JP3734395B2 - 電力変換装置の保護制御方法および保護制御装置 - Google Patents
電力変換装置の保護制御方法および保護制御装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自己消弧素子を用いた電力変換装置の保護制御方法および保護制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図29は例えば特開平6−78561号公報に示された従来の電力変換装置を示す回路図であり、図において、1(1A〜1C)は交流リアクトル、6はこの交流リアクトル1に接続された第1の電力変換器(コンバータ)、5はこの第1の電力変換器6に接続された平滑コンデンサ、7はこの平滑コンデンサ5に接続された第2の電力変換器(インバータ)、3(3A〜3M)はこの第2の電力変換器7および上記第1の電力変換器6を構成する自己消弧素子、2(2A〜2M)は上記第1の電力変換器6および第2の電力変換器7を構成する還流ダイオード、4(4A〜4F)は上記第1の電力変換器6および第2の電力変換器7を構成するアノードリアクトル、8(8A〜8B)は上記第1の電力変換器6および第2の電力変換器7の直流電流を検出する直流電流検出器である。
【0003】
次に動作について説明する。直流短絡が生じた場合に、直流短絡が発生した電力変換器(例えばコンバータ6)の直流回路に流れる短絡電流が電流検出器8Aにより検出される。この電流検出器8Aの検出出力に基づいて図示していない制御手段によりコンバータ6の全自己消弧素子(3A〜3F)が一斉に点弧され、平滑コンデンサ5の充電電荷が全アームに分担して放電される。また平滑コンデンサ5の放電終了後、制御手段により、全自己消弧素子(3A〜3F)が一斉に消弧される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
直流部のリップル抑制のために平滑コンデンサ5を接続したコンバータ6およびインバータ7において、変換器内の自己消弧素子が誤動作または一部破損し、直流短絡が生じた場合に平滑コンデンサ5の放電電流が直流短絡を起こした相の素子のみに流れ、当該相の素子を破壊させることを防止する手段として一斉点弧が行われているが、平滑コンデンサ5の放電電流はアノードリアクトル4と共振しながら減衰するために、平滑コンデンサ5の放電電流が共振の過程で零付近に落ち込んだ時点で全自己消弧素子を一斉に消弧すると全自己消弧素子には平滑コンデンサ5の定挌電圧相当が印加されることにより、短絡電流による素子損失の増加で接合部温度が定挌値以上の高温状態にあるためにサーマルランを発生して全自己消弧素子を破壊する恐れがある。このために上記の公報ではヒューズを直流短絡経路に付加して直流短絡電流を抑制したものも示しているが、ヒューズを付加して素子を保護するのであれば一斉点弧は不要であり、装置のコスト増を招くなどの問題があった。また一斉点弧による直流短絡保護では、一斉点弧の頻度が増えると自己消弧素子のみならずブスバーなどの構造部材もダメージを受けて交換部品数および交換時間の増加を招くなどの問題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、ヒューズを用いないで直流短絡保護を可能にしたもので、一斉点弧を制限して自己消弧素子のみならずブスバーなどの構造部材のダメージを軽減できるなど信頼性の高い電力変換装置の保護制御方法および保護制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る電力変換装置の保護制御方法は、相毎に複数の自己消弧素子およびダイオード、更に上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、交流/直流間の電力変換を行う電力変換装置の保護制御方法であって、
交流側電流を検出する交流電流検出手段、および直流側電流を検出する直流電流検出手段を備え、
上記直流側電流が所定の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点における上記各自己消弧素子に流れる電流を予測し、当該過電流検出相および他相の自己消弧素子を故障規模に応じて適切に保護するため、上記電流予測情報に応じて上記各自己消弧素子の保護処理内容を予め設定された複数の保護処理モードの中から選択するようにしたものである。
【0007】
また、請求項2に係る電力変換装置の保護制御装置は、相毎に複数の自己消弧素子およびダイオード、更に上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、交流/直流間の電力変換を行う電力変換装置の保護制御装置であって、
交流側電流を検出する交流電流検出手段、直流側電流を検出する直流電流検出手段、上記直流側電流が所定の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記各自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子をオフまたはゲートフリーズ(そのときのゲート状態を強制的に継続させる)させ他相の自己消弧素子を一斉オフさせ、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子をオンまたはゲートフリーズさせ他相の自己消弧素子を一斉オンさせる保護処理回路を備えたものである。
【0008】
また、請求項3に係る保護制御装置は、直流側の両端子間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え上記両アームの接続点を交流側端子に接続する2レベルの電力変換装置の保護制御装置であって、
上記交流側端子に流れる電流を検出する交流電流検出手段、上記両アームに流れる電流を検出する直流電流検出手段、上記両アームのいずれかに流れる電流が上記ダイオードの逆回復電流よりも大きな値に設定された所定の第1レベルの過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の両自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記両自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものはオフ、ゲートオフパルス入力中のものはゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1の保護処理モードを、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の両自己消弧素子をオンさせ他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の保護処理モードを実行する保護処理回路を備えたものである。
【0009】
また、請求項4に係る保護制御装置は、可制御電流値をITQRM、第1レベルの過電流設定値をOC1、直流側端子間の電圧をEd、保護動作に必要な所定時間をtoc、直流側端子からみた故障経路のインダクタンスをLとしたとき下式で得られる選択基準値βを設定するとともに、交流側電流Iacの極性を両アームの接続点から交流側端子に流出する方向を正と定義した場合、保護処理回路は、
負極側自己消弧素子がゲートオンパルス入力中に正極側アームの電流が過電流に達したとき、Iac≧−βが成立すると第1の保護処理モード、Iac<−βが成立すると第2の保護処理モードを実行し、
正極側自己消弧素子がゲートオンパルス入力中に負極側アームの電流が過電流に達したとき、Iac≦+βが成立すると第1の保護処理モード、Iac>+βが成立すると第2の保護処理モードを実行するものである。
β=ITQRM−OC1−Ed×toc/L
【0010】
また、請求項5に係る保護制御装置は、直流側端子間の電圧Edとして、想定されるその最大値Edmaxを採用して選択基準値βを設定するようにしたものである。
【0011】
また、請求項6に係る保護制御装置は、直流側端子間の電圧Edを検出する直流電圧検出器を備え、この直流電圧検出器の出力EdLを採用して選択基準値βを設定するようにしたものである。
【0012】
また、請求項7に係る保護制御装置は、自己消弧素子を駆動するゲート駆動回路の出力から上記自己消弧素子の故障を検出する素子故障検出手段を備え、正極側および負極側自己消弧素子が共にオフ動作中に上記故障を検出したとき、当該故障検出相の両自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせるようにしたものである。
【0013】
また、請求項8に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と両アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器および直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器を備えたものである。
【0014】
また、請求項9に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と両アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器または直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器のいずれか一方を備え、いずれか他方の直流電流は上記いずれか一方の直流電流検出器と上記交流電流検出器との出力から演算により求めるようにしたものである。
【0015】
また、請求項10に係る保護制御装置は、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器および直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器を備え、交流側電流は上記両直流電流検出器の出力から演算により求めるようにしたものである。
【0016】
また、請求項11に係る保護制御装置は、第1レベルの過電流設定値より高い所定の第2レベルの過電流設定値を設定し、直流電流検出手段の出力が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたものである。
【0017】
また、請求項12に係る保護制御装置は、直流電流検出手段を第2の直流電流検出手段を含む2重系で構成するとともに第2レベルの過電流設定値より高い所定の第3レベルの過電流設定値を設定し、上記第2の直流電流検出手段の出力が上記第3レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたものである。
【0018】
また、請求項13に係る保護制御装置は、過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合、当該他相の自己消弧素子の内、短絡防止期間Tdでオン動作からオフ動作に移行中のものは、上記期間Td開始から上記オフ動作が完了するのに要する所定の時間Td´迄、当該自己消弧素子をオフからオンにする信号の供給を禁止する手段を備えたものである。
【0019】
また、請求項14に係る保護制御装置は、請求項13において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても同アーム内のダイオードが通電中のときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたものである。
【0020】
また、請求項15に係る保護制御装置は、請求項13において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたものである。
Iac<−β または Iac>+β
【0021】
また、請求項16に係る保護制御装置は、正極、中性極および負極を有する直流側の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、上記第2、第3のアームの接続点を交流側端子に接続する3レベルの電力変換装置の保護制御装置であって、
上記交流側端子に流れる電流を検出する交流電流検出手段、上記第1のアームに流れる正極側の直流電流、第4のアームに流れる負極側の直流電流および上記第5、第6のダイオードの接続点と上記中性極との間に流れる中性極側の直流電流を検出する直流電流検出手段、この直流電流検出手段が検出する直流側電流のいずれかが上記ダイオードの逆回復電流よりも大きな値に設定された所定の第1の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記各自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものは故障短絡経路にある少なくとも1個をオフその他をゲートフリーズ、ゲートオフパルス入力中のものはゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1の保護処理モードを、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものはオン、ゲートオフパルス入力中のものは故障短絡経路にあるものをオンその他をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の保護処理モードを実行する保護処理回路を備えたものである。
【0022】
また、請求項17に係る保護制御装置は、可制御電流値をITQRM、第1レベルの過電流設定値をOC1、直流側の正極−中性極間および中性極−負極間の電圧をそれぞれEdpおよびEdn、保護動作に必要な所定時間をtoc、および直流側の上記各極間からみた故障経路のインダクタンスをそれぞれLp、Ln、Lpnとしたとき下式で得られる選択基準値βを設定するとともに、交流側電流Iacの極性を第2、第3のアームの接続点から交流側端子に流出する方向を正と定義した場合、保護処理回路は、
第2、第3の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に正極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第3の自己消弧素子をオフ、第1、第2、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−3の保護処理モード(B3)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3の自己消弧素子をオン、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正極側保護処理モード(CP)を実行し、
上記第2、第3の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に負極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第2の自己消弧素子をオフ、第1、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−2の保護処理モード(B2)、
Iac>+βが成立すると、当該過電流検出相の第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、第1の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の負極側保護処理モード(CN)を実行し、
上記第3、第4の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第2の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に中性極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第4の自己消弧素子をオフ、第1、第2、第3の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−4の保護処理モード(B4)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、第1の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の負極側保護処理モード(CN)を実行し、
上記第3、第4の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第2の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に正極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第3、第4の自己消弧素子をオフ、第1、第2の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−34の保護処理モード(B34)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正負両極側保護処理モード(CPN)を実行し、
上記第1、第2の自己消弧素子がゲートオンパルス、第3、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に中性極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第1の自己消弧素子をオフ、第2、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−1の保護処理モード(B1)、
Iac>+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3の自己消弧素子をオン、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正極側保護処理モード(CP)を実行し、
上記第1、第2の自己消弧素子がゲートオンパルス、第3、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に負極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2の自己消弧素子をオフ、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−12の保護処理モード(B12)、
Iac≧+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正負両極側保護処理モード(CPN)を実行するものである。
β=ITQRM−OC1
−toc{Edp/Lp+Edn/Ln+(Edp+Edn)/Lpn}/3
【0023】
また、請求項18に係る保護制御装置は、第1−12の保護処理モード(B12)で過電流検出相の第1、第2の自己消弧素子をオフさせる場合、上記第2の自己消弧素子をオフさせるタイミングを第1の自己消弧素子をオフさせるタイミングより、自己消弧素子のターンオフ時間のばらつきを考慮して設定された所定の時間Ty遅らせ、第1−34の保護処理モード(B34)で過電流検出相の第3、第4の自己消弧素子をオフさせる場合、上記第3の自己消弧素子をオフさせるタイミングを第4の自己消弧素子をオフさせるタイミングより、上記所定の時間Ty遅らせるようにしたものである。
【0024】
また、請求項19に係る保護制御装置は、直流側の正極と中性極との間の電圧Edpおよび中性極と負極との間の電圧Ednとして、想定されるその最大値Edmaxを採用して選択基準値βを設定するようにしたものである。
【0025】
また、請求項20に係る保護制御装置は、直流側の正極と中性極との間の電圧Edpおよび中性極と負極との間の電圧Ednを検出する直流電圧検出器を備え、この直流電圧検出器の出力EdpまたはEdnのいずれか大きい方を選択し、当該選択した検出電圧を採用して選択基準値βを設定するようにしたものである。
【0026】
また、請求項21に係る保護制御装置は、自己消弧素子を駆動するゲート駆動回路の出力から上記自己消弧素子の故障を検出する素子故障検出手段を備え、各相4個の自己消弧素子の内1個がオン他の3個がオフ動作中に上記故障を検出したとき、当該故障検出相の全自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせるようにしたものである。
【0027】
また、請求項22に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と第2、第3アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器を備えたものである。
【0028】
また、請求項23に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と第2、第3アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器の内いずれか2台の直流電流検出器を備え、いずれか他の1台の直流電流検出器に係る直流電流は上記2台の直流電流検出器と上記交流電流検出器との出力から演算により求めるようにしたものである。
【0029】
また、請求項24に係る保護制御装置は、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器を備え、交流側電流は上記各直流電流検出器の出力から演算により求めるようにしたものである。
【0030】
また、請求項25に係る保護制御装置は、第1レベルの過電流設定値より高い所定の第2レベルの過電流設定値を設定し、正極側直流電流が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせ、負極側直流電流が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたものである。
【0031】
また、請求項26に係る保護制御装置は、直流電流検出手段を第2の直流電流検出手段を含む2重系で構成するとともに第2レベルの過電流設定値より高い所定の第3レベルの過電流設定値を設定し、上記第2の直流電流検出手段の出力が上記第3レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたものである。
【0032】
また、請求項27に係る保護制御装置は、過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合であって、
当該他相の第1、第2の自己消弧素子がオン、第3、第4の自己消弧素子がオフ動作中に上記第2、第3、第4の自己消弧素子をオンさせるときは、先ず、上記第1の自己消弧素子をオフさせ、所定の短絡防止期間Td経過後、上記第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、
当該他相の上記第3、第4の自己消弧素子がオン、第1、第2の自己消弧素子がオフ動作中に上記第1、第2、第3の自己消弧素子をオンさせるときは、先ず、上記第4の自己消弧素子をオフさせ、所定の短絡防止期間Td経過後、上記第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたものである。
【0033】
また、請求項28に係る保護制御装置は、請求項27において、先ず、第1の自己消弧素子をオフさせるときまたは第4の自己消弧素子をオフさせるとき、当該各自己消弧素子と同アーム内のダイオードが通電中のときは、所定の短絡防止期間Tdの経過を待たずに直ちに、それぞれ第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたものである。
【0034】
また、請求項29に係る保護制御装置は、請求項27において、先ず、第1の自己消弧素子をオフさせるときまたは第4の自己消弧素子をオフさせるとき、交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、所定の短絡防止期間Tdの経過を待たずに直ちに、それぞれ第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたものである。
Iac<−β または Iac>+β
【0035】
また、請求項30に係る保護制御装置は、過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合であって、
当該他相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子の内、1個の自己消弧素子が短絡防止期間Tdでオン動作からオフ動作に移行中のときは、上記期間Td開始から上記オフ動作が完了するのに要する所定の時間Td´迄、上記各自己消弧素子をオフからオンにする信号の供給を禁止する手段を備えたものである。
【0036】
また、請求項31に係る保護制御装置は、請求項30において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても同アーム内のダイオードまたは対の自己消弧素子が通電中のときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたものである。
【0037】
また、請求項32に係る保護制御装置は、請求項30において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたものである。
Iac<−β または Iac>+β
【0038】
また、請求項33に係る保護制御装置は、各自己消弧素子に一斉オン信号が送出された場合であって、
第1、第2、第3、第4の自己消弧素子を同時にオンさせるときは、上記第1の自己消弧素子をオンさせるタイミングを第2の自己消弧素子をオンさせるタイミングより、自己消弧素子のターンオン時間のばらつきを考慮して設定された所定の時間Tx遅らせ、上記第4の自己消弧素子をオンさせるタイミングを第3の自己消弧素子をオンさせるタイミングより、上記所定の時間Tx遅らせるようにしたものである。
【0039】
また、請求項34に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載された電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備えた場合、
上記平滑コンデンサを第1の平滑コンデンサと、スイッチング手段を介して上記第1の平滑コンデンサと並列に接続された第2の平滑コンデンサとで構成し、
保護制御装置で出力された自己消弧素子への一斉オン信号に基づき上記スイッチング手段をオフすることにより、上記平滑コンデンサから上記一斉オンした自己消弧素子への放電を抑制するようにしたものである。
【0040】
また、請求項35に係る保護制御装置は、請求項16ないし33のいずれかに記載の3レベルの電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備えた場合、
上記平滑コンデンサを、正極端子と中性極端子とに接続された第1の正極側平滑コンデンサと正極側スイッチング手段を介して上記第1の正極側平滑コンデンサと並列に接続された第2の正極側平滑コンデンサ、および中性極端子と負極端子とに接続された第1の負極側平滑コンデンサと負極側スイッチング手段を介して上記第1の負極側平滑コンデンサと並列に接続された第2の負極側平滑コンデンサで構成し、
保護制御装置で出力された第1、第2、第3の自己消弧素子または第2、第3、第4の自己消弧素子への一斉オン信号に基づき上記正極側スイッチング手段または負極側スイッチング手段をオフすることにより、上記平滑コンデンサから上記一斉オンした自己消弧素子への放電を抑制するようにしたものである。
