JP3715054B2 - 車両用アンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用アンチロックブレーキ制御装置に関し、特に、後輪ブレーキに前輪ブレーキよりも減圧したブレーキ液圧を作用せしめるようにしたアンチロックブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかるアンチロックブレーキ制御装置は、たとえば特開平1−297349号公報および特開平8−104217号公報等で既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、後輪ブレーキは、前輪ブレーキに比べて小型のものであり、ブレーキ液圧も比較的低いものであるので、前輪ブレーキに作用せしめるブレーキ液圧を後輪ブレーキにそのまま作用させたのでは、後輪ブレーキのブレーキ液圧が急激に増大することになる。このため、従来のアンチロックブレーキ制御装置では、マスタシリンダおよび後輪ブレーキ間の液圧路に絞り効果の高い単一のオリフィスが設けられており、該オリフィスにより増圧速度を緩やかにしたブレーキ液圧を後輪ブレーキに作用せしめるのが一般的である。ところが、絞り効果の高いオリフィスを用いるようにしたのでは、オリフィスのごみ詰まりが生じ易く、製造時の切粉やブレーキ液中のごみ等に充分な注意を払う必要があり、フィルタの装備が必要となったりしてオリフィスの管理が難しく、コスト上昇を招くことがある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、後輪ブレーキの急増圧を抑えるためのオリフィスが詰まることを防止してオリフィスの管理を容易とした車両用アンチロックブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、マスタシリンダの出力液圧を前輪ブレーキに作用せしめる液圧作用状態ならびに前輪ブレーキのブレーキ液圧を解放する液圧解放状態を切換可能な第1液圧制御弁手段と、前輪ブレーキよりも小型、低圧の後輪ブレーキにマスタシリンダの出力液圧を作用せしめる液圧作用状態ならびに後輪ブレーキのブレーキ液圧を解放する液圧解放状態を切換可能な第2液圧制御弁手段とを備える車両用アンチロックブレーキ制御装置において、前記マスタシリンダおよび前記前輪ブレーキ間を結ぶ第1の液圧路に、該第1の液圧路を通して前記第1液圧制御弁手段が液圧作用状態に在るときには常に該第1の液圧路を一定の絞り度で絞る第1オリフィスが設けられ、前記第1オリフィスから前記後輪ブレーキまで液圧を導く第2の液圧路に、該第2の液圧路を通して前記第2液圧制御弁手段が液圧作用状態に在るときには常に該第2の液圧路を一定の絞り度で絞る第2オリフィスが設けられることを特徴とする。
【0006】
また請求項2の発明は、マスタシリンダの出力ポートに接続される出力液圧路と、前輪ブレーキに接続された前輪ブレーキ液圧路と、前記前輪ブレーキよりも小型、低圧の後輪ブレーキに接続される後輪ブレーキ液圧路と、前記前輪ブレーキ液圧路から分岐されて前記後輪ブレーキ液圧路に接続される分岐液圧路と、アンチロックブレーキ制御時に作動するポンプと、このポンプの吸入口に接続された解放路と、前記前輪ブレーキ液圧路を前記出力液圧路に通じさせるが前記解放路から遮断して前記マスタシリンダの出力液圧を前記前輪ブレーキに作用せしめる液圧作用状態と同前輪ブレーキ液圧路を前記解放路に通じさ せるが前記出力液圧路から遮断して前記前輪ブレーキのブレーキ液圧を解放する液圧解放状態とを切換可能な第1液圧制御弁手段と、前記後輪ブレーキ液圧路を前記分岐液圧路に通じさせるが前記解放路から遮断して前記後輪ブレーキに前記マスタシリンダの出力液圧を作用せしめる液圧作用状態と同後輪ブレーキ液圧路を前記解放路に通じさせるが前記分岐液圧路から遮断して前記後輪ブレーキのブレーキ液圧を解放する液圧解放状態とを切換可能な第2液圧制御弁手段とを備え、前記ポンプの作動により、前記解放路から前記出力液圧路および前記分岐液圧路へブレーキ液を還流させる車両用アンチロックブレーキ制御装置において、前記出力液圧路および前記前輪ブレーキ液圧路を有していて前記マスタシリンダおよび前記前輪ブレーキ間を結ぶ第1の液圧路に、前記第1液圧制御弁手段が液圧作用状態に在るときには常に該第1の液圧路を一定の絞り度で絞る第1オリフィスが設けられ、前記分岐液圧路および前記後輪ブレーキ液圧路を有していて前記第1オリフィスから前記後輪ブレーキまで液圧を導く第2の液圧路に、前記第2液圧制御弁手段が液圧作用状態に在るときには常に該第2の液圧路を一定の絞り度で絞る第2オリフィスが設けられることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1又は2記載の発明の構成によれば、マスタシリンダの出力液圧を第1および第2オリフィスの2段階で絞って後輪ブレーキに作用せしめることができ、絞り効果の高い単一のオリフィスで絞るようにしたものに比べて、第1および第2オリフィスの絞り度を比較的小さく設定することが可能であり、製造時の切粉やブレーキ液中のごみが各オリフィスに詰まることを極力回避することができ、フィルタ等の装備を不要としてオリフィスの管理を容易とすることができる。
【0008】
また請求項3の発明は、請求項1又は2の前記特徴に加えて、前記第1オリフィスの絞り度が前記第2オリフィスの絞り度以下に設定されることを特徴とし、この構成により、比較的高圧が必要とされる前輪ブレーキに充分高圧のブレーキ液圧を作用せしめることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1ないし図5は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は車両用アンチロックブレーキ制御装置の構成を示す回路図、図2はブレーキ圧保持時の両電磁弁の作動タイミング及びブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図、図3は前輪ブレーキ増圧、後輪ブレーキ減圧時の両電磁弁の作動タイミング及びブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図、図4は前輪ブレーキ減圧、後輪ブレーキ増圧時の両電磁弁の作動タイミング及びブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図、図5は前輪および後輪ブレーキをともに増圧するときの両電磁弁の作動タイミング及びブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図である。
【0011】
先ず図1において、ブレーキペダル1の踏込操作に応じて作動するマスタシリンダ2の出力ポート3には出力液圧路4が接続され、ディスクブレーキである前輪ブレーキBF には前輪ブレーキ液圧路5が接続され、前輪ブレーキBF よりも小型のディスクブレーキである後輪ブレーキBR には後輪ブレーキ液圧路6が接続され、前輪ブレーキ液圧路5からは分岐液圧路7が分岐される。
【0012】
モータMで駆動されるポンプPは、前輪ブレーキBF よりも小型かつ低圧のブレーキ圧ですむ後輪ブレーキBR を増圧するのに必要な程度の小型、かつ低吐出圧のものである。このポンプPの吸入口8には、吸入口8側に向けてのブレーキ液の流通のみを許容する吸入弁9を介して解放路10が接続されており、該吸入弁9はポンプPに内蔵されるものであってもよい。
【0013】
