JP3742603B2 - 多段式エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 - Google Patents

多段式エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段式エアバック用ガス発生器及びそれを用いたエアバック装置に関する。
【0002】
【従来技術】
自動車を始め各種車両等に搭載されているエアバッグシステムは、該車両が高速で衝突した際に、ガスによって急速に膨張したエアバッグ(袋体)で搭乗者を支持し、搭乗者が慣性によりハンドルや前面ガラス等の車両内部の硬い部分に激突して負傷すること等を防ぐことを目的とする。このようなエアバッグシステムは、通常、車両の衝突によって作動してガスを放出するガス発生器と、該ガスを導入して膨張するエアバッグとから構成されている。
【0003】
かかるエアバッグシステムは、乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能であることが望ましい。そこで従来、作動時初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動する様なエアバッグシステムの提案がなされている。このようなガス発生器は、特開平8−207696号公報、米国特許第4,998,751号及び米国特許第4,950,458号等に開示されおり、特開平8−207696号公報では、1つの点火器で2種類のガス発生剤のカプセルを着火し、二段階でガスを発生させるガス発生器が、米国特許第4,998,751号、米国特許第4,950,458号には、ガス発生器の作動機能を規制するため二つの燃焼室を設けて、ガス発生剤の燃え広がりにより二段階でガスを発生するガス発生器がそれぞれ提案されている。
【0004】
また特開平9-183359号、及び独国特許第19620758号では、ハウジング内に、ガス発生剤が収容された燃焼室を2室設けて、それぞれの燃焼室毎に点火器を配置し、各点火器の作動タイミングを調整することにより、ガス発生器の作動出力を調整可能としたガス発生器が開示されている。
【0005】
しかしながら、これら従前のガス発生器に於いては、簡易な構造で製造容易としながらも、更に容器(ハウジング)の全体的な大きさを抑えた多段式エアバッグ用ガス発生器とはなっていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能としながらも、簡易な構造であって製造容易とし、更に容器(ハウジング)の全体的な大きさを抑え、且つ各燃焼室の容積の比率を任意に調整可能とした多段式エアバッグ用ガス発生器を提供する。
【0007】
本発明は、ハウジング内に、複数の燃焼室を設けた多段式エアバッグ用ガス発生器に於いて、ガス発生器の全体の大きさを抑え、且つ各燃焼室の容積の比率を任意に調整できることを可能とした内部構造、特に燃焼室の配置構造に特徴を有する。
【0008】
即ち、本発明の多段式エアバッグ用ガス発生器は、筒状側壁に複数のガス排出口を有するディフューザシェルと、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェルとから成る円筒状ハウジング内に、ガス発生手段を収容する燃焼室を複数設けると共に、各燃焼室毎に前記ガス発生手段を着火・燃焼させる点火手段を配置してなり、該複数の燃焼室の内、少なくとも1つの燃焼室は、ハウジング内に於いて、ハウジング中心軸から偏心して配置されたインナーシェルの内側に設けられており、また各燃焼室毎に配置される点火手段は、ハウジング内に於いて、ハウジング中心軸から偏心して配置されていることを特徴とする。
【0009】
更に本発明のガス発生器では、各燃焼室同士を相互に連通可能とする連通孔を設けることができる。
【0010】
上記ガス発生器は、作動ガスを浄化及び/又は冷却する筒状フィルター手段とを含み、該フィルター手段は、軸方向端面の何れか一方又は双方が、軸心延伸方向に向かって窄み、且つ内周面との内角が鋭角となるように傾斜する傾斜端面として形成されており、該ハウジング内には該フィルター手段の傾斜端面に対向する支持部が存在していてもよい(自緊式フィルター)。
【0011】
本発明は、インナーシェルの外側表面の大部分をインナーシェルの外側にある第一のガス発生剤と、保温材を介さずに直接接触させることもできる。インナーシェルに連通孔があるところは破裂部材を介してガス発生剤がインナーシェルの外側表面に接触する。最初に燃焼する第一のガス発生剤と他の第二のガス発生剤の間にインナーシェルの壁が介在する。第一のガス発生剤が燃焼しても、第二の点火器の作動より前に第二のガス発生剤が燃焼し始めることはなく、第二のガス発生剤が伝熱により着火温度に達する前に、第二の点火器の作動により燃焼する。
【0012】
第一のガス発生剤着火後、第二のガス発生剤に着火しないままガス発生器を放置すると、約10秒後に第二のガス発生剤が着火する。
【0013】
本発明に於いて、このインナーシェルは、一般に、上端を閉塞した円筒形であって、水平断面形状が円形のものが好ましい。これは、インナーシェルの水平断面形状を、矩形、楕円形など各種形状とすることも可能ではあるが、その接合容易性を考慮すれば、通常円形とすることが望ましいためである。このインナーシェルは、ハウジング内に、ハウジングの中心軸に対して偏心して配置される。つまり、このインナーシェルは、その中央が、ハウジングの中央と一致しない様にしてハウジング内に配置されており、インナーシェルは、この円筒形状のハウジングに対して偏心して配置される。従って、仮にハウジングの平面形状が平面略楕円形であっても、その平面形状の中央と、インナーシェルの中央とがずれている場合には、インナーシェルとハウジングとが偏心することとなる。なお、このハウジングの中心軸は、専ら筒状体の平面形状に基づいて特定されるものであり、仮に該ハウジングがモジュール取り付け用のフランジを有する場合にあっても、このフランジの部分はハウジングの中心軸を特定する際に考慮されないものとする。
【0014】
この各燃焼室毎に配置される点火手段は、電気信号によって作動する点火器をそれぞれ含んで構成されるものとし、この点火器を、ハウジングの軸方向に揃えて配置することができる。また、ハウジングを構成するクロージャシェルは、点火器を固定するカラー部分を含んで構成されるものとし、点火器がこのカラー部分に固定されるものとすることもできる。この場合、各点火手段毎にそれぞれ含まれている点火器を、全て単一のカラー部分に固定する事が望ましい。これはカラー部分を含めてクロージャシェルを形成する場合、予めこのカラー部分に複数の点火器を固定しておけば、クロージャシェルを形成する単一の操作で、複数の点火器をハウジング内に固定することができ、製造上有利となるためである。
【0015】
ハウジング内に偏心して配置されるインナーシェルは、円筒形状であって、一方の燃焼室内のガス発生手段の燃焼により開口する開口部を有するものを使用することができる。但しこのインナーシェルの形状は、前記の通りその他の形状とすることも可能であるが、クロージャシェルとの接合容易性を考慮すれば、特に水平断面形状を円形とすることが好ましい。このインナーシェルは、開口部が開口することによって、インナーシェルの内外に区画された燃焼室同士のガス流通を可能とする。このような開口部は、例えば、インナーシェルの周壁に複数の孔を形成して、この孔を破裂部材で閉塞することによって形成することができる。この破裂部材によって閉塞された孔は、インナーシェルの内側に設けられる燃焼室内に収容されたガス発生手段が燃焼することによってのみ開口する。ガス発生手段の燃焼による孔の開口は、例えば破裂部材がガス発生手段の燃焼による圧力などで、破裂、剥離、焼失又は外れることにより行われる。この様な開口部は、その他にもインナーシェルにノッチを設けるか、或いはインナーシェルの一部の肉厚を薄く形成することによっても実現することができる。また開口部の外側に遮蔽板を配置し、この遮蔽板により、インナーシェルの外側に設けられる燃焼室内で発生する燃焼火炎が、該開口部に直接接触することのないものとし、一方の燃焼室内のガス発生手段の燃焼に依ってのみ該開口部が開口するように形成することもできる。
【0016】
上記の如くインナーシェルをハウジング内にその中心軸に対して偏心して配置し、更に各燃焼室毎に配置される点火手段も、該ハウジングの中心軸に対して偏心させて配置することにより、ハウジングの大きさを極力抑え、かつ燃焼室の容積・配置等の自由度を最大限とすることができる。即ち、例えばハウジング内に2つの燃焼室を画成して設ける場合、ハウジング内に偏心してインナーシェルを配置し、その外側を第一の燃焼室内側を第二の燃焼室とすれば、第一及び第二の燃焼室の容積比は、このインナーシェルの容積を変えることにより自在に変えることができる。その際、各燃焼室毎配置される点火手段の点火器も、ハウジングの中心軸に対して偏心して配置することにより、第一の燃焼室内に配置された点火器が、第二の燃焼室の容積を確保する上で障害となることはない。依って、本発明に於いては、第一及び第二の燃焼室の容積等に関する自由度を最大限とすることができる。
【0017】
ハウジングは、ディフューザシェルとクロージャシェルとを各種溶接法、例えば摩擦圧接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接、プロセクション溶接などにより接合して形成することができる。この内、両シェルを摩擦圧接により接合してハウジングを形成する場合には、クロージャシェルを固定した上で摩擦圧接を行うことが好ましい。一般的に両シェルの接合は最後に行われるが、この様にクロージャシェルを固定して摩擦圧接を行えば、点火手段を偏心して配置する等クロージャシェル側の重心が偏っている場合に於いても、両シェルの接合を安定して行うことができる。つまり、摩擦圧接は、一方を固定し、他方を回転させて行われるが、この回転させる側の重心が偏っていると、安定した摩擦圧接が困難となる。そこで、本発明に於いては、クロージャシェル側を固定して摩擦圧接を行うことにより、安定した摩擦圧接を実現する。
【0018】
また、クロージャシェルを固定して摩擦圧接を行う場合には、ガス発生器をモジュールケースに取り付けるためのフランジ部をクロージャシェルに設け、更にこのフランジ部に、摩擦圧接時に固定されるクロージャシェルの向き及び/又は位置を特定する位置決め部を形成することが望ましい。このような位置決め部は、例えば、フランジ部が、ガス発生器をモジュールケースに固定する為の複数の半径方向突出部を有する場合には、該突出部を相互に非対称形状に形成することにより実現する。突出部が1つの場合には、この突出部自体を位置決め部とすることができる。このようにフランジ部に位置決め部を形成すれば、インナーシェルを摩擦圧接によってハウジング内に固定する場合には、回転させる方のインナーシェルに対して、ハウジングの接合位置が常に一定に決まるため、該インナーシェルを所定の向き及び/又は位置に確実に固定することができる。特に係る位置決め部をフランジ部に形成することにより、このフランジ部が該位置決めとガス発生器の取り付けとに兼用されることとなる。なお、本発明に於いて、摩擦圧接に際してクロージャシェルを所定の位置・向きに固定する為には、フランジ部に限らず、その他の部分、例えば周壁又は底面に位置決め部を形成することも当然可能である。
【0019】
また、燃焼室内に配置される点火手段には、その作動によって生じる火炎の噴出方向を規制するための噴出方向規制手段を設けることができる。この噴出方向規制手段は、点火手段の作動によって生じる火炎、即ちガス発生手段を着火・燃焼させる為の火炎の噴出方向を規制する為に使用される。
【0020】
この噴出方向規制手段は、少なくとも該点火手段の火炎を生じる部分を包み込むことができ、かつ火炎の噴出方向を所望方向に規制するための2以上の伝火孔を有する中空容器から構成できる。かかる噴出方向規制手段の例としては、偏向板や、該点火手段全体を包囲できるような筒状部材又は該点火手段の火炎を生じる部分を包囲できるようなカップ状等の容器が挙げられる。
【0021】
この様な噴出方向規制手段を使用することにより、点火手段の火炎の噴出方向を燃焼室の内壁面に沿う方向に規制できる。この「燃焼室の内壁面に沿う方向」とは、火炎が内壁面の形状と一致する方向に噴出され、移動することを意味するものである。この様に点火手段の火炎の噴出方向を規制することにより、点火手段が燃焼室の中心に配置されていない場合や、燃焼室が円形以外の形状であって、燃焼室の隅の方に配置されたガス発生手段と点火手段との距離が著しく離れている場合等に於いても、燃焼室内のガス発生手段を好適に燃焼させることが可能となる。
【0022】
噴出方向規制手段として、更に、第一の点火器からより離れたディフューザーシェルのガス排出口の数がより多く又は合計開口面積がより大きく分布するように配置してもよい。噴出方向規制手段は、これらを組み合わせることがより好ましい。
【0023】
各燃焼室に配置される点火手段は、各燃焼室毎に出力の異なる点火手段を使用することができる。この点火手段の出力は、異なる出力の点火器を使用する他、点火手段が伝火薬をも含んで構成されている場合には、該伝火薬の材料、形状、量等を調整して点火手段の出力を調整することができる。
【0024】
またインナーシェル内には、クロージャシェルとの接続を安全かつ円滑に行うためにリテーナーを配置することができる。このリテーナーは実施形態に示すガス発生剤固定部材であってもよい。このリテーナーは、インナーシェルをクロ−ジャシェルに、摩擦圧接、かしめ、抵抗溶接等又は凹凸継合等により取り付ける際に、ガス発生剤をインナーシェル内に保持し、ガス発生剤が直接クロージャシェルと接触しないようにし、また、インナーシェル内に点火手段を収容する空間を確保するようにできる。このリテーナーを使うことで、組み立て性を向上することができる。特に本発明のように組み立て時に2以上のガス発生手段の充填方向が異なる場合は、リテーナーを用いることは有効である。リテーナーとしては、アルミニウム、鉄等で作成したキャニスタ形状のものや、金網等からなる多孔状部材等を用いることができる。