【0041】
また、請求項36に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置を複数台、各直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置のいずれかの保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号を他の電力変換装置の自己消弧素子へも同時に送出するよう、上記一斉オン信号を上記各電力変換装置で共通化するよう構成したものである。
【0042】
また、請求項37に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置を複数台、各電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備え、上記各電力変換装置の直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置毎に設けられたスイッチング素子を介して各直流側を共通に接続するとともに、いずれかの上記電力変換装置の保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号に基づき当該電力変換装置のスイッチング手段をオフすることにより、他の電力変換装置の平滑コンデンサから当該電力変換装置の上記一斉オンした自己消弧素子への放電を阻止するようにしたものである。
【0043】
また、請求項38に係る保護制御装置は、各電力変換装置の直流側を共通に接続する共通接続点の正負両極間に接続された共通平滑コンデンサを備えた場合、いずれかの上記電力変換装置の保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号に基づき当該電力変換装置のスイッチング手段をオフすることにより、他の電力変換装置の平滑コンデンサおよび上記共通平滑コンデンサから当該電力変換装置の上記一斉オンした自己消弧素子への放電を阻止するようにしたものである。
【0044】
また、請求項39に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置であって互いに同一容量の電力変換装置を複数台、各直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置で検出された交流側電流および直流側電流のそれぞれ最大値を選択する最大値選択回路、上記各電力変換装置の自己消弧素子に共通のゲートパルスを供給するゲートパルス発生器、上記最大値選択回路から出力される交流側電流信号、直流側電流信号および上記ゲートパルス信号に基づき故障の予測判別を行う故障判別回路、およびこの故障判別回路の判別出力に基づき上記各電力変換装置の自己消弧素子に対して共通の保護処理を行う保護処理回路を備えたものである。
【0045】
また、請求項40に係る保護制御装置は、複数の各電力変換装置の交流側は、それぞれ互いに独立した交流電源または交流負荷に接続されているものである。
【0046】
また、請求項41に係る保護制御装置は、複数の各電力変換装置の交流側は、その各1次側を互いに直列にして交流電源または交流負荷に接続される複数の変圧器の各2次側に接続されているものである。
【0047】
また、請求項42に係る保護制御装置は、複数の各電力変換装置の交流側は、上記各電力変換装置毎に設けられた交流リアクトルを介して共通の交流電源または交流負荷に接続されているものである。
【0048】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。図1(a)に示す3相2レベル方式の電力変換装置において、8R、8S、8T、8U、8V、8WはそれぞれR相、S相、T相、U相、V相、W相の正極P側の直流電流の瞬時値を検出する直流電流検出器である。ここで、正確には、例えばR相の正極P側の直流電流とは、自己消弧素子3Aと還流ダイオード2Aとで構成されるR相正極側アームに流れる直流電流のことである。9R、9S、9T、9U、9V、9Wは上記各相の交流電流の瞬時値を検出する交流電流検出器である。また図1(b)に示す直流短絡保護回路において、10はコンバータ6のゲートパルス発生器、11はインバータ7のゲートパルス発生器、12R、12S、12T、12U、12V、12Wは上記各相の保護制御装置としての直流短絡保護回路、13R、14R、15Rはそれぞれ上記R相の直流短絡保護回路12Rを構成するそれぞれ電流レベル判別回路、故障判別回路、保護処理回路である。
【0049】
次に上記直流短絡保護回路12の代表1相分の詳細を示す図2において、説明の都合上、正極P側に接続された正極側の第1の自己消弧素子をGC1(上記R相の3Aに相当)、負極N側に接続された負極側の第2の自己消弧素子をGC2(上記R相の3Dに相当)、正極P側に接続された正極側の第1の還流ダイオードをDF1(上記R相の2Aに相当)、負極N側に接続された負極側の第2の還流ダイオードをDF2(上記R相の2Dに相当)に統一している。またP側の直流電流Ip、N側の直流電流In、交流電流Iacの極性は図示の方向を正と定義する。
【0050】
電流レベル判別回路13において、直流電流検出器8からP側直流電流の検出信号Ipと交流電流検出器9からAC側交流電流信号Iacが入力される。133Aおよび133Bはこの交流電流信号Iacのレベルを判別する比較器であって、それぞれ選択基準値β(この選択基準値βについては後述する)と比較して、交流電流信号Iacがこの選択基準値−βおよび+βよりも大きい場合にはそれぞれ比較器133Aおよび133BからHレベルの信号−βHおよび+βHを出力する。134Aおよび134BはNOT回路であって、上記比較器133Aおよび133Bの出力信号−βHおよび+βH の符号反転した信号−βLおよび+βLを出力する。131は極性反転器であって、上記交流電流信号Iacの極性を反転する。132は加算器であって、この極性反転器131の出力信号と上記P側直流電流信号Ipを加算する。133Cは比較器であって、上記P側直流電流信号Ipを第1レベルの過電流設定値+OC1(この第1レベルの過電流設定値OC1については後述する)と比較してこの設定値+OC1よりも大きい場合にはHレベルの信号IPOC1を出力する。133Dは比較器であって、上記加算器132の出力を第1レベルの過電流設定値+OC1と比較してこの設定値+OC1よりも大きい場合にはHレベルの信号INOC1を出力する。
【0051】
故障判別回路14において、141A〜Fはそれぞれ上記電流レベル判別回路13からの出力信号−βH、+βH、−βL、+βL、IPOC1、INOC1の保持回路であって、後述の故障信号FO(Lレベル)の発生によりAND回路147の出力がLレベルになると保持動作を行う。142Aおよび142Bは2入力のAND回路であって、それぞれこの保持回路141Eの出力と後述のゲートパルス信号GP2Aおよびこの保持回路141Fの出力と後述のケ−トパルス信号GP1AのAND動作を行う。143Aおよび143Bは2入力のNAND回路であって、それぞれこのAND回路142Aの出力と上記保持回路141Aおよび141BのNAND動作を行う。143Cおよび143Dは2入力のNAND回路であって、それぞれ、上記AND回路142Bの出力と上記保持回路141Cおよび141DのNAND動作を行う。144は2入力のAND回路であって、この NAND回路143Dの出力と上記NAND回路143Aの出力のAND動作を行い、Lレベルの一斉点弧信号COを出力して他相の直流短絡保護回路へ与えるとともに逆に他相からの一斉点弧信号COも同じ信号線に共通に接続されて、いわゆるワイヤ−ドOR機能を有する。145は6入力のAND回路であって、上記NAND回路143A〜Dの出力と後述の自己消弧素子GC1およびGC2のゲート駆動回路GD1およびGD2からの素子故障信号GD1F0、GD2F0のAND動作を行い、故障信号FO(Lレベル)を発生する。
【0052】
保護処理回路15において、151Aおよび151Bはそれぞれ当該相のゲートパルス発生器10(11)からのゲートパルス信号GP1およびGP2の保持回路であって、上記故障信号FOの発生によりAND回路147の出力がLレベルになると保持動作を行う。そして、この出力は上記AND回路142Aおよび142Bへ与えられる。152Aおよび152Bは2入力のAND回路であって、それぞれこの保持回路151Aおよび151Bの出力とNAND回路143Cおよび143Bの出力のAND動作を行い、信号GP1BおよびGP2Bを出力する。153Aおよび153Bはパルス発生器であって、それぞれこのAND回路152Aおよび152Bの出力信号GP1BおよびGP2Bの立ち下がりのタイミングでLレベルの所定幅のパルスを発生する。154はNOT回路であって、上記AND回路144の出力信号COを符号反転する。155はフリップフロップ回路であって、このNOT回路154の出力がHレベルになるとHレベルの信号を出力し続ける。156Aおよび156Bは2入力のAND回路であって、それぞれこのフリップフロップ回路155の出力と上記パルス発生器153Aおよび153Bの出力とのAND動作を行う。157Aおよび157BはOR回路であって、それぞれこのAND回路156Aおよび156Bと上記AND回路152Aおよび152Bの信号GP1BおよびGP2BとのOR動作を行う。
【0053】
GD1およびGD2はゲート駆動回路であって、それぞれこのOR回路157Aおよび157Bの出力信号GP1CおよびGP2Cに基づき、自己消弧素子GC1およびGC2のゲートを制御する。
【0054】
次に動作について説明する。まず、正常時の各部の動作について説明する。図2の故障判別回路14において、正常時は、AND回路145および144の各入力信号はいずれもHレベルであるので、故障信号FOおよび一斉点弧信号COは共にHレベルであり、各保持A回路は保持動作をしない。更に、NOT回路154の出力はLレベルであるからフリップフロップ回路155の出力はLレベルに保持されている。このような状態に、GP1がHレベルになると、AND回路152Aとそれに続くOR回路157Aの出力は共にHレベルになり、ゲート駆動回路GD1を介して自己消弧素子GC1にゲートオンパルスを供給する。また、GP2がHレベルになると、AND回路152Bとそれに続くOR回路157Bの出力は共にHレベルになり、ゲート駆動回路GD2を介して自己消弧素子GC2にゲートオンパルスを供給する。
【0055】
次に、故障時の動作について説明するが、己消弧素子GC1、GC2および還流ダイオードDF1およびDF2の故障モードを分析した結果と短絡保護動作を整理したものを表の形で図3に示し、図3の各故障ケース1〜6が発生し得るタイミングを図4のタイミングチャートに示す。
【0056】
図3において、ケース1はGC1およびGC2がともにオフゲートパルスが与えられている短絡防止期間Td(いわゆる上下アームの短絡を防止するために同時にオフさせる期間Tdを設けることが一般的であり、自己消弧素子の種類により数μ〜数十μ秒に設定される。)にGC1の故障が検出された場合である。GC1がオン動作からオフ動作へ移行時に遮断失敗を生じた場合やオフ動作する前のオン期間中に高di/dtによるターンオン破壊を生じた場合には、GC1のゲートとカソ−ド間が短絡するためにオフゲート電圧をゲート駆動回路GD1からGC1に供給した時点で負極性のオフゲート電流が過大になる。正常なオフ動作であればGC1のゲートに蓄積された電荷を引き出した後はオフゲート電流は零に減衰してゲート駆動回路GD1のオフゲート電圧(約−20V)が印加されるが、 GC1がオン動作からオフ動作時に遮断失敗を生じた場合やオフする前のオン期間中に高di/dtによるターンオン破壊を生じた場合には、GC1のゲートとカソ−ド間が短絡するためにオフゲート電圧をゲート駆動回路GD1からGC1に供給した時点で負極性のオフゲート電流が過大になることはよく知られている。
【0057】
なお、オンゲート電圧が与えられている期間にGC1がターンオン破壊を生じてもゲート駆動回路GD1内では一般にオンゲート電流を制限する機能が内臓されているために正極性のオンゲート電流は過大にならない。このためにゲート駆動回路GD1ではオフゲート電流の過電流レベルあるいはオフゲート電圧のレベルの低下を監視してGC1の故障を検出するようにしており、この故障信号GD1FO(Lレベル)はGD1から上記故障判別回路14内のAND回路145に与えられる。
【0058】
即ち、このケース1の短絡保護動作は、自己消弧素子GC1の遮断失敗をTd期間中に見つけて保護処理して直流短絡を未然に防止するもので、GC1およびGC2ともに現状のゲート状態を強制的に継続すべくゲートフリーズ(GF)動作を行い、他相の自己消弧素子に対してはゲートオフ動作を行う(保護処理モードAと表示)。このゲートフリーズは上記故障判別回路14内のAND回路145の出力信号FOの発生(Lレベル)によりAND回路147を介して、上記保護処理回路15内の保持A回路151A、151Bが上記ゲートパルス発生器10からのゲートパルス信号GP1およびGP2を保持した信号GP1AおよびGP1Bを出力することにより行う。また他相の自己消弧素子に対するゲートオフは上記AND回路145の出力信号FOが与えられる上記ゲートパルス発生器10(11)から全相に対してオフのゲートパルス信号を一斉に発生して実行される。このようにTd期間中に素子故障を検出し、かつ当該相のゲートパルスをゲートフリーズ動作することにより、直流短絡への波及を未然に防止する。
【0059】
次にケース4は、Td期間中にGC2が故障検出された場合であり、GC2の故障がゲート駆動回路GD2で検出されて、この故障信号GD2FO(Lレベル)はGD2から上記故障判別回路14内のAND回路145に与えられ、ケース1と同様の保護処理モードAの保護動作を行う。即ち、このケース4の短絡保護動作は、自己消弧素子GC2の遮断失敗をTd期間中に見つけて保護処理して直流短絡を未然に防止するものである。
【0060】
次にケース2および3は、GC2のみオンのゲートパルス信号が与えられている場合に、対のアームのGC1あるいはDF1が故障を発生して直流短絡を生じる場合であり、交流側電流Iacのレベルに応じて適切な保護動作が選択される。GC2のみにオンのゲートパルス信号が与えられて正常状態の場合に、交流側電流Iacの極性が負のときには交流側電流IacはGC2を通って上記平滑コンデンサ5の負極N側に流れ、逆に交流側電流Iacの極性が正のときには交流側電流Iacは上記平滑コンデンサ5の負極N側からDF2を通って流れる。このとき、図示の極性の定義に従えば、P側の直流電流Ip=0、N側の直流電流In=−Iacである。 GC1あるいはDF1が故障を発生して直流短絡を生じた場合には直流短絡電流Isは上記平滑コンデンサ5のP側から故障したGC1あるいはDF1とGC2あるいはDF2(Iac>0で、Iac>Isの期間)を通って上記平滑コンデンサ5のN側へ流れ、Is=Ed×t/Lで上昇する。
【0061】
ここでEdは上記平滑コンデンサ5の直流電圧、tは短絡発生後からの経過時間、Lは故障経路のインダクタンスで、アノードリアクトル4のインダクタンスLaと直流短絡経路のブスバーのインダクタンスLbを加算したインダクタンスである。短絡発生後の短期間を考慮してこの期間では交流側電流Iacを一定と仮定すれば、Ip=Is、In=−Iac+Isとなる。このケースでは短絡発生後P側直流電流Ipが第1の過電流設定値OC1に達すると保護動作に入る。このOC1のレベルは正常運転での転流時におけるDF2の逆回復電流のピ−ク値IRMよりも大きい値に設定され、誤動作を防止する。
【0062】
ここで上記転流動作の具体例としてDF1からGC2への転流を図5を参照して説明する。Td期間中にGC1、GC2ともにオフ状態のときにIacの極性が負であればDF1を通ってP側へIacが流れており、Td後にGC2をオンするとP側からDF1、GC2を通ってN側へ転流電流Ic(部分的には直流短絡電流Isと同じ)が流れる。IcがIc>−Iac>0に上昇してDF1の逆回復電流のピ−ク値IRMに達する(このときIc=−Iac+IRM)と、DF1は完全にオフすると同時にIcも−Iacレベルまで急減衰して、以後GC2を通ってN側へ交流側電流Iacは流れる。この逆回復電流のピ−クが生じる時点ではIp=IRM、In=−Iac+IRMであり、InはGC2の遮断限界である可制御電流値ITQRMまで達して直流短絡と誤判断する場合があるために、GC2がオンの場合には正常状態ではIRMが最大となるIp側で短絡発生を早期に検出している。なお、上記逆回復電流のピーク値IRMは、転流値のdi/dtに依存するが、例えば、定格電流3000Aの素子の場合、IRM=1000〜1500A程度である。また、可制御電流値ITQRMは、上掲素子の場合、6000A程度である。
【0063】
また、比較器133Aで判別するしきい値−βは一斉点弧かゲートオフかの保護処理内容の選択を行う選択基準値であり、この基準値−βの設定根拠を図6に基づいて説明する。図は直流短絡発生時点を基準にしたIp、Inの時間変化を示しており、Iacが基準値−βの場合に時刻t2でInが次式のように可制御電流値ITQRM に到達する。
In=Ip+β=ITQRM (1)
Ip=OC1+Ed×toc/L (2)
ここでtocは、Ipの第1レベルの過電流設定値OC1に到達する時刻t1から、この過電流を検出してGC2をオフ動作させるまでの時間である。この時間tocとしては、電流検出に要する時間に素子のターンオフ動作に必要な時間を加えて、例えば、5μs程度に設定する。上記(1)および(2)式からβは次式で得られる。
β=ITQRM − OC1− Ed×toc/L (3)
【0064】
すなわちInの直流短絡発生直前値のIacが−βのときにGC2は遮断限界であり、ケース2のようにIacが−βより小さいときには時刻t2では可制御電流値ITQRMを超えることが予測できるために当該相はゲートフリーズして他相を一斉点弧する(保護処理モードC)。逆にケース3のように、Iacが−βより大きいときには、時刻t2では可制御電流値ITQRMを超えないことが予測できるために当該相のGC1をゲートフリーズするとともにGC2をゲートオフし、他相をゲートオフする(保護処理モードB2)。
【0065】
このように時刻t1の時点で早期に短絡電流を検出するとともに交流側電流Iacが−βより大きいか小さいかを判別して保護方法を選択するようにしており、図2の直流短絡保護回路でこのケース2、3の保護動作を実行している。Ipが電流レベル判別回路13内の比較器133CでOC1に達したと判別されるとその出力信号IPOC1はHレベルになる。一方Iacは比較器133Aで−β以上(ケース3)と判別されるとその出力信号−βHがHレベルになり、逆に−β未満(ケース2)と判別されるとNOT回路134Aの出力信号−βLがHレベルになる。ケース2,3ではGC2がオン動作中であるから上記ゲートパルス発生器10のゲートパルス信号GP2のみがHレベルであり、それに続く保護処理回路15内の保持A回路151Bの出力信号GP2AもHレベルである。従って故障判別回路14内のAND回路142Aの出力はHレベルになり、ケース2では保持A回路141Aの出力がHレベルであるからそれに続くNAND回路143Aの出力がLレベルになる。
【0066】
その結果、AND回路145からLレベルのFO信号を出力して各保持A回路を保持動作させるとともにAND回路144からLレベルの一斉点弧信号COを出力する。この一斉点弧信号COは他相の直流短絡保護回路へ与えられるとともに、当該相の保護処理回路15に与えられる。一斉点弧信号COがLレベルになるとNOT回路154の出力がHレベルになり、フリップフロップ回路155の出力はHレベルになる。このフリップフロップ回路155の出力は、図示しないリセット手段によってリセットされるまでHレベルを継続し、それに続くAND回路156Aおよび156Bを経由してOR回路157Aおよび157Bからオン(Hレベル)のゲートパルス信号GP1CおよびGP2Cをゲート駆動回路GD1およびGD2へ与える。
【0067】
一方、ケース3では保持A回路141Bの出力がHレベルであるからそれに続くNAND回路143Bの出力がLレベルになる。その結果、AND回路145からLレベルのFO信号を出力して各保持A回路を保持動作させるとともに保護処理回路15内のAND回路152Bの出力をLレベルに反転させてOR回路157Bからオフ(Lレベル)のゲートパルス信号GP2Cをゲート駆動回路GD2へ与える。
【0068】
次にケース5および6はGC1にのみオンのゲートパルス信号が与えられている場合に、対のアームのGC2あるいはDF2が故障を発生して直流短絡を生じる場合であり、交流側電流Iacのレベルに応じて上記ケース2および3と同様に適切な保護動作が選択される。 GC1のみにオンのゲートパルス信号が与えられて正常状態の場合に、交流側電流Iacの極性が負のときには交流側電流IacはDF1を通って上記平滑コンデンサ5の正極P側に流れ、逆に交流電流Iacの極性が正のときには交流側電流Iacは上記平滑コンデンサ5の正極P側からGC1を通って流れる。このとき、図示の極性の定義に従えば、P側の直流電流Ip= Iac、N側の直流電流In=0である。 GC2あるいはDF2が故障を発生して直流短絡を生じた場合の過電流検出方法は、ケース2および3の場合に正常時の直流電流が少ないP側の直流電流Ipで過電流検出を行ったのと対称的に、正常時の直流電流が少ないN側の直流電流Inで行う。
【0069】
また、比較器133Bで判別するしきい値βは一斉点弧かゲートオフかの選択基準値であり、この基準値βの設定根拠を図6を参考にして説明する。ケース2および3の場合にはIn>Ipであったのに対して、ケース5および6の場合には(Ip)、(In)で図示しているようにIp>Inになる。Iacが基準値βの場合に時刻t2でIpが次式のように可制御電流値ITQRM に到達する。
Ip=In+β=ITQRM (4)
In=OC1+Ed×toc/L (5)
ここでtocはInの第1レベルの過電流設定値OC1に到達する時刻t1から、この過電流を検出してGC1をオフ動作させるまでの時間である。上記(4)および(5)式からβは次式で得られる。
β=ITQRM −OC1− Ed×toc/L (6)
【0070】
すなわち、Ipの直流短絡発生直前値のIacがβのときにGC1は遮断限界であり、ケース6のようにIacが+βより大きいときには時刻t2では可制御電流値ITQRMを超えることが予測できるために当該相はゲートフリーズして他相を一斉点弧する(保護処理モードC)。逆にケース5のようにIacが+βより小さいときには、時刻t2では可制御電流値ITQRMを超えないことが予測できるために当該相のGC2をゲートフリーズするとともにGC1をゲートオフし、他相をゲートオフする(保護処理モードB1)。
【0071】
図2において、このケース5、6の保護動作を説明する。Inは図示の電流極性の定義に基づけば、In=Ip−Iacであり、電流レベル判別回路13内のIacの極性を反転する極性反転器131と加算器132とでInを演算している。Inが比較器133DでOC1に達したと判別されるとその出力信号INOC1はHレベルになる。一方Iacは比較器133Bで+β以上(ケース6)と判別されるとその出力信号+βHがHレベルになり、逆にβ未満(ケース5)と判別されるとNOT回路134Bの出力信号+βLがHレベルになる。ケース5,6ではGC1がオン動作中であるから上記ゲートパルス発生器10のゲートパルス信号GP1のみがHレベルであり、それに続く保護処理回路15内の保持A回路151Aの出力信号GP1AもHレベルである。従って故障判別回路14内のAND回路142Bの出力はHレベルになり、ケース6では保持A回路141Dの出力がHレベルであるからそれに続くNAND回路143Dの出力がLレベルになる。その結果、AND回路145からLレベルのFO信号を出力して各保持A回路を保持動作させるとともにAND回路144からLレベルの一斉点弧信号COを出力する。
【0072】
この一斉点弧信号COは他相の直流短絡保護回路へ与えられるとともに、当該相の保護処理回路15に与えられてケース2と同様にOR回路157Aおよび157Bからオン(Hレベル)のゲートパルス信号GP1CおよびGP2Cをゲート駆動回路GD1およびGD2へ与える。一方、ケース5では保持A回路141Cの出力がHレベルであるからそれに続くNAND回路143Cの出力がLレベルになる。その結果、AND回路145からLレベルのFO信号を出力して各保持A回路を保持動作させるとともに保護処理回路15内のAND回路152Aの出力をLレベルに反転させてOR回路157Aからオフ(Lレベル)のゲートパルス信号GP1Cをゲート駆動回路GD1へ与える。
【0073】
次に直流短絡を発生した過電流検出相から他相に一斉点弧信号CO (Lレベル)が与えられた場合の動作を図2に基づいて説明する。まず、過電流検出相から一斉点弧信号COが与えられると故障判別回路14のAND回路147を介して各保持A回路で電流判別信号やゲートパルス信号が保持される。このとき、例えばGC1のゲートパルス信号がオンからオフに切り替わった直後のTd期間中に一斉点弧信号COが与えられたときにはGC1のゲートパルス信号を直ちにオンに切り替えると、オフ動作中に強制的にオンさせることになり、反ってGC1を破壊する恐れがある。この破壊を防止するためにGC1のオフ動作(図示していないが、GC1に並列接続されたスナバコンデンサがGC1のターンオフ時に過充電され、その過充電分の電荷が放電してこのスナバコンデンサの電圧が直流電圧レベルに落ち着くまでの動作を含む)が完了する時間 Td´(このTd´はスナバの回路方式とその定数により決まり、一般にTdと同程度である。)を経過した後にオンするようにしている。
【0074】
すなわち、GC1のゲートパルス信号GP1がオンからオフに切り替わると保護処理回路15内のパルス発生器153Aはこの期間(Td´)にLレベルの出力を発生し、一斉点弧信号COによってフリップフロップ回路155の出力がHレベルに保持されていてもAND回路156Aの出力はLレベルのままであり、GC1のオン動作を禁止する。 Td´期間を経過した後にパルス発生器153Aの出力はHレベルに戻って、 OR回路157Aの出力からオン(Hレベル)のゲートパルス信号GP1Cをゲート駆動回路GD1へ与える。
【0075】
なお、この実施の形態1では、自己消弧素子へのゲートパルス信号の状態、各相の直流電流のレベル、交流側電流のレベルおよび自己消弧素子自身の故障信号からなる直流短絡の発生の予測手段もしくは直流短絡電流の立ち上がり初期時点における早期直流短絡検出手段により故障素子を特定し、適切な保護手段を選択して健全素子を保護するようにしたので、一斉点弧のケースを制限できて信頼性の高い装置を得ることができる。
【0076】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、N側の直流電流InをP側の直流電流検出値Ipと交流電流検出値Iacから演算して求めたものを示したが、図7に示すようにN側の直流電流検出値Inと交流側電流検出値Iacから演算してP側の直流電流Ipを求めるように構成したものであってもよい。図において16はN側の直流電流検出器、13Aは電流レベル判別回路であって、このN側の直流電流検出器16の出力Inと交流側電流検出信号Iacが入力され、P側の直流電流Ipを加算器135で求めている。すなわち電流の極性を図示の方向を正と定義すればIp=Iac+Inであるから、この加算器135はIacとInの加算演算を行い、Ipを求めている。以上のような構成により、上記実施の形態1と同様な効果を奏するものが得られる。
【0077】
実施の形態3.
