JP3725817B2 - 非球面レンズの偏心測定方法及び偏心測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面非球面レンズ及び片面非球面レンズの双方を含む非球面レンズの非球面軸の傾きを測定する為の非球面レンズの偏心測定装置及びその偏心測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非球面レンズがもつ偏心を検査する為の測定技術としては、近年、例えば特開平7-159283号公報にその非球面レンズ用の偏心測定装置とその偏心測定方法が開示されている。この従来の非球面レンズ偏心測定方法を図8(a)〜(e)で説明し、これを実現する為の従来の非球面レンズ偏心測定装置の概要について図9に基づき説明する。
まず図8(a)に、両面に非球面をもったレンズを例示する。被検レンズとしてのこの非球面レンズの実線で示す両面の非球面1b,1aは、仮想線1a’,1b’で示す近軸球面を基準として設計された面である。近軸球面1a’,1b’の曲率中心1ob,1oaを結ぶ線hが非球面レンズ1の光軸となる。また、例示のような両面が非球面のレンズでは、非球面1bの頂点(面頂)1tbと、近軸球面1b’の曲率中心1obとを結ぶ非球面軸ibと共に、非球面1aの頂点(面頂)1taと、近軸球面1a’の曲率中心1oaとを結ぶ非球面軸iaとの2つの非球面軸が存在する。この非球面レンズが設計どおりに製作されていれば、これら3つの軸は完全に一致するが、実際にはそのようなレンズを製作することは困難である。
【0003】
図8(a)の如く二つの非球面軸ia、ibと光軸hとがずれた状態では、非球面1bと1aは理想状態から傾いており、光軸hと非球面軸iaとibはそれぞれ角度εaとεbとを成して交差している。この角度εbが非球面1bの非球面偏心量であり、角度εaが非球面1aの非球面偏心量である。そして、図8(c),(d)のグラフに表わすように光軸を基準として、原点から非球面面頂(非球面の頂点)への方向が非球面偏心の方向である(即ち、受け面1aの非球面偏心の方向はθεa、受け面の反対面1bの非球面偏心の方向はθεbとなる)。非球面レンズを製作した場合、出来上がったレンズの評価をする為には、まずこの非球面偏心量と方向を測定してから、その後に、製品の評価及び、型修正などを行なう必要がある。
【0004】
一方、図8(b)に、片面のみが非球面の場合の非球面レンズを例示する。非球面1bは仮想線1b’で示す近軸球面を基準として設計された面である。非球面1bの近軸曲率中心1obと球面1aの曲率中心1oaとを結ぶ線hが非球面レンズ1の光軸となる。このような非球面レンズの場合には、非球面1bの頂点1tbと近軸球面1b’の曲率中心1obとを結ぶ非球面軸ibが一本定義される。この非球面レンズが設計どおりに製作されていれば、光軸hと非球面軸ibは完全に一致するが、実際にはそのようなレンズを製作することは困難である。図8(b)に示す如くに非球面1bは理想状態から傾いており、光軸hと非球面軸ibは角度εbで交差している。この角度εbが非球面1bの非球面偏心量であり、図8(e)のグラフに表わすように光軸を基準として、原点から非球面面頂への方向が非球面偏心の方向θεbである。よって、片面のみ非球面の場合にはこの非球面偏心量εb及び方向θεbに基づいてレンズの評価及び型修正などを行なう必要がある。
【0005】
図9には、特開平7-159283号公報に記載された非球面レンズ用の偏心測定装置100が開示されている。この偏心測定装置100は、両面共に非球面である被検レンズ101を保持する手段102と、この保持手段102を該被検レンズの光軸とほぼ重なる回転軸回りに回転する駆動手段103と、該被検レンズの回転原点位置を検知する手段104と、該被検レンズに回転軸方向から光を照射する光源105と、該被検レンズから反射された光のスポット像を結像する光学系107と、この光学系の結像位置に設けられスポット像の位置を検知する手段108と、該被検レンズの両面の光軸方向の変位を測定する二つの変位測定手段109,110と、前記スポット像位置検知手段108、回転原点位置検知手段104、及び各変位測定手段109,110からのデータを受けて非球面軸の偏心方向及び偏心量を算出する演算手段112とを有した構成を特徴としている。さらに、前記演算手段112の指示により該被検レンズをその光軸kとほぼ直交する方向に移動させるアクチュエータ111を設けた構成とすることが望ましいとも示唆されている。
【0006】
また上述の従来技術は、次のような第一、第二、第三の従来測定方法によって非球面偏心測定を行なうことを教示している。すなわち、第一の従来測定方法では、前記保持手段102が前記回転軸kとほぼ平行な軸を有する中空円筒形状の保持部を有し、当該円筒の直径が前記非球面レンズのほぼ球面と見なせる近軸領域の直径より大きくない構成にしたり、或いは、前記中空円筒形状の保持部が薄肉円筒から成る構成や、ナイフエッジ状を成す該被検レンズ101との接触縁を有するような構成として実施された。
上記第一の従来測定方法は、両面共非球面である被検レンズ101を受け面101aで保持し、この被検レンズ101を受け面101aの非球面軸回りに回転させる。そして、該被検レンズに回転軸方向から光を照射してその被検レンズ101の受け面の反対面101bからの反射光を光学系の結像面にスポット像として結像させ、当該スポット像の位置と被検レンズ101が回転するときに当該スポット像が描く円の大きさとから受け面101aの非球面軸とレンズ光軸との偏心方向及び偏心量を求め、この偏心量からその偏心に基づく受け面の反対面101bに関する回転軸方向の変位を算出値とし、受け面の反対面101bの回転軸方向の変位を実測する。そして、この実測値から上記算出値を引算して、受け面の反対面101bに関する非球面軸のレンズ光軸に対する偏心量及び偏心方向を求めるという特徴をもっている。
【0007】
第二の従来測定方法としては、被検レンズ101を受け面101aの前記回転に伴う回転軸方向の変位を測定し、この変位が0になるように被検レンズ101を回転軸とほぼ直交する方向に移動してその受け面101aの非球面軸と回転軸とを一致させるような構成や、或いはまた、この被検レンズ101を前記回転軸kとほぼ直交する方向に移動するアクチュエータ111を設け、その受け面101aの変位についてアクチュエータ111を変位量に応じてフィードバック駆動するような構成にしてもよいと示唆している。
さらに第三の従来測定方法としては、両面共非球面である被検レンズ101を受け面101aで保持し、この受け面の反対面101bの近軸曲率中心を通る軸を中心にして被検レンズ101を回転させる。そしてこの被検レンズ101に回転軸方向から光を照射し、被検レンズ101のその受け面101aからの反射光を光学系の結像面にスポット像として結像させる。当該スポット像の位置と、被検レンズ101が回転するときに当該スポット像が描く円の大きさとから、その回転軸と被検レンズ101の光軸kとの偏心方向及び偏心量を求めるという方法と構成や、或いは、その回転軸と被検レンズ101の光軸との偏心量から、当該偏心に基づく被検レンズ101両面の回転軸方向の変位を算出し、該被検レンズ両面の回転軸方向の変位を実測し、得られた各実測値から算出値を差し引くことで両非球面軸のレンズ光軸に対する偏心量及び偏心方向を求めるという方法と構成も示唆している。
このような従来技術により、被検レンズがもつ非球面の非球面軸の光軸に対する偏心量と偏心方向を測定することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては、以下の理由により高精度にて測定を行なうのが困難である。すなわち、上記第一の従来測定方法では、被検レンズの非球面を受ける際に、保持する部分の径を小さくし、近軸領域でその面を受けることにより、該被検レンズを傾けても曲率中心がずれないことが前提であるが、近軸球面に対する非球面との差がどの程度までを近軸領域と見なせるかについては明確にされていない。実際には被検レンズを傾けることにより、曲率中心は回転軸からずれる場合も考えられ、しかもそのずれが大きくなるに従い、非球面軸偏心測定結果への誤差は大きくなる。
また、被検レンズを傾けた際に発生する曲率中心のずれを小さくする為には、その被検レンズを受ける面の真円度を測定したい精度に応じた高い精度で加工を行なう必要があるが、その精度は被検レンズを受ける部分の口径が小径になればなる程、それを達成するのは困難になる。
【0009】
上記第二の従来測定方法では、受け面の回転に伴う回転軸方向の変位を測定し、この変位が0になるように該被検レンズを回転軸とほぼ直交する方向に移動して受け面の非球面軸と回転軸とを一致させている。このように一致させる事は、実際の場合では、変位量には測定系のノイズや被検面の凹凸等の影響などのために、変位量が0になることはなく、非常に困難な作業である。ここで、所定の変位量以下を0と見なす処理を行なうことで、非球面軸と回転軸が一致したと見なすことも可能であるが、その量を大きくすれば調整は簡単になるが、測定誤差が大きくなる。反対にその量を小さくすれば測定誤差は小さくなるが、調整は困難になってしまう。
また、上記第三の従来測定方法では、受け面の反対面101bの近軸曲率中心を通る軸を中心に被検レンズ101を回転させて、受け面101aからの反射光のスポット像が描く円の大きさとから回転軸と被検レンズ101の光軸kとの偏心方向及び偏心量を求めるとある。しかし、明言されてはいないが、この場合も、被検レンズの受け面の反対面101bの近軸曲率中心を回転軸に完全に一致させるという作業が必要になる。但し、完全に一致させることは近軸曲率中心測定系の分解能や調整系の分解能等の影響により非常に困難であり、0.5μm程度はその差が残ってしまう。スポット像が描く円の所定量以下を0と見なす処理を行なうことにより、近軸曲率中心と回転軸が一致したと見なすことも可能である。しかし、その量を大きく設定すれば調整は簡単になるが、測定誤差が大きくなり、反対に小さくすれば測定誤差は小さくなるが、調整が困難になってしまう。上述の従来方法においては、その調整残差は無視して取り扱う事になるので、受け面側の近軸曲率中心位置算出の際に誤差となってしまい、これが測定精度の低下を招いてしまう。
