JP3735296B2 - 摩擦撹拌接合装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被接合材料どうしの突き合わせ面に塑性流動を生じさせて接合一体化する摩擦撹拌接合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、金属材の溶接やロウ付けに代わる新しい接合手段として、摩擦撹拌接合(Friction Stir Welding:FSW)法が登場している。この摩擦撹拌接合法は、たとえば特表平7−505090号公報に開示されているように、金属の被加工物よりも硬い材質のプローブ(棒状突起物)を回転させながら被加工物に摺接させた際に、この摺接部分で発生する摩擦熱と圧力とによって被加工物の素材が塑性流動化するため、該プローブが被加工物中に埋入し、かつ、この埋入状態のまま被加工物中を移動可能になることを利用したものである。このような摩擦撹拌接合法は、たとえばアルミニウム及びアルミニウム合金等の比較的柔らかい金属の接合法として利用されている。
【0003】
以下、従来の摩擦撹拌接合方法を図面に基づいて簡単に説明する。なお、図4は摩擦撹拌接合の実施状態を示す斜視図、図5は摩擦撹拌接合のメカニズムを示す説明図である。
たとえば図4に示すように、被加工物である金属板1,2の接合面どうしを突き合わせた接合線3に回転工具4から突出するプローブ5を回転させながら差し込むと、ショルダー部6との摩擦発熱で金属板1,2の素材が軟化する。このため、プローブ5を接合線3に位置合わせして接合部に差し込むことができ、こうして埋入状態としたプローブ5を固定された金属材料1,2の接合線3に沿って相対移動させると、プローブ5の周辺には軟化域7(図5参照)が生じる。
【0004】
軟化域7では、プローブ5の前方側で塑性流動した両金属板1,2の素材が圧力を受けながら撹拌混練され、プローブ5の後方側へ漸次移行する。この結果、塑性流動した素材は後方側で摩擦熱を失って急速に冷却硬化するので、両金属板1,2は素材どうしが混じり合って完全に一体化した状態で接合される。
なお、プローブ5に回転方向に対する逆ねじ5aを設けることにより、図5に矢印で示すような下向きの塑性流動が生じるので、表面より低い温度となりがちな裏面側に素材のない空間(巣)等の欠陥や融合不良を生じにくくなる。
【0005】
この場合、金属素材が塑性流動する温度は融点よりもかなり低く、接合は固相接合の範疇に入り、接合過程を通して金属材への入熱量は溶接やロウ付けに比較して極めて少なく、かつ凝固収縮に伴う応力の発生もないから、接合部近傍の熱歪みによる変形や割れを生じにくいという利点がある。
【0006】
また、上述した摩擦撹拌接合方法においては、接合時に摩擦熱を発生させるため回転工具4を金属板1,2へ押し付ける必要があり、従って、その反力に対処するため裏当て金8が使用されている。この裏当て金8は、接合する金属板1,2の裏面に密着させて設置するものであり、回転工具4側から作用するたとえば8000〜18000N程度、あるいはそれ以上となる大きな加圧力の反力を受ける。
【0007】
また、図6に示したボビンツールと呼ばれる回転工具4Aには、接合する金属板1,2の表裏両面を挟持するようにして一定の間隔を設けた一対のショルダー部6a,6bが設けられている。この場合、上下一対のショルダー部6a,6b間にプローブ5が設けられているので、接合部の両面において摩擦発熱させることができ、裏面側の融合不良が生じにくい。
【0008】
図7は、上述した摩擦撹拌接合方法により被加工物を接合する摩擦撹拌接合装置の構成例を示す平面図である。
図7において、図中の符号10は摩擦撹拌接合装置、11は摺動本体部、12は主軸(回転軸)、13は駆動ベルト、14は主軸回転モータ、15はボールネジ、16は主軸移動モータである。
【0009】
この摩擦撹拌接合装置10では、主軸12の先端部に回転工具4が取り付けられている。主軸12は摺動本体部11に回転可能に支持され、駆動ベルト13を介して主軸回転モータ14から駆動力を得て回転する。
摺動本体部11は、主軸回転モータ14と共に図示省略の基部に支持されている。この摺動本体部11は、主軸移動モータ16に連結されて回動するボールネジ15によって基部と共に矢印17方向にスライドし、回転工具4のショルダー部6を金属板1,2の表面へ所定の加圧力で押し付けるようになっている。