前輪ブレーキ液圧路5と、出力液圧路4および解放路10との間には、第1液圧制御弁手段である3ポート2ポジション型の第1電磁弁11が設けられ、また後輪ブレーキ液圧路6と、分岐液圧路7および解放路10との間には、第2液圧制御弁手段である3ポート2ポジション型の第2電磁弁12が設けられる。而して第1電磁弁11は、消磁時に前輪ブレーキ液圧路5を出力液圧路4に通じさせるが解放路10とは遮断する液圧作用状態と、励磁時に前輪ブレーキ液圧路5を解放路10に通じさせるが出力液圧路4とは遮断する液圧解放状態とを切換可能であり、また第2電磁弁12は、消磁時に後輪ブレーキ液圧路6を分岐液圧路7に通じさせるが解放路10とは遮断する液圧作用状態と、消磁時に後輪ブレーキ液圧路6を解放路10に通じさせるが分岐液圧路7とは遮断する液圧解放状態とを切換可能である。
【0014】
ポンプPの吐出口13は、該吐出口13側からのブレーキ液の流通のみを許容する吐出弁14を介して第1および第2還流路15,16の一端に接続されており、該吐出弁14はポンプPに内蔵されるものであってもよい。而して第1還流路15の他端は出力液圧路4に接続され、第2還流路16の他端は分岐液圧路7に接続される。しかも第1還流路15には、閉弁方向のばね力を発揮するばねを有しない第1逆止弁17が、ポンプPから出力液圧路4側へのブレーキ液の流通のみを許容して設けられ、第2還流路16の接続部と前輪ブレーキ液圧路5との間で分岐液圧路7には、前輪ブレーキ液圧路5から後輪ブレーキ液圧路6側へのブレーキ液の流通のみを許容する第2逆止弁18が設けられる。
【0015】
出力ポート3から分岐液圧路7の分岐部までの間で出力液圧路4および前輪ブレーキ液圧路5には、その液圧路4,5を一定の絞り度で絞る第1オリフィス19が設けられており、この第1オリフィス19は、前輪ブレーキ液圧路5を出力液圧路4に通じさせる消磁時に前輪ブレーキ液圧路5および出力液圧路4間に介在するようにして第1電磁弁11に内蔵されてもよい。また分岐液圧路7における第2逆止弁18から後輪ブレーキBR までの間で分岐液圧路7および後輪ブレーキ液圧路6には、その液圧路7,6を一定の絞り度で絞る第2オリフィス20が設けられ、この第2オリフィス20は前記第1オリフィス19の絞り度以上の絞り度を有する。この第2オリフィス20も、後輪ブレーキ液圧路6を分岐液圧路7に通じさせる消磁時に後輪ブレーキ液圧路6および分岐液圧路7間に介在するようにして第2電磁弁12に内蔵されてもよい。さらに、第2電磁弁12および第2オリフィス20を迂回するようにして分岐液圧路7および後輪ブレーキ液圧路6間には、後輪ブレーキ液圧路6から分岐液圧路7側へのブレーキ液の流通のみを許容する第3逆止弁21が設けられる。
【0016】
ポンプPを駆動するモータMの作動は、アンチロックブレーキ制御時にポンプPが回転作動せしめられるように制御ユニットCで制御されるものであり、また第1および第2電磁弁11,12の励磁・消磁も制御ユニットCにより制御される。
【0017】
この制御ユニットCによる通常ブレーキ時およびアンチロックブレーキ制御時における第1および第2電磁弁11,12の作動制御について次に説明すると、通常ブレーキ時には、制御ユニットCにより両電磁弁11,12は消磁されており、両電磁弁11,12は液圧作用状態に在る。したがって、ブレーキペダル1を踏込むことによりマスタシリンダ2から出力液圧路4に出力される液圧は、第1オリフィス19、第1電磁弁11および前輪ブレーキ液圧路5を経て前輪ブレーキBF に作用し、前輪ブレーキBF でブレーキ力が発揮される。また分岐液圧路7に通じる第2還流路16が第1還流路15を介して出力液圧路4に接続されているが、第1還流路15に第1逆止弁17が設けられていることにより出力液圧路4の液圧が第1還流路15および第2還流路16を経て分岐液圧路7に作用することはなく、前輪ブレーキ液圧路5の液圧が、第2逆止弁18および第2オリフィス20を有する分岐液圧路7、第2電磁弁12および後輪ブレーキ液圧路6を経て後輪ブレーキBR に作用し、後輪ブレーキBR でブレーキ力が発揮される。
【0018】
この際、後輪ブレーキBF は前輪ブレーキBR に比べて小型のものであり、後輪ブレーキBF で必要とするブレーキ液圧も前輪ブレーキBF に比べて低いものであるが、出力液圧路4の出力液圧が、第1及び第2オリフィス19,20の2段階で絞られて後輪ブレーキBR に作用するので、後輪ブレーキBR が必要以上に急激に増圧されることはない。
