JP3717271B2 - 可変速プーリの偏心リング - Google Patents

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  • Braking Arrangements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変速プーリの偏心リングに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、ベルトの接触径を変化できるようにした可変速プーリとして、プーリのV溝に嵌められた偏心リングに平ベルトが巻き掛けてあるタイプが提供されている。このタイプの可変速プーリでは、偏心リングとV溝を形成する部材との間でトルク伝達を行うが、両者間の接触部の面積が狭いので、面圧が非常に高くなる。また、上述の接触部においては、トルク伝達のための転がり運動と、偏心のための滑り運動とが混在した複雑な接触状態が存在する。
【0003】
これに対して、従来、偏心リングを構成する材料として、金属を用いていたので、焼き付きを生じたり、V溝を形成する部材の摩耗が大きくなる等の問題があった。
また、この問題に対して、偏心リングに樹脂を用いることが考えられる。偏心リングに一般の樹脂を用いた場合には、偏心リングの摩耗が大きくなったり、また、摩擦が不安定となる結果、伝達トルクが安定しなかったり、さらには、接触部が溶融してしまう場合も考えられる。
【0004】
言い換えると、偏心リングに用いる樹脂成形体としては、自身は耐摩耗性に優れているにもかかわらず相手部材への攻撃性は緩やかであり、しかも、温度にかかわらず安定した適度な摩擦係数を持つことが要求されることになる。
ところで、近年、自動車部品の小型軽量化、低コスト化が進行するのに伴って、従来は金属製のものが主であったプーリが樹脂製のものに置き換えられつつあり、一般のプーリに関しても、上述の偏心リングと同様の課題があった。
【0005】
このような課題を解決するために、フェノール樹脂に、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材およびグラファイトを配合した樹脂材料を成形した動力伝達部材が考えられている(例えば、本願出願人等の先願、特願平8─230573号参照)。本願出願人は、この動力伝達部材を上述の偏心リングに適用したところ、この動力伝達部材の強度が不足する場合に遭遇した。このような場合、補強用金属部材を上述の樹脂材料中に埋設することが考えられる。しかしながら、補強用金属部材を埋設すると、補強用金属部材の製造コストがかかる上に、補強用金属部材を埋設するために樹脂成形の成形コストも上昇してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、摩耗し難くしかも相手材への攻撃性が小さく且つ温度的に安定した適度な摩擦係数を持つうえに、高強度で安価に製作できる樹脂製の可変速プーリの偏心リングを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、可変速プーリの偏心リングであって、その外周面にベルトへの伝動面を有して可変速プーリのV溝間に配置され、上記V溝を区画する一対のV溝形成体の斜面に対して可変速プーリの回転方向の転がり運動と可変速プーリの径方向の滑り運動とが混在した接触状態で接触し、その全体が、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材およびグラファイトを配合し混練した樹脂材料を成形してなり、上記樹脂材料中における、炭素繊維の含有割合は芳香族ポリアミド繊維の含有割合よりも多いことを特徴とする。
また、本発明は、可変速プーリの偏心リングであって、その外周面にベルトへの伝動面を有して可変速プーリのV溝間に配置され、上記V溝を区画する一対のV溝形成体の斜面に対して可変速プーリの回転方向の転がり運動と可変速プーリの径方向の滑り運動とが混在した接触状態で接触し、その全体が、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材およびグラファイトを配合し混練した樹脂材料を成形してなり、上記樹脂材料中の、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材およびグラファイトの含有割合が、炭素繊維:5〜30重量%、芳香族ポリアミド繊維:5〜15重量%、非線形無機充填材:5〜20重量%、グラファイト:10〜15重量%の範囲にあり、且つ上記樹脂材料中における、炭素繊維の含有割合は芳香族ポリアミド繊維の含有割合よりも多いことを特徴としてもよい。