なお、図7に示した摩擦撹拌接合装置10は、回転軸12が水平方向に配置されているが、回転軸12を鉛直方向に配置した装置もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によれば、回転工具4が一軸で駆動されるため、板厚変動に対応できないという問題があった。
すなわち、回転工具4が主軸12で回転駆動され、これらを主軸駆動モータ16及びボールネジ15によって金属板1,2の表面へ押し付ける構成のため、金属板1,2の裏面に裏当て金8を必要とする。このため、金属板1,2に板厚変動があると加圧力を一定に保つのは困難となり、ショルダー部6の摩擦による加熱や軟化域7の塑性流動が不十分となって融合不良を生じやすい。
そして、裏当て金を必要とすることから、内部に大きな裏当て金を入れて摩擦撹拌接合するような容器等の円周接合には適用できないという問題もある。
【0011】
また、図6に示したようなボビンツール4Aを使用しても、上下のショルダー部6a,6bが軸方向に固定されて一定間隔となるため、板厚変動には対応できなかった。このような問題を解決するため、ショルダー部6a,6b間の間隔を可変とする軸長さ可変式のボビンツールが切望される。
しかしながら、上述した一軸駆動の構成では、上下のショルダー部が軸方向に相対移動可能であり、かつ、両ショルダー間における回転駆動力の伝達も必要となる軸長さ可変式のボビンツールには対応できなかった。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、板厚変動に対応でき、融合不良のない良好な接合が可能となる摩擦撹拌接合装置の提供を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。請求項1に記載の摩擦撹拌接合装置は、被加工物の接合部を回転工具で加熱・撹拌し、非溶融のまま接合する摩擦撹拌接合装置において、床面に固定されたベース上に摺動可能に設置された第1スライド基部と、前記第1スライド基部上に前記第1スライド基部と独立して摺動可能に設置された第2スライド基部と、前記回転工具が前記被加工物の表裏両面にそれぞれ接触して摩擦熱により加熱する第1及び第2のショルダー部と、駆動源に連結され同一軸線上でスプライン結合されている内軸及び外軸よりなる回転軸とを備え、前記第1スライド基部に前記外軸を取り付け、かつ、前記第2スライド基部に前記内軸を取り付け、前記外軸に前記第1のショルダー部を連結し、かつ、前記内軸に前記第2のショルダー部を連結するとともに、前記第1のショルダー部を表面に押し付けて加圧し、かつ、前記第2のショルダー部を裏面に引き付けて加圧するように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
このような摩擦撹拌接合装置によれば、第1スライド基部に取り付けた外軸に第1のショルダー部を連結し、かつ、第2スライド基部に取り付けた内軸に第2のショルダー部を連結するとともに、第1のショルダー部を表面に押し付けて加圧し、かつ、第2のショルダー部を裏面に引き付けて加圧するように構成したので、軸長さ可変式の回転工具に対応可能となり、第1及び第2のショルダー部によって両面から一定圧力で加圧することができるようになって裏当て金が不要となる。
【0015】
請求項1記載の摩擦撹拌接合装置においては、前記内軸及び前記外軸に各々荷重検出手段を設けてフィードバック制御を行うことが好ましく、これにより、板厚変動があってもより確実に対応して加圧力を一定に保つことができる。
【0016】
また、上述した摩擦撹拌接合装置においては、前記回転工具に流体噴出口を設けたものが好ましく、これにより、接合部周辺に不活性ガスを噴射して雰囲気を制御したり、あるいは、噴射したエアーによる冷却を行うことが可能になる。
【0017】
また、上述した摩擦撹拌接合装置においては、前記回転軸が、前記回転工具またはプラグ溶接工具のいずれか一方を選択して取付可能であるものが好ましく、これにより、摩擦撹拌接合後に生じる終端部の穴をプラグ溶接によって埋めることができる。
