JP4491286B2 - 樹脂材料、及びこれを用いた湿式無段変速機用ベルト - Google Patents

樹脂材料、及びこれを用いた湿式無段変速機用ベルト Download PDF

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Description

本発明は、湿式無段変速機用に用いられる樹脂材料、及びこれを用いた湿式無段変速機用ベルト。
自動車等に用いられる無段変速機(以下、「CVT」という場合がある。)として、ベルト式CVTの開発が進められている。ベルト式CVTは、駆動軸と従動軸とにそれぞれ取り付けられた二つのプーリと、それらプーリに巻き付けられたベルトとから構成される。ベルト式CVTにおいては、駆動軸に取り付けられたプーリが駆動されると、ベルトを介して従動軸に取り付けられたプーリへ動力が伝達される。ベルト式CVTは、駆動軸及び従動軸に取り付けられた二つのプーリの溝幅を変えることによって回転径を調整し、無段階の変速を可能としている。
ベルト式CVTには、湿式と乾式とがある。湿式のCVTでは、ベルトとプーリとがともに金属製のものが用いられる。湿式のCVTは、ベルトとプーリとの接触面の摩耗や焼付きを抑制するために、潤滑油の供給下で使用される。湿式の場合、使用時に潤滑油が供給されるため、ベルト及びプーリの摩耗が少ないという利点がある。このことから、湿式のCVTは、信頼性及び耐久性が高い。しかし、ベルトとプーリとの間には潤滑油が存在するため、両者間の摩擦係数(μ)が0.1程度と小さくなってしまう。このため、ベルトとプーリとの間の動力の伝達に必要な摩擦力を生じさせるためには、プーリの挟圧力を大きくする必要がある。即ち、湿式のCVTでは、大きな挟圧力を必要とするため、動力損失が大きいという問題がある。
これに対し、乾式のCVTでは、非金属材料を使用したベルトが用いられており、使用時に潤滑油を用いないため、ベルト及びプーリ間の摩擦係数(μ)が0.2以上と大きくなる。このため、乾式のCVTでは大きな挟圧力を必要とせず、動力損失を小さくできるという利点がある。しかし、乾式のCVTではベルトとプーリとの間に潤滑油が存在しないため、両者の摩耗が大きくなり耐久性が低下してしまう。このことから、現状の乾式CVTでは、実質的に耐摩耗性の限界から高圧面条件に使用できず、軽自動車クラスの低出力車のみへの適用に限られていた。
これに対し、乾式のCVTとして、ベルト及びプーリの耐摩耗性向上を目的とする技術が研究されている。このような技術としては、例えば、ベルトを構成するブロックにおけるプーリとの接触面を、炭素繊維とアラミド繊維とを含むフェノール系樹脂で成形したベルトが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ベルトを構成するブロックのプーリ接触面を炭素繊維とチタン酸カリウム繊維とを含むフェノール樹脂で被覆したベルトが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、このような炭素繊維配合材料を湿式のCVTに用いると、炭素繊維の潤滑性から、湿式条件においては摩擦係数(μ)が不足してしまう。
また、摩擦材の摩擦係数を向上させるための摩擦調整材としてはカシューダストが知られている。カシューダストは、天然のカシューオイルを硬化させたものであり、これらを利用した湿式の摺動材料としていくつかの摩擦材が提案されている(例えば、特許文献3及び4参照。)。しかし、これら摩擦材はいずれも湿式のクラッチ等に用いること想定したものである。即ち、湿式クラッチに求められる面圧は数MPaであるのに対し、湿式ベルトCVTに求められる摺動面圧は百MPa以上と高く著しい差がある。また、両者には使用時のすべり速度条件に関しても差異があり、湿式ベルトCVTでは数百mm/s以下であるが、湿式クラッチの数十m/sと大きく異なる。これらの諸条件の違いにより、湿式ベルトCVTと湿式クラッチ材との高摩擦係数(μ)化に有効な最適組成が異なっている。
特開平8−74935号公報 特開2001−65643号公報 特開平2−26331号公報 特開2001−32869号公報
上述のように、現段階においては、高い摩擦係数(μ)を有しながら高耐摩耗性を満足しつつ、湿式CVTベルト方式に最適な樹脂材料は提供されておらず、その開発が望まれていた。
本発明は、湿式のCVTにおける前記諸問題を解決するためになされたものであり、湿式無段変速機に最適な組成を有し、ベルトとプーリとの間の摩擦係数を大きくすることができるとともに両者間における耐摩耗性が高い樹脂材料を提供することを目的とする。また、別の本発明は、前記樹脂材料を用いることで、耐摩耗性に優れ、動力損失が少なく、伝達トルク容量の大きな湿式無段変速用ベルトを提供することを目的とする。
本発明の第1の樹脂材料(以下「第1の樹脂材料」という場合がある。)は、湿式無段変速機に用いられる樹脂材料であって、母材となる樹脂と、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる硬質繊維と、を含み、前記硬質繊維の含有量が5wt%以上30wt%未満であることを特徴とする。
本発明の第1の樹脂材料に含まれる硬質繊維として含まれる、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維のビッカース硬さは、HV約1000以上である。これに対し、通常、プーリ等を形成する鋼材のビッカース硬さは、HV約600〜850である。このため、例えば、湿式無段変速機を構成するベルトのプーリ接触面を、本発明の第1の樹脂材料から形成された樹脂部により形成した場合には、樹脂材料に含まれる硬質繊維が、相手材となるプーリとの間に、微小な掘り起こしによる摩擦を生じさせる。この結果、ベルトとプーリとの間の摩擦係数(μ)が大きくなる。また、本発明の第1の樹脂材料から形成された樹脂部の表面には、微細な凹部が存在する。そのため、湿式無段変速機の使用時における、高すべり速度領域、低荷重領域等のベルト/プーリ間に油膜が形成され易い条件であっても、固体接触を確保でき、大きな摩擦係数を維持することができる。特に、樹脂材料に含まれる硬質繊維の繊維径が大きい場合には、硬質繊維は、樹脂部の表面から内部へ埋没し難い。また、摩擦による硬質繊維の脱落も抑制される。そのため、樹脂材料に含まれる硬質繊維の繊維径が大きい場合には、ベルト/プーリ間の摩擦係数が大きいという良好な摩擦特性を安定して得られる。更に、硬質繊維は相手材であるプーリに対して硬質であることから、本発明の樹脂材料から形成された樹脂部は耐摩耗性に優れる。
