JP3722827B2 - 超音波センサ - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、超音波の送波又は受波を行う超音波センサ、詳しくは、超音波の送波を行う超音波送波器、又は、超音波の受波を行う超音波受波器、又は、そのいずれか若しくは両方を行う超音波送受波器に関する。
【0002】
(背景技術)
近年、超音波送受波器は、距離測定、物体検知、流量計測、ロボット制御などの広い分野で工業的に利用されている。
【0003】
第1の超音波送受波器としては、例えば特公平6−101880号公報に記載されている超音波送受波器がある。以下、図10を参照して従来の超音波送受波器の構成及び動作について説明する。
【0004】
図10は、第1の従来の超音波送受波器の断面図である。図10において、100は超音波送受波器、101は超音波振動子、102は音響整合層、103はハウジングを示している。
【0005】
図10の構成において、最初に送波時の動作について説明する。超音波振動子101は、信号線104を経由して、駆動回路(送信回路701)からの駆動信号が与えられ、一般的には超音波振動子101の共振周波数近傍の周波数で超音波振動を発生する。超音波振動子101において発生した超音波振動は、音響整合層102を経由して超音波送受波器の周囲の流体に送波される。音響整合層103は、周囲の流体の音響インピーダンスと超音波振動子101の音響インピーダンスの中間の音響インピーダンスを持つ材料で構成され、周囲の流体への送波効率を向上させる機能を有している。
【0006】
超音波振動を発生する超音波振動子101は、典型的には圧電セラミックが用いられ、その音響インピーダンスは、例えば、30×10kg・m−2・s−1)程度である。周囲の流体が空気などの気体の場合、例えば空気の音響インピーダンスは400kg・m−2・s−1)程度であり、音響整合層102の音響インピーダンスは0.11×10kg・m−2・s−1)程度に設定され、かつ厚みが想定された超音波の周波数における波長の1/4に設定されることが好ましい。
【0007】
従来、圧電振動子及び空気の中間的な音響インピーダンスを持つ整合層を形成するため、密度が比較的小さな材料(例えばガラスバルーンやプラスチックバルーン)を樹脂で固めた材料が使用されている。
【0008】
次に、超音波受波時の動作を説明する。周囲の流体中を伝搬して超音波送受波器100に到達した超音波は、超音波送波時とは逆に音響整合層102を経由して超音波振動子101に伝えられる。超音波振動子101は、超音波による力学的作用を電気信号に変換し、信号線104を経由して、図示していない電気処理部へ信号が伝達される。
【0009】
以上の超音波送受波器100の送受信動作において、超音波の送受信は超音波振動子101と音響整合層102の積層方向、すなわち音響整合層102の垂線方向に行われる。
【0010】
第2の従来の超音波送受波器としては、例えば、特開2000−304581号公報に記載の超音波流量計において公開された超音波送受波器がある。以下、図11を参照して従来の超音波送受波器の構成及び動作について説明する。
【0011】
図11は、第2の従来の超音波送受波器の断面図である。図11において、104は第1音響整合層、105は第2音響整合層を示している。第1音響整合層104は、音速と密度の異なる材料板(104a、104b、104c、・・・)を複数積層した構造であり、音速の大きな材料から順次小さい材料に積層されている。
【0012】
以下、図11の構成における超音波送受波器100の動作を説明する。送波時には、図示されていない信号線によって印加された駆動信号により、超音波振動子101で発生した超音波は、第1音響整合層104(104a、104b、104c、・・・)を伝搬し、第2音響整合層105に入射する。積層された第1音響整合層104の各層(104a、104b、104c、・・・)を超音波が通過する時間は等しくなるよう設定されており、第1音響整合層104と第2音響整合層105の界面では超音波の波面が一致する。すなわち、第2音響整合層105内では、第1整合層104との界面の垂線方向に伝搬する。
【0013】
第2音響整合層105内を伝搬した超音波は、第2音響整合層105と周囲の流体の界面との音速の違いにより屈折し、方向を変えて周囲の流体へ放射される。
【0014】
受波時においては、送波時と逆の過程により、周囲の流体を伝搬して超音波送受波器100に到達した超音波は、第2音響整合層105との界面で屈折して第2音響整合層105に入射し、第1音響整合層104を経由して超音波振動子101で電気信号に変換される。この場合には、送波方向から到達した音波が選択的に受波される。
【0015】
第2の従来の超音波送受波器の場合には、屈折を利用して音波の方向を変えていることから超音波流量計に応用する際には、超音波送受波器を計測流路の壁に一体化させることができるため、計測対象の流体の流れの乱れを発生させない利点がある。
【0016】
しかしながら、第1の従来の超音波送受波器のような低密度の整合層を用いても、圧電セラミックなどの超音波振動子から空気などの気体中に超音波を伝搬させる場合には、どうしても伝搬損失が生じ、送受波の効率が低下するという問題があった。超音波を固体から気体へ効率よく伝搬させることが難しい理由は、固体の音響インピーダンスに比べて気体の音響インピーダンスが格段に小さく、中間に整合層を介在させても界面で超音波の強い反射が生じてしまうためである。
【0017】
さらに、上記の第2の従来の超音波送受波器に示す屈折を利用して超音波の偏向を行うタイプの超音波送受波器では、偏向角に伴う損失が加わり偏向角が大きくなると送受波効率が極端に低下して実質的に適用できないという問題があった。
【0018】
従って、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超音波の偏向が可能であり、かつ送受波の効率が高い高感度な超音波センサを提供することにある。
【0019】
(発明の開示)
本発明は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。
【0021】
また、本発明による超音波センサは、流体で満たされた周囲空間に対して超音波の送信又は受信を行う超音波センサであって、
超音波振動子と、
上記超音波振動子と上記周囲空間との間に配置されて上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部とを備え、
上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部における音速C、上記空間を満たす流体の密度ρ、及び上記空間を満たす流体における音速Cが、(ρ/ρ)<(C/C)<1の関係を満足するように構成する。
【0022】
また、本発明の超音波センサは、流体で満たされた周囲空間に対して超音波の送信又は受信を行う超音波送センサであって、
超音波振動子と、
上記超音波振動子と上記周囲空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部と、
上記伝搬媒質部に接して配置され上記超音波の伝搬経路を制御する反射体を備え、
上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部における音速C、上記空間を満たす流体の密度ρ、及び上記空間を満たす流体における音速Cが、(ρ/ρ)<(C/C)<1の関係を満足するように構成する。
【0023】
本発明によれば、被測定流体の流路を規定する内壁を有する流量測定部と、
上記流量測定部の内壁に囲まれた流路空間の外側に設けられ、超音波の送信又は受信を行う少なくとも1つの超音波振動子と、
上記超音波振動子と上記流路空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部と、
を備えた超音波流量計であって、
上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部における音速C、上記被測定流体の密度ρ、及び上記被測定流体における音速Cが、(ρ/ρ)<(C/C)<1の関係を満足するように構成する超音波流量計を提供する。
【0024】
本発明の第26態様によれば、ガスの流路を規定する内壁を有する流量測定部と、
上記流量測定部の内壁に囲まれた流路空間の外側に設けられ、超音波の送信又は受信を行う一対の超音波振動子と、
上記一対の超音波振動子の各々と上記流路空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を屈折させる一対の伝搬媒質部と、
を備え、
上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記流路空間に対向する第2表面領域とを有しており、
上記伝搬媒質部の第1表面領域は、上記流路空間内における上記ガスの流速方向に対して傾斜し、上記第2表面領域は、上記流路空間内における上記ガスの流速方向に対してほぼ平行である超音波流量計を提供する。
【0026】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明するが、その前に、本発明の様々な態様について説明する。
【0028】
本発明の第1態様によれば、流体で満たされた周囲空間に対して超音波の送信又は受信を行う超音波センサであって、
超音波振動子と、
上記超音波振動子と上記周囲空間との間の空間に充填されて上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部とを備える超音波センサを提供する。
【0029】
本発明の第2態様によれば、流体で満たされた周囲空間に対して超音波の送信又は受信を行う超音波センサであって、
超音波振動子と、
上記超音波振動子と上記周囲空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部とを備え、
上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部における音速C、上記空間を満たす流体の密度ρ、及び上記空間を満たす流体における音速Cが、(ρ/ρ)<(C/C)<1の関係を満足するように構成する超音波センサを提供する。
【0030】
本発明の第3態様によれば、上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記周囲空間を満たす流れに対向する第2表面領域とを有しており、上記伝搬媒質部の上記第2表面領域は、上記第1表面領域に対して傾斜している第2の態様に記載の超音波センサを提供する。
【0031】
本発明の第4態様によれば、流体で満たされた周囲空間に対して超音波の送信又は受信を行う超音波センサであって、
超音波振動子と、
上記超音波振動子と上記周囲空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部と、
上記伝搬媒質部に接して配置され上記超音波の伝搬経路を制御する反射体とを備え、
上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部における音速C、上記空間を満たす流体の密度ρ、及び上記空間を満たす流体における音速Cが、(ρ/ρ)<(C/C)<1の関係を満足するように構成する超音波センサを提供する。
【0032】
本発明の第5態様によれば、上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記周囲空間を満たす流れに対向する第2表面領域と、上記超音波の伝搬経路の上記第1表面領域と上記第2表面領域との間に配置され、上記反射体と接する少なくとも1つの第3表面領域を有しており、上記伝搬媒質部の上記第2表面領域は、上記第1表面領域及び上記第3表面領域のうち少なくとも1つの領域に対して傾斜している第4の態様に記載の超音波センサを提供する。
