JP3721655B2 - 半導体装置製造工程における合わせ誤差測定方法及び露光方法並びに重ね合わせ精度管理方法 - Google Patents
半導体装置製造工程における合わせ誤差測定方法及び露光方法並びに重ね合わせ精度管理方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リソグラフィ技術を利用して基板上に形成される半導体デバイスの製造工程における基板とフォトマスクとの間の合わせ精度の測定ならびに露光、あるいは上下パターン間の重ね合わせ精度の管理において、スループットを改善するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス製造などの微細加工に適用されるリソグラフィは、縮小投影露光装置の投影レンズ(対物レンズ)の高NA化、高圧水銀ランプの輝線からエキシマ・レーザ光への移行にみられる露光波長の短波長化、あるいは位相シフト法や変形照明法といった超解像技術の採用により、その解像度を確実に向上させてきた。
【0003】
一方、合わせ精度の技術においても、露光ステージの制振や温調、あるいは投影光学系の収差の改善といった、装置性能の改善による合わせ精度の向上がなされてきた。合わせ精度としては、一般にデザイン・ルール(最小加工寸法)の1/3〜1/4の値が要求され、例えば0.3μmルールにおいては、0.1μm以下の高い合わせ精度が管理目標値として要求されることになる。
そして、このような高精度の合わせ操作を可能にする技術が、測定方法や露光におけるアライメント、ならびに重ね合わせ精度の管理方法について要求されるに到っている。
【0004】
まず露光工程では、サンプリングショットで測定されたステージ座標系と基板座標系とのズレの統計処理に基づきアライメントがなされる。
例えば1次式による変換モデルを導入し、露光に先立って基板上の露光対象となるフィールド(以下、これを便宜上、露光フィールドあるいは単にフィールドと称する)について、測定された座標と基準座標との差分の二乗の積算の和で記述される誤差成分を1次変換モデルの各変換パラメータで偏微分して得られる連立方程式から、前記1次変換モデルの各変換パラメータを定め、ついで定めた変換パラメータを係数とした1次変換モデルに基づいてアライメント格子(予想格子)を作成し、このアライメント格子が示す座標に基づいてアライメントを行った後に露光がなされている。
【0005】
また、一般的な重ね合わせ精度の管理ステップは、以下の通りである。
(1)1ロットから所定枚数のウエハを抜き取り、各ウエハ内で幾つかの露光がなされたフィールド(以下、この露光済みのフィールドも、便宜上、露光フィールドと称する。なお前記露光対象となるフィールドとの区別が必要な際にはその都度記述される)をサンプリングし、サンプリングしたフィールドに発生している重ね合わせ誤差をバーニアの目視観察、あるいは専用の測定装置を用いた観測により測定し、
(2)上記の重ね合わせ誤差から、平均値xと標準偏差σを求め、
(3)|x|+3σと管理目標値(スペック)を比較し、
(4)|x|+3σ管理目標値であれば合格、|x|+3σ>管理目標値であれば不合格(スペックアウト)と判定する。
このように、重ね合わせ精度の管理は一般的な品質管理手法と同様、|x|+3σ(xは平均値、|x|は平均値の絶対値、σは標準偏差)の値を管理目標値と比較することにより行われる。
【0006】
ここで、|x|+3σは、正規分布において母集団の99.7%を含む範囲である。|x|+3σが管理目標値以下である場合には、そのロットのウエハはすべて次工程へ送られるが、管理目標値を越えている(スペックアウト)場合には、そのロットのウエハはすべて再生工程へ回される。ここで再生工程とは、レジスト・パターンを一旦剥離し、再度リソグラフィを行ってレジスト・パターンを形成し直す一連の工程を指す。
【0007】
前記のような露光工程、および重ね合わせ精度管理工程に共通して必要とされる技術は、合わせ誤差の測定技術である。以下、露光工程の位置合わせに係る誤差あるいは重ね合わせ精度管理工程における重ね合わせ誤差は、特に明記する場合を除き、説明の便宜上纏めて”合わせ誤差”と略記する。また”合わせ精度”についても同様である。
