JP3723163B2 - アルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置 - Google Patents

アルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置に関し、特に、純アルミを含むアルミ合金から形成される2枚の板の端面を突き合わせて溶接する突き合わせ溶接に利用されるアルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
加圧された気体または液化ガスを貯蔵する球形タンクがLNG運搬船に適用されて使用されている。その球形タンクは、多数のアルミ合金製の板がアーク溶接により接合されて形成されている。球形タンクの接合部分を溶接する溶接装置が望まれている。
【0003】
図13は、公知の溶接装置を示している。その溶接装置100は、オシレーション装置101、ワイヤ送給器102および電源装置103を備えている。ワイヤ送給器102は、オシレーション装置101にワイヤ104を供給する。ワイヤ104は、母材105の被溶接部107に付加される溶加材である。オシレーション装置101は、トーチ106を備えている。トーチ106は、被溶接部107にワイヤ104とシールドガスとを供給し、ワイヤ104と被溶接部107との間に高圧の電圧を印加してアークを発生させて被溶接部107を溶接する。オシレーション装置101は、溶加材が被溶接部107に十分に充填されるように、トーチ106を運動させる。電源装置103は、アークを発生させるための高圧の電圧を生成する。
【0004】
図14は、被溶接部107を詳細に示している。被溶接部107は、母材105である2つの板105−1、105−2の端面が突き合わされている領域に形成される。被溶接部107には、母材105の溶接面115にV形開先110が形成されている。V形開先110は、日本工業規格JISにより定義される開先の形状であり、母材105の溶接面115と隣り合う2つの平坦部分111−1、111−2と開先の奥に位置しているルート部分112とから形成されている。平坦部分111−1、111−2のなす角である開先角度θは、概ね15°である。
【0005】
トーチ106は、ワイヤ104を遥動させながら開先面とワイヤ104の先端との間にアークを発生させて、母材105とワイヤ104とを溶解させて溶融金属を生成する。その溶融金属は、凝固してビードを形成することにより2つの母材105−1、105−2を溶接する。このような溶接は、複数回を繰り返して実行される。
【0006】
図15は、溶接後の溶接部を示している。その溶接部は、複数のビード120−1〜120−10が層を形成して、強固に板105−1、105−2を接合している。母材105をより強固に接合することが望まれ、ビード120−1〜120−10は融合不良に例示される欠陥が少ないことが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、より速く溶接するアルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、ビードの積層が少ないアルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、ビードの積層が少なく、かつ、融合不良が少ないアルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置を提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、低温割れを防止するアルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明によるアルミ合金溶接方法は、アルミ合金から形成される母材(5)が有する溶接面(15)にU形開先(11)を形成するステップと、U形開先(11)の内部に溶加材(4)を付加してアーク溶接するステップとを備えている。U形開先(11)が延びる溶接線方向(26)は、鉛直方向に概ね垂直である。U形開先(11)は、開先面(11−1、11−2、12)から形成されている。その開先面(11−1、11−2、12)は、平坦である平坦部分(11−1、11−2)を含んでいる。その平坦部分(11−1、11−2)は、上側平坦部分(11−1)と、上側平坦部分(11−1)より鉛直下方に配置される下側平坦部分(11−2)とを含んでいる。下側平坦部分(11−2)と上側平坦部分(11−1)とは、溶接面(15)に隣り合っている。下側平坦部分(11−2)と上側平坦部分(11−1)とのなす角である開先角度(θ)は、6度以下である。
