JP3741093B2 - インクジェット式プリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷媒体に対してインクを吐出することによって画像を印刷するインクジェット式プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式プリンタは、液状のインクを用紙に吹き付けて印刷を行うものであって、装置の小型化が可能であり、しかも高品質の印刷ができるという利点を有している。かかるインクジェット式プリンタには、印刷ヘッドに対向する印刷可能領域よりも用紙の搬送方向上流側に対応する位置に配置された紙送りローラによって、印刷可能領域に対して用紙を供給可能な構成になっているものがある(例えば、特許文献1参照)。ここで、紙送りローラは、駆動ローラおよび圧着ローラを有しており、これらはいずれも印刷可能領域の幅よりも若干大きい幅を有している。
【0003】
また、かかるプリンタとしては、長尺の用紙が巻回された巻回部から巻き解かれつつ搬送される用紙に対して、用紙の搬送方向と垂直な方向に沿って往復動する印刷ヘッドからインクが吐出されて画像が印刷されるものが知られている。このプリンタでは、印刷中においては、用紙は印刷ヘッドが往復動の両端位置の少なくともいずれか一方に移動する度に所定の送り量ずつ間欠的に搬送されるようになっている。そして、印刷中において用紙が蛇行(斜行)してしまうと、それに印刷される画像の印刷品質が著しく低下するため、用紙が上述の送り量ずつ間欠的に搬送されるときに、用紙の蛇行が発生することがほとんどないように紙送りローラが調整されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−277543号公報(図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるプリンタでは、印刷可能領域において並列に配置されて搬送される比較的幅の狭い2つの用紙に対してほぼ同時に印刷が行われることによって、その処理能力の向上が図られることがある。従って、2つの巻回部からそれぞれ巻き解かれて並列に配置された2つの用紙は、いずれも上述の紙送りローラに挟持されて、ほぼ同じ速度で搬送されることになる。なお、2つの用紙は、紙送りローラの幅方向中心位置に対して対称に配置されつつ搬送されるのが一般的である。
【0006】
ここで、2つの用紙のうち一方の用紙にだけ印刷が行われる場合には、印刷が行われない方の用紙は紙送りローラにより挟持されることなく、印刷が行われる方の用紙だけが紙送りローラにより挟持されて搬送される。従って、この場合には、紙送りローラは、その幅方向中心位置に対して片側だけに用紙を挟持して搬送することになる。ここで、紙送りローラの幅方向中心位置に対して対称に用紙が配置されていない場合には、用紙が搬送される際に蛇行することが多く、これにより印刷品質が低下するという問題が発生する可能性が高い。
【0007】
従って、このような問題を解消するためには、かかるプリンタに並列に配置される2つの用紙に対応するようにそれぞれ別々の紙送りローラを配置して、2つの用紙をそれぞれ独立に搬送可能にすることが考えられる。これにより、並列に配置された2つの用紙のうち一方の用紙だけが搬送される場合でも、用紙はそれに対応する紙送りローラの幅方向中心位置に対して対称に配置されるため、用紙が蛇行することがほとんどない。なお、紙送りローラの各駆動ローラを駆動するためのモータとしては、比較的高い送り精度を得ることが可能なサーボモータが用いられることが多い。
【0008】
しかしながら、2つの用紙をそれぞれ独立に搬送可能なプリンタにおいて、2つの用紙の搬送経路に跨る幅を有する幅広の用紙に対する印刷が行われるときは、幅広の用紙は2つの紙送りローラによって挟持されて搬送されることになるが、このとき、例えば2つの紙送りローラの搬送速度や搬送負荷のバランス、それらを駆動させるためのモータの個体差などによって幅広の印刷媒体が蛇行することがある。特に、上述のサーボモータが用いられている場合には、幅広の印刷媒体の負荷の影響を受け易く、幅広の印刷媒体には搬送速度の左右差により不均一な力が働いて蛇行し易くなる。
【0009】
従って、2つの紙送りローラを備えたプリンタでは、例えば2つの紙送りローラのそれぞれを駆動するモータの回転数が異なるように各モータの駆動パルスが別々に制御されたり、2つの紙送りローラのそれぞれの用紙の挟持力(2つの紙送りローラの駆動ローラと圧着ローラとの間の押圧力)が異なるように各紙送りローラの構成(例えば駆動ローラまたは圧着ローラの高さ位置など)または配置(例えば用紙の搬送経路の幅方向中心位置からの距離など)について別々に機械的な調整が行われることがある。その結果、印刷中において幅広の用紙が上述の送り量ずつ間欠的に搬送されるときに蛇行することがほとんどなくなる。
【0010】
一方、印刷開始前においては、巻回部から巻き解かれた幅広の用紙の先端部が2つの紙送りローラに達してから印刷可能位置に達するまでの間は印刷が行われないため、幅広の用紙は一度に連続的に搬送される(ローディング)ことが多い。従って、このとき、幅広の用紙は2つの紙送りローラによって上述の送り量ずつ間欠的に搬送されるのではなく、当該送り量よりも著しく長い距離を一度に搬送されることになるので、幅広の用紙が蛇行し易い。
【0011】
そこで、本発明の主な目的は、印刷媒体の先端が紙送りローラ(搬送力付与部)に達してから印刷ヘッド(インク吐出部)と対向可能な位置に達するまで搬送されるときに印刷媒体が蛇行するのを抑制することができるインクジェット式プリンタを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1のインクジェット式プリンタは、印刷媒体に対してインクを吐出可能なインク吐出部と、前記インク吐出部を印刷媒体と対向しつつ印刷媒体の搬送方向と実質的に垂直な方向に沿って往復動させる吐出部駆動機構と、互いに独立した搬送力を印刷媒体に付与する複数の搬送力付与部を有しており、複数の前記搬送力付与部に跨らない第1の幅を有する複数の印刷媒体を互いに並列状態にして前記インク吐出部と対向する位置へと搬送可能であり且つ複数の前記搬送力付与部に跨る第2の幅を有する印刷媒体を前記インク吐出部と対向する位置へと搬送可能な搬送機構と、印刷途中において前記インク吐出部が往復動により印刷媒体と対向しているときに前記インク