【0033】
本発明の第6態様によれば、上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部と上記周囲空間を満たす流体との界面への超音波の入射角θ、上記周囲空間を満たす流体の密度ρ、及び、上記界面から上記周囲空間を満たす流体への上記超音波の進入角θが、ρ/ρ=cotθ/cotθの関係をほぼ満足するように構成する第1〜5のいずれか1つの態様に記載の超音波センサを提供する。
【0034】
本発明の第7態様によれば、上記伝搬媒質部は、無機酸化物又は有機高分子の乾燥ゲルから形成されている第1〜5のいずれか1つの態様に記載の超音波センサを提供する。
【0035】
本発明の第8態様によれば、上記乾燥ゲルの固体骨格部は疎水化されている第6の態様に記載の超音波送センサを提供する。
【0036】
本発明の第9態様によれば、上記乾燥ゲルの密度は、500kg/m以下であり、上記乾燥ゲルの平均細孔直径は、100nm以下である第7の態様に記載の超音波センサを提供する。
【0037】
本発明の第10態様によれば、上記超音波振動子と上記伝搬媒質部との間に設けられ、上記超音波振動子と上記伝搬媒質部とを音響的に整合させる音響整合層を有している第1〜5のいずれか1つの態様に記載の超音波センサを提供する。
【0038】
本発明の第11態様によれば、上記周囲空間を満たす流体は、密度ρが10kg/m以下の気体である第1〜5のいずれか1つの態様に記載の超音波センサを提供する。
【0039】
本発明の第12態様によれば、上記超音波の送波又は受波方向が、上記第2表面領域にほぼ平行である第1〜5のいずれか1つの態様に記載の超音波センサを提供する。
【0040】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0041】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本発明における第1実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器を詳細に説明する。
【0042】
本発明者は、超音波送受波器において、適切な材料からなる伝搬媒質部を用いて超音波を適切に屈折させれば、界面における損失をほとんど発生させることなく、固体から流体(特に気体)へ超音波を伝搬させることができることを見出して、本発明を想到するに到った。
【0043】
本発明の第1実施形態にかかる超音波送受波器では、超音波振動子の振動面に平行な面と(第1表面領域)と、周囲空間を満たす流体と接する面(第2表面領域)とを有する伝搬媒質部を、超音波振動子と周囲空間を満たす流体との間に配置する。なお、本出願の明細書及び請求の範囲で、「周囲空間を満たす流体」とは、少なくとも第2表面領域に接する流体を意味し、必ずしも、超音波送センサ(例えば超音波送受波器)の周囲全てを満たす流体を意味するものではなく、その周囲の一部を満たす流体を意味する。
【0044】
まず、図1A及び図1Bを参照しながら、本発明の第1実施形態にかかる超音波送受波器を説明する。図1Aは、上記第1実施形態における超音波送受波器1の概観の斜視図を示し、図1Bは、図1AのB−B’に沿った上記超音波送受波器1の断面図を示している。
【0045】
図1A及び図1Bに示されている超音波送受波器1は、電気信号を超音波振動に変換あるいは超音波振動を電気信号に変換する超音波振動子2と、周囲空間の流体と超音波振動子2の間に配置されて超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部6と、超音波振動子2と伝搬媒質部6との間に配置されて超音波振動子2と伝搬媒質部6の音響インピーダンスの整合を取る音響整合層3と、超音波振動子2を内包しかつ超音波振動子2との電気的な導通経路を兼ねる振動子ケース部4と、端子板9xに配置されかつ超音波振動子2へ信号の入出力を行う2本の信号線5と信号線5間の電気的ショートを防ぐための絶縁部10と、2本の信号線5の一部と超音波振動子2と伝搬媒質部6と音響整合層3と振動子ケース部4とを収納するハウジング9とを備えている。ハウジング9は、図1A及び1Bに示されるように軸方向に対して所定角度に傾斜するように切断された円筒形状の側部9yと、側部9yの底部に固定され、ハウジング9の一部として機能する端子板9xとで構成されている。
【0046】
伝搬媒質部6は、端子板9xと側部9yとによるハウジング9で囲まれかつ振動子ケース部4の外側の空間でかつ該空間内に配置された音響整合層3以外の空間に満たされ、かつ、音響整合層3と超音波振動子2に対向する(ただし、直接的には音響整合層3に対向する)第1表面領域7と、周囲空間を満たす流体に面する第2表面領域8とを有している。さらに、上記伝搬媒質部6の上記第2表面領域8は、上記第1表面領域7に対して、平行とならないように、所定角度だけ傾斜している。ここで、所定角度とは、一例として、0°より大きくかつ90°より小さい角度であるが、実質的には80°より小さいほうが好ましい。上記第1実施形態では、伝搬媒質部6の密度をρ、伝搬媒質部6の音速をC、周囲空間を満たす流体の密度をρ、周囲空間を満たす流体の音速をCとしたとき、以下の式(1)に示す関係が満足されるように、伝搬媒質部6の材料を選択している。
(数1)
(ρ/ρ)<(C/C)<1 ・・・・・・・・・・(1)
【0047】
流体が空気などの気体の場合、上記条件を満足する材料を見つけることは難しい。その理由は、気体の音速Cよりも音速Cが小さな固体材料が少ないからである。上記第1実施形態では、上記条件を満足する伝搬媒質部6を実現するため、無機酸化物又は有機高分子の乾燥ゲルから伝搬媒質部6を形成している。上記第1実施形態で用いる乾燥ゲルの固体骨格部は疎水化されており、その密度は500kg/m以下である。この乾燥ゲルは、平均細孔直径が100nm以下のナノ多孔体乾燥ゲル(ナノ多孔質乾燥ゲル)である。
【0048】
なお、無機酸化物の乾燥ゲルの固体骨格部は、少なくとも酸化ケイ素(シリカ)又は酸化アルミニウム(アルミナ)を成分とすることが好ましい。また、有機高分子の乾燥ゲルの固体骨格部は、一般的な熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂により構成することができる。例えば、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール硬化樹脂、ポリアクリルアミド、又は、ポリメタクリル酸メチルなどを用いることができる。
【0049】
伝搬媒質部6を、例えばシリカを主成分とするナノ多孔体乾燥ゲルから形成する場合、その密度ρが200kg/mであれば、音速Cを100m/sから180m/s程度の範囲に設定することができる。周囲空間を満たす流体が空気である場合、空気の密度ρは1.22kg/m、音速Cは340m/sであるので、上記の伝搬媒質部6を採用することにより、ρ<ρ、及び、C<Cの関係を同時に満足させ、かつ、(ρ/ρ)<(C/C)の関係を満足させることができる。天然ガスなどのガスを測定する場合には、伝搬媒質部6としては、密度ρが100〜300kg/m、音速Cが100〜300m/sの範囲にあることが好ましい。
【0050】
超音波振動子2は圧電体であり、電気信号の印加により、超音波振動の発生及び/又は超音波の到来により電気信号の発生を行うことができる。圧電体としては、圧電セラミックスが好適に用いられる。共振特性を制御し、機械的なQ値を下げたい場合には、吸収材を周囲に配置してもよい。
【0051】
なお、上記第1実施形態の超音波送受波器1では、伝搬媒質部6と超音波振動子2との間に音響整合層3を設け、超音波発生源である超音波振動子2と伝搬媒質部6との間における音響的整合を高める機能を有している。
【0052】
シリカを主成分とするナノ多孔体乾燥ゲル(音響インピーダンス3×10kg・m−2・s−1))から伝搬媒質部6を形成し、かつ超音波振動子1が圧電セラミックス(音響インピーダンス:30×10kg・m−2・s−1))で構成されている場合、音響インピーダンスが1×10kg・m−2・s−1)付近の材料から作製した音響整合層3を採用することにより、超音波エネルギの伝搬効率をほぼ1、具体的には0.95以上とすることができる。このような材料は、中空ガラス球を樹脂材料で固めた複合材料や、多孔質セラミックで実現できる。音響整合層3の厚さは、使用する超音波の1/4波長に設定することが好ましい。
【0053】
さらに、上記第1実施形態の超音波送受波器1では、超音波振動子2を振動子ケース4内に内包しており、超音波振動子2は振動子ケース4の天面内側に、音響整合層3は振動子ケース4の天面外側に側に接合され積層構造となる。振動子ケース4は好ましくはステンレス材などの導電性の金属材料で形成され、その厚みは、想定される超音波の波長の1/10以下、好ましくは1/20以下にすることにより、超音波振動子2と音響整合層3の間の音響的整合を良好な状態に保持することができる。
【0054】
振動子ケース4は、電気溶接などの工法によりハウジング9の端子板9xと接合されており、かつ乾燥窒素やアルゴン等の不活性ガスを注入した密封構造にすることができる。上記の構成により、超音波振動子2は物理的に外気環境と遮断され信頼性の向上が達成でき、かつ電気的にもシールドされた構造になるため、周囲空間を満たす流体が、天然ガス等の可燃性の流体である場合にも高い安全性を確保できる。
【0055】
次に、図2を参照しながら、超音波が伝搬媒質部6から周囲空間を満たす流体へ伝搬する様子を詳細に説明する。
【0056】
前述した配置関係から、超音波は、超音波振動子1の振動面と対面しかつ平行である第1表面領域7の法線方向から入射するため、伝搬媒質部6と周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8の法線方向から傾斜した方向に沿って超音波が入射する。第2表面領域8の法線方向に対する超音波の入射角をθとする(0°<θ<90°)。このとき、超音波は、伝搬媒質部6と周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8で屈折し、法線方向に対する角度(進入角)θで被測定流体に進入することになる(θ<θ)。
【0057】
上記第1実施形態では、周囲空間を満たす流体の密度ρが与えられたとき、以下の式(2)の関係をほぼ満足するように各種のパラメータ(ρ、θ、及びθ)が設定されている。
(数2)
(ρ/ρ)=(cotθ/cotθ) ・・・・・・・・・・(2)
【0058】
このような設定により、超音波エネルギの伝搬媒質部6から周囲空間を満たす流体への伝搬効率は、ほぼ1になる。このとき、入射角θは次式(3)で表される条件を満足する。
(数3)
Figure 0003722827
【0059】
従って、伝搬媒質部6のρ、C、及び周囲空間を満たす流体のρ、Cが定まったならば、入射角θは式(3)によって決定される。また、入射角θが決まれば、式(2)によって進入角θも決定される。入射角θ及び進入角θが定まると、伝搬媒質部6の第2表面領域8の傾斜角度なども決定できる。
【0060】
以上のことは、周囲空間を満たす流体を伝搬してきた超音波を受波する場合にも、そのまま適用されるため、進入角θの方向から到来する超音波が選択的に受波される。
【0061】
上記第1実施形態では、前述した材料から伝搬媒質部6を形成することにより、伝搬媒質部6の音速Cを180m/s、密度ρを200kg/mに設定することができる。周囲空間が空気で満たされている通常空間の場合、空気の密度ρは1.22kg/m、音速Cは340m/sであるので、式(2)及び式(3)の関係から、入射角θは32°、進入角θは89°に設定すればよい。進入角θは90°に近いため、空気中に送波された超音波は、送波面である第2表面領域8とほぼ平行に進行する。したがって、上記第1実施形態の音波の送受波方向は、図1Aに示される第2表面領域8を含む平面内のB−B’線分に沿った図1Aの矢印90の方向となる。
