JP3729999B2 - 酸素ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の測定ガス中、中でも内燃機関より排出される排気ガス中の酸素濃度を検出するための酸素センサ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、酸素濃度検出器として、例えば、内燃機関の排気ガス中に含まれる酸素濃度を検知し、その検出信号に基づいて内燃機関の燃焼状態を最適にコントロールすることにより、排気ガスの浄化、燃費の節減等を行う酸素センサが知られている。このようなセンサの一つに、酸化カルシウムや酸化イットリウムで安定化した酸化ジルコニウムを酸素検知極として用いたセンサ素子が知られている。この検知極を排気ガス等の測定ガスに晒し、基準雰囲気中に晒した基準極との間に酸素濃淡電池の原理によって生ずる起電力を検出信号とし目的の測定ガス中の酸素濃度を測定するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、測定ガス中に一酸化炭素、メタン、プロパン等の可燃性ガスが含まれる系では、ジルコニア(酸化ジルコニウム)を用いたセンサでは、検知極で、例えば、可燃性ガスが一酸化炭素の場合は以下の反応により可燃性ガスの燃焼反応が起こり、酸素が消費されるため、正確な酸素濃度の測定はできなかった。
【0004】
【化1】
CO+1/2O2→CO2
【0005】
仮に、残存酸素として5%の酸素を含む測定ガス中に可燃性ガスの一種である一酸化炭素(CO)が1%含まれている場合には、酸素ガスの測定前にCOが完全に燃焼し尽くされたとすると、その際CO濃度の2分の1の量の酸素が消費されることとなり、結果として測定される酸素濃度は4.5%となってしまうという欠点がある。
そのために、このような可燃性ガスを含む測定ガスにおいては、主にカルバニ式や磁気式の酸素測定装置が使用されている。しかし、これらの装置の場合にはジルコニア式のセンサのように直接測定ガス中に挿入できないため、サンプリング装置を必要とすることとなる。その結果として、サンプリング装置の保守点検頻度が高くなることに加えて、センサそのものも安定性が乏しく、連続測定用のセンサとしては不向きであるという問題点がある。
更に、各装置にそれぞれ特有の干渉ガスによる影響があり、正確な測定がいまだ実現していないのが現状である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、可燃性ガスを含有する測定ガスに含まれる酸素ガスの濃度を適正に測定する酸素ガスセンサおよびその酸素ガスセンサを用いた酸素ガス濃度の測定装置を提供するものである。即ち、本発明によれば、酸素イオン伝導性を有する固体電解質と、当該固体電解質の表面の少なくとも一部に電気的に接続される、酸素ガス測定用の検知極および基準極を有する酸素ガスセンサであって、当該検知極は、99wt%以上の金に0.1%〜1wt%のRh、Pt、Pd、Agから選ばれた貴金属を加えた合金からなり、電極形成時に、同合金にガラス成分を加えて形成されたものであることを特徴とする酸素ガスセンサ、が提供される。
【0007】
センサの構造として、酸素ガス測定用の検知極と基準極の両方の電極が、該固体電解質の同一面上に配置された構造としてもよい。さらに、該酸素ガス測定用の検知極と基準極に加えて、酸素ガス測定用の参照極を設けた三電極構造としてもよい。
【0008】
本発明の酸素ガスセンサにおいては、酸素測定用の検知極と基準極間に一定電流を流し、このときの該検知極における酸素ガスの吸着/酸化による起電力変化を測定する方法が用いられ、これによって酸素の検出感度を向上させることが可能である。あるいは、該検知極と該基準極間を一定の電圧に保持したときに、該検知極における酸素ガスの酸化反応による電流変化を測定することによっても、酸素の検出感度の向上が図られ、濃度測定を良好に行うことが可能である。
【0009】