ところで従前では、このような合わせ誤差として主としてフィールド間で発生する合わせ誤差が対象とされてきた。例えば合わせ精度の管理に関してはフィールド間誤差が対象になっていた。しかしながら近年は、半導体デバイスが高集積化され、また生産性向上のために1ショットで複数個のチップが露光されることから、個々の露光フィールドのサイズが20mm角以上に大型化しており、この結果露光フィールド隅部の合わせ誤差が、露光工程においても、また重ね合わせ精度管理工程においても、いずれも無視できないレベルに達している。
【0008】
このため、フィールド間合わせ精度に加えて、フィールド内における合わせ精度にかかる技術が、露光工程ならびに重ね合わせ精度管理工程において重要になっている。
すなわち、フィールド内外の合わせ精度をまとめた総合的な合わせ精度を意味する、「トータル・オーバーレイ精度」が必要とされるに至った。
【0009】
ところで、前記のようなフィールド間合わせ精度の測定は、通常、1個の露光フィールド内で1個の地点を選んで合わせ誤差を測定する、所謂フィールド内1点測定により行われてきた。これに対し、フィールド内合わせ精度の測定は、通常、1個の露光フィールド内で複数個の地点を選んで合わせ誤差を測定する、所謂フィールド内多点測定により行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現状の露光装置あるいは重ね合わせ精度測定機を用いて、前記のフィールド内多点測定を行う場合には、フィールド間精度の測定用にサンプリングされた露光フィールドの個々について、多点測定が行われている。この場合、露光装置ではロットを構成している全ウエハが対象とされ、重ね合わせ精度測定機ではロットからサンプリングされたウエハが対象とされる。
例えば図5は、このような重ね合わせ精度測定機による処理を示す。同図には、1ロットからサンプリングされた例えば3枚のウエハWの各々において、全25個の露光フィールドFの中からサンプリングされた9個すべての露光フィールドFの各々について、それぞれ5個の測定地点Pで測定を行う様子が模式的に示されている。
【0011】
即ち、測定地点の総数は1枚あたり、(5ポイント)×(9フィールド)で45となる。よって前記のようにサンプリングされたすべての露光フィールドFについて5点測定を行ったとすると、1点測定によりフィールド間重ね合わせ誤差のみを測定していた場合に比べて、測定の所要時間が5倍以上に増大してしまうという問題があった。これは、測定そのものに要する時間に加え、ウエハのハンドリングやアライメントに時間を要することに因る。
そして前記のような問題点は、露光工程でのフィールド内成分アライメントの測定においても同様に生じるものであった。
【0012】
前記のように、従来の技術ではサンプリングポイントの増加によってリソグラフィのスループットを大幅に低下させ、結果的に半導体デバイスのコストを上昇させるという問題があった。
そこで本発明は、従来技術が有する前記のような問題を解決し、加工精度および管理精度を維持しながらスループットを向上させることが可能な、合わせ精度の測定方法および露光方法と、重ね合わせ精度管理方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る合わせ精度の測定方法は、上述の目的を達成するために提案されるものであり、サンプリングされた露光フィールドのすべてについて多点測定を行うという従来の考え方から脱し、多点測定を行う露光フィールド(以下、多点測定フィールドと称する)の数をサンプリングされた露光フィールドの総数よりも少なくとも1以上減らし、残りの露光フィールドについては1点測定を行うことを基本的な考え方としている。
これは、「フィールド内合わせ誤差とフィールド間合わせ誤差とは、独立に扱うことができる」という理論的根拠および、本発明者がメカサンプルを用いた実測に基づいて経験的に得た知見に依拠するものである。
【0014】
まず、前記の理論的根拠に関し、重ね合わせ誤差を例に説明する。いま、露光フィールド内の重ね合わせ誤差の測定を図1のように考える。この図は、測定基準となる露光フィールドと重ね合わせ誤差を生じた露光フィールドとの間の相対誤差を示すものであり、フィールド内5点測定の例である。ここで、基準となるi番目の露光フィールド内のj番目の測定地点の座標(xij、yij)と、重ね合わせ誤差を生じたi番目の露光フィールド内のj番目の測定地点の座標(xij′、yij′)との間には、次の数1の関係が成り立つ。
【0015】
【数1】
【0016】