【0010】
本発明によるアルミ合金溶接方法によれば、ビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)の積層回数がV形開先をアーク溶接するときの積層回数より少なくて済み、V形開先をアーク溶接する技術より速く溶接することができる。本発明によるアルミ合金溶接方法によれば、さらに、溶加材(4)の量を低減することができ、材料コストを低減することができる。本発明によるアルミ合金溶接方法によれば、さらに、母材(5)の入熱を低減することができ、溶接後の母材(5)の変形を低減することができる。
【0011】
U形開先(11)に溶加材(4)が凝固したビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)が置かれる溶接線方向(26)の平均速度である溶接速度(v)は、35cm/min.以上であり、50cm/min.以下である。このようなアルミ合金溶接方法によれば、溶加材(4)由来の溶着金属が止端で母材(5)に融合しないで重なったオーバーラップの形成を低減することができ、ビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)の融合不良を低減することができる。
【0012】
溶加材(4)の先端部分(22)は、開先面(11−1、11−2、12)との間にアークを生成する。このとき、先端部分(22)は、溶加材(4)の他の部分より鉛直下方に配置されている。溶加材(4)が延長される方向(21)に平行である直線を溶接線方向(26)に垂直である鉛直平面に正射影された線(24)と鉛直方向に垂直である面と鉛直平面との交線(25)とのなす角であるトーチ倒れ角(φ)は、1度以上であり、7度以下である。このようなアルミ合金溶接方法によれば、溶加材(4)由来の溶着金属が止端で母材(5)に融合しないで重なったオーバーラップの形成を低減することができ、ビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)の融合不良を低減することができる。
【0013】
先端部分(22)は、溶加材(4)の他の部分より溶接線方向(26)の最も前方に配置されている。溶加材(4)が延長される方向(21)に平行である直線を鉛直方向に垂直である水平面に正射影された線(27)と、溶接線方向(26)と平行である直線をその水平面に正射影された線(28)とのなす角であるトーチ進行角(φ)は、7度以上であり、10度以下である。このようなアルミ合金溶接方法によれば、溶加材(4)由来の溶着金属が止端で母材(5)に融合しないで重なったオーバーラップの形成を低減することができ、ビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)の融合不良を低減することができる。
【0014】
溶加材(4)の先端部分(22)は、上側平坦部分(11−1)の近傍の上側位置と下側平坦部分(11−2)の近傍の下側位置とを往復しながら溶接線方向(26)を進行する。先端部分(22)が上側位置から下側位置に移動する移動方向に平行である直線を溶接面(15)に正射影された線と、溶接線に平行である直線を溶接面(15)に正射影された線とのなす角であるオシレート角(δ)は、30度以上であり、45度以下である。このようなアルミ合金溶接方法によれば、溶加材(4)由来の溶着金属が止端で母材(5)に融合しないで重なったオーバーラップの形成を低減することができ、ビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)の融合不良を低減することができる。
【0015】
先端部分(22)が上側位置から下側位置に移動する平均速度であるオシレート速度(v)は、100cm/min.以上であり、120cm/min.以下である。このようなアルミ合金溶接方法によれば、溶加材(4)由来の溶着金属が止端で母材(5)に融合しないで重なったオーバーラップの形成を低減することができ、ビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)の融合不良を低減することができる。
【0016】
本発明によるアルミ合金溶接方法は、溶接面(15)の反対側の溶接裏面(16)に他のU形開先(61)を形成するステップと、そのU形開先(61)の内側に溶加材(4)を付加して溶接するステップとを更に備えていることが好ましい。
【0017】
