JP3714177B2 - 容器用フィルムラミネート金属板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、食品缶詰の缶胴及び蓋に用いられるフィルムラミネート金属板に関するものである。さらに詳しくは、製缶工程での成形性及び密着性が良好であり、内容物充填後の内容物取り出し性及び味特性に優れる容器用フィルムラミネート金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、食缶に用いられる金属缶用素材であるティンフリースチール(TFS)およびアルミニウム等の金属板には塗装が施されていた。この塗装を施す技術は、焼き付け工程が複雑であるばかりでなく、多大な処理時間を必要とし、さらに多量の溶剤を排出するという問題を抱えていた。そこで、これらの問題を解決するため、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した金属板に積層する方法が数多く提案されている。
【0003】
これらの提案の多くは、フィルムと基材である金属板の密着性及び成形性の改善に関するものであり、その技術的思想は、概ね▲1▼極性基を有するフィルム(ポリエステル樹脂等)の適用(例えば、特開昭63−236640号公報等)、▲2▼フィルム表面へのコロナ放電等の処理による活性化等に代表される表面自由エネルギーの増大(例えば、特開平5−200961号公報等)に関するものである。
【0004】
前記で提案されているラミネート金属板を食品缶詰用途に使用すると、容器から内容物を取り出す際に、内容物が容器内面に強固に付着してしまい、内容物を取り出しにくいという問題がある。この問題は、消費者の購買意欲と密接に関係するため、内容物の取り出しやすさを改善することは、消費者の購買意欲を確保する上で極めて重要である。それにもかかわらず、これまで内容物の取り出し易さの改善に対する考慮は全くなされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明は、上記事情を考慮し、内容物取り出し性を確保するとともに、容器加工に要求される成形性、密着性、味特性を兼ね備えた容器用フィルムラミネート金属板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、イソフタル酸成分を実質的に含有せずにフィルム構造を高度に制御した二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムにワックス成分を添加することにより、この目的が達成されることを見出した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)融点が240〜300℃、カルボキシル末端基が10〜50当量/トン、酸成分として実質的にイソフタル酸成分を含有しない二軸延伸ポリエステルフィルムを樹脂フィルムA、また前記二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムであって、さらに質量比で樹脂に対して0.10〜2.0%のワックス成分を含有する樹脂フィルムを樹脂フィルムBとしたとき、容器成形後に容器内面側になる金属板の表面に樹脂フィルムB、容器外面側になる金属板の表面に樹脂フィルムAをラミネートしたことを特徴とする容器用フィルムラミネート金属板。
【0008】
(2)ワックス成分として、カルナウバろう若しくはステアリン酸エステルを含有することを特徴とする前記(1)に記載の容器用フィルムラミネート金属板。
(3)ラミネート後の樹脂フィルムA、樹脂フィルムBの複屈折率が0.02以下である領域が金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用フィルムラミネート金属板。
【0009】
(4)樹脂フィルムA、樹脂フィルムBを構成するポリエステル単位の95質量%以上がエチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の容器用フィルムラミネート金属板。
(5)ラミネートした樹脂フィルムA、樹脂フィルムBの厚さ方向屈折率が1.500以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の容器用フィルムラミネート金属板。
【0010】
(6)樹脂フィルムBが少なくとも2層以上から構成され、該樹脂フィルムBは内容物と接する最上層にのみ、質量比で樹脂に対して0.10〜2.0%のワックス成分を含有することを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の容器用フィルムラミネート金属板。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明ではフィルム(樹脂フィルムA、樹脂フィルムB)にポリエステルフィルムを使用し、ポリエステルは、DSCにおける融点(融解ピーク温度)が240〜300℃であることが、味特性を良好とする点で必要であるが、好ましくは、融点が245〜300℃、特に好ましくは融点が246〜300℃であることが望ましい。なお、本発明において、味特性が良好とは、缶の内容物の香り成分のフィルムへの吸着あるいはフィルムからの溶出物によって内容物の風味がそこなわれない程度をいう。
