JP3731009B2 - ポリプロピレン系樹脂廃材の再生成形体及びその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂(以下、「PP」ということがある。)廃材の再生利用するための技術に関するものであり、より詳しくは、廃棄されたPP製品より回収されたPP廃材の物性を回復して得られた新規な再生成形体及び該再生成形体を得るための再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品や、バンパーや内装材などの自動車部品、玩具、日用雑貨などの多くの製品にPPが多量に使用されている。このような状況下において、近年、環境の保護や一層の省資源化を図る目的で、それぞれの用途において使用に供した後、廃棄されたPP製品より樹脂を分別し再生利用することが行われている。
【0003】
また、2001年4月に家電リサイクル法が施行されることから、家電メーカー数社が、自社製品に使用した樹脂を再生利用するための研究に着手している。上記のように、ある成形部品に由来する樹脂の廃材を、再び新しい成形部品に再利用する方法はマテリアルリサイクルと呼ばれる手法であり、この手法は廃棄処分場の削減にもつながり、自然保護の立場や環境保全の観点から最も望ましいものとされている。
【0004】
一般に、マテリアルリサイクルは、回収された樹脂廃材を破砕、洗浄、乾燥した物を同一素材毎に分別し、押出機による溶融押出でペレット化し再生原料として使用するというものである。
尚、同一素材に分別する工程は破砕の前に行なわれる方が効率のよい場合があり、分別をどの工程で、どのような方法により行なうかはそのリサイクルシステムにより様々である。
【0005】
ところで、使用に供された後、廃棄されたPP製品より回収されるPP廃材は、一般に、経年劣化により剛性等の機械物性が低下している。そのため、該PP廃材のマテリアルリサイクルによる再生利用は、これらの問題を考慮して、その樹脂を使用していた元の部品よりもかなり低品位な部品や製品、例えば、パレットやコンテナ等への利用に限定されているのが現状である。
【0006】
そこで、近年、この経年劣化したPP廃材の性能を回復させることにより、過去に該PP廃材が使用されていた用途と同様の用途、例えば、洗濯機の水槽から洗濯機の水槽へ、エアコンのキャビネットからエアコンのキャビネットへの利用が検討されている。
【0007】
例えば、特開2000−159900号公報には、回収した樹脂廃材と同一種類の未使用の樹脂材料(バージン材)を廃材に混入させる方法が提案されている。
しかし、この再生方法はバージン材によって樹脂廃材を薄めることによってその劣化分を低減しているに過ぎず、バージン材と同等の性能にまで回復させることは困難である。また、バージン材の性能近くにまで回復させようとした場合、大量のバージン材を配合する必要があり、結果として廃材のリサイクル率は非常に低いものとなってしまい、リサイクル本来の目的にはかなっていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、PP廃材の再生利用を行うに当り、再生のために該PP廃材に配合するバージンの樹脂を少量に抑えながら、高度な機械的物性が要求される用途にも使用できる程度に該PP廃材の物性が回復された再生成形体を得ることにより、PP廃材のリサイクル率を高めると共に、再使用の用途の拡大を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、PP廃材における機械的物性の回復のためには、結晶性を向上させることが極めて効果的であるという知見を得た。
即ち、前記の従来技術において性能回復のために配合されていたバージン材は、主としてPPの経年劣化によってメルトフローレートが上昇した樹脂廃材に低メルトフローレートの樹脂よりなるバージン材を添加するものであり、該バージン材の添加による結晶性の改良効果は十分なものではない。