上記の酸素ガスセンサの構成部材の一つである固体電解質は、酸化ジルコニウムと安定化剤とから構成されていることが好ましく、該安定化剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、希土類金属酸化物が好適に用いられる。また、酸素ガス測定用の検知極以外の電極としては、多孔性白金、または多孔性白金と該固体電解質と同じ材料との混合物から構成されるサーメット電極を使用することが好ましい。さらに、該固体電解質の近傍に、あるいは同固体電解質と一体的に設けた温度測定用素子とヒータにより、該固体電解質を600℃〜900℃の一定温度に加熱・保温することができる構造とした場合には、測定値の温度依存性の低減にも対処することが可能となる。
また、酸素測定用電極に参照極を加えた電極構造の場合には、酸素ガス測定用の検知極および基準極間に一定の電流を流して参照極と検知極との間の電圧を測定する事により、あるいは検知極と参照極間を一定の電圧に保持して検知極と基準極間の電流を測定することにより、検知極での酸素ガスの反応のみを分離してより高精度に測定することが可能である。従って、本発明においては、酸素ガスセンサの構造に応じて、上述した測定方法を組み合わせて応用する事により測定精度を向上させることが可能である。
【0010】
酸素ガス測定用の検知極を固体電解質の上に形成するに際しては、同固体電解質を予め化学エッチングなどの処理により図6に模式的に示したようその表面を粗面化し、同固体電解質と同検知極との密着性を高めると共に、同検知極と同固体電解質との接触界面の面積を増大することにより更に酸素ガスの濃度の検出感度を増大させることができる。
また、エッチングに代えて、例えば、AuまたはAu合金の特定の大きさの微粒子からなる層を固体電解質上に配置し、その微粒子層の上に電極膜を配置することによっても、同一の効果が得られる。
【0011】
本発明によれば、上記の酸素ガスセンサを特開平1−250753号公報に開示されている測定雰囲気に直接挿入する直入型や特開平3−277957号公報に開示されている測定雰囲気の近傍に配置させ、測定する気体の流速を利用して測定気体を装置内に取り入れて測定するいわゆる直結型の燃焼排ガス中のガス成分濃度測定装置用のセンサとして使用することにより、より正確な酸素ガス濃度の測定ができるので、より完全な燃焼を達成するためのデータのフィードバックが可能となり、燃焼効率を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
上述の通り、本発明によれば、燃焼機関あるいは特定領域の気体中の酸素(O2)ガスの濃度を測定する場合に、酸素ガス測定用の検知極に、従来から使用される白金よりも触媒性の低い金または金合金よりなる金属とガラス成分から形成された電極を用いることによって、検知極においての酸化反応、例えば、CO+1/2O2→CO2やSO2 +1/2O2→SO3などの反応を抑制することができるので、酸素ガス濃度測定値へのこれらのガスの影響を小さくすることができ、さらにセンサの作動温度を600℃〜900℃と高温とすることによりガス吸着などによる干渉影響を避けることができるという利点がある。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の酸素ガスセンサの基本構造を示す断面図である。固体電解質板1と、固体電解質板1を挟み込む一対の電極である基準極2と検知極3とが固体電解質板1の表面に形成される。このとき、基準極2は基準ガス側に、検知極3は測定ガス側に形成され、それぞれの電極にはリード線4、5が取り付けられる。また、固体電解質板1は基体6に嵌挿されて測定ガス領域と基準ガス領域との隔壁の役割をも果たしている。
【0014】
