しかしながら、従来における電気光学装置においては、次のような問題点がある。すなわち、前述の電気光学装置における前記基板は、通常、走査線、データ線及び画素電極等が設けられる画像表示領域と、その周囲の領域として規定され、走査線駆動回路、データ線駆動回路、これら回路に所定信号を供給するための外部回路接続端子等が設けられる周辺領域とを有する。このうち周辺領域においては、前記の各種回路等に加えて、画像表示領域に形成される走査線、データ線及び画素電極等に対して、走査信号或いは画像信号等を供給するための各種の配線等をも形成する必要がある。この場合、この周辺領域上の各種の配線等は、前述のように、基板上に掘られた溝の中に埋め込むようにして形成することができるが、しかし、当該配線等のすべてを、溝内に完全に埋め込むことは実際上困難である。なぜなら、周辺領域上の配線等は、通常、相応に錯綜または交差させるようなかたちで形成しなければならず、そのすべてに対応するように溝を形成することは殆ど不可能だからである(このような事情は、前記画像表示領域においても言えるが、周辺領域においてより妥当する。)。
すると、前記の配線等は、溝内部分とそうでない部分とを跨いで形成する必要が生じてくる。更に、このような構造を前提とし、該構造の上に層間絶縁膜等を成膜すると、前記溝内部分とそうでない部分との高さの相違に起因した段差を生じさせることになる。これは、溝内部分とそうでない部分の双方の上に配線等が引き回されているため、結局、配線等の高さの影響が出てきてしまうためである。そして、このような段差が生じる結果、従来においては、これに起因して前記層間絶縁膜にクラックを生じさせるおそれがあったのである。他方、溝内部分及びそうでない部分の双方を跨ぐように配線等を形成する段階においては、該溝の内側壁面において配線等の成膜が不十分になる場合(いわゆる「付き回り」の悪化)が生じたり、或いは該内側壁面にパターニング処理後、当該配線等の前駆膜が残存すること等によって、配線等間の短絡が生じたりする可能性もあった。
このように、層間絶縁膜にクラックが発生し、或いは配線等の成膜が不完全に行われると、配線等、或いは前記の層間絶縁膜上に形成される配線等において、切断、破損、短絡等の不具合を生じさせるおそれがでてくることになる。また、その結果、走査線、データ線及び画素電極等に対して、走査信号或いは画像信号を正確に供給する等の動作が妨げられることになるから、電気光学装置における画像表示が困難となってしまう。
ちなみに、前記の特許文献1及び2においては、周辺領域には着目されておらず、また、溝内に配線等を埋め込むことによる前記の問題点について何ら指摘されていない。したがって、これら特許文献1及び2においては、前記の問題点が同様に発生することが考えられ、更には、当該問題点の解消が同様に課題になるものと考えられる。そして、これら特許文献1及び2における開示のみでは、当該問題点の解消は不可能である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、配線等を溝内に埋め込む場合において、該溝が形成されている部分及びそうでない部分の上に形成される積層構造物等に不具合を生じさせないこと等によって、その正確な動作を期することができる電気光学装置及びこれを具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極と、前記データ線、前記走査線、前記スイッチング素子及び前記画素電極からなる積層構造物の一部を構成する層間絶縁膜とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極及び前記スイッチング素子の形成領域として規定される画像表示領域と、該画像表示領域の周囲を規定する周辺領域とを有し、前記基板及び前記層間絶縁膜の少なくとも一方には、前記画像表示領域の周囲の全部又は一部を囲むように溝が掘られている。
本発明の電気光学装置によれば、スイッチング素子の一例たる薄膜トランジスタに対し走査線を通じて走査信号が供給されることで、そのON・OFFが制御される。他方、画素電極に対しては、データ線を通じて画像信号が供給されることで、前記薄膜トランジスタのON・OFFに応じて、画素電極に当該画像信号の印加・非印加が行われる。これにより、本発明に係る電気光学装置は、いわゆるアクティブマトリクス駆動が可能とされている。
そして、本発明では特に、画像表示領域の周囲の全部又は一部を囲むように溝が掘られている。ここで画像表示領域の周囲には、一般に、該画像表示領域内に形成された走査線、データ線及び画素電極等に、前記の走査信号或いは画像信号等を供給するための配線等が形成されている。つまり、この配線等は、画像表示領域及び周辺領域間を跨いで配置される必要があるが、前記の溝によれば、画像表示領域の周囲に巡らされている配線等を当該溝内に埋めるように形成することが可能となる。これにより、まず、この溝の上に層間絶縁膜等を形成して積層構造物を構築する場合において、該積層構造物の最表面に前記配線等の高さに起因する段差を生じさせないようにすることができる。したがって、例えば前記積層構造物の最表面として配向膜が形成される場合においては、該配向膜は段差の抑制された表面とすることが可能であるから、該配向膜に対するラビング処理を好適に実施することができる。
また、本発明においては、溝は、「画像表示領域の周囲・・・を囲むように」、特に該周囲の「全部」を囲むように形成され得るから、少なくとも画像表示領域の近傍における配線等については、その殆どすべてを一括して、一定程度連続する比較的大きな溝内に埋め込むように形成することができる。これによると、例えば、配線等の形成領域(或いは、パターニング形状)に合わせて溝が掘られている等という場合に比べて、積層構造物に段差を生じさせるおそれが小さくなる。
ちなみに、配線等の形成領域に合わせて溝を掘るという場合においては、周辺領域における配線等の配置は錯綜または交差する傾向にあることから、そもそも、そのような溝の形成が困難なこと、更にはそれに続いて、該配線等の全部を溝内に完全に埋め込むことが困難となること等により、このような構造の上に、前記層間絶縁膜等を形成すると、そこには結局段差を生じさせることになる可能性が大きいのである。
以上のことから、本発明によれば、配線等を一定程度連続する比較的大きな溝の中に一挙に埋め込むように形成可能であるから、この構造の上に前記層間絶縁膜等からなる積層構造物を構築するとしても、該層間絶縁膜ないし積層構造物に段差を生じさせる可能性は低減することになる。
したがって、前記層間絶縁膜に前記段差に起因するクラックを生じさせるおそれを低減することができ、また、該層間絶縁膜間に形成される配線及び回路素子等に断線、破損等を生じさせるおそれを低減することができる。その結果また、配線等を通じた走査信号或いは画像信号等の供給は滞りなく行われ得、当該電気光学装置は、正確に動作し得ることになる。さらに、同じ理由により、当該電気光学装置の製造歩留まりを向上させることができる。
なお、本発明において、溝が「画像表示領域の周囲の・・・一部を囲むように」掘られているとは、例えば該画像表示領域が矩形状である場合には、溝が、該画像表示領域の一辺とこれと隣接する他の二辺それぞれの少なくとも一部に形成されているなどという場合を含む。