吐出部が印刷媒体に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において前記インク吐出部が往復動の少なくともいずれか一方の端部近傍位置にあるときに前記搬送機構が印刷媒体を所定距離ずつ搬送すると共に、前記第2の幅を有する印刷媒体の先端が前記搬送力付与部に達してから前記インク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記搬送機構が前記第2の幅を有する印刷媒体を複数回に分けて搬送するように前記搬送機構、前記インク吐出部及び前記吐出部駆動機構を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項1によると、複数の搬送経路に跨る第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において第2の幅を有する印刷媒体が複数回に分けて搬送される。そのため、このときの第2の幅を有する印刷媒体の1回あたりの搬送距離が、第2の幅を有する印刷媒体が印刷途中においてインク吐出部が往復動のいずれか一方の端部近傍位置にあるときに搬送される所定距離と、第2の幅を有する印刷媒体が複数回に分けないで搬送される場合よりも近い値となる。ここで、搬送機構においては、第2の幅を有する印刷媒体が前記所定距離ずつ搬送される場合に、例えば複数の搬送力付与部の搬送速度や搬送負荷のバランス、それらを駆動させるためのモータの個体差などが補償されるように調整されている。従って、第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において複数回に分けて搬送される場合には、第2の幅を有する印刷媒体が一度に連続的に搬送される場合と比較して、上述した蛇行原因が緩和される。その結果、搬送機構において第2の幅を有する印刷媒体が搬送される際に蛇行することが少なくなって、印刷媒体の蛇行に起因して印刷品質が低下するのを抑制することができる。
【0014】
また、請求項2のインクジェット式プリンタは、前記制御手段が、印刷途中において前記インク吐出部が往復動により印刷媒体と対向しているときに前記インク吐出部が印刷媒体に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において前記インク吐出部が往復動の少なくともいずれか一方の端部近傍位置にあるときに前記搬送機構が印刷媒体を所定距離ずつ搬送すると共に、前記第2の幅を有する印刷媒体の先端が前記搬送力付与部に達してから前記インク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記搬送機構が前記第2の幅を有する印刷媒体を前記所定距離ずつ複数回に分けて搬送するように前記搬送機構、前記インク吐出部及び前記吐出部駆動機構を制御することを特徴とするものである。
【0015】
請求項2によると、複数の搬送経路に跨る第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において、第2の幅を有する印刷媒体が印刷途中においてインク吐出部が往復動のいずれか一方の端部近傍位置にあるときに印刷媒体が搬送される所定距離ずつ複数回に分けて搬送される。そのため、このときの第2の幅を有する印刷媒体の1回あたりの搬送距離が、第2の幅を有する印刷媒体が印刷途中においてインク吐出部が往復動のいずれか一方の端部近傍位置にあるときに搬送される所定距離と同じになる。ここで、上述したように、搬送機構においては、第2の幅を有する印刷媒体が前記所定距離ずつ搬送される場合に、例えば複数の搬送力付与部の搬送速度や搬送負荷のバランス、それらを駆動させるためのモータの個体差などが補償されるように調整されている。従って、第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記所定距離ずつ複数回に分けて搬送される場合には、上述した蛇行原因の影響をほとんど受けなくなる。その結果、搬送機構において第2の幅を有する印刷媒体が搬送される際に蛇行することがほとんどなくなって、印刷媒体の蛇行に起因して印刷品質が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0016】
また、請求項3のインクジェット式プリンタは、前記制御手段が、印刷途中において前記インク吐出部が往復動により印刷媒体と対向しているときに前記インク吐出部が印刷媒体に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において前記インク吐出部が往復動の少なくともいずれか一方の端部近傍位置にあるときに前記搬送機構が印刷媒体を所定距離ずつ搬送すると共に、前記第2の幅を有する印刷媒体の先端が前記搬送力付与部に達してから前記インク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記搬送機構が前記第2の幅を有する印刷媒体を前記所定距離ずつ複数回に分けて間欠的に搬送するように前記搬送機構、前記インク吐出部及び前記吐出部駆動機構を制御することを特徴とするものである。
【0017】
請求項3によると、第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間における搬送機構の制御が、印刷途中における搬送機構の制御と同じになるため、制御手段における制御を簡略化することができる。
【0018】
また、請求項4のインクジェット式プリンタは、長尺の印刷媒体が巻回された巻回部を収納可能な筐体が着脱可能になっており、前記搬送部が、前記筐体内に収納された前記巻回部から巻き解かれた印刷媒体を搬送可能であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4によると、筐体内の巻回部から巻き解かれた長尺の印刷媒体に対する印刷が行われるときに、印刷媒体の先端が蛇行することなくインク吐出部と対向可能な位置に搬送される。従って、長尺の印刷媒体の先端がインク吐出部と対向可能な位置に搬送されるときに蛇行することにより、長尺の印刷媒体の全長にわたって印刷品質が低下することを抑制することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット式プリンタの概略構成を示す図である。図2は、図1のインクジェット式プリンタの部分的な上面図である。図3は、図2のIII−IIIにおける断面図である。
