JP3719533B2 - 可変質量フライホイール装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エンジンのクランク軸に対して設置されるフライホイールに関し、特に、クランク軸の回転速度に応じて慣性力の質量を変化させることができるフライホイール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用エンジンのクランク軸に取付けられるフライホイールとして、アイドリング時や低速運転時には、その慣性力を大きくすることにより、回転変動を吸収して回転の円滑化を図ると共に、中・高速運転時には、その慣性力を小さくすることにより、加速時の応答性を向上させるということを目的として、クランク軸に固定したメインフライホイールに対して、クランク軸の回転速度に応じてメインフライホイールと接離するサブフライホイールを設けたフライホイール装置が従来から知られている。
【0003】
そして、そのような慣性質量が可変なフライホイール装置において、メインフライホイールの回転力の変化により作動する遠心クラッチ機構を介してメインフライホイールとサブフライホイールを接離させる構造として、メインフライホイールとサブフライホイールがその回転軸線と直交する方向で接離するようにしたもの(特開昭56−164247号公報,特開昭61−119843号公報など参照)と、メインフライホイールとサブフライホイールがその回転軸線方向で接離するようにしたもの(特開昭56−70147号公報,実公昭59−16587号公報,特開昭61−103026号公報など参照)が従来から公知となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来公知の遠心クラッチ機構を用いた可変質量フライホイール装置において、メインフライホイールとサブフライホイールをその回転軸線方向で接離させるものについては、両フライホイールをその回転軸線と直交する方向で接離させるものと比べて、その回転軸線方向での大きさをコンパクトなものとして遠心クラッチ機構の摩擦接触面積を大きく確保することが可能である。
【0005】
しかしながら、そのようなタイプの従来の可変質量フライホイール装置については、何れものにおいても、サブフライホイール自体がその回転軸線方向に移動することによりメインフライホイールと接離するような構造となっており、遠心クラッチ機構の一部としてサブフライホイール自体を利用しているため、遠心クラッチによる切り換えの応答性が良くないと共に、サブフライホイールの移動を適当な範囲に規制するために設計上何らかの工夫をする必要が生じる。
【0006】
本発明は、上記のような従来の可変質量フライホイール装置の持つ不都合を解消することを目的とするものであって、より具体的には、回転軸線方向での大きさをコンパクトなものとして遠心クラッチの摩擦接触面積を大きく確保することが可能であると共に、回転軸線方向に移動しないサブフライホイールとメインフライホイールの間に遠心クラッチを設けることによって、遠心クラッチによる切り換えの応答性を良くすることができ、サブフライホイールや遠心クラッチの移動を規制するための工夫を必要としない可変質量フライホイール装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決しかつ目的を達成するために、上記の請求項1に記載したように、クランク軸の端部にメインフライホイールが一体的に固定され、それらの回転軸線方向でメインフライホイールに隣接して、サブフライホイールがエンジンのハウジング部分に軸受を介して回転自在で且つ該回転軸線方向に移動不能に固定されていると共に、メインフライホイールとサブフライホイールの間には、遠心クラッチ機構として、メインフライホイール側に、その回転軸線と交差する方向の摩擦面を有する摩擦板が設けられ、サブフライホイール側に、該摩擦板が接触する当接面が形成されていて、該摩擦板が、クランク軸の低速回転時には該当接面に接触し、クランク軸の高速回転時には該当接面から離脱するように、メインフライホイールの回転に連れて回転し且つサブフライホイールに対して相対移動可能な状態で、メインフライホイール側に支持されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、上記の請