JP3724539B2 - コア・シェル構造トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア・シェル構造トナー及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、電子写真法、静電記録法等によって形成される静電潜像を現像するためのコア・シェル構造トナー及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置において形成される静電潜像は、先ず、現像剤により現像され、次いで、形成された現像剤像は、必要に応じて紙等の転写材上に転写された後、加熱、加圧、溶剤蒸気など種々の方式により定着される。
【0003】
従来、トナーは、一般に、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、離型剤等を溶融混合して均一に分散させて組成物とした後、この組成物を粉砕、分級する、いわゆる粉砕法により製造されてきた。
近年は、この粉砕法の代わりに、懸濁重合によるトナーの製造方法が提案されている。この懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、離型剤等を均一に溶解または分散せしめた単量体等組成物を、分散安定剤を含有する水または水を中心とする水系分散媒体中に投入し、液滴粒径が一定になるまで攪拌し、ここに重合開始剤を添加し、さらに高せん断力を有する混合装置を用いて分散し、該単量体組成物を微小な液滴として造粒した後、重合してトナー粒子(重合トナー)を形成している。
【0004】
懸濁重合法では、着色剤、帯電制御剤、離型剤等を、低粘度の液体状である単量体中に添加し、分散するため、粉砕法に比べて、十分な分散性が確保される。また、懸濁重合法では、一般に、所望の粒子径のトナー粒子を収率90%以上で得ることができるので、粉砕法に比べて経済的にも有利である。このように懸濁重合法を採用することにより、重合体粒子の極めてシャープな粒径分布と良好な電気特性に基づき、解像度、カブリ等の画像特性の優れたトナーを経済的に製造することが可能となった。
【0005】
最近、トナーが使用される電子写真方式の複写機、プリンター等において、消費電力の低減化が図られている。電子写真方式の中で、特にエネルギーを消費する工程は、感光体から紙などの転写材上にトナーを転写した後、定着する際のいわゆる定着工程である。一般に、定着のために150℃以上の熱ロールが使用され、そのエネルギー源として電気が使われている。この熱ロール温度を下げることが、省エネルギーの観点より求められている。
また、画像形成装置の複合化、パーソナルコンピューターのネットワーク化が進む中で、複写枚数の高速化、印字枚数の高速化が強く要求されてきている。こうした高速複写機や高速プリンターにおいては、短時間定着が必要になっている。
トナーの設計において、こうした画像形成装置よりの要求に応えるには、トナーのガラス転移温度を低下させれば良いが、ガラス転移温度を低下させると、トナーの保存中、あるいはトナーボックス中でトナーがブロッキングを起して、凝集体となり、いわゆる保存性の悪いトナーとなってしまう。
【0006】
一方、電子写真方式によるカラートナーの場合、通常3から4色のカラートナーを現像し、転写材に一度に、あるいは3から4回に分けて転写し、その後定着をしている。このことから、白黒画像に比べて、定着するトナーの層厚が厚くなり、また、重なる色が均一に溶融することが要求される。そのために、トナーの定着温度付近で、従来のものと比べて溶融粘度を低く設計する必要がある。トナーの溶融粘度を低くする手法としては、従来のトナー用樹脂に比べて、分子量を低くしたり、ガラス転移温度を下げる等の手法があるが、いずれの手法を採る場合でも、ブロッキングを起し易く、保存性の悪いトナーになってしまう。
【0007】
このように、トナーの定着温度の低下、印字速度の高速化及びカラー化に対応できる手法と保存性とは、逆の相関関係にあるが、この逆の相関関係を解決する手法として、従来より、トナー粒子をガラス転移温度の高いポリマーで被覆し、保存性を解決するいわゆるカプセルトナーが提案されている。
従来、カプセルトナーの製造法としては、種々の方法が提案されている(例えば、特開昭60−173552号公報、特開平2−259657号公報、特開昭57−45558号公報等)。
その一手法として、特開昭59−62870号公報には、懸濁重合によって形成された核体粒子に、その核体粒子のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度の重合体を与える単量体を吸着させ、重合させることによるトナーの製造方法が提案されている。しかしながら、この実施例におけるように、帯電制御剤としてアセチルサリチル酸クロム錯体のような金属錯体を用いると、水性媒体中に、分散安定剤により単量体組成物の液滴を分散させようとしても、液滴の安定性が得られないという問題があった。このような金属錯体は、親水性が強いため、親油性の強い単量体組成物の中に分散させると、単量体組成物の液滴の分散安定性を乱すためと考えられる。
【0008】
特開昭62−262055号公報には、アルキルサリチル酸亜鉛錯体及び水不溶性無機塩の存在下で、顔料、アルキルサリチル酸亜鉛錯体及び結着性樹脂形成用単量体を懸濁重合した後、前記水不溶性無機塩を分解させて水に溶解させ、顔料、アルキルサリチル酸亜鉛錯体及び結着性樹脂を含有する平均粒径1〜5μmの着色微粒子を製造する方法が提案されている。
しかしながら、先にも述べたごとく、金属錯体を含有させた単量体組成物を懸濁重合すると、液滴分散安定性が低下し、粒径が小さくなるほど分散安定性が低下するという問題を抱えていた。
【0009】
特開平03−15858号公報及び特開平03−243954号公報には、着色剤、極性物質及び離型剤を含有する単量体組成物を水中で懸濁重合することによって得られる重合法トナーにおいて、該極性物質がスチレン及び/又はα−メチルスチレンと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合比が98:2〜80:20で重量平均分子量が2000〜15000の重合体である重合トナーが提案されている。
こうした帯電制御樹脂を用いると安定した負帯電性を示すものの、顔料の分散性がまだ十分でないという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、定着温度が低く、高速印字に対応でき、さらに、カラートナーに好適で、かつ、保存性、解像度に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することにある。
かかる従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、本発明者らは、懸濁重合法により製造されるコア・シェル構造トナーにおいて、特定の組成及び分子量の極性樹脂を用いることによって、上記目的を達成することができることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、下記の1〜3が提供される。
1.懸濁重合により得られたコア・シェル構造トナーであって、極性樹脂として、ビニル系単量体単位99.9〜90重量%とスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単位0.1〜10重量%とからなる、重量平均分子量が17000〜25000の共重合体を含有することを特徴とするコア・シェル構造トナー。
2.極性樹脂の含有量がコアを構成する重合体100重量部当たり0.1〜7重量部である前記1記載のコア・シェル構造トナー。