また、本発明の第1の樹脂材料は、硬質繊維の含有量が樹脂材料全体に対して、5wt%以上30wt%未満である。このため、低コストでありながら、高い性能を発揮することができる。
従って、湿式無段変速機において、ベルトとプーリとが接触する面を本発明の樹脂材料から形成された樹脂部によって形成することによって、ベルトとプーリとの間の摩擦係数(μ)を大きくすることができ、更に、ベルト及びプーリとの摩耗をも抑制することができる。
本発明の第2の樹脂材料(以下、「第2の樹脂材料」という場合がある。)は、湿式無段変速機に用いられる樹脂材料であって、母材となる樹脂と、カシューダストと、繊維と、を含み、前記カシューダストの含有量が53wt%未満であることを特徴とする。
本発明の第2の樹脂材料は、樹脂中にカシューダストと繊維とを含有した複合材料である。該繊維としては、無機繊維を用いることができ、更には硬質繊維を用いることができる。本発明の第2の樹脂材料は、係るカシューダストの存在により、樹脂部を形成した際、樹脂部表面に露出したカシューダストの表面の微小な凹部によって摩擦係数(μ)を高めることができる。本発明の第2の樹脂材料によれば、係る効果と上述の第1の樹脂材料における硬質繊維から奏される耐摩耗性向上という効果とが相俟って、耐摩耗性に優れながら高い摩擦係数(μ)を発揮することができる。また、本発明の第2の樹脂材料によれば、カシューダストの含有量が特定の範囲に限定されているため、効果的にカシューダストの効果を発揮することができる。カシューダストの含有量が53wt%を超えると、樹脂材料組成物を混練することができない。前記カシューダストの含有量としては、2wt%以上が好ましく、4wt%以上が更に好ましい。
本発明の第2の樹脂材料は、前記カシューダストとして硬質カシューダストを用いることができる。本発明において「硬質カシューダスト」とは、ビッカース硬さHVが8を超えるものを意味する。市販されているカシューダストの標準品はビッカース硬さHVがおよそ8程度である。硬質カシューダスト(好ましくはHV10以上、特に好ましくはHV15以上のカシューダスト)を用いた樹脂材料は、標準品を用いた場合に比してすべり速度の増加に伴う摩擦係数(μ)の低下割合が小さい。特に硬質カシューダストを用いた樹脂材料は、この摩擦係数(μ)の速度依存性(即ち、摩擦係数(μ)−すべり速度特性(v)の負勾配性)が従来の湿式CVTベルト用金属材料よりも小さい。このため、本発明の第2の樹脂材料は、硬質カシューダストを用いることで、低速度域から増速した場合であっても、高い摩擦係数(μ)を安定して維持することができる。
本発明の第2の樹脂材料は、平面形状の算術平均粗さ(Ra)が0.06μm以上のカシューダストを用いるのが好ましい。更に、本発明の第2の樹脂材料は、断続的な凹凸形状であり、頂部の長さが20μm以下であるカシューダストを用いることが好ましい。これらのような表面形状を有するカシューダストを用いることにより、摩擦係数(μ)を高く維持することができると共に、摩擦係数の速度依存性を低下させることができる。これは、カシューダスト表面における凹凸部の高低差が大きく断続的であるほど、接触面における油膜を排除しやすく、これによりプーリの接触面との固体接触を維持しやすいためであると考えられる。
本明細書において「算術平均粗さ(Ra)」とは、電子線三次元粗さ解析装置によって測定した結果を用い、JIS B0601−1994の計算方法に従って算出された値である。前記電子線三次元粗さ解析装置としては、例えば、「ERA-8000」ELIONIX社製を用いることができる。「断続的な凹凸形状」とは、ベルト摺動方向と平行する方向の凸部形状が連続しておらず、部分的に切れている状態を意味する。また、「頂部の長さが20μm以下」とは、ベルト摺動方向と平行する方向の凸部形状の凸部形状の幅の平均値が20μm以下であることを意味する。上記凸部のベルト摺動方向と直交する方向の幅は、好ましくは、10μm以下、更に好ましくは5μm以下の凸部が連続することで凹凸形状を構成している状態が好ましい。
本発明の第2の樹脂材料は、繊維として無機繊維を用いることができ、更には、無機繊維としてアルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる硬質繊維を用いることができる。本発明の第2の樹脂材料によれば、上述の第1の樹脂材料と同様に、ビッカース硬さが高い繊維を用いることで、高い摩擦係数(μ)を発揮することができるとともに耐摩耗性を発揮することができる。
本発明の第2の樹脂材料においては、前記繊維の含有量を5wt%以上80wt%とすることが好ましい。本発明の第2の樹脂材料は、前記繊維の含有量を上述の範囲にすると十分に摩擦係数(μ)を向上させることができると共に、耐摩耗性も高い。
本発明の第1及び第2の樹脂材料においては、前記樹脂の含有量を18.5wt%以上93.5wt%以下とすることが好ましく、また、前記樹脂として熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、本発明の湿式無段変速機用ベルトは、プーリのプーリ側接触面と接触して動力伝達を行う複数のブロックと前記ブロックを係止するフープとを備え、前記ブロックが、金属製の基体と、前記基体の少なくとも一部を被覆し、上述の本発明の樹脂材料からなる樹脂部と、を有し、前記プーリ側接触面と接触するブロック側接触面の少なくとも一部が前記樹脂部で形成されたことを特徴とする。