また、本発明は、可変速プーリの偏心リングであって、その外周面にベルトへの伝動面を有して可変速プーリのV溝間に配置され、上記V溝を区画する一対のV溝形成体の斜面に対して可変速プーリの回転方向の転がり運動と可変速プーリの径方向の滑り運動とが混在した接触状態で接触し、その全体が、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、タルクおよびグラファイトを配合し混練した樹脂材料を成形してなり、上記樹脂材料中の炭素繊維の含有割合が5〜30重量%とされ、且つ芳香族ポリアミド繊維の含有割合よりも多く、上記樹脂材料中の芳香族ポリアミド繊維の含有割合が5〜15重量%とされ、上記樹脂材料中のグラファイトの含有割合が10〜15重量%とされ、上記樹脂材料中のタルクの含有割合が5〜20重量%とされ、摩擦係数を0.2〜0.4にするようにされていることを特徴としてもよい。
フェノール樹脂は、耐熱性、剛性が優れ、且つ高温下においても溶融軟化しないという利点を有するものの、脆く、また、本質的に摩擦係数が極めて高いため滑りを有するところで用いることが困難である。そこで、フェノール樹脂の脆さを改善するために補強材として炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維を用い、摺動性向上のために固体潤滑材としてグラファイトを用いた。
【0008】
上述の炭素繊維は、補強材として機械的強度の向上に寄与する。炭素繊維としては、東レ社製の商品名トレカを例示することができる。樹脂材料中での炭素繊維の含有割合としては、5重量%未満では強度不足で割れ等を生じるおそれがあり、30重量%を超えると硬くなり過ぎて相手部材を摩耗させてしまうことから、5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0009】
上述の芳香族ポリアミド繊維は、補強材として機械的強度の向上に寄与するばかりでなく、耐摩耗性の向上にも大きな効果を発揮し、さらに、従来のガラス繊維や炭素繊維に見られるような、相手部材を摩耗させる作用も少ない。芳香族ポリアミド繊維としては、デュポン社製の商品名ケブラーや商品名ノメックス、および帝人社製の商品名コーネックスを例示することができる。樹脂材料中での芳香族ポリアミド繊維の含有割合としては、5重量%未満では強度不足で割れ等を生じるおそれがあり、炭素繊維が配合されている場合に15重量%を超えても補強効果の向上は認められないことから、5〜15重量%の範囲にあることが好ましい。
【0010】
このように補強材として炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維を配合することによって、芳香族ポリアミド繊維によって相手部材の摩耗を防止しつつ、炭素繊維が芳香族ポリアミド繊維の圧縮強度の不足を補うことができるので、十分な強度、例えば、曲げ強度を得ることができる。特に、補強材として主に炭素繊維を、補助的に芳香族ポリアミド繊維を配合することによって、相手部材の摩耗を防止しつつ、十分な強度を得るのに好ましい。なお、補強材として炭素繊維のみを配合すると、相手部材を摩耗させてしまう虞があり好ましくない。また、補強材として芳香族ポリアミド繊維のみを配合すると、十分な強度、特に曲げ強度を得ることができず、好ましくない。
【0011】
上述のグラファイトとしては、例えば、CPB30(中超黒鉛工業所)がある。グラファイトの樹脂材料に対する含有割合としては、10重量%未満では滑りが悪くなり、15重量%を超えると脆くなることから10〜15重量%の範囲にあることが好ましい。
また、上述の樹脂材料中に、非線形無機充填材がさらに配合されているので、摩擦力を調整するのに好ましい。非線形無機充填材としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉末、タルク、クレー、アルミナ、マイカおよび石こうからなるグループから選ばれた少なくとも一つのものを含む。非線形無機充填材の樹脂材料中での含有割合としては、5重量%未満では摩擦が大きくなり、20重量%を超えると脆くなることから5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。特に、非線形無機充填材がタルクであれば、摩擦力の調整が行ない易い点で好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材、グラファイトを、下記の割合で、ベースレジンであるフェノール樹脂に添加、混練して成形用樹脂を調製した。
【0013】
それから、この成形用樹脂を成形し、図1に示すような可変速プーリAに適用される動力伝達部材としての偏心リング1を得た。この偏心リング1は、断面略台形形状の円環状をしており、外周面に平ベルトBへの伝動面1aを形成している。この伝動面1aには、平ベルト側と噛み合う複数の凹溝が周方向に沿って形成されている。この偏心リング1は、互いの間の間隔を調整自在な一対のV溝形成体2,3間に区画されるV溝4に嵌められている。偏心リング1の両周側面にそれぞれ形成されたテーパ面1b,1cが、各V溝形成体2,3の斜面2a,3aにそれぞれ接するようになっている。このテーパ面1b,1cが、トルク伝達のための転がり運動と、偏心のための滑り運動とが混在した非常に複雑な接触状態が存在する部分となる。
