JP3741099B2 - 接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体とその製造方法、および接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子とその製造方法 - Google Patents

接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体とその製造方法、および接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた接着力と耐水性、耐用剤性を有する接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体とその製造方法、および、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルト接着剤は、有機溶剤を実質的に含まないため環境衛生上好ましい、短時間で接着できるので生産性が良い等、種々の長所を有している。かかるホットメルト接着剤に使用される樹脂に要求される性能としては、(1)加熱により容易に溶融し、被着体に対し良好な濡れ性を有し、(2)接着力が高く、(3)耐水性、耐溶剤性等の耐久性に優れること等が挙げられる。
【0003】
樹脂の中でもポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等への接着性が良好であるため、かかるホットメルト接着剤用に使用されている。ポリエステル樹脂からなるホットメルト接着剤は、凍結粉砕等の機械的製造方法によってポリエステル樹脂を粒子化する等の手段により調製されるが、粉砕法によると、得られる粒子が不定形であり接着力が劣る。また、ポリエステル樹脂粒子を水性分散体にして接着剤として使用するには、粉砕後、更に分散処理が必要となる。
【0004】
これに対して球形のポリエステル樹脂粒子の水性分散体を得る製造方法として、アルキル基とカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の溶融体を、溶融状態で塩基性化合物を含む水性媒体中に機械的に分散させ、ポリエステル樹脂中のカルボキシル基の中和と該樹脂溶融体の粒子状での分散を行うポリエステル樹脂粒子分散体の製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−191892号公報(特許請求の範囲、実施例)
【0006】
しかしながら、前記製造方法によって得られる球形ポリエステル樹脂粒子分散体や該分散体を乾燥させて得られる球形ポリエステル樹脂粒子を接着剤として使用すると、接着性、耐水性、耐溶剤性が十分でない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、優れた接着力と耐水性、耐溶剤性を有する接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体とその製造方法、および、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子とその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の知見を見出した。
(1)アルキル基とカルボキシル基とを含有するポリエステル樹脂として結晶性のポリエステル樹脂を用いて得られる球形のポリエステル樹脂粒子の水性分散体や該ポリエステル樹脂粒子の水性分散体を乾燥して得られる球形のポリエステル樹脂粒子は、優れた接着力と、耐水性、耐溶剤性等を有する。
(2)前記結晶性ポリエステル樹脂としてアルキル基の代わりにアルケニル基を含有する結晶性ポリエステル樹脂を用いても優れた接着力と、耐水性、耐溶剤性を有する球形ポリエステル樹脂粒子の分散体や球形ポリエステル樹脂粒子が得られる。
本発明は、上記知見に基づき完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を中和してなる樹脂を必須成分として含有する球形樹脂粒子の水分散体であることを特徴とする、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基を含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分として含有する球形樹脂粒子、もしくは、該ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を塩基性化合物で中和してなる樹脂を必須成分として含有する球形樹脂粒子であることを特徴とする接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、溶融粘度が、1×104Pa・s となる温度が55〜170℃で、かつ、示差走査熱量計による結晶融解熱量が3〜60J/gである、アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分として含有する樹脂溶融体(I)を用い、該樹脂溶融体(I)に含有されているポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部の塩基性化合物による中和と、該樹脂溶融体(I)の溶融状態での加熱された水性媒体(II)中への分散とを行った後、得られた樹脂粒子分散体を冷却することを特徴とする、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体の製造方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分として含有する樹脂溶融体(I)を用い、該樹脂溶融体(I)に含有されているポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部の塩基性化合物による中和と、該樹脂溶融体(I)の溶融状態での加熱された水性媒体(II)中への分散とを行った後、得られた樹脂粒子分散体を冷却した、乾燥することを特徴とする、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるアルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)は、例えば、
▲1▼二塩基酸や二価のアルコールのうち結晶性成分となる成分と、アルキル基やアルケニル基を有する成分として好ましくはアルキル基やアルケニル基を有する二塩基酸を必須として、必要に応じその他の二塩基酸やその無水物、三官能以上の多塩基酸やその無水物、一塩基酸、二価のアルコール、三官能以上のアルコール、一価のアルコール等を混合し、窒素雰囲気中にて加熱下で酸価を測定しながら脱水縮合する方法、
▲2▼末端にカルボキシル基を有する結晶性ポリエステル樹脂(主鎖中にカルボキシル基を含有していても良い)を加熱溶融し、そこにアルキル基やアルケニル基を有する脂肪族モノエポキシ化合物を投入し、ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の一部に開環付加させる方法、
▲3▼末端に水酸基を有するカルボキシル基含有結晶性ポリエステル樹脂を加熱溶解し、そこにアルキル基やアルケニル基を有する酸無水物を投入し、ポリエステル樹脂の末端水酸基に開環付加させる方法、
等の調製方法により得られる。
【0014】
結晶性ポリエステル樹脂(A)の有するアルキル基、アルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、イソノニル基、ドデシル基、ドデセニル基等が挙げられる。
【0015】