また、本発明に係る「溝」は、基板、或いは層間絶縁膜の少なくとも一方に形成されていればよい。特に、溝を基板に直接に形成する形態によれば、該基板上に形成される層間絶縁膜に当該溝に対応する溝が自然に形成される(すなわち、該層間絶縁膜の一部は、基板上の溝にいわば「落ち込む」ように形成され、その結果、該層間絶縁膜における溝が自然に形成される)こととなる点からして、該基板の上に形成されるすべての配線等について、前記したような作用効果を得ることができるから、より効果的ということができる。ただし、溝を、基板に形成せず、積層構造物を構成するある一層の層間絶縁膜に形成したとしても、当該層間絶縁膜より上に形成される配線等については前記したような作用効果が得られるから、本発明は、これを積極的に排除するものではない。なおまた、基板及び層間絶縁膜の双方に溝を形成する形態も、当然に本発明の範囲内にある。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記溝は、前記画像表示領域及び前記周辺領域を画する額縁領域の少なくとも一部に形成されている。
この態様によれば、溝が画像表示領域と周辺領域を画する額縁領域に形成されていることから、前記に比べて、画像表示領域により近い位置に溝が形成されているということができる。したがって、前述のような作用効果は、画像表示領域の直近傍において奏されることになる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記溝は、前記額縁領域の全部に形成されている。
この態様によれば、前述した作用効果がより確実に奏されることになる。なぜなら、溝が額縁領域の全部に形成されているということは、画像表示領域の直近傍に引き回される配線等のすべてを、当該溝内に埋め込むことが可能となるからである。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記溝の中に埋め込まれるように形成された配線及び回路素子の少なくとも一方を更に備えている。
この態様によれば、前記溝、該溝の中に形成された配線等という構造の上に、層間絶縁膜が形成されることから、既に述べたように、該層間絶縁膜の中にクラックを生じさせるおそれは低減されており、また、溝中の配線及び回路素子、或いは層間絶縁膜間に形成される配線及び回路素子等に断線、破損等を生じさせるおそれを低減することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記溝の形成領域から前記基板の辺縁部に向かう放射方向に沿って延び、前記溝に連絡された線状溝が掘られている。
この態様によれば、上述様の線状溝が形成されていることから、溝内に配線及び回路素子等を形成する場合において、当該配線及び回路素子等のうち前記溝を越えてその外部に更に延在する配線及び回路素子等を、溝の内部(すなわち、線状溝の内部)に埋め込むことが可能となる。したがって、線状溝の上に形成される積層構造物において、前記の配線及び回路素子等の高さに起因する段差を生じさせることがなく、当該積層構造物の平坦性を確保することができる。また、本態様に係る線状溝は、前記溝に連絡するように形成されているから、当該溝の形成と同時に形成することが可能であり、製造工程の簡略化を図ることもできる。
なお、本態様においては、線状溝は、「放射方向」に沿って延びる旨規定されているが、ここでいう「放射方向」とは、円の半径方向等という意味だけに限定されない(そのような場合は当然含まれる。)。例えば、基板及び画像表示領域が、平面視して矩形状を有する場合においては、前記の額縁領域は略ロの字状を有することになるが、該額縁領域の全部に形成された溝から基板の辺縁部に向かう「放射方向」という場合には、前記ロの字状の一辺から該一辺に平行な基板の一辺に向かうとともに両辺に鉛直な方向という場合も含まれる。
この態様では、前記線状溝は複数形成されており、前記線状溝が形成されている部分と該線状溝が形成されていない部分とを、前記放射方向に沿って両部分を跨ぐように、且つ、当該線状溝のそれぞれに対応するように形成された配線及び回路素子の少なくとも一方を備え、前記線状溝は、それぞれ、該線状溝が形成されている部分と該線状溝が形成されていない部分とを分かつ端部を有し、少なくとも前記線状溝のそれぞれに係る前記端部について、該端部を相互に連絡する溝が形成されていないようにしてもよい。
このような構成によれば、以下順次説明することにより明らかとなる作用効果が得られる。
まず、本態様をより明確に把握するため、その具体例について説明する。すなわち、例えば本態様に係る線状溝は、前述したように、略ロの字状を有する額縁領域の全部に形成された溝から、基板の一辺に向かって鉛直方向に延びるものとして想定することができる。そして、本態様においては、このような線状溝が「複数形成されている」ということから、例えば、前記ロの字状の一辺、或いは基板の一辺が延在する方向に沿って、前記のような線状溝が複数平行に列設されている状況を想定することができる。
次に、このような複数の線状溝には、それぞれ、配線等が形成されている。
この場合、この配線等は、線状溝の延在する方向(即ち、放射方向)に沿い、且つ、線状溝が形成されている部分とそうでない部分とを跨ぐように形成されているのである。ちなみに、この記述からも明らかなように、線状溝は、前記の両部分を分かつ端部を必然的に有している。なお、本具体例においては、該端部の位置は、複数の線状溝のすべてについて同じ(つまり、線状溝の長さはすべて同じ)であると仮定する。
そして、本態様では特に、少なくとも前記端部について、該端部を相互に連絡する溝が形成されていないのである。これによると、前記の配線等は、各線状溝の端部のみを跨ぐように形成されることになる。逆に、本態様において禁忌された前記の溝(以下、「端部間連絡溝」という。)が存在する場合を仮定すると、配線等が「端部のみを跨ぐ」ような状態を作り出すことが困難になる。例えば、端部間連絡溝として、前記の複数平行に列設されている線状溝すべてに対し直角に交わる方向に延びるとともに、その形成位置が前記の各端部の位置に一致する溝を想定することができる。このような端部間連絡溝が存在すると、前記の配線等は、線状溝の端部を跨ぐだけでなく、場合により、該配線等の一部が当該端部間連絡溝の内側壁面をも跨ぐような状況が生じ得る。これは、配線等が、前駆膜の形成及びパターニング処理という手順を経て形成されることが一般的だからで、前記のような端部間連絡溝が存在すると、その内側壁面に成膜された前駆膜が完全には除去されずに残ってしまう場合が生じることによる。このような状態になると、隣り合う線状溝間に別々に形成された配線等の間で短絡を生じさせてしまう可能性がある。こうなると、もはや当該電気光学装置の正確な動作を期しえなくなる。
しかるに、本態様においては、前記のような端部間連絡溝が形成されていないのであるから、前述のように、各線状溝に対応して形成された配線等は、当該各線状溝の端部のみを跨ぐように形成されることになり、したがって、各配線等間で短絡を生じさせることがない。
このように本態様によれば、線状溝及びその中に形成される配線等に関し、より好適な形態が現出されることにより、当該電気光学装置の正確な動作を、より確実に確保することができる。
