JP3741096B2 - 車載内燃機関の制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用エンジンにおいては、その出力調整が自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダルの踏込量(アクセル踏込量)に基づき行われる。アクセル踏込量はエンジンに対する出力要求の大きさを表すパラメータであり、このアクセル踏込量に基づくエンジンの出力調整によって要求されるエンジン出力が得られるようになる。例えば、ディーゼルエンジンにおいては、アクセル踏込量等に基づき燃料噴射量が制御され、これにより要求されるエンジン出力を得るための出力調整が行われる。
【0003】
また、近年の自動車用エンジン、特にディーゼルエンジンについては、排気中に含まれる窒素酸化物(NOx )の低減など排気エミッションの改善が要求されている。こうした要求を満たすため、例えば特許文献1〜5に示されるように、排気通路の排気を吸気通路に再循環することで燃料が燃焼するときの燃焼室内に当該燃焼に寄与しない排気を存在させ、これにより燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOx )の生成を抑制することが行われる。
【0004】
排気通路から吸気通路への排気の再循環量(EGR量)は、排気通路から吸気通路に排気を流すEGR通路に設けられたEGRバルブ、及び吸気通路に設けられたスロットルバルブのバルブ開度を調整することによって制御される。なお、このようにしてEGR量を制御することができるのは、EGRバルブの開度調整によってEGR通路の排気流通面積が変化するとともに、スロットルバルブの開度調整によって吸気通路の圧力が変化して排気通路内と吸気通路内との圧力差が変化するためである。
【0005】
上記EGR量については増量するほど排気中のNOx を低減することができる。ただし、EGR量が増量するほど燃焼室内に存在する排気の量が増えることから、燃焼室に空気が吸入されにくくなって吸入空気量は減少する。そして、吸入空気量が燃料噴射量に対して過度に少なくなると、燃料に対し酸素の少ない状態での燃料の燃焼が行われ、排気中において煤を主成分とする微粒子(パティキュレート)が増加することとなる。
【0006】
従って、EGR量の制御としては、燃料噴射量に対し吸入空気量が不足することのないよう燃料噴射量等に基づいて行われる。即ち、燃料噴射量が多くなるほどEGR量が少なくなるように、また燃料噴射量が少なくなるほどEGR量が多くなるようにされる。こうしたEGR量の制御によって、排気中のパティキュレートの量を許容値以下に抑えるのに必要な吸入空気量を確保しつつ、最大限のNOx 低減効果が得られるようになる。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−94036号公報
【特許文献2】
特開2002−213264号公報
【特許文献3】
特開2002−147290号公報
【特許文献4】
特開平8−240136号公報
【特許文献5】
特開昭60−192870号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車用エンジンにはクラッチ機構を介して変速機が連結される。この変速機の変速時にはエンジンと変速機との間の動力伝達を一時的に遮断するようクラッチ機構が動作させられるが、こうしたクラッチ機構の断接(解放・係合)を自動的に行うことも提案されている。また、変速機の変速時であってクラッチ機構の解放によってエンジンと変速機との間の動力伝達を遮断しているときには、エンジンの回転抵抗が小さくなってエンジン回転速度が過上昇しないよう、エンジンへの出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、エンジンの出力トルクを低下させるトルク制御が行われる。
【0009】
上記のようにトルク制御に起因して燃料噴射量が一時的に減量させられると、燃料噴射量等に応じて制御されるEGR量については一時的に増量しようとされる。しかし、燃料噴射量の変化に伴うEGR量の変化には応答遅れが存在することから、トルク制御によって燃料噴射量が一旦減量させられ、その後にエンジンへの出力要求に対応した値へと増量されるとき、当該燃料噴射量の変化に精度よく追従してEGR量を変化させることは困難である。
【0010】
このため、燃料噴射量が一旦減量させられた後に増量させられるとき、EGR量が上記増量後の燃料噴射量に適した値まで減量するのに遅れが生じて同燃料噴射量に対し過多になる。このようにEGR量が過多になると、その過多の分だけ燃焼室に吸入できる空気の量が少なくなるため、エンジンの吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなる。その結果、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われることから、排気中のパティキュレートの量が多くなることは避けられない。
【0011】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、変速機の変速時に、排気再循環量(EGR量)が過多になって排気中の微粒子(パティキュレート)の量が増加するのを抑制することのできる車載内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、車載内燃機関への出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同機関の排気通路から吸気通路への排気の再循環量を調整するEGR量調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する車載内燃機関の制御装置において、前記内燃機関にクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同機関と前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記EGR量調整手段を制御することに代えて、前記出力要求に基づき前記EGR量調整手段を制御するEGR制御手段とを備えた。
【0013】
変速機の変速時には、車載内燃機関への出力要求に関係なく燃料噴射量が一旦減量され、これにより変速に伴うクラッチ機構の解放時に機関回転速度が過上昇することは抑制される。更に、変速機の変速動作が行われた後、上記のように減量された燃料噴射量が同機関への出力要求に対応した値へと増量されるとともにクラッチ機構の係合が開始され、内燃機関と変速機との回転が合わせられた状態で両者が接合される。上記のように変速機の変速時に燃料噴射量が一時的に減量されるときには、EGR量調整手段が上記出力要求に基づき制御されるため、上記燃料噴射量の減量に伴い排気再循環量が変更されることはない。そのため、上記燃料噴射量が減量状態から同機関への出力要求に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する排気再循環量の変化に応答遅れが生じ、排気再循環量が過多になるのを抑制することができる。従って、変速機の変速時に、排気再循環量の過多に伴い吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなり、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われて排気中の微粒子の量が増加するのを抑制することができる。
【0014】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記EGR制御手段は、前記変速機の変速時には、前記内燃機関への出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、そのときのアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルクに基づき前記EGR量調整手段を制御するものとした。
【0015】
車載内燃機関の出力トルクは燃料噴射量に応じて変化する。このため、上記推定トルクは変速機の変速時における車載内燃機関への出力要求、即ちアクセル操作量に応じた燃料噴射量に対応する値となる。従って、推定トルクに基づきEGR量調整手段を制御することにより、変速機の変速時における燃料噴射量の一時的な減量に伴い排気再循環量が変更されることはなくなる。
【0016】
請求項3記載の発明では、車載内燃機関への出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同機関の排気通路から吸気通路への排気の再循環量を調整するEGR量調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する車載内燃機関の制御装置において、前記内燃機関にクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同機関と前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、前記出力トルクを低下させるトルク制御手段と、前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記EGR量調整手段を制御することに代えて、前記EGR量調整手段を前記変速直前の状態に固定する固定制御を行うEGR制御手段とを備えた。