3.分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤及び極性樹脂を含有するコア用単量体組成物を懸濁させ、重合開始剤を用いて重合することによりコア用着色微粒子を製造し、次いで、シェル用単量体及び重合開始剤を添加し、重合することを特徴とする前記1又は2記載のコア・シェル構造トナーの製造方法。
【0012】
また、本発明によれば、さらに以下のような好ましい実施態様が提供される。
4.体積平均粒径が2〜12μmである前記1〜3記載のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
5.一次粒径が20〜50nmであるカーボンブラックを着色剤として含有又は使用する前記1〜3のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
6.好ましくは天然ガス系フィッシャートロプシュワックスである離型剤を含有又は使用する前記1〜3のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
7.球形度が1.0〜1.3である前記1〜3記載のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
8.コア用単量体とシェル用単量体の比率が80:20から99.9:0.
1である前記1〜3のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
9.コア用単量体100重量部当たり、架橋剤を2.0重量部以下含有又は使用する前記1〜3のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
10.コア用単量体100重量部当たり、重合体となったときに80℃以上のガラス転移温度を有するマクロモノマーを1重量部以下含有又は使用する前記1〜3のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
11.コアのガラス転移温度が60℃以下である前記1〜3のコア・シェル構造トナー又はその製造方法。
12.分散安定剤が難水溶性無機分散剤である前記3のコア・シェル構造トナーの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
1.極性樹脂
本発明において用いられる極性樹脂は、ビニル系単量体とスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとの共重合体である。
(ビニル系単量体)
スルホン酸含有(メタ)アクリルアミドと共重合されるビニル系単量体の代表例としては、ビニル芳香族炭化水素単量体及び(メタ)アクリレート単量体が挙げられる。
ビニル芳香族炭化水素の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メチル−α−メチルスチレン、3−メチル−α−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、2−エチル−α−メチルスチレン、3−エチル−α−メチルスチレン、4−エチル−α−メチルスチレン、2−プロピル−α−メチルスチレン、3−プロピル−α−メチルスチレン、4−プロピル−α−メチルスチレン、2−イソプロピル−α−メチルスチレン、3−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−α−メチルスチレン、3−クロロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、2,3−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,3−ジエチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、2,6−ジエチルスチレン、2−メチル−3−エチルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、2−クロロ−4−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジエチル−α−メチルスチレン、3,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,6−ジエチル−α−メチルスチレン、2−エチル−3−メチル−α−メチルスチレン、2−メチル−4−プロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−4−エチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらのビニル芳香族炭化水素単量体は、単独であっても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
また、(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート単量体は、単独であっても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
(スルホン酸含有(メタ)アクリルアミド)
前記ビニル系単量体と共重合されるスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、4−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸等、の酸及びこれらの金属塩が挙げられ、これらを単独で、又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
(極性樹脂の組成)
本発明において用いられる極性樹脂におけるビニル系単量体とスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとの共重合割合は、前者99.9〜90重量%、後者0.1〜10重量%である。スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの割合(以下、官能基重量%ということがある)は、好ましくは0.2〜8.0、特に好ましくは0.3〜6.0重量%である。この単位が0.1重量%未満では帯電制御能力および顔料分散が十分でなく、10重量%を超えると重合時の単量体組成物液滴の分散安定性が低下して、均一な粒径のトナーが得られなかったり、帯電が高くなりすぎる等の問題が生じる。
【0017】
(重量平均分子量)
スルホン酸基含有共重合体の、テトラヒドロフランを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算重量平均分子量Mwは、17,000〜25,000、好ましくは18,000〜24,000、より好ましくは19,000〜23,000である。重量平均分子量が大きすぎると、トナー液滴粒子の粘度が大きくなって、液滴の大きさがバラバラになるため均一なトナー粒子が得られない。逆に重量平均分子量が小さすぎるとトナー中の顔料の分散性が低下し、安定した帯電性が得られない。
【0018】
(重合開始剤)
前述の方法でスルホン酸基含有共重合体を調製する際に用いられる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイック酸)、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのアゾ化合物;メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等の過酸化物などを例示することができる。
