JP3736747B2 - 液体容器の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響インピーダンスの変化を検出することで、その中でも特に共振周波数の変化を検出することで、液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検知する圧電装置が備えられた液体容器及びこの液体容器に液体を充填する方法に関する。典型的には、前記液体容器は、圧力発生手段により圧力発生室のインクを印刷データに対応させて加圧してノズル開口からインク滴を吐出させて印刷するインクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液体容器として、インクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジを例にとって説明する。一般にインクジェット記録装置には、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたインクをノズル開口からインク滴として吐出するノズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッドが搭載されたキャリッジと、流路を介して記録ヘッドに供給されるインクを収容するインクタンクとを備えており、連続印刷が可能なように構成されている。インクタンクは、インクが消費された時点でユーザが簡単に交換できるように、記録装置に対して着脱可能なカートリッジとして構成されているものが一般的である。
【0003】
また、インクカートリッジのインク消費の管理方法として、記録ヘッドによって吐出されるインク滴のカウント数と、記録ヘッドのメンテナンス工程で吸引されたインク量とをソフトウエアにより積算し、計算上でインク消費を管理する方法や、インクカートリッジに直接液面検出用の電極を2本取付けることによって、実際にインクが所定量消費された時点を検知することでインク消費を管理する方法がある。
【0004】
しかし、ソフトウェアによりインク滴の吐出数や吸引されたインク量を積算してインク消費を計算上で管理する方法は、計算上のインク消費量と実際の消費量との間に無視できない誤差が生じてしまう。また、同一カートリッジを一旦取外し、再度装着した場合には積算されたカウント値は一旦リセットされてしまうので、実際のインク残量がまったくわからなくなってしまう。
【0005】
また、電極によりインクが消費された時点を管理する方法は、電極とインクカートリッジとの間の液密構造が複雑化する。さらに、電極の材料として、通常は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属を使用するので、インクカートリッジの製造コストがかさむ。さらに、2本の電極をそれぞれインクカートリッジの別な場所に装着する必要があるため、製造工程が多くなる。
【0006】
一方で、圧電装置を用いて音響インピーダンスの変化を検出することで、液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検知する方法が提案されている。この方法によれば、上記した問題点は無い。
【0007】
この方法によれば、カートリッジ内のインク残量を検出する圧電装置がインクカートリッジ内のインクと接触するようにインクカートリッジに装着される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インクカートリッジにインクを充填した際にインクカートリッジの内部に空気が残存してしまうと、記録ヘッドの吐出不良等の問題を生ずる。しかし、圧電装置の複雑な構造によりインクカートリッジの細部まで空気を残すことなくインクを充填させることは容易ではない。また、圧電装置によってインクカートリッジ内のインクの消費状態を正確に検知するためには、インクカートリッジが初めて使用される前又は再使用される前の状態において、インクが圧電装置と接触するようインクカートリッジにインクを充填する必要がある。例えば、インクがインクカートリッジに一杯に充填されている状態において、圧電装置の液体と接触する面に気泡が残留する等の理由のために、圧電装置の液体と接触する面にインクが接触しない場合、インクカートリッジにインクが十分に充填されているにもかかわらず、圧電装置はインクカートリッジ内にインクが十分収容されていないと誤って検知する。
【0009】
更に、使用済みのインクカートリッジにインクを再充填することは、新品のインクカートリッジにインクを充填することより困難である。使用済みのインクカートリッジの場合、使用されている間にインク供給口近辺等の細かい溝や穴が存在する箇所にインクが付着し、溝や穴に空気がインクによって閉じ込められることがある。この状態でインクカートリッジのインクが消費し尽くされてインクカートリッジが回収されると、インクカートリッジにインクを再充填する際にインクが付着して空気が閉じ込められた溝や穴にインクを充填することが困難となる。
【0010】
また、圧電装置によって音響インピーダンスの変化を検出することで液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検知する方法では、インクの液面を検出するために圧電装置はインクと接触する構造となっている。それ故、インクが消費され、インクの液面が圧電装置の装着されている位置より下に低下した場合に、振動や揺動等によって、インクが誤って圧電装置に付着すると、インクが無いにもかかわらず、インクが有ると誤って検出するおそれがある。また、インクカートリッジの内壁面にインク滴が付着し、そのインク滴が垂れ下がってきて、インクが圧電装置に付着した場合にも、同様の誤検出が生じる可能性がある。
【0011】
また、従来のインクカートリッジにおいては、インクカートリッジの内壁や流路にインクが付着することなどによってインクが残存してしまい、インクカートリッジ内のインクを完全に使い切ることができないことがある。インクカートリッジ内に残存したインクは長期間大気に接触することによって質が低下し、異物とともに固化する。このようなインクカートリッジに新しいインクを再充填する場合、質の悪いインクや異物が混在し、インクの品質を低下させるおそれがある。
【0012】
さらに従来のインクカートリッジにおいては、インクカートリッジをリサイクルする際には、内部の洗浄を十分に行わなければならない。特に内部の流路形状が複雑なインクカートリッジをリサイクルする場合、その洗浄に時間がかかり、コストが高くなるという問題もある。
【0013】
近年において、環境問題が大きな社会問題となっている最中、リサイクルし易いインクカートリッジの提供が非常に望まれる。
【0014】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであって、圧電装置を用いることで液体の消費状態を正確に検出でき且つ複雑なシール構造を不要とした液体容器、典型的にはインクカートリッジの内部に、気泡を残留させることなく液体を充填する方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液体容器内の液体の消費状態を検出するキャビティが形成された圧電装置をキャビティが液体容器内と連通するように配置された液体容器に液体を充填する方法であって、液体容器内を大気圧よりも低い圧力に減圧する減圧ステップと、液体容器及びキャビティ内に液体を充填する液体充填ステップと、を有することを特徴とする。更に、減圧ステップ及び液体充填ステップを減圧容器内で行うことが好ましい。減圧ステップでは液体容器に形成された開口から液体容器内の空気を吸引除去して減圧し、液体充填ステップでは開口から液体を充填することでキャビティ内に液体を充填することが好ましい。
【0016】
また、減圧ステップにおいて、液体容器に形成された第1の開口を閉じた後、液体容器に形成された第2の開口から液体容器内の空気を吸引除去し、液体充填ステップにおいて、第2の開口を閉じて、第1の開口を開いてから第1の開口から液体を充填することが好ましい。また、液体容器への液体充填の終了時に、液体容器から所定量の液体を吸引して排出するステップを更に有することが好ましい。減圧ステップと液体充填ステップとをほぼ同時に行うことが好ましい。更に、液体容器から吸引される空気の流量が、液体容器に充填される液体の流量よりも大きいことが好ましい。また、液体充填ステップが、液体容器を保温しながら行うことが好ましい。
【0017】
また、液体容器は、液体容器の液体収容空間に形成された少なくとも1つの隔壁によって液体収容空間が区画されて形成された、大気と連通する第1の液体収容室及びこの第1の液体収容室と連通し圧電装置が装着される第2の液体収容室を有し、減圧ステップ及び液体充填ステップにより第1及び第2の液体収容室のそれぞれに液体を充填することが好ましい。更に、第2の液体収容室の所定の箇所に設けられた開口から液体を充填してから第1の液体収容室に液体を充填してもよい。また、第1の液体収容室に液体を充填してから第2の液体収容室に液体を充填してもよい。更に、液体容器が使用済みの液体容器であっても良い。
【0018】
本発明による液体容器は、容器本体と、この容器本体内の液体の消費状態を検出する圧電装置であって、キャビティが形成され、このキャビティが容器本体の内部と連通するように配置された圧電装置と、を備え、前記容器本体の内部には、前記容器本体の内部を大気圧よりも低い圧力に減圧する減圧ステップと前記容器本体の内部に液体を充填する液体充填ステップとを含む液体充填方法によって液体が充填されている。好ましくは、液体はインクジェット記録装置用のインクであり、液体容器はインクジェット記録装置に着脱自在に装着することができる。好ましくは、液体容器は、容器本体内の液体に対して疎液性である疎液部を有する。好ましくは、前記圧電装置の前記容器本体内の液体と接触する振動領域が疎液性である。
【0019】
圧電装置は容器本体内の液体と接触することができるように容器本体の内方に開口するキャビティを有してもよい。この場合、好ましくは、疎液部はキャビティの内側面を含む。
【0020】
圧電装置は圧電性を有する材料を前記容器本体に装着する基板を有していてもよい。この場合、好ましくは、疎液部は基板のうち容器本体内の液体と接触する部分を含む。また、疎液部は圧電装置を容器本体に取り付けるための取付構造体を含んでいてもよい。疎液部は当該液体容器のうち容器本体内の液体と接触する部分全体であってもよい。好ましくは、疎液部と容器本体内の液体との接触角が約70度以上である。
【0021】
本発明による液体容器は、その疎液部の少なくとも周辺が容器本体内の液体に対して親液性であってもよい。好ましくは、疎液部と容器本体内の液体との接触角が約70度以上であり、親液部と容器本体内の液体との接触角が約30度以下である。
【0022】
好ましくは、疎液部は容器本体内の液体に対して疎液性がある材料を被覆することによって形成されている。疎液部は液体に対して疎液性がある材料としてフッ素化合物で被覆してもよい。疎液部は容器本体内の液体に対して疎液性がある材料から形成されていてもよい。疎液部は液体に対して疎液性がある材料としてポリテトラフルオロエチレン樹脂から形成してもよい。疎液部は所定の材料に粗面化処理を施すことによって形成してもよい。
【0023】
本発明による液体容器に取り付けられる圧電装置は、好ましくは、容器本体内の媒体の少なくとも音響インピーダンスを検出し、この音響インピーダンスの変化に基づいて液体の消費状態を検出する。好ましくは、圧電装置は振動部を有し、振動部に残留する残留振動によって発生する逆起電力に基づいて、液体の消費状態を検出する。