【0017】
変速機の変速時には、車載内燃機関への出力要求に関係なく燃料噴射量が一旦減量され、これにより変速に伴うクラッチ機構の解放時に機関回転速度が過上昇することは抑制される。更に、変速機の変速動作が行われた後、上記のように減量された燃料噴射量が同機関への出力要求に対応した値へと増量されるとともにクラッチ機構の係合が開始され、内燃機関と変速機との回転が合わせられた状態で両者が接合される。上記のように変速機の変速時に燃料噴射量が一時的に減量されるときには、EGR量調整手段を変速機の変速直前の状態に固定する固定制御が行われるため、上記燃料噴射量の減量に伴い排気再循環量が変更されることはない。そのため、上記燃料噴射量が減量状態から同機関への出力要求に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する排気再循環量の変化に応答遅れが生じ、排気再循環量が過多になるのを抑制することができる。従って、変速機の変速時に、排気再循環量の過多に伴い吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなり、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われて排気中の微粒子の量が増加するのを抑制することができる。
【0018】
請求項4記載の発明では、車載内燃機関への出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同機関の排気通路から吸気通路への排気の再循環量を調整するEGR量調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する車載内燃機関の制御装置において、前記内燃機関にクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同機関と前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、前記出力トルクを低下させるトルク制御手段と、前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記EGR量調整手段を制御することに代えて、そのときの車載内燃機関への出力要求及び前記変速機の変速態様から予測される変速直後の同機関の出力トルクに基づき前記EGR量調整手段を制御するEGR制御手段とを備えた。
【0019】
変速機の変速時には、車載内燃機関への出力要求に関係なく燃料噴射量が一旦減量され、これにより変速に伴うクラッチ機構の解放時に機関回転速度が過上昇することは抑制される。更に、変速機の変速動作が行われた後、上記のように減量された燃料噴射量が同機関への出力要求に対応した値へと増量されるとともにクラッチ機構の係合が開始され、内燃機関と変速機との回転が合わせられた状態で両者が接合される。上記のように変速機の変速時に燃料噴射量が一時的に減量されるときには、EGR量調整手段が変速直後の同機関の出力トルクの予測値に基づき制御されるため、上記燃料噴射量の減量に伴い排気再循環量が変更されることはない。そのため、上記燃料噴射量が減量状態から同機関への出力要求に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対する排気再循環量の変化に応答遅れが生じ、排気再循環量が過多になるのを抑制することができる。従って、変速機の変速時に、排気再循環量の過多に伴い吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなり、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われて排気中の微粒子の量が増加するのを抑制することができる。
【0020】
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明において、前記EGR制御手段は、前記変速機の変速が行われるときには、前記内燃機関への出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、変速直前のアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルク及び前記変速機の変速態様に基づき、前記変速直後の同機関の出力トルクを予測するものとした。
【0021】
車載内燃機関の出力トルクは燃料噴射量に応じて変化する。このため、上記推定トルクは変速機の変速直前における車載内燃機関への出力要求、即ちアクセル操作量に応じた燃料噴射量に対応する値となる。更に、推定トルク及び変速機の変速態様に基づく変速直後の機関出力トルクの予測値は、変速直後における車載内燃機関への出力要求、即ち上記アクセル操作量に応じた変速直後の燃料噴射量に対応した値となる。従って、上記予測値に基づきEGR量調整手段を制御することにより、変速機の変速時における燃料噴射量の一時的な減量に伴い排気再循環量が変更されることはなくなる。
【0022】
請求項6記載の発明では、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記EGR量調整手段は、前記排気通路の排気を前記吸気通路に流すEGR通路に設けられたEGRバルブと、前記吸気通路に設けられたスロットルバルブとの少なくとも一方であることを要旨とした。
【0023】
排気再循環量は、EGRバルブとスロットルバルブとの少なくとも一方のバルブ開度を調整することによって制御される。このようにして排気再循環量を制御することができるのは、EGRバルブの開度調整によってEGR通路の排気流通面積が変化するとともに、スロットルバルブの開度調整によって吸気通路の圧力が変化して排気通路内と吸気通路内との圧力差が変化するためである。従って、変速機の変速時の排気再循環量の制御は、EGRバルブやスロットルバルブの開度制御を通じて行われ、同制御によって変速時に排気再循環量が過多になることが抑制されるようになる。
【0024】
請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明において、通常の機関運転時に、そのときの燃料噴射量に基づき目標吸入空気量を算出し、同機関の実吸入空気量が前記目標吸入空気量に近づくよう、EGRバルブとスロットルバルブとの少なくとも一方の開度を補正する補正手段を更に備えた。
【0025】
内燃機関の吸入空気量は、EGRバルブとスロットルバルブとの少なくとも一方のバルブ開度を調整することによって制御される。このようにして吸入空気量を制御することができるのは、EGRバルブの開度調整によって燃焼室に吸入される排気の量が変化するとともに、スロットルバルブの開度調整によって吸気通路の空気流通面積が変化するためである。通常の機関運転時には実吸入空気量が目標吸入空気量に近づくようEGRバルブやスロットルバルブの開度が補正され、これにより燃料噴射量に対し適切な吸入空気量が得られるようにされる。仮に、変速機の変速時に燃料噴射量の一時的な減量に伴いEGRバルブやスロットルバルブが排気再循環量を量する側に制御されるとすると、変速機の変速が終了した後に実吸入空気量を目標吸入空気量に収束させるべくEGRバルブやスロットルバルブの開度補正が行われるとき、その収束性が低下する。これは、上記のようにEGRバルブやスロットルバルブが排気再循環量を量する側に制御されているときの実吸入空気量が、変速機の変速終了後の目標吸入空気量に対し大幅に量側の値となっているためである。しかし、上記構成によれば、変速機の変速時に燃料噴射量が一時的に減量されるときには、EGRバルブやスロットルバルブが当該燃料噴射量に基づき排気再循環量を量する側に制御されることはないため、上記のような実吸入空気量の目標吸入空気量への収束性の低下を抑制することができる。
【0026】
請求項8記載の発明では、請求項7記載の発明において、前記補正手段は、前記変速機の変速時には、前記内燃機関への出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、そのときのアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、実吸入空気量が前記推定トルクに基づき算出される目標吸入空気量に近づくよう、EGRバルブとスロットルバルブとの少なくとも一方の開度を補正するものとした。
【0027】
車載内燃機関の出力トルクは燃料噴射量に応じて変化する。このため、上記推定トルクは変速機の変速時における車載内燃機関への出力要求、即ちアクセル操作量に応じた燃料噴射量に対応する値となる。従って、変速機の変速時に、実吸入空気量が上記推定トルクに基づき算出される目標吸入空気量に近づくよう、EGRバルブやスロットルバルブの開度補正を行うことで、変速機の変速終了後に実吸入空気量を目標吸入空気量に速やかに収束させることができる。これは、変速機の変速時にEGRバルブやスロットルバルブが開度補正されているときの実吸入空気量が、変速機の変速終了後の目標吸入空気量に対し近い値となるためである。
【0028】
請求項9記載の発明では、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記変速機は運転状況に応じて自動的に変速されるものであり、前記EGR制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき前記EGR量調整手段の制御を開始するものとした。