【0021】
図1に示すインクジェット式プリンタ1は、略直方体の筐体30内に、ペーパーマガジン(ペーパーカセット)4と、アドバンスローラユニット5と、インクジェット印刷ユニット6と、圧着ローラユニット7と、切断ユニット8と、排出ローラユニット9とを有している。なお、後述するように、インクジェット式プリンタ1の各部分の動作は、筐体30内に配置されたコントローラ20(図4参照)によって制御される。
【0022】
ペーパーマガジン4は、略直方体形状の筐体であって、長尺の用紙2、3がそれぞれロール状に巻回された巻回部2a、3aが収納されており、筐体30内に装填または取り外し可能(着脱可能)になっている。ペーパーマガジン4に収納された用紙2、3の巻回部2a、3aは、図2に示すように、水平方向に所定間隔を隔てて隣接するように配置されている。また、巻回部2a、3aは、それらをそれぞれ回転させることができる駆動ローラ2b、3bおよび巻回部2a、3aと共に回転する従動ローラ2c、3cの上にそれぞれ載置されている。ここで、コントローラ20により駆動ローラ2b、3bが回転駆動されることによって、駆動ローラ2b、3bは巻回部2a、3aを用紙2、3が巻き解かれる方向或いは用紙2、3が巻き取られる方向に回転して、それらに巻回された用紙2、3を送り出す或いは巻き戻すことができる。なお、用紙2、3の先端部がアドバンスローラユニット5に供給された後は、用紙2、3はアドバンスローラユニット5によって送り出されるようになる。
【0023】
アドバンスローラユニット5は、図2に示すように、コントローラ20により制御されるモータ22a、22bによってそれぞれ駆動される紙送りローラ5a、5bを有しており、切断ユニット8で切断される前の用紙2、3をそれぞれ搬送するためのものである。すなわち、アドバンスローラユニット5は、巻回部2a、3aからそれぞれ巻き解かれた用紙2、3を下流側へと搬送し、インクジェット印刷ユニット6および切断ユニット8を順次通過させる。なお、紙送りローラ5a、5bは、駆動ローラおよび圧着ローラを有しており、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って用紙2、3の搬送経路に対応するように隣接して配置されている。従って、用紙2、3が2列に配置されて搬送される場合に、用紙2、3を挟持することによってそれぞれ独立に搬送することができる。ここで、モータ22a、22bとしては、比較的高い送り精度を得ることが可能なサーボモータが用いられている。
【0024】
インクジェット印刷ユニット6は、印刷ヘッド11と、キャリッジ12と、吸着プレート13と、吸着ファン14と、吸引装置15、16とを有している。印刷ヘッド11は、イエロー(黄色)、マゼンタ(赤紫)、シアン(青緑)、黒色などのカラーインクをそれぞれ吐出することができる多数の吐出ノズル11aを備えている。従って、印刷ヘッド11は、コントローラ20からの信号に基づいて、搬送されてきた用紙2、3の表面(図1では上面)に向かって、多数の吐出ノズルからカラーインクをそれぞれ吐出することによって所望のカラー画像を印刷することができる。また、印刷ヘッド11は、黒色のインクを吐出することができる多数の吐出ノズル11aを有するものであって、白黒の画像を印刷することができるものであってもよい。
【0025】
なお、インクジェット印刷ユニット6は、ノズルから液状のインクをドットごとに吹き出して用紙2、3に印刷を施すものであって、ピエゾジェット方式、サーマルジェット方式或いはその他の方式のいずれを採用したものであってもよい。
【0026】
キャリッジ12は、印刷ヘッド11を保持するためのものであり、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に印刷ヘッド11と共に往復動可能である。従って、印刷ヘッド11は、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って往復動しつつ、用紙2、3の表面に向かってインクを吐出することになる。なお、図2では、キャリッジ12の図示が省略されており、印刷ヘッド11が印刷が行われない場合の待機位置(ホームポジション)にある場合が図示されている。
【0027】
吸着プレート13は、用紙2、3の搬送面と同じ高さの用紙支持面を有しており、印刷ヘッド11と対向配置される用紙2、3を支持するためのものである。従って、印刷ヘッド11は、吸着プレート13の表面に対向しつつ吸着プレート13の幅方向に沿って往復動しながら吸着プレート13上の用紙2、3に対して印刷を行う。なお、吸着プレート13上の印刷ヘッド11に対向可能であり印刷が行われる領域(印刷可能領域)が一点鎖線で示されている。
【0028】
ここで、吸着プレート13には、その幅方向中心位置近傍であって、用紙2、3の搬送経路間に対応する領域に矩形の開口13bが形成されており、開口13bの幅方向外側に多数の円形の吸着孔13aがほぼ均等に形成されている。
【0029】
吸着ファン14は、用紙2、3の搬送経路を挟んで印刷ヘッド11と対向すると共に、吸着プレート13の吸着孔13aが形成された領域に対応する位置に配置されており、吸着プレート13上の用紙2、3を吸着孔13aを介して吸着させるためのものである。従って、印刷ヘッド11に対向する用紙2、3は、その裏面(図1では下面)側に配置された吸着ファン14に吸引されることにより吸着プレート13に密着して搬送され、印刷ヘッド11との間隔が一定になるようになっている。これにより、用紙2、3がカールしている場合に、用紙2、3の一部分が吸着プレート13から大きく離れることによって、印刷ヘッド11との間隔が変化することによる印刷の不具合の発生を抑制することができる。
【0030】
また、吸着プレート13の開口13b内にはインク受け部17が配置されており、吸着プレート13に隣接する位置(用紙2、3の搬送経路よりも外側の位置)にはインク受け部18が配置されている。インク受け部17、18は、いずれも印刷ヘッド11のフラッシング動作により吐出ノズル11aから吐出されるインクを受けるためのものである。
【0031】