【0012】
さらに本発明で用いるフィルムは、金属板との密着性、レトルト後の味特性を良好とする点でポリエステルのカルボキシル末端基量が10〜50当量/トンであることが必要である。カルボキシル末端基は極性を有するので、この量が増加すると密着性は良好となるが、内容物の香味成分を吸着しやすくなり味特性が劣るようになる。カルボキシル末端基量が10当量/トン未満では良好な密着性を得ることができず、50当量/トンを越えると味特性が劣化する。ポリエステルのカルボキシル末端基量が15〜48当量/トン、特に好ましくは15〜45当量/トンであると長期保存性に優れるので望ましい。
【0013】
本発明で用いるポリエステルは、酸成分として実質的にイソフタル酸成分を含有しないことが必要であるが、レトルト後の味特性を良好とする点、製缶工程での摩耗粉の発生を抑制する点で、エチレンテレフタレートおよび/またはエチレンナフタレートを主たる構成成分とすることが好ましい。なお、実質的にイソフタル酸を含有しないとは、不可避的に不純物として混入するもの以外に、意図的にイソフタル酸を含有させないことをいう。
【0014】
フィルム中に含まれる重合度が不十分な低分子量成分は、飲料等の内容物中へ溶出しやすいため、味特性を劣化させる。ポリエステル中に実質的にイソフタル酸成分を含有しないことによって、フィルム中の重合度が不十分な低分子量成分が減少するので、内容物中に溶出する低分子量成分が減少し、味特性の劣化が防止される。
【0015】
エチレンテレフタレートおよび/またはエチレンナフタレートを主たる構成成分とするポリエステルとは、ポリエステルの95質量%以上がエチレンテレフタレートおよび/またはエチレンナフタレートを構成成分とするポリエステルである。97質量%以上であると金属缶に内容物を長期充填しても味特性が良好であるのでさらに好ましい。
【0016】
一方、味特性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合させてもよく、ジカルボン酸成分としては、例えば、ジフェニルカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。
【0017】
一方、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の指環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。
【0018】
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合してもよい。
【0019】
本発明で用いるポリエステルに少量含有される成分としては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、セバシン酸、ダイマー酸などがあるが、味特性が厳しい用途ではジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0020】
また、本発明では、容器成形後に容器内面側になる樹脂フィルム(樹脂フィルムB)が、さらに質量比で樹脂に対して0.10〜2.0%のワックス成分を含有することを規定する。添加物としてワックス成分を含有させる理由は、▲1▼フィルムの表面エネルギーを低下させることと、▲2▼フィルム表面への潤滑性付与である。▲1▼の効果によってフィルムに内容物が密着し難くなり、▲2▼の効果によってフィルム表面の摩擦係数を低下させることでもって内容物の取出し性を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0021】
0.10%以上に限定した理由は、0.10%未満となると、上記の▲1▼、▲2▼の効果が乏しくなり、内容物の取出し性が劣るためである。また、2.0%以下に限定した理由は、2.0%を超えると内容物取出し性がほぼ飽和してしまい特段の効果が得られないとともに、フィルム成膜技術的にも困難な領域であり生産性に乏しくコスト高を招いてしまうためである。
【0022】
また、添加するワックス成分としては、有機・無機滑剤が使用可能であるが、脂肪酸エステル等の有機滑剤が望ましく、なかでも植物ろうの一つであって天然ワックスであるカルナウバろう(主成分:CH3(CH224COO(CH229CH3であり、この他種々脂肪族とアルコールからなる成分も含有する。)あるいは、ステアリン酸エステルは上記の▲1▼、▲2▼効果が大きく、かつ分子構造上当該フィルムへの添加が容易であるため好適である。なお、前記したワックスを含有するポリエステルフィルムは、ポリエステルに所定量のワックスを配合した後、通常の成膜法により製造できる。
【0023】
