JP3719990B2

JP3719990B2 - 圧縮機

Info

Publication number: JP3719990B2
Application number: JP2002038055A
Authority: JP
Inventors: 裕一神谷; 茂神谷; 雅文井上; 孝井上
Original assignee: Denso Corp; Nippon Soken Inc
Current assignee: Denso Corp; Soken Inc
Priority date: 2002-02-15
Filing date: 2002-02-15
Publication date: 2005-11-24
Anticipated expiration: 2022-02-15
Also published as: US6957950B2; US20030156951A1; DE10306031A1; JP2003239864A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調装置用の冷媒圧縮機のような、流体を圧縮するための圧縮機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の圧縮機の一例が特開２００１−２７１７７号公報に記載されている。その構造を図８に示す。この圧縮機はピストン式可変容量圧縮機に属するものであって、そのハウジングは、フロントハウジング１と、シリンダブロック２と、リアハウジング３からなっている。シリンダブロック２に形成された複数個のシリンダボア２１にはピストン７が挿入されていて、共通の斜板５によって往復運動を強制される。斜板５は駆動軸４によって回転駆動され、その傾斜角度を無段階に変更することができるので、吐出容量が連続的に変化する。また、この圧縮機を対象機器へ取り付けるための取り付け足２８がフロントハウジング１とシリンダブロック２にそれぞれ一体的に形成されている。
【０００３】
この圧縮機においては、フロントハウジング１とシリンダブロック２及びリアハウジング３を一体的に締結するために、従来のこの種の圧縮機においてよく行なわれているように通しボルト４０を複数個使用している。圧縮機によっては、複数個の通しボルト４０を、ハウジングの外部に露出するように設けているものもある。しかしながら、このような通しボルト４０を複数個設けることによって圧縮機の胴径が少なくとも通しボルト４０の分だけ大きくなるので、圧縮機全体が大型化するという問題がある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の圧縮機においてハウジングを一体化するために用いられる通しボルトが大型化の原因となっていることに着目し、それによる大型化の問題を解消して、可及的に小型の圧縮機を提供することを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として特許請求の範囲の請求項１に記載された圧縮機を提供する。
【０００６】
この圧縮機においては、ハウジングを構成している複数個の部分のうちの１つの部分における端部と、それに接続する他の部分の端部とが、それらの間のインロー部に形成された螺子結合部によって一体化されているので、螺子結合部を設けることによって通しボルトを廃止することができる。インロー部による螺子結合部はハウジングの胴径を殆ど増加させないで形成することができるので、胴径が小さくなることから圧縮機全体を小型化することができる
【０００７】
本発明の圧縮機においては、ハウジングを対象機器に取り付けるための取り付け手段に、ハウジングに対して位置の調整が可能な取り付け足を設けることができる。この取り付け足は、ハウジングに対して少なくとも回転方向に摺動調整可能とすることができる。従って、インロー部に形成された螺子結合部を使用することによって吸入ポートや吐出ポートの位置及び複数個の取り付け足の相対角度が対象機器の対応する位置から外れる場合でも、ハウジングに対する取り付け足の位置或いは角度を調整することにより、圧縮機と対象機器との位置関係を容易に調整することができる。
【０００８】
