JP3718929B2 - コンデンサ用ポリエステルフィルム、金属化ポリエステルフィルムおよびフィルムコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用ポリエステルフィルム、金属化ポリエステルフィルムおよびフィルムコンデンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ用フィルムおよびそのフィルムを用いたフィルムコンデンサに関するものであり、さらに詳しくは、耐電流性および高温ライフ特性に優れた金属化フィルムコンデンサおよびそのコンデンサに用いられるポリエステルフィルム、金属化ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有機高分子フィルムを誘電体として用いたコンデンサは広く用いられている。
【0003】
たとえば、特開昭63−182351号公報、特開昭63−194318号公報などに例示されるように、ポリエステルフィルムと金属箔を交互に巻回するか、フィルムに金属を蒸着して電極とし、これを巻回または積層することによりコンデンサを得る技術が知られている。
【0004】
従来の技術によるフィルムコンデンサは、高温下で使用すると、徐々に誘電正接(以下、tanδと言う)が低下するなど、その性能が劣化する欠点を有している(以下、高温ライフ特性と言う)。近年、使用環境の拡大のために、フィルムコンデンサの高温ライフ特性のさらなる改善が望まれるようになりつつある。また、高温ライフ特性の改善は、コンデンサの自己発熱に対しても有利であり、大電流を繰り返し充放電する際のコンデンサの劣化(以下、耐電流性と言う)を同時に改善する結果となる。
【0005】
一方、フィルムコンデンサに用いられている従来の延伸ポリエステルフィルムは、加熱による寸法変化が避けられず、また、金属蒸着時に熱や張力により歪みを受け、さらに寸法安定性が悪化するという欠点があった。こうした熱寸法変化のため、メタリコン部などに歪みが生じ、コンデンサのtanδが徐々に低下していくなどの現象が起こると考えられている。
【0006】
また近年、層間接着性や耐湿性を向上させるなど種々の目的で、コンデンサ用ポリエステルフィルム上に各種のプライマー層を設ける技術が用いられるようになった。特に基材のポリエステルフィルムよりガラス転移温度の低いプライマーを用いた場合、高温下では金属蒸着膜と基材フィルムの間の拘束が弱くなり金属蒸着膜に直接的に歪みがかかるため、高温下でのtanδ悪化は顕著である。
【0007】
これらを改善する手段として、例えば特開平3−79018号公報に、巻き取り工程の前の金属化フィルムに対し熱処理工程を付加することにより、蒸着工程の熱ストレスを緩和する技術が開示されているが、この方法は初期特性を高めることおよびそのバラツキを小さくすることに効果があるが、高温ライフ性のような長期の特性劣化に対し十分な効果が得られなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした従来の問題点を解決し、寸法安定性を向上させ、かつ、金属蒸着時の熱や張力による歪みを受けにくくすることにより、プライマー層の有無に関わらず、高温ライフ性、ひいては耐電流性の良好なコンデンサ用ポリエステルフィルムを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる問題を解決するために次の構成を有する。すなわち、130℃における長手方向の熱収縮応力σ(130)が0.93.3MPaであり、170〜250℃の範囲における長手方向の熱収縮応力の最大値σmax が2.13.3MPaであることを特徴とするコンデンサ用ポリエステルフィルムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明におけるポリエステルとは、エステル結合により高分子化されている結晶性の熱可塑性樹脂化合物である。このようなポリエステルはジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合することにより得られる。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などが例示でき、グリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが例示できる。これらのうちジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が、グリコール成分としてはエチレングリコールが、熱的特性、また価格面から好ましい。本発明におけるポリエステルの融点は250℃以上であることが耐熱性の面から好ましく、一方、280℃以下であることが生産性の面から好ましい。また、二軸延伸性の面から溶融状態では光学的に等方であることが好ましい。このような好ましいポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロへキサンジメチレンテレフタレートなどを挙げることができる。なお、これらのポリマーはホモポリマーであってもよいが、前述のような特性を阻害しない程度に、30モル%未満、より好ましくは15モル%未満の前述したような他の成分が共重合あるいはブレンドされていてもよい。
【0012】