本発明の湿式無段変速機用ベルトは、フープとブロックとから構成される。ベルトは、ブロックにおけるプーリとの接触面によりプーリと接触する。ここで、「プーリ側接触面」とは、プーリにおけるブロックとの接触面を意味する。また、「ブロック側接触面」とは、ブロックにおけるプーリとの接触面を意味する。本発明の湿式無段変速機用ベルトにおいては、対向するプーリ側接触面とブロック側接触面とが接触することによって動力が伝達される。本発明の湿式無段変速機用ベルトは、動力伝達が行われるブロック側接触面の少なくとも一部が、上述の本発明の第1及び第2の樹脂材料(以下、これらを「本発明の樹脂材料」という場合がある。)のいずれかによって形成された樹脂部で形成されている。この際、ブロック側接触面の一部のみが本発明の樹脂材料から形成された樹脂部で形成された態様でもよいし、ブロック側接触面の全てが本発明の樹脂材料から形成された樹脂部で形成されている態様でもよい。また、ブロック全体が本発明の樹脂材料から形成された樹脂部で被覆されている態様であってもよい。
通常、湿式無段変速機におけるプーリとブロックとの接触面圧は、百MPa以上と大きい。また、すべり速度条件は、数十〜数百mm/s程度となる。本発明の湿式無段変速機用ベルトは、ブロック側接触面の少なくとも一部を、本発明の樹脂材料から形成された樹脂部で形成することで、前記高接触面圧条件においても、ブロックとプーリとの間、換言すれば、ベルトとプーリとの間の摩擦係数(μ)を大きくすることができる。また、高すべり速度領域、低荷重領域等のベルトとプーリとの間に油膜が形成されやすい条件であっても、大きな摩擦係数(μ)を維持することができ、両者の接触状態を良好に保つことができる。このように、本発明の湿式無段変速機用ベルトを用いれば、ベルトとプーリとの間の摩擦係数が増大し、伝達トルク容量が大きく耐摩耗性に優れた湿式変速機を構成することができる。
本発明によれば、湿式無段変速機に最適な組成を有し、ベルトとプーリとの間の摩擦係数を大きくすることができるとともに両者間における耐摩耗性が高い樹脂材料を提供することができる。また、別の本発明によれば、前記樹脂材料を用いることで、耐摩耗性に優れ、動力損失が少なく、伝達トルク容量の大きな湿式無段変速用ベルトを提供することができる。
以下、本発明の樹脂材料及びそれを用いた湿式無段変速機用ベルトについて詳細に説明する。なお、本発明の樹脂材料及びそれを用いた湿式無段変速機用ベルトは、下記の実施形態に限定されるものではない。本発明の樹脂材料及びそれを用いた湿式無段変速機用ベルトは、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行いうる変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
《樹脂材料》
本発明の第1の樹脂材料は、湿式無段変速機に用いられる樹脂材料であって、母材となる樹脂と、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる硬質繊維と、を含み、前記硬質繊維の含有量が5wt%以上30wt%未満であることを特徴とする。
また、本発明の第2の樹脂材料は、湿式無段変速機に用いられる樹脂材料であって、母材となる樹脂と、カシューダストと、繊維と、を含み、前記カシューダストの含有量が53wt%未満であることを特徴とする。
即ち、本発明の樹脂材料においては、繊維として、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる硬質繊維を5wt%以上30wt%未満の範囲で含有すること、若しくは、カシューダストを53wt%未満の範囲で含有すること、のいずれかを満たすことが条件となる。
〈第1の樹脂材料〉
前記母材となる樹脂は、特に限定されるものではない。耐熱性及び成形性を考慮した観点からは、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。なかでも、成形性及び硬質繊維とのなじみ性が良好であるという観点からは、フェノール樹脂を用いることが望ましい。該フェノール樹脂としては、変性あるいは未変性のノボラック、またはレゾール等が挙げられる。特に、本発明においては、カシューオイルで変性されたカシュー変性フェノール樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明の第1の樹脂材料における樹脂の含有量は、特に限定されるものではない。成形し易く、かつ、成形体の耐摩耗性を確保しつつ高摩擦係数(μ)を図る観点から、樹脂材料全体の質量に対して、樹脂の含有量を18.5wt%以上93.5wt%以下であることが好ましく、27.5wt%以上93.5wt%以下であることが更に好ましい。
本発明の第1の樹脂材料に含まれる硬質繊維は、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる。本発明においては、硬質繊維として、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維、あるいはアルミノホウケイ酸ガラス繊維を単独で使用してもよく、両者を混合して使用してもよい。
前記硬質繊維の繊維径は、特に限定されるものではない。例えば、樹脂材料を膜状に成形した場合、硬質繊維の繊維径が大きいと、樹脂部の表面から内部へ硬質繊維が埋没し難い。また、樹脂部表面の摩擦による硬質繊維の脱落も抑制される。このように、樹脂材料の成形体の摩擦特性を向上させるという観点から、硬質繊維の平均繊維径が2μmより大きい態様が好ましく、具体的には、10μm〜1mmであることが更に好ましく、10μm〜100μmであることが特に好ましい。硬質繊維の繊維径は、硬質繊維を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察して測定することができ、測定された繊維径の平均値を平均繊維径として採用することができる。