本発明はピストン式可変容量圧縮機に好適に適用して、その体格を小型化することができる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図１から図４に本発明の圧縮機の第１実施例を示す。第１実施例の圧縮機はピストン式可変容量圧縮機に属するもので、駆動軸と共に回転するドライブプレート（斜板）によってピストンが往復運動をして作動室内の流体を圧縮するようになっており、ドライブプレートの傾斜角度を変化させることによってピストンのストローク及び圧縮機の吐出容量を無段階に変更することができる。最大の吐出容量をもたらす運転状態における圧縮機全体の縦断面構造を示す図１において、１は圧縮機の外殻の一部である有底円筒形のフロントハウジング、２は外形が円柱形のシリンダブロックであって、フロントハウジング１の内部へ嵌合するように挿入されて、後述のようにして固定される。シリンダブロック２の内部には図１において横方向（軸方向）に複数個（例えば６個）のシリンダボア２１が、中心軸線の周りに概ね均等に形成されている。
【００１０】
本発明の１つの特徴に対応して、円筒形であるフロントハウジング１の後端部の内周面には雌螺子が形成されていると共に、その部分に結合されるリアハウジング３は外形が扁平な概ね円柱形であって、その外周面には雄螺子が形成されており、これらの雌螺子と雄螺子が螺合することによって螺子結合部２４が形成され、リアハウジング３がフロントハウジング１の後端部を閉じて密封するように固定される。一般的に言うと、フロントハウジング１やリアハウジング３のような複数個のハウジング構成部品が相互に接続する端部に、それらの一方と他方が内外の位置関係において重なるインロー部を形成すると共に、該インロー部の内外接触面に螺子を形成して両者を直接に螺合させることにより螺子結合部２４を構成する。
【００１１】
それによって、第１実施例の場合は、前述のシリンダブロック２がフロントハウジング１の内部の段部１ｂに向かって押し付けられて固定されると共に、シリンダブロック２とリアハウジング３の間にバルブポートプレート１０や薄い鋼板からなる吐出バルブ１１及び吸入バルブ１３が挟圧されて固定される。なお、フロントハウジング１とリアハウジング３との間の密封性を高めるためにゴム製のシールリング（Ｏリング）２５が使用される。
【００１２】
本発明の第２の特徴に対応して、フロントハウジング１の前端に近い部分及び後端に近い部分の外周面に、この圧縮機を例えば空調装置のような何らかの対象機器に取り付けるための取り付け手段２６が１個以上装着される。第１実施例における１個の取り付け手段２６の形状や構造が図２に例示されている。即ち、この例における取り付け手段２６は、フロントハウジング１の外周面に巻き付く鋼板のような弾性のある金属等からなる円環状のバンド２７と、バンド２７の適所に一体化された金属或いは合成樹脂等からなるブロック状の取り付け足２８と、バンド２７の継ぎ目においてバンド２７の両端部を相互に連結する結合部２９等からなっている。
【００１３】
この場合の結合部２９は継ぎ目におけるバンド２７の両端部に形成されたＬ形の部分と、それらのＬ形の部分を締結する図示しないボルト等を含んでいる。なお、それぞれの取り付け足２８には、図示しない取り付け用のボルトを挿入するための穴３０が形成されている。このような形状、構造を有する第１実施例の取り付け手段２６はフロントハウジング１の前後に１個づつ設けられ、それぞれが対称的な位置に２個の取り付け足２８を備えているが、言うまでもなく本発明はそのような構造に限られる訳ではない。
【００１４】
次に、第１実施例のピストン式可変容量圧縮機の内部構造について説明する。まず、リアハウジング３の内部の外周部分には吸入室３１が形成されていると共に、中心部分には吐出室３２が形成されている。そして、吸入室３１には外部から圧縮すべき流体を導入するための吸入ポート２２が取り付けられ、吐出室３２には圧縮された流体を外部へ導出するための吐出ポート２３が取り付けられる。
【００１５】
４は外部の動力源から回転動力を受け入れるための駆動軸であって、それと直交するように円板部４１が一体的に形成されている。円板部４１の外周の一部から１枚の半径方向のアーム４２が概ね軸方向に突出するように設けられている。アーム４２にはカムとしての２つの案内溝、即ち、上部案内溝４３と下部案内溝４４が上下の所定の位置に所定の形状で形成されている。