本発明のポリエステルフィルムは、高温ライフ性の観点から、130℃における長手方向の熱収縮応力σ(130)が0.93.3MPaである。金属化する前の原反フィルムにおいて、σ(130)が0.9MPa以上であることにより、フィルムが蒸着時の熱のために収縮してクーリングキャンにフィットし、フィルムの温度上昇を防ぐことができ、かつ、蒸着時の張力と反対方向の力が生じてフィルムが蒸着時に引き伸ばされるのを防ぐことができる。ところが、σ(130)が0.9MPa未満であると、フィルムは蒸着時に冷却キャンで十分に冷却されず温度が上昇し、蒸着の際の張力で引張られて緊張し、熱寸法安定性が蒸着前に比べ低下し、高温ライフ性が悪化する。一方、3.3MPaを超える場合、蒸着時にこの熱収縮応力が打ち消されずに残り、熱寸法安定性に影響を及ぼし、高温ライフ性が悪化する
【0013】
また、高温ライフ性の観点から、本発明のポリエステルフィルムの170〜250℃の範囲における長手方向の熱収縮応力の最大値σmax は2.13.3MPaである。3.3MPaを超えるものでは熱寸法安定性が悪化する。また、2.1MPa未満であっても、金属蒸着時に歪みが生じ、蒸着後の熱寸法安定性が悪化するコンデンサの製造工程中、層間の間隙を加熱によって巻締める工程を行うことがあるが、この工程を行う観点からは、2.1〜2.5MPaであること好ましい。
【0014】
また、σmax とσ(130) の差Δσ=σmax −σ(130) が、−1≦Δσ≦1.2(MPa)の範囲にあることが高温ライフ性の観点から好ましい。より好ましくは、−0.5≦Δσ≦0.8(MPa)である。さらに、0≦Δσ≦0.5(MPa)とすることにより、蒸着時に原反フィルムの熱収縮応力が打ち消されるような蒸着条件を容易に見出すことができ、より好ましい。
【0015】
本発明のポリエステルフィルムは、150℃における加熱収縮率が長手方向について0.5〜2%、幅方向について−1〜1%であることが、高温ライフ性の観点から好ましい。より好ましくは、長手方向について0.7〜1.8%、幅方向について0〜0.7%である。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムは、高温ライフ性の観点から、温度T(℃)における熱収縮応力をσ(T)(MPa)とおいたとき、
【数1】
Figure 0003718929
なるS1 が、4≦S1 ≦190であることが蒸着時の熱負けや、熱寸法安定性の面から好ましい。より好ましくは、20≦S1 ≦160であり、50≦S1 ≦140であることがさらに好ましい。
【0017】
同様に、
【数2】
Figure 0003718929
なるS2 が、20≦S2 ≦200とすることにより、熱寸法安定性がさらに向上し好ましい。より好ましくは、20≦S2 ≦170であり、60≦S2 ≦140であることがさらに好ましい。
【0018】
本発明のポリエステルフィルムは、示差走査カロリメータによる熱処理ピーク温度Tmetaを220〜240℃の範囲に有することが好ましい。220℃未満では、コンデンサの絶縁抵抗が低くなり好ましくない。240℃を超えるものでは、フィルムの機械的特性やコンデンサの耐電圧や誘電正接が悪化し好ましくない。より好ましくは225〜240℃であり、230〜240℃がさらに好ましい。
【0019】
本発明のコンデンサ用ポリエステルフィルムには、その少なくとも片面に、層間接着力を向上させる目的、耐湿性を向上させる目的、もしくは加工性を向上させる目的などのために、各種のプライマー層を設けることができる。実用的には、塗工の際の安全性、加工性の観点から水溶性もしくは水分散性のものを用いることが好ましいが、用途によりそれ以外のプライマーを用いることもできる。プライマーの成分としては、アクリル、ウレタン系樹脂、ワックスなど、各種の公知のプライマー剤を、目的に応じて単体で、または混合もしくは共重合して用いることができる。しかし、前述の通り、従来の技術によるフィルムコンデンサでは、プライマー層を設けた場合、設けていないものと比較して高温ライフ性が顕著に悪化する現象が見られる場合が多いが、本発明の技術を用いると、高温ライフ性の悪化が少ない非常に良好なフィルムコンデンサを得ることができる。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムは、コンデンサ用として用いられるためにいかなる厚さを有することもできるが、1〜30μmの範囲で高温ライフ性の改良効果が特に大きく、3〜13μmの範囲の厚さがより好適である。
【0021】
本発明のポリエステルは、その極限粘度が0.5dl/g以上が耐電圧性、機械的特性、高温ライフ性の観点から好ましい。好ましくは0.6dl/g以上、より好ましくは0.65dl/g以上、さらに好ましくは0.7dl/g以上である。
【0022】
本発明におけるポリエステルフィルムの表面は、表面粗さがRaにして0.002〜0.2μmであることが好ましい。0.002μm未満ではコンデンサの製造工程における歩留まりが悪くなる。また、0.2μmを超えるものではコンデンサの耐電圧性が悪くなる。
【0023】
このような表面を形成する手段としては、例えばポリエステル中に不活性粒子を添加することが挙げられる。さらに不活性粒子を例示するならば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、タルク、アルミナなどが挙げられる。また、架橋高分子粒子なども用いることができる。フィルム上にプライマー層を設ける場合には、この粒子はポリエステルフィルム中に存在していることも好ましいが、プライマー層に各種の粒子を適宜に添加し所望の表面を形成することもできる。