【0019】
ブレーキ操作を停止してブレーキペダル1を戻したときには、前輪ブレーキBF のブレーキ液が第2逆止弁18および第1逆止弁17を介してマスタシリンダ2に応答性よく逃がされ、前輪ブレーキBF のブレーキ圧が低下してからは第1電磁弁11および第1オリフィス19を介してマスタシリンダ2に逃がされることにより前輪ブレーキBF に残圧が生じることはない。一方、後輪ブレーキBR のブレーキ液は、第3逆止弁21および第1逆止弁17を介してマスタシリンダ2に応答性よく逃がされ、後輪ブレーキBR のブレーキ圧が低下してからは第2電磁弁12および第1逆止弁17を介してマスタシリンダ2に逃がされることになり、第1逆止弁17がばねを有しないものであることにより後輪ブレーキBR に残圧が生じることはない。
【0020】
ブレーキ操作時にアンチロックブレーキ制御を実行するときには、モータMすなわちポンプPの作動が開始され、前輪および後輪ブレーキBF ,BR のブレーキ液圧を減圧するときには、第1および第2電磁弁11,12がそれぞれ励磁される。これにより第1および第2電磁弁11,12が液圧解放状態となり、前輪ブレーキ液圧路5が解放路10に通じるとともに後輪ブレーキ液圧路6が解放路10に通じるので、前輪および後輪ブレーキBF ,BR のブレーキ液圧を解放路10に解放するようにしてブレーキ液圧を減圧することができる。
【0021】
ブレーキ液圧を保持するときには、図2で示すように、消磁・励磁すなわち液圧作用状態および液圧解放状態を短い周期で繰返すように第1および第2電磁弁11,12の作動が制御される。これにより、前輪ブレーキBF のブレーキ液圧は、第1電磁弁11の液圧作用状態でのマスタシリンダ2の出力液圧による増圧ならびに第1電磁弁11の液圧解放状態での解放路10への液圧解放を短い周期で繰返し、また後輪ブレーキBR のブレーキ液圧は、第2電磁弁12の液圧作用状態でのポンプPの出力液圧による増圧ならびに第2電磁弁12の液圧解放状態での解放路10への液圧解放を短い周期で繰返すことになり、前輪および後輪ブレーキBF ,BR のブレーキ液圧が疑似的に保持される。
【0022】
後輪ブレーキBR のブレーキ液圧を減圧し、前輪ブレーキBF のブレーキ液圧を増圧するときには、図3で示すように、第2電磁弁12が励磁状態とされるのに対し、第1電磁弁11の作動は、増圧速度に応じて消磁時間および励磁時間の比を定めるようにして、消磁および励磁すなわち液圧作用状態および液圧解放状態を繰返すように制御される。これにより、後輪ブレーキBR のブレーキ液圧は解放路10への液圧解放により次第に減圧されることになる。また前輪ブレーキBF のブレーキ液圧は、第1電磁弁11の液圧作用状態でのマスタシリンダ2の出力液圧による増圧と、第1電磁弁11の液圧解放状態での解放路10への液圧解放に伴なう減圧とを繰返す。この際、ポンプPは小型のものであり、しかも後輪ブレーキBR からのブレーキ液圧も吸入している状態にあるので、前輪ブレーキ液圧路5のブレーキ液圧を解放路10に解放するようにしても、前輪ブレーキBF の減圧速度はマスタシリンダ2の出力液圧による増圧速度に比べて緩やかであり、第1電磁弁11の消磁時間を励磁時間よりも短くしても、前輪ブレーキBF のブレーキ液圧が次第に増圧されることになる。
【0023】