求項1に記載された可変質量フライホイール装置において、上記の請求項2に記載したように、摩擦板が、その外周側に錘が固着され、その内周側でメインフライホイールに支持されているバネ部材により形成されていて、該バネ部材の板面が、サブフライホイールの当接面に接離する摩擦面とされていることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記の請求項1に記載された可変質量フライホイール装置において、上記の請求項3に記載したように、摩擦板が、板バネを介してメインフライホイールに支持されており、メインフライホイールと摩擦板の間に、その外周側に錘を固着した環状の皿バネが、その外周側で摩擦板をサブフライホイール側に押圧するように、その内周側でメインフライホイールに遊びをもって支持されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、上記の請求項3に記載された可変質量フライホイール装置において、上記の請求項4に記載したように、皿バネと摩擦板の接触部における一方の側が、その回転軸線を中心とする円周線上に配置された凸部として形成され、他方の側が、その回転軸線に対して一定の傾斜角度で交差する傾斜面として形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、上記の請求項1乃至4の何れかに記載された可変質量フライホイール装置において、上記の請求項5に記載したように、サブフライホイールの摩擦板に対向する側面に凹部が形成され、該凹部内に当接面が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、上記の請求項1乃至5の何れかに記載された可変質量フライホイール装置において、上記の請求項6に記載したように、クランク軸の端部の側方において、クランク軸の回転軸線上にメイン軸が配設され、クランク軸の端部に固定されたメインフライホイールの一側とメイン軸の間に伝動クラッチ機構が配設されて、該伝動クラッチ機構を介してメインフライホイールの回転がメイン軸に伝達されるように構成されていると共に、該伝動クラッチ機構の外周部の外側に、メインフライホイールとサブフライホイールを接離する遠心クラッチ機構が配設されていることを特徴とするものである。
【0013】
【作 用】
上記のような構成により、クランク軸の低速回転時には、メインフライホイール側の摩擦板とサブフライホイール側の当接面が接触した状態で、クランク軸に対してメインフライホイールとサブフライホイールが一体的に回転するため、フライホイール装置の慣性力は大きいものとなって回転変動が吸収され、低速回転時の回転が円滑化する。
【0014】
また、クランク軸の高速回転時には、回転遠心力によりメインフライホイール側の摩擦板が移動してサブフライホイール側の当接面から離脱し、サブフライホイールがメインフライホイールの回転運動から切り離されて、クランク軸に対してメインフライホイールだけが一体的に回転することとなるため、フライホイール装置の慣性力は小さいものとなって加速時の応答性が向上する。
【0015】
そして、摩擦板と当接面の接触する摩擦面がクランク軸の回転軸線と交差する方向にあるため、クランク軸の回転軸線方向にコンパクトな状態で摩擦板と当接面の接触面積を広く確保することができて、低速回転時のメインフライホイールとサブフライホイールの接続が確実に行われる。
【0016】
また、サブフライホイール自体はその回転軸線の方向に移動することなく、摩擦板のみが移動することとなるため、遠心クラッチによる切り換えの応答性が良くなると共に、遠心クラッチを構成する摩擦板とその当接面がメインフライホイールとサブフライホイールによって囲まれているため、両フライホイールによって当該部分が保護されることとなり、摩擦板が両フライホイールの間から逸脱して移動するようなことはない。
【0017】
さらに、上記の請求項2に記載された構成によれば、錘を固着したバネ部材自体が摩擦板として働くため、遠心クラッチ機構の構造が簡略化される。
【0018】
また、上記の請求項3に記載された構成によれば、クランク軸の高速回転時に錘に大きな遠心力が作用しても、皿バネ自体がその力を受けとめ、メインフライホイールに錘の遠心力が作用することはなく、さらに、上記の請求項4に記載された構成によれば、皿バネが自動調芯されると共に、摩擦板への皿バネからの押圧力の加わる位置が常に一定となって、摩擦板やその当接面が偏磨耗するようなことがない。