さらにアルカリ金属、ブチルリチウム、アルカリ金属とナフタレンの反応物等アニオン重合の開始剤による溶液重合は分子量制御が容易なので好ましい。
重合開始剤の使用量は、目的とする重量平均分子量に併せて任意に選択することができ、具体的には、単量体総重量100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0019】
(重合法)
上述した方法は、乳化重合、分散重合、懸濁重合、溶液重合などいずれの方法であってもよいが、目的とする重量平均分子量が得られやすい点から溶液重合が特に好ましい。
【0020】
(重合媒体)
溶液重合等で用いる溶剤、分散剤は、適宜選択することができる。具体的には、炭化水素化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系化合物;n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ノナン、デカン、デカリン、ドデカンなどの飽和炭化水素系有機化合物;が挙げられる。また、含酸素系有機化合物としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第二ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、へキシレングリコール、グリセリンなどのヒドロキシ化合物類;プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、n−アミルエーテル、イソアミルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルn−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルn−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテルなどの脂肪族飽和系エーテル類;アリルエーテル、エチルアリルエーテルなどの脂肪族不飽和系エーテル類;アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテルなどの芳香族エーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコール類;ギ酸、酢酸、無水酢酸、酪酸などの有機酸類;ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ブチルシクロヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸ブチル、炭酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、リン酸トリエチルなどの有機酸エステル類;メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどのケトン類;1,4−ジオキサン、イソホロン、フルフラールなどのその他の含酸素有機化合物が挙げられる。
【0021】
(重合条件)
重合温度及び重合時間は、重合法や使用する重合開始剤の種類などにより任意に選択できるが、通常約50〜200℃であり、重合時間は0.5〜20時間程度である。更に、重合に際しては通常知られている添加剤、例えばアミンなどの重合助剤を併用することもできる。重合後の系からスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合体を得る方法は貧溶剤に落とす方法、スチームで溶剤を除去する方法、減圧で除去する方法、加熱溶融で除去する方法、凍結乾燥する方法、高濃度で重合しそのままトナー重合系に添加する方法等が用いられる。
【0022】
2.コア・シェル構造トナー及びその製造方法
(コア粒子の製造方法)
本発明のコア・シェル構造トナーは、コア用単量体80〜99.9重量%及びシェル用単量体20〜0.1重量%を用いて製造される。
本発明において、懸濁重合法によりカプセルトナーを製造する代表的な方法は、二段階重合法である。すなわち、分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤及び極性樹脂を含有するコア用単量体組成物を懸濁させ、重合開始剤を用いて重合することにより、コア用着色微粒子を製造し、次いで、シェル用単量体及び重合開始剤を含有するシェル用単量体組成物を添加し、重合してシェルを形成させることによってコア-シェル構造のカプセルトナーを製造する。
【0023】
より具体的には、コア用ビニル系単量体中に、着色剤、極性樹脂、及び必要に応じて、離型剤等のその他の添加剤のコア用原材料をビーズミル等の混合分散機で混合し、分散安定剤を含有する水系媒体中に分散させ、懸濁液を撹拌し、液滴を形成する。
そこに重合開始剤を添加し、更に液滴を所望のトナー径となるように調整する。その方法は、特に限定されないが、高速回転する回転子と、それを取り囲み、かつ小孔又は櫛歯を有する固定子との間隙に流通させて造粒する方法が好適である。
【0024】
単量体組成物の分散状態は、単量体組成物の液滴の体積平均粒径が、2〜12μm、好ましくは3〜10μm、特に好ましくは、4〜7μmの状態である。液滴が大きすぎると、トナー粒子が大きくなり、画像の解像度が低下するようになる。
【0025】
当該液滴の体積平均粒径/数平均粒径は、1〜3、好ましくは1〜2である。該液滴の粒径分布が広いと定着温度のばらつきが生じ、さらに、かぶり、フィルミングなどの不具合を生じるようになる。
該液滴としては、その体積平均粒径±1μmの範囲に30体積%以上、好ましくは50体積%以上存在する粒径分布のものが好適である。
【0026】
また、本発明においては、前記単量体組成物分散液を得た後、重合反応器に仕込み、重合することが好ましい。具体的には、分散液調製用の容器で単量体組成物を水媒体に添加して単量体組成物分散液を調製し、該単量体組成物を別の容器(重合反応用容器)に移送し、該容器に仕込み、重合する。
従来の懸濁重合法のごとく、分散液を重合反応器で調製し、そのまま重合反応をさせる方法では、反応器内にスケールが生起し、粗大粒子が多量に生成しやすくなる。
【0027】
油溶性開始剤の添加時期に特に制限はないが、ビニル系単量体中に、着色剤、極性樹脂、及び所望によりその他の添加剤を添加し、ビーズミル等により均一に分散させた単量体組成物を調製し、次いで、この混合液を水系分散媒体中に投入し、良く攪拌して、液滴粒子が均一になった後に、油溶性重合開始剤を添加、混合することが好ましい。その後、さらに高速回転せん断型撹拌機を用いて、トナー粒子に近い粒径まで造粒した後、5〜120℃、好ましくは35〜95℃の温度で懸濁重合する。5℃より低いと、触媒活性が高い重合開始剤を用いることになるので、重合反応の管理が困難になる。120℃より高いと、離型剤を用いた場合、トナー表面にブリードし易くなり、保存性が悪くなる。
【0028】
(コア用単量体)
本発明に用いるコア用単量体として、モノビニル系単量体を挙げることができる。具体的にはスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;等のモノビニル系単量体が挙げられる。これらのモノビニル系単量体は、単独で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらモノビニル系単量体のうち、スチレン系単量体またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
【0029】