また、上記実施の形態1および2では交流側電流検出値Iacと片側の直流電流検出値IpあるいはInからもう片側の直流電流InあるいはIpを演算により求めたものを示したが、図8に示すように両側の直流電流検出値Ip、Inから交流側電流Iacを求めるように構成したものであってもよい。図において13Bは電流レベル判別回路であって、 P側の直流電流検出器8の出力IpとN側の直流電流検出器16の出力Inが入力され交流側電流Iacを加算器137で求めている。すなわち電流の極性を図示の方向を正と定義すればIac=Ip−Inであるから、この加算器137はInの極性を反転する極性反転器136の出力とIpの加算演算を行い、Iacを求めている。以上のような構成により、上記実施の形態1と同様な効果を奏するものが得られる。なお、上記実施の形態1、2および3では、装置のコスト低減のために交流電流検出器9、P側直流電流検出器8、N側直流電流検出器16の内、ひとつの電流検出器を省略して構成したものを示したが、当然ながら、すべての電流検出器を設けて構成したものであってもよい。
【0078】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1では、自己消弧素子へのゲートパルス信号の状態、各相の直流電流のレベル、交流側電流のレベルおよび自己消弧素子自身の故障信号からなる直流短絡の発生の予測手段もしくは直流短絡電流の立ち上がり初期時点における早期直流短絡検出手段により故障素子を特定し、適切な保護手段を選択して健全素子を保護するように構成したものを示したが、さらに一斉点弧保護手段を付加して素子保護の信頼性を向上させたものについて説明する。図2の主回路構成と同じ構成を示す図9において、17は電圧検出器であって、アノードリアクトル4の印加電圧からIpの第3レベルの過電流(OC3)を検出する。この電圧検出器17は例えば特公平3−6740号公報の第3図に示されているようなものであって、アノードリアクトル4の印加電圧Vaの時間積から短絡電流値を予測しており、この時間積値が所定値に達すると双方向スイッチング素子を導通させてこの電圧検出器から過電流信号を出力している。この出力の絶縁手段としては図示されているような変圧器による方法以外に光伝送方法であってもよく、この場合にはLレベルの過電流信号OC3が発生する。ここで、アノードリアクトル4の印加電圧Vaは、Va= Ed×La/(La+Lb)である。
【0079】
13Cは電流レベル判別回路であって、図2の電流レベル判別回路13に対してP側およびN側の直流電流IpおよびInの第2レベルの過電流OC2をそれぞれ比較器133Eおよび133Fで検出してそれぞれNOT回路134CおよびNOT回路134Dの出力からLレベルの信号を発生する。
14Aは故障判別回路であって、図2の故障判別回路14に示すAND回路144および145をそれぞれ、5入力のAND回路144Aおよび9入力のAND回路145Aに変更している。このAND回路144Aおよび145Aの入力には上記電圧検出器17からの第3レベルの過電流信号OC3と電流レベル判別回路13Cからの第2レベルの過電流信号(IPOC2およびINOC2)が共通に追加されている。
【0080】
この動作を図10に基づいて説明する。図は、図3のケース5(GC1にオンゲート信号が与えられている状態でGC2あるいはDF2が短絡故障を発生)に相当するものについて直流短絡発生時点を基準にしたIp、Inの時間変化を示している。Iacの瞬時値が基準値+β以下でそれに近い場合に、時刻t1でInの第1の過電流レベルOC1が検出されると保護処理モードBPが選択され、時刻t2でIpが(4)、(5)式のように可制御電流値ITQRMに近いレベルに到達したところでGC1が遮断される。正常にGC1が遮断されると、Ip、Inは図示の実線波形で示されるように急減衰するが、仮にGC1の遮断動作中にゲート駆動回路GD1等の部品が同時に故障を発生した場合にはGC1は遮断失敗を生じて図示の一点鎖線のようにIp、Inは上昇し続ける。IpあるいはInが時刻t3で第2レベルの過電流設定値IPOC2およびINOC2に達すると一斉点弧動作を行う。ここでこの第2レベルの過電流設定値IPOC2およびINOC2は自己消弧素子の可制御電流値ITQRM以上のレベルに設定してゲートオフによる正常な保護動作時に誤作動させないように配慮している。
【0081】
この場合の一斉点弧動作は、図9において電流レベル判別回路13C内の比較器133Eの出力を符号反転するNOT回路134Cの出力信号IPOC2がLレベルになることにより、故障判別回路14A内のAND回路144AがLレベルの一斉点弧信号COを出力して実行される。
さらに直流電流検出器8の故障が重なった場合には上記第2レベルの過電流OC2の検出が不可能になり、一斉点弧動作が行えない。その場合には、Ipが上記電圧検出器17の検出レベルである第3レベルの過電流設定値OC3に達すると一斉点弧動作を行う。この場合の一斉点弧動作は、電圧検出器17の出力信号OC3がLレベルになることにより、故障判別回路14A内のAND回路144AがLレベルの一斉点弧信号COを出力して実行される。なお、図9ではアノードリアクトル4と電圧検出器17をP側に設けたものを示したが、N側に設けたものであってもよく、またP側とN側の両側に設けたものであってもよい。以上のように電力変換装置と直流短絡保護回路を構成することにより、素子やブスバーの保護に対して信頼性の高いものが得られる。
【0082】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態1では、交流側電流Iacの基準値+β(−β)を上記(3)および(6)式から得たものを示したが、平滑コンデンサ5の直流電圧Edが定格(最大)値で変動しないと仮定した場合に適用できる。現実にはこの直流電圧Edは負荷変動等により変動を生じるために、上記(3)および(6)式のEd×toc/Lの項がEdの変動により変化する。従って、交流側電流Iacの基準値+β(−β)は直流電圧Edが最大値(Edmax)の場合を考慮して、次式に基づいて基準値βを低減する。
β=ITQRM − OC1− Edmax×toc/L (7)
この(7)式に基づいて基準値βを設定すれば、直流電圧Edの変動が生じても自己消弧素子をオフさせる保護モードのときには可制御電流値ITQRM以下のレベルで確実に遮断でき、信頼性の高いものが得られる。
【0083】
実施の形態6.
また、上記実施の形態5では交流側電流Iacの基準値βを直流電圧Edが最大値(Edmax)の場合を考慮して設定する方法であるが、直流短絡が直流電圧Edが低い状態のときに生じた場合の動作を説明する。図11において、IpおよびInの実線波形はEd=Edmaxのときに直流短絡が発生した場合を示しており、上記(7)式から得られる基準値βよりも交流側電流Iacの瞬時値がやや小さいケースに相当し、P側の自己消弧素子GC1を時刻t2でオフする。このときのGC1の遮断電流はほぼ可制御電流値ITQRMレベルである。 図のIpおよびInの点線波形は直流電圧EdがEdLに低下しているときに直流短絡が発生した場合を示しており、時刻t1LでOC1が検出されて、その後tocの期間を経過した時刻t2LにてP側の自己消弧素子GC1をオフする。そのときのGC1の遮断電流Ipのレベルは図示のA点のレベルであり、可制御電流値ITQRMよりもかなり低いレベルで遮断することになる。裏を返せば、低い基準値βに設定されると一斉点弧の機会が増えることになる(短絡電流値からは一斉点弧が必要でないのに、一斉点弧動作をするケースが起こり得る)。図のIpの一点鎖線波形は直流電圧Edの大きさに応じて交流側電流Iacの基準値βをβaに調整した場合を示しており、図示のB点(ITQRMに相当)で遮断することになる。
【0084】
ここで基準値βaは次式に基づいて調整する。
βa=ITQRM−OC1−EdL×toc/L (8)
Ed=Edmaxのときの基準値βを使って、この(8)式を変形すると次式が得られる。
βa=β+(Edmax−EdL)×toc/L (9)
この(9)式のEdLの項に直流電圧の瞬時値Edを適用すれば、直流電圧Edの大きさに応じて基準値βを調整でき、自己消弧素子の遮断電流レベルが可制御電流値ITQRMを超えることを確実に予測して一斉点弧による保護動作を実行できるために、一斉点弧の機会を低減できる。
【0085】
図12は上記図9に基準値βの調整手段を付加したものである。図において、18は直流電圧検出器であって、平滑コンデンサ5の電圧を検出して直流電圧信号−Edを出力する。19は交流側電流の基準値調整回路であって、この直流電圧検出器18の出力信号−Edの大きさに応じて可変基準値信号βaを出力する。この基準値調整回路19において191は加算器であって、上記直流電圧検出器18の出力信号−Edと直流電圧Edの最大値に相当する信号Edmaxの加算演算を行う。192はゲイン調整器であって、この加算器191の出力( Edmax−Ed)に対し、上記(9)式に基づいてゲインの調整を行い、調整信号△βを出力する。193は加算器であって、このゲイン調整器192の出力信号△βと上記(7)式に基づいて得られる直流電圧が最大時の基準値βを加算し、可変基準信号+βaを出力して電流判別回路13C内の比較器133Bに与えている。194は極性反転器であって、この加算器193の出力信号βaの極性を反転し、可変基準信号−βaを出力して電流判別回路13C内の比較器133Aに与えている。このように基準値βを直流電圧に応じて調整するように構成したことにより、一斉点弧保護動作の機会を低減でき、信頼性の高いものが得られる。
【0086】
実施の形態7.
また、上記実施の形態1では自己消弧素子がオフした直後に一斉点弧信号COが発生しても上記図2の保護処理回路15内のパルス発生器153Aおよび153Bとそれに続くAND回路156Aおよび156Bにより、自己消弧素子にゲートオフ信号が与えられてからオフ動作が完了する期間Td´を経過した後に一斉点弧動作を行うように構成したものについて述べたが、自己消弧素子にゲートオフ信号が与えられてオフ動作する際に交流側電流の極性によって、この自己消弧素子に逆並列接続された還流ダイオードを通って交流側電流が流れている場合にはすぐに一斉点弧動作を行っても構わない。
【0087】
この一斉点弧動作の延期手段を解除する方法を、図13に基づいて説明する。図において、15Aは保護処理回路であって、上記図2に示す保護処理回路15内のパルス発生器153Aおよび153Bの出力にそれぞれ2入力のOR回路158Aおよび158Bを追加している。このOR回路158Aおよび158Bのもう一方の入力へはそれぞれ上記故障判別回路14内の保持A回路141Aおよび141Dの出力信号−βLおよび+βHが与えられている。例えばGC1のオフ直後に一斉点弧信号COが発生した場合にはパルス発生器153Aの出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iac が−βよりも小さいならばDF1を通ってP側へ交流側電流が流れていると判断できる。そして、このとき保持A回路141Aの出力−βLはHレベルであるから、 OR回路158Aの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号COに基づいてフリップフロップ回路155の出力がHレベルになるとただちにGC1へはオンゲート信号GP1Cが与えられる。
【0088】
同様に、GC2のオフ直後に一斉点弧信号COが発生した場合にはパルス発生器153Bの出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iacの大きさが+βよりも大きいならば保持A回路141Dの出力+βHはHレベルであるから、 OR回路158Bの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号COに基づいてフリップフロップ回路155の出力がHレベルになるとただちにGC2へはオンゲート信号GP2Cが与えられる。このように直流短絡保護回路を構成したので、一斉点弧動作において各相の一斉点弧タイミングのばらつきを抑制できて、各相の直流短絡電流の分流がよくなる効果があり、信頼性の高いものが得られる。
【0089】
なお、上記図13では交流側電流Iacの極性判別手段として保護処理モードの選択基準となる交流側電流の基準値βを使用したもので示したが、別に交流側電流の瞬時値の零レベルを基準値として極性の正、負を判別するように構成したものであってもよい。
【0090】
実施の形態8.
