JP3720635B2 - アクリロニトリル系合成繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として衣料用途に好適なアクリロニトリル系合成繊維及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衣料用途に好適なアクリロニトリル系合成繊維には、繊維の強度、伸度及び染色性がバランスして具備されていることが必要になっている。
【0003】
アクリロニトリル系合成繊維を湿式紡糸によって製造するときに、凝固浴での「凝固糸の引き取り速度/ノズル孔からの紡糸原液の吐出線速度」の比を高くすると共に、その後に施す延伸倍率を高くすることによって、配向度の高い高強度の繊維を得ることができる。
【0004】
ところで、凝固浴での「凝固糸の引き取り速度/ノズル孔からの紡糸原液の吐出線速度」の比を高くする、つまり凝固糸の引き取り速度を大きくすることは、凝固浴中で紡糸原液の凝固時間が短くなることであり、凝固浴中で凝固と延伸とが同時に行われて凝固糸にスキン層が発達してしまうために、繊維内部の溶剤置換が不十分になる。
【0005】
従ってこの場合には、表層部がフィブリル化の発達した配向度の高い構造になるのに対して、繊維内部はフィブリル化の発達のない粗構造の繊維になるために、これを高延伸倍率で延伸すると伸度が低下した繊維になり、風合いの良好な繊維糸にすることができなく、又表層部と繊維内部とで配向が不均一な繊維は、原綿の弾力性が不十分であり、これを使用した布帛に十分な反発力が備わらなく、衣料用途に必要な風合いに欠けるものになる。
【0006】
更に、表層部の配向度が必要以上に高くなっている繊維は、染色工程での染料の拡散が高配向の表層部によって阻害されるために、染色性が悪化するという欠点も生じる。
【0007】
なお特公平5−65603号公報には、スキン層不能濃度範囲の高濃度の凝固浴を使用する紡糸方法が説明されているが、凝固浴として有機溶剤水溶液を使用する場合のスキン層不能濃度範囲は有機溶剤濃度の高い領域であり、凝固速度が遅くなることから凝固糸の引取速度を高くすることができなくなり、生産性が極めて低下するだけでなく、凝固斑や繊維同士の融着等も発生する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明が解決しようとする課題は、表層部と繊維内部との配向が均一であって、原綿の弾力性が十分であり、これを使用した布帛に十分な反発力が備わるようになり、しかも強度、伸度及び染色性に優れた性質を有するアクリロニトリル系合成繊維を提供することにある。
【0009】
又本発明が解決しようとするもう一つの課題は、凝固糸の段階でのスキン層の厚さを抑えることによって繊維内部まで均一に凝固した凝固糸にする、すなわち繊維内部の溶剤の拡散が不十分になるのを抑えることによって洗浄時に溶剤が急激に拡散するのを防止する手段を採ることにより、表層部と繊維内部との配向が均一であり、強度、伸度及び染色性において優れた性質を有するアクリロニトリル系合成繊維を、容易かつ的確に得られるアクリロニトリル系合成繊維の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下に記載する構成による本発明のアクリロニトリル系合成繊維及びその製造方法によって解決される。
すなわち本発明は、80重量%以上〜95重量%未満のアクリロニトリル単位を含有するアクリロニトリル系重合体からなる合成繊維であって、その単繊維強度が2.5〜4.0(cN/dtex)であり、単繊維伸度が35〜50%であり、しかも引っ張り試験装置を使用して、試長20mmの単繊維を23℃、50%RHの環境下で、変形速度100%/minで引っ張り破断させたとき、単繊維の引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部を生じることを特徴とするアクリロニトリル系合成繊維からなる。
【0011】
上記の構成を備えてなる本発明のアクリロニトリル系合成繊維においては、繊維断面が、長軸/短軸比1.0〜2.0の円形であることが好ましく、長軸/短軸比1.0〜1.2の円形であることが更に好ましい。
【0012】
又、本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法は、80重量%以上〜95重量%未満のアクリロニトリル単位を含有するアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、該アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.6倍の引き取り速度で引き取り、次いで該アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜2.0倍の延伸を施し、更に3倍以上の湿熱延伸を行なう工程からなる。さらに以下を特徴とする。
【0013】
すなわち、アクリロニトリル系重合体のジメチルアセトアミド溶液からなる紡糸原液と、ジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴と、該第1凝固浴と同じ温度及び組成成分のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴を使用する。
【0014】