また、線状溝が形成されている態様では、前記周辺領域には、前記線状溝に連絡する溝が更に掘られているようにしてもよい。
このような構成によれば、線状溝内に形成した配線等を、更に線状溝に連絡する溝(以下、「連絡溝」という。)へと連続するように形成することが可能である。したがって、連絡溝の上に形成される積層構造物に、配線等の高さに起因する段差を生じさせることがなく、当該積層構造物の平坦性をより確実に確保することができる。また、本態様に係る溝は、線状溝に連絡する、即ち前記の溝に連絡するように形成されているから、当該溝の形成と同時に形成することが可能であり、製造工程の簡略化を図ることもできる。
なお、本態様にいう「連絡溝」は、線状溝が前記のように複数形成される場合においては、その全部を連絡するように形成してもよいし、或いはその一部についてのみ連絡するように形成してもよい。また、ある一部の線状溝と、そこから所定距離離れた他の一部の線状溝を連絡するが、そのある一部及び他の一部間に存在する線状溝については連絡しないなどといった「連絡溝」を考えることもできる。この場合、その連絡されない線状溝については「端部」が存在するから、前記の態様に係る作用効果を享受することができる。さらに、「連絡溝」は、前記の囲い溝と略相似形を有するように形成してもよく、場合により、画像表示領域の中心から見て、線状溝の形成領域以遠の周辺領域のすべてについて形成してもよい。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記画像表示領域には、前記走査線及び前記データ線の少なくとも一方の形成領域に対応するように、前記画像表示領域の周囲の全部又は一部に形成された前記溝に連絡する溝が更に掘られている。
この態様によれば、画像表示領域上に形成される走査線、或いはデータ線の高さに起因して、前記積層構造物の最表面等に段差を生じさせることを防止することができる。また、本態様に係る溝は、前記の溝に連絡するように形成されているから、当該溝の形成と同時に形成することが可能であり、製造工程の簡略化を図ることもできる。
本発明の電子機器は、上記課題を解決するため、上述の本発明の電気光学装置(ただし、その各種態様を含む。)を具備してなる。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、層間絶縁膜にクラック等が生じず、また、配線等に断線、破損等が生じないことから、正確に動作しえ、もって高品質な画像が表示可能な、プロジェクタ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
本発明の第1基板装置は、上記課題を解決するため、第1の方向に延びる複数の溝と、該複数の溝が形成されている部分と該複数の溝が形成されていない部分とを、前記第1の方向に沿って両部分を跨ぐように、且つ、当該複数の溝のそれぞれに対応するように形成された配線及び回路素子の少なくとも一方とを備えてなり、前記複数の溝は、それぞれ、該溝が形成されている部分と該溝が形成されていない部分とを分かつ端部を有し、少なくとも前記複数の溝のそれぞれに係る前記端部について、該端部を相互に連絡する溝が形成されてない。
本発明の第1基板装置によれば、以下順次説明することにより明らかとなる作用効果が得られる。
まず、本発明をより明確に把握するため、その具体例について説明する。ここでいう具体例としては、本発明に係る複数の溝を構成する一つ一つの溝が、複数平行に列設されている状況を想定するものとする。
次に、このような複数の溝には、それぞれ、配線等が形成されている。この場合、この配線等は、該溝の延在する方向(即ち、第1の方向)に沿い、且つ、該溝が形成されている部分とそうでない部分とを跨ぐように形成されているのである。ちなみに、この記述からも明らかなように、該溝は、前記の両部分を分かつ端部を必然的に有している。なお、本具体例においては、該端部の位置は、複数の溝のすべてについて同じ(つまり、該溝の終端位置は直線状に並ぶ)であると仮定する。
そして、本発明では特に、少なくとも前記端部について、該端部を相互に連絡する溝が形成されていないのである。これによると、前記の配線等は、各溝の端部のみを跨ぐように形成されることになる。逆に、本発明において禁忌された前記の溝(以下、「端部間連絡溝」という。)が存在する場合を仮定すると、そのような状態を作り出すことが困難になる。例えば、端部間連絡溝として、前記の複数平行に列設されている溝すべてに対し直角に交わる方向に延びるとともに、その形成位置が前記の各端部の位置に一致する溝を想定することができる。このような端部間連絡溝が存在すると、前記の配線等は、溝の端部を跨ぐだけでなく、場合により、該配線等の一部が当該端部間連絡溝の内側壁面をも跨ぐような状況が生じ得る。これは、配線等が、前駆膜の形成及びパターニング処理という手順を経て形成されることが一般的だからで、前記のような端部間連絡溝が存在すると、その内側壁面に成膜された前駆膜が完全には除去されずに残ってしまう場合が生じることによる。このような状態になると、隣り合う溝間に別々に形成された配線等の間で短絡を生じさせてしまう可能性がある。こうなると、もはや当該基板装置の正確な動作を期しえなくなる。
しかるに、本発明においては、前記のような端部間連絡溝が形成されていないのであるから、前述のように、各溝に対応して形成された配線等は、当該各溝の端部のみを跨ぐように形成されることになり、したがって、各配線等間で短絡を生じさせることがない。
このように本発明によれば、複数の溝及び該溝内に形成される配線等に関し、より好適な形態が現出されることにより、当該基板装置の正確な動作を確保することができる。
本発明の第2基板装置は、上記課題を解決するため、第1の方向に延びる複数の第1の溝と、前記第1の溝に交差する第2の方向に延びる第2の溝と、前記第1の方向に沿い且つ前記第1の溝が形成されている部分と該第1の溝が形成されていない部分を跨ぐように形成された配線及び回路素子の少なくとも一方とを備えており、前記第1の溝は、該第1の溝が形成されている部分と該第1の溝が形成されていない部分とを分かつ端部を有し、前記第2の溝は前記端部に交わらない。
本発明の第2基板装置によれば、以下順次説明することにより明らかとなる作用効果が得られる。
まず、本発明をより明確に把握するため、その具体例について説明する。ここでいう具体例としては、本発明に係る第1の溝を構成する一つ一つの溝が、複数平行に列設されている状況を想定するものとする。
次に、このような第1の溝には、それぞれ、配線等が形成されている。この場合、この配線等は、該溝の延在する方向(即ち、第1の方向)に沿い、且つ、該溝が形成されている部分とそうでない部分とを跨ぐように形成されているのである。ちなみに、この記述からも明らかなように、該溝は、前記の両部分を分かつ端部を必然的に有している。なお、本具体例においては、該端部の位置は、複数の溝のすべてについて同じ(つまり、該溝の終端位置は直線状に並ぶ)であると仮定する。