上記知見に基づき、更に研究を重ねた結果、前記PP廃材の結晶性を向上させるためにPP廃材に配合するPPとして、沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率が該PP廃材に対して高い高結晶PPを使用することにより、かかる目的を全て達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、廃棄されたポリプロピレン系樹脂製品を粉砕後、分別回収されたポリプロピレン系樹脂廃材と、沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率が該ポリプロピレン系樹脂廃材の沸騰ヘプタン不溶分の平均アイソタクチックペンタッド分率より高い高結晶ポリプロピレン系樹脂と、の組成物から成形されたことを特徴とするポリプロピレン系樹脂の再生成形体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、廃棄されたポリプロピレン系樹脂製品を破砕後、分別回収されたポリプロピレン系樹脂廃材と、沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率が該ポリプロピレン系樹脂廃材の沸騰ヘプタン不溶分の平均アイソタクチックペンタッド分率より高い高結晶ポリプロピレン系樹脂と、を混合後、溶融成形することを特徴とするポリプロピレン系樹脂廃材の再生方法をも提供するものである。
【0012】
尚、本発明においてポリプロピレン系樹脂の結晶性の指標として使用する、沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率(以下、「IP」ということがある。)は、その値が高い程PPが高結晶性であることを示すものであり、後記の実施例に示す方法によって測定した値である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、PPとしては、家電製品や自動車部品などのPP製品に使用される公知のPPがなんら制限なく用いられる。例えば、ホモポリプロピレンや、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のプロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
また、PP製品において、上記PPには、自体公知の熱安定剤、耐候剤、中和剤、顔料など種々の添加剤が配合されていることが一般的であり、更にエチレン−α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマーなどの異種樹脂や、タルク、炭酸カルシウム粒子、マイカ、硝子繊維などの公知のフィラーが配合される場合もある。
【0014】
本発明において、PP製品より回収されたPP廃材としては、PPの含有量が50重量%以上、好ましくは、70重量%以上、更に好ましくは85重量%以上のものが好適に使用される。また、PP廃材は、再度リサイクルされたPP廃材も含むものである。
【0015】
本発明の最大の特徴は、経時劣化により機械的物性が低下したPP廃材の機械的物性を回復する手段として、該廃材平均IP(以下「IP−U」とする)よりも高いIPを有する高結晶PPを物性回復材として配合することにある。
廃棄されたPP製品より回収されたPP廃材は、その経時的な使用において、熱や光により劣化している。本発明で用いる物性回復材としての高結晶PPは、これら劣化したPP廃材の結晶化温度、結晶サイズ、結晶配向状態などの結晶構造を効果的に変化させ、機械物性を著しく回復させるものである。
【0016】
一般に、PPは経年劣化した場合でも、分子量等は低下するものの、その結晶性を示すIPは殆ど低下するものではない。その証拠には、従来技術として挙げたバージン材を樹脂廃材に配合する場合でも、バージン材と樹脂廃材のIPは殆ど同一である。
しかるに、本発明においては、PP廃材に対してIPの高い高結晶PPを配合するという極めて斬新な手段を採用することにより、PP廃材に対して上記のような驚くべき性能回復効果を発揮する。
【0017】
本発明において、回収されたPP廃材は様々な劣化度や結晶性を有するPPの混合体であり、また、単一の製品においても、部分的に劣化程度が異なっているため、該PP廃材の再生を行なう場合には、PP廃材の平均的な特性であるIP−Uを把握し、物性回復材として配合する高結晶PPのIPを決定する必要がある。
【0018】
上記PP廃材のIP−Uの測定は、上記目的が達成できる方法が特に制限なく採用される。例えば、再生するPP廃材の任意の量(好ましくは10kgないし1000kg程度)の再生単位を均一に混合し、その一部を採取し、沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率(IP−U)を測定することにより、該PP廃材の平均IP−Uを求める方法が好適である。
【0019】
ここで、PP廃材を均一に混合する方法としては、特に限定しないが、例えば、廃材を洗浄、破砕、乾燥の後タンブラーやミキサーなどで混合する方法が挙げられる。或いは、更にこの混合物を押し出し機によりペレタイズした後タンブラーやミキサーなどで混合する方法が挙げられる。