固体電解質板1としては、酸素イオン伝導性を有する材料であればよく、酸化ジルコニウム、酸化ビスマス、酸化セリウムが例としてあげられるが、本発明においては、高温安定性、化学的安定性に優れた安定化ジルコニアが好適に使用される。安定化ジルコニアとは、純粋な酸化ジルコニウムは約1000℃において、単斜晶と正方晶との間で体積変化を伴うマルテンサイト型相転移を起こし、この相転移のときにクラックの発生が生ずるので、これを防止するために、安定化剤と呼ばれる2価または3価の金属酸化物を固溶させて、酸化ジルコニウムの高温安定相である立方晶を全温度範囲で安定相とさせたものである。また、このような安定化剤の固溶は、酸素欠陥を生じさせ、イオン伝導度を向上させる役割をも果たす。本発明における安定化剤としては、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化スカンジウム(Sc2O3)および希土類酸化物が好適に用いられる。
【0015】
また、固体電解質板1の作製方法としては、公知の種々の方法、例えば、プレス成形法、鋳込み成形法、あるいは押出成形法やドクターブレード法により作製したグリーンシートを打ち抜き加工等することにより、所定形状の成形体を得ることができ、これを脱脂・焼成して作製される。さらに、必要に応じて、研削・研磨加工を行い、試料板が作製される。また、化学エッチング、例えば2.5%フッ素酸溶液に20〜30分浸漬して、表面の粗面化を行ってもよい。
【0016】
次に、基準極2は、固体電解質板1に電気的に接続するものであり、また、ガスを拡散/吸着する電極としての機能を必要とするために、多孔性であることが好ましい。この基準極2は基準ガス中のO2をイオン化する電気化学反応の場でもあることから、これに適する材料としては、O2を吸着し、イオン化する性質を有する白金(Pt)が好適に使用される。また、Ptを主成分としたパラジウム(Pd)やロジウム(R h)等との合金、あるいは、Pt又はPt合金と固体電解質材料とのサーメット材料を使用してもよい。なお、基準極2の材料としてサーメットを使用する理由は、基準ガス中のO2をイオン化する電気化学反応は、ガス相と金属電極と固体電解質の三相界面で起こることから、この反応用のスペースを多く提供することと、電極と固体電解質との密着性の向上および熱膨張係数の整合を図って、高温での使用における熱応力による電極の剥離等を防止することにある。
【0017】
基準極2の固体電解質板1への取り付けは、Ptを含むペーストあるいは、Ptと固体電解質とのサーメットよりなるペーストを固体電解質板1の表面にスクリーン印刷等の方法によって印刷し、ペーストが未乾燥の状態でPtメッシュを当てて乾燥して焼き付ける方法や、PtメッシュをPtを含むスラリーに含浸させたのち、スラリーが未乾燥の状態で固体電解質板1上に載置して焼き付ける等の方法が最も簡易で行い易い。あるいは、これらのペーストをスクリーン印刷した状態のままでも構わない。このときの焼き付けは、基準極2とは固体電解質板1の反対の面に形成される検知極3の焼き付けと同時に行ってもよいし、逐次、それぞれ別々に行ってもよい。Ptリード線4の基準極への取付は、基準極がPtメッシュの場合には、予めスポット溶接、アーク溶接等を用いて、Ptリード線4とPtメッシュとを溶接しておく方法が、取り付け強度が高く、好ましい。また、スクリーン印刷のみの電極形成の場合には、焼き付けによりPtリード線4を取り付けることが可能である。その他の電極形成方法としては、Ptメッキ、塩化白金膜の焼付け等をあげることができる。
【0018】
一方、固体電解質板1の基準極2が取り付けられた反対の面には、検知極3が設置される。検知極3も基準極2と同様に、固体電解質板1に電気的に接続し、また、ガス相と金属電極と固体電解質の三者の接触界面において、酸素の測定感度を高めるために多孔性であることが好ましい。また、これに適する材料としては、共存するCOガスの酸化を促進させない性質を有することが好ましい。即ち、前述の化1式に示されるような測定対象の酸素と排ガス中に共存するCOガスとの反応を促進するようなものでないことが好ましい。
【0019】
このことから、検知極用の金属としては本発明においては、金(Au)が好適に使用される。また、Auに0.1〜10wt%の他の貴金属を加えたAu合金を用いるとより好ましい。Auに0.1〜10wt%、好ましくは0.1〜5wt%、より好ましくは、0.1〜1wt%の他の貴金属を加えることにより検知極の製造時の高温下でのAu粒子の凝集を抑制し、検知極の多孔質性の保持と検知極の表面積の拡大化が可能となり、結果として酸素の検出感度をより向上させることができる。