数1中、Tx、Tyは平行移動、Mは倍率、θは回転をそれぞれ表す。これらは、いずれも線形誤差の成分である。線形誤差とは、ウエハW上にある一定の傾向をもって現われる補正可能な1次の誤差である。なお、フィールド間の重ね合わせ誤差を論ずる場合には、倍率(フィールド間の倍率は「スケーリング」と呼ばれる)と回転とはウエハWの中心から半径方向に沿って増大することを特色とするが、上記のようなフィールド内の重ね合わせ誤差を論ずる場合には、xy方向で独立に変化しない成分として取り扱われる。
【0017】
数1から分散σ2(標準偏差σの2乗)を計算すると、数2のようになる。
【0018】
【数2】
【0019】
但し、ここまでの議論では、フィールド内の非線形誤差が考慮されていない。非線形誤差とは、ウエハW上の2次以上の誤差であり、典型的には露光装置の投影レンズの収差による誤差、ウエハWの熱変形、重ね合わせ誤差測定時の測定誤差が含まれる。かかる非線形誤差は、各レイヤのデザイン・ルールに応じて解像度の異なる複数の露光装置を使い分ける、いわゆるミックス&マッチ露光を行う場合はもちろんのこと、すべてのレイヤに対して単独の露光装置を用いる、いわゆるシングル・マシン露光を行う場合にも少なからず発生する。そこで、より現実的なトータル・オーバーレイの表現としては、数3が適当である。
【0020】
【数3】
【0021】
ここで、フィールド内重ね合わせに関する項をまとめて次の数4
【0022】
【数4】
【0023】
のようにまとめると、数3は次の数5のように書き替えることができる。
【0024】
【数5】
【0025】
数5は、トータル・オーバーレイ分散σtotal2が、フィールド内重ね合わせ誤差の分散σintra2とフィールド間重ね合わせ誤差の分散σinter2の和で表されていることを示している。即ち、露光フィールド内外の重ね合わせ誤差は、理論上互いに独立に取り扱えることがわかる。
【0026】
次に、本発明者がメカサンプルの実測から得た経験的知見について説明する。メカサンプルとは、実際の半導体デバイスの製造プロセスに含まれる代表的な工程をウエハ上に再現したものである。本発明者の検討により、倍率、回転といったフィールド内誤差のバラつきは、無視しえる程度に小さいことが確認された。この結果、数4中、分散に関する項は無視して良いことになり、また倍率と回転は、i番目の露光フィールドにおける倍率と回転で代表させることが可能となる。以上の知見に基づき、数4は次の数6のように書き替えることができる。
【0027】
【数6】
【0028】
つまり、サンプリングされた露光フィールドのすべてにおいて多点測定を行う必要はなく、一部の露光フィールドについてのみ多点測定を行い、残りの露光フィールドについては1点測定を行うようにしても、正しい評価が可能になることを示している。
【0029】
前記理論ならびに知見に基づき、かつ前記目的を実現するため、本発明に係る合わせ誤差測定方法は、半導体装置製造工程で基板上に繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドにつき発生する合わせ誤差の測定方法において、前記基板上からサンプリングされるn個(nは2以上の自然数)の露光フィールド中、m個(mは1≦m≦n−1を満たす自然数)についてはフィールド内多点測定を行い、残る(n−m)個についてはフィールド内1点測定を行うことを特徴とする。
また、とりわけ前記mを1とすることを特徴とする。
【0030】
前記の本発明に係る合わせ誤差測定方法によれば、多点測定露光フィールド数が基板(ウエハ)単位で減少する。
【0031】
また、本発明に係る露光方法は、前記合わせ誤差測定方法にそって構成される。すなわち、本発明に係る露光方法は、半導体装置製造工程で基板上に繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドの所定部分の測定に基づきアライメントがなされる露光方法において、前記基板上からサンプリングされるn個(nは2以上の自然数)の露光フィールド中、m個(mは1≦m≦n−1を満たす自然数)についてフィールド内多点測定を行い、残る(n−m)個についてフィールド内1点測定を行い、かつ前記ひとつのフィールド内多点測定結果に基づき少なくとも1個の露光フィールドのフィールド内成分アライメントがなされる構成とされる。
また、とりわけ前記mを1とする構成とされる。
【0032】
