JP3734148B2 - 車両のフットレスト構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両において、エンジンルームと車室とを仕切るトーボードの車室側下部に乗員の脚部を載せるフットレストを設けてなる車両のフットレスト構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車においては、車室のフロアから斜め前方に立ち上がるトーボードの車室側下部に乗員(運転者)の非操作側の脚部を載せるフットレストが前上がりに傾斜して設けられている。かかる自動車において、衝突時には前記トーボードが衝撃により後方即ち車室側に変形し、これによって前記フットレストが傾斜姿勢から起立することがある。かかるフットレストの起立が発生すると、乗員の脚部が足首にて屈曲されるという角度の増加をみることがある。
【0003】
図3は前記フットレスト構造の従来の一例を示し、同図において、破線は平常時、実線は衝突時を示す。図において、3はトーボード、4は車室のフロアである。01は前記フロア4から前上がりに傾斜して設けられたフットレストで、前記トーボード3の車室側下部に固定されたブラケット021に複数のボルト024にて固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示される従来技術においては、自動車が衝突すると、図の実線に示すように、前記トーボード3がY矢方向に車室側へと変形し、これによって前記ブラケット021及びフットレスト01が傾斜姿勢から起立し、乗員の脚部5が足首にて屈曲角度(以下フットレスト角という)A0でもって屈曲され、乗員の脚部5の足首に作用する屈曲角度が増加する場合がある。
【0005】
かかる衝突による前記フットレストを介しての乗員への衝撃を緩和する手段として、特開平10−297342号、特開平10−297344号、特開2000−95012号、実用新案第2577181号等の技術が提供されている。
しかしながら、これらの技術においても、簡単かつ低コストの手段でもって衝突時における衝突のエネルギをフットレスト側において完全に吸収して、乗員の脚部5への衝撃の伝播を確実に阻止できる手段は講じられていない。
【0006】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、簡単かつ低コストの手段で以って車両の衝突時における衝突のエネルギを完全に吸収して乗員の脚部への衝撃を緩和し、かかる衝撃による足首に作用する屈曲角度の増加を防止できる車両のフットレスト構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、請求項1記載の発明として、車両のエンジンルームと車室とを仕切るトーボードの車室側下部に乗員の脚部を載せるフットレストを設けてなる車両のフットレスト構造において、
一端が前記トーボードに結合され他端が車室のフロアに結合された1枚の板材からなるブラケットを設けるとともに、該ブラケットの中間部に該ブラケットが前記車室側に折れ曲がり可能な切欠部を設け、前記ブラケットの前記切欠部よりも前記トーボード側部位の上面に前記フットレストをボルトにより締着したことを特徴とする車両のフットレスト構造を提案する。
【0008】
かかる発明によれば、一端が前記トーボードに結合され他端が車室のフロアに結合されたブラケットを設けて、該ブラケットにこれが前記車室側に折れ曲がり可能な切欠部を設け、前記ブラケットの前記切欠部よりもトーボード側部位の上面にフットレストを固定しているため、車両の衝突時においてトーボードが車室側へ変形すると、該ブラケットが前記切欠部にて折れ曲がる。
このため、該ブラケットの前記切欠部トーボード側の上側部分は、通常の傾斜姿勢からの起立度が少なくなり、従って前記フットレストの踏面の起立度も小さくなる。これにより、該踏面に直交する線と乗員の脚部中心とのなす角であるフットレスト角が従来技術よりも小さくなって、乗員の足首部の屈曲が小さくなるとともに、前記切欠部におけるブラケットの折れ曲がりによって衝突のエネルギが完全に吸収され、前記衝突による衝撃や足首部に作用する屈曲角度の増加が防止される。
【0009】
即ち、かかる発明によれば、板状のブラケットの中間部にブラケットが前記車室側に折れ曲がり可能な切欠部を設けるという、きわめて簡単かつ低コストの構造で以って車両の衝突による衝撃や足首部に作用する屈曲角度の増加を防止でき、衝突時における安全性を向上することができる。
【0010】
また、かかる発明によれば、前記ブラケットにおける切欠部の位置や該ブラケットの肉厚等の形状を変化させて、車両の衝突時における該ブラケットの変形モードを調整することにより、前記フットレスト角を小さくして乗員の足首部の屈曲をより小さくすることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
図1は本発明の実施例に係る自動車のフットレスト構造を示す要部側面図、図2は図1のA―A矢視図である。
【0013】
本発明の実施例を示す図1、2において、破線は平常時、実線は衝突時を示す。
図において、3はエンジンルームと車室とを仕切るトーボードで、車室のフロア4から斜め前方に立ち上がって構成されている。
2は板材からなるブラケットで、その板面が後述するフットレスト1の踏面7とほぼ平行に、かつその上端部22が前記トーボード3に下端部23が前記フロア4に夫々固定されている。該ブラケット2の固定は、スポット溶接、ヒンジ結合等によるのがよい。該ブラケット2における中間部の裏面25即ち前記トーボード3側の面には、該ブラケット2が前記車室30側に折れ曲がり可能とするような切欠部21が形成されている。該切欠部21に代えて、孔、ビート部(波状部)、前記切欠部21以外のノッチ部等の、前記ブラケット2を前記車室30側に折れ曲がり可能とするような、該ブラケット2の本体よりも脆弱な部分(脆弱部)を設けてもよい。