本発明に用いるコア用単量体は、ガラス転移温度が、通常60℃以下、好ましくは、40〜60℃の重合体を形成しうるものである。ガラス転移温度が60℃を超えると、定着温度を低くできない。40℃未満では、保存性が満足できない場合がある。通常、コア用単量体は一種又は二種以上を組み合わせて使用することが多い。
【0030】
重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用する単量体の種類と使用割合に応じて以下の式で算出される計算値(計算Tgという)である。
1/Tg=W1/T1+W2/T2+W3/T3+……
ただし、
Tg:共重合体のガラス転移温度(絶対温度)。
W1、W2、W3……:共重合体組成物中における特定の単量体の重量%。
T1、 T2、 T3……:その単量体から形成されるホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)。
使用する単量体が一種類の場合には、該単量体から形成される単独重合体のTgを、本発明における重合体のTgと定義する。例えば、ポリスチレンのTgは、100℃であるから、スチレンを単独で使用する場合には、該単量体は、Tgが100℃の重合体を形成するという。使用する単量体が二種類以上あって、生成する重合体が共重合体の場合には、使用する単量体の種類と使用割合に応じて共重合体のTgを算出する。例えば、単量体として、スチレン80.5重量%とn−ブチルアクリレート19.5重量%を用いる場合には、この単量体比で生成するスチレン−n−ブチルアクリレート共重合体のTgは55℃であるから、この単量体は、Tgが55℃の重合体を形成するという。
【0031】
更に架橋性単量体を用いることはホットオフセット改善に有効である。架橋性単量体は、二以上の重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体である。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは二種以上組み合わせて用いることができる。使用量は、コア用単量体100重量部当たり、0〜2.0重量部、好ましくは、0.1〜1.0重量部である。
【0032】
(コア用重合開始剤)
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等の過酸化物類などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。これらの油溶性ラジカル開始剤のうち、10時間半減期の温度が60〜80℃、好ましくは65〜80℃で、かつ分子量が250以下の有機過酸化物から選択される油溶性ラジカル開始剤が好ましく、特にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートは、印字時の臭気が少ないこと、臭気などの揮発成分による環境破壊が少ないことから好適である。
【0033】
コア用重合開始剤の使用量は、コア用単量体100重量部当たり、通常、0.1〜10.0重量部である。また、水媒体100重量部当たりでは、通常、0.001〜3重量部である。これらの部数の下限未満では、重合速度が遅く、上限超過では、分子量が低くなるので好ましくない。
【0034】
(分子量調整剤)
分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、コア用単量体100重量部に対して、通常、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0035】
(離型剤)
離型剤は、オフセット防止のために添加することが好ましい。その具体例として、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレートのごとき多官能エステル化合物;低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィン類;パラフィンワックス類;などを挙げることができる。これらの内、融点が60℃から120℃のものが好ましい。特に天然ガス系フィッシャートロプシュワックスが好適である。離型剤は、コア用単量体100重量部に対して、通常、0〜30重量部、好ましくは0.1〜25重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部の割合で使用される。
【0036】
(滑剤・分散助剤)
さらに、着色剤のトナー粒子中への均一分散等を目的として、オレイン酸、ステアリン酸、各種ワックス類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系の各種滑剤;シラン系またはチタン系カップリング剤等の分散助剤;などを使用してもよい。このような滑剤や分散剤は、着色剤の重量を基準として、通常、1/1000〜1/1程度の割合で使用される。
【0037】
(帯電制御剤)
本発明において用いられる極性樹脂は、帯電制御性能を有するので、一般的に用いられている負帯電性の帯電制御剤を用いる必要はないが、所望によりそれらも用いることができる。使用量は、コア用単量体100重量部当たり、0〜3.0重量部である。この上限より多量に用いると、分散安定剤を分散させた水系媒体中での単量体組成物の造粒液滴が不安定になるので、極性樹脂の使用量よりも少量にとどめることが好ましい。
【0038】
(マクロモノマー)
また、本発明では、保存性、耐オフセット性と低温定着性とのバランスを良くするためにマクロモノマーを単量体として添加しても良い。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。数平均分子量が小さいものを用いると、重合体粒子の表面部分が柔らかくなり、保存性が低下するようになる。逆に数平均分子量が大きいものを用いると、マクロモノマーの溶融性が悪くなり、定着性が低下するようになる。
【0039】
マクロモノマーは、コア用単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度の重合体を与えるものが好適である。なお、マクロモノマーのTgは、通常の示差熱計(DSC)等の測定機器で測定される値である。
【0040】
本発明に用いるマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独で又は2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマー、特開平3−203746号公報の第4頁〜第7頁に開示されているものなどを挙げることができる。
これらのマクロモノマーのうち、特にスチレン、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルを単独で、又はこれらを組み合わせて重合して得られるような、高いガラス転移温度を有する重合体が好適である。
【0041】
マクロモノマーを使用する場合、その量は、コア用単量体100重量部に対して、通常、0.01〜1重量部、好適には0.03〜0.8重量部である。マクロモノマーの量が少ないと、保存性、オフセット性が向上しない。マクロモノマーの量が極端に多くなると定着性が低下するようになる。
【0042】
(着色剤)
着色剤としては、黒色顔料のカーボンブラックの場合、一次粒径が20〜40nmであるものを用いることが特に好ましい。20nmより小さいとカーボンブラックの分散が得られず、かぶりの多いトナーになり、一方、40nmより大きいと、多価芳香族炭化水素化合物の量が多くなって、安全上の問題が起こることがある。
その他の黒色顔料として、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。