【0025】
この点火手段に含まれる点火器は、コントロールユニットなどから出力されるガス発生器の作動信号を受けて作動する。従って、この点火器には、各点火器毎に、コントロールユニット等からの作動信号を伝えるためのケーブルが接続されている。本発明のガス発生器は、2つ以上の点火手段を有していることから、点火器も2つ以上含まれている。この各点火器に接続するケーブルを、同一方向に引き出すことにより、その後、ガス発生器を容易にモジュールに組み付けることができる。
【0026】
ハウジング内に複数の燃焼室を設け、各燃焼室毎に単位時間当たりの発生ガス量が異なるガス発生手段、例えば燃焼速度、組成、組成比、形状又は量が少なくとも1つ以上異なるガス発生手段を収容するガス発生器とすることにより、ガス発生器の作動性能、特にガス放出量の経時変化をより特徴的に且つ任意に調整することが可能となる。各燃焼室内のガス発生手段を、任意のタイミングで独立に着火・燃焼させる場合には、独立して着火・燃焼する点火手段を各燃焼室毎に配置する。このようなガス発生手段は、従来から広く使用されている無機アジド、例えばナトリウムアジド(アジ化ナトリウム)に基づくアジド系ガス発生剤の他、無機アジドに基づかない非アジド系ガス発生剤を使用することができる。但し、安全性を考慮すれば、非アジド系ガス発生剤が望ましい。これらガス発生手段は、燃焼速度、非毒性、燃焼温度及び分解開始温度等の要求に応じて適宜選定される。各燃焼室毎に異なる燃焼速度のガス発生手段を用いる場合には、例えば、アジ化ナトリウム等の無機アジド又はニトログアニジン等の非アジドを燃料及び窒素源として用いる等、その組成や組成比自体が異なるガス発生手段を用いる他、ペレット状、ウエハー状、中空円柱状、ディスク状、又は単孔体状若しくは多孔体状等の様に組成物の形状を変えるか、或いは成形体の大きさ等により表面積を変えたガス発生手段を用いることができる。特に、ガス発生手段の形状を貫通孔が複数個存在する多孔体に形成する場合には、その孔の配置は特に制限はないが、ガス発生器性能の安定化のため、成形体の外端部と孔の中心との距離及び相互の孔の中心間距離がほぼ等しくなる配置構造が望ましい。具体的には、例えば成形体の断面が円型である円筒状成形体においては、中心に1個とその周囲に相互に等距離となる正三角形の頂点の位置に孔の中心を有する6個の孔を配置した構造が好ましい。更に同様にして中心に1個と周囲に18個の孔が存在する配置も考えられる。これらの孔数と配置構造はガス発生剤の製造のしやすさ、及び製造コストと性能の兼ね合いで決定されるものであり、特に限定されるものではない。
【0027】
エアバッグ膨脹用のガスを得るために固形のガス発生手段を使用したガス発生器(火工式ガス発生器)においては、通常、ガス発生手段の燃焼により生じた燃焼ガスを浄化し、また冷却するためのフィルターやクーラントが好適に使用されている。従って、本発明のガス発生器に於いても、ガス発生手段の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化及び/又は冷却する場合には、積層金網を圧縮形成したフィルター手段を使用することができる。かかるフィルター手段を、燃焼ガスの圧力によって半径方向外側に押され、その上下端部がハウジング内面に押圧されるような自緊式構造に形成すれば、フィルター手段端面とハウジング内面との間に於ける燃焼ガスのショートパスは、特段の部材を配置することなく阻止することができる。かかる自緊式構造は、例えば、ハウジングの上下内面を窄める様に傾斜させ、フィルター手段の上下端面にも、該ハウジングの上下内面に整合する傾斜を設けることにより実現することができる。またこのフィルター手段は内側と外側とを異なる積層金網体として三重構造とし、内側にフィルター手段の保護機能、外側にフィルター手段の膨出抑止機能を有するものとすることもできる。このフィルター手段の膨出抑止機能に関しては、該フィルター手段の外周を、積層金網体、多孔円筒体又は環状ベルト体等からなる外層で支持することにより、その膨出を抑止することによっても行うことができる。
【0028】
前記の如く、ハウジング内に複数の燃焼室が設けられ、各燃焼室毎にガス発生手段の燃焼による燃焼ガスが発生する場合には、各燃焼室から排出される燃焼ガスは、共通のフィルター手段を通過することが望ましい。この様に全ての燃焼ガスが共通のフィルター手段を通過すれば、ハウジング内に配設されるフィルター手段は1つで済み、その結果、全体容積を小さくし、製造コストを削減することができる。また、この共通のフィルター手段を通過した燃焼ガスは、ハウジングに形成された共通のガス排出口から排出することができる。
【0029】
上記のエアバッグ用ガス発生器は、該ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ(袋体)と共にモジュールケース内に収容され、エアバッグ装置となる。このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃を感知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジングのガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガスはエアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモジュールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と乗員との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0030】
本発明によれば、容器の全体的な高さを抑え、且つ簡易な構造であって製造容易としながらも、その作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能としたガス発生器となる。
【0031】
また本発明のガス発生器に於いては、少なくとも1つの燃焼室をハウジングに対して偏心させ、また各燃焼室毎に配置される点火手段をハウジング内に偏心して配置することで、ハウジング半径方向の大きさを抑えた上で、各燃焼室の自由度を最大に得ることができる。
【0032】
上記の偏心構造のガス発生器はのちに記載するAIM、コネクター、自緊式フィルターまたはこれらの組み合わせを含んで実施できる。本明細書に記載した他の各部品とも組み合わせて実施できる。
【0033】
本発明によれば、複数の点火器を含んで構成されたエアバッグ用ガス発生器を含んで構成され、各点火器毎に、点火信号出力手段からの作動信号が出力されるエアバッグ装置に於いて、各点火器と点火信号出力装置出力部との接続の誤りを無くし、常に所望の出力で作動できる多段式ガス発生装置となる。従って任意に作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能とした多段式エアバッグ装置において、常に所期の作動性能を得ることができる。
【0034】
また、フィルター手段が作動ガスの通過によって半径方向に膨出した場合に於いても、該フィルター手段の傾斜端面はハウジング内の支持部に圧接し、両者の面接触が維持されることから作動ガスのショートパスを効果的に阻止可能となる。フィルター手段を膨出可能な部材とすることで組込精度がそれほど要求されることなく、ハウジング内への組み込みを容易に行うことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態
以下、図面に示す実施の形態に基づき、本発明の多段式エアバッグ用ガス発生器を説明する。
「偏心構造の実施の形態」
図1は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の一の実施の形態を示す縦断面図である。この図に示すガス発生器は、特に運転席側に配置するのに適した構造となっている。
【0036】
図1に於いて、ガス発生器は、ガス排出口10を有するディフューザシェル1と、該ディフューザシェル1と共に内部収容空間を形成するクロージャシェル2とを摩擦圧接により接合してなる円筒形状ハウジング3内に、水平断面形状が円形であって上端を閉塞したカプセル形状のインナーシェル4をハウジング中心軸に対して偏心して配置・固定している。インナーシェルのハウジングに対する偏心度は、所望とする燃焼室の容積比などに応じて適宜変更可能である。この偏心度は、ハウジング内の構造、例えばクーラント・フィルター25の有無などによっても変わり得る要素であって、例えば、この図に示すガス発生器のように、ハウジングの周壁面と対向させて、クーラント・フィルター25を配置する場合には、10〜75%の範囲で適宜選択することができる。但し、この数値範囲も点火器の大きさ等に起因して変化し得ることから、この数値範囲は、図1に示すガス発生器に於けるインナーシェル4の偏心の目安を示すものである。
【0037】
またこのインナーシェル4は、その水平断面形状を矩形、楕円形など各種形状とすることも可能であるが、クロージャシェル2等への接合容易性を考慮すれば、特に円形とすることが望ましい。つまり、このインナーシェル4を摩擦圧接によりクロージャシェル2に接合する場合には、該インナーシェル4の水平断面形状は円形とする必要があり、またレーザー溶接によって接合する場合に於いても、レーザーの照射距離を一定に保つ必要があるためである。
【0038】
このインナーシェル4は、クーラント・フィルター25との間に僅かな隙間を確保した上で配置されている。この隙間は、クーラント・フィルター25とインナーシェル4との間にガスの流れを作り、該フィルター25の全面を有効に使うことを目的とするものであり、また後述の通りインナーシェル4の開口部が開口する際にクーラント・フィルター25が障害とならないようにするためでもある。従って、この隙間は、係る目的の範囲内に於いて適宜選択される。
【0039】
インナーシェル4は、第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とを画成している。つまり第一の燃焼室50はインナーシェルの外側に設けられ、第二の燃焼室60はインナーシェル4の内側に設けられている。第一の燃焼室50と第二の燃焼室60との容積比(第一の燃焼室容積:第二の燃焼室容積)は、本実施の形態に於いては、3.3:1としているが、その他にも97:1〜1:1.1の範囲で、適宜選択することができる。但しこの容積比に関しても、点火器の大きさやガス発生剤の形状などに起因して、適宜その選択範囲は変化し得るものである。依って、前記の数値範囲は、この図に示すガス発生器の構造に於いて選択し得る範囲を示すものである。
【0040】
インナーシェル4によって隔離された第二の燃焼室60と第一の燃焼室50には、それぞれガス発生剤(52、62)が収容されている。第一の燃焼室50内には第一のガス発生剤52が、第二の燃焼室60内には第二のガス発生剤62がそれぞれ収容されている。本実施の形態に於いては、第一のガス発生剤52と第二のガス発生剤62とは形状等が同じガス発生剤が使用されているが、各燃焼室毎に、燃焼速度、組成、組成比又は量が少なくとも1つ以上異なるガス発生手段を収容することもできる。
【0041】
第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とを画成するインナーシェル4は、ハウジング3の中心軸に対して偏心して配置されている。また、このインナーシェル4の内側に設けられた第二の燃焼室60もハウジング3に対して偏心している。この第一の燃焼室50と第二の燃焼室60には、それぞれ点火器が配置されており、この内、第二の燃焼室に配置される第二の点火器61は、このハウジング3の中心軸に対して偏心する第二の燃焼室60の中央に配置されている。その結果、該点火器61が作動して発生する火炎は、第二のガス発生剤62を均等に燃焼させることができる。そしてこの第二の点火器61と、第一の燃焼室50に配置される第一の点火器51とは、共にハウジング3の中心軸に対して偏心して配置されている。この様に第一及び第二の点火器、並びにインナーシェルをハウジング3の中心軸に対して偏心させることにより、第一及び第二の燃焼室の容積比の変化を幅広くすることができ、またハウジング3の径方向の大きさを極力抑えることができる。
【0042】
各燃焼室毎に配置される点火器の内、第一の燃焼室50内に配置された点火器51は、その周囲及び上方向に伝火薬8を配置している。この伝火薬8はガス発生器の組立の際の便宜上、更には車両に搭載中に受ける衝撃や振動で、伝火薬8が第一の燃焼室50内に散乱して、第一のガス発生剤52への着火性を低減させることがないように、伝火薬容器26の中に収納されている。この伝火薬容器26は内部の伝火薬8の燃焼によって容易に破裂して、火炎をその周囲に伝火させるような厚さ(例えば200μm程度)のアルミニウムによって形成されている。一方、第二の燃焼室60内には第一の燃焼室50内に配置されたような伝火薬は必ずしも必要としない。これは第一のガス発生剤52が燃焼して第一の燃焼室50内の圧力が上昇しても、後述するインナーシェル4の孔6を塞ぐ破裂部材7は、第二の燃焼室60の内部圧力が第一の燃焼室50内の内部圧力以上に上昇しないと破裂しないため、この間、第二の燃焼室60は密閉状態となり、その間圧力が高まり、第二のガス発生剤62は、第一のガス発生剤52よりも着火しやすいためであるが、必要に応じて伝火薬を使用することもできる。
【0043】
そして第一の燃焼室50内には、第一の点火器51とその上方に配置された伝火薬8の半径方向外側を囲む様にして筒状部材36が設置されている。この筒状部材36は、上下両端を開放した円筒形状で、その片端部は点火器51を固定した部分の外周に、隙間が生じないように外嵌し、他端部はディフューザシェル1天井部内面近傍に存在するリテーナー11により挟持されて所定箇所に固定されている。この筒状部材36の周壁には、複数の伝火孔37が形成されており、伝火薬8の燃焼によって生じた火炎は、この伝火孔37から噴出され、該筒状部材の外側に存在する第一のガス発生剤を着火・燃焼させる。この筒状部材36は、ハウジング3と同一材質の部材であることが望ましい。