【0024】
好ましくは、液体容器は、インク滴を吐出する記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に装着され、記録ヘッドへ液体容器内の液体を供給する。
【0025】
本発明による液体容器製造方法は、液体を収容するための容器本体およびこの容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備えた液体容器と、容器本体内の液体の消費状態を検出する圧電装置とを準備する準備ステップと、圧電装置に容器本体内の液体に対して疎液性がある疎液部を形成する形成ステップと、圧電装置を液体容器に取り付ける取付ステップと、上述した液体充填方法を用いて容器本体の内部に液体を充填する充填ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0026】
好ましくは、形成ステップは、容器本体内の液体に対して疎液性がある材料を疎液部に被覆する。例えば、疎液部を予め容器本体内の液体に対して疎液性がある材料に浸漬させることによって被覆してもよい。また、疎液部に容器本体内の液体に対して疎液性がある材料を塗布することによって被覆してもよい。また、疎液部に容器本体内の液体に対して疎液性がある被膜層を貼付することによって被覆してもよい。また、疎液部に容器本体内の液体に対して疎液性がある材料を堆積することによって被覆してもよい。また、疎液部に容器本体内の液体に対して疎液性がある材料をメッキ処理することによって、疎液部に容器本体内の液体に対して疎液性がある材料を被覆してもよい。
【0027】
また、形成ステップは、所定の材料に紫外線を照射することによって疎液部を形成してもよい。さらに、所定の材料に粗面化処理を施すことによって疎液部を形成してもよい。
【0028】
また、本発明による液体容器製造方法は、液体を収容するための容器本体およびこの容器本体内の液体を外部へ供給する液体供給口を備えた液体容器と、容器本体内の液体の消費状態を検出する圧電装置とを準備する準備ステップと、圧電装置に容器本体内の液体に対して疎液性がある疎液部を形成する形成ステップと、圧電装置を液体容器に取り付ける取付ステップと、上述した液体充填方法を用いて容器本体の内部に液体を充填する充填ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0029】
取付ステップは、形成ステップが実施された後に実施することができる。或いは逆に、形成ステップを取付ステップが実施された後に実施することもできる。
【0030】
好ましくは、準備ステップにおいて、液体容器及び圧電装置と共に、圧電装置を液体容器に取り付ける取付構造体が準備される。この場合、液体容器製造方法は、圧電装置を取付構造体に装着する装着ステップをさらに有する。そして、取付ステップにおいて、取付構造体を液体容器に取り付けることにより圧電装置が液体容器に取り付けられる。
【0031】
また、形成ステップは、装着ステップが実施された後に実施することができる。或いは逆に、装着ステップを、形成ステップが実施された後に実施することもできる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を通じて本発明を詳細に説明する。
【0033】
具体的な振動現象を利用した液体容器内の液体の状態の検出としてはいくつかの方法が考えられる。例えば弾性波発生手段が液体容器の内部に対して弾性波を発生し、液面あるいは対向する壁によって反射する反射波を受波することで、液体容器内の媒体およびその状態の変化を検出する方法がある。また、これとは別に、振動する物体の振動特性から音響インピーダンスの変化を検知する方法もある。音響インピーダンスの変化を利用する方法としては、圧電素子を有する圧電装置であるアクチュエータの振動部を振動させ、その後に振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって、共振周波数または逆起電力波形の振幅を検出することで音響インピーダンスの変化を検知する方法や、測定機、例えば伝送回路等のインピーダンスアナライザによって液体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定し、電流値や電圧値の変化または、振動を液体に与えたときの電流値や電圧値の周波数による変化を測定する方法がある。
【0034】
本発明は、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる圧電装置(アクチュエータ)を装着した液体容器内に液体を充填する方法及びこの方法により液体が充填された液体容器を提供する。
【0035】
図1は、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置を示す。複数のインクカートリッジ180は、それぞれのインクカートリッジ180に対応した複数のインク導入部182及びヘッドプレート186を有するインクジェット記録装置に装着される。複数のインクカートリッジ180は、それぞれ異なった種類、例えば色のインクを収容する。複数のインクカートリッジ180のそれぞれの底面には、少なくとも音響インピーダンスを検出する手段であるアクチュエータ106が装着されている。アクチュエータ106をインクカートリッジ180に装着することによって、インクカートリッジ180内のインク残量を検出することができる。
【0036】
インクジェット記録装置は、インク導入部182、ホルダー184、及び記録ヘッド186を有する。記録ヘッド186からインクが噴射されて記録動作が実行される。インク導入部182は空気供給口181と図示しないインク導入口とを有する。空気供給口181はインクカートリッジ180に空気を供給する。インク導入口はインクカートリッジ180から記録ヘッド186にインクを導入する。インクカートリッジ180は空気導入口185とインク供給口187とを有する。空気導入口185はインク導入部182の空気供給口181から空気を導入する。インク供給口187はインク導入部182のインク導入口にインクを供給する。インクカートリッジ180が空気導入口185から空気を導入することによって、インクカートリッジ180からインクジェット記録装置へのインクの供給を促す。ホルダー184は、インクカートリッジ180からインク導入部182を介して供給されたインクをヘッドプレート186に連通する。
【0037】
図2は、図1に示したインクカートリッジ180に装着された圧電装置の一例であるアクチュエータ106の詳細を示す。ここでいうアクチュエータは、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。特に、残留振動により共振周波数の検出することで、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。図2(A)は、アクチュエータ106の拡大平面図である。図2(B)は、アクチュエータ106のB−B断面を示す。図2(C)は、アクチュエータ106のC−C断面を示す。
【0038】
アクチュエータ106は、ほぼ中央に円形状の開口161を有する基板178と、開口161を被覆するように基板178の一方の面(以下、「表面」という。)に配置される振動板176と、振動板176の表面の側に配置される圧電層160と、圧電層160を両方からはさみこむ上部電極164および下部電極166と、上部電極164と電気的に結合する上部電極端子168と、下部電極166と電気的に結合する下部電極端子170と、上部電極164および上部電極端子168の間に配設され、かつ両者を電気的に結合する補助電極172とを有する。圧電層160、上部電極164および下部電極166はそれぞれの主要部として円形部分を有する。圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの円形部分は圧電素子を形成する。
【0039】
振動板176は、基板178の表面に、開口161を覆うように形成される。キャビティ162は、振動板176の開口161と面する部分と基板178の表面の開口161とによって形成される。基板178の圧電素子とは反対側の面(以下、「裏面」という。)は液体容器側に面しており、キャビティ162は液体と接触するように構成されている。キャビティ162内に液体が入っても基板178の表面側に液体が漏れないように、振動板176は基板178に対して液密に取り付けられる。
【0040】
下部電極166は振動板176の表面、即ち液体容器とは反対側の面に位置しており、下部電極166の主要部である円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように取り付けられている。なお、下部電極166の円形部分の面積が開口161の面積よりも小さくなるように設定されている。一方、下部電極166の表面側には、圧電層160が、その円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように形成されている。圧電層160の円形部分の面積は、開口161の面積よりも小さく、かつ下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるように設定されている。一方、圧電層160の表面側には、上部電極164が、その主要部である円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように形成される。上部電極164の円形部分の面積は、開口161および圧電層160の円形部分の面積よりも小さく、かつ下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるよう設定されている。
【0041】
したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部と下部電極166の主要部とによって、それぞれ表面側と裏面側とから挟みこまれる構造となっていて、圧電層160を効果的に変形駆動することができる。圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分がアクチュエータ106における圧電素子を形成する。上述のように圧電素子は振動板176に接している。また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分、下部電極166の円形部分および開口161のうちで、面積が最も大きいのは開口161である。この構造によって、振動板176のうち実際に振動する振動領域は、開口161によって決定される。また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分および下部電極166の円形部分は開口161より面積が小さいので、振動板176がより振動しやすくなる。さらに、圧電層160と電気的に接続する下部電極166の円形部分および上部電極164の円形部分のうち、下部電極166の円形部分の方が小さい。従って、下部端子166の円形部分が圧電層160のうち圧電効果を発生する部分を決定する。上部電極端子168は、補助電極172を介して上部電極164と電気的に接続するように振動板176の表面側に形成される。一方、下部電極端子170は、下部電極166に電気的に接続するように振動板176の表面側に形成される。