なお、以上の効果は、ワックス成分をフィルム表面に塗布することによっては得られない。食品缶詰等は、内容物充填後に殺菌のためレトルト処理を施すが、その際表面に予め塗布されたワックスが内容物に吸収されてしまうからである。本発明のようにフィルム内に添加した場合、レトルト処理の間に徐々にワックスが表面に濃化するためすべてが内容物に吸収されることなく、もって前記した効果を確実に発現することが可能となる。
【0024】
また、金属板上にラミネートされた後の該フィルムの構造としては、複屈折率が0.02以下である領域を、金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μm未満とすることが望ましい。ラミネート金属板の製造は、フィルムを熱せられた金属板に接触させ圧着することで金属板界面のフィルム樹脂を溶融させ金属板に濡れさせることでフィルムとの接着を行うのが通常である。従って、フィルムと金属板との密着性を確保するためにはフィルムが溶融していることが必要であり、必然的にラミネート後の金属板と接する部分のフィルム複屈折率は低下することとなる。
【0025】
本発明に規定するようにこの部分のフィルム複屈折率が0.02以下であれば、ラミネート時のフィルム溶融濡れが十分であることを示し、従って優れた密着性を確保することが可能となる。
【0026】
このようなポリエステル樹脂の複屈折率は、以下の測定手法にて求められる値を採用する。偏光顕微鏡を用いてラミネート金属板の金属板を除去した後のフィルムの断面方向のレタデーションを測定し、樹脂フィルムの断面方向の複屈折率を求める。フィルムに入射した直線偏光は、二つの主屈折率方向の直線偏光に分解される。この時、高屈折率方向の光の振動が低屈折率方向よりも遅くなり、そのためフィルム層を抜けた時点で位相差を生じる。この位相差をレタデーションRと呼び、複屈折率△nとの関係は、式(1)で定義される。
【0027】
△n=R/d…(1)
但し、d:フィルム層の厚み
次に、レタデーションの測定方法について説明する。単色光を偏光板を通過させることで、直線偏光とし、この光をサンプル(フィルム)に入射する。入射された光は上記のように、レタデーションを生じるため、フィルム層を透過後、楕円偏光となる。この楕円偏光はセナルモン型コンペンセーターを通過させることにより、最初の直線偏光の振動方向に対してθの角度をもった直線偏光となる。このθを偏光板を回転させて測定する。レタデーションRとθの関係は式(2)で定義される。
R=λ・θ/180 …(2)
但し、λ:単色光の波長
よって複屈折率△nは、式(1)、(2)から導き出される式(3)で定義される。
△n=(θ・λ/180)/d…(3)
また、上記に示す複屈折率が0.02以下の部分の厚みは、金属板との接触界面からフィルム厚み方向へ5μm未満の領域に限定することが望ましい。この理由は以下のとおりである。
【0028】
本発明で使用するフィルムは固体高分解能NMRによる構造解析におけるカルボニル部の緩和時間T1ρで表現される分子運動性が低いという特徴を有し、以って優れた成形性・耐衝撃性を有するが、フィルムが完全溶融するとその効果が乏しくなり、以後の加工・加熱処理において容易に結晶化が生じフィルムの成形性が劣化してしまう欠点を有する。
【0029】
しかし、上記に示すようにフィルム密着性を確保するためには、フィルムの溶融濡れが必須となる。本発明者らが鋭意検討した結果によると、フィルムが溶融した部分すなわちフィルムの複屈折率が0.02以下である部分の厚みを5μm未満に規制することで、密着性を確保しつつ、成形性・耐衝撃性を高いレベルで両立することが可能となる。
【0030】
本発明で用いるフィルムは、耐熱性、味特性の点で、ポリエステルを二軸延伸化することが必要である。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよいが、延伸条件、熱処理条件を特定し、フィルムの厚さ方向の屈折率が1.500以上とすることが、ラミネート性、絞り成形性を良好とする点で好ましい。さらに、厚さ方向屈折率が1.510以上、特に1.520以上であると、ラミネート時に多少の温度のばらつきがあっても、ラミネート後のフィルムの面配向係数を成形性、耐衝撃性を両立させる上で必要な面配向係数の範囲に制御することが可能となるので好ましい。
【0031】
また、本発明で用いる二軸延伸ポリエステルフィルムは、製缶工程で絞り成形後に200〜300℃程度の熱履歴を受けた後にネック部を加工する際の成形性向上の点で固体高分解能NMRによる構造解析におけるカルボニル部の緩和時間T1ρが270msec以上であることが好ましい。
【0032】
さらに、本発明で用いるフィルムは、ネック部を加工する際の成形性向上の点でポリエステルの熱結晶化パラメータ△Tcg(昇温熱結晶化温度−ガラス転移温度)が60℃以上150℃以下が好ましく、特に好ましくは70℃以上150℃以下である。このような熱結晶性を付与する方法としては、触媒、分子量、ジエチレングリコールの含有量をコントロールすることにより達成しうる。
【0033】
