JP3714798B2 - 高強度シャフト部品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機等の軸付装置に用いられるインプットシャフトあるいはアウトプットシャフトのような、油圧回路や潤滑回路およびそれ類する油吐出孔の用途としてシャフト中心軸方向に対し垂直方向の穴を有する高強度な動力伝達用等のシャフト部品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のシャフト部品、例えば、図1に示す自動変速機1のインプットシャフト2Aあるいはアウトプットシャフト2Bは、シャフト中心軸方向に対し垂直方向の穴や、スプライン,段付き,溝などの応力集中部位を有するため、エンジンからのねじれトルク負荷に対して高い疲労強度および静的強度を確保する必要があることから、高周波焼入れや浸炭焼入れ焼もどし等の表面硬化熱処理を施す手法が多く用いられてきた。
【0003】
また、より一層の疲労強度向上を図るために、これら応力集中部位に対してショットピーニングを行う場合もあり、特に、疲労破壊の最弱部となることの多い穴部においては、ショットを有効に内部まで投射するために、シャフト外径側に向かって開いたテーパー形状とする提案もなされた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の提案においては、穴部の硬さ分布と、ショットピーニングによる残留応力分布の関係を考慮した最適値とはなっていなかった。
【0005】
すなわち、高周波焼入れ(焼もどし)処理は、比較的安価な設備を用いて短時間で深い硬化層が得られるため、シャフト部品の表面硬化処理に頻繁に用いられるが、これを穴部に適用する場合、硬化層深さを中実シャフトの場合の半径あるいは中空シャフトの場合の肉厚のいずれも50%未満とする通常の焼入れ深さでは、図2の(A)に示すシャフト部品2の中心軸方向に対し45°方向に直交する方向の最大主応力方向σにおいて、図2の(B)に示す硬化層が浅い場合および図2の(C)に示す硬化層が深い場合における模式的に示す作用応力との関係から、図3の(A)(硬化層が浅い場合)に示すように、穴3の内部の硬化層Hと非硬化層Nとの境界部分(すなわち、破損起点B)から疲労亀裂を生じる可能性がないとはいえず、また、当該部位は硬さが低いため、ショットピーニングを行っても高い強度は得られない。
【0006】
また、硬化層を中実シャフトの場合の半径あるいは中空シャフトの場合の肉厚のいずれも50%以上に深くすると、図3の(B)(硬化層が深い場合)に示すように、疲労起点(すなわち、破損起点B)が表層の硬化層Hの内部に移動するが、図4の穴内面の残留応力分布に示すように、硬化層が深い場合は硬化層が浅い場合に比較して圧縮残留応力の低下によりき裂進展抑制効果が減少することから、疲労強度の向上は困難であった。
【0007】
さらにまた、製造面での制約として、深い硬化層を得るためには必然的に入熱量が大となり、熱処理後の変形が顕著化すると共に、応力集中部位においてオーバーヒートないしは焼割れが発生し易くなる場合もあった。
【0008】
また、浸炭焼入れ焼もどしは、高周波焼入れと比較して、穴内面に沿った均一な硬化層が得られる反面、表層および内部が共に高硬さとなるため、靭性が不足し、高周波焼入れに比べて疲労強度および静的強度が劣っている。
【0009】
一方、従来のショットピーニングにおいては、前記のような破損起点との関係から、最適な投射方法、投射粒子等の選択がなされておらず、必ずしも破損起点の部分に高い圧縮残留応力を与える条件とはなっていなかった。
【0010】
これらの問題を解決するため、発明者らは既に中心軸に対して垂直方向の穴をもつシャフト部品において、高周波焼入れにより、図3に示す穴3の側面において、50%マルテンサイト硬さまでの硬化層を中実品の場合は軸半径また中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上の深さまで確保することにより、疲労破損起点を表層部とし、当該部分に対してショットピーニングを行うことで、硬さの高い起点部に高い圧縮残留応力を生じさせ、疲労強度の向上を図る発明を提案している。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、穴部以外の応力集中部位に対しても同様な検討を行った結果、それらの部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲とした上で、必要に応じてショットピーニングを行うことにより、穴部と同様に飛躍的な疲労強度向上が得られることが明らかとなったことから、シャフト全部位の高強度化を達成すると共に、ショットピーニング条件に関しても、その効果を最大限に発揮する条件範囲を提案することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる高強度シャフト部品は、請求項1に記載しているように、自動変速機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品において、高周波焼入れ等の表面硬化処理が施されていて、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保されていると共に、前記穴部を除いたスプラインなどの他の動力伝達等に関わる応力集中部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲となっていて、少なくとも穴部に対してショットピーニングが施されているものとしたことを特徴としている。
【0013】