ここで、インク受け部17の下方には、図3に示すような吸引装置15が配置されている。吸引装置15は、筒状部15aと、ファン15bとを有している。筒状部15aは、その一端部がインク受け部17の下端部に接続されており、その端部から下方に延びた後で、上方斜め方向に向かって折れ曲がった形状をしており、その折れ曲がり部の上端部にファン15bが配置されている。また、筒状部15a内には、複数の隔壁15cが配置されている。
【0032】
従って、吸引装置15のファン15bがコントローラ20により駆動されると、筒状部15a内には、インク受け部17が接続された端部からファン15bが配置された端部に向かって空気の流れが発生する。従って、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17に対して吐出されたインクは、筒状部15b内の空気の流れによって筒状部15a内に吸引される。なお、筒状部15a内に吸引されたインクは、筒状部15aの下端部近傍に設けられた排出管15dから廃インク受け(図示しない)に排出されるようになっている。
【0033】
なお、インク受け部18の下方にも、上述した吸引装置15を同様の吸引装置16が配置されており、吸引装置16のファンがコントローラ20により駆動されると、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部18に対して吐出されたインクが吸引されるようになっている。なお、吸引装置15、16の構成は、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17、18に吐出されたインクを吸引することができる範囲で任意に変更することが可能である。
【0034】
圧着ローラユニット7は、インクジェット印刷ユニット6と切断ユニット8との間を搬送される用紙2、3を挟持するためのものである。なお、インクジェット印刷ユニット6と切断ユニット8との間に圧着ローラユニット7が配置されることによって、インクジェット印刷ユニット6による画像の印刷および切断ユニット8による用紙2、3の切断を適正に行うことが可能となる。
【0035】
切断ユニット8は、用紙2、3に対して印刷ヘッド11と同じ側に配置された移動刃8aと、用紙2、3を挟んで移動刃8aと対向するように配置された固定刃8bとを有している。移動刃8aおよび固定刃8bは、ともに2列配置される用紙2、3のそれぞれの幅方向外側の端部間の間隔よりも若干大きな幅を有する矩形刃である。移動刃8aは、コントローラ20により制御されて、固定刃8bに向かって近接または離隔することができるようになっており、搬送経路を上流側から搬送されてきた印刷済みの用紙2、3を、固定刃8bとの相互作用によって幅方向に沿って切断することができる。このように切断されることにより所定の長さに印刷済みの用紙2、3が分割される。
【0036】
排出ローラユニット9は、コントローラ20によって制御される駆動される駆動ローラ対9a、9bを有しており、切断ユニット8で切断された後の印刷済みの用紙2、3をそれぞれ搬送し、排出口30aより排出させる。なお、排出ローラユニット9の駆動ローラ対9a、9bは、アドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bと同様に、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って用紙2、3の搬送経路に対応するように隣接して配置されている。
【0037】
ここで、インクジェット式プリンタ1の制御系について、図4を参照して説明する。図4は、図1のインクジェット式プリンタの制御系についてのブロック図である。
【0038】
コントローラ20には、図4に示すように、ペーパーマガジン4の駆動ローラ2a、3aに接続されたモータ21と、アドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bにそれぞれ接続されたモータ22a、22bと、インクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に接続されたドライバ23、キャリッジ12を往復動させるための駆動機構24、吸着ファン14に接続されたモータ25およびファン15b、16bにそれぞれ接続されたモータ26、27と、切断ユニット8の移動刃8aに接続されたモータ28と、排出ローラユニット9の駆動ローラ対9a、9bにそれぞれ接続されたモータ29a、29bとがそれぞれ接続されている。
【0039】
従って、コントローラ20は、図示しない入力インターフェイスから供給された画像信号に所定の処理を施して、印刷される画像に対応する画像データを含む印刷信号をインクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に供給する。また、コントローラ20は、ペーパーマガジン4、アドバンスローラユニット5および排出ローラユニット9による用紙2、3の搬送タイミング、キャリッジ12の移動タイミング、印刷ヘッド11からのインクの吐出タイミングおよび切断ユニット8による用紙2、3の切断タイミングなどを制御する。さらに、コントローラ20は、吸着プレート13の吸着孔13aを介して用紙2、3を吸着するために吸着ファン14を制御し、インク受け部17、18にそれぞれ接続された吸引装置15、16をそれぞれ独立して制御する。
【0040】
ここで、コントローラ20における印刷ヘッド11を保持するキャリッジ12を駆動させる駆動機構24、印刷ヘッド11のドライバ23およびアドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bを駆動させるモータ22a、22bの制御について詳しく説明する。
【0041】
並列に配置された用紙2、3に対して印刷が行われる場合には、コントローラ20は、印刷ヘッド11が用紙2、3と対向しつつ用紙2、3の搬送方向と垂直な方向に沿って往復動し、印刷途中において印刷ヘッド11が往復動により用紙2、3と対向しているときに印刷ヘッド11が用紙2、3に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において印刷ヘッド11が往復動の両端部近傍位置にあるときにアドバンスローラユニット5が用紙2、3を所定の送り量ずつ搬送するように、モータ22a、22b、ドライバ23および駆動機構24を制御する。
【0042】