上記実施の形態1〜7では、図1および図2に示すように自己消弧素子が平滑コンデンサ5の正極Pと負極N間に接続構成される2レベルの電力変換装置(コンバータ、インバータ)における直流短絡時の保護制御方法を述べたが、図14に示すように正極P、負極Nおよび中性極Cから成る3レベルの電力変換装置(コンバータ、インバータ)に直流短絡時の保護制御方法を適用した場合について説明する。図14の主回路構成は公知の3レベルの電力変換装置(コンバータ、インバータ)の代表の1相分について示しており、5P、5Nは平滑コンデンサであって、直列接続されて正極P、負極Nおよび中性極(中点)Cを有する。GC1〜GC4は第1〜4の自己消弧素子であって、この正極Pと負極N間にP側およびN側のアノードリアクトル4Pおよび4Nを介して直列接続され、この自己消弧素子GC2とGC3の中点から交流側端子ACを得ている。DF1〜DF4は第1〜4の還流ダイオードであって、それぞれこの自己消弧素子 GC1〜GC4に逆並列に接続されている。DC1、DC2は第5、第6のダイオードとしての第1、第2の結合ダイオード(クランプダイオードと呼ばれる場合もある)であって、それぞれ上記自己消弧素子GC1とGC2の中間接続点と上記中性極C間および上記自己消弧素子GC3とGC4の中間接続点と上記中性極C間に接続される。8P、8C、8Nは直流電流検出器であって、それぞれ図に示すP側、C側、N側の直流電流Ip、Ic,Inを検出する。ここでこの直流電流Ip、Ic,Inの極性を図示方向を正と定義する。
【0091】
10A(11A)は3レベル電力変換装置のコンバータ(インバータ)の代表1相分のゲートパルス発生器であって、上記自己消弧素子 GC1〜GC4へのゲートパルス信号GP1〜GP4を発生する。13D、14B、15Bはそれぞれ電流レベル判別回路、故障判別回路、保護処理回路であって、上記実施形態1〜7と同様に直流短絡保護回路を構成する。この電流レベル判別回路13Dにおいて、入力にはC側の直流電流検出信号Icが付加され、このIcの両極性電流に対して比較器133Eとそれに続くNOT回路134Eから負極性の第1レベルの過電流信号IC−OC1を、また比較器133Fから正極性の第1レベルの過電流信号IC+OC1をLレベルで出力する。
【0092】
故障判別回路14B(詳細は図15に示す)において、入力にはこの電流レベル判別回路13Dの出力信号である各種の電流レベルの判別信号、保護処理回路15Bからのゲートパルス信号GP1A〜GP4A、上記自己消弧素子 GC1〜GC4のゲート駆動回路GD1〜GD4からの素子故障信号GD1FO〜GD4FOが与えられ、出力からは故障信号FO、ゲートオフ信号B1〜B4、B12、B34、一斉点弧信号CPO、CNOを発生する。保護処理回路15B(詳細は図16に示す)は、上記故障判別回路14Bからのゲートフリーズ指令(FO)、ゲートオフ指令、一斉点弧指令(CPO、CNO)に基づき、短絡保護処理を実行した出力信号をゲート駆動回路GD1〜GD4にゲートパルス信号として与える。
【0093】
次に、動作について説明する。まず、正常時の各部の動作について説明する。図15の故障判別回路14Bにおいて、故障信号FOおよび正極側(GC1、GC2、GC3)一斉点弧信号CPO、負極側(GC2、GC3、GC4)一斉点弧信号CNOは共にHレベルであり、AND回路147の出力はHレベルで各保持A回路は保持動作をしない、更に、図16の保護処理回路15Bにおいて、NOT回路154Pおよび154Nの出力はLレベルであるからフリップフロップ回路155Pおよび155Nの出力とそれに続くOR回路15B9の出力はLレベルであって、AND回路156A、156B、156C、156Dの出力もLレベルである。またOR回路158Pおよび158Nの出力はHレベルである。一方ゲートオフ信号B1〜B4およびB12、B34も正常時にはHレベルである。したがってこのような論理回路の状態である場合にGP1〜GP4のパルス状態はそのまま、保持A回路151A〜151D、AND回路152A〜152Dを介してOR回路157A〜Dへ伝達されてGD1〜4へ与えられる。
【0094】
次に、故障時の動作について説明する。上記図1および図2に示す2レベルの電力変換装置では直流短絡は平滑コンデンサ5から成る直流電源の正極Pと負極N間の構成素子の経路で生じるのに対して、図14に示す3レベルの電力変換装置では直流短絡はP、C間、C、N間、P、N間の3ケースの経路で生じる。表の形で示す図17は、各自己消弧素子 GC1〜GC4および各ダイオードDF1〜DF4、DC1、DC2の故障モードを分析した結果と短絡保護動作を整理したものである。
【0095】
また、図18は、図17の各故障ケース1〜16が発生し得るタイミングを示すタイミングチャートである。ケース1、4、7、12はTd期間中に自己消弧素子の故障が検出された場合であり、2レベルの場合(図3のケース1,4に相当)と同様に、当該相はゲートフリーズ(GF)して健全な他相をゲートオフ(OFF)する保護処理モードAに相当する。
すなわち、ケース1は自己消弧素子GC1がオン状態からオフへ移行するTd期間中に、自己消弧素子GC1自身の故障がゲート駆動回路GD1で検出された場合であり、Td後にGC3にオンゲート信号が与えられる前に保護処理モードAで保護してP、C間の短絡を予防する。
ケース4は自己消弧素子GC4がオン状態からオフへ移行するTd期間中に、自己消弧素子GC4自身の故障がゲート駆動回路GD4で検出された場合であり、Td後にGC2にオンゲート信号が与えられる前に保護処理モードAで保護してC、N間の短絡を予防する。
【0096】
ケース7は自己消弧素子GC2がオン状態からオフへ移行するTd期間中に、自己消弧素子GC2自身の故障がゲート駆動回路GD2で検出された場合であり、Td後にGC4にオンゲート信号が与えられる前に保護処理モードAで保護してC、N間の短絡を予防する。
ケース12は自己消弧素子GC3がオン状態からオフへ移行するTd期間中に、自己消弧素子GC3自身の故障がゲート駆動回路GD3で検出された場合であり、Td後にGC1にオンゲート信号が与えられる前に保護処理モードAで保護してP、C間の短絡を予防する。
【0097】
続いてこのケース1、4、7、12における直流短絡保護動作を図15に示す故障判別回路14Bに基づき、説明する。ゲート駆動回路GD1〜4から素子故障信号GD1FO、GD2FO、GD3FO、GD4FO(故障時はLレベル信号)が16入力構成(入力側の( )内の数字は図17のケースNoに対応させて表示している)で図示されたAND回路145に与えられると、この出力信号(故障信号)FOがLレベルになり、ゲートパルス発生器10A(11A)で他相の全自己消弧素子をゲートオフするとともにAND回路147を介して保護処理回路15B(図16)の保持A回路でゲートパルス信号を保持してゲートフリーズ動作を実行する。
【0098】
次にケース2、3、5、6はGC2およびGC3のゲートパルス信号がオンゲートの状態のときにGC1側あるいはGC4側の素子が故障してP、C間あるいはC、N間の直流短絡が発生する場合を示しており、2レベルの場合(図3のケース2,3,5,6の相当)と同様に、交流側電流Iacの選択基準値βに対する大小関係でゲートオフあるいは一斉点弧の保護処理モードを選択する。
【0099】
但し、3レベルの場合は、直流短絡は正極P−中性極C間、中性極C−負極N間および正極P−負極N間の3種類の経路が考えられ、厳密には、各経路で短絡電流が異なることになる。
しかし、現実の装置では、P−C間の電圧をEdp、C−N間の電圧をEdn、P−N間の電圧をEdpn、P−C間のインダクタンスをLp、C−N間のインダクタンスをLn、P−N間のインダクタンスをlpnとすると、
Edp≒Edn=Edpn/2
が成立し、また、アノードリアクトル4p、4nの存在を考慮すると、
Lp≒Ln≒Lpn/2
が成立する。
【0100】
従って、2レベルの場合の(6)式に準じて、3レベルの場合の選択基準値βは、実用上、以下の(10)式により設定することができる。
β=ITQRM−OC1
-toc{ Edp /Lp+ Edn /Ln+(Edp +Edn)/Lpn}/3 (10)
以下、この(10)式で求めた選択基準値βを基に、各故障ケースにおける動作を説明する。
【0101】
まず、ケース2、3ではGC1あるいはDF1が故障してP、C間の直流短絡を発生する場合であり、P側の直流電流Ipが第1レベルの過電流設定値OC1を超えたときに、ケース2のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値−βよりも小さければGC3の遮断電流が保護動作時間toc後に可制御電流値ITQRMを超えるために、P側短絡経路の自己消弧素子(GC1〜3)のみ一斉点弧(保護処理モード:CP)し、ケース3のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値−βよりも大きければ当該相のGC3および他相の全自己消弧素子をゲートオフする(保護処理モード:B3)。
【0102】
ケース5,6ではGC4あるいはDF4が故障してC、N間の直流短絡を発生する場合であり、N側の直流電流Inが第1レベルの過電流設定値OC1を超えたときに、ケース6のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値+βよりも大きければGC2の遮断電流が保護動作時間toc後に可制御電流値ITQRMを超えるために、N側短絡経路の自己消弧素子(GC2〜4)のみ一斉点弧(保護処理モード:CN)し、ケース5のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値+βよりも小さければ当該相のGC2および他相の全自己消弧素子をゲートオフする(保護処理モード:B2)。
【0103】
続いてこのケース2,3,5,6における直流短絡保護動作を図に基づき、説明する。図15の故障判別回路14Bにおいてゲートパルス信号GP2AとGP3AがHレベルであるからAND回路146Bの出力信号GP23がHレベルである。
ケース2では図14の電流判別回路13Dの出力信号IPOC1と−βLがHレベルであるから、AND回路142Aの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Aの出力がLレベルになり、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生するとともにAND回路144Pの出力からLレベルのCPO信号(P側短絡経路GC1〜GC3の一斉点弧信号)を発生する。
ケース3では図14の電流判別回路13Dの出力信号IPOC1と−βHがHレベルであるから、AND回路142Aの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Dの出力からLレベルのB3信号(GC3のゲートオフ信号)を発生するとともに、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生する。
【0104】
ケース5では図14の電流判別回路13Dの出力信号INOC1と+βLがHレベルであるから、AND回路142Dの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Iの出力からLレベルのB2信号(GC2のゲートオフ信号)を発生するとともに、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生する。ケース6では図14の電流判別回路13Dの出力信号INOC1と+βHがHレベルであるから、AND回路142Dの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Lの出力がLレベルになり、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生するとともにAND回路144Nの出力からLレベルのCNO信号(N側短絡経路GC2〜GC4の一斉点弧信号)を発生する。
【0105】
このゲートオフ信号B2、B3および一斉点弧信号CPO、CNOは図16に示す保護処理回路15Bに与えられる。図において当該相ではゲートパルス信号GP2とGP3がゲートオン状態でHレベルになっている。このとき、ゲートオフ信号B2(Lレベル)が与えられると、AND回路150Bの出力がLレベルで、それに続くAND回路152Bの出力信号GP2BもLレベルになる。また、一斉点弧信号CPO、CNOは共にHレベルであるから、フリップフロップ回路155P、155Nの出力は共にLレベルであり、それに続くAND回路156A〜156DもLレベルとなっている。従って、OR回路157BからLレベルのゲートパルス信号GP2Cがゲート駆動回路GD2へ与えられてGC2はオフ動作する。
また、ゲートオフ信号B3(Lレベル)が与えられると、同様にしてAND回路152Cの出力信号GP3BがLレベルになり、Lレベルのゲートパルス信号GP3Cがゲート駆動回路GD3へ与えられてGC3はオフ動作する。
【0106】
P側短絡経路の一斉点弧信号CPO(Lレベル)が与えられると、フリップフロップ回路155Pおよびそれに続くOR回路15B9の出力がHレベルになり、AND回路156A、156B、156Cを介してそれぞれOR回路157A、157B、157CからHレベルのゲートパルス信号GP1C、GP2C、GP3Cがゲート駆動回路GD1、GD2、GD3へ与えられてGC1〜3はオン動作する(ただし、GC2とGC3はすでにオン動作中)。
N側短絡経路の一斉点弧信号CNO(Lレベル)が与えられると、フリップフロップ回路155Nおよびそれに続くOR回路15B9の出力がHレベルになり、AND回路156B、156C、156Dを介してそれぞれOR回路157B、157C、157DからHレベルのゲートパルス信号GP2C、GP3C、GP4Cがゲート駆動回路GD2、GD3、GD4へ与えられてGC2〜4はオン動作する(ただし、GC2とGC3はすでにオン動作中)。
【0107】
次にケース8〜11はGC3とGC4のゲートパルス信号がオンゲートの状態のときにGC1側あるいはGC2側の素子が故障してP、N間あるいはC、N間の直流短絡が発生する場合を示しており、2レベルの場合(図3のケース2,3,5,6の相当)と同様に、交流側電流Iacの基準値+β(−β)に対する大小関係でゲートオフあるいは一斉点弧の保護処理モードを選択する。
【0108】
すなわち、ケース8、9ではGC2、DF2あるいはDC2が故障してC、N間の直流短絡を発生する場合であり、C側の直流電流Icが第1レベルの過電流設定値+OC1を超えたときに、ケース9のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値−βよりも小さければGC4の遮断電流が保護動作時間toc後に可制御電流値ITQRMを超えるために、N側短絡経路の自己消弧素子(GC2〜4)のみ一斉点弧(保護処理モード:CN)し、ケース8のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値−βよりも大きければ当該相のGC4および他相の全自己消弧素子をゲートオフする(保護処理モード:B4)。
【0109】
ケース10,11ではGC1あるいはDF1が先に故障すると直流電源のPN間電圧がGC2(DF2)に集中して印加されるためにこれに耐えられず、 GC2あるいはDF2が過電圧破壊してP、N間の直流短絡を発生する場合であり、P側の直流電流Ipが第1レベルの過電流設定値OC1を超えたときに、ケース10のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値−βよりも小さければGC3およびGC4の遮断電流が保護動作時間toc後に可制御電流値ITQRMを超えるために、PN間短絡経路の自己消弧素子(GC1〜4)を一斉点弧(保護処理モード:CPN)し、ケース11のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値−βよりも大きければ当該相のGC3、GC4および他相の全自己消弧素子をゲートオフする(保護処理モード:B34)。
【0110】
続いてこのケース8〜11における直流短絡保護動作を図に基づき、説明する。図15の故障判別回路14Bにおいてゲートパルス信号GP3AとGP4AがHレベルであるからAND回路146Cの出力信号GP34がHレベルである。
ケース9では図14の電流判別回路13Dの出力信号IC+OC1と−βLがHレベルであるから、AND回路142Fの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Cの出力がLレベルになり、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生するとともにAND回路144Nの出力からLレベルのCNO信号(N側短絡経路の一斉点弧信号)を発生する。
ケース8では図14の電流判別回路13Dの出力信号IC+OC1と−βHがHレベルであるから、AND回路142Fの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Fの出力からLレベルのB4信号(GC4のゲートオフ信号)を発生するとともに、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生する。
【0111】
ケース11では図14の電流判別回路13Dの出力信号IPOC1と−βHがHレベルであるから、AND回路142Bの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Eの出力からLレベルのB34信号(GC3およびGC4のゲートオフ信号)を発生するとともに、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生する。
ケース10では図14の電流判別回路13Dの出力信号IPOC1と−βLがHレベルであるから、AND回路142Bの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Bの出力がLレベルになり、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生するとともにAND回路144Pおよび144Nの出力からLレベルのCPO信号およびCNO信号を同時に発生する。
【0112】
このゲートオフ信号B34、B4および一斉点弧信号CPO、CNOは図16に示す保護処理回路15Bに与えられる。図において当該相ではケ−トパルス信号GP3とGP4がゲートオン状態でHレベルになっている。このとき、ゲートオフ信号B34(Lレベル)が与えられると、AND回路150Dの出力が先にLレベルになってそれに続くAND回路152Dの出力信号GP4BもLレベルになり、OR回路157DからLレベルのゲートパルス信号GP4Cがゲート駆動回路GD4へ与えられてGC4はオフ動作する。またオフディレイ回路15B14を介することで上記AND回路150DよりもTy時間だけ遅れてAND回路150Cの出力はLレベルになってそれに続くAND回路152Cの出力信号GP3BもLレベルになり、OR回路157CからLレベルのゲートパルス信号GP3Cがゲート駆動回路GD3へ与えられてGC3はオフ動作する。このようにGC3をGC4よりもTy時間だけ遅らせてオフさせる理由は、GC3が先にオフするとPN間の直流電圧がGC3に集中して印加されて過電圧破壊する恐れがあり、これを防止するためである。このTy時間は自己消弧素子のターンオフ時間のばらつきを考慮して設定される。
【0113】
ゲートオフ信号B4(Lレベル)が与えられると、上記と同様にして出力信号GP4BがLレベルになり、Lレベルのゲートパルス信号GP4Cがゲート駆動回路GD4へ与えられてGC4はオフ動作する。
P側およびN側短絡経路の一斉点弧信号CPOおよびCNO(Lレベル)が同時に与えられると、フリップフロップ回路155Pおよび155Nとそれに続くOR回路15B9の出力がHレベルになり、AND回路156A〜Dを介してそれぞれOR回路157A〜DからHレベルのゲートパルス信号GP1C〜GP4Cがゲート駆動回路GD1〜4へ与えられてGC1〜4はオン動作する(ただし、GC3とGC4はすでにオン動作中)。
【0114】
次にケース13〜16はGC1とGC2のゲートパルス信号がオンゲートの状態のときにGC3側あるいはGC4側の素子が故障してP、N間あるいはP、C間の直流短絡が発生する場合を示しており、2レベルの場合(図3のケース2,3,5,6の相当)と同様に、交流側電流Iacの基準値βに対する大小関係でゲートオフあるいは一斉点弧の保護処理モードを選択する。
【0115】
すなわちケース13、14ではGC3、DF3あるいはDC1が故障してP、C間の直流短絡を発生する場合であり、C側の直流電流Icが第1レベルの過電流設定値−OC1を超えたときに、ケース14のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値+βよりも大きければGC1の遮断電流が保護動作時間toc後に可制御電流値ITQRMを超えるために、P側短絡経路の自己消弧素子(GC1〜3)のみ一斉点弧(保護処理モード:CP)し、ケース13のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値+βよりも小さければ当該相のGC1および他相の全自己消弧素子をゲートオフする(保護処理モード:B1)。
【0116】
ケース15,16ではGC4あるいはDF4が先に故障すると直流電源のPN間電圧がGC3(DF3)に集中して印加されるためにこれに耐えられず、 GC3あるいはDF3が過電圧破壊してP、N間の直流短絡を発生する場合であり、N側の直流電流Inが第1レベルの過電流設定値OC1を超えたときに、ケース15のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値βよりも大きければGC1およびGC2の遮断電流が保護動作時間toc後に可制御電流値ITQRMを超えるために、PN間短絡経路の自己消弧素子(GC1〜4)を一斉点弧(保護処理モード:CPN)し、ケース16のように交流側電流Iacの瞬時値が基準値+βよりも小さければ当該相のGC1、GC2および他相の全自己消弧素子をゲートオフする(保護処理モード:B12)。
【0117】
続いてこのケース13〜16における直流短絡保護動作を図に基づき、説明する。図15の故障判別回路14Bにおいてゲートパルス信号GP1AとGP2AがHレベルであるからAND回路146Aの出力信号GP12がHレベルである。
ケース14では図14の電流判別回路13Dの出力信号IC−OC1と+βHがHレベルであるから、AND回路142Eの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Jの出力がLレベルになり、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生するとともにAND回路144Pの出力からLレベルのCPO信号(P側短絡経路の一斉点弧信号)を発生する。
ケース13では図14の電流判別回路13Dの出力信号IC−OC1と+βLがHレベルであるから、AND回路142Eの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Gの出力からLレベルのB1信号(GC1のゲートオフ信号)を発生するとともに、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生する。