ビード(51、52、53、62、63、64、65、66、67、68)は、外部に露出している第1ビード(65、66、67、68)と、外部に露出していない第2ビード(51、52、53、62、63、64)とを含んでいる。第1ビード(65、66、67、68)は、第2ビード(51、52、53、62、63、64)より時間的に後に形成される。このようなアルミ合金溶接方法によれば、第2ビード(51、52、53、62、63、64)が形成された後の母材(5)の変形は小さい。このため、溶接後に溶接部の温度が常温付近に低下した後に第2ビード(51、52、53、62、63、64)に発生する低温割れを防止することができ、溶接部の表面をきれいに仕上げることができる。
【0018】
本発明によるアルミ合金溶接装置は、本発明によるアルミ合金溶接方法を実行する装置である。本発明によるアルミ合金溶接装置は、U形開先(11)にワイヤを供給するトーチ(1)と、トーチを運動させるオシレーション装置とを備えていることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明によるアルミ合金溶接装置の実施の形態を説明する。そのアルミ合金溶接装置は、図1に示されているように、トーチ1を備えている。トーチ1は、給電チップ2と溶接ノズル3とを備えている。給電チップ2は、ワイヤ4を一定の速度で母材5の被溶接部6に供給し、ワイヤ4と母材5との間に高圧の電圧を印加する。溶接ノズル3は、シールドガスを被溶接部6に噴射して供給する。そのシールドガスとしては、アルゴンArまたはヘリウムHeが例示される。
【0020】
そのアルミ合金溶接装置は、さらに、図示されていないオシレーション装置とワイヤ送給器とを備えている。そのオシレーション装置は、トーチ1を運動させ、ワイヤ4が延びる方向と母材5の表面との角度を変化させ、または、ワイヤ4と母材5との位置関係を変化させる。そのワイヤ送給器は、ワイヤ4をトーチ1に供給する。
【0021】
本発明によるアルミ合金溶接方法は、母材5に鉛直方向に垂直に伸びるU形開先を形成するステップと、そのU形開先をアーク溶接するステップとを備えている。アーク溶接は、母材5とワイヤ4との間に高電圧を印加することにより発生するアークの熱を用いて溶加材であるワイヤ4を溶融し、そのU形開先にその溶融金属が凝固したビードを溶着させる溶接方法である。
【0022】
図2は、そのU形開先を詳細に示している。母材5は、板厚tが40mm以上60mm以下である上側板5−1と下側板5−2とから形成されている。被溶接部6は、上側板5−1と下側板5−2との端面が突き合わされた部分に形成されている。上側板5−1と下側板5−2とは、その突き合わされた部分が鉛直方向に垂直になるように配置されている。上側板5−1と下側板5−2とは、溶接面15と溶接面15の反対側の溶接裏面16とを有している。被溶接部6には、U形開先11が形成されている。U形開先11は、溶接面15に形成される溝であり、鉛直方向に垂直であり、かつ、溶接面15に平行である溶接線方向に伸びている。U形開先11は、開先面から形成されている。その開先面は、上側平坦部分11−1、下側平坦部分11−2およびルート部分12から形成されている。
【0023】
上側平坦部分11−1と下側平坦部分11−2とは、概ね平坦であり、それぞれ溶接面15に隣り合っている。上側平坦部分11−1は、上側板5−1の端面に形成されている。下側平坦部分11−2は、下側板5−2の端面に形成されている。ルート部分12は、溶接面15から溶接裏面16の側に離れたU形開先11の奥に配置されている。ルート部分12は、円柱の側面の一部分を形成し、その円柱の底面の半径であるルート半径rが2mm以上4mm以下である。上側平坦部分11−1、下側平坦部分11−2およびルート部分12は、滑らかにつながっている。
【0024】
溶接面15からルート部分12までの距離である開先深さdは、上側板5−1と下側板5−2との板厚tにより決定し、たとえば、次式:
d≒2/3×t
により表現される。
【0025】
U形開先11は、日本工業規格JISにより形状が定義される開先であり、上側平坦部分11−1と下側平坦部分11−2とが概ね対向している。本発明によるアルミ合金溶接方法に利用されるU形開先11は、上側平坦部分11−1と下側平坦部分11−2とのなす角である開先角度θは、6°以下である。
【0026】