【0042】
なお、圧電素子と振動板176のうちの圧電素子に直面する振動領域とが、アクチュエータ106において実際に振動する振動部である。また、アクチュエータ106に含まれる部材は、互いに焼成されることによって一体的に形成されることが好ましい。アクチュエータ106を一体的に形成することによって、アクチュエータ106の取り扱いが容易になる。さらに、基板178の強度を高めることによって振動特性が向上する。即ち、基板178の強度を高めることによって、アクチュエータ106の振動部のみが振動し、アクチュエータ106のうち振動部以外の部分が振動しない。また、アクチュエータ106の振動部以外の部分が振動しないためには、基板178の強度を高めるのに対し、アクチュエータ106の圧電素子を薄くかつ小さくし、振動板176を薄くすることによって達成できる。
【0043】
上部電極164は、圧電層160の表面側に形成されるため、上部電極端子168と接続する途中において、圧電層160の厚さと下部電極166の厚さとの和に等しい段差を有する必要がある。上部電極164だけでこの段差を形成することは難しく、かりに可能であったとしても上部電極164と上部電極端子168との接続状態が弱くなってしまい、切断してしまう危険がある。そこで、補助電極172を補助部材として用いて上部電極164と上部電極端子168とを接続させている。このようにすることで、圧電層160も上部電極164も補助電極172に支持された構造となり、所望の機械的強度を得ることができ、また上部電極164と上部電極端子168との接続を確実にすることが可能となる。
【0044】
圧電層160の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)または鉛を使用しない鉛レス圧電膜を用いることが好ましく、基板178の材料としてジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板176には、基板178と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極164、下部電極166、上部電極端子168および下部電極端子170は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0045】
上述したように構成されるアクチュエータ106は、液体を収容する容器に適用することができる。例えば、インクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジやインクタンク、あるいは記録ヘッドを洗浄するための洗浄液を収容した容器などに装着することができる。
【0046】
図2に示されるアクチュエータ106は、液体容器の所定の場所に、キャビティ162を液体容器内に収容される液体と接触するように装着される。液体容器に液体が十分に収容されている場合には、キャビティ162内およびその外側は液体によって満たされている。一方、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の装着位置以下まで液面が降下すると、キャビティ162内には液体は存在しないか、あるいはキャビティ162内にのみ液体が残存されその外側には気体が存在する状態となる。アクチュエータ106は、この状態の変化に起因する、少なくとも音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、アクチュエータ106は、液体容器に液体が十分に収容されている状態であるか、あるいはある一定以上の液体が消費された状態であるかを検知することができる。さらに、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の種類も検出することが可能である。
【0047】
液体容器がインクカートリッジ180の場合、図2に示されるアクチュエータ106をインクカートリッジ180に装着することによってインクカートリッジ180の所定の場所に、キャビティ162をインクカートリッジ180内に収容されるインクと接触するように装着される。インクカートリッジ180にインクが十分に収容されている場合には、キャビティ162内およびその外側はインクによって満たされている。一方、インクカートリッジ180のインクが消費され、アクチュエータの装着位置以下まで液面が降下すると、キャビティ162内には液体は存在しないか、あるいはキャビティ162内にのみ液体が残存されその外側には気体が存在する状態となる。アクチュエータ106は、この状態の変化に起因する、少なくとも音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、アクチュエータ106は、インクカートリッジ180にインクが十分に収容されている状態であるか、あるいはある一定以上のインクが消費された状態であるかを検知することができる。
【0048】
アクチュエータ106によってインクカートリッジ180内のインクの消費状態を正確に検知するためには、インクカートリッジ180が初めて使用される前又は再使用される前の状態において、インクがアクチュエータ106のキャビティ162に充填されるようインクカートリッジ180にインクを充填する必要がある。キャビティ162にインクが充填されない場合が生じる理由を以下に説明する。
【0049】
図3は、インクカートリッジ180にインクが一杯に充填されたときのアクチュエータ106のキャビティ162の部分を拡大して示した断面図である。図3(A)は、キャビティ162に気泡が残留しているためにインクKが充填されない状態を示す。一方、図3(B)は、キャビティ162にインクKが充填された状態を示す。キャビティ162の直径が、0.5mm以下である場合、キャビティ162の直径が小さいためにインクが自然の状態では充填されにくい。そのためインクカートリッジ180にインクが一杯に充填されても、図3(A)に示すようにキャビティ162に空気が残留しインクが充填されない場合が多い。一方、キャビティ162の直径が0.5mmより大きい場合でも、キャビティ162の隅に気泡が残ると、この気泡は容易に除去できないのでキャビティにインクを充填することができなくなる。
【0050】
また、キャビティ162の直径が小さいと、キャビティ162によって構成される狭い間隙には毛細管力が働く。そのため、キャビティ162内に残留した空気の圧力が毛細管力と釣り合い、キャビティ162内にインクが満たされないという現象が発生する。キャビティ162内に残留する空気の圧力と毛細管力とがつりあった状態のときにインクKに圧力を加えてキャビティ162内にインクKを押しこもうとすると、図3(C)に示すようにインクKとキャビティ162との接触部の接触角は静的接触角より大きくなりインクKをキャビティ162から外へ押し出そうとする方向に力が働く。したがって、インクKに圧力を加えて気泡が残留するキャビティ162内にインクを充填するためには、キャビティ162内の気泡を押しつぶすほどの大きい圧力をインクKに加えなければならない。
【0051】
本実施形態においては、キャビティ162内に残留する気泡を除去し、キャビティ162内にインクを充填する際、インクカートリッジ180から空気を吸引除去してインクカートリッジ180の内部を減圧する。インクカートリッジ180内を減圧することによって容易にキャビティ162から気泡を除去し、図3(B)に示すようにキャビティ162にインクを充填することができる。
【0052】
図4は、図2に示したアクチュエータ106を先端に設置したモジュール体100をインクカートリッジ180に装着したときの容器本体の底部近傍の断面図である。モジュール体100は、容器本体1の壁を貫通するように装着されている。容器本体1の壁とモジュール体100との接合面には、Oリング365が設けられ、モジュール体100と容器本体1との液密を保っている。Oリング365でシールが出来るようにモジュール体100は円筒部を備えることが好ましい。
【0053】
モジュール体100の先端が容器本体1の内部に挿入されることで、プレート110の貫通孔112を介して容器本体1内のインクがアクチュエータ106と接触する。アクチュエータ106の振動部の周囲が液体か気体かによってアクチュエータ106の残留振動の共振周波数が異なるので、モジュール体100を用いてインクの消費状態を検出することができる。
【0054】
図4に示すようにインクカートリッジ180及びモジュール体100の寸法に対してアクチュエータ106のキャビティ162の寸法は小さく、1.0mm以下の直径である。そのため、図3(A)に示したようにインクカートリッジ180にインクを充填する際に、通常の充填方法ではキャビティ162に気泡を残留させることなくインクを充填することが困難となる。
【0055】
図5は、インクカートリッジ180にインクを充填するインク充填装置20の構成を示す。インク充填装置20は、インクカートリッジ180を内部に設置する真空容器14と、真空容器14から空気を吸引除去することによってインクカートリッジ180内を減圧する真空ポンプ10と、インクカートリッジ180にインクを供給して充填するインクタンク12とを有する。
【0056】
インクカートリッジ180にインクを充填するためには、まず、インクカートリッジ180を真空容器14内に設置する。次にインクカートリッジ180の空気導入口185を閉じ、真空ポンプ10で真空容器14内から空気を吸引除去して減圧する。するとインク供給口187からインクカートリッジ180内の空気が真空容器14へと吸引除去されるのでインクカートリッジ180内が減圧される。そのときに、インクカートリッジ180に装着されたアクチュエータ106のキャビティ162内の空気も除去される。次にインクカートリッジ180のインク供給口187を閉じ、インクタンク12に接続されたインク供給チューブ24をインクカートリッジ180の空気導入口185に接続してインクタンク12からインクカートリッジ180へインクKを供給する。インク供給チューブ24をインクカートリッジ180に接続する際、インク供給チューブ24の先端に中空の針を設けて空気導入口185に突き刺してもよい。インクカートリッジ180内が減圧されることによりキャビティ162内に気泡が残留しないので、インクカートリッジ180にインクを充填することにより容易にキャビティ162内にインクKを充填することができる。インクカートリッジ180へのインクの充填が終了すると、インクカートリッジ180の空気導入口185を閉じ、インクカートリッジ180を真空容器14から取り出してインクの充填を終了する。また、上述した方法とは逆に、まずインク供給口187を閉じ、空気導入口185から空気を吸引除去して減圧した後、インク供給口187からインクカートリッジ180へインクを充填してもよい。さらに、空気の吸引除去及びインクの充填の両方を、空気導入口185及びインク供給口187のいずれか一方にて行うこともできる。
【0057】
インクカートリッジ180へのインク充填の終了時に、インクカートリッジ180のインク供給口187から所定量のインクを吸引して排出してもよい。インク充填の終了時に所定量のインクを吸引することにより、インク充填時にインク中に溶け込んだ気泡をインクと共に吸引除去することができる。更にインク供給口187内に残留している可能性がある気泡を一気に吸い出すことができる。インク中に溶け込んだ気泡を除去することにより、インク中に溶け込んだ気泡が記録ヘッドに侵入して印刷品質の劣化を招いたり、アクチュエータ106に付着して誤作動を招くことを防ぐことができる。インク充填の終了時とは、インク充填が終了する間際の時点、インク充填が終了すると同時の時点、及びインク充填が終了した直後の時点のいすれの時点でもよい。