【0010】
このように従来の測定方法では、被検レンズとしての非球面レンズの非球面軸と回転軸が一致したという設置状態の仮定と前提のもとに、そのレンズ設置状態で測定を始める方式のものであった。また、非球面レンズとしての光軸hと、その非球面レンズの非球面軸ibが完全には一致していない事から生ずるその非球面軸のレンズ光軸に対する偏心量及び偏心方向を求める際には、その非球面レンズに関する面頂位置の算出(チルト量、シフト量の算出に基づく演算)は特に行われず、その面頂を通るはずの軸(非球面軸)のずれについての再確認は求められていなかった。それ故に適宜な調整もされないので、その結果として、自ずと測定精度の向上に限界があった。
【0011】
そこで、本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、容易にかつ高精度に非球面レンズの非球面偏心量及びその方向の測定方法及びそれを実現する為の測定装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成する為、本発明では次のような手段を講じている。即ち第1の態様によれば、被検レンズを保持する為のレンズ受け部と、このレンズ受け部を回転自在に構成された回転レンズ支持部材と、この回転レンズ支持部材の回転軸に対する該被検レンズの両面の近軸曲率中心の偏心量と方向を検出する為の近軸偏心測定手段と、被検面の形状を検出する為の被検面形状測定手段と、該被検レンズの回転角を検出する為の回転角測定手段と、該被検レンズを回転させて前記被検面形状測定手段で測定して得たデータと被検面の設計式とを対比させ、両者の差が最も小さくなる相対的なシフト量及びチルト量を求め、該シフト量及びチルト量から前記回転軸に対する面頂の位置を計算し、該面頂の位置と前記近軸偏心測定手段で測定した該被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量及び方向とから、該被検レンズの光軸に対する非球面軸の傾き量と方向とを算出する演算手段と、を備えた非球面レンズの偏心測定装置を提案する。
【0013】
また第2の態様によれば、被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量を検出する近軸偏心測定手段と、該被検レンズの被検面の形状を検出する被検面形状測定手段と、該被検レンズの回転角を検出する為の回転角測定手段とを備えた偏心測定装置における非球面レンズの偏心測定方法において、前記近軸偏心測定手段により回転軸に対する被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量及び方向を検出する近軸曲率中心検出工程と、前記被検面形状測定手段により前記被検面の形状を測定する形状測定工程と、測定した被検面形状と所定の設計式を対比させ、両者の差が最も小さくなる被検面形状の面頂の位置を計算する第一の演算工程と、前記被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量及び方向と前記面頂の位置とから非球面レンズの偏心を求める第二の演算工程と、を有することを特徴とする非球面レンズの偏心測定方法を提案する。
なお、ここで云う非球面レンズは、両面非球面レンズ及び片面非球面レンズの両者を含むものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明についての実施形態を挙げ、図1〜図4に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態としての非球面レンズの偏心測定装置を示し、図2及び図3は、非球面偏心値を求める際の考え方を詳しく図解で示している。図4は、非球面レンズの偏心測定方法に関係する演算手順を流れ図で示している。図1において、非球面レンズの偏心測定装置2は、測定対象の被検レンズ1を回転自在に保持する被検レンズ受け部3と、被検レンズ受け部3を回転させる為の回転レンズ支持部材4と、回転レンズ支持部材4の回転軸9に対する被検レンズ1の両面にある被検面1a及び1bの近軸曲率中心の偏心量を検出する為の近軸偏心測定部5と、回転軸9に対するレンズ受け面の反対面1bにおける非球面軸の傾き角を検出する為の被検面形状測定部(変位センサ部)6と、回転軸9の回転角を検出する為の回転角測定部7と、近軸偏心測定部5、被検面形状測定部(変位センサ部)6及び回転角測定部7の各々の測定値を演算する演算部8とにより構成されている。
【0015】
鉛直断面でここに図示した被検レンズ受け部3上に載置された被検レンズ1とその受け部となる接触部(内径、外径エッジ)3a、3bは、回転レンズ支持部材4の回転軸9に対してほぼ同心加工されている。この回転レンズ支持部材4の上面には被検レンズ受け部3が設置され、被検レンズ受け部3の上端面にある内径側の内径エッジ3aまたは外径側の外径エッジ3bにて被検レンズ1を受けるようになっている。内径エッジ3a及び外径エッジ3bは回転軸9に対して同心加工されてあるので、内外径それぞれのエッジ3a、3bの中心は回転軸9上にある。
【0016】
なお、ここで測定対象となる被検レンズ1は、両面に非球面がある非球面レンズである。そして、10で示す線は非球面軸の検出軸、1oaで示す点は被検レンズ1の受け面側の近軸曲率中心、1obで示す点は被検レンズ1の受け面の反対面の近軸曲率中心である。
また、近軸偏心測定部5は、被検レンズ1の上面にその光学軸を回転レンズ支持部材4の回転軸9と同軸に設置されている。
【0017】
図1には詳しくは示していないが、近軸偏心測定部5の内部には、光源と光学系と撮像素子とを有し、更に、光軸に沿った光束を光源及び撮像素子の二方向に振り分ける為のミラー又はプリズム等から成る光路切替手段を備えている。ランプ等の光源から照射された光束は上記光学系により被検レンズ1の被検面の近軸曲率中心に集光するような光束を照射する。近軸偏心測定部5の内部に設けられた光学系は、その被検レンズ1の被検面の曲率に応じて照射する光束の集光点を可変とするように、その光学系を構成する一部のレンズ群が移動及び切替え可能な構成となっている。
【0018】
近軸偏心測定部5から照射され被検面で反射した光束は、同じ光路を戻り近軸偏心測定部5に入射し、光路内に存在する光路切替手段により折り曲げられて、撮像素子上に結像し、スポット状の像を結ぶ。被検面に全く偏心が無い場合(即ち設計上の理想形態)には、被検レンズ1を回転させながらその被検面に照射した光束の反射光を撮像素子で観察しても、スポットは「振れ回り」を生じない。
実際、被検面が回転軸に対して偏心がある場合においては、被検レンズ1を回転しながらその反射光を観察すると、偏心量に応じた半径にて「振れ回り」としてスポットが回転するのを近軸偏心測定部5内の撮像素子にて観察できる。
よって、このスポットの半径及び被検レンズの原点状態におけるスポットの回転中心からの方向により、被検面の偏心量及び偏心方向を検出することが可能である。
【0019】
具体的には、近軸偏心測定部5と回転角測定部7からの出力信号を演算部8に入力することにより、被検レンズ1を回転させた時の角度変化に対する被検面の近軸曲率中心の撮像素子上の位置変化の測定を行なって、その被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向を算出して検出できる(参照:図4のS10)。
被検面形状測定部(変位センサ部)6は、被検レンズ1の回転に伴う受け面の反対面1bの検出軸10方向の変位量を検出する。図1にはその詳細な構成は図示していないが、レーザ光源と干渉光学系とファイバから成り、ファイバ出射端面から被検面に照射された光束は再度ファイバから被検面形状測定部(変位センサ部)6に入射され、変位の変化により干渉縞が変化する。その干渉縞の変化を受光センサで捉えて変位量を検出する。
【0020】
また、回転レンズ支持部材4の回転軸9上に被検面形状測定部(変位センサ部)6の回転移動の支点が在り、それを中心として被検レンズ1の受け面の反対面1bの測定点の法線に検出軸10を一致するように調整可能であり、支点位置の高さは被検レンズ1に応じて回転軸9上で移動することが可能に構成されている。また、被検面形状測定部(変位センサ部)6自身も、その検出軸10の方向に高さを被検レンズ1に応じて変更可能となっている。
被検面形状測定部(変位センサ部)6と回転角測定部7からの出力信号を演算部8に入力することにより、被検レンズ1を回転させたときの角度変化に対する検出軸10方向の高さ変化の測定を行なえる。
尚、本発明のこの第1実施形態においては、レンズ両面が凸状の非球面形状から成る被検レンズ1について説明してあるが、レンズの両面または片面が凹状の非球面または球面の被検レンズであっても同様に適応可能であることは云うまでもない。
【0021】
さらに具体的に、上述した非球面レンズの偏心測定の方法について説明する。上記構成の偏心測定装置において、被検レンズ1を被検レンズ受け部3にて支持しつつ回転レンズ支持部材4にて回転させながら調心を行なう。被検レンズ1の受け面1aの曲率中心1oaは受け面1aが球面の場合には、理論的には常に回転軸9の軸線上となるように調心される。ただし、受け面1aが非球面の場合には図1に例示のように、レンズ受け部3の内径エッジ3aが受け面1aの面頂から等距離にある場合には近軸曲率中心1oaは回転軸9上に存在するが、その関係が成り立たない場合には、近軸曲率中心1oaは回転軸9の軸線上には存在しない。
【0022】