【００１６】
駆動軸４はラジアルベアリング４０２及び４０４を介してフロントハウジング１によって軸承されていると共に、円板部４１の背面を支持するスラストベアリング４０３を介して軸方向にもフロントハウジング１によって軸承されている。従って、駆動軸４はフロントハウジング１のみによって軸支され、シリンダブロック２によって軸支されていない。なお、これらの軸承部分には軸封装置４０１が設けられて、駆動軸４の周りから流体が外部へ漏洩するのを防止している。
【００１７】
５は概ね円板形のドライブプレート（斜板）であって、その前面から円板部４１に向かって突出する２枚の半径方向のアーム５１を備えており、それらの間に２本のピン５２及び５３を支持している。これらのピン５２及び５３は、前述の駆動軸４側のアーム４２に形成された上部案内溝４３及び下部案内溝４４に挿入されて摺動可能に係合している。それによってドライブプレート５は駆動軸４と共に回転することができると共に、駆動軸４に対して傾斜することができる。
【００１８】
ドライブプレート５の後面の軸部分５ｂには、中心に開口を有するシュー押さえ板（リテーナ）６が嵌め込まれ、ドライブスラストベアリング５００と、押さえ板スラストベアリング６０１及びロックナット９によってドライブプレート５に対して回転自在に結合されている。シュー押さえ板６は、後述のシュー８及び前述のドライブスラストベアリング５００を、ドライブプレート５との間で挟持すると共に、シュー８の半径方向の移動を案内するために用いられる。なお、ドライブプレート５の軸部分５ｂにはロックナット９を螺着するための雄螺子部が設けられている。
【００１９】
図示実施例におけるシュー押さえ板６の具体的な形状は、図１に加えて図３をも参照すれば明らかである。シュー押さえ板６は中央に円形の窪み６ａを備えていて、窪み６ａの中に押さえ板スラストベアリング６０１を収容することができる。窪み６ａの中心部には、前述のように、ドライブプレート５の軸部分５ｂに嵌合する中心開口６ｂが形成されている。シュー押さえ板６の周辺部には放射状にＵ字形の切り欠きとしてシュー案内溝６ｃがピストン７の数（例えば、６個）だけ形成されている。
【００２０】
シュー案内溝６ｃには、図４に詳細に例示したような形状の耐摩耗性のあるシュー８の、有底円筒形に近いシュー本体８ａが摺動可能に係合する。シュー押さえ板６はドライブプレート５に対して相対的に回転自在に結合されているが、シュー押さえ板６のＵ字形のシュー案内溝６ｃには、ピストン７の球形端部７ａに嵌合するシュー本体８ａが係合しているため、シュー押さえ板６の回転は阻止されて、ドライブプレート５の傾斜回転運動に伴って揺動運動だけを行なう。
【００２１】
図１及び図４に示すように、シュー８にはそれぞれ球形の窪み８ｂが形成されていて、それに対してピストン７の一端に形成された球形端部７ａが嵌入し、回転摺動自由に係合している。また、それぞれのシュー８にはシュー本体８ａから側方へ張り出すようにシュー鍔部８ｃが形成されていて、それぞれのシュー鍔部８ｃが、シュー押さえ板６に形成されたシュー案内溝６ｃの両側の部分によって押えられるようになっている。このようにしてシュー８が取り付けられたピストン７は、前述のシリンダボア２１にそれぞれ摺動可能に挿入されている。
【００２２】
ドライブプレート５の軸部分５ｂに形成された雄螺子に螺着されるロックナット９は、押さえ板スラストベアリング６０１を介して、シュー押さえ板６をドライブスラストベアリング５００及びドライブプレート５に向かって押圧する。それによって、シュー押さえ板６が複数個のシュー８を同時にドライブスラストベアリング５００の上へ押圧する。このようにして、ドライブプレート５の上に、スラストベアリング５００、複数個のシュー８、シュー押さえ板６、及び押さえ板スラストベアリング６０１の各部分が組み付けられる。なお、図１に示す５０１は、ドライブスラストベアリング５００の一部を構成するリング状のプレート（レース）である。
【００２３】