【0043】
さらに、磁性カラートナー用染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリン6、C.I.ベーシックグリン4、C.I.ベーシックグリン6等が挙げられる。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロ、ミネラルファーストイエロ、ネーブルイエロ、ネフトールイエロS、ハンザイエロG、パーマネントイエロNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、クロムグリン、酸化クロム、ピグメントグリンB、マラカイトグリンレーキ、ファイナルイエログリンG等が挙げられる。
【0044】
フルカラートナー用マゼンタ着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207および209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29および35等が挙げられる。マゼンタ染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109および121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21および27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39および40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27および28などの塩基性染料等が挙げられる。
【0045】
フルカラートナー用シアン着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16および17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45およびフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0046】
また、フルカラートナー用イエロ着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロ1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、138および180、C.I.バットイエロ1、3および20等が挙げられる。
【0047】
(分散安定剤)
本発明に用いる分散安定剤は、難水溶性金属化合物のコロイドを含有するものが好適である。難水溶性金属化合物としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、などの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、などの炭酸塩;りん酸カルシウムなどのりん酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄などの金属水酸化物;等を挙げることができる。これらのうち、難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤は、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
【0048】
難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤は、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整するによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。
【0049】
本発明に用いる難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。
【0050】
分散剤は、コア用単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用される。この割合が0.1重量部より少ないと、十分な分散安定性を得ることが困難で、重合凝集物が生成し易くなる。逆に、20重量部を越えると、分散液の粘度が高くなって、重合安定性が低くなる。
【0051】
本発明においては、必要に応じて、水溶性高分子を含有する分散剤を用いることができる。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等を例示することができる。本発明においては、界面活性剤を使用する必要はないが、帯電特性の環境依存性が大きくならない範囲で懸濁重合を安定に行うために使用することができる。
【0052】
本発明のトナーの製法によって、体積平均粒径が、通常、2〜12μm、好ましくは3〜10μm、特に好ましくは4〜7μm、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)が、通常、1.7以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下のコア粒子が得られる。
【0053】
(シェルの形成)
本発明のコア・シェル構造トナーは、前記コア粒子にシェル用単量体を添加し、重合することにより得られる。
【0054】
(シェル用単量体)
本発明において用いられるシェル用単量体は、その単量体から得られる重合体のガラス転移温度が少なくともコア粒子用単量体から得られる重合体のガラス転移温度よりも高くなるように設定する必要がある。シェル用単量体により得られる重合体のガラス転移温度は、コア・シェル構造トナーの保存安定性を向上させるために、通常、50℃超過120℃以下、好ましくは60℃超過110℃以下、より好ましくは80℃超過105℃以下である。
コア粒子用単量体からなる重合体とシェル用単量体からなる重合体との間のガラス転移温度の差は、通常、10℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上である。
【0055】
シェル用単量体は、コア粒子の存在下に重合する際に、コア粒子の数平均粒子径よりも小さい液滴とすることが好ましい。シェル用単量体の液滴の粒径が大きくなると、シェルが均一に付着できないので、保存性が低下傾向になる。
シェル用単量体を小さな液滴とするには、シェル用単量体と水系分散媒体との混合物を、例えば、超音波乳化機などを用いて、微分散処理を行う。
得られた水分散液をコア粒子の存在する反応系へ添加することが好ましい。
【0056】
シェル用単量体は、20℃の水に対する溶解度により特に限定されないが、20℃の水に対する溶解度が0.1重量%以上の、すなわち、比較的水溶性の単量体は、コア粒子に速やかに移行しやすいので、保存性のよい重合体粒子を得やすい。
一方、20℃の水に対する溶解度が0.1重量%未満の単量体を用いた場合には、コア粒子への移行が遅いので、前述のごとく、単量体を微小な液滴にして重合することが好ましい。また、20℃の水に対する溶解度が0.1重量%未満の単量体を用いた場合には、20℃の水に対する溶解度が5重量%以上の有機溶媒を反応系に加えることによりシェル用単量体がコア粒子にすばやく移行するようになり、保存性のよい重合体粒子が得やすくなる。
【0057】
20℃の水に対する溶解度が0.1重量%以上の単量体としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;4−ビニルピリジン等の含窒素ビニル化合物;酢酸ビニル、アクロレインなどが挙げられる。