結晶性成分となる二塩基酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族二塩基酸や、アジピン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸等が挙げられる。結晶成分となる二価のアルコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオ−ル、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコール等の脂肪族ジオール類等が挙げられる。結晶性成分は、塩基酸とアルコールの両方を用いても良いし、どちらか一方を用いても良い。
【0016】
結晶性ポリエステル樹脂(A)は、構成する酸成分の65〜100モル%、好ましくは80〜100モル%がテレフタル酸であり、アルコール成分の70〜100モル%、好ましくは80〜100モル%が1,5−ペンタンジオールである結晶性ポリエステル樹脂であれば、優れた接着力と耐水性、耐溶剤性とを合せ持つのでより好ましい。
【0017】
アルキル基やアルケニル基を有する二塩基酸としては、例えば、n−ブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の二塩基酸やそれらの無水物が挙げられる。
【0018】
必要に応じて使用するその他の二塩基酸やその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、修酸、マロン酸、コハク酸、セバチン酸、デカン−1,10−ジカルボン酸等の脂肪族二塩基酸;フタル酸、テトラヒドロフタル酸およびその無水物、ヘキサヒドロフタル酸およびその無水物、テトラブロムフタル酸およびその無水物、テトラクロルフタル酸およびその無水物、ヘット酸およびその無水物、ハイミック酸およびその無水物、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の芳香族又は脂環式の二塩基酸等が挙げられる。
【0019】
三官能以上の多塩基酸やその無水物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0020】
一塩基酸としては、例えば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等が挙げられる。
【0021】
必要に応じ使用するその他の二価のアルコールとしては、例えば、1,2−プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類;ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF等のビスフェノ−ル類;ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノ−ルAアルキレンオキサイド付加物;キシリレンジグリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、水添ビスフェノ−ルA等のアラルキレングリコ−ルまたは脂環族のジオ−ル類等が挙げられる。
【0022】
三官能以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ソルビト−ル、1,2,3,6−ヘキサンテトロ−ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリスリト−ル、2−メチルプロパントリオ−ル、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト等が挙げられる。
【0023】
また、三官能以上の多価アルコールとして、下記に示すようなポリエポキシ化合物も挙げられる。例えば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水添ビスフェノールA等の種々の脂肪族ないしは脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0024】
ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等の種々のフェノ−ル性水酸基の2個を含有する化合物のポリグリシジルエーテル類;前記したフェノ−ル性水酸基の2個を含有する化合物のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体等の誘導体のジグリシジルエーテル類;
【0025】
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の、種々のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の種々の脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル類;
【0026】
ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネン、ビニルシクロヘキセン等の種々の炭化水素系ジエンのビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等の種々の脂環式ポリエポキシ化合物;ポリブタジエン、ポリイソプレン等の種々のジエンポリマーのエポキシ化物;などが挙げられる。
【0027】
一価のアルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0028】
製造方法▲2▼で使用する、アルキル基やアルケニル基を有する脂肪族モノエポキシ化合物としては、例えば、ヒマシ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、桐油脂肪酸等、各種の飽和あるいは不飽和の脂肪酸のモノグリシジルエステルや、カージュラE10(シェルケミカル社製)、イソノナン酸、バ−サチック酸等の分岐脂肪酸のモノグリシジルエステル等が挙げられる。
【0029】
製造方法▲3▼で使用する、アルキル基やアルケニル基を有する酸無水物としては、例えば、n−ブチル無水コハク酸、n−ペンチル無水コハク酸、ネオペンチル無水コハク酸、n−ヘキシル無水コハク酸、n−ヘプチル無水コハク酸、n−オクチル無水コハク酸、イソオクチル無水コハク酸、2−エチルヘキシル無水コハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデシル無水コハク酸、イソドデシル無水コハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデセニル無水コハク酸、イソドデセニル無水コハク酸、6−ブチル−1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、6−n−オクチル−1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物等が挙げられる。なかでも、n−ドデセニル無水コハク酸が好ましい。
【0030】
前記した、二塩基酸やその無水物、三官能以上の多塩基酸やその無水物、一塩基酸は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよい。また、カルボキシル基の一部または全部がアルキルエステル、アルケニルエステル又はアリ−ルエステルとなっているものも使用できる。
【0031】
また、前記した二価のアルコールや三官能以上の多価アルコール、一価のアルコールについても、単独で使用してもよいし2種以上のものを併用することもできる。
【0032】
さらに、例えば、ジメチロ−ルプロピオン酸、ジメチロ−ルブタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸等の、1分子中に水酸基とカルボキシル基を併有する化合物あるいはそれらの反応性誘導体も使用できる。
【0033】