【0062】
上記第1実施形態によれば、伝搬媒質部6と周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8での伝搬損失はほとんど生じないため、この界面において双方の音響インピーダンスを整合させる必要はない。従って、伝搬媒質部6内から発射される超音波が、伝搬媒質部6と周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8で屈折して、第2表面領域8を含む平面沿いの方向に超音波の偏向が可能であり、かつ第2表面領域8での伝搬損失はほとんど生じないため、送受波の効率が高い高感度な超音波センサを提供することができる。
【0063】
なお、伝搬媒質部6は、密度ρ及び音速Cが全体に渡って均質な材料から構成されている必要はなく、密度ρ及び音速Cが異なる複数種類の材料層が重ねられた積層構造を有していても良い。このような積層構造を有している場合、超音波は伝搬媒質部6を直進しない場合があるが、特に問題はない。重要な点は、伝搬媒質部6と被測定流体との界面近傍領域において、前述の式を満足するように伝搬媒質部6の密度ρ及び音速C並びに入射角θが設定されることにある。
【0064】
次に、上記第1実施形態における超音波送受波器の動作を説明する。
【0065】
まず、周囲空間を満たす流体に対して送波する場合は、図9Cに示す駆動回路を兼ねる送信回路701から信号線5を介して超音波振動子2(図9Cでは81)に対して、共振周波数近傍(例えば100kHz〜1MHz程度)の周波数を持つ交流電圧、パルス電圧、バースト電圧が印加される。これにより、超音波振動子2は共振周波数付近の振動を励振され、この振動が超音波として、振動子ケース4及び音響整合層3を通して伝搬媒質部6にほぼ効率1の条件で放射される。伝搬媒質部6を伝搬した音波は、伝搬媒質部6と周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8で屈折し、ほぼ効率1の状態で周囲空間を満たす流体に放射される。
【0066】
次に、周囲空間を満たす流体中を伝搬して超音波送受波器1に到達する超音波を受波する場合には、送波方向から伝搬してきた超音波に関して送波の場合と逆の経路が成立し、超音波送受波器1に入射した超音波はほぼ効率1の条件で超音波振動子2に到達し、電気信号に変換され信号線5を通して外部の電気回路(例えば受信回路702)に伝達される。
【0067】
上記第1実施形態によれば、適切な密度ρ及び音速Cを示す伝搬媒質部6を設け、超音波を適切な角度に屈折させるため、物質の界面における伝搬損失をほぼ0にし、良好なS/N比で流量測定を達成することができる。そして、上記第1実施形態によれば、上記伝搬媒質部6を用いて超音波を適切に屈折させることにより界面における損失をほとんど発生させることなく、従来の超音波送受波器では超音波の送受波が極めて困難であった気体(例えば水素ガスなど)の超音波の送受波が可能になるため、これらの気体を計測できる流量計測等への応用が可能になる。
【0068】
更に、上記第1実施形態の超音波送受波器1では、伝搬媒質部6内から発射される超音波が、伝搬媒質部6と周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8で屈折して、第2表面領域8を含む平面沿いの方向に超音波の送受信方向が偏向されるため、例えば流量計においては、計測流路に送受波器取り付けに関わる凹凸がなくなり、流体流れの乱れがない流量計が構成できる。また、水平部を有する各種機器の水平面に整合させて取り付けても、水平方向の物体検知などに応用が可能である。
【0069】
(第2実施形態)
図3A,図3B,図3Cを参照しながら、本発明の第2実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器を説明する。図3Aは、第2実施形態における超音波送受波器11の外観の斜視図、図3Bは、円筒形の超音波送受波器11の中心軸を含む断面図、図3Cは超音波振動子12の電極構造の一例を示した斜視図である。第2実施形態と第1実施形態との間で共通する部材について同様の参照符号を与えている。なお、伝搬媒質部6Aは第1実施形態の伝搬媒質部6に対応し、ハウジング9Aは第1実施形態のハウジング9に対応する。
【0070】
以下、第2実施形態の超音波送受波器11に特徴的な点を説明し、第1実施形態における超音波送受波器1と同様の部分及び上記対応部分については説明を省略する。
【0071】
第2実施形態の超音波送受波器11は、円筒形状の側部9zが円板形状の端子板9xに固定されてハウジング9Aを構成されており、端子板9xの中央に固定された中心軸9aの周りに軸対称に構成されている。したがって、ハウジング9Aの円板形状の端子板9x上に配置された、超音送振動子12及び音響整合層13はリング形状に構成されている。また、ハウジング9Aの一部である中心軸9aに中央部が結合された円板状保護部15をさらに設けて、第2表面領域8を保護し、ハウジング9Aと保護部15の間にリング状の開口部14を設け、開口部14を通して超音波の送受波を矢印90Aの方向に行う。ハウジング9A内の空間でかつ超音送振動子12及び音響整合層13以外の空間には伝搬媒質部6Aがほぼ満たされている。そして、伝搬媒質部6Aは、音響整合層13と超音波振動子12とに対向する(ただし、直接的には音響整合層13に対向する)第1表面領域7と、周囲空間を満たす流体に面する第2表面領域8とを有している。さらに、上記伝搬媒質部6Aの上記第2表面領域8は、上記第1表面領域7に対して、平行とならないように、中心軸9aに対して大略均等に周囲から中心側に向けて所定角度だけ傾斜している。
【0072】
上記第2実施形態において、具体的な超音波の送受波は上記第1実施形態と同様に高効率に行われて、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。上記第1実施形態との違いは、超音波送受波器11が中心軸9aの周りに軸対称な構造であることから、中心軸9aの周り全方位への送受波ができる構造になっている点であり、周囲空間が気体の場合には、送受波はほぼ水平になり、全方位の物体感知等への応用が可能になる。
【0073】
また、図3Cは超音波振動子12の電極構造の一例を示しており、16は電極面上に構成された分割電極部である。図3Cに示されるよう電極部16を分割することにより、振動発生部を制御できることから、円周方向の超音波による走査が可能になり、方向を特定した物体感知などへの応用が可能になる。
【0074】
電極部の分割は裏表に形成される電極部16の少なくとも1面でよく、また、超音波振動子12自体を分割して配置することによっても、同様の効果が得られる。図3Cでは、電極部6の分割数は4であるが、分割数については任意であり、また必ずしも同形、対称形である必要はない。
【0075】
(第3実施形態)
図4A,4B及び図5A,5Bを参照しながら、本発明の第3実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器を説明する。図4Aは、上記第3実施形態における超音波送受波器21の外観の斜視図、図4Bは、円筒形の超音波送受波器21の中心軸を含む断面を示している。また、図5Aは、上記第3実施形態における別の超音波送受波器31の外観の斜視図、図5Bは、円筒形の超音波送受波器31の中心軸9bを含む断面を示している。上記第3実施形態と前述の上記第1及び第2実施形態との間で共通する部材について同様の参照符号を与えている。なお、伝搬媒質部6B,6Cは先の実施形態の伝搬媒質部6又は6Aに対応し、ハウジング9B,9Cは先の実施形態のハウジング9又は9Aに対応する。
【0076】
以下、上記第3実施形態の超音波送受波器21及び超音波送受波器31に特徴的な点を説明し、上記第1実施形態における超音波送受波器1並びに上記第2実施形態の超音波送受波器11と同様の部分及び上記対応部分については説明を省略する。
【0077】
上記第3実施形態の超音波送受波器21のハウジング9Bは、図4A,図4Bに示すように、円筒形状の側部9gの下端に端子板9xが固定され、側部9gの上端に、中央部に円形開口部24を有する円板状上板9hが固定されて、仮想中心軸の周りにハウジング9Bが軸対称に構成されている。ハウジング9Bの側部9gの内面に固定された超音送振動子22及び音響整合層23は円筒形状で構成されている。また、ハウジング9Bの円板状上板9bの中央部開口部24よりも内向きに伝搬媒質部6Bが突出しないように、伝搬媒質部6Bがハウジング9B内に収納配置されて、ハウジング9B全体で第2表面領域8を保護し、ハウジング9Bの上板9bの中央部開口部24を通して超音波の送受波を矢印90Bの方向に行う。すなわち、ハウジング9B内に配置された超音送振動子22及び音響整合層23及び中央部以外の空間には伝搬媒質部6Bが満たされている。そして、伝搬媒質部6Bは、音響整合層23と超音波振動子22に対向する(ただし、直接的には音響整合層23に対向する)第1表面領域7と、周囲空間を満たす流体に面する(図4Bでは中央部の空間に面する)第2表面領域8とを有している。さらに、上記伝搬媒質部6Bの上記第2表面領域8は、上記第1表面領域7に対して平行とならないように、中心軸に対して大略均等に上端から下端に向けて広がるように、所定角度だけ傾斜して円錐面を形成している。
【0078】
一方、図5A,図5Bに示すように、上記第3実施形態の別の超音波送受波器31のハウジング9Cは、円筒形状の側部35の下端に端子板9xが固定され、端子板9xの中央部に固定された中心軸9bに円板状上板9iの中央部が固定されて、中心軸9bの周りにハウジング9Cが軸対称に構成されている。中心軸9bの周りに固定された超音送振動子32及び音響整合層33は円筒形状で構成されている。また、ハウジング9Cの上板9iの周囲よりも外向きに伝搬媒質部6Cが突出しないように、伝搬媒質部6Cがハウジング9C内に収納配置されて、ハウジング9Cの端子板9xに固定された円筒状の側部である保護部35で第2表面領域8を保護し、ハウジング9Cと保護部35の間にリング状の開口部34を設け、開口部34を通して超音波の送受波を矢印90Cの方向に行う。すなわち、ハウジング9C内に配置された超音送振動子32及び音響整合層33及び周囲部以外の空間には伝搬媒質部6Cが満たされている。そして、伝搬媒質部6Cは、音響整合層33と超音波振動子32に対向する(ただし、直接的には音響整合層33に対向する)第1表面領域7と、周囲空間を満たす流体に面する(図5Bでは周囲部の空間に面する)第2表面領域8とを有している。さらに、上記伝搬媒質部6Cの上記第2表面領域8は、上記第1表面領域7に対して平行とならないように、中心軸に対して大略均等に下端から上端に向けて広がるように、所定角度だけ傾斜して円錐面を形成している。
【0079】
上記第3実施形態において、具体的な超音波の送受波は、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様に高効率に行われて、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。上記第2実施形態との違いは、超音波送受波器21,31の正面方向(図4B,図5Bの上方向)へ超音波の送受波行われる点であり、一般に実現されている超音波送受波器の応用が可能である。
【0080】
(第4実施形態)
