JP3733541B2 - 車速制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、前方車に追従するように自車の走行速度を自動的に制御する車速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車速制御装置にあっては、車載のレーダによって前方車に対する車間距離および相対速度を検出し、そのときの適正車間距離を所定の演算処理によって算出し、その適正車間距離を保持しながら前方車に追従して走行するような速度の制御目標量を求めて、自車の走行速度の制御を行わせるようにしている(特公平6−14400号公報参照)。
【0003】
また、最近、車両が走行している道路上の位置および走行速度を検出して、車々間通信によって前方車の位置および走行速度を知り、そのときの自車の位置および走行速度から前方車に対する車間距離および相対速度を求めて、その車間距離を一定に保持するように自車の走行速度を制御するようにしたものが開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、前方車の現在の走行状態の検出量を知り、そのときの自車の走行状態の検出量から前方車に追従するための速度の制御目標量を求めて自車の走行速度の制御を行わせるのでは、その処理に時間を要して制御遅れを生じてしまい、その間に前方車の走行速度が変化して追従性が悪くなり、また、車間距離を一定に保持できなくなってしまうことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による車速制御装置は、前方車との相対速度を求めて、その求められた相対速度が零になるように自車の走行速度を制御するに際して、制御遅れによって前方車に対する追従性が不安定になるのを防止するべく、自車の走行速度を検出する手段と、その検出された走行速度からそのときの自車の加速度を求めて、現在の走行の速度および加速度から所定時間後における走行速度を予測する手段と、現在の走行速度から目標とする速度に達するまでの速度の遷移を計画する手段と、その計画した走行速度のデータを、自車と同一構成により現在の走行速度が目標とする速度に達するように速度の遷移を計画する手段を搭載する前方車との間で送,受信する通信手段と、受信した前方車の計画速度と自車の予測速度との偏差が零になるように自車の走行速度を制御する手段とをとるようにしている。
【0006】
また、本発明は、前方車に対する車間距離および相対速度を求めて、車間距離を一定に保持するように自車の走行速度を制御するに際して、自車が走行している道路上の位置および走行速度を検出する手段と、その検出された走行速度からそのときの自車の加速度を求めて、現在の位置、走行速度および加速度にもとづいて所定時間後における位置および走行速度を予測する手段と、現在の走行速度から目標とする速度に達するまでの位置および速度の遷移を計画する手段と、その計画位置および計画速度のデータを、自車と同一構成により現在の走行速度が目標とする速度に達するように速度の遷移を計画する手段を搭載する前方車との間で送,受信する通信手段とを設け、受信した前方車の計画位置と自車の予測位置とから所定時間後の予測車間距離を求めるとともに、受信した前方車の計画速度と自車の予測速度とから所定時間後の予測相対速度を求めて、所定の車間距離を保持するように自車の走行速度を制御するようにしている。
【0007】
【実施例】
図1は、前方車Aおよびそれに追従する自車Bに、それぞれ同一構成による車速制御装置が搭載されている場合を示している。
【0008】
その車速制御装置としては、自車B側に注目した場合、走行速度を検出する速度検出部1と、車々間でデータの送,受信を行わせる通信部2と、検出された走行速度からそのときの加速度を求めて、現在の走行の速度および加速度から所定時間後における自車Bの走行速度を予測したうえで、通信部2を通して得られた前方車Aにおいて同期的に計画した走行速度との偏差が零になるような加速または減速のための速度の制御目標量をわり出して、スロットル6,ブレーキ7の各アクチュエータ4,5に適宜駆動指令を与える信号処理部(CPU)3とによって構成されている。
【0009】
また、前方車Aと自車Bとは、それぞれの信号処理部3の制御下で、通信部2を通して同期をとり合うことによって、両車は同一のタイミングをもって動作している。
【0010】
そして、自車Bにおける信号処理部3による走行速度の制御は、所定のサイクルをもってくり返して行われるようになっている。
【0011】
自車Bの信号処理部3は、各制御サイクルiごとに、検出された走行速度Vi(0)を微分することにより、そのときの加速度Ai(0)を求めて、t秒後における自車Bの予測速度Vi(t)を次式(1)にしたがって算出する。
vi(t)=Vi(0)+Ai(0)×t …(1)
【0012】
その際、前方車Aにおける信号処理部3は、現在の走行速度が目標とする速度に達するように、速度、加速度の遷移を計画する。この目標速度は、道路側設備(図示せず)からの速度指示を通信部2を通して受信したもの、あるいは前方車Aの運転者が入力装置(図示せず)を通して信号処理部3に与えたものである。