【0029】
運転状況に応じて変速機の自動的な変速を行うべく変速要求がなされたとき、EGR制御手段によるEGR量調整手段の制御が開始され、同制御により変速機の変速時に排気再循環量が過多になることは抑制される。従って、上記のように変速が行われる変速機が採用されている場合において、排気再循環量の過多を抑制するためのEGR制御手段によるEGR量調整手段の制御を的確に開始することができるようになる。
【0030】
請求項10記載の発明では、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記変速機は運転者のシフト操作に応じて変速されるものであり、前記EGR制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき前記EGR量調整手段の制御を開始するものとした。
【0031】
運転者のシフト操作に応じて変速機を変速させるべく変速要求がなされたとき、EGR制御手段によるEGR量調整手段の制御が開始され、同制御により変速機の変速時に排気再循環量が過多になることは抑制される。従って、上記のように変速が行われる変速機が採用されている場合において、排気再循環量の過多を抑制するためのEGR制御手段によるEGR量調整手段の制御を的確に開始することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明を、自動車用のディーゼルエンジンに適用した第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0033】
図1に示されるディーゼルエンジン1においては、吸気通路2を通過する空気と燃料噴射弁3から噴射される燃料とが燃焼室4内に供給され、この燃料を燃焼させるときの燃焼エネルギによってピストン5が往復移動させられる。燃料が燃焼した後の燃焼室4内の排気は排気通路6に送り出される。また、ピストン5の往復移動は、コネクティングロッド7によってディーゼルエンジン1の出力軸であるクランクシャフト8の回転に変換される。クランクシャフト8の回転は、変速機9等を介して自動車の車輪(図示せず)に伝達される。
【0034】
上記変速機9は、例えば1速〜5速といった複数の変速段を有し、自動車の走行状態(運転状態)や運転者からの要求に応じて当該変速段の切り換えを行うものである。この変速機9の入力軸9aとディーゼルエンジン1のクランクシャフト8とは、両者の間を断接するクラッチ機構10を介して連結されている。そして、変速機9の変速を行う際には、まずクラッチ機構10が解放されてディーゼルエンジン1と変速機9との間で回転伝達が行われない状態とされ、この状態で変速機9の変速動作が行われた後にクラッチ機構10が係合される。
【0035】
また、ディーゼルエンジン1には、排気通路6内の排気を吸気通路2に流すEGR通路11が設けられている。このEGR通路11を通じての排気通路6から吸気通路2への排気の再循環は、例えば燃料の燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOx )の生成を抑制し、ディーゼルエンジン1のNOx エミッションの低減を図るといった目的のもとに実行される。
【0036】
上記排気の再循環量(EGR量)は、EGR通路11に設けられたEGRバルブ12の開度調整、及び吸気通路2に設けられたスロットルバルブ13の開度調整によって制御される。このようにしてEGR量を制御することができるのは、EGRバルブ12の開度調整によってEGR通路11の排気流通面積が変化するとともに、スロットルバルブ13の開度調整によって吸気通路2内の圧力が変化して排気通路6内と吸気通路2内との圧力差が変化するためである。
【0037】
次に、ディーゼルエンジン1の制御装置の電気的構成を説明する。
この制御装置は、自動車に搭載されたエンジンコントロールコンピュータ14、及びトランスミッションコントロールコンピュータ15を備えている。エンジンコントロールコンピュータ14は、ディーゼルエンジン1における燃料噴射量制御、EGRバルブ12の開度制御、スロットルバルブ13の開度制御といったエンジン制御を行うものである。また、トランスミッションコントロールコンピュータ15は、変速機9及びクラッチ機構10を駆動制御するものである。そして、エンジンコントロールコンピュータ14とトランスミッションコントロールコンピュータ15とは互いに通信可能に接続されている。
【0038】
エンジンコントロールコンピュータ14には、以下に示される各種信号が入力される。
・自動車の運転者によって操作されるアクセルペダル16の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ17からの検出信号。
【0039】
・クランクシャフト8の回転に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ18からの検出信号。
・吸気通路2内を通過する空気の量(吸入空気量)を検出するエアフローメータ19からの検出信号。
【0040】
ディーゼルエンジン1においては、エンジンコントロールコンピュータ14による燃料噴射量制御によって出力トルクが調整される。こうした燃料噴射量制御は、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NE等から算出される燃料噴射量指令値Qfin に基づき燃料噴射弁3を駆動制御することによって行われる。なお、アクセル踏込量ACCPはアクセルポジションセンサ17からの検出信号に基づき求められ、エンジン回転速度NEはクランクポジションセンサ18からの検出信号に基づき求められる。
【0041】
上記のようにエンジンコントロールコンピュータ14を通じて燃料噴射弁3を駆動制御することにより、燃料噴射量指令値Qfin に対応した量の燃料が噴射されてディーゼルエンジン1の出力トルクが調整されるようになる。燃料噴射量指令値Qfin の算出に用いられるアクセル踏込量ACCPは、運転者による自動車への走行要求、言い換えればディーゼルエンジン1への出力要求を表すパラメータである。従って、燃料噴射量指令値Qfin に基づき燃料噴射量を制御することで、運転者から要求される出力トルクが得られるようディーゼルエンジン1の出力トルクが調整されることとなる。
【0042】
また、エンジンコントロールコンピュータ14は、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13のバルブ開度を調整することによってEGR量を制御する。このEGR量については、増量するほど排気中のNOx を低減することができる。ただし、EGR量が増量するほど燃焼室4内に存在する排気の量が増えることから、吸気通路2から燃焼室4に空気が吸入されにくくなって吸入空気量は減少する。そして、吸入空気量が燃料噴射量に対して過度に少なくなると、燃料に対し酸素の少ない状態での燃料の燃焼が行われ、排気中において煤を主成分とする微粒子(パティキュレート)が増加する。
【0043】
従って、EGR量を制御するためのEGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度調整としては、燃料噴射量に対し吸入空気量が不足することのないよう燃料噴射量指令値Qfin 等に基づいて行われる。
【0044】
即ち、燃料噴射量指令値Qfin 及びエンジン回転速度NEに基づき、EGRバルブ12の開度制御に用いられるEGR開度指令値Et、及びスロットルバルブ13の開度制御に用いられるスロットル開度指令値TAtが算出される。EGR開度指令値Etについては、エンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、燃料噴射量指令値Qfin が大きくなるほど小とされるとともに、燃料噴射量指令値Qfin が小さくなるほど大とされる。また、スロットル開度指令値TAtについては、エンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、燃料噴射量指令値Qfin が大きくなるほど大とされるとともに、燃料噴射量指令値Qfin が小さくなるほど小とされる。
【0045】
そして、エンジンコントロールコンピュータ14を通じてEGR開度指令値Etに基づきEGRバルブ12が駆動されるとともに、スロットル開度指令値TAtに基づきスロットルバルブ13が駆動され、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13のバルブ開度が調整される。これにより、EGR量は、燃料噴射量指令値Qfin が多くなるほど少なくされるとともに燃料噴射量指令値Qfin が少なくなるほど多くされ、燃料噴射量(燃料噴射量指令値Qfin )に対し吸入空気量が過度に少なくなることのない最大限のEGR量が得られるようにされる。
【0046】
こうしたEGR量の制御によって、排気中のパティキュレートの量を許容値以下に抑えるのに必要な吸入空気量を確保しつつ、最大限のNOx 低減効果を得ることが可能となる。
【0047】