【0019】
また、上記の請求項5に記載された構成によれば、サブフライホイールを質量を小さくすることなく、遠心クラッチ機構の回転軸線方向でのコンパクト化が図られ、上記の請求項6に記載された構成によれば、伝動クラッチ機構と遠心クラッチ機構がそれらの回転軸線方向で重ならないため、装置全体の回転軸線方向でのコンパクト化が図られる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の可変質量フライホイール装置の実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の可変質量フライホイール装置の一実施例を示すもので、エンジンのクランク軸1の端部には、ボルト2によってメインフライホイール3が一体的に固着されており、このメインフライホイール3の片側外周部にはクラッチハウジング4がボルト5により一体的に固着されていて、クラッチハウジング4には、図3の下方部分にも示すように、伝動クラッチ機構のプレッシャープレート6が、板バネ21を介して、クランク軸1の回転軸線A方向に移動可能に支持されている。
【0022】
すなわち、メインフライホイール3のクラッチハウジング4側には、クランク軸1の回転軸線Aに同軸的に配置されたメイン軸7に対して、クランク軸1の回転をオン・オフ自在に伝動するために、従来から一般的に知られた構造の伝動クラッチ機構が配置されている。
【0023】
この動力伝達クラッチ機構は、レリーズ部材8,ダイヤフラムスプリング9,プレッシャープレート6,メインフライホイール3,およびスプライン係合部10やダンパー11を介してメイン軸7に摺動自在に連結されているクラッチディスク12により構成されるもので、図示していないクラッチペダルの操作によりレリーズ部材8からダイヤフラムスプリング9を介してプレッシャープレート6が移動され、プレッシャープレート6がクラッチディスク12をメインフライホイール3に押し付けることにより、メインフライホイール3の回転がクラッチディスク12を介してメイン軸7に伝動され、プレッシャープレート6によるクラッチディスク12の押し付けが解除されることより、クラッチディスク12がメインフライホイール3と切り離されて、クランク軸1からメイン軸7への回転の伝動は遮断される。
【0024】
メインフライホイール3の伝動クラッチ機構とは反対の側には、その外周近傍に適当数の錘14が一体的に埋設され、その外周面にリングギア15が一体的に嵌合されたサブフライホイール13が配置されており、このサブフライホイール13は、エンジンのハウジング部分16にボルト17で一体的に固着された軸受固定部18に対して、軸受19を介して、回転自在で且つ回転軸線A方向に移動不能に固定されている。
【0025】
なお、サブフライホイール13に埋設された錘14は、サブフライホイール13の質量を大きくするためのもので、サブフライホイール13の外周面に嵌合されたリングギア15は、始動時にサブフライホイール13を回転させるための動力伝達手段であって、エンジンのハウジング部分16に一体的に固定された軸受固定部18とクランク軸1の間にはシール部材20が設けられている。
【0026】
このようなメインフライホイール3とサブフライホイール13の間には、メインフライホイール3の回転速度に応じてメインフライホイール3とサブフライホイール13を接離させるための遠心クラッチ機構として、メインフライホイール3に板バネ22で連結された摩擦板23と、摩擦板23の摩擦面と対面するようにサブフライホイール13の側面に一体的に固着された当接面24と、メインフライホイール3と摩擦板23の間に配置されてその外周側に遠心錘26が固着された皿ばね25が設けられている。
【0027】
摩擦板23については、図2に示すように、そのサブフライホイール13側が回転軸線Aと直交する方向の平坦な摩擦面23aとして形成され、その反対側の面に連続状あるいは点状で円周方向に連なる突起部23bが形成されているリング状の板体であって、図1の下方部分と図3の上方部分および図4の左上部分に示すように、メインフライホイール3に対して、円周方向の複数箇所で板バネ22により、回転軸線A方向に移動可能に支持されている。