また、20℃の水に対する溶解度が0.1重量%未満のシェル用単量体としては、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0058】
20℃の水に対する溶解度が0.1重量%未満のシェル用単量体を用いた場合に好適に使用される有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル;ジメチルホルムアミド等のアミドなどを挙げることができる。
有機溶媒は、分散媒体(水と有機溶媒との合計量)に対するシェル用単量体の溶解度が0.1重量%以上となる量を添加する。具体的な有機溶媒の量は有機溶媒、シェル用単量体の種類及び量により異なるが、水系分散媒体100重量部に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部である。
有機溶媒とシェル用単量体とを反応系に添加する順序は特に限定されないが、コア粒子へのシェル用単量体の移行を促進し、保存性のよい重合体粒子を得やすくするために、有機溶媒を先に添加し、その後シェル用単量体を添加するのが好ましい。
【0059】
20℃の水に対する溶解度が0.1重量%未満の単量体と0.1重量%以上の単量体とを併用する場合には、先ず20℃の水に対する溶解度が0.1重量%以上の単量体を添加し重合し、次いで有機溶媒を添加し、20℃の水に対する溶解度が0.1重量%未満の単量体を添加し重合することが好ましい。この添加方法によれば、コア・シェル構造トナーの定着温度を調整するために、コア粒子の存在下に重合する単量体から得られる重合体のTgや、単量体の添加量を適宜制御することができる。
【0060】
シェル用単量体をコア粒子の存在下に重合する具体的な方法としては、前記コア粒子を得るために行った重合反応の反応系にシェル用単量体を添加して継続的に重合する方法、又は別の反応系で得たコア粒子を仕込み、これにシェル用単量体を添加して段階的に重合する方法などを挙げることができる。
シェル用単量体は反応系中に一括して添加するか、またはプランジャポンプなどのポンプを使用して連続的もしくは断続的に添加することができる。
【0061】
(シェル用ラジカル重合開始剤)
本発明においては、シェル用単量体を添加する際に、水溶性のラジカル重合開始剤を添加することがコア・シェル構造の粒子を得やすくするために好ましい。シェル用単量体の添加の際に水溶性ラジカル重合開始剤を添加すると、シェル用単量体が移行したコア粒子の外表面近傍に水溶性重合ラジカル開始剤が進入し、コア粒子表面に重合体(シェル)を形成しやすくなるからであると考えられる。
【0062】
水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド等のアゾ系開始剤;クメンパーオキシド等の油溶性開始剤とレドックス触媒の組合せ;などを挙げることができる。水溶性ラジカル重合開始剤の量は、シェル用単量体100重量部当たり、通常、1.0〜70重量%である。水系媒体基準で、通常、0.001〜30重量%である。
【0063】
本発明のコア・シェル構造トナーは、通常、コア粒子用単量体(コア粒子を形成する単量体)80〜99.9重量%とシェル用単量体20〜0.1重量%を用いて製造される。
シェル用単量体の割合が過少であると、保存性改善効果が小さく、逆に、過多であると、定着温度の低減の改善効果が小さくなる。
【0064】
(コア・シェル構造トナーの特性)
本発明のコアーシェル構造トナーの体積平均粒子径は、通常、2〜12μm、好ましくは3〜10μm、特に好ましくは4〜7μmである。2μmより小さいと製造が困難であって、12μmより大きいと、解像度が低下する場合がある。
また、粒径分布(体積平均粒子径/個数平均粒子径)は、通常、1.7以下、好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下である。1.7より大きいと大粒径のトナーが多くなるので、画像の解像度が低下することがある。
【0065】
本発明のコア−シェル構造トナーにおいて、シェルの平均厚みは、実施例欄に示す計算値で0.001〜1.0μm、好ましくは0.002〜0.5μm、更に好ましくは0.003〜0.1μmである。0.001μmよりも薄いと保存性が低下し、1.0μmより厚くなると定着性が低下する。
なお、構造は、コア部のすべてがシェルで覆われている必要はない。
コアの粒子径、及びシェルの厚みは、電子顕微鏡により観察できる場合は、その観察写真から無作為に選択した粒子の大きさ及びシェル厚みを直接測ることにより得ることができ、電子顕微鏡でコアとシェルとを観察することが困難な場合は、コア粒子の粒径及びシェルを形成する単量体の量から算定することができる。
【0066】
(トナーの球形度)
本発明のコア・シェル構造トナーは、その長径rlと短径rsとの比(rl/rs)が、通常、1〜1.3、好ましくは1〜1.2のものである。この比が大きくなると、コア粒子の表面をシェル用単量体の重合体で覆った場合、シェルの厚みが極端に不均一になったり、保存性が低下する。
【0067】
3.現像剤
本発明の現像剤は、上述したトナーと外添剤とから、常法に従って製造されるものである。
(外添剤)
本発明のトナーを含有する現像剤の製造に用いられる外添剤としては、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがメタクリル酸エステル重合体で、シェルがスチレン重合体で形成されたコア−シェル型粒子、コアがスチレン重合体で、シェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコア−シェル型粒子などが挙げられる。これらのうち、無機酸化物粒子、特に二酸化ケイ素粒子が好適である。また、これらの粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、トナー粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
【0068】
外添剤は2種以上を組み合わせて用いても良い。外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる2種の無機酸化物粒子または有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適である。
具体的には、平均粒子径5〜20nm、好ましくは7〜18nmの粒子(好適には無機酸化物粒子)と、平均粒子径20nm超過2μm以下、好ましくは30nm〜1μmの粒子(好適には無機酸化物粒子)とを組み合わせて付着させることが好適である。なお、外添剤用の粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で該粒子を観察し、無作為に100個選び粒子径を測定した値の平均値である。
【0069】
前記2種の外添剤(粒子)の量は、トナー粒子100重量部に対して、平均粒子径5〜20nmの粒子が、通常、0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部、平均粒子径20nm超過2μm以下の粒子が、通常、0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部である。平均粒子径5〜20nm粒子と平均粒子径20nm超過2μm以下粒子との重量比は、通常、1:5〜5:1の範囲、好ましくは3:10〜10:3の範囲である。
外添剤の付着は、通常、外添剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて撹拌して行う。
【0070】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