【0058】
更に、インクカートリッジ180を減圧する際に、インクカートリッジ180の温かさを保ちながら減圧することが好ましい。このように、減圧するときにインクカートリッジ180を保温することにより、インクを充填する際に充填されるインクの粘度が下がり、インクカートリッジ180にインクが充填されやすくなる。また、インクをインクカートリッジ180に充填する際にインクカートリッジ180の温かさを保つようにしても良いし、或いは充填されるインクの温かさを保つようにしてもよい。
【0059】
図6は、インク充填装置の他の実施形態を示す。この実施形態では真空容器14を用いないでインクカートリッジ180を減圧するインク充填装置22を用いている。インク充填装置22は、インクカートリッジ180から空気を吸引除去することによって減圧する真空ポンプ16と、インクカートリッジ180にインクを供給して充填するインクタンク18とを有する。
【0060】
インクカートリッジ180にインクを充填するためには、まず、空気導入口185を閉じ、真空ポンプ10に接続された空気吸引チューブ28をインクカートリッジ180のインク供給口187に接続する。空気吸引チューブ28の先端に中空の針を設けてインク供給口187に突き刺すことにより空気吸引チューブ28をインクカートリッジ180に接続するようにしてもよい。
【0061】
次に、真空ポンプ16を駆動してインクカートリッジ180から空気を吸引除去して減圧する。するとインクカートリッジ180に装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に存在する空気も除去される。
【0062】
次に、インク供給口187を閉じて、インクタンク18に接続されたインク供給チューブ26をインクカートリッジ180の空気導入口185に接続してインクタンク18からインクカートリッジ180へインクを供給する。インク供給チューブ26の先端に中空の針を設けて空気導入口185に突き刺すことによりインク供給チューブ26をインクカートリッジ180に接続するようにしてもよい。インクカートリッジ180内が減圧されることによりキャビティ162内に空気が残留していないので、インクカートリッジ180にインクを充填することにより容易にキャビティ162内にインクを充填することができる。
【0063】
インクカートリッジ180へのインクの充填が終了すると空気導入口185及びインク供給口187を閉じてインクの充填を終了する。また、上述した方法とは逆に、空気導入口185から空気を吸引除去して減圧した後、インク供給口187からインクカートリッジ180へインクを充填してもよい。さらに、空気の吸引除去及びインクの充填の両方を、空気導入口185及びインク供給口187のいずれか一方にて行うこともできる。
【0064】
インクカートリッジ180へのインク充填の終了時に、インクカートリッジ180のインク供給口187から所定量のインクを吸引して排出してもよい。インク充填の終了時に所定量のインクを吸引することにより、インク充填時にインク中に溶け込んだ気泡をインクと共に吸引除去することができる。更にインク供給口187内に残留している可能性がある気泡を一気に吸い出すことができる。インク中に溶け込んだ気泡を除去することにより、インク中に溶け込んだ気泡が記録ヘッドに侵入して印刷品質の劣化を招いたり、アクチュエータ106に付着して誤作動を招くことを防ぐことができる。インク充填の終了時とは、インク充填が終了する間際の時点、インク充填が終了すると同時の時点、及びインク充填が終了した直後の時点のいずれの時点でもよい。
【0065】
また、インクカートリッジ180から空気を吸引除去して減圧しているときに、同時にインクカートリッジ180にインクを充填してもよい。この場合、インクカートリッジ180を減圧する前に、インクタンク18に接続されたインク供給チューブ26を予め空気導入口185に接続し、インクカートリッジ180を減圧すると同時にインクカートリッジ180にインクタンク18からインクを供給すればよい。この方法によればインクカートリッジ180にインク充填に要する時間を短縮させる。
【0066】
この場合、インクカートリッジ180から吸引される空気の流量が、インクカートリッジ180に充填されるインクの流量よりも大きいことが好ましい。更に、インクカートリッジ180を減圧する際にインクカートリッジ180の温かさを保ちながら減圧することが好ましい。このように、減圧するときにインクカートリッジ180を保温することにより、インクを充填する際に充填されるインクの粘度が下がり、インクカートリッジ180にインクが充填されやすくなる。また、インクをインクカートリッジ180に充填する際にインクカートリッジ180を保温してもよく、充填されるインクを保温してもよい。
【0067】
図7は、図5に示すインク充填装置20のインク充填の手順を示す。まず、インクカートリッジ180を真空容器14内に設置する(S10)。次にインクカートリッジ180の空気導入口185を閉じる(S12)。次に真空ポンプ10で真空容器14内から空気を吸引除去して減圧することによりインクカートリッジ180内を減圧する(S14)。次にインクカートリッジ180のインク供給口187を閉じる(S16)。次にインク供給チューブ24をインクカートリッジ180の空気導入口185に接続する(S18)。次にインクタンク12からインクカートリッジ180へインクを供給する(S20)。次にインクカートリッジ180へのインクの充填が終了するとインクカートリッジ180の空気導入口185及びインク供給口187を閉じる(S22)。最後に、インクカートリッジ180を真空容器14から取り出し(S24)、インクの充填工程を終了する。また、上述した方法とは逆に、まずインク供給口187を閉じ、空気導入口185から空気を吸引除去して減圧した後、インク供給口187からインクカートリッジ180へインクを充填してもよい。
【0068】
図8は、図6に示すインク充填装置22のインク充填の手順を示す。まず、空気導入口185を閉じ(S26)、真空ポンプ10に接続された空気吸引チューブ28をインクカートリッジ180のインク供給口187に接続する(S27)。次に真空ポンプ16を駆動してインクカートリッジ180から空気を吸引除去して減圧する(S28)。次にインク供給口187を閉じて(S30)、インクタンク18に接続されたインク供給チューブ26をインクカートリッジ180の空気導入口185に接続して(S31)、インクタンク18からインクカートリッジ180へインクを供給する(S32)。インクカートリッジ180へのインクの充填が終了すると空気導入口185及びインク供給口187を閉じて(S34)、インクの充填工程を終了する。
【0069】
以上空気導入口185からインクを供給し、インク供給口187から減圧する工程を説明したが、インク供給口187からインクを供給し、空気導入口185から減圧してもよい。また、インクカートリッジ180を減圧するためにインクカートリッジ180に減圧専用の開口を設けてもよい。
【0070】
上記のインク充填装置及びインク充填方法を、使用済みのインクカートリッジ180に対して使用してもよい。使用済みのインクカートリッジ180にインクを再充填することは、新品のインクカートリッジ180にインクを充填することより困難である。使用済みのインクカートリッジ180の場合、使用されている間にインク供給口187近辺やアクチュエータ106のキャビティ162等の細かい溝や穴が存在する箇所にインクが付着し、溝や穴に空気がインクによって閉じ込められることがある。この状態でインクカートリッジ180のインクが消費し尽くされてインクカートリッジ180が回収されると、インクカートリッジ180にインクを再充填する際に、通常の充填方法によってインクが付着して空気が閉じ込められた溝や穴にインクを充填することは難しい。ここで図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いると、インクカートリッジ180内を減圧することによって溝や穴に空気を閉じ込めていたインクや、インクによって溝や穴に閉じ込められていた空気が吸引除去されて溝や穴に容易にインクを充填することができる。
【0071】
図9は、インクカートリッジ180の更に他の例を示す。図9(A)のインクカートリッジ180Gは、容器本体194の上面194cから下方に延びる複数の隔壁212を有する。それぞれの隔壁212の下端と容器本体194の底面とは所定の間隔が空けられているので、容器本体194の底部は連通している。インクカートリッジ180Gは複数の隔壁212のそれぞれによって区画された複数の収容室213を有する。複数の収容室213の底部は互いに連通する。複数の収容室213のそれぞれにおいて、容器本体194の上面194cにはアクチュエータ106が装着されている。図2に示した、一体成形されたアクチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ106として用いることが好ましい。アクチュエータ106は、容器本体194の収容室213の上面194cのほぼ中央に配置される。収容室213の容量はインク供給口187側が最も大きく、インク供給口187から容器本体194の奥へ遠ざかるにつれて、収容室213の容量が徐々に小さくなっている。したがって、アクチュエータ106が配置される間隔はインク供給口187側が広く、インク供給口187から容器本体194の奥へと遠ざかるにつれ、狭くなっている。
【0072】
インクは、インク供給口187から排出され、空気が空気導入口185から入るので、インク供給口187側の収容室213からインクカートリッジ180Gの奥の方の収容室213へとインクが消費される。例えば、インク供給口187に最も近い収容室213のインクが消費されて、インク供給口187に最も近い収容室213のインクの液位が下がっている間、他の収容室213にはインクが満たされている。インク供給口187に最も近い収容室213のインクが消費され尽くすと、空気が、インク供給口187から数えて2番目の収容室213に侵入し、2番目の収容室213内のインクが消費され始めて、2番目の収容室213のインクの液位が下がり始める。この時点で、インク供給室187から数えて3番目以降の収容室213には、インクが満たされている。このように、インク供給口187に近い収容室213から遠い収容室213へと順番にインクが消費される。
【0073】
このように、アクチュエータ106がそれぞれの収容室213ごとに容器本体194の上面194cに間隔をおいて配置されているので、アクチュエータ106はインク量の減少を段階的に検出することができる。更に、収容室213の容量が、インク供給口187から収容室213の奥へと徐々に小さくなっているので、アクチュエータ106が、インク量の減少を検出する時間間隔が徐々に小さくなり、インクエンドに近づくほど頻度を高く検出することができる。
【0074】
図9(A)に示したインクカートリッジ180Gの場合、インク供給口187から最も遠い収容室213にインクを充填することは困難である。特に、奥の方が収容室213が狭いのでインクを充填することが困難である。更に、インク供給口187から最も遠い収容室213に装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に残留する気泡を除去して、そこにインクを充填することは更に困難である。
【0075】