なお、Auと合金化される金属としては、Rh、Pt、Pd、銀(Ag)等が例としてあげられる。このときの、Auの含有率としては、90wt%以上、好ましくは95wt%以上、より好ましくは99wt%以上が好適であり、Auの含有率は合金の融点と焼付け温度あるいはセンサの使用温度により適宜選択し定めればよい。係る合金の調製方法としては、常法に従えばよい。
勿論、Auまたは、 Au合金に固体電解質板と同じ材料を混合したサーメット電極も好適用いられる。サーメット材料を使用する理由は基準極2の場合と同様である。
AuまたはAu合金の微粒子を用いて、微粒子層を形成させて、その上に電極膜を形成する場合は、微粒子を分散させたペーストを固体電解質上に塗布し、これを焼成するか、微粒子層と電極膜を順次塗布し、これを焼成すればよい。なおAuまたはAu合金の微粒子とは、平均粒度が0.01〜10μmのもの、好ましくは、0.01〜1μmのもの、より好ましくは0.01〜0.1μmのものをいう。
粒子の形状は、必ずしも球形でなくともよく、顆粒状のものや、ラグビーボール様のものでもよい。
【0020】
金または金合金と検知極製造時に併用するガラス成分としては、金または金合金の融点以下で溶融するものであれば、どんな種類のものでも使用可能であるが、なかでもホウケイ酸ガラスが好適に使用される。
金または金合金にガラス成分を添加して使用することにより、検知極製造の際、ガス相と金属電極と固体電解質の三者の接触界面にガラス相が析出することによりこの三者の接触界面での可燃性ガス、例えばCOガスなどの反応を更に抑制することができるので、可燃性ガスによる干渉影響を低減させることができる。また、ガラス成分の併用により固体電解質よりなる基体と検知極との密着性も向上する。
【0021】
ガラス成分の添加量は、金または金合金とガラス成分の総量(重量)の1〜10wt%となる範囲内で任意に選択するればよい。
検知極の形成は、金または金合金とガラス成分の混合粉末をペースト状にして固体電解質よりなる基体上に塗布した後、これを焼成するか、またはこれらの粉末を適当な溶媒に分散させて得られた分散液を固体電解質よりなる基体上に塗布した後、これを焼成すればよい。
なお、ガラス成分の添加量が1%未満では固体電解質よりなる基体と検知極との密着性の向上も認められず、可燃性ガスによる干渉影響を低減させる効果も充分でない。また、10%を越えると検知極の性能を低下させる恐れがあり、好ましくない。
【0022】
検知極3へのリード線5の取り付けは、前述した基準極2の場合と同様にして、電極材としてのAuまたはAu合金を含むペーストあるいはAuと固体電解質とのサーメットよりなるペーストと、AuメッシュまたはAu合金メッシュ、そしてAuリード線5を用いて行うことができる。
【0023】
このようにして電極が取り付けられた固体電解質板1は基体6に嵌挿され、固体電解質板1が基準ガス雰囲気と測定ガス雰囲気とを隔てる隔壁の役割を果たす。固体電解質板1と基体5とのシールは、ガラス融着材等を用いることができる。また、基準ガスとしては、通常は空気が用いられる。このような隔壁型の構造とした場合には、基準ガスと測定ガスのそれぞれの酸素ガス分圧の違いによる起電力を測定することによって、測定ガス中の酸素ガス濃度を測定することが可能であり、このときには基準極2を検知極3と同じ材質で形成しても差し支えない。
【0024】
図2は、本発明の別の実施形態を示しており、有底円筒形とした固体電解質基体11の先端部の内側に基準極12を、その外側に検知極13を設け、各電極からPtリード線14、Auリード線15が引き出された構造を示している。有底円筒形の固体電解質基体11は鋳込み成形、押出成形、射出成形等による成形体を焼成することで容易に作製でき、各電極の取付も、図1の実施形態についての説明と同様に、電極材料を含むペースト等を電極取り付け位置に塗布し、電極材のメッシュを当てて焼き付けることで作製することが可能である。本実施形態も、測定ガスと基準ガスとを隔離する構造であるので、センサは濃淡電池を構成することから、基準極12を検知極13と同じ、AuまたはAu合金を主成分とする材料で構成することも可能である。