【0044】
特にこの実施の形態に示すガス発生器では、第一の燃焼室50は、図2の平面図に示すように、円形の内側を丸く打ち抜いた三日月形に近似した環状となっており、第一のガス発生剤52はこの中に設置される。従って第一の燃焼室50に於いては、第二の燃焼室60とは異なり、ガス発生剤52と点火器51との距離は、ガス発生剤52の収容場所により異なっている。依って点火器51の着火の際に第一のガス発生剤52への着火・燃焼に斑が生じる。そこで内筒部材36の周壁に設けられる伝火孔37は、第一の燃焼室50の内壁面50aに沿う方向(図2中矢印で示す方向)に伝火薬8の火炎を噴出させるようにその向きが規制されている。これによって第二の燃焼室60(即ちインナーシェル4)の陰になった部分のガス発生剤52も斑なく燃焼させることができる。なお、この実施の形態の場合、内壁面50aはクーラント・フィルター25の表面と一致している。
【0045】
更にその他の噴出方向規制手段として、前記内筒部材36に代え、例えばカップ状の容器で、その周壁部に第一の燃焼室50の内壁面50aに沿う方向(図2中矢印で示す方向)に、第一の点火手段(図1では点火器51と伝火薬8)の火炎を噴出させるためのノズルを設けたものを使用することができる。従って、噴出方向規制手段としてのカップ状の容器は、火炎の噴出方向を規制するため、少なくとも点火器51と伝火薬8を包み込むことができるものであり、第一の点火手段の周りに取り付け(かぶせ)て使用される。かかる噴出方向規制手段を使用する場合に於いても、その内側に配置される第一の点火手段は、点火器と該点火器の作動に依って着火・燃焼する伝火薬とを含んで構成することが望ましい。
【0046】
火炎噴出方向規制手段の他の例として図34の偏向板99があり、火炎を矢印で示す方向へ反射して方向を規制する。例えば、凹面状の板を燃焼室とハウジングの間に置く。偏向板はフィルタの内側にあってもよいし、フィルタの外側にあってもよい。偏向板は、第一の点火器からの火炎の方向を制御する働きと、それ以外にガス発生剤が燃焼して発生したガスの流れを制御する働きをもつ。
【0047】
第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とを画成するインナーシェル4は、上記の通りカプセル形状であって、その周壁に複数の開口部5が形成されている。この開口部5は第二の燃焼室60内に配置された第二のガス発生剤62の燃焼によってのみ開口し、第一の燃焼室50内に収容された第一のガス発生剤52の燃焼によっては開口しないものとして形成されている。本実施の形態に於いては、この開口部5は、インナーシェル4周壁に設けられた複数の孔6と、この孔を閉塞する破裂部材7とから成り、破裂部材7としてはステンレス製のシールテープが使用されている。この破裂部材7は、第二のガス発生剤62の燃焼によってのみ、破裂、剥離、焼失又は外れる等により孔6を開口し、第一のガス発生剤52の燃焼によっては破裂等しないものとして形成されている。なお、第一のガス発生剤52の燃焼によっても、インナーシェル4の開口部が開口しないようにするためには、その他にも、インナーシェル4の開口部5を、外側から適宜形状遮蔽板、例えば帯状部材を環状に形成した遮蔽板等で覆い、第一のガス発生剤52の燃焼火炎が直接接触しないものとすることもできる。
【0048】
この開口部5に関しては、その他にも図3aに示すようにインナーシェル4の周壁にノッチ12を形成するか、或いは図3bに示すように、インナーシェル4の周壁の肉厚を部分的に薄く形成することによっても実現可能である。開口部5が開口することにより、第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とは連通し、第二の燃焼室60内で発生した燃焼ガスは、第一の燃焼室50内を通って、その後ハウジング1外へ排出される。
【0049】
上記のインナーシェル4は、その開放した下方13を、クロージャシェル2に接続して固定される。このクロージャシェル2が、点火器を固定する為のカラー部分2aを含んで構成される場合には、該インナーシェル4は、このカラー部分2aに取り付けることもできる。図1に示すガス発生器に於いては、このクロージャシェル2は、ディフューザシェル1に接合する筒状殻部2bの底面に、2つの点火器を固定可能な大きさとした円形のカラー部分を一体状に接合して形成されており、該インナーシェル4は、このカラー部分2aに接合されている。但し、このカラー部分2aは、各点火器毎に固定可能な大きさの円形として該筒状殻部2bの底面に一体状に形成することも可能であり、また筒状殻部2bの底面に一体形成することも可能である。この様な場合には、該インナーシェル4は、クロージャシェルのカラー部分2a以外、筒状殻部2bの底面に直接取り付けることができる。
【0050】
インナーシェル4とクロージャシェル2との接続は、摩擦圧接、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合により行うことができる。特に摩擦圧接により両者を接合する場合、望ましくは、クロージャシェル2側を固定して行う。これにより、インナーシェル4とクロージャシェル2の軸心が整合していなくとも、安定して摩擦圧接を行うことができる。つまり、仮にインナーシェル4を固定し、クロージャシェル2を回転させて摩擦圧接を行った場合には、クロージャシェル2の重心は、回転中央からずれているため、安定した摩擦圧接が不可能となる。そこで、本発明に於いては、クロージャシェル2側を固定し、インナーシェル4側を回転させて摩擦圧接を行うものとする。また、摩擦圧接に際して、インナーシェル4を、常に所定の位置に取り付けることができるように、このクロージャシェル2は、位置決めして固定されることが望ましい。依って、このクロージャシェル2には、適宜位置決め手段が施されることが望ましい。
【0051】
このインナーシェル4内には、クロージャシェル2との接続を安全かつ円滑に行うためにガス発生剤固定部材14が配置されている。ガス発生剤固定部材14は、インナーシェル4をクロージャシェル2に摩擦圧接する際に、ガス発生剤62が直接クロージャシェル2に接触しないように、またインナーシェル4で形成された空間内に点火器61の設置スペースを確保する目的で使用される。このインナーシェル4をクロージャシェル2に取り付けるときは、前述の摩擦圧接だけではなく、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合等により取り付けることができるが、その場合もガス発生剤固定部材14を使用することで、組立性が向上する。このガス発生剤固定部材14は、ここでは一例として、アルミ製で、ガス発生剤62の燃焼によって容易に破裂する程度の厚さを有するキャニスタを使用しているが、その他にも金網等を用いてなる多孔状部材など、かかる目的を達成可能な適宜部材(材質、形状などは問わない)を使用することができる。なお、このようなガス発生剤固定部材14を使用しない場合には、単孔円筒状のガス発生剤62をインナーシェル4の内部空間と同一形状に固めたガス発生剤の固まりを形成し、これをインナーシェル4内に設置することもできる。この場合、ガス発生剤固定部材14は省略しても良い。
【0052】
本実施の形態に於いて、クロージャシェル2のカラー部分2aは、二つの点火器51,61を横並びに固定可能な大きさに形成されている。これにより2つの点火器51,61を、予めカラー部分2aにかしめ等により固定しておけば、このカラー部分2aを筒状殻部2bに一体化してクロージャシェル2を形成すれば、2つの点火器51,61をクロージャシェル2に固定することができる。図面上、第一の点火器51と第二の点火器61とは、同じ大きさに記載されているが、これらは各燃焼室毎に異なる出力を有するものとすることもできる。
【0053】
この実施の形態に於いては、図4の底面図に示すように、各点火器51,61毎に接続して作動信号を伝えるためのケーブル15は、同一方向に引き出されている。また、各点火器51,61の配置される部分には、それぞれの点火器毎に接続されるケーブル15が特定されるように、位置決め手段が形成されている。このような位置決め手段は、例えば、図5a〜dの要部拡大図に示すように、各点火器毎に異なる形式のコネクター16を使用することによって行うことができる。図5aに示す位置決め手段では、コネクターに位置決め用の溝(又は突起)17を形成し、この位置決め用の溝(又は突起)17に対応する突起(又は溝)18の形成位置が、各点火器毎に異なるものとしている。即ち、ガス発生器にコネクター16を取り付けるとき、正規の向きにコネクター16を取り付けないとコネクター同士が干渉して、きちんと取り付けることができないように、各コネクターの溝(又は突起)17の位置をかえている。図5bに示す位置決め手段では、何れか一のコネクター21にだけ位置決め用の溝(又は突起)19を設けている。即ち、溝(又は突起)19を設けたコネクター21Aは、突起(又は溝)20を設けていない側の点火器22bには継合することができるが、溝(又は突起)19を設けていないコネクター21Bは、突起(又は溝)20を設けた側の点火器22aには継合する事ができない。その結果、コネクター21の接続の間違えは、組立時に容易に気づくことができる。図5cは、各コネクターの接続継合する部分23自体の形状が、それぞれ異なるものとしている。また図5dでは、二つのコネクターを一つにして、更に位置決め溝(又は突起)24を形成している。この位置決め手段としては、その他にも、コネクターの接続の誤りをなくすための手段を適宜実施することができる。
【0054】
またハウジング3内には、ガス発生剤の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化・冷却するためのフィルター手段としてクーラント・フィルター25が配設されている。第一及び第二のガス発生剤の燃焼によって発生したしたガスは、共にこのクーラント・フィルター25を通過することとなる。この燃焼ガスが、クーラント・フィルター25の端面とディフューザシェル1天井部内面との間を通過するショートパスを防止する場合には、内向きフランジ形状のショートパス防止部材で、クーラント・フィルター25の上下内周面とハウジング内面を覆うこともできる。
【0055】
そしてクーラント・フィルター25の外側には、燃焼ガスの通過などによる該フィルター25の膨出を抑止するための外層27が配置されている。この外層27は、例えば、積層金網体を用いて形成する他、周壁面に複数の貫通孔を有する多孔円筒状部材、或いは所定巾の帯状部材を環状にしたベルト状抑止層を用いて形成することもできる。更に該外層の外側には、燃焼ガスが該フィルターの全面を通過することができるように、所定幅の間隙28が形成されている。ディフューザシェル1に形成されるガス排出口10は、外気の進入を阻止するためシールテープ29で閉塞されている。このシールテープ29は、ガスを放出する際に破裂することとなる。シールテープ29は外部の湿気からガス発生剤を保護するのが目的であり、燃焼内圧などの性能調整には全く影響を与えるものではない。第一及のガス発生剤52の燃焼によるガスと第二のガス発生剤62の燃焼によるガスは、共にこのガス排出口10を通過する。
【0056】
なお、燃焼ガスを浄化及び/又は冷却するためのフィルター手段としては、その他にも図6に示すように、その上下端面を外周方向に倒すように傾斜させた自緊式構造のフィルター手段30を使用する事もできる。この自緊式構造のフィルター手段30を使用する場合には、ハウジングの上下内面31を窄めるように傾斜させることが望ましい。その結果、燃焼ガスにより半径方向外側に押し出されたフィルター手段30は、その上下端面がハウジング内面31に当接し、両者間に於ける燃焼ガスのショートパスを防止することができる。
【0057】
前述の通り、図1に示すガス発生器では、点火器51,61及びインナーシェル4を、ハウジング3に対して偏心して配置している。この様なガス発生器に於いては、ディフューザシェル1とクロージャシェル2とを摩擦圧接により接合する際には、クロージャシェル2側を固定して摩擦圧接を行うことにより、両シェルの接合を安定して行うことができる。特に、インナーシェル4をクロージャシェル2に摩擦圧接により直接取り付ける場合には、図7に示すように、クロージャシェル2側に、ガス発生器をモジュールケースに取り付けるためのフランジ部32を設け、このフランジ部32を構成する部分、例えば突出部33等に、その周縁を切り欠いた位置決め部34を形成することが望ましい。この様に形成した場合、クロージャシェル2は、該位置決め部34に基づき、常に一定の向きに固定されることから、インナーシェル4を所定の位置に確実に取り付けることができる。
【0058】
上記の様に形成されたガス発生器では、インナーシェル4の外側に設けられた第一の燃焼室50内に配置される第一の点火器51が作動すると、該燃焼室50内の第一のガス発生剤52が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。インナーシェル4とクーラント・フィルター25との間には、ガス流通が可能な隙間が確保されていることから、この燃焼ガスは、クーラント・フィルター25全面を通過することができる。この燃焼ガスはクーラント・フィルター25を通過する間に浄化・冷却され、その後ガス排出口10から排出される。
【0059】