前記の本発明に係る露光方法によれば、同一のウエハー内では1ショットあるいは数ショットのみのアライメント補正をするだけで、他の各露光フィールドについてもフィールド内線形誤差補正が同時になされることで、多点測定露光フィールド数が基板(ウエハ)単位で減少する。
【0033】
また、本発明者が別のメカサンプルの実測から得た、別の経験的知見では、同一ロットに属するウエハー間でのフィールド内線形誤差の差は無視できる程度に小さい。すなわち、フィールド内線形誤差成分であるフィールド倍率とフィールド回転は、実測値において同一ロット内での変動量は無視できる程度に小さいことが確認された。
したがって、この結果によると、同一ロットに属する複数枚のウエハーについては、ウエハー1枚のみ、あるい数枚おきにフィールド内成分の誤差測定を行うと、い、この測定結果を、同一ロットに属する他の各ウエハーについても適用し得ることが明らかとなった。
【0034】
前記知見に基づき、本発明に係る合わせ誤差測定方法は、半導体装置製造工程で基板上に繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドにつき発生する合わせ誤差の測定方法において、前記基板が属するロットを構成するN枚(Nは2以上の自然数)の基板中のM枚(Mは1≦M≦N−1を満たす自然数)の基板に対しては前記各基板上からサンプリングされる複数個の露光フィールドの少なくとも1個についてフィールド内多点測定を行い、残る(N−M)枚の基板に対しては前記各基板上からサンプリングされる複数個の露光フィールドについてフィールド内1点測定を行うことを特徴とする。
また、とりわけ前記M枚の基板につきサンプリングされる複数個の露光フィールドすべてについてフィールド内多点測定を行うことを特徴とする。
【0035】
前記の本発明に係る合わせ誤差測定方法によれば、多点測定露光フィールド数がロット単位で減少する。
【0036】
また、前記の合わせ誤差測定方法にそって構成された本発明に係る露光方法は、半導体装置製造工程で基板上に繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドの所定部分の測定に基づきアライメントがなされる露光方法において、前記基板が属するロットを構成する全N枚(Nは2以上の自然数)の基板中、該ロットの第1番目の基板を含むM枚(Mは1≦M≦N−1を満たす自然数)の基板に対して前記各基板上でサンプリングされる複数個の露光フィールドの少なくとも1個についてフィールド内多点測定を行い、残る(N−M)枚の基板に対して前記各基板からサンプリングされる複数個の露光フィールドについてフィールド内1点測定を行い、前記M枚の基板の前記フィールド内多点測定結果に基づき、該基板の露光フィールドに対してフィールド内成分アライメントを行うとともに、前記M枚の基板になされた前記フィールド内多点測定結果を他の(N−M)枚の基板にも適用して露光フィールドのフィールド内成分アライメントをすることを特徴とする。
また、とりわけ前記M枚の基板につきサンプリングされる複数個の露光フィールドすべてについてフィールド内多点測定を行うことを特徴とする。
【0037】
前記の本発明に係る露光方法によれば、多点測定する露光フィールド数がロット単位で減少する。
【0038】
前記のように本発明に係る露光方法では、同一ロットに属する各基板に対する前記フィールド内成分のアライメントは、前記ロットに属する少なくとも第1番目の基板を含む任意の基板を用いて既になされたフィールド内成分のアライメント補正量を、他の基板にも適用することにより実行されるのであるが、この際においてとりわけロットの第1番目の基板で得られたアライメント補正量が適用されることが好ましい。
【0039】
ついで、本発明に係る重ね合わせ精度管理方法は、基板上で繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドで発生する重ね合わせ誤差を測定し、前記測定結果に基づき重ね合わせ精度を管理する方法において、前記重ね合わせ誤差の測定では、前記基板上からサンプリングされるn個(nは2以上の自然数)の露光フィールド中、m個(mは1≦m≦n−1を満たす自然数)についてはフィールド内多点測定を行い、残る(n−m)個についてはフィールド内1点測定を行うことを特徴とする。
また、とりわけ前記mを1とすることを特徴とする。
【0040】