前輪ブレーキBF のブレーキ液圧を減圧し、後輪ブレーキBR のブレーキ液圧を増圧するときには、図4で示すように、第1電磁弁11が励磁状態とされるのに対し、第2電磁弁12の作動は、増圧速度に応じて消磁時間および励磁時間の比を定めるようにして、消磁および励磁すなわち液圧作用状態および液圧解放状態を繰返すように制御される。これにより、前輪ブレーキBF のブレーキ液圧は解放路10への液圧解放により次第に減圧されることになる。また後輪ブレーキBR のブレーキ液圧は、前輪ブレーキBF から解放路10に逃がされたブレーキ液が第2電磁弁12の液圧作用状態においてポンプPで吐出されて後輪ブレーキBR に作用することによる増圧と、第2電磁弁12の液圧解放状態での解放路10への液圧解放に伴なう減圧とを繰返し、第2電磁弁12の消磁時間を励磁時間よりも長くすることにより、後輪ブレーキBR のブレーキ液圧が次第に増圧されることになる。この際、第2電磁弁12の励磁時すなわち液圧解放状態では、後輪ブレーキBR のブレーキ液圧が解放路10に解放されるので、前輪ブレーキBF から解放路10に逃げるブレーキ液量が抑えられ、前輪ブレーキBF の減圧速度が一時的に緩やかになる。
【0024】
さらに前輪および後輪ブレーキBF ,BR のブレーキ液圧をともに増圧させるときには、図5で示すように、第1および第2電磁弁11,12の消磁および励磁すなわち液圧作用状態および液圧解放状態が逆位相となるように両電磁弁11,12の作動が制御され、第2電磁弁12の消磁時間は励磁時間よりも長く設定される。これにより、後輪ブレーキBR のブレーキ液圧は、前輪ブレーキBF から解放路10に逃がされるブレーキ液をポンプPで吐出して後輪ブレーキBR に作用せしめることにより増圧され、また前輪ブレーキBF のブレーキ液圧は、マスタシリンダ2の出力液圧により増圧されることになる。
【0025】
次にこの第1実施例の作用について説明すると、アンチロックブレーキ制御時に前輪ブレーキBF の増圧は主としてマスタシリンダ2の出力液圧によりなされ、また後輪ブレーキBR の増圧はポンプPの吐出液圧によりなされるので、ポンプPは、前輪ブレーキBF よりも小型かつ低圧のブレーキ圧ですむ後輪ブレーキBR を増圧するのに必要な程度の小型、かつ低吐出圧のものであればよく、したがって、ポンプPおよびモータMを小型化することができ、アンチロックブレーキ制御装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。
【0026】
また通常ブレーキ時に、マスタシリンダ2の出力液圧を第1および第2オリフィス19,20の2段階で絞るようにしたので、絞り効果の高い単一のオリフィスで絞るようにしたものに比べると、第1および第2オリフィス19,20の絞り度を比較的小さく設定することが可能であり、製造時の切粉やブレーキ液中のごみが各オリフィス19,20に詰まることを極力回避することができ、フィルタ等の装備を不要としてオリフィス19,20の管理を容易とすることができる。
【0027】
しかも第1オリフィス19の絞り度は第2オリフィス20の絞り度以下であり、比較的高圧が必要とされる前輪ブレーキBF に充分高圧のブレーキ液圧を作用せしめることができる。
【0028】
図6は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
【0029】
前輪ブレーキ液圧路5と、出力液圧路4および解放路10との間に設けられる第1液圧制御弁手段24が、前輪ブレーキ液圧路5および出力液圧路4間に設けられる常開型電磁弁25と、前輪ブレーキ液圧路5および解放路10間に設けられる常閉型電磁弁26とで構成され、後輪ブレーキ液圧路6と、分岐液圧路7および解放路10間に設けられる第2液圧制御弁手段27が、後輪ブレーキ液圧路6および分岐液圧路7間に設けられる常開型電磁弁28と、後輪ブレーキ液圧路6および解放路10間に設けられる常閉型電磁弁29とで構成される。
【0030】
この第2実施例によっても、上記第1実施例と同様の効果を奏することができる。
【0031】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0032】
たとえば、解放路10にリザーバが接続されるようにしてもよい。また本発明(特に請求項1の発明)は、上記実施例のようにポンプを後輪ブレーキの増圧のみに用いるようにしたアンチロックブレーキ制御装置だけでなく、ポンプからの還流液圧を前輪および後輪ブレーキの増圧に用いるようにしたアンチロックブレーキ制御装置にも適用可能である。