一方、インナーシェル4内に配置された第二の点火器61が作動すると、第二のガス発生剤62が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。この燃焼ガスはインナーシェル4の開口部5を開口させ、該開口部5から、第一の燃焼室50内に流入する。その後、前記第一のガス発生剤52の燃焼ガスと同様にクーラント・フィルター25を通過し、ガス排出口10から排出される。ガス排出口10を閉塞するシールテープ29は、ハウジング3内で発生した燃焼ガスの通過によって破裂する。この第二のガス発生剤62は、第二の点火器61の作動によって着火・燃焼され、第一のガス発生剤52の燃焼によって直接燃焼することはない。これは、インナーシェル4の開口部5が、第二のガス発生剤62の燃焼によってのみ開口し、第一のガス発生剤52の燃焼によっては開口しないためである。但し、図8に示すように、この第二の燃焼室60内に、ハウジング1等から伝わる第一のガス発生剤52の燃焼熱により発火する自動発火材料(AIM)35を収容した場合には、第一のガス発生剤52の燃焼に起因して、間接的に第二のガス発生剤62を燃焼させることができる。
【0060】
つまり、上記の様な多段式エアバッグ用ガス発生器に於いては、通常、第一のガス発生剤52は第一の点火器51に依って、また第二のガス発生剤62は第二の点火器61に依って、各々独立に着火・燃焼されるが、意図的に第一の点火器51だけに電流を流して点火させ、第一の燃焼室50内のガス発生剤52だけを着火・燃焼させる場合がある。即ち、意図的に第二のガス発生剤62及び第二の点火器61を燃焼させずに残す場合である。この様な場合は、後の処理・廃棄等の際に不都合を来すので、ガス発生器(第一の点火器のみ)の作動後に、第二の点火器61を作動させる通常の遅延着火のタイミング(例えば10〜40ミリ秒など)よりも更に遅らせて(例えば100ミリ秒以上等)、第二の燃焼室60のガス発生剤62を燃焼させることが望ましい。そこで図8に示すガス発生器に於いては、第二の燃焼室60内に、第一のガス発生剤52の燃焼熱の伝導によって着火・燃焼する自動発火材料35を配置している。この自動発火材料35による第二のガス発生剤62の着火は、第一の点火器51の作動後、所定の時間遅延させて第二の点火器61を作動させる場合の遅延時間(即ち、点火器同士の作動間隔)よりも十分な時間が経過した後に行われる。つまり、ガス発生器の作動性能を調整することを目的として、意図的に第二のガス発生剤62の燃焼を遅らせる(即ち、第二の点火器61の作動を遅らせる)のとは異なる。ガス発生器の作動性能を調整するため、任意に第二の点火器61への作動電流を遅延させている間に、第二のガス発生剤62が該自動発火材料35によって着火・燃焼されることもない。なおこの自動発火材料35は、第二の点火器61に組み合わせることもできる。
【0061】
上記のように形成されたガス発生器は、第一又は第二の何れの点火器51,61を最初に作動させるか、或いは同時に作動させるか等、2つの点火器51,61の着火タイミングを調整することで、ガス発生器の出力形態(作動性能)を任意に調整することができ、衝突時の車両の速度や環境温度など様々な状況において、後述のエアバッグ装置とした場合に於けるエアバッグの展開を最大限適正なものとすることができる。特に図1に示すガス発生器では、2つの燃焼室を半径方向に並べて設けていることから、ガス発生器の高さを極力抑えることができる。
【0062】
なお、ガス発生剤の形状、組成、組成比及び量等は、勿論、所望の出力形態を得るために、適宜変更することができる。
「エアバック装置の実施の形態」
図9は、電気着火式点火手段を用いたガス発生器を含んで構成した場合の本発明のエアバッグ装置の実施例を示す。
【0063】
このエアバッグ装置は、ガス発生器200と、衝撃センサ201と、コントロールユニット202と、モジュールケース203と、そしてエアバッグ204からなっている。ガス発生器200は、図1に基づいて説明したガス発生器が使用されており、その作動性能は、ガス発生器作動初期の段階において、乗員に対してできる限り衝撃を与えないように調整されている。
【0064】
衝撃センサ201は、例えば半導体式加速度センサからなることができる。この半導体式加速度センサは、加速度が加わるとたわむようにされたシリコン基板のビーム上に4個の半導体ひずみゲージが形成され、これら半導体ひずみゲージはブリッジ接続されている。加速度が加わるとビームがたわみ、表面にひずみが発生する。このひずみにより半導体ひずみゲージの抵抗が変化し、その抵抗変化を加速度に比例した電圧信号として検出するようになっている。
【0065】
コントロールユニット202は、点火判定回路を備えており、この点火判定回路に前記半導体式加速度センサからの信号が入力するようになっている。センサ201からの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット202は演算を開始し、演算した結果がある値を越えたとき、ガス発生器200の点火器51,61に作動信号を出力する。
【0066】
モジュールケース203は、例えばポリウレタンから形成され、モジュールカバー205を含んでいる。このモジュールケース203内にエアバッグ204及びガス発生器200が収容されてパッドモジュールとして構成される。このパッドモジュールは、自動車の運転席側取り付ける場合には、通常ステアリングホイール207に取り付けられている。
【0067】
エアバッグ204は、ナイロン(例えばナイロン66)、またはポリエステルなどから形成され、その袋口206がガス発生器のガス排出口を取り囲み、折り畳まれた状態でガス発生器のフランジ部に固定されている。
【0068】
自動車の衝突時に衝撃を半導体式加速度センサ201が感知すると、その信号がコントロールユニット202に送られ、センサからの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット202は演算を開始する。演算した結果がある値を越えたときガス発生器200の点火器51,61に作動信号を出力する。これにより点火器12が作動してガス発生剤に点火しガス発生剤は燃焼してガスを生成する。このガスはエアバッグ204内に噴出し、これによりエアバッグはモジュールカバー205を破って膨出し、ステアリングホイール207と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0069】
上記の偏心構造のガス発生器はAIM、連通孔、コネクター、自緊式フィルターまたはこれらの組み合わせを含んで実施できる。本明細書に記載した他の各部品とも組み合わせて実施できる。
【0070】
また、2つの点火器は必ずしも図18に示すように、同一平面上に併置する必要はなく、異なる面、例えば上面と下面とに配置したガス発生器に於いても当然実施する事ができる。
(自緊式フィルター)
本発明に係るエアバッグ用ガス発生器のフィルター手段は、全体略筒状であって、少なくとも何れかの軸方向端面が、半径方向外側に窄むように傾斜して形成されており、このフィルター手段は、ガス発生器の作動で生じる作動ガスによって半径方向外側に膨出する。この膨出により、フィルター手段はハウジング内の支持部及び/又は支持部材に当接し、且つ端面の傾斜により、軸方向に収縮され、ガス発生器の作動時に於いて、フィルター手段端面に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0071】
即ち本発明に係るエアバッグ用ガス発生器のフィルター手段は、エアバッグ用ガス発生器のハウジング内に配置され、エアバッグを膨脹させる為の作動ガスを浄化及び/又は冷却するための筒状フィルター手段であって、軸方向端面の何れか一方又は双方は、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角が鋭角となる傾斜端面に形成されていることを特徴とする。特にこのフィルター手段は、ガス発生器の作動で生じる作動ガスにより半径方向外側に膨出することからすれば、該フィルター手段は線材を用いて形成されており、また少なくとも半径方向に伸縮可能に形成されることが望ましい。
【0072】
かかるフィルター手段としては、作動ガスが高温の場合にそれを冷却するために使用されるクーラントの他、作動ガス中に含まれる燃焼残渣等を浄化するためのフィルター、更に両機能を併せ持つクーラント・フィルター等、その空隙内を作動ガスが通過するものが全て含まれる。このフィルター手段は、全体略筒状であって、何れか一方又は双方の軸方向端面に傾斜端面が形成されていることを特徴とする。この傾斜端面は、フィルター手段の軸心延伸方向に向かって窄むように傾斜するものであり、より具体的には、上部端面が傾斜する場合には、半径方向外側に下降するように傾斜し、下部端面が傾斜する場合には、半径方向外側に上昇する様に傾斜する。即ち、このフィルター手段は、傾斜端面が形成された傾斜部と、該傾斜部に軸方向に繋がって周面を形成する直胴部とで構成されている。傾斜部は、直胴部の軸方向両側に設けられても良く、また何れかの片側にだけ設けても良い。
【0073】
このフィルター手段は、例えば、各種線材を用いて形成された金網を筒状に積層させて積層金網フィルターを形成し、これを圧縮成型することにより製造することができる。線材を用いて形成された金網としは、望ましくはステンレス鋼製金網が使用され、金網材料のステンレス鋼としては、SUS304、SUS310S、SUS316(JIS規格記号)などを使用することができる。SUS304(18Cr−8Ni−0.06C)は、オーステナイト系ステンレス鋼として優れた耐食性を示す。このように線材を用いて形成されたフィルター手段は、少なくとも半径方向に伸縮可能なものとして形成すれば一層顕著な効果を得ることができる。
【0074】
また本発明に於いては上記フィルター手段を用いて、作動ガスのショートパスを効果的に防止したエアバッグ用ガス発生器をも提供する。
【0075】
即ち本発明のエアバッグ用ガス発生器は、ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火手段と、該点火手段の作動によりエアバッグを膨張させるための作動ガスを発生するガス発生手段と、該作動ガスを浄化及び/又は冷却する筒状フィルター手段とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、該フィルター手段は、軸方向端面の何れか一方又は双方が、軸心延伸方向に向かって窄み、且つ内周面との内角が鋭角となるように傾斜する傾斜端面として形成されており、該ハウジング内には該フィルター手段の傾斜端面に対向する支持部が存在していることを特徴とする。
【0076】
このハウジング内に設けられる支持部は、例えば、フィルター手段の傾斜端面と対向する内面、即ちフィルター手段が配置される個所の軸方向であって、フィルター手段の傾斜端面が設けられる側の内面に、該傾斜端面と略同じ傾きの傾斜面を形成して、このハウジングの傾斜面を支持部とする他、ハウジング内のフィルター手段端面の軸方向であって、該傾斜端面が形成された側に、フィルター手段の傾斜端面に対向する傾斜面を有するフィルター手段支持部材を配置し、該支持部材の傾斜面を前記支持部とすることができる。
【0077】
フィルター手段は、その軸方向両側の端面を傾斜端面に形成したものを使用する他、何れか一方の軸方向端面を傾斜端面に形成したものを使用することもできる。即ち、このフィルター手段は、周面を形成する直胴部と傾斜端面が形成された傾斜部とで構成されており、該傾斜部は、直胴部の軸方向の何れか一方又は双方に設けられている。軸方向両端面に傾斜端面(傾斜部)を形成したフィルター手段を使用する場合には、ハウジング内に設けられる支持部は、フィルター手段が配置される個所の軸方向両側に設けられる。そして軸方向端面の何れか一方に傾斜端面(傾斜部)を形成したフィルター手段を使用する場合には、ハウジング内に設けられる支持部は、フィルター手段端面の軸方向であって、フィルター手段の傾斜端面(傾斜部)側に設けられる。この場合、ハウジング内のフィルター手段端面について、支持部と軸方向反対側、即ち傾斜端面の反対側には、環状部と外周壁とを有するリテーナーを配置することが望ましい。このリテーナーは、その外周壁内面をフィルター手段の端部外周面と対向し配置されており、該端部外周面を当接・支持可能に形成されている。リテーナーを配置する代わりに、フィルター手段の傾斜端面が形成されていない端面側の外径を大きく形成し、ハウジングの周壁部内面に当接する様に形成することもできる。
【0078】
またこのフィルター手段は、直胴部の膨出変形を好まない場合、例えばハウジング内面とフィルター手段外面との間の空間の確保が望まれる場合には、直胴部外周面に多孔円筒状のパンチングメタル又は巻線などからなる膨出防止手段を設け直胴部の膨出を防止しても良い。この様に形成した場合、フィルター手段の端部の傾斜部のみが膨出し、これが支持部(材)に当接・支持される。
【0079】
本発明に於けるガス発生器は、その全体形状による制限はないことから、例えば軸方向に長い円筒状のガス発生器であっても半径方向に広い円筒状のガス発生器であっても使用することができる。またハウジング内に配置される点火手段は、衝撃によって作動するものであれば、衝撃によって出力される電気信号で作動する点火器、或いはこの点火器と、点火器の作動により着火・燃焼する伝火薬とを組み合わせて構成されるものなど、ガス発生手段から作動ガスを発生させるために使用される公知の点火手段を使用することができる。
【0080】
ハウジング内に収容され、点火手段の作動によりエアバッグを膨張させるための作動ガスを発生するガス発生手段としては、作動した点火手段によって着火されて燃焼し、作動ガスを発生させる固形のガス発生剤や、加熱されて膨脹し作動ガスを発生する加圧ガスを用いる他、更にこれらを併用することができる。斯かるガス発生剤としては、従来から広く使用されている無機アジド、例えばナトリウムアジド(アジ化ナトリウム)に基づくアジド系ガス発生剤の他、無機アジドに基づかない非アジド系ガス発生剤を使用することができる。また加圧ガスとしては、酸素及び不活性ガスの混合物等公知のものを使用することができる。即ち、本発明のガス発生器は、固形のガス発生剤を用いた火工式ガス発生器、及び加圧ガスと固形のガス発生剤とを併用したハイブリッドタイプのガス発生器の何れに於いても実施することができる。
【0081】