結晶性ポリエステル樹脂(A)は、例えば、前記調製方法▲1▼で得られるアルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A1)であれば良いが、なかでも、調製方法▲2▼で得られる、末端にカルボキシル基を有する結晶性ポリエステル樹脂(a2)の末端カルボキシル基に、炭素原子数4〜20のアルキル基および/または炭素原子数4〜20のアルケニル基を有する脂肪族モノエポキシ化合物を開環付加させてなる末端構造を持つポリエステル樹脂(A2)や、調製方法▲3▼で得られる、末端に水酸基を有する結晶性ポリエステル樹脂(a3)の末端水酸基に、炭素原子数4〜20のアルキル基および/または炭素原子数4〜20のアルケニル基を有する酸無水物を開環付加させて得られる末端構造を有するポリエステル樹脂(A3)であれば、樹脂粒子の水性媒体中での分散が良好になることから好ましく、なかでも、水性媒体への分散性が良好なことと、接着性、耐水性、耐溶剤性がより優れることからポリエステル樹脂(A3)が特に好ましい。この際使用する結晶性ポリエステル樹脂(a2)や結晶性ポリエステル樹脂(a3)は、既にアルキル基やアルケニル基を含有していても良いし、含有していなくても良い。
【0034】
結晶性ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル樹脂(A2)の有する末端構造やポリエステル樹脂(A3)の有する末端構造を、それぞれ単独でポリエステル樹脂1分子中に含んでいても良いし、これらの末端構造を両方有していてもよい。
【0035】
また、ポリエステル樹脂(A2)のなかでは、下記の一般式(1)および/または(2)で示される末端構造を有するポリエステル樹脂が、より好ましい。
【化1】
Figure 0003741099
(式中のRは、炭素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数4〜20のアルケニル基を表す。)
【0036】
一般式(1)、(2)中の炭素原子数4〜20のアルキル基や炭素原子数4〜20のアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でも良く、例えば、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ドデシル基、ドデセニル基等が挙げられる。
【0037】
前記した調製方法で使用される装置としては、窒素導入口、温度計、攪拌装置、精留塔等を備えた反応容器等の回分式の製造装置が好適に使用できるほか、脱気口を備えた押出機や連続式の反応装置、混練機等も使用できる。また、前記脱水縮合の際、必要に応じて反応系を減圧することによって、エステル化反応を促進することもできる。さらに、エステル化反応の促進のために、種々の触媒を添加することもできる。
【0038】
また、調製方法▲3▼によりポリエステル樹脂(A2)を調製する際には、酸無水物の開環によって生成するカルボキシル基がさらに他の水酸基と脱水縮合反応をしない条件で開環付加反応を行う必要があり、脱水縮合反応を起こさない開環付加反応条件としては、特に限定はないが、例えば、脱水が起こる240℃程度の温度から開環付加反応温度を200℃程度に下げる、撹拌回転速度を低下させて水の蒸発を抑制する、反応系中に窒素ガス等の不活性ガスを導入している場合はその量を最小限に抑える、減圧反応を行って脱水縮合をしている場合には、その減圧反応を停止し、常圧反応に戻す等の方法が一般的である。
【0039】
次に結晶性ポリエステル樹脂(A)の性状について説明する。
ポリエステル樹脂(A)は、GPC法による重量平均分子量(Mw)が10,000〜300,000であることが被着体との濡れ性が向上するなどして、接着性、耐水性、耐溶剤性が向上するので好ましく、なかでも15,000から200,000が特に好ましい。
【0040】
結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分とする樹脂溶融体(I)を水性分散体とする際には、水性媒体中での分散性を良好にするために、ポリエステル樹脂(A)は、塩基性化合物で中和されるカルボキシル基を有している必要があるが、ポリエステル樹脂(A)の酸価としては、5〜140mgKOH/gの範囲であることが好ましく、なかでも6〜100mgKOH/gの範囲であることが特に好ましい。
【0041】
また、結晶性ポリエステル樹脂(A)の水酸基価についても、水性媒体中での分散性を良好にするために、5〜100mgKOH/gの範囲であることが好ましく、なかでも7〜70mgKOH/gの範囲であることが特に好ましい。
【0042】
結晶性ポリエステル樹脂(A)は、接着性、耐水性、耐溶剤性に優れる樹脂粒子が得られることから、その溶融粘度が1×104Pa・s となる温度(以下「T4」と略記する。)が、55〜170の範囲のものが好ましく、80〜170℃の範囲がより好ましく、90〜140℃の範囲が特に好ましい。また、同様の理由により示差走査熱量計(以下「DSC」と略記する。)による結晶融解熱量は3〜60J/gの範囲がが好ましく、5〜55J/gの範囲がより好ましく、10〜50J/gの範囲が特に好ましい。尚、本発明において結晶融解熱量の測定は、ポリエステル樹脂の温度を240℃に昇温して溶解したのち、溶解した樹脂を、直径11cm、高さ13cmのブリキ缶に500g入れて25℃で2週間放置した樹脂を破砕して無作為に取り出した3つのサンプルを用いて測定し、その平均値を求めることにより行った。
【0043】
さらにDSCによるガラス転移温度(以下「Tg」と略記する。)は、接着性、耐水性、耐溶剤性に優れることから−20〜50℃の範囲であることが好ましく、−10〜30℃の範囲であることがより好ましく、−10〜10℃の範囲であることが特に好ましい。
【0044】
次に、本発明の製造方法について詳細に説明する。
本発明の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体の製造方法として、好ましい製造方法としては、例えば、
工程(1) 結晶性ポリエステル樹脂(A)と、その他必要に応じて添加剤、例えば保水剤、分散助剤などを加圧ニーダー、加熱3本ロール、2軸押出混練機などを用いて溶融混練して、樹脂溶融体(I)を製造し、
工程(2) 次に、この樹脂溶融体(I)を、ポリエステル樹脂(A)の溶融温度以上の温度に加熱し、塩基性化合物を含有させた加熱された水性媒体中に、必要により加圧下で、溶融状態で機械的手段により分散させ、
工程(3) その後、好ましくは直ちに急速冷却する、
等の工程からなる製造方法等が挙げられる。
【0045】
更に、本発明の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造方法として、例えば、
工程(4) 上記の製造方法で得られた接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体から、必要により塩基性化合物を除去した後、球形ポリエステル樹脂粒子を分離し、
工程(5) 分離した球形ポリエステル樹脂粒子を乾燥させる、
等の工程からなる製造方法等が挙げられる。
【0046】
上記の製造方法では、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の中和を、塩基性化合物を含有した水性媒体と混合することにより行っているが、該カルボキシル基の中和は、この方法に限定されるものではなく、例えば、カルボキシル基の塩基性化合物による中和を行った後、樹脂溶融体(I)を水性媒体中に機械的手段で分散させる方法や、樹脂溶融体(I)を水性媒体中に機械的手段で分散させたのち、攪拌下で塩基性化合物を加えて中和する方法であっても良い。
【0047】