また、前記硬質繊維の繊維長は、特に限定されるものではない。樹脂と均一に混合させ易いという観点からは、硬質繊維の平均繊維長は1mm以下であることが望ましい。硬質繊維の繊維長は、前記繊維径の測定方法と同様に、硬質繊維を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察して測定し、測定された繊維長の平均値を平均繊維長として採用することができる。
本発明の第1の樹脂材料における硬質繊維の含有量は、樹脂材料全体に対して5wt%以上30wt%未満である。第1の樹脂材料において硬質繊維の含有量が5wt%未満であると前記硬質繊維の効果を十分に発揮することができない。また、本発明の効果とコスト面との兼ね合いを図る観点から第1の樹脂材料における硬質繊維の含有量は30wt%未満とされる。
本発明の第1の樹脂材料は、前記樹脂及び硬質繊維に加え、必要に応じて補強材、充填材、分散剤、離型剤、着色材等の他の材料を含んでいてもよい。前記補強材としては、後述する他の硬質繊維を用いることができる。該他の硬質繊維としては、例えば、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、炭素繊維アラミド繊維等の有機繊維;シリカ繊維、ムライト繊維、金属繊維、チタン酸カリウム繊維等の無機繊維等が挙げられる。充填材としては、アルミナ、シリカ、ムライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア等の無機粒子や挙げられる。また、カシューダストを用いてもよい。分散剤としては、各種のアルミニウムキレート剤等が挙げられる。離型剤としては、ステアリン酸力ルシウム等の各種の界面活性剤等が挙げられる。着色材としては、カーボンブラック等が挙げられる。
〈第2の樹脂材料〉
本発明の第2の樹脂材料は、カシューダストを含有する。該カシューダストとは、カシューナッツの殻から採った油分を炭化し硬化させたものである。また、摩擦係数(μ)の速度依存性を低下させて、速度の増加に伴う摩擦係数(μ)の低下を抑制する観点から、前記カシューダストとしては、硬質カシューダストを用いることが好ましい。該硬質カシューダストとは、ビッカース硬さHVが8を超えるカシューダストを意味する。前記摩擦係数(μ)の速度依存性を低下させるためには、該硬質カシューダストとして、HV10以上のカシューダストを用いるのが好ましく、HV15以上のカシューダストを用いることが更に好ましい。
また、前記カシューダストの粒径は、平均粒径φ500μm以下であることが好ましく、平均直径φ150μm以下であることが更に好ましい。また、プーリとブロックとの接触面における油膜排除、更にはそれによる固体接触を維持することによって摩擦係数(μ)の速度依存性を低下させる観点から、本発明におけるカシューダストとしては、断続的な凹凸部が摺動方向と平行に生じている表面形状を有しているものが好ましい。係る凹凸部の高低差はある程度大きいことが好ましく、更に、断続的という観点からは、その頂部(凸部)の長さがある程度小さいことが好ましい。係る観点から、前記カシューダストの表面形状の算術平均粗さ(Ra)は、0.060μm以上であることが好ましく、0.080μm以上であることが更に好ましい。また、前記算術平均粗さ(Ra)は、接触面積が小さくなりすぎて接触面圧が増大し耐摩耗性が低下することを防止する観点から、2μm以下であることが好ましい。また、前記カシューダストは、表面形状が断続的な凹凸形状であって、頂部の長さが20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが更に好ましい。尚、上述の通り、前記算術平均粗さ(Ra)とは、電子線三次元粗さ解析装置(例えば、「ERA-8000」ELIONIX社製)によって測定した結果を用い、JIS B0601−1994の計算方法に従って算出された値である。
尚、前記カシューダスト表面に形成される摺動方向と平行に形成された断続的な凹凸部は、例えば本発明の樹脂材料を樹脂部とした場合には、実際に摺動されることにより、カシューダスト表面に発現することがある。尚、この場合であっても、断続的である程度高低差のある溝(凹部)は、カシューダストのビッカース硬さが高いものほど発現しやすい。
本発明の第2の樹脂材料におけるカシューダストの含有量は、樹脂材料全体に対して53wt%未満である。カシューダストの含有量が53wt%以上であると、樹脂材料中の樹脂量が低下し、樹脂部とした際の表面形状が悪化したり、製造時において混練ができないなど、材料の成形性が低下してしまう。本発明の第2の樹脂材料におけるカシューダストの含有量として具体的には、高い摩擦係数(μ)を得る観点から、2wt%以上53wt%未満であることが好ましく、4wt%以上44wt%以下であることが更に好ましい。
本発明の第2の樹脂材料は、繊維を含む。該繊維としては、有機繊維及び無機繊維とが挙げられる。有機繊維としては、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。また、前記無機繊維としては、シリカ繊維、ムライト繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維等が挙げられる。
本発明の第2の樹脂材料においては、繊維として無機繊維を用いることができ、更には硬質繊維を用いることができる。該硬質繊維としては、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる硬質繊維であることが好ましい。該アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる硬質繊維は、上述の第1の樹脂材料における硬質繊維と同じものであり、その好ましい範囲についても同様である。