そして、本発明では特に、第1の溝に交差する第2の方向に延びる第2の溝が形成されているが、この第2の溝は、前記の端部に交わらないのである。これによると、該第2の溝は、前述したような端部間連絡溝には該当せず、前記の配線等は、第1の溝の端部のみを跨ぐように形成されることになる。ここで、本発明に係る第2の溝が、前記の端部間連絡溝に該当しないという意味は次のようである。すなわち、この場合、第1の溝の内部に配線等を形成する際、該配線等を、前駆膜の形成及びパターニング処理という手順を経ることにより形成したとしても、前記前駆膜が残存する可能性があるのは、第1の溝の端部からは一定程度離れた第2の溝の内側壁面ということになり、この残存膜が、配線等の短絡を生じさせるおそれがないのである。
このように、本発明に係る第2基板装置によれば、前記の第1基板装置と略同様の作用効果を享受することができる。また、本発明に係る第2基板装置によれば、第2の溝の存在が積極的に導入されていることからして、前記の第1基板装置に比べ、溝の形成態様をより複雑化することが可能ということができる。これにより、第2基板装置では、基板上における配線等の敷設状況に応じた、より適切な溝の形成が可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
〔画素部の構成〕
まず、本発明の実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図1から図3を参照して説明する。ここに図1は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。また図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図3は図2のA−A´断面図である。なお、図3においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
図1において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないが、本実施形態では特に、画像信号S1、S2、・・・、Snは、N個のパラレルな画像信号にシリアル−パラレル展開され、N本の画像信号線115から相隣接するN本のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給可能に構成されている。
画像表示領域外である周辺領域には、データ線6aの一端(図1中で下端)が、サンプリング回路301を構成するスイッチング用回路素子202に接続されている。このスイッチング用回路素子としては、nチャネル型、pチャネル型、或いは相補型等のTFT等をあてることができる(以下、図1に示す該スイッチング用回路素子202を「TFT202」と呼称する。)。この場合、このTFT202のドレインには、引き出し配線206を介して前記データ線6aの図1中下端が接続され、該TFT202のソースには、引き出し配線116を介して画像信号線115が接続されるとともに、該TFT202のゲートには、データ線駆動回路101に接続されたサンプリング回路駆動信号線114が接続されている。そして、画像信号線115上の画像信号S1、S2、・・・、Snは、データ線駆動回路101からサンプリング回路駆動信号線114を通じてサンプリング信号が供給されるのに応じ、サンプリング回路301によりサンプリングされて、各データ線6aに供給されるように構成されている。
このようにデータ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給してもかまわないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。本実施形態では、図1に示すように、6本のデータ線6aを一組として、これに対して一時に画像信号が供給されるようになっている。
また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線3aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量線300を含んでいる。
以下では、上記データ線6a、走査線3a、TFT30等による、上述のような回路動作が実現される電気光学装置の、実際の構成について、図2及び図3を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る電気光学装置は、図2のA−A´線断面図たる図3に示すように、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。
TFTアレイ基板10には、図3に示すように、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。このうち画素電極9aは、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明導電性膜からなる。他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。このうち対向電極21は、上述の画素電極9aと同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなり、前記の配向膜16及び22は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。このように対向配置されたTFTアレイ基板10及び対向基板20間には、後述のシール材(図4及び図5参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した電気光学物質からなる。シール材は、TFTアレイ基板10及び対向基板20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
一方、図2において、前記画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられており(点線部9a´により輪郭が示されている)、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。データ線6aは、例えばアルミニウム膜等の金属膜あるいは合金膜からなり、走査線3aは、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる。また、走査線3aは、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a´に対向するように配置されており、該走査線3aはゲート電極として機能する。
すなわち、走査線3aとデータ線6aとの交差する箇所にはそれぞれ、チャネル領域1a´に走査線3aの本線部がゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
TFT30は、図3に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したようにゲート電極として機能する走査線3a、例えばポリシリコン膜からなり走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a´、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