そこで、被検レンズ1を回転レンズ支持部材4で回転させながら、近軸偏心測定部5を介して受け面の反対面1bの近軸曲率中心1obの回転軸9に対する偏心量を検出し、この偏心量が概略0となるように被検レンズ1の位置調整(偏心調整)を行なう。ここでの偏心調整では厳密に近軸曲率中心1obを回転軸9に一致させる必要はないが、受け面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量を測定するときに近軸領域で計算を行なうので、この受け面1aの反対面1bの偏心量が小さい方が検出精度は高くなる。回転レンズ支持部材4には回転角測定部7が接続されており、その測定した回転角度値により被検レンズ1の回転方向の基準を設定し、近軸曲率中心の偏心方向を測定する。
【0023】
被検レンズ1の受け面の反対面1bの「概略心出し調整」が完了した後、被検レンズ1の受け面1aの近軸曲率中心1oaを近軸偏心測定部5により、先程と同様に回転軸9に対する偏心量と偏心方向を検出する。ただしこの場合においては、受け面の反対面1bを通して受け面1aの近軸曲率中心1oaを観察している故に、近軸偏心測定部5と被検面の間の面の偏心量と方向との影響を考慮して計算しなければならない。その計算方法については特公昭51-9620号公報にも開示しているように、偏心量を測定する面よりも前方にある面の偏心量が既知であれば、両面の近軸曲率、肉厚、屈折率などの該被検レンズの設計データを用いて計算可能であり、この計算方法により、受け面1aの偏心量δa及び方向θaを算出可能である。
以上のように、近軸偏心測定部5と回転角測定部7の出力結果を用いれば、演算部8によって、受け面1a及び受け面の反対面1bの近軸曲率中心の偏心量δa、δb及び偏心方向θa、θbを算出することが可能である(詳細後述)。
【0024】
次に、図2(a)〜(g)を参照して非球面の偏心値を求める方法を説明する。 図2(a)は、前述した両面の近軸曲率中心1oa,1obと非球面面頂1ta,1tbの位置をxyzの三次元の関係で示し、図2(b),(c)は、xz, yz平面で示し、図2(d)及び(g)は、近軸曲率中心1oa,1obの位置をxy平面で示し、図2(e),(f)は、非球面面頂1tb,1taの位置をxy平面で示す。
【0025】
図2(d)及び(g)に示すように、近軸曲率中心1oa,1obの偏心量及び偏心方向より被検レンズ1が回転原点位置に在るときの近軸曲率球心位置をxy平面における値に換算することが可能である。すなわち、
受け面1aの近軸曲率中心1oaの位置は図2(d)に示すように、次式で表わせる。
【0026】
【数1】
【0027】
この受け面1aの反対面1bの近軸曲率中心位置は図2(g)に示すように、
【数2】
という換算式を用いて演算部8で求める。
【0028】
つづいて、変位センサ部6を被検レンズ1の被検面1bに応じてその検出軸10の角度を被検面1bの法線に一致させ、変位センサ部6の検出軸10方向の高さも被検レンズ1の被検面1bに応じて調整する。その状態で被検レンズ1を回転レンズ支持部材4により回転させて、検出軸10方向の高さの変化を、回転角測定部7により被検レンズ1の角度変化を出力し、両者を演算部8に入力する。
演算部8では、被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出値を回転レンズ支持部材4の回転軸9の方向に変換する。
【0029】
被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10の角度の支点位置と被検レンズ1の位置関係より、図1に示す測定半径rが算出される。この測定半径rと回転角測定部7の情報と被検面形状測定部(変位センサ部)6の出力を回転軸9方向に分解した情報より、x,y,z座標の三次元座標データに換算する。測定部の出力信号に基づくこの三次元座標データと該被検面1bの設計上の式(設計式)を対比させる(参照:図4のS20)。
この時に被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10は、回転軸9に対して傾いた構成となっているので、設計式との比較を行なう為には、回転軸方向の変位への変換を行なう必要がある。
【0030】
【数3】
【0031】
回転軸9からrだけ離れたポイントで非球面軸検出を行なう場合には、(5)式で示される高さ方向の情報を、次式により、x,yに分離して設計式と比較を行なう。ここでは、各測定ポイントに対する回転角測定部7の出力をθrotとする。
【数4】
【0032】
なお、図1では検出軸10が回転軸9に対して傾いた場合を例示しているが、この傾きθは0度、即ち回転軸9に対して平行な状態で、被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10を構成しても上記と同様な計算が成り立つ。
【0033】
上述した三次元座標データと設計式とを比較する具体的方法としては、例えば、測定三次元データを被検面1bの設計式上でシフトまたはチルトさせて、両者の差が最も小さくなるように調整を行なえばよい。即ち、シフト量として(1),(2)式で与えられる量をそれぞれx,y別に代入し、x方向とy方向のシフトを固定し、球心位置を中心としてx方向とy方向にチルトおよびz方向にシフトさせて、両者の差が最小となる状態を検出する。
【0034】
その後、測定三次元データのチルト量およびシフト量より逆算すれば、回転軸9に対する受け面の反対面1bの非球面面頂のxy平面における移動量1tbを求めることができる(参照:図4のS30)。
図3(a)、(b)を参照して、上記チルト量およびシフト量について説明すると、図3(a)、(b)で例示のように、上記計算で求めたx方向のチルト量をAbx,y方向のチルト量をAbyとすると、非球面面頂のシフト量1tbxおよび1tbyは次式で求められる。
【数5】
【0035】
さらに演算部8は、被検レンズ1の両面の近軸曲率中心位置と被検面1bの面頂位置とのデータにより、被検面1bの非球面偏心量εb及びその方向θεbを算出する(参照:図4のS40)。
この算出方法を図2(a)〜(g)を用いて、その手順を詳しく説明する。
第1のステップとして、受け面1aの近軸曲率中心位置1oaと、受け面の反対面1bの近軸曲率中心値1obを図2(d)及び(g)に示すようにそれぞれx、yの値に分解する。それぞれの数値は(1)〜(4)式と同様な式にて得られる。
【0036】
第2のステップとして、両面の近軸曲率中心偏心量を考慮して、図2(a)におけるz軸上での1oaから1obまでの高さZoを算出する。この高さZoは次式による。
【数6】
ここでraは受け面1aの近軸曲率半径、rbは受け面1bの近軸曲率半径、dはレンズ肉厚を表わす。
【0037】
第3のステップとして、受け面の反対面1bの面頂シフト量と受け面の偏心量とを考慮して、図2(a)におけるz軸上での1obから1tbまでの高さZbを算出する。また、高さZbは次式による。
【数7】
【0038】
以降のステップにおいては、xz平面とyz平面に分けて計算を行なうことになる。ここでは一例として先にxz平面上での計算を行ない、その後にyz平面の計算を行なうものとするが、説明の便宜上でそのように行なうのであって、yz平面を先に計算してもよいし、各ステップにおいてxz平面とyz平面を交互に計算を行なってもよい。
【0039】
第4のステップとして、xz平面でのz軸に対する非球面軸rbxと光軸1oax−1obxの傾きとから非球面軸偏心のx成分εbx を算出する。図3(a)に示すようにx成分εbxは次式による。
【数8】
【0040】
第5のステップとして、xz平面上で非球面面頂1tbxから光軸1oax−1obxに垂線を下ろし、その長さLbxを算出する。図3(a)に示すようにLbxは次式による。
【数9】
【0041】
上記第4と第5のステップをyz平面にも適用し、yz平面上で非球面面頂1tbyから光軸1oay−1obyに垂線を下ろし、その長さLbyを算出する。図3(b)に示すようにLbyは次式による。
【数10】
【0042】
第6のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの傾き、即ち非球面偏心量εbを算出する。εbは図3(a),(b)に示すように次式による。
【数11】
【0043】
第7のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの偏心方向θbを算出する。θbは光軸に対して非球面面頂が図3(a),(b)に示すようにx方向にLbx、y方向にLbyだけ離れていることより次式による。
【数12】
【0044】
上記のステップにより、光軸1oa−1obに対する受け面の反対面1bの非球面偏心量及び方向を正確に求めることができる。
被検レンズ1を被検レンズ受け部3上でレンズの回転位置を変えずに上下を反転させて設置し、同様の検出及び演算を行なえば、上述で求めた面の反対面の非球面偏心量εa及びその方向θaを正確に求めることができる。ただし被検レンズ1を反転しているので、偏心方向については反転させる方向により、x方向もしくはy方向の正負が反転し、設計式については、高さ方向が反転する。
【0045】
(効果A)
このように第1実施形態では、例えばレンズの両面が非球面の場合、近軸偏心測定部5により被検レンズ1の受け面1a及び受け面の反対面1bの近軸曲率中心位置の測定を行なうので、受け面1aが非球面であり、受け面の反対面1bの心出し調整時に受け面1aの近軸曲率中心が回転軸9からずれたとしても、測定値から被検レンズ1光軸を定義し直すことで正確な測定が可能となる。
尚、被検レンズ1を受ける被検レンズ受け部3の受け面も近軸領域である必要がないので、その寸法は加工精度の確保しやすい直径でよい。
また、受け面1aの近軸曲率中心1oaが正確に回転軸9に一致している必要が無いので、被検レンズ受け部3の回転軸9に対する同心度は厳密でなくても高精度の測定が可能となる。
【0046】