【0118】
ケース16では図14の電流判別回路13Dの出力信号INOC1と+βLがHレベルであるから、AND回路142Cの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Hの出力からLレベルのB12信号(GC1およびGC2のゲートオフ信号)を発生するとともに、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生する。
ケース15では図14の電流判別回路13Dの出力信号INOC1と+βHがHレベルであるから、AND回路142Cの出力がHレベルで、それに続くNAND回路143Kの出力がLレベルになり、AND回路145の出力からLレベルのFO信号を発生するとともにAND回路144Pおよび144Nの出力からLレベルのCPO信号およびCNO信号を同時に発生する。
【0119】
このゲートオフ信号B12、B1および一斉点弧信号CPO、CNOは図16に示す保護処理回路15Bに与えられる。図において当該相ではケ−トパルス信号GP1とGP2がゲートオン状態でHレベルになっている。このとき、ゲートオフ信号B12(Lレベル)が与えられると、AND回路150Aの出力が先にLレベルになってそれに続くAND回路152Aの出力信号GP1BもLレベルになり、OR回路157AからLレベルのゲートパルス信号GP1Cがゲート駆動回路GD1へ与えられてGC1はオフ動作する。
またオフディレイ回路15B13を介して上記AND回路150AよりもTy時間だけ遅れてAND回路150Bの出力はLレベルになってそれに続くAND回路152Bの出力信号GP2BもLレベルになり、OR回路157BからLレベルのゲートパルス信号GP2Cがゲート駆動回路GD2へ与えられてGC2はオフ動作する。このようにGC2をGC1よりも遅らせてオフさせる理由は、GC2が先にオフするとPN間の直流電圧がGC2に集中して印加されて過電圧破壊する恐れがあり、これを防止するためである。
【0120】
ゲートオフ信号B1(Lレベル)が与えられると、上記と同様にして出力信号GP1BがLレベルになり、Lレベルのゲートパルス信号GP1Cがゲート駆動回路GD1へ与えられてGC1はオフ動作する。一斉点弧信号CPOおよびCNO(Lレベル)が同時に与えられると、 Hレベルのゲートパルス信号GP1C〜GP4Cがゲート駆動回路GD1〜4へ与えられてGC1〜4はオン動作するが、上記ケース10の場合と同様であるので説明を省略する。
【0121】
次に直流短絡を発生した過電流検出相から他相に一斉点弧信号CPO、CNO(Lレベル)が与えられた場合の動作を表の形で示した図19に基づいて説明する。一斉点弧信号が与えられる直前の自己消弧素子GC1〜GC4の正常な動作状態は7ケースに分類できる。その中でケース2,4,6,7はターンオフ後のTd期間中の状態を示している。
ケース1のGC1,2がオン状態にあるときに保護処理モードCPに基づき、一斉点弧信号CPOが与えられると、GC3をすぐにオンする。また保護処理モードCNに基づき、一斉点弧信号CNOが与えられると、P、N間の直流短絡を防止するためにGC1をすぐにオフして、そのTd後にGC3をオンし、続いてTx後にGC4をオンする。また保護処理モードCPNに基づき、一斉点弧信号CPOとCNOが与えられるとGC3をすぐにオンし、続いてTx後にGC4をオンする。
【0122】
次にケース2のGC1がTd中にあるときに一斉点弧信号CPOが与えられると、GC1のオフ動作完了時間Td´後にGC3をオンし、続いてTx後にGC1をオンする。また一斉点弧信号CNOが与えられるとTd´経過した後にGC3をオンし、続いてTx後にGC4をオンする。また一斉点弧信号CPOとCNOが同時に与えられると、Td´経過した後にGC3をオンし、続いてTx後にGC1とGC4をオンする。ここでGC1とGC4とをGC1に対してTx時間だけ遅れてオンさせる理由は、このケースでは仮にGC3のみ遅れてオンする場合にはGC3にP、N間の直流電圧が集中して印加されて、過電圧破壊を引き起こす可能性があるためである。Txは自己消弧素子間のターンオン時間のばらつきを考慮して設定される。なお、図19では制御回路構成の単純化のためにもGC1やGC4をオンさせるときにはGC2やGC3をオンさせるタイミングよりもTxだけ遅らせてオンするように統一している。
【0123】
次にケース3のGC2とGC3がオン中に一斉点弧信号CPOが与えられると、GC1をTx時間経過後にオンする。また一斉点弧信号CNOが与えられるとGC4をTx時間経過後にオンする。また一斉点弧信号CPOとCNOが同時に与えられると、GC1とGC4をTx時間経過後にオンする。
【0124】
次にケース4のGC2がTd中にあるときに一斉点弧信号CPOが与えられると、GC1のオフ動作完了時間Td´後にGC2をオンし、続いてTx後にGC1をオンする。また一斉点弧信号CNOが与えられるとTd´経過した後にGC2をオンし、続いてTx後にGC4をオンする。また一斉点弧信号CPOとCNOが同時に与えられると、Td´経過した後にGC2をオンし、続いてTx後にGC1とGC4をオンする。
【0125】
次にケース5のGC3、4がオン中に一斉点弧信号CPOが与えられると、まずGC4をオフさせてP、N間直流短絡を防止し、Td後にGC2をオンし、続いてTx後にGC1をオンする。このようにこのケースでは上記ケース1と、自己消弧素子GC1,2のグル−プとGC3,4のグル−プに対して対称な一斉点弧動作を行う。
【0126】
次にケース6はGC4がTd中である場合、ケース7はGC3がTd中である場合であり、Td後のゲートパルス信号の状態がそれぞれケース4、ケース2と同一になるために一斉点弧時の動作も同一になる。
【0127】
図19の一斉点弧時の制御を図16の保護処理回路15Bで実行している。まず、過電流検出相から一斉点弧信号CPO、CNOが与えられると、故障判別回路14BのAND回路147を介して保持A回路151A〜Dはゲートパルス信号GP1〜4を保持する。図19のケース1の場合にはGP1とGP2がHレベルであり、Lレベルの一斉点弧信号CPOが与えられるとフリップフロップ回路155Pとそれに続くOR回路15B9を介してGC3へのゲートパルス信号GP3CがHレベルになり、GC3をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CNOが与えられるとOR回路158Pの出力はLレベルになり、それに続くAND回路159Pにより、GC1へのゲートパルス信号GP1CがLレベルになり、GC1をオフする。このAND回路159PがHからLレベルになるとAND回路15B3を介してパルス発生器15B5はTd時間幅のLレベルのパルスを発生する。このTd時間を経過後にこのパルス発生器15B5の出力がHレベルに復帰するとフリップフロップ回路155Nとそれに続くOR回路15B9を介してGC3へのゲートパルス信号GP3CがHレベルになり、GC3をオンする。一方、フリップフロップ回路155Nの出力はAND回路156Dとそれに続くオンディレイ回路15B12を介してTx時間後にはGC4へのゲートパルス信号GP4CがHレベルになり、GC4をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CPOとCNOが与えられるとフリップフロップ回路155Pおよび155Nとそれに続くOR回路15B9を介してGP3CをHレベルにするとともにTx後にはGP4CをHレベルにしてGC3およびGC4をオンする。
【0128】
次に図19のケース2の場合にはGP2のみHレベルであり、また一斉点弧信号が発生する直前にゲートパルス信号GP1(GP1B)がHからLレベルに反転してGC1をターンオフした状態にある。このときパルス発生器153AはTd´時間幅のLレベルのパルスを発生してAND回路156A、156C、156Dの出力をLレベルにする。
このような回路状態のときにLレベルの一斉点弧信号CPOが与えられるとフリップフロップ回路155Pとそれに続くOR回路15B9はHレベルになるが、Td´時間後にパルス発生器153Aの出力がHレベルに復帰した時点でGP3CをHレベルにするとともにTx後にはGP1CをHレベルにしてGC1およびGC3をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CNOが与えられるとフリップフロップ回路155Nとそれに続くOR回路15B9はHレベルになるが、Td´時間後にパルス発生器153Aの出力がHレベルに復帰した時点でGP3CをHレベルにするとともにTx後にはGP4CをHレベルにしてGC3およびGC4をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CPOとCNOが与えられるとフリップフロップ回路155Pおよび155Nとそれに続くOR回路15B9はHレベルになるが、Td´時間後にパルス発生器153Aの出力がHレベルに復帰した時点でGP3CをHレベルにするとともにTx後にはGP1CおよびGP4CをHレベルにしてGC1、GC3、GC4をオンする。
【0129】
次に図19のケース3の場合にはゲートパルス信号GP2(GP2B)とGP3(GP3B)がHレベルの状態であり、Lレベルの一斉点弧信号CPOが与えられるとフリップフロップ回路155Pとそれに続くAND回路156Aを介してTx後にゲートパルス信号GP1CがHレベルになり、GC1をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CNOが与えられるとフリップフロップ回路155Nとそれに続くAND回路156Dを介してTx後にゲートパルス信号GP4CがHレベルになり、GC4をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CPOとCNOが与えられるとフリップフロップ回路155Pおよび155Nの出力がレベルになり、それに続くAND回路156Aおよび156Dを介してTx後にゲートパルス信号GP1CおよびGP4CをHレベルにしてGC1およびGC4をオンする。
【0130】
次に図19のケース4の場合にはGP3のみHレベルであり、また一斉点弧信号が発生する直前にゲートパルス信号GP2(GP2B)がHからLレベルに反転してGC2をターンオフした状態にある。このときパルス発生器153BはTd´時間幅のLレベルのパルスを発生してAND回路156A、156B、156Dの出力をLレベルにする。
このような回路状態のときにLレベルの一斉点弧信号CPOが与えられるとフリップフロップ回路155Pとそれに続くOR回路15B9はHレベルになるが、Td´時間後にパルス発生器153Bの出力がHレベルに復帰した時点でGP2CをHレベルにするとともにTx後にはGP1CをHレベルにしてGC1およびGC3をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CNOが与えられるとフリップフロップ回路155Nとそれに続くOR回路15B9はHレベルになるが、 Td´時間後にパルス発生器153Bの出力がHレベルに復帰した時点でGP2CをHレベルにするとともにTx後にはGP4CをHレベルにしてGC2およびGC4をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CPOとCNOが与えられるとフリップフロップ回路155Pおよび155Nとそれに続くOR回路15B9はHレベルになるが、Td´時間後にパルス発生器153Bの出力がHレベルに復帰した時点でGP2CをHレベルにするとともにTx後にはGP1CおよびGP4CをHレベルにしてGC1、GC3、GC4をオンする。
【0131】
次に図19のケース5の場合にはGP3とGP4がHレベルであり、Lレベルの一斉点弧信号CPOが与えられるとOR回路158Nの出力はLレベルになり、それに続くAND回路159Nにより、GC4へのゲートパルス信号GP4CがLレベルになり、GC4をオフする。このAND回路159NがHからLレベルになるとAND回路15B4を介してパルス発生器15B6はTd時間幅のLレベルのパルスを発生する。Td時間を経過後にこのパルス発生器15B6の出力がHレベルに復帰するとフリップフロップ回路155Pとそれに続くOR回路15B9を介してゲートパルス信号GP2CをHレベルにするとともにTx時間後にはゲートパルス信号GP1CをHレベルにしてGC1、GC2をオンする。
またLレベルの一斉点弧信号CNOが与えられるとフリップフロップ回路155Nとそれに続くOR回路15B9を介してGC2へのゲートパルス信号GP2CがHレベルになり、GC2をオンする。
またLレベルの一斉点弧CPOとCNOが与えられるとフリップフロップ回路155Pおよび155Nとそれに続くOR回路15B9を介してGP2CをHレベルにするとともにTx後にはGP1CをHレベルにしてGC1およびGC2をオンする。
【0132】
次に図19のケース6の場合にはGC3のみオン状態で、GC4はTd期間中であるから、パルス発生器153Dの出力からTd´時間幅のLレベルのパルスを発生しており、それに続くAND回路156A、156B、156Dの出力は上記ケース4の場合と同様に、Td´期間中、Lレベルを維持する。従って一斉点弧信号CPO、CNOが与えられた場合の動作は上記ケース4の場合と同様である。
【0133】
次に図19のケース7の場合にはGC2のみオン状態で、GC3はTd期間中であるから、パルス発生器153Cの出力からTd´時間幅のLレベルのパルスを発生しており、それに続くAND回路156A、156C、156Dの出力は上記ケース2の場合と同様に、Td´期間中、Lレベルを維持する。従って一斉点弧信号CPO、CNOが与えられた場合の動作は上記ケース2の場合と同様である。
【0134】
以上のように3レベルの主回路構成でなる電力変換装置において、自己消弧素子へのゲートパルス信号の状態、各相の直流電流のレベル、交流出力電流のレベルおよび自己消弧素子自身の故障信号からなる直流短絡の発生の予測手段もしくは直流短絡電流の立ち上がり初期時点における早期直流短絡検出手段により故障素子を特定し、適切な保護手段を選択して健全素子を保護するようにしたので、上記実施の形態1と同様な効果を奏するものが得られる。
【0135】
実施の形態9.
なお、上記実施の形態8では、交流電流検出器9とP、C、N側の直流電流検出器8P、8C、8Nを設けて各電流Iac、Ip、Ic,Inの電流判別を行うものを述べたが、この4個所の電流検出器の内、1個所の検出器を省略したものであってもよい。すなわち、上記4個所の電流Iac、Ip、Ic,Inには、図14に図示する各電流の極性の定義に従えば、次の関係式が成り立つ。
Iac=Ip+Ic−In (11)
この(11)式から、各直流電流は次式のように展開できる。
Ip=Iac−Ic+In (12)
Ic=Iac−Ip+In (13)
In=Ip+Ic−Iac (14)
【0136】
上記(11)〜(14)式から1個所の電流検出器を省略して、残りの3個所の電流検出器から、電流検出器を省略した個所の電流を求めることが可能である。図20は例えばIcの電流検出器8Cを省略して、上記(13)式に基づき、Icを演算するものである。図の電流レベル判別回路13Eにおいて、IacとInが加算器132Aで加算され、それに続く極性反転器131Aで−(Iac+In)を出力する。この出力とIpが加算器132Bで加算され、それに続く極性反転器131BでIac−Ip+Inを出力してIcが演算される。以上のような構成により、上記実施の形態8と同様な効果を奏し、かつ安価な装置を得ることができる。
【0137】
実施の形態10.
なお、上記実施の形態8では、自己消弧素子へのゲートパルス信号の状態、各相の直流電流のレベル、交流側電流のレベルおよび自己消弧素子自身の故障信号からなる直流短絡の発生の予測手段もしくは直流短絡電流の立ち上がり初期時点における早期直流短絡検出手段により故障素子を特定し、適切な保護手段を選択して健全素子を保護するように構成したものを示したが、さらに一斉点弧保護手段を付加して素子保護の信頼性を向上させたものについて説明する。図14の主回路構成と同じ構成を示す図21において、17Pおよび17Nは電圧検出器であって、それぞれアノードリアクトル4Pおよび4Nの印加電圧からIpおよびInの第3レベルの過電流(OC3)を検出する。この電圧検出器17P、17Nは上記図9に示された電圧検出器17と同じものである。13Fは電流レベル判別回路であって、図14の電流レベル判別回路13Dに対してP側およびN側の直流電流IpおよびInの第2レベルの過電流(OC2)をそれぞれ比較器133Gおよび133Hで検出してそれぞれNOT回路134CおよびNOT回路134Dの出力からLレベルの信号を発生する。
【0138】
14Cは故障判別回路(図22)であって、図15の故障判別回路14Bに示すAND回路144P、144Nおよび145をそれぞれ、6入力のAND回路144PA、144NAおよび20入力のAND回路145Aに変更している。このAND回路144PAの入力には上記電圧検出器17Pからの第3レベルの過電流信号IPOC3と上記電流レベル判別回路13Fからの第2レベルの過電流信号IPOC2が追加されている。また上記AND回路144NAの入力には上記電圧検出器17Nからの第3レベルの過電流信号INOC3と上記電流レベル判別回路13Fからの第2レベルの過電流信号INOC2が追加されている。また上記AND回路145Aの入力には上記電圧検出器17Pおよび17Nからの第3レベルの過電流信号IPOC3およびINOC3と上記電流レベル判別回路13Fからの第2レベルの過電流信号IPOC2およびINOC2が追加されている。
【0139】
このように構成された直流短絡保護回路において、例えば上記図17のケース3(GC1が故障してP、C間の直流短絡が発生した場合にIPOC1を検出してGC3をゲートオフする。)において、仮にGC3が遮断失敗を生じた場合には自己消弧素子の可制御電流値ITQRM以上のレベルに設定された第2レベルの過電流設定値OC2にIpが達して上記電流レベル判別回路13Fからの信号IPOC2がLレベルなると、上記AND回路144PAの出力からLレベルのCPO信号を発生して保護処理モードCPに移行し、P側短絡経路のGC1〜3を一斉点弧する。
また例えば上記図17のケース5(GC4が故障してC、N間の直流短絡が発生した場合にINOC1を検出してGC2をゲートオフする。)において、仮にGC2が遮断失敗を生じた場合には自己消弧素子の可制御電流値ITQRM以上のレベルに設定された第2レベルの過電流設定値OC2にInが達して上記電流レベル判別回路13Fからの信号INOC2がLレベルなると、上記AND回路144NAの出力からLレベルのCNO信号を発生して保護処理モードCNに移行し、N側短絡経路のGC2〜4を一斉点弧する。
【0140】
さらに直流電流検出器8Pあるいは8Nの故障が重なった場合には上記第2レベルの過電流IPOC2あるいはINOC2の検出が不可能になり、一斉点弧動作が行えない。その場合には、Ipが上記電圧検出器17Pの検出レベルである第3レベルの過電流設定値IPOC3に達すると、上記AND回路144PAの出力からLレベルのCPO信号を発生して保護処理モードCPに移行し、P側短絡経路のGC1〜3を一斉点弧する。またInが上記電圧検出器17Nの検出レベルである第3レベルの過電流設定値INOC3に達すると、上記AND回路144NAの出力からLレベルのCNO信号を発生して保護処理モードCNに移行し、N側短絡経路のGC2〜4を一斉点弧する。
以上のように3レベルの電力変換装置と直流短絡保護回路を構成することにより、素子やブスバーの保護に対して信頼性の高いものが得られる。
【0141】
実施の形態11.
なお、上記実施の形態8では、交流側電流Iacの基準値+β(−β)を上記実施の形態1と同様に上記(3)および(6)式から得たものを示したが、平滑コンデンサ5Pおよび5Nの直流電圧EdpおよびEdnが定挌値で変動しないと仮定した場合に適用できる。現実にはこの直流電圧Edp、Ednは負荷変動等により変動を生じるために、上記実施の形態5の場合と同様に、交流側電流Iacの基準値+β(−β)は直流電圧Edp、Ednが最大値(Edmax)の場合を考慮して、上記(7)式に基づいて基準値βを設定したものであってもよい。このようにして基準値βを設定すれば、直流電圧Edp、Ednの変動が生じても自己消弧素子をオフさせる保護モードのときには可制御電流値ITQRM以下のレベルで確実に遮断でき、信頼性の高いものが得られる。
【0142】
また、上記実施の形態6と同様に、基準値βを直流電圧Edp、Ednに応じて調整するものであってもよい。すなわち上記(9)式を変形して、P側直流短絡経路(P、C間直流短絡ル−プ)の場合の基準値βapとN側直流短絡経路(C、N間直流短絡ル−プ)の場合の基準値βanを求めると次式になる。
βap=β+(Edpmax−Edp)×toc/L (15)
βan=β+(Ednmax−Edn)×toc/L (16)
ここで、βは直流電圧EdpおよびEdnが最大値EdpmaxおよびEdnmaxのときの基準値、EdpおよびEdnはP側およびN側直流電圧の瞬時値である。なお、Lp=Ln=Lとしている。
【0143】
この場合の制御構成を図23に基づき、説明する。図において18Pおよび18Nは直流電圧検出器であって、それぞれ平滑コンデンサ5Pおよび5Nの電圧を検出して直流電圧信号−Edpおよび−Ednを出力する。19Aは交流電流の基準値調整回路であって、この直流電圧検出器18P、18Nの出力信号−Edp、−Ednの大きさに応じて可変基準値信号βaを出力する。この基準値調整回路19Aにおいて191Pおよび191Nは加算器であって、それぞれ上記直流電圧検出器18P、18Nの出力信号−Edp、−Ednと直流電圧EdpおよびEdnの最大値に相当する信号EdpmaxおよびEdnmaxの加算演算を行う。195は最小値選択回路であって、この加算器191Pおよび191Nの出力信号(Edpmax−Edp)および(Ednmax−Edn)の内、小さい方の信号を選択して出力する。192はゲイン調整器であって、この最小値選択回路195の出力に対し、上記(15)、(16)式に基づいてゲインの調整を行い、調整信号△βを出力する。193は加算器であって、このゲイン調整器192の出力信号△βと上記(7)式に基づいて得られる直流電圧が最大時の基準値βを加算し、可変基準信号βaを出力して電流判別回路13G内の比較器133Bに与えている。194は極性反転器であって、この加算器193の出力信号βaの極性を反転し、可変基準信号−βaを出力して電流判別回路13G内の比較器133Aに与えている。
【0144】
なお、上記基準値調整回路19Aでは回路の単純化のために最小値選択回路195を設けたものを示したが、上記(15)、(16)式に基づいてβapおよびβanを演算する回路を備えて、P、C間直流短絡が検出される場合(図17においてIPOC1あるいはIC−OC1が検出された場合)には基準値としてβapを選択し、C、N間直流短絡が検出される場合(図17においてINOC1あるいはIC+OC1が検出された場合)には基準値としてβanを選択するように構成したものであってもよい。
このように基準値βを直流電圧に応じて調整するように構成したことにより、一斉点弧保護動作の機会を低減でき、信頼性の高いものが得られる。
【0145】
実施の形態12.