前記の本発明に係る重ね合わせ精度管理方法によれば、多点測定する露光フィールド数が基板(ウエハ)単位で減少する。
【0041】
あるいは、本発明に係る重ね合わせ精度管理方法は、基板上で繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドで発生する重ね合わせ誤差を測定し、前記測定結果に基づき重ね合わせ精度を管理する方法において、前記重ね合わせ誤差の測定では、前記基板が属するロットからサンプリングされるN枚(Nは2以上の自然数)の基板中、M枚(Mは1≦M≦N-1を満たす自然数)の基板については前記各基板からさらにサンプリングされる複数個の露光フィールドの少なくとも1個についてフィールド内多点測定を行い、残る(N−M)枚の基板については前記各基板からさらにサンプリングされる複数個の露光フィールドについてフィールド内1点測定を行うことを特徴とする。
また、とりわけ前記M枚の基板につきサンプリングされる複数個の露光フィールドすべてについて多点測定を行うことを特徴とする。あるいは前記Mを1とすることを特徴とする。
【0042】
前記の本発明に係る重ね合わせ精度管理方法によれば、多点測定する露光フィールド数がロット単位で減少する。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
実施例1
表1は、1枚のウエハー面上に十字方向に配列された露光フィールドの各々におけるフィールド内成分(フィールド倍率と、フィールド回転)の線形誤差の実測値である。露光フィールドはショット番号4を中心に、ショット番号1の上端露光フィールドからショット番号7の下端露光フィールドまでが面上を上下方向に配列され、またショット番号4を中心に、ショット番号8の左端露光フィールドからショット番号13の右端露光フィールドまでが面上を左右方向に配列されていて、露光はフィールド内成分のアライメント補正を、各フィールド毎に行うことなしに実行した結果である。
【0044】
【表1】
【0045】
表1のフィールド倍率とフィールド回転の実測値が示すように、同一ウエハー内でのフィールド内線形誤差の差は無視できる程度に小さい。この結果が示すように、同一のウエハー内では1ショットあるいは数ショットのみのアライメント補正をするだけで、他の各露光フィールドについてもフィールド内線形誤差補正を同時になすことが可能になる。
【0046】
実施例2
表2は、同一のロットに属する4枚のウエハー(基板番号1、10、20、30)に対しi線ステッパでフィールド内1ポイント計測によるアライメントを実行した後に露光し、露光後の基板について誤差を測定したものである。したがって、フィールド内線形誤差成分については、アライメント補正を一切行っていない場合の実測値である。
【0047】
【表2】
【0048】
表2のフィールド倍率とフィールド回転の実測値が示すように、同一ロットに属するウエハー間でのフィールド内線形誤差の差(バラツキ)は無視できる程度に小さい。すなわち、フィールド内線形誤差成分であるフィールド倍率とフィールド回転は、このように実測値においても、また理論的にも同一ロット内で変動量は無視できる程度に小さい。
したがって、この結果に基づいて、同一ロットに属する複数枚のウエハーについては、ウエハー1枚のみ、あるい数枚おきに露光フィールドのフィールド内成分アライメント補正を行い、ついでこの補正量を、同一ロットに属する他の各ウエハーの露光フィールドのフィールド内成分アライメントについても適用することにより、他の各ウエハーのフィールド内線形誤差補正が可能になる。
【0049】
実施例3
つぎに以下で、重ね合わせ精度管理にかかる実施例を順に説明する。
まず、本実施例3では、4種類のメカサンプルOL−1、OL−2、OL−3、OL−4を作成した。OL−1はi線リソグラフィとドライエッチングによる1層目Al配線膜のパターニングから、3回のTEOS−CVD、レジスト・コーティング、SOG塗布、エッチバックを含む絶縁膜平坦化間でのプロセスを再現したものであり、測定項目はAl配線とコンタクト・ホールとの間の重ね合わせ精度である。OL−2は、層間絶縁膜の形成から上層配線の形成までのプロセスを再現したものであり、測定項目はコンタクト・ホールとAl配線との間の重ね合わせ精度である。OL−3は、ポリシリコン・パッドLOCOS法によるフィールド酸化膜の形成からゲート酸化を経て1層目W−ポリサイド膜を形成するまでのプロセスを再現したものであり、測定項目はフィールド酸化膜とゲート電極との間の重ね合わせ精度である。さらにOL−4は、i線リソグラフィとドライエッチングによる1層目W−ポリサイド膜のパターニングからLDDサイドウオールの形成までのプロセスを再現したものであり、測定項目はゲート電極とノード・コンタクトとの間の重ね合わせ精度である。いずれのメカサンプルもフィールド・サイズは20mm×20mm、デザイン・ルールは0.5μmである。