また、駆動源には、回転工具取付時の回転速度とプラグ溶接工具取付時の回転速度との差に対応する変速機構を設けることが好ましく、さらに、回転軸を急停止できるブレーキ機構を設けことが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る摩擦撹拌接合装置の一実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は摩擦撹拌接合装置の全体構成例を示す正面図であり、図中の符号20は摩擦撹拌接合装置、21はベース、22は押圧用モータ、23は第1ガイドレール、24は第1スライド基部、25は引付用モータ、26は第2ガイドレール、27は第2スライド基部、28は主軸回転(工具駆動用)モータ、29は駆動ベルト、30は摺動本体部、40は主軸(回転軸)、50はボビンツール(回転工具)、Wは被加工物である。
【0019】
ベース21は、摩擦撹拌接合装置20の構成要素を支持して床面等に固定設置する部材である。
ベース21の上面には、後述する主軸40の方向に延びる第1ガイドレール23が設置されている。この第1ガイドレール23には第1スライド基部24のスライダー24aが係合され、押圧用モータ22を駆動源として、第1スライド基部24がベース21に対し図中に矢印で示した主軸方向へ摺動可能に支持されている。第1スライド基部24の摺動は、押圧用モータ22の駆動軸と連結され、第1スライド基部に設けられている図示省略のボールネジ機構の回転駆動によって行われる。このボールネジ機構には、荷重検出手段として図示省略のロードセルが設けられている。なお、押圧用モータ22は、ベース21上に固定設置されている。
【0020】
第1スライド基部24の上面には、第1ガイドレール23と同方向に延びる第2ガイドレール26及び後述する摺動本体部30が設置されている。このうち、第2ガイドレール26には第2スライド基部27のスライダー27aが係合されており、引付用モータ25を駆動源として第2スライド基部27が第1スライド基部24に対し主軸方向へ摺動可能に支持されている。第2スライド基部27の摺動は、引付用モータ25の駆動軸と連結され、第2スライド基部に設けられている図示省略のボールネジ機構の回転駆動によって行われる。このボールネジ機構には、荷重検出手段として図示省略のロードセルが設けられている。なお、引付用モータ25は、第1スライド基部24上に固定設置されている。
【0021】
第2スライド基部27の上面には、主軸回転モータ28及び駆動ベルト29等によって構成される主軸40の駆動機構が設置されている。主軸40は軸受31及び摺動本体部30によって回転可能に支持され、その一端にはボビンツール50が取り付けられ、他端は駆動ベルト29を介して主軸回転モータ28と連結されている。
この結果、床面等に固定されたベース21に対し、第1スライド基部24及び第2スライド基部27がそれぞれ独立して、主軸40と平行な軸方向に摺動可能な構成となっている。
【0022】
図2は、主軸40の先端に取り付けられたボビンツール50及び摺動本体部30の内部構造を示す要部断面図である。なお、図中の符号40は主軸、41は内軸、42は外軸、43はスプライン結合部、50はボビンツール、51は表面ショルダー部(第1のショルダー部)、52は裏面ショルダー部(第2のショルダー部)、53は連結ピンである。
【0023】
主軸40は、駆動ベルト29を介して主軸回転モータ28に連結されている内軸41と、該内軸41とスプライン結合されている外軸42とを具備して構成される。外軸42は中空軸であり、その内部に挿入された内軸41との間は、スプライン結合部43で連結されている。内軸41と外軸42との連結構造としてスプライン結合部43を採用したことにより、内軸41及び外軸42間は、軸方向の相対移動が可能で、かつ、回転力の伝達も可能となっている。
また、主軸40は、前述した軸受31に加えて、摺動本体部30の内部に設置された軸受32によっても支持されている。この軸受32は外軸42の外周を回転可能に支持し、軸受31は内軸41の外周を回転可能に支持しており、結果的には、スプライン結合された主軸40全体が回転可能となっている。
【0024】
スプライン結合部43は、内軸41及び外軸42が軸方向に所定の範囲内で相対移動しても回転力の伝達に必要な強度を保つことができるようになっている。図示の例では、内軸41側のスプライン43aが外軸42側のスプライン43bより軸方向に長く設定され、短い外軸側のスプライン43bが軸方向の全長にわたって常に内軸41側のスプライン43aと係合するようになっている。