また、上記実施の形態8では自己消弧素子がオフした直後に一斉点弧信号CPO、CNOが発生しても上記図16の保護処理回路15B内のパルス発生器153A〜153Dとそれに続くAND回路156A〜156Dにより、自己消弧素子にゲートオフ信号が与えられてからオフ動作が完了する期間Td´を経過した後に一斉点弧動作を行うように構成したものについて述べたが、自己消弧素子にゲートオフ信号が与えられてオフ動作する際に交流側電流の極性によって、この自己消弧素子に逆並列接続された還流ダイオードを通って交流側電流が流れている場合には上記実施の形態7と同様に、すぐに一斉点弧動作を行っても構わない。
【0146】
この一斉点弧動作の延期手段を解除する方法を、図24に基づいて説明する。図において15Cは保護処理回路であって、上記図16に示す保護処理回路15B内のパルス発生器153A〜153Dの出力にそれぞれ2入力のOR回路150A〜150Dを追加し、またパルス発生器15B5および15B6の出力にそれぞれ2入力のOR回路150Nおよび150Pを追加している。このOR回路150A、150B、150Nのもう一方の入力へは上記図15に示す故障判別回路14B内の保持A回路141Aの出力信号−βLが与えられ、またこのOR回路150C、150D、150Pのもう一方の入力へは上記図15に示す故障判別回路14B内の保持A回路141Dの出力信号+βHが与えられている。
【0147】
例えば上記図19のケース2のように、GC1のオフ直後のTd期間中に一斉点弧信号CPOが発生した場合にはパルス発生器153Aの出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iacの大きさが−βよりも小さいならばDF1を通ってP側へ交流側電流が流れていると判断できる。そして、このとき上記保持A回路141Aの出力信号−βLはHレベルであるから、OR回路150Aの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号CPOに基づいてフリップフロップ回路155Pの出力がHレベルになると直ちにGC1およびGC3へはオンゲート信号GP1CおよびGP3Cが与えられる。
また上記図19のケース4のように、GC2のオフ直後のTd期間中に一斉点弧信号CPOが発生した場合にはパルス発生器153Bの出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iacの大きさが−βよりも小さいならばGC2と対のGC3を通ってC側へ交流側電流が流れていると判断できる。そして、このとき上記保持A回路141Aの出力信号−βLはHレベルであるから、OR回路150Bの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号CPOに基づいてフリップフロップ回路155Pおよびそれに続くOR回路15B9の出力がHレベルになると直ちにGC1およびGC2へはオンゲート信号GP1CおよびGP2Cが与えられる。
【0148】
また上記図19のケース6のように、GC4のオフ直後のTd期間中に一斉点弧信号CPOが発生した場合にはパルス発生器153Dの出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iacの大きさがβよりも大きいならばDF4を通ってN側から交流側電流が流れていると判断できる。そして、このとき上記保持A回路141Dの出力信号+βHはHレベルであるから、OR回路150Dの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号CPOに基づいてフリップフロップ回路155Pの出力がHレベルになるとただちにGC1およびGC2へはオンゲート信号GP1CおよびGP2Cが与えられる。
また上記図19のケース7のように、GC3のオフ直後のTd期間中に一斉点弧信号CPOが発生した場合にはパルス発生器153Cの出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iacの大きさがβよりも大きいならばGC3と対のGC2を通ってC側から交流側電流が流れていると判断できる。そして、このとき上記保持A回路141Dの出力信号+βHはHレベルであるから、OR回路150Cの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号CPOに基づいてフリップフロップ回路155Pの出力がHレベルになるとただちにGC1およびGC3へはオンゲート信号GP1CおよびGP3Cが与えられる。
【0149】
また上記図19のケース1のように、一斉点弧信号CNOが与えられてGC1をオフにしてTd後にGC3およびGC4をターンオンするような場合にはパルス発生器15B5の出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iacの大きさが−βよりも小さいならばDF1を通ってP側へ交流側電流が流れていると判断できる。そして、このとき上記保持A回路141Aの出力信号−βLはHレベルであるから、OR回路150Nの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号CNOに基づいてフリップフロップ回路155Nおよびそれに続くOR回路15B9の出力がHレベルになるとただちにGC3およびGC4へはオンゲート信号GP3CおよびGP4Cが与えられる。
また上記図19のケース5のように、一斉点弧信号CPOが与えられてGC4をオフにしてTd後にGC1およびGC2をターンオンするような場合にはパルス発生器15B6の出力からLレベルのパルスが発生しているが、交流側電流Iacの大きさがβよりも大きいならばDF4を通ってN側から交流側電流が流れていると判断できる。そして、このとき上記保持A回路141Dの出力信号+βHはHレベルであるから、OR回路150Pの出力はHレベルのままであり、一斉点弧信号CPOに基づいてフリップフロップ回路155Pの出力がHレベルになるとただちにGC1およびGC2へはオンゲート信号GP1CおよびGP2Cが与えられる。
【0150】
このように直流短絡保護回路を構成したので、一斉点弧動作において各相の一斉点弧タイミングのばらつきを抑制できて、各相の直流短絡電流の分流がよくなる効果があり、信頼性の高いものが得られる。
【0151】
なお、上記図24では交流側電流Iacの極性判別手段として保護処理モードの選択基準となる交流側電流の基準値βを使用したもので示したが、別に交流側電流の瞬時値の零レベルを基準値として極性の正、負を判別するように構成したものであってもよい。
【0152】
実施の形態13.
なお、上記実施の形態1では、2レベルの第1の電力変換器(コンバータ)と第2の電力変換器(インバータ)で構成された電力変換装置における直流短絡の保護制御方法について述べたが、各電力変換器が上記実施の形態8のような3レベルで構成されたものであってもよく、また独立した交流電源あるいは交流負荷に接続された電力変換器が共通の平滑コンデンサを介して3台以上で接続構成された電力変換装置であってもよく、各相ごとに直流短絡の保護制御手段を設けて各電力変換器の各相に対して一斉点弧信号を共通化するように構成しているために、一斉点弧信号の本数が削減できて信頼性の高い装置が得られる。
【0153】
また第1の電力変換器(コンバータ)あるいは第2の電力変換器(インバータ)の単体で構成された電力変換装置であってもよく、また第1の電力変換器(コンバータ)がダイオード整流器のみで構成されたものであってもよい。例えば交流系統に接続される無効電力補償装置などでは第1の電力変換器(コンバータ)6のみが図25のように交流系統に接続されて、無効電力の制御を行っているが、低次の高調波電流成分も補償する場合には一般に平滑コンデンサの全容量Cが増大するために、直流短絡の発生により一斉点弧を行うと、各相の短絡電流のピ−ク値Ispは、例えば3相の場合では次式のように平滑コンデンサの全容量Cに応じて増加し、健全素子まで破壊する可能性がある。
Isp=Ed√(C/3L) (17)
【0154】
このように平滑コンデンサの容量が大きい場合の直流短絡の保護制御方法について、図25に基づき、説明する。5Aおよび5Bは第1および第2の平滑コンデンサであって、この第1の平滑コンデンサ5Aは上記第1の電力変換器(コンバータ)のP、N端間に接続され、第2の平滑コンデンサ5Bはこの第1の平滑コンデンサ5Aに並列にスイッチング手段としての双方向の限流手段20を介して接続され、いわば平滑コンデンサの全容量Cを第1の平滑コンデンサ5Aと第2の平滑コンデンサ5Bに分割して構成している。
この限流手段20はダイオード201と自己消弧素子202との逆並列接続で構成される。第1の電力変換器6のいずれかの相で直流短絡が発生して全相の一斉点弧を行う場合に、故障相からの一斉点弧信号COにより、上記限流手段20の自己消弧素子202をただちにオフして第2の平滑コンデンサ5Bからの放電を阻止する。この場合の各相の短絡電流のピ−ク値Ispは、上記(17)式から平滑コンデンサの全容量Cが適当な容量に分割された第1の平滑コンデンサ5Aのみになるために低減されて、健全素子を確実に保護できる装置が得られる。
【0155】
なお、図25では単独の電力変換器で構成されたのもについて述べたが、上記第1の平滑コンデンサ5Aに複数台の電力変換器が接続された電力変換装置であってもよく、共通に構成された一斉点弧信号により、上記限流手段20の自己消弧素子202をオフする。
また上記限流手段20では上記自己消弧素子202に直列にアノードリアクトルあるいは抵抗器などの限流器203あるいは限流器204を接続して、この自己消弧素子202に流れる電流を制限するように構成したものであってもよく、この場合にはこの自己消弧素子202の信頼性を向上できる。なお、上記限流手段20ではダイオード201と自己消弧素子202を一体化した逆導通型の自己消弧素子を使用してもよく、また図25では上記第1の電力変換器6を2レベルの電力変換器で構成したものを示したが、その他の3レベルで構成された電力変換器であってもよく、上記限流手段20および平滑コンデンサ5BをP、N側の両側に設け、一斉点弧信号CPO、CNOに応じて各限流手段内の自己消弧素子をオフすることにより、健全素子を確実に保護できる装置が得られる。
【0156】
実施の形態14.
また、上記実施の形態13では第1の電力変換器(コンバータ)あるいは第2の電力変換器(インバータ)が単独で構成された電力変換装置における直流短絡の保護制御方法について述べたが、図26に示すように多重電力変換器で構成された電力変換装置に適用した場合について説明する。図において、21Aおよび21Bは1次側が互いに直列接続されて交流電源に接続された変圧器、6Aおよび6Bは電力変換器であって、この変圧器21Aおよび21Bの2次側に接続される。5A1および5A2は第1の平滑コンデンサであって、それぞれこの電力変換器6Aおよび6BのP、N間に接続される。20Aおよび20Bは限流手段であって、それぞれこの第1の平滑コンデンサ5A1および5A2の中間接続点P´間に設けられる。
12Aおよび12Bはそれぞれ上記電力変換器6Aおよび6Bの直流短絡保護回路であって、一斉点弧信号COAおよびCOBをこの限流手段20Aおよび20Bに与えるように構成している。
【0157】
例えば上記電力変換器6Aで直流短絡が発生した場合には直流短絡保護回路12Aから一斉点弧信号COAが上記限流手段20Aに与えられ、第1の平滑コンデンサ5A2からの放電が阻止される。このとき、健全な上記電力変換器6Bは一斉点弧する必要はなく、ゲートオフしてもよい。この場合には上記変圧器21Aのみ2次側が短絡されたことになるために、一斉点弧した上記電力変換器6Aへの交流電源側からの流入電流が抑制できる効果がある。なお、第2の平滑コンデンサ5Bが上記限流手段20Aおよび20Bの中間接続点P´に設けられてあってもよく、この放電を阻止できる。
また図25では上記多重電力変換器6Aおよび6Bを2レベルの電力変換器で構成したものを示したが、その他の3レベルで構成された電力変換器であってもよく、上記限流手段20A、20Bおよび平滑コンデンサ5BをP、N側の両側に設け、一斉点弧信号CPO、CNOに対応した側の限流手段内の自己消弧素子をオフする(例えば直流短絡保護回路12Aから一斉点弧信号CPOが発生した場合にはP側に接続された限流手段をオフする。)ことにより、健全素子を確実に保護できる装置が得られる。このように直流短絡の保護手段を構成することにより、多重電力変換器の健全素子を確実に保護できる装置が得られる。
【0158】
実施の形態15.
また、上記実施の形態13では第1の電力変換器(コンバータ)あるいは第2の電力変換器(インバータ)の単独で構成された電力変換装置における直流短絡の保護制御方法について述べたが、図27に示すように並列接続の電力変換器で構成された電力変換装置に適用した場合について説明する。図において、6Aおよび6Bは上記図1に示すような第1の電力変換器(コンバータ)であって、それぞれ交流リアクトル1XAおよび1XBを介して共通の交流電源側に接続され、また直流側のP、N端子は共通に接続されて並列運転を行う。
【0159】
22は交流電流の最大値選択回路であって、この両変換器6Aおよび6Bの各相毎の交流側電流の検出信号IacaおよびIacbの瞬時値を比較して大きい方を選択し、各相の選択された交流側電流の出力信号Iacを図2に示すように構成された直流短絡保護回路12へ与える。また23は直流電流の最大値選択回路であって、上記変換器6Aおよび6Bの各相毎の直流電流の検出信号IpaおよびIpbの瞬時値を比較して大きい方を選択し、各相の選択された直流電流の出力信号Ipを直流短絡保護回路12へ与える。また24はAND回路であって、上記変換器6Aおよび6Bのゲート駆動回路からのLレベルの素子故障信号GDFOaおよびGDFObのAND演算を行い、その出力を直流短絡保護回路12に与える。
25は交流電流バランス制御回路であって、電力変換器からのゲートパルス信号GPCと上記両変換器6Aおよび6Bの交流側電流の検出信号IacaおよびIacbとから各交流側電流のバランス制御を行い、ゲートパルスのオンあるいはオフのタイミングが調整されたゲートパルス信号GPDaおよびGPDbを上記変換器6Aおよび6Bのゲート駆動回路へ与える。
【0160】
例えば上記変換器6Aで直流短絡が発生すると、この変換器6AのP側の直流電流が増加するために上記直流電流の最大値選択回路23出力信号IpにはIpaが選択される。上記直流短絡保護回路12では電流レベルの判別を行い、故障モードを特定して保護処理されたゲートパルス信号GPCを発生し、上記交流電流バランス制御回路25を介して上記変換器6Aおよび6Bのゲート駆動回路へ同時に与える。このように上記変換器6Aおよび6Bに対して共通に設けられた上記直流短絡保護回路12により、上記変換器6Aおよび6Bの直流短絡保護を行うように構成したので、回路が単純化でき、信頼性の高いものが得られる。
【0161】
なお、図27では2レベルの電力変換器を2台並列接続したものについて示したが、2台以上の複数台が並列接続されて構成されたものであってもよく、この場合には最大値選択回路22、23、AND回路24、交流電流バランス回路25の入力へは各電力変換器からの交流電流検出信号、直流電流検出信号、素子故障信号が与えられる。また3レベルの電力変換器で構成されたものであってもよく、例えば2台並列接続された電力変換器ではN側の直流電流検出器からの出力信号InaとInbの最大値選択回路を追加して設け、その出力信号を直流短絡保護回路12に与えるように構成することにより、2レベルの電力変換器と同様な効果を奏する。
【0162】
実施の形態16.