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、マスタシリンダの出力液圧を第1および第2オリフィスの2段階で絞って後輪ブレーキに作用せしめるようにしたので、絞り効果の高い単一のオリフィスで絞るようにしたものに比べて、第1および第2オリフィスの絞り度を比較的小さく設定することを可能となり、これにより、製造時の切粉やブレーキ液中のごみが各オリフィスに詰まることを極力回避でき、フィルタ等の装備を不要としてオリフィスの管理を容易とすることができる。
【0033】
また特に請求項2の発明によれば、アンチロックブレーキ制御時に前輪ブレーキの増圧は主としてマスタシリンダの出力液圧によりなされ、また後輪ブレーキの増圧がポンプの吐出液圧によりなされるので、ポンプは、前輪ブレーキよりも小型かつ低圧のブレーキ圧で済む後輪ブレーキを増圧するのに必要な程度の小型、かつ低吐出圧のものであればよく、したがって、ポンプを小型化することができ、アンチロックブレーキ制御装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。
【0034】
また特に請求項3の発明によれば、第1オリフィスの絞り度が第2オリフィスの絞り度以下に設定されることにより、比較的高圧が必要とされる前輪ブレーキに充分高圧のブレーキ液圧を作用せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の車両用アンチロックブレーキ制御装置の構成を示す回路図である。
【図2】 ブレーキ圧保持時の両電磁弁の作動タイミングおよびブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図である。
【図3】 前輪ブレーキ増圧、後輪ブレーキ減圧時の両電磁弁の作動タイミングおよびブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図である。
【図4】 前輪ブレーキ減圧、後輪ブレーキ増圧時の両電磁弁の作動タイミングおよびブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図である。
【図5】 前輪および後輪ブレーキをともに増圧するときの両電磁弁の作動タイミングおよびブレーキ圧変化を相互に対応させて示す図である。
【図6】 第2実施例の車両用アンチロックブレーキ制御装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
2・・・・マスタシリンダ
4・・・・出力液圧路
5・・・・前輪ブレーキ液圧路
6・・・・後輪ブレーキ液圧路
7・・・・分岐液圧路
10・・・解放路
11・・・第1液圧制御弁手段としての第1電磁弁
12・・・第2液圧制御弁手段としての第2電磁弁
19・・・第1オリフィス
20・・・第2オリフィス
24・・・第1液圧制御弁手段
27・・・第2液圧制御弁手段
BF ・・・前輪ブレーキ
BR ・・・後輪ブレーキ
Claims (3)
- マスタシリンダ(2)の出力液圧を前輪ブレーキ(BF )に作用せしめる液圧作用状態ならびに前輪ブレーキ(BF )のブレーキ液圧を解放する液圧解放状態を切換可能な第1液圧制御弁手段(11,24)と、
前輪ブレーキ(BF )よりも小型、低圧の後輪ブレーキ(BR )にマスタシリンダ(2)の出力液圧を作用せしめる液圧作用状態ならびに後輪ブレーキ(BR )のブレーキ液圧を解放する液圧解放状態を切換可能な第2液圧制御弁手段(12,27)とを備える車両用アンチロックブレーキ制御装置において、
前記マスタシリンダ(2)および前記前輪ブレーキ(BF )間を結ぶ第1の液圧路(4,5)に、該第1の液圧路(4,5)を通して前記第1液圧制御弁手段(11,24)が液圧作用状態に在るときには常に該第1の液圧路(4,5)を一定の絞り度で絞る第1オリフィス(19)が設けられ、