結晶性ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基を中和する塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物、それらの炭酸塩、それらの酢酸塩など、更には、アンモニア水、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン類、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類などが挙げられる。これらのなかではアンモニア水が好ましい。また、これら塩基性化合物は単独使用でもよいし、2種類以上の併用でも構わない。
【0048】
塩基性化合物の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂(A)を水性媒体中に安定に分散させるような量であれば良く制限は無いが、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基に対して、通常0.5〜6.0倍当量である。
【0049】
接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造の際、ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基を中和する塩基性化合物がアンモニアのような、揮発性の高いものであれば、前記した製造工程の工程(4)の分離、工程(5)の乾燥にて完全除去できる。塩基性化合物が水酸化ナトリウムのような揮発し難いものであれば工程(4)の分離、工程(5)の乾燥を終えて得られた球形ポリエステル樹脂粒子にも残存することになるが、使用上問題なければ、このまま使用してもよいし、その後に水性媒体への分散処理をしない場合は、中和されたカルボキシル基から塩基化合物を除去し、カルボキシル基が中和されていない状態でも良い。塩基性化合物の除去は、種々の方法を用いることができるが、例えばカルボキシル基よりも酸性度の強い強酸を加えることによりカルボキシル基を遊離させる方法などがある。
【0050】
水性媒体は、加熱時に必要に応じて加圧してもよい。樹脂溶融体(I)の溶融温度が低い場合は、必ずしも加圧は必要ないが、溶融温度が100℃以上の場合には、水性媒体が沸騰しないように加圧する必要がある。
【0051】
前記工程(2)の樹脂溶融体(I)を水性媒体中に機械的手段により微分散させるための装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)、連続式超音波ホモジナイザー(日本精機株式会社)、ナノマイザー(ナノマイザー社)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、ハレル型ホモジナイザー、スラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)などが挙げられ、なかでも、回転型連続分散装置であるキャビトロンが分散能力が高く、球形樹脂粒子の製造が容易なことから好ましい。
【0052】
上記回転型連続分散装置であるキャビトロンは、スリットを有するリング状の突起を備えた固定子とスリットを有するリング状の突起を備えた回転子とが間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けられた構造を有する回転型連続分散装置であり、これを用いた分散方法は、固定子と回転子の中心部分に樹脂溶融体(I)と水性媒体とを供給して、回転子を回転させながら該スリットと該間隔とを通して中心部分から外周の方向に流動させることにより、水性媒体中に樹脂溶融体(I)を球形粒子状で分散させることを特徴とする分散装置である。
【0053】
以下図面により、上記のような回転型連続式分散装置を用いた製造方法について詳しく説明する。
【0054】
図1は本発明の製造方法に用いられる回転型連続式分散装置の固定子の一例を示す斜視図、図2は本発明の製造方法に用いられる回転型連続式分散装置の回転子の一例を示す斜視図、図3は本発明に用いる回転型連続式分散装置の要部の一例を表した断面図、図4は図3のA−A’断面を側面から見たときの固定子突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【0055】
図1〜図4に示すように、回転型連続式分散装置の固定子1は、中心に設置され、その中心に液入り口2を備えている。固定子1の円形状の面上には、固定子と同心円でリング状に並べられた突起3が1段又は2段以上の多段状に備えられており、従って、突起同士の間隙には、円周溝4が形成されている。そして、突起同士の間には複数のスリット5が形成されている。
【0056】
この分散装置内の固定子1に対向する内壁の中心には駆動軸6が設置され、駆動装置に接続されて、回転される。回転子7は、固定子1と平行で且つ中心が揃うように、駆動軸の先端に固定されている。固定子1に対向する回転子7の面上には、回転子と同心円でリング状に並べられた突起8が一段または2段以上の多段状に備わっている。従って、突起同士の間隙には、固定子と同様に、環状の溝9が形成されている。そして、突起同士の間には複数のスリット10が形成されている。
【0057】
この固定子1と回転子7とは、固定子1の突起3と回転子7の突起8が僅かな間隙を保つように、咬み合わされた状態で使用に供される。
【0058】
この分散装置の液入り口2に、樹脂溶融体(I)と加熱された水性媒体(II)が供給され、それらからなる混合物は回転子7が回転すると、最も内側に位置する回転子7の突起8のスリット10に入り、遠心力により該回転子7の突起8の外側から環状の溝9に吐出され、次いで最も内側に位置する固定子1の突起3のスリット5に入る。さらに、このスリット5に流入した混合物は、固定子1の環状の溝4に押し出される。
【0059】
このようにして当該混合物は、回転子7の回転により遠心力を受け、スリット内を液入口から吐出口へと流動する。一方回転子7と固定子1のスリットのずれにより混合物の遠心流れの封じ込めと開放を繰り返して差圧が発生する。さらに回転子7と固定子1の微少隙間で混合液に対し剪断力が働く。この中心から外周方向への流れと円周方向流れが直角に衝突し、それによって、強力な撹拌・破砕効果が発生し、これにより樹脂溶融体(I)が加熱された水性媒体(II)中に粒子状で分散した粒子分散液が得られる。
【0060】
この分散装置の回転子7の回転数は駆動軸に接続された駆動モーターで制御される。回転数が大きく周速が大きいほど大きい遠心力と剪断力を受けて、水性媒体(II)中に分散した樹脂溶融体(I)の粒子径が小さくなる。直径10cmの回転子を使用して球形粒子を製造する場合、好ましい回転数は3,000〜10,000rpmである。
【0061】
本発明の製造方法より得られる接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体及び接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子中の球形ポリエステル樹脂粒子の粒子径は、▲1▼結晶性ポリエステル樹脂(A)の酸価、▲2▼中和に使用する塩基性化合物の種類と量(カルボキシル基に対する量)、▲3▼ポリエステル樹脂(A)と水性媒体との重量比、等の因子を制御することにより容易に調整することができる。例えば、同一の材料、条件でもポリエステル樹脂(A)のカルボキシル基に対して、中和に使用する塩基性化合物の量を多くすると、体積平均粒子が小さい球形ポリエステル粒子が得られ、塩基性化合物の量を少なくすると、体積平均粒子の大きい球形ポリエステル粒子が得られる。
【0062】
次に本発明に係る接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の性状について説明する。
本発明に係る接着剤用球形ポリエステル樹脂分散体中の球形ポリエステル樹脂粒子及び接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子は、その形状が球形であることに特徴を有する。上記ポリエステル樹脂粒子が球形であることにより粉体としての流動性に優れ、被着体への濡れ性が向上する。本発明にいう「球形」は、真球状はもちろん、楕円状等を含む広い概念であるが、形状中に鋭利な尖点部分を含まないものをいう。接着力及び耐水性、耐溶剤性に対する耐久性が向上する点から真球状が好ましい。