また、後述する幅広の用紙2’に対して印刷が行われる場合には、コントローラ20は、印刷ヘッド11が用紙2’と対向しつつ用紙2’の搬送方向と垂直な方向に沿って往復動し、印刷途中において印刷ヘッド11が往復動により用紙2’と対向しているときに印刷ヘッド11が用紙2’に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において印刷ヘッド11が往復動の両端部近傍位置にあるときにアドバンスローラユニット5が用紙2’を所定の送り量ずつ搬送するように、モータ22a、22b、ドライバ23および駆動機構24を制御する。
【0043】
さらに、コントローラ20は、用紙2’の先端がアドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bに達してから印刷ヘッド11と対向可能な印刷可能位置に達するまでの間において用紙2’を上述の所定の送り量ずつ複数回に分けて間欠的に搬送するように、モータ22a、22bを制御する。
【0044】
なお、印刷中における用紙2’の所定の送り量は、印刷ヘッド11の吐出ノズル11aのノズル間ピッチ、ノズル数および印刷される画像の解像度などによって適宜設定される。そして、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1のアドバンスローラユニット5においては、用紙2’が、所定の送り量ずつ搬送される場合に、例えば2つの紙送りローラ5a、5bの搬送速度や搬送負荷のバランス、それらを駆動させるためのモータ22a、22bの個体差などが補償されるように調整されている。
【0045】
より詳細に説明すると、本実施の形態では、アドバンスローラユニット5の調整は、紙送りローラ5a、5bと、ペーパーマガジン4つまりその内部に収納された巻回部2a、3aとが平行に維持されるように調整される。ここで、アドバンスローラユニット5により用紙2’が所定の送り量ずつ間欠的に搬送される場合には、搬送停止および搬送開始が交互に繰り返されて、用紙2’には何度も衝撃的な力が加えられることになる。従って、アドバンスローラユニット5については、上述の衝撃的な力が何度も加わることを予め考慮した上で、例えば2つの紙送りローラ5a、5bのそれぞれを駆動するモータ22a、22bの回転数が若干異なるように、各モータ22a、22bの駆動パルスが別々に制御されることが好ましい。その結果、例えばアドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bの個体差(例えば外径などのサイズ)、2つのモータ22a、22bの個体差、モータ22a、22bと紙送りローラ5a、5bとを連結するベルト(図示しない)の個体差、および、プリンタ(機械)全体の揺れやねじれ等の左右差などに起因して、用紙2’の蛇行が発生するのが抑制される。
【0046】
なお、アドバンスローラユニット5において、用紙2’が所定の送り量ずつ間欠的に搬送される場合に用紙2’の蛇行が発生するのを抑制するために行われる調整は、2つの紙送りローラ5a、5bのそれぞれの用紙2’の挟持力(2つの紙送りローラ5a、5bの駆動ローラと圧着ローラとの間の押圧力)が異なるように各紙送りローラ5a、5bの構成(例えば駆動ローラまたは圧着ローラの高さ位置など)または配置(例えば用紙2’の搬送経路の幅方向中心位置からの距離など)について別々に機械的な調整が行われてもよい。
【0047】
また、用紙2’の先端がアドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bに達してから印刷ヘッド11と対向可能な印刷可能位置に達するまでの間において間欠的に搬送されるときの1回あたりの搬送距離は、印刷途中において印刷ヘッド11が往復動の両端部近傍位置にあるときにアドバンスローラユニット5が用紙2’を搬送するときの所定の送り量と出来るだけ近い値となることが好ましい。従って、上述の1回あたりの搬送距離が、所定の送り量の0.8倍から1.2倍の範囲の値であることが好ましい。また、上述の1回あたりの搬送距離が、所定の送り量の0.85倍から1.15倍の範囲の値であることがより好ましい。また、上述の1回あたりの搬送距離が、所定の送り量の0.9倍から1.1倍の範囲の値であることがさらに好ましい。また、上述の1回あたりの搬送距離が、所定の送り量の0.95倍から1.05倍の範囲の値であることがより一層好ましい。また、本実施の形態と同様に、上述の1回あたりの搬送距離が、所定の送り量と同じ値であることが最も好ましい。
【0048】
次に、上述のように構成された本実施の形態に係るインクジェット式プリンタ1において幅広の用紙に対して印刷が行われる場合の動作について、図5を参照して説明する。図5は、幅広の用紙に対して印刷が行われる場合の動作を説明するための図である。ここでは、上述の2列に配置された用紙2、3の搬送経路のそれぞれの外側端部間の間隔とほぼ同じ幅を有する幅広の用紙2’に対して印刷が行われる場合について説明する。
【0049】
ここで、図5には、印刷ヘッド11の位置として「位置A」〜「位置C」が示されており、それぞれの位置に対応するように印刷ヘッド11が太線の実線または破線で図示されている。また、図5においては、「位置A」〜「位置C」は、印刷ヘッド11がインク受け部18、用紙2’の端部近傍のいずれかに対向する位置を示すものとして説明を分かり易くするために描かれているものであって、実際の印刷ヘッド11の位置は、図示されている「位置A」〜「位置C」からその移動方向に沿ってずれている場合もある。なお、図5では、印刷ヘッド11に備えられている吐出ノズル11aおよびキャリッジ12の図示が省略されている。
【0050】
巻回部から巻き解かれた用紙2’が、アドバンスローラユニット5により搬送されて、インクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に対向する印刷可能領域に配置された状態において、印刷ヘッド11による画像の印刷が行われる。つまり、後で詳述するように、用紙2’の所定の送り量の搬送と印刷ヘッド11の用紙2’の搬送方向に垂直な方向への往動または復動とが交互に繰り返されつつ、用紙2’に対してインクが吐出されて、用紙2’に対する印刷が行われる。
【0051】