【0014】
上述の可変速プーリAでは、エンジンにより駆動される筒状の回転軸5の周囲に互いに逆ねじで且つ同一ピッチのねじ部6,7を形成している。上述のV溝形成体2,3は、それぞれ上述のねじ部6,7にねじ嵌合されて、且つ両V溝形成体2,3は凹凸嵌合により互いに一体回転可能に連結されている。また、8は、両V溝形成体2,3が互いに近接する方向に付勢する皿ばねである。この可変速プーリAでは、ベルトの張力を増加させることにより、偏心リング1を回転軸5の軸線5aから偏心させ、ベルトの接触径を変化させるものである。
【0015】
上述の炭素繊維は、補強材として機械的強度の向上に寄与する。樹脂材料中での炭素繊維の含有割合としては、5〜30重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは10〜20重量%の範囲であり、さらに好ましくは15重量%がよい。これは、5重量%未満では強度不足で割れ等を生じるおそれがあり、30重量%を超えると硬くなり過ぎて相手部材を摩耗させてしまうからである。炭素繊維としては、東レ社製の商品名トレカを例示することができる。
【0016】
上述の芳香族ポリアミド繊維は、補強材として機械的強度の向上に寄与するばかりでなく、耐摩耗性の向上にも大きな効果を発揮し、さらに、従来のガラス繊維や炭素繊維に見られるような、相手部材を摩耗させる作用も少ない。樹脂材料中での芳香族ポリアミド繊維の含有割合としては、5〜15重量%の範囲にあることが好ましい。これは、5重量%未満では強度不足で割れ等を生じるおそれがあり、炭素繊維が配合されている場合に15重量%を超えても補強効果の向上は認められないからである。芳香族ポリアミド繊維としては、デュポン社製の商品名ケブラーや商品名ノメックス、および帝人社製の商品名コーネックスを例示することができる。
【0017】
このように補強材として炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維を配合することによって、芳香族ポリアミド繊維によって相手部材の摩耗を防止しつつ、炭素繊維が芳香族ポリアミド繊維の圧縮強度の不足を補うことができるので、十分な強度、例えば、曲げ強度を得ることができる。特に、補強材として主に炭素繊維を、補助的に芳香族ポリアミド繊維を配合することによって、相手部材の摩耗を防止しつつ、十分な強度を得るのに好ましい。なお、補強材として炭素繊維のみを配合すると、相手部材を摩耗させてしまう虞があり好ましくない。また、補強材として芳香族ポリアミド繊維のみを配合すると、十分な強度、特に曲げ強度を得ることができず、好ましくない。
【0018】
摺動性を高めて耐摩耗性を向上させるための添加剤として用いるグラファイトとしては、例えば、CPB30(中超黒鉛工業所)がある。グラファイトの樹脂材料に対する含有割合としては、10〜15重量%の範囲にあることが好ましい。これは、10重量%未満では滑りが悪くなり、15重量%を超えると脆くなるからである。
【0019】
また、上述の非線形無機充填材としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉末、タルク、クレー、アルミナ、マイカおよび石こうからなるグループから選ばれた少なくとも一つのものを含む。非線形無機充填材の樹脂材料中での含有割合としては、5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。これは、5重量%未満では摩擦が大きくなり、20重量%を超えると脆くなるからである。特に、上述の非線形無機充填材がタルクであれば、摩擦力の調整が行ない易い点で好ましい。
【0020】
本実施形態では、樹脂材料として、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維およびグラファイトを配合したものを用いているので、成形体としては、自身は、高強度且つ耐摩耗性に優れているにもかかわらず相手部材への攻撃性は緩やかであり、しかも、温度にかかわらず安定した摩擦係数を持つことになる。従って、偏心リングのようなベルト案内部材(動力伝達部材)への適用に適している。
【0021】
また、フェノール樹脂への炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維およびグラファイトの配合割合を、炭素繊維:5〜30重量%、芳香族ポリアミド繊維:5〜15重量%、およびグラファイト:10〜15重量%の範囲とすることにより、耐摩耗性をより向上させ、摩擦係数をより安定させることができる。