また、上記実施の形態13では第1の電力変換器(コンバータ)あるいは第2の電力変換器(インバータ)が単独で構成された電力変換装置における直流短絡の保護方法について述べたが、図28に示すように第1の電力変換器(コンバータ)6に対して複数台の第2の電力変換器(インバータ)7A1,7A2がそれぞれ限流手段20A1、20A2を介して直流端子P´、N間に接続されて構成された電力変換装置に適用した場合について説明する。26A1、26A2はそれぞれ上記電力変換器7A1,7A2の交流側に接続された負荷あるいは独立した交流電源であり、また5A1、5A2はそれぞれ上記電力変換器7A1,7A2の直流端子間に接続された平滑コンデンサである。
【0163】
例えば上記電力変換器7A1が故障して直流短絡が発生した場合には直流短絡保護回路12A1により、上記電力変換器7A1の保護処理が行われるとともに一斉点弧信号COA1が上記限流手段20A1内の自己消弧素子に与えられてオフされる。その結果、健全な電力変換器6および7A2で運転を継続できる。また、上記電力変換器6が故障して直流短絡が発生した場合には直流短絡保護回路12により、上記電力変換器6の保護処理が行われるとともに一斉点弧信号COが上記限流手段20内の自己消弧素子に与えられてオフされる。この場合には上記電力変換器7A1,7A2で運転を継続できる。
なお、図28では第1の電力変換器(コンバータ)6を1台で構成したものを示したが、第2の電力変換器(インバータ)7A1,7A2のように複数台で構成されてあってもよく、この場合には健全な第1の電力変換器(コンバータ)6の運転を継続できる。また直流端子P´、N間に平滑コンデンサ5bが接続されてあってもよい。また各電力変換器を3レベルの電力変換器で構成されたものであってもよく、上記限流手段20、20A1、20A2および平滑コンデンサ5、5A1、5A2をP、N側の両側に設け、一斉点弧信号CPO、CNOに対応した側の限流手段内の自己消弧素子をオフすることにより、健全素子を確実に保護できる装置が得られる。同様な効果を奏する。
【0164】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1に係る電力変換装置の保護制御方法は、相毎に複数の自己消弧素子およびダイオード、更に上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、交流/直流間の電力変換を行う電力変換装置の保護制御方法であって、
交流側電流を検出する交流電流検出手段、および直流側電流を検出する直流電流検出手段を備え、
上記直流側電流が所定の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点における上記各自己消弧素子に流れる電流を予測し、当該過電流検出相および他相の自己消弧素子を故障規模に応じて適切に保護するため、上記電流予測情報に応じて上記各自己消弧素子の保護処理内容を予め設定された複数の保護処理モードの中から選択するようにしたので、一律の保護でなく、故障規模に応じた保護処理モードを選択することにより電力変換装置に与えるダメージが少なく信頼性が高まる。
【0165】
また、請求項2に係る電力変換装置の保護制御装置は、相毎に複数の自己消弧素子およびダイオード、更に上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、交流/直流間の電力変換を行う電力変換装置の保護制御装置であって、
交流側電流を検出する交流電流検出手段、直流側電流を検出する直流電流検出手段、上記直流側電流が所定の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記各自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子をオフまたはゲートフリーズ(そのときのゲート状態を強制的に継続させる)させ他相の自己消弧素子を一斉オフさせ、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子をオンまたはゲートフリーズさせ他相の自己消弧素子を一斉オンさせる保護処理回路を備えたので、電力変換装置に与える影響が大きい、自己消弧素子の一斉オンによる保護処理の機会が減少し、装置の信頼性が向上する。
【0166】
また、請求項3に係る保護制御装置は、直流側の両端子間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え上記両アームの接続点を交流側端子に接続する2レベルの電力変換装置の保護制御装置であって、
上記交流側端子に流れる電流を検出する交流電流検出手段、上記両アームに流れる電流を検出する直流電流検出手段、上記両アームのいずれかに流れる電流が上記ダイオードの逆回復電流よりも大きな値に設定された所定の第1レベルの過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の両自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記両自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものはオフ、ゲートオフパルス入力中のものはゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1の保護処理モードを、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の両自己消弧素子をオンさせ他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の保護処理モードを実行する保護処理回路を備えたので、故障の規模を確実に予測して適切な保護処理が実現し、自己消弧素子の一斉オンによる保護処理の機会が確実に減少し、2レベルの電力変換装置の信頼性が向上する。
【0167】
また、請求項4に係る保護制御装置は、可制御電流値をITQRM、第1レベルの過電流設定値をOC1、直流側端子間の電圧をEd、保護動作に必要な所定時間をtoc、直流側端子からみた故障経路のインダクタンスをLとしたとき下式で得られる選択基準値βを設定するとともに、交流側電流Iacの極性を両アームの接続点から交流側端子に流出する方向を正と定義した場合、保護処理回路は、
負極側自己消弧素子がゲートオンパルス入力中に正極側アームの電流が過電流に達したとき、Iac≧−βが成立すると第1の保護処理モード、Iac<−βが成立すると第2の保護処理モードを実行し、
正極側自己消弧素子がゲートオンパルス入力中に負極側アームの電流が過電流に達したとき、Iac≦+βが成立すると第1の保護処理モード、Iac>+βが成立すると第2の保護処理モードを実行するので、保護処理モードの選択がより確実になされる。
β=ITQRM−OC1−Ed×toc/L
【0168】
また、請求項5に係る保護制御装置は、直流側端子間の電圧Edとして、想定されるその最大値Edmaxを採用して選択基準値βを設定するようにしたので、過電流発生の予測が安全サイドのなされる。
【0169】
また、請求項6に係る保護制御装置は、直流側端子間の電圧Edを検出する直流電圧検出器を備え、この直流電圧検出器の出力EdLを採用して選択基準値βを設定するようにしたので、過電流発生の予測精度が向上し、保護処理の選択がより適切になされる。
【0170】
また、請求項7に係る保護制御装置は、自己消弧素子を駆動するゲート駆動回路の出力から上記自己消弧素子の故障を検出する素子故障検出手段を備え、正極側および負極側自己消弧素子が共にオフ動作中に上記故障を検出したとき、当該故障検出相の両自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせるようにしたので、直流側端子間短絡を伴わない自己消弧素子の故障時にも確実な保護処理がなされる。
【0171】
また、請求項8に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と両アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器および直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器を備えたので、必要な各部の電流検出が確実になされる。
【0172】
また、請求項9に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と両アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器または直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器のいずれか一方を備え、いずれか他方の直流電流は上記いずれか一方の直流電流検出器と上記交流電流検出器との出力から演算により求めるようにしたので、直流電流検出器の必要台数を減じてコストの低減が実現する。
【0173】
また、請求項10に係る保護制御装置は、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器および直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器を備え、交流側電流は上記両直流電流検出器の出力から演算により求めるようにしたので、交流電流検出器が不要であり、コストの低減が実現する。
【0174】
また、請求項11に係る保護制御装置は、第1レベルの過電流設定値より高い所定の第2レベルの過電流設定値を設定し、直流電流検出手段の出力が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたので、保護処理として動作した自己消弧素子が遮断失敗したときのバックアップ保護がなされるので、保護動作の信頼性が向上する。
【0175】
また、請求項12に係る保護制御装置は、直流電流検出手段を第2の直流電流検出手段を含む2重系で構成するとともに第2レベルの過電流設定値より高い所定の第3レベルの過電流設定値を設定し、上記第2の直流電流検出手段の出力が上記第3レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたので、直流電流検出器自体の故障発生時のバックアップ保護がなされるので、保護動作の信頼性が向上する。
【0176】
また、請求項13に係る保護制御装置は、過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合、当該他相の自己消弧素子の内、短絡防止期間Tdでオン動作からオフ動作に移行中のものは、上記期間Td開始から上記オフ動作が完了するのに要する所定の時間Td´迄、当該自己消弧素子をオフからオンにする信号の供給を禁止する手段を備えたので、自己消弧素子に無理なオン動作を強制することがなく、信頼性が向上する。
【0177】
また、請求項14に係る保護制御装置は、請求項13において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても同アーム内のダイオードが通電中のときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたので、自己消弧素子に無理な動作を強いることなく一斉オンのタイミングのばらつきが抑制され、電流分担特性が改善される。
【0178】
また、請求項15に係る保護制御装置は、請求項13において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたので、オン信号供給禁止/解除の判断が簡便になされる。
Iac<−β または Iac>+β
【0179】
また、請求項16に係る保護制御装置は、正極、中性極および負極を有する直流側の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、上記第2、第3のアームの接続点を交流側端子に接続する3レベルの電力変換装置の保護制御装置であって、
上記交流側端子に流れる電流を検出する交流電流検出手段、上記第1のアームに流れる正極側の直流電流、第4のアームに流れる負極側の直流電流および上記第5、第6のダイオードの接続点と上記中性極との間に流れる中性極側の直流電流を検出する直流電流検出手段、この直流電流検出手段が検出する直流側電流のいずれかが上記ダイオードの逆回復電流よりも大きな値に設定された所定の第1の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記各自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものは故障短絡経路にある少なくとも1個をオフその他をゲートフリーズ、ゲートオフパルス入力中のものはゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1の保護処理モードを、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものはオン、ゲートオフパルス入力中のものは故障短絡経路にあるものをオンその他をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の保護処理モードを実行する保護処理回路を備えたので、故障の規模を確実に予測して適切な保護処理が実現し、自己消弧素子の一斉オンによる保護処理の機会が確実に減少し、3レベルの電力変換装置の信頼性が向上する。
【0180】
また、請求項17に係る保護制御装置は、可制御電流値をITQRM、第1レベルの過電流設定値をOC1、直流側の正極−中性極間および中性極−負極間の電圧をそれぞれEdpおよびEdn、保護動作に必要な所定時間をtoc、および直流側の上記各極間からみた故障経路のインダクタンスをそれぞれLp、Ln、Lpnとしたとき下式で得られる選択基準値βを設定するとともに、交流側電流Iacの極性を第2、第3のアームの接続点から交流側端子に流出する方向を正と定義した場合、保護処理回路は、
第2、第3の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に正極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第3の自己消弧素子をオフ、第1、第2、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−3の保護処理モード(B3)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3の自己消弧素子をオン、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正極側保護処理モード(CP)を実行し、
上記第2、第3の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に負極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第2の自己消弧素子をオフ、第1、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−2の保護処理モード(B2)、
Iac>+βが成立すると、当該過電流検出相の第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、第1の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の負極側保護処理モード(CN)を実行し、
上記第3、第4の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第2の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に中性極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第4の自己消弧素子をオフ、第1、第2、第3の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−4の保護処理モード(B4)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、第1の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の負極側保護処理モード(CN)を実行し、
上記第3、第4の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第2の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に正極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第3、第4の自己消弧素子をオフ、第1、第2の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−34の保護処理モード(B34)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正負両極側保護処理モード(CPN)を実行し、
上記第1、第2の自己消弧素子がゲートオンパルス、第3、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に中性極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第1の自己消弧素子をオフ、第2、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−1の保護処理モード(B1)、
Iac>+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3の自己消弧素子をオン、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正極側保護処理モード(CP)を実行し、
上記第1、第2の自己消弧素子がゲートオンパルス、第3、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に負極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2の自己消弧素子をオフ、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−12の保護処理モード(B12)、
Iac≧+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正負両極側保護処理モード(CPN)を実行するので、保護処理のモードの選択がより確実になされる。
β=ITQRM−OC1
−toc{Edp/Lp+Edn/Ln+(Edp+Edn)/Lpn}/3
【0181】
また、請求項18に係る保護制御装置は、第1−12の保護処理モード(B12)で過電流検出相の第1、第2の自己消弧素子をオフさせる場合、上記第2の自己消弧素子をオフさせるタイミングを第1の自己消弧素子をオフさせるタイミングより、自己消弧素子のターンオフ時間のばらつきを考慮して設定された所定の時間Ty遅らせ、第1−34の保護処理モード(B34)で過電流検出相の第3、第4の自己消弧素子をオフさせる場合、上記第3の自己消弧素子をオフさせるタイミングを第4の自己消弧素子をオフさせるタイミングより、上記所定の時間Ty遅らせるようにしたので、自己消弧素子のターンオフ時間のばらつきに伴う直流PN間短絡が確実に防止され、信頼性が向上する。
【0182】
また、請求項19に係る保護制御装置は、直流側の正極と中性極との間の電圧Edpおよび中性極と負極との間の電圧Ednとして、想定されるその最大値Edmaxを採用して選択基準値βを設定するようにしたので、過電流発生の予測が安全サイドになされる。
【0183】
また、請求項20に係る保護制御装置は、直流側の正極と中性極との間の電圧Edpおよび中性極と負極との間の電圧Ednを検出する直流電圧検出器を備え、この直流電圧検出器の出力EdpまたはEdnのいずれか大きい方を選択し、当該選択した検出電圧を採用して選択基準値βを設定するようにしたので、過電流発生の予測精度が向上し、保護処理の選択がより適切になされる。
【0184】
また、請求項21に係る保護制御装置は、自己消弧素子を駆動するゲート駆動回路の出力から上記自己消弧素子の故障を検出する素子故障検出手段を備え、各相4個の自己消弧素子の内1個がオン他の3個がオフ動作中に上記故障を検出したとき、当該故障検出相の全自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせるようにしたので、直流側端子間短絡を伴わない自己消弧素子の故障時にも確実な保護処理がなされる。
【0185】
また、請求項22に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と第2、第3アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器を備えたので、必要な各部の電流検出が確実になされる。
【0186】
また、請求項23に係る保護制御装置は、交流電流検出手段として交流側端子と第2、第3アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器の内いずれか2台の直流電流検出器を備え、いずれか他の1台の直流電流検出器に係る直流電流は上記2台の直流電流検出器と上記交流電流検出器との出力から演算により求めるようにしたので、直流電流検出器の必要台数を減じてコストの低減が実現する。
【0187】
また、請求項24に係る保護制御装置は、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器を備え、交流側電流は上記各直流電流検出器の出力から演算により求めるようにしたので、交流電流検出器が不要となりコストの低減が実現する。
【0188】
また、請求項25に係る保護制御装置は、第1レベルの過電流設定値より高い所定の第2レベルの過電流設定値を設定し、正極側直流電流が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせ、負極側直流電流が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたので、保護処理として動作した自己消弧素子が遮断失敗したときのバックアップ保護がなされるので、保護動作の信頼性が向上する。
【0189】
また、請求項26に係る保護制御装置は、直流電流検出手段を第2の直流電流検出手段を含む2重系で構成するとともに第2レベルの過電流設定値より高い所定の第3レベルの過電流設定値を設定し、上記第2の直流電流検出手段の出力が上記第3レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたので、直流電流検出器自体の故障発生時のバックアップ保護がなされるので、保護動作の信頼性が向上する。
【0190】
また、請求項27に係る保護制御装置は、過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合であって、
当該他相の第1、第2の自己消弧素子がオン、第3、第4の自己消弧素子がオフ動作中に上記第2、第3、第4の自己消弧素子をオンさせるときは、先ず、上記第1の自己消弧素子をオフさせ、所定の短絡防止期間Td経過後、上記第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、
当該他相の上記第3、第4の自己消弧素子がオン、第1、第2の自己消弧素子がオフ動作中に上記第1、第2、第3の自己消弧素子をオンさせるときは、先ず、上記第4の自己消弧素子をオフさせ、所定の短絡防止期間Td経過後、上記第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたので、直流PN間短絡が確実に防止され、信頼性が向上する。
【0191】
また、請求項28に係る保護制御装置は、請求項27において、先ず、第1の自己消弧素子をオフさせるときまたは第4の自己消弧素子をオフさせるとき、当該各自己消弧素子と同アーム内のダイオードが通電中のときは、所定の短絡防止期間Tdの経過を待たずに直ちに、それぞれ第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたので、直流PN間短絡を発生することなく一斉オンのタイミングのばらつきが抑制され、電流分担特性が改善される。
【0192】
また、請求項29に係る保護制御装置は、請求項27において、先ず、第1の自己消弧素子をオフさせるときまたは第4の自己消弧素子をオフさせるとき、交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、所定の短絡防止期間Tdの経過を待たずに直ちに、それぞれ第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたので、オンまでの期間Td経過要否の判断が簡便になされる。
Iac<−β または Iac>+β
【0193】
また、請求項30に係る保護制御装置は、過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合であって、
当該他相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子の内、1個の自己消弧素子が短絡防止期間Tdでオン動作からオフ動作に移行中のときは、上記期間Td開始から上記オフ動作が完了するのに要する所定の時間Td´迄、上記各自己消弧素子をオフからオンにする信号の供給を禁止する手段を備えたので、自己消弧素子に無理なオン動作を強制することがなく、信頼性が向上する。
【0194】
また、請求項31に係る保護制御装置は、請求項30において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても同アーム内のダイオードまたは対の自己消弧素子が通電中のときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたので、無理な動作を強いることなく、一斉オンのタイミングのばらつきが抑制され、電流分担特性が改善される。
【0195】
また、請求項32に係る保護制御装置は、請求項30において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたので、オン信号供給禁止/解除の判断が簡便になされる。
Iac<−β または Iac>+β
【0196】
また、請求項33に係る保護制御装置は、各自己消弧素子に一斉オン信号が送出された場合であって、
第1、第2、第3、第4の自己消弧素子を同時にオンさせるときは、上記第1の自己消弧素子をオンさせるタイミングを第2の自己消弧素子をオンさせるタイミングより、自己消弧素子のターンオン時間のばらつきを考慮して設定された所定の時間Tx遅らせ、上記第4の自己消弧素子をオンさせるタイミングを第3の自己消弧素子をオンさせるタイミングより、上記所定の時間Tx遅らせるようにしたので、自己消弧素子のターンオン時間のばらつきに伴う直流PN間短絡が確実に防止され、信頼性が向上する。
【0197】
また、請求項34に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載された電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備えた場合、上記平滑コンデンサを第1の平滑コンデンサと、スイッチング手段を介して上記第1の平滑コンデンサと並列に接続された第2の平滑コンデンサとで構成し、保護制御装置で出力された自己消弧素子への一斉オン信号に基づき上記スイッチング手段をオフすることにより、上記平滑コンデンサから上記一斉オンした自己消弧素子への放電を抑制するようにしたので、一斉オン時の自己消弧素子の短絡電流が減少して信頼性が向上する。
【0198】
また、請求項35に係る保護制御装置は、請求項16ないし33のいずれかに記載の3レベルの電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備えた場合、
上記平滑コンデンサを、正極端子と中性極端子とに接続された第1の正極側平滑コンデンサと正極側スイッチング手段を介して上記第1の正極側平滑コンデンサと並列に接続された第2の正極側平滑コンデンサ、および中性極端子と負極端子とに接続された第1の負極側平滑コンデンサと負極側スイッチング手段を介して上記第1の負極側平滑コンデンサと並列に接続された第2の負極側平滑コンデンサで構成し、
保護制御装置で出力された第1、第2、第3の自己消弧素子または第2、第3、第4の自己消弧素子への一斉オン信号に基づき上記正極側スイッチング手段または負極側スイッチング手段をオフすることにより、上記平滑コンデンサから上記一斉オンした自己消弧素子への放電を抑制するようにしたので、3レベルの電力変換装置において、一斉オン時の自己消弧素子の短絡電流が減少して信頼性が向上する。
【0199】
また、請求項36に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置を複数台、各直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置のいずれかの保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号を他の電力変換装置の自己消弧素子へも同時に送出するよう、上記一斉オン信号を上記各電力変換装置で共通化するよう構成したので、保護制御回路の構成が簡便となり、コスト低減と信頼性向上が実現する。
【0200】
また、請求項37に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置を複数台、各電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備え、上記各電力変換装置の直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置毎に設けられたスイッチング素子を介して各直流側を共通に接続するとともに、いずれかの上記電力変換装置の保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号に基づき当該電力変換装置のスイッチング手段をオフすることにより、他の電力変換装置の平滑コンデンサから当該電力変換装置の上記一斉オンした自己消弧素子への放電を阻止するようにしたので、一斉オン時の自己消弧素子の短絡電流が減少して信頼性が向上する。
【0201】
また、請求項38に係る保護制御装置は、各電力変換装置の直流側を共通に接続する共通接続点の正負両極間に接続された共通平滑コンデンサを備えた場合、いずれかの上記電力変換装置の保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号に基づき当該電力変換装置のスイッチング手段をオフすることにより、他の電力変換装置の平滑コンデンサおよび上記共通平滑コンデンサから当該電力変換装置の上記一斉オンした自己消弧素子への放電を阻止するようにしたので、一斉オン時の自己消弧素子の短絡電流が減少して信頼性が向上する。
【0202】
また、請求項39に係る保護制御装置は、請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置であって互いに同一容量の電力変換装置を複数台、各直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置で検出された交流側電流および直流側電流のそれぞれ最大値を選択する最大値選択回路、上記各電力変換装置の自己消弧素子に共通のゲートパルスを供給するゲートパルス発生器、上記最大値選択回路から出力される交流側電流信号、直流側電流信号および上記ゲートパルス信号に基づき故障の予測判別を行う故障判別回路、およびこの故障判別回路の判別出力に基づき上記各電力変換装置の自己消弧素子に対して共通の保護処理を行う保護処理回路を備えたので、保護制御回路の構成が簡便となり、コスト低減と信頼性向上が実現する。
【0203】
また、請求項40に係る保護制御装置は、複数の各電力変換装置の交流側は、それぞれ互いに独立した交流電源または交流負荷に接続されているので、健全な電力変換装置と独立の交流系統とで運転を継続することが可能となる。
【0204】
また、請求項41に係る保護制御装置は、複数の各電力変換装置の交流側は、その各1次側を互いに直列にして交流電源または交流負荷に接続される複数の変圧器の各2次側に接続されているので、一斉オンした電力変換装置への交流側からの流入電流を抑制することができる。
【0205】
また、請求項42に係る保護制御装置は、複数の各電力変換装置の交流側は、上記各電力変換装置毎に設けられた交流リアクトルを介して共通の交流電源または交流負荷に接続されているので、各電力変換装置のバランス制御が容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における2レベル電力変換装置の保護制御装置の全体を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1における2レベル保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図3】 各故障ケースの動作を表の形で示した図である。
【図4】 各故障ケースのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】 転流動作時の波形を示すタイミングチャートである。
【図6】 過電流検出動作を説明するための図である。