なお、用紙2’に対して印刷が行われる場合には、インクジェット式プリンタ1には、図5に示すように、用紙2’が巻回された巻回部2a’が収納されたペーパーマガジン4’が装填される。ここで、ペーパーマガジン4’としては、用紙2’専用のものが用いられるのが一般的であって、用紙2’が巻回された巻回部2a’は、それを回転させることができる駆動ローラ2b’および巻回部2a’と共に回転する従動ローラ2c’の上に載置されている。そして、コントローラ20により駆動ローラ2b’が回転駆動されることによって、駆動ローラ2b’は巻回部2a’を用紙2’が巻き解かれる方向或いは用紙2、3が巻き取られる方向に回転して、それに巻回された用紙2’を送り出す或いは巻き戻すことができる。なお、用紙2’の先端部がアドバンスローラユニット5に供給された後は、用紙2’はアドバンスローラユニット5によって送り出されるようになる。
【0052】
まず、用紙2’に対する印刷が開始される場合には、用紙2’の搬送が停止された状態において、印刷ヘッド11が、ホームポジション(図5では、ホームポジションは二点鎖線で描かれている)から、インク受け部18に対向する位置Aまで移動してフラッシング動作を実行する。そして、フラッシング動作が終了すると、印刷ヘッド11が往動を開始する(ここでは、印刷ヘッド11がホームポジションから離れる方向に移動することを「往動」という)。そして、印刷ヘッド11がインク受け部18に対向しなくなり、用紙2’のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Bまで移動すると、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2’に対する印刷を行いながら往動し続ける。
【0053】
その後、印刷ヘッド11が、用紙2’のホームポジションと反対側の端部近傍に対向する位置Cまで移動すると、印刷ヘッド11による印刷および印刷ヘッド11の移動が一旦中断される。このとき、印刷ヘッド11による印刷が行われない状態で、用紙2’が所定の送り量だけ搬送される。
【0054】
そして、用紙2’の所定の送り量の搬送が終了すると、印刷ヘッド11は位置Cから往動方向とは反対の方向に復動を開始する(ここでは、印刷ヘッド11がホームポジションに近づく方向に移動することを「復動」という)。このとき、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2’に対する印刷を行いながら復動し続ける。その後、印刷ヘッド11が、再度、用紙2’のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Bまで移動した時点で印刷ヘッド11による印刷が一旦中断される。
【0055】
また、印刷ヘッド11が、再度、インク受け部18に対向する位置Aまで移動すると、印刷ヘッド11の移動が停止されて、フラッシング動作が実行されると共に、用紙2’が所定の送り量だけ搬送される。
【0056】
この後、印刷ヘッド11のフラッシング動作および用紙2’の所定の送り量の搬送が終了すると、上述と同様にして、印刷ヘッド11が位置Aと位置Cとの間で往復動しつつ、用紙2に対する印刷が行われる。ここで、印刷ヘッド11が位置Aに移動する度にフラッシング動作が実行される。
【0057】
次に、印刷が開始される前における幅広の用紙2’の先端部近傍が搬送されるときの動作について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、幅広の用紙の先端部が搬送ローラユニットに達したときの図である。図7は、幅広の用紙の先端部が印刷可能領域の上流側に達したときの図である。図8は、幅広の用紙の先端部が印刷可能領域の下流側に達したときの図である。図9は、幅広の用紙の搬送タイミングと印刷ヘッドの移動タイミングとの関係の一例を示す図である。なお、図5〜図8では、印刷ヘッド11に備えられている吐出ノズル11aおよびキャリッジ12の図示が省略されている。
【0058】
ペーパーマガジン4’から巻き解かれた幅広の用紙2’は、その先端部がアドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bに達するまでは、ペーパーマガジン4’内の駆動ローラ2b’によって搬送される。そして、上述したように、用紙2’の先端部が、アドバンスローラユニット5に供給された後は、用紙2’は紙送りローラ5a、5bによって送り出されるようになる。
【0059】
ここで、インクジェット式プリンタ1では、図9の時刻T1において、図6に示すように、用紙2’の先端部がアドバンスローラユニット5に供給されると、用紙2’は、紙送りローラ5a、5bにより所定距離ずつ間欠的に搬送される。なお、本実施の形態では、このときの所定距離は、用紙2’が、それに印刷が行われる場合に間欠的に搬送される所定の送り量と同じ距離である。また、用紙2’の先端部が印刷可能領域の上流側に達するまでの間は印刷が行われないため、印刷ヘッド11が移動しないようになっている。
【0060】
そして、図9の時刻T2において、図7に示すように、用紙2’の先端部が印刷可能領域の上流側に達すると、先に説明したように、用紙2’に対する印刷が開始される。つまり、図9に示すように、用紙2’の先端部が印刷可能領域の上流側に達する時刻T2から、印刷ヘッド11の往動または復動と、用紙2’の所定の送り量の紙送りローラ5a、5bによる搬送とが交互に繰り返される。
【0061】
その後、図9の時刻T3において、図8に示すように、用紙2’の先端部が印刷可能領域の下流側に達した時点で、用紙2’に対する印刷が終了される。このように、用紙2’は、その先端部が紙送りローラ5a、5b(アドバンスローラユニット5)に達してから印刷可能領域に達するまでの間および印刷可能領域に達した後のいずれにおいても、所定の送り量ずつ間欠的に搬送されることになる。つまり、本実施の形態では、アドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bは、用紙2、3および幅広の用紙2’を搬送するときには、常に所定の送り量ずつ間欠的に搬送することになる。
【0062】
なお、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1では、幅広の用紙2’の先端部がアドバンスローラユニット5に達した後、印刷可能領域の上流側に達するまで搬送される間の時間が、その間を一度で連続的に搬送される場合と比較して若干長い時間を要することになるが、例えば印刷開始時の印刷ヘッド11の吐出ノズル11aのキャップ解除や搬送速度の変更などの動作を並行して行うことにより、実際上、その処理能力にはほとんど影響はないと考えられる。
【0063】