近軸偏心測定部5により上記受け面1aの反対面1bと受け面1aの近軸曲率中心を検出し、非球面軸検出部6によりそのレンズの被検面の非球面の面頂位置を検出しているので、非球面偏心の定義に従った高精度な測定が可能となる。
被検レンズ1を反転させて両面の非球面偏心量を求めた場合でも、評価の基準が近軸曲率中心を結んだ光軸である故に、被検レンズ1を反転させて姿勢が変化しても、両面の近軸曲率中心とレンズとの位置関係は1対1で決定できるので、正確に評価の基準を統一しての高精度測定が可能となる。
また、被検レンズの外径等のその他の部位や、被検レンズ固定用治具等のある基準面を基準として評価を行なう「反転測定評価」と比較しても、最小箇所の測定評価で可能であり、レンズ以外に基準を設けなくてよいという利点がある。
【0047】
なお、ここまでは、レンズの両面が非球面である被検レンズについて説明してきたが、次に説明するような片面が非球面である場合でも、同様にして非球面偏心量及び方向を求めることができる。
この場合には、図1に例示した構成において、まず被検レンズ1の球面が受け面1a側となるように被検レンズ受け部3に設置する。
【0048】
片面だけが非球面であるこの被検レンズ1を被検レンズ受け部3にて支持しつつ、回転レンズ支持部材4にて回転させながら受け面1aの反対面1bの近軸曲率がほぼ回転軸9に一致するよう調心を行なうと、被検レンズ1の球面である受け面1aの曲率中心1oaは理論的には常に回転軸9の軸線上となるように調心されるが、受け面1aの面精度や被検レンズ受け部3の被検レンズ1との接触部3bの真円度や回転軸9に対する同軸度の不足により、曲率中心1oaが回転軸9と一致しなくなる場合が生ずる。
【0049】
被検レンズ1を回転レンズ支持部材4で回転させながら、近軸偏心測定部5を介して受け面の反対面1bの近軸曲率中心1obの回転軸9に対する偏心量を検出し、この偏心量が概略0となるように被検レンズ1の位置調整を行なう。ここでの偏心調整では厳密に近軸曲率中心1obを回転軸9に一致させる必要はないが、受け面1aの曲率中心1oaの偏心量を測定するときに、受け面の反対面1bの偏心量が小さい方が、検出精度が高くなる故にここで行なう。
【0050】
回転レンズ支持部材4には回転角測定部7が接続されており、その値により被検レンズ1の回転方向の基準を設定し、近軸曲率中心の偏心方向を測定する。
被検レンズ1の受け面の反対面1bの概略心出し調整が完了した後、被検レンズ1の受け面1aの曲率中心1oaを近軸偏心測定部5により先程と同様に回転軸9に対する偏心量と偏心方向を検出する。ただし、この場合においては、受け面の反対面1bを通して受け面1aの曲率中心1oaを観察している故に、近軸偏心測定部5と被検面との間の面の偏心量と方向の影響を考慮しなければならないが、その計算方法については特公昭51-9620号公報にも記載されているように、偏心量を測定する面よりもその前にある面の偏心量が既知であれば、両面の近軸曲率、肉厚、屈折率の被検レンズの設計データを用いて計算可能であり、その方法により受け面1aの偏心量δa及び方向θaを算出可能である。
このように、近軸偏心測定部5と回転角測定部7の出力結果を用いて、受け面1aの曲率中心の偏心量δa、及び偏心方向θa、受け面の反対面1bの近軸曲率中心の偏心量δb及び偏心方向θbを、演算部8によって算出可能である。
【0051】
図2(d)及び(g)に示すように、近軸曲率中心または曲率中心の偏心量及び偏心方向より被検レンズ1が回転原点位置にあるときの近軸曲率球心位置または曲率中心位置を、xy平面における値に換算することが可能であり、受け面1aの曲率中心位置は図2(d)に示すように、次式で表わせる。
【数13】
【0052】
受け面の反対面1bの近軸曲率中心位置は図2(g)に示すように、次の換算式を用いて演算部8で求める。
【数14】
【0053】
つづいて、変位センサ部6を被検レンズ1の被検面1bに応じてその検出軸10の角度を被検面1bの法線に一致させ、変位センサ部6の検出軸10方向の高さも被検レンズ1の被検面1bに応じて調整する。その状態で被検レンズ1を回転レンズ支持部材4により回転させて、検出軸10方向の高さの変化を、回転角測定部7により被検レンズ1の角度変化を出力し、両者を演算部8に入力する。
演算部8では、被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出値を回転レンズ支持部材4の回転軸9の方向に変換する。
【0054】
被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10の角度の支点位置と被検レンズ1の位置関係より、図示の測定半径rが算出される。この測定半径rと回転角測定部7の情報と被検面形状測定部(変位センサ部)6の出力を回転軸9方向に分解した情報より、x,y,z座標の三次元座標データに換算する。この測定三次元座標データと被検面1bの設計式を対比させる。この時、被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10は、回転軸9に対して傾いた構成となっているので、設計式との比較を行なう為には、回転軸方向の変位への変換を行なう必要がある。
【0055】
【数15】
【0056】
回転軸9からrだけ離れたポイントで非球面軸検出を行なう場合には、(5)式で示される高さ方向の情報を、次式により、x,yに分離して設計式と比較を行なう。ここでは、各測定ポイントに対する回転角測定部7の出力をθrotとして表わす。
【0057】
【数16】
【0058】
図1では検出軸10が回転軸9に対して、傾いた構成としているが、この傾きθは0度、即ち回転軸9に対して平行な状態で、被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10を構成しても同様な計算が成り立つ。
三次元座標データと設計式とを比較する方法としては、例えば測定三次元データを被検面1bの設計式上でシフト、チルトさせて両者の差が最も小さくなるように行なえばよい。シフト量として(1),(2)式で与えられる量を代入し、x方向とy方向のシフトを固定し、球心位置を中心としてx方向とy方向にチルトおよびz方向にシフトさせて両者の差が最小となる状態を検出する。
【0059】
測定三次元データのチルト量およびシフト量より逆算すれば回転軸9に対する受け面の反対面1bの非球面面頂のxy平面における移動量1tbを求めることができる。図3(a)、(b)で示すように、計算で求めたx方向のチルト量をAbx,y方向のチルト量をAbyとすると、非球面面頂のシフト量1tbxおよび1tbyは次式で求められる。
【数17】
【0060】
次に、演算部8によって、被検レンズ1の近軸曲率中心位置及び曲率中心位置と被検面1bの面頂位置とにより被検面1bの非球面偏心量εb及びその方向θεbを算出する。
【0061】
その算出方法について図2(a)〜(g)を用いて説明する。
ここでは、被検レンズ1は受け面の反対面1bのみが非球面であるので、図2(a),(b),(c),(f)に示す受け面1a側の非球面面頂1taは存在しない。
【0062】
第1のステップとして、受け面1aの曲率中心位置1oaと受け面の反対面1bの近軸曲率中心軸1obを図2(d)及び(g)に示すようにそれぞれx、yの値に分解する。それぞれの数値は(1)式から(4)式と同様な式にて得られる。
第2のステップとして、近軸曲率中心偏心量と曲率中心偏心量とを考慮して、図2(a)におけるz軸上での1oaから1obまでの高さZoを算出する。この高さZoは次式による。
【数18】
ここでraは受け面1aの近軸曲率半径、rbは受け面1bの近軸曲率半径、dはレンズ肉厚を表わす。
【0063】
第3のステップとして、受け面の反対面1bの面頂シフト量と受け面の偏心量とを考慮して、図2(a)におけるz軸上での1obから1tbまでの高さZbを算出する。この高さzbは次式による。
【数19】
【0064】
以降のステップにおいては、xz平面とyz平面に分けて計算を行なうことになる。ここでは一例として先にxz平面上での計算を行ない、その後にyz平面の計算を行なうものとするが、説明の便宜上でそのように行なうのであり、yz平面を先に計算してもよいし、各ステップにおいてxz平面とyz平面を交互に計算を行なってもよい。
【0065】
第4のステップとして、xz平面でのz軸に対する非球面軸rbxと光軸1oax−1obxの傾きとから非球面軸偏心のx成分εbx を算出する。図3(a)に示すようにx成分εbxは次式による。
【数20】
【0066】
第5のステップとして、xz平面上で非球面面頂1tbxから光軸1oax−1obxに垂線を下ろし、その長さLbxを算出する。図3(a)に示すようにLbxは次式による。
【数21】
【0067】
上記第4と第5の各ステップをyz平面にも適用し、yz平面上で非球面面頂1tbyから光軸1oay−1obyに垂線を下ろし、その長さLbyを算出する。図3(b)に示すようにLbyは次式による。
【0068】
【数22】
【0069】
第6のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの傾き、即ち非球面偏心量εbを算出する。εbは図3(a),(b)に示すように次式による。
【数23】
【0070】
第7のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの偏心方向θbを算出する。θbは光軸に対して非球面面頂が図3(a),(b)に示すようにx方向にLby,y方向にLbyだけ離れていることにより次式による。
【数24】
【0071】
(効果B)
上記のように実施すれば、被検レンズ1が片面非球面であっても、光軸1oa−1obに対する受け面の反対面1bの非球面偏心量及び方向を正確に求めることができる。
【0072】
以上説明した実施形態は、次のような複数に変形実施してもよく、上記実施形態と同等またはそれ以上の効果も期待できる。
(変形例1)