本発明において、物性回復材として用いる高結晶PPのIPは、PP廃材のIP−Uよりも高ければ特に制限されないが、好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.007以上高いことが物性回復の効果が顕著であり、好ましい。
【0020】
また、物性回復材として用いる高結晶PPの種類は、前記PPとして例示したものが特に制限なく使用されるが、沸騰ヘプタン不溶分量が、PP廃材における平均の沸騰ヘプタン不溶分量より3重量%以上、好ましくは10重量%以上高いことが好ましい。
【0021】
また、PP廃材と上記高結晶PPとの配合割合は特に制限されないが、PP廃材よりIPの高い高結晶PPを物性回復材として使用することにより、該PP廃材の再利用率を高めることができる。一般に、配合する高結晶PPのIPの高さにもよるが、PP廃材100重量部に対して物性回復材としての高結晶PPが150重量部以下、好ましくは100重量部以下、更に好ましくは50重量部以下の配合で、PP廃材の物性を十分に回復することが可能である。また、高結晶PPは、十分な性能回復効果を発揮するために、PP廃材100重量部に対して5重量部以上、好ましくは10重量部以上、更に好ましくは20重量部以上配合することが望ましい。
【0022】
本発明において、物性回復材として用いる高結晶PPのメルトフローレート(MFR)は何ら制限されないが、回収材のMFRよりも低いMFRを有する物性回復材を用いることにより、得られる再生成形体の衝撃強度の低下を一層防止し、剛性や強度もより向上させることができるため好ましい。上記高結晶PPのMFRは、PP廃材のMFRに対して0.2ないし0.9倍のものを使用することが好ましい。
【0023】
本発明においては、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、PP廃材のIP−Uよりも高いIPを有する高結晶PPと共に、該IP−U以下のIPを有するPPを併用することも可能である。
本発明において、PP廃材と性能回復材としての高結晶PPとの組成物は、これを溶融成形することにより、再生成形体が得られる。
上記再生成形体は、PP廃材がもともと使用されていたPP製品の部品として再使用することが好ましいが、他のPP製品の部品に加工して再使用することも可能である。
【0024】
本発明は、更に、廃棄されたポリプロピレン系樹脂製品を破砕後、ポリプロピレン系樹脂廃材を分別回収し、該ポリプロピレン系樹脂廃材と沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率が該ポリプロピレン系樹脂廃材の沸騰ヘプタン不溶分の平均アイソタクチックペンタッド分率より高いポリプロピレン系樹脂とを混合後、溶融成形することを特徴とするポリプロピレン系樹脂廃材の再生方法を提供する。
【0025】
上記再生方法において、廃棄されたポリプロピレン系樹脂製品を破砕し、PP廃材を分別回収する方法は、公知の方法が特に制限なく採用される。
例えば、市場から回収した製品を、解体し、PP部品を分別し、洗浄装置を使用して水洗し、粉砕機を使用して、押出機に投入可能な大きさに粉砕する方法が挙げられる。
【0026】
また、上記PP廃材と高結晶PPとの混合方法、及び溶融成形方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が、制限なく採用される。
例えば、PP廃材と高結晶PPとをタンブラー、ミキサー等のブレンダーにより混合後、押出機によって溶融し、射出成形、押出成形、ブロー成形等の公知の成形方法によって、再生成形体を得ることができる。
【0027】
上記溶融成形において、再生成形体の耐久性や機械物性を、より一層向上させるため、PP廃材と高結晶PPとの混合において公知の添加剤を配合させることもできる。かかる添加剤としては、フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤、無機系および有機系の中和剤、ヒンダードアミン系の安定剤、紫外線吸収材、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、無機系および有機系の分散剤、無機系および有機系の着色剤、無機系、有機系の充填剤、銅害防止剤、抗菌剤、造核剤などが挙げられる。また、上記添加剤の配合方法も、マスターバッチ法など公知の方法を制限なく用いることができる。
【0028】
上記添加剤のうち造核剤を配合する態様は、本発明の再生成形体の物性回復が更に良好になり好ましい。また、造核剤の種類および配合量は、廃材平均の結晶化温度よりも再生成形体の結晶化温度が高くなるように選定することにより、更に良好な物性回復の効果を得ることができる。