なお、TFT30は、好ましくは図3に示したようにLDD構造をもつが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造をもってよいし、走査線3aの一部からなるゲート電極をマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また、本実施形態では、画素スイッチング用TFT30のゲート電極を、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。このようにデュアルゲート、あるいはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース及びドレイン領域との接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。さらに、TFT30を構成する半導体層1aは非単結晶層でも単結晶層でも構わない。単結晶層の形成には、貼り合わせ法等の公知の方法を用いることができる。半導体層1aを単結晶層とすることで、特に周辺回路の高性能化を図ることができる。
一方、図3においては、蓄積容量70が、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。
中継層71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。ただし、中継層71は、後に述べる容量線300と同様に、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。中継層71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、コンタクトホール83及び85を介して、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。
容量線300は、例えば金属又は合金を含む導電膜からなり固定電位側容量電極として機能する。この容量線300は、平面的に見ると、図2に示すように、走査線3aの形成領域に重ねて形成されている。より具体的には容量線300は、走査線3aに沿って延びる本線部と、図中、データ線6aと交差する各個所からデータ線6aに沿って上方に夫々突出した突出部と、コンタクトホール85に対応する個所が僅かに括れた括れ部とを備えている。このうち突出部は、走査線3a上の領域及びデータ線6a下の領域を利用して、蓄積容量70の形成領域の増大に貢献する。また、容量線300は、好ましくは、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。このような定電位源としては、データ線駆動回路101に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。
誘電体膜75は、図3に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄いほどよい。
図2及び図3においては、上記のほか、TFT30の下側に、下側遮光膜11aが設けられている。下側遮光膜11aは、格子状にパターニングされており、これにより各画素の開口領域を規定している。なお、開口領域の規定は、図2中のデータ線6aと、これに交差するよう形成された容量線300とによっても、なされている。また、下側遮光膜11aについても、前述の容量線300の場合と同様に、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、画像表示領域からその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
また、TFT30下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能のほか、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
加えて、走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83がそれぞれ開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。第1層間絶縁膜41上には、中継層71、及び容量線300が形成されており、これらの上には高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び中継層71へ通じるコンタクトホール85がそれぞれ開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。加えて更に、第2層間絶縁膜42上には、データ線6aが形成されており、これらの上には中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。
〔電気光学装置の全体構成〕
次に、本発明の実施形態における電気光学装置の全体構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、図4は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板20の側からみた平面図であり、図5は図4のH−H´断面図である。
図4及び図5において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、前記の画素電極9a及びTFT30等の形成領域として規定される画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている(なお、シール領域とシール材52とが相互に規定し合う関係にあることから、以下では、符号「52」を、シール領域をも示すものとして使用し、「シール領域52」と表示することがある)。
シール材52は、両基板を貼り合わせるため、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、紫外線、加熱等により硬化させられたものである。また、このシール材52中には、本実施形態における電気光学装置を、プロジェクタ用途のように小型で拡大表示を行う液晶装置に適用するのであれば、両基板間の距離(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ、あるいはガラスビーズ等のギャップ材(スペーサ)が散布されている。あるいは、当該電気光学装置を液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置に適用するのであれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
シール材52が配置されたシール領域52の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている(なお、額縁領域と額縁遮光膜53とが相互に規定し合う関係にあることから、以下では、符号「53」を、額縁領域をも示すものとして使用し、「額縁領域53」と表示することがある。)。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