図6A,図6B,図6C,図6Dを参照しながら、本発明の第4実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器を説明する。図6Aは、上記第4実施形態における超音波送受波器41及び超音波送受波器51の外観の斜視図、図6Bは、円筒形の超音波送受波器41の中心軸を含む断面図、また、図6Cは、上記第4実施形態における別の円筒形の超音波送受波器51の中心軸を含む断面図、図6Dは上記第4実施形態の超音波送受波器の超音波振動子42、52の電極面の一例の斜視図を示している。上記第4実施形態と前述の第1〜3実施形態との間で共通する部材について同様の参照符号を与えている。なお、伝搬媒質部6D,6Eは先の実施形態の伝搬媒質部6又は6Aなどに対応し、ハウジング9D,9Eは先の実施形態のハウジング9又は9Aなどに対応する。
【0081】
以下、上記第4実施形態の超音波送受波器41及び超音波送受波器51に特徴的な点を説明し、上記第1実施形態における超音波送受波器1並びに上記第2実施形態の超音波送受波器11、21と同様の部分及び上記対応部分については説明を省略する。
【0082】
上記第4実施形態の超音波送受波器41のハウジング9Dは、図6A,図6Bに示すように、円筒形状の側部9gの下端に端子板9xが固定され、端子板9xの中央部に円錐台形状の反射体44が固定されて、反射体44の中心軸の周りにハウジング9Dが軸対称に構成されている。ハウジング9Dの側部9g及び端子板9xの内面に固定された超音送振動子42及び音響整合層43は円筒形状であり、超音波振動子42の内側に音響整合層43が配置されている。また、ハウジング9Dの反射体44の上端面及び側部9gの上端面よりも伝搬媒質部6Dが突出しないように、伝搬媒質部6Dがハウジング9D内に収納配置されている。そして、伝搬媒質部6Dは、超音波振動子42の振動面に平行な第1表面領域7と、周囲空間を満たす流体と接する第2表面領域8とを有し、かつ伝搬媒質部6Dに隣接して設けられた上記反射体44と第3表面領域45で接している。
【0083】
反射体44は、ステンレス材などの金属材料で構成されており、伝搬媒質部6を例えばシリカを主成分とするナノ多孔体乾燥ゲルから形成する場合には、第3表面領域45での反射効率ほぼ1となる。反射体44は、第2表面領域8への超音波の入射角度が式(3)を満足するように第1表面領域7及び第2表面領域8に対して傾斜角が設定されている。
【0084】
超音波振動子42は共振周波数付近の振動で励振され、この振動が超音波として音響整合層43を通して伝搬媒質部6Dの大略中心側にほぼ効率1の条件で放射される。伝搬媒質部6Dを伝搬した音波は、反射体44との界面である第3表面領域45でほぼ効率1で反射されて、その方向を大略第2表面領域8側に変えて伝搬し、伝搬媒質部6Dと周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8で屈折し、ほぼ効率1の状態で周囲空間を満たす流体に放射される。
【0085】
また、周囲空間を満たす流体中を伝搬して超音波送受波器41に到達する超音波を受波する場合には、送波方向から伝搬してきた超音波に関して送波の場合と逆の経路が成立し、超音波送受波器41の第2表面領域8にほぼ効率1で入射した超音波は、伝搬媒質部6Dを伝搬して反射体44との界面である第3表面領域45でほぼ効率1の条件で反射されて、その方向を大略超音波振動子42側に変えて伝搬し、超音波振動子42に到達し、超音波振動子42で電気信号に変換される。
【0086】
以上の構成により、超音波送受波器41においても、周囲空間を満たす流体に対して高効率の超音波の送受波が可能となり、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0087】
一方、図6A及び図6Cに示されるように、上記第4実施形態の別の超音波送受波器51のハウジング9Eは、断面三角形状でかつ円筒形状の反射体54の下端に端子板9xが固定され、端子板9xの中央部に円柱状の中心軸9kが固定され、中心軸9kの上端に円板状上板9mがフランジのように突出して固定されて、反射体54の中心軸の周りにハウジング9Eが軸対称に構成されている。ハウジング9Eの中心軸9k及び上板9m及び端子板9xの内面に固定された超音送振動子52及び音響整合層53は円筒形状であり、超音波振動子52の外側に音響整合層53が配置されている。また、ハウジング9Eの反射体54の上端面及び上板9mの上端面よりも伝搬媒質部6Eが突出しないように、伝搬媒質部6Eがハウジング9E内に収納配置されている。そして、伝搬媒質部6Eは、超音波振動子52の振動面に平行な第1表面領域7と、周囲空間を満たす流体と接する第2表面領域8とを有し、かつ伝搬媒質部6Eに隣接して設けられた上記反射体54と第3表面領域55で接している。反射体54は反射体44と同様な材質及び傾斜角度を有するものである。
【0088】
超音波振動子52は共振周波数付近の振動で励振され、この振動が超音波として音響整合層53を通して伝搬媒質部6Eの大略周囲側にほぼ効率1の条件で放射される。伝搬媒質部6Eを伝搬した超音波は、反射体54との界面である第3表面領域55でほぼ効率1で反射されて、その方向を大略第2表面領域8側に変えて伝搬し、伝搬媒質部6Eと周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8で屈折し、ほぼ効率1の状態で周囲空間を満たす流体に放射される。
【0089】
また、周囲空間を満たす流体中を伝搬して超音波送受波器51に到達する超音波を受波する場合には、送波方向から伝搬してきた超音波に関して送波の場合と逆の経路が成立し、超音波送受波器51の第2表面領域8にほぼ効率1で入射した超音波は、伝搬媒質部6Eを伝搬して反射体54との界面である第3表面領域55でほぼ効率1の条件で反射されて、その方向を大略超音波振動子52側に変えて伝搬し、超音波振動子52に到達し、超音波振動子52で電気信号に変換される。
【0090】
以上の構成により、超音波送受波器51においても、周囲空間を満たす流体に対して高効率の超音波の送受波が可能となり、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0091】
なお、上記第4実施形態の反射体44,54は複数配置してもよく、その場合には、第3表面領域45,55が複数個存在する構成となる。また、この場合には、第1表面領域7と第2表面領域8が平行である構成も成立し、複数の第3表面領域45,55の少なくとも1つが第2表面領域8に対して所定の角度に傾斜しておればよい。
【0092】
超音波送受波器41及び超音波送受波器51は、上記第2実施形態と同様に中心軸周りの全方位への送受波ができる構造になっており、周囲空間が気体の場合には、送受波はほぼ水平になり、全方位の物体感知等への応用が可能になる。
【0093】
また、図6Dは超音波振動子42、52の電極構造の一例を示しており、46は円筒形の超音波振動子42、52の内側面に構成された分割電極であり、47は外側面に構成された共通電極である。図6Dに示されるよう電極部46を分割することにより、振動発生部を制御できることから円周方向の超音波による走査が可能になり、方向を特定した物体感知などへの応用が可能になる。
【0094】
図6Dに示すように電極部46の分割は内外側面に形成される電極部の少なくとも1面でよく、また超音波振動子42、52自体を分割して配置することによっても同様の効果が得られる。電極の分割数は任意であり、また必ずしも同形、対称形である必要はない。
【0095】
(第5実施形態)
図7を参照しながら、本発明の第5実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器を説明する。図7は、上記第5実施形態における超音波送受波器61の外観の斜視図であり、図7の手前側の面Aに関しては、内部構造の説明をするための断面図であり、実際はハウジング側部で覆われている。また、上記第5実施形態と前述の上記第1〜4実施形態との間で共通する部材について同様の参照符号を与えている。なお、伝搬媒質部6Fは第1実施形態の伝搬媒質部6又は6Aなどに対応し、ハウジング9Fは第1実施形態のハウジング9又は9Aなどに対応する。
【0096】
以下、上記第5実施形態の超音波送受波器61に特徴的な点を説明し、上記第1実施形態における超音波送受波器1、上記第2実施形態の超音波送受波器11、21、上記第3実施形態の超音波送受波器31、並びに上記第4実施形態の超音波送受波器41、51と同様の部分及び上記対応部分については説明を省略する。
【0097】
上記第5実施形態の超音波送受波器61は、上記第4実施形態における超音波送受波器41、51で円筒あるいは円錐形状であった部分を矩形状にしたものであり、矩形板状の側部69gの下端に矩形板状の端子板69xが固定され、側部69g及び端子板69xの周囲部に三角柱形状の反射体64が固定され、矩形板状の中心軸69kの上端に矩形板状の円板状上板69mがフランジのように突出して固定されて、中心線Cに対して対称に構成されている。各超音送振動子62及び各音響整合層63はそれぞれ矩形板状であり、中心軸69kの内面に固定され、各超音波振動子62の外側に各音響整合層63が配置されている。各伝搬媒質部6Fは、各超音波振動子62の振動面に平行な第1表面領域7と、周囲空間を満たす流体と接する第2表面領域8とを有し、かつ伝搬媒質部6Fに隣接して設けられた反射体64と第3表面領域65で接している。反射体64は反射体44と同様な材質及び傾斜角度を有するものである。
【0098】
上記第5実施形態の上記第4実施形態との違いは、上記第5実施形態の超音波送受波器61における超音波の送受波は、中心線Cに対して対称に図7の左右方向に行われることであり、この場合も超音波は、それぞれ、音響整合層63を通して伝搬媒質部6Fにほぼ効率1の条件で放射され、伝搬媒質部6Fを伝搬した超音波は、反射体64との界面である第3表面領域65でほぼ効率1で反射されて、大略第2表面領域8側に方向を変える。さらに、伝搬媒質部6Fと周囲空間を満たす流体との界面である第2表面領域8で超音波が屈折し、ほぼ効率1の状態で周囲空間を満たす流体に放射される。また、送波方向から伝搬してきた超音波に関して、送波の場合と逆の経路が成立し、超音波送受波器61に第2表面領域8にほぼ効率1で入射した超音波は、伝搬媒質部6Fを伝搬して反射体64との界面である第3表面領域65でほぼ効率1の条件で反射されて超音波振動子62に到達し、超音波振動子62で電気信号に変換される。
【0099】
以上の構成により、超音波送受波器61においても、周囲空間を満たす流体に対して高効率の超音波の送受波が可能となり、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、超音波送受波器61は、左右方向への送受波ができる構造になっており、周囲空間が気体の場合には、送受波はほぼ水平になり、左右方向の物体感知等への応用が可能になる。
【0100】
(第6実施形態)
図8A,図8Bを参照しながら、本発明の第6実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器を説明する。図8A,図8Bは、上記第6実施形態における超音波送受波器71−1,71−2,71−3,71−4を複数個配置した場合の斜視図であり、また、上記第6実施形態と前述の上記第1〜5実施形態との間で共通する部材について同様の参照符号を与えている。なお、伝搬媒質部6Gは第1実施形態の伝搬媒質部6又は第5実施形態の伝搬媒質部6Fなどに対応し、ハウジング9Gは第1実施形態のハウジング9又は第5実施形態のハウジング9Fなどに対応し、中心軸79kは第5実施形態の中心軸69kに対応し、側部79gは第5実施形態の側部69gに対応し、端子板79xは第5実施形態の端子板69xに対応し、反射体74は第5実施形態の反射体64に対応し、上板79mは第5実施形態の上板69mに対応する。