溶融押出の条件は公知の条件が用いられるが、相溶を良好にし、かつ押出機内での劣化を最小限にするため、物性回復材の最高融点+20℃以上、物性回復材の最高融点+120℃以下で行われることが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
尚、以下の実施例および比較例で用いられた結晶性熱可塑性樹脂の評価および物性の測定は以下に示す方法で行った。
【0030】
<物性の評価>
(1)沸騰ヘプタン不溶分[C7sol.](wt%)
結晶性熱可塑性樹脂2gをp−キシレン200mlに加え、オイルバス中で撹拌しながら120℃まで昇温した後、さらに30分撹拌を続け、ポリマーを完全に溶解させ均一な溶液を調製した。
次いで、オイルバスの電源を切り、p−キシレン溶液をオイルバス内で24時間放置し、室温(23℃)まで徐冷した。ポリマーの白色の析出物を含むp−キシレン溶液を2000mlのメタノールに投入し、4時間攪拌の後、ポリマーの析出物を濾別し、減圧下70℃で24時間乾燥した。
乾燥したポリマー粉末1gを円筒濾紙に詰め、ソックスレー抽出器を用いてn−ヘプタンで7時間抽出を行なった。その後、抽出残分を円筒濾紙ごと減圧下70℃で24時間乾燥した。抽出前後の重量変化により沸騰ヘプタン不溶分量を求めた。沸騰ヘプタン不溶分量[C7ins.]は下記式で求められる。
C7ins.(%)=抽出後の乾燥重量/抽出前の乾燥重量×100(%)
【0031】
(2)ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率[mmmm]
前述の方法で得られたヘプタン不溶分を試料として、13C−NMR(日本電子社製JNM−GSX−270(13C核共鳴周波数67.8MHz))を用い、以下の条件で測定した。
・測定モード:1 H−完全デカップリング
・パルス幅 :7.0マイクロ秒(C45度)
・パルス繰り返し時間:3秒
・積算回数 :10000回
・溶媒 :オルトジクロルベンゼン/重ベンゼンの混合溶媒(90/10容量%)
・試料濃度 :120mg/2.5ml溶媒
・測定温度 :120℃
この場合、アイソタクチックペンタッド分率[mmmm]は、13C−NMRスペクトルのメチル基領域における***ピークの測定により求めた。また、メチル基領域のピークの帰属は前記のA .Zambelliら、[macromolecules、13、267(1980)]によった。
【0032】
<物性の測定>
(1)物性測定試験片の作成
結晶性熱可塑性樹脂を射出成形し物性試験片を得た。射出成形は成形温度230℃、金型温度40℃で行った。
【0033】
(2)MFR
JIS K7210に準じて230℃で測定した。
【0034】
(3)曲げ強度および曲げ弾性率
JIS K7203に準じて測定した。
【0035】
(4)アイゾット衝撃値
JIS K7110に準じて測定した。
【0036】
(5)引張り強度
JIS K7113に準じて測定した。
【0037】
<実施例1>
代表的な結晶性熱可塑性樹脂であるプロピレン−エチレンブロック共重合体タイプのポリプロピレン系樹脂を水槽等の部品に用いている使用済み洗濯機を解体し、PP製の部品である水槽を取り出した。この回収した使用済み洗濯機のPP製の部品である水槽を流水によって洗浄した後、破砕し、乾燥後押出機を用い、230℃の溶融混練によりペレット化した。このPP廃材をS1材とする。
そして、水槽成形用の未使用のPP材をV1材とする。また、このV1材と比べ立体規則性を著しく高く制御した高結晶PPをV2材とする。
表1にS1材とV1材とV2材の分析結果および物性値を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
次に、S1材75重量部と物性回復材としてV2材を25重量部を混合した材料を、230℃の溶融混練によりペレット化し、射出成形により物性試験片を成形し、その評価結果を表2に示した。
【0040】
<実施例2>
S1材50重量部と物性回復材としてV2材を50重量部を混合した材料を、溶融混練によりペレット化し、射出成形により物性試験片を成形し、その評価結果を表2に示した。
【0041】
<比較例1>
S1材を30重量部、V1材を70重量部を混合した材料を、溶融混練によりペレット化し、射出成形により物性試験片を成形し、その評価結果を表2に示した。この結果、V1材をリサイクルするPP廃材(S1材)に混合すると、リサイクル材であるR1材の物性値は向上していくものの、V1材の物性値近くにまで回復させようとすると、かなり大量のV1材を必要とする事が分かった。