１０は厚板からなるバルブポートプレートであって、各シリンダボア２１に対応する位置においてそれを貫通するように少なくとも１個ずつの吸入口１０ａと吐出口１０ｂが開口している。バルブポートプレート１０の各吸入口１０ａは、１枚の薄いばね鋼板からなる吸入バルブ１３の一部によって、リアハウジング３内の吸入室３１に対してシリンダボア２１の側から閉塞されている。各吐出口１０ｂは、やはり１枚の薄いばね鋼板からなる吐出バルブ１１の一部によって、リアハウジング３内の吐出室３２の側から閉塞されている。吐出バルブ１１は、それを保護する弁押さえ１２がボルト１４によってバルブポートプレート１０に螺着されるときに同時に固定される。また、バルブポートプレート１０と吸入バルブ１３は、フロントハウジング１及びシリンダブロック２とリアハウジング３が締結されて全体が一体化されるときに、それらの間に挟み込まれて固定される。
【００２４】
第１実施例の圧縮機においては、フロントハウジング１とリアハウジング３が前述のように螺子結合部２４によって着脱可能に一体化されるので、フロントハウジング１の外部或いは内部に複数本の通しボルトを設けている従来の圧縮機に比べて、少なくとも複数本の通しボルトの分だけハウジングの胴径を小さくすることができる。従って、圧縮機が小型化する利点がある。
【００２５】
しかしながら、その半面において、仮にフロントハウジング１の外周面に直接に、空調装置のような対象機器へこの圧縮機を取り付けるための取り付け足２８を設けるとすれば、フロントハウジング１と対象機器との相対的な位置関係は一定のものとして決まるけれども、フロントハウジング１に対してリアハウジング３を螺子結合部２４によって取り付けた時に、両者の回転方向における位置関係が一定のものとはならないために、吸入ポート２２及び吐出ポート２３の位置が対象機器における対応部分の位置と必ずしも一致しないという問題を生じる。
【００２６】
第１実施例の圧縮機においては、この問題を解決するために、フロントハウジング１と取り付け手段２６との間の回転方向及び軸方向における相対的な位置関係を調整可能としている。即ち、取り付け手段２６の取り付け足２８を対象機器の対応部分に取り付けた後に結合部２９のボルト等を緩めて、バンド２７に対してフロントハウジング１を回転方向に或いは軸方向に摺動させることにより、吸入ポート２２と吐出ポート２３を対象機器における対応部分に合致させると共にそれらを結合する。そして、その状態で結合部２９を緊締して取り付け手段２６とフロントハウジング１との位置関係を固定する。
【００２７】
次に、第１実施例のピストン式可変容量圧縮機の圧縮機としての作動について説明する。
駆動軸４が車両に搭載された内燃機関やモータのような外部の動力源によって回転駆動されると、駆動軸４の円板部４１に対してアーム４２、上下の案内溝４３及び４４、２本のピン５２及び５３、２枚のアーム５１を介して連結されているドライブプレート５が駆動軸４と一体的に回転する。しかし、シュー押さえ板６は、ドライブプレート５に対して押さえ板スラストベアリング６０１を介して支持されていると共に、シュー案内溝６ｃに係合している複数個のシュー８がそれぞれピストン７の球形端部７ａに係合しているので回転することはない。従って、ドライブプレート５が駆動軸４に対して直交している仮想の平面に対して傾斜しているときだけ、シュー押さえ板６は、ドライブプレート５との間にドライブスラストベアリング５００と複数個のシュー８を挟持しながら、その傾斜角度に応じた大きさの揺動運動をする。それによって、シュー押さえ板６とドライブプレート５との間にドライブスラストベアリング５００を介して挟持されている複数個のシュー８と、それらに連結されている複数個のピストン７が、それぞれのシリンダボア２１内で往復運動をする。
【００２８】
第１実施例の場合、ドライブプレート５とシュー押さえ板６は、２本のピン５２及び５３が駆動軸４側の上部案内溝４３及び下部案内溝４４の中で摺動しながら移動するときに、駆動軸４に対して垂直な仮想の平面に対する傾斜角度が変化するので、全てのピストン７のストロークが同時に同じ量だけ変化する。それによって圧縮機の吐出容量が無段階に変化することになる。
【００２９】