【0101】
以下、上記第6実施形態の超音波送受波器71−1,71−2,71−3,71−4に特徴的な点を説明し、他の実施形態と同様の部分及び上記対応部分については説明を省略する。
【0102】
上記第6実施形態の各超音波送受波器71−1,71−2,71−3,71−4は、上記第5実施形態における超音波送受波器61を中心線C上で分割した構造である。したがって、超音波の送受波は一方向だけに制限されるが、超音波の送受信は上記第5実施形態と同様に高効率で行われ、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。周囲空間が気体の場合には、送受波はほぼ水平になり、物体感知等への応用が可能になる。
【0103】
図8Aは、超音波送受波器71−1,71−2,71−3,71−4を4個用いて、前後左右に超音波を送受波できる構成であり、図8Bは超音波送受波器71−1,71−2,71−3を3個用いて、120度間隔に3方向に送受波できる構成である。図8A,図8Bのように、複数の超音波送受波器71を任意の数、任意の方向に配置することにより、アプリケーションに対応した指向性の制御が可能になり、応用範囲を広げることができる。
【0104】
(第7実施形態)
図9A,9B,9Cを参照しながら、本発明の第7実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器の応用機器について説明する。図9Aは掃除ロボットなどの自走型ロボットの障害物検知システム、図9Bは自動車の周囲障害物検知システム、また、図9Cは超音波流量計への適用した場合を示している。
【0105】
図9A,9B,9Cにおいて、81,81A,81B,81C,81D,81Eは本発明の第7実施形態において、特に、上記第1実施形態、上記第2実施形態、上記第4実施形態、上記第5実施形態、上記第6実施形態のいずれかに示したほぼ水平方向に超音波の送受波を行うことができる超音波送受波器を示している。82,82A,82B,82C,82D,82Eは超音波送受波器81,81A,81B,81C,81D,81Eが送受波する超音波の指向特性領域、83は自走型ロボット、84A,84B,84C,84D,84Eは障害物、85は自動車、86は計測用流路である。
【0106】
図9Aにおいて、超音波送受波器81Aは、自走型ロボット83の筐体部の頂点付近に、筐体部の面と第2表面領域8とがほぼ面一に配置されている。本発明の第7実施形態の超音波送受波器81Aによれば、超音波の送受波の指向特性領域82Aは図9Aに示されるとおり、床面88Aとほぼ水平(平行)にすることができ、かつ円周方向の走査が可能である。したがって、超音波送受波器81Aを筐体部周囲に分散して配置することなく、また、筐体部に超音波送受波器81Aを周囲に向けるための特別な機構系を設けることなく、自走型ロボット83の全周方向の障害物を検知することができる。
【0107】
図9Bにおいて、超音波送受波器81D,81E,81B,81Cは、自動車85のボディ前後端のバンパー部の下面、及びボディの屋根の前後端に近い部分の壁面に、特別な突起を設けることなく、ほぼ面一に配置されている。図9Aと同様に、送受波される超音波の指向特性領域82D,82E,82B,82Cは、地上面88Bに対してほぼ水平(平行)にできる。したがって、図9Bに示されるように、自動車85の前後の死角に存在する地上の障害物84D,84Eや、ガードや看板などの屋根に対する障害物84B,84Cなどの検知が可能になり、また、特に屋根部に超音波送受波器のための突起部等を設けることなく実現できるため、デザイン等の自由度を損なうことがない。
【0108】
図9Cにおいて、超音波送受波器81は、計測用流路86の内壁面に対して面一に配置されている。送受波される超音波の指向性領域82はほぼ流路に平行で、対面する超音波送受波器81との間で超音波の送受波が行われる。この場合に、超音波送受波器81を正対させる必要がないため、通常の流路内に凹部あるいは凸部を設ける必要がなく、流路内での流体の移動状態を定常的に保ち精度の高い流量計測が可能である。これについては、以下、第8実施形態として詳細に説明する。なお、超音波振動子81を駆動するための送信回路701と、他方の超音波振動子81により受信した超音波を増幅、帯域制限等を行う受信回路702と、送受信の方向を変えるための切り替え回路703と、受信回路702からの出力をもとに伝搬時間を計測する時間計測部704と、上記時間計測部704からの出力値をもとに流量を求める流量演算部705と、流量演算部705で演算された流量等を表示する表示部706と、計測のタイミング等を制御する制御部707とを備えている。よって、一方の超音波振動子81から他方の超音波振動子81に向けて超音波を送信し、ガスなどの被測定流体を通過した超音波が上記他方の超音波振動子81で受信されることにより、時間計測部704で超音波振動子81、81間の伝搬時間を計測する。次いで、逆に、上記他方の超音波振動子81から上記一方の超音波振動子81に向けて超音波を送信し、ガスなどの被測定流体を通過した超音波が上記一方の超音波振動子81で受信されることにより、時間計測部704で超音波振動子81、81間の伝搬時間を計測する。このように所定回数だけ、上記一対の超音波振動子81、81間で超音波の伝搬時間を計測し、流量演算部705でその値を基に、ガスなどの被測定流体の流量を流量演算部705により算出するようにしている。よって、各超音波振動子81、81は送受信を行えるようにしている。ここで、上記送信回路701〜制御部707とより流量算出システムを構成している。
【0109】
(第8実施形態)
図12A〜図17を参照しながら、本発明の第8実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波送受波器の応用機器の一例である、超音波により流体の流量を計測する超音波流量計について説明する。
【0110】
まず、第8実施形態の超音波流量計について説明する前に、従来の超音波流量計について説明する。
【0111】
近年、所定の伝搬路を超音波が伝達する時間を計測することにより、流体の移動速度を測定し、その測定値から流量を計測する超音波流量計がガスメータや化学反応の制御等に利用されつつある。
【0112】
以下、図17を参照しながら、従来の超音波流量計の測定原理を説明する。図17に示されている超音波流量計では、管内の流体が速度Vにて図17中の矢印Vで示す方向に流れている。超音波流量計の管壁403には、一対の超音波送受波器401及び402が相対して設置されている。超音波送受波器401及び402の各々は、電気エネルギを機械エネルギに変換するとともに、機械エネルギを電気エネルギに変化する変換素子(トランスデューサ)を備えている。この変換素子は、例えば、圧電セラミック等の圧電振動子で構成され、圧電ブザーや圧電発振子と同様に共振特性を示す。
【0113】
まず、超音波送受波器401を超音波の送波器として用い、超音波送受波器402を超音波の受波器として用いる場合について、超音波流量計の動作を説明する。
【0114】
超音波送受波器401の共振周波数近傍における周波数を持つ交流電圧を超音波送受波器401の圧電振動子に印加すると、超音波送受波器401は管内の流体中に超音波を放射する。この超音波は、伝搬経路L1に沿って伝搬し、超音波送受波器402に到達する。超音波送受波器402の圧電振動子は、この超音波を受けて電圧信号を出力する。
【0115】
この後、超音波送受波器402を超音波の送波器として動作させる。具体的には、超音波送受波器402の共振周波数近傍における周波数を持つ交流電圧を超音波送受波器402の圧電振動子に印加することにより、超音波送受波器402は管内の流体中に超音波を放射する。超音波は伝搬経路L2に沿って伝搬し、超音波送受波器401に到達する。超音波送受波器401の圧電振動子は、この超音波を受けて電圧信号を出力する。
【0116】
このように、超音波送受波器401及び402は、それぞれ、1つの超音波振動子でありながら、受波器としての機能と送波器としての機能を果たすことができる。この超音波流量計では、連続的に交流電圧を印加すると超音波送受波器から連続的に超音波が放射されて伝搬時間を測定することが困難になるので、通常はパルス信号を搬送波とするバースト電圧信号を駆動電圧として用いる。
【0117】
駆動用のバースト電圧信号を超音波送受波器401に印加して超音波送受波器401から超音波バースト信号を放射すると、この超音波バースト信号は距離がLの伝搬経路L1を伝搬してt時間後に超音波送受波器402に到達する。
【0118】
超音波送受波器402では伝達して来た超音波バースト信号のみを高いS/N比で電気バースト信号に変換することができる。この電気バースト信号をトリガとして、再び超音波送受波器401に駆動用バースト電圧信号を印加して超音波バースト信号を放射する。
【0119】
このような装置を「シング・アラウンド装置」と呼ぶ。また、超音波パルスが超音波送受波器401から超音波送受波器402に到達するまでに要する時間を「シング・アラウンド周期」といい、その逆数を「シング・アラウンド周波数」という。
【0120】
図17の超音波流量計において、管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。更に、超音波送受波器401を送波器、超音波送受波器402を受波器として用いたとき、超音波送受波器401から出た超音波パルスが超音波送受波器402に到達する時間(シング・アラウンド周期)をt、シング・アラウンド周波数fとする。このとき、次式(4)が成立する。
(数4)
=1/t=(C+Vcosθ)/L ・・・(4)
【0121】
逆に、超音波送受波器402を送波器として、超音波送受波器401を受波器として用いたときのシング・アラウンド周期をt、シング・アラウンド周波数fとすれば、次式(5)の関係が成立する。
(数5)
=1/t=(C−Vcosθ)/L ・・・(5)
【0122】
上記式(4)及び式(5)に基づいて、両シング・アラウンド周波数の周波数差Δfは、次式(6)で示される。
(数6)
Δf=f−f=2Vcosθ/L ・・・(6)
【0123】
式(6)からわかるように、超音波の伝搬経路の距離L及び周波数差Δfから、流体の流速Vを求めることができる。そして、流速Vから流量を決定することができる。
【0124】
図17の超音波流量計では、超音波送受波器の圧電振動子における超音波の送受波面に整合層(不図示)が設けられている。これは、測定対象となる流体と圧電素子との間にある固有音響インピーダンス(以下、「音響インピーダンス」と称する)の差異を中間的な音響インピーダンスを持つ層(整合層)で緩和し、異なる音響インピーダンスを持つ媒質間の界面における超音波の反射を抑制するためである。超音波の伝搬経路中に音響インピーダンスの差が大きな界面が存在すると、超音波送受波器から出た超音波が測定対象の流体中に充分に進入しないという不都合が生じ、流量の測定が不能になるか、又は、測定精度が大きく低下してしまうことになる。従って、このような不都合を避け、超音波流量計の測定精度を向上させるためには、整合層の音響インピーダンスを適切に設定することが重要となる。なお、音響インピーダンスは、一般に、次式(7)で定義される。
(数7)
音響インピーダンス=(密度)×(音速) ・・・・(7)
【0125】
超音波振動を発生する圧電振動子の音響インピーダンスは、例えば、30×10kg・m−2・s−1)程度であり、空気の音響インピーダンスは400kg・m−2・s−1)程度である。空気の流速を測定する場合、整合層の音響インピーダンスは0.11×10kg・m−2・s−1)程度に設定されることが好ましい。
【0126】
従来、圧電振動子及び空気の中間的な音響インピーダンスを持つ整合層を形成するため、密度が比較的小さな材料(例えばガラスバルーンやプラスチックバルーン)を樹脂で固めた材料が使用されている。