そして、本発明に係わる高強度シャフト部品の実施態様においては、請求項2に記載しているように、鋼組成が、重量%で、C:0.25〜0.55%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとしたことを特徴としている。
【0014】
そしてまた、本発明に係わる高強度シャフト部品の実施態様においては、請求項3に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.01〜0.05%を含むものとしたことを特徴としている。
【0015】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の実施態様においては、請求項4に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含むものとしたことを特徴としている。
【0016】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の実施態様においては、請求項5に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1種を含むものとしたことを特徴としている。
【0017】
本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法は、請求項6に記載しているように、自動変速機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品を製造するに際し、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すことにより、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保した後、前記穴部に対してショットピーニングを行い、前記穴部を除いたスプラインなどの他の動力伝達等に関わる応力集中部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲とするようにしたことを特徴としている。
【0018】
そして、本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法の実施態様においては、請求項7に記載しているように、空気式ショットピーニング機により、穴部に対しては、口径が2〜10mmの投射ノズルとシャフト部品との距離を穴径の10〜50倍とし、投射圧を0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.5mmで且つ穴径の1/3以下であり且つまた硬さが600〜850HVを有する投射材を用いて当該穴部の中心を狙ってショットピーニングを行うようにしたことを特徴としている。
【0019】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法の実施態様においては、請求項8に記載しているように、空気式ショットピーニング機により、穴部以外の応力集中部位に対しては、投射圧を0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.25mmで且つ隅R寸法以下である投射材を用いてショットピーニングを行うようにしたことを特徴としている。
【0020】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法の実施態様においては、請求項9に記載しているように、穴内面の面粗度をRv≦7μmとした後、ショットピーニングを行うようにしたことを特徴としている。
【0021】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法の実施態様においては、請求項10に記載しているように、重量%で、C:0.25〜0.55%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の鋼を粗材とし、鍛造や切削等の加工によりシャフト素材の形状に成形を行った後、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すことにより、所定の硬化層深さを得るようにしたことを特徴としている。
【0022】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法の実施態様においては、請求項11に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.01〜0.05%を含むようにしたことを特徴としている。
【0023】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法の実施態様においては、請求項12に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含むようにしたことを特徴としている。
【0024】
同じく、本発明に係わる高強度シャフト部品の製造方法の実施態様においては、請求項13に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1種を含むようにしたことを特徴としている。
【0025】
【発明の作用】
本発明に係わる高強度シャフト部品およびその製造方法は、上述した構成を有するものであるが、以下にその限定理由を作用などと共に説明する。
【0026】
(A)「穴部の硬化層比:穴部の50%マルテンサイト硬さまでの硬化層が中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上」