図3と図4とは、トーチ1と母材5との位置関係を示している。トーチ1は、トーチ方向21を向き、ワイヤ4をトーチ方向21に平行に延長してU形開先11に供給する。このとき、ワイヤー4の先端22は、図3に示されているように、ワイヤー4の他の部分より鉛直方向の最も下方に配置されている。すなわち、トーチ方向21は、鉛直方向に垂直である水平面23に平行ではない。
【0027】
図3は、さらに、U形開先11が伸びる溶接線方向に垂直である平面にトーチ方向21に平行である直線が正射影された直線24を定義し、その平面と水平面23との交線25を定義している。一般に、第1図形が1平面に含まれる第2図形に正射影されるときに、第1図形の任意の点とその点に対応する第2図形の点とを結ぶ線分は、その平面に垂直である。直線24と交線25とのなす角であるトーチ倒れ角φは、1度以上7度以下である。トーチ倒れ角φは、特に、U形開先11の奥にワイヤ4の先端22を近づけるときに、ワイヤ4の先端22以外の部分が母材5接触しないように、より小さく設定されることができる。
【0028】
ワイヤ4の先端22は、図4に示されているように、ワイヤー4の他の部分より溶接線方向26の最も前方に配置されている。すなわち、トーチ方向21は、溶接線方向26に垂直ではない。図4は、さらに、鉛直方向に垂直である水平面にトーチ方向21に平行である直線が正射影された直線27を定義し、その水平面に溶接線方向26に平行である直線が正射影された直線28を定義している。直線27と直線28とのなす角であるトーチ進行角φは、7度以上10度以下である。
【0029】
図5は、ワイヤ4の先端22の軌跡を示している。ワイヤ4の先端22は、アーク溶接しているときに、オシレーション装置により上下に移動しながら、溶接線方向26に移動している。すなわち、ワイヤ4の先端22は、U形開先11の上側平坦部分11−1の近傍と下側平坦部分11−2の近傍とを直線的に往復しながら溶接線方向26に移動している。ワイヤ4の先端22の軌跡31は、上から下に向かう第1軌跡32と下から上に向かう第2軌跡32とを含み、第1軌跡32と第2軌跡32とが交互に繰り返しつながっている。ワイヤ4の先端22が溶接線方向26を進行する平均速度である溶接速度vは、35cm/min.以上50cm/min.以下である。
【0030】
図5は、さらに、溶接面15に第1軌跡32が正射影された直線34を定義し、溶接面15に溶接線方向26に平行である直線が正射影された直線35を定義している。直線34と直線35とのなす角であるオシレート角δは、30度以上45度以下である。第1軌跡32の道程であるオシレート幅Wは、ルート半径rが定数であるときに、オシレート角δと1対1対応している。
【0031】
図6は、オシレートの条件を示している。図6のグラフは、オシレートの条件を示す領域を示している。その領域41は、溶接速度vとオシレート幅Wとの取り得る範囲を示している。すなわち、溶接速度vは、35cm/min.以上50cm/min.以下である。オシレート幅Wは、2mm以上3mm以下である。なお、領域41は、長方形以外の形状を形成することもできる。このとき、溶接速度vがオシレート幅Wに基づいて設定され、または、オシレート幅Wが溶接速度vに基づいて設定される。
【0032】
図7は、U形開先11が溶接された後の溶接部を示している。その溶接部は、U形開先11の内部に複数のビード51、52、53が層を形成して、強固に上側板5−1と下側板5−2とを接合している。ビード53は、最も外側に配置されている。ビード53の外部に露出する表面は、溶接面15より凹むように形成される。
【0033】
本発明によるアルミ合金溶接方法は、U形開先11がビード31、32、33により肉盛された後に、溶接裏面16にU形開先を形成するステップと、そのU形開先をアーク溶接するステップをさらに備えている。
【0034】
図8は、溶接裏面16に形成されるU形開先を示している。そのU形開先61は、U形開先11と同様にして形成される。すなわち、U形開先61は、溶接面15に形成される溝であり、U形開先11に沿って、U形開先11のちょうど反対側に溶接線方向に伸びている。U形開先61は、開先面から形成されている。その開先面は、上側平坦部分61−1、下側平坦部分61−2およびルート部分61−3から形成されている。
【0035】