【0013】
図2は、前方車Aにおける計画速度の一例を示している。ここで、Voは現在時刻を0としたときの現在の速度であり、V1は現在からT秒後における目標速度である。
【0014】
図3は、前方車Aにおける計画加速度の一例を示している。
【0015】
さらに、信号処理部3は、その計画の一部として、一定の時間刻み(0.1秒ごと)の計画速度vi(t)(t=0.1、0.2、0.3、…、2.9、3.0)をとり出し、1制御サイクル当りに得られた複数(30)の計画速度のデータを時系列的に追従車Bに送信する。
【0016】
そして、自車B側の信号処理装置3において、前方車Aから送られてきたデータ列を受信して、自車と前方車との間の制御状況に応じて所定時間を決定し、その決定された所定時間後の前方車の計画速度を、自車が受信した前方車のデータ列のなかから選択して、その選択した前方車の計画速度と自車の予測速度との偏差が零になるように自車の走行速度を制御するようにする。
【0017】
制御状況とは、現在の前方車Aの速度、加速度および自車Bの速度、加速度の組合せのことである。
【0018】
図4は、一例として、現在の走行速度に応じて計画速度を選択するための所定時間を決定するためのマップ特性を示している。ここでは、現在の走行速度が50km/hであれば1秒後の計画速度を、現在の走行速度が100km/hであれば3秒後の計画速度を採用するように、自車Bの走行速度が速くなるほど計画速度を選択するときの所定時間が一定の割合で増長されていくようにしている。
【0019】
本発明では、このように、制御状況にみあった将来の予測時間を決定して、その決定された所定時間後に予測される前方車Aと自車Bとの各走行速度が同じになるように自車Bの速度制御をなすようにしている。したがって
、自車Bの実際に制御された速度とその時点での前方車Aの走行速度とのずれがなくなり、前方車Aに対して常に一定の車間距離を保った追従走行を安定して行わせることができるようになる。
【0020】
なお、計画速度を選択するための所定時間としては、制御状況の如何にかかわらず、予め制御遅れだけを見込んだ所定時間を一律に設定しておいても有効である。
【0021】
また、加速度を走行速度から求めるとしたが、その代わりに加速度計を用いて実際の加速度を検出するようにしてもよい。
【0022】
図5は、本発明の他の実施例を示している。ここでは、特に、前方車Aおよび自車Bにあって、車両が走行している道路上の位置を検出する位置検出部8を設け、信号処理部3により、その検出された現在の位置にもとづいて所定時間後における位置を予測するようにしている。
【0023】
すなわち、信号処理部3は、各制御サイクルiごとに、検出された現在の位置Pi(0)およびそのとき検出されている走行速度Vi(0)、その微分値である加速度Ai(0)から、t秒後における自車Bの予測位置Pi(t)を次式(2)にしたがって算出する。
Pi(t)=Pi(0)+Vi(0)×t+Ai(0)×t2/2 …(2)
ここで、Ai(0)×t2/2の項は省略してもよい。
【0024】
そして、自車Bの信号処理部3の制御下において、受信した前方車Aの計画位置と自車Bの予測位置とから所定時間後の予測車間距離を求めるとともに、受信した前方車Aの計画速度と自車Bの予測速度とから所定時間後の予測相対速度を求めて、所定の車間距離を保持するように自車Bの走行速度を制御するようにしている。
【0025】
図6は、前方車Aの計画位置の一例を示している。ここで、Xoは現在時刻を0としたときの現在位置であり、X1は現在からT秒後における目標速度達成位置である。X1は、次式(3)によって与えられる。
【0026】
X1 =Xo+(Vo+V1) ・T/2 …(3)
【0027】
位置検出部8における車両が走行している道路上の位置を検出する具体的な手段としては、種々考えられる。例えば、前方車Aおよび自車Bがともに、自動走行専用の道路上に車両の走行を案内するために一定の間隔(1m間隔)で打ち込まれている磁気釘を車両側に設けられた磁気センサによって検出しながら、その専用道路上を同一出発点からつながって自動走行する場合、磁気釘の数をカウントすることによってその専用道路上における位置を検出することができる。また、前方車Aおよび自車Bがともに同一出発点から同じ道路上を走行する場合に、それぞれの車両の走行距離を計測することによってその道路上における位置を検出することができる。また、一般的に、車載のナビゲーション装置による車両の位置情報を利用するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0028】
この実施例の場合にあっても、一定の時間刻みに位置および走行速度を計画して、その各計画位置および計画速度のデータを時系列的に送,受信するようにしたうえで、受信したデータ列のなかから制御状況に応じて決定される所定時間後の計画位置および計画速度を選択する。そして、その決定された所定時間後における予測車間距離および予測相対速度を求めるようにすれば、所定の車間距離を保持するための自車Bの走行速度の制御をより適切に行わせることができる。