更に、上記の構成を備えてなる本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法においては、凝固浴の温度(℃)をYとし、有機溶剤の濃度(重量%)をXとしたときに、第1凝固浴及び第2凝固浴の温度(℃)Yと有機溶剤の濃度(重量%)Xとが、X,Y座標に表記した下記の式(1)〜(3)によって囲繞される範囲内にあることが好ましい。
Y=−X+105 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
Y=−(1/2)X+77.5 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Y=−4X+315 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
なお、X,Y座標に上記の式(1)〜(3)を表記したものを[図1]として示す。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のアクリロニトリル系合成繊維は、主としてセーターなどの衣料素材やパイルなどの建寝装素材からなる衣料用途に供するのに好適な合成繊維であり、湿式紡糸による繊維化の段階での重合体の溶解性及び紡糸原液の安定性の点から、アクリロニトリル単位の量が比較的低い共重合体、つまりアクリロニトリル単位が95重量%未満のアクリロニトリル系重合体を繊維原料とする繊維からなる。
【0016】
なお、繊維原料として使用するアクリロニトリル系重合体のアクリロニトリル単位の量が80重量%未満になると、例えばセーターやパイル製品等の用途を目的とするアクリロニトリル系合成繊維に必要なウールライクな風合いが低下するので好ましくない。
【0017】
上記のアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルと共重合し得る単量体とアクリロニトリルとの共重合体であり、共重合成分として使用する単量体には特に制限が無く、又アクリロニトリル単位が80重量%以上〜95重量%未満のアクリロニトリル系重合体同士の混合物であってもよい。
【0018】
アクリロニトリルと共重合し得る単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の酸類およびそれらの塩類、マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、スチレンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、β−スチレンスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸ソーダ等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体、2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体等を挙げることができる。
【0019】
繊維原料として使用するアクリロニトリル系重合体は、例えば水溶液を使用するレドックス重合、不均一系にする懸濁重合、分散剤を使用する乳化重合等をはじめ、その他の重合方法によって容易に得られる。
【0020】
本発明のアクリロニトリル系合成繊維は、その単繊維強度が2.5〜4.0(cN/dtex)であり、単繊維伸度が35〜50%であり、しかも単繊維の引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部を生じるものである。
【0021】
アクリロニトリル系合成繊維の単繊維の強度が2.5(cN/dtex)より低くなったり、或いは伸度が50%を超えたりすると、紡績工程での単糸切れによる毛羽の発生が多くなって工程通過性が悪くなり、紡績性が著しく悪化する。
【0022】
又単繊維の強度が4.0(cN/dtex)より高くなったり、或いは伸度が35%未満になると、セーターなどの衣料素材やパイルなどの建寝装素材等の用途を目的とするアクリロニトリル系合成繊維に必要なウールライクの風合いが損なわれる。
【0023】
更に、単繊維の引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部を生じるという特性は、繊維の表面層だけでなく繊維内部まで均一に配向が掛かった構造になっているときの特性である。
【0024】
つまり、繊維内部まで均一に配向していて、繊維の表層部と繊維内部の配向とが均一になっているアクリロニトリル系合成繊維は、その引っ張り破断試験を行なったときに、引っ張り破断面において複数の点で裂けるようにして破断するが、表層部が配向していて繊維内部が粗構造になっている繊維は、その引っ張り破断試験を行なったときに、引っ張り破断面において破断点が1点の状態で破断するので、単繊維の引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる亀裂部を生ずることがない。
【0025】
なお、引っ張り破断試験を行なったときに、引っ張り破断面において複数の点で裂けるようにして破断したことにより、引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる亀裂部を生じている単繊維の亀裂部が、[図2]に示すように、該亀裂部の基部Bから亀裂部の先端部S迄の長さLが20μm以上になっているときには、繊維の表面層だけでなく繊維内部まで均一に配向した構造になっていることが確認できている。
【0026】
従って本発明のアクリロニトリル系合成繊維は、表層部と繊維内部とが略同様に均一に配向している繊維からなるものであり、これは単繊維の引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部を生じることによって特質付けられる。