なお、図1を参照して説明したサンプリング回路301は、図4に示すように、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして形成されている。また、本実施形態においては、前記の画像表示領域10aの周辺を規定する周辺領域が存在する。言い換えれば、本実施形態においては特に、TFTアレイ基板10の中心から見て、この額縁遮光膜53より以遠が周辺領域として規定されている。
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域52の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図5において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21のほか、最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマテッィク液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
なお、TFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
また、上述した各実施形態においては、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated Bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には、それぞれ、例えばTN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード・ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が所定の方向で配置される。
さて、以上のような全体構成となる本実施形態の電気光学装置においては、画像表示領域10a及び周辺領域間の額縁領域53に囲い溝が形成されている点、更にはこの囲い溝に連絡するように線状溝が形成されている点に特徴がある(いずれについても、図4及び図5においては不図示)。この点については、以下、項目を改めて詳しく説明することとする。
〔囲い溝に関する構成〕
以下では、本実施形態に係る囲い溝に関する構成について、図6乃至図10を参照しながら説明する。ここに図6は、図4と同趣旨の図であるが、特に囲い溝の構成を説明するため、その配置態様等を明瞭に図示するものである。なお、図6においては、前記の目的のため、図4では図示されている要素のうち幾つか(例えば、データ線駆動回路等)については、その図示を省略している。また、図7は、図6における符号QPを示す円内部分に対応する図であって、当該部分における配線及び回路素子の一部をも示すものであり、図8は、図7のX1−X1´断面図である。ただし、図8においては、本来示されるべき第2層間絶縁膜42よりも上層についてはその図示を省略している。さらに、図9及び図10は、それぞれ、図7及び図8に対応する比較例である。
まず、本実施形態の電気光学装置においては、図6に示すように、額縁領域53に対応する全領域に囲い溝GPが形成されている。ここで額縁領域53は、画像表示領域10aの周囲の全部を囲う領域として規定されていることから、囲い溝GPもまた、画像表示領域10aの周囲の全部を囲むように形成されている。
この囲い溝GPの内部には、図7に示すように、各種の配線及び回路素子等が形成されている。図7においては、当該部分(即ち、図6における符号QPの部分)が、サンプリング回路301、これを構成するTFT202、及び該TFT202から延びる各種の配線等(図1参照)が形成される部分に該当していることから、TFT202並びに各種の配線(符号11aP、3aP1、3aP2、114、116及び6a)が形成されていることが示されている。このうちサンプリング回路駆動信号線114は、TFT202のゲートとして機能し、引き出し配線116及びデータ線6aは、それぞれ、TFT202のソース及びドレインにコンタクトホールCHを介して電気的に接続されることによって、そのソース電極及びドレイン電極として機能する。
このような囲い溝GPは、断面視すると、TFTアレイ基板10それ自体に掘り込みを入れるようにして形成されている。したがって、囲い溝GP上に形成される下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41等は、図8に示すように、全体的に、下に落ち込むように形成されることになる。例えば、囲い溝GP上の下地絶縁膜12の表面は、画像表示領域10aにおける下地絶縁膜12の表面よりも、より下に位置するなどというようになる。
このような囲い溝を備える電気光学装置によれば、以下のような作用効果が奏されることになる。すなわち、囲い溝GPは、画像表示領域10aの周囲の全部を囲むように形成されていることから、当該周囲に巡らされる配線11aP、3aP(配線3aP1及び3aP2をあわせて、「3aP」と呼ぶことにする。)及び引き出し配線116及びデータ線6aは、その殆どすべてを一括して、囲い溝GP内に埋め込むように形成することができる。これによると、この囲い溝GP上に構築される積層構造物に段差を生じさせるおそれが小さくなる。これは、図7及び図8と、比較例たる図9及び図10との対比からより明らかとなる。
図9及び図10においては、図中右半面に示される配線11aPの形成領域以外の領域に概ね対応するように溝GCが形成されている。この溝GCは、図10に示すようにTFTアレイ基板10に対して掘られている。また、これらの図においては、この溝GC以外の部分に関しては、溝が掘られていない。両者の境界は、図中符合GLでもって示されている(以下、「境界線GL」という。)。これによると、溝GC以外の部分の上に形成された下地絶縁膜12の表面は、画像表示領域10aにおける下地絶縁膜12の表面と同じ高さに位置するなどというようになる。すなわち、図9及び図10の溝GCは、図6乃至図8の囲い溝GPのように、画像表示領域10aの周囲の全部を囲うように形成されているわけではない。
このような場合、溝GC内に形成されることとなるサンプリング回路駆動信号線114及び3aP2等の配線等については、たしかに当該配線等の高さに起因する段差の発生を抑制することができる。しかしながら、このような構造において、溝GCの部分とそれ以外の部分との上に、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41等の層間絶縁膜を形成すると、該層間絶縁膜に段差を生じさせる可能性が大きくなる。そして、このような段差が生じると、例えば図10に示すように、クラックCr1等の発生の可能性が大きくなる。また、この場合仮に、第1層間絶縁膜41上に配線71Pを形成したとすると、該配線71Pについては、図に示すような断線を生じさせるおそれも出てくる。
ちなみに、上のような不具合の発生には、溝GCの部分とそれ以外の部分を跨ぐように配線等を形成しなければならないこと(例えば、図9の右下方に示す配線11aP参照)、或いは溝GC以外の部分にも配線等を形成しなければならないこと(例えば、図10中の配線11aP参照)等も大きな原因をなしている。