図5には、その一変形例に係る非球面レンズの偏心測定装置の概略構成を示す。図示の如くに被検面形状測定部(変位センサ部)6を被検レンズ1の上下にそれぞれ設置すれば、反転することなく、受け面1aの非球面軸の傾き量及び方向が検出可能となり、上下面の非球面偏心量が高精度にて測定可能となる。
詳しくは、図5において、非球面レンズの偏心測定装置2は、被検レンズ1を回転自在に保持する被検レンズ受け部3と、被検レンズ受け部3を回転させる為の回転レンズ支持部材4と、回転レンズ支持部材4の回転軸9に対する被検レンズ1の両面1a及び1bの近軸曲率中心の偏心量を検出する為の近軸偏心測定部5と、回転軸9に対するレンズ受け面の反対面1bにおける非球面軸の傾き角を検出する為の被検面形状測定部(変位センサ部)6aと、回転軸9に対するレンズ受け面1aにおける非球面軸の傾き角を検出する為の被検面形状測定部(変位センサ部)6bと、回転軸9の回転角を検出する為の回転角測定部7と、近軸偏心測定部5、被検面形状測定部(変位センサ部)6b及び回転角測定部7の各々の測定値を演算する演算部8と、により構成されている。
【0073】
つまり変形例1では、被検レンズ1の両面に係わる非球面軸の傾き角をそれぞれ専用に検出する為、被検面形状測定部(変位センサ部)6aおよび被検面形状測定部(変位センサ部)6bの2つで構成し、被検レンズ1の上下にそれぞれ設置している。
【0074】
なお、被検レンズ受け部3における被検レンズ1との接触部3a、3bは、前述と同様に、回転レンズ支持部材4の回転軸9に対してほぼ同心加工してある。
回転レンズ支持部材4の上面には被検レンズ受け部3が設置されており、レンズ受け部の上端面にある内径側のエッジ3aまたは外径側のエッジ3bにて被検レンズ1を受ける。内径エッジ3a及び外径エッジ3bは回転軸9に対して同心加工してあるので、それぞれのエッジ3a、3bの中心は回転軸9上にある。
【0075】
なお、10aで示す線は受け面の反対面1bの非球面軸の検出軸、10bで示す線は受け面1aの非球面軸の検出軸、1oaで示す点は被検レンズ1の受け面側の近軸曲率中心、1obで示す点は被検レンズ1の受け面の反対面の近軸曲率中心である。
近軸偏心測定部5は、被検レンズ1の上面にその光学軸を回転レンズ支持部材4の回転軸9と同軸に設置されている。
【0076】
図5では不図示だが、近軸偏心測定部5の内部には前述同様に、光源と光学系と撮像素子と、光束を光源及び撮像素子の二方向に振り分ける為の光路切替手段とを備えている。光源から照射された光束は光学系により被検レンズ1の被検面の近軸曲率中心に集光するような光束を照射する。近軸偏心測定部5内部の光学系は被検面の曲率に応じて照射する光束の集光点を可変とするように、光学系を構成する一部のレンズ群が移動及び切り替え可能な構成となっている。
【0077】
近軸偏心測定部5から照射され被検面で反射した光束は同じ光路を戻り、近軸偏心測定部5に入射し、光路内に存在する光路切替手段により折り曲げられて、撮像素子上に結像し、スポット状の像を結ぶ。被検面に全く偏心が無い場合には、被検レンズ1を回転させながら被検面に照射した光束の反射光を撮像素子で観察しても、スポットは振れ回りを生じない。
【0078】
被検面が回転軸に対して偏心がある場合においては、被検レンズ1を回転しながらその反射光を観察すると、偏心量に応じた半径にてスポットが回転するのを撮像素子にて観察できる。
このスポットの回転半径及び被検レンズの原点状態におけるスポットの回転中心からの方向により、被検面の偏心量及び偏心方向を検出することが可能である。 具体的には、近軸偏心測定部5と回転角測定部7からの信号を演算部8に入力することにより、被検レンズ1を回転させた時の角度変化に対する被検面の近軸曲率中心の近軸偏心測定部5内の撮像素子上の位置変化の測定を行なうことにより、被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向を検出する。
【0079】
被検面形状測定部(変位センサ部)6a及び6bは、被検レンズ1の回転に伴う被検面1bまたは1aの検出軸10bまたは10a方向の変位量を検出する。図5にはその構成を図示していないが、レーザ光源と干渉光学系とファイバから成り、ファイバ出射端面から被検面に照射された光束は再度ファイバから被検面形状測定部(変位センサ部)6aまたは6bに入射され、変位の変化により干渉縞が変化する、その干渉縞の変化を受光センサで捉え変位量を検出する。
【0080】
また、回転レンズ支持部材4の回転軸9上に被検面形状測定部(変位センサ部)6a及び6bの回転移動の支点があり、それを中心として被検レンズ1の被検面の測定点の法線に検出軸10aまたは10bを一致するように調整可能であり、支点位置の高さは被検レンズ1に応じて回転軸9上で移動することが可能である。また、被検面形状測定部(変位センサ部)6a及び6bもその検出軸10の方向に高さを被検レンズ1の形状に応じて変更可能である。
【0081】
被検面形状測定部(変位センサ部)6a及び6bと回転角測定部7からの信号を演算部8に入力することにより、被検レンズ1を回転させたときの角度変化に対する検出軸10a及び10b方向の高さの変化の測定を行なう。
尚、この変形例1においては、両面凸の非球面形状から成る被検レンズ1について説明してあるが、両面または片面が凹の非球面または球面の被検レンズであっても同様に適応可能であることはいうまでもない。
【0082】
上述のように変形構成された偏心測定装置においては、被検レンズ1を被検レンズ受け部3にて支持しつつ回転レンズ支持部材4にて回転させながら調心を行なうと、被検レンズ1の受け面1aの曲率中心1oaは受け面1aが球面の場合には理論的には常に回転軸9の軸線上となるように調心されるが、受け面1aが非球面の場合には図5に例示のように、レンズ受け部3の内径エッジ3aが受け面1aの面頂から等距離にある場合には近軸曲率中心1oaは回転軸9上にあるが、その関係が成り立たない場合には、近軸曲率中心1oaは回転軸9の軸線上にあるとは限らない。
【0083】
被検レンズ1を回転レンズ支持部材4で回転させながら、近軸偏心測定部5を介して受け面の反対面1bの近軸曲率中心1obの回転軸9に対する偏心量を検出し、この偏心量が概略0となるように被検レンズ1の位置調整を行なう。ここでの偏心調整では厳密に近軸曲率中心1obを回転軸9に一致させる必要はないが、受け面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量を測定するときに受け面の反対面1bの偏心量が小さい方が、検出精度が高くなる故に行なっている。
【0084】
回転レンズ支持部材4には回転角測定部7が接続されており、その値により被検レンズ1の回転方向の基準を設定し、近軸曲率中心の偏心方向を測定する。
被検レンズ1の受け面の反対面1bの概略心出し調整が完了した後、被検レンズ1の受け面1aの近軸曲率中心1oaを近軸偏心測定部5により先程と同様に回転軸9に対する偏心量と偏心方向を検出する。ただし、この場合においては、受け面の反対面1bを通して受け面1aの近軸曲率中心1oaを観察している故に、近軸偏心測定部5と被検面の間の面の偏心量と方向の影響を考慮しなければならないが、その計算方法については特公昭51-9620号公報にも開示のように、偏心量を測定する面よりも前にある面の偏心量が既知であれば両面の近軸曲率、肉厚、屈折率の被検レンズの設計データを用いて計算可能であり、その方法により受け面1aの偏心量δa及び方向θaを算出可能である。
以上のように、近軸偏心測定部5と回転角測定部7の出力結果を用いて、受け面1a及び受け面の反対面1bの近軸曲率中心の偏心量δa、δb及び偏心方向θa、θbを演算部8により算出可能である。
【0085】
図2(d)及び図2(g)に示すように、近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向より被検レンズ1が回転原点位置にあるときの近軸曲率球心位置をxy平面における値に換算することが可能である。
受け面1aの近軸曲率中心位置は図2(d)に示すように、次式で表わせる。
【数25】
【0086】
受け面の反対面1bの近軸曲率中心位置は図2(g)に示すように、次の換算式を用いて演算部8で求める。
【数26】
【0087】
次に、変位センサ部6aを被検レンズ1の受け面の反対面1bに応じてその検出軸10の角度を被検面1bの法線に一致させ、変位センサ部6aの検出軸10方向の高さも被検レンズ1の被検面1bに応じて調整する。その状態で被検レンズ1を回転レンズ支持部材4により回転させて、検出軸10a方向の高さの変化を、回転角測定部7により被検レンズ1の角度変化を出力し、両者を演算部8に入力する。
【0088】
また、同様に変位センサ部6bを被検レンズ1の受け面1aに応じてその検出軸10の角度を被検面1aの法線に一致させ、変位センサ部6の検出軸10方向の高さも被検レンズ1の被検面1aに応じて調整する。その状態で被検レンズ1を回転レンズ支持部材4により回転させて、検出軸10b方向の高さの変化を、回転角測定部7により被検レンズ1の角度変化を出力し、両者を演算部8に入力する。
演算部8では被検面形状測定部(変位センサ部)6a及び6bの検出値を回転レンズ支持部材4の回転軸9の方向に変換する。
【0089】
被検面形状測定部(変位センサ部)6aの検出軸10aの角度の支点位置と被検レンズ1の形状及び位置関係より、図5に示す測定半径ra’が算出される。このra’と回転角測定部7の情報と被検面形状測定部(変位センサ部)6の出力を回転軸9方向に分解した情報より、x,y,z座標の三次元座標データに換算する。この測定三次元座標データと被検面1bの設計式を対比させる。
この時に被検面形状測定部(変位センサ部)6aの検出軸10aは、回転軸9に対してθaだけ傾いた構成となっているので、設計式との比較を行なう為には、回転軸方向の変位への変換を行なう必要がある。
【0090】
【数27】
【0091】