【0042】
<実施例3>
S1材を45重量部、V1材を30重量部、およびV2材を25重量部を混合した材料を、溶融混練によりペレット化し、射出成形により物性試験片を成形し、その評価結果を表2に示した。
【0043】
<比較例2>
S1材を30重量部、V3材を70重量部を混合した材料を、溶融混練によりペレット化し、射出成形により物性試験片を成形し、その評価結果を表2に示した。
【0044】
<実施例4>
実施例1で得たPP廃材(S1材)とこのV1材と比べ立体規則性を著しく高く制御した高結晶PP(V2材)を70:30の重量比で混合した材料を溶融混練によりペレット化し、さらに射出成形により、物性試験片を作成した。
これを150℃のオーブンの中に約200時間静置させておき熱劣化させた。この熱劣化させた材料をS2材とする。この150℃で200時間という熱劣化は、30℃の通常の環境では100年程度の経時に相当する。
しかし、家電製品が置かれる実際の環境では、光による劣化や微生物による劣化や夜と朝の温度変化による劣化等が顕著であり、熱劣化から想定できる寿命の約1/5が実際の寿命と考えることが妥当である。
このS2材を再リサイクルするために、S2材70重量部とS2材30重量部を混合させ、溶融混練によりリペレット化し、試験片を成形した。
この試験片の物性測定の結果、物性値はV1とほぼ同等の値を示す事が分かった。評価結果を表2に示した。
【0045】
<実施例5>
S2材を45重量部、V1材を30重量部、およびV2材を25重量部を混合した材料を溶融混練によりペレット化し、射出成形により物性試験片を成形し、その評価結果を表2に示した。
【0046】
<実施例6>
S1材を75重量部、V2材を25重量部、造核剤としてリン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニルナトリウム(旭電化工業製NA11)を0.1重量部混合した材料を溶融混練によりペレット化し、射出成形により物性試験片を成形し、その評価結果を表2に示した。
【0047】
【表2】
【0048】
<実施例7>
実施例1 で得たPP廃材(S1材)とこのV1材と比べ立体規則性を著しく高く制御した高結晶PP(V2材)を70:30の重量比で混合した組成物よりなるリサイクル材料を原料として、洗濯機の部品である水槽を射出成形で成形した。そしてこれを組み込んだ洗濯機を作製し、実使用試験を行なった。
その結果、水槽バージン材で水槽を成型した物を組み込んだ洗濯機の合格基準を満たす事ができた。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶性熱可塑性樹脂のリサイクルにおいて、PP廃材を未使用時の物性値或いはそれ以上の物性値にまで回復させた再生成形体を得る事が可能となった。その結果、これまで困難とされていたPP廃材の元の部品へのマテリアルリサイクルが可能となった。
また、PP廃材は元の未使用時の物性値にまで回復させる事ができるので、このリサイクル材を複数回リサイクルすることが可能となった。
その結果、本発明は、PP廃材の地球環境に与える影響を最小限にすることができ、また、得られる再生成形体を使用した製品の特性や品質を高く維持できるため、マテリアルリサイクルの実用的な技術として、工業的な価値が極めて高いものである。
Claims (4)
- 廃棄されたポリプロピレン系樹脂製品を粉砕後、分別回収されたポリプロピレン系樹脂廃材と、沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率が該ポリプロピレン系樹脂廃材の沸騰ヘプタン不溶分の平均アイソタクチックペンタッド分率より高い高結晶ポリプロピレン系樹脂と、の組成物から成形されたことを特徴とするポリプロピレン系樹脂の再生成形体。
- ポリプロピレン系樹脂廃材100重量部に対して高結晶ポリプロピレン系樹脂が5ないし150重量部の割合で配合された請求項1記載のポリプロピレン系樹脂の再生成形体。
- 請求項1又は2記載の再生成形体よりなるポリプロピレン系樹脂製品。
- 廃棄されたポリプロピレン系樹脂製品を破砕後、分別回収されたポリプロピレン系樹脂廃材と、沸騰ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド分率が該ポリプロピレン系樹脂廃材の沸騰ヘプタン不溶分の平均アイソタクチックペンタッド分率より高い高結晶ポリプロピレン系樹脂と、を混合後、溶融成形することを特徴とするポリプロピレン系樹脂廃材の再生方法。
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