更にいうと、図9及び図10に示すように、配線等の形成領域(或いは、パターニング形状)に合わせて溝GCを掘ろうとすることには困難が伴う。これは、図7及び図9からもわかるように、周辺領域における配線等の配置は錯綜または交差する傾向にあるからである。実際、図9における溝GCは、概ね、サンプリング回路駆動信号線114及び配線3aP2の形成領域に合わせて掘られているが、そのために、境界線GLは、配線3aP1や図9中右下方の配線11aPを横切らなければならないこととなっている(なお、このような事情があるからこそ、前述したように、溝GCの部分とそれ以外の部分を跨ぐように配線等を形成しなければならないという状況が生まれやすくなる。)。
しかるに、本実施形態においては、図6乃至図8に示したように、画像表示領域10aの周囲の全部を囲うように囲い溝GPが形成されていることにより、上述のような不具合を被らなくて済むのである。
尚、上記囲い溝GPは、画像表示領域10aの周囲における、少なくとも配線が錯綜または交差している周辺回路を囲うように形成されているならば、前述したような層間絶縁膜へのクラック発生、或いは配線などの成膜が不完全に行われることがない。
ここで、サンプリング回路301は、配線が錯綜または交差している領域であるため、囲い溝GPの領域内に含まれるように構成するのが好ましい。
以上のように、本実施形態によれば、配線等を一定程度連続する比較的大きな囲い溝GPの中に埋め込むように形成可能であるから、この構造の上に前記層間絶縁膜等からなる積層構造物を構築するとしても、該層間絶縁膜ないし積層構造物に段差を生じさせる可能性は低減することになる。したがって、前記層間絶縁膜に前記段差に起因するクラックを生じさせるおそれを低減することができ、また、該層間絶縁膜間に形成される配線及び回路素子等に断線、破損等を生じさせるおそれを低減することができる。その結果また、配線等を通じた走査信号或いは画像信号等の供給は滞りなく行われ得、当該電気光学装置は、正確に動作し得ることになる。さらに、同じ理由により、当該電気光学装置の製造歩留まりを向上させることができる。
なお、上記の効果(特に、層間絶縁膜におけるクラック発生防止)をよりよく享受するためには、図8に示す距離Dを、図10に示すそれよりも、より大きく設定するようにするとよい。具体的には、第1層間絶縁膜41の厚さが約1〔μm〕であるとして、後者が1.0〔μm〕程度であるなら、前者を1.5〔μm〕程度にするとよい。
〔線状溝に関する構成〕
さて、一方、本実施形態にかかる電気光学装置には、図6に既に示されている線状溝GPBを備えていることに特徴がある。以下では、これに関し、前述までに参照した各図及び図11乃至図13を参照して説明する。ここに図11は、図6等に示した囲い溝GPの角の部分と線状溝GPBとの配置関係等について示す斜視図である。また、図12は、図6における符号CPを示す円内部分に対応する図であって、図6中矢印C1の方向から臨む斜視図であり、図13は、図12の比較例である。ただし、図12及び図13においては、図示する最上面が第2層間絶縁膜42の表面に該当している。
まず、図6において、本実施形態の電気光学装置においては、囲い溝GPの形成領域、即ち額縁領域53からTFTアレイ基板10の辺縁部に向かう方向に沿って延びる線状溝GPBが形成されている。より詳しくは、線状溝GPBは、矩形状を有する画像表示領域10aの各辺に対し鉛直な方向に沿って延びている。
すなわち、線状溝GPBは、画像表示領域10aの図6中下辺に沿って形成された囲い溝GPからデータ線駆動回路101(図1参照)に向かって、或いは同領域10aの図6中左辺及び右辺に沿って形成された囲い溝GPからTFTアレイ基板10の辺縁部に向かって延びるように形成されている。また、線状溝GPBは、図11に示すように囲い溝GPと連絡するように、即ち前者の底面は後者の底面と連続するように形成されている。
このような線状溝GPBの存在により、該線状溝GPB上に層間絶縁膜等からなる積層構造物を構築すると、該積層構造物の表面には、該線状溝GPBに対応する線状溝が形成されることになる。図12及び図13においてはその様子が示されており、これらの図では、第2層間絶縁膜42の表面に、線状溝GPBに対応する線状溝GPB1及びGPB2が形成されている様子が図示されている。
また、図12及び図13では、第2層間絶縁膜42の上に、引き出し配線116a及び116bが形成されている様子も示されている。この引き出し配線116a及び116bは、図1に示した画像信号線115からの引き出し配線116であり(ここでは特に、「116a」及び「116b」と分けて呼ぶ。)、図3に示したデータ線6aと同一膜として形成されている。そして、本実施形態においては、この引き出し配線116a及び116bは、図12に示すように、線状溝GPB1及びGPB2が延在する方向に沿い、且つ、該線状溝GPB1及びGPB2のそれぞれに対応するように形成されている。
また、引き出し配線116aは、線状溝GPB1が形成されている部分とそうでない部分とを跨ぐように、引き出し配線116bは、線状溝GPB2が形成されている部分とそうでない部分とを跨ぐように、それぞれ形成されている。特に図12に示すような構成は、引き出し配線116a及び116bのそれぞれが、線状溝GPB1及びGPB2のそれぞれの端部「のみ」を跨ぐように形成されているという場合の一例ということができる。
このような線状溝GPBないしGPB1及びGPB2及び引き出し配線116a及び116bを備える電気光学装置によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、第一に、線状溝GPB1及びGPB2を形成することにより、これらの内部に、囲い溝GPを越えてその外部に更に延在する引き出し配線116a及び116bを埋め込むことが可能となるから、線状溝GPB1及びGPB2の上に形成される積層構造物において、引き出し配線116a及び116bの高さに起因する段差を生じさせることがなく、当該積層構造物の平坦性を確保することができる。
そして第二に、引き出し配線116a及び116bが、線状溝GPB1及びGPB2の端部のみを跨ぐように形成されていることにより、両者間の短絡を招くことがなく、当該電気光学装置の正確な動作を期することができる。これは、図12と、その比較例たる図13との対比からより明らかとなる。
図13においては、線状溝GPB1及びGPB2の端部を相互に連絡する端部間連絡溝GCCが形成されている。ちなみに、このような端部間連絡溝GCCは、図13に示す第2層間絶縁膜42下で、図中左右方向に延びる配線等を埋め込むために形成した溝等が原因となって形成される場合が考えられる。
このような端部間連絡溝GCCが存在すると、前記の引き出し配線116a及び116bは、線状溝GPB1及びGPB2の端部を跨ぐだけでなく、場合により、該引き出し配線116a及び116bの一部が当該端部間連絡溝GCCの内側壁面をも跨ぐような状況が生じ得る。これは、引き出し配線116a及び116bが、前駆膜の形成及びパターニング処理という手順を経て形成されることが一般的だからで、前記のような端部間連絡溝GCCが存在すると、その内側壁面に成膜された前駆膜が完全には除去されず、その前駆膜が残存膜116Z(図13参照)として残ってしまう場合が生じることによる。このような状態になると、隣り合う線状溝GPB1及びGPB2間に別々に形成された引き出し配線116a及び116bの間で短絡が生じてしまうことになり、もはや当該電気光学装置の正確な動作を期しえなくなる。