【0025】
図3は、図2に示した実施の形態において、酸素ガス検出用の検知極13の表面上に、ガス拡散律速層18を設けたものである。このガス拡散律速層18は、検知極13の表面へのCOガス以外の可燃性ガスを除去できるガス拡散律速層であって、このようなガス拡散律速層18を設置することによって本発明のセンサにおける酸素ガスの選択性を向上させるとができる。具体的には、ゼオライト膜等が用いられ、その成形方法としては、検知極13の表面にディッピング等の方法によって検知極13の材料に積層形成するか、あるいは、検知極13を固体電解質基体11に形成した後に、スクリーン印刷等の方法によって形成することが可能である。また、このようなガス拡散律速層18は、上述した全ての実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0026】
さらに、図4は図1に示した本発明の酸素ガスセンサにおける基本構造において、酸素ガス測定用の参照極7を設けた構造を示している。この参照極7は基準極2と同様に多孔質Ptから構成され、リード線8としてはPt線が使用される。本構造の酸素ガスセンサにおいては、基準極2および検知極3の間に一定の電流を流すときの、参照極7と検知極3との間の電圧を測定することにより、検知極3での酸素ガスの反応のみを分離して測定することができるので、より高精度な測定が可能となる。
【0027】
図5は、図2に示した有底円筒形の固体電解質基体11を用いた実施形態にPtリード線17を取り付けた参照極16を設置した実施形態を示したものであるが、参照極16の機能は、図4に示した参照極7と同様である。
図6は、本発明におけるO2検知極形成方法の一つの態様を示すものである。図7は、図1に示すO2ガスセンサを搭載した直結型のO2ガス測定装置の基本構造の概略図である。同装置はセンサ装置の取付部118を有するセンサケース110と、同センサケース110に着脱自在となるように取付けられたセンサカバー114と、同センサ箱内に収容された本発明に係るO2ガスセンサ108、同センサ108固定用の固定台109と基準ガス供給管112と、センサ108の前面に設けられた多孔質セラミックスよりなるフィルター113と、二重構造を有する被測定気体採取管103とエゼクターガス供給管101より基本的には構成されている。
【0028】
被測定気体採取管103は二重構造とされており、外周側には被測定気体採取路115が形成され、内側には被測定気体排出路104が形成される。
エゼクターガス供給管101の一端にはエゼクター供給口107が設けられる。このエゼクターガス供給管101は、まず101aで示すように保温材102の中を通った後、露出状態で被測定気体採取管103の外周に螺旋状に巻き付けられた形状の露出したエゼクターガス供給管部101bへと至り、次いで直線状の露出したエゼクターガス供給管部101cへと連なり、更に再び101dで示すように保温材102の中を通って設けられ、被測定気体採取管103の内部に露出してエゼクター106へと連なる。
【0029】
エゼクター供給口107よりエゼクターガスを供給すると、このエゼクターガスは、保温材102内の埋め込み部分101a、露出部101b,101c、保温材102内の埋め込み部分101dを順次通過し、エゼクター106のエゼクター吹出口120より吹き出される。これにより、エゼクター106の周辺が負圧となって対流が起こる結果、装置の外部から被測定気体が採取口116より採取され、被測定気体採取路115内を矢印Aのように流れ、反転して被測定気体排出路104内を矢印Bのように流れ、再び装置の外部へと排出される。その間に被測定気体中のO2ガスがセンサ108により測定される。
【0030】
【発明の効果】