一例として、図5に示す形状をもつシャフト部品2においてインプットシャフト2Aにφ4mmの穴3を有する場合について説明すると、図6に示すように高周波焼入れにおいて50%マルテンサイト硬さを基準とした有効硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上とすると、前述のように図3をもとに説明したごとく、破損起点は穴3の内面から表層部に移行する。また、図7に示す要領で実施することができるショットピーニングとの組合わせでは、図8に示すように、表層起点の場合に疲労強度は大幅に向上する。さらにまた、図9に示すように、静的強度は有効硬化層深さが増加する程向上することがわかる。このことにより、穴部の硬化層深さは中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上とする。なお、図7に示すショットピーニング要領において、シャフト部品2はスプライン2Sを3個所に形成しており、ターンテーブル6上において回転しながら上部シャフト固定具7と下部シャフト固定具8との間で固定された状態で投射ノズル9から投射される投射材(ショット)によりショットピーニングされる。
【0027】
(B)「他の部位での硬化層比:穴部を除いたスプラインなどの他の応力集中部位においては、50%マルテンサイト硬さまでの硬化層を中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲とし、必要に応じてショットピーニングを行う」
穴部以外の応力集中部位、例えば、スプライン部では、図10に示すように、有効硬化層は浅い方がショットピーニングの有無に拘らず疲労強度が高くなる。その効果はφ22mmのスプラインでは図10に示すように中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも45%以下で飽和する傾向となる。このような関係はフィレット部や溝部でも同様である。また、2%未満の硬化層では、安定した硬さ分布を得ることは困難であるため、2〜45%の範囲とする。
【0028】
(C)「他の部位でのショットピーニング条件:穴部以外の応力集中部位に対して、投射圧を0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.25mmで且つ隅R寸法以下である投射材を用いてショットピーニングを行う」
スプライン歯底やフィレット、溝部などの応力集中部にショットピーニングを行う場合は、投射材の粒径は当該部位の隅R寸法以下でなければ、粒子がR底部に衝突できないため、十分な効果が発揮できない傾向となる。また、面粗度悪化による疲労強度の低下を防ぐため、0.03〜0.25mmの小径の投射材を用いることが望ましい。そしてまた、投射圧は0.2MPa未満ではショットの投射速度が確保できない傾向となるため、0.2MPa以上とすることが望ましい。
【0029】
(D)「穴内面の面粗度:ショットピーニング処理前の穴内面の面粗度をRv≦7μm」
穴内面の面粗度が大きい場合、粗さの谷部に応力集中が発生し、疲労強度が低下する傾向となる。特に、小径の粒子を使用した衝突エネルギーの小さいショットを用いて行う場合は、表面の塑性流動層が僅かであることから、ショットにより表面の凹凸の除去が期待できず、その影響が顕著となるおそれがある。そして、図11に示すように、面粗度Rvにて7μmを超えると疲労寿命の低下が生じる傾向となることから、Rv≦7μmとすることが望ましい。
【0030】
(E)「穴部でのショットピーニング条件:ノズル口径2〜10mm」
投射ノズルの口径は一般的に大きな方が広い投射範囲をカバーできるが、10mmを超えると投射量が増加するため、投射圧の確保が困難となる傾向となり、2mm未満では投射範囲が狭くなりすぎ、効率が悪化すると共に、ノズルの損耗が激しくなる傾向となることから、ノズル口径は2〜10mmとすることが望ましい。
【0031】
(F)「穴部でのショットピーニング条件:シャフト部品と投射ノズルとの距離を穴径の10〜50倍」
図12に示すφ4mmの穴3の場合において、シャフト部材と投射ノズルとの間の距離と穴表層部での残留応力との関係より、10倍に相当する40mm未満では投射範囲が狭くなるため、穴表層部の圧縮残留応力が低下することに加えて、ノズル位置および方向の狂いによる投射ムラの影響が顕著となる傾向となる。また、50倍に相当する200mmを超えると、投射範囲が広すぎるため、高い圧縮残留応力を得るための投射時間が長くなり、処理コストが増加する傾向となるため、穴径の10〜50倍とすることが望ましい。
【0032】
(G)「穴部でのショットピーニング条件:粒径が0.03〜0.5mmで且つ穴径の1/3以下である投射材」
図13に示すように、ショットの粒径を小径とすると、表層部での圧縮残留応力は増加すると共に、塑性変形による当該部位の面粗度悪化も少ない。そして、その効果は図13より0.5mm以下の投射材にて顕著であるため、粒径は0.5mm以下とするのが好ましい。また、小径の穴に対して、大径の投射材を使用した場合、穴内面へのショットの到達が困難となる。すなわち、図14に示すように、孔径がφ2.8mmの穴では問題ないにも拘らず、孔径がφ2mmの孔に対して0.8mmの投射材の場合は極端に効果が低下することから、ショット粒径は穴径の1/3以下とすることが望ましい。
【0033】
(H)「穴部でのショットピーニング条件:600〜850HVの投射材」
高い圧縮残留応力を得るには投射材の硬さは被加工材(シャフト素材)以上とすることが必要であり、硬化層に投射するには、600HV未満では効果が少なく、一方、極度に硬さが高いと破砕による投射材の消耗が激しくなることから、上限を850HVとすることが望ましい。
【0034】
(I)「シャフト素材の組成:C:0.25〜0.55%」