本発明の第2の樹脂材料における繊維の含有量は、樹脂全体に対して、5wt%以上80wt%未満であることが好ましく、本発明の効果とコスト面との兼ね合いを図る観点からは、5wt%以上30wt%未満であることが更に好ましい。尚、樹脂材料にカシューダストのみが含まれ繊維が含まれていないと、耐摩耗性が著しく低下してしまう。
本発明の第2の樹脂材料に用いられる母材となる樹脂としては、上述の第1の樹脂材料に用いられる樹脂と同様のもの挙げられ、好ましい範囲についても同様である。即ち、本発明の第2の樹脂材料においても前記樹脂としては、フェノール樹脂を用いることが好ましく、カシュー変性フェノール樹脂を用いることが更に好ましい。
また、前記第1の樹脂材料と同様に、本発明の第2の樹脂材料においても前記樹脂、カシューダスト及び繊維に加え、必要に応じて補強材、カシューダスト以外の充填材、分散剤、離型剤、着色材等の他の材料を含んでいてもよい。前記、補強材、充填材、分散剤、離型剤、着色材としては、上述と同様のものを用いることができる。
〈製造方法〉
以下、本発明の樹脂材料の製造方法について説明する。本発明の樹脂材料の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、樹脂、硬質繊維等の所定の材料を加熱しながら混合することで、本発明の樹脂材料を得ることができる。また、本発明の樹脂材料を基体の表面に被覆する場合には、例えば、所定の金型に基体を設置し、該金型に本発明の樹脂材料を投入後、加圧成形すればよい。また、本発明の樹脂材料を含む樹脂材料液を調製し、該樹脂材料液を基体表面に塗布あるいはスプレーし、乾燥させてもよい。
本発明の樹脂材料は、湿式無段変速機に用いられる。例えば、ベルトにおけるプーリとの接触面(ベルト側接触面)を、本発明の樹脂材料から形成された樹脂部により形成すればよい。また、プーリにおけるベルトとの接触面(プーリ側接触面)を、本発明の樹脂材料から形成された樹脂部によって形成してもよい。ベルトとプーリとが接触する面を本発明の樹脂材料から形成された樹脂部により形成することにより、ベルトとプーリとの間の摩擦係数を大きくすることができ、かつ、ベルト及びプーリの摩耗をも抑制することができる。
《湿式無段変速機用ベルト》
次に、本発明の一実施形態である湿式無段変速機用ベルトの構成について図1を用いて説明する。図1は、湿式無段変速機に組み込まれた湿式無段変速機用ベルトの概略図である。図1に示すように、湿式無段変速機1は、駆動側プーリ21と、従動側プーリ22と、ベルト3とから構成される。駆動側プーリ21は、金属製であり、駆動軸(図略)に取り付けられている。駆動側プーリ21は、対向する二つの円板体を備える。各々の円板体の対向面210は、テーパ状を呈している。従動側プーリ22は、金属製であり、従動軸(図略)に取り付けられている。従動側プーリ22は、対向する二つの円板体を備える。各々の円板体の対向面220はテーパ状を呈している。ベルト3は、駆動側プーリ21と従動側プーリ22とに巻き付けられている。ベルト3は、左右一対のフープ31と、複数のブロック32とからなる。複数のブロック32は、一対のフープ31に挟まれており、一対のフープ31の周方向に連続的に係止されている。ベルト3は、本発明の湿式無段変速機用ベルトに相当する。
図2に、ベルト3の一部(図1中、Aの部分)を拡大して示す。また、図3に、ベルト3の一部の分解図を示す。図2及び図3に示すように、ベルト3は、左右一対のフープ31と、ブロック32とからなる。一対のフープ31は、金属製の薄板が積層されて形成されている。ブロック32は、金属製の基体320と、樹脂部321とを有する。基体320は、いかり状を呈している。すなわち、基体320は、上部に三角形状の突部322を有し、左右両側に、側方に開口した一対の係合溝323を有する。この係合溝323に、フープ31の縁が挿入されることにより、ブロック32はフープ31に係止される。前記基体320のようにブロックの基体として金属製の基体を用いることは、ブロック強度の観点からも好ましい。また、基体320の両端には、樹脂部321が被覆されている。
また、前記基体320は、樹脂部321を形成する樹脂材料との密着性を確保するために、ショットブラスト、ショットピーニング等の表面処理を施すことが好ましい。更に、基体320は、シランカップリング剤塗布液等による表面処理を施すことによって、樹脂材料と基体との密着性を更に高めることができる。
図4に、ベルト3と駆動側プーリ21とが接触している状態の拡大断面図を示す。図4は、駆動側プーリ21の上部を拡大したものである。なお、ベルト3と従動側プーリ22とが接触している状態も、図4と同様の構成となる。図4に示すように、ブロック32は、係合溝323の下方に、左右一対のブロック側接触面324を持つ。一対のブロック側接触面324は、テーパ状を呈している。すなわち、一対のブロック側接触面324同士の間隔は、駆動側プーリ21の内径方向(図中、下方向)に向かって、除々に狭くなっている。
ブロック側接触面324は、前記樹脂部321により形成されている。樹脂部321は、カシュー変性フェノール樹脂とアルミノホウケイ酸ガラス繊維とを含む樹脂材料から形成されている。樹脂材料に含まれるアルミノホウケイ酸ガラス繊維としては、平均繊維径は11μmであり、平均繊維長は1mmである。樹脂材料におけるアルミノホウケイ酸ガラス繊維の合有量は28wt%であり、更に、ビッカース硬さHV20のカシューダストが35wt%含有されている。つまり、樹脂部321は、上述した本発明の樹脂材料から形成されている。
―方、駆動側プーリ21を構成する二つの円板体の対向面210も、ブロック側接触面324と同様に、テーパ状を呈している。すなわち、一対の対向面210同士の間隔も、ブロック側接触面324と同様に、駆動側プーリ21の内径方向に向かって、除々に狭くなっている。そして、各々の対向面210の一部は、各々のブロック側接触面324に接触している。対向面210のうち、ブロック側接触面324に接触している一部が、プーリ側接触面211となる。
