色し、金属層21に銀の金属めっき31を施せば、金属層21がチタンのような金属色で表現される。これにより、色彩のバリエーションが豊富になる。
なお、上記第3実施形態では、光透過シート30を着色したが、これに限らず、発光部材20の発光色を変えても、上記と同様、色彩に富んだ装飾効果が得られる。
【0030】
[第4実施形態]
次に、図13および図14を参照して、この発明を腕時計に適用した第4実施形態について説明する。この場合にも、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、時計用文字板13の光透過シート32を部分ごとに異なる色で着色し、金属層21に銀などの金属めっき33を施した構造で、これ以外は第1実施形態と同じ構造になっている。すなわち、この光透過シート32は、図13(a)に示すように、印刷、塗装、あるいは材料に顔料を混入させることにより、同心円状の部分ごとに異なる色、例えば外周部側32aを黄色に着色し、中心部側32bをグレーに着色した構造になっている。この場合にも、着色された外周部側32aおよび中心部側32bのいずれも、光透過性を有する。また、金属層21は、図13(b)に示すように、その貫通孔25以外の上面に銀などの金属めっき33が施されている。
【0031】
このような時計用文字板13によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、特に光透過シート32を同心円状の部分ごとに異なる色で着色したので、着色された部分ごとに金属層21がそれぞれ異なる色で加色され、これに応じた金属調の表現が得られる。例えば、光透過シート32の外周部側32aが黄色に着色されていれば、外周部側32aが金色に表現され、また光透過シート32の中心部側32bがグレーに着色されていれば、中心部側32bがチタンのような金属色に表現される。これにより、多彩な色彩の表現ができると共に、第3実施形態のものよりも、より一層、色彩のバリエーションが豊富になる。
なお、上記第4実施形態では、光透過シート32を部分ごとに異なる色で着色したが、これに限らず、発光部材20の発光色を部分ごとに変えても、上記と同様、多彩な色彩の装飾効果が得られる。
【0032】
なお、上記第3、第4実施形態では、金属層21の貫通孔25を上下方向にほぼ同じ大きさの孔径で形成したが、これに限らず、例えば、図6に示した第1実施形態の変形例と同様に、金属層21の上面側に位置する孔部26aの孔径を金属層21の下面側に位置する孔部26bの孔径よりも小さく形成した貫通孔26でも良く、また図7に示した第1実施形態の変形例と同様に、金属層21の下面側に位置する孔部27bを、金属層21の上面側に位置する孔部27aが複数個対応する大きさに形成した貫通孔27でも良い。このように構成すれば、それぞれ前述した各変形例と同様の作用効果がある。
【0033】
また、上記第3、第4実施形態では、光透過シート30、32に非光透過性の装飾部24を設けたが、これに限らず、第2実施形態と同様に光透過性の装飾部28を設けても良く、また装飾部24、28は必ずしも光透過シート30、32の上面に設ける必要はなく、図5に示した第1実施形態の変形例および第2実施形態の変形例と同様に、光透過シート30、32の下面の所定個所に設けても良い。
また、上記第1〜第4実施形態およびその各変形例では、光透過シート22、30、32に非光透過性の装飾部24と光透過性の装飾部28との一方のみを設けたが、これに限らず、非光透過性の装飾部24と光透過性の装飾部28とを光透過シート22、30、32の上下面に組み合わせて設けても良い。
さらに、上記第1〜第4実施形態およびその各変形例では、この発明を時計用文字板または腕時計について適用した場合について説明しているが、これに限定されず、携帯電話機、電子手帳、携帯端末機などの各種の電子機器に使われる表示部材にも、また、このような表示部材を機器ケース内に配置した各種の電子機器にも適用可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、発光部材の上面に微細な貫通孔が多数形成された金属層を配置し、この金属層の上面に光透過シートを設け、この光透過シートの上面および下面の少なくとも一方に非光透過性の装飾部を設けたので、明るい所では良好に時刻などを知ることができるほか、光透過シートを通して金属層が見えるので、金属調の装飾効果が得られると共に、装飾部による装飾効果を得ることができ、また暗い所では発光部材からの光が金属層の多数の微細な貫通孔を通して光透過シートを透過し、その上面側を照明する際、非光透過性の装飾部の個所では光が遮断されるが、この装飾部に対応する個所の金属層にも貫通孔が多数形成されているので、従来例のように装飾部に対応する個所の領域全体が暗くならず、光透過シートの上面側のほぼ全体を明るく照明することができ、これにより暗い所でも良好に時刻などを知ることができると共に、暗い所でも装飾部をその輪郭により視認することができる。
また、金属層の貫通孔は、金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部の横断面積が上面側に位置する孔部の横断面積よりも大きく形成されていることから、貫通孔の上面側に位置する孔部を更に小さく形成することができるので、上面側から見て貫通孔が更に目立たないようにすることができ、且つ発光部材からの光を下面側に位置する孔部で十分に取り込むことができ、これにより貫通孔を透過する光量を確保することができるので、上面側に位置する孔部が小さくても、十分な照度を得ることができる。
【0035】
また、請求項2に記載の発明によれば、発光部材の上面に微細な貫通孔が多数形成された金属層を配置し、この金属層の上面に光透過シートを設け、この光透過シートの上面および下面の少なくとも一方に光透過性の装飾部を設けたので、明るい所では請求項1に記載の発明と同様、時刻などを知ることができると共に、金属調の装飾効果および装飾部による装飾効果を得ることができ、また暗い所では発光部材からの光が金属層の多数の微細な貫通孔を通して光透過シートを透過し、その上面側を照明する際、光透過性の装飾部をも光が透過するので、光透過シートおよび装飾部の上面側全体をほぼ均一に明るく照明することができ、これにより暗い所でも良好に時刻などを知ることができる。