【0028】
皿ばね25については、図2と図4の右上部分に示すように、メインフライホイール3にリベット29で固定されたリング状の支持板28によって、メインフライホイール3と一体的に回転するように、そのリング内周側でメインフライホイール3に支持されており、そのリング外周側には、複数の遠心錘26が、円周方向で均等に配置された状態で、それぞれ折り返し部25aとリベット30によって固着されていて、折り返し部25aの外面については、皿バネ25本体の板面25bと平行で、全体として回転軸線Aに対して一定の角度で傾斜した状態となっている。
【0029】
当接面24については、図2に示すように、サブフライホイール13の側面の摩擦板23に対向する部分が凹部13aとなるように形成されていて、その凹部13a内の壁面に一体的に固着されているものである。
【0030】
そして、摩擦板23と皿ばね25は、皿ばね25の一定の角度で傾斜した折り返し部25a外面と摩擦板23の突起部23bによって接触しており、図1の下方部分に示すように、摩擦板23は、皿ばね25のバネ力によって、その摩擦面23aが当接面24に接触するように押圧されている。
【0031】
なお、皿ばね25は、メインフライホイール3と一体的に回転するように、そのリング内周側で支持板28によってメインフライホイール3に支持されているが、メインフライホイール3に対して完全に固定されるのではなく、若干の遊びをもって挟持されているものである。
【0032】
また、メインフライホイール3の皿ばね25に対向する側面は、図4の右下部分に示すように、円周方向で凸部3aと凹部3bを有する凹凸面となっており、図1の上方部分に示すように、皿ばね25のバネ力に抗して摩擦板23が当接面24から離れた状態のときでも、皿ばね25の本体板面25bが、メインフライホイール3の側面にその凸部3aで接触するだけで、全面的には接触しないようなものとなっている。
【0033】
上記のような構造を有する本実施例の可変質量フライホイール装置においては、クランク軸1の回転が低速の時には、メインフライホイール3と共に回転する皿ばね25の遠心錘26による回転遠心力が小さいため、図1の下方部分に示すように、皿ばね25が本来の形状を保って、そのバネ力により摩擦板23を当接面24に接触させる状態となっている。
【0034】
そのため、メインフライホイール3の回転に連れてサブフライホイール13が回転することとなり、クランク軸1の回転に伴うフライホイール装置の慣性力としては、メインフライホイール3の質量とサブフライホイール13の質量をプラスした大きなものとなる。
【0035】
そして、クランク軸1の回転が高速の時には、メインフライホイール3と共に回転する皿ばね25の遠心錘26による回転遠心力が大きくなってその外周部が広がるように働き、図1の上方部分に示すように、皿ばね25がそのバネ力に抗してサブフライホイール13から離れるように移動し、それに伴って摩擦板23が板バネ22の付勢力により当接面24から引き離される。
【0036】
そのため、サブフライホイール19がメインフライホイール3の回転から切り離されることとなり、クランク軸1の回転に伴うフライホイール装置の慣性力としては、メインフライホイール3の質量のみの小さなものとなる。
【0037】
以上に説明したような本実施例の可変質量フライホイール装置によれば、クランク軸1の低速回転時には、フライホイール装置の慣性力は大きいものとなって回転変動が吸収され、低速回転時の回転が円滑化すると共に、クランク軸1の高速回転時には、フライホイール装置の慣性力は小さいものとなって加速時の応答性が向上する。
【0038】
そして、摩擦板23と当接面24の摩擦面がクランク軸1の回転軸線Aと略直交する方向にあるため、回転軸線A方向にコンパクトな状態で摩擦板23と当接面24の接触面積を広く確保することができて、低速回転時のメインフライホイール3とサブフライホイール13の摩擦接続が確実なものとなる。
【0039】
また、サブフライホイール13自体をその回転軸線Aの方向に移動させるものではなく、摩擦板23のみを移動させるものであるため、遠心力により移動させる質量が小さくて済み、遠心クラッチによる切り換えの応答性が良いものとなっている。
【0040】