また、ディーゼルエンジン1においては、上記必要な吸入空気量の確保を一層確実なものとするために、吸入空気量のフィードバック制御も行われる。同制御については、エアフローメータ19からの検出信号に基づき求められる実吸入空気量GArが、そのときにパティキュレート量を許容値以下に抑えるのに必要な吸入空気量である目標吸入空気量GAtに近づくよう、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13のバルブ開度を補正することによって実現される。
【0048】
こうしたフィードバック制御を実行することにより、ディーゼルエンジン1の実吸入空気量GArが目標吸入空気量GAtに収束するようになる。なお、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度調節によって吸入空気量を制御することができるのは、EGRバルブ12の開度調節によって燃焼室4に吸入される排気の量が変化するとともに、スロットルバルブ13の開度調節によって吸気通路2の空気流通面積が変化するためである。
【0049】
一方、トランスミッションコントロールコンピュータ15には、以下に示される各種信号が入力される。
・変速機9の入力軸9aの回転速度を検出する入力回転速度センサ20からの信号。
【0050】
・自動車の車速を検出する車速センサ21からの検出信号。
・運転者によって操作されるシフトレバー22の位置に対応した信号。
上記シフトレバー22は、変速機9のシフトアップやシフトダウンといった変速を行う際の変速モードを、自動車の走行状態や走行要求に応じて自動的に上記変速を行う自動モードと、運転者によるシフトレバー22の操作に基づいて上記変速を行う手動モードとの間で切り換えるのに用いられる。なお、変速機9の変速は、自動モードでは車速センサ21からの検出信号から求められる車速、及びアクセル踏込量ACCPに基づき自動的に行われ、手動モードでは運転者によるシフトレバー22の変速操作(シフト操作)によって行われる。
【0051】
トランスミッションコントロールコンピュータ15は、自動モードでの車速やアクセル踏込量ACCPといった運転状態の変化、若しくは手動モードでのシフトレバー22の変速操作に基づき変速機9の変速を行う。その際、変速要求があった旨の信号や、各変速段のうちのいずれの変速段からいずれの変速段への変速であるかなど変速情報に対応した信号(変速信号)が、トランスミッションコントロールコンピュータ15からエンジンコントロールコンピュータ14に出力される。
【0052】
次に、変速機9の変速時におけるディーゼルエンジン1、クラッチ機構10、及び変速機9の各種制御について、図2のタイムチャートを併せ参照して説明する。
【0053】
変速機9の変速時には、ディーゼルエンジン1と変速機9との間で回転伝達(動力伝達)が行われないよう、トランスミッションコントロールコンピュータ15を通じてクラッチ機構10が駆動制御され、同機構10の断接が自動的に行われる。
【0054】
即ち、まず変速機9の変速動作の開始前、例えば図2(a)に示されるように変速要求があったときにクラッチ機構10が解放され、ディーゼルエンジン1と変速機9との間の動力伝達が一時的に遮断される(タイミングt1)。この状態で、シフトアップやシフトダウンなど変速機9の変速動作が行われる。クラッチ機構10が解放されている間には、ディーゼルエンジン1の回転抵抗が小さくなることから、それに伴いエンジン回転速度NEが過上昇しないよう、ディーゼルエンジン1への出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、同エンジン1の出力トルクを低下させるトルク制御が行われる。
【0055】
こうしたトルク制御のための燃料噴射量の減量は、通常はアクセル踏込量ACCP(出力要求)等に基づき算出される燃料噴射量指令値Qfin を、図2(d)に示されるアクセル踏込量ACCPに関係なく図2(e)に示されるように所定値まで小さくすることによって実現される。なお、当該所定値としては、例えばディーゼルエンジン1の出力トルクが「0Nm」となるような値を採用することが好ましい。上記のように燃料噴射量指令値Qfin を小さくすることで、ディーゼルエンジン1の燃料噴射量が減量され、同エンジン1の出力トルクが図2(c)に実線で示されるように小さくされる。
【0056】
上記トルク制御が実行されることにより、クラッチ機構10が解放されている間のエンジン回転速度NEは、図2(b)に破線で示されるように徐々に低下する。また、変速機9の入力軸9aの回転速度である入力回転速度NIは、クラッチ機構10の解放後、変速機9の変速態様に応じて推移することとなる。この入力回転速度NIは入力回転速度センサ20からの検出信号に基づき求められる。図2(b)の実線は、変速機9がシフトアップする場合の入力回転速度NIの推移を示している。この場合の入力回転速度NIは、クラッチ機構10の解放後、当該シフトアップに伴うギヤ比の変化に基づいて徐々に低下する。
【0057】
上記シフトアップのための変速動作が終了すると(タイミングt2)、図2(e)に示されるように燃料噴射量指令値Qfin がアクセル踏込量ACCP(出力要求)及びエンジン回転速度NEに対応した値に向けて徐々に大きくされて燃料噴射量が徐々に増量されるとともに、クラッチ機構10の係合が開始される。これにより、エンジン回転速度NEと入力回転速度NIとの回転が合わされ、クラッチ機構10の係合によるクランクシャフト8と入力軸9aとの接合が行われる(タイミングt3)。そして、同接合が行われることによって変速機9の変速(この場合はシフトアップ)が終了する。
【0058】
ところで、上記トルク制御のために燃料噴射量を一時的に減量する際には、燃料噴射量指令値Qfin がアクセル踏込量ACCP(出力要求)に関係なく所定値まで小さくされ、その後にアクセル踏込量ACCPに対応した値まで大きくされる。この燃料噴射量指令値Qfin は、EGR開度指令値Etやスロットル開度指令値TAtの算出に用いられている。
【0059】
このため、燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくなると、それに対応してEGR開度指令値Etが図2(g)に細い実線で示されるように一時的に大きい値になるとともに、スロットル開度指令値TAtが図2(f)に細い実線で示されるように一時的に小さい値となる。その結果、EGRバルブ12が図2(g)に破線で示されるように一時的にEGR量を増量する側である開き側に制御されるとともに、スロットルバルブ13が図2(f)に破線で示されるように一時的にEGR量を増量する側である閉じ側に制御される。
【0060】
上記のEGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度制御により、一時的に小さくされる燃料噴射量指令値Qfin に対応してEGR量が一時的に増量されるようになる。このときのEGR量の変化については、図2(h)に細い実線で示されるように燃料噴射量指令値Qfin の変化に対応して行われることが理想であるが、実際には同燃料噴射量指令値Qfin の変化に対して破線で示されるように応答遅れが生じる。
【0061】
これは、燃料噴射量指令値Qfin の変化に応じてEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが直ちに変化したとしても、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13の作動に図2(g)及び図2(f)に破線で示されるような応答遅れが生じることが一因である。また、上記EGRバルブ12及びスロットルバルブ13の作動に対して実際にEGR量が変化するのにも応答遅れがあり、このことも上記燃料噴射量指令値Qfin の一時的な変化に対するEGR量の変化の応答遅れの原因となっている。
【0062】
そして、EGR量の変化に応答遅れが生じると、トルク制御のために燃料噴射量が一旦減量させられた後にアクセル踏込量ACCPに対応した値に向けて増量されるとき、当該燃料噴射量の変化に追従して精度良くEGR量を変化させることは困難になる。このため、上記のように燃料噴射量が一旦減量させられた後に増量させられるとき、EGR量が上記増量後の燃料噴射量に適した値まで減量するのに遅れが生じ、同燃料噴射量に対し図2(h)に斜線で示される面積に対応した分だけEGR量が過多になる。このようにEGR量が過多になると、その過多の分だけ燃焼室4に吸入できる空気の量が少なくなり、ディーゼルエンジン1の吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなる。その結果、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われることから、排気中のパティキュレートの量が多くなることは避けられない。
【0063】
こうした問題を解決するため、本実施形態では、変速機9の変速時には、燃料噴射量指令値Qfin 等に基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを算出する代わりに、アクセル踏込量ACCP(出力要求)等に基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを算出する。
【0064】