以上のように、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1によると、2つの用紙2、3の搬送経路に跨る幅を有する幅広の用紙2’が、その先端部がアドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bに達した後、印刷可能領域の上流側に達するまで紙送りローラ5a、5bにより搬送される場合に、用紙2’は一度で連続的に搬送されるのではなく、所定の送り量ずつ複数回に分けて間欠的に搬送される。そのため、このときの用紙2’の1回あたりの搬送距離が、印刷途中における用紙2’の所定の送り量と同じになる。ここで、アドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bは、用紙2’が所定の送り量ずつ搬送される場合に、例えば2つの紙送りローラ5a、5bの搬送速度や搬送負荷のバランス、それらを駆動させるためのモータ22a、22bの個体差などが補償されるように調整されている。従って、用紙2’の先端が紙送りローラ5a、5bに達してから印刷可能領域に達するまでの間において、上述した蛇行原因の影響をほとんど受けなくなる。その結果、アドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bにおいて用紙2’が搬送される際に蛇行することがほとんどなくなって、用紙2’の蛇行に起因して印刷品質が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0064】
また、幅広の用紙2’の先端が紙送りローラ5a、5bに達してから印刷可能領域に達するまでの間におけるアドバンスローラユニット5の制御が、印刷途中における制御と同じになるため、コントローラ20における制御を簡略化することができる。
【0065】
また、ペーパーマガジン4内の巻回部2a’から巻き解かれた長尺の幅広の用紙2’に対する印刷が行われるときに、用紙2’の先端部が蛇行することなく印刷可能領域に搬送される。従って、長尺の用紙2’の先端部が印刷可能領域に搬送されるときに蛇行することにより、長尺の用紙2’の全長にわたって印刷品質が低下することを抑制することができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、幅広の用紙2’がその先端部が紙送りローラ5a、5bに達してから印刷可能領域に達するまで搬送されるときに、印刷途中において用紙2’が搬送される所定の送り量ずつ間欠的に搬送される場合について説明しているが、これに限らず、用紙2’がその先端部が紙送りローラ5a、5bに達してから印刷可能領域に達するまでの間において複数回に分けて搬送される場合には、本実施の形態と同様の効果が得られる。従って、用紙2’が複数回に分けて搬送されるときの1回あたりの搬送距離は、必ずしも印刷途中における用紙2’の所定の送り量と同じである必要はない。また、用紙2’は必ずしも一定距離ずつ間欠的に搬送される必要はなく、複数回の搬送における搬送距離は互いに異なっていてもよいし、複数回の搬送間の時間間隔はそれぞれ異なっていてもよい。ただし、インクジェットプリンタ1の処理能力を考慮すると、複数回の搬送間の時間間隔は、出来る限り短い時間間隔であることが好ましい。
【0067】
また、上述の実施の形態では、アドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bが2つの用紙2、3をそれぞれ独立に並列状態にして搬送可能である場合について説明しているが、これに限らず、アドバンスローラユニットが、3以上の用紙をそれぞれ独立に並列状態にして搬送可能である3以上の紙送りローラを備えていてもよい。
【0068】
また、上述の実施の形態では、ペーパーマガジン4内に収納された巻回部2a’から巻き解かれつつ搬送される用紙2、3の搬送経路のそれぞれの外側端部間の間隔とほぼ同じ幅を有する幅広の用紙2’に対して印刷が行われる場合について説明しているが、これに限らず、本発明は、上述の用紙2’と同様の幅を有する単票紙(所定長さを有する用紙)が搬送されつつ当該単票紙に対して印刷が行われる場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、上述の実施の形態では、幅広の用紙2’がアドバンスローラユニット5の紙送りローラ5a、5bに挟持されて搬送される場合について説明しているが、これに限らず、幅広の用紙が複数の搬送ベルトに載置或いは挟持されて搬送される場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、複数の搬送経路に跨る第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において第2の幅を有する印刷媒体が複数回に分けて搬送される。そのため、このときの第2の幅を有する印刷媒体の1回あたりの搬送距離が、第2の幅を有する印刷媒体が印刷途中においてインク吐出部が往復動のいずれか一方の端部近傍位置にあるときに搬送される所定距離と、第2の幅を有する印刷媒体が複数回に分けないで搬送される場合よりも近い値となる。ここで、搬送機構においては、第2の幅を有する印刷媒体が前記所定距離ずつ搬送される場合に、例えば複数の搬送力付与部の搬送速度や搬送負荷のバランス、それらを駆動させるためのモータの個体差などが補償されるように調整されている。従って、第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において複数回に分けて搬送される場合には、第2の幅を有する印刷媒体が一度に連続的に搬送される場合と比較して、上述した蛇行原因が緩和される。その結果、搬送機構において第2の幅を有する印刷媒体が搬送される際に蛇行することが少なくなって、印刷媒体の蛇行に起因して印刷品質が低下するのを抑制することができる。
【0071】