【0027】
これに対して、表層部が配向していて繊維内部が粗構造になっている繊維は、その引っ張り破断試験を行なったときに引っ張り破断面において破断点が1点の状態で破断するので、単繊維の引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる或る程度の長さの亀裂部を生ずることがなく、[図3]に示すように、引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部を観察することができなく、原綿の弾力性が不十分であり、これを使用した布帛に十分な反発力が備わらず、セーターなどの衣料素材やパイルなどの建寝装素材からなる衣料用途の布帛に必要な風合いを満足し得ないものになる。
【0028】
なお、上記の単繊維の引っ張り破断試験の結果の引っ張り破断側面の状態は、テンシロンUTM−IIを使用して、23℃、50%RHの環境下で、試長20mm、変形速度100%/minで単繊維を破断させた試料を準備し、該試料の外側面をSEM用試料台に接着してAuを約10nmの厚さにスパッタリングした後、PHILIPS社製XL20走査型電子顕微鏡を使用して、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で観察した結果である。
【0029】
更に本発明のアクリロニトリル系合成繊維は、紡績性、光沢、発色性、ウールライクな弾力性等の点で、繊維断面が真円形又はそれに近いことが好ましく、繊維断面の長軸/短軸比が1.0〜2.0の円形であることが好ましく、繊維断面の長軸/短軸比が1.0〜1.2の円形であることがより好ましい。
【0030】
繊維断面の長軸/短軸比は、内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用のアクリロニトリル系合成繊維を通した後、これをナイフで輪切りにした試料を準備し、続いて該試料をアクリロニトリル系合成繊維の断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、更にAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、PHILIPS社製XL20走査型電子顕微鏡により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で測定したものである。
【0031】
本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法は、80重量%以上〜95重量%未満のアクリロニトリル単位を含有するアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、該アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.6倍の引き取り速度で引き取り、次いで該アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜2.0倍の延伸を施し、更に3倍以上の湿熱延伸を行なう工程からなる。
【0032】
上記の工程による本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法において、紡糸原液に使用するアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤としては、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられるが、特にジメチルアセトアミドによる紡糸原液は、溶剤の加水分解による性状の悪化が少なく、良好な紡糸性を有するものになる。
【0033】
本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法においては、得られるアクリロニトリル系合成繊維の配向を高めるために、紡糸原液を紡糸口金から第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にするときの第1凝固浴として、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液を使用し、しかも該第1凝固浴から引き取った凝固糸を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜2.0倍の延伸に付すことが必要である。
【0034】
ここで、第1凝固浴と第2凝固浴の有機溶剤の濃度を同じにする、第1凝固浴と第2凝固浴の温度を同じにする、更には紡糸原液の有機溶剤と第1凝固浴に用いる有機溶剤と第2凝固浴に用いる有機溶剤とを同じものにする等の手段を採ることにより、第1凝固浴と第2凝固浴の調整が容易であり、しかも溶剤回収上でのメリットのあるものすることができる。
【0035】
アクリロニトリル系重合体のジメチルアセトアミド溶液からなる紡糸原液と、ジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴と、該第1凝固浴と同じ温度及び組成成分のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴とを使用すると、断面が真円形又はそれに近い長軸/短軸比1.0〜1.2の円形断面の合成繊維の製造を容易に行なうために必要である。