即ち、まずアクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき、そのときのアクセル踏込量ACCP(出力要求)によって通常のエンジン運転時に得られる出力トルクを推定トルクTeとして算出する。こうして算出される推定トルクTeは、燃料噴射量の一時的な減量が行われているとき、図2(c)に破線で示されるように、ほぼ一定となるように推移することとなる。この推定トルクTe及びエンジン回転速度NEに基づき、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを算出する。
【0065】
その結果、EGR開度指令値Etは図2(g)に太い実線で示されるように推定トルクTe等に対応してほぼ一定となるように推移し、スロットル開度指令値TAtは図2(f)に太い実線で示されるように推定トルクTe等に対応してほぼ一定となるように推移する。従って、EGR開度指令値Etに基づき開度制御されるEGRバルブ12は上記EGR開度指令値Etの推移に対応してほぼ一定となるように推移し、スロットル開度指令値TAtに基づき開度制御されるスロットルバルブ13は上記スロットル開度指令値TAtの推移に対応してほぼ一定となるように推移する。
【0066】
従って、変速機9の変速時に燃料噴射量の一時的な減量が行われる際、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13は、上記減量に伴い一時的にEGR量を減量させる側に開度変更されることなくほぼ一定となるように推移し、それに応じて、EGR量も図2(h)に示されるようにほぼ一定となるように推移する。このため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき、その変化に対するEGR量の減量に応答遅れが生じることはなく、その応答遅れに起因してEGR量が過多になるのを抑制することができる。そして、上記EGR量の過多に伴いディーゼルエンジン1の吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなり、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われて排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0067】
次に、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの算出手順について、バルブ開度指令値算出ルーチンを示す図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。このバルブ開度指令値算出ルーチンは、エンジンコントロールコンピュータ14を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0068】
バルブ開度指令値算出ルーチンにおいて、変速機9の変速中であるか否かを判断するための変速フラグFが「0(非変速中)」であり(図3のS101:YES)、且つ変速要求がないときには(S102:YES)、通常のEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの算出が行われる(S103)。即ち、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが、燃料噴射量指令値Qfin 及びエンジン回転速度NEに基づき算出される。
【0069】
続いて、ディーゼルエンジン1における吸入空気量のフィードバック制御に用いられる目標吸入空気量GAtが、燃料噴射量指令値Qfin 及びエンジン回転速度NEに基づき、そのときの排気中のパティキュレート量を許容値以下に抑えるのに必要な吸入空気量として算出される(S104)。その後、実吸入空気量GArと目標吸入空気量GAtとの差に基づき、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの補正に用いられるフィードバック補正値H1,H2が増減される(S105)。
【0070】
即ち、EGR開度指令値Etの補正に用いられるフィードバック補正値H1は、実吸入空気量GArが目標吸入空気量GAtよりも小である間は、EGR開度指令値Etを小さくすべく徐々に減少する。逆に実吸入空気量GArが目標吸入空気量GAtよりも大である間は、EGR開度指令値Etを大きくすべくフィードバック補正値H1は徐々に増加する。また、スロットル開度指令値TAtの補正に用いられるフィードバック補正値H2は、実吸入空気量GArが目標吸入空気量GAtよりも小である間は、スロットル開度指令値TAtを大きくすべく徐々に増加する。逆に実吸入空気量GArが目標吸入空気量GAtよりも大である間は、スロットル開度指令値TAtを小さくすべくフィードバック補正値H2は徐々に減少する。
【0071】
これらフィードバック補正値H1、H2を用いてEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが補正され(S106)、補正後の開度指令値Et,TAtに基づきEGRバルブ12及びスロットルバルブ13が開度制御される。このEGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度制御により、EGR量が排気中のパティキュレートの量を許容値以下に抑えるのに必要な吸入空気量を的確に確保しつつ、最大限のNOx 低減効果を得ることの可能な値に制御されるようになる。
【0072】
バルブ開度指令値算出ルーチンにおいて、ステップS102の処理で否定判定がなされて変速要求ありの旨判断されると、ステップS109(図4)に進んで変速フラグFが「1(変速中)」とされた後、ステップS110〜S112の処理が実行される。また、変速フラグFが「1」にされると、以降のステップS101(図3)では否定判定がなされ、ステップS110〜S112に進むようになる。従って、変速機9の変速中はステップS110〜S112の処理が実行される。
【0073】
この処理として、ステップS110ではアクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき推定トルクTeが算出される。また、ステップS111では、例えば図5及び図6のマップを参照してエンジン回転速度NE及び推定トルクTeに基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出される。更に、ステップS112では、推定トルクTe及びエンジン回転速度NEに基づき、ディーゼルエンジン1における吸入空気量のフィードバック制御に用いられる目標吸入空気量GAtが算出される。
【0074】
従って、変速機9の変速中は、燃料噴射量指令値Qfin 等に基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出される代わりに、アクセル踏込量ACCPから求められる推定トルクTe等に基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出されるようになる。また、変速機9の変速中には、燃料噴射量指令値Qfin 等に基づき目標吸入空気量GAtが算出される代わりに、上記推定トルクTe等に基づき目標吸入空気量GAtが算出されることとなる。
【0075】
なお、上記EGR開度指令値Etについては、図6に示されるように、例えばエンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、推定トルクTeが大きくなるほど小になるとともに推定トルクTeが小さくなるほど大になる。また、スロットル開度指令値TAtについては、図5に示されるように、例えばエンジン回転速度NEが一定という条件のもとで、推定トルクTeが大きくなるほど大になるとともに、推定トルクTeが小さくなるほど小になる。
【0076】
ステップS110〜S112の処理が実行された後、ステップS105(図)に進む。そして、フィードバック補正値H1,H2の増減(S105)、及び同補正値H1,H2によるEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの補正(S106)が行われた後、変速機9の変速が終了したか否かが判断される(S107)。ここで肯定判定であれば、変速フラグFが「0(非変速中)」とされる(S108)。
【0077】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)変速機9の変速時に、アクセル踏込量ACCP(出力要求)に関係なく燃料噴射量指令値Qfin を一時的に小さくする際には、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが燃料噴射量指令値Qfin の代わりにアクセル踏込量ACCPから求められる推定トルクTe等に基づき算出されるようになる。この推定トルクTeは、変速機9の変速時におけるアクセル踏込量ACCPによって通常のエンジン運転時に得られる理論上の出力トルクである。ディーゼルエンジン1の出力トルクは燃料噴射量に応じて変化するため、推定トルクTeは変速機9の変速時におけるアクセル踏込量ACCP(出力要求)に応じた燃料噴射量に対応する値となる。従って、推定トルクTe等から求められるEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtに基づきEGRバルブ12及びスロットルバルブ13を制御することにより、変速機9の変速時に燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくなったとしても、上記各バルブ12,13はほぼ一定とされる。その結果、上記燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくされることに伴い、EGR量が一時的に量されることはなくなり、同燃料噴射量指令値Qfin の減量状態からの増量に対しEGR量の減量に応答遅れが生じることはない。このため、変速機9の変速時に、EGR量が上記応答遅れによって過多となることに伴い、その過多の分だけ吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなり、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われて排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0078】