【0063】
本発明に係る接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体と接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子は、結晶性ポリエステル樹脂(A)と共に、他の樹脂成分、例えば、結晶性ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、ロジン、ロジンフェノ−ル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコ−ン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の成分を本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。
【0064】
本発明に係る接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体や接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子は、接着剤の使用方法、使用部位等に応じて、球形ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径を好適な範囲に制御することにより、より好ましい接着力を得ることができる。例えば、不織布の製造において、表地と裏地を接着する場合などは、体積平均粒子径が0.1〜10μm程度の比較的小さい球形ポリエステル樹脂粒子からなる接着剤が接着強度が向上する点で好ましく、また、接着芯地を調製する場合などは、体積平均粒子径が40〜250μm程度の比較的大きい球形ポリエステル樹脂粒子からなる接着剤が厚い接着層を形成する点で好ましい。
【0065】
また、本発明に係る接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体中のポリエステル樹脂粒子及び接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の粒度分布は、コールターマルチサイザー2を用いた体積平均粒子径の分布測定において、通常1.36以下である。
【0066】
本発明における上記球形ポリエステル樹脂粒子の粒度分布とは、コールターマルチサイザー2を用いた体積粒子径の分布測定において、16%径と84%径の比の平方根で表される値「√(D16/D84)」をいうが、ここで16%径とは体積粒子径の大きい側から粒子の重量を積算したときの重量が全重量の16%となる位置にある粒子の体積粒子径であり、同様に84%径は粒子の重量を積算したときの重量が全重量の84%となる位置にある粒子の体積粒子径をいう。この数値が大きいほど粒度分布の広がりが大きく、小さいほど粒度分布の広がりは小さいことを示す。この数値が1.36以下であることは、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子として極めて粒度分布が狭く、従来の機械的粉砕法によるホットメルト接着剤と比較して被着体への濡れ性が格段に向上することにより接着強度が高く、かつ低温で接着できる等作業性にも優れることを表す。
【0067】
本発明の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体は、結晶性ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を中和してなる樹脂を必須成分として含有する球形樹脂粒子の水分散体であれば接着性、耐水性、耐溶剤性が良好であり、製造方法は特に限定はないが、なかでも、本発明の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体の製造方法により好適に製造できる。また、本発明の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子も、結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分として含有する球形樹脂粒子、もしくは、該ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を中和してなる樹脂を必須成分として含有する球形樹脂粒子であれば接着性、耐水性、耐溶剤性が良好であり、製造方法は特に限定はないが、なかでも、本発明の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造方法により好適に製造できる。
【0068】
本発明に係る接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体及び接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子をホットメルト接着剤として実用に供する際の接着方法は、特に制限はなく、例えば、粉状、チップ状、テ−プ状、ひも状、フィルム状あるいは不織布状等の形態に成形し被着体に圧着し加熱溶融する、接着アプリケ−タ−を用い被着体に溶融状態で塗布する、水性媒体(II)中に分散したままの又は分散体に他の添加成分、例えば沈降防止剤、防腐剤等を加えた後の分散体を被着体にスプレ−等の適当な方法で塗布する、あるいは、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子を粉体塗装装置等で被着体に塗布する等の接着方法が挙げられる。
【0069】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。例中「部」及び「%」は、特にことわりがない限り重量基準である。
【0070】
本実施例において、GPC法による重量平均分子量の測定は、Shodex GPC SYSTEM−21〔昭和電工(株)製〕を使用して行なった。
樹脂または樹脂粒子の溶融粘度は、高化式フロ−テスタ−〔島津製作所(株)製、CFT−500〕を使用して測定した。測定条件は、昇温速度6℃/分、荷重10Kg、ダイス1mmφ×1mmである。また、結晶融解熱の測定は、示差走査熱量計〔セイコー電子製熱分析システム(DSC220)〕を使用して昇温速度10℃/分で行なった。またTgの測定は結晶融解熱の測定後液体窒素で急冷して、再び昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0071】
合成例1〔結晶性ポリエステル樹脂(A)の合成〕
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−及び精留塔を備えた内容量3リットルのフラスコに1,5−ペンタンジオール979部(89.5モル%対アルコール成分)、トリメチロ−ルプロパン55部(3.9モル%対アルコール成分)、PEG−1500〔日本油脂株式会社製のポリエチレングリコール;水酸基価198.6mgKOH/g〕137部(2.3モル%対アルコール成分)を仕込み、さらに1時間を要して温度を150℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド1.2部、テレフタル酸1566部(92.1モル%対酸成分)を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から245℃まで6時間を要して温度を上げ、245℃でさらに14時間脱水縮合反応を継続し、その後も酸価をモニターして、酸価が7.7mgKOH/gで、反応温度を230℃に降温し、無水フタル酸120部(7.9モル%対酸成分)を加え、その後30分間付加反応させ酸価が26.7mgKOH/gで、カ−ジュラE10〔シェルケミカル社製の分岐脂肪酸(炭素原子数10)のグリシジルエステル〕115部(4.3モル%対アルコール成分)加え、さらに30分間反応を行った。最終的に酸価が16.9mgKOH/gでGPC法による重量平均分子量が42,000、溶融粘度が1×104Pa・s となる温度(T4)が105℃、Tgが1℃、結晶融解熱量が25.3J/gであるポリエステル樹脂を得た。これを結晶性ポリエステル樹脂(A2−1)と略記する。