【0029】
また、この実施例の場合も、加速度を加速度計により検出するようにしてもよい。
【0030】
しかして、この実施例によれば、所定時間後の予測相対速度に応じて、所定の車間距離を保持するような自車Bの走行速度の制御を行わせることができ、前方車Aに一定の車間距離を保ちながらの追従走行を精度良く行わせることができるようになる。
【0031】
この実施例の場合、所定の車間距離とは、所定時間後における予測車間距離および予測相対速度から所定の演算処理によって算出されたそのときの予測適正車間距離である。
【0032】
この場合、従来における適正車間距離の算出の手法がそのまま適用される。
【0033】
【効果】
以上、本発明による車速制御装置によれば、前方車に対して一定の車間距離を保って追従するように自車の走行速度を制御するに際して、両車の現在の走行状態によることなく将来の走行状態を予測して、制御遅れを見込んだ所定時間後の予測制御を行わせるようにしているので、自車の実際に制御された速度とその時点での前方車の走行速度とのずれがなくなり、前方車に対して常に一定の車間距離を保った追従走行を安定して行わせることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車速制御装置の一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】前方車における計画速度の一例を示す特性図である。
【図3】前方車における計画加速度の一例を示す特性図である。
【図4】現在の走行速度に応じて計画速度を選択して予測速度を求めるための所定時間を決定するためのマップ特性の一例を示す図である。
【図5】本発明による車速制御装置の他の実施例を示すブロック構成図である。
【図6】前方車の計画位置の一例を示す特性図である。
【符号の説明】
1 速度検出部
2 通信部
3 信号処理部
4 アクチュエータ
5 アクチュエータ
6 スロットル
7 ブレーキ
8 位置検出部
Claims (4)
- 前方車との相対速度を求めて、その求められた相対速度が零になるように自車の走行速度を制御する車速制御装置において、自車の走行速度を検出する手段と、その検出された走行速度からそのときの自車の加速度を求めて、現在の走行の速度および加速度から所定時間後における走行速度を予測する手段と、現在の走行速度から目標とする速度に達するまでの速度の遷移を計画する手段と、その計画した走行速度のデータを、自車と同一構成により現在の走行速度が目標とする速度に達するように速度の遷移を計画する手段を搭載する前方車との間で送,受信する通信手段と、受信した前方車の計画速度と自車の予測速度との偏差が零になるように自車の走行速度を制御する手段とをとるようにしたことを特徴とする車速制御装置。
- 自車と前方車とでそれぞれ一定の時間刻みに走行速度を計画して、その各計画した走行速度のデータを互いに時系列的に送,受信するようにしたうえで、自車と前方車との間の制御状況に応じて所定時間を決定し、その決定された所定時間後の前方車の計画速度を、自車が受信した前方車のデータ列のなかから選択して、その選択した前方車の計画速度と自車の予測速度との偏差が零になるように自車の走行速度を制御するようにしたことを特徴とする請求項1の記載による車速制御装置。
- 前方車に対する車間距離および相対速度を求めて、車間距離を一定に保持するように自車の走行速度を制御する車速制御装置において、自車が走行している道路上の位置および走行速度を検出する手段と、その検出された走行速度からそのときの自車の加速度を求めて、現在の位置、走行速度および加速度にもとづいて所定時間後における位置および走行速度を予測する手段と、現在の走行速度から目標とする速度に達するまでの位置および速度の遷移を計画する手段と、その計画位置および計画速度のデータを、自車と同一構成により現在の走行速度が目標とする速度に達するように速度の遷移を計画する手段を搭載する前方車との間で送,受信する通信手段とを設け、受信した前方車の計画位置と自車の予測位置とから所定時間後の予測車間距離を求めるとともに、受信した前方車の計画速度と自車の予測速度とから所定時間後の予測相対速度を求めて、所定の車間距離を保持するように自車の走行速度を制御するようにしたことを特徴とする車速制御装置。
- 自車と前方車とでそれぞれ一定の時間刻みに位置および走行速度を計画して、その各計画位置および各計画速度のデータを互いに時系列的に送,受信するようにしたうえで、自車と前方車との間の制御状況に応じて所定時間を決定し、その決定された所定時間後の前方車の計画位置および計画速度を、自車が受信した前方車のデータ列のなかから選択し、前記所定時間後における自車の位置および走行速度を予測して、自車の予測位置と前方車の計画位置から予測車間距離を求るとともに、自車の予測速度と前方車の計画速度とから予測相対速度を求めるようにしたことを特徴とする請求項3の記載による車速制御装置。
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