特に、高強度の偏心リングを得ることができるので、補強用金属部材を偏心リングの樹脂材料中に埋設する必要がない。その結果、補強用金属部材を樹脂材料中に埋設した偏心リングに比較して、軽量な偏心リング1とすることができるので、偏心リング1を上述のように偏心させるときに遠心力の影響を少なくでき、その結果、偏心リング1の振動を抑制することができる。従って、安定して動作することのできる可変速プーリAとすることができる。
【0022】
また、上述の樹脂材料中に、非線形無機充填材がさらに配合されているので、摩擦力を調整するのに好ましく、成形体は適度な摩擦係数を持つことになる。非線形無機充填材の樹脂材料中での含有割合としては、5〜20重量%の範囲にあることが好ましく、特に、非線形無機充填材がタルクであれば、摩擦力の調整を行い易い。
【0023】
また本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。
【0024】
【実施例】
実施例1〜および比較例1〜6。
ベースレジンであるノボラック型のフェノール樹脂に、各種充填材を表1に示す割合で添加、混練して成形用樹脂を調製した後、この成形用樹脂を成形し、実施例1〜および比較例1〜の偏心リングを得た。
【0025】
実施例1〜および比較例1,2,6は、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、グラファイトおよびタルクを充填したものである。比較例3は、芳香族ポリアミド繊維、グラファイトおよびタルクを充填したものである。比較例4は、炭素繊維、グラファイトおよびタルクを充填したものである。比較例5は、炭素繊維および芳香族ポリアミド繊維を充填したものである。なお、表1では、芳香族ポリアミド繊維をアラミドFと表し、炭素繊維をカーボンFと表した。
【0026】
【表1】
Figure 0003717271
【0027】
上述の実施例1〜および比較例1〜の偏心リングを、可変速プーリに用いて、耐摩耗性、試料温度、摩擦係数、相手攻撃性および振動について評価試験を行った。また、曲げ強度試験を行った。これらの試験の結果、表1に示す結果を得た。なお、試験は異なる周速を持つ2枚のディスクにおいて、互いの外周部を押し付け、接触点に強制的にすべりを発生させて行ない、ディスクの試料温度、摩擦係数、振動を測定した。また、ディスクの摩耗量を測定することで、耐摩耗性、相手攻撃性を評価した。また、偏心リングの一部を試料片として、曲げ強度を測定した。
【0028】
試験結果における判断基準は、耐摩耗性では、ディスク摩耗なしを○とし、摩耗発生を×とした。試料温度では、60°C以下を○とし、60°Cを超える場合を×とした。
また、摩擦係数では、0.2〜0.4で変動がない場合を○とし、それ以外を×とした。相手攻撃性では、相手ディスクの摩耗がない場合を○とし、摩耗発生を×とした。振動では、振動が発生した場合を×とした。
【0029】
また、曲げ強度では、85MPa以上を◎、85MPa未満75MPa以上を○、75MPaに達しない場合を×とした。なお、偏心リングとして必要な曲げ強度は75MPa以上である。
表1の試験結果から下記のことが判明した。
(1) 実施例1〜の試験結果から、炭素繊維が5〜30重量%、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)が5〜15重量%、グラファイトが10〜15重量%、非線形無機充填材が5〜20重量%であれば、耐摩耗性、試料温度、摩擦係数、相手攻撃性、振動および曲げ強度の全ての点で良好であった。
【0030】
(2) 比較例1では、炭素繊維が35重量%と多く、アラミド繊維が3重量%と少なく含まれており、曲げ強度は全く問題ないが、炭素繊維が35重量%と多く含まれているため、相手攻撃性が大となる。しかも、グラファイトは18重量%と多く且つタルクが3重量%と少ないために、摩擦係数が低くなり過ぎる。
(3) 比較例2では、炭素繊維が3重量%と少なく、アラミド繊維が18重量%と多く含まれているが、曲げ強度不足となった。また、タルクが23重量%と多いために、脆く強度不足となった。また、アラミド繊維が18重量%と多く含まれているが、炭素繊維ほどの補強効果がなく、強度不足となった。また、グラファイトが8重量%と少ないために摩擦係数が大きくなって試料温度が上昇して不良となり、また、振動も生じた。
【0031】
(4) 比較例3では、アラミド繊維が20重量%と多く含まれていたが、炭素繊維が含まれていないために、曲げ強度が不足していた。
(5) 比較例4では、炭素繊維が35重量%と多く含まれ、アラミド繊維が含まれていないが、強度的には問題ない。しかし、炭素繊維が35重量%と多く含まれているため、相手攻撃性が大となる。