回転軸9からra’だけ離れたポイントで非球面軸検出を行なう場合には、(5)式で示される高さ方向の情報を、次式により、x,yに分離して設計式と比較を行なう。ここでは、各測定ポイントに対する回転角測定部7の出力をθrotとする。
【数28】
【0092】
図5では検出軸10aが回転軸9に対して傾いた構成としているが、この傾きθaは0度、即ち回転軸9に対して平行な状態で、被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10aを構成しても同様な計算が成り立つ。
三次元座標データと設計式とを比較する方法としては、例えば測定三次元データを被検面1bの設計式上でシフト、チルトさせて両者の差が最も小さくなるように行なえばよい。シフト量として(1),(2)式で与えられる量を代入し、x方向とy方向のシフトを固定し、球心位置を中心としてx方向とy方向にチルトおよびz方向にシフトさせて両者の差が最小となる状態を検出する。
【0093】
その後、測定三次元データのチルト量およびシフト量より逆算すれば、回転軸9に対する受け面の反対面1bの非球面面頂のxy平面における移動量1tbを求めることができる。図4(a)、(b)に示すように、上記計算で求めたx方向のチルト量をAbx,y方向のチルト量をAbyとすると、非球面面頂のシフト量1tbxおよび1tbyは次式で求められる。
【数29】
【0094】
尚、ここでは説明の都合上、受け面の反対面1bについて述べたが、同様に被検面形状測定部(変位センサ部)6bの出力についても同様の処理を行なえばよい。
【数30】
【0095】
回転軸9からrb’だけ離れたポイントで非球面軸検出を行なう場合には、(5)’式で示される高さ方向の情報を、次式により、x,yに分離して設計式と比較を行なう。
また、各測定ポイントに対する回転角測定部7の出力をθrotとすと、次式が成り立つ。
【数31】
【0096】
受け面の反対面1bと同様に(6)’式で表される三次元データと設計式とを比較してx方向とy方向のチルト量Aax,Aayを求める。
【0097】
図6(a),(b)に示すように非球面の面頂のシフト量1taxおよび1tayは、次式で求められる。
【数32】
【0098】
次に、演算部8により被検レンズ1の両面の近軸曲率中心位置と被検面1bの面頂位置とにより被検面1bの非球面偏心量εb及びその方向θεbを算出する。
その算出方法について、図2(a)〜(g)を用いて詳しく説明すると、
第1のステップとして、受け面1aの近軸曲率中心位置1oaと受け面の反対面1bの近軸曲率中心値1obを図2(d)及び(g)に示すようにそれぞれx、yの値に分解する。 それぞれの数値は(1)式から(4)式と同様な関係式にて得られる。
【0099】
第2のステップとして、両面の近軸曲率中心偏心量を考慮して、図2(a)におけるz軸上での1oaから1obまでの高さZoを算出する。この高さZoは次式による。
【数33】
ここでraは受け面1aの近軸曲率半径、rbは受け面1bの近軸曲率半径、dはレンズ肉厚を表わす。
【0100】
第3のステップとして、受け面の反対面1bの面頂シフト量と受け面の偏心量とを考慮して、図2(a)におけるz軸上での1obから1tbまでの高さZbを算出する。この高さZbは次式による。
【数34】
【0101】
以降のステップにおいては、xz平面とyz平面に分けて計算を行なうことになる。ここでは一例として先にxz平面上での計算を行ない、その後にyz平面の計算を行なうものとするが、説明の便宜上で上記のように行なうのであり、yz平面を先に計算してもよいし、各ステップにおいてxz平面とyz平面を交互に計算を行なってもよい。
【0102】
第4のステップとして、xz平面でのz軸に対する非球面軸rbxと光軸1oax−1obxの傾きとから非球面軸偏心のx成分εbx を算出する。図3(a)に示すようにx成分εbxは次式による。
【数35】
【0103】
第5のステップとして、xz平面上で非球面面頂1tbxから光軸1oax−1obxに垂線を下ろし、その長さLbxを算出する。図3(a)に示すようにLbxは次式による。
【数36】
【0104】
第4と第5のステップをyz平面にも適用して、yz平面上で非球面面頂1tbyから光軸1oay−1obyに垂線を下ろし、その長さLbyを算出する。図3(b)に示す如くLbyは次式による。
【数37】
【0105】
第6のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの傾き、即ち非球面偏心量εbを算出する。εbは図3(a),(b)に示すように次式による。
【数38】
【0106】
第7のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの偏心方向θbを算出する。θbは光軸に対して非球面面頂が図3(a),(b)に示すようにx方向にLbx、y方向にLbyだけ離れていることより、次式で求められる。
【数39】
【0107】
同様に演算部8によって、被検レンズ1の両面の近軸曲率中心位置と受け面1aの面頂位置とにより、受け面1aの非球面偏心量εa及びその方向θεaを算出する。その算出方法を図2(a)〜(g)を用いて説明すると、
第1のステップとして、受け面1aの近軸曲率中心位置1oaと受け面の反対面1bの近軸曲率中心値1obを、図2(d)及び(g)に示すようにそれぞれx、yの値に分解する。それぞれの数値は(1)式から(4)式と同様な式にて得られる。
【0108】
第2のステップとして、両面の近軸曲率中心偏心量を考慮して、図2(a)におけるz軸上での1oaから1obまでの高さZoを算出する。この高さZoは次式による。
【数40】
【0109】
(8)’式の結果は、先に受け面の反対面1bの非球面偏心量を求める時の(8)のZoと同じであるので、省略してよい。
【0110】
第3のステップとして、受け面1aの面頂シフト量と受け面1aの偏心量とを考慮して、図2(a)におけるz軸上での1oaから1taまでの高さZaを算出する。この高さZaは次式による。
【数41】
【0111】
以降のステップにおいては、xz平面とyz平面に分けて計算を行なうことになる。ここでは一例として、先にxz平面上での計算を行ない、その後にyz平面の計算を行なうものとするが、説明の便宜上でそのように行なうのであり、yz平面を先に計算してもよいし、各ステップにおいてxz平面とyz平面を交互に計算を行なってもよい。
【0112】
第4のステップとして、xz平面でのz軸に対する非球面軸raxと光軸1oax−1obxの傾きとから非球面軸偏心のx成分εaxを算出する。図6(a)に示すようにεaxは次式による。
【数42】
【0113】
第5のステップとして、xz平面上で非球面面頂1taxから光軸1oax−1obxに垂線を下ろし、その長さLaxを算出する。図6(a)に示すようにLaxは次式による。
【数43】
【0114】
第4と第5のステップをyz平面にも適用して、yz平面上で非球面面頂1tayから光軸1oay−1obyに垂線を下ろし、その長さLayを算出する。図6(b)に示すように、Layは次式による。
【数44】
【0115】
第6のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸raの傾き、即ち非球面偏心量εaを算出する。Εaは図6(a),(b)に示すように次式による。
【数45】
【0116】
第7のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸raの偏心方向θaを算出する。θaは光軸に対して非球面面頂が図6(a),(b)に示すようにx方向にLay、y方向にLayだけ離れていることより、次式で求められる。
【数46】
【0117】
上記のステップにより、光軸1oa−1obに対する受け面1aの非球面偏心量及び方向を正確に求めることができる。
【0118】
このように変形例1によれば、被検面形状測定部(変位センサ部)6aおよび被検面形状測定部(変位センサ部)6bをそれぞれ被検レンズ1の上下に設置しているので、両面に係わる非球面軸の傾き角をそれぞれ専用に検出できるので、その被検レンズを反転することなく上下面それぞれの非球面偏心量が測定可能であり、また、被検レンズを反転する為に測定作業を中断する必要がなくなる。
【0119】
(変形例2)
第1実施形態はさらに次のようにも変形実施してよく、その第1実施形態と同等またはそれ以上の効果も期待できる。
図7にはこの変形例に係る非球面レンズの偏心測定装置の概略構成を示す。
この偏心測定装置2は、図示の如く、被検レンズ1を回転自在に保持する被検レンズ受け部3と、鉛直断面で図示された被検レンズ受け部3を回転させる為の回転レンズ支持部材4と、鉛直断面で同様に図示された回転レンズ支持部材4の、回転軸9に対する被検レンズ1の受け面の反対面1bの近軸曲率中心の偏心量を検出する為の近軸偏心測定部5aと、回転レンズ支持部材4の回転軸9に対する被検レンズ1の受け面1aの近軸曲率中心の偏心量を検出する為の近軸偏心測定部5bと、回転軸9に対するレンズ受け面の反対面1bにおける非球面軸の傾き角を検出する為の被検面形状測定部(変位センサ部)6と、回転軸9の回転角を検出する為の回転角測定部7と、上記した近軸偏心測定部5、被検面形状測定部(変位センサ部)6及び回転角測定部7の各々の測定値を演算する演算部8と、により構成されている。
【0120】
つまり変形例2では、被検レンズ1の両面に係わる近軸曲率中心の偏心量を検出する為に、近軸偏心測定部5aおよび近軸偏心測定部5bをそれぞれ専用に構成し、被検レンズ1の上下にそれぞれ設置している。
なお、被検レンズ受け部3における被検レンズ1との接触部3a、3bは、前述同様に回転レンズ支持部材4の回転軸9に対してほぼ同心加工されている。この回転レンズ支持部材4もまた、回転軸9に対してほぼ同心加工されている。
【0121】