この場合、図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いることによって、収容室213及び収容室213に装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に容易にインクを充填することができる。また、インク供給口187から最も遠い収容室213にインクを充填するために、インク供給口187から最も遠い収容室213の上部に開口を設けて、その開口からインクを充填してから、インク供給口187に近い収容室213の方へとインクを充填してもよい。また、インク供給口に近い収容室213から先にインク供給口から遠い収容室213へとインクを充填してもよい。
【0076】
図9(B)のインクカートリッジ180Hは、容器本体194の上面194cから下方に延びる一つの隔壁212を有する。隔壁212の下端と容器本体194の底面とは所定の間隔が空けられているので、容器本体194の底部は連通している。インクカートリッジ180Hは隔壁212によって区画された2室の収容室213a及び213bを有する。収容室213a及び213bの底部は互いに連通する。インク供給口187側の収容室213aの容量はインク供給口187から見て奥の方の収容室213bの容量より大きい。収容室213bの容量は、収容室213aの容量の半分より小さいことが好ましい。
【0077】
収容室213bの上面194cにアクチュエータ106が装着される。更に、収容室213bには、インクカートリッジ180Hの製造時に入る気泡を捕らえる溝であるバッファ214が形成される。図9(B)において、バッファ214は、容器本体194の側壁194bから上方に延びる溝として形成される。バッファ214はインク収容室213b内に侵入した気泡を捕らえるので、気泡によってアクチュエータ106がインクエンドと検出する誤作動を防止することができる。また、アクチュエータ106を収容室213bの上面194cに設けることにより、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量に対して、ドットカウンタによって把握した収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正をかけることで、最後までインクを消費することができる。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや間隔を変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
【0078】
図9(B)に示したインクカートリッジ180Hの場合、インク供給口187から遠い側の収容室213bにインクを充填することは困難である。更に、収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に残留する気泡を除去して、そこにインクを充填することは更に困難である。この場合、図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いることによって、収容室213b及び収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に容易にインクを充填することができる。また、インク供給口187から遠い側の収容室213bにインクを充填するために、バッファ214の上部に開口を設けて、その開口からインクを充填してから、インク供給口187に近い収容室213aの方へとインクを充填してもよい。また、インク供給口に近い側の収容室213aから先にインク供給口から遠い側の収容室213bへとインクを充填してもよい。
【0079】
図9(C)に示したインクカートリッジ180Iは、図9(B)のインクカートリッジ180Hの収容室213bに多孔質部材216を充填して構成されている。多孔質部材216は、収容室213b内の上面から下面までの全空間を埋めるように設置される。多孔質部材216は、アクチュエータ106と接触する。インクカートリッジIが倒れたときや、キャリッジ上での往復運動中に空気がインク収容室213b内に侵入してしまい、これがアクチュエータ106の誤作動を引き起こす可能性がある。しかし、多孔質部材216が備えられていれば、空気を捕らえてアクチュエータ106に空気が入るのを防ぐことができる。また、多孔質部材216はインクを保持するのでインクカートリッジが揺れることにより、インクがアクチュエータ106にかかってアクチュエータ106がインク無しをインク有りと誤検出するのを防ぐことができる。多孔質部材216は最も容量が小さい収容室213に設置することが好ましい。
【0080】
また、アクチュエータ106を収容質213bの上面194cに設けることにより、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量に補正をかけ、最後までインクを消費することができる。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや間隔を変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
【0081】
図9(C)に示したインクカートリッジ180Iの場合、インク供給口187から遠い側の、多孔質部材216が設置された収容室213bにインクを充填することは困難である。更に、収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に、気泡を残留させることなくインクを充填することは更に困難である。この場合、図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いることによって、収容室213b、収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162、及び多孔質部材216に容易にインクを充填することができる。また、インク供給口187から遠い側の収容室213bにインクを充填するために、バッファ214の上部に開口を設けて、その開口からインクを充填してから、インク供給口187に近い側の収容室213aの方へとインクを充填してもよい。また、インク供給口187に近い側の収容室213aから先にインク供給口187から遠い側の収容室213bへとインクを充填してもよい。
【0082】
図9(D)に示したインクカートリッジ180Jは、図9(C)のインクカートリッジ180Iの多孔質部材216を孔径の異なる2種類の多孔質部材216A及び216Bで構成したものである。多孔質部材216Aは、多孔質部材216Bの上方に配置されている。上側の多孔質部材216Aの孔径は、下側の多孔質部材216Bの孔径より大きい。もしくは、多孔質部材216Aは、多孔質部材216Bよりも液体親和性が低い部材で形成される。
【0083】
孔径の小さい多孔質部材216Bの方が孔径の大きい多孔質部材216Aより毛細管力は大きいので、収容室213b内のインクが下側の多孔室部材216Bに集まり、保持される。したがって、一度空気がアクチュエータ106まで到達してインク無しを検出すると、インクが再度アクチュエータに到達してインク有りと検出することが無い。更に、アクチュエータ106から遠い側の多孔質部材216Bにインクが吸収されることで、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良くなり、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。また、アクチュエータ106を収容室213bの上面194cに設けることにより、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量に補正をかけ、最後までインクを消費することができる。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや間隔を変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
【0084】
図9(D)に示したインクカートリッジ180Jの場合、インク供給口187から遠い側の、多孔質部材216A及び216Bが設置された収容室213bにインクを充填することは困難である。更に、収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に、気泡を残留させることなくインクを充填することは更に困難である。この場合、図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いることによって、多孔質部材216A及び216Bが設置された収容室213b及び収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に容易にインクを充填することができる。また、インク供給口187から遠い側の収容室213bにインクを充填するために、バッファ214の上部に開口を設けて、その開口からインクを充填してから、インク供給口187に近い側の収容室213aの方へとインクを充填してもよい。また、インク供給口187に近い側の収容室213aから先にインク供給口187から遠い側の収容室213bへとインクを充填してもよい。
【0085】
図10は、図9(C)に示したインクカートリッジ180Iの変形例を示す断面図である。図10に示すインクカートリッジ180Kの多孔質部材216は、多孔質部材216の下部の水平方向の断面積が、容器本体194の底面の方向にむけて徐々に小さくなるように圧縮され、孔径が小さくなるよう設計されている。図10(A)のインクカートリッジ180Kは、多孔質部材216の下の方の孔径が小さくなるように圧縮するために側壁にリブが設けられている。
【0086】
多孔質部材216下部の孔径は圧縮されることにより、小さくなっているので、インクは多孔質部材216下部へと集められ、保持される。アクチュエータ106から遠い側の多孔質部材216下部にインクが吸収されることで、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良くなり、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。したがって、インクが揺れることによってインクカートリッジ180K上面に装着されたアクチュエータ106にインクがかかっていしまい、アクチュエータ106が、インク無しをインク有りと誤検出することを防止することができる。
【0087】
一方、図10(B)及び図10(C)のインクカートリッジ180Lは、多孔質部材216の下部の水平方向の断面積が、容器本体194の幅方向において、容器本体194の底面にむけて徐々に小さくなるよう圧縮するために、収容室213bの水平方向の断面積が容器本体194の底面の方向にむけて徐々に小さくなっている。
【0088】
多孔質部材216下部の孔径は圧縮されることにより、小さくなっているので、インクは多孔質部材216下部へと集められ、保持される。アクチュエータ106から遠い側の多孔質部材216B下部にインクが吸収されることで、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良くなり、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。したがって、インクが揺れることによって、インクカートリッジ180L上面に装着されたアクチュエータ106にインクがかかっていしまい、アクチュエータ106が、インク無しをインク有りと誤検出することを防止することができる。