【0127】
しかしながら、上記のような整合層を用いても、圧電振動子から空気などの気体中に超音波を伝搬させる場合には、どうしても伝搬損失が生じ、測定感度が低下するという問題があった。超音波を固体から気体へ効率よく伝搬させることが難しい理由は、固体の音響インピーダンスに比べて気体の音響インピーダンスが格段に小さく、中間に整合層を介在させても界面で超音波の強い反射が生じてしまうためである。
【0128】
また、図17に示すタイプの超音波流量計では、超音波送受波器を配置するための空洞部が流量測定部の流路内部に必要であり、この空洞部の存在が被測定流体の流れの乱れの原因となる場合がある。また、微量化学分析のためには、流量自体が極微量となるため、流路を微細化する必要がある。そのような場合、従来の構成では、超音波送受波器を流路内に配置できないため、極少量の流量測定には適用できないという問題があった。
【0129】
本発明の第8実施形態は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流量計測部である流路内部の流れを乱すことなく、極少量の流量計測にも対応できる高感度な超音波流量計を提供することを目的とするものである。
【0130】
本発明の第8実施形態による超音波流量計は、被測定流体の流路を規定する内壁を有する流量測定部と、上記流量測定部の内壁に囲まれた流路空間の外側に設けられ、超音波の送信及び/又は受信を行う少なくとも1つの超音波振動子と、上記超音波振動子と上記流路空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部とを備えた超音波流量計であって、上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部における音速C、上記被測定流体の密度ρ、及び上記被測定流体における音速Cが、(ρ/ρ)<(C/C)<1の関係を満足するように構成する。
【0131】
好ましい実施形態において、上記超音波振動子の数は複数であり、上記複数の超音波振動子のうちの第1の超音波振動子は、上記複数の超音波振動子のうちの第2の超音波振動子に対して超音波を出射するように配置され、上記第2の超音波振動子は、上記第1の超音波振動子に対して超音波を出射するように配置されている。
【0132】
好ましい実施形態において、上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記流路空間に対向する第2表面領域とを有しており、上記伝搬媒質部の上記第2表面領域は、上記第1表面領域に対して傾斜している。
【0133】
好ましい実施形態において、上記伝搬媒質部の第1表面領域は、上記流路空間内における上記被測定流体の流速方向に対して傾斜し、上記第2表面領域は、上記流路空間内における上記被測定流体の流速方向に対して平行である。
【0134】
好ましい実施形態において、上記伝搬媒質部の第2表面領域は、上記流量測定部の上記内壁との間で段差を実質的に形成していない。
【0135】
好ましい実施形態において、上記伝搬媒質部の密度ρ、上記伝搬媒質部と上記被測定流体との界面への超音波の入射角θ、上記被測定流体の密度ρ、及び、上記界面から上記被測定流体への上記超音波の進入角θが、ρ/ρ=cotθ/cotθの関係をほぼ満足するように構成している。
【0136】
好ましい実施形態において、上記被測定流体は、密度ρが10kg・m−3以下の気体である。
【0137】
好ましい実施形態において、上記伝搬媒質部は、無機酸化物又は有機高分子の乾燥ゲルから形成されている。
【0138】
好ましい実施形態において、上記乾燥ゲルの固体骨格部は疎水化されている。
【0139】
好ましい実施形態において、上記乾燥ゲルの密度は、500kg/m以下であり、上記乾燥ゲルの平均細孔直径は、100nm以下である。
【0140】
好ましい実施形態において、上記超音波振動子と上記伝搬媒質部との間に設けられ、上記超音波振動子と上記伝搬媒質部とを音響的に整合させる整合層を有している。
【0141】
好ましい実施形態において、上記被測定流体の流速方向に垂直な方向に測定した上記流速測定部における流路空間のサイズは、上記超音波の中心周波数における上記被測定流体中の波長の1/2以下である。
【0142】
好ましい実施形態において、上記超音波振動子は、収束音場を形成するように構成されている。
【0143】
好ましい実施形態において、上記伝搬媒質部の第1表面領域は、レンズ面を形成するように湾曲している。
【0144】
本発明による超音波流量計は、ガスの流路を規定する内壁を有する流量測定部と、上記流量測定部の内壁に囲まれた流路空間の外側に設けられ、超音波の送信及び/又は受信を行う一対の超音波振動子と、上記一対の超音波振動子の各々と上記流路空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を屈折させる一対の伝搬媒質部とを備え、上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記流路空間に対向する第2表面領域とを有しており、上記伝搬媒質部の第1表面領域は、上記流路空間内における上記ガスの流速方向に対して傾斜し、上記第2表面領域は、上記流路空間内における上記ガスの流速方向に対してほぼ平行である。
【0145】
本発明者は、超音波送受波器において、適切な材料からなる伝搬媒質部を用いて超音波を適切に屈折させれば、界面における損失をほとんど発生させることなく、固体から流体(特に気体)へ超音波を伝搬させることができることを見出して、本発明を想到するに到った。
【0146】
本発明の第8実施形態にかかる超音波送受波器では、被測定流体の流れ方向に対して傾斜した面(第1表面領域)と、被測定流体の流れ方向にほぼ平行な面(第2表面領域)とを有する伝搬媒質部を超音波振動子と被測定流体との間に配置する。伝搬媒質部の第2表面領域は、好ましくは、流体の流れを撹乱しないように流体の流路を規定する面に整合させられている。
【0147】
以下、図面を参照しながら、本発明の第8実施形態を説明する。
【0148】
まず、図12A及び12Bを参照しながら、本発明の第8実施形態による超音波流量計を説明する。図12Aは、上記第8実施形態における超音波流量計310の長手方向に沿った断面を示し、図12Bは、超音波流量計310の長手方向と図12AのB−B線で直交する断面を示している。
【0149】
図示されている超音波流量計310は、被測定流体の流路を規定する内壁340を有する管状の流量測定部304と、流量測定部304の内壁340に囲まれた流路空間309の外側に設けられ、超音波の送信及び/又は受信を行う一対の超音波送受波器(超音波振動子)301a及び301bと、超音波送受波器301a及び301bと流路空間309との間に配置され、超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部303a、303bとを備えている。被測定流体は、流量測定部304の内壁340に囲まれた流路空間309の内部を矢印305の方向に流れるものとする。この超音波送受波器(超音波振動子)301a及び301bは、上記第1実施形態〜上記第6実施形態のいずれかの超音波送受波器である。伝搬媒質部303a、303bは、伝搬媒質部6,6A,6B,6C,6D,6E,6F,6Gに対応する。なお、簡略化のため、ケーシングについては図示を省略している。
【0150】
上記第8実施形態では、超音波送受波器301aの超音波放射面が被測定流体の流れ方向305に対して傾斜しており、超音波送受波器301aから出た超音波は、流量測定部304の内壁に対して斜めに入射する。そして、超音波は、伝搬媒質部303aと被測定流体との界面で屈折し、伝搬経路306を通って一方の超音波送受波器301bで受け取られる。
【0151】
上記第8実施形態における流路空間309の断面(流れ方向305に垂直な断面)は、図12Bに示されるように矩形である。上記第8実施形態の流量測定部304は、部品304a及び304bをシール材304cによって固着することによって作製される。なお、流路空間306の形状は、図示されているものに限定されず、他の形状(例えば円形)であってもよい。
【0152】
伝搬媒質部303a、303bは、超音波送受波器301a及び301bの超音波振動面に対向する第1表面領域331と、流路空間309に対向する第2表面領域332とを有している。上記第8実施形態では、伝搬媒質部303a、303bの密度をρ、伝搬媒質部303a、303bの音速をC、被測定流体の密度をρ、被測定流体の音速をCとしたとき、以下の式(8)に示す関係が満足されるように、伝搬媒質部303a、303bの材料を選択している。
(数8)
(ρ/ρ)<(C/C)<1 ・・・・・・・・・・(8)
【0153】
気体の流量を測定対象とする場合、上記条件を満足する材料を見つけることは難しい。その理由は、気体の音速Cよりも音速Cが小さな固体材料が少ないからである。上記第8実施形態では、上記条件を満足する伝搬媒質部303a、303bを実現するため、無機酸化物又は有機高分子の乾燥ゲルから伝搬媒質部303a、303bを形成している。上記第8実施形態で用いる乾燥ゲルの固体骨格部は疎水化されており、その密度は500kg/m以下である。この乾燥ゲルは、平均細孔直径が100nm以下のナノ多孔体乾燥ゲル(ナノ多孔質乾燥ゲル)である。
【0154】
なお、無機酸化物の乾燥ゲルの固体骨格部は、少なくとも酸化ケイ素(シリカ)又は酸化アルミニウム(アルミナ)を成分とすることが好ましい。また、有機高分子の乾燥ゲルの固体骨格部は、一般的な熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂により構成することができる。例えば、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール硬化樹脂、ポリアクリルアミド、又は、ポリメタクリル酸メチルなどを用いることができる。
【0155】
伝搬媒質部303a、303bを、例えばシリカを主成分とするナノ多孔体乾燥ゲルから形成する場合、その密度ρが200kg/mであれば、音速Cを100m/sから180m/s程度の範囲に設定することができる。非測定流体が空気である場合、空気の密度ρは1.22kg/m、音速Cは340m/sであるので、上記の伝搬媒質部303a、303bを採用することにより、ρ<ρ、及び、C<Cの関係を同時に満足させ、かつ、(ρ/ρ)<(C/C)の関係を満足させることができる。天然ガスなどの気体流量を測定する場合、伝播媒質部303a、303bとしては、密度ρが100〜300kg/m、音速Cが100〜300m/sの範囲にあることが好ましい。
【0156】
超音波送受波器301a、301bは、超音波振動子として機能する圧電体を有しており、超音波の送信及び/又は受信を行うことができる。圧電体としては、圧電セラミックスが好適に用いられる。
【0157】
なお、上記第8実施形態の超音波流量測定装置310では、伝搬媒質部303aと超音波送受波器301aとの間に整合層302aを設け、伝搬媒質部303bと超音波送受波器301bとの間に整合層302bを設けている。整合層302a、302bは、超音波送受波器301a、301bの超音波発生源である圧電セラミックス(音響インピーダンス:30×10kg・m−2・s−1))と伝搬媒質部303a、303bとの間における音響的整合を高める機能を有している。
【0158】
シリカを主成分とするナノ多孔体乾燥ゲル(音響インピーダンス3×10kg・m−2・s−1))から伝搬媒質部303a、303bを形成する場合、音響インピーダンスが1×10kg・m−2・s−1)付近の材料から作製した整合層302a、302bを採用することにより、超音波エネルギの伝搬効率をほぼ1、具体的には0.95以上とすることができる。このような材料は、中空ガラス球を樹脂材料で固めた複合材料で実現できる。整合層302a、302bの厚さは、使用する超音波の1/4波長に設定することが好ましい。