本発明のガス発生器の作動は、点火手段が作動すると、ガス発生手段から作動ガスが発生し、この作動ガスはフィルター手段を通過する間に浄化・冷却され、その後ガス排出口から排出される。作動ガスがフィルター手段を通過する際には、フィルター手段は、作動ガスの圧力により半径方向に膨出するが、このガス発生器に於いては、フィルター手段は、何れか一方又は双方の軸方向端面が、半径方向外側に向かって窄むように傾斜した傾斜面として形成され、またハウジング内には該フィルター手段の傾斜面と対向する傾斜面を有する支持部が設けられていることから、半径方向に膨出したフィルター手段は、その傾斜面がハウジング内の支持部に当接し、またその傾斜により、僅かに軸方向に収縮することとなる。これにより、フィルター手段の端面は強く支持部に圧接することとなり、フィルター手段の傾斜面(即ち端面)と支持部との間に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0082】
上記のように構成されたガス発生器に於いても実現されている様に、ハウジング内に、その半径方向外側に向かって窄むように傾斜した支持部を設けて、作動ガスの通過により半径方向に膨出したフィルター手段を、該支持部の傾斜により軸方向に収縮させると共に、支持部に圧接させ、フィルター手段と支持部との間の作動ガスの通過を阻止する作動ガスの浄化及び/又は冷却方法を使用すれば、より製造コストを削減することができる。
【0083】
斯かるガス発生器は、該ガス発生器で発生するガスにより膨張するエアバッグ(袋体)と共にモジュールケース内に収容され、少なくとも衝撃を感知して前記ガス発生器を作動させる衝撃センサと組み合わされてエアバッグ装置となる。このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃を感知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジングのガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガスはエアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモジュールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と乗員との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
「自緊式フィルターの実施の形態1」
図19は本発明のエアバッグ用ガス発生器の一の実施の形態を示す縦断面図である。特にこの図に示すガス発生器は、燃焼によって作動ガスを発生させる火工式ガス発生器であって、軸方向よりも径方向に長い構造を有している。
【0084】
本実施の形態に示すガス発生器は、ガス排出口310を有するディフューザシェル301と、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェル302とを接合してなる略円筒形状のハウジング303内に、周壁に複数の貫通孔320を設けた筒状の内筒部材304を同心円に配置し、該内筒部材304の外側を第一の燃焼室305aとしている。内筒部材の内側は、シールカップ部材106と区画円形部材307とで構成された隔壁321により、軸方向に隣接するように二室に画成され、その内のディフューザシェル301側を第二の燃焼室305b、クロージャシェル302側を点火手段収容室308としている。この第一の燃焼室と第二の燃焼室には共にガス発生剤309が配置されており、各燃焼室内に配置されたガス発生剤は、点火手段収容室内に配置された二つの点火器311a,bの作動によって、それぞれ独立に着火・燃焼されるものとして形成されている。
【0085】
ハウジング303内には、本発明の一の実施の形態に於けるフィルター手段350が使用されている。図20にこのフィルター手段350の部分断面図を示す。このフィルター手段は、全体略筒状であって、その軸方向両端面は、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角θが鋭角となる傾斜端面351に形成されている。具体的には、上部端面は半径方向外側に下降するように、下部端面は半径方向外側に上昇する様にそれぞれ傾斜している。かかるフィルター手段350は、例えば各種線材を用いて形成された金網を筒状に積層させて積層金網フィルターを形成し、これを圧縮成型することにより製造することができる。このフィルター手段350は、図19に示すように、ハウジング301内周面と対向する様にして、ハウジング内に配置されている。ハウジング内の該フィルター手段端面の軸方向には、フィルター手段の傾斜端面351と対向する傾斜面352を有する支持部材353が配置されている。この支持部材353の傾斜面352はフィルター手段350の支持部として機能する。即ちこの実施の形態に於いては、軸方向両側の端面を傾斜端面351に形成したフィルター手段350が使用されており、またハウジング内のフィルタ手段軸方向両側には、フィルター手段支持部材353が設けられている。このフィルター手段支持部材353は、その傾斜面352で、半径方向に膨出したフィルター手段350の傾斜端面351を当接・支持する。
【0086】
内筒部材304の内側を、第二の燃焼室305bと点火手段収容室308とに画成する隔壁321は、シールカップ部材306と略平板円形状の区画円形部材307とで構成されており、シールカップ部材306に設けられる伝火薬収容部312は、区画円形部材の開口部313から突起するように組み合わされている。この隔壁321は内筒部材の段欠き部314に係止され、固定されている。また、このシールカップ部材306は、伝火薬収容部312と反対側に延在する筒状の点火器収容口315を有しており、この中に第二の点火器311bを収容している。
【0087】
第一の点火器311aと第二の点火器311bとは、イニシエーターカラー316に収容されており、該カラー316を覆う点火器固定部材317により支持・固定されている。この点火器固定部材317には、前記シールカップ部材306の点火器収容口315が近接しており、両者間にはO−リング325が配置されている。これにより、第一の点火器311aと第二の点火器311b、及び第二の燃焼室305bとハウジング外とのシールが実現している。
【0088】
このガス発生器の作動は、第一の点火器311aが作動することによりシールカップ部材306aの伝火薬収容部312内に収容された第一の伝火薬318が着火・燃焼し、その火炎は内筒部材304に設けられた第一の伝火孔319aから第一の燃焼室305a内に放出され、第一のガス発生剤309aを着火燃焼させる。点火手段収容室308内に収容された第二の点火器311bは、第一の点火器311aと同時又は僅かに遅れて作動し、その火炎が区画円形部材307に形成された第二の伝火孔319bから第二の燃焼室305b内に放出し、第二のガス発生剤309bを燃焼させる。この第二のガス発生剤の燃焼により発生した作動ガスは、内筒部材304に設けられた貫通孔320から第一の燃焼室305a内に排出される。
【0089】
この第一のガス発生剤309a、及び第二のガス発生剤309bの燃焼によって発生した作動ガスは、第一の燃焼室305aの半径方向外側を囲むようにして配置されたフィルター手段350を通過する間に燃焼残渣が捕集され、また冷却される。その際、フィルター手段350は、作動ガスの圧力等によって半径方向外側に僅かに膨出する。この膨出したフィルター手段は、その軸方向に配置されたフィルター手段支持部材353に当接・支持され、フィルター手段端面とフィルター手段支持部材353との隙間を作動ガスが通過する作動ガスのショートパスを防止することができる。即ちこのフィルター手段350は、作動ガスの通過により自ら緊まる自緊式のフィルター手段となる。フィルター手段350を通過した作動ガスは、ガス排出口310を閉塞するシールテープ322を破り、該排出口310からハウジング外に放出される。
【0090】
本実施の形態に示すガス発生器に於いては、ガス発生剤309a,b、伝火薬318及び点火器311a,bなどは公知のものを使用することができる。
【0091】
また本実施の形態に於いて、図21に示すような片側にだけ傾斜面を設けたフィルター手段、即ち、全体略筒状であって、その軸方向端面の片方に、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角θが鋭角となる様に調整された傾斜端面351が形成されたフィルター手段355を使用することもできる。但しこの場合、ハウジング303内に配置されるフィルター手段支持部材353は、図22に示すように、フィルター手段の傾斜端面351が形成された側にのみ配置されており、反対側(即ちクロージャシェル302側)には、環状部323bと内周及び外周が設けられた壁面部323aとからなるリテーナー324が配置されている。このフィルター手段の裾部外周面354は、リテーナーの外周壁部323aの内面によって当接・支持されている。
【0092】
図22に示すガス発生器に於いては、第一及び第二のガス発生剤の燃焼によって作動ガスが発生すると、該作動ガスは、図19に示すガス発生器と同じように、フィルター手段を通過する際、該フィルター手段355を半径方向外側に膨出させる。半径方向に膨出したフィルター手段355は、傾斜端面351がフィルター手段支持部材353の傾斜面352に当接し、裾部外周面354はリテーナー324の外周壁内面に当接する。従って、このフィルター手段355に於いても、上部端面に形成された傾斜端面352により、作動ガスの通過により自ら緊まる自緊式のフィルター手段となる。
「自緊式フィルターの実施の形態2」
図23に示すガス発生器は、特にハウジング403の内面に半径方向外側に向かって窄むように傾斜した傾斜面452が形成されていることを特徴とする。この傾斜面452は、ハウジングの内面であって、フィルター手段の傾斜面が形成された側の軸方向に形成される。本実施の形態に於いて、傾斜面はフィルター手段に支持部として機能し、これはハウジング403の円形部461の周縁に、面取り状に傾斜する傾斜部を形成することによって設けられている。
【0093】
この実施の形態に示すガス発生器は、ガス排出口410を有するディフューザシェル401と、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェル402とからなるハウジング403内に、周壁に複数の貫通孔420を有する略円筒形状の内筒部材404を配置し、その外側を燃焼室405、内側を点火手段収容室408としている。燃焼室405内には、燃焼によって作動ガスを発生するガス発生剤409が収容され、点火手段収容室408内には、点火器411と伝火薬418とで構成される点火手段が配置されている。燃焼室405の半径方向外側には、前記図21に示した軸方向片側にだけ傾斜端面351を設けたフィルター手段355、即ち、全体略筒状であって、その軸方向端面の片側が、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角θが鋭角となる傾斜端面351に形成されているフィルター手段355が配置されている。
【0094】
特にこの実施の形態に於いては、フィルター手段355の傾斜端面351の軸方向には、前記実施の形態1に示したようなフィルター手段支持部材は配置されていない。これは、ハウジング403内の、フィルター手段355が配置される個所であって、傾斜端面351が形成された側に、フィルター手段の傾斜端面351が当接する傾斜面452を形成しているためである。従ってこの実施の形態では、傾斜面452がフィルター手段355の支持部として機能する。
【0095】
このような傾斜面を有するハウジング403は、例えば、ディフューザシェルとクロージャシェルとを、ステンレス鋼板、ニッケルメッキ鋼板又はアルミニウム合金板等の各種金属板をプレス成形により形成し、フィルター手段355の傾斜面351が設けられる側のシェル(本実施の形態では、ディフューザシェル401)に傾斜部453を形成することにより実現可能である。
【0096】
本実施の形態に於いて、ハウジングを構成するディフューザシェル401は、天井面を形成する円形部461と、該円形部の外周から半径方向外側に向かって袴状に広がって傾斜する傾斜部453と、該傾斜部の先端から曲折して下方に延伸する周壁部462と、該周壁部の下端から曲折してハウジングの径方向外側に広がるフランジ部463とで構成されており、クロージャシェル402は、中央に内筒部材404を内装する孔部464を設けた環状部465と、該環状部の外周縁からハウジングの軸方向に立ち上がる周壁部466と、外周壁部の上端から曲折してハウジングの径方向外側に広がるフランジ部467とで構成されている。そして両シェルのフランジ部同士は、各種溶接法で接合されてハウジングが形成されている。ディフューザシェル401の周壁面には、作動ガスを放出するためのガス排出口410が複数形成されており、このガス排出口は防湿目的のシールテープ422で閉塞される。このシールテープ422としては、作動ガスによって破裂するようなものが使用される。
【0097】
上記のように形成されたハウジングでは、ディフューザシェル401に設けられた傾斜部453の内面も、下方に袴状に広がる傾斜面として、具体的には、半径方向外側に下降するように傾斜する傾斜面452として形成されている。フィルター手段355は、その傾斜端面351を該傾斜面452と対向するようにして、ハウジング403内に配置されている。ハウジング内面に設けられた傾斜面452は、前記実施の形態1のフィルター手段支持部材の傾斜面と同様にフィルター手段の支持部材として機能し、作動ガスの通過により半径方向外側に膨出したフィルター手段355の傾斜端面351を当接・支持する。
【0098】
本実施の形態に於いても、傾斜端面を形成していない側のフィルター手段355の端面には、前記図22に示すガス発生器と同様に、平板環状部422とその内周及び外周設けられた壁面部423とからなるリテーナー424が配置されており、フィルター手段の裾部外周面354は、このリテーナー424の外周壁部423の内面によって当接・支持される。