また、摩擦板23や皿ばね25は、何れもメインフライホイール3とサブフライホイール13の間で移動するため、その移動を必要な範囲内に規制するために特別な手段を設ける必要がなく、さらに、遠心クラッチを構成する各部材23,24,25がメインフライホイール3とサブフライホイール13によって囲まれた状態にあるため、ことさら遠心クラッチ機構のための収納ケース部のようなものを特別に設ける必要もない。
【0041】
さらに、本実施例では、皿ばね25がメインフライホイール3に対して完全に固定されているのではなく、若干の遊びをもって挟持されているため、クランク軸1の高速回転時に遠心錘26に大きな遠心力が作用しても、皿バネ25自体でその力を受け、メインフライホイール3に遠心錘26の回転遠心力が作用することはない。
【0042】
その上、摩擦板23と皿バネ25が、回転軸線Aに対して一定の角度で傾斜した折り返し部25a外面と、摩擦板23の円周方向に連なる突起部23bとによって接触しているため、回転運動によって皿バネ25が自動調芯されると共に、摩擦板23への皿バネ25からの押圧力の加わる位置が常に一定となって、摩擦板23や当接面24が偏磨耗するようなことがない。
【0043】
また、当接面24がサブフライホイール13に側面に形成された凹部13a内に設けられているため、サブフライホイール13の質量を小さくすることなく、メインフライホイール3とサブフライホイール13の回転軸線A方向での設置スペースを狭めることができる。
【0044】
さらにまた、メインフライホイール3の皿バネ25に対向する側面が凹凸面として形成されているため、油膜等の介在によりメインフライホイール3の側面と皿バネ25の本体板面25bが全面的に密着して皿バネ25の復帰が妨げられるというようなことが防止される。
【0045】
以上、本発明の可変質量フライホイール装置の一実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例のようなものにのみ限定されるものではなく、例えば、以下に示すような他の実施例によっても実施可能なものである。
【0046】
図5に示す実施例については、上記の第1実施例における摩擦板23のようなものを別体として設けることなく、皿バネ25の折り返し部外面をサブフライホイール13の当接面24に接触する摩擦面としたもの、すなわち、皿バネ25自体が摩擦板を兼ねているもので、このような構造とすることによって、遠心クラッチ機構自体を簡単な構造のものとすることができる。
【0047】
また、図6および図7に示す各実施例については、何れも、クランク軸1とメイン軸7の間に配置されている伝動クラッチ機構が、クラッチディスク12を二重に配設したツインクラッチタイプであり、サブフライホイール13とメインフライホイール3を接離する遠心クラッチ機構が、伝動クラッチ機構の外周部の外側で、サブフライホイール13とクラッチハウジング4の間に設けられているものである。
【0048】
このような構造とすることによって、伝動クラッチ機構においてクラッチディスク12を二重に設ける分だけその回転軸線方向での設置スペースを大きくとるにもかかわらず、伝動クラッチ機構と遠心クラッチ機構とが回転軸線方向で重なって設置されないため、全体としてはその回転軸線方向でコンパクトな構造とすることができる。
【0049】
なお、図7に示した実施例については、遠心錘26を固着したバネ部材25を、該部材の僅かな動きを許すような柔らかな部材33を挟んでボルト32でクラッチハウジング4に固着しているが、このようにボルト32でバネ部材25を固着するような構造とすれば、バネ部材25として、一枚の皿バネを使用するだけでなく、複数の板バネ部材を円周方向に配設して使用することもできる。
【0050】
さらに、図8に示す実施例については、上記の各実施例に示したような可変質量フライホイール装置において、エンジン運転時のメインフライホイール3とサブフライホイール13の接離、および、その接離状態の異常を表示するための表示手段を設けると共に、そのような異常事態が発生した場合に、直ちにエンジン回転数の上昇を防止するための手段を設けたものである。
【0051】
すなわち、上記の各実施例に示したような可変質量フライホイール装置では、従来の可変質量フライホイール装置と同様に、アイドリング時には接合し、高速運転時には離反するメインフライホイール3とサブフライホイール13の接離状態について、低速運転から中速運転の間のどのような時期に接離状態が切り換わっているのか運転者には判らないものとなっている。