前記第1オリフィス(19)から前記後輪ブレーキ(BR )まで液圧を導く第2の液圧路(7,6)に、該第2の液圧路(7,6)を通して前記第2液圧制御弁手段(12,27)が液圧作用状態に在るときには常に該第2の液圧路(7,6)を一定の絞り度で絞る第2オリフィス(20)が設けられることを特徴とする、車両用アンチロックブレーキ制御装置。 - マスタシリンダ(2)の出力ポート(3)に接続される出力液圧路(4)と、
前輪ブレーキ(B F )に接続された前輪ブレーキ液圧路(5)と、
前記前輪ブレーキ(B F )よりも小型、低圧の後輪ブレーキ(B R )に接続される後輪ブレーキ液圧路(6)と、
前記前輪ブレーキ液圧路(5)から分岐されて前記後輪ブレーキ液圧路(6)に接続される分岐液圧路(7)と、
アンチロックブレーキ制御時に作動するポンプ(P)と、
このポンプ(P)の吸入口(8)に接続された解放路(10)と、
前記前輪ブレーキ液圧路(5)を前記出力液圧路(4)に通じさせるが前記解放路(10)から遮断して前記マスタシリンダ(2)の出力液圧を前記前輪ブレーキ(B F )に作用せしめる液圧作用状態と同前輪ブレーキ液圧路(5)を前記解放路(10)に通じさせるが前記出力液圧路(4)から遮断して前記前輪ブレーキ(B F )のブレーキ液圧を解放する液圧解放状態とを切換可能な第1液圧制御弁手段(11,24)と、
前記後輪ブレーキ液圧路(6)を前記分岐液圧路(7)に通じさせるが前記解放路(10)から遮断して前記後輪ブレーキ(B R )に前記マスタシリンダ(2)の出力液圧を作用せしめる液圧作用状態と同後輪ブレーキ液圧路(6)を前記解放路(10)に通じさせるが前記分岐液圧路(7)から遮断して前記後輪ブレーキ(B R )のブレーキ液圧を解放する液圧解放状態とを切換可能な第2液圧制御弁手段(12,27)とを備え、
前記ポンプ(P)の作動により、前記解放路(10)から前記出力液圧路(4)および前記分岐液圧路(7)へブレーキ液を還流させる車両用アンチロックブレーキ制御装置において、
前記出力液圧路(4)および前記前輪ブレーキ液圧路(5)を有していて前記マスタシリンダ(2)および前記前輪ブレーキ(B F )間を結ぶ第1の液圧路(4,5)に、前記第1液圧制御弁手段(11,24)が液圧作用状態に在るときには常に該第1の液圧路(4,5)を一定の絞り度で絞る第1オリフィス(19)が設けられ、
前記分岐液圧路(7)および前記後輪ブレーキ液圧路(6)を有していて前記第1オリフィス(19)から前記後輪ブレーキ(B R )まで液圧を導く第2の液圧路(7,6)に、前記第2液圧制御弁手段(12,27)が液圧作用状態に在るときには常に該第2の液圧路(7,6)を一定の絞り度で絞る第2オリフィス(20)が設けられることを特徴とする、車両用アンチロックブレーキ制御装置。 - 前記第1オリフィス(19)の絞り度が前記第2オリフィス(20)の絞り度以下に設定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用アンチロックブレーキ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35115296A JP3715054B2 (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 車両用アンチロックブレーキ制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35115296A JP3715054B2 (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 車両用アンチロックブレーキ制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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