【0024】
本発明におけるポリエステルフィルムは、片面もしくは両面を金属化してコンデンサに用いられる。ここで、片面もしくは両面を金属化されたポリエステルフィルムの長手方向の熱収縮応力は20〜130℃の範囲において0〜2MPaであることが高温ライフ性の観点から好ましい。このような金属化ポリエステルフィルムは、前述したようなポリエステルフィルムを金属化することにより、容易に得ることができる。さらに、蒸着条件の吟味により、0〜1.5MPaとすることがより好ましく、0〜1MPaとすることがさらに好ましい。なお、本発明の金属化ポリエステルフィルムは、必ずしも前述のような特性を有するポリエステルフィルムを金属化して得られるものに限定されるわけではない。前述の特性の範囲にないポリエステルフィルムの場合でも、蒸着条件を詳細に検討し、必要に応じてオフラインでの熱処理を行うことにより、本発明における金属化ポリエステルフィルムを得ることもできる。ただし、生産性の面から見て、前述のポリエステルフィルムを金属化することが好ましい。
【0025】
片面もしくは両面金属化ポリエステルフィルムの150℃における加熱収縮率は長手方向について0.5〜2%、幅方向について−1〜1%であることが高温ライフ性の観点から好ましい。より好ましくは、長手方向について0.7〜1.8%、幅方向について0〜0.7%である。
【0026】
次に、本発明のコンデンサ用ポリエステルフィルムおよび金属化ポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、必ずしも限定されるものではない。
【0027】
まず、前述のポリエステルをその融点を超える温度で常法の押出機にて溶融押出しし、ガラス転移温度以下に冷却、キャストしてシート状に成形する。その後、ガラス転移温度以上に加熱し、長手方向に2.8〜7.5倍延伸する。続いてステンターにてガラス転移温度以上に加熱し、幅方向に3〜6倍に延伸し、引き続き熱処理する。熱処理温度はフィルムの温度にして220℃以上、融点よりも5℃低い温度以下であることが好ましい。220℃未満では高温ライフ性やtanδが悪くなり、融点よりも5℃低い温度を超えるとポリエステルフィルムの耐電圧性や機械的特性が低下し、好ましくない。目的のσmax を得るためには、熱処理温度を230℃以上、融点よりも5℃低い温度以下とすることがより好ましい。
【0028】
目的の熱収縮応力を有するフィルムを得るための方法として、ステンターにて熱処理が終了したフィルムを、再度縦延伸装置に導入し、長手方向にわずかに延伸する方法などが例示できる。ステンターのクリップ間隔を熱処理中ないし終了後、徐々にわずかに広げ、長手方向に張力を加える方法を採用することもできる。また、必要に応じて、製品もしくは中間製品をオフラインで再度熱処理することもできる。
【0029】
フィルム上にプライマー層を設ける場合は、方法は特に限定しないが、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する前に、所望のコート剤をコートするなどの方法を採用することができる。希釈に用いる水は、水道水などを用いることもできるが、金属イオンやその他の不純物の含有が少ないイオン交換水などを用いることがコンデンサとしたときの絶縁性や耐電圧性の観点から好ましく、蒸留水を用いることがより好ましい。必要であれば、コートする前にコロナ放電などの処理を行うことができる。
【0030】
別の表面被覆の方法としては、ポリエステルフィルムを二軸延伸した後にコートする方法がある。この場合は被覆材をコートする前にコロナ放電などの処理を行い、その後コートし熱処理する方法であるが、前述のように熱処理温度をコントロールすることが同様の理由で好ましい。
【0031】
また、より一層耐湿熱ライフ性や接着力を向上させるために本発明のポリエステルフィルムの表面にコロナ放電処理(空気中、窒素ガス中、炭酸ガス雰囲気中)や、プラズマ処理などの表面処理を行うことができる。
【0032】
次に、金属化ポリエステルフィルムとするために少なくとも片面にアルミニウムを蒸着してコンデンサの内部電極となるアルミニウム蒸着膜を設けるが、この時アルミニウムと同時あるいは逐次に、例えばニッケル、銅、金、銀、クロム、亜鉛などの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。アルミニウムの蒸着膜の厚さはコンデンサの電気特性とセルフヒール性の点から20〜100nm(または表面電気抵抗で1〜5Ω/□)であることが好ましい。
【0033】
必要により、蒸着後に特定の温度でエージング処理を行ったり、再度オフラインで熱処理を行うこともできる。
【0034】