なお、本実施例では、以下の方法で評価した。
【0071】
(1)トナー特性
(球形度)
トナーの電子顕微鏡写真を撮り、その長径rlと短径rsとの比(rl/rs)を1サンプル100個算出し、その平均値を計算した。
【0072】
(粒径)
重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布すなわち体積平均粒径と平均粒径(dp)との比(dv/dp)はマルチサイザー(コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、濃度10%、測定粒子個数:
50000個の条件で行った。
【0073】
(シェル厚)
シェルが厚ければ、マルチサイザーや電子顕微鏡で測定が可能であるが、シェルが薄い本実施例の場合には、以下の式を用いて算定した。
x=r(1+s/100)1/3 −r (1)
但しr:シェル用単量体を添加前のコア粒径(マルチサイザーの体積粒径:μm)の半径、x:シェル厚み(μm)、s:シェル用単量体の添加部数(コア単量体100重量部に対する部数)。但し、シェル樹脂の密度ρ(g/cm3)を1.0とした。
【0074】
(2)現像剤特性
(定着温度)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(4枚機)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度での現像剤の定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めることにより行った。
定着率は、改造プリンターで印刷した試験用紙における黒ベタ領域の、テープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID後/ID前)×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、McBeth社製反射式画像濃度測定機を用いて測定した。
この定着試験において、定着率80%の定着ロール温度を現像剤の定着温度と評価した。
【0075】
(オフセット温度)
定着温度と同様に定着温度を変えて、黒ベタを印字させ、その時に、オフセットの発生の有無から判断した。
【0076】
(保存性)
現像剤を密閉可能な容器に入れて、密閉した後、該容器を55℃の温度に保持した恒温水槽の中に沈める。一定時間経過した後、恒温水槽から容器を取り出し、容器内の現像剤を42メッシュの篩上に移す。この際、容器内での現像剤の凝集構造を破壊しないように、容器内から現像剤を静かに取り出し、かつ、注意深く篩上に移す。この篩を、前記の粉体測定機を用いて、振動強度4.5の条件で、30秒間振動した後、篩上に残った現像剤の重量を測定し、凝集現像剤の重量とした。最初に容器に入れた現像剤の重量に対する凝集現像剤の重量の割合(重量%)を算出した。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を保存性の指標とした。
【0077】
(画質の環境依存性)
前述の改造プリンターを用いて、35℃×80RH%(H/H)環境及び10℃×20RH%(L/L)の各環境下で初期から連続印字を行い、反射濃度計(マクベス製)で印字濃度が1.3以上で、かつ、白色度計(日本電色製)で測定した非画像部のカブリが10%以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べ、以下の基準で現像剤による画質の環境依存性を評価した。
○:上記画質を維持できる連続印字枚数が10000枚以上。
△:上記画質を維持できる連続印字枚数が5000以上、10000未満。
×:上記画質を維持できる連続印字枚数が5000未満。
【0078】
(耐久性)
前述の改造プリンターで、23℃×50RH%室温環境下で、初期から連続印字を行い、反射濃度計(マクベス製)で測定した印字濃度が1.3以上で、かつ、白色度計(日本電色製)で測定した非画像部のカブリが10%以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べ、以下の基準で現像剤による画質の耐久性を評価した。
○:上記画質を維持できる連続印字枚数が10000枚以上。
△:上記画質を維持できる連続印字枚数が5000以上、10000未満。
×:上記画質を維持できる連続印字枚数が5000未満。
【0079】
実施例1
(極性樹脂の合成)
3リットルフラスコに、トルエン900部、スチレン87部、ブチルアクリレート10部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸3部及びアゾビスジメチルバレロニトリル2部を仕込み、攪拌し、90℃で8時間反応後、減圧蒸留により溶剤を除去し、Mw21,000のスルホン酸基含有共重合体を得た。
(離型剤の粉砕)
スチレン90部、離型剤(シェル・MDS社製天然ガス系フィッシャートロプシュワックス;商品名「FT−100」)10部を、メディヤ型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行い、離型剤が均一に分散したスチレン単量体離型剤分散液を調製した。
この分散液中の離型剤の体積平均粒径は、D50が2.8μm、D90が6.5μmであった。また、この分散液の固形分濃度は10.0%であった。
【0080】
(コアの重合)
次いで、先に得た離型剤分散液20部(スチレン含有量18部)、スチレン62.5部、n−ブチルアクリレート19.5部、カーボンブラック(商品名#25B、一次粒径40nm、三菱化学社製)7部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸含有共重合体(MW=21,000、スチレン比率87%、n−ブチルアクリレート比率10%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸比率3%)1部、ジビニルベンゼン0.3部を、通常の攪拌装置で攪拌、混合した後、メディア型分散機により、均一分散し、コア用単量体組成物(混合液)を得た。
【0081】
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)5.8部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。生成した上記コロイドの粒径分布をマイクロトラック粒径分布測定器(日機装社製)で測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.36μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.80μmであった。このマイクロトラック粒径分布測定器による測定においては、測定レンジ=0.12〜704μm、測定時間=30秒、媒体=イオン交換水の条件で行った。
【0082】
一方、メチルメタクリレート(計算Tg=105℃)3部と水100部を超音波乳化機により微分散化処理して、シェル用単量体の水分散液を得た。シェル用単量体の液滴の粒径は、得られた液滴を1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に濃度3%で加え、マイクロトラック粒径分布測定器で測定したところ、D90が1.6μmであった。
【0083】