【図7】 この発明の実施の形態2における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態3における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図9】 この発明の実施の形態4における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図10】 過電流検出動作を説明するための図である。
【図11】 この発明の実施の形態6における保護制御装置の過電流検出動作を説明するための図である。
【図12】 この発明の実施の形態6における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図13】 この発明の実施の形態7における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図14】 この発明の実施の形態8における3レベル電力変換装置の保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図15】 図14の故障判別回路14Bの内部構成を示す図である。
【図16】 図14の保護処理回路15Bの内部構成を示す図である。
【図17】 各故障ケースの動作を表の形で示した図である。
【図18】 各故障ケースのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図19】 一斉点弧信号が出力されたときの動作を表の形で示した図である。
【図20】 この発明の実施の形態9における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図21】 この発明の実施の形態10における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図22】 図21の故障判別回路14Cの内部構成を示す図である。
【図23】 この発明の実施の形態11における保護制御装置の1相分を示す構成図である。
【図24】 この発明の実施の形態12における保護処理回路15Cの内部構成を示す図である。
【図25】 この発明の実施の形態13における電力変換装置の保護制御装置を示す構成図である。
【図26】 この発明の実施の形態14における電力変換装置の保護制御装置を示す構成図である。
【図27】 この発明の実施の形態15における電力変換装置の保護制御装置を示す構成図である。
【図28】 この発明の実施の形態16における電力変換装置の保護制御装置を示す構成図である。
【図29】 従来の2レベル電力変換装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 交流リアクトル、2 還流ダイオード、3 自己消弧素子、
5 平滑コンデンサ、6 コンバータ、7 インバータ、8 直流電流検出器、
9 交流電流検出器、10,11 ゲートパルス発生器、
12 直流短絡保護回路、13 電流レベル判別回路、14 故障判別回路、
15 保護処理回路、20 限流手段、21 変圧器、
22,23 最大値選択回路、26 交流電源または交流負荷。
Claims (42)
- 相毎に複数の自己消弧素子およびダイオード、更に上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、交流/直流間の電力変換を行う電力変換装置の保護制御方法であって、
交流側電流を検出する交流電流検出手段、および直流側電流を検出する直流電流検出手段を備え、
上記直流側電流が所定の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点における上記各自己消弧素子に流れる電流を予測し、当該過電流検出相および他相の自己消弧素子を故障規模に応じて適切に保護するため、上記電流予測情報に応じて上記各自己消弧素子の保護処理内容を予め設定された複数の保護処理モードの中から選択するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御方法。 - 相毎に複数の自己消弧素子およびダイオード、更に上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、交流/直流間の電力変換を行う電力変換装置の保護制御装置であって、
交流側電流を検出する交流電流検出手段、直流側電流を検出する直流電流検出手段、上記直流側電流が所定の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記各自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子をオフまたはゲートフリーズ(そのときのゲート状態を強制的に継続させる)させ他相の自己消弧素子を一斉オフさせ、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子をオンまたはゲートフリーズさせ他相の自己消弧素子を一斉オンさせる保護処理回路を備えたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。 - 直流側の両端子間に相毎に接続された、正極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる正極側アームと負極側自己消弧素子およびこれと逆並列接続されたダイオードからなる負極側アームとの直列接続体、および上記両自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え上記両アームの接続点を交流側端子に接続する2レベルの電力変換装置の保護制御装置であって、
上記交流側端子に流れる電流を検出する交流電流検出手段、上記両アームに流れる電流を検出する直流電流検出手段、上記両アームのいずれかに流れる電流が上記ダイオードの逆回復電流よりも大きな値に設定された所定の第1レベルの過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の両自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記両自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものはオフ、ゲートオフパルス入力中のものはゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1の保護処理モードを、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の両自己消弧素子をオンさせ他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の保護処理モードを実行する保護処理回路を備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の保護制御装置。 - 可制御電流値をITQRM、第1レベルの過電流設定値をOC1、直流側端子間の電圧をEd、保護動作に必要な所定時間をtoc、直流側端子からみた故障経路のインダクタンスをLとしたとき下式で得られる選択基準値βを設定するとともに、交流側電流Iacの極性を両アームの接続点から交流側端子に流出する方向を正と定義した場合、保護処理回路は、
負極側自己消弧素子がゲートオンパルス入力中に正極側アームの電流が過電流に達したとき、Iac≧−βが成立すると第1の保護処理モード、Iac<−βが成立すると第2の保護処理モードを実行し、
正極側自己消弧素子がゲートオンパルス入力中に負極側アームの電流が過電流に達したとき、Iac≦+βが成立すると第1の保護処理モード、Iac>+βが成立すると第2の保護処理モードを実行することを特徴とする請求項3記載の電力変換装置の保護制御装置。
β=ITQRM−OC1−Ed×toc/L - 直流側端子間の電圧Edとして、想定されるその最大値Edmaxを採用して選択基準値βを設定するようにしたことを特徴とする請求項4記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 直流側端子間の電圧Edを検出する直流電圧検出器を備え、この直流電圧検出器の出力EdLを採用して選択基準値βを設定するようにしたことを特徴とする請求項4記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 自己消弧素子を駆動するゲート駆動回路の出力から上記自己消弧素子の故障を検出する素子故障検出手段を備え、正極側および負極側自己消弧素子が共にオフ動作中に上記故障を検出したとき、当該故障検出相の両自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせるようにしたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 交流電流検出手段として交流側端子と両アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器および直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器を備えたことを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 交流電流検出手段として交流側端子と両アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器または直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器のいずれか一方を備え、いずれか他方の直流電流は上記いずれか一方の直流電流検出器と上記交流電流検出器との出力から演算により求めるようにしたことを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 直流電流検出手段として直流側正極端子と正極側アームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器および直流側負極端子と負極側アームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器を備え、交流側電流は上記両直流電流検出器の出力から演算により求めるようにしたことを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 第1レベルの過電流設定値より高い所定の第2レベルの過電流設定値を設定し、直流電流検出手段の出力が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたことを特徴とする請求項3ないし10のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 直流電流検出手段を第2の直流電流検出手段を含む2重系で構成するとともに第2レベルの過電流設定値より高い所定の第3レベルの過電流設定値を設定し、上記第2の直流電流検出手段の出力が上記第3レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたことを特徴とする請求項11記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合、当該他相の自己消弧素子の内、短絡防止期間Tdでオン動作からオフ動作に移行中のものは、上記期間Td開始から上記オフ動作が完了するのに要する所定の時間Td´迄、当該自己消弧素子をオフからオンにする信号の供給を禁止する手段を備えたことを特徴とする請求項3ないし12のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 請求項13において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても同アーム内のダイオードが通電中のときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。
- 請求項13において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。
Iac<−β または Iac>+β - 正極、中性極および負極を有する直流側の上記正負両極間に相毎に接続された、第1ないし第4の自己消弧素子の直列接続体、上記各自己消弧素子と逆並列接続されてそれぞれ第1ないし第4のアームを構成する第1ないし第4のダイオード、上記中性極とそれぞれ上記第1、第2のアームの接続点および上記第3、第4のアームの接続点との間に接続された第5および第6のダイオード、および上記各自己消弧素子にゲートパルスを供給するゲートパルス発生手段を備え、上記第2、第3のアームの接続点を交流側端子に接続する3レベルの電力変換装置の保護制御装置であって、
上記交流側端子に流れる電流を検出する交流電流検出手段、上記第1のアームに流れる正極側の直流電流、第4のアームに流れる負極側の直流電流および上記第5、第6のダイオードの接続点と上記中性極との間に流れる中性極側の直流電流を検出する直流電流検出手段、この直流電流検出手段が検出する直流側電流のいずれかが上記ダイオードの逆回復電流よりも大きな値に設定された所定の第1の過電流設定値に達したとき、当該過電流検出時点における上記交流側電流および当該過電流検出相の各自己消弧素子へのゲートパルス信号に基づき、上記過電流検出時点より保護動作に必要な所定時間経過した保護処理動作時点において上記各自己消弧素子に流れる電流の最大値が当該自己消弧素子の遮断限界である可制御電流値以内か否かを予測判別する故障判別回路、およびこの故障判別回路が可制御電流値以内と判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものは故障短絡経路にある少なくとも1個をオフその他をゲートフリーズ、ゲートオフパルス入力中のものはゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1の保護処理モードを、上記故障判別回路が可制御電流値を越えると判別したときは当該過電流検出相の自己消弧素子を、ゲートオンパルス入力中のものはオン、ゲートオフパルス入力中のものは故障短絡経路にあるものをオンその他をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の保護処理モードを実行する保護処理回路を備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の保護制御装置。 - 可制御電流値をITQRM、第1レベルの過電流設定値をOC1、直流側の正極−中性極間および中性極−負極間の電圧をそれぞれEdpおよびEdn、保護動作に必要な所定時間をtoc、および直流側の上記各極間からみた故障経路のインダクタンスをそれぞれLp、Ln、Lpnとしたとき下式で得られる選択基準値βを設定するとともに、交流側電流Iacの極性を第2、第3のアームの接続点から交流側端子に流出する方向を正と定義した場合、保護処理回路は、
第2、第3の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に正極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第3の自己消弧素子をオフ、第1、第2、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−3の保護処理モード(B3)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3の自己消弧素子をオン、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正極側保護処理モード(CP)を実行し、
上記第2、第3の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に負極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第2の自己消弧素子をオフ、第1、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−2の保護処理モード(B2)、
Iac>+βが成立すると、当該過電流検出相の第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、第1の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の負極側保護処理モード(CN)を実行し、
上記第3、第4の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第2の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に中性極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第4の自己消弧素子をオフ、第1、第2、第3の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−4の保護処理モード(B4)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、第1の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の負極側保護処理モード(CN)を実行し、
上記第3、第4の自己消弧素子がゲートオンパルス、第1、第2の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に正極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≧−βが成立すると、当該過電流検出相の第3、第4の自己消弧素子をオフ、第1、第2の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−34の保護処理モード(B34)、
Iac<−βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正負両極側保護処理モード(CPN)を実行し、
上記第1、第2の自己消弧素子がゲートオンパルス、第3、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に中性極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第1の自己消弧素子をオフ、第2、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−1の保護処理モード(B1)、
Iac>+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3の自己消弧素子をオン、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正極側保護処理モード(CP)を実行し、
上記第1、第2の自己消弧素子がゲートオンパルス、第3、第4の自己消弧素子がゲートオフパルス入力中に負極側の直流電流が過電流に達したとき、
Iac≦+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2の自己消弧素子をオフ、第3、第4の自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせる第1−12の保護処理モード(B12)、
Iac≧+βが成立すると、当該過電流検出相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子をオン、他相の自己消弧素子を一斉オンさせる第2の正負両極側保護処理モード(CPN)を実行することを特徴とする請求項16記載の電力変換装置の保護制御装置。
β=ITQRM−OC1−toc{Edp/Lp+Edn/Ln+(Edp+Edn)/Lpn}/3 - 第1−12の保護処理モード(B12)で過電流検出相の第1、第2の自己消弧素子をオフさせる場合、上記第2の自己消弧素子をオフさせるタイミングを第1の自己消弧素子をオフさせるタイミングより、自己消弧素子のターンオフ時間のばらつきを考慮して設定された所定の時間Ty遅らせ、第1−34の保護処理モード(B34)で過電流検出相の第3、第4の自己消弧素子をオフさせる場合、上記第3の自己消弧素子をオフさせるタイミングを第4の自己消弧素子をオフさせるタイミングより、上記所定の時間Ty遅らせるようにしたことを特徴とする請求項17記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 直流側の正極と中性極との間の電圧Edpおよび中性極と負極との間の電圧Ednとして、想定されるその最大値Edmaxを採用して選択基準値βを設定するようにしたことを特徴とする請求項17または18記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 直流側の正極と中性極との間の電圧Edpおよび中性極と負極との間の電圧Ednを検出する直流電圧検出器を備え、この直流電圧検出器の出力EdpまたはEdnのいずれか大きい方を選択し、当該選択した検出電圧を採用して選択基準値βを設定するようにしたことを特徴とする請求項17または18記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 自己消弧素子を駆動するゲート駆動回路の出力から上記自己消弧素子の故障を検出する素子故障検出手段を備え、各相4個の自己消弧素子の内1個がオン他の3個がオフ動作中に上記故障を検出したとき、当該故障検出相の全自己消弧素子をゲートフリーズさせ、他相の自己消弧素子を一斉オフさせるようにしたことを特徴とする請求項16ないし20のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 交流電流検出手段として交流側端子と第2、第3アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器を備えたことを特徴とする請求項16ないし21のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 交流電流検出手段として交流側端子と第2、第3アームの接続点との接続線に挿入された交流電流検出器を備え、直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器の内いずれか2台の直流電流検出器を備え、いずれか他の1台の直流電流検出器に係る直流電流は上記2台の直流電流検出器と上記交流電流検出器との出力から演算により求めるようにしたことを特徴とする請求項16ないし21のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 直流電流検出手段として直流側正極端子と第1のアームとの接続線に挿入された正極側直流電流検出器、直流側負極端子と第4のアームとの接続線に挿入された負極側直流電流検出器および直流側中性極端子と第5、第6のダイオードの接続点との接続線に挿入された中性極側直流電流検出器を備え、交流側電流は上記各直流電流検出器の出力から演算により求めるようにしたことを特徴とする請求項16ないし21のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 第1レベルの過電流設定値より高い所定の第2レベルの過電流設定値を設定し、正極側直流電流が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全第1、第2、第3の自己消弧素子を一斉オンさせ、負極側直流電流が上記第2レベルの過電流設定値に達すると全第2、第3、第4の自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたことを特徴とする請求項16ないし24のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 直流電流検出手段を第2の直流電流検出手段を含む2重系で構成するとともに第2レベルの過電流設定値より高い所定の第3レベルの過電流設定値を設定し、上記第2の直流電流検出手段の出力が上記第3レベルの過電流設定値に達すると全自己消弧素子を一斉オンさせるようにしたことを特徴とする請求項25記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合であって、
当該他相の第1、第2の自己消弧素子がオン、第3、第4の自己消弧素子がオフ動作中に上記第2、第3、第4の自己消弧素子をオンさせるときは、先ず、上記第1の自己消弧素子をオフさせ、所定の短絡防止期間Td経過後、上記第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、
当該他相の上記第3、第4の自己消弧素子がオン、第1、第2の自己消弧素子がオフ動作中に上記第1、第2、第3の自己消弧素子をオンさせるときは、先ず、上記第4の自己消弧素子をオフさせ、所定の短絡防止期間Td経過後、上記第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたことを特徴とする請求項16ないし26のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。 - 請求項27において、先ず、第1の自己消弧素子をオフさせるときまたは第4の自己消弧素子をオフさせるとき、当該各自己消弧素子と同アーム内のダイオードが通電中のときは、所定の短絡防止期間Tdの経過を待たずに直ちに、それぞれ第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。
- 請求項27において、先ず、第1の自己消弧素子をオフさせるときまたは第4の自己消弧素子をオフさせるとき、交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、所定の短絡防止期間Tdの経過を待たずに直ちに、それぞれ第3、第4の自己消弧素子をオンさせ、第1、第2の自己消弧素子をオンさせるようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。
Iac<−β または Iac>+β - 過電流検出相から他相に一斉オン信号が送出された場合であって、
当該他相の第1、第2、第3、第4の自己消弧素子の内、1個の自己消弧素子が短絡防止期間Tdでオン動作からオフ動作に移行中のときは、上記期間Td開始から上記オフ動作が完了するのに要する所定の時間Td´迄、上記各自己消弧素子をオフからオンにする信号の供給を禁止する手段を備えたことを特徴とする請求項16ないし29のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。 - 請求項30において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても同アーム内のダイオードまたは対の自己消弧素子が通電中のときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。
- 請求項30において、短絡防止期間Tdにある自己消弧素子であっても交流側電流Iacと選択基準値βとの間に下式が成立するときは、当該自己消弧素子へのオン信号供給禁止手段の動作を解除するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。
Iac<−β または Iac>+β - 各自己消弧素子に一斉オン信号が送出された場合であって、
第1、第2、第3、第4の自己消弧素子を同時にオンさせるときは、上記第1の自己消弧素子をオンさせるタイミングを第2の自己消弧素子をオンさせるタイミングより、自己消弧素子のターンオン時間のばらつきを考慮して設定された所定の時間Tx遅らせ、上記第4の自己消弧素子をオンさせるタイミングを第3の自己消弧素子をオンさせるタイミングより、上記所定の時間Tx遅らせるようにしたことを特徴とする請求項16ないし32のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。 - 請求項2ないし33のいずれかに記載された電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備えた場合、
上記平滑コンデンサを第1の平滑コンデンサと、スイッチング手段を介して上記第1の平滑コンデンサと並列に接続された第2の平滑コンデンサとで構成し、
保護制御装置で出力された自己消弧素子への一斉オン信号に基づき上記スイッチング手段をオフすることにより、上記平滑コンデンサから上記一斉オンした自己消弧素子への放電を抑制するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。 - 請求項16ないし33のいずれかに記載の3レベルの電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備えた場合、
上記平滑コンデンサを、正極端子と中性極端子とに接続された第1の正極側平滑コンデンサと正極側スイッチング手段を介して上記第1の正極側平滑コンデンサと並列に接続された第2の正極側平滑コンデンサ、および中性極端子と負極端子とに接続された第1の負極側平滑コンデンサと負極側スイッチング手段を介して上記第1の負極側平滑コンデンサと並列に接続された第2の負極側平滑コンデンサで構成し、
保護制御装置で出力された第1、第2、第3の自己消弧素子または第2、第3、第4の自己消弧素子への一斉オン信号に基づき上記正極側スイッチング手段または負極側スイッチング手段をオフすることにより、上記平滑コンデンサから上記一斉オンした自己消弧素子への放電を抑制するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。 - 請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置を複数台、各直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置のいずれかの保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号を他の電力変換装置の自己消弧素子へも同時に送出するよう、上記一斉オン信号を上記各電力変換装置で共通化するよう構成したことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。 - 請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置を複数台、各電力変換装置の直流端子間に接続された平滑コンデンサを備え、上記各電力変換装置の直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置毎に設けられたスイッチング素子を介して各直流側を共通に接続するとともに、いずれかの上記電力変換装置の保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号に基づき当該電力変換装置のスイッチング手段をオフすることにより、他の電力変換装置の平滑コンデンサから当該電力変換装置の上記一斉オンした自己消弧素子への放電を阻止するようにしたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。 - 各電力変換装置の直流側を共通に接続する共通接続点の正負両極間に接続された共通平滑コンデンサを備えた場合、いずれかの上記電力変換装置の保護制御装置で出力される自己消弧素子への一斉オン信号に基づき当該電力変換装置のスイッチング手段をオフすることにより、他の電力変換装置の平滑コンデンサおよび上記共通平滑コンデンサから当該電力変換装置の上記一斉オンした自己消弧素子への放電を阻止するようにしたことを特徴とする請求項37記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 請求項2ないし33のいずれかに記載の電力変換装置であって互いに同一容量の電力変換装置を複数台、各直流側を共通に接続してなるものにおいて、
上記各電力変換装置で検出された交流側電流および直流側電流のそれぞれ最大値を選択する最大値選択回路、上記各電力変換装置の自己消弧素子に共通のゲートパルスを供給するゲートパルス発生器、上記最大値選択回路から出力される交流側電流信号、直流側電流信号および上記ゲートパルス信号に基づき故障の予測判別を行う故障判別回路、およびこの故障判別回路の判別出力に基づき上記各電力変換装置の自己消弧素子に対して共通の保護処理を行う保護処理回路を備えたことを特徴とする電力変換装置の保護制御装置。 - 複数の各電力変換装置の交流側は、それぞれ互いに独立した交流電源または交流負荷に接続されていることを特徴とする請求項37ないし39のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 複数の各電力変換装置の交流側は、その各1次側を互いに直列にして交流電源または交流負荷に接続される複数の変圧器の各2次側に接続されていることを特徴とする請求項37ないし39のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
- 複数の各電力変換装置の交流側は、上記各電力変換装置毎に設けられた交流リアクトルを介して共通の交流電源または交流負荷に接続されていることを特徴とする請求項37ないし39のいずれかに記載の電力変換装置の保護制御装置。
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