【0072】
合成例2(同上)
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−及び精留塔を備えた内容量3リットルのフラスコに1,5−ペンタンジオール979部(93.5モル%対アルコール成分)、トリメチロ−ルプロパン55部(4.1モル%対アルコール成分)、PEG−1500の137部(2.4モル%対アルコール成分)を仕込み、さらに1時間を要して温度を150℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド1.2部、テレフタル酸1566部(96.1モル%対酸成分)を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から245℃まで6時間を要して温度を上げ、245℃でさらに14時間脱水縮合反応を継続し、その後も酸価をモニターして、酸価が7.7mgKOH/gでドデセニル無水コハク酸100部(3.9モル%対酸成分)を加え、その後30分間反応を行った。最終的に酸価が16.7mgKOH/gで、GPC法による重量平均分子量が38,500、T4が120℃、Tgが3℃、結晶融解熱量が35.1J/gであるポリエステル樹脂を得た。これを結晶性ポリエステル樹脂(A3−1)と略記する。
【0073】
合成例3(同上)
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−及び精留塔を備えた内容量3リットルのフラスコに1,5−ペンタンジオール979部(93.5モル%対アルコール成分)、トリメチロ−ルプロパン55部(4.1モル%対アルコール成分)、PEG−1500の137部(2.4モル%対アルコール成分)を仕込み、さらに1時間を要して温度を150℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド1.2部、テレフタル酸1096部(67.3モル%対酸成分)を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から245℃まで6時間を要して温度を上げ、樹脂溶液がクリアになったことを確認した後イソフタル酸470部(28.9モル%対酸成分)を加え、245℃でさらに14時間脱水縮合反応を継続し、その後も酸価をモニターして、酸価が9.0mgKOH/gで、反応温度を230℃に降温し、ドデセニル無水コハク酸100部(3.9モル%対酸成分)を加え、その後30分間反応を行った。最終的に酸価が18.4mgKOH/gで、GPC法による重量平均分子量が51,000、溶融粘度が1×104Pa・s となる温度(T4)が60℃、Tgが7.2℃、結晶融解熱量が3J/gであるポリエステル樹脂を得た。これを結晶性ポリエステル樹脂(A3−2)と略記する。
【0074】
合成例4(比較対照用ポリエステル樹脂の合成)
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−及び精留塔を備えた内容量3リットルのフラスコに1,5−ペンタンジオール979部、トリメチロ−ルプロパン55部、PEG−1500の137部を仕込み、さらに1時間を要して温度を150℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブチル錫オキサイド1.2部、テレフタル酸1566部を投入した。さらに生成する水を留去しながら同温度から245℃まで6時間を要して温度を上げ、245℃でさらに14時間脱水縮合反応を継続し、その後も酸価をモニターして、酸価が7.7mgKOH/gで、反応温度を230℃まで降温して無水フタル酸65部を加え、その後、同温度で30分間付加反応させ最終的に酸価が17.2mgKOH/gで、GPC法による重量平均分子量が38,000、T4が123℃、Tgが8℃、結晶融解熱量が40.1J/gであるポリエステル樹脂を得た。これを比較対照用ポリエステル樹脂(x1)と略記する。
【0075】
合成例5(同上)
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−及び精留塔を備えた内容量3リットルのフラスコにビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2、水酸基価360mgKOH/g)1,234部、ジエチレングリコ−ル274部、トリメチロ−ルプロパン110部を仕込み、1時間をかけて温度を140℃まで上げて撹拌を行いながらジブチル錫オキサイド1.25部を投入した。その後テレフタル酸1,122部を仕込み、さらに3時間を要して温度を245℃まで上げ、生成する水を留去しながら245℃でさらに4時間脱水縮合反応を継続し、その後も酸価をモニターして、酸価が5.8mgKOH/gでドデセニル無水コハク酸の114部を加え、その後30分間付加反応させ最終的に酸価が16.3mgKOH/gで、GPC法による重量平均分子量が75,000、T4が110℃、Tgが50℃であるポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂の結晶融解熱を測定したところ融解熱のピークは現れず、結晶構造を有さなかった。これをポリエステル樹脂(x2)と略記する。
【0076】
実施例1
結晶性ポリエステル樹脂(A2−1)を150℃に加熱して樹脂溶融体とし、キャビトロンCD1010(株式会社ユ−ロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した1.0%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットル〔ポリエステル樹脂(A2−1)中のカルボキシル基の理論中和量の2倍量〕の速度で、上記樹脂溶融体と同時にキャビトロンに移送した。回転子の回転速度が7500rpm、圧力が5Kg/cm2 の運転条件でポリエステル樹脂(A2−1)を分散させて温度135℃の分散体を製造し、10秒間で温度を35℃まで冷却して出口から取り出した。この接着剤用ポリエステル樹脂粒子分散体中のポリエステル樹脂粒子の形状を下記の定義に従って判定したところ、形状は球形で、造粒が極めて良好であった。不揮発分の濃度は50.4%であった。コールターマルチサイザー2による測定により、ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は1.8μmであり、その粒度分布は1.36であった。この接着剤用ポリエステル樹脂粒子分散体を(D−1)と略記する。
次に、(D−1)を濾過して、ポリエステル樹脂の水洗を行い、乾燥させ、接着剤用ポリエステル樹脂粒子を得た。これを(P−1)と略記する。(P−1)のT4は105℃で、Tgは1℃であった。
【0077】
ポリエステル樹脂粒子の形状の定義。
顕微鏡による目視観察(300倍)により以下の定義に従って判定(以下同様)。
(1)球形 目視によりほぼ完全な球体と認められるもの又は、楕円体でその長軸の長さ(a)と短軸の長さ(b)との比(a/b)が2未満のものが、顕微鏡の視野中に個数基準で80%以上存在するもの(10視野の平均値)。
(2)ひも状 楕円体で、その長軸の長さ(a)と短軸の長さ(b)との比(a/b)が2以上のものが、顕微鏡の視野中に個数基準で20%以上存在するもの(10視野の平均値)。
(3)不定形 形状に一定の規則性が認められず破砕された形状であって、尖った部分があるもの。
【0078】