Cは焼入れ硬さを決定する重要な元素であり、0.25%未満では焼もどし後の硬さが低くなり、ショットピーニングにより十分な残留応力が得られない傾向となる。また、0.55%を超えて添加すると、穴部を深めに焼入れる場合に焼割れが発生し易くなると共にシャフト素材の被削性も悪化する傾向となるため、0.25〜0.55%とするのが良い。
【0035】
(J)「シャフト素材の組成:Si:0.3%以下」
Siは溶製時における鋼の脱酸剤として有効な元素であるが、過剰に添加すると被削性や冷鍛性が悪化する傾向となるため、0.3%以下とするのが良い。
【0036】
(K)「シャフト素材の組成:Mn:0.2〜1.5%」
Mnは安価な焼入れ性向上元素であり、高周波焼入れにて十分な硬さを得るためには0.2%以上の添加が必要であるが、1.5%を超えて添加すると加工性を大きく阻害するため、0.2〜1.5%とするのが良い。
【0037】
(L)「シャフト素材の組成:Cr:0.05〜1.3%」
Crも焼入れ性向上元素であり、シャフトが大径となる場合は内部硬さの確保に有効な元素であり、そのような効果を得るためには0.05%以上添加する必要がある。しかし、過剰に添加すると加工性を阻害する傾向となると共に高価な元素であり、経済性を考慮して上限を1.3%とするのが良い。
【0038】
(M)「シャフト素材の組成:Mo:0.5%以下」
Moは少量の添加にて焼入れ性改善に有効な元素であるが、0.5%を超えて添加すると、鍛造性や被削性を阻害する傾向にあると共に、経済性を損なうため、0.5%以下とするのが良い。
【0039】
(N)「シャフト素材の組成:Ni:1.0%以下」
Niも焼入れ性向上元素であると共に、靭性向上に有効な元素であるが、多量に添加すると機械加工性が大きく低下する傾向となるため、1.0%以下とするのが良い。
【0040】
(O)「シャフト素材の組成:B:0.0005〜0.0035%」
Bは特に高周波焼入れにおける焼入れ深さの向上に有効な元素であり、本発明の高強度シャフトの如く硬化層を深めとする場合では、少ない入熱量にて深い焼入れが可能となることから、熱処理歪や割れの防止の観点からは重要な元素である。加えて、Bは硬化層の粒界強度を向上させるため、衝撃強度やシャフトの熱処理後曲り矯正時の割れ防止にも効果がある。ただし、0.0005%未満では効果は十分でなく、また、0.0035%を超えて添加すると、効果は飽和すると共に赤熱ぜい性の原因となる傾向となるため、0.0005〜0.0035%の範囲とするのが良い。
【0041】
(P)「シャフト素材の組成:Al:0.01〜0.06%」
Alは溶製時の脱酸元素として必要であるが、結晶粒微細化にも効果があるため、0.01%以上の添加が有効であるが、0.06%を超えると、靭性が低下する傾向となるため、上限を0.06%とするのが良い。
【0042】
(Q)「シャフト素材の組成:N:0.015%以下」
N含有量が過剰になると、変形抵抗が増大する傾向となるため、これを防ぐ意味から上限を0.015%とするのが良い。
【0043】
(R)「シャフト素材の組成:Ti:0.01〜0.05%」
TiはNを固定し、BのBN化を防ぐために重要であり、その効果を得るためには、0.01%以上が必要となる。しかし、0.05%を超えて添加すると介在物となり、疲労強度が低下する傾向となるため、上限を0.05%とするのが良い。
【0044】
(S)「シャフト素材の組成:S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1種」
これらS,Pb,Bi,Te,Caはシャフト素材の被削性を向上させるのに有用な元素であるため、必要に応じてこのような快削元素を適宜添加しても良い。
【0045】
【発明の効果】
本発明による高強度シャフト部品によれば、請求項1に記載しているように、自動変速機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品において、高周波焼入れ等の表面硬化処理が施されていて、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保されていると共に、前記穴部を除いたスプラインなどの他の応力集中部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲となっていて、少なくとも穴部に対してショットピーニングが施されているものとしたから、応力集中を受けやすい穴を有する部分および穴部以外の応力集中を受ける部分の両方共において疲労強度が飛躍的に向上したものとなり、シャフト全部位での高強度化を達成した高強度シャフト部品を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0046】
そして、請求項2に記載しているように、鋼組成が、重量%で、C:0.25〜0.55%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとすることによって、穴を有する部分および穴部以外の部分のいずれにおいても疲労強度が飛躍的に向上した高強度シャフト部品を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0047】
また、請求項3に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.01〜0.05%を含むものとすることによって、製造時の変形抵抗を小さくし、そしてまた、焼入れ深さが向上した耐衝撃特性にも優れた高強度シャフト部品を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0048】