(2)通常のエンジン運転時には、実吸入空気量GArが目標吸入空気量GAtに近づくよう、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度をフィードバック補正値H1,H2に基づき補正する吸入空気量のフィードバック制御が行われる。仮に、変速機9の変速時に燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくされることに伴いEGRバルブ12及びスロットルバルブ13が一時的にEGR量を量する側に制御されると、変速の終了後に実吸入空気量GArを目標吸入空気量GAtに収束させる際の収束性が低下する。これは、上記のようにEGRバルブ12及びスロットルバルブ13がEGR量を量する側に制御されているときの実吸入空気量GArが目標吸入空気量GAtに対し大幅に量側の値となっているためである。しかし、変速機9の変速時に燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくされるときには、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13がEGR量を量する側に制御されることはないため、上記実吸入空気量GArの目標吸入空気量GAtへの収束性の低下を抑制することができる。
【0079】
(3)変速機9の変速時には、吸入空気量のフィードバック制御に用いられる目標吸入空気量GAtが、燃料噴射量指令値Qfin に代えて推定トルクTeに基づき算出されるようになる。推定トルクTeは、変速機9の変速時におけるアクセル踏込量ACCP(出力要求)に応じた燃料噴射量に対応する値となる。従って、変速機9の変速時に、実吸入空気量GArが上記目標吸入空気量GAtに近づくよう、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度をフィードバック補正値H1,H2に基づき補正することで、変速機9の変速終了後に実吸入空気量GArを目標吸入空気量GAtに速やかに収束させることができる。これは、変速機9の変速時にEGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度が上記のように補正されているとき、実吸入空気量GArが変速機9の変速終了後の目標吸入空気量GAtに対し近い値となるためである。
【0080】
(4)自動モードでの運転状態に基づく自動的な変速、及び手動モードでの運転者のシフト操作に基づく変速が行われる際、トランスミッションコントロールコンピュータ15からエンジンコントロールコンピュータ14に変速要求があった旨の信号が出力される。そして、この変速要求がなされたとき、推定トルクTe等から算出されたEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtに基づくEGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度制御が開始され、変速機9の変速時にEGR量がその応答遅れに起因して過多になることは抑制される。従って、上記のように変速が行われる変速機9が採用されている場合において、EGR量の過多を抑制するための上記EGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度制御を的確に開始することができる。
【0081】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
この実施形態では、変速機9の変速時に、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度を変速直前の状態に固定する固定制御が行われる。この固定制御により、変速機9の変速時に燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくされたとしても、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13がEGR量を量する側に制御されることはなくなる。従って、燃料噴射量指令値Qfin の減量状態からの増量に対するEGR量の減量に応答遅れが生じることもなく、当該応答遅れによってEGR量が過多となることは抑制される。
【0082】
ここで、上記固定制御について、図7のタイムチャートを併せ参照して詳しく説明する。
変速要求がなされたとき(タイミングt1)、燃料噴射量指令値Qfin 及びエンジン回転速度NEに基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出される。そして、変速機9の変速中には、EGR開度指令値Etが上記のように算出された値に固定されて図7(g)に太い実線で示されるように一定とされ、スロットル開度指令値TAtも上記のように算出された値に固定されて図7(f)に太い実線で示されるように一定とされる。その結果、EGR開度指令値Etに基づき開度制御されるEGRバルブ12、及びスロットル開度指令値TAtに基づき開度制御されるスロットルバルブ13が一定となり、EGR量も図(h)に太い実線で示されるように一定となる。
【0083】
変速機9の変速時には、燃料噴射量(燃料噴射量指令値Qfin )の一時的な減量が行われるが、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13は上記のように一定となってEGR量を量する側に開度変更されることはないことから、EGR量が一定とされるようになる。このため、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき(タイミングt2後)、その変化に対するEGR量の減量に応答遅れが生じてEGR量が図(h)に斜線で示される面積に対応した分だけ過多になることは抑制される。
【0084】
次に、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの算出手順について説明する。本実施形態では、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを算出するためのバルブ開度指令値算出ルーチンとして、第1実施形態のバルブ開度指令値算出ルーチンにおけるステップS109〜S112(図3)の処理を、図8に示されるステップS201〜S204の処理に代えたものが用いられる。
【0085】
このため、本実施形態のバルブ開度指令値算出ルーチンでは、変速要求がなされると、ステップS201の処理で変速フラグFが「1(変速中)」にされる。続いて、ステップS202の処理では、燃料噴射量指令値Qfin 及びエンジン回転速度NEに基づき、固定用のEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出される。このEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtは変速直前の値であって、変速機9の変速中はEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが上記の値に固定されることとなる。
【0086】
また、変速機9の変速中においては、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき推定トルクTeが算出され(S203)、同推定トルクTe及びエンジン回転速度NEに基づき吸入空気量のフィードバック制御に用いられる目標吸入空気量GAtが算出される(S204)。この目標吸入空気量GAtに対し実吸入空気量GArが何らかの理由によって離れた場合には、固定制御中であってもEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが実吸入空気量GArを目標吸入空気量GAtに近づける側に補正される。