【0099】
この図に示すガス発生器は、点火器411が作動すると、その上方に配置された伝火薬418が着火・燃焼し、その火炎は内筒部材404の貫通孔420から、ガス発生剤409が収容された燃焼室405内に噴出する。燃焼室内に噴出した伝火薬418の火炎は、ガス発生剤409を着火燃焼させて、エアバッグを膨脹させるための作動ガスを発生させる。この作動ガスは、フィルター手段355を通過する間に浄化・冷却され、シールテープ422を破りガス排出口410から排出される。
【0100】
フィルター手段355は、作動ガスが通過している間に於いて、その圧力により半径方向外側に膨出する。フィルター手段355が半径方向外側に膨出する事により、その傾斜端面351は、ハウジング内面の傾斜面452に当接し、フィルター手段端面(傾斜端面351)とハウジング内面との間の作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0101】
従って、この実施の形態に示すガス発生器に於いては、フィルター手段の傾斜端面351は、ハウジング内面に傾斜面452に圧接することから、フィルター手段355を支持するための特段の部材を配置することなく、フィルター手段355の端面に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0102】
このガス発生器に於いても、ガス発生剤409、伝火薬418及び点火器411などは公知のものを使用することができる。
「自緊式フィルターの実施の形態3」
図24は他の実施の形態に於ける本発明のエアバッグ用ガス発生器を示す。この図に示すガス発生器は、図23に示すガス発生器同様、ハウジング503の内面に傾斜面552a,bを形成し、この傾斜面552a,bにより、フィルター手段550の端面に設けられた傾斜端面551a,bを支持するものである。
【0103】
本実施の形態に示すガス発生器は、前記実施の形態2に示すガス発生器と異なり、軸方向端面の両側に傾斜端面551を形成したフィルター手段550が使用されている。フィルター手段の軸方向端面両側に形成される傾斜端面551は、半径方向外側に向かって窄むように傾斜しており、上部の端面551aは半径方向外側に下降するように、下部の端面551bは半径方向外側に上昇するように傾斜している。また、この実施の形態に於けるフィルター手段は、その下方が半径方向外側に膨出するものとして形成されている。
【0104】
ハウジング503は、その内面に、上記フィルター手段の傾斜端面551a,bと対向し、該フィルター手段550を支持可能な傾斜面552a,bが形成されている。特にこの実施の形態に於いては、前記フィルター手段が軸方向両側に傾斜端面551a,bが形成されていることから、ディフューザシェル501の内面とクロージャシェル502の内面との双方に、フィルター手段550の傾斜端面551a,bと対向する傾斜面552a,bが形成されている。具体的には、クロージャシェル501とクロージャシェル502とを、前記実施の形態2と同様に、各種金属板をプレス成形により形成し、フィルター手段550の傾斜面が設けられる側のシェル、即ち本実施の形態に於いてはディフューザシェル501とクロージャシェル502とに傾斜部553を形成している。図24に於いて、この傾斜部553a,bは、ディフューザシェル501に於いては円形部561と周壁部562との間、クロージャシェル502に於いては環状部565と周壁部566との間に形成されている。
【0105】
上下両端面を傾斜端面551に形成したフィルター手段550は、上端の傾斜端面551aをディフューザシェル501内面の傾斜面552aに対向させ、下端の傾斜端面551bをクロージャシェルの傾斜面552bに対向させて、ハウジング内に配置されている。また、このフィルター手段下方の半径方向に膨出した膨出部556は、その外周がクロージャシェルの周壁部566の内面に当接するように配置される。
【0106】
このように形成された本実施の形態のガス発生器は、点火器511の作動により伝火薬518が着火・燃焼すると、その火炎は内筒部材504の貫通孔520から燃焼室505内に噴出し、ガス発生剤509を着火・燃焼させる。ガス発生剤509の燃焼によって発生した作動ガスは、フィルター手段550を通過する間に浄化・冷却され、シールテープ522を破って、ガス排出口510から排出される。作動ガスの通過により半径方向に膨出したフィルター手段550は、その上下端部に設けられた傾斜面551a,bが、それぞれ両シェル内面に設けられた傾斜面552a,bに当接し、フィルター手段550端面とハウジング503内面との間に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0107】
特にこの図24に示すガス発生器に於いては、フィルター手段550の下方の膨出部556の外周が、ハウジング周壁部566の内面に当接していることから、作動ガスの通過によりフィルター手段550が膨出すると、その一部がハウジング周壁部566内面に接触して、それ以上の変形を抑え、膨出量を制御することができる。これにより安定したフィルター手段550と傾斜面552との接触状態を確保することができる。
【0108】
また本実施の形態に関連して、ハウジングの上下内面に、半径方向に窄むように傾斜した傾斜面を設けたガス発生器としては、図25に示す構造とすることもできる。
【0109】
但しこの図25に示すガス発生器は、燃焼室及び点火器の配置・数等の内部構造等の他、ディフューザシェル601とクロージャシェル602とを摩擦圧接により接合している点、及びフィルター手段650は、下方に膨出部を設けていないフィルター手段(図20)が使用されている点に於いて、図24に示すガス発生器とは異なる。図26は、図25に示すエアバッグ用ガス発生器の平面略図である。
【0110】
この実施の形態に於けるガス発生器は、ガス排出口610を有するディフューザシェル601とフランジ部667を有するクロージャシェル602とを摩擦圧接により接合してなるハウジング603内に、上部開口を閉塞した筒状のインナーシェル625をハウジング中心軸から偏心して配置し、インナーシェル625の外側第一の燃焼室605a、該シェル625の内側を第二の燃焼室605bとしている。そして各燃焼室605a,b内には、それぞれ電気的信号により作動する電気着火式の点火器611と、該点火器の作動に起因して着火・燃焼するガス発生剤609a,bが各々収容されている。特に第一の燃焼室605a内の点火器611aは、図26に示すように、周壁部に伝火孔619が偏在して設けられた内筒部材604の内側に配置されており、第一の点火器611aの上方には、この点火器611aにより着火・燃焼される伝火薬618が配置されている。図面上、第二の燃焼室605bには、伝火薬は配置されていないが、必要に応じて適宜配置することもできる。
【0111】
第一の燃焼室605aと第二の燃焼室605bとを区画するインナーシェル625は、その周壁に開口部660が設けられており、この開口部はシールテープ622等により閉塞されている。この開口部660を閉塞するシールテープ622等は、第二の燃焼室605b内に収容された第二のガス発生剤609bの燃焼によって破裂、剥離、焼失又は外れるものとして形成されており、該開口部660は、第一の燃焼室605a内のガス発生剤609aの燃焼によっては開口しないものとして形成されている。
【0112】
図25に示すガス発生器では、ハウジング603はディフューザシェル601とクロージャシェル602とを摩擦圧接により接合して形成されている。ディフューザシェル601は、周壁部662から天井面661に向かって窄むように傾斜する傾斜部653aが形成されており、またクロージャシェル602も周壁部666から底面665に向かって窄むように傾斜する傾斜部653bが形成されている。両シェルの傾斜部653a,bの内面は、それぞれフィルター手段650の傾斜端面651に対向する傾斜面652となり、この傾斜面652はフィルター手段650の支持部として機能する。図面上、両シェルは折り曲げることにより傾斜部653a,bを形成しているが、両シェルを湾曲させることにより傾斜部を形成することも可能である。
【0113】
このハウジング603内には、上下両端に傾斜端面651を形成した図20に示すようなフィルター手段350が配置されている。このフィルター手段350は、図面上、上端の傾斜端面351をディフューザシェルの傾斜面652aに対向させ、下端の傾斜端面351をクロージャシェル602の傾斜面652bに対向して配置されている。
【0114】
このガス発生器は、第一の点火器611aが作動すると第一の伝火薬618が着火・燃焼する。この伝火薬618の火炎は、内筒部材604に偏在して設けられた伝火孔619から、インナーシェル625を囲むようにして、図26中矢印で示す方向に放出される。伝火孔619から放出された火炎は第一の燃焼室605a内のガス発生剤609aを着火・燃焼させ、作動ガスを発生させる。第二の点火器611bは、第一の点火器611aと同時か或いは僅かに遅れて作動し、この点火器611bの作動により、第二の燃焼室605b内の第二のガス発生剤609bは着火・燃焼し、作動ガスを発生させる。インナーシェル625の周壁に設けられた開口部620は、この作動ガスの圧力により開口し、これにより、第二のガス発生剤609bの燃焼により発生した作動ガスは第一の燃焼室605a内に流入する。
【0115】
第一のガス発生剤609aと第二のガス発生剤609bとが燃焼して発生した作動ガスは、フィルター手段350を通過する間に浄化・冷却されて、シールテープ622を破り、ガス排出口610から放出される。この図に示すガス発生器に於いても、フィルター手段350は、作動ガスの通過により半径方向外側に膨出し、上下端面に形成された傾斜端面351は、ハウジング内の傾斜面652a,b、即ち支持部に圧接し、フィルター手段350端面とハウジング603内面との間の作動ガスのショートパスを防止することができる。
「自緊式フィルターの実施の形態4」
図27は、本発明のフィルター手段を使用したガス発生器の他の実施の形態を示す縦断面図である。特にこの実施の形態に示すガス発生器は、内径よりも軸方向に長いガス発生器となっている。
【0116】
図27に示すガス発生器は、筒状部材701の軸方向一端開口730に、内部にフィルター手段750を収容したフィルター手段収容容器702(以下「フィルター容器」とする)を繋げてハウジング703を形成し、他端開口731には、点火手段用容器704を内嵌した環状部材732で閉塞している。
【0117】
上記ハウジング中、筒状部材701内には、燃焼して作動ガスを発生するガス発生剤709が収容されており、この筒状部材701の内部空間はガス発生剤が燃焼するための燃焼室705として機能する。またこの燃焼室705内のフィルター容器702側の端部には、径方向に広がる円形の多孔板733が配置されており、この多孔板733により、燃焼室705内のガス発生剤709は支持されている。
【0118】
環状部材732に内嵌する点火手段用容器704は、燃焼室705内に突起する側の端面を閉塞して形成されており、その内側には、燃焼室705から区画された点火手段収容室708が設けられている。この点火手段収容室708中には、点火器711と伝火薬718とで構成される点火手段が収容されている。点火手段用容器704の周壁には、複数の伝火孔719が設けられており、点火手段の作動によって発生した火炎は、この伝火孔719から燃焼室705内に噴出して、ガス発生剤709を着火・燃焼させる。
【0119】
フィルター容器702は、全体略円筒形状であって、その軸方向両端面の周縁には面取りを施したように、該容器の軸方向に窄んで傾斜する傾斜部753が形成されている。また、このフィルター容器702のハウジング側端面に貫通孔734が設けられており、他端面には、このガス発生器をモジュールに取り付けるためのスタッドボルト735が設けられている。そして周壁には複数のガス排出口710が形成されている。このフィルター容器702の内部空間は、ハウジング側の端面に設けられる貫通孔734により、燃焼室705と連通している。図面上、このフィルター容器702は、周壁面736と傾斜部753とハウジング側端面737とからなるカップ状部材の開口端を、傾斜部753とスタッドボルト735を設けた端面739とからなる蓋部材で閉塞するものとして形成されている。
【0120】
フィルター容器702内には、前記図20に示した本発明のフィルター手段350、即ち全体略筒状であって、その軸方向両端面に、軸心延伸方向に向かって窄む様に傾斜する傾斜端面351が形成されたフィルター手段が収容されている。このフィルター手段350は、その傾斜端面351をフィルター容器702の傾斜部753内面、即ち傾斜面752に対向して配置されており、フィルター手段の外周面とフィルター容器702の内壁面との間には、所定幅の間隙741が確保されている。
【0121】
このガス発生器の作動に際しては、点火器711が作動することにより、伝火薬718が着火・燃焼し、その火炎は点火手段用容器704の伝火孔719から、燃焼室705内に噴出する。燃焼室内に噴出した伝火薬718の火炎により、ガス発生剤709は着火・燃焼して作動ガスを発生する。この作動ガスは貫通孔734からフィルター容器702内に流入し、フィルター手段350を通過する間に浄化・冷却されて、ガス排出口710から放出される。作動ガスがフィルター手段350を通過することにより、フィルター手段350は径方向に膨出し、その傾斜端面351がフィルター容器702の傾斜部753内面の支持部(即ち傾斜面752)に当接し、また軸方向に収縮される。その結果、該フィルター手段350は、ハウジングの内面、詳細にはフィルター容器702の内面に強く圧接し、両者間を作動ガスが通過するショートパスを防止することができる。
(複数の点火器を有するガス発生器)