【0014】
1は乗員(運転者)の非操作側の脚部5を載せるフットレストで、前記ブラケット2よりも薄肉あるいは弾性の高い板材からなる。該フットレスト1は下面側に樹脂材からなる取付部27が固定され、前記ブラケット2の前記切欠部21よりも前記トーボード3側部位の上面に、前記取付部27を介して複数のボルト24により固定されている。26は前記フットレスト1の裏側下面に固定された樹脂ピンである。
【0015】
かかる構成からなるフットレストの取付構造を備えた自動車が衝突すると、図1の実線に示すように、前記トーボード3がY矢方向に車室30側へと変形する。これによって前記ブラケット2が前記トーボード3側に固定されている上端部22を介して後方即ち前記車室30側に押し出され、該ブラケット2には、変形しない(変形しても変形量はきわめて小さい)フロア4側への固定端である下端部23を支点として、図1における右廻りの曲げモーメントMが作用する。
【0016】
ここで前記のように、該ブラケット2には、その裏面25の前記フットレスト1取付用ボルト24よりも反トーボード3側(即ちフロア4側)に前記切欠部21が形成されてこの部位が脆弱部となっているため、図1の実線のように該切欠部21形成部にて該ブラケット2が折れ曲がる。
このため、該ブラケット2の前記切欠部21よりもトーボード3側の上側部分は、図1の破線で示す通常の傾斜姿勢からの起立度が少なくなり、従って前記ブラケット2の上側部分の板面とほぼ平行な前記フットレスト1の踏面7の起立度も小さくなる。これにより、該踏面7に直交する線と乗員の脚部中心6とのなす角即ちフットレスト角Aが図3に示される従来技術よりも小さくなって乗員の足首部の屈曲が小さくなるとともに、前記切欠部21形成部におけるブラケット2の折れ曲がりによって衝突のエネルギが完全に吸収され、前記衝突による衝撃や足首部に作用する屈曲角度の増加が防止される。
【0017】
このように、かかる実施例によれば、板状のブラケット2の中間部に前記切欠部21等の該ブラケット2が前記車室側に折れ曲がり可能な脆弱部を設けるという、きわめて簡単かつ低コストの構造で以って車両の衝突による衝撃や足首部に作用する屈曲角度の増加を防止でき、衝突時における安全性を向上できる。
【0018】
また、前記フットレスト1は前記ブラケット2よりも薄肉で弾性の高い板材からなるため、前記衝突時にブラケット2が前記のように衝撃的に変形しても、該フットレスト1自体のバネ作用によりボルト24での固定部を支点として乗員の踵部を跳ね上げて前記フットレスト角Aを瞬時に小さくせしめ、これにより乗員の足首部の屈曲が抑制される。
【0019】
また、かかる実施例によれば、前記ブラケット2における脆弱部である前記切欠部21の位置や該ブラケット2の肉厚等の形状を変化させて、車両の衝突時における該ブラケット2の変形モードを調整することにより、前記フットレスト角Aを小さくして乗員の足首部の屈曲をより小さくすることが可能となる。
【0020】
【発明の効果】
以上記載の如く本発明によれば、一端が前記トーボードに結合され他端が車室のフロアに結合されたブラケットを設けるとともに該ブラケットに該ブラケットが前記車室側に折れ曲がり可能な切欠部を設け、前記ブラケットの前記切欠部よりもトーボード側部位の上面にフットレストを固定しているので、板状のブラケットの中間部に該ブラケットが前記車室側に折れ曲がり可能な切欠部を設けるという、きわめて簡単かつ低コストの構造で以って車両の衝突による衝撃や足首部に作用する屈曲角度の増加を防止でき、衝突時における安全性を向上することができる。
【0021】
また、本発明によれば、前記ブラケットにおける切欠部の位置や該ブラケットの肉厚等の形状を変化させて、車両の衝突時における該ブラケットの変形モードを調整することにより、前記フットレスト角を小さくして乗員の足首部の屈曲をより小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る自動車のフットレスト構造を示す要部側面図である。
【図2】 図1のA―A矢視図である。
【図3】 従来技術を示す図1対応図である。
【符号の説明】
1 フットレスト
2 ブラケット
3 トーボード
4 フロア
5 脚部
6 脚部中心
7 踏面
21 切欠部
22 上端部
23 下端部
24 ボルト
25 裏面
27 取付部
30 車室
Claims (1)
- 車両のエンジンルームと車室とを仕切るトーボードの車室側下部に乗員の脚部を載せるフットレストを設けてなる車両のフットレスト構造において、
一端が前記トーボードに結合され他端が車室のフロアに結合された1枚の板材からなるブラケットを設けるとともに、該ブラケットの中間部に該ブラケットが前記車室側に折れ曲がり可能な切欠部を設け、前記ブラケットの前記切欠部よりも前記トーボード側部位の上面に前記フットレストをボルトにより締着したことを特徴とする車両のフットレスト構造。
Priority Applications (1)
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JP2000347018A JP3734148B2 (ja) | 2000-11-14 | 2000-11-14 | 車両のフットレスト構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000347018A JP3734148B2 (ja) | 2000-11-14 | 2000-11-14 | 車両のフットレスト構造 |
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