本発明で用いる二軸延伸ポリエステルフィルムの構成としては、単層、複層の如何を問わない。複層構造とした場合は、内容物と接するフィルム(樹脂フィルムB)の最上層にワックスが添加されていることが必要であり、経済性等の面よりフィルムの最上層にのみワックスが添加されていることが望ましい。フィルムの厚さは、金属にラミネートした後の成形性、金属に対する被覆性、耐衝撃性、味特性の点で、3〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは8〜30μmである。
【0034】
フィルム自体(積層フィルムを含む)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば各ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、単独及び/または各々を公知の溶融積層押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未延伸シートを得る。
【0035】
この未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸することにより二軸延伸フィルムを得る。延伸倍率は目的とするフィルムの配向度、強度、弾性率等に応じて任意に設定することができるが、好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によるものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同じに延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。
【0036】
次に、これらのフィルムを金属板にラミネートするときの製造法について述べる。本発明では、金属板をフィルムの融点を超える温度で加熱し、その両面に該樹脂フィルムを圧着ロール(以後ラミネートロールと称す)を用いて接触させラミネート(熱融着)させる方法を用いる。
【0037】
ラミネート条件については、本発明に規定するフィルム構造が得られるものであれば特に制限されるものではない。例えば、ラミネート開始時の温度を280℃以上とし、ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、フィルムの融点以上の温度になる時間を1〜20msecの範囲とすることが好適である。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加え接着中の冷却も必要である。ラミネート時の加圧は特に規定するものではないが、面圧として1〜30kgf/cm2が好ましい。この値が低すぎると、融点以上であっても時間が短時間であるため十分な密着性を得難い。また、加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。
【0038】
金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や軟鋼板等を用いることができ、特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(いわゆるTFS)等が最適である。TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量についても、特に限定されないが、加工後密着性・耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m2、クロム水酸化物層は10〜30mg/m2の範囲とすることが望ましい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
厚さ0.18mm・幅977mmの冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した鋼板を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行い、クロムめっき鋼板を製造した。クロムめっきは、CrO3、F-、SO4 2-を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO3、F-を含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量を120mg/m2、およびクロム水酸化物付着量を15mg/m2に調整した。
【0040】
次いで、図1に示す金属帯のラミネート装置を用い、前記で得たクロムめっき鋼板1を金属帯加熱装置2で加熱し、ラミネートロール3で前記クロムめっき鋼帯1の一方の面に、容器成形後に容器内面側になる樹脂フィルム(樹脂フィルムB)として、表1に示す各種フィルム4a、他方の面に、容器成形後に容器外面側となる樹脂フィルム(樹脂フィルムA)として各種フィルム4bをラミネート(熱融着)しラミネート金属帯を製造した。容器成形後に容器内面側になる樹脂フィルム4aは、容器外面側になる樹脂フィルム4bにワックスを添加したものを使用した。ラミネートした樹脂フィルムの内容を表1に記載する。ラミネートロール3は内部水冷式とし、ラミネート中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。