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌した後、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを6部添加、混合し、エバラマイルダーを用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断攪拌して、単量体混合物の液滴を造粒した。この造粒した単量体混合物の水分散液を、攪拌翼を装着した10Lの反応器に入れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ100%に達したときに、サンプリングし、コアの粒径を測定した。この結果、7.0μmであった。
前記シェル用単量体の水分散液及び水溶性重合開始剤(2,2’アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)0.3部を蒸留水65部に溶解し、上記の反応器に入れた。8時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5のトナー粒子の水分散液を得た。
【0084】
上記により得たトナー粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸により系のpHを約5.5にして酸洗浄(25℃、10分間)を行い、次いで、濾過し、脱水した後、洗浄水を振りかけて水洗浄を行った。
その後、乾燥器(45℃)にて二昼夜乾燥を行いトナー粒子を得た。
このトナー粒子の球形度は、1.17、体積平均粒径は、7.1μmであった。
【0085】
上記により得られたトナー粒子100部に、疎水化処理した平均粒子径14nmのシリカ(デグサ社製;商品名「R202」)0.8部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して非磁性一成分現像剤を製造した。
【0086】
上記処方により得られた現像剤の特性を評価した。画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリのない極めて良好な画像が得られた。評価結果を表1に示す。
【0087】
実施例2
実施例1の極性樹脂の合成において、アゾビスジメチルバレロニトリル2部を2.5部に増やし、重合温度を90℃から95℃に上げた他は実施例1と同様にして、Mw17,000のスルホン酸基含有共重合体を得た。
さらに、実施例1と同様にしてカプセルトナーを調製して評価したところ、画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリのない極めて良好な画像が得られた。評価結果を表1に示す。
【0088】
実施例3
実施例1の極性樹脂の合成において、アゾビスジメチルバレロニトリル2部を1部に減らし、重合温度を90℃から85℃に下げた他は実施例1と同様にして、Mw25,000のスルホン酸基含有共重合体を得た。
さらに、実施例1と同様にしてカプセルトナーを調製して評価したところ、画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリのない極めて良好な画像が得られた。評価結果を表1に示す。
【0089】
比較例1
実施例1の極性樹脂の合成において、アゾビスジメチルバレロニトリル2部を3部に増やし、重合温度を90℃から95℃に上げた他は実施例1と同様にして、Mw15,000のスルホン酸基含有共重合体を得た。
さらに、実施例1と同様にしてカプセルトナーを調製して評価したところ、画像評価では、高温高湿下においてカブリが多く、耐久評価では不十分な画像が得られた。評価結果を表1に示す。
【0090】
実施例4
実施例1の極性樹脂の合成において、スチレンを84部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を6部に変えた他は実施例1と同様にしてカプセルトナーを得、同様にして評価したところ、画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリのない極めて良好な画像が得られた。評価結果を表2に示す。
【0091】
実施例5
実施例1の極性樹脂の合成において、スチレンを89部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を1部に変えた他は実施例1と同様にしてカプセルトナーを得、同様にして評価したところ、画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリのない極めて良好な画像が得られた。評価結果を表2に示す。
【0092】
実施例6
実施例1において、極性樹脂の添加量を1部から5部に増やした他は実施例1と同様にしてカプセルトナーを得、同様にして評価したところ、画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリのない極めて良好な画像が得られた。評価結果を表2に示す。
【0093】
実施例7
実施例1において、極性樹脂の添加量を1部から0.5部に減らした他は実施例1と同様にしてカプセルトナーを得、同様にして評価したところ、画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリのない極めて良好な画像が得られた。その他の評価結果を表2に示す。
【0094】
比較例2
実施例1の極性樹脂の合成において、スチレンを78部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を12部に変えた他は実施例1と同様にしてカプセルトナーを調製しようとしたが、液滴粒径が不安定で、転相し、重合できなかった。
【0095】
比較例3
実施例1の極性樹脂の合成において、スチレンを89.95部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を0.05部に変えた他は実施例1と同様にしてカプセルトナーを得、評価したところ、帯電が低く、カブリの多い、不十分な画質であった。評価結果を表3に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
以上の結果から、コア・シェル構造からなる重合トナーにおいて、極性樹脂の分子量及び極性樹脂中のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの含有割合を規定することにより、定着特性、オフセット性、保存性及び画像品質の優れたトナーが得られることが判る。
【0100】
【発明の効果】
本発明のコア・シェル構造トナーは、印字特性が優れ、通常より低温で定着ができ、高速印字、高速複写しても定着に優れ、カラー印字、カラー複写しても色むらがないので、一般の印刷機や複写機に好適に使用することができる。
Claims (3)
- 懸濁重合により得られたコア・シェル構造トナーであって、極性樹脂として、ビニル系単量体単位99.9〜90重量%とスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単位0.1〜10重量%とからなる、重量平均分子量が17000〜25000の共重合体を含有することを特徴とするコア・シェル構造トナー。
- 極性樹脂の含有量がコアを構成する重合体100重量部当たり0.1〜7重量部である請求項1記載のコア・シェル構造トナー。
- 分散安定剤を含有する水系分散媒体中で、少なくとも重合性単量体、着色剤及び極性樹脂を含有するコア用単量体組成物を懸濁させ、重合開始剤を用いて重合することによりコア用着色微粒子を製造し、次いで、シェル用単量体及び重合開始剤を添加し、重合することを特徴とする請求項1又は2記載のコア・シェル構造トナーの製造方法。
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