【0036】
更に、凝固浴の温度(℃)をYとし、有機溶剤の濃度(重量%)をXとしたときに、第1凝固浴及び第2凝固浴の温度(℃)Yと有機溶剤の濃度(重量%)Xとを、X,Y座標に表記した下記の式(1)〜(3)によって囲繞される範囲内にあるものにすると、上記の真円形又はそれに近い円形断面の合成繊維をより一層的確に製造し得るようになる。
Y=−X+105 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
Y=−(1/2)X+77.5 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Y=−4X+315 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
【0037】
上記の本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法にあっては、第1凝固浴から引き上げた凝固糸は、該凝固糸が含有する液体中の有機溶剤の濃度が、該第1凝固浴における有機溶剤の濃度を越えているので、凝固糸の表面だけが凝固した半凝固状態にある凝固糸になり、次工程の第2凝固浴中での延伸性が良好な凝固糸になる。
【0038】
又、第1凝固浴中から凝固糸を引き取るときの凝固糸の引き取り速度を、紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.6倍にしたことにより、凝固糸のスキン層の厚さを0.05〜0.15μmにすることが可能になる。
【0039】
第1凝固浴中から引き出す凝固糸のスキン層が0.05μmよりも薄くなっているときには、凝固浴中での繊維同士の密着又は凝固斑が生じ易くなっており、綿質の低い繊維になる。又、該スキン層が0.15μmよりも厚くなっているときには、スキン層によって凝固糸の凝固が阻害されたものになっており、繊維内部が粗構造であって、表層部が配向度の高い構造の繊維になる。
【0040】
なお、凝固糸のスキン層は以下の方法によって測定する。
先ず、第1凝固浴中から引き出した凝固糸を、該第1凝固浴と同じ組成の有機溶剤水溶液に浸漬した後、室温にて、前記有機溶剤水溶液/エタノールの比を徐々に変化させた有機溶剤水溶液/エタノールの混合液、及びエタノールに順次浸漬してエタノールに置換する。
続いて、エタノール/Spurr Resin(電子顕微鏡試料包埋用エポキシ樹脂)比を徐々に変化させた混合液、及びSpurr Resinに順次浸漬して、Spurr Resinに置換し、更に一晩放置して重合包埋することにより試料を作成し、この試料をミクロトームを用いて薄切りした後、透過型電子顕微鏡で加速電圧40kVにて観察し、凝固糸のスキン層の厚さを測定する。
【0041】
上記の工程によるアクリロニトリル系合成繊維の製造方法において、第1凝固浴から引き出した凝固液を含んだままの膨潤状態にある凝固糸は、空気中で延伸することも可能であるが、この凝固糸を上記の本発明方法のように第2凝固浴中で延伸する手段を採ることにより、凝固糸の凝固を促進させることができ、又延伸工程での温度制御も容易になる。
【0042】
又、第2凝固浴中での延伸倍率を1.1倍よりも低くすると、均一に配向した繊維が得られなくなり、又2.0倍よりも高くすると、単繊維切れが発生し易くなり、紡糸安定性が低下し、しかもその後の湿熱延伸工程での延伸性が悪化する。
【0043】
更に、第2凝固浴中での延伸工程後の湿熱延伸は、繊維の配向を更に高めるためのものであり、第2凝固浴中での延伸を終えた膨潤状態にある繊維を水洗に付しながらの延伸や、或いは熱水中での延伸によって行ない得るが、高生産性の観点から熱水中での延伸を行なうのが好ましい。なお、この湿熱延伸工程での延伸倍率を3倍よりも低くすると、繊維の配向の向上が十分でなくなる。
【0044】
第2凝固浴中での延伸工程を終えた繊維は、これを乾燥した後に延伸することも可能であるが、乾燥後に延伸する工程を採ると、静電気が発生しやすく集束性が著しく低下する。これに対して、第2凝固浴中での延伸工程の後の延伸を湿熱延伸によって行なう工程を採る本発明方法によれば、延伸工程に伴なう集束性の著しい低下を避けることができる。
【0045】
更に又、本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法においては、湿熱延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維の膨潤度が70重量%以下であるようにすることが好ましい。
【0046】
つまり、湿熱延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維の膨潤度が70重量%以下にある繊維は、表層部と繊維内部とが均一に配向していることを意味するものであり、第1凝固浴中での凝固糸の製造の際の「凝固糸の引き取り速度/ノズルからの紡糸原液の吐出線速度」を下げることによって、第1凝固浴中での凝固糸の凝固を均一なものにした後、これを第2凝固浴中にて延伸することにより、内部まで均一に配向した繊維にし、これによって湿熱延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維の膨潤度が70重量%以下であるようにすることができる。
【0047】