【0089】
図10に示したインクカートリッジ180K及び180Lの場合、インク供給口187から遠い側の、多孔質部材216が設置された収容室213bにインクを充填することは困難である。また、収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に、気泡を残留させることなくインクを充填することは更に困難である。この場合、図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いることによって、収容室213b及び収容室213bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162及び多孔質部材216に容易にインクを充填することができる。また、インク供給口187から遠い側の収容室213bにインクを充填するために、バッファ214の上部に開口を設けて、その開口からインクを充填してから、インク供給口187に近い側の収容室213aの方へとインクを充填してもよい。また、インク供給口187に近い側の収容室213aから先にインク供給口187から遠い側の収容室213bへとインクを充填してもよい。
【0090】
図11は、アクチュエータ106を用いたインクカートリッジの更に他の例を示す。図11(A)のインクカートリッジ220Aは、インクカートリッジ220Aの上面から下方へと延びるように設けられた第1の隔壁222を有する。第1の隔壁222の下端とインクカートリッジ220Aの底面との間には所定の間隔が空けられているので、インクは、インクカートリッジ220Aの底面を通じてインク供給口230へ流入できる。第1の隔壁222よりインク供給口230側には、インクカートリッジ220Aの底面より上方に延びるように第2の隔壁224が形成されている。第2の隔壁224の上端とインクカートリッジ220A上面との間には所定の間隔が空けられているので、インクは、インクカートリッジ220Aの上面を通じてインク供給口230へ流入できる。
【0091】
第1の隔壁222によって、インク供給口230から見て、第1の隔壁222の奥の方に第1の収容室225aが形成される。一方、第2の隔壁224によって、インク供給口230から見て第2の隔壁224の手前側に第2の収容室225bが形成される。第1の収容室225aの容量は、第2の収容室225bの容量より大きい。第1の隔壁222及び第2の隔壁224の間に、毛管現象を起こせるだけの間隔が空けられることにより、毛管路227が形成される。したがって、第1の収容室225aのインクは、毛管路227の毛細管力により、毛管路227に集められる。そのため、気体や気泡が収容室225bへ混入するのを防止することができる。また、収容室225b内のインクの液位は、安定的に徐々に下降できる。インク供給口230から見て、第1の収容室225aは、第2の収容室225bより奥に形成されているので、第1の収容室225aのインクが消費された後、第2の収容室225bのインクが消費される。
【0092】
インクカートリッジ220Aのインク供給口230側の側壁、すなわち第2の収容室225bのインク供給口230側の側壁には、アクチュエータ106が装着されている。アクチュエータ106は、第2の収容室225b内のインクの消費状態を検知する。アクチュエータ106を、第2の収容室225bの側壁に装着することによって、インクエンドにより近い時点でのインク残量を安定的に検出することができる。更に、アクチュエータ106を第2の収容室225bの側壁に装着する高さを変えることにより、どの時点でのインク残量をインクエンドにするかを、自由に設定することができる。毛管路227によって収容室225aから収容室225bへインクが供給されることにより、アクチュエータ106は、インクカートリッジ220Aの横揺れによるインクの横揺れの影響を受けないので、アクチュエータ106は、インク残量を確実に測定できる。更に、毛管路227が、インクを保持するので、インクが第2の収容室225bから第1の収容室225aへ逆流するのを防ぐ。
【0093】
インクカートリッジ220Aの上面には、逆止弁228が設けられている。逆止弁228によって、インクカートリッジ220Aが横揺れしたときに、インクがインクカートリッジ220A外部に漏れるのを防ぐことができる。更に、逆止弁228をインクカートリッジ220Aの上面に設置することで、インクのインクカートリッジ220Aからの蒸発を防ぐことができる。インクカートリッジ220A内のインクが消費されて、インクカートリッジ220A内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、逆止弁228が開いて、インクカートリッジ220Aに空気を吸入し、その後閉じてインクカートリッジ220A内の圧力を一定に保持する。
【0094】
図11(C)及び(D)は、逆止弁228の詳細の断面を示す。図11(C)の逆止弁228は、ゴムにより形成された羽根232aを有する弁232を有する。インクカートリッジ220の外部との通気孔233が、羽根232aに対向してインクカートリッジ220に設けられる。羽根232aによって、通気孔233が開閉される。逆止弁228は、インクカートリッジ220内のインクが減少し、インクカートリッジ220内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、羽根232aが、インクカートリッジ220の内側に開き、外部の空気をインクカートリッジ220内に取り入れる。図11(D)の逆止弁228は、ゴムにより形成された弁232とバネ235とを有する。逆止弁228は、インクカートリッジ220内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、弁232がバネ235を押圧して開き、外部の空気をインクカートリッジ220内に吸入し、その後閉じてインクカートリッジ220内の負圧を一定に保持する。
【0095】
図11(B)のインクカートリッジ220Bは、図11(A)のインクカートリッジ220Aにおいて逆止弁228を設ける代わりに第1の収容室225aに多孔質部材242を配置している。多孔質部材242は、インクカートリッジ220B内のインクを保持すると共に、インクカートリッジ220Bが横揺れしたときに、インクがインクカートリッジ220Bの外部へ漏れるのを防ぐ。
【0096】
インクカートリッジ220Aの場合、逆止弁282からインクを供給すると、毛管路227のために、アクチュエータ225bが装着された第2の収容室225bにインクが十分に充填されないことがある。更にインク供給口230からインクを充填するとしても毛管路227の毛細管力のために第1の収容室225aにインクが十分に充填することが困難である。また、収容室225bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に、気泡を残留させることなくインクを充填することは更に困難である。この場合、図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いることによって、収容室225a、225b、及び収容室225bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に容易にインクを充填することができる。例えば図5のインク充填装置を使用した場合、まず、インクカートリッジ220Aを真空容器14内に設置する。次に逆止弁228を閉じて真空ポンプ10によりインク供給口230から空気を吸引して減圧する。次にインクカートリッジ220Aにインクを充填するには、インク供給口230からインクを充填してもよいし、インク供給口230を閉じて、逆止弁228からインクを充填してもよい。
【0097】
インクカートリッジ220Bの場合、インク供給室225aの上部に設けられた開口250からインクを供給すると、多孔質部材242及び毛管路227のために、アクチュエータ225bが装着された第2の収容室225bにインクが十分に充填されないことがある。更にインク供給口230からインクを充填するとしても多孔質部材242及び毛管路227の毛細管力のために第1の収容室225aにインクが十分に充填することが困難である。更に、収容室225bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に、気泡を残留させることなくインクを充填することは更に困難である。この場合、図5から図8に示したインク充填装置及びインク充填方法を用いることによって、収容室225a、225b、及び収容室225bに装着されたアクチュエータ106のキャビティ162に容易にインクを充填することができる。例えば図5のインク充填装置を使用する場合、まず、インクカートリッジ220Bを真空容器14の内部に設置する。次にインク供給口230を閉じて真空ポンプ10により収容室225aの上部に設けられた開口250から空気を吸引して減圧する。次にインクカートリッジ220Bにインクを充填するには、インク供給口230からインクを充填してもよいし、インク供給口230を閉じて、開口250からインクを充填してもよい。
【0098】
図12は、アクチュエータ106を液体容器に取り付けるための取付構造体の一形態としてのモジュール体100を示す斜視図である。図12には、アクチュエータ106をモジュール体100に装着した状態が示されている。モジュール体100はインクカートリッジの所定個所に装着される。モジュール体100に装着されたアクチュエータ106は、インク液中の少なくとも音響インピーダンスの変化を検出することにより、インクカートリッジ内の液体の消費状態を検知するように構成されている。
【0099】
本実施形態のモジュール体100は、インクカートリッジにアクチュエータ106を取り付けるための液体容器取付部101を有する。また、アクチュエータ106をモジュール体100に装着するための圧電装置装着部105が設けられる。液体容器取付部101は、平面がほぼ矩形の基台102上に駆動信号により発振するアクチュエータ106を収容した円柱部116を載せた構造になっている。また、モジュール体100が、インクカートリッジに装着されたときに、モジュール体100のアクチュエータ106が外部から接触できないように構成されているので、アクチュエータ106を外部の接触から保護することができる。なお、円柱部116の先端側エッジは丸みが付けられていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
【0100】
図13は、本発明が適用される単色、例えばブラックインク用のインクカートリッジの一実施形態の断面図である。図13のインクカートリッジにおいては、圧電素子を有する圧電装置(アクチュエータ)の振動部を振動させ、その後に振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって、共振周波数または逆起電力波形の振幅を検出することで音響インピーダンスの変化を検知する方法によりインクの消費状態が検出される。音響インピーダンスの変化を検知する手段としてアクチュエータ106が用いられる。
【0101】
インクを収容する容器本体1には、記録装置のインク供給針に接合するインク供給口2が設けられている。容器本体1の底面1aの外側には、アクチュエータ106が貫通孔1cを介して内部のインクと接触できるように取付けられている。インクKがほぼ消費されつくした段階、つまりインクニアエンドとなった時点で、アクチュエータ106と接触する媒体がインクから気体へと変更するべく、アクチュエータ106はインク供給口2よりも若干上方の位置に設けられている。なお、振動を発生する手段を独立して設け、アクチュエータ106を単に検知手段として用いても良い。