複数個のピストン７の中でも吸入行程にあるものの頂面に形成される作動室Ｃは拡大して低圧となるので、その中へ吸入室３１内にある圧縮すべき流体、例えば空調装置の冷媒が、バルブポートプレート１０の吸入口１０ａに設けられた吸入バルブ１３を押し開いて流入する。これと反対に、圧送行程にあるピストン７の頂面に形成される作動室Ｃは縮小するため、その内部にある流体は圧縮されて高圧となり、バルブポートプレート１０の吐出口１０ｂに設けられた吐出バルブ１１を押し開いて吐出室３２へ吐出される。その場合の吐出容量は、ドライブプレート５及びシュー押さえ板６の傾斜角度によって決まるピストン７のストロークの長さに概ね比例している。
【００３０】
このように、ドライブプレート５及びシュー押さえ板６の傾斜角度を変化させると圧縮機の吐出容量が変化するので、吐出容量を制御するために、第１実施例の圧縮機においては、全てのピストン７の背圧となるフロントハウジング室１ａ内の圧力を、図示しない圧力制御弁等を使用して変化させる。通常、フロントハウジング室１ａ内には吐出室３２内の高圧と、吸入室３１内の低圧との中間の圧力が圧力制御弁から導入される。
【００３１】
フロントハウジング室１ａ内の圧力、即ち、全てのピストン７の背圧を高めると、各ピストン７の頂面に形成される作動室Ｃ内の圧力との釣り合い状態が崩れるので、新たな釣り合い状態が得られるところまで、各ピストン７の往復動における平均的な位置がバルブポートプレート１０に近い位置に向かって移動する。それによって全てのピストン７のストロークが一斉に小さくなるので、圧縮機の吐出容量が無段階に減少する。
【００３２】
これと反対に、図示しない圧力制御弁を作動させてフロントハウジング室１ａ内の圧力を低下させると、ピストン７に作用する背圧が小さくなるために、全てのピストン７のストロークが一斉に大きくなって、圧縮機の吐出容量が無段階に大きくなる。図１は、フロントハウジング室１ａ内の圧力が最小となってドライブプレート５とシュー押さえ板６の傾斜角度が最大限度まで大きくなり、ピストン７のストローク及び圧縮機の吐出容量が最大となった状態を示している。
【００３３】
次に、図５及び図６に示す本発明の圧縮機の第２実施例について説明する。第２実施例における圧縮機の本体部分は、第１実施例のそれと同様なピストン式可変容量圧縮機であるから、圧縮機としての基本的な構成及び作用は第１実施例の場合と同じである。後述の第３実施例の圧縮機も同様であるから、圧縮機の本体部分を含めて、第２実施例以下の実施例において第１実施例と実質的に同様な構成部分については、同じ参照符号を付すことによって重複する詳細な説明を省略する。
【００３４】
第２実施例の圧縮機が第１実施例と異なる点は対象機器に対する取り付け手段２６にある。第２実施例の取り付け手段２６においてはフロントハウジング１の前端部に設けられたものと後端部に設けられたものとが異なっている。前端部に設けられた取り付け手段２６は、圧縮機のフロントハウジング１の前端面を蔽うように取り付けられる薄肉で深皿状のカバー３３と、カバー３３の適所に一体化された１個以上の取り付け足２８と、カバー３３をフロントハウジング１の前端面に固定する複数個のボルト３４からなっている。ボルト３４を挿通させるためにカバー３３の前面には円弧状の長穴３５が形成されていると共に、フロントハウジング１の前端面には、長穴３５に挿通されたボルト３４が螺合する雌螺子穴３６が形成されている。取り付け足２８は第１実施例におけるそれと同様なものであって、穴３０も設けられている。
【００３５】
第２実施例においては、円筒形のフロントハウジング１の後端部における外周面と、リアハウジング３から前方に向かって突出するように一体的に形成された短い円筒部３７の内周面との間のインロー部に螺子結合部２４を形成して、それによってフロントハウジング１とリアハウジング３を一体化している。従って、インロー部における内外関係は第１実施例の場合とは逆になっている。しかしながら、この場合も螺子結合部２４を使用したことによって、従来の通しボルトを使用している圧縮機に比べて胴径が小さくなるので、圧縮機全体を小型化することができる。
【００３６】