回転レンズ支持部材4の上面には被検レンズ受け部3が設置されており、レンズ受け部の上端面にある内径側のエッジ3aまたは外径側のエッジ3bにて被検レンズ1を受ける。内径エッジ3a及び外径エッジ3bは回転軸9に対して同心加工してあるので、それぞれのエッジ3a、3bの中心は回転軸9上に存在する。
なお、10aで示す軸線は受け面の反対面1bの非球面軸の検出軸、10bで示す軸線は受け面1aの非球面軸の検出軸である。1oaで示す点は被検レンズ1の受け面側の近軸曲率中心、1obで示す点は被検レンズ1の受け面の反対面の近軸曲率中心である。
【0122】
近軸偏心測定部5aは被検レンズ1の上面にその光学軸を回転レンズ支持部材4の回転軸9と同軸に設置されていて、同様に近軸偏心測定部5bは被検レンズ1の下面にその光学軸を回転レンズ支持部材4の回転軸9と同軸に設置されている。
鉛直断面で図示された如く回転レンズ支持部材4もまた、近軸偏心測定部5bの測定光束をけらないように、図示の如く回転軸付近の中央部が中空に形成されている。
回転角測定部7は、近軸偏心測定部5bの測定光束をけらないように配置されており、図示していないが、ベルトとプーリにより回転レンズ支持部材4の回転角を回転角測定部7に伝達することにより、回転レンズ支持部材4の回転角を検出する。
【0123】
図7には示していないが、近軸偏心測定部5aおよび5bの内部には、光源と光学系と撮像素子と、光束を光源及び撮像素子の二方向に振り分ける為の光路切替手段とを備えている。光源から照射された光束は光学系により被検レンズ1の被検面の近軸曲率中心に集光するような光束を照射する。近軸偏心測定部5a及び5bの内部の光学系は被検面の曲率に応じて照射する光束の集光点を可変とするように、光学系を構成する一部のレンズ群が移動及び切り替え可能な構成となっている。
【0124】
近軸偏心測定部5a及び5bから照射されそれぞれの被検面で反射した光束は、同じ光路を戻って近軸偏心測定部5a及び5bに入射し、光路内に存在する光路切替手段により折り曲げられて、撮像素子上に結像し、スポット状の像を結ぶ。被検面に全く偏心が無い場合には、被検レンズ1を回転させながら被検面に照射した光束の反射光を撮像素子で観察しても、スポットは振れ回りを生じない。
【0125】
被検面が回転軸に対して偏心がある場合においては、被検レンズ1を回転しながらその反射光を観察すると、偏心量に応じた半径にてスポットが回転するのを撮像素子にて観察できる。
このスポットの回転半径及び被検レンズの原点状態におけるスポットの回転中心からの方向により、被検面の偏心量及び偏心方向を検出することが可能である。
【0126】
具体的には、近軸偏心測定部5a及び5bと回転角測定部7からの信号を演算部8に入力することにより、被検レンズ1を回転させた時の角度変化に対する被検面の近軸曲率中心の近軸偏心測定部5a及び5b内の撮像素子上の位置変化の測定を行なうことにより、それぞれの被検面の近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向を検出する。被検面形状測定部(変位センサ部)6は、被検レンズ1の回転に伴う被検面1bの検出軸10a方向の変位量を検出する。
【0127】
また、図7にはその構成を図示していないが、レーザ光源と干渉光学系とファイバから成り、ファイバ出射端面から被検面に照射された光束は再度ファイバから被検面形状測定部(変位センサ部)6に入射され、変位の変化により干渉縞が変化する、その干渉縞の変化を受光センサで捉え変位量を検出する。
また、回転レンズ支持部材4の回転軸9上に被検面形状測定部(変位センサ部)6の回転移動の支点があり、それを中心として被検レンズ1の被検面の測定点の法線に検出軸10を一致するように調整可能であり、支点位置の高さは被検レンズ1に応じて回転軸9上で移動することが可能である。また、被検面形状測定部(変位センサ部)6もその検出軸10の方向に高さを被検レンズ1の形状に応じて変更可能になっている。
【0128】
被検面形状測定部(変位センサ部)6と回転角測定部7からの出力信号を演算部8に入力することにより、被検レンズ1を回転させたときの角度変化に対する検出軸10方向の高さの変化に関する測定を行なえる。
なお、この変形例2においては、両面凸の非球面形状から成る被検レンズ1について説明してあるが、両面または片面が凹の非球面または球面の被検レンズであっても同様に適応可能であることは云うまでもない。
【0129】
上述のように変形構成された偏心測定装置において、被検レンズ1を被検レンズ受け部3にて支持しつつ回転レンズ支持部材4にて回転させながら調心を行なうと、被検レンズ1の受け面1aの曲率中心1oaは受け面1aが球面の場合には理論的には常に回転軸9の軸線上となるように調心されるが、受け面1aが非球面の場合には図7に示すようにレンズ受け部3の支持点3bが受け面1aの面頂から等距離にある場合には近軸曲率中心1oaは回転軸9上にあるが、その関係が成り立たない場合には、近軸曲率中心1oaは回転軸9の軸線上にあるとは限らない。
【0130】
被検レンズ1を回転レンズ支持部材4で回転させながら、近軸偏心測定部5aを介して受け面の反対面1bの近軸曲率中心1obの回転軸9に対する偏心量を検出し、この偏心量が概略0となるように被検レンズ1の位置調整を行なう。ここでの偏心調整では厳密に近軸曲率中心1obを回転軸9に一致させる必要はないが、受け面1aの近軸曲率中心1oaの偏心量を測定するときに受け面の反対面1bの偏心量が小さい方が検出精度は高くなる故に行なっている。
【0131】
回転レンズ支持部材4には回転角測定部7が接続されており、その値により被検レンズ1の回転方向の基準を設定し、近軸曲率中心の偏心方向を測定する。被検レンズ1の受け面の反対面1bの概略心出し調整が完了した後、被検レンズ1の受け面1aの近軸曲率中心1oaを近軸偏心測定部5bにより先程と同様に回転軸9に対する偏心量と偏心方向を検出する。
以上のように、近軸偏心測定部5a及び5bと回転角測定部7の出力結果を用いて、受け面1a及び受け面の反対面1bの近軸曲率中心の偏心量δa、δb及び偏心方向θa、θbを演算部8により算出可能である。
【0132】
図2(d)及び(g)に示すように、近軸曲率中心の偏心量及び偏心方向より被検レンズ1が回転原点位置にあるときの近軸曲率球心位置をxy平面における値に換算することが可能である。
受け面1aの近軸曲率中心位置は図2(d)に示すように、次式で表わせる。
【数47】
【0133】
受け面の反対面1bの近軸曲率中心位置は図2(g)に示すように、次の換算式を用いて演算部8で求める。
【数48】
【0134】
次に変位センサ部6を被検レンズ1の受け面の反対面1bに応じてその検出軸10の角度を被検面1bの法線に一致させ、変位センサ部6の検出軸10方向の高さも被検レンズ1の被検面1bに応じて調整する。その状態で被検レンズ1を回転レンズ支持部材4により回転させて、検出軸10a方向の高さの変化を、回転角測定部7により被検レンズ1の角度変化を出力し、両者を演算部8に入力する。
演算部8では被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出値を回転レンズ支持部材4の回転軸9の方向に変換する。
【0135】
被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10の角度の支点位置と被検レンズ1の形状及び位置関係より図7に示す測定半径rが算出される。この測定半径rと回転角測定部7の情報と被検面形状測定部(変位センサ部)6の出力を回転軸9方向に分解した情報より、x,y,z座標の三次元座標データに換算する。この測定三次元座標データと被検面1bの設計式を対比させる。
この時に被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10は、回転軸9に対してθa傾いた構成となっているので、設計式との比較を行なう為には、回転軸方向の変位への変換を行なう必要がある。
【0136】
【数49】
【0137】
回転軸9からrだけ離れたポイントで非球面軸検出を行なう場合には、(5)式で示される高さ方向の情報を、次式により、x,yに分離して設計式と比較を行なう。ここでは、各測定ポイントに対する回転角測定部7の出力をθrotとする。
【数50】
【0138】
図7では検出軸10が回転軸9に対して、傾いた構成としているが、この傾きθは0度、即ち回転軸9に対して平行な状態で、被検面形状測定部(変位センサ部)6の検出軸10を構成しても同様な計算が成り立つ。
三次元座標データと設計式とを比較する方法としては、例えば測定三次元データを被検面1bの設計式上でシフト、チルトさせて両者の差が最も小さくなるように行なえばよい。シフト量として(1),(2)式で与えられる量を代入し、x方向とy方向のシフトを固定し、球心位置を中心としてx方向とy方向にチルトおよびz方向にシフトさせて両者の差が最小となる状態を検出する。
【0139】
その後、測定三次元データのチルト量およびシフト量より逆算すれば、回転軸9に対する受け面の反対面1bの非球面面頂のxy平面における移動量1tbを求めることができる。図2(e)に示すように移動量1tbのx方向の量を1tbx、y方向の量を1tbyとする。また、x方向のチルト量をAbx、y方向のチルト量をAbyとすると、非球面面頂のシフト量1tbxおよび1tbyは次式で求められる。
【数51】
【0140】
次に演算部8により、被検レンズ1の両面の近軸曲率中心位置と被検面1bの面頂位置とにより被検面1bの非球面偏心量εb及びその方向θεbを算出する。
その演算方法を図2(a)〜(g)を用いて説明すると、
第1のステップとして、受け面1aの近軸曲率中心位置1oaと受け面の反対面1bの近軸曲率中心値1obを図2(d)及び(g)に示すようにそれぞれx,yの値に分解する。それぞれの数値は(1)式から(4)式と同様な式にて得られる。
【0141】
第2のステップとして、両面の近軸曲率中心偏心量を考慮して、図2(a)におけるz軸上での1oaから1obまでの高さZoを算出する。この高さZoは次式による。