次に、本実施形態の湿式無段変速機用ベルトにおける動力伝達機構を説明する。駆動側プーリ21が駆動され回転すると、駆動側プーリ21のプーリ側接触面211とブロック32のブロック側接触面324との接触により、ベルト3が回転し、駆動側プーリ21からベルト3へ動力が伝達される。動力は、ベルト3を介して従動側プーリ22へ伝達される。
さらに、本実施形態の湿式無段変速機用ベルトにおける変速機構を説明する。駆動側プーリ21の溝幅を広くすると、ベルト3は、対向面210のテーパ形状に沿って、駆動側プーリ21の内径方向に沈み込む。その結果、駆動側プーリ21と接触しているベルト3の回転径は小さくなる。反対に、駆動側プーリ21の溝幅を狭くすると、ベルト3は、対向面210のテーパ形状に沿って、駆動側プーリ21の外径方向に押し上げられる。その結果、駆動側プーリ21と接触しているベルト3の回転径は大きくなる。なお、駆動側プーリ21の溝幅に対応して、従動側プーリ22の溝幅も変化する。このように、プーリの溝幅を変化させることにより、ベルトの回転径が調整され、無段階の変速が可能となる。
本実施の形態では、ブロック側接触面324が、本発明の樹脂材料から形成された樹脂部321により形成されている。このため、ブロック32と、駆動側プーリ21及び従動側プーリ22との間の摩擦係数(μ)が大きい。また、ブロック32と駆動側プーリ21及び従動側プーリ22との摩耗も抑制されている。したがって、このようなブロック32を含んで構成されるベルト3を用いた湿式無段変速機は、伝達トルク容量が大きく、耐摩耗性に優れる。一方、ブロック32のうち、ブロック側接触面324を含む一部のみが樹脂部321で被覆されている。このため、ブロック32の全体を樹脂部321で被覆する態様と比較して、本実施形態のベルト3は安価となる。また、本実施形態において、樹脂材料中の硬質繊維の含有量は5wt%以上30wt%未満の範囲にあるため更に低コストで製造することができる。
本実施の形態において、ベルトを構成するブロックとして、形状がいかり状のものを用いたが、ブロックの形状は特に限定されるものではない。また、ブロック側接触面の全体を樹脂部で形成したが、ブロック側接触面の一部のみを樹脂部で形成した態様であってもよいし、ブロック全体が樹脂部で被覆されている態様であってもよい。本実施の形態では、樹脂部の形成を、金型に基体を設置し、該金型に樹脂材料を投入後、加圧成形して行った。しかし、樹脂部の形成方法は、特に限定されるものではない。例えば、本発明の樹脂材料を含む樹脂材料液を調製し、該樹脂材料液を基体表面に塗布あるいはスプレーし、乾燥させることにより、樹脂部を形成してもよい。また、樹脂部は、本発明の樹脂材料から形成されたものであれば、その組成が特に限定されるものではない。母材となる樹脂、及び硬質繊維等を適宜選択して用いればよい。
本発明について実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
《樹脂系被覆ブロック試験片の作製》
以下の手順に従って、所定割合の繊維、充填材粒子、フェノール樹脂粉末、分散剤、離型剤及び着色剤からなる樹脂径剤を金属芯金に被覆したブロック試験片を作製した。
以下、樹脂材料の製造方法として、実施例1の樹脂材料の製造方法を説明する。実施例1以外の樹脂材料は、用いた繊維、充填材粒子及び樹脂の種類、添加量が異なる以外は、実施例1の樹脂材料と同様にして製造した。なお、比較例1においては、自動車の湿式ベルトCVTに用いられるスティールベルト材(Van Doorne's Transmissie製)をそのままブロック試料片として用い、比較例2においては、乾式ベルトCVTに用いられる樹脂系ベルト材(バンドー化学(株)製)を樹脂材料として用いてブロック試料片を作製した。
実施例1の樹脂材料は、硬質繊維として、アルミナ・シリカ繊維(アルミナ含有率72wt%、平均繊維径φ5μm:以下、「アルミナ・シリカ繊維」という。)を使用した。まず、繊維と、カシュー変性フェノール樹脂粉末と、分散剤と、離型剤と、着色材とを所定量秤量、混合して混合粉末とした。分散剤には、アルミニウムキレート剤であるアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートを用い、離型剤には、ステアリン酸カルシウムを用い、着色材には、カーボンブラックを用いた。前記混合粉末を、ラボプラストミルに収容し、100℃に加熱しながら3分間混練し、樹脂材料を得た。得られた樹脂材料を、粉砕機により、粒子径が1mm以下となるように粉砕し、樹脂材料粉末とした。樹脂材料における硬質繊維の含有割合は5wt%とした。また、カシュー変性フェノール樹脂の含有割合は93.5wt%とした。
(2)ブロック試験片の作製
製造した各々の樹脂材料粉末を成形して、基体となる金属製ブロック片の表面に被覆させたブロック試験片を作製した。まず、180℃に加熱した金型に、縦2.1mm×幅7mm×高さ6mmのブロック片を設置した後、樹脂材料粉末を流し込んだ。次いで、金型を30MPa以下の圧力で加圧しながら4分間保持し、ブロック片の表面に樹脂部を形成した。ブロック片に形成された樹脂部の厚さは、摺動面(縦2.1mm×横7mm)が1mmであり、側面が0.3mmであった。次に、樹脂部が形成されたブロック片を、180℃の恒温槽に入れ、1時間保持することにより、樹脂部中の樹脂成分をアフタキェアした。ブロック片に形成された樹脂部の表面には、全組成のうち樹脂成分の割合が大きい不均一層が存在した。そのため、#1500のエメリー紙を用いて、摺動面に形成された樹脂部を厚さ方向に0.2mm研磨することにより不均一層を除去し、ブロック試験片とした。尚、硬質カシューダスト(HV20)を53wt%配合した比較例5においては、樹脂とカシューダストを混練することができず、ブロック試料片を作製できなかった。