次に、フィルムコンデンサとするために、前述の蒸着を長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に行い、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左端もしくは右端にマージンを有するリール状に巻き取る。得られた左マージンのリールと右マージンのリールの各1本づつを、幅方向にそれぞれの蒸着部が他方のマージン部より端にはみ出すように2枚を重ね合わせて巻回する。できあがった巻回体から芯材を抜き、100〜200℃の温度をかけて0.2〜2MPaの圧力下で1〜30分プレスする。この両端部にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接してフィルムコンデンサとする。なお、フィルムコンデンサの製造方法としてこのような巻回型の例を示したが、他に積層型などの製造方法も存在し、本発明のフィルムコンデンサにおいては、どの方法を用いても良い。
【0035】
【物性値の評価方法】
(1)ポリエステルの極限粘度
ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25℃において測定した。
【0036】
(2)フィルムの表面粗さ(Ra)
JIS−B0601に従い、小坂研究所製の高精度薄膜段差計ET−10を用いて測定した。測定条件は、針圧5mg、測定長1mm、カットオフ0.08mmとした。なお、各パラメータの定義は、例えば奈良治郎著「表面粗さ評価法」(総合技術センター、1983)などに示されているものである。
【0037】
(3)熱収縮応力
真空理工株式会社製の熱機械特性試験機TM−9200を用い、5mm幅、20mm長のサンプルを、昇温速度5℃/分の条件で加熱し、試料の初期長を保つために必要な力を測定した。初期状態において試料をたるみなく張るために、天秤がバランスした状態からさらに0.1Nの初期荷重をかけた。この状態の試料長を初期長とし、この時の荷重を基準として0Nと見なし、測定を行った。
【0038】
(4)熱処理ピーク温度
パーキンエルマー社製の示差走査カロリメータDSC−7を用いた。ポリエステルフィルムを10mg採取して試料とし、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、測定を行った。熱処理を行ったフィルムは、融点のピークよりも低い温度に融点とは異なる小さい吸熱ピークが認められる。このピーク温度を読み取り、熱処理ピーク温度Tmetaとする。Tmetaが融点に近く、融点ピークの肩にある場合は、融点ピークと熱処理ピークをチャート上で分離し、熱処理ピークのピーク温度を読み取った。
【0039】
(5)加熱収縮率
JIS−C2318に従い測定した。すなわち、測定方向に合わせ幅10mm、長さ300mmに採取した被測定フィルムを、23℃60%RHの雰囲気に30分以上放置し、その雰囲気下で、被測定フィルム上に間隔約200mmで2点の印を付ける。この2点の間隔を正確に測定し、L0(mm)とする。次に、150℃に加熱された熱風オーブン中に、このサンプルを30分間放置後、取り出して23℃60%RHの雰囲気下で冷却、調湿後、先程の2点の間隔を再度測定し、L(mm)とする。ここで、熱収縮率を、熱収縮率(%)=(L0−L)/L0×100とした。
【0040】
(6)コンデンサの製造
ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8.0mm、マージン部の幅1.0mmの繰り返し)。次に各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅4.5mmのテープ状に巻き取りリールにした。得られたリールの左マージンおよび右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部より0.5mmはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、静電容量約0.04μFの巻回体を得た。素子巻回には皆藤製作所製KAW−4NHBを用いた。この巻回体から芯材を抜いて、そのまま150℃、1MPaの温度圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデンサ素子を得た。
【0041】
(7)高温ライフ特性
上記の方法によって製造したコンデンサに、125℃、1000時間の熱処理を行い、その前後の誘電正接tanδを測定して、その劣化の程度を変化率=(tanδ[処理後]−tanδ[処理前])/tanδ[処理前]×100(%)で表す。50個の素子についての平均値をもって測定値とした。コンデンサ素子のtanδの測定は、上記の方法により製造したコンデンサを20℃、60%RHの雰囲気下で3時間以上放置した後、20℃雰囲気下において安藤電気社製LCRメータTYPE AG−4311を用いて、1000kHzにおけるtanδを測定した。測定電圧は1.0Vとした。変化率が+15%以下を良好、+15%を超えるものを不良とした。
【0042】
(8)絶縁破壊電圧
JIS−C2318に従って測定した。すなわち、陰極に厚み100μm、10cm角アルミ箔電極、陽極に真鋳製25mmφ、500gの電極を用い、この間にフィルムをはさみ、春日製高圧直流電源を用いて100V/秒の割合で昇圧しながら印加し、10mA以上の電流が流れた場合を絶縁破壊したものとし、これを30回測定し、その平均値の電圧で示した。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0044】
実施例1
熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.60)を用い、180℃で真空乾燥し、押出機に供給して290℃で溶融させた後Tダイよりシートを吐出させ、冷却ドラムにてキャストした。このフィルムを90℃に加熱し、長手方向に3.5倍延伸し、100℃に加熱して幅方向に3.6倍に延伸し、引き続き230℃で4%弛緩処理をした。その後50℃で長手方向に1.005倍再延伸し、5.4μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0045】
これを片面金属化フィルムとした後、巻回してコンデンサを得た。このコンデンサの125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+5.0%と非常に良好であった。
【0046】
実施例2
5%弛緩処理を235℃で行い、弛緩処理後に80℃で長手方向に1.01倍再延伸する以外は実施例1と同様のフィルムを得た。
【0047】
このフィルムを用いたコンデンサの125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+1.9%と非常に良好であった。
【0048】
実施例3
弛緩処理後の再延伸を1.003倍にする以外は実施例1と同様のフィルムを得、コンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+5.1%と非常に良好であった。
【0049】
実施例4
キャストした後の長手方向の延伸を3.8倍とし、弛緩処理を227℃で2%とする以外は、実施例1と同様のフィルムを得、コンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+8.3%と良好であった。
【0050】
実施例5
弛緩処理後の再延伸を、80℃で1.015倍とする以外は実施例2と同様のフィルムを得、コンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+4.9%と良好であった。
【0051】
実施例6
大日本インキ化学工業株式会社製ポリエステル系ポリウレタン樹脂“ハイドラン”HW350を、長手方向に延伸した後にフィルムの両面に0.15μmずつプライマー層として塗布した以外は、実施例1と同様のフィルムを得た。これを用いてコンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+9.1%と良好であった。
【0052】
比較例1
縦延伸倍率を3.8倍とし、4%弛緩処理を222℃で行い、弛緩処理後の再延伸を1.01倍とする以外は、実施例1と同様のフィルムを得、コンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+20.2%であり、不良であった。
【0053】
比較例2
弛緩処理後の再延伸を行わない以外は、比較例1と同様のフィルムを得、コンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+28.1%であり、不良であった。
【0054】
比較例3
弛緩処理後の再延伸を、90℃で1.015倍とする以外は、実施例1と同様のフィルムを得、コンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+18.5%であり、不良であった。
【0055】
比較例4
ポリエステル系ポリウレタン樹脂“ハイドラン”HW350を、長手方向に延伸した後にフィルムの両面に0.15μmづつプライマー層として塗布した以外は比較例1と同様のフィルムを得、コンデンサを作製した。125℃、1000時間熱処理後のtanδ変化率は+38.5%であり不良であった。
【0056】
【表1】
Figure 0003718929
【0057】
【発明の効果】
本発明は、従来のコンデンサ用ポリエステルフィルムに比べ、プライマー層の有無にかかわらず、高温ライフ性、ひいては耐電流性の良好なコンデンサ用ポリエステルフィルムが得られるものである。

Claims (7)

  1. 130℃における長手方向の熱収縮応力σ(130) が0.93.3MPaであり、170〜250℃の範囲における長手方向の熱収縮応力の最大値σmaxが2.13.3MPaであることを特徴とするコンデンサ用ポリエステルフィルム。
  2. 少なくとも片面にプライマー層を有する請求項に記載のコンデンサ用ポリエステルフィルム。
  3. 150℃における加熱収縮率が長手方向について0.71.8%、幅方向について0.7%である請求項1又は2に記載のコンデンサ用ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリエステルフィルムの片面もしくは両面を金属化してなるコンデンサ用金属化ポリエステルフィルム。
  5. 長手方向の熱収縮応力が20〜130℃の範囲において0〜MPaである請求項に記載のコンデンサ用金属化ポリエステルフィルム。
  6. 金属化ポリエステルフィルムの150℃における加熱収縮率が長手方向について0.71.8%、幅方向について0.7%である請求項4又は5に記載のコンデンサ用金属化ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いてなる金属化フィルムコンデンサ。
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