しかるに、本実施形態においては、前記のような端部間連絡溝GCCは形成されていないから、前述のように、各線状溝GPB1及びGPB2に対応して形成された引き出し配線116a及び116bは、当該各線状溝GPB1及びGPB2の端部のみを跨ぐように形成されることになり、したがって、各引き出し配線116a及び116b間で短絡を生じさせることがない。
このように、本実施形態によれば、線状溝GPB1及びGPB2及びその中に形成される引き出し配線116a及び116bに関し、より好適な形態が現出されることにより、当該電気光学装置の正確な動作を、より確実に確保することができる。
なお、図12においては、線状溝GPB1及びGPB2に交差する溝が全く形成されていない形態について図示したが、場合によっては、そのような溝が形成されていてもよい。そのような例としては、例えば図14に示すような構成を挙げることができる。ここに図14は、図12と同趣旨の図であって、線状溝に交差する方向に別途溝が形成されている態様について示すものである。
この図14においては、図12における線状溝GPB1及びGPB2並びに引き出し配線116a及び116b等に加えて、交差溝(本発明にいう「第2の溝」の一例に該当する。)GCXが形成されている。ただし、この交差溝GCXは、図に示されている通り、線状溝GPB1及びGPB2の端部には交わらない。
これによると、引き出し配線116a及び116bは、図12と同様に、線状溝GPB1及びGPB2の端部のみを跨ぐように形成されることになり、両者間の短絡を生じさせるおそれはない。なぜなら、この場合、線状溝GPB1及びGPB2の内部に引き出し配線116a及び116bを形成する際、該引き出し配線116a及び116bを、前駆膜の形成及びパターニング処理という手順を経ることにより形成したとしても、前記前駆膜が残存する可能性があるのは、線状溝GPB1及びGPB2の端部からは一定程度離れた交差溝GCXの内側壁面ということになるからである(図14の残存膜116Z´参照。)。つまり、このような場合における交差溝GCXは、図13に示した端部間連絡溝GCCと同一視されるべきものではないのである。本発明は、このような形態を含む。
さらに図18においては、交差溝GCXが、比較例13図に示された端部間連絡溝GCCと同様に、線状溝GPB1及びGPB2の端部に交わっている。ここで、端部間連絡溝GCCにおける、線状溝GPB1及びGPB2の端部から延長された側面は、TFTアレイ基板10を平面的に見て波状した表面となっている。図18の波状側面部42aで示される形状、つまり平面的に見て波状している形状であっても良いし、図示しない表面が荒れた凹凸形状であっても良い。このような構成によれば、引き出し配線116a及び116bのパターニング形成のためのエッチング時に、残存膜116Zが、引き出し配線116a及び116b間がショートされるまでにつながることがない。
尚、図18においては、線状溝GPB1及びGPB2の端部から延長された側面の一部であって、引き出し配線116a及び116bが設けられていないエリアのみに限定的に、波状側面部42aのごとくに波状としている側面を設ける形態を示しているが、特にこの形態に限定しない。例えば、線状溝GPB1及びGPB2の端部から延長された側面全体であって、引き出し配線116a及び116bが設けられているエリアを含めて、波状側面部42aのごとくに波状とした形状としてもよい。この場合でも、引出配線に沿った方向に向かって波状と波打っている形状ではないため、引出配線は断線されることがない。よって、引出配線間を跨ぐ方向のみに選択的に残存膜116Zを断線させることができ、引出配線の断線という副作用の無い有効なショート防止効果が得られる。
尚、この平面的に見て波状とした形状の形成は、フォトマスクのパターンに当該波状形状を設けることで達成できる。
なお、本発明に係る電気光学装置としては、以上詳細に説明した本実施形態のほか、以下に記すような各種の変形形態を採用することができる。
第一に、本発明に係る電気光学装置においては、前記の囲い溝GP及び線状溝GPBの他にも、図15に示すような線状溝間連絡溝GPCを形成することが可能である。ここに図15は、図6と同趣旨の図であって、線状溝GPB間を連絡する線状溝間連絡溝GPCが形成された態様を示すものである。
この図15において、線状溝間連絡溝GPCは、各線状溝GPBの端部を包絡するように、またしたがって、囲い溝GPと略相似形を有するように形成されている。このような形態によれば、線状溝間連絡溝GPCの上に形成される積層構造物に、各種の配線等の高さに起因する段差を生じさせることがなく、当該積層構造物の平坦性をより確実に確保することができる。また、本形態に係る線状溝間連絡溝GPCは、線状溝GPBに連絡するように、即ち囲い溝GPに連絡するように形成されているから、当該囲い溝GPの形成と同時に形成することが可能であり、製造工程の簡略化を図ることもできる。
第二に、本発明に係る電気光学装置においては、前記の囲い溝GP及び線状溝GPBの他にも、図16に示すようなストライプ状溝GPDを形成することが可能である。ここに図16は、図6と同趣旨の図であって、画像表示領域10a内のデータ線6aの形成領域に対応するように、且つ、囲い溝GPに連絡するように形成されたストライプ状溝GPDの態様を示すものである。
この図16において、ストライプ状溝GPDは、図1、或いは図2に示したようにストライプ状に配列されたデータ線6aの形成領域に対応するように形成されている。このような形態によれば、データ線6aの高さに起因して、前記積層構造物の最表面等に段差を生じさせることを防止することができる。また、本形態に係る溝は、囲い溝GPに連絡するように形成されているから、当該囲い溝GPの形成と同時に形成することが可能であり、製造工程の簡略化を図ることもできる。
なお、図示はしないが、図16と同様にして、走査線3aの形成領域に対応するようなストライプ状溝を形成してもよい。また、そのようなストライプ状溝に併せて、図16に示すようなストライプ状溝GPDを形成するような形態としてもよい。この場合には、画像表示領域10aにマトリクス状の溝が形成されることになる。
さらには、前述したような、データ線6a、或いは走査線3aの形成領域に対応するようなストライプ状溝に併せて、図15を参照して説明したような線状溝間連絡溝GPCを形成するような態様も、本発明の範囲内にあることは言うまでもない。
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに、図17は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
図17において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10・・・TFTアレイ基板、10a・・・画像表示領域、3a・・・走査線、6a・・・データ線、30・・・TFT、9a・・・画素電極、42a・・・波状側面部、53・・・額縁遮光膜、101・・・データ線駆動回路、104・・・走査線駆動回路、102・・・外部回路接続端子、GP・・・囲い溝、GPB、GPB1、GPB2・・・線状溝、GPC・・・線状溝間連絡溝、GPD・・・ストライプ状溝、GCX・・・交差溝。