上側平坦部分61−1と下側平坦部分61−2とは、概ね平坦であり、それぞれ溶接裏面16に隣り合っている。上側平坦部分61−1は、上側板5−1の端面に形成されている。下側平坦部分61−2は、下側板5−2の端面に形成されている。ルート部分61−3は、溶接面15から溶接裏面16の側に離れたU形開先61の奥に配置されている。ルート部分61−3は、円柱の側面の一部分を形成し、その円柱の底面の半径であるルート半径rが2mm以上4mm以下である。上側平坦部分61−1、下側平坦部分61−2およびルート部分61−3は、滑らかにつながっている。U形開先61は、上側平坦部分61−1と下側平坦部分61−2とが概ね対向し、上側平坦部分61−1と下側平坦部分61−2とのなす角である開先角度θ′は、6°以下である。U形開先61の開先深さは、ルート部分61−3が溶接面15に盛られたビード31、32、33に形成される程度である。
【0036】
図9は、U形開先61が溶接された後の溶接部を示している。その溶接部は、U形開先61の内部に複数のビード62、63、64が層を形成して、強固に上側板5−1と下側板5−2とを接合している。ビード64は、最も外側に配置されている。ビード64の外部に露出する表面は、溶接裏面16より凹むように形成される。
【0037】
本発明によるアルミ合金溶接方法は、U形開先61が溶接された後に、溶接面15より盛り上がっているビードを形成し、溶接裏面16より盛り上がっているビードを形成するステップをさらに備えている。
【0038】
図10は、溶接面15より盛り上がっているビードと溶接裏面16より盛り上がっているビードとが形成された後の溶接部を示している。その溶接部は、U形開先11の外側に複数のビード65、66が形成され、U形開先61の外側に複数のビード67、68が形成されている。ビード65、66の外部に露出する表面は、溶接面15より盛り上がっている。ビード67、68の外部に露出する表面は、溶接裏面16より盛り上がっている。
【0039】
ビード65とビード66との間、または、ビード67とビード68との間の境目69は、上側板5−1と下側板5−2との変形により割れが発生し易い。境目69は、ビード51、52、53、62、63、64より後に形成される。このため、境目69は、ビード51、52、53、62、63、64が冷却されることによる変形の影響を受けないで、割れが発生し難い。
【0040】
本発明によるアルミ合金溶接方法によれば、V形開先をアーク溶接することより、ビードの積層回数が少なくて済み、速く溶接することができる。本発明によるアルミ合金溶接方法によれば、さらに、被溶接部6に供給するワイヤ4の量を低減することができ、材料コストを低減することができる。本発明によるアルミ合金溶接方法によれば、さらに、母材5の入熱を低減することができ、溶接後の母材5の変形を低減することができる。
【0041】
図11は、既述の条件を満足させないでU形開先11を溶接したときに形成されるビードを示している。その条件は、トーチ倒れ角φ、トーチ進行角φ、溶接速度v、オシレート角δ、オシレート幅Wまたはオシレート速度vの取り得る範囲に属することを含んでいる。そのビード71は、その表面が下側平坦部分11−2と交わる止端に、母材5に融合しないで重なるオーバラップ72が形成されている。オーバラップ72は、特に、溶接速度vが条件の範囲より小さいときに、多く形成される。
【0042】
図12は、既述の条件を満足させないでビード71の外側のU形開先11をアーク溶接したときの溶接部を示している。その溶接部は、ビード71の外側にビード73が形成され、ビード73の外側にビード74が形成されている。このとき、ビード71、ビード73および母材5が接合されている箇所、すなわち、オーバラップ72が形成されていた箇所には、融合不良75が形成されている。ビード73と母材5とが交わる箇所には、ビード73が形成されたときに、オーバーラップが形成され、ビード73、ビード74および母材5が接合されている箇所には、融合不良76が形成される。融合不良75、76は、溶接境界面が互いに十分に溶け合っていない部分であり、上側板5−1と下側板5−2との接合を弱くする。
【0043】
【発明の効果】
本発明によるアルミ合金溶接方法及びアルミ合金溶接装置は、より速く溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるアルミ合金溶接装置の実施の形態を示す斜軸投影図である。
【図2】図2は、U形開先の形状を示す断面図である。
【図3】図3は、母材とトーチとの位置関係を示す断面図である。
【図4】図4は、母材とトーチとの位置関係を示す断面図である。
【図5】図5は、ワイヤの先端の運動を示す正面図である。
【図6】図6は、オシレートの条件を示すグラフである。
【図7】図7は、溶接部の状態を示す断面図である。
【図8】図8は、溶接部の他の状態を示す断面図である。
【図9】図9は、溶接部のさらに他の状態を示す断面図である。
【図10】図10は、溶接部のさらに他の状態を示す断面図である。