【0052】
そのため、メインフライホイール3とサブフライホイール13の接触部分が故障してその接離状態に異常が生じている場合でもそのことが運転者には判らず、例えば、メインフライホイール3とサブフライホイール13が接合して離れなくなったまま高速運転を続けたりすると、サブフライホイール13の軸受19が破損して(上記の各実施例のように軸受19がベアリングの場合にはリテーナーが破損したり、また、軸受19をメタル軸受とした場合にはカジリや焼付を起こすこととなる)、その結果、サブフライホイール13の脱落またはクランク軸折損のような2次故障を引き起こす恐れも生じる。
【0053】
そこで、そのような問題に対処するために、本実施例では、図8に示すように、可変質量フライホイール装置に対して、エンジンのハウジング部分16に接続されるクラッチケース31のサブフライホイール13に近接した箇所に、サブフライホイール13の回転数を検出するためのサブフライホイール回転数検出器33を設置すると共に、エンジン運転時のメインフライホイール3とサブフライホイール13の接離、および、その接離状態の異常を表示するための表示手段となるインジケーターランプ36が設けられている。
【0054】
そして、サブフライホイール回転数検出器33は、電子制御機構のCPU(中央処理装置)34の入力側に接続され、インジケーターランプ36は、CPU34の出力側に接続されていて、それらが接続されているCPU34には、その入力側にエンジン回転数検出器35が接続され、その出力側に燃料噴射装置または点火装置37が接続されている。
【0055】
上記のようにサブフライホイール回転数検出器33とインジケーターランプ36を付設した本実施例の可変質量フライホイール装置については、サブフライホイール回転数検出器33からその検出結果をCPU34に入力させることにより、CPU34にエンジン回転数検出器35から入力された検出結果と比較して、エンジン回転数(N)とサブフライホイール回転数(n)の差(N−n)が任意の設定値以上となったときには、CPU34からの出力信号によりインジケーターランプ36の緑色のランプが点灯するようになっており、また、サブフライホイール回転数(n)自体が異常に高くなったときには、インジケーターランプ36の赤色のランプが点灯するようになっている
【0056】
そのため、運転中にインジケーターランプ36の緑色のランプが点灯すると、運転者は、メインフライホイール3とサブフライホイール13の接合が解除されて運転状態がスポーティーモードとなっていることを確認でき、緑色のランプが消灯すると、再びメインフライホイール3とサブフライホイール13が接合したことを確認できると共に、インジケーターランプ36の赤色のランプが点灯することによって、メインフライホイール3とサブフライホイール13の間に両者が接合して離れないような故障が起きたことを知ることができる。
【0057】
また、同時に、サブフライホイール回転数検出器33からの検出結果の入力によって、サブフライホイール回転数(n)自体が異常に高くなったときには、CPU34から燃料噴射装置または点火装置37に対して、後述するようなエンジン回転数の上昇を抑制する信号を出力するようになっている。
【0058】
そのため、メインフライホイール3とサブフライホイール13が接合して離れないような故障が起きて、そのまま高速運転が続けられているようなときには、インジケーターランプ36の赤色のランプの点灯によりそのことを確認できると共に、燃料噴射装置の噴射の間引や中止、あるいは、点火装置の点火の間引や失火などが行われ、それによってエンジン回転数が自動的に低減されることとなるため、サブフライホイール13の軸受部分の破損や、その結果生じるサブフライホイール13の脱落またはクランク軸折損のような2次故障などの発生を防止することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したような本発明の可変質量フライホイール装置によれば、クランク軸の回転軸線方向での大きさをコンパクトなものとして遠心クラッチの摩擦接触面積を大きく確保することができると共に、遠心クラッチによるフライホイールの慣性質量の切り換え時にサブフライホイール自体を移動させる必要がなくて、遠心クラッチによる切り換えの応答性を良くすることができ、さらに、サブフライホイールや遠心クラッチの移動を規制するための工夫を必要とせず、遠心クラッチ部分を保護するための収納ケースなどを設ける必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変質量フライホイール装置の一実施例を示す断面図。