【0050】
サンプリング方法は図2に示されるとおりである。即ち、1ロットから3枚のウエハWをサンプリングし、各ウエハW上の5個×5個のマトリクス状に配された露光フィールドFの中から隅の4箇所、一辺の中点の4箇所、およびウエハ中央の計9個の露光フィールドFをサンプリングし、このうちウエハ中央部の1個の露光フィールドFにて5点測定を行い、残る周辺部の8個の露光フィールドFでは1点測定を行った。即ち、測定地点の総数は、13個である。各露光フィールドF内の測定地点Pは黒点で示されており、1点測定の場合はフィールド中央、5点測定の場合はこれにフィールド四隅を加えた。
【0051】
各メカサンプルの測定結果を解析して3σを求め、表3にまとめた。なお比較のために、前出の図5に示したごとく、サンプリングされた露光フィールドのすべてでフィールド内5点測定を行う従来法(測定地点の総数=45個)による3σの解析結果、および本発明と従来法との差も併せて示す。
【0052】
【表3】
【0053】
この表3から、本発明と従来法による結果は概ね一致していることが明らかであり、本発明の妥当性が証明された。本発明では、5点測定フィールドの数を各ウエハにつき1個としたことにより、測定の所要時間が従来法に比べて約70%も短縮された。
【0054】
すなわち、実施例3は、多点測定露光フィールド数を基板単位で削減する場合に相当し、1枚の基板からサンプリングされるn個(nは2以上の自然数)の露光フィールド中、m個(mは1≦m≦n−1を満たす自然数)についてはフィールド内多点測定を行い、残る(n−m)個についてはフィールド内1点測定を行うものである。このときの多点測定フィールド数は、本実施例のように1個(m=1)であっても十分に実用に耐える。
【0055】
実施例4
本発明では、図3に示したような変形例も可能である。即ち、1ロットから例えば3枚のウエハWをサンプリングした場合、1枚についてはサンプリングされた9個の露光フィールドFのすべてでフィールド内5点測定を行い、残る2枚については9個の露光フィールドFのすべてでフィールド内1点測定を行う。このようにロット単位で多点測定フィールド数を減少させたことにより、従来法に比べて測定の所要時間を約50%短縮することができる。
【0056】
すなわち、実施例4は、多点測定露光フィールド数をロット単位で削減する場合に相当し、そのロットからサンプリングされるN枚(Nは2以上の自然数)の基板中、M枚(Mは1≦M≦N−1を満たす自然数)の基板についてはそこからさらにサンプリングされる複数個の露光フィールドについてフィールド内多点測定を行い、残るN−M枚の基板についてはフィールド内1点測定を行うものである。
また、同一ロットに属する各基板に対するフィールド内誤差測定をする際に、このロットに属する任意の基板によって既に得られているフィールド内誤差測定結果を、他の基板にも流用するようにすれば、測定に要する時間をさらに短縮することができる。
【0057】
実施例5
本発明ではさらに、図4に示したような変形例も可能である。即ち、1ロットから例えば3枚のウエハWをサンプリングした場合、1枚についてはサンプリングされた9個の露光フィールドFのうち中央の1個のみでフィールド内5点測定、残る8個でフィールド内1点測定を行い、残る2枚については9個の露光フィールドFのすべてでフィールド内1点測定を行う。このようにロット単位と基板単位の両方で多点測定フィールド数を減少させたことにより、従来法に比べて測定の所要時間を約80%短縮することができる。
【0058】
すなわち、実施例5は、M枚の基板について、サンプリングされた複数個の露光フィールドのうちの一部のみを多点測定フィールドとして、多点測定フィールド数をロット単位と基板単位の両方で削減する場合に相当する。なお、このときの多点測定フィールドを含む基板の枚数は、本実施例のように1枚(M=1)であっても十分に実用に耐える。
【0059】