【0087】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(5)変速機9の変速時には、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを変速直前の値に固定する固定制御が実行されるため、一時的に小さくされる燃料噴射量指令値Qfin に対応してEGRバルブ12及びスロットルバルブ13がEGR量を量させる側に開度変化することはなくなる。このため、燃料噴射量指令値Qfin の減量状態からの増量に対するEGR量の減量に応答遅れが生じることもなく、当該応答遅れによってEGR量が過多となることは抑制される。従って、このEGR量の過多の分だけ吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなり、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われて排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0088】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図9及び図10を参照して説明する。
この実施形態では、変速機9の変速時には、変速直後の推定トルクTeである変速後トルクTe2、及び変速直後のエンジン回転速度NEである変速後エンジン回転速度NE2に基づき、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出される。これらEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtに基づきEGRバルブ12及びスロットルバルブ13を開度制御することで、変速機9の変速時に燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくされたとしても、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13がEGR量を量する側に制御されることはなくなる。従って、燃料噴射量指令値Qfin の減量状態からの増量に対するEGR量の減量に応答遅れが生じることもなく、当該応答遅れによってEGR量が過多となることは抑制される。
【0089】
ここで、変速後トルクTe2及び変速後エンジン回転速度NE2の算出について、並びに、それらから求められるEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtに基づくEGRバルブ12及びスロットルバルブ13の開度制御について、図9のタイムチャートを参照して説明する。
【0090】
変速要求がなされたとき(タイミングt1)、アクセル踏込量ACCP(出力要求)及びエンジン回転速度NEに基づき、そのときの推定トルクが変速前トルクTe1として算出される。また、そのときのエンジン回転速度NEは変速前エンジン回転速度NE1として用いられる。そして、変速前エンジン回転速度NE1及び変速前トルクTe1は、変速後の変速段に対応した所定の係数を乗算すること等により、それぞれ変速直後のエンジン回転速度NEである変速後エンジン回転速度NE2、及び変速直後の推定トルクTeである変速後トルクTe2に変換される。
【0091】
これら変速後エンジン回転速度NE2及び変速後トルクTe2に基づき、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出される。そして、変速機9の変速中には、図9(g)に太い実線で示されるようにEGR開度指令値Etが上記のように算出された値とされ、図9(f)に太い実線で示されるようにスロットル開度指令値TAtも上記のように算出された値とされる。これらEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtに基づき、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13が開度制御される。
【0092】
なお、タイミングt1後のEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの変化については、図9(g)及び図9(f)に太い実線で示されるように急に行ってもよいし、或いは太い破線で示されるように徐々に行ってもよい。
【0093】
変速機9の変速時には、燃料噴射量(燃料噴射量指令値Qfin )の一時的な減量が行われるが、このときEGRバルブ12及びスロットルバルブ13は変速後トルクTe2等から求められるEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtに基づき制御される。このため、EGRバルブ12及びスロットルバルブ13が燃料噴射量の一時的な減量に伴ってEGR量を量する側に開度変更されることはなく、それに応じてEGR量は図9(h)に太い実線で示されるようにほぼ一定となるように推移する。従って、燃料噴射量が一時的な減量状態からアクセル踏込量ACCP(出力要求)に対応した値に向けて増量されるとき(タイミングt2後)、その変化に対するEGR量の減量に応答遅れが生じてEGR量が図9(h)に斜線で示される面積に対応する分だけ過多になることは抑制される。
【0094】
次に、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの算出手順について説明する。本実施形態では、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを算出するためのバルブ開度指令値算出ルーチンとして、第1実施形態のバルブ開度指令値算出ルーチンにおけるステップS109〜S112(図3)の処理を、図10に示されるステップS301〜S306の処理に代えたものが用いられる。
【0095】
このため、本実施形態のバルブ開度指令値算出ルーチンでは、変速要求がなされると、ステップS301の処理で変速フラグFが「1(変速中)」にされ、その後に変速後トルクTe2等に基づくEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtの算出が行われる(S302〜S304)。
【0096】
即ち、ステップS302の処理では、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき変速前トルクTe1が算出される。また、ステップS303の処理では、変速前エンジン回転速度NE1、変速前トルクTe1、及びいずれの変速段に変速されるかといった変速態様に基づき、変速後エンジン回転速度NE2、変速後トルクTe2が算出される。更に、ステップS304の処理では、変速後トルクTe2及び変速後エンジン回転速度NE2に基づき、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが算出される。
【0097】
また、変速機9の変速中においては、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づき推定トルクTeが算出され(S305)、同推定トルクTe及びエンジン回転速度NEに基づき吸入空気量のフィードバック制御に用いられる目標吸入空気量GAtが算出される(S306)。この目標吸入空気量GAtに対し実吸入空気量GArが何らかの理由によって離れた場合には、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが実吸入空気量GArを目標吸入空気量GAtに近づける側に補正される。
【0098】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(6)変速機9の変速時に、アクセル踏込量ACCP(出力要求)に関係なく燃料噴射量指令値Qfin を一時的に小さくする際には、EGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtが燃料噴射量指令値Qfin の代わりに変速直後の推定トルクTeである変速後トルクTe2等に基づき算出されるようになる。この変速後トルクTe2は、変速直前のアクセル踏込量ACCP(出力要求)等から求められる変速直前の推定トルクTe、及び変速機9の変速態様等から予測される値である。ディーゼルエンジン1の出力トルクは燃料噴射量に応じて変化するため、変速後トルクTe2は上記アクセル踏込量ACCPに応じた変速機9の変速直後における燃料噴射量に対応する値となる。従って、変速後トルクTe2等から求められるEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtに基づきEGRバルブ12及びスロットルバルブ13を制御することにより、変速機9の変速時に燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくなったとしても、上記各バルブ12,13はほぼ一定とされる。その結果、上記燃料噴射量指令値Qfin が一時的に小さくされることに伴い、EGR量が一時的に量されることはなくなり、同燃料噴射量指令値Qfin の減量状態からの増量に対しEGR量の減量に応答遅れが生じることもなくなる。このため、変速機9の変速時に、EGR量が上記応答遅れによって過多となることに伴い、その過多の分だけ吸入空気量が燃料噴射量に対する必要量よりも少なくなり、酸素不足の状態で燃料の燃焼が行われて排気中のパティキュレート量が増加するのを抑制することができる。
【0099】
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・上記各実施形態では、自動モードでの変速と手動モードでの変速との両方を実行可能な変速機9を例示したが、いずれか一方のモードのみで変速を行う変速機を採用してもよい。
【0100】