請求項2によると、複数の搬送経路に跨る第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において、第2の幅を有する印刷媒体が印刷途中においてインク吐出部が往復動のいずれか一方の端部近傍位置にあるときに印刷媒体が搬送される所定距離ずつ複数回に分けて搬送される。そのため、このときの第2の幅を有する印刷媒体の1回あたりの搬送距離が、第2の幅を有する印刷媒体が印刷途中においてインク吐出部が往復動のいずれか一方の端部近傍位置にあるときに搬送される所定距離と同じになる。ここで、上述したように、搬送機構においては、第2の幅を有する印刷媒体が前記所定距離ずつ搬送される場合に、例えば複数の搬送力付与部の搬送速度や搬送負荷のバランス、それらを駆動させるためのモータの個体差などが補償されるように調整されている。従って、第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記所定距離ずつ複数回に分けて搬送される場合には、上述した蛇行原因の影響をほとんど受けなくなる。その結果、搬送機構において第2の幅を有する印刷媒体が搬送される際に蛇行することがほとんどなくなって、印刷媒体の蛇行に起因して印刷品質が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0072】
請求項3によると、第2の幅を有する印刷媒体の先端が搬送力付与部に達してからインク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間における搬送機構の制御が、印刷途中における搬送機構の制御と同じになるため、制御手段における制御を簡略化することができる。
【0073】
請求項4によると、筐体内の巻回部から巻き解かれた長尺の印刷媒体に対する印刷が行われるときに、印刷媒体の先端が蛇行することなくインク吐出部と対向可能な位置に搬送される。従って、長尺の印刷媒体の先端がインク吐出部と対向可能な位置に搬送されるときに蛇行することにより、長尺の印刷媒体の全長にわたって印刷品質が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェット式プリンタの概略構成を示す図である。
【図2】図1のインクジェット式プリンタの部分的な上面図である。
【図3】図2のIII−IIIにおける断面図である。
【図4】図1のインクジェット式プリンタの制御系についてのブロック図である。
【図5】幅広の用紙に対して印刷が行われる場合の動作を説明するための図である。
【図6】幅広の用紙の先端部が搬送ローラユニットに達したときの図である。
【図7】幅広の用紙の先端部が印刷可能領域の上流側に達したときの図である。
【図8】幅広の用紙の先端部が印刷可能領域の下流側に達したときの図である。
【図9】幅広の用紙の搬送タイミングと印刷ヘッドの移動タイミングとの関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式プリンタ
2、2’、3 用紙(印刷媒体)
5 アドバンスローラユニット(搬送機構)
5a、5b 紙送りローラ(搬送力付与部)
11 印刷ヘッド(インク吐出部)
20 コントローラ(制御手段)
24 駆動機構(吐出部駆動機構)
Claims (4)
- 印刷媒体に対してインクを吐出可能なインク吐出部と、
前記インク吐出部を印刷媒体と対向しつつ印刷媒体の搬送方向と実質的に垂直な方向に沿って往復動させる吐出部駆動機構と、
互いに独立した搬送力を印刷媒体に付与する複数の搬送力付与部を有しており、複数の前記搬送力付与部に跨らない第1の幅を有する複数の印刷媒体を互いに並列状態にして前記インク吐出部と対向する位置へと搬送可能であり且つ複数の前記搬送力付与部に跨る第2の幅を有する印刷媒体を前記インク吐出部と対向する位置へと搬送可能な搬送機構と、
印刷途中において前記インク吐出部が往復動により印刷媒体と対向しているときに前記インク吐出部が印刷媒体に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において前記インク吐出部が往復動の少なくともいずれか一方の端部近傍位置にあるときに前記搬送機構が印刷媒体を所定距離ずつ搬送すると共に、前記第2の幅を有する印刷媒体の先端が前記搬送力付与部に達してから前記インク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記搬送機構が前記第2の幅を有する印刷媒体を複数回に分けて搬送するように前記搬送機構、前記インク吐出部及び前記吐出部駆動機構を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするインクジェット式プリンタ。 - 前記制御手段は、印刷途中において前記インク吐出部が往復動により印刷媒体と対向しているときに前記インク吐出部が印刷媒体に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において前記インク吐出部が往復動の少なくともいずれか一方の端部近傍位置にあるときに前記搬送機構が印刷媒体を所定距離ずつ搬送すると共に、前記第2の幅を有する印刷媒体の先端が前記搬送力付与部に達してから前記インク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記搬送機構が前記第2の幅を有する印刷媒体を前記所定距離ずつ複数回に分けて搬送するように前記搬送機構、前記インク吐出部及び前記吐出部駆動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式プリンタ。
- 前記制御手段は、印刷途中において前記インク吐出部が往復動により印刷媒体と対向しているときに前記インク吐出部が印刷媒体に対してインクを吐出し、且つ、印刷途中において前記インク吐出部が往復動の少なくともいずれか一方の端部近傍位置にあるときに前記搬送機構が印刷媒体を所定距離ずつ搬送すると共に、前記第2の幅を有する印刷媒体の先端が前記搬送力付与部に達してから前記インク吐出部と対向可能な位置に達するまでの間において前記搬送機構が前記第2の幅を有する印刷媒体を前記所定距離ずつ複数回に分けて間欠的に搬送するように前記搬送機構、前記インク吐出部及び前記吐出部駆動機構を制御することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット式プリンタ。
- 長尺の印刷媒体が巻回された巻回部を収納可能な筐体が着脱可能になっており、
前記搬送機構は、前記筐体内に収納された前記巻回部から巻き解かれた印刷媒体を搬送可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット式プリンタ。
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