得られた(D−1)、(P−1)を用いて試験片を作製し、接着強度、耐水性、耐溶剤性の試験を行った。結果を樹脂粒子径と共に第1表に示す。試験片の作製法と各試験法は以下の通りである。
【0079】
<試験片作製法>
(D−1)ならびに(P−1)を、固形分換算で塗布量が25g/mとなるように市販のポリエステル布に均一に散布し、次いで、その塗装面に市販のポリエステル布を重ね合わせ、ホットプレス機によって上下から熱圧着した。接着条件は、圧力3Kg/cm2 で140℃/8秒間である。
【0080】
<接着強度の試験法>
テンシロン引張り試験機を使用し、JIS L−1086(接着剤の剥離試験方法)に従い、180゜剥離接着力として評価した。測定条件は、温度20℃、相対湿度60%である。
【0081】
<耐水性の試験法>
熱圧着後の試験片を温度60℃の温水に30分間恒温条件下に保持した後、上記接着力の試験法に従って剥離接着力を測定した。
【0082】
<耐溶剤性の試験法>
熱圧着後の試験片を室温の石油ベンゼンに30分間恒温条件下に保持した後、上記接着力の試験法に従って剥離接着力を測定した。
【0083】
実施例2
実施例1のポリエステル樹脂(A2−1)の代わりにポリエステル樹脂(A3−1)を使用した以外は実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.2μmで、粒度分布が1.34のポリエステル樹脂粒子分散体を得た。これを、(D−2)と略記する。(D−2)中のポリエステル樹脂粒子の形状を判定したところ球形であった。
次に(D−2)を濾過して、ポリエステル樹脂の水洗を行い、乾燥させ、ポリエステル樹脂粒子を得た。これを(P−2)と略記する。(P−2)のT4は119℃で、Tgは4℃であった。実施例1と同様の評価を行い、結果を樹脂粒子径と共に第1表に示す。
【0084】
実施例3
実施例1のポリエステル樹脂(A2−1)の代わりにポリエステル樹脂(A3−2)を使用した以外は実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.9μmで、粒度分布が1.35のポリエステル樹脂粒子分散体を得た。これを、(D−3)と略記する。(D−3)中のポリエステル樹脂粒子の形状を判定したところ球形であった。
次に(D−3)を濾過して、ポリエステル樹脂の水洗を行い、乾燥させ、ポリエステル樹脂粒子を得た。これを(P−3)と略記する。(P−3)のT4は61℃で、Tgは7.5℃であった。実施例1と同様の評価を行い、結果を樹脂粒子径と共に第1表に示す。
【0085】
比較例1
実施例1のポリエステル樹脂(A2−1)の代わりにポリエステル樹脂(x1)を使用した以外は実施例1と同様にして、体積平均粒子径が10.4μmで、粒度分布が1.47のポリエステル樹脂粒子分散体を得た。これを、(D−4)と略記する。(D−4)中のポリエステル樹脂粒子の形状を判定したところ、ひも状であった。
次に(D−4)を濾過して、ポリエステル樹脂の水洗を行い、乾燥させ、ポリエステル樹脂粒子を得た。これを(P−4)と略記する。(P−4)のT4は123℃で、Tgは8℃であった。
実施例1と同様の評価を行い、結果を樹脂粒子径と共に第2表に示す。
【0086】
比較例2
実施例1のポリエステル樹脂(A2−1)の代わりにポリエステル樹脂(x2)を使用した以外は実施例1と同様にして、体積平均粒子径が1.4μmで、粒度分布が1.32のポリエステル樹脂粒子分散体を得た。これを、(D−5)と略記する。(D−5)中のポリエステル樹脂粒子の形状を判定したところ、球形であった。
次に(D−5)を濾過して、ポリエステル樹脂の水洗を行い、乾燥させ、ポリエステル樹脂粒子を得た。これを(P−5)と略記する。(P−5)のT4は109℃で、Tgは49℃であった。実施例1と同様の評価を行い、結果を樹脂粒子径と共に第2表に示す。
【0087】
【表1】
Figure 0003741099
【0088】
【表2】
Figure 0003741099
【0089】
【発明の効果】
本発明の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体および接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子は、ポリエステル樹脂としてアルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを有する結晶性ポリエステル樹脂を用いることにより接着性、耐水性、耐溶剤性に優れる。
また、本発明の製造方法は、接着力、耐水性、耐溶剤性に優れる球形の樹脂粒子を含有する接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体および接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる回転型連続式分散装置の固定子の一例を示す斜視図である。
【図2】 本発明で用いる回転型連続式分散装置の回転子の一例を示す斜視図である。
【図3】 本発明で用いる回転型連続式分散装置の要部の一例を表した断面図である。
【図4】 図3のA−A’部を側面から見たときの固定子突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【符号の説明】
1 固定子
2 液入口
3 固定子の突起
4 固定子の円周溝
5 固定子突起のスリット
6 回転子の駆動軸
7 回転子
8 回転子の突起
9 回転子の円周溝
10 回転子突起のスリット

Claims (19)

  1. アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を中和してなる樹脂を必須成分として含有する球形樹脂粒子の水分散体であることを特徴とする、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体。
  2. 結晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融粘度が、1×104Pa・s となる温度が55〜170℃で、かつ、示差走査熱量計による結晶融解熱量が3〜60J/gである、請求項1記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体。
  3. 結晶性ポリエステル樹脂(A)が、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)法による重量平均分子量(Mw)が10,000〜300,000のポリエステル樹脂で、アルキル基またはアルケニル基が炭素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数4〜20のアルケニル基である、請求項1または2記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体。
  4. 結晶性ポリエステル樹脂(A)が、炭素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数4〜20のアルケニル基が結合している酸無水物を、末端に水酸基を有するポリエステル樹脂の末端水酸基に開環付加させて得られるポリエステル樹脂である、請求項1、2または3記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体。
  5. 結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が−20〜50℃である、請求項1、2または3記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体。