また、下記表1〜2において「Eガラス繊維」とは、平均繊維径11μmのアルミノホウケイ酸ガラス繊維を意味する。更に「シリカ繊維」としては、東芝モノフラックス(株)製の「エンジニアードファイバーCW100/99」を使用した。また、「硬質カシューダスト(HV20)」とは、平均粒子径が150μmの硬質カシューダスト粒子(ビッカース硬さHV20)を意味する。更に、「硬質カシューダスト(HV17)」とは、平均粒子径が150μmの硬質カシューダスト粒子(ビッカース硬さHV17)を意味する。また、「カシューダスト(HV8)」とは、平均粒子径が150μmのカシューダスト粒子(ビッカース硬さHV8)を意味する。尚、カシューダストのビッカース硬さは、ブロック試験片を研磨し、ブロック表面のカシューダストを押しつけ加重9.8×10-2N(10gf)の条件で測定した。

(3)ブロック・オン・リング型試験及び摩擦特性の評価
作製したブロック試験片を用いて、ブロック・オン・リング型試験を実施した。試験は、ASTMD2714−94に準じリング試験片の約半分を100mlの潤滑油に浸漬した状態で行った。潤滑油には、ベルト式CVT用フルードとして市販されているトヨタキャスルオートフルードTC(トヨタ自動車株式会社製)を用いた。リング試験片には、FALEX Type S−10(材質:SAE4620浸炭材、外周直径:35mm、幅:8.15mm)を用いた。
ブロック試験片を、ブロック・オン・リング型試験機に設置し、荷重334N、潤滑油温100℃にて12分間のなじみ運転の後、75mm/s、125m/s、250mm/s、500mm/sの各すべり速度条件で摩擦係数(μ)を測定した。摩擦係数(μ)は、各々のすべり速度を設定した後、1分間経過した時点で測定した。また、試験前後におけるブロック試験片の高さ減少(摩耗高さ)を測定し、耐摩耗性を評価した。摩擦係数(μ)の結果については下記において適宜図面に示し、耐摩耗性については、前記表1及び2に記載した。
−摩擦係数(μ)と繊維配合量との関係−
摩擦係数(μ)と繊維配合量との関係について、実施例1〜4及び比較例1〜4の結果の一例を図5に示す。尚、図5中において点線は、基準となる比較例1の結果を示す。図5からわかるように、硬質繊維を特定量含有する本発明の樹脂材料を用いた実施例1〜4は、いずれも公知のスティール材や乾式用樹脂材料を用いた比較例1及び2に比して高い摩擦係数(μ)を示した。一方、充填材粒子及び繊維をいずれも配合していない比較例3は、耐摩耗性が確保できず、過大な摩耗を起こし測定ができなかった。
ここで、実施例1〜4と比較例4との効果については若干の差であったが、比較例4の繊維含有量が50wt%なのに対し、実施例1〜4の繊維配合量は5〜28wt%であり、配合量が少なくても高い摩擦係数(μ)を得られていることがわかる。このように繊維配合量が少なくても高い摩擦係数(μ)が得られることは、他の粒子を配合する場合やコスト面を考えるとコストと効果とのバランスがよく優位なことである。
−摩擦係数(μ)と繊維種との関係−
摩擦係数(μ)と繊維種との関係について、実施例3,5及び比較例1〜2の結果の一例を図6に示す。尚、図6中において点線は、基準となる比較例1の結果を示す。図6からわかるように、本発明におけるアルミナ・シリカ繊維又はEガラス繊維を用いた実施例3及び5は、いずれも比較例1及び2に対して、高い摩擦係数(μ)を有している。このことから、本発明におけるアルミナ・シリカ繊維又はEガラス繊維を樹脂材料に配合することで、高い摩擦係数(μ)が得られることがわかる。
−摩擦係数(μ)と充填材粒子種との関係−
摩擦係数(μ)と充填材粒子種との関係について、実施例5,10,12、参考例13、並びに、比較例1及び6の結果の一例を図7に示す。尚、図7中において点線は、基準となる比較例1の結果を示す。図7から硬質カシューダスト(HV20)とEガラス繊維とを複合配合した実施例10及び硬質カシューダスト(HV17)とEガラス繊維とを複合配合した実施例12は、比較例1や実施例5のEガラス繊維単一配合材に比べて、高い摩擦係数(μ)を示していた。また、実施例10及び12と、標準品のカシューダスト(HV8)を用いた参考例13との比較により、HV値が高い硬質カシューダストを用いると、高い摩擦係数(μ)を示すことがわかる。尚、比較例6においては高い摩擦係数(μ)を示しているが、表2からわかるように、比較例6は耐摩耗性に劣っていることがわかる。これらのことから、単一組成のものに比して、複合配合したものは、高い摩擦係数(μ)を示しながら耐摩耗性に優れることがわかる。
−摩擦係数(μ)と充填材粒子の配合量との関係−
摩擦係数(μ)と充填材粒子の配合量との関係について、実施例5〜11及び14、並びに、比較例1及び5の結果の一例を図8に示す。尚、図8中において点線は、基準となる比較例1の結果を示す。図8から、硬質カシューダスト(HV20)を4wt〜44wt%複合配合した実施例6〜11は、充填材粒子を含まない実施例5よりも高い摩擦係数(μ)を示した。これに対し、硬質カシューダスト(HV20)を2wt%複合配合した実施例14は、比較例1よりも高い摩擦係数(μ)を示すが、実施例5よりもやや劣る摩擦係数(μ)を示した。このことから、カシューダストの配合量は2wt%以上であることが好ましく、4wt%以上であることが更に好ましいことがわかる。また、カシューダストの配合量が35wt%までは、配合量の増加に伴って摩擦係数(μ)が増加したが、配合量が35wt%を超えると、摩擦係数(μ)は低下した。更に、硬質カシューダスト(HV20)を53wt%複合配合した比較例5は、樹脂とカシューダストを混練することができなかった。
−充填材粒子と摩擦係数の速度依存性(μ−v特性)との関係−
実施例5,10,12、参考例13、及び、比較例1について、充填材粒子と摩擦係数の速度依存性(μ−v特性)との関係の結果の一例を図9に示す。図9から、実施例5,10及び12は、比較例1よりもμ−v特性の負勾配性が小さいことがわかる。また、参考例13は、比較例1よりも摩擦係数(μ)が高いものの他の実施例に比してμ−v特性の負勾配性が大きかった。硬質カシューダスト(HV20)を用いた実施例10は、すべり速度が小さいときはカシューダスト(HV8)を用いた参考例13と摩擦係数(μ)が同程度であったが、すべり速度の増加に伴って摩擦係数(μ)に差が生じていた。これにより、摩擦係数(μ)の速度依存性は、HVの高いカシューダストを用いた場合の方が低いことがわかった。