更に本発明は、衝撃によって着火する2つ以上の点火手段と、該点火手段により夫々着火・燃焼し、エアバッグを膨張させる燃焼ガスを発生するガス発生手段を収容し、外殻容器を形成するハウジングに複数のガス排出口が形成されたエアバッグ用ガス発生器において、該ガス排出口は、ハウジングの内部圧力を一定圧まで保持する遮断手段により閉塞されており、該ガス排出口及び/又は該遮断手段を制御することによって、該遮断手段を破裂させる破裂圧力を複数段階に調節し、各々の点火手段が作動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑えることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器を含む。
【0122】
図32は、他の実施の形態に於ける本発明のエアバッグ用ガス発生器を示す縦断面図である。この実施の形態に示すガス発生器も特に運転席に配置するのに適した構造を有する。
【0123】
特にこの実施の形態に示すガス発生器は、ハウジング内に設けられる2つの燃焼室の配置、及び形成方法に特徴を有する。
【0124】
本実施の形態に於いても、ディフューザシェル1201に形成されるガス排出口1210は、径の異なるガス排出口1210a,1210bが2種類具備されており、これらはハウジング外部の湿度等の環境の影響からガス発生剤1252を保護するためのシールテープ1229で閉塞されている。内径(及び開口面積)が異なる2種類のガス排出口1210a,1210bを設けることにより、作動時に於けるハウジング1203内の燃焼内圧を均等化(燃焼性能を安定)することができる。
【0125】
即ち、この実施の形態に示すガス発生器は、複数のガス排出口1210を有するディフューザシェル1201と、該ディフューザシェル1201と共に内部収容空間を形成するクロージャシェル1202とを摩擦圧接により接合してなる円筒形状ハウジング1203内に、水平断面形状が円形であって上端を閉塞したカプセル形状のインナーシェル1204をハウジング中心軸に対して偏心して配置・固定し、その外側を第一の燃焼室1250、内側を第二の燃焼室1260としている。
【0126】
ハウジング1203内に配置されるインナーシェル1204の、ハウジング1203に対する偏心度は、所望とする燃焼室の容積比などに応じて適宜変更可能であり、またハウジング1203内の構造、例えばクーラント・フィルタ1225の有無などによっても変わり得る要素である。例えば、この図に示すガス発生器のように、ハウジング1203の周壁面と対向させて、クーラント・フィルタ1225を配置する場合には、偏心度は10〜75%の範囲で適宜選択することができる。但し、この数値範囲も点火器(1251,1261)の大きさ等に起因して変化し得ることから、この数値範囲は、図32に示すガス発生器に於けるインナーシェル1204の偏心の目安を示すものである。
【0127】
このインナーシェル1204は、その水平断面形状を矩形、楕円形など各種形状とすることも可能であるが、クロージャシェル1202等への接合容易性を考慮すれば、特に円形とすることが望ましい。つまり、このインナーシェル1204を摩擦圧接によりクロージャシェル1202に接合する場合には、該インナーシェル1204の水平断面形状は円形とする必要があり、またレーザー溶接によって接合する場合に於いても、レーザーの照射距離を一定に保つ必要があるためである。
【0128】
前記の通り、この実施の形態に於いては、第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260とはインナーシェル1204によって画成されている。つまり第一の燃焼室1250はインナーシェル1204の外側に設けられ、第二の燃焼室1260はインナーシェル1204の内側に設けられている。第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260との容積比(第一の燃焼室容積:第二の燃焼室容積)は、本実施の形態に於いては、3.3:1としているが、その他にも97:1〜1:1.1の範囲で、適宜選択することができる。但しこの容積比に関しても、点火器(1251,1261)の大きさやガス発生剤(1252,1262)の形状などに起因して、適宜その選択範囲は変化し得るものである。依って、前記の数値範囲は、この図に示すガス発生器の構造に於いて選択し得る範囲を示すものである。
【0129】
上記のようにインナーシェル1204によって隔離された第二の燃焼室1260と第一の燃焼室1250には、それぞれガス発生剤(1252,1262)が収容されている。第一の燃焼室1250内には第一のガス発生剤1252が、第二の燃焼室1260内には第二のガス発生剤1262がそれぞれ収容されている。本実施の形態に於いては、第一のガス発生剤1252と第二のガス発生剤1262とは形状等が同じガス発生剤が使用されているが、各燃焼室毎に、燃焼速度、組成、組成比又は量が少なくとも1つ以上異なるガス発生手段を収容することもできる。
【0130】
第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260とを画成するインナーシェル1204は、ハウジング1203の中心軸に対して偏心して配置されており、このインナーシェル1204の内側に設けられた第二の燃焼室1260もハウジング1203に対して偏心している。この第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260には、それぞれ点火器が配置されており、この内、第二の燃焼室1260に配置される第二の点火器1261は、このハウジング1203の中心軸に対して偏心する第二の燃焼室1260の中央に配置されている。その結果、該点火器1261が作動して発生する火炎は、第二のガス発生剤1262を均等に燃焼させることができる。そしてこの第二の点火器1261と、第一の燃焼室1250に配置される第一の点火器1251とは、共にハウジング1203の中心軸に対して偏心して配置されている。この様に第一及び第二の点火器、並びにインナーシェル1204をハウジング1203の中心軸に対して偏心させることにより、第一及び第二の燃焼室の容積比の変化を幅広くすることができ、またハウジング1203の径方向の大きさを極力抑えることができる。
【0131】
各燃焼室毎に配置される点火器の内、第一の燃焼室1250内に配置された点火器1251は、その周囲及び上方向に伝火薬1208を配置している。この伝火薬1208はガス発生器の組立の際の便宜上、更には車両に搭載中に受ける衝撃や振動で、伝火薬1208が第一の燃焼室1250内に散乱して、第一のガス発生剤1252への着火性を低減させることがないように、伝火薬容器1226の中に収納されている。この伝火薬容器1226は内部の伝火薬1208の燃焼によって容易に破裂して、火炎をその周囲に伝火させるような厚さ(例えば200μm程度)のアルミニウムによって形成されている。一方、第二の燃焼室1260内には第一の燃焼室1250内に配置されたような伝火薬は必ずしも必要としない。これは第一のガス発生剤1252が燃焼して第一の燃焼室1250内の圧力が上昇しても、後述するインナーシェル1204の孔1206を塞ぐ破裂部材1207は、第二の燃焼室1260の内部圧力が第一の燃焼室1250内の内部圧力以上に上昇しないと破裂しないため、この間、第二の燃焼室1260は密閉状態となり、その間圧力が高まり、第二のガス発生剤1262は、第一のガス発生剤1252よりも着火しやすいためであるが、必要に応じて伝火薬を使用することもできる。
【0132】
第一の燃焼室1250内には、第一の点火器1251とその上方に配置された伝火薬1208の半径方向外側を囲む様にして筒状部材1236が設置されている。この筒状部材1236は、上下両端を開放した円筒形状で、その片端部は点火器1251を固定した部分の外周に、隙間が生じないように外嵌し、他端部はディフューザシェル1201天井部内面近傍に存在するリテーナー1211により挟持されて所定箇所に固定されている。この筒状部材1236の周壁には、複数の伝火孔1237が形成されており、伝火薬1208の燃焼によって生じた火炎は、この伝火孔1237から噴出され、該当状部材の外側に存在する第一のガス発生剤1252を着火・燃焼させる。この筒状部材1236は、ハウジング1203と同一材質の部材であることが望ましい。
【0133】
特にこの実施の形態に示すガス発生器では、第一の燃焼室1250は、図33の平面図に示すように、円形の内側を丸く打ち抜いた三日月形に近似した環状となっており、第一のガス発生剤1252はこの中に設置される。従って第一の燃焼室1250に於いては、第二の燃焼室1260とは異なり、ガス発生剤1252と点火器1251との距離は、ガス発生剤1252の収容場所により異なっている。依って点火器1251の着火の際に第一のガス発生剤1252への着火・燃焼に斑が生じる。そこで内筒部材1236の周壁に設けられる伝火孔1237は、図33中矢印で示す方向に伝火薬1208の火炎を配向させるように、その向きを規制している。これによって第二の燃焼室1260(即ちインナーシェル1204)の陰になった部分のガス発生剤1252も斑なく燃焼させることができる。更に前記内筒部材1236に代え、図33中、矢印で示した方向に孔の開いた噴出方向規制手段(図示せず)を使用することができる。この噴出方向規制手段は、第一のガス発生剤1252を効果的に燃焼させることを目的として、該第一のガス発生剤1252を着火するための第一の点火手段(図32に於いては点火器1251と伝火薬1208)の作動によって生じる火炎の噴出方向を規制するものである。この噴出方向規制手段としては、例えば円筒部材でその片端部を閉じたカップ状の容器で、その周壁部に所望の方向(図33中、矢印で示す方向)に、点火手段の火炎を配向させるためのノズルを設けたものを使用することができる。この場合、該噴出方向規制手段は、第一の点火手段の周りに取り付け(かぶせ)て使用される。かかる噴出方向規制手段を使用する場合に於いても、その内側に配置される第一の点火手段は、点火器と該点火器の作動に依って着火・燃焼する伝火薬とを含んで構成することが望ましい。
【0134】
第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260とを画成するインナーシェル1204は、上記の通りカプセル形状であって、その周壁に複数の開口部1205が形成されている。この開口部1205は第二の燃焼室1260内に配置された第二のガス発生剤1262の燃焼によってのみ開口し、第一の燃焼室1250内に収容された第一のガス発生剤1252の燃焼によっては開口しないものとして形成されている。本実施の形態に於いては、この開口部1205は、インナーシェル1204周壁に設けられた複数の孔1206と、この孔を閉塞する破裂部材1207とから成り、破裂部材1207としてはステンレス製のシールテープが使用されている。この破裂部材1207は、第二のガス発生剤1262の燃焼によってのみ、破裂、剥離、焼失又は外れる等により孔1206を開口し、第一のガス発生剤1252の燃焼によっては破裂等しないものとして形成されている。
【0135】
上記のインナーシェル1204は、その開放した下方1213を、クロージャシェル1202に接続して固定される。このクロージャシェル1202が、点火器を固定する為のカラー部分1202aを含んで構成される場合には、該インナーシェル1204は、このカラー部分1202aに取り付けることもできる。図32に示すガス発生器に於いては、このクロージャシェル1202は、ディフューザシェル1201に接合する筒状殻部1202bの底面に、2つの点火器を固定可能な大きさとした円形のカラー部分を一体状に接合して形成されており、該インナーシェル1204は、このカラー部分1202aに接合されている。但し、このカラー部分1202aは、各点火器毎に固定可能な大きさの円形として該筒状殻部1202bの底面に一体状に形成することも可能であり、また筒状殻部1202bの底面に一体形成することも可能である。この様な場合には、該インナーシェル1204は、クロージャシェルのカラー部分1202a以外、筒状殻部1202bの底面に直接取り付けることができる。
【0136】
本実施の形態に於いて、インナーシェル1204とクロージャシェル1202との接続は、摩擦圧接、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合により行うことができる。特に摩擦圧接により両者を接合する場合、望ましくは、クロージャシェル1202側を固定して行う。これにより、インナーシェル1204とクロージャシェル1202の軸心が整合していなくとも、安定して摩擦圧接を行うことができる。つまり、仮にインナーシェル1204を固定し、クロージャシェル1202を回転させて摩擦圧接を行った場合には、クロージャシェル1202の重心は、回転中央からずれているため、安定した摩擦圧接が不可能となる。そこで、本発明に於いては、クロージャシェル1202側を固定し、インナーシェル1204側を回転させて摩擦圧接を行うものとする。また、摩擦圧接に際して、インナーシェル1204を、常に所定の位置に取り付けることができるように、このクロージャシェル1202は、位置決めして固定されることが望ましい。依って、このクロージャシェル1202には、適宜位置決め手段が施されることが望ましい。このインナーシェル1204内には、クロージャシェル1202との接続を安全且つスムーズに行うためにガス発生剤固定部材1214が配置されている。このガス発生剤固定部材1214は、インナーシェル1204をクロージャシェル1202に摩擦圧接する際に、ガス発生剤1262が直接インナーシェル1204に接触しないように、またインナーシェル1204で形成された空間内に点火器1261の設置スペースを確保する目的で使用される。このインナーシェル1204をクロージャシェル1202に取り付けるときは、前述の摩擦圧接だけではなく、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合等により取り付けることができるが、その場合もガス発生剤固定部材1214を使用することで、組立性が向上する。このガス発生剤固定部材1214は、ここでは一例として、アルミ製で、ガス発生剤1262の燃焼によって容易に破裂する程度の厚さを有するキャニスタを使用しているが、その他にも金網等を用いてなる多孔状部材など、かかる目的を達成可能な適宜部材(材質、形状などは問わない)を使用することができる。なお、このようなガス発生剤固定部材1214を使用しない場合には、単孔円筒状のガス発生剤1262をインナーシェル1204の内部空間と同一形状に固めたガス発生剤の固まりを形成し、これをインナーシェル1204内に設置することもできる。この場合、ガス発生剤固定部材1214は省略しても良い。