対象機器に対する圧縮機の取り付け手段２６のうちでフロントハウジング１の後端部に設けられるものはリアハウジング３を利用して形成されている。即ち、第２実施例においては、吸入ポート２２及び吐出ポート２３を有するリアハウジング３の外周面の少なくとも１箇所以上に取り付け足２８が一体的に形成されているので、リアハウジング３に設けられた取り付け手段２６については、特に圧縮機と対象機器との間の位置関係を調整する必要はない。
【００３７】
位置関係の調整はフロントハウジング１の前端部に設けられた取り付け手段２６についてのみ必要となる。即ち、インロー部に形成された螺子結合部２４によってフロントハウジング１とリアハウジング３が一体化された状態においては、リアハウジング３に対してフロントハウジング１側の部分は、回転方向における位置関係が一定のものとして定まらないからである。もし、フロントハウジング１に固定的に取り付け足２８を設けると、リアハウジング３の取り付け足２８と整合しない場合が起こり得る。
【００３８】
従って、この場合には、フロントハウジング１の前端部に設けられた取り付け手段２６をフロントハウジング１に対して回転方向に調整する。この調整は、まずボルト３４を緩めて、カバー３３に形成された円弧状の長穴３５の範囲内でカバー３３をフロントハウジング１に対して回動させることによって容易に行なうことができる。調整が終わったところで再びボルト３４を緊締する。従って、螺子結合部２４を螺着した際にフロントハウジング１の前端部の取り付け手段２６が後端部のそれと整合しない不適当な位置関係になっても、その位置関係を簡単に修正して、吸入ポート２２及び吐出ポート２３を対象機器の対応部分と整合させることができる。
【００３９】
図７に本発明の圧縮機の第３実施例を示す。第３実施例においても、圧縮機の本体部分は第１実施例や第２実施例のそれと同様なピストン式可変容量圧縮機となっている。第３実施例の特徴はフロントハウジング１が軸方向に短いものとなっているのに対して、リアハウジング３が後端部から一体的に軸方向の前方へ延びる比較的に長い円筒形胴部３８を備えていて、円筒形胴部３８の前端部と、フロントハウジング１に形成された軸方向の短い円筒部３９との間のインロー部に螺子結合部２４が形成されていることである。対象機器に対する圧縮機の取り付け手段２６は、リアハウジング３の円筒形胴部３８の前端部と後端部にそれぞれ一体的に設けられた取り付け足２８等によって構成される。
【００４０】
第３実施例の場合は、吸入ポート２２及び吐出ポート２３が取り付けられたリアハウジング３と一体の円筒形胴部３８の前端部と後端部に、前後の取り付け手段２６としての全ての取り付け足２８が設けられていると共に、円筒形胴部３８の前端部と取り付け足を有しないフロントハウジング１との間に、回転方向の相対的な位置関係の変動を来たす恐れがある螺子結合部２４が設けられているので、取り付け手段２６と吸入ポート２２及び吐出ポート２３との間に位置関係の調整手段を設ける必要がない。また、螺子結合部２４を緊締することによって円筒形胴部とフロントハウジング１との回転方向における位置関係が変化しても、この圧縮機にはスラストベアリング４０３が設けられているので圧縮機の作動上に支障を生じない。
【００４１】
第３実施例の場合も、インロー部に形成された螺子結合部２４によってフロントハウジング１をリアハウジング３と一体化しているので、通しボルトを設ける必要がないことから圧縮機の胴径が小さくなり、圧縮機を小型化することができるが、取り付け手段２６が全て吸入ポート２２及び吐出ポート２３と一体のリアハウジング３側に設けられていることから螺子結合部２４による弊害が生じないので、その弊害に対処する必要がない。
【００４２】
なお、図示実施例においてはいずれも圧縮機としてピストン式可変容量圧縮機を取り上げて説明しているが、本発明の特徴とする部分がピストン式可変容量圧縮機に限って適用され得る訳ではないから、本発明が固定容量型のピストン式圧縮機や、その他の形式の圧縮機にも適用可能であることは明らかである。また、本発明をピストン式可変容量圧縮機以外の圧縮機に適用した場合にも、通しボルトを廃止して胴径を小さくすることにより圧縮機を小型化することができるという本発明の効果が得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の圧縮機の第１実施例を示す縦断面図である。