−カシューダストの表面形状−
実施例10、12及び参考例13の摩擦試験後における表面形状を電子線粗さ解析装置(商品名:ERA−8000、ELIONIX社製)によって測定した結果を図10〜12に示す。尚、図10は、実施例10のカシューダスト(HV20)表面形状を、図11は、実施例12のカシューダスト(HV17)の表面形状を、図12は、参考例13のカシューダスト(HV8)の表面形状を示す。図10〜12から、実施例10及び12の硬質カシューダストの表面形状には、摺動方向と平行に生じた凹凸部の高低差が大きく、頂部の長さが20μm以下の断続的の凹凸部が形成されていた。これに対し、HV8のカシューダストを用いた参考例13の表面形状は、摺動方向と平行に生じた凹凸部の高低差が小さく、連続的な凹凸部が形成されていた。尚、各実施例のカシューダストの算術平均表面粗さ
(Ra)は、実施例10でRa=0.090μm、実施例12でRa=0.087μm、参考例13でRa=0.043μmであった。
摺動方向と平行に生じた凹凸部の高低差が大きく断続的であるほど、接触面における油膜排除、さらにはそれによる固体接触を維持することができると考えられ、また、摺動方向と平行に生じた断続的な高低差の大きい凹凸部形状が、高摩擦係数(μ)化とμ−v特性の負勾配性を小さくするものと考えられる。このため、カシューダスト表面の算術平均粗さは、約Ra=0.060μm以上、若しくは、頂部の長さが20μm以下の断続的な凹凸部が表面形状に形成されていることが好ましいことがわかる。
−耐摩耗性評価−
表1〜2からわかるように、Eガラス繊維単一配合の実施例5及び硬質カシューダスト(HV20)とEガラス繊維との複合配合の実施例10の耐摩耗性は、比較例1及び比較例2と同等であることがわかる。これに対し、粒子繊維を非配合の比較例3は、12分間のなじみ運転の間に、0.8mm厚の樹脂係被覆層が摩耗によってなくなってしまった。また、硬質カシューダスト(HV20)を単一配合した比較例6はの試験終了後の摩耗高さは、比較例1に対して非常に大きく、耐摩耗性が劣っていることがわかった。
湿式無段変速機に組み込まれた湿式無段変速機用ベルトの概略図である。 図1におけるベルトの部分拡大図である。 図1におけるベルトの部分分解図である。 図1におけるベルトと駆動側プーリとの接触している状態を示す拡大断面図である。 実施例における摩擦係数(μ)と繊維配合量との関係を示す説明図である。 実施例における摩擦係数(μ)と繊維種との関係を示す説明図である。 実施例における摩擦係数(μ)と充填材粒子種との関係を示す説明図である。 実施例における摩擦係数(μ)と充填材粒子の配合量との関係を示す説明図である。 実施例における充填材粒子と摩擦係数の速度依存性(μ−v特性)との関係を示す説明図である。 硬質カシューダスト(HV20)の表面形状を示す測定図である。 硬質カシューダスト(HV17)の表面形状を示す測定図である。 カシューダスト(HV8)の表面形状を示す測定図である。
符号の説明
1 湿式無段変速機
21 駆動側プーリ
22 従動側プーリ
210,220 対向面
211 プーリ側接触面
3 ベルト
31 フープ
32 ブロック
320 基体
321 樹脂部
322 突部
323 係合溝
324 ブロック側接触面

Claims (8)

  1. プーリと、前記プーリ側接触面と接触して動力伝達を行う複数のブロック及び前記ブロックを係止するフープを備えた湿式無段変速機用ベルトと、を備えた湿式無段変速機の前記プーリ側接触面および前記ブロック側接触面の少なくとも一部を形成する樹脂材料であって、
    母材となる熱硬化性樹脂と、ビッカース硬さHVが8を超える硬質カシューダストと、繊維と、を含み、
    前記熱硬化性樹脂の含有量が前記樹脂材料全体の質量に対し18.5wt%以上93.5wt%未満であり、前記カシューダストの含有量が前記樹脂材料全体の質量に対し53wt%未満であり、且つ、前記繊維の含有量が前記樹脂材料全体の質量に対し5wt%以上80wt%未満である樹脂材料。
  2. 前記カシューダストのビッカース硬さHVが10以上である請求項1に記載の樹脂材料。
  3. 前記カシューダストの表面形状の算術平均粗さ(Ra)が0.060μm以上である請求項1又は2に記載の樹脂材料。
  4. 前記カシューダストは、表面形状が断続的な凹凸形状であり、頂部の長さが20μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  5. 前記繊維が、無機繊維である請求項のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  6. 前記無機繊維が、アルミナを48wt%より大きな割合で含有するアルミナ・シリカ繊維及びアルミノホウケイ酸ガラス繊維の少なくとも一方からなる硬質繊維である請求項に記載の樹脂材料。
  7. 前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂材料。
  8. プーリのプーリ側接触面と接触して動力伝達を行う複数のブロックと前記ブロックを係止するフープとを備えた湿式無段変速機用ベルトであって、
    前記ブロックは、金属製の基体と、前記基体の少なくとも一部を被覆し、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂材料からなる樹脂部と、を有し、前記プーリ側接触面と接触するブロック側接触面の少なくとも一部が前記樹脂部で形成された湿式無段変速機用ベルト。
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