すなわち、第1凝固浴中での凝固糸の製造の際の「凝固糸の引き取り速度/ノズルからの紡糸原液の吐出線速度」を高くすると、該第1凝固浴中での凝固糸の凝固と延伸とが同時に起こるために第1凝固浴中での凝固糸の凝固が不均一になる。従って、これを第2凝固浴中で延伸する工程を採っても、湿熱延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維は膨潤度の高いものになってしまい、繊維内部まで均一に配向した繊維にはならない。
【0048】
乾燥前の膨潤状態にある繊維の膨潤度は、膨潤状態にある繊維の付着液を遠心分離機(3000rpm、15分)によって除去した後の重量wと、これを110℃×2時間の熱風乾燥機で乾燥した後の重量w0 とにより、膨潤度(%)=(w−w0 )×100/w0 によって求めた数値である。
【0049】
更に本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法にあっては、第2凝固浴中での延伸とそれに続く湿熱延伸とを行なった後の繊維を、公知の方法によって乾燥し、目的とするアクリロニトリル系合成繊維を得るものである。
【0050】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明のアクリロニトリル系合成繊維及びその製造方法の具体的な構成を説明する。
【0051】
実施例1
アクリロニトリル92重量%、酢酸ビニル8重量%からなる単量体組成物を過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素ナトリウムによる水系懸濁重合にて重合し、平均分子量130,000のアクリロニトリル系重合体を得た後、この重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、濃度24重量%の紡糸原液を調製した。
【0052】
次いで、この紡糸原液を孔数40,000、孔径60μmの紡糸口金を通して温度40℃、濃度50重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.4倍の引き取り速度で引き取った後、温度40℃、濃度50重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて1.5倍の延伸を施し、更に水洗と同時に2.7倍、熱水中で1.9倍の延伸を行ない、続いてオイリングし、温度150℃の熱ロールで乾燥を行ない、ケン縮、熱処理、切断して単繊維太さ3.3dtexの原綿を得た。
【0053】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.1μmであった。又、得られた単繊維の強度は3.2cN/dtexであり、伸度は45%であり、原綿の光沢や風合も良好であった。
【0054】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.8の楕円形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ25μm,20μm,20μm,18μmの4本の亀裂部の発生が確認された。
【0055】
実施例2
第1凝固浴及び第2凝固浴の温度を46℃、有機溶剤の濃度を60重量%にする以外は、実施例1と同様にして、単繊維太さ3.3dtexの原綿を得た。
【0056】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.08μmであった。又、得られた単繊維の強度は3.5cN/dtexであり、伸度は37%であり、原綿の光沢や風合も良好であった。
【0057】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.1の略真円形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ25μm,24μm,20μm,18μm,15μmの5本の亀裂部の発生が確認された。
【0058】
実施例3
実施例1で使用した紡糸原液と同じ紡糸原液を孔数40,000、孔径60μmの紡糸口金を通して、温度40℃、濃度67重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.3倍の引き取り速度で引き取った後、温度40℃、濃度67重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて1.5倍の延伸を施し、更に水洗と同時に2.7倍、熱水中で1.9倍の延伸を行ない、続いてオイリングし、温度150℃の熱ロールで乾燥を行ない、ケン縮、熱処理、切断して単繊維太さ2.2dtexの原綿を得た。
【0059】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.07μmであった。又、得られた単繊維の強度は3.4cN/dtexであり、伸度は40%であり、原綿の光沢や風合も良好であった。
【0060】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.05の略真円形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ30μm、26μm、22μm、21μm、18μm、15μmの6本の亀裂部の発生が確認された。
【0061】
実施例4
第1凝固浴及び第2凝固浴の温度を46℃、有機溶剤の濃度を60重量%にする以外は、実施例3と同様にして、単繊維太さ2.2dtexの原綿を得た。
【0062】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.09μmであった。又、得られた単繊維の強度は2.9cN/dtexであり、伸度は37%であり、原綿の光沢や風合も良好であった。