また、金属層の貫通孔は、金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部の横断面積が上面側に位置する孔部の横断面積よりも大きく形成されていることから、貫通孔の上面側に位置する孔部を更に小さく形成することができるので、上面側から見て貫通孔が更に目立たないようにすることができ、且つ発光部材からの光を下面側に位置する孔部で十分に取り込むことができ、これにより貫通孔を透過する光量を確保することができるので、上面側に位置する孔部が小さくても、十分な照度を得ることができる。
【0036】
また、請求項5に記載の発明は、金属層に形成された貫通孔の下面側に位置する孔部を、上面側に位置する孔部が複数個対応する大きさに形成したことにより、下面側の孔部に対応する上面側の孔部の数を変更するだけで、光の透過量を変えることができ、これにより照度を変えることができる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、こうした構成を備えている表示部材を時計ケース内に配置しても、表示部材の上部位置に配置された時計ガラスを通して、表示部材を見ることができるので、この表示部材により暗い所でも時刻を知ることができると共に、表示部材により多彩な装飾効果を得ることができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、こうした構成を備えている表示部材を機器ケース内に配置したので、この表示部材により暗い所でも時刻などを知ることができると共に、表示部材により多彩な装飾効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を腕時計に適用した第1実施形態の内部構造を示した要部の拡大断面図。
【図2】図1の時計用文字板の要部の拡大断面図。
【図3】図1の時計用文字板を明るい所で見た状態の上面図。
【図4】図1の時計用文字板の発光部材を発光させて暗い所で見た状態の上面図。
【図5】図2の光透過シートの下面に装飾部を設けた場合の変形例を示した要部の拡大断面図。
【図6】時計用文字板の金属層に設けられた貫通孔の変形例を示した要部の拡大断面図。
【図7】時計用文字板の金属層に設けられた貫通孔の他の変形例を示した要部の拡大断面図。
【図8】この発明を腕時計に適用した第2実施形態における時計用文字板の要部の拡大断面図。
【図9】図8の時計用文字板を明るい所で見た状態の上面図。
【図10】図8の時計用文字板の発光部材を発光させて暗い所で見た状態の上面図。
【図11】この発明を腕時計に適用した第2実施形態の時計用文字板を示し、(a)は着色された光透過シートの上面図、(b)は金属めっきが施された金属層の上面図。
【図12】図11(b)の金属層上に図11(a)の光透過シートを重ね合わせて金属層が加色された状態を示した時計用文字板の上面図。
【図13】この発明を腕時計に適用した第2実施形態の時計用文字板を示し、(a)は部分ごとに異なる色で着色された光透過シートの上面図、(b)は金属めっきが施された金属層の上面図。
【図14】図13(b)の金属層上に図13(a)の光透過シートを重ね合わせて金属層が部分ごとに加色された状態を示した時計用文字板の上面図。
【図15】従来の腕時計の時計モジュールおよび時計用文字板を示した要部の拡大断面図。
【図16】図15の時計用文字板の要部を拡大した断面図。
【図17】図15の時計用文字板を明るい所で見た状態の上面図。
【図18】図15の時計用文字板の発光部材を発光させて暗い所で見た状態の上面図。
【符号の説明】
10 時計ケース
11 時計ガラス
13 時計用文字板(表示部材)
14 時計モジュール
20 発光部材
21 金属層
22、30、32 光透過シート
24 非光透過性の装飾部
25、26、27 貫通孔
26a、27a 上面側の孔部
26b、27b 下面側の孔部
28 光透過性の装飾部
Claims (7)
- 発光部材と、
この発光部材の上面に配置され且つ微細な貫通孔が多数形成された金属層と、
この金属層の上面に設けられた光透過シートと、
この光透過シートの上面および下面の少なくとも一方の所定個所に設けられた非光透過性の装飾部とを備えており、
前記金属層の前記貫通孔は、前記金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部の横断面積が上面側に位置する孔部の横断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする表示部材。 - 発光部材と、
この発光部材の上面に配置され且つ微細な貫通孔が多数形成された金属層と、
この金属層の上面に設けられた光透過シートと、
この光透過シートの上面および下面の少なくとも一方の所定個所に設けられた光透過性の装飾部とを備えており、
前記金属層の前記貫通孔は、前記金属層の上下両面からエッチングすることにより、その下面側に位置する孔部の横断面積が上面側に位置する孔部の横断面積よりも大きく形成されていることを特徴とする表示部材。 - 前記光透過シートは、全体が着色されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示部材。
- 前記光透過シートは、部分ごとに異なる色で着色されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示部材。
- 前記下面側に位置する孔部は、前記上面側に位置する孔部が複数個対応する大きさに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示部材。
- 請求項1から5のいずれかに記載の表示部材を時計ケース内に配置すると共に、この時計ケース内に配置された前記表示部材の上部位置に時計ガラスを配置したことを特徴とする時計。
- 請求項1から5のいずれかに記載の表示部材を機器ケース内に配置したことを特徴とする電子機器。
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