【0025】
ボビンツール50は、表面ショルダー部51を有する外軸連結部50Aと、裏面ショルダー部52を有する内軸連結部50Bとを具備して構成される。このボビンツール50は、主軸40に対して交換取付可能な回転工具である。
外軸連結部50Aは、一体に回転するよう外軸42の端部に螺合して取り付けられている。外軸連結部50Aの軸方向先端面、すなわち被加工物Wと対向する先端面には表面ショルダー部51が形成されている。また、外軸連結部50Aには中空部54が形成されており、該中空部54には内軸41の一端が挿入されている。なお、中空部54内では、内軸41が外軸連結部50Aと係合することはない。
【0026】
また、外軸連結部50Aは、中空部54の内部と外部とを連通状態にする連通孔55を備えている。この該連通孔55は、図示省略の供給源から中空部54に供給されるエアーや不活性ガス等の流体を被加工物Wの摩擦撹拌接合部周辺に向けて噴出する流体噴出口となる。
なお、通常エアーは冷却を目的として使用され、アルゴンガス等の不活性ガスは酸化防止等を目的とする雰囲気の制御に使用される。
【0027】
内軸連結部50Bは、内軸41の先端部に連結ピン53を介して取り付けられている。内軸連結部50Bには、被加工物Wと対向する先端面に裏面側ショルダー部52が形成されている。
連結ピン53は、一端に六角形のボルト頭部53aが設けられ、他端は内軸41に螺合するようになっている。また、連結ピン53にはプローブ部53bが設けられている。このプローブ部53bは、被加工物Wの接合部に埋入されて素材を塑性流動化させる部分であり、被加工物Wの板厚より軸方向に長い領域に形成されている。なお、プローブ部53bを含む連結ピン53は、被加工物Wの金属より固い材質である。
【0028】
一方、内軸連結部50Bの他端には、ボルト頭部53aと係合するようにして六角穴が形成されている。連結ピン53は六角穴から挿入され、内軸連結部50B、被加工物W、ピン貫通孔56及び中空部54を貫通し、内軸41の先端に螺合される。この結果、連結ピン53のボルト頭部53aは六角穴に収納され、内軸41の回転は螺合部を介して連結ピン53に伝達され、さらに、連結ピン53のボルト頭部53aから六角穴を介して内部連結部50Bに伝達される。
なお、内軸連結部50Bの回転速度は、内軸41と外軸42とがスプライン結合しているため、外軸連結部50Aと同一になる。
【0029】
以下では、上述した構成の摩擦撹拌接合装置20について、その作用効果を説明する。
主軸40に取り付けられたボビンツール50は、表面ショルダー部51と裏面ショルダー部52との間に被加工物Wを挟持し、主軸回転モータ28を駆動源として回転する。この時、押圧用モータ22を駆動させて第1スライド基部24を被加工物Wの方向(図2に白抜矢印57で表示)へ適量移動させれば、表面ショルダー部51から被加工物Wの表面に所望の加圧力が作用する。この加圧力は、前述したボールネジ機構に設けられているロードセルの検出値に基づいて、一定となるようフィードバック制御する。
【0030】
また、引付用モータ25を駆動させて第2スライド基部25を被加工物Wと反対側の方向(図2に矢印58で表示)へ適量移動させれば、裏面ショルダー部52から被加工物Wの裏面に所望の加圧力が作用する。この加圧力は、上述した表面側ショルダー部51と同様に、前述したボールネジ機構に設けられているロードセルの検出値に基づいて、一定となるようフィードバック制御する。
【0031】
この結果、表面ショルダー部51及び裏面ショルダー部52間の被加工物Wは表裏両面から所定の加圧力を受けてほぼ均一に加熱され、主軸40と同一回転数で回転する連結ピン53のプローブ部53bが接合部に形成される軟化域の素材を塑性流動化させて摩擦撹拌接合する。
なお、被加工物Wは、図示省略の送り装置によって支持され、接合線に沿って所望の方向へ移動される。
【0032】
さて、上述した摩擦撹拌接合中において、被加工物Wに板厚変動が生じると、両ショルダー部51,52との間隔が変化するため加圧力が変動する。しかし、上述した摩擦撹拌接合装置20は、被加工物Wの表面を押し付けて加圧する表面ショルダー部51と、被加工物Wの裏面に引き付けて加圧する裏面ショルダー部52とが、軸方向において互いに独立して移動可能なため、板厚変動に追従して加圧力を一定に保つことができる。