【0063】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.1の略真円形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ26μm、24μm、21μmの3本の亀裂部の発生が確認された。
【0064】
実施例5
第1凝固浴及び第2凝固浴の温度を45℃、有機溶剤の濃度を58重量%にする以外は、実施例3と同様にして、単繊維太さ2.2dtexの原綿を得た。
【0065】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.1μmであった。又、得られた単繊維の強度は2.8cN/dtexであり、伸度は37%であり、原綿の光沢や風合も良好であった。
【0066】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.2の略真円形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ25μm、20μmの2本の亀裂部の発生が確認された。
【0067】
実施例6
第1凝固浴及び第2凝固浴の温度を38℃、有機溶剤の濃度を65重量%にする以外は、実施例3と同様にして、単繊維太さ2.2dtexの原綿を得た。
【0068】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.06μmであった。又、得られた単繊維の強度は3.3cN/dtexであり、伸度は39%であり、原綿の光沢や風合も良好であった。
【0069】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.15の略真円形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ31μm、27μm、23μm、20μm、18μmの5本の亀裂部の発生が確認された。
【0070】
比較例1
実施例1で使用した紡糸原液と同じ紡糸原液を孔数40,000、孔径60μmの紡糸口金を通して、温度40℃、濃度50重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の1.0倍の引き取り速度で引き取った後、水洗と同時に2.7倍、続いて熱水中で1.9倍の延伸を行ない、更にオイリングし、温度150℃の熱ロールで乾燥を行ない、ケン縮、熱処理、切断して単繊維太さ3.3dtexの原綿を得た。
【0071】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.4μmであった。又、得られた単繊維の強度は2.4cN/dtexであり、伸度は45%であり、原綿の光沢や風合も良好であった。
【0072】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.8の略楕円形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部は観察することができなかった。
【0073】
比較例2
熱水延伸に続いて、更に1.2倍の乾熱延伸を行なう工程を付加する以外は比較例1と同様の手順によって、太さ3.3dtexの原綿を得た。
【0074】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.4μmであった。又、得られた単繊維の強度は3.2cN/dtexであり、伸度は30%であった。
【0075】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.8の空豆形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部は観察することができなかった。
【0076】
比較例3
実施例3の方法と同様の方法によって凝固糸を得る際に、第1凝固浴中からの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の1.2倍の引き取り速度で引き取る以外は実施例3と同様にして原綿を得たが、第1凝固液中での糸切れの発生が多く、安定した紡糸ができなかった。
【0077】
比較例4
実施例1で使用した紡糸原液と同じ紡糸原液を孔数40,000、孔径60μmの紡糸口金を通して、温度40℃、濃度67重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍の引き取り速度で引き取った後、空気中での乾熱延伸を行なったところ、糸切れの発生が多く、安定した延伸を行なうことができなかった。
【0078】
比較例5
実施例1で使用した紡糸原液と同じ紡糸原液を孔数40,000、孔径60μmの紡糸口金を通して、温度40℃、濃度50重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を紡糸原液の吐出線速度の0.9倍の引き取り速度で引き取った後、温度40℃、濃度50重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて1.05倍の延伸を施し、更に水洗と同時に2.7倍、熱水中で1.9倍の延伸を行ない、続いてオイリングし、温度150℃の熱ロールで乾燥を行ない、ケン縮、熱処理、切断して単繊維太さ3.3dtexの原綿を得た。
【0079】