【図2】図1に示した実施例の要部を示す断面図。
【図3】図1に示した実施例の矢印B方向から見たメインフライホイール部分(図面の上方)とクラッチハウジング部分(図面の下方)の各部分を示す部分正面図。
【図4】図1に示した実施例の矢印C方向から見た摩擦板部分(図面の上方左側)と皿バネ部分(図面の上方右側)とサブフライホイール部分(図面の下方左側)とメインフライホイール部分(図面の下方右側)の各部分を示す部分正面図。
【図5】本発明の可変質量フライホイール装置の第2実施例を示す要部断面図。
【図6】本発明の可変質量フライホイール装置の第3実施例を示す要部断面図。
【図7】本発明の可変質量フライホイール装置の第4実施例を示す要部断面図。
【図8】本発明の可変質量フライホイール装置の第5実施例を示す要部断面説明図。
【符号の説明】
1 クランク軸
3 メインフライホイール
3a サブフライホイールの凹部
7 メイン軸
12 クラッチディスク(伝動クラッチ機構)
13 サブフライホイール
23 摩擦板
23a 凸部(摩擦板の)
24 当接面
25 バネ部材(皿バネ)
25a 傾斜面(皿バネの)

Claims (6)

  1. クランク軸の端部にメインフライホイールが一体的に固定され、それらの回転軸線方向でメインフライホイールに隣接して、サブフライホイールがエンジンのハウジング部分に軸受を介して回転自在で且つ該回転軸線方向に移動不能に固定されていると共に、メインフライホイールとサブフライホイールの間には、遠心クラッチ機構として、メインフライホイール側に、その回転軸線と交差する方向の摩擦面を有する摩擦板が設けられ、サブフライホイール側に、該摩擦板が接触する当接面が形成されていて、該摩擦板が、クランク軸の低速回転時には該当接面に接触し、クランク軸の高速回転時には該当接面から離脱するように、メインフライホイールの回転に連れて回転し且つサブフライホイールに対して相対移動可能な状態で、メインフライホイール側に支持されていることを特徴とする可変質量フライホイール装置。
  2. 摩擦板が、その外周側に錘が固着され、その内周側でメインフライホイールに支持されているバネ部材により形成されていて、該バネ部材の板面が、サブフライホイールの当接面に接離する摩擦面とされていることを特徴とする請求項1に記載の可変質量フライホイール装置。
  3. 摩擦板が、板バネを介してメインフライホイールに支持されており、メインフライホイールと摩擦板の間に、その外周側に錘を固着した環状の皿バネが、その外周側で摩擦板をサブフライホイール側に押圧するように、その内周側でメインフライホイールに遊びをもって支持されていることを特徴とする請求項1に記載の可変質量フライホイール装置。
  4. 皿バネと摩擦板の接触部における一方の側が、その回転軸線を中心とする円周線上に配置された凸部として形成され、他方の側が、その回転軸線に対して一定の傾斜角度で交差する傾斜面として形成されていることを特徴とする請求項3に記載の可変質量フライホイール装置。
  5. サブフライホイールの摩擦板に対向する側面に凹部が形成され、該凹部内に当接面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変質量フライホイール装置。
  6. クランク軸の端部の側方において、クランク軸の回転軸線上にメイン軸が配設され、クランク軸の端部に固定されたメインフライホイールの一側とメイン軸の間に伝動クラッチ機構が配設されて、該伝動クラッチ機構を介してメインフライホイールの回転がメイン軸に伝達されるように構成されていると共に、該伝動クラッチ機構の外周部の外側に、メインフライホイールとサブフライホイールを接離する遠心クラッチ機構が配設されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の可変質量フライホイール装置。
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