さらにまた、請求項4に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含むものとすることによって、焼入れ性が改善され、靭性がより一層向上している高強度シャフト部品を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0049】
さらにまた、請求項5に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1種を含むものとすることによって、被削性が向上し、機械加工性が改善された高強度シャフト部品を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0050】
本発明による高強度シャフト部品の製造方法によれば、請求項6に記載しているように、自動変速機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品を製造するに際し、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すことにより、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保した後、前記穴部に対してショットピーニングを行い、前記穴部を除いたスプラインなどの他の応力集中部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲とするようにしたから、応力集中を受けやすい穴を有する部分および穴部以外の応力集中を受ける部分の両方共において疲労強度が飛躍的に向上し、シャフト全部位での高強度化を達成した高強度シャフト部品を製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0051】
そして、請求項7に記載しているように、空気式ショットピーニング機により、穴部に対しては、口径が2〜10mmの投射ノズルとシャフト部品との距離を穴径の10〜50倍とし、投射圧を0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.5mmで且つ穴径の1/3以下であり且つまた硬さが600〜850HVを有する投射材を用いて当該穴部の中心を狙ってショットピーニングを行うようになすことによって、穴部のショットピーニングに際して十分な投射範囲および投射圧を確保することができると共に投射ムラを防止することができ、短い投射時間で効果的なショットピーニングが可能となって、高強度シャフト部品を生産性よく製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0052】
そしてまた、請求項8に記載しているように、空気式ショットピーニング機により、穴部以外の応力集中部位に対しては、投射圧を0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.25mmで且つ隅R寸法以下である投射材を用いてショットピーニングを行うようになすことによって、スプライン歯部やフィレット,溝部などの応力集中部にショットピーニングを行うに際して、ショットピーニングを有効に実施することができ、穴部以外の部分においても疲労強度が著しく向上した高強度シャフト部品を製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0053】
さらにまた、請求項9に記載しているように、穴内面の面粗度をRv≦7μmとした後、ショットピーニングを行うようになすことによって、穴内面の面粗度が大きい場合に粗さの谷部に応力集中が発生して疲労強度が低下するという不具合を解消することができ、疲労寿命がさらに向上した高強度シャフト部品を製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0054】
さらにまた、請求項10に記載しているように、重量%で、C:0.25〜0.55%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の鋼を粗材とし、鍛造や切削等の加工によりシャフト素材の形状に成形を行った後、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すようになすことによって、穴を有する部分および穴部以外の部分のいずれにおいても疲労強度が飛躍的に向上した高強度シャフト部品を製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0055】
また、請求項11に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.01〜0.05%を含むものとすることによって、製造時の変形抵抗を小さくし、そしてまた、焼入れ深さが向上した耐衝撃特性にも優れた高強度シャフト部品を製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0056】
さらにまた、請求項12に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含むものとすることによって、焼入れ性が改善され、靭性がより一層向上した高強度シャフト部品を製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0057】
さらにまた、請求項13に記載しているように、鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1種を含むものとすることによって、シャフト素材の被削性をより一層向上させることができ、高強度シャフトを製造する際の機械加工性により優れたものにすることが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明による高強度シャフト部品およびその製造方法の実施例について比較例と共に詳細に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0059】