【0033】
すなわち、両ショルダー部51,52間の間隔を可変とする軸長さ可変式のボビンツール50を使用できるようになる。従って、内軸41が矢印58の方向へ引き付けられると、連結ピン53は外軸連結部50Aのピン貫通孔56を軸方向へ自由にスライドでき、かつ、スプライン結合部43においては、矢印58方向に引き付けられる内軸41と白抜矢印57方向へ押し付けられる外軸42とが回転力の伝達を維持しながら軸方向へ自由に相対移動することができるので、被加工物Wの板厚変動に追従して一定の加圧力を維持することができる。
この時、ロードセルの検出値を用いてフィードバック制御を行えば、所望の加圧力をより正確に維持することができる。
【0034】
また、上述した摩擦撹拌接合中において、連通孔55から被加工物Wの接合部周辺、特に接合完了部方向へエアーを噴出すれば、接合完了部をより短時間で冷却することができる。
さらに、上述した摩擦撹拌接合中において、連通孔55から被加工物Wの接合部周辺に不活性ガスを噴出すれば、接合部における酸化を防止して良好な接合部を形成することができる。
【0035】
ところで、上述した摩擦撹拌接合においては、接合完了後に連結ピン53を被加工物Wから引き抜くことで、接合部の端部に穴が残る。この穴は、周辺の部材と共に切断除去してもよいが、プラグ溶接等によって穴埋めすることも可能である。
そこで、図3に示すように、主軸40の先端に取り付けられているボビンツール50に代えて、プラグ溶接工具60を取り付ける。
【0036】
このプラグ溶接工具60は、先端に保持したプラグ61を回転させながら穴62に押し込み、摩擦熱により接触面(プラグ61の外周面と穴の内周面)が軟化して溶接温度に達した後に回転を停止する。この時、被加工物Wの裏面側では、プラグ61の押圧を受け止めるために裏当て金63が必要となる。
なお、この場合の裏当て金63は、上述した摩擦撹拌接合の裏当て金とは異なり、プローブ部53bより若干大きい程度となる比較的小さなものでよい。
【0037】
従って、上述した摩擦撹拌接合装置20の主軸40にプラグ溶接工具60を取り付ければ、図2及び図3に示した白抜矢印57方向への押圧をしながら、プラグ61を回転させることができる。すなわち、図2の主軸40から外軸連結部50A、内軸連結部50B及び連結ピン53を取り外し、外軸42にプラグ溶接工具60を螺合させて取り付け可能な構成とすればよい。
なお、プラグ溶接工具60については、公知のものであるからその詳細な説明は省略する。
【0038】
このように、主軸40に取り付ける工具として、ボビンツール50またはプラグ溶接工具60のいずれか一方を選択可能とすれば、一台の摩擦撹拌接合装置20によって、摩擦撹拌接合及び摩擦撹拌接合後に残る穴埋めのプラグ溶接の両方の作業を実施することが可能となる。しかも、主軸40を共用できるので、摩擦撹拌接合後にそのまま工具を交換してプラグ溶接を実施すれば、新たに芯出し等の作業を実施する必要はない。
なお、プラグ溶接を行う場合の主軸回転速度と、摩擦撹拌接合を行う場合の主軸回転速度では大きな差があるので、この回転速度差に対応するため、主軸回転モータ28に適当な変速機構を設けておくのが好ましく、さらに、プラグ溶接では溶接温度に達するとすぐに回転を停止する必要があるため、選択的に使用可能なブレーキ機構を設けておくとよい。
【0039】
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば主軸が上下方向に配置される摩擦撹拌接合装置への適用など、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0040】
【発明の効果】
上述した本発明の摩擦撹拌接合装置によれば、以下の効果を奏する。請求項1に記載した本発明の摩擦撹拌接合装置によれば、第1スライド基部に取り付けた外軸に第1のショルダー部を連結し、かつ、第2スライド基部に取り付けた内軸に第2のショルダー部を連結するとともに、第1のショルダー部を表面に押し付けて加圧し、かつ、第2のショルダー部を裏面に引き付けて加圧するように構成したので、第1及び第2のショルダー部によって両面から加圧することができるようになり、軸長さ可変式のボビンツールも使用可能となって、裏当て金がなくても十分な加熱や軟化域の塑性流動を実現し、融合不良のない良好な摩擦撹拌接合を実施することができる。このため、容器の円周溶接等、大きな裏当て金を使用できない場合の摩擦撹拌接合にも十分対応可能となる。