上述した通り、本発明の酸素ガスセンサによれば、内燃機関を含む燃焼機関からの排ガスや外気と遮断された空間、例えばタンクやサイロなどの特定領域に存在する空気中の酸素ガスの濃度を測定する場合に、酸素ガス測定用の検知極に、従来から使用されるPtよりも触媒性の低いAuまたはAu合金よりなる電極の形成の際ガラス成分を併用することによって、酸素ガスの選択性を向上させることが可能となる。さらにセンサは600℃〜900℃といった高温において作動することができるので、測定ガス中に含まれる他成分干渉ガスによる誤差を低減できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酸素ガスセンサの基本構造を示す断面図である。
【図2】 本発明の酸素ガスセンサの一実施形態を示す断面図である。
【図3】 本発明の酸素ガスセンサにおいて、ガス拡散律速層を設けた実施形態を示す断面図である。
【図4】 本発明の酸素ガスセンサにおいて、参照極を設けた実施形態を示す断面図である。
【図5】 本発明の酸素ガスセンサにおいて、参照極を設けた別の実施形態を示す断面図である。
【図6】 本発明の酸素ガスセンサにおいて、固体電解質の酸素ガス検知極との結合部位を形成する側の表面を粗面化し、その表面に酸素ガス検知極を形成したものの固体電解質と酸素ガス検知極との結合状態を模式的に示す断面図である。
【図7】 本発明のガスセンサを搭載したO2ガス測定装置の断面図である。
【符号の説明】
1…固体電解質板、2…酸素ガス測定用基準極、3…酸素ガス測定用検知極、4…Ptリード線、5…Auリード線、6…基体、7…酸素ガス測定用参照極、8…Ptリード線、11…固体電解質基体、12…酸素ガス測定用基準極、13…酸素ガス測定用検知極、14…Ptリード線、15…Auリード線、16…酸素ガス測定用参照極、17…Ptリード線、18…ガス拡散律速層、20…粗面化された固体電解質、101…エゼクターガス供給管、101a,101d…保温材に埋め込まれたエゼクターガス供給管部、101b,101c…露出したエゼクターガス供給管部、102…保温材、103…被測定気体採取管、104…被測定気体排出路、106…エゼクター、107…エゼクター供給口、108…センサ、109…センサ固定台、110…センサケース、111…基準ガス入口、112…基準ガス供給管、113…フィルター、114…センサカバー、115…被測定気体採取路、116…被測定気体採取口、118…センサ装置の取付部、120…エゼクター吹出口、A…排出された気体の流れの方向を示す矢印、B…排出される気体の流れ方向を示す矢印。
Claims (6)
- 酸素イオン伝導性を有する固体電解質と、当該固体電解質の表面の少なくとも一部に電気的に接続される、酸素ガス測定用の検知極および基準極を有する酸素ガスセンサであって、
当該検知極は、99wt%以上の金に0.1%〜1wt%のRh、Pt、Pd、Agから選ばれた貴金属を加えた合金からなり、電極形成時に、同合金にガラス成分を加えて形成されたものであることを特徴とする酸素ガスセンサ。 - 当該固体電解質が、酸化ジルコニウムと安定化剤とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の酸素ガスセンサ。
- 当該固体電解質に含まれる当該安定化剤が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、希土類金属酸化物のいずれか一つ、または複数の前記安定化剤を含むことを特徴とする請求項2記載の酸素ガスセンサ。
- 当該酸素ガス測定用の検知極以外の電極が多孔性白金、または白金と当該固体電解質と同じ材料との混合物から構成されるサーメット電極であることを特徴とする請求項3記載の酸素ガスセンサ。
- 更に参照極を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素ガスセンサ。
- 固体電解質を600℃〜900℃で使用する請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸素ガスセンサ。
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