【図２】第１実施例の特徴部分を示す斜視図である。
【図３】シュー押さえ板とシューとの関連構成を例示する側面図である。
【図４】シューとピストンを例示する斜視図である。
【図５】第２実施例の圧縮機を示す縦断面図である。
【図６】第２実施例の特徴部分を示す斜視図である。。
【図７】第３実施例の圧縮機を示す縦断面図である。
【図８】従来の圧縮機を例示する縦断面図である。
【符号の説明】
１…フロントハウジング
３…リアハウジング
４…駆動軸
５…ドライブプレート
７…ピストン
２２…吸入ポート
２３…吐出ポート
２４…インロー部に形成された螺子結合部
２５…シールリング
２６…取り付け手段
２７…バンド
２８…取り付け足
２９…結合部
３３…カバー
３５…円弧状の長穴
３８…円筒形胴部

Claims

駆動軸を軸支しているハウジングが、前記駆動軸の軸方向に並んでいる複数個の部分が相互に一体化されることによって構成されていると共に、前記ハウジングを構成している１つの前記部分における端部と、それに接続している他の前記部分の端部とが、それらの間のインロー部に形成された螺子結合部のみによって一体化されており、
また前記ハウジングを対象機器に取り付けるための取り付け手段が、前記ハウジングに対して位置の調整が可能な取り付け足を備えていると共に、
吸入ポート及び吐出ポートが共に設けられた一方の前記部分には、前記ハウジングを対象機器に取り付けるための取り付け足が一体に設けられていることを特徴とする圧縮機。
請求項１において、前記取り付け足が前記ハウジングに対して少なくとも回転方向に摺動調整可能であることを特徴とする圧縮機。
請求項１において、前記ハウジングに対して摺動調整可能にバンドが取り付けられると共に、該バンドに前記取り付け足が取り付けられていることを特徴とする圧縮機。
駆動軸を軸支しているハウジングが、前記駆動軸の軸方向に並んでいる複数個の部分が相互に一体化されることによって構成されていると共に、前記ハウジングを構成している１つの前記部分における端部と、それに接続している他の前記部分の端部とが、それらの間のインロー部に形成された螺子結合部のみによって一体化されており、
また前記ハウジングを対象機器に取り付けるための全ての取り付け足が、吸入ポート及び吐出ポートを有する側の前記ハウジングの前記部分に一体的に形成されていることを特徴とする圧縮機。
請求項１ないし４のいずれかにおいて、
前記駆動軸に連結されて支持されることにより回転すると共に、前記駆動軸に対して傾斜することができるドライブプレートと、
転がり軸受であるドライブスラストベアリングを介して前記ドライブプレートによって支持されることにより同じ傾斜角度をとるが、回転は阻止されるシュー押さえ板と、
該シュー押さえ板の周辺部に半径方向に形成されている複数個のシュー案内溝に係合して、半径方向に摺動することができる複数個のシューと、
前記シューに直接に連結されて往復運動をすると共に、シリンダボア内に挿入されて流体を吸入及び圧縮し、更に前記シュー押さえ板の回転を阻止する複数個のピストンと、
吐出容量を変化させるために、前記ドライブプレート及び前記シュー押さえ板の傾斜角度を変更することができる手段とを備えていることを特徴とするピストン式可変容量圧縮機。
請求項１ないし４のいずれかにおいて、
前記駆動軸に連結されて支持されることにより回転すると共に、前記駆動軸に対して傾斜することができるドライブプレートと、
転がり軸受であるドライブスラストベアリングを介して前記ドライブプレートによって支持されて同じ傾斜角度をとるシュー押さえ板と、
シリンダボア内に挿入されて流体を吸入及び圧縮すると共に、前記シュー押さえ板の回転を阻止する複数個のピストンと、
前記ドライブプレートの傾斜回転運動を前記ピストンの往復運動に変換する機構と、
吐出容量を変化させるために前記ドライブプレートの傾斜角度を変更する手段として、前記駆動軸と前記ドライブプレートとを連結するために、前記駆動軸の軸心から離れた位置に、複数個のピンと、それらのピンが係合する複数個の案内溝からなるスライドリンク機構を備えていることを特徴とするピストン式可変容量圧縮機。