【図11】図11は、条件を満足させないで溶接したときの溶接部の状態を示す断面図である。
【図12】図12は、条件を満足させないで溶接したときの溶接部の状態を示す断面図である。
【図13】図13は、公知のアルミ合金溶接装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図14】図14は、被溶接部の状態を示す断面図である。
【図15】図15は、溶接部の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 :トーチ
2 :給電チップ
3 :溶接ノズル
4 :ワイヤ
5 :母材
6 :被溶接部
11−1、11−2:平坦部分
12:ルート部分
15:溶接面
16:溶接裏面
21:トーチ方向
22:先端
23:水平面
24、25:直線
26:溶接線方向
27、28:直線
31:軌跡
32:第1軌跡
33:第2軌跡
34、35:直線
51、52、53、62、63、64、65、66、67、68:ビード

Claims (8)

  1. アルミ合金から形成される母材が有する溶接面にU形開先を形成するステップと、
    前記U形開先の内部に溶加材を付加してアーク溶接するステップと
    前記溶接面の反対側の溶接裏面に他のU形開先を形成するステップと、
    前記他のU形開先の内側に溶加材を付加して溶接するステップとを具備し、
    前記U形開先が延びる溶接線方向は、鉛直方向に概ね垂直であり、
    前記U形開先は、開先面から形成され、
    前記開先面は、平坦である平坦部分を含み、
    前記平坦部分は、上側平坦部分と、前記上側平坦部分より鉛直下方に配置される下側平坦部分とを含み、
    前記下側平坦部分と前記上側平坦部分とは、前記溶接面に隣り合い、
    前記下側平坦部分と前記上側平坦部分とのなす角は、6度以下である
    アルミ合金溶接方法。
  2. 請求項1において、
    前記U形開先に前記溶加材が凝固したビードが置かれる前記溶接線方向の平均速度は、35cm/min.以上であり、50cm/min.以下である
    ことを特徴とするアルミ合金溶接方法。
  3. 請求項2において、
    前記溶加材の先端部分は、前記開先面との間にアークを生成し、
    前記先端部分は、前記溶加材の他の部分より鉛直下方に配置され、
    前記溶加材が延長される方向に平行である直線を前記溶接線方向に垂直である鉛直平面に正射影された線と前記鉛直方向に垂直である面と前記鉛直平面との交線とのなす角は、1度以上であり、7度以下である
    ことを特徴とするアルミ合金溶接方法。
  4. 請求項3において、
    前記先端部分は、前記溶加材の他の部分より前記溶接線方向の最も前方に配置され、
    前記溶加材が延長される方向に平行である直線を前記鉛直方向に垂直である水平面に正射影された線と、前記溶接線方向と平行である直線を前記水平面に正射影された線とのなす角は、7度以上であり、10度以下である
    ことを特徴とするアルミ合金溶接方法。
  5. 請求項4において、
    前記先端部分は、前記上側平坦部分の近傍の上側位置と前記下側平坦部分の近傍の下側位置とを往復しながら前記溶接線方向を進行し、
    前記先端部分が前記上側位置から前記下側位置に移動する移動方向に平行である直線を前記溶接面に正射影された線と、前記溶接線に平行である直線を前記溶接面に正射影された線とのなす角は、30度以上であり、45度以下である
    ことを特徴とするアルミ合金溶接方法。
  6. 請求項5において、
    前記先端部分が前記上側位置から前記下側位置に移動する平均速度は、100cm/min.以上であり、120cm/min.以下である
    ことを特徴とするアルミ合金溶接方法。
  7. 請求項において、
    前記ビードは、外部に露出している第1ビードと、外部に露出していない第2ビードとを含み、
    前記第1ビードは、前記第2ビードより時間的に後に形成される
    ことを特徴とするアルミ合金溶接方法。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載されているアルミ合金溶接方法を実行するアルミ合金溶接装置であり、
    前記U形開先に前記溶加材を供給するトーチと、
    前記トーチを運動させるオシレーション装置
    とを具備するアルミ合金溶接装置。
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