【0102】
図14は、図13に示したインクカートリッジに適したインクジェット記録装置の要部を示す断面図である。インク供給口2にはパッキン4及び弁体6が設けられている。図14に示すように、パッキン4は記録ヘッド31に連通するインク供給針32と液密に係合する。弁体6は、バネ5によってパッキン4に対して常時弾接されている。インク供給針32が挿入されると、弁体6はインク供給針32に押されてインク流路を開放し、容器本体1内のインクがインク供給口2およびインク供給針32を介して記録ヘッド31へ供給される。容器本体1の上壁の上には、インクカートリッジ内のインクに関する情報を格納した半導体記憶手段7が装着されている。
【0103】
記録用紙の幅方向に往復動可能なキャリッジ30は、サブタンクユニット33を備えていて、記録ヘッド31がサブタンクユニット33の下面に設けられている。また、インク供給針32はサブタンクユニット33のインクカートリッジ搭載面側に設けられている。
【0104】
上述した本実施形態によるインクカートリッジは、容器本体内の液体に対して疎液性である疎液部を有するので、以下でこの点について説明する。
【0105】
図15(A)および図15(B)は、それぞれ、従来の材料と、任意の液体に対して疎液性である材料とを示す図である。疎液性は、任意の液体との疎液性を意味し、疎水性、疎油性、撥水性、撥油性、離水性、離油性、超疎水性、超疎油性、超撥水性、超撥油性、超離水性、超離油性等を含む。液体Lと材料B1または材料B2とはそれぞれ接触角θ1または接触角θ2で接触する。図15(A)において、接触角θ1は接触角θ2に比較して小さい。接触角θ1は約30度から約60度である。材料B1は、疎液処理が施されておらず疎液性を有さないからである。
【0106】
一方で、図15(B)において、接触角θ2は接触角θ1より大きく、材料B2が液体Lと疎液性を示す。よって、材料B2は液体Lに対して疎液性の材料である。本実施形態においては、疎液部に対する液体の接触角は約60度以上であり、180度に近ければ近いほど好ましい。
【0107】
疎液部は、材料自体を疎液性にしてもよい。また、材料自体が疎液性でない場合であっても、疎液性の材料を被覆することによって、疎液性にしてもよい。疎液性の高い材料は、液体との関係において液体の表面張力が大きい材料といってもよい。
【0108】
図16(A)および図16(B)は、アクチュエータ106が容器本体1の側壁に取り付けられている部分を拡大した断面図である。図16(A)は疎液部を有しない比較例の断面図である。図16(B)は疎液部を有する本実施形態の断面図である。
【0109】
図16(A)の比較例においては疎液部がないため、アクチュエータ106の周辺にインクが無いときにインクが振動領域176aに誤って付着した場合に、インク滴Mがそこに滞留する。また、振動領域176aの周辺にインクが付着しても、インク滴Mが垂れ下がって振動領域176aに誤って付着する場合がある。それにより、アクチュエータ106は、インクが無いにもかかわらず、インクが有ると誤って検出するおそれがある。
【0110】
一方で、図16(B)における本実施形態において、疎液部は容器本体1内のインクに対して疎インク性を有する部分を意味する。アクチュエータ106は容器本体1内のインクと疎インク性である疎液部を有する。振動板176のうち、少なくともインクと接触する振動領域176aが疎液部に含まれる。振動領域176aが疎液部に含まれることによって、アクチュエータ106の周辺にインクが無いときにインクが振動領域176aに誤って付着しても、インクとの接触角が大きいので、インクは、振動領域176aに滞留することができず、インクの自重によって落下する。従って、アクチュエータ106は、インクが無いにもかかわらず、インクが有ると誤って検出することがない。
【0111】
振動領域176aの周辺を疎液部に含めても良い。例えば、キャビティ162の内側面161aを疎液部に含めてもよい。さらに、容器本体1の内方へ向かう基板178の基板裏面178aを疎インク性として疎液部に含めてもよい。また、アクチュエータ106だけでなく、容器本体1の貫通孔1cや容器本体1の内壁面1dを疎インク性とすることによって、アクチュエータ106および容器本体1を疎液部に含めてもよい。このように、振動領域176aの周辺を疎液部にすることによって、誤って付着したインクがキャビティ162や貫通口1cに滞留することがない。それにより、アクチュエータ106は、インクが無いにもかかわらず、インクが有ると誤って検出することがない。
【0112】
さらに、アクチュエータ106、容器本体1およびインク供給口2を含め、インクカートリッジ内のインクが接触している部分の全部を疎インク性にしてもよい。かかる場合には、インクカートリッジ内のインクと接触する部分の全部が疎液部になる。
【0113】
インクカートリッジ内部の全体を疎液部にすることにより、容器本体1の内部やアクチュエータ106にインクが滞留しない。よって、インクカートリッジ内のインク全部を無駄なく使い切ることができる。
【0114】
このように疎液部を有するインクカートリッジを用いた場合、インクを再充填する際に、インクカートリッジ内にインクが残存しないため、大気に触れることによって質の低下した古いインクを混合させることなく、新しいインクを再充填することができる。
【0115】
さらに、インクカートリッジ内にインクが残存しないため、インクカートリッジをリサイクルする際には、容器本体1内を洗浄する必要が無い、もしくはごく簡単な洗浄で十分である。例えば、空のインクカートリッジを洗浄する場合に、容器本体1内に収容されていたインクよりもインクカートリッジ内の内壁やアクチュエータ106と親和性の高い洗浄液で軽く濯げばよい。より詳細には、インクカートリッジが水性のインクを使用していた場合には、インクカートリッジ内部とより親和性が高い油性の洗浄液で軽く濯げばよい。従って、インクカートリッジをリサイクルする際の洗浄時間が短時間で済む。よって、インクカートリッジをリサイクルするためのコストが低廉になる。
【0116】
洗浄液は、インクより高い親液性を有すればよく、特に限定はない。インクより高い親液性を有する洗浄液は、インクカートリッジの内壁やアクチュエータ106とより馴染み易い。従って、インクカートリッジ内に残存していた不純物などを簡単に洗い流すことができる。
【0117】
キャビティ162内にインクを残存させないために、キャビティ162内を疎インク性にしつつ、キャビティ162の周辺の基板裏面178aを親液性(親インク性)にしてもよい。
【0118】
親液性は、任意の液体との親和性を意味し、親水性、親油性、超親水性、超親油性等を含む。また、親液部に対する液体の接触角は約30度以下であり、0度に近ければ近いほど好ましい。
【0119】
さらに、貫通孔1c内にインクを残存させないために、キャビティ162内、基板裏面178aおよび貫通孔1cの内壁を疎インク性にしつつ、貫通孔1cの周辺の内側面1dを親インク性にしてもよい。それによって、キャビティ162や貫通孔1c内のインクは、キャビティ162内や貫通孔1c内に残存しにくく、かつ基板裏面178aや内側面1dを伝って容器本体1の下方へ流出しやすくなる。また、アクチュエータ106およびその周辺にインクが付着した場合であっても、インクは滞留することなく流れ落ちる。
【0120】
キャビティ162内に液体容器内の液体が残存しない場合には、キャビティ162内または貫通孔1c内のインクが残存する場合と比較して、アクチュエータ106が検知する少なくとも音響インピーダンスの変化が顕著になる。よって、アクチュエータ106は、インクカートリッジ内のインクの有無をより顕著かつ正確に検出することができる。
【0121】
ところで、キャビティ162内または貫通孔1c内を疎インク性にすることによって、インクカートリッジ内にインクを充填する場合に、インクがキャビティ162内または貫通孔1c内に充填することが困難になる。
【0122】
しかしながら、本実施形態においては、上述したように、インクカートリッジの製造においてインクを容器本体1内に充填するとき、またはインクカートリッジを再利用するときに、インクカートリッジ内部を真空引きなどによって負圧にし、その負圧を利用してインクカートリッジ内にインクを充填または再充填する。このため、キャビティ162内または貫通孔1c内が疎インク性であるにもかかわらず、それらの内部にインクが満たされる。
【0123】
図17(A)および図17(B)は、アクチュエータ106が容器本体1の側壁に取り付けられている部分を拡大した断面図である。インクの液面がアクチュエータ106を通過した後に、誤ってアクチュエータ106に付着しようとするインク滴も図示している。
【0124】
図17(A)は、比較例を示す図である。貫通口1cおよびキャビティ162内が疎インク性でないので、インク滴は、アクチュエータ106および貫通口1cに付着し、滞留する。従って、アクチュエータ106はインクカートリッジ内のインクが無いにもかかわらず、有ると誤って検出するおそれがある。
【0125】
図17(B)は、本実施形態を示す図である。貫通口1cおよびキャビティ162内を疎インク性にすることによって、インク滴は、アクチュエータ106に付着することができず、表面張力により球形に近い形状を維持したまま下方へ落する。従って、アクチュエータ106はインクカートリッジ内のインクの有無を誤って検出することが無い。
【0126】
次に、疎液性の材料について説明する。疎液部を形成するための疎液性の材料は特に限定されない。従って、任意の疎液性の材料を使用することができる。疎液性の強い材料としては、フッ素系樹脂(フルオロアルキル化合物)、やシリコーン系樹脂を含む材料が一般的である。例えば、フルオロオレフィンや、パーフロロ基を有するフッ素系樹脂は、熱的及び化学的に安定であり、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性、離型性、耐摩擦性、撥水性等に優れる。シリコーン系樹脂は、撥水撥油性に優れるが、高度を保持するためにアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の他の樹脂との併用、変性によって塗料の組成が構成されることが多い。
【0127】
より詳細には、ラッカー型フッ素樹脂材料、フッ素系紫外線硬化型材料、熱硬化型フッ素樹脂材料、フッ素系シランカップリング剤、フッ素樹脂粒子を分散したエポキシ樹脂組成物、含フッ素エポキシ樹脂組成物、フッ素含有ジオール、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がある。
【0128】
また、シランカップリング剤、シリコーン界面活性剤、シリコーンゴム、ペトロラタム、水酸基含有シリコーン、シリコーンとアクリル樹脂の2成分系を用いるもの、エチルシリケート、N−ブチルシリケート、N−プロピルシリケート、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、などがある。
【0129】
さらに、エポキシ樹脂、カチオン重合触媒、ジグライム、PP、PE、PA、PET、PBT、PSF、PES、PEEK、PEI、OPP、PVC、マレイン化石油樹脂アルカリ塩、パラフィン系ワックス、光触媒を利用したものでもよい。