上記の工程中、第1凝固浴中から引き出した凝固糸の単繊維断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、スキン層の厚さは0.3μmであった。又、得られた単繊維の強度は2.5cN/dtexであり、伸度は45%であった。
【0080】
更に、走査型電子顕微鏡による単繊維の断面、及び単繊維の引っ張り破断側面を観察したところ、繊維断面は長軸/短軸比が1.8の空豆形をなしており、引っ張り破断側面には繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部は観察することができなかった。
【0081】
なお、上記の原綿はその弾力性が不十分であり、これを使用した布帛には反発力が不足しており、セーターなどの衣料素材やパイルなどの建寝装素材にするのに必要な風合いが備わっていなかった。
【0082】
【発明の効果】
本発明のアクリロニトリル系合成繊維は、表層部と繊維内部との配向が均一であって、強度、伸度及び染色性において優れた性質を具備しており、ウールライクな風合いを有するものであるので、例えばセーターなどの衣料素材やパイルなどの建寝装素材等の用途を目的とする合成繊維として極めて好適である。
【0083】
又本発明のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法は、凝固糸の段階でのスキン層の厚さを抑えることによって繊維内部まで均一に凝固した凝固糸にする、つまり繊維内部の溶剤の拡散が不十分になるのを抑えることによって洗浄時に溶剤が急激に拡散するのを防止することにより、表層部と繊維内部との配向を均一にするものであり、強度、伸度及び染色性において優れた性質を具備するアクリロニトリル系合成繊維を容易、かつ的確に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】下記の式(1)〜(3)による関係式を有する凝固浴の温度(℃)Yと有機溶剤の濃度(重量%)Xとを、X,Y座標に表わしたグラフである。
Y=−X+105 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
Y=−(1/2)X+77.5 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Y=−4X+315 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
【図2】走査型電子顕微鏡によって観察される単繊維の引っ張り破断側面に発生した亀裂部の状態を示す模型図である。
【図3】走査型電子顕微鏡によって観察される単繊維の引っ張り破断側面に亀裂部の発生の無い状態を示す模型図である。
【符号の説明】
B・・・・亀裂部の基部
S・・・・亀裂部の先端部
L・・・・亀裂部の基部Bから亀裂部の先端部S迄の長さ
Claims (5)
- 80重量%以上〜95重量%未満のアクリロニトリル単位を含有するアクリロニトリル系重合体からなる合成繊維であって、その単繊維強度が2.5〜4.0(cN/dtex)であり、単繊維伸度が35〜50%であり、しかも引っ張り試験装置を使用して、試長20mmの単繊維を23℃、50%RHの環境下で、変形速度100%/minで引っ張り破断させたとき、単繊維の引っ張り破断側面に繊維軸方向に伸びる長さ20μm以上の亀裂部を生じることを特徴とするアクリロニトリル系合成繊維。
- 繊維断面が、長軸/短軸比1.0〜2.0の円形であることを特徴とする請求項1に記載のアクリロニトリル系合成繊維。
- 繊維断面が、長軸/短軸比1.0〜1.2の円形であることを特徴とする請求項1に記載のアクリロニトリル系合成繊維。
- 80重量%以上〜95重量%未満のアクリロニトリル単位を含有するアクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、該アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.3〜0.6倍の引き取り速度で引き取り、次いで該アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度40〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜2.0倍の延伸を施し、更に3倍以上の湿熱延伸を行なうことを特徴とするアクリロニトリル系合成繊維の製造方法において、紡糸原液がアクリロニトリル系重合体のジメチルアセトアミド溶液であり、第1凝固浴がジメチルアセトアミド水溶液であり、第2凝固浴が第1凝固浴と同じ温度及び組成成分のジメチルアセトアミド水溶液であることを特徴とするアクリロニトリル系合成繊維の製造方法。
- 凝固浴の温度(℃)をYとし、有機溶剤の濃度(重量%)をXとしたときに、第1凝固浴及び第2凝固浴の温度(℃)Yと有機溶剤の濃度(重量%)Xとが、X,Y座標に表記した下記の式(1)〜(3)によって囲繞される範囲内にあることを特徴とする請求項4に記載のアクリロニトリル系合成繊維の製造方法。
Y=−X+105 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
Y=−(1/2)X+77.5 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Y=−4X+315 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
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