【0041】
なお、使用した二軸延伸ポリエステルフィルムの特性は、下記の(1)〜(5)、また、以上の方法で製造したラミネート金属板の特性は、下記の(6)〜(10)の方法により、測定、評価した。(1)〜(4)はラミネート前の原板フィルムの特性である。(1)、(3)および(4)の特性はラミネート後も変わらない。
【0042】
(1)ポリエステルのカルボキシル末端基量
ポリエステルをO−クレゾール/クロロホルム(質量比7/3)に90〜100℃で20分の条件で溶解し、アルカリで電位差滴定を行い求めた。
【0043】
(2)フィルムの厚さ方向屈折率
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて測定した。
(3)ポリエステルの融点
熱結晶化パラメータポリエステルを乾燥、溶融後急冷し、示差走査熱量計(パーキン・エルマー社製DSC−2型)により、16℃/minの昇温速度で測定した。
【0044】
(4)固体高分解能NMRによる緩和時間T1ρ
固体NMRの測定装置は、日本電子製スペクトロメータJNM−GX270、日本電子製固体アンプ、MASコントローラNM−GSH27MU、日本電子製プローブNM−GSH27Tを用いた。測定は、13C核のT1ρ(回転座標における縦緩和)測定を実施した。測定は、温度24.5℃、湿度50%RH、静磁場強度6.34T(テスラ)下で、1H、13Cの共鳴周波数はそれぞれ270.2MHz、67.9MHzである。ケミカルシフトの異方性の影響を消すためにMAS(マジック角度回転)法を採用した。回転数は、3.5〜3.7kHzで行った。パルス系列の条件は、1Hに対して90°、パルス幅4μsec、ロッキング磁場強度62.5kHzとした。1Hの分極を13Cに移すCP(クロスポーラリゼーション)の接触時間は1.5msecである。また保持時間τとしては、0.001、0.5、0.7、1、3、7、10、20、30、40、50msecを用いた。保持時間τ後の13C磁化ベクトルの自由誘導減衰(FID)を測定した(FID測定中1Hによる双極子相互作用の影響を除去するために高出力カップリングを行った。なお、S/Nを向上させるため、512回の積算を行った)。また、パルス繰り返し時間としては、5〜15secの間で行った。
【0045】
T1ρ値は、通常I(t)=Σ(Ai)exp(-t/T1ρi)で記述することができ、各保持時間に対して観測されたピーク強度を片対数プロットすることにより、その傾きからもとめることができる。ただし、Ai:T1ρiに対する成分の割合である。
【0046】
ここでは2成分系(T1ρ1:非晶成分、T1ρ2:結晶成分)で解析し、下記の式を用い最小2乗法フィッティングによりその値を求めた。
I(t)=fa1・exp(-t/T1ρ1)+ fa2・exp(-t/T1ρ2)
fa1: T1ρ1に対する成分の割合
fa2: T1ρ2に対する成分の割合
fa1+fa2=1
ここでT1ρとしてはT1ρ2を用いる。
【0047】
(5)ポリエステルフィルムの複屈折率
偏光顕微鏡を用いてラミネート金属板の金属板を除去した後のフィルムの断面方向のレタデーションを測定し、フィルムの断面方向の複屈折率を求めた。
【0048】
(6)内容物取り出し性
絞り成形機を用いて、ラミネート金属板を、絞り工程で、ブランク径:100mm、絞り比(成形前径/成形後径):1.88でカップ成形した。続いて、このカップ内に、卵・肉・オートミールを均一混合させた内容物を充填し、蓋を巻締め後、レトルト処理(130℃×90分間)を行った。その後、蓋を取り外し、カップを逆さまにして2、3回手で振って内容物を取り出した後にカップ内側に残存する内容物の程度を観察することにより、内容物の取り出し易さの程度を評価した。
(評点について)
◎:内容物の取り出しが容易であり、取り出し後のカップ内面に付着物が無状態。
○:手で振るだけでは内容物の取出しが困難であるが、スプーン等により容易に取り出すことができ、取り出し後のカップ内面に付着物がほとんど無い状態。
×:手で振るだけでは内容物の取り出しが困難であり、スプーン等で掻き出さないと内容物が取り出せず、取り出し後のカップ内面に多くの付着物が認められる状態。
【0049】
(7)成形性
ラミネート金属板にワックス塗布後、直径179mmの円板を打ち抜き、絞り比1.60で浅絞り缶を得た。次いで、この絞りカップに対し、絞り比2.10及び2.80で再絞り加工を行った。この後、常法に従いドーミング成形を行った後、トリミングし、次いでネックイン−フランジ加工を施し深絞り缶を成形した。このようにして得た深絞り缶のネックイン部に着目し、フィルムの損傷程度を目視観察した。
(評点について)
◎:成形後フィルムに損傷なく、フィルム剥離も認められない。
○:成形可能であるが、フィルム剥離が認められる。
×:缶が破胴し、成形不可能。
【0050】
(8)密着性
上記(7)で成形可能であった缶に対し、缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm×長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムを一部剥離し、引張試験機で剥離した部分のフィルムを、フィルムが剥離されたクロムめっき鋼板とは反対方向(角度:180°)に開き、引張速度30mm/minでピール試験を行い、密着力を評価した。なお、密着力測定対象面は、缶内面側とした。