このように、本発明によれば多点測定露光フィールド数を、基板(ウエハ)単位あるいはロット単位の少なくとも一方で削減することを可能にする。
【0060】
なお、本発明では、多点測定フィールドは基本的に基板上のどの位置から選択されても良いが、露光フィールド毎のバラつきをなるべく抑えるため、ある程度の対称性をもって選択されることが望ましい。特に、多点測定を行う露光フィールド数を1個とする場合には、この露光フィールドを基板中央から選択することが好ましく、これにより、ウエハーの熱変形等による影響を最小限にとどめることができる。
【0061】
以上、本発明の具体的な実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。例えば、デザイン・ルール、ウエハ上の露光フィールドのレイアウト、フィールド・サイズ、サンプリング・レイアウト、フィールド内測定地点の数およびレイアウト等の細部については、適宜変更や選択が可能であることは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば多点測定フィールド数を削減しても、実用上十分な精度のアライメントと、補正による露光と、露光後の重ね合わせ精度の管理を行うことができる。したがって、合わせ精度(補正精度)を損なうことなくサンプリング数を減少させることができ、TAT向上とともにリソグラフィにかかる総所要時間も短縮することができる。このように、本発明は半導体デバイス製造における信頼性向上、コスト削減、スループット向上に大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】露光フィールド内の重ね合わせ誤差の定義を説明する模式図である。
【図2】本発明を適用し、多点測定フィールド数を基板単位で減少させる例を示す模式図である。
【図3】 本発明を適用し、多点測定フィールド数をロット単位で減少させる例を示す模式図である。
【図4】 本発明を適用し、多点測定フィールド数を基板単位とロット単位の両方で減少させる例を示す模式図である。
【図5】 1ロットからサンプリングされたウエハのすべてについて、サンプリングされた露光フィールドのすべてでフィールド内5点測定を行う従来法を示す模式図である。
【符号の説明】
W……ウエハ、F……露光フィールド、P……測定地点
Claims (6)
- 半導体装置製造工程で基板上に繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドにつき発生する合わせ誤差の測定方法において、
前記基板上からサンプリングされるn個(nは2以上の自然数)の露光フィールド中、m個(mは1≦m≦n−1を満たす自然数)についてはフィールド内多点測定を行い、残る(n−m)個についてはフィールド内1点測定を行うことを特徴とする合わせ誤差測定方法。 - 前記mを1とすることを特徴とする請求項1記載の合わせ誤差測定方法。
- 半導体装置製造工程で基板上に繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドの所定部分の測定に基づきアライメントがなされる露光方法において、
前記基板上からサンプリングされるn個(nは2以上の自然数)の露光フィールド中、m個(mは1≦m≦n−1を満たす自然数)についてフィールド内多点測定を行い、残る(n−m)個についてフィールド内1点測定を行い、かつ前記ひとつのフィールド内多点測定結果に基づき少なくとも1個の露光フィールドのフィールド内成分アライメントがなされることを特徴とする露光方法。 - 前記mが1であることを特徴とする請求項3記載の露光方法。
- 基板上で繰り返されるリソグラフィのショットに対応して該基板上に複数形成される露光フィールドで発生する重ね合わせ誤差を測定し、前記測定結果に基づき重ね合わせ精度を管理する方法において、
前記重ね合わせ誤差の測定では、前記基板上からサンプリングされるn個(nは2以上の自然数)の露光フィールド中、m個(mは1≦m≦n−1を満たす自然数)についてはフィールド内多点測定を行い、残る(n−m)個についてはフィールド内1点測定を行うことを特徴とする重ね合わせ精度管理方法。 - 前記mを1とすることを特徴とする請求項5記載の重ね合わせ精度管理方法。
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