【0159】
次に、図13を参照しながら、超音波が伝搬媒質部303aから被測定流体中に伝搬する様子を詳細に説明する。
【0160】
前述した配置関係から、超音波は、伝搬媒質部303aと被測定流体との界面Sの法線方向から傾斜した方向に沿って界面Sに入射する。界面との法線方向に対する超音波の入射角をθとする(0°<θ<90°)。このとき、超音波は伝搬媒質部303aと被測定流体との界面Sで屈折し、界面Sの法線方向に対する角度(進入角)θで被測定流体に進入することになる(θ<θ)。
【0161】
上記第8実施形態では、被測定流体のρが与えられたとき、以下の式(9)の関係をほぼ満足するように各種のパラメータ(ρ、θ、及びθ)が設定されている。
(数9)
(ρ/ρ)=(cotθ/cotθ) ・・・・・・・・・・(9)
【0162】
このような設定により、超音波エネルギの伝搬媒質部303aから被測定流体への伝搬効率は、ほぼ1になる。このとき、入射角θは次式(10)で表される条件を満足する。
(数10)
Figure 0003722827
【0163】
従って、伝搬媒質部303aのρ、C、及び被測定流体のρ、Cが定まったならば、入射角θは式(10)によって決定される。また、入射角θが決まれば、式(9)によって進入角θも決定される。
【0164】
入射角θ及び進入角θが定まると、伝搬媒質部303aの第1表面領域331の傾斜角度や2つの超音波送受波器301a、301bの間隔なども決定できる。
【0165】
以上のことは、超音波を受け取る場合にも、そのまま適用される。
【0166】
上記第8実施形態では、前述した材料から伝搬媒質部303a、303bを形成することにより、伝搬媒質部303a、303bの音速Cを180m/s、密度ρを200kg/mに設定することができる。空気の流量を測定する場合、被測定流体(空気)の密度ρは1.22kg/m、音速Cは340m/sであるので、式(9)及び式(10)の関係から、入射角θは32°、進入角θは89°に設定すればよい。進入角θは90°に近いため、被測定流体中の超音波は、流れ方向305とほぼ平行な方向に伝搬することになる。
【0167】
上記第8実施形態における流量測定部304の内壁340に囲まれた流路空間309のサイズH(図12A参照)は、被測定流体における超音波の1/2波長以下、理想的には1/4波長以下に設定することが好ましい。流路空間309のサイズをこのような大きさに設定することにより、流路空間309での音波反射による伝搬モードの出現を抑制し、時間計測の制度を上げることができる。例えば、用いる超音波の波長λが4mm程度である場合、流路空間309のサイズHは2mm程度に設定され得る。この場合、計測対象の最低流速が1mm/s、伝搬時間の計測制度が1ns(ナノセカンド)であるとすると、超音波送受波器301a及び301bの横方向の間隔は120mm程度に設定され得る。
【0168】
上記第8実施形態によれば、伝搬媒質部303a、303bと被測定流体との界面Sで伝搬損失がほとんど生じないため、この界面Sにおいて双方の音響インピーダンスを整合させる必要はない。
【0169】
なお、伝搬媒質部303a、303bは、密度ρ及び音速Cが全体に渡って均質な材料から構成されている必要はなく、密度ρ及び音速Cが異なる複数種類の材料層が重ねられた積層構造を有していても良い。このような積層構造を有している場合、超音波は伝搬媒質部303a、303b中を直進しない場合があるが、特に問題はない。重要な点は、伝搬媒質部303a、303bと被測定流体との界面近傍領域において、前述の式を満足するように伝搬媒質部303a、303bの密度ρ及び音速C並びに入射角θが設定されることにある。
【0170】
また、図12Aに示されるように、超音波流量測定装置310は、超音波振動子81を駆動するための送信回路701と、他方の超音波振動子81により受信した超音波を増幅、帯域制限等を行う受信回路702と、送受信の方向を変えるための切り替え回路703と、受信回路702からの出力をもとに伝搬時間を計測する時間計測部704と、上記時間計測部704からの出力値をもとに流量を求める流量演算部705と、流量演算部705で演算された流量等を表示する表示部706と、計測のタイミング等を制御する制御部707とを備えている。よって、一方の超音波振動子301a又は301bから他方の超音波振動子301b又は301aに向けて超音波を送信し、ガスなどの被測定流体を通過した超音波が上記他方の超音波振動子301bで受信されることにより、時間計測部704で超音波振動子301a又は301b間の伝搬時間を計測する。次いで、逆に、上記他方の超音波振動子301bから上記一方の超音波振動子301aに向けて超音波を送信し、ガスなどの被測定流体を通過した超音波が上記一方の超音波振動子301a又は301bで受信されることにより、時間計測部704で超音波振動子301a,301b間の伝搬時間を計測する。このように所定回数だけ、上記一対の超音波振動子301a,301b間で超音波の伝搬時間を計測し、流量演算部705でその値を基に、ガスなどの被測定流体の流量を流量演算部705により算出するようにしている。よって、各超音波振動子301a,301bは送受信を行えるようにしている。ここで、上記送信回路701〜制御部707とより流量算出システムを構成している。
【0171】
次に、上記第8実施形態における超音波流量計の動作を説明する。
【0172】
まず、図12Bの駆動回路を兼ねる送信回路701から超音波送波器301aに対して、共振周波数近傍(例えば100kHz〜1MHz程度)の周波数を持つ交流電圧が印加される。これにより、超音波送受波器301aは、整合層302aを通して伝搬媒質部303aにほぼ効率1の条件で超音波を放射する。
【0173】
伝搬媒質部303aを伝搬した音波は、伝搬媒質部303aと流路空間309との界面で屈折し、ほぼ効率1の状態で流路空間309内に放射され、被測定流体の内部を伝搬する。その後、超音波は、対向する側に設けられた伝搬媒質部303b及び整合層302bを通って超音波送受波器301bに到達する。超音波送受波器301bは、受け取った超音波を電圧に変換し、電圧信号(電気信号)を生成する。この電気信号に基づいて超音波の伝搬時間が流量演算部705で計測され、流速から流量に換算される方法は、従来技術と同様である。駆動回路の構成例は、特開2000−298045号公報及び特開2000−298047号公報に記載されている。
【0174】
上記第8実施形態によれば、適切な密度ρ及び音速Cを示す伝搬媒質部303a、303bを設け、超音波を適切な角度に屈折させるため、物質の界面における伝搬損失をほぼ0にし、良好なS/N比で流量測定を達成することができる。そして、上記第8実施形態によれば、従来の超音波流量計では測定が極めて困難であった気体(例えば水素ガスなど)の流量を容易に測定することが可能になる。
【0175】
更に、上記第8実施形態によれば、流量計測部304の流路空間309の内部に、流れを乱す大きな凹凸や段差が存在せず、極めて安定した流量測定が可能になる。また、超音波送受波器が流路空間309の外側に配置されているため、超音波送受波器のサイズによらず、流路空間309のサイズを任意に設計できる。その結果、流路空間309のサイズを小さくして極少量の流量計測を行うことが可能になる。
【0176】
(第9実施形態)
図14を参照しながら、本発明の第9実施形態にかかる超音波センサの一例としての超音波流量計を説明する。図14は、上記第9実施形態における超音波流量計320の長手方向に沿った断面を示している。上記第9実施形態と前述の上記第8実施形態との間で共通する部材について同様の参照符号を与えている。
【0177】
以下、上記第9実施形態の超音波流量計320に特徴的な点を説明し、上記第8実施形態における超音波流量計310と同様の部分については説明を省略する。
【0178】
上記第9実施形態の超音波流量計320では、超音送受波器301a、301bが収束音場を形成するように構成されている。具体的には、伝搬媒質部308a、308bの第1表面領域がレンズ面を形成するように湾曲している。これに伴って、整合層308における被測定流体側の表面が凹面型になっている。このような構成により、超音波送受波器301aから送波された超音波は伝搬媒質部308a内で収束することになる。この収束効果により、同一性能の超音波振動子を用いて、より大きな音圧で超音波の送受波が可能になるため、S/N比を更に向上させることができる。
【0179】
以上説明してきた上記第8,9実施形態では、いずれも、伝搬媒質部の第1表面領域331は、流路空間309における被測定流体の流速方向305に対して傾斜し、第2表面領域332は、流路空間309における被測定流体の流速方向305に対して平行であるが、本発明は、このような構成に限定されるわけではない。例えば、図15Aに示すように、伝搬媒質部303a、303bの第2表面領域332が流路空間309における被測定流体の流速方向305に対して傾斜するような構成を採用しても良い。このような構成によれば、2つの超音波送受波器の間隔を短縮することができる。ただし、図15Aの構成では、流量測定部304の内壁340と伝搬媒質部303a、303bの第2表面領域332との間に段差が形成されている。この段差を低減又は解消するためには、例えば、図15Bや図15Cに示すように流量測定部304の内壁340の一部に傾斜面を形成し、その傾斜面を伝搬媒質部303a、303bの第2表面領域332と整合させればよい。
【0180】
伝搬媒質部303a、303bの第2表面領域332は、流量測定部304の内壁340との間で段差を実質的に形成していないことが好ましいが、流れの乱れが大きな問題にならない場合は、図16A,16Bに示すような段差又は凹凸が存在しても良い。
【0181】
上記いずれの上記第8,9実施形態でも、一対の超音波送受波器の構成を実質的に同一なものとし、180°の回転対称な配置構成を採用しているが、本発明は、このような構成に限定されない。一対の超音波送受波器の一方については、上記第8,9実施形態における構成を適用し、他方の超音波送受波器については、異なる構成(例えば図15A〜15Cに示す構成)を与えてもよい。また、上記第8,9実施形態では、超音波振動子を超音波送受波器として用いることより、超音波の送信だけではなく受信をも同じ超音波振動子によって行っているが、本発明の上記第8,9実施形態はこのような構成に限定されない。送波用及び受波用として、別々の超音波振動子を用いても良い。
【0182】
本発明の上記第8,9実施形態によれば、被測定流量中へ超音波を伝播する際の損失をほぼゼロに低減することができるため、気体を含む種々の流体の流量を高感度で測定することができる。
【0183】
また、本発明の上記第8,9実施形態によれば、流路内部に段差や凹凸を設ける必要がなくなるので、被測定流体の流れを乱すことなく、極少量の流量計測にも対応できる。
【0184】
本発明によれば、超音波の送信及び/又は受信を行う超音波送振動子と、超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部とを備え、伝搬媒質部の密度ρ及び音速C、並びに周囲空間を満たす流体の密度ρ及び音速Cの相互関係が適切に設定され、かつ超音波を適切な角度に屈折させることにより、周囲空間を満たす流体へ超音波を放射する際の損失をほぼゼロに低減でき、また/あるいは周囲空間を満たす流体から超音波の入射を受ける際の損失をほぼゼロに低減することができるため、気体を含む種々の流体に対して高効率な送受波が可能となる。また、流体が気体の場合には、超音波送受波器の送受波面に対してほぼ水平(平行)に送受波が可能であり、各種の応用展開に利用できる。