・上記各実施形態において、変速機9の変速中には、吸入空気量のフィードバック制御を停止してもよい。
・上記フィードバック制御をEGRバルブ12の開度補正とスロットルバルブ13の開度補正とのいずれか一方のみで実現させるようにしてもよい。
【0101】
・また、上記フィードバック制御については必ずしも実施する必要はない。
・上記各実施形態において、EGR量の制御をEGRバルブ12の開度調節とスロットルバルブ13の開度調節とのいずれか一方のみで実現してもよい。
【0102】
・第1実施形態では、変速機9の変速時にアクセル踏込量ACCP等から求められる推定トルクTeに基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、変速機9の変速時には、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転速度NEに基づきEGR開度指令値Et及びスロットル開度指令値TAtを算出することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御装置が適用されるディーゼルエンジン全体を示す略図。
【図2】(a)〜(h)は、第1実施形態における変速機の変速時のディーゼルエンジン、クラッチ機構、及び変速機の各種制御の説明に用いられるタイムチャート。
【図3】第1実施形態におけるEGR開度指令値及びスロットル開度指令値の算出手順を示すフローチャート。
【図4】第1実施形態におけるEGR開度指令値及びスロットル開度指令値の算出手順を示すフローチャート。
【図5】スロットル開度指令値の算出に用いられるマップ。
【図6】EGR開度指令値の算出に用いられるマップ。
【図7】(a)〜(h)は、第2実施形態での変速機の変速時におけるディーゼルエンジン、クラッチ機構、及び変速機の各種制御の説明に用いられるタイムチャート。
【図8】第2実施形態におけるEGR開度指令値及びスロットル開度指令値の算出手順について、第1実施形態と異なる部分のみを示すフローチャート。
【図9】(a)〜(h)は、第3実施形態での変速機の変速時におけるディーゼルエンジン、クラッチ機構、及び変速機の各種制御の説明に用いられるタイムチャート。
【図10】第3実施形態におけるEGR開度指令値及びスロットル開度指令値の算出手順について、第1実施形態と異なる部分のみを示すフローチャート。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン、2…吸気通路、3…燃料噴射弁、4…燃焼室、5…ピストン、6…排気通路、7…コネクティングロッド、8…クランクシャフト、9…変速機、9a…入力軸、10…クラッチ機構、11…EGR通路、12…EGRバルブ(EGR量調整手段)、13…スロットルバルブ(EGR量調整手段)、14…エンジンコントロールコンピュータ(トルク制御手段、EGR制御手段、補正手段)、15…トランスミッションコントロールコンピュータ(クラッチ制御手段)、16…アクセルペダル、17…アクセルポジションセンサ、18…クランクポジションセンサ、19…エアフローメータ、20…入力回転速度センサ、21…車速センサ、22…シフトレバー。

Claims (10)

  1. 車載内燃機関への出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同機関の排気通路から吸気通路への排気の再循環量を調整するEGR量調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する車載内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関にクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同機関と前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、
    前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、
    前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記EGR量調整手段を制御することに代えて、前記出力要求に基づき前記EGR量調整手段を制御するEGR制御手段と、
    を備えることを特徴とする車載内燃機関の制御装置。
  2. 前記EGR制御手段は、前記変速機の変速時には、前記内燃機関への出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、そのときのアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルクに基づき前記EGR量調整手段を制御する
    請求項1記載の車載内燃機関の制御装置。
  3. 車載内燃機関への出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同機関の排気通路から吸気通路への排気の再循環量を調整するEGR量調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する車載内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関にクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同機関と前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、
    前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、
    前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記EGR量調整手段を制御することに代えて、前記EGR量調整手段を前記変速直前の状態に固定する固定制御を行うEGR制御手段と、
    を備えることを特徴とする車載内燃機関の制御装置。
  4. 車載内燃機関への出力要求に応じて燃料噴射量を制御するとともに、同機関の排気通路から吸気通路への排気の再循環量を調整するEGR量調整手段を前記燃料噴射量に基づき制御する車載内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関にクラッチ機構を介して連結された変速機の変速時に、同機関と前記変速機との間が自動的に断接されるよう前記クラッチ機構を解放・係合させるクラッチ制御手段と、
    前記変速機の変速時に、前記出力要求に関係なく燃料噴射量を一時的に減量し、機関出力トルクを低下させるトルク制御手段と、
    前記変速機の変速時に、前記燃料噴射量に基づき前記EGR量調整手段を制御することに代えて、そのときの車載内燃機関への出力要求及び前記変速機の変速態様から予測される変速直後の同機関の出力トルクに基づき前記EGR量調整手段を制御するEGR制御手段と、
    を備えることを特徴とする車載内燃機関の制御装置。
  5. 前記EGR制御手段は、前記変速機の変速が行われるときには、前記内燃機関への出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、変速直前のアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、この推定トルク及び前記変速機の変速態様に基づき、前記変速直後の同機関の出力トルクを予測する
    請求項4記載の車載内燃機関の制御装置。
  6. 前記EGR量調整手段は、前記排気通路の排気を前記吸気通路に流すEGR通路に設けられたEGRバルブと、前記吸気通路に設けられたスロットルバルブとの少なくとも一方である
    請求項1〜5のいずれかに記載の車載内燃機関の制御装置。
  7. 請求項6記載の車載内燃機関の制御装置において、
    通常の機関運転時に、そのときの燃料噴射量に基づき目標吸入空気量を算出し、同機関の実吸入空気量が前記目標吸入空気量に近づくよう、EGRバルブとスロットルバルブとの少なくとも一方の開度を補正する補正手段を更に備える
    ことを特徴とする車載内燃機関の制御装置。
  8. 前記補正手段は、前記変速機の変速時には、前記内燃機関への出力要求の大きさを表すアクセル操作量に基づき、そのときのアクセル操作によって通常の機関運転時に得られる同機関の出力トルクを推定トルクとして算出し、実吸入空気量が前記推定トルクに基づき算出される目標吸入空気量に近づくよう、EGRバルブとスロットルバルブとの少なくとも一方の開度を補正する
    請求項7記載の車載内燃機関の制御装置。
  9. 前記変速機は運転状況に応じて自動的に変速されるものであり、前記EGR制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき前記EGR量調整手段の制御を開始する
    請求項1〜8のいずれかに記載の車載内燃機関の制御装置。
  10. 前記変速機は運転者のシフト操作に応じて変速されるものであり、前記EGR制御手段は前記変速機の変速要求がなされたとき前記EGR量調整手段の制御を開始する
    請求項1〜8のいずれかに記載の車載内燃機関の制御装置。
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