  6. 結晶性ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分の65〜100モル%がテレフタル酸であり、アルコール成分の70〜100モル%が1,5−ペンタンジオールである、請求項1、2または3記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体。
  7. アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基を含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分として含有する球形樹脂粒子、もしくは、該ポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を塩基性化合物で中和してなる樹脂を必須成分として含有する球形樹脂粒子であることを特徴とする、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子。
  8. 結晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融粘度が、1×104Pa・s となる温度が55〜170℃で、かつ、示差走査熱量計による結晶融解熱量が3〜60J/gである、請求項7記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子。
  9. 結晶性ポリエステル樹脂(A)が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による重量平均分子量(Mw)が10,000〜300,000のポリエステル樹脂で、アルキル基またはアルケニル基が炭素原子数4〜20のアルキル基又は炭素原子数4〜20のアルケニル基である、請求項7または8記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子。
  10. 結晶性ポリエステル樹脂(A)が、炭素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数4〜20のアルケニル基が結合している酸無水物を、末端に水酸基を有するポリエステル樹脂の末端水酸基に開環付加させて得られるポリエステル樹脂である、請求項7、8または9記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子。
  11. 結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が−20〜50℃である、請求項7、8または9記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子。
  12. 結晶性ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分の65〜100モル%がテレフタル酸であり、アルコール成分の70〜100モル%が1,5−ペンタンジオールである、請求項7、8または9記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子。
  13. 溶融粘度が、1×10 4 Pa・s となる温度が55〜170℃で、かつ、示差走査熱量計による結晶融解熱量が3〜60J/gである、アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分として含有する樹脂溶融体(I)を用い、該樹脂溶融体(I)に含有されているポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部の塩基性化合物による中和と、該樹脂溶融体(I)の溶融状態での加熱された水性媒体(II)中への分散とを行った後、得られた樹脂粒子分散体を冷却することを特徴とする、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体の製造方法。
  14. 結晶性ポリエステル樹脂(A)として酸価が5〜140mgKOH/gで、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)法による重量平均分子量(Mw)が10,000〜300,000であるポリエステル樹脂を用い、このポリエステル樹脂を必須成分として含有する樹脂溶融体を、溶融状態で、塩基性化合物を含有する加熱された水性媒体中に粒子状で分散させることにより、該樹脂のカルボキシル基の一部乃至全部の中和と樹脂溶融体の溶融状態での分散を行う、請求項13記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体の製造方法。
  15. スリットを有するリング状の突起を備えた固定子と、スリットを有するリング状の突起を備えた回転子とが、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けられた構造を有する回転型連続分散装置を用い、この分散装置の固定子と回転子の中心部分に、樹脂溶融体(I)と塩基性化合物を含有する加熱された水性媒体とを供給して、回転子を回転させながら該スリットと該間隔とを通して中心部分から外周の方向に流動させることにより、該水性媒体中に樹脂溶融体(I)を粒子状で分散させる、請求項14記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子分散体の製造方法。
  16. アルキル基および / またはアルケニル基とカルボキシル基とを含有する結晶性ポリエステル樹脂(A)を必須成分として含有する樹脂溶融体(I)を用い、該樹脂溶融体(I)に含有されているポリエステル樹脂(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部の塩基性化合物による中和と、該樹脂溶融体(I)の溶融状態での加熱された水性媒体中への分散とを行った後、得られた樹脂粒子分散体を冷却し、乾燥することを特徴とする、接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  17. 結晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融粘度が、1×10 4 Pa・s となる温度が55〜170℃で、かつ、示差走査熱量計による結晶融解熱量が3〜60J/gである、請求項16記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  18. 結晶性ポリエステル樹脂(A)として酸価が5〜140mgKOH/gで、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)法による重量平均分子量(Mw)が10,000〜300,000であるポリエステル樹脂を用い、このポリエステル樹脂を必須成分として含有する樹脂溶融体を、溶融状態で、塩基性化合物を含有する加熱された水性媒体中に粒子状で分散させることにより、該樹脂のカルボキシル基の一部乃至全部の中和と樹脂溶融体の溶融状態での分散を行う、請求項16記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造方法。
  19. スリットを有するリング状の突起を備えた固定子と、スリットを有するリング状の突起を備えた回転子とが、間隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けられた構造を有する回転型連続分散装置を用い、この分散装置の固定子と回転子の中心部分に、樹脂溶融体(I)と塩基性化合物を含有する加熱された水性媒体とを供給して、回転子を回転させながら該スリットと該間隔とを通して中心部分から外周の方向に流動させることにより、該水性媒体中に樹脂溶融体( I )を粒子状で分散させる、請求項18記載の接着剤用球形ポリエステル樹脂粒子の製造方法。
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