【0185】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0186】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施形態に関連した次の記述から明らかになる。
【図1A】本発明の第1実施形態にかかる超音波送受波器の概観の斜視図である。
【図1B】上記第1実施形態の超音波送受波器の長手方向に直交する図1AのB−B線断面図である。
【図2】上記超音波送受波器の伝搬媒質部と周囲空間の流体との界面における超音波の屈折を示す断面図である。
【図3A】本発明の第2実施形態による超音波送受波器の概観の斜視図である。
【図3B】上記第2実施形態の超音波送受波器の円筒中心線上の断面図である。
【図3C】上記第2実施形態の超音波送受波器の超音波振動子の電極構造の一例を示した斜視図である。
【図4A】本発明の第3実施形態による1つの超音波送受波器の概観の斜視図である。
【図4B】上記第3実施形態の図4Aの超音波送受波器の円筒中心線上の断面図である。
【図5A】本発明の上記第3実施形態による他の超音波送受波器の概観の斜視図である。
【図5B】上記第3実施形態の図5Aの超音波送受波器の円筒中心線上の断面図である。
【図6A】本発明の第4実施形態にかかる超音波送受波器の概観の斜視図である。
【図6B】上記第4実施形態の超音波送受波器の円筒中心線上の断面図である。
【図6C】上記第4実施形態における別の円筒形の超音波送受波器の中心軸を含む断面図である。
【図6D】上記第4実施形態の超音波送受波器の超音波振動子の電極面の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第5実施形態にかかる超音波送受器の一部断面斜視図である。
【図8A】本発明の第6実施形態にかかる超音波送受器の概観図である。
【図8B】本発明の第6実施形態にかかる超音波送受器の概観図である。
【図9A】本発明の第7実施形態にかかる超音波送受器をそれぞれ異なる分野に適用した場合の説明図である。
【図9B】本発明の第7実施形態にかかる超音波送受器をそれぞれ異なる分野に適用した場合の説明図である。
【図9C】本発明の第7実施形態にかかる超音波送受器をそれぞれ異なる分野に適用した場合の説明図である。
【図10】従来の超音波送受波器の断面図である。
【図11】従来の他の超音波送受波器の断面図である。
【図12A】本発明の第8実施形態にかかる超音波流量計の長手方向に沿った断面図、第8実施形態の超音波流量計の長手方向に直交する、図12AのB−B線断面図である。
【図12B】本発明の第8実施形態にかかる超音波流量計の長手方向に沿った断面図、第8実施形態の超音波流量計の長手方向に直交する、図12AのB−B線断面図である。
【図13】伝搬媒質部と被測定流体との界面における超音波の屈折を示す図である。
【図14】本発明の第9実施形態による超音波流量計の断面図である。
【図15A】本発明の第8,9実施形態の変形例にかかる超音波流量計の断面図である。
【図15B】本発明の第8,9実施形態の変形例にかかる超音波流量計の断面図である。
【図15C】本発明の第8,9実施形態の変形例にかかる超音波流量計の断面図である。
【図16A】本発明の第8,9実施形態の他の変形例にかかる超音波流量計の断面図である。
【図16B】本発明の第8,9実施形態の他の変形例にかかる超音波流量計の断面図である。
【図17】従来の超音波流量計の断面図である。

Claims (27)

  1. 流体で満たされた周囲空間に対して超音波の送信又は受信を行う超音波センサであって、
    超音波振動子と
    上記超音波振動子と上記周囲空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部とを備え、
    上記伝搬媒質部の密度ρ 、上記伝搬媒質部における音速C 、上記空間を満たす流体の密度ρ 、及び上記空間を満たす流体における音速C が、(ρ /ρ )<(C /C )<1の関係を満足するように構成する超音波センサ。
  2. 上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記周囲空間を満たす流れに対向する第2表面領域とを有しており、上記伝搬媒質部の上記第2表面領域は、上記第1表面領域に対して傾斜している請求項1に記載の超音波センサ。
  3. 流体で満たされた周囲空間に対して超音波の送信又は受信を行う超音波センサであって、
    超音波振動子と、
    上記超音波振動子と上記周囲空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する伝搬媒質部と、
    上記伝搬媒質部に接して配置され上記超音波の伝搬経路を制御する反射体とを備え、
    上記伝搬媒質部の密度ρ 、上記伝搬媒質部における音速C 、上記空間を満たす流体の密度ρ 、及び上記空間を満たす流体における音速C が、(ρ /ρ )<(C /C )<1の関係を満足するように構成する超音波センサ。
  4. 上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記周囲空間を満たす流れに対向する第2表面領域と、上記超音波の伝搬経路の上記第1表面領域と上記第2表面領域との間に配置され、上記反射体と接する少なくとも1つの第3表面領域を有しており、上記伝搬媒質部の上記第2表面領域は、上記第1表面領域及び上記第3表面領域のうち少なくとも1つの領域に対して傾斜している請求項3に記載の超音波センサ。
  5. 上記伝搬媒質部の密度ρ 、上記伝搬媒質部と上記周囲空間を満たす流体との界面への超音波の入射角θ 、上記周囲空間を満たす流体の密度ρ 、及び、上記界面から上記周囲空間を満たす流体への上記超音波の進入角θ が、ρ /ρ =cotθ /cotθ の関係をほぼ満足するように構成する請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
  6. 上記伝搬媒質部は、無機酸化物の乾燥ゲル又は有機高分子の乾燥ゲルから形成されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
  7. 上記乾燥ゲルの固体骨格部は疎水化されている請求項5に記載の超音波送センサ。
  8. 上記乾燥ゲルの密度は、500kg/m 以下であり、上記乾燥ゲルの平均細孔直径は、100nm以下である請求項6に記載の超音波センサ。
  9. 上記超音波振動子と上記伝搬媒質部との間に設けられ、上記超音波振動子と上記伝搬媒質部とを音響的に整合させる音響整合層を有している請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
  10. 上記周囲空間を満たす流体は、密度ρ が10kg/m 以下の気体である請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
  11. 上記超音波の送波又は受波方向が、上記第2表面領域にほぼ平行である請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波センサ。
  12. 被測定流体の流路を規定する内壁を有する流量測定部と、
    上記流量測定部の内壁に囲まれた流路空間の外側に設けられ、超音波の送信又は受信を行う少なくとも1つの超音波振動子と、
    上記超音波振動子と上記流路空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を形成する 伝搬媒質部と、
    を備えた超音波流量計であって、
    上記伝搬媒質部の密度ρ 、上記伝搬媒質部における音速C 、上記被測定流体の密度ρ 、及び上記被測定流体における音速C が、(ρ /ρ )<(C /C )<1の関係を満足するように構成する超音波流量計。
  13. 上記超音波振動子の数は複数であり、
    上記複数の超音波振動子のうちの第1の超音波振動子は、上記複数の超音波振動子のうちの第2の超音波振動子に対して超音波を出射するように配置され、
    上記第2の超音波振動子は、上記第1の超音波振動子に対して超音波を出射するように配置されている、請求項12に記載の超音波流量計。
  14. 上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記流路空間に対向する第2表面領域とを有しており、
    上記伝搬媒質部の上記第2表面領域は、上記第1表面領域に対して傾斜している請求項12又は13に記載の超音波流量計。
  15. 上記伝搬媒質部の第1表面領域は、上記流路空間内における上記被測定流体の流速方向に対して傾斜し、上記第2表面領域は、上記流路空間内における上記被測定流体の流速方向に対して平行である請求項14に記載の超音波流量計。
  16. 上記伝搬媒質部の第2表面領域は、上記流量測定部の上記内壁との間で段差を実質的に形成していない、請求項14又は15に記載の超音波流量計。
  17. 上記伝搬媒質部の密度ρ 、上記伝搬媒質部と上記被測定流体との界面への超音波の入射角θ 、上記被測定流体の密度ρ 、及び、上記界面から上記被測定流体への上記超音波の進入角θ が、
    ρ /ρ =cotθ /cotθ の関係をほぼ満足するように構成する請求項12〜15のいずれかに記載の超音波流量計。
  18. 上記被測定流体は、密度ρ が10kg・m −3 以下の気体である請求項12〜15のいずれかに記載の超音波流量計。
  19. 上記伝搬媒質部は、無機酸化物又は有機高分子の乾燥ゲルから形成されている請求項12〜15のいずれかに記載の超音波流量計。
  20. 上記乾燥ゲルの固体骨格部は疎水化されている請求項19に記載の超音波流量計。
  21. 上記乾燥ゲルの密度は、500kg/m 以下であり、
    上記乾燥ゲルの平均細孔直径は、100nm以下である請求項20に記載の超音波流量計。
  22. 上記超音波振動子と上記伝搬媒質部との間に設けられ、上記超音波振動子と上記伝搬媒質部とを音響的に整合させる整合層を有している請求項12〜15のいずれかに記載の超音波流量計。
  23. 上記被測定流体の流速方向に垂直な方向に測定した、上記流速測定部における流路空間のサイズは、上記超音波の中心周波数における上記被測定流体中の波長の1/2以下である請求項12〜15のいずれかに記載の超音波流量計。
  24. 上記超音波振動子は、収束音場を形成する請求項12〜15のいずれかに記載の超音波流量計。
  25. 上記伝搬媒質部の第1表面領域は、レンズ面を形成するように湾曲している請求項23に記載の超音波流量計。
  26. ガスの流路を規定する内壁を有する流量測定部と、
    上記流量測定部の内壁に囲まれた流路空間の外側に設けられ、超音波の送信又は受信を行う一対の超音波振動子と、
    上記一対の超音波振動子の各々と上記流路空間との間に配置され、上記超音波の伝搬経路を屈折させる一対の伝搬媒質部と、
    を備え、
    上記伝搬媒質部は、上記超音波振動子の超音波振動面に対向する第1表面領域と、上記 流路空間に対向する第2表面領域とを有しており、
    上記伝搬媒質部の第1表面領域は、上記流路空間内における上記ガスの流速方向に対して傾斜し、上記第2表面領域は、上記流路空間内における上記ガスの流速方向に対してほぼ平行である超音波流量計。
  27. 請求項12〜15のいずれかに記載の超音波流量計と、
    上記超音波流量計に被測定流体を供給する管と、
    上記超音波流量計によって測定された流量を表示する表示部と、
    を備えた装置。
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