【0137】
本実施の形態に於いて、クロージャシェル1202のカラー部分1202aは、二つの点火器1251,1261を横並びに固定可能な大きさに形成されている。これにより2つの点火器1251,1261を、予めカラー部分1202aにかしめ等により固定しておけば、このカラー部分1202aを筒状殻部1202bに一体化してクロージャシェル1202を形成すれば、2つの点火器1251,1261をクロージャシェル1202に固定することができる。図面上、第一の点火器1251と第二の点火器1261とは、同じ大きさに記載されているが、これらは各燃焼室毎に異なる出力を有するものとすることもできる。またこの実施の形態に於いては、各点火器1251,1261毎に接続して作動信号を伝えるためのケーブル1215は、同一方向に引き出されている。
【0138】
ハウジング1203内には、ガス発生剤の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化・冷却するためのフィルター手段としてクーラント・フィルタ1225が配設されている。第一及び第二のガス発生剤の燃焼によって発生したしたガスは、共にこのクーラント・フィルタ1225を通過することとなる。この燃焼ガスが、クーラント・フィルタ1225の端面とディフューザシェル1201天井部内面との間を通過するショートパスを防止する場合には、内向きフランジを有する筒状のショートパス防止部材で、クーラント・フィルタ1225の上下内周面とハウジング内面を覆うこともできる。特に、図32に示すガス発生器では、その上下端面を半径方向外側に窄めるように傾斜させた自緊式構造のクーラント・フィルタ1225が使用されている。クーラント・フィルタ1225の外側には、燃焼ガスの流路となる間隙1228が形成されている。
【0139】
例えば、図32に示すガス発生器では、点火器1251,1261及びインナーシェル1204を、ハウジング1203に対して偏心して配置している。この様なガス発生器に於いては、ディフューザシェル1201とクロージャシェル1202とを摩擦圧接により接合する際には、クロージャシェル1202側を固定して摩擦圧接を行うことにより、両シェルの接合を安定して行うことができる。特に、インナーシェル1204をクロージャシェル1202に摩擦圧接により直接取り付ける場合には、図32に示すように、クロージャシェル1202側に、ガス発生器をモジュールケースに取り付けるためのフランジ部1232を設け、このフランジ部1232を構成する部分、例えば突出部1233等に、その周縁を切り欠いて位置決め部を形成することが望ましい。この様に形成した場合、クロージャシェル1202は、該位置決め部に基づき、常に一定の向きに固定されることから、インナーシェル1204を所定の位置に確実に取り付けることができる。
【0140】
上記の様に形成されたガス発生器では、インナーシェル1204の外側に設けられた第一の燃焼室1250内に配置される第一の点火器1251が作動すると、該燃焼室1250内の第一のガス発生剤1252が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。そして、インナーシェル1204とクーラント・フィルタ1225との間には、僅かな隙間が確保されており、この隙間は、クーラント・フィルタ1225とインナーシェル1204との間にガスの流れを作ることから、該燃焼ガスは、フィルター1225の全面を有効に使うことが可能となる。この燃焼ガスはクーラント・フィルタ1225を通過する間に浄化・冷却され、その後ガス排出口1210から排出される。
【0141】
一方、インナーシェル1204内に配置された第二の点火器1261が作動すると、第二のガス発生剤1262が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。この燃焼ガスはインナーシェル1204の開口部1205を開口させ、該開口部1205から、第一の燃焼室1250内に流入する。その後、前記第一のガス発生剤1252の燃焼ガスと同様にクーラント・フィルタ1225を通過し、ガス排出口1210から排出される。ガス排出口1210を閉塞するシールテープ1229は、ハウジング1203内で発生した燃焼ガスの通過によって破裂する。この第二のガス発生剤1262は、第二の点火器1261の作動によって着火・燃焼され、第一のガス発生剤1252の燃焼によって直接燃焼することはない。これは、インナーシェル1204の開口部1205が、第二のガス発生剤1262の燃焼によってのみ開口し、第一のガス発生剤1252の燃焼によっては開口しないためである。
【0142】
上記のように形成されたガス発生器は、第一の点火器1251を作動させた後、第二の点火器1261を作動させるか、或いは第一の点火器1251と第二の点火器1261とを同時に作動させるか等、2つの点火器の着火タイミングを調整することで、ガス発生器の出力形態(作動性能)を任意に調整することができ、衝突時の車両の速度や環境温度など様々な状況において、後述のエアバッグ装置とした場合に於けるエアバッグの展開を最大限適正なものとすることができる。特に図32に示すガス発生器では、2つの燃焼室を半径方向に並べて設けていることから、ガス発生器の高さを極力抑えることができる。
【0143】
この図に示すガス発生器に於いても、ハウジング1203に形成される複数のガス排出口1210は、その開口径および/または開口面積が2種類以上に制御されていることから、各々の点火手段が作動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑えることができ、ガス発生器の作動時の内圧を均等化し、燃焼性能が安定したエアバッグ用ガス発生器となる。また、この実施の形態に於けるガス発生器に於いても、各ガス排出口1210の開口面積は一定にしておき、シールテープ等の遮断手段1229の厚さを変更して破裂圧力を調節することにより、各々の点火手段が作動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑えることもできる。更に、ガス排出口1210の開口径および/または開口面の制御と積遮断手段1229の厚さの制御を併用することも当然可能である。
【0144】
【発明の効果】
本発明によれば、作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能としながらも、簡易な構造であって製造容易とし、更に容器(ハウジング)の全体的な大きさを抑え、且つ各燃焼室の容積の比率を任意に調整可能とした多段式エアバッグ用ガス発生器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図2】 本実施の形態の平面図である。
【図3】 本発明のガス発生器の部分断面図である。
【図4】 本発明のガス発生器の背面図である。
【図5】 位置決め手段を示す部分斜視図である。
【図6】 自緊式構造のフィルターを示す部分断面図である。
【図7】 位置決め部を示すガス発生器の背面図である。
【図8】 本発明のガス発生器の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図9】 本発明のエアバッグ装置の構成図である。
【図10】 本発明のエアバッグ装置の一の実施態様を示す縦断面略図である。
【図11】 エアバッグ装置の他の実施態様を示す斜視略図である。
【図12】 限定手段の実施態様を示す斜視略図である。
【図13】 限定手段の他の実施態様を示す斜視略図である。
【図14】 エアバッグ装置の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図15】 エアバッグ装置の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図16】 限定手段の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図17】 エアバッグ装置の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図18】 本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面略図である。
【図19】 本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図20】 本発明のフィルター手段の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図21】 フィルター手段の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図22】 ガス発生器の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図23】 ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図24】 ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図25】 ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図26】 図25に示すガス発生器の透視平面図である。
【図27】 ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図28】 本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図29】 隔壁を示す要部分解斜視図である。
【図30】 位置決め手段を示す要部分解斜視図である。
【図31】 本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図32】 本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図33】 図31に示すガス発生器の透視平面図である。
【図34】 偏向板を有する本実施の形態の平面図である。

Claims (7)

  1. 筒状側壁に複数のガス排出口を有するディフューザシェルと、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェルとから成る円筒状ハウジング内に、ガス発生手段を収容する燃焼室を2つ設けると共に、各燃焼室毎に前記ガス発生手段を着火・燃焼させる2つの点火器を配置してなり、
    前記クロージャシェルは、前記2つの点火器を固定するカラー部分を含んで構成され、前記2つの点火器は、全てが予め同一のカラー部分に固定され、前記クロージャシェルを形成しており、
    前記2つの点火器は、それぞれ各点火器ごとに作動信号を伝えるため、ケーブルを有するコネクターが別々に嵌め込まれるものであり、
    該2つの燃焼室の内、少なくとも1つの燃焼室は、ハウジング内に於いて、ハウジングの中心軸に対して偏心して配置され、2つの燃焼室はハウジング内に設けられたインナーシェルにより画成されており、また各燃焼室毎に配置される点火手段は、ハウジング内に於いて、該ハウジングの中心軸に対して偏心して配置されており、
    前記ハウジング内には、ガス発生手段の燃焼によって生じた燃焼ガスを浄化及び/又は冷却するためのフィルター手段が配置されており、複数の燃焼室内で発生した燃焼ガスは、共通のフィルター手段を通過するものであり、
    前記インナーシェルは周壁に複数の開口部を有し、前記インナーシェルの外側表面の大部分がインナーシェルの外側にあるガス発生剤に直接接触しており、加圧されたガスを含んでないことを特徴とする多段式エアバッグ用ガス発生器。
  2. 前記インナーシェルは円筒形状であって、一方の燃焼室内のガス発生手段の燃焼により開口する開口部を有しており、該開口部が開口することによって、インナーシェルの内外に区画された燃焼室同士のガス流通が可能となる請求項記載の多段式エアバッグ用ガス発生器。
  3. 前記開口部は、破裂部材により閉塞された複数の孔であり、該破裂部材によって閉塞された孔は、一方の燃焼室内のガス発生手段が燃焼することによってのみ開口する請求項記載の多段式エアバッグ用ガス発生器。
  4. 前記一方の燃焼室は、インナーシェルの内側に設けられる燃焼室である請求項2又は3記載の多段式エアバッグ用ガス発生器。
  5. 前記開口部の外側には遮蔽板が配置されており、該遮蔽板は、インナーシェルの外側に設けられる燃焼室内で発生する燃焼火炎が、該開口部に直接接触することを阻止する請求項2〜4の何れか一項記載の多段式エアバッグ用ガス発生器。
  6. 前記各燃焼室毎に配置される点火手段は、各燃焼室毎に、異なる出力の点火手段が配置される請求項1〜の何れか一項記載の多段式エアバッグ用ガス発生器。
  7. 前記複数の燃焼室内には、各燃焼室毎に、燃焼速度、組成、組成比、形状又は量が少なくとも1つ以上異なるガス発生手段が収容される請求項1〜の何れか1項記載のエアバッグ用ガス発生器。
JP2002129813A 1999-02-16 2002-05-01 多段式エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 Expired - Lifetime JP3742603B2 (ja)

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