表1に示す化学成分組成を有する外径がφ26mmの熱間鍛造粗材を用いて、それぞれ焼入れ焼もどしにより芯部硬さを同じく表1に示す値とした後、図1に示した自動変速機1の構成部品として用いられるインプットシャフト2Aに加工した。このとき、静ねじり強度をさらに向上させる必要のある場合は、芯部硬さを増加することが望ましい。逆に、静ねじり強度がそれ程必要とされない場合は、粗材熱処理は焼ならしや熱間圧延後の制御冷却などといった廉価な熱処理としてもよく、本発明によればこのような廉価な熱処理であっても高い疲労強度を得ることができる。
【0060】
機械加工後におけるシャフト素材は、図5に示すように、ほぼ両端および中間の3ケ所にスプライン2Sを形成していると共に、図15に示すように、外径がφ22mm、内径がφ8mmの部位に直径がφ4mmの穴3を4ケ所成形している。また、ほぼ両端のスプライン2Sは外径がφ22mm、モジュールが1.0である。そして、直径がφ4mmの穴3はドリルによる下穴加工の後、更にリーマー加工を行い、穴3の内面の粗度をRv≦7μmとした。なお、表5の比較例24においてはドリル加工のまま(すなわち、内面の面粗度が粗いもの)とした。
【0061】
このような機械加工を行った後、周波数20kHzのワーク移動式高周波焼入れ装置により、軸方向の全面にわたって高周波焼入れ焼もどしを行った。その際、焼入れ冷却剤にはソリュブルを使用し、焼もどしは電気炉にて160℃・1Hrとした。また、硬化層比は、逐次、ワーク移動速度およびコイルへの電圧を変化させ、穴部およびスプライン部のそれぞれを表2,表3,表4,表5に示す値とした。
【0062】
さらに、曲り矯正を行った後、空気式ショットピーニング機により、表2,表3,表4,表5に示す粒径をもつ硬さ700HVの鋼球を投射材として使用し、口径5mmの投射ノズルにより所定のワーク距離を設定して、各穴部の中心およびスプライン部の3ケ所を狙って投射を行った。
【0063】
このとき、穴部を狙う際には、ワーク(シャフト素材)は固定し、穴部の一ケ所毎に専用の投射ノズルを使用した。また、スプライン部に対しては図7に示したターンテーブル6を駆動してワーク(2)を回転させながら均一に投射した。このときの各部位に対する投射圧を同じく表2,表3,表4,表5に示す。そして、投射時間は全て30secとした。
【0064】
以上の工程により製作した各シャフト部品をねじり疲労試験および静ねじり試験に供した。このうち、疲労試験結果として30万回強度を測定し、静ねじり試験結果として破断トルクを測定した。これらの結果を同じく表2,表3,表4,表5に示す。
【0065】
表2,表3,表4,表5に示す結果より明らかであるように、本発明によるシャフト部品は、ねじり疲労および静ねじりのいずれにおいても飛躍的な強度向上が得られていることがわかる。
【0066】
これに対し、比較例22では穴部の硬化層が浅いため、破損起点が焼入れ境界部となって、疲労強度が低いものとなり、比較例23では穴部以外の硬化層が深く、破損起点がスプライン部に変化したため、本発明例のものに比べて疲労強度は相対的に低下しているものとなっていた。また、比較例25〜30では穴部またはスプライン部へのショットピーニング条件が適切でないため、十分な圧縮残留応力を得ることができず、疲労強度が低いものとなっており、比較例24では穴内面の粗さが大きいため、疲労寿命のばらつきが大となり、信頼性に欠けると共に疲労強度が低下したものとなっていた。
【0067】
さらに、比較例10,11ではCあるいはMn含有量が少ないため、シャフト素材の焼入れ性不足により本発明範囲の焼入れ深さを得ることができず、疲労および静的のいずれの強度も低いものとなっていた。また、比較例12ではシャフト素材の焼入れ性が過大のため、穴部に焼割れが発生し、本発明例のものに比べて大幅に強度が低下したものとなっていた。
【0068】
【表1】
Figure 0003714798
【0069】
【表2】
Figure 0003714798
【0070】
【表3】
Figure 0003714798
【0071】
【表4】
Figure 0003714798
【0072】
【表5】
Figure 0003714798

【図面の簡単な説明】
【図1】軸をそなえた装置の一例として自動車用自動変速機の構造を示す説明図である。
【図2】図2の(A)に示す軸の主応力方向において、硬化層深さの異なる場合(すなわち、図2の(B)に示す硬化層が浅い場合および図2の(C)に示す硬化層が深い場合)の穴部作用応力と材料強度との関係を模式的に示す説明図である。
【図3】図3の(A)に示す硬化層が浅い場合および図3の(B)に示す硬化層が深い場合における穴部の硬化層深さと疲労破損起点との関係を示す説明図である。
【図4】有効硬化層深さが異なる場合の穴内面に沿った残留応力分布を示す説明図である。
【図5】シャフトの一例として自動変速機のインプットシャフトを示す説明図である。
【図6】穴部の有効硬化層深さと疲労破損起点深さとの関係を示す説明図である。
【図7】ショットピーニング要領を示す説明図である。
【図8】穴部での有効硬化層深さと10回時間強度との関係を示す説明図である。
【図9】有効硬化層深さと静ねじり破断トルクとの関係を示す説明図である。
【図10】穴部以外(スプライン部)における有効硬化層深さと10回時間強度との関係を示す説明図である。
【図11】穴内面の粗さ(面粗度)と疲労寿命(B10:ワイブル累積破損確率10%値)との関係を示す説明図である。