【0041】
また、内軸及び外軸に各々荷重検出手段を設けてフィードバック制御を行うことで、被加工物に板厚変動があっても加圧力を一定に保ち、融合不良のない良好な摩擦撹拌接合部をより一層確実に形成することができる。
また、回転工具に流体噴出口を設けることにより、接合部周辺に不活性ガスを噴射して雰囲気を制御したり、あるいは、噴射したエアーによる冷却を行うことが可能になり、融合不良のない良好な摩擦撹拌接合部をより一層確実に形成することに加えて、酸化による変色等の防止も可能になる。
【0042】
また、回転工具またはプラグ溶接工具のいずれか一方を選択して取付可能としたので、1台の装置で摩擦撹拌接合後に生じる終端部の穴をプラグ溶接によって埋めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る摩擦撹拌接合装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】 図1における主軸及びボビンツールの周辺構造を示す要部断面図である。
【図3】 主軸先端にプラグ溶接工具を取り付けた状態の構成例を示す図である。
【図4】 摩擦撹拌接合の実施状態を示す斜視図である。
【図5】 摩擦撹拌接合のメカニズムを示す説明図である。
【図6】 従来のボビンツール(回転工具)を示す正面図である。
【図7】 従来の摩擦撹拌接合装置の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
20 摩擦撹拌接合装置
21 ベース
22 押圧用モータ
23 第1ガイドレール
24 第1スライド基部
25 引付用モータ
26 第2ガイドレール
27 第2スライド基部
28 主軸回転(工具駆動用)モータ
30 摺動本体部
40 主軸(回転軸)
41 内軸
42 外軸
43 スプライン結合部
50 ボビンツール(回転工具)
50A 外軸連結部
50B 内軸連結部
51 表面ショルダー部(第1のショルダー部)
52 裏面ショルダー部(第2のショルダー部)
53 連結ピン
54 中空部
55 連通孔(流体噴出口)
60 プラグ溶接工具
61 プラグ
W 被加工物

Claims (4)

  1. 被加工物の接合部を回転工具で加熱・撹拌し、非溶融のまま接合する摩擦撹拌接合装置において、
    床面に固定されたベース上に摺動可能に設置された第1スライド基部と、
    前記第1スライド基部上に前記第1スライド基部と独立して摺動可能に設置された第2スライド基部と、
    前記回転工具が前記被加工物の表裏両面にそれぞれ接触して摩擦熱により加熱する第1及び第2のショルダー部と、駆動源に連結され同一軸線上でスプライン結合されている内軸及び外軸よりなる回転軸とを備え、
    前記第1スライド基部に前記外軸を取り付け、かつ、前記第2スライド基部に前記内軸を取り付け、
    前記外軸に前記第1のショルダー部を連結し、かつ、前記内軸に前記第2のショルダー部を連結するとともに、
    前記第1のショルダー部を表面に押し付けて加圧し、かつ、前記第2のショルダー部を裏面に引き付けて加圧するように構成したことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  2. 前記内軸及び前記外軸に各々荷重検出手段を設けてフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1記載の摩擦撹拌接合装置。
  3. 前記回転工具に流体噴出口を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の摩擦撹拌接合装置。
  4. 前記回転軸が、前記回転工具またはプラグ溶接工具のいずれか一方を選択して取付可能であるとともに、
    前記駆動源には、前記回転工具取付時の回転速度とプラグ溶接工具取付時の回転速度との差に対応する変速機構および/または前記回転軸を急停止できるブレーキ機構を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の摩擦撹拌接合装置。
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