【0130】
所定の材料の表面に疎液性の材料を被覆する方法も特に限定されない。従って、疎液性の材料を被覆するための任意の方法を使用することができる。疎液性の材料を被覆する方法としては、例えば、メッキ処理、コーティング、被膜層の貼付、堆積などの方法がある。その他の既知の任意の技術を用いて疎液性の材料を被覆すればよい。例えば、コーティングによる方法の場合、疎液部が回転する前にもしくは回転しているときに疎液性の液体を垂らし、疎液部を回転させることによって被覆するスピンコートや、疎液部を疎液性の液体に浸漬することによって被覆するディップコートや、ロールによって疎液性の液体を親液部に塗布するロールコートによるコーティングなどで塗布してもよい。また、単に刷毛などによって親液性の液体を疎液部に塗布してもよい。また、疎液部は疎液性の材料から形成される被膜層を所定箇所に貼付することによって形成してもよい。また、堆積による方法としては、CVD、プラズマCVD、スパッタリング、真空蒸着がある。
【0131】
材料の表面の粗度が撥水性に影響する場合がある。例えば、接触角が90度以上の材料を粗面化処理することによって疎液性が高まる。
【0132】
また、例えば、材料がフラクタル構造を有する疎水性の材料の場合には、その材料は表面の粗度を高めると超撥水表面または超撥油表面になる。従って、フラクタル構造を有する疎液性の材料の表面を粗面化処理することによって、疎液部を形成してもよい。ただし、粗面化処理することによって疎液性になる材料であれば、フラクタル構造を有する材料に限定しない。
【0133】
本実施形態における疎液部を有するインクカートリッジの製造方法としては以下の方法が挙げられる。
【0134】
第1の方法は、図2のアクチュエータ106をキャビティ162が露出するように所定の治具に備えもしくはマスキングする。疎液部を形成するための装置に所定の治具を取り付け、キャビティ162の内部を疎液性にする。その後にモジュール体100にアクチュエータ106を取り付け、モジュール体100をインクカートリッジに取り付ける。所定の治具はキャビティ162の部分に孔を設けた樹脂、金属の材料から形成される。また、熱可塑性樹脂を用いてキャビティ162以外の部分をマスキングしてもよい。
【0135】
この方法によれば、アクチュエータ106にのみ疎液部を形成することができる。また、アクチュエータ106をモジュール体100に取り付ける前に疎液部を形成するようにしたので、疎液部を形成するためにはアクチュエータ106のみを取り扱うことができれば足りる。従って、インクカートリッジの製造設備を比較的小さくすることができる。それにより、同一のインクカートリッジを製造するためのコストを低減させることができる。
【0136】
第2の方法は、まず初めにモジュール体100に図2のアクチュエータ106を装着する。その後にアクチュエータ106をキャビティ162が露出するように所定の治具に備えもしくはマスキングする。疎液部を形成するための装置に所定の治具を取り付け、キャビティ162の内部またはキャビティ162の内部およびその周辺のモジュール体100を疎液性にする。その後にモジュール体100をインクカートリッジに取り付ける。
【0137】
この方法によれば、アクチュエータ106の周辺にあるモジュール体100の部分をキャビティ162の内部と同時に疎液化処理することによって、キャビティ162の内部およびその周辺のモジュール体100を疎液性にすることができる。
【0138】
第3の方法は、まず初めにモジュール体100に図2のアクチュエータ106を装着し、モジュール体100をインクカートリッジに取り付ける。その後にアクチュエータ106をキャビティ162が露出するように所定の治具に備えもしくはマスキングする。疎液部を形成するための装置に所定の治具を取り付け、キャビティ162の内部またはキャビティ162の内部およびその周辺のモジュール体100を疎液性にする。
【0139】
この方法によれば、アクチュエータ106、モジュール体100およびインクカートリッジの内部を同時に疎液化処理することによって、キャビティ162の内部およびその周辺のモジュール体100さらにインクカートリッジの内部を疎液性にすることができる。
【0140】
モジュール体100についても、インクと接触する部分を疎液性にしてもよい。
【0141】
図18は、複数種類のインクを収容するインクカートリッジの一例を示す裏側から見た斜視図である。容器308は、隔壁により3つのインク室309、310及び311に分割される。それぞれのインク室には、インク供給口312、313及び314が形成されている。それぞれのインク室309、310及び311の底面308aには、アクチュエータ315、316および317が、容器308を介して各インク室内に収容されているインクに弾性波を伝達できるように取り付けられている。この例によるインクカートリッジの容器308内またはアクチュエータ315、316および317も、それぞれ疎液性を有する。また、各インク室309、310及び311の内壁が疎インク性になるように形成してもよい。
【0142】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0143】
【発明の効果】
本発明によれば、圧電装置を用いることで液体の消費状態を正確に検出でき且つ複雑なシール構造を不要とした液体容器の内部に、気泡を残留させることなく液体を充填することができる。
【0144】
また、使用済みの液体容器の場合でも、気泡を残留させることなく液体容器の内部に液体を再充填することができる。
【0145】
さらに、内部に疎液部を有する液体容器の場合でも、気泡を残留させることなく液体容器の内部に液体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液体容器の一実施形態であるインクカートリッジ、及びこのインクカートリッジが装着されるインクジェット記録装置の要部を示した斜視図である。
【図2】図1に示したインクカートリッジに装着されるアクチュエータの詳細を示す図である。
【図3】図1に示したインクカートリッジにインクが一杯に充填されたときのアクチュエータのキャビティの部分を拡大して示した断面図である。
【図4】図2に示したアクチュエータを先端に設置したモジュール体をインクカートリッジに装着したときの容器本体の底部近傍の断面図である。
【図5】本発明による液体充填方法の一実施形態によってインクカートリッジにインクを充填するためのインク充填装置の構成を示す図である。
【図6】本発明による液体充填方法の他の実施形態によってインクカートリッジにインクを充填するためのインク充填装置の構成を示す図である。
【図7】図5に示したインク充填装置を用いたインク充填の手順を示す図である。
【図8】図6に示したインク充填装置を用いたインク充填の手順を示す図である。
【図9】本発明による液体容器の他の実施形態であるインクカートリッジを示す図である。
【図10】図9(C)に示したインクカートリッジの変形例を示す断面図である。
【図11】本発明による液体容器の他の実施形態であるインクカートリッジを示す図である。
【図12】図2に示したアクチュエータを容器本体に取り付けるためのモジュール体をアクチュエータと共に示す斜視図である。
【図13】本発明による液体容器の一実施形態である、単色、例えばブラックインク用のインクカートリッジの断面図である。
【図14】図13に示したインクカートリッジに適したインクジェット記録装置の要部のを示す断面図である。
【図15】ある液体に対して親液性である材料と疎液性である材料とを示す図である。
【図16】図2に示したアクチュエータが容器本体に取り付けられている部分を拡大した断面図である。
【図17】図2に示したアクチュエータが容器本体の側壁に取り付けられている部分を拡大した断面図である。
【図18】本発明による液体容器の一実施形態である複数種類のインクを収容するインクカートリッジを示す裏側から見た斜視図である。
【符号の説明】
1、194 容器本体
1c 貫通孔
1d 内側面
2、187、230、312、313、314 インク供給口
10、16 真空ポンプ
12、18 インクタンク
14 真空容器
24、26 インク供給チューブ
28 空気吸引チューブ
30 キャリッジ
31 記録ヘッド
100 モジュール体
106、315、316、317 アクチュエータ
161 開口
162 キャビティ
176 振動板
176a 振動領域
178 基板
180、220A、220B インクカートリッジ
185 空気導入口
186 記録ヘッド
212 隔壁
213、213a、213b 収容室
222 第1の隔壁
224 第2の隔壁
225a 第1の収容室
225b 第2の収容室
233 通気孔
250 開口
309、310、311 インク室

Claims (6)

  1. 容器本体と、圧電素子を備えて前記容器本体内の液体の消費状態を検出する圧電装置であって、前記容器本体の内部と連通すると共に振動部の領域を規定するキャビティが形成され、前記キャビティを介して液体が前記振動部に接触可能となるように構成されると共に、前記圧電素子に駆動信号を印加して前記振動部を振動させた後に前記振動部で生じる残留振動により生じる逆起電力を検出するように前記圧電素子への入力信号と前記圧電素子からの出力信号とが共通の電極を介して入出力されるように構成された圧電装置と、を備えた液体容器の製造方法であって
    前記容器本体の内部に、前記容器本体の内部を大気圧よりも低い圧力に減圧する減圧ステップと前記容器本体の内部に液体を充填する液体充填ステップとを含む液体充填方法によって液体充填することを特徴とする液体容器の製造方法
  2. 前記液体はインクジェット記録装置用のインクであり、前記液体容器は前記インクジェット記録装置に着脱自在に装着することができることを特徴とする請求項1記載の液体容器の製造方法
  3. 前記容器本体内の液体に対して疎液性である疎液部を前記容器本体の内部に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体容器の製造方法
  4. 前記圧電装置の前記容器本体内の液体と接触する振動領域が疎液性であることを特徴とする請求項3に記載の液体容器の製造方法
  5. 前記疎液部は前記キャビティの内側面を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の液体容器の製造方法
  6. 容器本体と、前記容器本体の内部の液体を外部へ供給するための液体供給口と、圧電素子を備えて前記容器本体内の液体の消費状態を検出する圧電装置であって、前記容器本体の内部と連通すると共に振動部の領域を規定するキャビティが形成され、前記キャビティを介して液体が前記振動部に接触可能となるように構成されると共に、前記圧電素子に駆動信号を印加して前記振動部を振動させた後に前記振動部で生じる残留振動により生じる逆起電力を検出するように前記圧電素子への入力信号と前記圧電素子からの出力信号とが共通の電極を介して入出力されるように構成された圧電装置と、を備え、前記キャビティは、前記容器本体の内部に形成され前記液体供給口に連通する流路の内部に連通している液体容器の製造方法であって
    前記容器本体の内部に、前記容器本体の内部を大気圧よりも低い圧力に減圧する減圧ステップと前記容器本体の内部に液体を充填する液体充填ステップとを含む液体充填方法によって液体充填することを特徴とする液体容器の製造方法
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