【図12】ショットピーニング処理におけるシャフト素材と投射ノズルとの間の距離と穴表層部での残留応力との関係を示す説明図である。
【図13】ショット粒径と穴表層部の残留応力および穴内面の面粗度との関係を示す説明図である。
【図14】穴の孔径とショットの粒径が10回時間強度に与える影響を示す説明図である。
【図15】シャフト素材の穴部の形状を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 自動変速機
2 シャフト部品
3 シャフトの穴部

Claims (13)

  1. 自動変速機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品において、高周波焼入れ等の表面硬化処理が施されていて、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保されていると共に、前記穴部を除いたスプラインなどの他の応力集中部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さが中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲となっていて、少なくとも穴部に対してショットピーニングが施されていることを特徴とする高強度シャフト部品。
  2. 鋼組成が、重量%で、C:0.25〜0.55%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の高強度シャフト部品。
  3. 鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.01〜0.05%を含むことを特徴とする請求項2に記載の高強度シャフト部品。
  4. 鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の高強度シャフト部品。
  5. 鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の高強度シャフト部品。
  6. 自動変速機等の軸付装置に使用され且つ中心軸方向に対し垂直方向の穴をもつ中実もしくは中空の鋼製シャフト部品を製造するに際し、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すことにより、前記穴の側面において50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも50%以上まで確保した後、前記穴部に対してショットピーニングを行い、前記穴部を除いたスプラインなどの他の応力集中部位においては50%マルテンサイト硬さまでの硬化層深さを中実品の場合は軸半径のまた中空品の場合は肉厚のいずれも2〜45%の範囲とすることを特徴とする高強度シャフト部品の製造方法。
  7. 空気式ショットピーニング機により、穴部に対しては、口径が2〜10mmの投射ノズルとシャフト部品との距離を穴径の10〜50倍とし、投射圧を0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.5mmで且つ穴径の1/3以下であり且つまた硬さが600〜850HVを有する投射材を用いて当該穴部の中心を狙ってショットピーニングを行うことを特徴とする請求項6に記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  8. 空気式ショットピーニング機により、穴部以外の応力集中部位に対しては、投射圧を0.2MPa以上とし、粒径が0.03〜0.25mmで且つ隅R寸法以下である投射材を用いてショットピーニングを行うことを特徴とする請求項6または7に記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  9. 穴内面の面粗度をRv≦7μmとした後、ショットピーニングを行うことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  10. 重量%で、C:0.25〜0.55%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.05〜1.3%、Al:0.01〜0.06%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の鋼を粗材とし、鍛造や切削等の加工によりシャフト素材の形状に成形を行った後、高周波焼入れ等の表面硬化処理を施すことにより、所定の硬化層深さを得ることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  11. 鋼組成においてさらに、重量%で、B:0.0005〜0.0035%、N:0.015%以下、Ti:0.01〜0.05%を含むことを特徴とする請求項10に記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  12. 鋼組成においてさらに、重量%で、Mo:0.5%以下,Ni:1.0%以下のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の高強度シャフト部品の製造方法。
  13. 鋼組成においてさらに、重量%で、S:0.01〜0.10%,Pb:0.01〜0.20%,Bi:0.01〜0.30%,Te:0.005〜0.10%,Ca:0.0003〜0.010%のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の高強度シャフト部品の製造方法。
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