【数52】
ここでraは受け面1aの近軸曲率半径、rbは受け面1bの近軸曲率半径、dはレンズ肉厚を表わす。
【0142】
第3のステップとして、受け面の反対面1bの面頂シフト量と受け面の偏心量とを考慮して、図2(a)におけるz軸上での1obから1tbまでの高さZbを算出する。この高さZbは次式による。
【数53】
【0143】
以降のステップにおいては、xz平面とyz平面に分けて計算を行なうことになる。ここでは一例として先にxz平面上での計算を行ない、その後にyz平面の計算を行なうものとするが、説明の便宜上でそのように行なうのであり、yz平面を先に計算しても良いし、各ステップにおいてxz平面とyz平面を交互に計算を行なってもよい。
第4のステップとして、xz平面でのz軸に対する非球面軸rbxと光軸1oax−1obxの傾きとから非球面軸偏心のx成分εbx を算出する。図3(a)に示すようにx成分εbxは次式による。
【数54】
【0144】
第5のステップとして、xz平面上で非球面面頂1tbxから光軸1oax−1obxに垂線を下ろし、その長さLbxを算出する。図3(a)に示すようにLbxは次式による。
【数55】
【0145】
第4と第5のステップをyz平面にも適用し、yz平面上で非球面面頂1tbyから光軸1oay−1obyに垂線を下ろし、その長さLbyを算出する。図3(b)に示すようにLbyは次式による。
【数56】
【0146】
第6のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの傾き、即ち非球面偏心量εbを算出する。εbは図3(a),(b)に示すように次式による。
【数57】
【0147】
第7のステップとして、光軸1oa−1obに対する非球面軸rbの偏心方向θbを算出する。θbは光軸に対して非球面面頂が、図3(a),(b)に示すようにx方向にLbx、y方向にLbyだけ離れていることより、次式で求められる。
【数58】
【0148】
上記のステップにより、光軸1oa−1obに対する受け面の反対面1bの非球面偏心量及び方向を正確に求めることができる。
被検レンズ1を被検レンズ受け部3上で上下を反転させて設置し、同様の検出及び演算を行なえば上記で求めた面の反対面の非球面偏心量εa及びその方向θaを正確に求めることができる。
【0149】
このように変形例2によれば、被検レンズ1の上下に近軸偏心測定部5aおよび近軸偏心測定部5bをそれぞれ専用に設置しているので、測定用の光線を被検レンズ1の受け面1aの反対面1bを透過させずに、その受け面1aの近軸曲率中心の偏心量と方向を検出できるので、高精度に近軸曲率中心を求めることが可能となり、非球面偏心量が高精度に測定可能となる。
このほかにも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0150】
以上、実施形態とその変形例に基づき説明したが、本明細書中には次の発明が含まれている。
(1) 前記被検レンズは、両面が非球面の場合のみならず、両面または片面が非球面または球面である場合であっても、同様に測定可能であることを特徴とする、請求項1に記載の偏心測定装置を提供できる。
(2) 前記被検レンズは、両面が凸形状の非球面のみならず、両面または片面が凹形状の非球面または球面であっても、同様に測定可能であることを特徴とする、請求項1に記載の偏心測定装置を提供できる。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、容易にかつ高精度に非球面レンズの非球面偏心量及びその方向の測定方法及び測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態として非球面レンズの偏心測定装置の構成を概略的に示す構成図。
【図2】 図2(a)〜(g)は非球面偏心値を求める際の考え方を示し、
(a)は、レンズ両面の近軸曲率中心と非球面面頂をx,y,zの三次元で示す説明図、
(b)は、レンズ両面の近軸曲率中心と非球面面頂をxz平面で示す説明図、
(c)は、レンズ両面の近軸曲率中心と非球面面頂をyz平面で示す説明図、
(d)は、受け面の近軸曲率中心の位置をxy平面で示す説明図、
(e)は、受け面の反対面の非球面面頂の位置をxy平面で示す説明図、
(f)は、受け面の非球面面頂の位置をxy平面で示す説明図、
(g)は、受け面の反対面の近軸曲率中心の位置をxy平面で示す説明図。
【図3】 図3(a),(b)は、非球面偏心値を求める際の考え方を図解する説明図。
【図4】 非球面レンズの偏心測定方法に関係する演算の手順を示す流れ図。
【図5】 第1実施形態の変形例として非球面レンズの偏心測定装置の構成を概略的に示す構成図。
【図6】 図6(a),(b)は、非球面の面頂のシフト量1taxおよび1tayを示す説明図。
【図7】 第1実施形態のもう1つの変形例として非球面レンズの偏心測定装置の構成を概略的に示す構成図。
【図8】 図8(a)〜(e)は非球面をもった非球面レンズを示し、
(a)は、両面が非球面の場合の二つの非球面軸と光軸とのずれを示す説明図、
(b)は、片面のみ非球面の場合の非球面軸と光軸とのずれを示す説明図、
(c)〜(e)は、非球面偏心の方向(原点から非球面面頂への方向)を表わすグラフ。
【図9】 従来の非球面レンズの偏心測定装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
1…被検レンズ(測定対象非球面レンズ)、
1a,1b…被検面(測定対象レンズ面:受け面、反対面)、
1oa,1ob…近軸曲率中心、
1ta,1tb…面頂、
2…偏心測定装置、
3…被検レンズ受け部、
3a,3b…接触部(内径、外径エッジ)、
4…回転レンズ支持部材、
5,5a,5b…近軸偏心測定部、
6,6a,6b…変位センサ部(被検面形状測定部)、
7…回転角測定部、
8…演算部(CPU:各種プログラムを含む)、
9…回転軸、
10…検出軸。
S10〜S40…偏心測定の演算手順。
Claims (7)
- 被検レンズを保持する為のレンズ受け部と、
前記レンズ受け部を回転自在に構成された回転レンズ支持部材と、
前記回転レンズ支持部材の回転軸に対する該被検レンズの両面の近軸曲率中心の偏心量と方向を検出する為の近軸偏心測定手段と、
被検面の形状を検出する為の被検面形状測定手段と、
該被検レンズの回転角を検出する為の回転角測定手段と、
該被検レンズを回転させて前記被検面形状測定手段で測定して得たデータと被検面の設計式とを対比させ、両者の差が最も小さくなる相対的なシフト量及びチルト量を求め、該シフト量及びチルト量から前記回転軸に対する面頂の位置を計算し、該面頂の位置と前記近軸偏心測定手段で測定した該被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量及び方向とから、該被検レンズの光軸に対する非球面軸の傾き量と方向とを算出する演算手段と、
を具備することを特徴とする非球面レンズの偏心測定装置。 - 前記被検面形状測定手段は、該被検レンズの両面近傍にそれぞれ設置された2つの被検面形状測定部から構成され、
それぞれ独立に、該非球面レンズの両面の被検面形状を検出することを特徴とする、請求項1に記載の非球面レンズの偏心測定装置。 - 前記近軸偏心測定手段は、該被検レンズの上下鉛直方向にそれぞれ専用設置された2つの近軸偏心測定部から構成されると共に、測定用の光線が該被検レンズの受け面の反対側を透過しないように構成され、
前記回転レンズ支持部材は、前記回転軸に対して略同心加工されて成ることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の非球面レンズの偏心測定装置。 - 被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量を検出する近軸偏心測定手段と、該被検レンズの被検面の形状を検出する被検面形状測定手段と、該被検レンズの回転角を検出する為の回転角測定手段とを備えた偏心測定装置における非球面レンズの偏心測定方法において、
前記近軸偏心測定手段により回転軸に対する被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量及び方向を検出する近軸曲率中心検出工程と、
前記被検面形状測定手段により前記被検面の形状を測定する形状測定工程と、測定した被検面形状と所定の設計式を対比させ、両者の差が最も小さくなる被検面形状の面頂の位置を計算する第一の演算工程と、
前記被検レンズ両面の近軸曲率中心の偏心量及び方向と前記面頂の位置とから非球面レンズの偏心を求める第二の演算工程と、
を有することを特徴とする非球面レンズの偏心測定方法。 - 前記第一の演算工程は、測定した被検面形状と所定の設計式とを対比させ、両者の相対的なシフト量及びチルト量が最も小さくなるような被検面形状の面頂位置を計算する工程であることを特徴とする、請求項4に記載の非球面レンズの偏心測定方法。
- 前記第二の演算工程は、前記被検レンズ両面の近軸曲率中心を結んだ光軸と、面頂の位置と該面頂を含む非球面の近軸曲率中心とを結ぶ非球面軸と、の傾き量及び方向を算出する工程であることを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の非球面レンズの偏心測定方法。
- 該被検レンズ両面の近軸曲率中心を結んだ光軸に対する第1の面の非球面軸の傾き量と方向を算出し、さらに該被検レンズを反転させて両面の近軸曲率中心を結んだ光軸に対する第2の面の非球面軸の傾き量と方向を算出することを特徴とする、請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の非球面レンズの偏心測定方法。
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