【0032】
(6) 比較例5では、炭素繊維およびアラミド繊維は、それぞれ好ましい範囲にあり、強度的には問題ないが、グラファイトおよびタルクが含まれていないために、摩擦係数が大きくなって試料温度が上昇して不良となり、また、振動も生じた。
【0033】
【発明の効果】
このように、本発明では、樹脂材料として、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、およびグラファイトを配合したものを用いているので、成形体としては、自身は、高強度であり、且つ耐摩耗性に優れているにもかかわらず相手部材への攻撃性は緩やかであり、しかも、温度にかかわらず安定した摩擦係数を持つことになる。従って、偏心リングの適用に適している。
【0034】
また、フェノール樹脂への炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維およびグラファイトの配合割合を、炭素繊維:5〜30重量%、芳香族ポリアミド繊維:5〜15重量%、グラファイト:10〜15重量%の範囲とすることにより、耐摩耗性をより向上させ、摩擦係数をより安定させることができる。
また、上述の樹脂材料中に、非線形無機充填材がさらに配合されているので、摩擦力を調整するのに好ましく、成形体は適度な摩擦係数を持つことになる。非線形無機充填材の樹脂材料中での含有割合としては、5〜20重量%の範囲にあることが好ましく、特に、非線形無機充填材がタルクであれば、摩擦力の調整を行い易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の動力伝達部材としての偏心リングを含む可変速プーリの断面図である。
【符号の説明】
1 偏心リング
1a 伝動面
2,3 V溝形成体
2a,3a 斜面
4 V溝
A 可変速プーリ
B 平ベルト(ベルト)

Claims (3)

  1. 可変速プーリの偏心リングであって、
    その外周面にベルトへの伝動面を有して可変速プーリのV溝間に配置され、
    上記V溝を区画する一対のV溝形成体の斜面に対して可変速プーリの回転方向の転がり運動と可変速プーリの径方向の滑り運動とが混在した接触状態で接触し、
    その全体が、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材およびグラファイトを配合し混練した樹脂材料を成形してなり、
    上記樹脂材料中における、炭素繊維の含有割合は芳香族ポリアミド繊維の含有割合よりも多いことを特徴とする可変速プーリの偏心リング。
  2. 可変速プーリの偏心リングであって、
    その外周面にベルトへの伝動面を有して可変速プーリのV溝間に配置され、
    上記V溝を区画する一対のV溝形成体の斜面に対して可変速プーリの回転方向の転がり運動と可変速プーリの径方向の滑り運動とが混在した接触状態で接触し、
    その全体が、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材およびグラファイトを配合し混練した樹脂材料を成形してなり、
    上記樹脂材料中の、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、非線形無機充填材およびグラファイトの含有割合が、
    炭素繊維:5〜30重量%、
    芳香族ポリアミド繊維:5〜15重量%、
    非線形無機充填材:5〜20重量%、
    グラファイト:10〜15重量%
    の範囲にあり、且つ上記樹脂材料中における、炭素繊維の含有割合は芳香族ポリアミド繊維の含有割合よりも多いことを特徴とする可変速プーリの偏心リング。
  3. 可変速プーリの偏心リングであって、
    その外周面にベルトへの伝動面を有して可変速プーリのV溝間に配置され、
    上記V溝を区画する一対のV溝形成体の斜面に対して可変速プーリの回転方向の転がり運動と可変速プーリの径方向の滑り運動とが混在した接触状態で接触し、
    その全体が、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、タルクおよびグラファイトを配合し混練した樹脂材料を成形してなり、
    上記樹脂材料中の炭素繊維の含有割合が5〜30重量%とされ、且つ芳香族ポリアミド繊維の含有割合よりも多く、
    上記樹脂材料中の芳香族ポリアミド繊維の含有割合が5〜15重量%とされ、
    上記樹脂材料中のグラファイトの含有割合が10〜15重量%とされ、
    上記樹脂材料中のタルクの含有割合が5〜20重量%とされ、摩擦係数を0.2〜0.4にするようにされていることを特徴とする可変速プーリの偏心リング。
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