(評点について)
◎:0.15kg/15mm以上。
【0051】
○:0.10kg/15mm以上、0.15kg/15mm未満。
×:0.10kg/15mm未満。
【0052】
(9)耐衝撃性
上記(7)で成形可能であった缶に対し、水を満中し、各試験について10個ずつを高さ1.25mから塩ビタイル床面へ落とした後、電極と金属缶に6Vの電圧をかけて3秒後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
(評点について)
◎:0.01mA未満。
○:0.01mA以上、0.1mA未満。
×:0.1mA以上。
【0053】
(10)味特性
上記(7)で成形可能であった缶に120℃×30分のレトルト処理を行った後、香料水溶液d−リモネン25ppm水溶液を350ml充填し、40℃密封後45日放置し、その後開封して官能検査によって、臭気の変化を以下の基準で評価した。
○:臭気にほとんど変化は見られない。
△:臭気にやや変化が見られる。
×:臭気に変化が大きく見られる。
評価結果を表2に記載した。
【0054】
【表1】
Figure 0003714177
【0055】
【表2】
Figure 0003714177
【0056】
表1および表2に示すように、本発明範囲の発明例は、いずれも内容物取り出し性、成形性、密着性、耐衝撃性及び味特性が良好な特性を示した。
【0057】
本発明例において、ワックス成分としてカルナウバろう若しくはステアリン酸エステルを含有するものは内容物取り出し性がより優れる。フィルムの複屈折率の値が0.02以下である領域が金属板との接触界面から厚さが5μm未満であると成形性がより優れる。緩和時間T1ρが270msec以上であると、成形性がより優れる。フィルムを構成するポリエステル単位の95質量%以上がエチレンテレフタレート単位であると、耐衝撃性、味特性がより優れている。
【0058】
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、内容物取り出し性、味特性、成形性の少なくとも1つが不良であった。
【0059】
【発明の効果】
本発明によるラミネート金属板は、内容物取り出し性、成形性、密着性、耐衝撃性、味特性が良好であり、絞り加工等を行う容器用素材、特に食缶容器用素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属板のラミネート装置の要部を示す図。
【符号の説明】
1 金属板(クロムめっき鋼板)
2 金属帯加熱装置
3 ラミネートロール
4a,4b フィルム

Claims (6)

  1. 融点が240〜300℃、カルボキシル末端基が10〜50当量/トン、酸成分として実質的にイソフタル酸成分を含有しない二軸延伸ポリエステルフィルムを樹脂フィルムA、また前記二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムであって、さらに質量比で樹脂に対して0.10〜2.0%のワックス成分を含有する樹脂フィルムを樹脂フィルムBとしたとき、容器成形後に容器内面側になる金属板の表面に樹脂フィルムB、容器外面側になる金属板の表面に樹脂フィルムAをラミネートしたことを特徴とする容器用フィルムラミネート金属板。
  2. ワックス成分として、カルナウバろう若しくはステアリン酸エステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の容器用フィルムラミネート金属板。
  3. ラミネート後の樹脂フィルムA、樹脂フィルムBの複屈折率が0.02以下である領域が金属板との接触界面からフィルム厚み方向に5μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用フィルムラミネート金属板。
  4. 樹脂フィルムA、樹脂フィルムBを構成するポリエステル単位の95質量%以上がエチレンテレフタレート単位および/またはエチレンナフタレート単位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器用フィルムラミネート金属板。
  5. 樹脂フィルムA、樹脂フィルムBの厚さ方向屈折率が1.500以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器用フィルムラミネート金属板。
  6. 樹脂フィルムBが少なくとも2層以上から構成され、該樹脂フィルムBは内容物と接する最上層にのみ、質量比で樹脂に対して0.10〜2.0%のワックス成分を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の容器用フィルムラミネート金属板。
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